以下、実施形態の駅務機器を、図面を参照して説明する。以下、実施形態の交通システムを、図面を参照して説明する。実施形態の交通システムは、鉄道やバスなどの交通機関において、利用者に情報を提供するシステムである。以下の説明では、交通システムが、駅務システムとして鉄道駅において適用される例について説明する。
(第1の実施形態)
図1は、駅務システム1の構成を示す図である。駅務システム1は、例えば、A駅システム2Aと、B駅システム2Bと、センタサーバ装置160と、端末装置180とを備える。なお、駅務システム1は、A駅システム2A、およびB駅システム2Bの他に、複数の駅システムを含んでもよい。以下、A駅システム2Aと、B駅システム2Bとを区別しない場合は、単に「駅システム2」と称する。また、図示する例では、A駅システム2Aに含まれる構成を符号の末尾に「A」を付し、B駅システム2Bに含まれる構成を符号の末尾に「B」を付して示している。いずれの駅システムに含まれる構成であるかを区別しない場合は、「A」または「B」を省略して示す。
駅システム2は、例えば、駅サーバ10と、自動改札機20と、サイネージ装置70と、券売機100と、駅務機器130と、センタサーバ装置160とを備える。なお、駅システム2は、1台に限らず、複数の、駅サーバ10、自動改札機20、サイネージ装置70、券売機100、または駅務機器130を備えてもよい。自動改札機20、サイネージ装置70、券売機100、駅務機器130、または端末装置180は、「出力装置」の一例である。
駅サーバ10は、例えば、自動改札機20と、サイネージ装置70と、券売機100と、駅務機器130とを備える。また、駅サーバ10は、ネットワークNWを介してセンタサーバ装置160から取得した情報を、専用線を介して駅システム2に含まれる装置等に送信したり、上記の装置等から専用線を介して取得した情報を、ネットワークNWを介してセンタサーバ装置160に送信したりする。また、駅サーバ10は、ネットワークNWを介して、端末装置180と通信する。ネットワークNWは、LAN(Local Area Network)や、WAN(Wide Area Network)、携帯電話網、Wi−Fi網等である。
[媒体]
ここで、本実施形態の駅務システム1において、利用される媒体Mについて説明する。図2は、媒体Mの一例を示す図である。媒体Mは、無線通信機能を有する媒体である。媒体Mは、例えば、基材M2と、チップM3と、アンテナM4とを備える。チップM3は、例えば、基材M2に含まれるパッシブタイプのIC(Integrated Circuit)チップである。チップM3は、RFID(Radio Frequency IDentifier)技術によって、自動改札機20、券売機100、または駅務機器130(以下、これらを区別しない場合は「駅関連機器」と称する)との間で情報を送受信する。チップM3は、駅関連機器により送信されたコマンド(信号)に応答して情報を送信する、コマンドレスポンス方式に基づいて処理を実行する。チップM3は、例えば、送受信部M5、制御回路M6、記憶部M7などを備える。送受信部M5は、駅関連機器により送信された電波に含まれる情報を復調したり、情報を重畳するための電波を生成し、生成した電波に情報を重畳したりする。
制御回路M6は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサである。制御回路M6は、駅関連機器により送信されたコマンドの内容に応じて、記憶部M7に情報を書き込んだり、記憶部M7に書き込まれた情報を読み出したりする。また、制御回路M6は、記憶部M7に記憶された情報を読み出し、送受信部M5およびアンテナM4を用いて、読み出した情報を駅関連機器に送信する。
記憶部M7には、制御回路M6により実行されるプログラムや、媒体ID、効力情報、電子マネーのチャージ金額(入金金額)、利用者が通過した駅の情報(例えば入場駅)等がエンコードされて記憶されている。効力情報とは、例えば、利用者が利用することができる鉄道の利用区間(例えば○○駅から××駅まで)、利用可能な期間(例えば発行日当日のみ有効)などの情報である。
[駅サーバ]
図3は、駅サーバ10の機能構成を示す図である。駅サーバ10は、例えば、情報処理部12と、通信部14と、駅サーバ側記憶部16を備える。情報処理部12は、自動改札機20、券売機100、または駅務機器130の読取部により利用者により交通機関の利用のために翳された媒体Mの情報が読取られるのに応じて、利用者に対して情報出力可能な出力装置に、用途情報を出力させる。用途情報は、対応情報に基づいて出力される。対応情報とは、交通機関の利用以外の媒体Mの用途に関する用途情報と媒体Mの識別情報とが対応付けられた情報である。用途情報とは、例えば、利用者にとって有益な情報であって、媒体Mを用いて購買活動を行うと利用者に特典が付与されることを示す情報や、媒体Mを利用することができる店舗の情報等である。出力とは、利用者に対して情報出力可能な出力装置に、用途情報を表示部に表示させたり、用紙に印刷したりすることである。
