以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る自動分析装置1の機能構成を示すブロック図である。図1に示される自動分析装置1は、分析機構2、解析回路3、駆動機構4、入力インタフェース5、ディスプレイ6、メモリ7、及び制御回路8を具備する。
分析機構2は、標準試料又は被検試料等の試料と、この試料に設定された各検査項目で用いられる試薬とを混合する。分析機構2は、試料と試薬との混合液を測定し、例えば吸光度で表される標準データ、及び被検データを生成する。
解析回路3は、分析機構2により生成された標準データ、被検データに基づいて検量データ及び分析データ等を解析するプロセッサである。解析回路3は、メモリ7から動作プログラムを読み出し、動作プログラムに従って検量データ及び分析データ等を生成する。例えば、解析回路3は、標準データと、標準試料に予め設定された標準値との関係を示す検量データを生成する。また、解析回路3は、被検データと、この被検データに対応する検査項目の検量データとに基づいて、濃度値及び酵素の活性値として表される分析データを生成する。解析回路3は生成した検量データ及び分析データ等を制御回路8へ出力する。
駆動機構4は、ギア、ステッピングモータ、ベルトコンベア、及びリードスクリュー等により実現される。駆動機構4は、制御回路8の制御に従い、分析機構2を駆動させる。
入力インタフェース5は、例えば、マウス、キーボード、及び、操作面へ触れることで指示が入力されるタッチパッド等により実現される。入力インタフェース5は、例えば、操作者から検査を行う検査対象の試料を識別する試料ID、この試料IDに対する検査項目、及び各検査項目の分析パラメータを受け付ける。入力インタフェース5は、制御回路8に接続され、操作者から入力される操作指示を電気信号へ変換し、電気信号を制御回路8へ出力する。なお、本明細書の各実施形態において入力インタフェース5はマウス及びキーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、自動分析装置1とは別体に設けられた外部の入力機器から入力される操作指示に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路8へ出力する電気信号の処理回路も入力インタフェース5の例に含まれる。
ディスプレイ6は、例えばCRT(Cathdode-Ray Tube)ディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機EL(Electroluminescence)ディスプレイ、及びプラズマディスプレイ等を含む。また、ディスプレイ6は、制御回路8に接続され、制御回路8から供給される信号を外部へ表示する。ディスプレイ6は、例えば制御回路8から供給される検量データ及び分析データを表示する。
メモリ7は、磁気的若しくは光学的記録媒体又は半導体メモリ等の、プロセッサにより読み取り可能な記録媒体等を含む。メモリ7は、解析回路3で実行される動作プログラム、及び制御回路8で実行される動作プログラムを記憶する。メモリ7は、解析回路3により生成される検量データを検査項目毎に記憶する。メモリ7は、解析回路3により生成される分析データを被検試料毎に記憶する。
制御回路8は、自動分析装置1の中枢として機能するプロセッサである。制御回路8は、メモリ7に記憶されている動作プログラムを実行することで、この動作プログラムに対応する機能を実現する。制御回路8は、例えば図1に示されるシステム制御機能81を備える。
システム制御機能81は、入力インタフェース5から入力される入力情報に基づき、自動分析装置1における各部を統括して制御する機能である。システム制御機能81が実行されると、制御回路8は、入力情報に基づき、駆動機構4を介し、分析機構2を構成する各要素の動作を制御する。また、制御回路8は、入力情報に基づき、分析機構2を構成する各要素の動作を直接制御する。
図2及び図3は、図1に示される分析機構2の構成の一例を示す模式図である。図2及び図3に示される分析機構2は、反応ディスク201、及び試薬庫202を備える。
反応ディスク201内には、恒温水で満たされた恒温槽2012が設けられている。恒温槽2012は円周形状を有している。反応ディスク201は、恒温槽2012により、複数の反応管2011を保持する。反応ディスク201は、駆動機構4によって既定の時間間隔で回動と停止とが交互に繰り返される。反応管2011は、例えば、ガラスにより形成される。
試薬庫202は、試薬が収容されている試薬容器を複数保持する試薬庫の一例であり、この実施形態では、反応ディスク201の内側に配置される。試薬庫202は、試薬容器ラックにより、円周状に複数の試薬容器を保持する。図2及び図3に示される試薬庫202内の外円2021は、試薬庫202内で円周状に配列される試薬容器のうち、外側の円周に配列される試薬容器の開口部の位置を表す。試薬庫202内の内円2022は、試薬庫202内で円周状に配列される試薬容器のうち、内側の円周に配列される試薬容器の開口部の位置を表す。
