JP2018154949A - ポリプロピレン繊維 - Google Patents

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Abstract

【課題】繊度あたりの繊維強度及び伸度のバランスに優れたポリプロピレン繊維を提供する。【解決手段】以下の特性を満たす分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)3〜50重量部及びポリプロピレン樹脂(X)を除くポリプロピレン樹脂(Y)97〜50重量部を含有するポリプロピレン系樹脂組成物からなることを特徴とするポリプロピレン繊維。・MFRが0.1〜30g/10分・25℃パラキシレン可溶成分量(CXS)が5.0重量%未満・プロピレン単位3連鎖のmm分率が95%以上・Mw/Mnが3.0〜10.0、かつ、Mz/Mwが2.5〜10.0・絶対分子量Mabsが100万における分岐指数g’が0.30以上1.00未満・溶融張力(MT)が、log(MT)≧−0.9×log(MFR)+0.7、又は、MT≧15のいずれかを満たす。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリプロピレン繊維に関し、詳しくは、繊度あたりの繊維強度及び伸度のバランスに優れたポリプロピレン繊維に関する。
ポリプロピレンは、比重が小さく、耐薬品性に優れ、また、リサイクルも容易で、焼却時には有毒ガスが発生しない材料である。これら特徴を活かし、ポリプロピレン繊維は産業資材分野においても幅広く利用されているが、強度が求められる用途においては、耐薬品性に劣るという問題を抱えるもののポリエステルやナイロンなどの材料を使わざるを得ない場合も散見される。
ポリプロピレン繊維を得る際、延伸加工時の倍率を高くすることで高強度化が可能となるが、樹脂に何ら改良の手を加えないままに延伸の高倍率化を行うと、延伸加工中の断糸(繊維の破断)発生が抑制困難となる。また、得られる繊維は伸度が低くなるとともに脆さが際立ち、繊維製品の耐衝撃性の低下や、繊維製造工程及び、撚り、編織などの2次加工工程における繊維表面の毛羽立ちや摩耗を起因とする粉状物の経時堆積による運転阻害を引き起こす。
これまでに、延伸時の高倍率化が可能なポリプロピレン系樹脂組成物として、様々な高溶融張力ポリプロピレン系樹脂を混合する手法が提案されている。しかし、電子線放射により自由末端長鎖分岐を持たせたプロピレン系樹脂を混合する場合(例えば、特許文献1参照。)は、特殊な電子線照射工程を経ることによるコスト増、混合後の分散不良による紡糸時の断糸懸念、リサイクル使用時の再溶融混練によるゲル多発という大きな欠点を有している。また、高分子量のエチレン−α−オレフィン共重合体成分を有するプロピレン系樹脂組成物を混合する場合(例えば、特許文献2参照。)は、ポリプロピレン中に非相溶成分であるエチレン−α−オレフィンが点在する構造を取るために成形体中に界面が多数存在し、高延伸倍率時の強度と伸度の両立が困難となる。
また、ポリマー鎖の剛直化を目的として、特定の造核剤を配合したポリプロピレン繊維も提案されている(例えば、特許文献3参照。)が、得られた繊維の耐熱性向上効果は確認できるものの、核剤未配合時においても延伸時の配向により結晶化が促進されているために、核剤配合による高強度化の効果はあまり見込めず、むしろ、核剤を起因とする外観欠点又は断糸が危惧されるために、高剛性化手法としては好ましくない。
従って、高剛性化に当たっては、ポリプロピレンの組成そのものによるものであることが好ましいが、繊度あたりの繊維強度及び伸度のバランスに優れた延伸糸、すなわち高強度化と伸度低下抑制が両立されたポリプロピレン繊維は、未だ見出されてはいない。
特開平7−53797号公報 特開2011−195988号公報 特開平11−61554号公報
本発明の目的は前述の問題点に鑑み、繊度あたりの繊維強度及び伸度のバランスに優れたポリプロピレン繊維を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ポリプロピレン樹脂及び長鎖分岐構造を有する特定のポリプロピレン樹脂が含まれる樹脂組成物を溶融紡糸の後に延伸することにより、上記目的が達成されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、以下の(i)〜(vi)の特性を満たす分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)3〜50重量部及びポリプロピレン樹脂(X)を除くポリプロピレン樹脂(Y)97〜50重量部を含有するポリプロピレン系樹脂組成物からなることを特徴とするポリプロピレン繊維が提供される。
