JP2018159856A - 円偏光フィルムの製造方法 - Google Patents

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Shunsuke Yamanaka
俊介 山中
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Abstract

【課題】円偏光フィルムを容易に製造できる新たな製造方法を提供する。
【解決手段】延伸フィルムと、前記延伸フィルムの表面に形成され、互いに平行に設けられた複数のグリッド線を有するグリッド偏光層とを含む円偏光フィルムの製造方法であって、延伸フィルムの表面に凹部を形成する工程と、凹部にグリッド線を形成する工程と、を含む、円偏光フィルムの製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、円偏光フィルムの製造方法に関する。
反射偏光特性を示す光学部材としてグリッド偏光子が知られている。これは、金属からなる多数のグリッド線を所定の周期で平行に配列したグリッド構造をもつ光学部材である。グリッドの周期が入射光の波長より短いグリッド構造を形成すると、グリッド構造に対して平行な偏光成分は反射され、垂直な偏光成分は透過され、単一偏光を作りだす偏光子として機能する。前記のようなグリッド偏光子を、延伸フィルムの表面に、グリッド偏光層として形成する方法が、従来から知られている(特許文献1)。
特開2005−195824号公報
特許文献1には、延伸フィルム上にフォトリソグラフィーを利用してグリッド偏光層を形成する方法が記載されている。しかし、フォトリソグラフィーでは、フォトレジスト等の試薬を用いることが求められるので、コストが高くなる傾向がある。また、フォトリソグラフィーでは、グリッド線の形成に要する工程数が多いので、製造効率に劣る傾向がある。
本発明は、前記の課題に鑑みて創案されたもので、円偏光フィルムを容易に製造できる新たな製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、前記の課題を解決するべく鋭意検討した結果、延伸フィルムの表面に凹部を形成する工程と、この凹部にグリッド線を形成する工程とを含む製造方法により、円偏光フィルムを容易に製造できることを見い出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記のものを含む。
〔1〕 延伸フィルムと、前記延伸フィルムの表面に形成され、互いに平行に設けられた複数のグリッド線を有するグリッド偏光層とを含む円偏光フィルムの製造方法であって、
前記延伸フィルムの表面に凹部を形成する工程と、
前記凹部に前記グリッド線を形成する工程と、を含む、円偏光フィルムの製造方法。
〔2〕 前記凹部の形成が、ナノインプリント法により行われる、〔1〕記載の円偏光フィルムの製造方法。
〔3〕 前記ナノインプリント法が、前記凹部に対応した形状の周面を有するエンボスロールを用いて、前記周面の形状を前記延伸フィルムの表面に転写することを含む、〔2〕記載の円偏光フィルムの製造方法。
〔4〕 前記エンボスロールを用いた転写の際、前記エンボスロールが前記延伸フィルムの表面に接触する保持時間が、10秒以下である、〔3〕記載の円偏光フィルムの製造方法。
〔5〕 前記エンボスロールを用いた転写の際、前記エンボスロールが前記延伸フィルムに接触する線圧が、500KN/m以下である、〔3〕又は〔4〕記載の円偏光フィルムの製造方法。
〔6〕 前記凹部を形成される前の前記延伸フィルムの面内レターデーションと、前記凹部を形成された後の前記延伸フィルムの面内レターデーションとの差が、5nm以下である、〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載の円偏光フィルムの製造方法。
〔7〕 前記延伸フィルムが、脂環式構造含有重合体を含む樹脂からなる、〔1〕記載の円偏光フィルムの製造方法。
本発明によれば、円偏光フィルムを容易に製造できる新たな製造方法を提供できる。
図1は、本発明の製造方法によって製造される円偏光フィルムの一例を、グリッド線の延在方向に対して垂直な平面で切った様子を模式的に示す斜視図である。 図2は、ナノインプリント法を用いて延伸フィルムの表面に凹部を形成する形成装置の一例を模式的に示す平面図である。
以下、例示物及び実施形態を示して本発明について詳細に説明するが、本発明は以下に示す例示物及び実施形態に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、別に断らない限り、あるフィルムの面内レターデーションReは、Re=(nx−ny)×dで表される値を示す。ここで、nxは、フィルムの厚み方向に垂直な方向(面内方向)であって最大の屈折率を与える方向の屈折率を表し、nyは、フィルムの前記面内方向であってnxの方向に直交する方向の屈折率を表し、dは、フィルムの厚みを表す。面内レターデーションの測定波長は、別に断らない限り、590nmである。
