JP2018158985A - 複合樹脂粒子及び複合樹脂発泡粒子 - Google Patents

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Abstract

【課題】圧縮剛性及びたわみ耐性に優れ、変形による破壊を防止できる発泡複合樹脂成形体を得ることができる複合樹脂粒子、及び複合樹脂発泡粒子を提供する。【解決手段】エチレン系樹脂にスチレン系単量体を含浸重合してなる複合樹脂粒子である。また、複合樹脂を基材樹脂とする複合樹脂発泡粒子である。エチレン系樹脂100質量部に対するスチレン系単量体由来の成分の含有割合が400質量部を超え1900質量部以下である。複合樹脂粒子の平均アスペクト比が1.30以下である。複合樹脂粒子の63%体積平均粒子径d63、90%体積平均粒子径d90、及び10%体積平均粒子径d10が下記式I及び式IIを満足する。0.8mm≦d63≦1.6mm ・・・ 式I(d90−d10)/d63<0.40 ・・・ 式II【選択図】なし

Description

本発明は、エチレン系樹脂を含む粒子にスチレン系単量体を含浸重合してなる、エチレン系樹脂とスチレン系樹脂との複合樹脂粒子、複合樹脂を基材樹脂とする複合樹脂発泡粒子に関する。
発泡粒子成形体は、緩衝性、軽量性、防振性、防音性、断熱性等に優れるという特性を生かして、包装材料、建築材料、車輌用部材等の幅広い用途に利用されている。発泡粒子成形体は、複数の発泡粒子を成形型内で相互に融着させることにより得られる。また、発泡粒子は、プロパン、ブタン、ペンタン等の有機系物理発泡剤または二酸化炭素、窒素、空気等の無機系物理発泡剤を樹脂粒子に含浸させた樹脂粒子を加熱等により発泡させることにより得られる。発泡粒子成形体を構成する樹脂成分としては、スチレン系樹脂、プロピレン系樹脂、エチレン系樹脂等が主に用いられている。
特に、液晶パネル、太陽光発電パネルなどの板状製品に用いられる梱包容器には、押し傷や擦れによる摩耗、割れ、欠けが発生せず、複数回の使用が可能であるなどの理由から、プロピレン系樹脂からなる発泡粒子成形体が使用されていた。ところが、近年のパネルサイズの拡大に伴う梱包重量の増大によって、プロピレン系樹脂からなる発泡粒子成形体を梱包容器として用いた場合には、梱包状態でのたわみ量が増大するという問題が生じた。梱包時のたわみ量が大きいと、搬送機などで梱包状態の容器の両端を支持して持ち上げた際に脱落する虞や、たわみによって液晶パネルが破損してしまう虞がある。
これに対して、エチレン系樹脂とスチレン系樹脂との複合樹脂からなる発泡粒子成形体が注目されている(特許文献1〜3参照)。このような複合樹脂からなる発泡粒子成形体は、例えば、エチレン系樹脂を含有する核粒子にスチレン系単量体を含浸、重合させることによって得られる複合樹脂粒子を、上述のように発泡させ、相互に融着させることによって製造される。このようにして得られる発泡粒子成形体においては、複合樹脂中のスチレン系樹脂成分の割合を高めることにより、剛性を向上させることが可能になる。その結果、発泡粒子成形体のたわみ量を小さくしてたわみ耐性を向上させることが可能になる。したがって、発泡粒子成形体を梱包容器に適用した場合における上述の搬送時の問題を回避することができる。
特開2014−196441号公報 特開2014−196444号公報 特許第5058866号公報
しかし、複合樹脂からなる発泡粒子成形体は、プロピレン系樹脂からなる発泡粒子成形体に比べて曲げ破断エネルギーが小さい。特に、発泡粒子成形体の剛性を高めるために、複合樹脂中のスチレン系樹脂成分の割合を高めると、発泡粒子同士が強固に融着していても成形体の粘り強さが不足するおそれがある。その結果、急激な荷重変化によって発泡粒子成形体に割れが発生するおそれがある。特に、発泡粒子成形体を例えば梱包容器に用いた場合には、梱包状態の成形体を積み重ねたり、移動させたりすることがあり、その際に成形体に急激な荷重変化が発生し易くなる。その結果、成形体に割れが発生するという上述の問題が顕著になるおそれがある。
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、圧縮剛性及びたわみ耐性に優れ、変形による破壊を防止できる発泡複合樹脂成形体を得ることができる複合樹脂粒子、及び複合樹脂発泡粒子を提供しようとするものである。
本発明の一態様は、エチレン系樹脂を含む粒子にスチレン系単量体を含浸重合してなる複合樹脂粒子であって、
上記エチレン系樹脂100質量部に対する上記スチレン系単量体由来の成分の含有割合が400質量部を超え1900質量部以下であり、
上記複合樹脂粒子の平均アスペクト比が1.30以下であり、
上記複合樹脂粒子の63%体積平均粒子径d63、90%体積平均粒子径d90、及び10%体積平均粒子径d10が下記の式I及び式IIの関係を満足する、複合樹脂粒子にある。
0.8mm≦d63≦1.6mm ・・・ 式I
(d90−d10)/d63<0.40 ・・・ 式II
本発明の他の態様は、エチレン系樹脂にスチレン系単量体を含浸重合してなる複合樹脂を基材樹脂とする複合樹脂発泡粒子であって、
上記エチレン系樹脂100質量部に対する上記スチレン系単量体由来の成分の含有割合が400質量部を超え1900質量部以下であり、
上記複合樹脂発泡粒子の平均アスペクト比が1.30以下であり、
上記複合樹脂発泡粒子の見掛け密度Da、63%体積平均粒子径d63、90%体積平均粒子径d90、及び10%体積平均粒子径d10が下記の式III〜式Vの関係を満足する、複合樹脂発泡粒子にある。
20kg/m3≦Da≦200kg/m3 ・・・式III
0.8mm≦(Da/1000)1/3×d63≦1.6mm ・・・式IV
(d90−d10)/d63<0.50 ・・・式V
上記複合樹脂粒子は、上記のように、スチレン系単量体由来の成分の含有割合が高い複合樹脂からなるにも関わらず、平均アスペクト比が小さく、式Iに示すように63%体積平均粒子径が所定の小さい範囲に調整されている。さらに、式IIを満足しており、複合樹脂粒子の平均粒子径の分散度が小さい。そのため、複合樹脂粒子を発泡させた複合樹脂発泡粒子は、圧縮剛性及びたわみ耐性に優れ、変形による破壊を防止できる発泡複合樹脂成形体を得ることを可能にする。
上記複合樹脂発泡粒子は、上記のように、スチレン系単量体由来の成分の含有割合が高い複合樹脂を基材樹脂とするにも関わらず、平均アスペクト比が小さく、式IIIに示すように、見掛け密度が所定の範囲に調整されている。さらに、複合樹脂発泡粒子は、式VIを満足しているため平均粒子径が小さく、式Vを満足しており、複合樹脂粒子の平均粒子径の分散度が小さい。そのため、複合樹脂発泡粒子は、圧縮剛性及びたわみ耐性に優れ、変形による破壊を防止できる発泡複合樹脂成形体を得ることを可能にする。
以上のように、上記態様によれば、圧縮剛性及びたわみ耐性に優れ、変形による破壊を防止できる発泡複合樹脂成形体を得ることができる複合樹脂粒子、及び複合樹脂発泡粒子を提供することができる。
実施例における、複合樹脂粒子の形状を示す説明図。 実施例における、複合樹脂粒子の造粒装置を示す説明図。
次に、上記複合樹脂粒子及び複合樹脂発泡粒子の好ましい実施形態について説明する。複合樹脂粒子は、物理発泡剤を含浸させ、発泡させることにより、複合樹脂発泡粒子(以下、「発泡粒子」という)を製造するために用いることができる。物理発泡剤としては、二酸化炭素などの無機系物理発泡剤を用いてもよいし、炭化水素などの有機系物理発泡剤を用いてもよい。また、発泡により得られた発泡粒子を型内成形することにより、発泡粒子が相互に融着した成形体(すなわち、発泡複合樹脂成形体)を製造することができる。
[複合樹脂粒子]
複合樹脂粒子は、エチレン系樹脂にスチレン系単量体を含浸重合してなり、エチレン系樹脂とスチレン系樹脂との複合樹脂を含有する。本明細書において、複合樹脂は、上述のようにエチレン系樹脂にスチレン系単量体等が含浸、重合された樹脂であり、エチレン系樹脂由来の成分と、スチレン系単量体由来の成分とを含有する樹脂である。
通常、スチレン系単量体由来の成分の主成分は、スチレン系単量体が重合してなるスチレン系樹脂である。また、スチレン系単量体の重合時には、スチレン系単量体同士の重合だけでなく、エチレン系樹脂を構成するポリマー鎖にスチレン系単量体のグラフト重合が起こる。この場合、複合樹脂は、エチレン系樹脂成分と、スチレン系単量体が重合してなるスチレン系樹脂成分とを含有するだけでなく、さらにスチレン系単量体がグラフト重合したエチレン系樹脂成分(すなわち、PE−g−PS成分)を含有する。また、スチレン系単量体の重合時には、エチレン系樹脂の架橋が起こる場合があり、この場合には、複合樹脂は、エチレン系樹脂成分として、架橋していないエチレン系樹脂と架橋したエチレン系樹脂を含む。したがって、複合樹脂は重合済みのエチレン系樹脂と重合済みのスチレン系樹脂とを溶融混練してなる混合樹脂とは異なる概念である。
複合樹脂粒子において、エチレン系樹脂100質量部に対するスチレン系単量体由来の成分の含有割合は400質量部を超える。スチレン系単量体由来の成分の含有割合が400質量部以下の場合には、複合樹脂粒子を用いて得られる発泡複合樹脂成形体の剛性が低下し、たわみ耐性が不十分になるおそれがある。剛性をより向上させ、たわみ耐性をより向上させるという観点から、スチレン系単量体由来の成分の含有量は、450質量部以上であることが好ましく、500質量部以上であることがより好ましい。
また、エチレン系樹脂100質量部に対するスチレン系単量体由来の成分の含有量は、1900質量部以下である。スチレン系単量体由来の成分の含有量が1900質量部を超える場合には、複合樹脂粒子を用いて得られる発泡複合樹脂成形体が割れやすく、脆くなるおそれがある。発泡複合樹脂成形体の割れをより一層防止するという観点から、スチレン系単量体の配合量は、1500質量部以下であることが好ましく、900質量部以下であることがより好ましく、600質量部以下であることがさらに好ましい。