通信部14は、他装置とする通信するための通信インターフェースである。駅サーバ側記憶部16は、例えば後述する利用者情報17および提供情報18が記憶されている。利用者情報17および提供情報18は、「対応情報」の一例である。
[自動改札機]
図4は、1つの自動改札機20を上方から見た図である。自動改札機20は、通路を挟んで対向配置される主機30と従機40とを備える。主機30は、例えば、リーダライタ31と、上面表示部32と、正面表示部33と、扉部34および35と、制御部50とを備える。また、従機40は、リーダライタ41と、上面表示部42と、正面表示部43と、扉部44および45とを備える。
主機30のリーダライタ31は、図4のa方向に通過しようとする(駅から出場しようとする)利用者によって翳された媒体Mに記憶された情報を読み取って、読み取った情報を制御部50に送信する。上面表示部32は、制御部50によって処理された結果を表示する。正面表示部33は、図4のa方向に通過可能であるか否かを示すマークや図形、文字等を表示する。正面表示部33の表示内容は、制御部50によって決定される。図4の例では、自動改札機20は、a方向の通過のみ許可する動作モード(第1の動作モード)に設定されているため、主機30の正面表示部33は、通過を許可することを示すマークを表示している。制御部50は、主機30と従機40の各部を制御する。
一方、従機40のリーダライタ41は、b方向に通過しようとする(駅に入場しようとする)利用者によって翳された媒体Mに記憶された情報を読み取って、読み取った情報を主機30の制御部50に送信する。上面表示部42は、リーダライタ41に媒体Mが翳された場合に、主機30の制御部50によって処理された結果を表示する。正面表示部43は、b方向に通過可能であるか否かを示すマークや図形、文字等を表示する。正面表示部43の表示内容は、主機30の制御部50によって決定される。図4の例では、自動改札機20は、a方向の通過のみ許可する第1の動作モードに設定されているため、従機40の正面表示部43は、通過を禁止することを示すマークを表示している。
主機30の制御部50は、自動改札機20が第1の動作モードに設定されている場合には、扉部35および45を開放状態に維持すると共に、扉部34および44を開放状態または閉止状態に制御することで、a方向の利用者の通過を許可または禁止する。また、制御部50は、自動改札機20が図4のb方向の通過のみ許可する動作モード(第2の動作モード)に設定されている場合には、扉部34および44を開放状態に維持すると共に、扉部35および45を開放状態または閉止状態に制御することで、b方向の利用者の通過を許可または禁止する。
リーダライタ31および41は、例えば、自身に翳された媒体Mから情報を読み取り、読み取った情報をデコードし、電子情報を取得する。そして、リーダライタ31および41は、取得した情報を制御部50に出力する。また、リーダライタ31および41は、自身に翳された媒体Mに対して情報をエンコードして書き込む。リーダライタ31および41は、例えば、13.56[MHz]の通信帯域を使用して媒体Mと通信を行う。
図5は、自動改札機20の機能構成を示す図である。自動改札機20は、図5に示す構成の他、例えば、駅サーバ10と通信を行う改札機側通信部56と、種々の情報を格納する改札機側記憶部58とを更に備える。
制御部50は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサが改札機側記憶部58に記憶されたプログラムを実行することにより実現されてよい。また、制御部50は、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等のハードウェアによって実現され、制御部50の機能を実現するための回路構成を有してもよい。また、制御部50は、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。
改札機側記憶部58は、例えば、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SDカード等の不揮発性の記憶媒体と、RAM(Random Access Memory)、レジスタ等の揮発性の記憶媒体とによって実現される。改札機側記憶部58は、プロセッサが実行するプログラムや、各駅間の運賃が記憶された運賃テーブル59を格納する他、自機が設置された駅の識別情報や、自機の識別情報、各駅間の距離等を格納する。