以下の説明において、別に断らない限り、フィルムの「逆波長分散特性」とは、そのフィルムの波長450nm及び650nmにおける面内レターデーションRe450及びRe650が、Re450<Re650の関係を満たすことをいう。
以下の説明において、あるフィルムの遅相軸とは、別に断らない限り、当該フィルムの面内方向における遅相軸を表す。
以下の説明において、別に断らない限り、要素の方向が「平行」、「垂直」及び「直交」とは、本発明の効果を損ねない範囲内、例えば±5°の範囲内での誤差を含んでいてもよい。
以下の説明において、用語「円偏光」には、別に断らない限り、狭義の円偏光だけでなく、楕円偏光も含む。
以下の説明において、固有複屈折が正の材料とは、別に断らない限り、延伸方向の屈折率がそれに直交する方向の屈折率よりも大きくなる材料を意味する。また、固有複屈折が負の材料とは、別に断らない限り、延伸方向の屈折率がそれに直交する方向の屈折率よりも小さくなる材料を意味する。材料の固有複屈折の値は、誘電率分布から計算することができる。
[1.円偏光フィルムの製造方法]
図1は、本発明の製造方法によって製造される円偏光フィルム100の一例を、グリッド線121の延在方向に対して垂直な平面で切った様子を模式的に示す斜視図である。
図1に示すように、円偏光フィルム100は、延伸フィルム110と、この延伸フィルム110の表面110Uに形成された複数のグリッド線121を有するグリッド偏光層120とを含む。複数のグリッド線121は、間隔を空けて互いに平行に設けられている。また、通常、グリッド線121は、延伸フィルム110の表面110Uに直接に接して形成されていて、グリッド線121と延伸フィルム110との間に他の層は介在していない。
延伸フィルム110の表面110Uは、図1に示すように、グリッド線121に対応した凹部111を形成されている。そして、この凹部111に、グリッド線121が形成される。よって、凹部111の形状は、グリッド線121の形状に対応して設定されるので、凹部111は、通常は溝状となっている。
前記のような円偏光フィルム100では、グリッド偏光層120に入射した光のうち、グリッド線121の延在方向に対して垂直な直線偏光がグリッド偏光層120を透過し、その直線偏光が延伸フィルム110を透過することによって円偏光になって、円偏光フィルム100から出て行く。
この円偏光フィルム100は、連続的に製造可能であることから、長尺形状を有することが好ましい。よって、延伸フィルム110も、長尺形状を有することが好ましい。ここで、フィルムの「長尺形状」とは、幅に対して、通常5倍以上の長さを有する形状をいい、好ましくは10倍若しくはそれ以上の長さを有し、具体的にはロール状に巻き取られて保管又は運搬される程度の長さを有する形状をいう。長尺形状を有するフィルムの長さの上限は、特に制限は無く、例えば、幅に対して10万倍以下としうる。
上述した円偏光フィルムは、
(1)延伸フィルムを用意する工程と、
(2)延伸フィルムの表面に凹部を形成する工程と、
(3)凹部にグリッド線を形成する工程と、
を含む製造方法によって、製造できる。
[2.延伸フィルムを用意する工程]
延伸フィルムは、通常、樹脂によって形成される。よって、延伸フィルムは、樹脂をフィルム状に成形して延伸前フィルムを得る工程と、延伸前フィルムを延伸して延伸フィルムを得る工程とを含む製造方法により、製造しうる。
樹脂としては、通常、熱可塑性樹脂を用いる。この熱可塑性樹脂は、重合体と、必要に応じて任意の成分を含みうる。
重合体としては、例えば、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリエチレン、ポリフェニレンエーテル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、及び脂環式構造含有重合体などが挙げられる。
また、重合体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。例えば、ポリフェニレンエーテル等の固有複屈折が正の重合体と、ポリスチレン等の固有複屈折が負の重合体とを組み合わせて用いてもよい。これにより、逆波長分散特性を有する延伸フィルムを得ることができる。固有複屈折が正の重合体と固有複屈折が負の重合体とを組み合わせて、逆波長分散特性を有する延伸フィルムを得る技術については、再表2010/074166号公報を参照できる。
これらの中でも、透明性、低吸湿性、寸法安定性及び加工性の観点から、脂環式構造含有重合体が好適である。脂環式構造含有重合体は、主鎖及び/又は側鎖に脂環式構造を有する重合体であり、例えば、特開2007−057971号公報に記載のものを用いうる。
樹脂中の重合体の量は、好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。重合体の量を前記の範囲に収めることにより、重合体の利点を十分に発揮させることができる。
任意の成分としては、顔料及び染料等の着色剤;蛍光増白剤;分散剤;熱安定剤;光安定剤;紫外線吸収剤;帯電防止剤;酸化防止剤;滑剤;溶剤などの配合剤が挙げられる。また、任意の成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。任意の成分の量は、例えば、延伸フィルムの全光線透過率85%以上を維持できる範囲とすることができる。