エチレン系樹脂としては、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン、分岐状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸アルキルエステル共重合体、エチレン−メタクリル酸アルキルエステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等を用いることができる。エチレン系樹脂としては、1種の重合体でもよいが、2種以上の重合体の混合物を用いることもできる。
エチレン系樹脂は、直鎖状低密度ポリエチレンを主成分とすることが好ましい。より具体的には、エチレン系樹脂中の直鎖状低密度ポリエチレンの含有量は、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。直鎖状低密度ポリエチレンは、直鎖のポリエチレン鎖と炭素数2〜6の短鎖状の分岐鎖とを有する分岐構造を有することが好ましい。具体的には、例えばエチレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン−オクテン共重合体等が挙げられる。
特に、エチレン系樹脂は、メタロセン系重合触媒を用いて重合してなる直鎖状低密度ポリエチレンであることが好ましい。この場合には、複合樹脂粒子中のエチレン系樹脂成分と、スチレン系単量体が重合してなるスチレン系樹脂成分との親和性がより向上し、より靱性の高い複合樹脂粒子を得ることができる。また、低分子量成分をより少なくし、成形時の発泡粒子間の融着強度をより高めることができるため、より一層割れの発生しにくい発泡複合樹脂成形体を製造することが可能になる。さらに、スチレン系樹脂の優れた剛性とエチレン系樹脂の優れた粘り強さとをより高いレベルで兼ね備えた発泡複合樹脂成形体を得ることが可能になる。
また、エチレン系樹脂の融点Tmは90〜105℃であることが好ましい。この場合には、複合樹脂粒子の製造時にエチレン系樹脂にスチレン系単量体を充分に含浸させることができるため、重合時に懸濁系が不安定化することを防止することができる。その結果、スチレン系樹脂の優れた剛性とエチレン系樹脂の優れた粘り強さとをより高いレベルで兼ね備えた発泡複合樹脂成形体を得ることが可能になる。同様の観点から、エチレン系樹脂の融点Tmは95〜105℃であることがより好ましく、100〜105℃であることがさらに好ましい。なお、融点Tmは、JIS K7121(1987年)に基づいて、示差走査熱量測定(DSC)にて融解ピーク温度として測定することができる。試験片の状態調節として、「(2)一定の熱処理を行なった後、融解温度を採用する場合」を採用し、加熱温度、冷却温度は共に10℃/分とする。
スチレン系単量体は、スチレンだけでなく、スチレンと共重合可能なモノマーを含むことができる。スチレンと共重合可能なモノマーとしては、例えばスチレン誘導体、その他のビニルモノマー等が挙げられる。スチレン誘導体としては、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、2,4,6−トリブロモスチレン、ジビニルベンゼン、スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。これらは、単独でも2種類以上を混合したものを用いても良い。
また、その他のビニルモノマーとしては、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリル酸、メタクリル酸、水酸基を含有するビニル化合物、ニトリル基を含有するビニル化合物、有機酸ビニル化合物、オレフィン化合物、ジエン化合物、ハロゲン化ビニル化合物、ハロゲン化ビニリデン化合物、マレイミド化合物などが挙げられる。これらのビニルモノマーは、単独でも2種類以上を混合したものを用いても良い。
アクリル酸エステルとしては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等がある。メタクリル酸エステルとしては、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等がある。
水酸基を含有するビニル化合物としては、例えば水酸基を含有するビニル化合物としては、例えばアクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル等がある。ニトリル基を含有するビニル化合物としては、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル等がある。有機酸ビニル化合物としては、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等がある。
オレフィン化合物としては、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン等がある。ジエン化合物としては、例えばブタジエン、イソプレン、クロロプレン等がある。ハロゲン化ビニル化合物としては、例えば塩化ビニル、臭化ビニル等がある。ハロゲン化ビニリデン化合物としては、例えば塩化ビニリデン等がある。マレイミド化合物としては、例えばN−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド等がある。
スチレン系単量体としては、複合樹脂粒子の発泡性を高めるという観点から、スチレンを単独で用いるか、スチレンとアクリル系単量体とを併用することが好ましい。さらに発泡性を高めるという観点からは、スチレン系単量体としては、スチレンとアクリル酸ブチルとを用いることが特に好ましい。この場合には、アクリル酸ブチルの配合量は、複合樹脂中のアクリル酸ブチル成分の含有量が複合樹脂全体に対して0.5〜10質量%になるように調整することが好ましく、1〜8質量%になるように調整することがより好ましく、2〜5質量%になるように調整することがさらに好ましい。
なお、スチレン系単量体として、スチレンと共に、スチレンと共重合可能なモノマーを用いる場合には、複合樹脂粒子中のスチレンと共重合可能なモノマーの含有量を10質量%以下にすることが好ましい。この場合には、複合樹脂粒子の発泡性を向上させることができ、また、発泡粒子の収縮を防止することができる。発泡性をより良好にするという観点から、複合樹脂粒子中のスチレンと共重合可能なモノマーの含有量は、1〜8質量%がより好ましく、2〜5質量%がさらに好ましい。
複合樹脂粒子は、平均アスペクト比が1.30以下であり、その形状は球状である。平均アスペクト比が1.30を超える場合には、複合樹脂粒子を発泡して得られる発泡粒子を型内成形してなる発泡複合樹脂成形体の曲げ破断エネルギーが不十分になり、変形による破壊が起こりやすくなるおそれがある。曲げ破断エネルギーをより向上させるという観点から、複合樹脂粒子の平均アスペクト比は1.20以下であることが好ましく、1.10以下であることがより好ましい。複合樹脂粒子の平均アスペクト比の下限は1であることが好ましい。なお、アスペクト比とは、粒度分布測定装置などにより測定される値であり、粒子の長軸長さ(最大長径)を短軸長さ(長軸に垂直方向で最も長い部分の長さ)で除した値を意味する。また、球状とは、真球だけでなく、楕円体などの真球に近い形状も含む概念である。
複合樹脂粒子の63%体積平均粒子径d63、90%体積平均粒子径d90、及び10%体積平均粒子径d10が下記の式I及び式IIの関係を満足する。式IIの左辺は、平均粒子径の分散度Diを表す。つまり、Di=(d90−d10)/d63である。複合樹脂粒子の63%体積平均粒子径、90%体積平均粒子径、及び10%体積平均粒子径は、レーザ回折・散乱法によって求めた粒度分布において、それぞれ体積積算値63%、90%、10%での粒径である。粒度分布及び平均アスペクト比の測定には、例えば日機装株式会社製ミリトラックJPAを用いる。
0.8mm≦d63≦1.6mm ・・・ 式I
(d90−d10)/d63<0.40 ・・・ 式II
d63が0.8mm未満の場合には、複合樹脂粒子の発泡性が低下するおそれがある。発泡性をより向上させるという観点から、d63≧1.0mmであることが好ましく、d63≧1.2mmであることがより好ましい。
d63が1.6mmを超える場合、Diが0.40以上の場合には、複合樹脂粒子を用いて得られる発泡複合樹脂成形体の曲げ破断エネルギーが不十分になり、変形による破壊が起こりやすくなるおそれがある。曲げ破断エネルギーをより向上させるという観点から、d63≦1.5mmであることが好ましく、d63≦1.4mmであることがより好ましい。同様の観点から、Di≦0.35であることが好ましく、Di≦0.30であることがより好ましい。
