(実施形態)
以下では、本実施形態の回転操作型電子部品1について、図1〜12に基づいて説明する。本実施形態の回転操作型電子部品1(以下、「電子部品1」と略称することもある)は、ロータリエンコーダである。本実施形態の電子部品1に関しては、例えば、プリント配線板等に対してリフローソルダリング法により実装して用いることを想定している。したがって、電子部品1は、リフロー炉を通るときに加熱される。要するに、電子部品1は、プリント配線板にリフローソルダリングする際に電子部品1の外部から加熱される。
電子部品1は、基体2と、回転体3と、複数の端子4と、機構部5(図2及び10参照)と、ばね8(図2参照)と、を備える。また、電子部品1は、ばね8(以下、「第1ばね8」ともいう)とは別に、第2ばね9を更に備える。要するに、本実施形態の電子部品1は、第1ばね8と第2ばね9とを含むばねユニット80(図2、3及び8参照)を備える。また、電子部品1は、取付金具10を更に備える。
基体2は、軸部21を有する。また、基体2は、軸部21の軸方向の一端側で軸部21を囲む円環状の凹所24(図2、5A及び10参照)を有する。凹所24は、溝である。基体2は、図3、5A及び6Aに示すように、底壁22から軸部21とは反対側へ突出した円柱状の2つの第1スペーサ用突起221及び円柱状の2つの第2スペーサ用突起222を有する。また、基体2は、2つの第1スペーサ用突起221の各々の先端面から突出した円柱状の位置決め用突起223を有する。位置決め用突起223の外径は、第1スペーサ用突起221の外径よりも小さい。また、位置決め用突起223の先端は先細りしている。電子部品1では、例えば、プリント配線板に実装して用いるときに、2つの第1スペーサ用突起221及び2つの第2スペーサ用突起222を基体2の底壁22とプリント配線板との間に介在させることができる。また、電子部品1では、例えば、プリント配線板に実装するときに、位置決め用突起223をプリント配線板の位置決め孔に通すことにより、電子部品1をプリント配線板に対して位置決めでき、かつ、プリント配線板の複数の端子挿通孔のそれぞれに1つずつ通されている複数の端子4に負荷がかかるのを抑制することが可能となる。
回転体3は、基体2の軸部21を囲んでおり、基体2の軸部21を回転中心軸として回転可能である。ここにおいて、回転体3は、図2、3及び5Aに示すように、円筒部31と、フランジ部32と、を備える。電子部品1では、回転体3のフランジ部32が、基体2の凹所24内に収納されている。
複数の端子4は、基体2に保持されている。複数の端子4の各々は、導電性を有する。ここにおいて、複数の端子4の各々は、導電板により構成されている。複数の端子4は、基体2から突出している。
機構部5(図2及び10参照)は、回転体3の回転量に応じて複数の端子4間の電気的な状態を変化させる。ロータリエンコーダである電子部品1では、機構部5は、接点ユニット6(図2及び10参照)と、複数(ここでは、3つ)の接点ブラシ7(図2及び10参照)と、を備える。接点ユニット6は、複数の端子4と電気的に接続されている。ここにおいて、接点ユニット6は、基体2に保持されている。複数の接点ブラシ7は、回転体3に保持されている。複数の接点ブラシ7は、接点ユニット6に接触可能である。
第1ばね8及び第2ばね9の各々は、軸部21の軸方向に平行な方向において回転体3を基体2に近づける向きの弾性力を回転体3に作用させる。
取付金具10は、回転体3を基体2に取り付けるための金具である。取付金具10は、基体2の凹所24の開口を塞いでいる。要するに、取付金具10は、凹所24の開口を塞ぐカバーを兼ねている。ここにおいて、取付金具10は、基体2の凹所24に収納されている回転体3のフランジ部32、第1ばね8及び第2ばね9を覆っている。
電子部品1の各構成要素については、以下に、より詳細に説明する。
上述のように、電子部品1は、基体2と、回転体3と、複数の端子4と、機構部5と、第1ばね8と、第2ばね9と、取付金具10と、を備える。
基体2は、樹脂成形体であり、電気絶縁性を有する。基体2における軸部21の形状は、円筒状である。基体2は、中央に円形状の孔220(図2、3及び5A参照)を有する円板状の底壁22と、底壁22の内側端(孔220の周縁)から立ち上がっている上述の軸部21と、底壁22の外側端から軸部21と同じ向きに立ち上がっている円環状の外側壁23と、を備える。基体2では、外側壁23の内径が、軸部21の外径よりも大きい。外側壁23は、軸部21を全周に亘って囲んでおり、軸部21と同軸的に配置されている。また、底壁22からの外側壁23の突出長さは、底壁22からの軸部21の突出長さよりも短い。基体2では、底壁22と外側壁23と軸部21のうち外側壁23に対向する部分とで円環状の凹所24を規定している。
