JP2018159548A - 摺動部品及びそれを備えた時計 - Google Patents
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Abstract
【課題】摺動面上にある異物が外部へ排出されるのを防ぎ、組み込まれる装置の性能や美観等を損なうことのない摺動部品及びそれを備えた時計を提供すること。【解決手段】摺動部品10は、回転軸22を有する摺動部材20と、回転軸22が挿通される穴32を有する摺動部材30とを有し、摺動部材20と摺動部材30が相対的に摺動可能に組み合わされて構成されている。摺動部材20の摺動面23には溝部21が形成されており、摺動部材30の摺動面33には溝部31が形成されている。そして、溝部21及び31は、摺動部材20,30の摺動に伴い、その少なくとも一部が断続的に重なるように形成されており、摺動部品10を組み立てる際に入り込んだ塵埃や、摺動部材20,30の摺動に伴って摺動面23,33上に生じた磨耗粉などの異物が収納されるようになっている。【選択図】図1
Description
本発明は、歯車や軸受等に用いられ、相対的に摺動可能に組み合わされた部材で構成された摺動部品及びそれを備えた時計に関する。
従来、歯車、軸受、クラッチ、ワッシャーなどで用いられ、相対的に摺動可能に組み合わされた部材で構成された摺動部品においては、組み立て時に入り込んだ塵埃や、摺動により摺動面に発生した磨耗粉などの異物によって、摩擦力が変化して本来の性能を損なってしまうという問題があった。また、摩耗粉の場合は硬いため、摺動面に異常な摩耗(三元アブレシブ摩耗)が発生してしまうという問題もあった。
例えば、摺動面から磨耗粉を取り除くためのものとして、摺動面上に溝を設け、その溝を摺動面の外周面から露出させることにより、遠心力で磨耗粉を溝から外方に排出させるようにしたものが知られている(下記特許文献1参照)。
しかし、精密機械や医療用・食品用機器などにおいては、性能面、美観面、衛生面などの理由により、摺動部品の外部へ異物が排出されるのを防ぐ必要がある。
特許文献1では、この摺動部品外部への異物排出防止対策として、摺動面に磨耗粉をトラップする凹部を形成し、この凹部に磨耗粉を閉じ込めることで、外部空間に磨耗粉が飛翔するのを防止している。
しかしながら、上記特許文献1に記載のものでは、凹部に収容された摩耗粉(異物)が、摺動部品の回転に伴って凹部内壁の縁に押されて凹部内の局所に堆積し、その後も継続して縁に押し付けられる力を受けるため、磨耗粉が凹部から溢れ出し、摺動面に再び侵入する虞がある。
本発明は、摺動面上にある異物が外部へ排出されるのを防ぎ、組み込まれる装置の性能や美観等を損なうことのない摺動部品を提供することを目的とする。
本発明は、相対的に摺動可能に組み合わされた第1及び第2摺動部材を有する摺動部品において、第1及び第2摺動部材の各摺動面には、該摺動面上の異物が収納される第1及び第2溝部がそれぞれ形成され、第1及び第2溝部は、第1及び第2摺動部材が組み合わされた状態で外側に開口せず、摺動に伴い少なくとも一部が断続的に重なるように形成されていることを特徴とするものである。
この場合、第1溝部上の任意の第1の点における第1溝部の延在方向と第1摺動部材の摺動方向とのなす鋭角と、第1の点の摺動軌道と一致する摺動軌道を描く第2溝部上の第2の点における第2溝部の延在方向と第2摺動部材の摺動方向とのなす鋭角とは、第1及び第2の点のそれぞれの摺動方向に対して左右同じ側に位置していることが好ましい。
また、第1及び第2摺動部品の摺動面の少なくとも一方には、溝部から流入した異物が収容される収容部が形成されていることが好ましい。
第1及び第2摺動部品は円軌道で摺動し、第1及び第2溝部は直線形状であると共にその延在方向は円軌道の中心と交わらないことが好ましい。
この場合、収容部は、摺動する円軌道と同軸の円環状に形成され、溝部の一部が当該収容部と接続されていることが好ましい。
さらに、第1及び第2溝部の延在方向の端部の摺動軌道は互いに一致していることが好ましい。