上記複合樹脂粒子の平均アスペクト比が1.30以下、d63が0.8〜1.6mm、かつDiが0.40未満であることにより、得られる発泡複合樹脂成形体の曲げ破断エネルギーが向上する理由は次のように考えられる。核粒子へのスチレン系単量体の含浸量が多くなると、核粒子へのスチレン系単量体の含浸が不均一になりやすく、また、粒子間でスチレン系単量体の含浸の程度に差が生じやすくなるものと考えられる。また、粒子の粒度分布が大きくなると、さらに核粒子へのスチレン系単量体の含浸の程度に差が生じやすくなるものと考えられる。その結果、このような複合樹脂粒子から得られた発泡粒子成形体は、発泡粒子同士が十分に融着していても、成形体の部位ごとに曲げ物性などの機械的強度にばらつきが生じており、所望の機械的強度が得られていなかったものと考えられる。本発明においては、核粒子の粒子径を小さくし、かつ粒度分布を小さくすることで、核粒子の比表面積を大きくすることにより、スチレン系単量体の含浸性を向上させると共に、粒子間でのスチレン系単量体の含浸性のばらつきも抑制されたものと考えられる。その結果、得られる複合樹脂粒子の粒子径及び粒度分布を特定範囲となることにより、複合樹脂粒子の表面付近にスチレン系単量体に由来する成分が過度に偏在することなく、かつ該成分が複合樹脂粒子ごとに均等に分布していると考えられる。そして、通常、複合樹脂粒子の平均粒子径を小さくしようとすると、平均アスペクト比が大きくなる傾向にあるが、本発明においては、複合樹脂粒子の平均粒子径が小さくても、平均アスペクト比が小さいことにより、複合樹脂粒子を発泡して得られる発泡粒子を型内成形する際に、型内への発泡粒子の充填性が向上するものと考えられる。このような複合樹脂粒子から得られた発泡粒子成形体は、曲げ物性などの機械的強度のばらつきが小さく、機械的強度の高いものとなると考えられる。
複合樹脂粒子の表面の赤外線吸収スペクトルにおける、スチレン系単量体の重合体に含まれるベンゼン環のC−H面外変角振動に由来する波数698cm-1付近での吸光度A698と、エチレン系樹脂及びスチレン系単量体の重合体の双方に含まれるメチレン基のC−H伸縮振動に由来する波数2850cm-1付近での吸光度A2850との比である吸光度比A698/A2850は、複合樹脂粒子の表面におけるスチレン系単量体に由来する成分量の指標となる。複合樹脂粒子表面における吸光度比A698/A2850が小さいということは、複合樹脂粒子表面におけるスチレン系単量体に由来する成分の割合が少ないことを意味し、該吸光度比A698/A2850は2以下であることが好ましい。この場合には、発泡粒子の融着が良好で発泡粒子成形体の曲げ破断エネルギーを向上させるという効果が得られる。この効果をより高めるという観点から、複合樹脂粒子表面における吸光度比A698/A2850は1.6以下であることがより好ましく、1.3以下であることがさらに好ましい。複合樹脂粒子の表面における吸光度比A698/A2850は、全反射吸収赤外分光分析(つまり、ATR法)によって測定され、吸光度A2850に対する吸光度A698の比である。
全反射吸収赤外分光分析とは、赤外光がATR結晶表面で全反射を起こす際の試料へのもぐり込みを利用して、深さ数μmまでの試料表面の赤外スペクトルを測定する手法である。試料とプリズムを密着させるだけでスペクトル測定できる簡易さから、種々の物質の表面分析として広く利用されている。但し、ATR法では、下記式VIに表わされるように、プリズム材質による屈折率や赤外光の入射角度によって、もぐり込み深さが異なるため、不均一な材質を測定する際には、測定条件を一定にする必要がある。
複合樹脂粒子表面の吸光度比A698/A2850の具体的な測定方法を説明する。
まず、例えば、測定装置として日本分光社製FT/IR-460plus(ATR PRO 450−S型、プリズム:ダイヤモンド、入射角:45°)を使用して、複合樹脂粒子を170kg/cm2の圧力でプリズムに密着させて赤外スペクトルを測定し、赤外吸収スペクトル(ATR補正なし)を得る。次に、赤外吸収スペクトルから得られる吸光度A698と吸光度A2850を測定し、これらの比、すなわち吸光度比A698/A2850を求める。同様の測定を5つの複合樹脂粒子について行い、これら5つの平均値を複合樹脂粒子の吸光度比A698/A2850とする。
吸光度比A698/A2850の変動係数は0.2以下であることが好ましい。この場合には、発泡粒子成形体の部位による融着のばらつきが小さく発泡粒子成形体の曲げ破断エネルギーを向上させるという効果が得られる。この効果をより高めるという観点から、吸光度比A698/A2850の変動係数は0.15以下であることがより好ましく、0.14以下であることがさらに好ましい。
吸光度比A698/A2850の変動係数Cvは、吸光度比A698/A2850の標準偏差Vを吸光度比A698/A2850(5つの平均値)で割った値で表され、吸光度比のばらつきを表す指標である。なお、吸光度比の標準偏差は、次式VIIにより求められる。
V={Σ(Ai698/Ai2850−A698/A2850)2/(5−1)}1/2 ・・・式VII
式VIIにおいて、Ai698/Ai2850は吸光度比の各測定値を示し、A698/A2850は、上述の5つの吸光度比の平均値であり、Σは個々の測定値について計算した(Ai698/Ai2850−A698/A2850)2を全て足し算することを示す。
変動係数Cvは、次式VIIIより求められる。
Cv=V/A698/A2850 ・・・式VIII
[発泡粒子]
発泡粒子は、例えば上述の複合樹脂粒子を発泡して得られる。発泡粒子は、複合樹脂粒子と同様に、エチレン系樹脂100質量部に対するスチレン系単量体由来の成分の含有割合が400質量部を超え1900質量部以下である。
発泡粒子の平均アスペクト比は1.30以下であり、その形状は球状である。発泡粒子の平均アスペクト比が1.30を超える場合には、発泡複合樹脂成形体の曲げ破断エネルギーが不十分になり、変形による破壊が起こりやすくなるおそれがある。曲げ破断エネルギーをより向上させるという観点から、発泡粒子の平均アスペクト比は1.20以下であることが好ましく、1.10以下であることがより好ましい。
発泡粒子の見掛け密度Daは、20〜200kg/m3である。見掛け密度が20kg/m3未満の場合には、発泡粒子成形体の圧縮剛性が低くなるおそれがある。一方、200kg/m3を超える場合には、発泡粒子成形体の曲げ破断エネルギーが低下するおそれがある。見掛け密度Daは、25〜150kg/m3であることが好ましく、30〜100kg/m3であることがより好ましい。
発泡粒子は、見掛け密度Da(単位:kg/m3)及び63%体積平均粒子径d63(単位:mm)が式IVの関係を満足する。
0.8mm≦(Da/1000)1/3×d63≦1.6mm ・・・式IV
(Da/1000)1/3×d63<0.8mmの場合には、発泡複合樹脂成形体の圧縮剛性が低くなるおそれがある。発泡複合樹脂成形体の圧縮剛性をより向上させるという観点から、(Da/1000)1/3×d63≧0.9mmであることが好ましく、(Da/1000)1/3×d63≧1.0mmであることがより好ましい。
(Da/1000)1/3×d63>1.6mmの場合には、発泡複合樹脂成形体の曲げ破断エネルギーが不十分になり、変形による破壊が起こりやすくなるおそれがある。曲げ破断エネルギーをより向上させるという観点から、(Da/1000)1/3×d63≦1.5を満足することが好ましく、(Da/1000)1/3×d63≦1.4を満足することがより好ましい。
式IVにおいて、1000は、樹脂の密度を表し、Da/1000は発泡倍率に相当する。(Da/1000)1/3×d63は、発泡粒子の発泡前、すなわち発泡粒子が非発泡状態の場合の63%体積平均粒子径に略等しい値となる。発泡粒子の63%体積平均粒子径d63は、レーザ回折・散乱法によって求めた粒度分布における体積積算値63%での粒径である。
発泡粒子の63%体積平均粒子径d63、90%体積平均粒子径d90、及び10%体積平均粒子径d10が下記の式Vの関係を満足する。
(d90−d10)/d63<0.50 ・・・式V
式Vの左辺は、発泡粒子の平均粒子径の分散度Diを表す。つまり、Di=(d90−d10)/d63である。発泡粒子の63%体積平均粒子径、90%体積平均粒子径、及び10%体積平均粒子径は、レーザ回折・散乱法によって求めた粒度分布において、それぞれ体積積算値63%、90%、10%での粒径である。粒度分布及び平均アスペクト比の測定には、例えば日機装株式会社製ミリトラックJPAを用いる。
発泡粒子のDiが0.5以上の場合には、発泡粒子の成形時の充填性が悪化するおそれがある。その結果、発泡複合樹脂成形体の曲げ破断エネルギーが不十分になり、変形による破壊が起こりやすくなるおそれがある。曲げ破断エネルギーをより向上させるという観点から、Di≦0.45であることが好ましく、Di≦0.40であることがより好ましい。
[複合樹脂粒子の製造]
複合樹脂粒子は、例えば次の分散工程及び改質工程を行うことにより製造される。分散工程においては、エチレン系樹脂粒子を水性媒体中に分散させる。このエチレン系樹脂粒子は、エチレン系樹脂を主成分とする粒子であり、本明細書においては核粒子ともいう。
分散工程においては、エチレン系樹脂成分を主成分とする核粒子が用いられ、核粒子は、さらに、気泡調整剤、着色剤、滑材、分散径拡大剤等の添加剤を含有することができる。なお、添加剤の配合量は、発泡粒子、発泡複合樹脂成形体の要求性能に応じて適宜調整することができる。核粒子は、必要に応じて添加される添加剤をエチレン系樹脂に配合し、配合物を溶融混練してから造粒することにより製造することができる。
溶融混練は押出機により行うことができる。均一な混練を行うためには、予めエチレン系樹脂と各添加剤成分を混合した後に押出を行うことが好ましい。これらの混合は、例えばヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、Vブレンダー、レディーゲミキサーなどの混合機を用いて行うことができる。溶融混練は、例えばダルメージタイプ、マドックタイプ、ユニメルトタイプ等の高分散タイプのスクリュを備えた単軸押出機や二軸押出機を用いて行うことが好ましい。
核粒子の造粒は、例えば、溶融混練した配合物を押出機等により押出し、該押出物を切断することにより行われる。造粒は、例えばストランドカット方式、アンダーウォーターカット方式、ホットカット方式等によって行うことができる。複合樹脂粒子の製造が容易となることからアンダーウォーターカット方式が好ましい。
