JP2018157132A - 電磁波シールド部材の接合部構造 - Google Patents

電磁波シールド部材の接合部構造 Download PDF

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Abstract

【課題】地震により、電磁波シールドルームに大きな層間変形角を生じても、広い周波数域において、100dB以上の電磁波シールド性能を有する電磁波シールド部材の接合部構造を提供する。【手段】縦桟3aおよび横桟3bと押え縁材4とにより縁端部四周が挟持されている相隣接するシールド部材2、2、…の縁端部間にスリットwを設け、そのスリットwを両面もしくは片面から覆うように、ウール状ガスケット5を重ねた状態で、綴り材6、6…にて、縦桟3aおよび横桟3bと押え縁材4とを貫通して締め付け、ウール状ガスケット5を押しつぶすことにより密着させて、スリットwで分断されているシールド部材2、2、…相互の電気的導通性を確保すると共に、地震時においても電磁波が漏洩する隙間の発生を抑制する。【選択図】 図2

Description

本発明は、広い周波数域の電磁波に対する高いシールド性能の電磁波シールドルームを可能にする、電磁波シールド部材(以下、単にシールド部材と称す)の接合部構造に関する。
従来、電磁波シールドルームは、鋼板、銅箔、金属メッシュなどの材料から成るシールド部材同士を溶接、はんだ付け、重ねて締めこむ、金物にて挟み込むなどの方法で接合し、シールド性能を実現していた。高い遮蔽性能を要求される場合は、溶接、はんだ付けで接合する例が多いが、地震時の建物の変形に追従することが難しく、建設可能な大きさが限られたり、接合部破断による性能劣化もあった。重ねて締めこむ方法、金物にて挟みこむ方法では、合わせ目に用いる金属繊維等によるシールドガスケット材の種類によりシールド性能が左右され、一般の市販品では、地震時の変形に対応しかつ高い性能を実現することが困難であった。
一方、電磁波シールドルームに対して、例えば1/700以上の層間変形を生じても、広い周波数帯の電磁波に対する高いシールド性能を保持できるように要求される場合があり、そのような変形にも追従してシールド性能を保持できるシールド部材の接合部構造が提案されている。
例えば、特許文献1には、本願発明の出願人と同一の特許権者による、溶接を使わないシールド部材の接合部構造が開示されている。
特許文献1は、建物の躯体内の壁部と天井部に格子状骨組をそれぞれ設置し、前記格子状骨組を縦桟と横桟とし、薄鋼板または亜鉛鉄板から成るシールド部材の四周縁端部を、前記格子状骨組の縦桟と横桟に重ね、かつ隣接のシールド部材の縁端部との間に若干の隙間を設けた状態で、金属繊維を編み込んで薄いテープ状に製作されたシールドガスケットと共に、押え縁材と前記格子状骨組とで挟持してボルト等にて締め付けて成るシールド部材の接合部構造によって形成した、壁部と天井部を有する電磁波シールドルームである。
このような構造であるため、地震により前記格子状骨組にある程度の層間変形角が発生しても、前記シールド部材の縁端部は前記格子状骨組と押え縁材とに挟持されたまま滑り、隣接するシールド部材の縁端部同士間には隙間があるのでシールド部材同士の接触が避けられ、かつシールドガスケットも縦桟および横桟と押え縁材とにより挟持されているため、電磁波の漏洩が防止されるとしている。
更に、その効果確認の実験結果も記載されており、層間変形角量1/700および1/400に対して、0.1MHz〜1000MHzの周波数域において、70dB以上のシールド性能を有することが示されている。
即ち、特許文献1に開示されているシールド部材の接合部構造におけるシールド性能は、「層間変形角量1/700および1/400に対して、0.1MHz〜1000MHzの周波数域において、70dB以上」であるが、100dB以上のより高い性能要求、かつ更に広い周波数域に対応出来るかについては検証出来ておらず、そのことに対する解決に関して記述や示唆はなく、残された課題であった。