[ポリプロピレン樹脂(X)]
(i)MFR(230℃、2.16kg荷重)が0.1〜30g/10分
(ii)25℃パラキシレン可溶成分量(CXS)がポリプロピレン樹脂(X)全量に対して5.0重量%未満
(iii)13C−NMRによるプロピレン単位3連鎖のmm分率が95%以上
(iv)GPCによる分子量分布において、Mw/Mnが3.0以上10.0以下、かつ、Mz/Mwが2.5以上10.0以下
(v)絶対分子量Mabsが100万における分岐指数g’が0.30以上1.00未満
(vi)溶融張力(MT)(単位:g)が、
log(MT)≧−0.9×log(MFR)+0.7、又は、MT≧15
のいずれかを満たす。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、ポリプロピレン樹脂(Y)がプロピレン単独重合体であるポリプロピレン繊維が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明のポリプロピレン繊維を用いてなるロープが提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1又は2の発明のポリプロピレン繊維を用いてなる織物が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1又は2の発明のポリプロピレン繊維を用いてなるカーペットが提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1又は2の発明のポリプロピレン繊維を用いてなる人工芝が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第1又は2の発明のポリプロピレン繊維を用いてなるコンクリート補強用繊維が提供される。
本発明のポリプロピレン繊維は、原料樹脂組成物として、分岐構造を有する特定のポリプロピレン樹脂(X)及びポリプロピレン樹脂(X)を除くポリプロピレン樹脂(Y)をそれぞれ特定量含有する樹脂組成物を使用することにより、紡糸・延伸後の繊維の繊度あたりの繊維強度及び伸度のバランスに優れたポリプロピレン繊維が提供される。
得られたポリプロピレン繊維は、高い強度と伸度を有するので、ロープ、織物、カーペット、人工芝、コンクリート補強用繊維等の用途に極めて好適なものである。
以下に、本発明の実施形態について詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例であり、これらの内容に本発明は限定されるものではない。
[構成成分]
[ポリプロピレン樹脂(X)]
本発明で使用するポリプロピレン樹脂(X)は、分岐構造を有するポリプロピレン樹脂であり、下記(i)〜(vi)の特性を満足する。
(i)MFR(230℃、2.16kg荷重)が0.1〜30g/10分
(ii)25℃パラキシレン可溶成分量(CXS)がポリプロピレン樹脂(X)全量に対して5.0重量%未満
(iii)13C−NMRによるプロピレン単位3連鎖のmm分率が95%以上
(iv)GPCによる分子量分布において、Mw/Mnが3.0以上10.0以下、かつ、Mz/Mwが2.5以上10.0以下
(v)絶対分子量Mabsが100万における分岐指数g’が0.30以上1.00未満
(vi)溶融張力(MT)(単位:g)が、
log(MT)≧−0.9×log(MFR)+0.7、又は、MT≧15
のいずれかを満たす。
上記(i)〜(vi)の各特性及びポリプロピレン樹脂(X)の製造方法などについて、具体的に説明する。
特性(i):MFR
本発明に用いるポリプロピレン樹脂(X)のメルトフローレート(MFR)は、0.1〜30g/10分の範囲であることが必要であり、好ましくは0.3〜20.0g/10分、さらに好ましくは0.5〜10.0g/10分である。0.1g/10分以上であると、流動性が十分となり、溶融押出成形加工時において押出機の負荷が高すぎるなどの問題が回避され、一方、30g/10分以下であると、張力が十分となり、高溶融張力材としての特性を満たし、適するものとなる。