制御部50は、例えば、改札処理部52と、表示制御部54とを備える。改札処理部52は、リーダライタ31(41)により取得された情報に基づいて、利用者の通過可否を判定し、判定結果に基づいて、利用者の通過を許可、あるいは禁止する制御を行う。例えば、改札処理部52は、媒体Mに記憶された効力情報が、利用者が利用した区間を満たす場合、利用者の通過を許可し、利用者が利用した区間を満たさない場合、利用者の通過を禁止する。改札処理部52は、通過の許可の判定に応じて、扉部34,35、44,45を開放するように制御する。改札処理部52は、通過の禁止の判定に応じて、扉部34,35、44、45を閉止するように制御する。表示制御部54は、通過の許可または通過の禁止の判定に応じて、判定結果に応じた画像を表示させるように上面表示部32、42、または正面表示部33、43を制御する。
[サイネージ装置]
サイネージ装置70は、例えば、駅の施設内に設置され、交通機関(例えば鉄道)の利用以外の媒体Mの用途に関する用途情報を表示部に表示する。
図6は、サイネージ装置70の機能構成を示す図である。サイネージ装置70は、例えば、通信部72と、表示制御部74と、表示部76と、記憶部80とを備える。通信部72は、他装置と通信する通信インターフェースである。表示制御部74は、他の装置から取得した情報に基づいて、用途情報を表示部に表示させる。
表示部76は、例えばプラズマディスプレイや、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electroluminescence)表示装置等である。表示部76は、表示制御部74の制御に基づいて、映像や情報等を表示するデジタルサイネージ(Digital Signage)である。記憶部80は、プロセッサが実行するプログラム等が格納されている。
[券売機]
図7は、券売機100の機能構成図である。券売機100は、例えば、タッチパネル部102と、金銭投入口106と、媒体挿入排出口108と、乗車券排出口110と、検銭部112と、読取書込部114と、媒体処理部116と、乗車券発行部118と、券売機側制御部120と、通信部124と、券売機側記憶部126とを備える。
タッチパネル部102は、受付部103と、表示部104とが一体として形成された、いわゆるタッチパネルである。受付部103は、利用者の入力操作を受け付ける。なお、受付部103は、例えば、ボタン、キーボード、マウス、マイク等のユーザインターフェースであってもよい。
表示部104は、例えば、LCDや有機ELディスプレイなどの表示装置を含む。表示部104は、券売機側制御部120によって出力される情報に基づいて、所定の画像を表示する。
検銭部112は、金銭投入口106に投入された金銭を計数し、計数結果を券売機側制御部120に出力する。
読取書込部114は、通信部とアンテナとを有する。読取書込部114は、媒体処理部116の制御に基づいて、媒体挿入排出口108に投入された媒体Mと、読取書込部114の通信部とが、アンテナを介して通信することにより、媒体Mの記憶部M7に記憶された情報を読み取る。また、読取書込部114は、媒体処理部116の制御に基づいて、媒体挿入排出口108に投入された媒体Mと通信することにより、媒体Mの記憶部M7に情報を書き込む。
媒体処理部116は、読取書込部114を制御する。媒体処理部116は、読取書込部114により読取られた情報をデコードし、電子情報を取得する。そして、媒体処理部116は、取得した情報を券売機側制御部120に出力する。媒体処理部116は、券売機側制御部120の制御に基づいて、読取書込部114を介して、媒体挿入排出口108に投入された媒体Mに対して情報をエンコードして書き込む。
乗車券発行部118は、券売機側制御部120の制御に基づいて、不図示の格納部に格納された磁気券の磁気ストライプに情報を記憶させ、乗車券排出口110から磁気券を排出させる。
券売機側制御部120は、例えば、券売機側表示制御部121と、発行制御部122とを備える。券売機側表示制御部121は、所定の情報を表示部104に表示させる。発行制御部122は、受付部103に対する入力操作に基づいて、処理を実行する。発行制御部122は、例えば、利用者が乗車券を購入するための入力操作を受付部103に対して行った場合、利用の入力操作に基づいて、入場駅から出場駅までの料金を利用者に求める。そして、発行制御部122は、利用者により金銭投入口106に投入された金銭が入場駅から出場駅までの料金を満たすか否かを判定する。発行制御部122は、投入された金銭が料金を満たす場合、乗車券発行部118に乗車券を発行させる。
また、発行制御部122は、媒体Mが媒体挿入排出口108に挿入され、利用者が媒体Mに電子マネーをチャージするための入力操作を行った場合、利用の入力操作に基づいて、金銭投入口106にチャージ金額の投入を促す画像を表示部104に表示させる。発行制御部122は、利用者により金銭投入口106に金銭が投入された場合、投入された金銭に相当する金額を媒体Mの記憶部M7に記憶させる。