更にまた、特許文献1に記載されているような大変形を対象としないまでも、建設される数の多い中小規模の電磁波シールドルームにおいては、地震時にシールド部材接合部にある程度の変形が生じたとしても、一定の必要なシールド性能を保持しうる接合部構造は、極めて有用であり、望まれる技術的課題である。
特許第3830428号
本発明は、電磁波シールドルームが地震により、大きな層間変形角が生じて、シールド部材の接合部にずれや多少のゆがみが生じても、電磁波が漏洩する隙間の発生を抑制し、広い周波数域において高いシール同性能を保持できる、シールド部材の接合部構造を提供するものである。
本発明は、電磁波シールドルームの壁部と天井部に格子状骨組をそれぞれ設置し、その格子状骨組を縦桟と横桟とし、その縦桟および横桟に亜鉛鉄板等の電気的導通材から成るシールド部材の四周縁端部を重ね、シールドガスケットと共に、前記縦桟および横桟と押え縁材とで挟持して成るシールド部材の接合部であって、前記シールドガスケットとして、ステンレス等の電気的導通素材から成る縮れた細長繊維を束ね、一定の厚みを持たせて帯状に成形したもの(以下、ウール状ガスケットと称す)を用いたことを特徴とする、シールド部材の接合部構造である。
また本発明は、電磁波シールドルームの壁部と天井部に格子状骨組をそれぞれ設置し、その格子状骨組を縦桟と横桟とし、その縦桟および横桟に亜鉛鉄板等の電気的導通材から成るシールド部材の四周縁端部を重ね、かつ隣接のシールド部材の縁端部同士の間に一定幅の隙間(スリット)を設けた状態にて、シールドガスケットと共に、前記縦桟および横桟と押え縁材とで挟持して成るシールド部材の接合部であって、前記シールドガスケットとして、前記ウール状ガスケットを用いたことを特徴とする、シールド部材の接合部構造である。
また本発明は、電磁波シールドルームの壁部と天井部に格子状骨組をそれぞれ設置し、その格子状骨組を縦桟と横桟とし、その縦桟および横桟に亜鉛鉄板等の電気的導通材から成るシールド部材の四周縁端部を重ね、かつ隣接のシールド部材の縁端部同士を突合せ、もしくは重ね合わせた状態にて、シールドガスケットと共に、前記縦桟および横桟と押え縁材とで挟持して成るシールド部材の接合部であって、前記シールドガスケットとして、前記ウール状ガスケットを用いたことを特徴とする、シールド部材の接合部構造である。
また本発明は、電磁波シールド部材の接合部において、前記ウール状ガスケットを縦桟および横桟と押え縁材とで挟持するために用いる綴り材として、ドリル無しタップビスを使用したことを特徴とする、上記のシールド部材の接合部構造である。なお、前記電磁波シールドルームの壁部には、出入り口等の扉部を含めてもよい。
以上のように、本発明はシールドガスケットとして、電気的導通素材から成る縮れた細長繊維から成る一定の厚みと幅を持ったウール状ガスケットを用いるので、次のような効果が得られる。
従来品の金属繊維系シールドガスケット(以下、金属繊維ガスケットと略称する)は、図3(a)に図示5(a)のように、金属繊維を薄いテープ状に編み込んだ物であり、厚さが0.5〜1mm程度と薄いため、折り重ねて用いた場合でも厚み
も弾力性も少なく、シールド部材の四周縁端部に当てて、縦桟および横桟と押え縁材とで挟んで、ビス等にて締め付けても、その厚みはそれ程変らない(圧縮比が低い)ので、シールド部材と縦桟および横桟もしくは押え縁材との密着性は、電磁波の広い周波数域で高いシールド性能を確保する上で十分とは言えなかった。
また、図3(b)に図示のように、別の従来の金属繊維ガスケットは、発泡ウレタン等の弾力性のある材料Aを網状の金属繊維Bで覆ったものであり、この金属繊維ガスケットを使用する場合は、弾力性に富み密着性は良いが、発泡材部分(材料A)は電磁波の通過を遮蔽する能力がないため、高いシールド性能は期待できない。
これに対して、図3(c)に図示の本発明にかかるウール状ガスケット5は金属繊維を編み込んでいないため、非圧縮状態では密度が低いが、金属の縮れた細長繊維を束ねてある程度の厚さの帯に成形したものであり、弾力性もあるので、縦桟および横桟と押え縁材とで挟んでビス等にて締め付け圧縮すれば、かなり薄くなり(圧縮比が高い)、高い密度と密着性が得られる。