核粒子の粒子重量及びL/Dは、核粒子を作製する際の押出量とカッター速度で調整することが可能である。核粒子の粒子重量は0.4mg/個以下であることが好ましい。核粒子の粒子重量が0.4mg/個以下であることにより、核粒子へのスチレン系単量体の含浸量が多くなっても、核粒子の内部までスチレン系単量体が十分に含浸しやすくなり、また、粒子間で含浸にむらが生じにくくなるものと考えられる。より好ましくは粒子重量が0.35mg/個以下であり、更に好ましくは0.3mg/個以下である。また、核粒子の粒子重量が小さすぎると、重合時に凝結が発生しやすくなる。粒子重量は好ましくは0.01mg/個以上であり、より好ましくは0.03mg/個以上であり、更に好ましくは0.05mg/個以上である。
核粒子のL/Dは1〜3であることが好ましい。核粒子のL/Dが1未満の場合や3を超える場合には、スチレン系単量体を含浸重合して得られる複合樹脂粒子や複合樹脂粒子を発泡して得られる発泡粒子が扁平になり、アスペクト比が大きくなるおそれがある。その結果、複合樹脂発泡粒子の成形時の充填性が悪化するおそれがある。充填性をより向上させるという観点から、核粒子のL/Dは、より好ましくは1〜2.5であり、更に好ましくは1〜2である。尚、Dは核粒子のカット面の直径、Lは核粒子のカット面に垂直方向の長さを表す。
造粒方法として、アンダーウォーターカット方式を採用する場合の好ましい製造条件について説明する。アンダーウォーターカット方式では、押出機にてエチレン系樹脂を溶融混練し、押出機の先端に設けられたダイの小孔から溶融樹脂を水流中に押出し、押出物を押出直後に水流中で切断することにより、核粒子が製造される。
粒子重量が0.4mg/個以下、L/Dが1〜3の核粒子を得るためには、直径0.6mm以下の孔を備えるダイを用い、押出時の孔1つ当たりのせん断速度を3×103〜1×104(1/s)となる吐出量で、押出時のせん断速度における溶融樹脂の溶融粘度が60〜300Pa・sとなる樹脂温度で溶融樹脂を押出することが好ましい。ここで、樹脂温度とは、押出機とダイとの間の樹脂流路の中心部温度を熱電対式温度計で測定した温度を意味する。
押出時のせん断速度におけるエチレン系樹脂の溶融粘度を60〜300Pa・sに調整することが好ましく、80〜250Pa・sに調整することがより好ましく、100〜200Pa・sに調整することがさらに好ましい。なお、上記溶融粘度となる温度範囲は、例えば、株式会社東洋精機製作所製のキャピログラフ1Dなどの測定機を使用し、オリフィスとして、ノズル径1.0mm、ノズル長10mmのものを用いて測定することができる。具体的には、まず、核粒子の製造に用いるエチレン系樹脂原料(原料PE)の融解温度+150℃の測定温度で、せん断速度1×102〜1×105(1/s)の範囲で原料PEの溶融粘度(以下、単に原料溶融粘度ともいう)を測定する(1回目測定)。次に、1回目測定の測定温度よりも5℃だけ測定温度を低くし、同様にして原料溶融粘度を測定する(2回目測定)。さらに、2回目測定の測定温度よりも5℃だけ測定温度を低くし、同様にして原料溶融粘度を測定する。この操作をエチレン系樹脂が流動しなくなるまで繰り返す。そして、縦軸を対数とする片対数グラフに、縦軸を押出時のせん断速度における溶融粘度(Pa・s)とし、横軸を測定温度として、各測定温度における原料溶融粘度をプロットし、内挿して、原料溶融粘度が60〜300Pa・sとなる範囲の温度を求める。
原料PEの融解温度をTmとしたとき、溶融樹脂の樹脂温度は、Tm+65℃〜Tm+115℃とすることが好ましく、Tm+70℃〜Tm+115℃とすることがより好ましく、Tm+75℃〜Tm+110℃とすることがさらに好ましい。
ダイ孔の直径は、0.6mm以下であることが好ましく、055mm以下であることが好ましく、0.5mm以下であることがより好ましい。ダイ孔の直径が小さすぎると、核粒子製造中にダイ孔が閉塞しやすくなることから、ダイ孔の直径は0.3mm以上とすることが好ましく、0.35mm以上とすることがより好ましく、0.4mm以上とすることがさらに好ましい。
押出時のダイ孔1つ当たりのせん断速度を3×103〜1×104(1/s)とすることが好ましい。なお、ダイ孔1つ当たりのせん断速度γは、溶融物をニュートン流体と仮定し、下式より算出して求めることができる。
γ=4×Q/(π×R3)
ここで、Qはダイ孔1つあたりの樹脂流量[m3/s]、Rはダイ孔の半径[m]を示す。
粒子径が小さすぎる核粒子等からなる微粒子や、核粒子が互着してなる凝集粒子の発生を減らすために、ダイ孔出口の単位断面積当たりの溶融樹脂の吐出量を0.4〜2kg/h・mm2とすることが好ましい。同様に、ダイ孔1つ当たりの溶融樹脂の吐出量を0.05〜0.3kg/hとすることが好ましい。
押出物は、循環水で満たされたカッターチャンバー内で切断されて核粒子となる。循環水で満たされたカッターチャンバー内の水流温度は、カット不良やダイのダイ孔の閉塞を防ぐ観点から、50〜80℃であることが好ましい。より好ましくは50〜75℃であり、更に好ましくは60〜70℃である。
エチレン系樹脂には酸化防止剤が含有されることが好ましい。この場合には、押出時にエチレン系樹脂のゲル化を防止し、ダイ孔が閉塞しにくくなる。酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤が例示できる。酸化防止剤の添加量は、エチレン系樹脂100質量部に対して、0.01〜1質量部が好ましい。より好ましくは0.02〜0.5質量部であり、更に好ましくは0.05〜0.2質量部である。
また、エチレン系樹脂には、金属石鹸が含まれることが好ましい。この場合には、押出物の切断時において溶融樹脂のカット性が良好になる。
金属石鹸としては、12−ヒドロキシステアリン酸亜鉛、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム、12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウム、12−ヒドロキシステアリン酸アルミニウム、12−ヒドロキシステアリン酸バリウム、12−ヒドロキシステアリン酸リチウム、12−ヒドロキシステアリン酸ナトリウムなどの12-ヒドロキシステアリン酸石鹸;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウムなどのステアリン酸石鹸;ベヘン酸亜鉛、ベヘン酸カルシウム、ベヘン酸マグネシウム、ベヘン酸リチウム、ベヘン酸ナトリウムなどのベヘン酸石鹸;モンタン酸亜鉛、モンタン酸カルシウム、モンタン酸マグネシウム、モンタン酸アルミニウム、モンタン酸リチウム、モンタン酸ナトリウムなどのモンタン酸石鹸;ラウリン酸亜鉛、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸バリウム、ラウリン酸リチウム、ラウリン酸ナトリウムなどのラウリン酸石鹸を用いることができる。金属石鹸としては、12−ヒドロキシステアリン酸塩を用いることが好ましく、より好ましくは12‐ヒドロキシステアリン酸亜鉛を用いることがよい。金属石鹸の添加量は、エチレン系樹脂100質量部に対して、0.01〜2質量部が好ましく、より好ましくは0.05〜1質量部であり、更に好ましくは0.1〜0.5質量部である。
アスペクト比が小さい複合樹脂粒子が得られやすく、また、複合樹脂粒子の発泡性をより向上できるという観点から、核粒子のメルトマスフローレイト(すなわち、MFR:温度190℃、荷重2.16kg)は、1〜12g/10分であることが好ましい。より好ましくは1〜10g/10分であり、更に好ましくは1〜5g/10分である。温度190℃、荷重2.16kgの条件におけるエチレン系樹脂のMFRは、JIS K7210−1:2014に基づき、測定される値である。なお、測定装置としては、メルトインデクサー(例えば宝工業(株)製の型式L203など)を用いることができる。
分散工程においては、水性媒体中に核粒子が分散された分散液を得ることができる。水性媒体としては、例えば脱イオン水を用いることができる。核粒子は、懸濁剤や界面活性剤とともに水性媒体中に分散させることが好ましい。この場合には、スチレン系単量体を水性媒体中に均一に懸濁させることができる。懸濁剤としては、例えばリン酸三カルシウム、ハイドロキシアパタイト、ピロリン酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化第2鉄、水酸化チタン、水酸化マグネシウム、リン酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、カオリン、ベントナイト等の微粒子状の無機懸濁剤を用いることができる。また、例えばポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の有機懸濁剤を用いることもできる。これらの中でも、リン酸三カルシウム、ハイドロキシアパタイト、ピロリン酸マグネシウムが好ましい。これらの懸濁剤は単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
懸濁剤の50%体積平均粒子径は、1〜6μmであることが好ましい。この場合には、スチレン系単量体を安定して懸濁させることができ、樹脂の塊状物の発生を防止することができる。その結果、改質工程後に得られる複合樹脂粒子の粒子径分布を狭くし、複合樹脂粒子の平均粒子径の分散度を小さくすることが可能になる。分散度をより小さくするという観点から、懸濁剤の50%体積平均粒子径は2〜5μmであることがより好ましい。
懸濁剤の50%体積平均粒子径は懸濁剤を水中に分散させ、レーザ回折散乱法により粒度分布を測定し、全粒子の体積に対する累積体積が50%になる時の粒子径である。レーザ回折散乱法による粒度分布の測定には、例えば日機装株式会社製マイクロトラックMT-3300EXを用いる。粒子の形状ファクターは非球形とする。