通信部124は、駅サーバ10を介して、他装置と通信する。券売機側記憶部126は、プロセッサが実行するプログラムを格納する他、各駅間の運賃が記憶された券売機側運賃テーブル128を格納する。
[駅務機器]
図8は、駅務機器130の機能構成を示す図である。駅務機器130は、駅の係員が操作する機器である。駅務機器130は、例えば、磁気券リーダライタ132と、リーダライタ134と、操作者用表示部136と、印刷部(プリンタ)138と、利用者用表示部140と、金銭処理機142と、制御部150と、駅務機器側記憶部158とを備える。また、制御部150は、例えば、改札処理部152と、表示制御部154とを備える。
磁気券リーダライタ132は、磁気券に記憶された効力情報を含む情報を読み取ったり、改札処理部152からの指示に基づいて磁気券に情報を書き込んだりする。また、磁気券リーダライタ132は、入出場に必要な情報が書き込まれた磁気券を発行する。
リーダライタ134は、例えば、自身に翳された媒体Mから情報を読み取り、読み取った情報をデコードし、電子情報を取得する。そして、リーダライタ134は、取得した情報を制御部150に出力する。また、リーダライタ134は、改札処理部152によって処理された処理結果をエンコードして、エンコードした情報を媒体Mに書き込む。
操作者用表示部136は、例えば、制御部150の指示に基づいて画像を表示すると共に、検知面にタッチ操作された場合に、そのタッチ位置を検出可能なタッチパネル式端末装置である。操作者用表示部136は、LCDや有機EL等の表示装置と、接触検知機構とが重畳して構成される。
印刷部138は、表示制御部154の指示に基づいて、利用者に渡すための用紙に必要な事項を印刷する。利用者用表示部140は、表示制御部154の指示に基づいて、利用者に提示するための画像を表示する。
金銭処理機142は、改札処理部152の処理結果における利用者への請求金額(精算額)と、操作者により金銭処理機142の投入部(不図示)に投入された金銭とに基づいて精算処理を実行し、精算処理の結果を制御部150へ出力する。金銭処理機142は、投入された金銭が精算額を超える場合、差額を釣銭として排出する。なお、金銭処理機142は、入力部(不図示)を備え、操作者により入力部に金額が入力される態様であってもよい。
駅務機器側記憶部158は、制御部150が備えるCPUが実行するための各種プログラムや制御部150が実行した処理の結果などの他、各駅間の運賃が記憶された運賃テーブル等が記憶される。
改札処理部152は、磁気券リーダライタ132、またはリーダライタ134により出力された情報を取得する。改札処理部152は、取得した情報に基づいて、利用者の通過可否を判定し、判定結果または判定結果に基づいて生成した情報を各部へ出力する。
入場時において、改札処理部152が、提示された媒体Mに記憶された効力情報が入場許可条件を満たすと判定した場合、表示制御部154は、その旨を示す情報を操作者用表示部136に表示させる。これを受けて駅係員は、媒体Mを提示した利用者の入場を許可する。出場時において、改札処理部152が、提示された媒体Mに記憶された効力情報が出場許可条件を満たすと判定した場合、その旨を示す情報を操作者用表示部136に表示させ、駅係員は媒体Mを提示した利用者の出場を許可する。
また、改札処理部152は、駅サーバ10から取得した情報に基づいて、用途情報を印刷させた印刷物を印刷部138に出力させる。
表示制御部154は、改札処理部152の処理結果に応じて、操作者用表示部136および/または利用者用表示部140に、所定の画像を表示させる。
図9は、センタサーバ装置160の機能構成を示す図である。センタサーバ装置160は、例えば、処理部162と、通信部164と、センタサーバ側記憶部166とを備える。処理部162は、駅サーバ10から取得した情報を管理する。通信部164は、駅サーバ10または他装置と通信する通信インターフェースである。また、センタサーバ側記憶部166には、管理テーブル167(詳細は後述)が記憶されている。
[用途情報の出力処理]
図10は、駅務システム1により実行される処理を示すシーケンス図である。図10で処理の順序は一例である。また、図10の処理では、各装置が情報を送信する際に、通信元を示すために自装置の識別情報を送信する情報に含めるものとする。また、本処理では、一例として利用者が利用している媒体Mが券売機100の媒体挿入排出口108に挿入され、利用者が媒体Mに定期券の効力情報を付与するように券売機100に指示する場面について説明する。また、各処理の詳細については、後述するフローチャートで説明する。
まず、券売機100が、媒体Mの定期券の発行処理が利用者により指示されるまで待機する(ステップS100)。利用者により媒体Mの発行処理の指示が行われると、券売機100は、利用者により入力された利用者に関する情報を駅サーバ10に送信する(ステップS102)。なお、上述した処理と同様の処理は、媒体Mを発行する駅務機器130においても実行されてもよい。この場合、駅係員が定期券の発行処理を駅務機器130に指示する。