MFR値の制御の方法は周知であり、ポリプロピレン樹脂(X)の重合条件である温度や圧力を調節したり、水素等の連鎖移動剤を重合時に添加する連鎖移動剤添加量の制御により、容易に調整を行なうことができる。
なお、本発明において、プロピレン系樹脂のMFRは、JIS K7210:1999「プラスチック―熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」のA法、条件M(230℃、2.16kg荷重)に準拠して測定され、単位はg/10分である。
特性(ii):25℃パラキシレン可溶成分量(CXS)
本発明に用いるポリプロピレン樹脂(X)は、立体規則性が高く、繊維製品となったときにベタツキやブリードアウトの原因となる低結晶性成分が少ないことが好ましい。この低結晶性成分は、25℃キシレン可溶成分量(CXS)によって評価され、それがポリプロピレン樹脂(X)全量に対して、5.0重量%未満であることが必要であり、好ましくは3.0重量%以下であり、より好ましくは1.0重量%以下であり、さらに好ましくは0.5重量%以下である。下限については、特に制限されないが、通常0.01重量%以上、好ましくは0.03重量%以上である。
なお、CXS測定法の詳細は、以下の通りである。
2gの試料を300mlのp−キシレン(0.5mg/mlのBHTを含む)に130℃で溶解させ溶液とした後、25℃で12時間放置する。その後、析出したポリマーを濾別し、濾液からp−キシレンを蒸発させ、さらに100℃で12時間減圧乾燥し室温キシレン可溶成分を回収する。この回収成分の重量の仕込み試料重量に対する割合(重量%)をCXSと定義する。
CXSを5重量%未満にするには、後述するように、メタロセン触媒を使用して製造することで可能となるが、触媒の純度を一定以上に保つことに加え、触媒の製造方法や重合時の反応条件を、極端に高温にしないことやメタロセン錯体に対する有機アルミニウム化合物の量比を上げすぎないことが必要である。
特性(iii):13C−NMRによるプロピレン単位3連鎖のmm分率
本発明に用いるポリプロピレン樹脂(X)は、立体規則性が高いことを特徴とする。立体規則性の高さは、13C−NMRによって評価することができ、13C−NMRによって得られるプロピレン単位3連鎖のmm分率が95%以上であることを必要とする。
mm分率は、ポリマー鎖中、頭−尾結合からなる任意のプロピレン単位3連鎖中、各プロピレン単位中のメチル分岐の方向が同一であるプロピレン単位3連鎖の割合であると定義され、その上限は100%である。このmm分率は、ポリプロピレン分子鎖中のメチル基の立体構造がアイソタクチックに制御されていることを示す値であり、高いほど、高度に制御されていることを意味する。mm分率が95%以上であれば、機械的物性が高いレベルに保たれるので好ましい。
従って、mm分率は、95%以上であり、好ましくは96%以上であり、より好ましくは97%以上である。
なお、13C−NMRによるプロピレン単位3連鎖のmm分率の測定法の詳細は、以下の通りである。
試料375mgをNMRサンプル管(10φ)中で重水素化1,1,2,2−テトラクロロエタン2.5mlに完全に溶解させた後、125℃においてプロトン完全デカップリング法で測定する。ケミカルシフトは、重水素化1,1,2,2−テトラクロロエタンの3本のピークの中央のピークを74.2ppmに設定する。他の炭素ピークのケミカルシフトはこれを基準とする。
フリップ角:90度
パルス間隔:10秒
共鳴周波数:100MHz以上
積算回数:10,000回以上
観測域:−20ppmから179ppm
データポイント数:32768
mm分率の解析は、測定された13C−NMRスペクトルを用いて行う。
スペクトルの帰属は、Macromolecules,(1975年)8卷,687頁やPolymer,30巻、1350頁(1989年)を参考に行う。
なお、mm分率決定のより具体的な方法は、特開2009−275207号公報の段落[0053]〜[0065]に詳細に記載されており、本願発明においても、この方法に従って行うものとする。