懸濁剤が少なすぎる場合には、改質工程において、スチレン系単量体を安定して懸濁させることが困難になり、樹脂の塊状物が発生するおそれがある。一方、懸濁剤が多すぎる場合には、製造コストが増大してしまうだけでなく、改質工程後に得られる複合樹脂粒子の粒子径分布が広がってしまうおそれがある。したがって、懸濁剤の使用量は、懸濁重合系の水性媒体(具体的には、反応生成物含有スラリーなどの水を含む系内の全ての水)100質量部に対して、固形分量で0.05〜10質量ppmが好ましく、0.3〜5質量ppmがより好ましい。
水性媒体には界面活性剤を添加することができる。界面活性剤としては、例えばアニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤等を用いることができる。これらの界面活性剤は、単独で又は複数を組み合わせて用いることができる。
アニオン系界面活性剤としては、例えばアルキルスルホン酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、α−オレフィンスルホン酸ナトリウム、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム等を用いることができる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等を用いることができる。
カチオン系界面活性剤としては、ココナットアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート等のアルキルアミン塩を用いることができる。また、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム等を用いることもできる。
両性界面活性剤としては、ラウリルベタイン、ステアリルベタイン等のアルキルベタインを用いることができる。また、ラウリルジメチルアミンオキサイド等のアルキルアミンオキサイドを用いることもできる。
好ましくは、界面活性剤としてはアニオン系界面活性剤を用いることがよい。より好ましくは、炭素数8〜20のアルキルスルホン酸アルカリ金属塩がよい。これにより、懸濁を充分に安定化させることができる。より好ましくはナトリウム塩がよい。
分散工程においては、上記分散工程においては、水性媒体中に界面活性剤を100〜500質量ppm添加することが好ましい。この場合には、スチレン系単量体をより安定して懸濁させることが可能になり、樹脂の塊状物が発生をより防止できる共に、複合樹脂粒子の粒子径分布をより狭くすることができる。樹脂の塊状物の発生をより防止すると共に粒子径分布をより狭くするという観点から、界面活性剤の添加量は、130〜350質量ppm添加することがより好ましい。150〜300質量ppm添加することが更に好ましい。
水性媒体には、必要に応じて、例えば塩化リチウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム等の無機塩類からなる電解質を添加することができる。また、靭性、機械的強度により優れた発泡複合樹脂成形体を得るためには、水性媒体に水溶性重合禁止剤を添加することが好ましい。水溶性重合禁止剤としては、例えば亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸アンモニウム、L−アスコルビン酸、クエン酸等を用いることができる。
水溶性重合禁止剤は、核粒子内に含浸し難く、水性媒体中に溶解する。したがって、核粒子に含浸したスチレン系単量体の重合は行われるが、核粒子に含浸されていない水性媒体中のスチレン系単量体の微小液滴、及び核粒子に吸収されつつある核粒子表面付近のスチレン系単量体の重合を抑制することができる。その結果、複合樹脂粒子の表面におけるスチレン系樹脂の量を少なくすることができ、得られる発泡複合樹脂成形体の靭性が向上すると推察される。水溶性重合禁止剤の添加量は、水性媒体(反応生成物含有スラリーなどの水を含む系内の全ての水をいう)100質量部に対して0.001〜0.1質量部が好ましく、より好ましくは0.005〜0.06質量部がよい。
改質工程においては、水性媒体中において、核粒子にスチレン系単量体を含浸、重合させる。なお、スチレン系単量体の重合は、重合開始剤の存在下で行う。この場合には、スチレン系単量体の重合と共にエチレン系樹脂へのスチレン系単量体のグラフト重合が生じ、さらにはエチレン系樹脂の架橋が生じることがある。スチレン系単量体の重合においては重合開始剤を用いるが、必要に応じてエチレン系樹脂を架橋するために架橋剤を併用することができる。また、重合開始剤及び/又は架橋剤を使用する際には、予めスチレン系単量体に重合開始剤及び/又は架橋剤を溶解しておくことが好ましい。改質工程においては、エチレン系樹脂を含む核粒子に含浸されたスチレン系単量体を重合させることができる。そのため、エチレン系樹脂の他に、重合によって生成するスチレン系樹脂成分と、エチレン系樹脂成分とを含有する複合樹脂粒子を得ることができる。
重合開始剤としては、スチレン系単量体の懸濁重合法に用いられるものを用いることができる。例えばスチレン系単量体に可溶で、10時間半減期温度が50〜120℃である重合開始剤を用いることができる。重合開始剤としては、例えばクメンヒドロキシパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート、ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート、ラウロイルパーオキサイド等の有機過酸化物を用いることができる。また、重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等を用いることができる。これらの重合開始剤は1種類、または2種類以上を組み合わせて用いることができる。また、残留スチレン系モノマーを低減しやすいという観点からt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートが好ましい。重合開始剤は、スチレン系単量体100質量部に対して0.01〜3質量部で使用することが好ましい。
また、架橋剤としては、重合温度では分解せず、架橋温度で分解する10時間半減期温度が重合温度よりも5℃〜50℃高い物質を用いることが好ましい。具体的には、例えばジクミルパーオキサイド、2,5−t−ブチルパーベンゾエート、1,1−ビス−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン等の過酸化物を用いることができる。架橋剤は、単独または2種類以上併用して用いることができる。架橋剤の配合量は、スチレン系単量体100質量部に対して0.1〜5質量部であることが好ましい。
改質工程において、核粒子にスチレン系単量体を含浸させて重合させるにあたって、核粒子を分散させた水性媒体中に、配合予定のスチレン系単量体の全量を一括して添加することもできるが、配合予定のスチレン系単量体の全量を例えば2以上に分割し、これらのモノマーを異なるタイミングで添加することもできる。具体的には、配合予定のスチレン系単量体の全量のうちの一部を、核粒子が分散された水性媒体中に添加して、スチレン系単量体を含浸、重合をさせつつ、次いで、さらに配合予定のスチレン系単量体の残部を1回又は2回以上に分けて水性媒体中に添加することができる。後者のように、スチレン系単量体を分割して添加することにより、重合時に樹脂粒子同士が凝結することをより抑制することが可能になる。
スチレン系単量体を分割して添加する場合には、少なくとも最初に添加されるスチレン系単量体(以下、「第1モノマー」という)には重合開始剤を溶解させておくこと好ましい。第1モノマーには、配合予定の重合開始剤の全量のうちの75%以上を溶解させることが好ましく、80%以上を溶解させておくことがより好ましい。この場合には、複合樹脂粒子の製造時に、エチレン系樹脂にスチレン系単量体を充分に含浸させることができ、重合時に懸濁系が不安定化することを防止することができる。その結果、スチレン系樹脂の優れた剛性とエチレン系樹脂の優れた粘り強さとをより高いレベルで兼ね備えた発泡複合樹脂成形体を得ることが可能になる。
また、上述のように、配合予定のスチレン系単量体の一部を第1モノマーとして添加する場合には、配合予定のスチレン系単量体の全量のうちの残部を第2モノマーとして、第1モノマーの添加後に第1モノマーとは異なるタイミングで添加することができる。第2モノマーをさらに分割して添加することもできる。
スチレン系単量体(第1モノマー)のシード比(核粒子に対する第1モノマーの質量比)は、0.5以上であることが好ましい。この場合には、複合樹脂粒子の形状をより球状に近づけることが容易になる。同様の観点から、シード比は0.7以上であることがより好ましく、0.8以上であることがさらに好ましい。
また、シード比は、1.5以下であることが好ましい。この場合には、スチレン系単量体が核粒子に充分に含浸される前に重合することをより防止することができ、樹脂の塊状物の発生をより防止することができる。同様の観点から、第1モノマーのシード比は、1.3以下であることがより好ましく、1.2以下であることがさらに好ましい。
改質工程において、核粒子中のエチレン系樹脂の融点をTm(℃)と、改質工程における重合温度をTp(℃)とした時、Tm−Tpが−10〜30(℃)であることが好ましい。この場合には、複合樹脂粒子の製造時に、エチレン系樹脂にスチレン系単量体を充分に含浸させることができ、重合時に懸濁系が不安定化することを防止することができる。その結果、スチレン系樹脂の優れた剛性とエチレン系樹脂の優れた粘り強さとをより高いレベルで兼ね備えた発泡複合樹脂成形体を得ることが可能になる。