回転体3は、樹脂成形体であり、電気絶縁性を有する。回転体3は、上述のように、円筒部31と、フランジ部32と、を備える。円筒部31は、基体2の軸部21を囲んでいる。電子部品1では、基体2の軸部21に対して回転体3の円筒部31が回転可能に嵌合されている。フランジ部32は、円筒部31の軸方向の一端から円筒部31の径方向外向きに突出している。電子部品1では、回転体3の円筒部31の内側に基体2の軸部21が配置されているので、回転体3が基体2の軸部21を回転中心軸として回転可能である。ここで、回転体3のフランジ部32は、基体2の凹所24内に配置されている。回転体3のフランジ部32は、基体2の軸部21を回転中心軸として回転可能である。
電子部品1では、回転体3のフランジ部32が、基体2の軸部21の軸方向に平行な方向において、基体2の底壁22から離れている。ここで、基体2の軸部21の軸方向に平行な方向は、フランジ部32の厚さ方向と同じである。フランジ部32は、基体2の底壁22に対向している。
電子部品1は、上述のように、回転体3の回転量に応じて複数の端子4間の電気的な状態を変化させる機構部5を備える。ここにおいて、電子部品1は、インクリメンタル形のロータリエンコーダである。したがって、機構部5は、A相、B相と呼ばれる90度の位相差を設けた2つの信号を出力することが可能である。機構部5は、接点式の機構部であり、接点ユニット6と、接点ブラシ7と、を備える。
電子部品1では、接点ユニット6(図2、5A、11〜12参照)が基体2に保持されている。ここにおいて、電子部品1では、接点ユニット6の一部が基体2における凹所24の底面に露出している。電子部品1では、接点ユニット6の露出した表面と凹所24の底面(底壁22における凹所24の開口側の面)とが面一となっている。
接点ユニット6は、図12に示すように、第1固定接点板6aと、第2固定接点板6bと、第3固定接点板6cと、を備える。第1固定接点板6aは、5つの第1接点6aaと、これら5つの第1接点6aaを連結している弧状の第1連結部6abと、を備える。第2固定接点板6bは、5つの第2接点6baと、これら5つの第2接点6baを連結している弧状の第2連結部6bbと、を備える。また、第3固定接点板6cは、第1固定接点板6aと第2固定接点板6bとで囲まれた円環状接点6caと、5つの第1接点6aa及び5つの第2接点6baと同一円上に配置されている弧状接点6cbと、を含んでいる。
接点ユニット6は、3つの端子4に電気的に接続されている。以下では、3つの端子4のうち、第1固定接点板6aに電気的に接続された端子4を第1端子4a、第2固定接点板6bに電気的に接続された端子4を第2端子4b、第3固定接点板6cに電気的に接続された端子4を第3端子4cとも称する。第1固定接点板6aと第1端子4aとは1つの導電板によって一体に形成されている。第2固定接点板6bと第2端子4bとは1つの導電板によって一体に形成されている。第3固定接点板6cと第3端子4cとは1つの導電板によって一体に形成されている。3つの端子4及び接点ユニット6は、基体2に保持されている。ここにおいて、3つの端子4及び接点ユニット6は、基体2にインサート成形されている。
機構部5は、複数(ここでは、3つ)の接点ブラシ7を備えている。複数の接点ブラシ7の各々の形状は、フランジ部32の周方向に沿った弧状である。接点ブラシ7は、フランジ部32と凹所24の底面との間に配置されている。ここにおいて、複数の接点ブラシ7は、フランジ部32の周方向において互いに離れて配置されている。より詳細には、複数の接点ブラシ7は、フランジ部32の周方向において略等間隔で配置されているのが好ましい。