さらに、前記の樹脂は、吸水率が小さいことが好ましい。樹脂の具体的な吸水率は、好ましくは0.1重量%以下、より好ましくは0.03重量%以下、更に好ましくは0.02重量%以下、特に好ましくは0.01重量%以下である。吸水率が前記範囲であると、延伸フィルムのレターデーション等の光学特性の経時変化を小さくすることができる。
吸水率は、試料を一定温度の水中に一定時間浸漬して増加した重量を、浸漬前の試料の重量に対する百分率で表した値である。通常は、23℃の水中に24時間、浸漬して測定される。樹脂の飽和吸水率は、例えば、当該樹脂に含まれる重合体中の極性基の量を減少させることにより、前記の範囲に調節することができる。特に、重合体として脂環式構造含有重合体を用いた場合に、樹脂の吸水率を小さくし易い。
樹脂をフィルム状に成形する方法としては、キャスト成形法、インフレーション成形法、押出成形法などを用いることができ、中でも押出成形法が好ましい。また、押出成形法は、Tダイ法によって行うことが好ましい。
また、延伸フィルムは、1層のみを有する単層フィルムであってもよいが、2層以上の層を有する複層フィルムであってもよい。例えば、延伸フィルムは、脂環式構造含有重合体を含む樹脂からなる層と、固有複屈折が正の重合体及び固有複屈折が負の重合体を組み合わせて含む層とを有する複層フィルムであってもよい。このような複層構造の延伸フィルムを得るために複層構造の延伸前フィルムを製造する場合、共押出を行なって、複数層を同時に形成してもよい。共押出Tダイ法には、フィードブロック方式及びマルチマニホールド方式があり、厚みのばらつきを少なくできる点でマルチマニホールド方式が特に好ましい。
Tダイ法を採用する場合、Tダイを有する押出機における樹脂の溶融温度は、200℃〜300℃であることが好ましい。
延伸前フィルムを得た後で、その延伸前フィルムを延伸して延伸フィルムを得る。この際、延伸方向は、得られる延伸フィルムの遅相軸が所望の方向となるように、適切に設定することが好ましい。よって、延伸は、延伸フィルムに発現させたい遅相軸の方向に応じて、延伸前フィルムの幅方向への延伸(横延伸)であってもよく、延伸前フィルムの長手方向への延伸(縦延伸)であってもよく、延伸前フィルムの幅方向でも長手方向でもない斜め方向への延伸であってもよく、これらを組み合わせた延伸であってもよい。
延伸温度及び延伸倍率は、所望の面内レターデーションが得られる範囲で任意に設定しうる。具体的な範囲を挙げると、延伸温度は、好ましくはTg−30℃以上、より好ましくはTg−10℃以上であり、好ましくはTg+60℃以下、より好ましくはTg+50℃以下である。また、延伸倍率は、好ましくは1.1倍以上、より好ましくは1.2倍以上、特に好ましくは1.5倍以上であり、好ましくは30倍以下、より好ましくは10倍以下、特に好ましくは5倍以下である。ここで、Tgは、延伸フィルムに含まれる樹脂のガラス転移温度を表す。
延伸処理の方式は、例えば、ロール方式、フロート方式、テンター方式などが挙げられる。
このようにして得られた延伸フィルムには、熱固定処理を施してもよい。熱固定処理における温度は、好ましくは室温〜延伸温度+30℃、より好ましくは延伸温度−40℃〜延伸温度+20℃である。
[3.延伸フィルムの表面に凹部を形成する工程]
延伸フィルムを用意した後で、延伸フィルムの表面に、グリッド線に対応した凹部を形成する工程を行う。凹部の形状は、グリッド線に対応した形状に設定されるので、通常、前記の凹部は、グリッド線の延在方向と同一の方向に延びる溝状に形成される。溝の幅及びピッチは、通常、グリッド線の幅及びピッチと同じにしうる。また、溝の深さは、グリッド線の厚みと同じか、大きくてもよい。具体的には、溝の深さは、50nm〜800nmとしうる。
凹部の形成は、例えば切削加工法によって行ってもよいが、ナノインプリント法によって行うことが好ましい。ナノインプリント法では、凹部に対応した形状を有する型を用意し、その型を延伸フィルムの表面に押し当てて、延伸フィルムの表面に凹部を形成する。以下、ナノインプリント法を用いた好ましい凹部の形成方法を、図面を示して説明する。
図2は、ナノインプリント法を用いて延伸フィルム110の表面110Uに凹部111を形成する形成装置200の一例を模式的に示す平面図である。
図2に示すように、ナノインプリント法は、長手方向に連続的に搬送される延伸フィルム110を加熱するためのヒーター210と、加熱された延伸フィルム110の表面110Uに凹部111を形成するための型220と、型220の直後に設けられた冷却装置としての冷却ロール230とを備える形成装置200を用いて、行いうる。
ヒーター210としては、延伸フィルム110の厚み方向の全体を加熱するのではなく、凹部111を形成する深さの部分だけを選択的に加熱できるものを用いることが好ましい。これにより、加熱されなかった部分において延伸フィルム110の配向が緩和しないので、延伸フィルム110のレターデーションの変化を抑制することができる。このようなヒーター210としては、例えば、赤外線ヒーターが挙げられる。