改質工程における、含浸温度、重合温度は、使用する重合開始剤の種類によって異なるが、60〜105℃であることが好ましく、70〜105℃であることがより好ましい。また、架橋温度は使用する架橋剤の種類によって異なるが、100〜150℃であることが好ましい。スチレン系単量体の含浸温度は、エチレン系樹脂にスチレン系単量体を含浸させる温度である。また、重合温度は、エチレン系樹脂に含浸したスチレン系単量体の重合を進行させる温度である。
また、スチレン系単量体には、気泡調整剤を添加することができる。気泡調整剤としては、例えば脂肪族モノアミド、脂肪酸ビスアミド、ポリエチレンワックス、メチレンビスステアリン酸などを用いることができる。脂肪族モノアミドとしては、例えばオレイン酸アミド、ステアリン酸アミド等を用いることができる。脂肪酸ビスアミドとしては、例えばエチレンビスステアリン酸アミド等を用いることができる。気泡調整剤は、スチレン系単量体100質量部に対して0.01〜2質量部用いることが好ましい。また、スチレン系単量体には、必要に応じて可塑剤、油溶性重合禁止剤、難燃剤、着色剤、連鎖移動剤等を添加することができる。
可塑剤としては、例えば脂肪酸エステル、アセチル化モノグリセライド、油脂類、炭化水素化合物等を用いることができる。脂肪酸エステルとしては、例えばグリセリントリステアレート、グリセリントリオクトエート、グリセリントリラウレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノステアレート、ブチルステアレート等を用いることができる。また、アセチル化モノグリセライドとしては、例えばグリセリンジアセトモノラウレート等を用いることができる。油脂類としては、例えば硬化牛脂、硬化ひまし油等を用いることができる。炭化水素化合物としては、例えばシクロヘキサン、流動パラフィン等を用いることもできる。また、油溶性重合禁止剤としては、例えばパラ−t−ブチルカテコール、ハイドロキノン、ベンゾキノン等を用いることができる。難燃剤としては、例えばヘキサブロモシクロドデカン、テトラブロモビスフェノールA系化合物、トリメチルホスフェート、臭素化ブタジエン−スチレンブロック共重合体、水酸化アルミニウム等を用いることができる。着色剤としては、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、黒鉛、炭素繊維等を用いることができる。連鎖移動剤としては、例えばn−ドデシルメルカプタンやα−メチルスチレンダイマー等を用いることができる。上記添加剤は、単独または2種以上の組合せで添加することができる。
上述の気泡調整剤、可塑剤、油溶性重合禁止剤、難燃剤、着色剤、連鎖移動剤等の添加剤は、溶剤に溶解させて核粒子に含浸させることもできる。溶剤としては、例えばエチルベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素等が用いられる。
[発泡粒子の製造]
発泡粒子は、例えば上述の複合樹脂粒子を発泡させることにより得られる。複合樹脂粒子の発泡には、従来公知の発泡方法を適用することができる。具体的には、例えば、複合樹脂粒子を発泡剤と共に耐圧容器内で水等の分散媒に分散させ、加熱して樹脂粒子を軟化させるとともに複合樹脂粒子に発泡剤を含浸させた後、複合樹脂粒子の軟化温度以上の温度で容器内より低圧下(例えば、通常大気圧下)に複合樹脂粒子を放出して発泡させる方法(以下、ダイレクト発泡方法ともいう。)を用いることができる。また、例えば、発泡剤を含んだ発泡性複合樹脂粒子を密閉容器から取り出し、スチームなどの加熱媒体で発泡性複合樹脂粒子を加熱して発泡させる方法を用いることもできる。
これらの方法の中でもダイレクト発泡方法が好ましく採用される。また、発泡剤が含浸された発泡性複合樹脂粒子を耐圧容器内から放出する際の容器内の温度(すなわち、発泡温度)は、目的とする発泡粒子の見掛け密度、基材樹脂の組成、または発泡剤の種類や配合量等を考慮して決定される。発泡温度は、概ね、複合樹脂粒子の構成成分の1つであるスチレン系単量体が重合してなるスチレン系樹脂成分のガラス転移温度(Tg)以上、複合樹脂粒子を構成する樹脂成分の分解開始温度以下の範囲内とすることができる。
[発泡複合樹脂成形体]
発泡複合樹脂成形体は、公知のスチーム加熱による型内成形方法により、製造可能である。即ち、多数の発泡粒子を金型等の成形型内に充填し、該成形型内にスチームを導入して発泡粒子を相互に融着させることにより、発泡複合樹脂成形体を得ることができる。
(実施例1)
実施例にかかる複合樹脂粒子の製造方法について説明する。本例においては、複合樹脂粒子を発泡させて発泡粒子を作製し、多数の発泡粒子を型内成形することにより、発泡複合樹脂成形体を作製する。
(1)核粒子の作製
エチレン系樹脂として直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(東ソー(株)製、商品名:ニポロンZ HF210K)100質量部に対して、発泡核剤としてホウ酸亜鉛(富田製薬(株)製、ホウ酸亜鉛2335)1.44質量部および酸化防止剤として酸化防止剤のマスターバッチ(東邦社製「TMB113」、PE:90質量%、リン系安定剤:6.5質量%、ヒンダードフェノール系酸化防止剤:3.5質量%)1質量部をヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株)製;型式:FM−75E)に投入し、5分間混合することにより樹脂混合物を得た。PEはポリエチレンを示す。
次いで、図1に例示されるように、ペレット状の樹脂混合物10を押出機2(東芝機械(株)製、型式:TEM−26SS;26mmφ2軸押出機)のシリンダ20内にて溶融混練した。その後、樹脂の溶融混練物をダイ21から循環水221で満たされたカッターチャンバー22内に押し出し、カッターチャンバー22内に設けられたカッター23により切断した。カッター23は、ダイ21の吐出口と対向配置されている。つまり、アンダーウォーターカット方式によりカッターチャンバー22内への吐出物を切断し、エチレン系樹脂粒子1(すなわち、核粒子1)を得た。核粒子1は、遠心分離器24により循環水221内から分離、回収される。このようにして、図2に例示されるような、略円柱状の核粒子1を得た。
なお、ダイ21から押し出す際の樹脂温度は200℃、ダイの温度は350℃である。ダイ21のダイ孔の直径は0.45mm、ダイ孔の数は90個である。カッターチャンバー内への吐出量は18kgであり、ダイ孔単位面積当たりの吐出量は1.26kg/h・mm2、ダイ孔1つ当たりの吐出量は0.2kg/hである。カッター23は、10枚の刃を有し、回転数1800rpmで回転する。
上記のようにして作製した核粒子1について、重量、L/D、MFRを測定した。その結果を表1に示す。測定方法は次の通りである。
<核粒子の重量>
核粒子20個の重量を計量し、核粒子1個当たりの重量を算出した。この操作を5回行い、5回の測定値の算術平均値を核粒子の重量(単位:mg/個)として採用した。
<核粒子のL/D>
核粒子をキーエンス社製のマイクロスコープVHX−100F(レンズ:VH−Z25、倍率:25倍)で撮影した。撮影した核粒子の写真からカット面の直径D、カット面と垂直方向の長さLを計測した(図2参照)。この操作を20個の核粒子に対して行い、20点の測定値の算術平均値を核粒子のL/Dとして採用した。
<核粒子のMFR>
JIS K7210−1:2014年に基づき、メルトインデクサー(宝工業(株)製の型式L203)で核粒子のMFRを測定した。なお、測定は、温度190℃、荷重2.16kgという条件で行った。
(2)複合樹脂粒子の作製
撹拌装置の付いた内容積3Lのオートクレーブに、脱イオン水1000gを入れ、更にピロリン酸ナトリウム6.0gを加えた。その後、粉末状の硝酸マグネシウム・6水和物12.9gを加え、40℃で30分間撹拌した。これにより、懸濁剤としてのピロリン酸マグネシウムスラリーを作製した。懸濁剤の50%体積平均粒子径は4.1μmである。次に、この懸濁剤に界面活性剤としてのラウリルスルホン酸ナトリウム2.0g、水溶性重合禁止剤としての亜硝酸ナトリウム0.21g、及び核粒子75gを投入した。ラウリルスルホン酸ナトリウムとしては10質量%水溶液を用いた。
次いで、重合開始剤として、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート(日油社製の「パーブチルE」)、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート(日油社製「パーヘキシルZ」)を準備した。また、連鎖移動剤として、αメチルスチレンダイマー(日油社製「ノフマーMSD」)を準備した。そして、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート1.67gと、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート0.835gと、αメチルスチレンダイマー0.665gとを、第1モノマー(つまり、スチレン系単量体)に溶解させた。そして、オートクレーブ内を回転速度500rpmで撹拌しながら、溶解物を核粒子等が投入された上述のオートクレーブ内に投入した。なお、第1モノマーとしては、スチレン60gとアクリル酸ブチル15gとの混合モノマーを用いた。
次いで、オートクレーブ内の空気を窒素にて置換した後、昇温を開始し、1時間30分かけてオートクレーブ内を温度100℃まで昇温させた。昇温後、この温度100℃で1時間保持した。その後、撹拌速度を450rpmに下げ、温度100℃で7.5時間保持した。尚、温度100℃に到達してから1時間経過時に、第2モノマー(すなわち、スチレン系単量体)としてのスチレン350gを5時間かけてオートクレーブ内に添加した。