接点ブラシ7は、導電板により形成されている。接点ブラシ7は、フランジ部32に固定される固定部70と、固定部70からフランジ部32の周方向に沿った方向に突出している第1接触部71及び第2接触部72と、を備える。第1接触部71及び第2接触部72は、固定部70側とは反対側が開放された二股のフォーク状に形成されている。第1接触部71及び第2接触部72は、基体2の軸部21の一径方向に並んでいる。電子部品1では、軸部21の一径方向において、第1接触部71と円筒部31との距離が、第2接触部72と円筒部31との距離よりも短い。固定部70には、フランジ部32から突出した円柱状の位置決め突起321を通す孔701が形成されている。第1接触部71及び第2接触部72は、弾性力によって接点ユニット6に接触可能に構成されている。言い換えれば、接点ブラシ7は、回転体3のフランジ部32に、フランジ部32を凹所24の底面から離す向きの力を作用させることが可能となるような形状に曲げ加工されている。接点ブラシ7の第1接触部71及び第2接触部72の各々の先端の形状は、円筒部31の径方向から見てU字状である。
機構部5では、複数の接点ブラシ7の各々の第1接触部71が、回転体3の回転に伴って第3固定接点板6cの円環状接点6caの表面をすりながら動くことができる。ここにおいて、第1接触部71は、回転体3の回転量によらず、第3固定接点板6cの円環状接点6caに接触する。また、機構部5では、複数の接点ブラシ7の各々の第2接触部72が、第1固定接点板6aの複数の第1接点6aa、第3固定接点板6cの弧状接点6cb、第2固定接点板6bの複数の第2接点6baのいずれか1つに接触可能である。ここにおいて、第2接触部72は、第1固定接点板6aの複数の第1接点6aa、第3固定接点板6cの弧状接点6cb、第2固定接点板6bの複数の第2接点6baのいずれにも接触していない状態では、基体2の底壁22に接触している。要するに、第2接触部72は、第1固定接点板6aの複数の第1接点6aa、第3固定接点板6cの弧状接点6cb、第2固定接点板6bの複数の第2接点6ba、基体2の底壁22の表面をすりながら動くことができる。
回転体3のフランジ部32は、第1ばね8及び第2ばね9との対向面に、フランジ部32の周方向において並んでいる複数の凸部33を有する。複数の凸部33は、フランジ部32の周方向において等間隔で並んでいるのが好ましい。複数の凸部33は、フランジ部32の全周に亘って設けられている。したがって、フランジ部32は、周方向において凹凸が繰り返す凹凸面35を有する。
第1ばね8及び第2ばね9は、取付金具10に固定された状態で、凹所24内に収納されている。
取付金具(金属製カバー)10は、例えば、鋼板によって形成されている。取付金具10は、環状の金具本体(カバー本体)101と、複数(ここでは、6つ)の結合片102と、複数(ここでは、3つ)の脚片103と、を備える。複数の結合片102及び複数の脚片103は、金具本体101の外周縁から突出している。図1に示すように、複数の結合片102の各々は、基体2の外側壁23の外周面と底壁22の底面とに跨って形成されている溝25に嵌まっている。複数の結合片102は、金具本体101の周方向において互いに離れている。また、複数の脚片103の各々の一部は、基体2の外側壁23の外周面に形成されている溝26に嵌っている。複数の結合片102は、L字状に曲がっているが、取付金具10を基体2に固定する前には直線状であり、先端部をかしめることによって基体2に固定されている。すなわち、金具本体101により基体2の凹所24を覆ってかつ結合片102の一部を溝25の一部に嵌めた状態で、結合片102の残りの部分を溝25の残りの部分に嵌めるように曲げることによって、取付金具10を基体2に固定することができる。
上述の第1ばね8及び第2ばね9は、基体2の軸部21の軸方向に平行な方向において回転体3を基体2に近づける向きの弾性力を生じる。本実施形態の電子部品1では、第1ばね8及び第2ばね9は、基体2の凹所24に収納されて取付金具10により覆われている状態で、軸部21の軸方向に平行な方向において回転体3のフランジ部32を基体2の凹所24の底面に近づける向きの弾性力を作用させるように構成されている。第1ばね8及び第2ばね9の材質は、例えば、金属である。ここにおいて、第1ばね8及び第2ばね9は、金属板に適宜の曲げ加工等を施すことによって形成されている。