この赤外線ヒーターは、延伸フィルム110に赤外線を照射し、その赤外線のエネルギーによって延伸フィルム110を加熱できる装置である。赤外線の照射時間を所定の短い時間に調整することにより、延伸フィルム110の表面110U近傍の浅い部分だけを選択的に加熱することができる。
赤外線ヒーターから放射される赤外線としては、波長0.76μm〜1mmの範囲の電磁波を用いうる。延伸フィルム110のある1地点を赤外線ヒーターによって加熱する時間は、好ましくは0.1秒〜10秒、より好ましくは0.5秒〜7秒、特に好ましくは1秒〜5秒である。このように赤外線ヒーターによって短時間だけ加熱することにより、延伸フィルム110の表面110U側の深さ約1μmの部分だけが、選択的に加熱される。
加熱された部分の温度は、通常、赤外線ヒーターの出力に応じて定まる。よって、赤外線ヒーターの出力は、延伸フィルム110が達すべき加熱温度に応じて調整しうる。例えば、赤外線ヒーターの出力は、延伸フィルムの単位面積当たり、好ましくは100J/m〜360000J/m、より好ましくは500J/m〜270000J/m、特に好ましくは1000J/m〜180000J/mでありうる。
前記のような加熱によれば、延伸フィルム110の表面110U近傍の部分を、凹部111の形成に適した温度に加熱することができる。延伸フィルム110の表面110U近傍の加熱された部分の温度は、好ましくはTg以上、より好ましくはTg+10℃以上、特に好ましくはTg+20℃以上であり、好ましくはTg+110℃以下、より好ましくはTg+100℃以下、特に好ましくはTg+90℃以下である。
前記のように加熱されることで、延伸フィルム110の表面110U近傍の浅い部分の樹脂は溶融し、型220による成形を容易に行える状態となる。他方、厚み方向の溶融した部分以外の部分は、延伸フィルム110の樹脂は溶融せず、そのため配向緩和しないので、面内レターデーションの大きな変化が抑制される。このような延伸フィルム110は、その後、型220へと搬送される。
型220としては、エンボスロールを用いることが好ましい。エンボスロールは、形成すべき凹部111に対応した形状の周面220Sを有するロールであり、通常、延伸フィルム110の搬送方向と同じ向きに回転可能に設けられる。このようなエンボスロールは、例えば、特開2007−057971号公報に記載の転写ロールの製造方法と同様にして、製造できる。また、形成装置200は、通常、型220に対向してニップロール等の支持部材(図示せず。)を備えていて、この支持部材と型とで延伸フィルム110を挟み込めるように設けられる。
延伸フィルム110は、型220へと搬送されると、型220によって延伸フィルム110の表面110Uを押圧される。型220としてエンボスロールを用いる場合は、エンボスロールの周面220Sによって、表面110Uが押圧される。これにより、延伸フィルム110の表面110Uに、エンボスロール220の周面220Sの形状が転写されて、凹部111が形成される。また、特に、延伸フィルム110の表面110U近傍の浅い部分だけを選択的に加熱することができるヒーター210を用いた場合、型220による押圧によっては、延伸フィルム110の表面110U近傍の浅い部分だけを変形させることができ、それ以外の部分での変形を抑制できる。よって、延伸フィルム110の表面110Uだけに選択的に凹部111を形成できる。
型220が延伸フィルム110の表面110Uを押圧する圧力は、所望の凹部111が得られる範囲で、適切に調整しうる。例えば、エンボスロールを用いた転写の際、エンボスロールの周面220Sが延伸フィルム110の表面110Uを押圧する線圧は、好ましくは25KN/m以上、より好ましくは75KN/m以上、特に好ましくは150KN/m以上であり、好ましくは500KN/m以下、より好ましくは375KN/m以下、特に好ましくは300KN/m以下である。線圧が、前記範囲の下限値以上であることにより、凹部111を安定して形成でき、また、前記範囲の上限値以下であることにより、凹部111の形成による延伸フィルム110の面内レターデーションの変化を小さくできる。
また、型220が延伸フィルム110の表面110Uに接触する保持時間は、所望の凹部111が得られる範囲で、適切に調整しうる。例えば、エンボスロールを用いた転写の際、エンボスロールの周面220Sが延伸フィルム110の表面110Uに接触する保持時間は、好ましくは0.1秒以上、より好ましくは0.5秒以上、特に好ましくは1秒以上であり、好ましくは10秒以下、より好ましくは7秒以下、特に好ましくは5秒以下である。保持時間が、前記範囲の下限値以上であることにより、凹部111を安定して形成でき、また、前記範囲の上限値以下であることにより、凹部111の形成による延伸フィルム110の面内レターデーションの変化を小さくできる。
型220の温度は、延伸フィルム110に含まれる樹脂のガラス転移温度以上の温度であることが好ましい。これにより、延伸フィルム110の表面110Uでの凹部111の形成を円滑に行うことができる。型220の温度の上限は、特段の制限は無く、例えば250℃でありうる。また、支持部材の温度は、所望の凹部111が得られるように任意に調整でき、例えば0℃〜50℃としうる。