また、地震によりシールド部材の接合部において、隣接するシールド部材同士にずれや、押え縁材等に多少のゆがみが生じた場合でも、ウール状ガスケットを構成する縮れた細長繊維の粗密が多少変動するだけであり、前記接合部を締付けている綴り材の抜け出しや破断等がない限り、ウール状ガスケットと縦桟および横桟、もしくは押え縁との密着性は、前記ウール状ガスケットの高密度と弾力性があるためにほとんど劣化せず、電磁波が漏洩する隙間ができ難い。
よって、本発明によれば、シールド部材の接合部からの電磁波漏洩を防ぐ効果がより高まるので、地震によって電磁波シールドルームに大きな層間変形角が生じても、広い周波数帯の電磁波に対する高いシールド性能を保持できる電磁波シールドルームを実現できる。
また、ウール状ガスケットを使用した場合、縦桟および横桟と押え縁材とで挟持するために用いる綴り材として、施工効率のよいタップビスの中でも特に、ドリル無しタップビスを使用すれば、ウール状ガスケットの繊維がタップビスのドリル部に絡むことがないので、施工効率がより高まる利点がある。
図1は、本発明の第1実施例であり、縦桟および横桟と押え縁材とによりシールド部材の縁端部四周を挟持する、シールド部材接合部の1例を示す電磁波シールド壁面の部分正面図である。 図2は、図1のイーイ線断面視であり、(a)はシールド部材の両面をウール状ガスケットで覆った場合、(b)は片側面のみを覆った場合を示す断面図である。 図3は、シールドガスケットの断面の模式図であり、(a)は従来の金属繊維ガスケットの1例、(b),(c)は発泡材を金属繊維で巻いた従来の金属繊維ガスケットの例、(d)は本発明に使用するウール状ガスケットである。 図4は、本発明にかかるウール状ガスケットの締付け状況を説明する模式図であり、綴り材の締付け後のシールド部材接合部の縦断面図である。 図5は、本発明にかかるウール状ガスケットの締付け状況を説明する模式図であり、(a)は図4のロ−ロ線断面における綴り材の締付け前の状態を示す断面図、(b)は図4のロ−ロ線断面における綴り材の締付け後の状態を示す断面図、(c)は図4のハ−ハ線断面である。 図6は、本発明による電磁波シールド壁面が、水平方向にせん断変形した状態を説明する模式図であり、(a)はシールド部材(破線表示)がずれた状態の図、(b)は(a)のA部拡大図である。 図7は、本発明による電磁波シールド壁面が、水平方向にせん断変形した状態を説明する模式図であり、(a)は図6(b)のニーニ線断面におけるずれ発生前のシールド部材の縁端部と綴り材との位置関係を表した断面図、(b)は図6(b)のニーニ線断面におけるずれ発生後のシールド部材の縁端部と綴り材との位置関係を表した断面図である。 図8は、本発明のシールド部材接合部のシールド性能を確認した試験装置の概要であり、(a)は正面図、(b)は(a)のホーホ線断面視である。 図9は、隣接するシールド部材間に隙間を設けない場合の本発明の実施例を示し、(a)はシールド部材の縁端部同士を突き合わせた場合の電磁波シールド壁面の接合部の正面図、(b)は(a)のヘ−ヘ線断面図である。 図10は、隣接するシールド部材間に隙間を設けない場合の本発明の実施例を示し、シールド部材の縁端部同士を重ねた場合の電磁波シール壁面の接合部の断面図である。
本発明の第1実施例を、図1〜7を参照して説明する。図1は、電磁波シールドルームの壁部1の一部正面図を示し、亜鉛鉄板等の電気的導通材から成るシールド部材2、2、…に覆われている。壁部1に設置した格子状骨組を縦桟3aおよび横桟3bとし、その左右2本の縦桟3aと上下2本の横桟3bを取り付け枠として、シールド部材2がその縁端部四周が一定幅だけ、前記格子状骨組に重なる大きさに製作されて設置され、このシールド部材2の縁端部四周は、図2に図示のように、隣接するシールド部材2の縁端部との間にスリットwを設けて、縦桟3aおよび横桟3bと押え縁材4、4、…とにより挟持されている。