第1ばね8は、図2及び3に示すように、板ばね部81(以下、「第1板ばね部81」ともいう)と、クリック用突起82と、突片83(以下、「第1突片83」ともいう)と、を備える。基体2の軸部21の軸方向から見て、第1板ばね部81の形状は、回転体3の円筒部31の外周形状に沿った形状である。ここでは、第1板ばね部81の形状は、円弧状である。第1板ばね部81は、周方向の両端のそれぞれに固定部811(以下、「第1固定部811」ともいう)を備える。第1固定部811には、取付金具10の金具本体101から金具本体101の厚さ方向に突出した結合用突起が通る孔812が形成されている。第1ばね8は、例えば、第1固定部811の孔812に結合用突起を通すように金具本体101に第1固定部811を重ねた状態で、結合用突起の先端をかしめる(塑性変形させる)ことによって、取付金具10に固定されている。したがって、取付金具10は、結合用突起を塑性変形させることによって形成されたかしめ部118(図3参照)を有する。かしめ部118は、金具本体101の厚さ方向から見て、第1固定部811の孔812よりも大きい。第1板ばね部81は、回転体3のフランジ部32の厚さ方向においてフランジ部32に重なっている。クリック用突起82は、第1板ばね部81と一体である。ここにおいて、クリック用突起82は、第1板ばね部81の周方向の中央部において、フランジ部32に向かって突出している。クリック用突起82は、フランジ部32において隣り合う2つの凸部33の間に入り込むことが可能なU字状の形状である。クリック用突起82は、回転体3のフランジ部32の複数の凸部33のうち隣り合う2つの凸部33の間の各々に出入り可能である。第1突片83は、径方向外向きに突出している。
第1ばね8の第1突片83は、第1板ばね部81から回転体3の円筒部31側とは反対側に突出しており、基体2に保持される。第1突片83は、円筒部31の径方向においてクリック用突起82よりも外側に位置する。第1突片83は、軸部21の軸方向に平行な方向において基体2に近づく向きに突出した突起84を有する。第1板ばね部81に対する第1突片83の突出方向から見た突起84の形状は、U字状である。ここにおいて、第1板ばね部81に対する第1突片83の突出方向から見た突起84の形状は、クリック用突起82の形状と同じである。軸部21の軸方向に平行な方向において、第1突片83からの突起84の突出寸法は、第1板ばね部81からのクリック用突起82の突出寸法と同じである。第1ばね8の第1突片83では、突起84が、基体2の軸部21の軸方向に平行な方向において基体2と接触している。電子部品1では、軸部21の軸方向に平行な方向において基体2のうちフランジ部32と重なっている第1部分28よりも厚肉の第2部分29が、突起84を受けている(図5A及び5B参照)。第2部分29は、フランジ部32よりも厚肉である。電子部品1では、基体2の第2部分29で突起84を受けており、第1ばね8の弾性力の一部を受けている。電子部品1では、上述の取付金具10の外周縁から、第1突片83を覆う突出片104(図2及び3参照)が突出している。また、取付金具10は、突出片104の先端から突出した位置決め片105を有している。位置決め片105は、基体2の外側壁23の先端面に形成された凹部231(図4、8、10及び11参照)に嵌っている。
第2ばね9は、図2及び3に示すように、板ばね部91(以下、「第2板ばね部91」ともいう)と、突片93(以下、「第2突片93」ともいう)と、を備える。基体2の軸部21の軸方向から見て、第2板ばね部91の形状は、回転体3の円筒部31の外周形状に沿った形状である。ここでは、第2板ばね部91の形状は、円弧状である。第2板ばね部91は、周方向の両端のそれぞれに固定部911(以下、「第2固定部911」ともいう)を備える。第2固定部911には、取付金具10の金具本体101から金具本体101の厚さ方向に突出した結合用突起が通る孔912が形成されている。第2ばね9は、例えば、第2固定部911の孔912に結合用突起を通すように金具本体101に第2固定部911を重ねた状態で、結合用突起の先端をかしめる(塑性変形させる)ことによって、取付金具10に固定されている。したがって、取付金具10は、結合用突起を塑性変形させることによって形成されたかしめ部119(図3参照)を有する。かしめ部119は、金具本体101の厚さ方向から見て、第2固定部911の孔912よりも大きい。第2板ばね部91は、回転体3のフランジ部32の厚さ方向においてフランジ部32に重なっている。第2突片93は、回転体3の円筒部31の径方向外向きに沿った方向へ突出している。
