JP2018158304A - ゼオライト膜エレメント及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】十分な透過流束を確保しつつ耐久性を向上させることができるゼオライト膜エレメントを提供すること。【解決手段】本発明のゼオライト膜エレメントは、多孔質支持体表面16にゼオライト膜31が形成された多孔質支持体−ゼオライト膜複合体の構造を有する。ゼオライト膜31は、第1の平均粒径D1を有する粗大粒子41と、第1の平均粒径D1よりも値が小さい第2の平均粒径D2を有する微細粒子42とを含んで構成される。粗大粒子41からなるゼオライト膜本体32の表面上に微細粒子42が析出している。第2の平均粒径D2を基準とした第1の平均粒径D1の大きさ(D1/D2)として定義される粒径比Drは、2≦Dr≦10の条件を満たしている。【選択図】図3

Description

本発明は、ゼオライト膜エレメント及びその製造方法に関するものである。
ゼオライトは、分子と同程度の大きさの細孔を有する結晶性アルミノケイ酸塩である。そして、ゼオライトからなる膜(ゼオライト膜)は、分子のサイズや形状の違いに応じて選択的に分子を透過させる性質を有するため、分子ふるいとして広く利用されている。例えば、ゼオライト膜は、バイオエタノールの製造工程、具体的には、エタノールを脱水する工程において、脱水用の膜として利用されている。
また、近年、ゼオライト膜の性能を向上させるための技術が種々提案されている(例えば、特許文献1〜4参照)。特許文献1には、合成後のゼオライト膜に対してアルカリ溶液を塗布し、加圧条件下で加熱処理を行うことにより、ゼオライト膜に生じた空隙(ピンホールやクラック)を埋める技術が開示されている。このようにすれば、緻密なゼオライト膜が形成されるため、ゼオライト膜の分離性能が向上して透過流束が増加する。また、特許文献2には、合成後のゼオライト膜に対して水中で加熱処理を行うことにより、ゼオライト膜の分離性能を向上させて透過流束を増加させる技術が開示されている。さらに、特許文献3には、合成後のゼオライト膜の表面を、Si原子を2つ以上含む材料によって処理することにより、ゼオライト膜の化学的安定性や分離性能を向上させる技術が開示されている。また、特許文献4には、合成後のゼオライト膜に再度種結晶を塗布することにより、ゼオライト膜に生じた欠陥部分を埋めた後、再度合成することにより、緻密で薄いゼオライト膜を得る技術が開示されている。
特開2009−011989号公報(図2等) 特開2013−013884号公報([0013]等) 特開2015−044163号公報([0010]等) 特開2016−190200号公報(図2等)
しかしながら、特許文献1に記載の従来技術では、ゼオライトの一部がアルカリ溶液中で溶解して溶解物となるが、アルカリ溶液中における溶解物の化学的安定性は低いため、ゼオライト膜の耐久性が低下するという問題がある。さらに、特許文献2に記載の従来技術では、水中での加熱処理に起因して、ゼオライト膜の粒界にあるアモルファス層からのゼオライトの溶け出しや、ゼオライト膜に含まれるカチオンの溶け出し(カウンターカチオンのイオン交換)が生じてしまう。よって、この場合も、ゼオライト膜の耐久性が低下するという問題がある。なお、特許文献3に記載の従来技術は、ゼオライト膜の化学安定性を向上させて耐久性を向上させる技術であるが、Si原子を2つ以上含む材料がゼオライト膜の細孔を閉塞する虞があるため、透過抵抗が大きくなり、透過流束が減少するという問題がある。また、特許文献4に記載の従来技術は、ゼオライト膜の分離性能を向上させて透過流束を増加させる技術であるが、ゼオライト膜の耐久性向上を目的とした技術ではない。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、十分な透過流束を確保しつつ耐久性を向上させることができるゼオライト膜エレメント及びその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するための手段(手段1)としては、多孔質支持体表面にゼオライト膜が形成されている多孔質支持体−ゼオライト膜複合体の構造を有するエレメントであって、前記ゼオライト膜は、第1の平均粒径(D1)を有する粗大粒子と、第1の平均粒径(D1)よりも値が小さい第2の平均粒径(D2)を有する微細粒子とを含んで構成されるとともに、前記粗大粒子からなるゼオライト膜本体の表面上に前記微細粒子が析出しており、前記第2の平均粒径(D2)を基準とした前記第1の平均粒径(D1)の大きさ(D1/D2)として定義される粒径比(Dr)が、2≦Dr≦10の条件を満たしていることを特徴とするゼオライト膜エレメントがある。
従って、上記手段1に記載の発明では、ゼオライト膜を構成するゼオライト膜本体が、微細粒子よりも平均粒径が大きい粗大粒子からなるため、ゼオライト膜本体において粒子同士の継ぎ目となる箇所(粒界)が少なくなり、ゼオライト膜本体の強度が確保される。また、ゼオライト膜本体の表面上であって粗大粒子の表面が露出する部分に微細粒子が析出することにより、粗大粒子の露出面積が減少するため、ゼオライト膜本体の表面が補強される。さらに、ゼオライト膜本体の表面上であって粒界が位置する部分に微細粒子が析出することにより、アモルファス層がある粒界が微細粒子によって塞がれるため、ゼオライト膜本体の粒界が補強される。従って、これらの作用により、ゼオライト膜、ひいては、ゼオライト膜エレメントの耐久性を向上させることができる。
また、微細粒子がゼオライト膜本体の表面を被覆する面積を調節することにより、微細粒子が粗大粒子の細孔を閉塞する可能性を小さくすることができる。この場合、微細粒子を析出させたとしても、透過抵抗が増大しにくくなるため、十分な透過流束を確保することができる。