シールド部材2は亜鉛鉄板等の薄い板なので、面外への変形を抑制するため、補剛材2aが前記格子状骨組内のシールド部材の表面に張り付けられている。
スリットwで分断されているシールド部材2、2同士の電気的導通性を確保するため、図2(a)に図示のように、ウール状ガスケット5を相隣接するシールド部材2、2の縁端部のスリットwを両側面から覆うように重ねた状態で、綴り材6(タップビス、ボルト等)にて、縦桟3aおよび横桟3bと押え縁材4とを貫通して締め付け、ウール状ガスケット5を押しつぶすことにより密着させて電磁波の漏洩が生じる隙間を塞ぐ。
必要な性能が確保できれば、図2(b)に図示のように、ウール状ガスケット5は、相隣接するシールド部材2、2の縁端部のスリットwを片側面のみ覆ってもよい。
ウール状ガスケット5は、ステンレス等の電気的導通素材から成る縮れた細長繊維を帯状に束ね、その幅は縦桟3aおよび横桟3bと押え縁材4の幅に合わせ、厚みは縦桟3aおよび横桟3bと押え縁材4とに挟持された時、ある程度の弾発力を得られる厚さとする。
図3は、シールドガスケットの断面図を模式的に示したもので、図3(a)は従来の金属繊維ガスケット5aの例、図3(b),(c)は発泡材Aを金属繊維Bで巻いた従来の金属繊維ガスケット5bの例(図3(c)は図3(b)におけるa−a線断面図)、図3(d)は本発明にかかるウール状ガスケット5である。
従来の金属繊維ガスケット5a(図3(a))は、糸状の金属繊維を布のように織り込んだものなので、圧縮してもあまり薄くならず、弾力性も少ない。
また、弾力性を付与するために、発泡材Aを金属繊維Bで巻いた従来の金属繊維ガスケット5b(図3(b),(c))では、発泡材Aの部分が電磁波の通過を遮蔽できないため、高いシールド性能は期待できない。
一方、図3(d)に図示のウール状ガスケット5はステンレス等の細長い縮れた繊維が束ねられて、薄い密度で一定の厚みと幅に成形されており、シールド部材2、2の接合部にガスケットとして使用される時は厚みが1/10程度にまでに圧縮されるが、弾力性があるので、高い密度と密着性が得られる。即ち、全て金属の縮れた細長繊維で出来ているウール状ガスケット5の方が、従来品よりもシールド性能が高い。
ウール状ガスケット5の幅は、例えば、相隣接するシールド部材2、2の縁端部のスリットwを15mmとし、シールド部材2の抑えるべき縁端幅を25mmとすれば、縦桟3aおよび横桟3bと押え縁材4の幅は少なくとも65mm程度になるので、ウール状ガスケット5の幅もその程度とすればよい。
ウール状ガスケット5の厚みについては、使用する素材の特性にもよるが、後述のシールド性能確認試験の試験体に用いたステンレスウール(繊維短径0.04mm、単位重量35g/m)の場合は10mm程度であり、押しつぶした時に1〜2mm程度の厚みになる仕様とすれば、後述する電磁波周波数域において100dB以上のシールド性能が確保できる試験結果が得られた。
ウール状ガスケット5を用いた本発明によるシールド部材接合部が、何故、従来のものより高いシールド性能を有するかについて、図4を参照して説明する。前述したように、ウール状ガスケット5は、シールド部材2の接合部に使用される時に厚みが元の1/10程度にまでに圧縮され、相応の弾力性があるため高い密度と密着性が得られることが、基本的特性としてある。
従来の金属繊維ガスケット5aの場合でも、綴り材6の近傍は強く圧縮されるので、密着性は良好と考えられるが、綴り材6、6の中間部は、綴り材6の締付け力が弱くなっているので、縦桟3aおよび横桟3bと押え縁材4の剛性が十分大きくなければ、それらもしくはシールド部材2と金属繊維ガスケット5aとの十分高い密着性は得にくい。
これに対して、ウール状ガスケット5では、その高い密度と弾力性とによって発揮される密着性により、綴り材6の近傍のみだけでなく、綴り材6、6の中間部においてもかなり確保される。綴り材6、6…で締め付けられたシールド部材2の接合部の縦断面を模式的に描くと図4の様になる。即ち、綴り材6の位置(ローロ断面)では、シールド部材2、2を両面から覆うウール状ガスケット5は、綴り材6で締め付けられる前には、図5(a)に図示のような元の厚みから、図5(b)のように、大幅に圧縮されて高密度状態で密着する。