第2ばね9の第2突片93は、第2板ばね部91から回転体3の円筒部31側とは反対側に突出しており、基体2に保持される。第2ばね9の第2突片93は、基体2の軸部21の軸方向に平行な方向において基体2と接触している。言い換えれば、基体2が第2ばね9の一部に接触している。電子部品1では、軸部21の軸方向に平行な方向において基体2のうちフランジ部32と重なっている第1部分28よりも厚肉の第3部分299が、第2突片93を受けている(図5A及び5C参照)。第3部分299は、フランジ部32よりも厚肉である。
ばねユニット80では、第1ばね8と第2ばね9とが、軸部21の軸方向から見て、図8に示すように、1つの直線L11を基準として略線対称となるように配置されている。ここにおいて、直線L11は、複数の端子4の並んでいる方向に平行でかつ軸部21の中心C11を通る。
ばねユニット80では、上述のように第1ばね8と第2ばね9とのうち第1ばね8のみがクリック用突起82を有しており、第1ばね8が回転体3のフランジ部32に作用させる弾性力が、第2ばね9が回転体3のフランジ部32に作用させる弾性力よりも大きい。
電子部品1では、回転体3が操作されたときに、フランジ部32が円筒部31と一緒に回転する。したがって、電子部品1では、回転体3が回転操作されたときには、クリック用突起82がフランジ部32へ押し付けられた状態で、フランジ部32が動くので、第1ばね8の弾性変形量が変化し、クリック用突起82のフランジ部32への押し付け力(弾性力)が変化する。これにより、電子部品1では、フランジ部32において隣り合う2つの凸部33の間にクリック用突起82が入ったときに使用者がクリック感(節度感)を得ることが可能となる。これにより、電子部品1では、使用者が回転体3を回転させたときに、回転体3の位置を所望の回転位置に維持しやすくなる。ロータリエンコーダである電子部品1では、回転体3の基準位置からの回転体3の回転量によってA相、B相それぞれの信号が変化する。
電子部品1では、軸部21が円筒状なので、電子部品1を実装するプリント配線板に電子部品1とともに実装されるスイッチ(例えば、プッシュスイッチ)、発光素子(例えば、LED)等を軸部21の内側に配置することが可能となる。
電子部品1は、使用者によって回転体3を直接回転操作される構成であるが、これに限らない。例えば、電子部品1は、操作つまみ(図示せず)を含んでもよい。操作つまみは、使用者によって、回転操作される。操作つまみは、回転体3の円筒部31に装着される。ここにおいて、上述のように軸部21の内側に発光素子が収納されている場合、操作つまみは、光透過性を有した材料によって形成することが好ましい。
上述のように、特許文献1に記載された回転操作型電子部品では、プリント配線板等にリフローによって実装したときに、フランジ部においてクリックばねが押し付けられている部位が軟化して変形してしまうことがあった。そして、フランジ部が変形してしまった回転操作型電子部品では、回転体を回転させたときのトルクカーブにうねりが発生してしまうことがあった。
これに対して、本実施形態の電子部品1では、基体2でばね8の上記の弾性力の一部を受けるように基体2がばね8の一部に接触しているので、これにより、電子部品1では、フランジ部32に第1ばね8の弾性力による荷重かかった状態でリフロー炉を通されるのを防止することが可能となる。プリント配線板等にリフローによって実装するときにフランジ部が変形するのを抑制することが可能となる。よって、電子部品1では、回転体3を回転させたときのトルクカーブのうねりを抑制することが可能となる。要するに、プリント配線板等にリフロー等によって実装された電子部品1は、特許文献1記載の回転操作型電子部品をプリント配線板等にリフローによって実装した場合と比べて、回転操作性の向上を図ることができる。
電子部品1では、基体2は、第1ばね8の第1突片83に接触しているつぶしダボ278(以下、「第1つぶしダボ278」ともいう)を更に有する(図5A及び5B参照)。第1つぶしダボ278は、第1ばね8をフランジ部32から軸部21の軸方向に平行な方向において離間させるように、第2部分29(図5A、5B及び10参照)において第1突片83に対向する面から突出している。これにより、電子部品1では、軸部21の軸方向に平行な方向において、第1ばね8の第1板ばね部81がフランジ部32から離れている。第1つぶしダボ278の形状は、軸部21の軸方向に平行な方向から見て、弧状である(図10参照)。また、第1つぶしダボ278では、その長さ方向に交差する断面形状が半円状である(図5B参照)。第1つぶしダボ278は、加熱されたときに、第1ばね8の第1板ばね部81とフランジ部32とが接触可能となるように塑性変形可能である。図6Aは、図4のX1−X1線断面に対応する要部拡大図であり、図6Bは、図4のX2−X2線断面に対応する要部拡大図である。これに対して、図7Aは、リフロー炉を通した後における図4のX1−X1線断面に対応する要部断面図であり、図7Bは、リフロー炉を通した後における図4のX2−X2線断面に対応する要部断面図である。電子部品1では、図7Bに示すように第1つぶしダボ278が塑性変形してつぶれることにより、図7Aに示すように第1ばね8の第1板ばね部81とフランジ部32とが接触する。