延伸フィルム110の搬送路において型220の直後には、冷却ロール230等の冷却装置を設けることが好ましい。この冷却ロール230によれば、延伸フィルム110を冷却して、延伸フィルム110に含まれる樹脂を硬化させることができる。これにより、延伸フィルム110の表面110Uに形成された凹部111が搬送張力等の力によって変形することを抑制できるので、凹部111の形状を保持することができる。冷却ロール230の温度は、延伸フィルム110に含まれる樹脂のガラス転移温度未満で適切に設定でき、例えば、0℃〜50℃でありうる。
このように、上述したナノインプリント法を用いた形成方法では、延伸フィルム110の表面110Uに凹部111を連続的に形成できる。このナノインプリント法は、切削加工法のように削りカスが生じないので、当該削りカスの付着による光学欠陥の発生及び製造装置の汚れを抑制できる。
また、上述したナノインプリント法では、ヒーター210による加熱によって配向緩和を生じたり、型220による押圧で変形が生じたりして、延伸フィルム110の表面110Uの近傍部分の面内レターデーションが損なわれる。しかし、前記のように面内レターデーションが損なわれるのは、延伸フィルム110の厚み方向において、表面110U近傍の浅い部分のみである。よって、凹部111の形成によっては、通常、延伸フィルム全体の面内レターデーションは大きく変化しない。具体的には、凹部111を形成される前の延伸フィルム110の面内レターデーションRe0と、凹部111を形成された後の延伸フィルム110の面内レターデーションRe1との差Re0−Re1が、好ましくは5nm以下、より好ましくは0nm〜3nm、特に好ましくは0nm〜1nmである。ここで、凹部111を形成される前の延伸フィルム110とは、凹部111の形成のためにヒーター210によって加熱される前の延伸フィルム110を指す。
[4.凹部にグリッド線を形成する工程]
延伸フィルムの表面に凹部を形成した後で、その形成された凹部にグリッド線を形成する工程を行って、円偏光フィルムを得る。
グリッド線の材料としては、複素屈折率N(N=n−iκ)の実部nと虚部κとの差の絶対値が1.0以上の材料が好ましい。ここで、複素屈折率Nは、電磁波の理論的関係式であり、実部の屈折率nと虚部の消衰係数κを用いて、N=n−iκで表現されるものである。屈折率nの媒体中では真空中よりも光が速く進み、大きい消衰係数κの媒体中では光の強度が減衰することが知られている。
前記の複素屈折率Nに係る要件を満たす材料としては、例えば、金属;シリコン、ゲルマニウム等の無機半導体;ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ−p−フェニレン等の導電性ポリマー;前記の導電性ポリマーを、ヨウ素、三フッ化ホウ素、五フッ化ヒ素、過塩素酸等のドーパントを用いてドーピングした有機系導電性材料;などが挙げられる。また、前記の材料は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。例えば、前記の導電性ポリマー又は有機系導電性材料と、金、銀等の導電性金属粒子とを組み合わせた有機−無機複合系導電性材料を用いてもよい。
前記の材料の中でも、グリッド偏光層の生産性、耐久性の観点からは、金属が好ましい。可視域の光を効率よく偏光分離するためには、温度25℃、波長550nmにおける複素屈折率の実部nが4.0以下、虚部κが3.0以上、且つその差の絶対値|n−κ|が1.0以上のものが好ましい。このような要件を満たす材料としては、例えば、銀、アルミニウム、クロム、インジウム、イリジウム、マグネシウム、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム、アンチモン、スズが挙げられる。その中でも、前記の実部nが2.0以下、虚部κが4.5以上、且つその差の絶対値|n−κ|が3.0以上のものが特に好ましい。このような要件を満たす材料としては、例えば、アルミニウム、インジウム、マグネシウム、ロジウム、スズが挙げられる。また、上記以外に、温度25℃、波長550nmにおける複素屈折率の実部nが3.0以上且つ虚部κが2.0以下の範囲にある材料が好ましく、実部nが4.0以上且つ虚部κが1.0以下の範囲にある材料がより好ましい。このような要件を満たす材料としては、例えば、シリコンが挙げられる。
グリッド線の材料に係る詳細については、特開2007−057971号公報を参照しうる。
グリッド線の形成は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の真空成膜プロセスで行ってもよい。また、グリッド線の形成は、例えば、マイクログラビア法、スクリーンコート法、ディップコート法等の塗工法;無電解めっき法、電解めっき法等のメッキ法;などのウェットプロセスによって行ってもよい。具体例を挙げると、延伸フィルムの表面の全体にアルミニウム等の金属を蒸着することによって前記金属の層を形成した後で、凹部以外の部分に形成された金属の層をグラインダーによる研磨等の除去処理によって除去して、凹部に金属からなるグリッド線を形成してもよい。