次いで、オートクレーブ内を温度125℃まで2時間かけて昇温させ、そのまま温度125℃で5時間保持した。その後、オートクレーブ内を冷却させ、内容物(具体的には、複合樹脂粒子)を取り出した。次いで、硝酸を添加して複合樹脂粒子の表面に付着したピロリン酸マグネシウムを溶解させた。その後、遠心分離機により脱水及び洗浄を行い、気流乾燥装置で表面に付着した水分を除去することにより、球状の複合樹脂粒子を得た。
上記のようにして作製した複合樹脂粒子について、エチレン系樹脂(PE)の含有割合、スチレン系単量体由来の成分(St)の含有割合を表3に示す。また、複合樹脂粒子について、10%体積平均粒子径d10、63%体積平均粒子径d63、及び90%体積平均粒子径d90、63%体積平均粒子径の分散度(つまり、(d90−d10)/d63)、平均アスペクト比、表面の吸光度比A698/A2850、吸光度比A698/A2850の変動係数を測定した。その結果を表3に示す。測定方法は、次の通りである。
<平均粒子径、分散度、平均アスペクト比>
日機装株式会社の粒度分布測定装置「ミリトラック JPA」を用いて複合樹脂粒子の粒度分布の測定及び粒子形状の観察を行なった。具体的には、まず、測定装置の試料供給フィーダーから複合樹脂粒子30gを自由落下させ、投影像をCCDカメラで撮像した。次いで、撮像した画像情報に対して演算・結合処理を順次行い、粒度分布・形状指数結果を出力する画像解析方式の条件で測定した。これにより、粒度分布における体積積算値10%、63%、90%での各粒径(d10、d63、d90)mm、平均アスペクト比を求めた。これらの値より以下の式を用いて63%平均粒子径の分散度を算出した。なお、平均粒子径、平均アスペクト比は、製造直後の複合樹脂粒子群についてのものであり、篩い分けなどによる分級を行っていない複合樹脂粒子群についての値である。また、平均アスペクト比は、1000個の粒子データに基づいた算術平均値である。
63%体積平均粒子径の分散度=(d90−d10)/d63
<吸光度比A698/A2850、その変動係数>
測定装置として日本分光社製FT/IR-460plus(ATR PRO 450−S型、プリズム:ダイヤモンド、入射角:45°)を使用して、複合樹脂粒子を170kg/cm2の圧力でプリズムに密着させて赤外スペクトルを測定し、赤外吸収スペクトル(ATR補正なし)を得た。次に、赤外吸収スペクトルから得られる波数698cm-1における吸光度A698と波数2850cm-1における吸光度A2850を測定し、これらの比、すなわち吸光度比A698/A2850を求めた。同様の測定を5つの複合樹脂粒子について行い、これら5つの平均値を複合樹脂粒子の吸光度比A698/A2850とした。吸光度比A698/A2850の変動係数Cvは、上述の式VIIにより算出した。
(3)発泡粒子の作製
複合樹脂粒子500gを分散媒としての水3500gと共に撹拌機を備えた5Lの耐圧密閉容器内に仕込んだ。続いて、耐圧密閉容器内の分散媒中に分散剤としてのカオリン5gと、界面活性剤としてのアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5gとをさらに添加した。次いで、回転速度300rpmで耐圧密閉容器内を撹拌しながら、容器内を発泡温度165℃まで昇温させた。
その後、無機系物理発泡剤である二酸化炭素を耐圧密閉容器内の圧力が4MPa(G:ゲージ圧)になるように耐圧密閉容器内に圧入しつつ、同温度(すなわち、165℃)で15分間保持した。これにより複合樹脂粒子中に二酸化炭素を含浸させて、発泡性複合樹脂粒子を得た。
次いで、発泡性複合樹脂粒子を分散媒と共に密閉容器から大気圧下に放出することにより、見掛け密度が80kg/m3の球状の発泡粒子を得た。発泡粒子は、複合樹脂粒子の発泡体であるため、複合樹脂発泡粒子とも言える。
上記のようにして作製した発泡粒子について、10%体積平均粒子径d10、63%体積平均粒子径d63、及び90%体積平均粒子径d90、63%体積平均粒子径の分散度(つまり、(d90−d10)/d63)、平均アスペクト比、表面の吸光度比A698/A2850、見掛け密度を測定した。また、(見掛け密度/1000)1/3×d63の値を算出した。その結果を表3に示す。測定方法は、次の通りである。
<平均粒子径、分散度、平均アスペクト比>
複合樹脂粒子の代わりに発泡粒子を用いた点を除いては、複合樹脂粒子の各体積平均粒子径、分散度、平均アスペクト比と同様にして測定、算出した。
<吸光度比A698/A2850
複合樹脂粒子の代わりに発泡粒子を用いた点を除いては、複合樹脂粒子の吸光度比A698/A2850と同様にして測定した。
<見掛け密度>
まず、温度23℃で24時間乾燥させた発泡粒子群を23℃の水中に沈め、その水位上昇分から発泡粒子の見掛けの体積を求めた。測定に用いた発泡粒子群の質量を見掛けの体積で割算し、単位換算することにより、発泡粒子の見掛け密度(単位:kg/m3)を求めた。
(4)発泡複合樹脂成形体の作製
次に、発泡粒子の型内成形により発泡複合樹脂成形体を作製した。縦250mm、横200mm、厚み10mm又は50mmの平板形状の成形キャビティを有する金型内に発泡粒子を充填した。次いで、金型内に水蒸気を導入することにより、発泡粒子を加熱して相互に融着させた。その後、水冷により金型内を冷却した後、金型より成形体を取り出した。さらに成形体を温度60℃に調整されたオーブン内で12時間載置することにより、成形体の乾燥及び養生を行った。このようにして、多数の発泡粒子が相互に融着してなる成形体を得た。なお、発泡複合樹脂成形体は、発泡粒子を成形してなるため、発泡粒子成形体ということもできる。
上記のようにして作製した成形体について、充填性、見掛け密度、融着率、曲げ弾性率、破断エネルギー、圧縮強度を測定した。充填性の評価には、縦250mm、横200mm、厚み10mmの成形体を用いた。見掛け密度、融着率、曲げ弾性率、破断エネルギー、圧縮強度の測定には、縦250mm、横200mm、厚み50mmの成形体を用いた。その結果を表3に示す。評価方法、測定方法は次の通りである。
<充填性>
成形体を目視で確認し、充填不良が発生しなかった場合を「○」、充填不良が一部で発生した場合を「△」、充填不良が発生し、成形体が得られなかった場合を「×」と評価した。
<見掛け密度>
成形体の質量をその外形寸法から求められる体積で除することにより見掛け密度を算出した。
<融着率>
成形体を折り曲げ、略等分に破断させた。破断面を観察し、内部で破断した発泡粒子数と界面で剥離した発泡粒子数をそれぞれ計測した。次いで、内部で破断した発泡粒子と界面で剥離した発泡粒子の合計数に対する内部で破断した発泡粒子の割合を算出し、これを百分率で表した値を融着率(%)とした。
<曲げ弾性率、曲げ破断エネルギー、その変動係数>
曲げ弾性率は、JIS K7221−1:2006に記載の3点曲げ試験方法に準拠して測定した。具体的には、まず、厚み20mm×幅25mm×長さ120mmの5つの試験片を成形体の無作為に選択した箇所から全面が切削面となるように切り出した。室温23℃、湿度50%の恒温恒湿室内で試験片を24時間放置した後、支点間距離100mm、圧子の半径R15.0mm、支持台の半径R15.0mm、試験速度20mm/min、室温23℃、湿度50%の条件で、(株)島津製作所製のオートグラフAGS−10kNG試験機により曲げ弾性率を測定した。5点の測定値の算術平均値を曲げ弾性率の測定結果として採用した。
曲げ弾性率の測定時に得られる荷重/たわみ曲線におけるたわみ(単位:mm)と荷重(単位:kN)との関係から、破断点までのエネルギー(単位:MJ/m3)を5点の測定値の算術平均値から求めた。なお、曲げ破断エネルギーは、荷重(kN)を応力(MPa)に換算し、破断点までの応力曲線と横軸(すなわち、たわみ)とによって囲まれる面積から算出される。曲げ破断エネルギーの変動係数は、吸光度比の変動係数と同様に、標準偏差を5点の算術平均値で除することにより算出した。
<圧縮強度>
発泡複合樹脂成形体の中央部分から縦50mm、横50mm、厚み25mmの直方体状の試験片を切出した。次に、この試験片に対してJIS K6767−1999年に準拠して50%ひずみ時の圧縮荷重を求めた。この圧縮荷重を試験片の受圧面積で除することより、圧縮強度(すなわち、50%圧縮応力)を算出した。
(実施例2)
核粒子の作製時に、吐出量:15kg、ダイ孔単位面積当たりの吐出量:1.05kg/h・mm2、ダイ孔1つ当たりの吐出量:0.17kg/hという条件で押出を行い、アンダーウォーターカット方式における切断時に、カッター回転数:3300rpmという条件で切断を行った以外は、実施例1と同様に行った。
(実施例3)
核粒子の作製時に、アンダーウォーターカット方式における切断時に、カッター回転数:3300rpmという条件で切断を行った以外は、実施例1と同様に行った。
(実施例4)
核粒子の作製時に、吐出量:13kg、ダイ孔単位面積当たりの吐出量:0.91kg/h・mm2、ダイ孔1つ当たりの吐出量:0.14kg/hという条件で押出を行い、アンダーウォーターカット方式における切断時に、カッター刃:6枚という条件で切断を行った以外は実施例1と同様に行った。
(実施例5)
核粒子の作製時に、ダイ孔の直径:0.55mm、ダイ孔の数:60個のダイを用い、吐出量:19kg、ダイ孔単位面積当たりの吐出量:1.33kg/h・mm2、ダイ孔1つ当たりの吐出量:0.32kg/hという条件で押出を行い、アンダーウォーターカット方式における切断時に、カッター回転数:1500rpmという条件で切断を行った以外は実施例1と同様に行った。
(実施例6)
複合樹脂粒子の作製時に、界面活性剤としてのラウリルスルホン酸ナトリウム(10質量%水溶液)の添加量を1.5gにした以外は実施例1と同様に行った。