また、基体2は、第2ばね9の第2突片93に接触しているつぶしダボ279(以下、「第2つぶしダボ279」ともいう)を更に有する(図5A及び5C参照)。第2つぶしダボ279は、第2ばね9をフランジ部32から軸部21の軸方向に平行な方向において離間させるように、第1部分28よりも厚肉の第3部分299(図5A、5C及び10参照)において第2突片93に対向する面から突出している。これにより、電子部品1では、軸部21の軸方向に平行な方向において、第2ばね9の第2板ばね部91がフランジ部32から離れている。第2つぶしダボ279の形状は、軸部21の軸方向に平行な方向から見て、弧状である(図10参照)。また、第2つぶしダボ279では、その長さ方向に交差する断面形状が半円状である(図5C参照)。第2つぶしダボ279は、加熱されたときに、第2ばね9の第2板ばね部91とフランジ部32とが接触可能となるように塑性変形可能である。第3部分299は、軸部21の軸方向に平行な方向において第2部分29よりも厚肉である。電子部品1では、加熱されたときに、第2つぶしダボ279が塑性変形してつぶれることにより、第2ばね9の第2板ばね部91とフランジ部32とが接触する。
電子部品1では、基体2は、基体2においてフランジ部32が重なっている第1部分28及びフランジ部32の各々よりも厚肉の第2部分29でばね8を受けている。これにより、電子部品1では、ばね8の弾性力によって基体2が変形するのを抑制することが可能となる。
上記の実施形態は、本発明の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記の実施形態は、本発明の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
例えば、電子部品1は、ロータリエンコーダに限らず、例えば、ロータリスイッチ、可変抵抗器等でもよい。電子部品1がロータリスイッチの場合、回転体3の回転量に応じて複数の端子4間の電気的な状態を変化させる機構部5では、複数の端子4間の導通状態、非導通状態を変化させる。電子部品1が可変抵抗器の場合、回転体3の回転量に応じて複数の端子4間の電気的な状態を変化させる機構部5では、複数の端子4間の抵抗値を変化させる。
また、ロータリエンコーダは、接点ユニット6と複数の接点ブラシ7とで構成される接点式の機構部5を備えたロータリエンコーダに限らず、例えば、発光素子と受光素子とを使用した無接点式の機構部を備えたロータリエンコーダでもよい。また、ロータリエンコーダは、インクリメンタル形のロータリエンコーダに限らず、例えば、アブソリュート形のロータリエンコーダでもよい。
また、ばねユニット80は、第1ばね8と第2ばね9との両方を備えた構成に限らず、少なくとも第1ばね8を備えていればよい。また、軸部21の軸方向から見た第1ばね8の形状は、円弧状に限らず、例えば円環状でもよい。また、第1ばね8及び第2ばね9は、板ばね部81及び板ばね部91を備えた構成に限らず、例えば、コイルばね等でもよい。
また、基体2の軸部21の形状は、円筒状に限らず、例えば、円柱状でもよい。
上述の実施形態等から明らかなように、第1の態様に係る電子部品1は、基体2と、回転体3と、複数の端子4と、機構部5と、ばね8と、を備える。基体2は、樹脂成形体であり、軸部21を有する。回転体3は、軸部21を囲んでおり、軸部21を回転中心軸として回転可能である。複数の端子4は、基体2に保持されている。機構部5は、回転体3の回転量に応じて複数の端子4間の電気的な状態を変化させる。ばね8は、軸部21の軸方向において回転体3と基体2との間に位置し、軸部21の軸方向に平行な方向において回転体3を基体2に近づける向きの弾性力を回転体3に作用させる。電子部品1では、基体2でばね8の上記の弾性力の一部を受けるように基体2がばね8の一部に接触している。