さらに、上記手段1では、第2の平均粒径(D2)を基準とした第1の平均粒径(D1)の大きさ(D1/D2)として定義される粒径比(Dr)が、2≦Dr≦10の条件を満たしている。仮に、粒径比(Dr)が2未満になる場合(即ち、粗大粒子に対して微細粒子が大きすぎる場合)には、粗大粒子によって構成されたゼオライト膜本体の表面の凹凸に対して微細粒子を挿入できなくなったり、微細粒子同士が干渉したりするため、微細粒子によって粒界を上手く塞ぐことができない。その結果、粒界の補強が不十分となり、ゼオライト膜の耐久性を向上させることができなくなる。一方、粒径比(Dr)が10よりも大きくなる場合(即ち、粗大粒子に対して微細粒子が小さすぎる場合)には、1つ当りの微細粒子によって被覆されるゼオライト膜本体の表面の面積が小さくなる。その結果、ゼオライト膜本体の表面の補強が不十分となり、この場合も、ゼオライト膜の耐久性を向上させることができなくなる。
上記ゼオライト膜エレメントは、多孔質支持体表面にゼオライト膜が形成されている多孔質支持体−ゼオライト膜複合体の構造を有する構造体である。ところで、ゼオライト膜を形成した際に、ゼオライト膜本体を構成する結晶が多孔質支持体側に成長し、多孔質支持体表面よりも内側(多孔質支持体内)にゼオライトの浸み込み層が形成される場合がある。この場合、多孔質支持体の表面は、多孔質支持体表面を指すのか、多孔質支持体と浸み込み層との界面を指すのかが不明確になる。そこで、本発明では、浸み込み層が形成されるか否かにかかわらず、「多孔質支持体表面」を多孔質支持体の表面と規定するものとする。
なお、多孔質支持体は、例えばセラミック製であることが好ましい。多孔質支持体を構成するセラミック材料としては、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化珪素、窒化ホウ素、ジルコニア、チタニア、ムライト、マグネシア、セリア、ドープセリア及びこれらの混合物などを挙げることができる。また、多孔質支持体の形成材料としては、上記のようなセラミックのほか、例えばガラスや金属(ステンレス等)などを用いてもよく、導電性の有無を問わず材料を選択することができる。なお、これらのような無機材料だけではなく、例えば合成樹脂のような有機材料を用いることもできる。
また、ゼオライト膜を構成するゼオライトとしては、例えば、MOR型(モルデナイト型)のゼオライト、CHA型(チャバサイト型)のゼオライト、A型のゼオライトなどを挙げることができるが、特には、MOR型のゼオライトからなることが好ましい。MOR型のゼオライトは、耐水性や耐酸性に優れ、親水性を有するゼオライトであるため、透過流束が多く、耐久性が高いゼオライト膜を得ることができる。なお、CHA型のゼオライトも、耐久性が高いゼオライトであるが、MOR型のゼオライトよりも親水性が低く、透過流束が少ない。また、A型のゼオライトは、親水性に優れるが、耐水性が低いため、高含水領域では使用できないという問題がある。
さらに、ゼオライト膜は、第1の平均粒径(D1)を有する粗大粒子と、第1の平均粒径(D1)よりも値が小さい第2の平均粒径(D2)を有する微細粒子とを含んで構成されている。粗大粒子の第1の平均粒径(D1)は特に限定されないが、例えば、第1の平均粒径(D1)が、0.6μm≦D1≦3.0μmの条件を満たしていることが好ましい。このようにすれば、透過流束を減少させることなく、ゼオライト膜の耐久性を向上させることができる。仮に、第1の平均粒径(D1)が0.6μm未満になる場合(即ち、第1の平均粒径(D1)が小さすぎる場合)には、析出させた微細粒子によって粒界を塞いだとしても、粒界を十分に補強できないため、ゼオライト膜の耐久性を十分に向上させることができない。一方、第1の平均粒径(D1)が3.0μmよりも大きくなる場合(即ち、第1の平均粒径(D1)が大きすぎる場合)には、物質の透過流路である粗大粒子の細孔が長くなるため、透過抵抗が大きくなり、透過流束が減少する要因となる。
また、微細粒子の第2の平均粒径(D2)は特に限定されないが、例えば、第2の平均粒径(D2)が、0.15μm≦D2≦0.4μmの条件を満たしていることが好ましい。このようにすれば、透過流束を減少させることなく、ゼオライト膜の耐久性を向上させることができる。仮に、第2の平均粒径(D2)が0.15μm未満になる場合(即ち、第2の平均粒径(D2)が小さすぎる場合)には、微細粒子によって粗大粒子の表面を覆ったとしても、1つ当りの微細粒子が膜表面を被覆する面積が小さくなるため、ゼオライト膜本体の表面を十分に補強することができない。一方、第2の平均粒径(D2)が0.4μmよりも大きくなる場合(即ち、第2の平均粒径(D2)が大きすぎる場合)には、微細粒子が隣接する粗大粒子間に侵入しにくくなるため、微細粒子によって確実に粒界を塞ぐことができない。その結果、粒界を十分に補強できないため、ゼオライト膜の耐久性を十分に向上させることができない。
なお、微細粒子は、ゼオライト膜本体の表面の5%以上50%以下の面積を被覆していることが好ましい。このようにすれば、透過流束を減少させることなく、ゼオライト膜の耐久性を向上させることができる。仮に、微細粒子が、ゼオライト膜本体の表面の5%未満の面積しか被覆しない場合には、微細粒子によって粗大粒子の表面を覆ったとしても、ゼオライト膜本体の表面を十分に補強することができないため、ゼオライト膜の耐久性を十分に向上させることができない。一方、微細粒子が、ゼオライト膜本体の表面の50%よりも広い面積を被覆する場合には、微細粒子が物質の透過流路である粗大粒子の細孔を塞ぐ可能性が高くなるため、透過抵抗が大きくなり、透過流束が減少する要因となる。