またさらに、第1及び第2溝部の少なくとも一方は、前記摺動面の外縁よりも内側に形成されていることが好ましい。
第1溝部の端部は、第1摺動部材の外側へ開放されていると共に、第2摺動部材によって覆われていてもよい。
本発明の時計は、上記いずれかの摺動部品を備えることを特徴とするものである。
この場合、第1及び第2摺動部材は、上記時計のムーブメント内の輪列機構に組み込まれた歯車であってもよい。
本発明によれば、摺接する2つの摺動部材の各々に溝部が形成されていることにより、摺動部材の摺動に伴い溝部が重なる度に摺動面上の異物が溝部間を移動する。これにより、異物が、溝部の中の局所へ集中することがないため溝部外へ溢れ出すことがなく、摺動部品外へ排出してしまうことが抑止される。このため、組み込まれる装置の性能や美観等を損なうことが防止できる。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において、同一又は相当要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る摺動部品を示す斜視図であり、図2は、図1のII−II線断面図である。
本実施形態に係る摺動部品10は、図1に示すように外周部に歯11が形成された円盤状の歯車体となっており、時計のムーブメント内の輪列機構に組み込まれるものである。
摺動部品10は、図2に示すように、回転軸22を有する摺動部材20と、回転軸22が挿通される穴32を有する摺動部材30と、バネ40とを有している。そして、摺動部材20の回転軸22が摺動部材30の穴32に挿通され、バネ40によって摺動部材20が摺動部材30に押さえ付けられていることで、摺動部材20と摺動部材30が相対的に摺動可能に組み合わされている。
この摺動部品10の摺動部材20、30は、バネ40により摺動面に垂直応力が与えられることにより摺動面に所定の摩擦力が発生し、この摩擦力によって一体的な回転と独立した回転が可能となっている。このような摺動部品10は、例えば、時計の通常運針時には一体となって回転し、時刻修正をするときには相対的に摺動するものとして適用される。
図3は、摺動部材20の摺動面側を示す図であり、図4は、摺動部材30の摺動面とは反対側を示す図である。なお、図3〜6についての説明は、図2の右側面(矢印Kの方向)から見たときの説明となっている。
図3、4に示すように、摺動部材20、30はそれぞれR1、R2方向に相対的に回転する。摺動部材20、30は、例えば時刻修正時の場合には、摺動部材20、30の一方が停止ないし香箱からのトルクによる回転を行い、他方がりゅうずから伝わる手回しによる回転を行うことによって、互いの回転速度が異なることとなり、摺動部材20、30が摺動するようになっている。ただし、R1、R2方向は一例であり、この方向に摺動方向が限定されるものではない。例えば、時刻修正をする際、表示時刻の進みと遅れの場合で摺動方向は異なる。
摺動部材20の摺動面23には溝部21が形成されており、摺動部材30の摺動面33には溝部31が形成されている。そして、溝部21及び31には、摺動部品10を組み立てる際に入り込んだ塵埃や、摺動部材20、30の摺動に伴って摺動面23、33上に生じた磨耗粉などの異物が収納されるようになっている。
また、溝部21、31は、摺動面23、33の外縁よりもそれぞれ内側に形成されており、摺動部材20、30が組み合わされた状態においては、図1、2に示すように外側に露出しないように形成されている。
そして、溝部21、31は、摺動部材20、30の摺動に伴い、その少なくとも一部が重なるように形成されている。なお、摺動部材20、30の摺動が連続して行われる場合には、溝部21、31は断続的に重なることとなる。
ここで、図3、4に示すように、溝部21上の点Q1における溝部21の延在方向E1と摺動部材20の摺動方向S1とのなす鋭角θ1と、点Q1の摺動軌道と一致する摺動軌道を描く溝部31上の点Q2における溝部31の延在方向E2と摺動部材30の摺動方向S2とのなす鋭角θ2とは、点Q1、Q2のそれぞれの摺動方向S1、S2に対して左右同じ側に位置している。本実施形態の場合は、それぞれの摺動方向に対し、左側に鋭角が存在している。