試薬庫202に保持されている試薬容器は、反応管2011に分注される試薬を収容している。開口部が外円2021に沿って配置される試薬容器101は、各検査項目に対応する第1試薬を収容している。第1試薬は、検査項目毎に使われるものが決められている。開口部が内円2022に沿って配置される試薬容器101は、各検査項目に対応する第2試薬を収容している。第2試薬は、第1試薬同様に検査項目毎に使われるものが決められている。試薬容器ラックは、駆動機構4によって試薬庫202の中心を回転中心として回動される。
また、図2及び図3に示される分析機構2は、ラック投入ユニット230、ラック移動ユニット240、ラック回収ユニット250、及びSTATラック投入レーン260を備える。
ラック投入ユニット230は、投入レーン231を備える。投入レーン231には、サンプルラック102が投入される。サンプルラック102は、試料を収容する試料容器100を複数保持している。サンプルラック102の両端の側面には、ラック移動ユニット240に設けられる搬送アーム241によりピックアップ可能な形状、例えば1対の溝が形成される。また、サンプルラック102には、サンプルラック102の有無を識別するためのRFID(Radio Frequency IDentification)チップ(無線タグ)が取り付けられている。
試料容器100には、標準試料又は被検試料等の試料が収容される。試料容器100には、試料容器100に収容される試料の識別情報等が記載される光学式マークが印刷されたラベルが貼付されている。光学式マークは、試料容器100に関する情報、及び試料の識別情報等を符号化したマーク、例えば、バーコード、1次元コード、及び2次元コード等である。
サンプルラック102は、投入レーン231へ投入される。投入レーン231へ投入されるサンプルラック102は、駆動機構4により駆動され、ラック移動ユニット240へ移動可能な投入位置へ移動される。このとき、投入レーン231におけるサンプルラック102の移動は、例えば、ベルトコンベア、及びリードスクリュー等により実現される。
ラック移動ユニット240は、搬送アーム241、搬送レール242、サンプリングレーン243、バッファレーン244、及びリーダ245を備える。
搬送アーム241は、例えば、1対の爪を上下動自在に有する。搬送アーム241は、サンプルラック102に形成される1対の溝に爪を差し込んだ状態で、フォークリフトがそのフォークで荷物を抱えて運ぶように、サンプルラック102を搬送する。
搬送アーム241は、駆動機構4によって駆動され、サンプルラック102を搬送する。例えば、搬送アーム241は、投入レーン231における投入位置に載置されているサンプルラック102を抱えた後、搬送レール242上を移動する。これにより、搬送アーム241は、抱えたサンプルラック102をサンプリングレーン243へ搬送する。搬送レール242は、サンプリングレーン243と、バッファレーン244との間に設けられ、搬送アーム241が移動する際のガイドの役割を担う。また、搬送アーム241は、サンプリングレーン243における、ラック回収ユニット250へ移動可能な搬出位置に位置するサンプルラック102を抱えた後、搬送レール242上を移動する。これにより、搬送アーム241は、抱えたサンプルラック102をバッファレーン244又はラック回収ユニット250へ搬送する。
また、搬送アーム241は、バッファレーン244上に載置されたサンプルラック102を、ラック回収ユニット250へ搬送する。また、搬送アーム241は、バッファレーン244上に載置されたサンプルラック102を、STATラック投入レーン260へ搬送する。また、搬送アーム241は、STATラック投入レーン260上に載置された緊急検体が収容されたサンプルラック102を、バッファレーン244へ搬送する。
サンプリングレーン243は、分注対象となる試料容器100が保持される複数のサンプルラックを、サンプル分注プローブ205が試料を吸引する位置であるサンプル吸引位置P1の下へ搬送するためのレーンである。サンプリングレーン243は、駆動機構4により、投入レーン231における投入位置から搬入されたサンプルラック102を移動させる。例えば、サンプリングレーン243は、サンプルラック102に保持される試料容器100各々の開口を、サンプル吸引位置P1の下へ移動させる。また、サンプリングレーン243は、サンプルラック102に保持される全ての試料容器100に収容される試料の分注が正常に終了すると、サンプルラック102を、サンプル吸引位置P1の下から、ラック回収ユニット250へ移動可能な搬出位置へ移動させる。サンプリングレーン243におけるサンプルラック102の移動は、例えば、ベルトコンベア、及びリードスクリュー等により実現される。
バッファレーン244は、所定のエラーを発生させた試料を収容する試料容器100を保持するサンプルラック102を一時的に滞留させるための滞留エリアである。
リーダ245は、例えばサンプル吸引位置P1の近傍に設けられる。リーダ245は、制御回路8からのID読取開始の指示を契機として、読取りを開始する。リーダ245は、分注対象となる試料容器100が光学式マークを読取り可能な位置に到達すると、当該試料容器100に付された光学式マークから試料の識別情報を読み取る。リーダ245は、読取った試料の識別情報を制御回路8に供給する。なお、リーダ245は、RFID等を利用した他のセンサで代替してもよい。