また、ゼオライト膜の厚さは、透過させたい物質のみを透過して透過させたくない物質を透過させないという基本的性質を担保できるのであれば、任意の厚さに設定することができる。よって、ゼオライト膜の平均膜厚は、例えば、1.0μm以上10.0μm以下であることが好ましい。このようにすれば、透過流束を減少させることなく、ゼオライト膜の耐久性を向上させることができる。仮に、ゼオライト膜の平均膜厚が1.0μm未満になると、分子ふるいとしての機能を発揮するゼオライト膜の有効膜厚が小さくなるため、ゼオライト膜が僅かに劣化したとしても、透過させたくない物質の漏れ量が増大するリスクが高まってしまう。即ち、ゼオライト膜の耐久性が低下してしまう。一方、ゼオライト膜の平均膜厚が10.0μmよりも大きくなると、分子ふるいとしての機能を発揮するゼオライト膜の有効膜厚が大きくなってしまう。その結果、ゼオライト膜を透過する物質の移動経路が長くなるため、透過抵抗が大きくなり、透過流束が減少する要因となる。
また、上記課題を解決するための別の手段(手段2)としては、上記手段1に記載のゼオライト膜エレメントを製造する方法であって、多孔質支持体表面上にて粗大粒子からなるゼオライト膜本体を合成した後、そのゼオライト膜本体上にて微細粒子からなるゼオライト粒子を合成することを特徴とするゼオライト膜エレメントの製造方法がある。
従って、手段2に記載の発明によると、ゼオライト膜本体上であって粗大粒子の表面が露出する部分に微細粒子からなるゼオライト粒子を合成することにより、粗大粒子の露出面積が減少するため、ゼオライト膜本体の表面が補強される。また、ゼオライト膜本体上であって粒界が位置する部分にゼオライト粒子を合成することにより、アモルファス層がある粒界がゼオライト粒子によって塞がれるため、ゼオライト膜本体の粒界が補強される。従って、これらの作用により、ゼオライト膜、ひいては、ゼオライト膜エレメントの耐久性を向上させることができる。
また、微細粒子がゼオライト膜本体の表面を被覆する面積を調節することにより、微細粒子が粗大粒子の細孔を閉塞する可能性を小さくすることができる。この場合、微細粒子を析出させたとしても、透過抵抗が増大しにくくなるため、十分な透過流束を確保することができる。
なお、ゼオライト粒子(微細粒子)を合成するときの温度を、ゼオライト膜本体(粗大粒子)を合成するときの温度よりも低く設定することが好ましい。このようにすれば、ゼオライト粒子を合成する際に、ゼオライト膜本体の膜厚や、粗大粒子の粒径等を変化させることなく、ゼオライト粒子を析出させることができる。また、ゼオライト膜本体の最表面や粒界から微量に溶解する成分を消費しながら、粗大粒子の表面や粒界上にゼオライト粒子を再析出させることができるため、ゼオライト膜本体と強固に固着するゼオライト粒子を得ることができる。仮に、ゼオライト粒子を合成するときの温度が、ゼオライト膜本体を合成するときの温度よりも高くなると、ゼオライト粒子の析出以外に、粗大粒子の結晶成長も生じてしまうため、ゼオライト膜本体の性能が低下する虞がある。
(a)は本実施形態のゼオライト膜エレメントを示す概略断面図、(b)はゼオライト膜エレメントにねじ部と真空排気管とを接続した状態を示す概略正面図。 本実施形態(試料1)において、多孔質支持体及びゼオライト膜の破断面を示すSEM写真。 ゼオライト膜を構成する粗大粒子及び微細粒子を示す概略断面図。 試料1におけるゼオライト膜の表面を示すSEM写真。 比較例5におけるゼオライト膜の表面を示すSEM写真。 第1の平均粒径の算出方法を説明するための図。 第2の平均粒径の算出方法を説明するための図。 図4の一部を拡大して示すSEM写真。 微細粒子の被覆率を説明するための図。 浸透気化分離装置を示す概略構成図。
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に基づき詳細に説明する。
図1(a)に示される本実施形態のゼオライト膜エレメント11は、エタノールから同エタノールに含まれている水を分離するためのフィルタであって、多孔質支持体12、金属管21、金属ロッド22及びゼオライト膜31等を備えている。
多孔質支持体12は、第1端(図1(a)では上端)において開口する第1開口部13と第2端(図1(a)では下端)において開口する第2開口部14とを有する円筒状の部材である。この多孔質支持体12は、多孔質支持体表面16と多孔質支持体裏面17との間でエタノールを透過しうる性質を有する多孔質セラミックを用いて形成されている。本実施形態では、厚さが1.5mm、気孔率が43%、平均気孔径が3μmのアルミナ(Al)を用いて、多孔質支持体12を形成している。
多孔質支持体12の第1開口部13には、円筒状の金属管21が熱収縮チューブ23によって接合されている。一方、多孔質支持体12の第2開口部14には、略円柱状の金属ロッド22が熱収縮チューブ24によって接合されている。なお、ゼオライト膜本体32の表面33と熱収縮チューブ23の内側面との間や、ゼオライト膜本体32の表面33と熱収縮チューブ24の内側面との間には、グリス25(図1(a)参照)が介在している。その結果、多孔質支持体12と金属管21と金属ロッド22とによって基体20が構成され、多孔質支持体12の内側に内部空間26が形成される。なお、金属管21及び金属ロッド22は、液体透過性を有しない金属材料(本実施形態では、ステンレス)を用いて形成されている。熱収縮チューブ23,24は、熱収縮性を有するシート状の樹脂材料(例えば、ポリオレフィン、フッ素系ポリマー、熱可塑性エラストマー(TPE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)など)を用いて形成された2重構造のチューブである。また、本実施形態のグリス25としては、フッ素グリスやシリコーングリスなどが用いられている。