mm分率を95%以上にするには、高結晶性の重合体を達成する重合触媒により可能であり、後述する好ましいメタロセン触媒を使用して重合することで可能となる。
特性(iv):GPCによる分子量分布
また、ポリプロピレン樹脂(X)は、分子量分布が比較的広いことが必要であり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって得られる分子量分布Mw/Mn(ここで、Mwは重量平均分子量、Mnは数平均分子量)が3.0以上10.0以下であることが必要である。また、ポリプロピレン樹脂(X)の分子量分布Mw/Mnは、その好ましい範囲としては3.5〜8.0、更に好ましくは4.1〜6.0の範囲である。
さらに、分子量分布の広さをより顕著に表すパラメータとして、Mz/Mw(ここで、MzはZ平均分子量)が2.5以上10.0以下であることが必要である。Mz/Mwの好ましい範囲は2.8〜8.0、更に好ましくは3.0〜6.0の範囲である。
分子量分布の広いものほど成形加工性が向上するが、Mw/Mn及びMz/Mwがこの範囲にあるものは、溶融押出の成形加工性に特に優れる。
なお、Mn、Mw、Mzの定義は「高分子化学の基礎」(高分子学会編、東京化学同人、1978)等に記載されており、GPCによる分子量分布曲線から計算可能である。
そして、GPCの具体的な測定手法は、以下の通りである。なお、以下の中で測定に使用する装置・検出器はその一例であり、同一原理の装置であればその使用を制限するものではない。
・装置:Waters社製GPC(ALC/GPC 150C)
・検出器:FOXBORO社製MIRAN 1A IR検出器(測定波長:3.42μm)
・カラム:昭和電工(株)製AD806M/S(3本直列)
・移動相溶媒:オルトジクロロベンゼン(ODCB)
・測定温度:140℃
・流速:1.0ml/分
・注入量:0.2ml
・試料の調製:試料はODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)を用いて1mg/mLの溶液を調製し、140℃で約1時間を要して溶解させる。
GPC測定で得られた保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレン(PS)による検量線を用いて行う。使用する標準ポリスチレンは、何れも東ソー(株)製の以下の銘柄である。
F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000
各々が0.5mg/mLとなるようにODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)に溶解した溶液を0.2mL注入して較正曲線を作成する。較正曲線は、最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。
なお、分子量への換算に使用する粘度式[η]=K×Mαは、以下の数値を用いる。
PS:K=1.38×10−4、α=0.7
PP:K=1.03×10−4、α=0.78
Mw/Mnを3.0以上、10.0以下、Mz/Mwを2.5以上10.0以下にするには、プロピレン重合の温度や圧力条件を変えるか、又は、最も一般的な手法としては、水素等の連鎖移動剤をプロピレン重合時に添加する方法により、容易に調整を行なうことができる。さらに、後述するメタロセン触媒の種類、触媒を2種以上使用する場合は、その量比を変えることで制御することができる。
特性(v):分岐指数g’
本発明で使用するポリプロピレン樹脂(X)が長鎖分岐構造を有することの直接的な指標として、分岐指数gを挙げることができる。gは、長鎖分岐構造を有するポリマーの固有粘度[η]brと同じ分子量を有する線状ポリマーの固有粘度[η]linの比、すなわち、[η]br/[η]linによって与えられ、長鎖分岐構造が存在すると、1よりも小さな値をとる。
定義は、例えば「Developments in Polymer Characterization−4」(J.V.Dawkins ed. Applied Science Publishers,1983)に、記載されており、当業者にとって公知の指標である。
分岐指数gは、例えば、下記に記すような光散乱計と粘度計を検出器に備えたGPCを使用することによって、絶対分子量Mabsの関数として得ることができる。