ラック回収ユニット250は、第1回収レーン251、及び第2回収レーン252を有する。第1回収レーン251及び第2回収レーン252は、例えば測定が正常に終了した試料容器100が保持されるサンプルラック102の回収先の役割を有する。第1回収レーン251及び第2回収レーン252は、駆動機構4により駆動され、ラック移動ユニット240から搬送アーム241により搬送されたサンプルラック102を、取り出し位置へ移動させる。
STATラック投入レーン260は、緊急で測定する必要のある試料を収容する試料容器100が保持されるサンプルラック102を投入するためのレーンである。
また、図2及び図3に示される分析機構2は、サンプル分注アーム204、サンプル分注プローブ205、サンプル分注ユニット207、洗浄プール208、第1試薬分注アーム210、第1試薬分注プローブ211、第1試薬分注ユニット213、洗浄プール214、第2試薬分注アーム216、第2試薬分注プローブ217、第2試薬分注ユニット219、洗浄プール220、第1撹拌ユニット222、及び第2撹拌ユニット223を備える。
サンプル分注アーム204は、反応ディスク201とサンプリングレーン243との間に、鉛直方向には上下動自在に水平方向には回動自在に設けられている。サンプル分注アーム204は、一端にサンプル分注プローブ205を保持する。サンプル分注アーム204は、駆動機構4によって回動される。サンプル分注アーム204が回動に伴って、サンプル分注プローブ205は、円弧状の回動軌道に沿って回動する。この回動軌道上には、サンプル分注プローブ205が試料容器100から試料を吸引する位置である、サンプル吸引位置P1が設定されている。サンプル吸引位置P1は、サンプリングレーン243上に位置するように予め設定されている。また、当該回動軌道上のサンプル吸引位置P1とは異なった位置には、サンプル分注プローブ205が吸引した試料を反応管2011へ吐出するサンプル吐出位置P2が設定されている。サンプル分注プローブ205の回動軌跡は、サンプリングレーン243上に載置されるサンプルラック102に保持されている試料容器100の移動軌跡、反応ディスク201に保持されている反応管2011の移動軌跡それぞれと交差している。それぞれの移動軌跡との交差点が、サンプル吸引位置P1、サンプル吐出位置P2である。
サンプル分注プローブ205は、駆動機構4によって駆動され、サンプル吸引位置P1、及びサンプル吐出位置P2において上下方向に移動する。また、サンプル分注プローブ205は、制御回路8の制御に従い、サンプル吸引位置P1に位置する試料容器100から試料を吸引する。また、サンプル分注プローブ205は、制御回路8の制御に従い、吸引した試料を、サンプル吐出位置P2に位置する反応管2011へ吐出する。
次に、本実施形態に係るサンプル分注ユニット207について説明する。本実施形態に係るサンプル分注ユニット207は、従来の自動分析装置が有する構成に加えて、後述する熱交換器2076を有する。図4Aは、サンプル分注ユニット207の構成例を示す模式図である。図4Aに示されるサンプル分注ユニット207は、第1のチューブ2071、シリンジポンプ2072、第2のチューブ2073、開閉弁2074、第3のチューブ2075、熱交換器2076、液体供給ポンプ2077、及びタンク2078を有する。なお、シリンジポンプ2072は、特許請求の範囲に記載の第1のポンプの一例である。また、液体供給ポンプ2077は、特許請求の範囲に記載の第2のポンプの一例である。
第1のチューブ2071は、一端がサンプル分注プローブ205に接続される弾性体である。シリンジポンプ2072は、シリンジ20721、及びプランジャ20722を有する。シリンジ20721は、第1のチューブ2071のサンプル分注プローブ205が接続される一端とは異なる他端部に接続される。プランジャ20722は、シリンジ20721の下端部に設けられる開口に嵌合する。タンク2078は、サンプル分注プローブ205、第1のチューブ2071、及びシリンジポンプ2072の各内部に充填される圧力伝達媒体を貯留する。圧力伝達媒体は、例えば、純水等の液体である。タンク2078は、自動分析装置1の外部と接続されており、タンク2078に貯留される圧力伝達媒体は、自動分析装置1の外部から補充される。タンク2078に貯留される液体(純水等)は、自動分析装置1の内部で圧力伝達媒体として用いられるだけでなく、例えばサンプル分注プローブ205の内壁を洗浄する洗浄水等の他の用途においても多量に消費されるため、使用した量に応じて液体を随時外部から補充する必要がある。なお、圧力伝達媒体は、純水に限られず、例えば圧力に対して非弾性的であり、分注対象(試料等)の物性を変化させない液体であればどのようなものであっても良い。
液体供給ポンプ2077は、タンク2078に貯留された圧力伝達媒体を吸引し、吸引した圧力伝達媒体を、熱交換器2076、第3のチューブ2075、開閉弁2074、第2のチューブ2073、シリンジポンプ2072、及び第1のチューブ2071を経由してサンプル分注プローブ205内に供給する。