また、図1(b)に示されるように、金属管21には、モジュールなどに取り付けるねじ部51と、真空排気するための管(即ち、真空排気管52)とが接続されている。一方、金属ロッド22は、多孔質支持体12の第2開口部14を封止するためのものである。
図1,図2に示されるように、多孔質支持体12の多孔質支持体表面16上には、同多孔質支持体表面16全体を被覆するゼオライト膜31が形成されている。即ち、本実施形態のゼオライト膜エレメント11は、多孔質支持体−ゼオライト膜複合体の構造を有している。ゼオライト膜31は、ゼオライト膜エレメント11の外側に供給されたエタノールから水を分離し、分離した水を蒸気の状態で多孔質支持体12側に透過させるためのものである。そして、ゼオライト膜31を透過した水(透過液)は、多孔質支持体12を通過する。なお、ゼオライト膜31の平均膜厚は、多孔質支持体12の厚さ(1.5mm)よりも薄くなっており、1.0μm以上10.0μm以下(本実施形態では1.5μm)となっている。
図3に示されるように、ゼオライト膜31は、粗大粒子41と微細粒子42とを含んで構成されている。粗大粒子41は、第1の平均粒径D1を有している。第1の平均粒径D1は、0.6μm≦D1≦3.0μmの条件を満たしており、本実施形態では0.67μmとなっている。一方、微細粒子42は、第1の平均粒径D1よりも値が小さい第2の平均粒径D2を有している。第2の平均粒径D2は、0.15μm≦D2≦0.4μmの条件を満たしており、本実施形態では0.19μmとなっている。そして、第2の平均粒径D2を基準とした第1の平均粒径D1の大きさ(=D1/D2)として定義される粒径比Drは、2≦Dr≦10の条件を満たしている。なお、本実施形態の粒径比Drは、3.53(≒0.67/0.19)となる。
また、微細粒子42は、粗大粒子41からなるゼオライト膜本体32の表面33(図1(a)参照)上に析出している。微細粒子42は、ゼオライト膜本体32の表面33の5%以上50%以下(本実施形態では29.58%)の面積を被覆している。換言すると、微細粒子42がゼオライト膜本体32の表面33を被覆する割合(被覆率)は、29.58%である。さらに、微細粒子42は、粗大粒子41同士の継ぎ目となる箇所(粒界)にも析出している。なお、ゼオライト膜本体32や、微細粒子42からなるゼオライト粒子43は、ともにSi/Al比が5以上9以下(本実施形態では7)のMOR型のゼオライトからなっている。
なお、上述したように、本実施形態のゼオライト膜エレメント11は、エタノールから同エタノールに含まれている水を分離するようになっている。詳述すると、まず、ゼオライト膜エレメント11をエタノールに浸漬し、内部空間26を減圧する。このとき、ゼオライト膜31によってエタノールから水分子が分離され、分離された水分子はゼオライト膜31及び多孔質支持体12を透過し、内部空間26に移動する。
ところで、本実施形態のゼオライト膜31を構成する粗大粒子41は、内径が0.4nm程度の細孔44(図3参照)を内部に有している。また、エタノールに含まれている水の分子径は、細孔44の内径よりも小さく、0.35nm程度である。一方、エタノールの分子径は、細孔44の内径よりも大きく、0.45nm程度である。よって、ゼオライト膜31に接したエタノールにおいては、エタノールに含まれている水のみが蒸気の状態になってゼオライト膜31及び多孔質支持体12を順番に透過し、ゼオライト膜エレメント11の内部に吸入される。一方、エタノール分子は、細孔44の内径よりも大きいため、ゼオライト膜31を透過することができない。その結果、エタノールは脱水される。
次に、ゼオライト膜エレメント11の製造方法を説明する。
まず、ゼオライト膜エレメント11を構成する多孔質支持体12を押出成形により作製する。具体的には、所定量のアルミナ粉末に、バインダ、焼結助剤等を添加した後、ミキサーで混合、混錬し、粘土状の押出成形用秤土を得る。次に、押出成形機を用いて多孔質支持体12の前駆体を成形する。そして、成形した前駆体を、温風乾燥機を用いて乾燥することにより、多孔質支持体12の形状(即ち円筒状)と同じ形状の成形体を得る。その後、成形体を脱脂し、大気雰囲気下にて1500℃で焼成することにより、多孔質支持体12を得る。さらに、得られた多孔質支持体12に対してディップコーティングを行った後、再び乾燥、脱脂、焼成を行い、多孔質支持体表面16に中間層を形成する。
次に、ゼオライト層形成工程を行う。平均粒径200nmのゼオライト粉末を純水中に分散させ、種結晶スラリーを調製する。次に、得られた種結晶スラリーを、スプレーやディップコート等の手法を用いて多孔質支持体表面16全体に塗布し、多孔質支持体12に浸み込ませる。次に、種結晶スラリーが塗布されることによって湿潤状態となった多孔質支持体12を、50℃の温風乾燥機中で12時間乾燥する。この時点で、多孔質支持体12が、種結晶スラリーに含まれるゼオライトの種結晶が付着した種結晶担持支持体となる。
次に、純水にアルカリ源及びアルミ源を溶解し、これを撹拌しながらフッ素源及びシリカ源の溶液を添加して、合成組成の水溶液を調製する。次に、得られた水溶液を室温で6時間撹拌し、合成液を生成する。そして、オートクレーブに合成液を充填し、種結晶担持支持体を合成液に浸漬し、オートクレーブを密閉状態にする。次に、オートクレーブを、170℃以上195℃以下で6時間、自生圧力下で加熱する。その結果、多孔質支持体表面16に付着した種結晶が粗大粒子41になり、多孔質支持体表面16上に、粗大粒子41からなるゼオライト膜本体32が合成される。