以上の構成により、電子部品1では、基体2でばね8の上記の弾性力の一部を受けるように基体2がばね8の一部に接触している。これにより、電子部品1は、プリント配線板等にリフローによって実装したときに、ばね8の弾性力等によって回転体3が変形するのを抑制することが可能となる。よって、電子部品1では、回転操作性の向上を図ることが可能となる。
第2の態様に係る電子部品1では、第1の態様において、回転体3は、円筒部31と、フランジ部32と、を有する。円筒部31は、軸部21を囲んでいる。フランジ部32は、円筒部31の軸方向の一端から円筒部31の径方向外向きに突出している。フランジ部32は、ばね8との対向面に、フランジ部32の周方向において並んでいる複数の凸部33を有する。ばね8は、板ばね部81と、クリック用突起82と、を有する。板ばね部81は、円筒部31の外周形状に沿った形状であり、軸部21の軸方向に平行な方向においてフランジ部32に重なっている。クリック用突起82は、板ばね部81と一体であり、複数の凸部33のうち隣り合う2つの凸部33の間の各々に出入り可能である。これにより、電子部品1では、フランジ部32において隣り合う2つの凸部33の間にクリック用突起82が入ったときに使用者がクリック感を得ることが可能となる。電子部品1では、プリント配線板等にリフローによって実装したときに、ばね8の弾性力等によって回転体3のフランジ部32が変形するのを抑制することが可能となり、使用者が回転体3を回転させたときに、回線操作性が向上する。また、電子部品1では、使用者が回転体3を回転させたときに、使用者がより確実にクリック感を得ることが可能となる。
第3の態様に係る電子部品1では、第2の態様において、ばね8である第1ばねとは別に、軸部21の軸方向に平行な方向において回転体3を基体2に近づける向きの弾性力を回転体3に作用させる第2ばね9を更に備える。この電子部品1では、第1ばね及び第2ばね9の各々の形状が円弧状であり、第1ばねと第2ばね9とが円筒部31の外周方向に沿った方向において並んでおり、基体2が第2ばね9の一部に接触している。これにより、電子部品1では、プリント配線板等にリフローによって実装したときに、第2ばね9の弾性力等によって回転体3が変形するのを抑制することが可能となる。よって、電子部品1では、回転操作性の向上を図ることが可能となる。
第4の態様に係る電子部品1では、第2又は3の態様において、ばね8は、板ばね部81から円筒部31側とは反対側に突出し基体2に保持される突片83を有する。突片83は、円筒部31の径方向においてクリック用突起82よりも外側に位置する。これにより、電子部品1では、プリント配線板等にリフローによって実装したときに、ばね8の弾性力等によって回転体3のフランジ部32が変形するのを抑制することが可能となる。
第5の態様に係る電子部品1では、第4の態様において、突片83は、軸部21の軸方向に平行な方向において基体2に近づく向きに突出した突起84を有する。これにより、電子部品1では、突片83を基体2により確実に接触させることが可能となり、プリント配線板等にリフローによって実装したときに、ばね8の弾性力等によって回転体3のフランジ部32が変形するのをより確実に抑制することが可能となる。
第6の態様に係る電子部品1では、第2乃至5のいずれか一つの態様において、基体2は、ばね8をフランジ部32から軸部21の軸方向に平行な方向において離間させるように突片83に対向する面から突出したつぶしダボ278を更に有する。つぶしダボ278は、加熱されたときに、ばね8とフランジ部32とが接触可能となるように塑性変形可能である。これにより、電子部品1では、プリント配線板等にリフローによって実装したときに、ばね8とフランジ部32とを接触させることが可能となり、回転操作性の向上を図ることが可能となる。また、電子部品1では、プリント配線板等にリフローによって実装された後で、使用者が回転体3を回転させたときに、使用者がより確実にクリック感を得ることが可能となる。
第7の態様に係る電子部品1では、第2乃至6のいずれか一つの態様において、基体2は、基体2においてフランジ部32が重なっている第1部分28及びフランジ部32の各々よりも厚肉の第2部分29でばね8を受けている。これにより、電子部品1では、プリント配線板等にリフローによって実装したときに、ばね8の弾性力等によって基体2が変形するのを抑制することが可能となる。