ただし、グリッド線の形成を容易に行う観点から、塗工法を含む方法によって、グリッド線を形成することが好ましい。このような方法によってグリッド線の形成を行う場合、グリッド線の材料を含む液状組成物を用意する工程と、その液状組成物を延伸フィルムの表面に塗工する工程と、余分な液状組成物を延伸フィルムの表面から除去する工程とを行う。
液状組成物としては、通常、グリッド線の材料と、溶媒とを含むものを用いる。溶媒としては、グリッド線の材料を溶解又は分散させうるもの用いることができる。また、溶媒は、延伸フィルムを溶解しないものが好ましい。このような溶媒は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。溶媒の好適な例としては、水が挙げられる。
液状組成物では、グリッド線の材料は、通常、粒子となって分散している。例えば、グリッド線の材料が金属である場合、その金属は通常、ナノレベルの粒子となって分散してる。前記のような液状組成物の好適な例としては、銀インク等の、グリッド線の材料として金属を含む金属インクが挙げられる。
液状組成物を用意した後で、その液状組成物を、延伸フィルムの表面に塗工する。塗工された液状組成物は、延伸フィルムの表面に形成された凹部に浸入し、凹部に充填される。
通常は、延伸フィルムの表面の凹部以外の部分にも、塗工された液状組成物が付着する。そこで、液状組成物の塗工後に、凹部に充填された以外の余分な液状組成物を除去する工程を行う。余分な液状組成物の除去は、例えば、ドクターブレード等の掻き取り部材を用いて、余分な液状組成物を掻き取ることにより、行いうる。
これにより、延伸フィルムの表面の凹部にだけ、液状組成物が残る。そこで、必要に応じて、凹部に残った液状組成物から溶媒を除去する工程を行うことにより、凹部にグリッド線を形成することができる。溶媒の除去は、通常、加熱処理等の乾燥処理によって行う。ただし、特段の処理を行わなくても溶媒が除去される場合には、前記の乾燥処理を行わなくてもよい。
[5.任意の工程]
円偏光フィルムの製造方法は、上述した工程に組み合わせて、更に任意の工程を含んでいてもよい。例えば、円偏光フィルムの製造方法は、延伸フィルム及びグリッド偏光層に組み合わせて更に任意の層を形成する工程を含んでいてもよい。具体例を挙げると、前記の製造方法は、グリッド偏光層の腐食抑制及び形状維持のために、保護層を形成する工程を含んでいてもよい。保護層は、例えば、特開2007−057971号公報に記載の方法によって形成しうる。
[6.円偏光フィルムの製造方法の主な利点]
上述した製造方法により、表面に凹部を形成された延伸フィルムと、その凹部に形成されたグリッド線を有するグリッド偏光層とを含む円偏光フィルムが得られる。
この製造方法は、延伸フィルムの表面の凹部を利用してグリッド線を形成している。凹部の形成には、フォトレジスト等の試薬を用いる必要が無い。また、凹部によってグリッド線の位置の調整が可能であるので、グリッド線の位置の調整のためにフォトリソグラフィーのような工程数の多い方法と比べて、工程を少なくできる。そのため、前記の製造方法によれば、円偏光フィルムを容易に製造できる。
また、特に凹部の形成方法としてナノインプリント法を採用することにより、加熱及び押圧というシンプルな処理によって、凹部を連続的に形成できる。したがって、グリッド線を連続的かつ容易に形成できるので、円偏光フィルムを特に容易に製造することができる。
さらに、前記の製造方法で得られた円偏光フィルムでは、グリッド線は、通常、凹部内に収まる。そのため、グリッド線の摩耗、傷付き及び破損を抑制できる。したがって、円偏光フィルムの耐久性を向上させることが可能である。
[7.製造される円偏光フィルム]
上述した製造方法によって製造される円偏光フィルムは、延伸フィルムと、この延伸フィルムの表面に形成されたグリッド線を有するグリッド偏光層とを含む。
延伸フィルムは、円偏光フィルムとしての機能を実現する観点から、λ/4の面内レターデーションを有することが好ましい。具体的には、測定波長590nmにおける延伸フィルムの面内レターデーションが、好ましくは108nm以上〜168nm、より好ましくは128nm〜148nm、特に好ましくは133nm〜143nmである。
また、延伸フィルムは、逆波長分散特性を有することが好ましい。よって、延伸フィルムは、その波長450nm、550nm及び650nmにおける面内レターデーションRe450、Re550及びRe650が、Re450<Re650の関係を満たすことが好ましく、Re450<Re550<Re650の関係を満たすことがより好ましい。さらには、Re450/Re550≦0.95であることが好ましく、Re650/Re550≧1.05であることが好ましい。これにより、より広範な波長範囲において、延伸フィルムが直線偏光を円偏光に変換できる。よって、広帯域の円偏光フィルムを実現することが可能である。このように逆波長分散特性を有する延伸フィルムは、例えば、樹脂に含まれる重合体の種類及び割合、並びに延伸の条件を適切に設定することにより、得ることができる。