次に、駅サーバ10は、発行処理において利用者により提供された情報をセンタサーバ装置160に送信する(ステップS104)。センタサーバ装置160は、駅サーバ10により送信された情報を取得し、取得した情報を登録し(ステップS106)、その情報を各駅の駅サーバ10に配信する(ステップS108)。ステップS106およびステップS108の処理については、図11のフローチャートで説明する。
次に、駅務機器130は、駅係員によって媒体Mがリーダライタ134に翳されるまで待機し(ステップS110)、媒体Mがリーダライタ134に翳されると、リーダライタ134が取得した媒体IDを駅サーバ10に送信する(ステップS112)。次に、駅サーバ10は、情報検索処理(詳細は後述)を実行して、処理結果に応じた処理を実行する(ステップS114)。そして、駅サーバ10は、処理結果に応じて、端末装置180または駅務機器130に用途情報を出力させる指示を送信する(ステップS116、S118)。
次に、券売機100は、媒体挿入排出口108に媒体Mが挿入されるまで待機し(ステップS120)、媒体Mが挿入されると、媒体Mに記憶された媒体IDを取得し、取得した媒体IDを駅サーバ10に送信する(ステップS122)。次に、駅サーバ10は、情報検索処理を実行して、処理結果に応じた処理を実行する(ステップS124)。そして、駅サーバ10は、処理結果に応じて、端末装置180または券売機100に用途情報を出力させる指示を送信する(ステップS126、S128)。
次に、自動改札機20は、リーダライタ31(または41)に媒体Mが翳されるまで待機し(ステップS130)、媒体Mが翳されると、媒体Mに記憶された媒体IDを取得し、取得した情報を自動改札機20に送信する(ステップS132)。次に、駅サーバ10は、情報検索処理を実行して、処理結果に応じた処理を実行する(ステップS134)。そして、駅サーバ10は、処理結果に応じて、端末装置180またはサイネージ装置70に用途情報を出力させる指示を送信する(ステップS136、S138)。
[利用者情報の登録処理]
まず、利用者は、利用者が保有する端末装置180のメールアドレスをセンタサーバ装置160に登録する。図11は、メールアドレスが登録される際の処理の流れを示すフローチャートである。
まず、タッチパネル部102が、利用者により定期券購入の指示(操作)がされたか否かを判定する(ステップS200)。定期券購入の指示がされると、券売機側表示制御部121が、タッチパネル部102に利用者登録のための画像を表示させる(ステップS202)。
図12は、タッチパネル部102に表示される利用者登録のための画像を示す図である。画像IMは、利用者の氏名、年齢、およびメールアドレスを入力するための入力欄、情報提供を希望するか否かを設定することを選択するための選択ボタン、入力または選択を確定するためのボタン、および入力された情報または選択された情報をキャンセルするためのキャンセルボタンを含む。例えば、氏名、および年齢は入力が必須の項目であり、メールアドレスは入力が任意の項目である。例えば、名前や年齢、メールアドレスを入力するための欄に利用者が触れると、タッチパネル部102に文字や数字を選択するための画面が表示される。利用者は、この画面において文字や数字等を選択することで氏名や年齢、メールアドレスを入力する。
次に、券売機側表示制御部121は、利用者登録のための画像に定期券購入に必要な情報が入力されたか否かを判定する(ステップS204)。定期券購入に必要な情報とは、例えば、氏名や年齢である。次に、券売機側表示制御部121は、利用者登録のための画像において、メールアドレスが入力されたか否かを判定する(ステップS206)。
メールアドレスの入力がされた場合、券売機側表示制御部121は、メールアドレスを含む顧客情報をセンタサーバ装置160に送信する(ステップS208)。メールアドレスの入力がされていない場合、券売機側表示制御部121は、メールアドレスを除く入力された顧客情報をセンタサーバ装置160に送信する(ステップS210)。これにより本フローチャートの1ルーチンの処理は終了する。
上述した処理がされることにより、センタサーバ装置160が、券売機100から利用者により登録された情報を取得し、取得した情報を管理テーブル167に登録する。図13は、管理テーブル167に登録された情報の内容を示す図である。管理テーブル167には、媒体IDに対して、利用者の氏名、年齢、メールアドレス、情報提供の希望の有無、および定期券の利用駅が対応付けられている。
また、上記の管理テーブル167と同等の情報は、センタサーバ装置160により各駅サーバ10に送信される。これにより駅サーバ10は、管理テーブル167と同等の情報である駅側管理テーブル(不図示)を取得する。