本発明で使用するポリプロピレン樹脂(X)は、光散乱によって求めた絶対分子量Mabsが100万の時に、g’が0.30以上1.00未満であり、好ましくは0.55以上0.98以下、より好ましくは0.75以上0.96以下、さらに好ましくは0.78以上0.95以下の範囲である。
本発明で使用するポリプロピレン樹脂(X)は、分子構造としては好ましくは櫛型鎖が生成していると考えられ、分岐指数g’が0.30未満であると、主鎖が少なく側鎖の割合が極めて多いこととなり、このような場合には、溶融張力が向上しなかったり、ゲルが生成するおそれがあるため、溶融押出成形加工において好ましくない。一方、1.00である場合には、これは長鎖分岐構造が存在しないことを意味し、溶融張力が不足しやすくなり、溶融押出成形加工に適さない。
なお、g’の下限値が上記の値であると好ましいのは、以下の理由による。
文献「Encyclopedia of Polymer Science and Engineering vol.2」(John Wiley & Sons 1985 p.485)によると、櫛型ポリマーのg値は、以下の式で表されている。
Figure 2018154949
ここで、gは、ポリマーの回転半径比で定義される分岐指数であり、εは分岐鎖の形状と溶媒によって決まる定数で、上記文献のp.487のTable3によれば、良溶媒中の櫛型鎖では、おおよそ0.7〜1.0程度の値が報告されている。λは櫛型鎖における主鎖の割合、pは平均の分岐数である。この式によると、櫛型鎖であれば、分岐数が極めて大きくなる、すなわち、pが無限大の極限で、g=gε=λεとなり、λεの値以下にはならないことになり、一般に下限値が存在することになる。
一方、電子線照射や過酸化物変成の場合において生じると考えられる従来公知のランダム分岐鎖の式は、同文献中の485頁の式(19)で与えられており、これによると、ランダム分岐鎖では、分岐点が多くなるにつれ、g’及びg値は、特に下限値が存在することなく、単調に減少する。つまり、本発明において、g’値に下限値があるということは、本発明に用いる長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)が、櫛型鎖に近い構造を有しているということを意味しており、これにより、従来の電子線照射や過酸化物変成によって生成されるランダム分岐鎖との区別が、より明確となる。
また、g’が上記の範囲にある櫛型鎖に近い構造を有する分岐状ポリマーにおいては、混練を繰り返した際の溶融張力の低下度合いが小さく、工業的に十分な繊維強度及び伸度が得られる。
なお、分岐指数g’の具体的な算出方法は、以下の通りである。以下の中でデータの測定に使用するGPC装置、光散乱検出器、データ処理ソフト等はそれらの一例であり、同一原理の測定装置等であればその使用を制限するものではない。
示差屈折計(RI)及び粘度検出器(Viscometer)を装備したGPC装置として、Waters社製のAlliance GPCV2000を用いる。また、光散乱検出器として、多角度レーザー光散乱検出器(MALLS)Wyatt Technology社製のDAWN−Eを用いる。検出器は、MALLS、RI、Viscometerの順で接続する。移動相溶媒は、1,2,4−トリクロロベンゼン(BASFジャパン(株)製酸化防止剤、商品名:Irganox1076を0.5mg/mLの濃度で添加)である。
流量は1mL/分で、カラムは、東ソー(株)製 GMHHR−H(S) HTを直列に2本連結して用いる。カラム、試料注入部及び各検出器の温度は、140℃である。試料濃度は1mg/mLとし、注入量(サンプルループ容量)は0.2175mLである。
MALLSから得られる絶対分子量(Mabs)、二乗平均慣性半径(Rg)及びViscometerから得られる極限粘度([η])を求めるにあたっては、MALLS付属のデータ処理ソフトASTRA(version4.73.04)を利用し、以下の文献を参考にして計算を行う。
1.「Developments in Polymer Characterization−4」(J.V.Dawkins ed. Applied Science Publishers,1983.Chapter1.)