延伸フィルムの遅相軸は、延伸フィルムの長手方向に対して、平行であってもよく、垂直であってもよく、平行でなく垂直でもない斜めの方向にあってもよい。ただし、グリッド偏光層を透過した直線偏光を延伸フィルムによって円偏光に変換するためには、グリッド偏光層のグリッド線の延在方向に対して、延伸フィルムの遅相軸は、好ましく40°〜50°、より好ましくは42°〜48°、更に好ましくは44°〜46°の角度をなすことが望ましい。
中でも、延伸フィルムの遅相軸は、延伸フィルムの長手方向に対して平行でなく垂直でもない斜め方向にあることが好ましい。特には、延伸フィルムの遅相軸が延伸フィルムの長手方向に対してなす角度が、好ましく40°〜50°、より好ましくは42°〜48°、更に好ましくは44°〜46°である。延伸フィルムの遅相軸の方向をこのように設定すると、グリッド偏光層120に含まれるグリッド線121の延在方向を、いずれも延伸フィルム110の長手方向に対して平行又は垂直に設定できる。そのため、延伸フィルムの遅相軸とグリッド偏光層の透過軸との角度調整が容易になり、更にはグリッド線121の延在方向の制御が容易である。よって、円偏光フィルム100を、特に容易に製造することが可能である。
延伸フィルムは、光学フィルムとしての用途に用いる観点から、高い全光線透過率を有することが好ましい。延伸フィルムの具体的な全光線透過率は、好ましくは85%〜100%、より好ましくは87%〜100%、特に好ましくは90%〜100%である。全光線透過率は、市販の分光光度計を用いて、波長400nm以上700nm以下の範囲で測定しうる。
延伸フィルムは、ヘイズが小さいことが好ましい。延伸フィルムのヘイズは、好ましくは1%以下、より好ましくは0.8%以下、特に好ましくは0.5%以下である。ヘイズは、JIS K7361−1997に準拠して、濁度計を用いて測定しうる。
延伸フィルムの厚みは、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上、特に好ましくは20μm以上であり、好ましくは1mm以下、より好ましくは500μm以下、特に好ましくは200μm以下である。
グリッド偏光層は、複数のグリッド線の集合として設けられる層である。グリッド線の延在方向は、延伸フィルムの遅相軸方向に応じて設定することが好ましい。
例えば、延伸フィルムの遅相軸が当該延伸フィルムの長手方向に平行又は直交である場合には、グリッド線の延在方向は、延伸フィルムの長手方向に対して斜めの方向にあることが好ましい。具体的には、グリッド線の延在方向が延伸フィルムの長手方向に対してなす角度が、好ましく40°〜50°、より好ましくは42°〜48°、更に好ましくは44°〜46°である。
また、例えば、延伸フィルムの遅相軸が延伸フィルムの長手方向に対して40°〜50°の角度をなす場合には、グリッド線の延在方向が、延伸フィルムの長手方向に平行又は垂直であることが好ましく、平行であることが特に好ましい。
グリッド線の延在方向を前記のように設定することによって、グリッド偏光層を透過した偏光を、延伸フィルムによって効率良く円偏光に変換できる。また特に、グリッド線の延在方向が延伸フィルムの長手方向に平行又は垂直であると、連続的なグリッド線の形成を容易に行うことができる。
各グリッド線の寸法は、グリッド偏光層が偏光子として機能しうる範囲で、任意に設定しうる。グリッド線のピッチ(図1の符号P)は、グリッド偏光層を偏光子として機能させる光の波長の1/2以下とすることが好ましい。また、グリッド線の幅(図1の符号W)は、細いほど、透過方向の偏光成分の吸収が小さくなり、好ましい。可視光線に用いるグリッド偏光層では、ピッチPが好ましくは50nm〜1000nm、幅Wが好ましくは25nm〜600nm、厚みTが好ましくは10nm〜800nmである。
さらに、円偏光フィルムは、上述した延伸フィルム及びグリッド偏光層に組み合わせて、更に任意の層を含んでいてもよい。例えば、最外層として、グリッド偏光層上に形成されてグリッド偏光層を保護する保護層を含んでいてもよい。
保護層としては、例えば、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースプロピオネート等のセルロースエステル;ポリカーボネート;ポリオレフィン;ポリスチレン;ポリエステル;ウレタンポリマー;アクリルポリマー;等の有機材料;窒化ケイ素、窒化アルミニウム、酸化ケイ素等の無機材料;オルガノアルコキシシラン、無機微粒子分散アクリル等の有機無機複合材料;によって形成しうる。
また、円偏光フィルムは、任意の層として、例えば、フィルムの滑り性をよくするマット層、耐衝撃性ポリメタクリレート樹脂層などのハードコート層、防汚層等を含んでいてもよい。
円偏光フィルム全体の厚みは、好ましくは30μm以下、より好ましくは25μm、特に好ましくは20μm以下である。厚みの下限は任意であるが、通常は10μm以上である。