開閉弁2074は、シリンジポンプ2072と液体供給ポンプ2077との間を連通する流路を開閉する。これにより、タンク2078からシリンジポンプ2072へ流れる圧力伝達媒体の供給を制御することができる。開閉弁2074は、例えば電磁弁である。
熱交換器2076は、液体供給ポンプ2077と開閉弁2074との間に設けられる。熱交換器2076は、液体供給ポンプ2077と開閉弁2074とを接続する流路の少なくとも一部において、当該流路を流れる圧力伝達媒体と自動分析装置1の装置内の大気との間で熱交換を行う。装置内とは、例えば分析機構2を構成する各要素が収容される筐体内又は筐体の近傍を表す。より具体的には、サンプル分注プローブ205の内部、及び外部近傍、並びに、サンプル分注ユニット207を構成する各要素の内部、及び外部近傍を表す。熱交換器2076は、例えば、流路を熱交換に十分な長さに最適化したステンレスパイプ(SUSパイプ)である。
熱交換器2076において熱交換が行われることにより、熱交換器2076を通過する圧力伝達媒体の温度は、装置内の大気の温度、すなわち環境温度に近づく。
図4Bは、図4Aに示される熱交換器2076の構成の例を示す図である。図4Bによれば、熱交換器2076は、形状が「S字」に蛇行した同じ長さの流路を構成する2つのチューブ20761、及びチューブ20762を有する。チューブ20761、及びチューブ20762は、液体供給ポンプ2077に接続される入力端、及び第3のチューブ2075に接続される出力端にそれぞれ接続すればよく、簡易に設置可能である。チューブの形状が「S字」に蛇行していることにより、流路を長く取り、圧力伝達媒体と装置内の大気との間で熱交換を行う表面積を拡げることができる。また、流路を2つのチューブ20761及びチューブ20762に分割しているため、1本のチューブで構成した場合に比べ圧力伝達媒体と装置内の大気との間で熱交換を行う表面積を拡げることができる。このため、圧力伝達媒体が熱交換器2076を通過する間に、圧力伝達媒体の温度を装置内の大気の温度へより近づけることが可能となる。
試料を分注する際、シリンジポンプ2072と液体供給ポンプ2077との間の流路は、制御回路8により制御される開閉弁2074により閉鎖される。このとき、シリンジポンプ2072は、液体供給ポンプ2077から供給された圧力伝達媒体を減圧、又は加圧することにより、当該圧力伝達媒体を受入、又は送出する。この圧力伝達媒体を介し、サンプル分注プローブ205は、サンプル吸引位置P2で試料容器100内の試料を吸引、又は吐出する。具体的には、駆動機構4がプランジャ20722を矢印L1方向へ吸引駆動することにより、サンプル分注プローブ205は、サンプル吸引位置P2で試料容器100内の試料を吸引する。また、駆動機構4がプランジャ20722を矢印L2方向へ吐出駆動することにより、サンプル分注プローブ205は、サンプル吐出位置P2に位置する反応管2011内へ試料を吐出する。
同一試料の分注が終了したとき、又は試料の分注が異常であると判定されたとき、シリンジポンプ2072と液体供給ポンプ2077との間の流路は、制御回路8により制御される開閉弁2074により開放される。液体供給ポンプ2077は、駆動機構4により駆動され、サンプル分注プローブ205内へ圧力伝達媒体を供給する。
洗浄プール208は、サンプルプローブ洗浄位置P3に配置されている。洗浄プール208では、例えば同一試料の分注終了毎に、サンプル分注プローブ205の試料と接触した下端部の内壁及び外壁の洗浄が行われる。
第1試薬分注アーム210は、反応ディスク201とサンプリングレーン243との間に、鉛直方向には上下動自在に水平方向には回動自在に設けられている。第1試薬分注アーム210は、一端に第1試薬分注プローブ211を保持する。第1試薬分注アーム210は、駆動機構4によって回動される。第1試薬分注アーム210が回動されることにより、第1試薬分注プローブ211は、円弧状の回動軌道に沿って回動される。この回動軌道上には、第1試薬分注プローブ211が、試薬庫202の外円2021上に配置される試薬容器から各検査項目に対応する第1試薬を吸引する試薬吸引位置と、吸引した第1試薬を反応管2011へ吐出する第1試薬吐出位置P4とが設定されている。第1試薬分注プローブ211の回動軌跡は、試薬庫202の外円2021上に配置される試薬容器(の試薬吸引口)の移動軌跡、反応ディスク201に保持されている反応管2011の移動軌跡それぞれと交差している。それぞれの移動軌跡との交差点が、試薬吸引位置、第1試薬吐出位置P4である。
第1試薬分注プローブ211は、駆動機構4によって駆動され、回動軌道上の試薬吸引位置、及び第1試薬吐出位置P4において上下方向に移動する。また、第1試薬分注プローブ211は、制御回路8の制御に従い、回動軌道上の試薬吸引位置に位置する試薬容器101から第1試薬を吸引する。また、第1試薬分注プローブ211は、制御回路8の制御に従い、吸引した第1試薬を、第1試薬吐出位置P4に位置する反応管2011へ吐出する。
第1試薬分注ユニット213の構成及び機能については、サンプル分注ユニット207と同様である。
洗浄プール214は、第1試薬プローブ洗浄位置P5に配置されている。洗浄プール214では、例えば同一試料の分注終了毎に、第1試薬分注プローブ211の試薬と接触した下端部の内壁の洗浄が行われる。