綴り材6、6の中間部においては、綴り材6の締付け力が弱まるため、図4の ハーハ断面を示す図5(c)のように、ウール状ガスケット5は、やや膨らんだ状態となる。綴り材6、6の中間部は、綴り材6の締付け力が弱まっているので、ウール状ガスケット5の密度と密着性は綴り材6の近傍よりは低下していることは明らかであるが、ウール状ガスケット5は、従来の金属繊維ガスケット5aもしくは5bにはない十分な弾力性と密度があるので、電磁波が漏洩するような隙間が形成されにくいと考えられる。
図6,7に、電磁シールドルームの壁部1が、図6(a)に示す太い矢印の方向に地震力を受けて層間変形角を生じた時の、本発明に係るシールド部材接合部の状態を示す。図6(b)は、図6(a)のA部拡大図である。相隣接するシールド部材2、2の間にスリットwがあるため、元の状態である図7(a)の状態から、図7(b)の様に綴り材6に接触するまではシールド部材2は壁面内で動くことが可能なので、ある程度の層間変形角まではシールド部材2を損傷させる力は作用しない。
図8および表1は、ウール状ガスケット5として、ステンレスウール(繊維短径0.04mm、単位重量35g/m)を束ねて、厚さ約10mmx幅約60mmの帯状に成形した物を使用した場合のシールド性能確認試験の試験装置概要と結果である。試験方法は、相隣接するシールド部材2、2の縁端部にスリットw(12mm〜16mm)を設け、ウール状ガスケット5、5をそのスリットwの両側面に配置して、幅75mmの受材(縦桟3a)と幅60mmの押え縁材4にて挟み、5本の綴り材(リベットまたはタップビス)6、6…にて締付けたシールド部材接合部(全長580mm)を作成し、試験用の電磁波シールドルーム10の壁開口部10a(580mmx580mm)を塞ぐように取付け、試験体で塞がれたその壁開口部10aの内外に計測器11a(電磁波発生装置)、11b(電磁波計測器)を設置して実施した。
Figure 2018157132
地震によって、シールド壁面1が全体的に、図6(a)に図示のように、太い矢印の方向に変形した場合、四辺を縦桟3aおよび横桟3bと押え縁材4で挟持されているシールド部材2、2…は、相隣接するシールド部材2、2の縁端部が相対的(細い一対の矢印の向き)にずれ、図6(b)に示すギャップgが生じる。
このギャップgはスリットwの長手方向のずれなので、図8(a)の試験体では、ウール状ガスケット5を挟持したまま、受材(縦桟3a)に対して押え縁材4をその材軸(鉛直)下方向にずらすことにより模擬した計測も実施した。
試験ではその縦ずれ寸法を7mmとしたが、例えば、実際のシールド部材2の寸法が縦3mx横1.2mであった場合、縦桟3aの傾斜角度は7/1200≒1/170に相当する。よって、地震時変形角が1/200を超える場合の検証となっている。
上記の縦ずれ寸法7mmを与える前と与えた後について、電磁波の周波数域0.33MHz〜18GHzを対象としてシールド性能確認試験を実施した。表1が、シールド部材接合部の押え縁材4をずらす前後のシールド性能の結果である。表1中の「垂直」「水平」は、電磁波計測器11bの姿勢(向き)を示す。
ケース1は、リベット6.4φ(綴りピッチ100mm、スリット16mm)を綴り材6とし、1GHz、10GHzについて、押え縁材4の「ずれ無し」と「7mmずらし後」のシールド性能を確認したものである。表1より、100dB以上の性能があることが分かる。また、ずれの有無の差は殆どなかった。
ケース2は、同じく1GHz、10GHzについて、ドリル付きタップビス6φ(綴りピッチ100mm、スリット12mm)を綴り材6として実施した結果である。ケース1と同様の結果であり、綴り材6の違いの影響は見られなかった。