ゼオライト膜本体32の合成後、ゼオライト膜本体32が形成された多孔質支持体12を純水で洗浄する。また、ゼオライト膜本体32の合成に用いた合成液と同様の合成液を生成する。そして、オートクレーブに合成液を充填し、ゼオライト膜本体32が形成された多孔質支持体12を合成液に浸漬し、オートクレーブを密閉状態にする。次に、オートクレーブを、130℃以上、より好ましくは150℃以上160℃以下で6時間、自生圧力下で加熱する。その結果、ゼオライト膜本体32の表面33上や粗大粒子41の粒界上に微細粒子42が析出し、ゼオライト膜本体32上に、微細粒子42からなるゼオライト粒子43が合成される。即ち、ゼオライト粒子43を合成するときの温度は、ゼオライト膜本体32を合成するときの温度(170℃以上195℃以下)よりも低く設定されている。なお、この時点で、ゼオライト膜31が形成される。
ゼオライト膜31の合成後、ゼオライト膜31が形成された多孔質支持体12を純水で洗浄し、50℃の温風乾燥機中で乾燥させる。その後、ゼオライト膜31の外側面と金属管21の外周面とにグリス25を塗布する(図1(a)参照)。同様に、ゼオライト膜31の外側面と金属ロッド22の外周面とにグリス25を塗布する。さらに、熱収縮チューブ23の両端開口部に対して多孔質支持体12と金属管21とをそれぞれ挿入し、グリス25の塗布部を覆うように熱収縮チューブ23を熱収縮させる。その結果、多孔質支持体12の第1開口部13に金属管21が接合される。また、多孔質支持体12の孔部(第2開口部14)に対して金属ロッド22の凸部27を嵌め込んだ後、多孔質支持体12と金属ロッド22との接続部分を熱収縮チューブ24に挿入し、グリス25の塗布部を覆うように熱収縮チューブ24を熱収縮させる。その結果、多孔質支持体12の第2開口部14に金属ロッド22が接合される。なお、この時点で、ゼオライト膜エレメント11が完成する。
次に、ゼオライト膜の評価方法及びその結果を説明する。
まず、測定用サンプルを次のように準備した。本実施形態のゼオライト膜31とほぼ同じゼオライト膜を準備し、これを試料1とした。また、加熱温度(130℃〜200℃)、加熱時間(3時間〜120時間)、合成液の組成(Si/Al比、アルカリ量、フッ素量、構造規定材量、水量等)を変化させた状態で粗大粒子41を生成するとともに、同じく加熱温度、加熱時間、合成液の組成を変化させた状態で微細粒子42を析出させることにより、ゼオライト膜を準備し、これを試料2〜10,比較例1〜4とした。さらに、粗大粒子41のみを有し、微細粒子42を有しないゼオライト膜を準備し、これを比較例5とした。
次に、各測定用サンプル(試料1〜10、比較例1〜5)のゼオライト膜の表面を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察した。そして、ゼオライト膜の表面を示すSEM写真に基づいて、粗大粒子41の第1の平均粒径D1、微細粒子42の第2の平均粒径D2、及び、微細粒子42の被覆率を算出した。なお、図4は、試料1におけるゼオライト膜の表面を示すSEM写真であり、図5は、比較例5におけるゼオライト膜の表面を示すSEM写真である。
まず、第1の平均粒径D1及び第2の平均粒径D2を、インターセプト法を用いて算出した。詳述すると、粗大粒子41が略球形状であると仮定し、取得したSEM写真の画像(図4参照)において、複数の粗大粒子41上を通過する基準線L1を設定した(図6参照)。次に、設定した基準線L1が各粗大粒子41を横切る長さをそれぞれ測定した。そして、測定した長さの平均値を1.5倍することにより、第1の平均粒径D1を算出した。同様に、微細粒子42が略球形状であると仮定し、取得したSEM写真の画像(図4参照)において、複数の微細粒子42上を通過する基準線L2を設定した(図7参照)。次に、設定した基準線L2が各微細粒子42を横切る長さをそれぞれ測定した。そして、測定した長さの平均値を1.5倍することにより、第2の平均粒径D2を算出した。その後、算出された平均粒径D1,D2に基づいて、第2の平均粒径D2を基準とした第1の平均粒径D1の大きさ(D1/D2)として定義される粒径比Drを算出した。
さらに、微細粒子42がゼオライト膜本体32の表面33を被覆する割合(被覆率)を、以下のようにして算出した。まず、取得したSEM写真の画像のうち、2μm×2μmの領域(図8参照)を抽出し、抽出した領域内において、微細粒子42の部分と、それ以外の部分とを二値化した。具体的には、微細粒子42の部分を黒色で表示し、それ以外の部分を白色で表示した(図9参照)。次に、抽出した領域内からランダムに設定した5箇所の領域において、微細粒子42(黒色)が占める割合をそれぞれ測定し、測定した割合の平均値を微細粒子42の被覆率とした。
また、各測定用サンプルのゼオライト膜を厚さ方向に破断し、その破断面をカーボン蒸着によってコーティングし、コーティングした破断面をSEMを用いて観察した。なお、図2は、試料1におけるゼオライト膜の破断面を示すSEM写真である。そして、ゼオライト膜の破断面を示すSEM写真に基づいて、ゼオライト膜31の平均膜厚を算出した。具体的には、取得したSEM写真の画像(図2参照)から、ゼオライト膜31の厚さを3箇所で測定し、測定した厚さの平均値を平均膜厚とした。
さらに、各測定用サンプルに対して浸透気化分離を行い、ゼオライト膜の透過流束を測定した。具体的には、測定用サンプル(ゼオライト膜)が装着可能なゼオライト膜エレメント11を用いて、図10に示されるような浸透気化分離装置61を作製した。この浸透気化分離装置61は、50重量%のエタノール水溶液62(70℃)から水分子を分離する処理を行う分離処理槽63と、ゼオライト膜エレメント11を透過した水分子を冷却して捕集する冷却トラップ64とを備えている。