第2試薬分注アーム216は、試薬庫202とラック投入ユニット230との間に、鉛直方向には上下動自在に水平方向には回動自在に設けられている。第2試薬分注アーム216は、一端に第2試薬分注プローブ217を保持する。第2試薬分注アーム216は、駆動機構4によって回動される。第2試薬分注アーム216が回動されることにより、第2試薬分注プローブ217は、円弧状の回動軌道に沿って回動される。この回動軌道上には、第2試薬分注プローブ217が、試薬庫202の内円2022上に配置される試薬容器101から各検査項目に対応する第2試薬を吸引する試薬吸引位置と、吸引した第2試薬を反応管2011へ吐出する第2試薬吐出位置P6とが設定されている。第2試薬分注プローブ217の回動軌跡は、試薬庫202の内円2022上に配置される試薬容器(の試薬吸引口)の移動軌跡、反応ディスク201に保持されている反応管2011の移動軌跡それぞれと交差している。それぞれの移動軌跡との交差点が、試薬吸引位置、第2試薬吐出位置P6である。
第2試薬分注プローブ217は、駆動機構4によって駆動され、回動軌道上の試薬吸引位置、及び第2試薬吐出位置P6において上下方向に移動する。また、第2試薬分注プローブ217は、制御回路8の制御に従い、回動軌道上の試薬吸引位置に位置する試薬容器101から第2試薬を吸引する。また、第2試薬分注プローブ217は、制御回路8の制御に従い、吸引した第2試薬を、第2試薬吐出位置P6に位置する反応管2011へ吐出する。
第2試薬分注ユニット219の構成及び機能については、サンプル分注ユニット207と同様である。
洗浄プール220は、第2試薬プローブ洗浄位置P7に配置されている。洗浄プール220では、例えば同一試料の分注終了毎に、第2試薬分注プローブ217の試薬と接触した下端部の内壁及び外壁の洗浄が行われる。
第1撹拌ユニット222、及び第2撹拌ユニット223は、撹拌アーム、及び撹拌子をそれぞれ有する。撹拌アームは、先端近傍に、回動可能、かつ、上下動可能に撹拌子を支持する。第1撹拌ユニット222は、制御回路8の制御に従い、反応ディスク201における撹拌位置に位置する反応管2011へ撹拌子を移動させ、撹拌子により反応管2011内で試料及び第1試薬を混合した混合液、すなわち第1薬分注後の反応管2011内の混合液を撹拌する。第2撹拌ユニット223は、制御回路8の制御に従い、反応ディスク201における撹拌位置に位置する反応管2011へ撹拌子を移動させ、撹拌子により反応管2011内で試料、第1試薬、及び第2試薬を混合した混合液、すなわち第2試薬分注後の反応管2011内の混合液を撹拌する。
また、図2及び図3に示される分析機構2は、測光ユニット224、洗浄ユニット225、及び電解質測定ユニット226を備える。
測光ユニット224は、反応管2011内に吐出された試料及び試薬の混合液等に光を照射し、当該混合液等を通過した光を光学的に測定する。測光ユニット224は、光源、及び光検出器を有する。測光ユニット224は、制御回路8の制御に従い、光源から反応管2011へ光を照射する。光検出器は、反応管2011内の標準試料と試薬との混合液、又は被検試料と試薬との混合液を通過した光を検出する。光検出器は、検出した光の強度に基づいて例えば吸光度で表される標準データ又は被検データを生成する。測光ユニット224は、生成した標準データ及び被検データを、解析回路3へ出力する。
洗浄ユニット225は、廃液ノズル、洗浄ノズル、及び乾燥ノズルを備える。洗浄ユニット225は、廃液ノズルにより、反応管洗浄位置に位置する反応管2011内の混合液を廃液として吸引する。洗浄ユニット225は、洗浄ノズルにより、反応管洗浄位置に位置する反応管2011へ洗浄液を吐出し、反応管2011を洗浄する。洗浄ユニット225は、乾燥ノズルにより、反応管2011へ乾燥空気を供給することで、洗浄液により洗浄された反応管2011を乾燥させる。
電解質測定ユニット226は、反応管2011内の混合液中に存在する特定電解質の測定を行う。電解質測定ユニット226は、例えば特定電解質から発生するイオン濃度を測定する。
図1に示される分析機構2では、例えば熱交換器2076の第3のチューブ2075に接続される一端からサンプル分注プローブ205の先端までの、圧力伝達媒体が流れる流路のうち少なくとも一部を断熱材で覆うことが好ましい。これにより、熱交換器2076による熱交換により大気の温度に近づいた圧力伝達媒体は、温度変化することなくサンプル分注プローブ205の先端付近まで到達することができる。図5は、図2に示されるサンプル分注プローブ205及びサンプル分注ユニット207の各構成要素のうち断熱構造とする範囲を具体的に説明するための図である。
図5において、サンプル分注プローブ205の先端から開閉弁2074までの範囲R1の流路近傍は、温度変化によって分注精度に与える影響が特に強い領域である。このため、本実施形態では、範囲R1の少なくとも一部の流路を断熱材で覆う。例えば、第1のチューブ2071及び第2のチューブ2073を、断熱材20711及び断熱材20731でそれぞれ覆う。このとき、開閉弁2074と熱交換器2076との間の距離、すなわち第3のチューブ2075の長さはできるだけ短いことが望ましい。