[用途情報を出力させる処理]
図14は、駅サーバ10が用途情報を出力させる処理の流れを示すフローチャート(1)である。例えば、精算処理や、その他の処理のために、駅係員が存在する窓口に、利用者が訪れ、駅係員が上記の処理のために媒体Mに対する処理を行う際に、媒体IDが駅務機器130により取得され、取得された媒体IDが駅サーバ10に送信される例について説明する。
まず、駅サーバ10の情報処理部12が、駅務機器130から媒体IDを取得するまで待機する(ステップS300)。媒体IDを取得すると、情報処理部12は、利用者情報17を参照して、利用者に未提供の情報が存在するか否かを判定する(ステップS302)。図15の上図は、利用者情報17の内容を示す図である。利用者情報は、媒体IDに対して、提供済の用途情報、所定の駅(例えば駅サーバが設置されたA駅)に入場時に未提供である用途情報の数、所定の駅(例えば駅サーバが設置されたA駅)に出場時に未提供である用途情報の数、および情報提供方法(電子メールまたは印刷)が対応付けられている。また、情報提供方法が電子メールである場合、利用者のメールアドレスが媒体IDに対応付けられている。未提供である用途情報の数とは、用途情報として、利用者に提供されていない用途情報の数である。例えば、情報処理部12が、用途情報を出力装置に出力させた場合に、この用途情報を提供済の用途情報として、利用者情報17に対応付ける。また、この場合、情報処理部12は、提供した用途情報を対応する用途情報の数(入場時未提供用途情報の数、或いは出場時未提供用途情報の数)からデクリメントする。
未提供の情報が存在しない場合、利用者にとって提供する有益な情報が存在しないため、本フローチャートの1ルーチンの処理は終了する。未提供の情報が存在する場合、情報処理部12は、利用者情報17を参照して、用途情報の送信先が登録されているか否かを判定する(ステップS304)。用途情報の送信先が登録されている場合、情報処理部12は、利用者情報17および提供情報18を参照して、利用者が保有する端末装置180に未提供の情報を送信する(ステップS306)。
提供情報18は、図15の下図に示すように駅名に対して、入場時または出場時に利用者に出力装置により提供される情報(用途情報)が対応付けられた情報である。提供情報18の用途情報には、利用者に提供する優先度および用途情報の内容が対応付けられている。また、用途情報は、各駅において共通であってもよいし、駅ごとに対応付けられる用途情報が異なっていてもよい。駅に対応付けられる情報は、当該駅または駅周辺に対応した用途情報である。当該駅または駅周辺に対応付けられた用途情報とは、利用者が駅内(の店舗)または駅周辺(の店舗)で恩恵を受けることができることを示す情報である。
また、提供情報18は、利用者が入場すると想定される駅または出場すると想定される駅ごとに用途情報が対応付けられた情報であってもよい。想定される出場駅とは、例えば、媒体IDに対応付けられた定期区間の駅であって、利用者が入場した駅とは異なる駅である。また、媒体IDごとに、利用者の鉄道の利用履歴が駅サーバ10やセンタサーバ装置160に記憶されている場合、利用履歴のうち、利用頻度が高い駅が出場すると想定される駅とされる。入場すると想定される駅とは、利用者が媒体Mを利用して券売機100で乗車券を購入しようとしている駅や、駅構外から駅構内に入場するために媒体Mを自動改札機20に媒体Mを翳した駅等である。
情報処理部12は、利用者の入場時において、提供情報18に記憶されている入場時に提供される用途情報と、利用者情報17において媒体IDに対応する入場時に提供済の用途情報とを比較して、入場時に提供していない用途情報を選択する。情報処理部12は、利用者の出場時において、入場時と同様に提供情報18に記憶されている出場時に提供される用途情報と、利用者情報17において媒体IDに対応する出場時に提供済の用途情報とを比較して、出場時に提供していない用途情報を選択する。
情報処理部12は、所定期間ごとに提供情報18の内容を変更してもよいし、用途情報の追加を指示する情報が他装置等から送信された場合に用途情報を追加してもよい。この場合、情報処理部12は、利用者情報17の未提供用途情報の数を、変更または追加された用途情報に応じて更新する。
用途情報の送信先が登録されていない場合、情報処理部12は、利用者情報17を参照して、駅務機器130に未提供の情報を送信し、未提供の情報を印刷させる(ステップS308)。駅務機器130は、情報処理部12により送信された未提供の情報を取得し、取得した情報をレシートに印刷したり、所定の用紙に印刷したりして出力する。また、駅務機器130は、利用者用表示部140に未提供の情報を表示させてもよい。これにより、本フローチャートの1ルーチンの処理は終了する。