分離処理槽63内には、エタノール水溶液62を撹拌して均一にするためのスターラ65が投入されている。この分離処理槽63には、ねじ部51を介して真空排気管52を接続したゼオライト膜エレメント11が挿入されている。
分離処理槽63と冷却トラップ64との間には、ゼオライト膜エレメント11にて分離された水分子を分離処理槽63から送出する分離管66が設けられ、その経路上には分離管66内の圧力を測定する圧力計67が設けられている。分離された水分子は冷却トラップ64に捕集される。さらに、真空排気用に排出管68が設けられ、その経路上には、内部空間26、分離管66、冷却トラップ64及び排出管68を減圧するための真空ポンプ69が設けられている。
そして、この浸透気化分離装置61を利用して浸透気化分離を実施した。まず、測定用サンプル(ゼオライト膜)を、予め20重量%のエタノール水溶液(130℃)に浸漬しておく。そして、透過流束の測定時に、浸漬しておいた測定用サンプルを取り出し、取り出した測定用サンプルをゼオライト膜エレメント11に装着した。さらに、ゼオライト膜エレメント11を分離処理槽63に挿入し、50重量%のエタノール水溶液62(70℃)から水を分離する処理(浸透気化分離)を行った。このとき、冷却トラップ64に捕集された透過液の質量を測定した。各試料の透過流束は、「透過流束(kg/(m・h))=透過液の単位時間当りの透過重量(kg/h)/ゼオライト膜の面積(m)」の式を用いて算出した。さらに、得られた透過液をガスクロマトグラフィにて分析することにより、透過液中のエタノール濃度を測定した。透過液中のエタノールの濃度が10重量%を超えた時点での、20重量%のエタノール水溶液(130℃)に対する累積浸漬時間を耐久時間とした。以上の結果を表1に示す。
その結果、比較例1では、粒径比Drが1.84(<2)であり、粗大粒子41に対して微細粒子42が大きすぎるため、微細粒子42によって粒界を上手く塞ぐことができない。その結果、粒界の補強が不十分となり、ゼオライト膜の耐久性が低くなる(即ち、耐久時間が短くなる)ことが確認された。また、比較例2では、粒径比Drが11.64(>10)であり、粗大粒子41に対して微細粒子42が小さすぎるため、1つ当りの微細粒子42によって被覆されるゼオライト膜本体の表面の面積が小さくなる。その結果、ゼオライト膜本体の表面の補強が不十分となり、ゼオライト膜の耐久性が低くなることが確認された。さらに、比較例3〜5では、粗大粒子41と微細粒子42との判別ができないため、ゼオライト膜の耐久性が低くなることが確認された。特に、比較例5では、微細粒子42自体が存在しておらず、粗大粒子41が微細粒子42によって補強されることはないため、ゼオライト膜の耐久性が低くなることが確認された。
なお、試料7では、比較例1〜5よりも耐久性が高い(即ち、耐久時間が長い)ことが確認されたが、微細粒子42の被覆率が50.60%(>50%)であって高い。その結果、微細粒子42が粗大粒子41の細孔44を塞ぐ可能性が高くなるため、透過流束が減少することが確認された。一方、試料8では、比較例1〜5よりも耐久性が高いことが確認されたが、微細粒子42の被覆率が4.83%(<5%)であって低い。その結果、微細粒子42によって粗大粒子41を十分に補強できないため、十分な耐久性を有しないことが確認された。
また、試料5では、比較例1〜5よりも耐久性が高いことが確認されたが、第2の平均粒径D2が0.13μm(<0.15μm)であって小さい。その結果、微細粒子42によって粗大粒子41の表面を覆ったとしても、1つ当りの微細粒子42が膜表面を被覆する面積が小さくなるため、ゼオライト膜本体32の補強が不十分となり、十分な耐久性を有しないことが確認された。一方、試料6では、比較例1〜5よりも耐久性が高いことが確認されたが、第2の平均粒径D2が0.42μm(>0.4μm)であって大きい。その結果、微細粒子42が隣接する粗大粒子41間に侵入しにくくなり、微細粒子42によって粒界を塞ぐことが困難になるため、粒界の補強が不十分となり、十分な耐久性を有しないことが確認された。
さらに、試料4では、比較例1〜5よりも耐久性が高いことが確認されたが、第1の平均粒径D1が0.58μm(<0.6μm)であって小さい。その結果、析出させた微細粒子42によって粒界を塞いだとしても、粒界の補強が不十分となるため、十分な耐久性を有しないことが確認された。一方、上記した試料8では、第1の平均粒径D1が3.36μm(>3.0μm)であって大きい。その結果、水の透過流路である粗大粒子41の細孔44が長くなり、圧力損失が大きくなる。その結果、透過流束が減少することが確認された。
また、試料3では、比較例1〜5よりも耐久性が高いことが確認されたが、平均膜厚が12.4μm(>10μm)であって厚い。その結果、ゼオライト膜を透過する水分子の移動経路が長くなるため、透過抵抗が大きくなり、透過流束が減少することが確認された。一方、上記した試料5では、平均膜厚が0.9μm(<1.0μm)であって薄い。その結果、分子ふるいとしての機能を発揮するゼオライト膜の有効膜厚が小さくなるため、ゼオライト膜が僅かに劣化したとしても、エタノールの漏れ量が増大するリスクが高まってしまう。よって、十分な耐久性を有しないことが確認された。また、試料9,10は、比較例1〜5よりも耐久性が高いことが確認されたが、ゼオライト膜は、MOR型よりもSi/Al比が高く、親水性が低いCHA型のゼオライトからなるため、透過流束が減少することが確認された。