ケース3では、上記2ケースにおいて、ずれの有無に有意差がなかったことから、ずらした場合のみについて、ドリル無しタップビス6φ(綴りピッチ100mm、スリット15mm)を綴り材6として、より広い周波数範囲(33MHz〜18GHz)で計測をした。表1に記載の通り、7mmのずれがあっても33MHz〜18GHzで110dB以上のシールド性能があることが確認された。
なお、18GHz超についても試験したが、電磁波計測器11bの測定能力限界を超えたため正確な数値を得られなかったものの、少なくとも100dB以上のシールド性能はあるものと推測される。
ケース3では、より厳しい条件として、タップビス全5本の内、中央と両端はそのままとし、残り2本を2回転だけ緩めた場合についても試験をした。
表1に示されているように、シールド性能は、タップビスを2本緩めた場合も、殆んど性能差はなく、110dB以上のシールド性能を保持できている。
以上のような試験結果になった理由として、次のようなことが考えられる。即ち、ウール状ガスケット5は、従来品の金属繊維ガスケットのように編み込んでいないため密度が低く、金属の縮れた細長繊維の帯で、弾力性もあるので、一定の厚さ(試験では10mm)のものを用いて、縦桟および横桟と押え縁材とで挟んでビス等にて締め付け圧縮すれば、かなり薄く(試験では1〜1.5mm)なって高い密度と密着性が得られること、また、高密度かつ弾力性があるので、ウール状ガスケット5が接触している押え縁材4やシールド部材2との間で多少のずれが生じても、電磁波が漏洩するような隙間ができにくいという特性があるためと考えられる。
特許文献1に開示されている従来品の金属繊維ガスケットでのシールド性能確認試験結果は、層間変形角1/700と1/400に対して、0.1MHz〜1000MHz(1GHz)の周波数域において、約70dBがシールド限界であったので、シールド性能は本発明の方がより広い周波数域において大幅に上回っており、その著しい効果が前記の試験により確認された。
図9(a),(b)および図10は、本発明の第2実施例であり、隣接するシールド部材2、2同士間にスリットwを設けない場合である。図9(a),(b)は、隣接するシールド部材2、2同士を突き合わせて隙間を設けない場合であり、シールド部材2、2を両面からウール状ガスケット5、5で挟んで、縦桟3aもしくは横桟3bと押え縁材4とで挟み、綴り材6、6…は隣接するシールド部材2、2の両縁端部に跨るように千鳥状配置としたものである。
図10は、隣接するシールド部材2、2の縁端部を重ね合わせ、その両縁端部の間にウール状ガスケット5を挿入して、縦桟3aもしくは横桟3bと押え縁材4とで挟み、綴り材6、6…にて締め付けたものである。
図9(a),(b)および図10の場合ではスリットwがないので、第1実施例の場合程には大きな層間変形角に追従できないが、ある程度の層間変形角に対しては、隣接するシールド部材2、2の接合部に多少のゆがみや亀裂が生じても、ウール状ガスケット5の高密度と弾力性により、電磁波が漏洩する隙間の発生が抑制される。
以上のことから、本発明の第2実施例は、地震時に大きな層間変形角が生じにくい中小規模の電波暗室や、免震建物の中に設置される電波暗室向けの電磁波シールドルームに好適である。
また、第2実施例では、平常時であっても、シールド部材2の全周に亘り綴り材6、6…を貫通して締め付けるため、締め付け間隔の僅かな誤差の累積により、綴り材6、6…の中間部のシールド部材2が面外に少し湾曲する傾向があり、押え縁4等による押え状態にばらつきがでるが、ウール状ガスケット5の高密度と弾力性により、電磁波が漏洩する隙間の発生が抑制される。
本発明に係るシールド部材接合部に用いる綴り材として、ドリル無しタップを用いるのが、下記理由により好適である。
即ち、本発明では、相隣接するシールド部材2、2の縁端部を両側面もしくは片側面から覆うようにウール状ガスケット5を重ねた状態で、綴り材6、6…(タップビスもしくはボルト等)にて、縦桟3aおよび横桟3bと押え縁材4とを貫通して締め付けるが、その綴り材6、6…について、施工効率の面からタップビスが良く、特に、ドリル付きタップよりもドリル無しタップが優れている。その理由は、締付け時は問題ないが、施工時にタップビスを緩める場合があり、その時タップビスを逆回転させるので、ドリル付きタップではドリル部にウール状ガスケット5が絡まってしまうことがあるためである。