なお、例えば、第3のチューブ2075の長さが大きく、圧力伝達媒体が第3のチューブ2075の中を流れる間に、第3のチューブ2075の内外で圧力伝達媒体と大気との間に温度差が生じてしまうような場合には、サンプル分注プローブ205の先端から熱交換器2076の第3のチューブ2075に接続される一端までの範囲R2の少なくとも一部の流路を断熱材で覆ってもよい。例えば、第1のチューブ2071、第2のチューブ2073、及び第3のチューブ2075を、断熱材20711、断熱材20731、及び断熱材20751でそれぞれ覆う。
また、断熱材の消費をなるべく抑えたいときは、サンプル分注プローブ205の先端からシリンジポンプ2072の第1のチューブ2071に接続される一端までの範囲R3の少なくとも一部の流路を断熱材で覆ってもよい。例えば、第1のチューブ2071を、断熱材20711で覆う。
次に、本実施形態に係る自動分析装置1が備える熱交換器2076の特性及び配置について説明する。
まず、熱交換器2076の特性について説明する。図4Aに示される熱交換器2076は、液体供給ポンプ2077から供給される圧力伝達媒体(液体)の温度が装置内の大気の温度より低い場合、熱交換器2076内を流れる圧力伝達媒体の温度を上げる機能を有する。また、熱交換器2076は、液体供給ポンプ2077から供給される圧力伝達媒体の温度が装置内の大気の温度より高い場合、熱交換器2076内を流れる圧力伝達媒体の温度を下げる機能を有する。また、熱交換器2076は、専用の温度調整機構による制御をすることなく、物質間での熱伝導により、熱交換を行うことができる。
次に、熱交換器2076の配置について説明する。一般的に、サンプル分注プローブ205の先端から開閉弁2074までの範囲は、この範囲に充填される圧力伝達媒体の温度勾配(温度の変化率)が急である場合、分注精度に与える影響が特に強い。このため、サンプル分注プローブ205の先端から開閉弁2074までの範囲は、温度勾配が急でない、すなわち緩やかであることが望ましい。そこで、タンク2078から供給される圧力伝達媒体が開閉弁2074に到達するまで流路のうちいずれかの箇所に熱交換器2076を配置する。これにより、タンク2078からみて開閉弁2074の手前までに、圧力伝達媒体の温度を装置内の大気の温度に近づけることができる。この結果、少なくとも一部が断熱材で覆われているサンプル分注プローブ205の先端から開閉弁2074までの範囲の温度勾配を緩やかにすることが可能となる。
また、タンク2078と開閉弁2074との間に設けられる液体供給ポンプ2077は、稼働率が高いためある程度大きい熱を保持している。一方、開閉弁2074は、比較的稼働率が低く発熱が許容できる。このため、開閉弁2074と液体供給ポンプ2077との間の流路に、熱交換器2076を配置することが好適である。
さらに、熱交換器2076は、開閉弁2074と液体供給ポンプ2077とを接続する流路のうち開閉弁2074近傍に配置されることが好適である。すなわち、図5に示される範囲R1に含まれる流路の近傍に配置されることが好適である。これにより、熱交換器2076は、温度変化によって分注精度に与える影響が特に強い領域に対し、熱交換による温度均一化の作用をより直接的に与えることが可能となる。
以上のように構成された自動分析装置1において、例えばサンプル分注プローブ205の内壁の洗浄の際に、洗浄プール208から供給される圧力伝達媒体がサンプル分注プローブ205の先端に到達するまでの、圧力伝達媒体の温度変化について図4Aを用いて説明する。以下の説明では、自動分析装置1の外部からタンク2078に補充される圧力伝達媒体の温度は、自動分析装置1の装置内の大気の温度より低いものとする。例えば、自動分析装置1の外部からタンク2078に補充される圧力伝達媒体の温度は、自動分析装置1の装置内の大気の温度より10度程度低い。これは、自動分析装置1の装置内の大気は、装置内の熱源により装置外部よりも高温であり、装置外部からタンク2078に液体が供給されると相対的にタンク2078内の液体の温度が低くなるためである。特に、圧力伝達媒体として、消費量の多い純水等の液体を用いると、タンク2078には装置外部から随時液体が供給されることとなり、タンク2078内の液体の温度は装置内の大気の温度に対して低温となる頻度が高くなる。
図4Aにおいて、液体供給ポンプ2077は、タンク2078に貯留された圧力伝達媒体を吸引し、吸引した圧力伝達媒体を、熱交換器2076に供給する。熱交換器2076に供給された圧力伝達媒体は、熱交換器2076を通過する間に、装置内の大気と熱交換する。これにより、圧力伝達媒体の温度は、上昇し、装置内の大気の温度に近づく。
熱交換器2076を通過することにより装置内の大気の温度に近づいた圧力伝達媒体は、第3のチューブ2075、開閉弁2074、第2のチューブ2073、シリンジポンプ2072、及び第1のチューブ2071を経由し、サンプル分注プローブ205の先端に到達する。このとき、サンプル分注プローブ205の先端から開閉弁2074までの範囲は少なくとも一部が断熱材で覆われている。よって、圧力伝達媒体は、装置内の大気の温度と略同じ温度で、温度変化することなく範囲R1に係る流路を通過することができる。すなわち、サンプル分注プローブ205の内壁の洗浄の際、及びサンプル分注プローブ205を用いた分注の際等、サンプル分注プローブ205の先端から開閉弁2074までの範囲の圧力伝達媒体が流れる流路の内外の温度を常に均一に保つことができる。