また、摺動部品10は円軌道で摺動しているが、溝部21、31が直線形状であると共にその延在方向は摺動部品10の円軌道の中心Cと交わらないようになっている。
さらに、溝部21の描くドーナツ型軌跡の最外円を描く点21aは、溝部31の描くドーナツ型軌跡の最外円を描く点31aと摺動軌道が一致しており、溝部21の描くドーナツ型軌跡の最内円を描く点21bは、溝部31の描くドーナツ型軌跡の最内円を描く点31bと摺動軌道が一致している。
溝部21、31がこのような構造となっていることにより、摺動部材20、30の摺動に伴って重なり合った際に、一方の溝部から他方の溝部へと異物が移動できるようになっている。
なお、溝部の延在方向は、図2、3では溝部の長手方向を指しているが、溝部が直線形状でない場合では、点Qにおける溝部の接線方向を指す。
以下、摺動部材間に存在する異物の移動過程について具体的に説明する。
図5は、摺動部材20の摺動面23上の異物24、及び溝21に収納された異物24の移動の流れを示す図であり、図6は、摺動部材30の溝部31内の異物の移動の流れを示す図である。
まず、図5(a)に示すように、摺動部材20の摺動面23上の異物24は、摺動部材20の矢印R1方向の回転に伴い、矢印Aに沿って移動し溝部21内に収納される。そして、溝部21内に収納された異物24は、摺動部材20の回転により、矢印Bの方向に移動し、溝部21の回転方向R1と逆側に位置する壁部W1側へと移動する。
次に、図5(b)に示すように、溝部21内の異物24には、摺動部材20のR1方向への回転により、壁部W1に押し付けられながら摺動面23の外縁方向(矢印Dの方向)へと移動するような力が作用される。
そして、摺動部材20のR1方向への更なる回転により、図4(c)に示すように、溝部21の外端領域25に異物24が集積される。
ここで、摺動部材20、30のいずれにも溝部が形成されていることにより、溝部21、31は、摺動部材20、30の摺動に伴って、図1に示すように、その少なくとも一部が断続的に重なるようになっている。
また、溝部21、31の摺動軌跡はドーナツ型となり、その最外円と最内円は互いに一致している。つまり、溝部21、31の延在方向の端部の摺動軌道が互いに一致しているため、溝部21の外端領域25に集積された異物24は、溝部21、31が重なった際に、図6(a)に示すように、溝部31の外端領域35へと移動できるようになっている。
そして、溝部21には、図5(a)に示すように、摺動面23上の異物24が次々と入り込んでくるため、溝部21の外端領域35には、異物24が徐々に蓄積されていくことになる。しかし、上述のように溝部21と溝部31との間で異物24の受け渡しがされるため、異物24が外端領域25に集積することで最外部の異物24が受ける圧力が増大して溝部21から溢れ出してしまうという事態が防止される。
一方、溝部31の外端領域35に移動した異物24は、図6(b)に示すように、摺動
部材30におけるR1に対する相対的なR2方向の回転により、矢印Fの方向に移動するような力が作用され、溝部31におけるR2方向と逆側に位置する壁部W2側へと移動する。さらに、摺動部材30のR2方向への回転により、異物24は、壁部W2に押し付けられながら摺動面33の内部方向(矢印Fの方向)へと移動するような力が作用される。
部材30におけるR1に対する相対的なR2方向の回転により、矢印Fの方向に移動するような力が作用され、溝部31におけるR2方向と逆側に位置する壁部W2側へと移動する。さらに、摺動部材30のR2方向への回転により、異物24は、壁部W2に押し付けられながら摺動面33の内部方向(矢印Fの方向)へと移動するような力が作用される。
そして、摺動部材30のR2方向への更なる回転により、図6(c)に示すように、溝部31の内端領域36に異物24が集積される。