2.Polymer,45,6495−6505(2004)
3.Macromolecules,33,2424−2436(2000)
4.Macromolecules,33,6945−6952(2000)
分岐指数g’は、サンプルを上記Viscometerで測定して得られる極限粘度([η]br)と、別途、線状ポリマーを測定して得られる極限粘度([η]lin)との比([η]br/[η]lin)として算出する。
ポリマー分子に長鎖分岐構造が導入されると、同じ分子量の線状のポリマー分子と比較して慣性半径が小さくなる。慣性半径が小さくなると、極限粘度が小さくなることから、長鎖分岐構造が導入されるに従い同じ分子量の線状ポリマーの極限粘度([η]lin)に対する分岐ポリマーの極限粘度([η]br)の比([η]br/[η]lin)は、小さくなっていく。
したがって、分岐指数(g’=[η]br/[η]lin)が1より小さい値になる場合には、分岐が導入されていることを意味する。ここで、[η]linを得るための線状ポリマーとしては、市販のホモポリプロピレン(日本ポリプロ(株)製、商品名:ノバテックPP、グレード名:FY6)を用いる。線状ポリマーの[η]linの対数は分子量の対数と線形の関係があることは、Mark−Houwink−Sakurada式として公知であるから、[η]linは、低分子量側や高分子量側に適宜外挿して数値を得ることができる。
分岐指数g’を0.30以上、1.00未満にするには、長鎖分岐構造を多く導入することにより達成され、後述する好ましいメタロセン触媒の選択やその組み合わせ、及びその量比、並びに予備重合条件を制御して重合することで可能となる。
特性(vi):溶融張力(MT)
さらに、本発明で使用するポリプロピレン樹脂(X)は、以下の溶融張力(MT)とMFRの関係式:
log(MT)≧−0.9×log(MFR)+0.7 又は MT≧15
の少なくともいずれか一方を満たすことを必要とする。
ここで、MTは、(株)東洋精機製作所製キャピログラフ1B(又は同一原理の測定装置)を用いて、キャピラリー:直径2.0mm、長さ40mm、シリンダー径:9.55mm、シリンダー押出速度:20mm/分、引き取り速度:4.0m/分、温度:230℃の条件で、測定したときの溶融張力を表し、単位はグラムである。ただし、ポリプロピレン樹脂(X)のMTが極めて高い場合には、引き取り速度4.0m/分では、樹脂が破断してしまう場合があり、このような場合には、引き取り速度を下げ、引き取りのできる最高の速度における張力をMTとする。また、MFRの測定条件、単位は前述の通りである。
この規定は、分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)が溶融押出成形加工のために充分な溶融張力を有するための指標であり、一般に、MTは、MFRと相関を有していることから、MFRとの関係式によって記述している。
このように溶融張力MTをMFRとの関係式で規定する手法は、当業者にとって通常の手法であって、例えば、特開2003−25425号公報には、高溶融張力を有するポリプロピレンの定義として、以下の関係式が提案されている。
log(MS)>−0.61×log(MFR)+0.82
(ここで、MSは、MTと同義である。)
また、特開2003−64193号公報には、高溶融張力を有するポリプロピレンの定義として、以下の関係式が提案されている。
11.32×MFR−0.7854≦MT
さらに、特開2003−94504号公報には、高溶融張力を有するポリプロピレンの定義として、以下の関係式が提案されている。
MT≧7.52×MFR−0.576
本発明においては、分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)が、関係式:
log(MT)≧−0.9×log(MFR)+0.7 又は MT≧15
のいずれかを満たせば、充分に溶融張力の高い樹脂といえ、溶融押出成形加工に有用であり、とりわけ、溶融紡糸時の引取り速度を高速化した場合に好ましい。
また、ポリプロピレン樹脂(X)は、以下の関係式:
log(MT)≧−0.9×log(MFR)+0.9 又は MT≧15
を満たすことがより好ましく、以下の関係式を満たすことが更に好ましい。
log(MT)≧−0.9×log(MFR)+1.1 又は MT≧15
MTの上限値については、これを特に設ける必要はないが、MTが40gを超えるような場合には、上記測定手法では引き取り速度が著しく遅くなり、測定が困難となる。このような場合は、樹脂の延展性も悪化しているものと考えられるため、好ましくは40g以下、さらに好ましくは35g以下、もっとも好ましくは30g以下である。