図16は、利用者の端末装置180の表示部に出力される用途情報を含む画像を示す図である。端末装置180の表示部には、例えば、媒体Mを利用して会計すると媒体Mにポイントが付与されることを示す情報や、媒体Mを利用して会計すると所定の商品(またはサービス)が割引されることを示す情報、媒体Mが新たに利用可能になった施設(店舗)の情報等の用途情報が表示される。
このように、利用者が交通機関を利用した際に用途情報が表示されることにより、利用者にとって有益な情報を取得することができる。
なお、上述した処理では、駅サーバ10の情報処理部12は、未提供の情報が存在する場合、利用者情報17および提供情報18を参照して、用途情報の送信先が登録されている場合、利用者が保有する端末装置180に未提供の情報を送信すると共に、他の出力装置に出力部に情報を出力させてもよい。
図17は、駅サーバ10により用途情報が出力される処理の流れを示すフローチャート(2)である。例えば、利用者が自動改札機20を通過する際に、駅サーバ10により実行される処理の一例である。
まず、駅サーバ10の情報処理部12が、自動改札機20から媒体IDを取得するまで待機する(ステップS400)。媒体IDを取得すると、情報処理部12は、利用者情報17を参照して、利用者に未提供の情報が存在するか否かを判定する(ステップS402)。未提供の情報が存在しない場合、本フローチャートの1ルーチンの処理は終了する。
未提供の情報が存在する場合、情報処理部12は、利用者情報17を参照して、用途情報の送信先が登録されているか否かを判定する(ステップS404)。用途情報の送信先が登録されている場合、情報処理部12は、利用者情報17および提供情報18を参照して、利用者が保有する端末装置180に未提供の情報を送信する(ステップS406)。
用途情報の送信先が登録されていない場合、情報処理部12は、利用者情報17および提供情報18を参照して、サイネージ装置70に未提供の情報を送信し、未提供の情報を表示させる(ステップS408)。なお、駅サーバ側記憶部16には、自動改札機20に対応するサイネージ装置70の識別情報が対応付けられている。対応するサイネージ装置70とは、自動改札機20を通過した利用者が視認しやすい位置に存在するサイネージ装置70である。
サイネージ装置70は、情報処理部12により送信された未提供の情報を取得し、取得した情報を表示部に表示させる。これにより、本フローチャートの1ルーチンの処理は終了する。
図18は、サイネージ装置70に用途情報が表示される場面の一例を示す図である。例えば、利用者が自動改札機20を通過して駅構内から出場した際に、利用者の端末装置180のメールアドレスが利用者情報に登録されていない場合、駅サーバ10は、利用者視認しやすいサイネージ装置70に用途情報を出力させる。これにより、利用者は、駅の出場時に有益な情報を取得することができる。
なお、上記の例では、提供する用途情報は、駅サーバ10により送信されるものとしたが、用途情報は、出力装置の記憶部に記憶されてもよい。この場合、駅サーバ10は、用途情報の識別情報を出力装置に送信する。出力装置は、取得した用途情報の識別情報に対応する用途情報を検索して、識別情報が一致する用途情報を自装置の出力部に出力させる。
また、上述した例では、サイネージ装置70が用途情報を出力するものとしたが、自動改札機20の上面表示部32または42に用途情報が表示されてもよい。
以上説明した第1の実施形態によれば、駅サーバ10の情報処理部12が、自動改札機20や、券売機100、駅務機器130等のリーダライタにより読み取られた媒体IDと、用途情報と媒体IDとが対応付けられた対応情報とに基づいて、利用者に対して情報出力可能な出力装置に、用途情報を出力させることにより、利用者にとって有益な情報を提供することができる。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、駅サーバ10が、未提供の用途情報を端末装置180に送信するものとしたが、第2の実施形態では、駅務機器130が、未提供の用途情報を端末装置180に送信する。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
図19は、第2の実施形態の駅務機器130Aの機能構成を示す図である。駅務機器130Aは、第1の実施形態の駅務機器130の機能構成に加え、更に駅務機器側記憶部158には、利用者情報17Aおよび提供情報18Aが記憶されている。利用者情報17Aおよび提供情報18Aは、利用者情報17および提供情報18と同様の情報である。
図20は、駅務機器130Aにより実行される処理の流れを示すフローチャートである。まず、リーダライタ134が、媒体Mが翳されたか否かを判定する(ステップS500)。媒体Mがリーダライタ134に翳されると、改札処理部152は、媒体IDを取得し、取得した媒体IDに基づいて、改札処理を実行する(ステップS502)。次に、改札処理部152は、利用者情報17Aを参照して、利用者に未提供の情報が存在するか否かを判定する(ステップS504)。未提供の情報が存在しない場合、本フローチャートの1ルーチンの処理は終了する。