溝部31の内端領域36に集積された異物24は、溝部21の外端領域25に集積されたときと同様に、摺動部材20、30の摺動に伴い溝部21、31が重なった際に、図5(c)に示す溝部21の内端領域26に移動する。
なお、摺動部材30においても摺動面上に異物が発生するが、摺動部材20の場合と同様に、異物は摺動面33から溝部31内に収納された後、溝部31内で上述のように移動して外端領域36に集積され、その後溝部21へと移動する。
このようにして、異物24は、溝部21及び溝部31の間の移動を繰り返すため、一方の溝部の端部に過剰に集積され続けることで、溝部から摺動面へ溢れ出される可能性が低減される。したがって、摺動部品10の外へ異物24が排出されてしまうことを抑止でき、摺動部品10が組み込まれる時計の性能や美観等を損なうことが防止される。
また、時計等の精密機械は、定期的なオーバーホールが必要であり、その際、分解し点検と清掃が行われるが、本実施形態に係る摺動部品10によれば、異物が機械内に溢れてしまう可能性が低いため、点検や清掃作業がしやすくなる。
図7は、本発明の第2実施形態に係る摺動部品を示す斜視図であり、図8は、図7のVIII
−VIII線断面図である。
−VIII線断面図である。
図7に示すように、本実施形態に係る摺動部品50は、図1に示す摺動部品10と同様、外周部に歯51が形成された円盤状の歯車体となっており、第1実施形態と同様に時計のムーブメント内の輪列機構に組み込まれるものである。
摺動部品50は、図8に示すように、回転軸62、収容部67を有する摺動部材60、摺動部材30、及びバネ40を有している。そして、摺動部材60の回転軸62が摺動部材30の穴32に挿通され、バネ40によって摺動部材60が摺動部材30に押さえ付けられていることで、摺動部材60と摺動部材30が相対的に摺動可能に組み合わされている。
この摺動部品50の摺動部材60、30は、バネ40により摺動面に垂直応力が与えられることにより摺動面に所定の摩擦力が発生し、この摩擦力によって一体的な回転と独立した回転が可能となっている。このような摺動部品50は、摺動部品10と同様に、時計の通常運針時には一体となって回転し、時刻修正をするときには相対的に摺動するものとして適用される。
図7、8に示すように、摺動部材60、30には、溝部61、31がそれぞれ設けられている。この溝部61、31は、第1実施形態の溝部21、31と同様の作用・効果を奏し、摺動面上に存在する異物を回収・流動させ、異常な摩耗や摩擦力の低下、摺動部品50外への異物の流出を防ぐようになっている。
本実施形態に係る摺動部品50は、図7、8に示すように、摺動部材60に収容部67が設けられている点が特徴となっており、この点で第1実施形態に係る摺動部品10の構成と異なっている。
図7、8に示すように、収容部67は、摺動軌道円と同心円で凹状に形成され、溝部61、31の一部と接続されている。溝部61は、その一部が収容部67に接続されている分、溝部31よりも短尺となっており、溝部61の回転軸62側は収容部67に開口した状態で接続されている。また、溝部31は、回転軸62側の一部が収容部67と重なるようになっており、この重なる部分において収容部67と接続されている。
このような収容部67及び溝部61、31の構成により、溝部61、31に収納された異物は、摺動部材60、30の相対回転に伴って、溝部61、31内を回転軸62に向かって移動した後、収容部67内へ収容されるようになっている。
ここで、溝部61、31を流動している異物24は、常に溝の縁から力を受けているので、微細化や硬化等の変質を起こして摺動面へ食い込み、摺動領域へ再侵入する虞がある。しかし、本実施形態の摺動部品50によれば、収容部67に収容された異物24は、摺動部材50の摺動による上述のような力を受けないため変質を起すことがなく、異物24が摺動領域へ再侵入することが防止される。
なお、収容部67は、溝部61、31の少なくとも一方に接続されていればよく、また、本実施形態のような円環状に限らず、矩形状であったり、複数個に分散して配置されていてもよい。