上記したMTとMFRの関係式を満足するためには、ポリプロピレン樹脂(X)の長鎖分岐量を増大させて、溶融張力を高くすればよく、後述する好ましいメタロセン触媒の選択やその組み合わせ、及びその量比、並びに予備重合条件を制御して長鎖分岐構造を多く導入することにより可能となる。
[分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)のその他の特性]
本発明に係る分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)の更なる付加的特徴として、歪み速度0.1s−1での伸長粘度の測定における歪硬化度(λmax(0.1))が6.0以上であることが挙げられる。
歪硬化度(λmax(0.1))は、溶融時強度を表す指標であり、この値が大きいと、溶融張力が向上する効果がある。その結果、溶融押出成形(溶融紡糸)加工を行う際に高スウェル比を維持することができ、歪硬化度は、6.0以上であることが好ましく、より好ましくは8.0以上である。
λmax(0.1)の算出方法の詳細は以下の通りである。
温度180℃、歪み速度=0.1s−1の場合の伸長粘度を、横軸に時間t(秒)、縦軸に伸長粘度η(Pa・秒)を両対数グラフでプロットする。その両対数グラフ上で歪み硬化を起こす直前の粘度を直線で近似する。
具体的には、まず伸張粘度を時間に対してプロットした際の各々の時刻での傾きを求めるが、それに当っては伸張粘度の測定データは離散的であることを考慮し、種々の平均法を利用する。たとえば隣接データの傾きをそれぞれ求め、周囲数点の移動平均をとる方法等が挙げられる。
伸張粘度は、低歪み量の領域では、単純増加関数となり、次第に一定値に漸近し、歪み硬化がなければ充分な時間経過後にトルートン粘度に一致するが、歪み硬化のある場合には、一般的に歪み量(=歪み速度×時間)1程度から、伸張粘度が時間と共に増大を始める。すなわち、上記傾きは、低歪み領域では時間と共に減少傾向があるが、歪み量1程度から逆に増加傾向となり、伸張粘度を時間に対してプロットした際の曲線上に、変曲点が存在する。そこで歪み量が0.1〜2.5程度の範囲で、上記で求めた各々の時刻の傾きが最小値をとる点を求めて、その点で接線を引き、直線を歪み量が4.0となるまで外挿する。歪み量4.0となるまでの伸長粘度ηの最大値(ηmax)を求め、また、その時間までの上記近似直線上の粘度をηlinとする。ηmax/ηlinを、λmax(0.1)と定義する。
[分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)の製造方法]
分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)は、上記した(i)〜(vi)の特性を満たす限り、特に製造方法を限定するものではないが、前述のように、低い低結晶性成分量、高い立体規則性、比較的広い分子量分布、分岐指数gの範囲、高い溶融張力の全ての条件を満足するための好ましい製造方法は、メタロセン触媒の組み合わせを利用したマクロマー共重合法を用いる方法である。このような方法の例としては、例えば、特開2009−57542号公報に開示される方法が挙げられる。
この手法は、マクロマー生成能力を有する特定の構造の触媒成分と、高分子量でマクロマー共重合能力を有する特定の構造の触媒成分とを組み合わせた触媒を用いて、長鎖分岐構造を有するポリプロピレンを製造する方法であり、これによれば、バルク重合や気相重合といった工業的に有効な方法で、特に実用的な圧力温度条件下の単段重合で、しかも、分子量調整剤である水素を用いて、目的とする物性を有する長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂の製造が可能である。
また、従来は、立体規則性の低いポリプロピレン成分を使用して結晶性を落とすことによって、分岐生成効率を高めなければならなかったが、上記の方法では、充分に立体規則性の高いポリプロピレン成分を、側鎖に簡便な方法で、導入することが可能であり、本発明に用いるポリプロピレン樹脂(X)として好ましい、高い立体規則性と低い低結晶性成分量に係る前記(iii)及び(ii)の特性を満足するのに好適である。
また、上記手法を用いれば、重合特性の大きく異なる二種の触媒を使用することで、分子量分布を広くでき、本発明に用いる分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)に必要な前記(iv)〜(vi)の特性を同時に満たすことが可能であり、好ましい。