この結果、サンプル分注プローブ205の先端から開閉弁2074までの範囲の流路において、流路を構成する部品及び流路内を流れる圧力伝達媒体の体積の膨張又は収縮は発生しない。したがって、洗浄直後に試料を分注した場合でも、分注される試料の量に誤差は発生しないため、分注精度の低下を防ぐことができる。
なお、熱交換器2076を用いることにより、自動分析装置1の外部からタンク2078に補充される圧力伝達媒体の温度が装置内の温度より高い場合でも、圧力伝達媒体の温度を装置内の大気の温度に近づけることが可能である。例えば、装置外部の液体流路や液体貯留施設が太陽熱を受ける環境下である場合や、装置外部の他の熱源の影響を受ける場合もあり、タンク2078に補充される圧力伝達媒体の温度が装置内の温度よりも高いケースが生じうる。
次に、サンプル分注プローブの内壁を洗浄する際の、従来の自動分析装置、及び本実施形態に係る自動分析装置1それぞれについての装置内の温度変化について説明する。以下の説明では、自動分析装置1の外部からタンク2078に補充される圧力伝達媒体の温度は、自動分析装置1の装置内の温度より低いものとする。図6は、図4Aに示されるサンプル分注プローブ205及びサンプル分注ユニット207の内部の温度変化を示す図である。図6において、グラフG1は、本実施形態に係る熱交換器2076及び断熱材を用いなかった場合の、サンプル分注プローブ205及びサンプル分注ユニット207の内部温度変化を表す。グラフG2は、本実施形態に係るサンプル分注プローブ205及びサンプル分注ユニット207の内部温度変化を表す。図6において、横軸は時点t、サンプル分注プローブ205及びサンプル分注ユニット207内部の温度Tを表す。
図6に示されるグラフG1では、洗浄動作開始前の温度Tは、装置内の大気の温度と略同じT=T1である。ここで、洗浄動作が開始されると、タンク2078から図2に示されるサンプル分注プローブ205及びサンプル分注ユニット207の内部に圧力伝達媒体(純水等)が流入するため、図6に示される時点t=t1からt=t2にかけて、温度TはT=T1からT=T2(<T1)に低下する。その後、時点t=t2において洗浄動作が終了すると、時点t=t2からt=t3にかけて、温度TはT=T2から上昇して元の温度であるT=T1に戻る。
この場合、図6に示される時点t=t2からt=t3の間に、サンプル分注プローブ205及びサンプル分注ユニット207内部の流路を構成する部品及び流路内に充填された圧力伝達媒体は温度上昇の影響により膨張する。よって、時点t=t2からt=t3の間、特に温度の勾配が急である時点t=t2の直後に試料の分注を行うと、分注される試料の量に誤差が発生し、分注精度が低下する。
なお、自動分析装置1の外部からタンク2078に補充される圧力伝達媒体の温度が装置内の温度より高い場合でも、温度の勾配が急である期間(温度が急降下する期間)が発生するため、当該期間に試料の分注を行うと、分注される試料の量に誤差が発生し、分注精度が低下する。
一方、図6に示されるグラフG2では、本実施形態に係る自動分析装置1が有する熱交換器2076が熱交換を行うことにより、サンプル分注プローブ205の洗浄動作の前後で温度Tは、自動分析装置1の外部からタンク2078に補充される圧力伝達媒体の温度にかかわらず、例えば略T=T1のままであり、温度の勾配(変化率)が急な時間帯はなくなる。このため、サイクルタイムが短く設定されており、洗浄直後に微量の試料を分注しなければならない場合、すなわち1回の分注に用いられる試料の量が微量である場合でも、分注精度の低下を防止することができる。微量とは、例えば1μl程度の量を示す。
上記実施形態によれば、熱交換器2076は、タンク2078から供給された圧力伝達媒体(液体)が開閉弁2074に到達するまでの流路中に設けられる。熱交換器2076は、上記流路中の少なくとも一部において自動分析装置1の装置内の大気と圧力伝達媒体との間で熱交換を行う。
これにより、タンク2078から供給された圧力伝達媒体の温度は、熱交換器2076において装置内の大気の温度に近づく。よって、サンプル分注プローブ205の先端から開閉弁2074までの範囲の圧力伝達媒体が流れる流路の内外の温度を常に均一に保つことができる。すなわち、サンプル分注プローブ205の内壁の洗浄前後において、サンプル分注プローブ205の先端から開閉弁2074までの範囲の流路において、流路を構成する部品及び流路内を流れる圧力伝達媒体の体積の膨張又は収縮の発生を抑止することができる。したがって、洗浄直後に試料を分注した場合でも、分注される試料の量に誤差は発生しない。
また、本実施形態に係る熱交換器2076は、制御回路8で制御することなく、熱交換を行うことができる。このため、圧力伝達媒体の加熱に用いるヒータ等を設けて能動的に温度制御を行う場合に比べて、設置コスト、及び運用コストを抑えることができる。また、熱交換器2076は、ステンレスパイプ等の簡易な構造のもので足りるため、ヒータ等に比べて設置規模等を小さく抑えることできる。また、熱交換器2076は、自身が熱量を発生させるものではないため、ヒータ等を設ける場合に比べて装置内部の温度上昇を抑えることができる。