なお、試料1,2では、十分な耐久性を有し、十分な透過流束を確保できることが確認された。以上のことから、粒径比Drを2≦Dr≦10、被覆率を5%以上50%以下、第1の平均粒径D1を0.6μm以上3.0μm以下、第2の平均粒径D2を0.15μm以上0.4μm以下、平均膜厚を1.0μm以上10.0μm以下に設定したMOR型のゼオライトを用いてゼオライト膜を形成すれば、透過流束が確保されかつ耐久性が向上することが証明された。
従って、本実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
(1)本実施形態のゼオライト膜エレメント11では、ゼオライト膜本体32が、微細粒子42よりも平均粒径が大きい粗大粒子41からなっている。その結果、ゼオライト膜本体32において粗大粒子41同士の継ぎ目となる箇所(粒界)が少なくなり、結晶構造の崩壊が生じにくくなるため、ゼオライト膜本体32の強度が確保される。また、ゼオライト膜本体32の表面33上であって粗大粒子41の表面が露出する部分に微細粒子42が析出することにより、粗大粒子41の露出面積が減少するため、ゼオライト膜本体32の表面33が補強される。さらに、ゼオライト膜本体32の表面33上であって粒界が位置する部分に微細粒子42が析出することにより、アモルファス層がある粒界が微細粒子42によって塞がれるため、ゼオライト膜本体32の粒界が補強される。従って、これらの作用により、ゼオライト膜31、ひいては、ゼオライト膜エレメント11の耐久性を向上させることができる。
(2)一般的に、ゼオライト膜31の耐久性を向上させたい場合には、ゼオライト膜31の膜厚を増加させる。しかしながら、膜厚を増加させた場合には圧力損失が増加し、透過流束が減少してしまう。一方、ゼオライト膜31の透過流束を増加させたい場合には、ゼオライト膜31の膜厚を減少させる。しかしながら、この手法は、耐久性を向上させる場合とは逆の手法であるため、耐久性は低下してしまう。そこで、本実施形態では、ゼオライト膜31の平均膜厚を1.0μm以上10.0μm以下(具体的には1.5μm)としている。その結果、ゼオライト膜31において、高い耐久性と十分な透過流束の確保とを両立させることができる。
(3)本実施形態のゼオライト膜エレメント11は、多孔質支持体12の多孔質支持体表面16上にゼオライト膜31を支持させることにより形成されている。ゆえに、多孔質支持体12によってゼオライト膜エレメント11全体に必要な強度が付与された状態で、ゼオライト膜31が支持される。このため、ゼオライト膜31には必要最小限の強度を付与すればよくなり、ゼオライト膜31を薄いものとすることができる。
(4)本実施形態の製造方法では、粗大粒子41からなるゼオライト膜31を合成した後で、微細粒子42からなるゼオライト粒子43を合成しているため、微細粒子42の結晶形態(数、形状、組成)を容易に制御することができる。また、粗大粒子41を生成する際においても、微細粒子42を析出させる際においても、ともに合成のプロセスを経るため、粗大粒子41と微細粒子42との密着性が強固なものとなる。
(5)本実施形態の製造方法では、多孔質支持体12に種結晶を付着させた後、種結晶を成長させることにより粗大粒子41を生成しているが、微細粒子42は、種結晶を粗大粒子41に付着させる工程を経ることなく、析出するようになっている。その結果、工数が少なくなるため、製造効率の向上及び製造コストの低減が達成しやすくなる。
なお、上記実施形態を以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、粗大粒子41からなるゼオライト膜本体32を合成する工程と、微細粒子42からなるゼオライト粒子43を合成する工程とで同じ合成液を用いていたが、互いに異なる合成液を用いるようにしてもよい。このようにすれば、微細粒子42の結晶形態(数、形状、組成)を容易に制御することができる。
・上記実施形態では、種結晶を粗大粒子41に付着させる工程を経ることなく、微細粒子42が析出するようになっていたが、粗大粒子41に種結晶を付着させた後、種結晶を成長させることにより微細粒子42を生成するようにしてもよい。
・上記実施形態では、ゼオライト膜31(具体的には、粗大粒子41からなるゼオライト膜本体32及び微細粒子42からなるゼオライト粒子43)が、MOR型のゼオライトからなっていたが、他の種類のゼオライトからなっていてもよい。例えば、ゼオライト膜(具体的には、粗大粒子からなるゼオライト膜本体及び微細粒子からなるゼオライト粒子)は、CHA型のゼオライトからなっていてもよい。
なお、ゼオライト膜がCHA型のゼオライトからなる場合、ゼオライト膜は以下のようにして形成される。まず、純水にアルカリ源及びアルミ源を加えて撹拌し、溶解させる。これに構造規定材(テトラメトキシシラン)及びシリカ源の溶剤を添加して撹拌することにより、合成液を生成する。そして、オートクレーブに合成液を充填し、オートクレーブを密閉状態にする。次に、オートクレーブを、所定の温度で、自生圧力下で加熱する。その結果、CHA型のゼオライトの種結晶が合成される。その後、合成した種結晶を、濾過、水洗、乾燥する。次に、合成した種結晶を純水中に分散させ、種結晶スラリーを調製する。さらに、得られた種結晶スラリーを、多孔質支持体12に浸み込ませて湿潤状態にする。次に、多孔質支持体12を乾燥させることにより、多孔質支持体12が、種結晶が付着した種結晶担持支持体となる。