よって、綴り材としてドリル無しタップを用いた本発明に係るシールド部材接合部は、極めて施工効率が良く、特に大型の電磁波シールドルームでは、その効果が大きい。
なお、本発明に使用される縦桟3aおよび横桟3bと押え縁材4の断面形状は、前記実施例で図示された形状に限定されるものではなく、例えば、縦桟3aもしくは横桟3bに角型鋼管を用いることもでき(図示せず)、この場合、電磁シールド壁1の面外方向剛性が高まるので、壁面外に変形しにくくなるため、縦桟3aを建物躯体に支持させる間隔が大きい場合(例えば、層高が高い電磁波シールドルーム)に好適である。
近年、電波暗室が大型化してきており、地震時の大きな層間変形角の発生に対応できるように、シールド部材の接合を溶接によらず乾式にすることが多いが、地震時の大きな層間変形角の発生に対しても電磁波シールドの性能を保持できることは必須条件であり、本願発明は、そのような要求に対して、従来技術に比べ、より高いレベルでかつより広い周波数域に対しても答えることの出来るものであつて、その有用性は極めて高い。
また、建設される数の多い中小規模の電磁波シールドルームに対して、地震時にも一定の必要なシールド性能を保持しうる本発明を適用すれば、その資本財保全に対する社会的貢献度は極めて大きい。
1 :壁部
2 :シールド部材
3a:縦桟
3b:横桟
4 :押え縁材
5 :ウール状ガスケット(シールドガスケット)
5a、5b:従来の金属繊維ガスケット
6 :綴り材
10:試験用の電磁波シールドルーム
10a:開口部
11a:電磁波発生装置
11b:電磁波計測器
A :発泡体
B :金属繊維
g :ギャップ(ずれ)
w:スリット

Claims (4)

  1. 電磁波シールドルームの壁部と天井部に格子状骨組をそれぞれ設置し、その格子状骨組を縦桟と横桟とし、その縦桟および横桟に電気的導通材から成る電磁波シールド部材の四周縁端部を重ね、シールドガスケットと共に、前記縦桟および横桟と押え縁材とで挟持して成る電磁波シールド部材の接合部であって、前記シールドガスケットとして、電気的導通素材から成る縮れた細長繊維を束ねて一定の厚みを持たせて帯状に成形したものが用いられていることを特徴とする、電磁波シールド部材の接合部構造。
  2. 電磁波シールドルームの壁部と天井部に格子状骨組をそれぞれ設置し、その格子状骨組を縦桟と横桟とし、その縦桟および横桟に電気的導通材から成る電磁波シールド部材の四周縁端部を重ね、かつ隣接の電磁波シールド部材の縁端部同士の間に一定幅の隙間を設けた状態にて、シールドガスケットと共に、前記縦桟および横桟と押え縁材とで挟持して成る電磁波シールド部材の接合部であって、前記シールドガスケットとして、電気的導通素材から成る縮れた細長繊維を束ね、一定の厚みを持たせて帯状に成形したものが用いられていることを特徴とする、電磁波シールド部材の接合部構造。
  3. 電磁波シールドルームの壁部と天井部に格子状骨組をそれぞれ設置し、その格子状骨組を縦桟と横桟とし、その縦桟および横桟に電気的導通材から成る電磁波シールド部材の四周縁端部を重ね、かつ隣接の電磁波シールド部材の縁端部同士を突合せ、もしくは重ね合わせた状態にて、シールドガスケットと共に、前記縦桟および横桟と押え縁材とで挟持して成る電磁波シールド部材の接合部であって、前記シールドガスケットとして、電気的導通素材から成る縮れた細長繊維を束ね、一定の厚みを持たせて帯状に成形したものが用いられていることを特徴とする、電磁波シールド部材の接合部構造。
  4. 電磁波シールド部材の接合部において、シールドガスケットを縦桟および横桟と押え縁材とで挟持するために用いる綴り材として、ドリル無しタップビスが使用されていることを特徴とする、請求項1乃至3の何れか一つに記載の電磁波シールド部材の接合部構造。
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