また、熱交換器2076は、2つの物質間で熱交換を行うものであるため、タンク2078に貯留された圧力伝達媒体の温度が装置内の大気の温度に比べて高い場合でも低い場合でも、当該圧力伝達媒体の温度を装置内の大気の温度に近づけることが可能である。一方、ヒータを用いる場合は、タンク2078に貯留された圧力伝達媒体の温度が装置内の大気の温度に比べて低い場合にしか対応できない。
また、熱交換器2076は、タンク2078と開閉弁2074との間に設けられるため、断熱が必要な範囲を熱交換器2076の出口からサンプル分注プローブ205の先端までの流路に限定できる。すなわち、タンク2078から熱交換器2076までの流路は断熱材で覆う必要がない。よって、断熱材に関するコストを抑えることができる。
したがって、従来に比して簡易且つ安価な構成で分注精度の低下を防ぐことが可能となる。
なお、第1試薬分注ユニット213、及び第2試薬分注ユニット219がそれぞれ有する熱交換器により、試薬の分注精度の低下を防ぎつつ、1回の分析に用いる試薬の量を低減することができる。このため、試薬コストの削減を実現することが可能となる。
なお、圧力伝達媒体として、純水等を用いる本実施の形態において、熱交換器2076は、ステンレス材質のパイプを用いることが最も好ましい。ステンレスパイプは、表面に不動態皮膜が形成されるため、純水等にパイプを構成する材料が溶出することを防止することができる。パイプを構成する材料が溶出した純水等を用いて、検体や試薬の希釈、プローブや反応管の洗浄等を行うと、溶出した成分が分析結果に影響を及ぼすおそれがあるためである。
[他の実施形態]
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態では、熱交換器2076は、ステンレスパイプを例として説明したがこれに限定されない。例えば、熱交換器2076は、表面に不動態皮膜を形成しやすいアルミニウムパイプや、熱伝導性に優れた銅パイプ等で構成されたものであってもよい。また、熱交換器2076は、ステンレスパイプ等に伝熱面拡大のためのフィンを取り付けたもの等、熱交換効率を更に高めるための機能が付加されたものであってもよい。
また、熱交換器2076は、物質間で熱交換を行うことが可能なものであればどのような形態や構造のものであってもよい。熱交換器2076は、例えば二重管型熱交換器、プレート型熱交換器、シェルアンドチューブ型熱交換器、クロスフィン型熱交換器、又はコンパクト熱交換器等であってもよい。
図7は、他の実施形態に係る熱交換器2076Aの構成の例を示す図である。熱交換器2076Aは、熱交換器2076と同じ材質のものを用いることができる。図7によれば、熱交換器2076Aは、螺旋(へリックス)状の立体構造を有する。また、熱交換器2076Aは、同じ長さの流路を構成する2つのチューブ20761A、及びチューブ20762Aを有する。熱交換器2076Aは、チューブの螺旋状の立体構造を有することにより、例えば図4Bに示される熱交換器2076と比して、例えば装置内において同一の占有体積の下で流路をより長く取ることができる。また、熱交換器2076Aは、流路を長く取ることにより圧力伝達媒体と装置内の大気との間で熱交換を行う表面積を拡げることができる。すなわち、熱交換器を通過する圧力伝達媒体を当該熱交換器内部により長時間滞留させることができる。このため、圧力伝達媒体が熱交換器2076Aを通過する間に、圧力伝達媒体の温度を装置内の大気の温度へより近づけることが可能となる。
また、熱交換器2076Aは、例えば図4Bに示される熱交換器2076と比して、流路を長く取る構成上チューブの直径を小さくしている。通常、液体供給ポンプ2077の流量が同程度である場合、熱交換器が有するチューブの直径が大きければ大きい程、チューブ内部に供給すべき圧力伝達媒体以外、例えば気泡などによる隙間ができ、圧力伝達媒体とパイプの接触面積を低下させ熱交換効率を低下させてしまう恐れがある。他の実施形態に係る熱交換器2076Aによれば、液体供給ポンプ2077の流量が同程度である場合、図4Aに示される熱交換器2076と比して、熱交換器内部に隙間なく圧力伝達媒体を充填させることができる。これにより、気泡が熱交換器内部に残留することを抑えることが可能となる。
また、上記実施形態においては、図4Aに示されるサンプル分注プローブ及びサンプル分注ユニットの各構成要素のうち、少なくとも一部を断熱材で覆っていたがこれに限定されない。例えば、図4Aに示されるサンプル分注プローブ及びサンプル分注ユニットの各構成要素そのものの少なくとも一部を断熱材で構成してもよい。
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(central processing unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、図1における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。