また、円偏光フィルムは、通常、高い全光線透過率を達成できる。円偏光フィルムの全光線透過率は、好ましくは35%〜50%、より好ましくは40%〜50%、特に好ましくは45%〜50%である。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例に限定されるものでは無く、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、別に断らない限り重量基準である。また、以下に説明する操作は、別に断らない限り、常温常圧大気中において行った。
[実施例1]
145nmの面内レターデーションを有する長尺の延伸フィルム(脂環式構造含有重合体を含む樹脂からなるフィルム。樹脂のガラス転移温度136℃)を用意した。この延伸フィルムは、当該延伸フィルムの長手方向に平行な方向に遅相軸を有していた。
ヒーター、型及び冷却ロールを備える形成装置を用意した。
ヒーターとしては、フィルム搬送路において型の上流2mの位置から型までの範囲に、フィルム搬送方向に15cm間隔で、複数の近赤外ヒーターを設置した。この赤外線ヒーターの出力は、10000J/mに設定した。
また、型としては、エンボスロールを用意した。このエンボスロールは、延伸フィルムの搬送方向に対して45°の方向に延在するピッチ290nm、幅200nm、深さ200nmの凹部を延伸フィルムの表面に形成できるように、この凹部に対応した形状の周面を有していた。
さらに、冷却ロールは、凹部を形成した直後に延伸フィルムの幅方向の全体を冷却できるように、型の直ぐ下流に設けた。また、冷却ロールの温度は20℃に設定した。
前記の形成装置に延伸フィルムを、搬送速度10m/minで連続的に供給した。供給された延伸フィルムは、ヒーターで加熱された後、型で表面を押圧され、その表面に直線状の凹部が形成された。この際、型としてのエンボスロールの回転速度は、延伸フィルムの表面に形成される凹部が、延伸フィルムの長手方向に対して45°の角度をなすように調整した。また、型が延伸フィルムの表面を押圧する線圧は、200KN/mであった。さらに、型が延伸フィルムの表面に接触する保持時間は、1秒であった。また、型の温度は、220℃であった。その後、延伸フィルムは、直ぐに冷却ロールで冷却されて、形を保持された。凹部を形成された延伸フィルムの面内レターデーションは142nmであった。
銀ナノ粒子15重量%、溶媒としての水80重量%、及び、バインダー5重量%を含む液状組成物を用意した。銀ナノ粒子の粒子径は10nmであった。凹部を形成された前記の延伸フィルムの表面に、液状組成物を塗工した。その後、リバースロールコータにて、延伸フィルムの表面の凹部に充填された以外の余分な液状組成物をかきとった。
液状組成物を乾燥させた後、100℃、5分で銀焼成処理を行って、凹部のみに銀線からなるグリッド線を形成した。これにより、延伸フィルムとグリッド線を有するグリッド偏光層とを含む円偏光フィルムを得た。グリッド偏光層において、グリッド線のピッチは290nm、幅は200nm、厚みは200nmであった。
この円偏光フィルムの円偏光度を、楕円偏光測定装置(王子計測機器社製「KOBRA−WPR」)を用いて、波長590nmにて測定すると、90%以上であった。
100 円偏光フィルム
110 延伸フィルム
110U 延伸フィルムの表面
111 凹部
120 グリッド偏光層
121 グリッド線
200 凹部の形成装置
210 ヒーター
220 型

Claims (7)

  1. 延伸フィルムと、前記延伸フィルムの表面に形成され、互いに平行に設けられた複数のグリッド線を有するグリッド偏光層とを含む円偏光フィルムの製造方法であって、
    前記延伸フィルムの表面に凹部を形成する工程と、
    前記凹部に前記グリッド線を形成する工程と、を含む、円偏光フィルムの製造方法。
  2. 前記凹部の形成が、ナノインプリント法により行われる、請求項1記載の円偏光フィルムの製造方法。
  3. 前記ナノインプリント法が、前記凹部に対応した形状の周面を有するエンボスロールを用いて、前記周面の形状を前記延伸フィルムの表面に転写することを含む、請求項2記載の円偏光フィルムの製造方法。
  4. 前記エンボスロールを用いた転写の際、前記エンボスロールが前記延伸フィルムの表面に接触する保持時間が、10秒以下である、請求項3記載の円偏光フィルムの製造方法。
  5. 前記エンボスロールを用いた転写の際、前記エンボスロールが前記延伸フィルムに接触する線圧が、500KN/m以下である、請求項3又は4記載の円偏光フィルムの製造方法。
  6. 前記凹部を形成される前の前記延伸フィルムの面内レターデーションと、前記凹部を形成された後の前記延伸フィルムの面内レターデーションとの差が、5nm以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の円偏光フィルムの製造方法。
  7. 前記延伸フィルムが、脂環式構造含有重合体を含む樹脂からなる、請求項1記載の円偏光フィルムの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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