未提供の情報が存在する場合、改札処理部152は、利用者情報17Aを参照して、用途情報の送信先が登録されているか否かを判定する(ステップS506)。用途情報の送信先が登録されている場合、改札処理部152は、利用者情報17Aおよび提供情報18Aを参照して、利用者が保有する端末装置180に未提供の用途情報を送信する(ステップS508)。この場合、例えば改札処理部152は、駅サーバ10や、センタサーバ装置160を用いて、用途情報を端末装置180に送信させてもよい。
用途情報の送信先が登録されていない場合、改札処理部152は、利用者情報17Aおよび提供情報18Aを参照して、未提供の情報を所定の用紙に印刷させるように印刷部を制御する(ステップS510)。これにより、本フローチャートの1ルーチンの処理は終了する。
なお、上述した例では、駅務機器130Aが、利用者情報17Aおよび提供情報18Aを有し、上記の情報を参照して、用途情報を出力する例について説明したが、券売機100が、駅務機器130Aと同等の処理を実行してもよい。
また、自動改札機20が、利用者情報17Aおよび提供情報18Aを有し、上記の情報を参照して、用途情報を他装置に出力させるように制御してもよい。この場合において、自動改札機20は、利用者情報17Aおよび提供情報18Aを参照し、用途情報を送信すると判定した場合、端末装置180に未送信の情報を送信する。また、自動改札機20は、利用者情報17Aおよび提供情報18Aを参照し、用途情報を送信せずに他装置に出力させると判定した場合、他装置に用途情報を出力させるように指示する。他装置とは、例えば、自動改札機20と専用線等で接続されたサイネージ装置70である。
また、センタサーバ装置160が、利用者情報17Aおよび提供情報18Aを有し、自動改札機20や券売機100、駅務機器130等から媒体IDを取得して、取得した媒体IDおよび上記の情報を参照して、用途情報を他装置に出力させるように制御してもよい。
以上説明した第2の実施形態では、自動改札機20や、券売機100、駅務機器130が、自装置のリーダライタにより読み取られた媒体IDと、用途情報と媒体IDとが対応付けられた対応情報とに基づいて、利用者に対して情報出力可能な出力装置に、用途情報を出力させることにより、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
なお、上述した利用者情報17または提供情報18は、駅サーバ10に限らず、センタサーバ装置160または出力装置の記憶部に記憶されてもよい。また、駅サーバ10に実行される処理の一部または全部は、センタサーバ装置160または出力装置で実行されてもよい。
また、上記の実施形態では、媒体IDに応じて、用途情報が出力されるものとして説明したが、読取部(リーダライタ)により情報が読取られるのに応じて、駅サーバ10は、出力装置に用途情報を出力させてもよい。
また、鉄道に限らずバスの交通システムにおいて適用されてもよい。この場合、バス内で運賃を支払う場合に利用者が降車する停留所に対応した用途情報が利用者に提供される。メールアドレスが登録されていない利用者に対しては、バス内に設けられた表示部に用途情報が表示されたり、用途情報が印刷された印刷物が利用者に提供されたりする。また、降車時には、バスの停留所付近に設けられた表示部に用途情報が表示される。
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、利用者により交通機関の利用のために翳された媒体から情報を読み取る読取部(リーダライタ)と、読取部により情報が読み取られるのに応じて、利用者に対して情報出力可能な出力装置に、交通機関の利用以外の媒体の用途に関する用途情報を出力させる制御部とを持つことにより、利用者にとって有益な情報を提供することができる。
上記説明した実施形態は、以下のように表現することができる。
アンテナを有し、交通機関の利用者により前記交通機関の利用のために用いられる媒体と前記アンテナを用いて通信することで、前記媒体の記憶部に記憶された情報を読み取る読取部と、
情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶されたプログラムを実行するハードウェアプロセッサと、を備え、
前記記憶部には、前記ハードウェアプロセッサに、
前記読取部により読取られた情報を取得するのに応じて、前記利用者に対して情報出力可能な出力装置に、前記交通機関の利用以外の前記媒体の用途に関する用途情報を出力させる処理を実行させる前記プログラムが格納されている、
交通システム。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。