図9は、本発明の第3実施形態に係る摺動部品を示す斜視図であり、図10は、図9のX−X線断面図である。
本実施形態に係る摺動部品70は、例えば、同軸で回転を伝達するクラッチ機構に組み込まれるものである。
摺動部品70は、図9、10に示すように、回転軸82を有する摺動部材80と、前記回転軸82と同軸の回転軸92を有する摺動部材90とを有しており、一方の回転が他方へ伝達されるようになっている。摺動部材80の外端部83は、摺動部材90の外端部分93によって覆われている。
このような摺動部品70の摺動部材80、90は、図示しない外部手段により摺動面に垂直応力が与えられ、摺動面に所定の摩擦力が発生し、この摩擦力によって一体的な回転と独立した回転が可能となっている。例えば、時計のクロノグラフ機構において、クロノグラフ機構が起動していないときは一方が固定されて摺動し、クロノグラフ機構が起動したときは一体となって回転するものとして適用される。
摺動部材80、90には、溝部81、91がそれぞれ設けられている。溝部81、91は、第1実施形態の溝部21、31と同様の作用・効果を奏し、摺動面上に存在する異物を回収・流動させ、異常な摩耗や摩擦力の変動、摺動部品70外への異物の流出を防ぐことができる。
本実施形態においては、摺動部材80の溝部81は、摺動部材80の外側に開口し、図9に示すように摺動部材80の外端部83に接続されている。しかしながら、摺動部材90が外端部分93によって摺動部材80の外周を覆うように形成されているため、溝部81が摺動部品70の外側には開放されていない。このため、溝部81、91に収められた
異物は、摺動部品70の摺動によって溝部81、91内を流動しても、摺動部品70より排出されることはない。これにより、摺動部品70の外へ異物24が排出してしまうことが防止される。
異物は、摺動部品70の摺動によって溝部81、91内を流動しても、摺動部品70より排出されることはない。これにより、摺動部品70の外へ異物24が排出してしまうことが防止される。
なお、図9、10では、溝部91が外端部分93まで形成されているが、第1実施形態に係る溝部21、31のように、外端部分93の内側に形成されていてもよい。
このように、溝部が摺動部品の外側に開放されていない構造となっていれば、本実施形態のようなクラッチ機構に限らず、様々な摺動部品に適用可能である。
図11は、本発明に係る摺動部品の溝部の変形例を示す図である。図11に示す摺動部材100では、溝部101が、摺動部材100の外周側から徐々に屈曲した曲線形状に形成されており、さらに、回転軸102に近づくほど溝の曲率が大きくなっている。
ここで、物理学においては、ある角速度(ω)の円運動において、その曲率半径(r)が大きいほど、速度(v=rω)が大きくなることが知られている。そのため、異物が溝部内を流動する速度は、円軌道の半径の違いによって異なり、速度が速い外周側では異物が素早く移動するが、速度が遅い回転軸側では異物が停滞してしまうことになるため、異物が溝部内で偏在してしまう虞がある。その結果、異物の密度が高い所では、異物が摺動面に再侵入する可能性が高くなってしまう。
しかし、本変形例の摺動部材100では、溝部101が、上述したように摺動部材100の外周側から徐々に屈曲した曲線形状となっているため、回転軸102に近付くほど、溝部101内における異物の流動速度の減少率が小さくなる。したがって、溝部101内の異物の流動速度の差が小さくなり、溝部101内に異物を偏在しにくくすることができる。
図12は、本発明に係る摺動部品の溝部の他の変形例を示す図である。図12に示す摺動部材201では、第1実施形態に係る溝部21が3つ形成されている。このように、溝部を複数設けることによって、摺動部品の材料や組み立てる環境によって多くの異物が摺動面上に発生することが考えられる場合や、溝部の存在によって摺動面上の摩耗に偏りができる可能性がある場合などでも、異物の収容性や摺動面の経時変化特性を向上させることができる。