次に、純水にアルカリ源及びアルミ源を加えて撹拌し、溶解させる。これに構造規定材及びシリカ源の溶液を添加して撹拌することにより、合成液を生成する。そして、オートクレーブに合成液と種結晶担持支持体とを入れ、オートクレーブを密閉状態にし、自生圧力下で加熱する。その結果、種結晶が粗大粒子になり、多孔質支持体表面16上に、粗大粒子からなるゼオライト膜本体が合成される。その後、ゼオライト膜本体が形成された多孔質支持体12を純水で洗浄する。そして、ゼオライト膜本体の合成に用いた合成液と同様の合成液とともに、ゼオライト膜本体が形成された多孔質支持体12をオートクレーブに入れ、オートクレーブを密閉状態にし、自生圧力下で加熱する。その結果、ゼオライト膜本体の表面上や粗大粒子の粒界上に微細粒子が析出し、ゼオライト膜が形成される。ゼオライト膜の合成後、ゼオライト膜が形成された多孔質支持体12を純水で洗浄する。その後、ゼオライト膜を500℃で5時間加熱し、ゼオライト膜中に残存している構造規定材を除去する。
・上記実施形態のゼオライト膜エレメント11は、同ゼオライト膜エレメント11の外部にあるエタノールに含まれている水分子を透過させて内部空間26に導くことにより、エタノールから水を分離するようになっていた。しかし、ゼオライト膜エレメント11は、多孔質支持体12の内部空間26に導入されたエタノールに含まれている水分子を透過させて多孔質支持体12の外部に放出することにより、エタノールから水を分離するものであってもよい。その場合、多孔質支持体裏面17上にゼオライト膜が形成されている形態が好ましい。
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
(1)上記手段1において、前記微細粒子が、前記粗大粒子からなる前記ゼオライト膜本体の表面上及び前記粗大粒子同士の粒界に析出していることを特徴とするゼオライト膜エレメント。
(2)上記手段1において、前記ゼオライト膜が、MOR型のゼオライトからなることを特徴とするゼオライト膜エレメント。
(3)上記手段1において、前記粗大粒子からなる前記ゼオライト膜本体及び前記微細粒子からなるゼオライト粒子が、ともにMOR型のゼオライトからなることを特徴とするゼオライト膜エレメント。
(4)上記手段1において、前記ゼオライト膜が、CHA型のゼオライトからなることを特徴とするゼオライト膜エレメント。
(5)上記手段1において、前記粗大粒子からなる前記ゼオライト膜本体及び前記微細粒子からなるゼオライト粒子が、ともにCHA型のゼオライトからなることを特徴とするゼオライト膜エレメント。
(6)多孔質支持体裏面にゼオライト膜が形成されている多孔質支持体−ゼオライト膜複合体の構造を有するエレメントであって、前記ゼオライト膜は、第1の平均粒径(D1)を有する粗大粒子と、第1の平均粒径(D1)よりも値が小さい第2の平均粒径(D2)を有する微細粒子とを含んで構成されるとともに、前記粗大粒子からなるゼオライト膜本体の表面上に前記微細粒子が析出しており、前記第2の平均粒径(D2)を基準とした前記第1の平均粒径(D1)の大きさ(D1/D2)として定義される粒径比(Dr)が、2≦Dr≦10の条件を満たしていることを特徴とするゼオライト膜エレメント。
11…ゼオライト膜エレメント
12…多孔質支持体
16…多孔質支持体表面
31…ゼオライト膜
32…ゼオライト膜本体
33…ゼオライト膜本体の表面
41…粗大粒子
42…微細粒子
43…ゼオライト粒子
D1…第1の平均粒径
D2…第2の平均粒径
Dr…粒径比

Claims (8)

  1. 多孔質支持体表面にゼオライト膜が形成されている多孔質支持体−ゼオライト膜複合体の構造を有するエレメントであって、
    前記ゼオライト膜は、第1の平均粒径(D1)を有する粗大粒子と、第1の平均粒径(D1)よりも値が小さい第2の平均粒径(D2)を有する微細粒子とを含んで構成されるとともに、前記粗大粒子からなるゼオライト膜本体の表面上に前記微細粒子が析出しており、
    前記第2の平均粒径(D2)を基準とした前記第1の平均粒径(D1)の大きさ(D1/D2)として定義される粒径比(Dr)が、2≦Dr≦10の条件を満たしている
    ことを特徴とするゼオライト膜エレメント。
  2. 前記微細粒子が、前記ゼオライト膜本体の表面の5%以上50%以下の面積を被覆していることを特徴とする請求項1に記載のゼオライト膜エレメント。
  3. 前記第2の平均粒径(D2)が、0.15μm≦D2≦0.4μmの条件を満たしていることを特徴とする請求項1または2に記載のゼオライト膜エレメント。
  4. 前記第1の平均粒径(D1)が、0.6μm≦D1≦3.0μmの条件を満たしていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のゼオライト膜エレメント。
  5. 前記ゼオライト膜の平均膜厚が、1.0μm以上10.0μm以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のゼオライト膜エレメント。
  6. 前記ゼオライト膜が、MOR型のゼオライトからなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のゼオライト膜エレメント。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載のゼオライト膜エレメントを製造する方法であって、
    多孔質支持体表面上にて粗大粒子からなるゼオライト膜本体を合成した後、そのゼオライト膜本体上にて微細粒子からなるゼオライト粒子を合成することを特徴とするゼオライト膜エレメントの製造方法。
  8. 前記ゼオライト粒子を合成するときの温度を、前記ゼオライト膜本体を合成するときの温度よりも低く設定することを特徴とする請求項7に記載のゼオライト膜エレメントの製造方法。
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