(実施例7)
複合樹脂粒子の作製時に、界面活性剤としてのラウリルスルホン酸ナトリウム(10質量%水溶液)の添加量を3gにした以外は実施例1と同様に行った。
(実施例8)
核粒子の作製時に、エチレン系樹脂として直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン(株)製、商品名:カーネルKF270)10kgを用いた以外は、実施例5と同様に行った。
(実施例9)
核粒子の作製時に、エチレン系樹脂として直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン(株)製、商品名:カーネルKC570S)10kgを用いた以外は、実施例5と同様に行った。
(比較例1)
核粒子の作製時に、ダイ孔の直径:0.75mm、ダイ孔の数:30個のダイを用い、吐出量:21kg、ダイ孔単位面積当たりの吐出量:1.59kg/h・mm2、ダイ孔1つ当たりの吐出量:0.7kg/hという条件で押出を行い、アンダーウォーターカット方式における切断時に、カッター回転数:2500rpmという条件で切断を行った以外は、実施例1と同様に行った。
(比較例2)
核粒子の作製時に、ダイ孔の直径:0.75mm、ダイ孔の数:30個のダイを用い、吐出量:21kg、ダイ孔単位面積当たりの吐出量:1.59kg/h・mm2、ダイ孔1つ当たりの吐出量:0.7kg/hという条件で押出を行い、アンダーウォーターカット方式における切断時に、カッター回転数:2500rpmという条件で切断を行った。また、複合樹脂粒子の作製時に使用するピロリン酸マグネシウムスラリーの作製時に、脱イオン水とピロリン酸ナトリウムと硝酸マグネシウムとの混合液を、25℃で30分間撹拌した。これにより得られる50%体積平均粒子径が7.2μmのピロリン酸マグネシウムスラリーを懸濁剤として用いた。また、界面活性剤としてのラウリルスルホン酸ナトリウム(10質量%水溶液)の添加量を1.25gにした。その他は実施例1と同様に行った。
(比較例3)
核粒子の作製時に、ダイ孔の直径:0.75mm、ダイ孔の数:30個のダイを用い、吐出量:12kg、ダイ孔単位面積当たりの吐出量:0.91kg/h・mm2、ダイ孔1つ当たりの吐出量:0.40kg/hという条件で押出を行い、アンダーウォーターカット方式における切断時に、カッター回転数:3500rpmという条件で切断を行った以外は、実施例1と同様に行った。
(比較例4)
核粒子の作製時に、吐出量:33kg、ダイ孔単位面積当たりの吐出量:2.31kg/h・mm2、ダイ孔1つ当たりの吐出量:0.37kg/hという条件で押出を行い、アンダーウォーターカット方式における切断時に、カッター回転数:3500rpmという条件で切断を行った以外は、実施例1と同様に行った。
(比較例5)
核粒子の作製時に、エチレン系樹脂として直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン(株)製、商品名:カーネルKC573)10kgを用いた以外は、実施例5と同様に行った。
(比較例6)
複合樹脂粒子の作製時に、核粒子150gを使用し、第1モノマーとして、スチレン135gとアクリル酸ブチル15gとの混合モノマーを使用し、第2モノマーとしてスチレン200gを使用した以外は、実施例5と同様に行った。
(比較例7)
複合樹脂粒子の作製時に、核粒子24gを使用し、第1モノマーとして、スチレン9gとアクリル酸ブチル15gとの混合モノマーを使用し、第2モノマーとしてスチレン452gを使用した以外は、実施例5と同様に行った。
(比較例8)
複合樹脂粒子の作製時に使用するピロリン酸マグネシウムスラリーの作製時に、脱イオン水とピロリン酸ナトリウムと硝酸マグネシウムとの混合液を、25℃で30分間撹拌した。これにより得られる50%体積平均粒子径が7.2μmのピロリン酸マグネシウムスラリーを懸濁剤として用いた。また、界面活性剤としてのラウリルスルホン酸ナトリウム(10質量%水溶液)の添加量を1.25gにした。その他は実施例1と同様に行なった。
実施例1と同様に、実施例2〜実施例9、比較例1〜比較例8の核粒子について、重量、L/D、MFRの測定結果などを表1、表2に示す。また、実施例1と同様に、実施例2〜〜実施例9、比較例1〜比較例8の複合樹脂粒子、発泡粒子、成形体について、エチレン系樹脂由来の成分(PE)の含有割合、スチレン系単量体由来の成分(St)の含有割合、各体積平均粒子径、平均粒子径の分散度、平均アスペクト比、吸光度比、吸光度比の変動係数、見掛け密度、成形体の各種評価結果などを表3、表4に示す。
Figure 2018158985
Figure 2018158985
Figure 2018158985
Figure 2018158985
表1〜表4より知られるように、実施例の複合樹脂粒子は、63%体積平均粒子径、平均粒子径の分散度、アスペクト比が小さい。このような複合樹脂粒子を発泡させて得られる発泡粒子を成形してなる発泡複合樹脂成形体は、内部融着が良好で、圧縮剛性及びたわみ耐性に優れ、変形による破壊を防止できる。このような複合樹脂粒子、発泡粒子は、特定のアスペクト比及び分散度を有すると共に、粒径が小さい核粒子を用い、さらに重合処方を調整することにより得られる。
これに対し、比較例1、比較例2では、複合樹脂粒子の平均粒子径が大きく、発泡粒子の粒子径が大きくなっていた。そのため、厚みが薄い成形体を作製する金型では、成形時に充填不良が発生した。また、厚みを大きくしても、成形体は、曲げ破断エネルギーの変動係数が大きく、曲げ破断エネルギーにばらつきがあった。
比較例3、比較例4では、複合樹脂粒子の平均アスペクト比が大きすぎるため、厚みが薄い成形体を作製する金型では、発泡粒子の充填性が悪くなった。また、厚みを大きくしても、比較例3、比較例4の成形体は、曲げ破断エネルギーの変動係数が大きく、曲げ破断エネルギーにばらつきがあった。
比較例5においては、複合樹脂粒子の平均粒子径、平均アスペクト比が大きくなっていた。そのため、厚みが薄い成形体を作製する金型では、成形時に充填不良が発生した。また、厚みを大きくしても、比較例5の成形体は、曲げ破断エネルギーが低い。さらに、曲げ破断エネルギーの変動係数が大きく、曲げ破断エネルギーにばらつきがあった。
スチレン系単量体が少なすぎる比較例6の複合樹脂粒子を用いて作製した成形体は、剛性が低下するため、圧縮強度が小さく、曲げ弾性率が低い。そのため、比較例6の成形体は、撓みにより変形しやすく、たわみ耐性が不十分であった。一方、スチレン系単量体が多すぎる比較例7の複合樹脂粒子を用いて作製した成形体は、圧縮強度や曲げ弾性率は高くなるが、曲げ破断エネルギーが不十分であり、変形による破壊が起こりやすくなった。
比較例8では、複合樹脂粒子の平均粒子径が大きすぎるため、厚みが薄い成形体を作製する金型では、発泡粒子の充填性が悪くなった。また、厚みを大きくしても、比較例8の成形体は、曲げ破断エネルギーの変動係数が大きく、曲げ破断エネルギーにばらつきがあった。
以上のように、実施例について説明したが、本発明は、上記の各実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
1 核粒子
2 押出機
21 ダイ
22 カッターチャンバー
221 循環水
23 カッター
24 遠心分離器
実施例における、複合樹脂粒子の造粒装置を示す説明図。 実施例における、複合樹脂粒子の形状を示す説明図。
ダイ孔の直径は、0.6mm以下であることが好ましく、055mm以下であることがより好ましく、0.5mm以下であることがさらに好ましい。ダイ孔の直径が小さすぎると、核粒子製造中にダイ孔が閉塞しやすくなることから、ダイ孔の直径は0.3mm以上とすることが好ましく、0.35mm以上とすることがより好ましく、0.4mm以上とすることがさらに好ましい。

Claims (4)

  1. エチレン系樹脂を含む粒子にスチレン系単量体を含浸重合してなる複合樹脂粒子であって、
    上記エチレン系樹脂100質量部に対する上記スチレン系単量体の由来の成分の含有割合が400質量部を超え1900質量部以下であり、
    上記複合樹脂粒子の平均アスペクト比が1.30以下であり、
    上記複合樹脂粒子の63%体積平均粒子径d63、90%体積平均粒子径d90、及び10%体積平均粒子径d10が下記の式I及び式IIの関係を満足する、複合樹脂粒子。
    0.8mm≦d63≦1.6mm ・・・ 式I
    (d90−d10)/d63<0.40 ・・・ 式II
  2. 全反射吸収赤外分光分析により測定された、上記複合樹脂粒子の表面の赤外線吸収スペクトルにおける波数698cm-1及び波数2850cm-1での吸光度比A698/A2850が2以下である、請求項1に記載の複合樹脂粒子。
  3. 上記吸光度比A698/A2850の変動係数が0.2以下である、請求項2に記載の複合樹脂粒子。
  4. エチレン系樹脂にスチレン系単量体を含浸重合してなる複合樹脂を基材樹脂とする複合樹脂発泡粒子であって、
    上記エチレン系樹脂100質量部に対する上記スチレン系単量体由来の成分の含有割合が400質量部を超え1900質量部以下であり、
    上記複合樹脂発泡粒子の平均アスペクト比が1.30以下であり、
    上記複合樹脂発泡粒子の見掛け密度Da、63%体積平均粒子径d63、90%体積平均粒子径d90、及び10%体積平均粒子径d10が下記の式III〜式Vの関係を満足する、複合樹脂発泡粒子。
    20kg/m3≦Da≦200kg/m3 ・・・式III
    0.8mm≦(Da/1000)1/3×d63≦1.6mm ・・・式IV
    (d90−d10)/d63<0.50 ・・・式V
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