以上説明した実施形態に示した具体的な構成は例示として示したものであり、本明細書にて開示される発明をこれら具体例の構成そのものに限定するものではない。
例えば、上記実施形態では、円軌道で摺動する摺動部品を示しているが、これに限られるものではなく、直線状に往復運動する摺動部品にも適用可能である。
10、50、70 摺動部品
20、30、60、80、90、100、201 摺動部材
40 バネ
11、51 歯
21、31、61、81、91、101 溝部
22、62、82、92、102 回転軸
23、33 摺動面
24 異物
25、35 外端領域
26、36 内端領域
67 収容部
K 観察方向
C 中心
R1、R2 回転方向
E1、E2 延在方向
S1、S2 摺動方向
θ1、θ2 なす鋭角
W1、W2 壁部
20、30、60、80、90、100、201 摺動部材
40 バネ
11、51 歯
21、31、61、81、91、101 溝部
22、62、82、92、102 回転軸
23、33 摺動面
24 異物
25、35 外端領域
26、36 内端領域
67 収容部
K 観察方向
C 中心
R1、R2 回転方向
E1、E2 延在方向
S1、S2 摺動方向
θ1、θ2 なす鋭角
W1、W2 壁部
Claims (10)
- 相対的に摺動可能に組み合わされた第1及び第2摺動部材を有する摺動部品において、
前記第1及び第2摺動部材の各摺動面には、該摺動面上の異物が収納される第1及び第2溝部がそれぞれ形成され、
前記第1及び第2溝部は、前記第1及び第2摺動部材が組み合わされた状態で外側に開口せず、前記摺動に伴い少なくとも一部が断続的に重なるように形成されていることを特徴とする摺動部品。 - 前記第1溝部上の任意の第1の点における前記第1溝部の延在方向と前記第1摺動部材の摺動方向とのなす鋭角と、
前記第1の点の摺動軌道と一致する摺動軌道を描く前記第2溝部上の第2の点における前記第2溝部の延在方向と前記第2摺動部材の摺動方向とのなす鋭角とは、
前記第1及び第2の点のそれぞれの摺動方向に対して左右同じ側に位置していることを特徴とする請求項1に記載の摺動部品。 - 前記第1及び第2摺動部品の前記摺動面の少なくとも一方には、前記溝部から流入した前記異物が収容される収容部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の摺動部品。
- 前記第1及び第2摺動部品は円軌道で摺動し、前記第1及び第2溝部は直線形状であると共にその延在方向は前記円軌道の中心と交わらないことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の摺動部品。
- 前記収容部は、前記円軌道と同軸の円環状に形成され、前記溝部の一部が当該収容部と接続されていることを特徴とする請求項4に記載の摺動部品。
- 前記第1及び第2溝部の延在方向の端部の摺動軌道は互いに一致していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の摺動部品。
- 前記第1及び第2溝部の少なくとも一方は、前記摺動面の外縁よりも内側に形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の摺動部品。
- 前記第1溝部の端部は、前記第1摺動部材の外側へ開放されていると共に、前記第2摺動部材によって覆われていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の摺動部品。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載の摺動部品を備えることを特徴とする時計。
- 前記第1及び第2摺動部材は、時計ムーブメント内の輪列機構に組み込まれた歯車であることを特徴とする請求項9記載の時計。
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