そこで、以下に、本発明に使用される分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)の好ましい製造法について、詳細に記載する。
分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)を製造する好ましい方法として、プロピレン重合触媒に下記の触媒成分(A)、(B)及び(C)を用いるプロピレン系重合体の製造方法が挙げられる。
(A):下記一般式(a1)で表される化合物である成分[A−1]から少なくとも1種類と、
後記一般式(a2)で表される化合物である成分[A−2]から少なくとも1種類の、2種以上の周期表4族の遷移金属化合物。
(B):イオン交換性層状珪酸塩
(C):有機アルミニウム化合物
以下、触媒成分(A)、(B)及び(C)について、詳細に説明する。
(1)触媒成分(A)
(i)成分[A−1]:下記一般式(a1)で表される化合物
Figure 2018154949
(一般式(a1)中、R11及びR12は、各々独立して、炭素数4〜16の窒素、酸素又は硫黄を含有する複素環基を示す。また、R13及びR14は、各々独立して、ハロゲン、ケイ素、酸素、硫黄、窒素、ホウ素、リン又はこれらから選択される複数のヘテロ元素を含有してもよい、炭素数6〜16のアリール基、炭素数6〜16の窒素、酸素又は硫黄を含有する複素環基を表す。さらに、X11及びY11は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20の酸素含有炭化水素基、アミノ基又は炭素数1〜20の窒素含有炭化水素基を表し、Q11は、炭素数1〜20の二価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基又はゲルミレン基を表す。)
上記R11及びR12の炭素数4〜16の窒素、酸素又は硫黄を含有する複素環基としては、好ましくは2−フリル基、置換された2−フリル基、置換された2−チエニル基、置換された2−フルフリル基であり、さらに好ましくは、置換された2−フリル基である。
また、置換された2−フリル基、置換された2−チエニル基、置換された2−フルフリル基の置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基、トリアルキルシリル基等が挙げられる。これらのうち、メチル基、トリメチルシリル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
さらに、R11及びR12として、特に好ましくは、2−(5−メチル)−フリル基である。また、R11及びR12は、互いに同一である場合が好ましい。
上記R13及びR14の炭素数6〜16の、ハロゲン、ケイ素、酸素、硫黄、窒素、ホウ素、リン、又は、これらから選択される複数のヘテロ元素を含有してもよい、アリール基としては、炭素数6〜16になる範囲で、アリール環状骨格上に、1つ以上の、炭素数1〜6の炭化水素基、炭素数1〜6の珪素含有炭化水素基、炭素数1〜6のハロゲン含有炭化水素基を置換基として有していてもよい。
13及びR14としては、好ましくは少なくとも1つが、フェニル基、4−メチルフェニル基、4−i−プロピルフェニル基、4−t−ブチルフェニル基、4−トリメチルシリルフェニル基、2,3―ジメチルフェニル基、3,5―ジ−t−ブチルフェニル基、4−フェニル−フェニル基、クロロフェニル基、ナフチル基、又はフェナンスリル基であり、更に好ましくはフェニル基、4−i−プロピルフェニル基、4−t−ブチルフェニル基、4−トリメチルシリルフェニル基、4−クロロフェニル基である。また、R13及びR14が互いに同一である場合が好ましい。
一般式(a1)中、X11及びY11は、補助配位子であり、触媒成分(B)の助触媒と反応して、オレフィン重合能を有する活性なメタロセンを生成させる。したがって、この目的が達成される限り、X11とY11は、配位子の種類が制限されるものではなく、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20の酸素含有炭化水素基、アミノ基又は炭素数1〜20の窒素含有炭化水素基を示す。
一般式(a1)中、Q11は、二つの五員環を結合する、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基又はゲルミレン基のいずれかを示す。シリレン基又はゲルミレン基上に2個の炭化水素基が存在する場合は、それらが互いに結合して環構造を形成していてもよい。
上記のQ11の具体例としては、メチレン、メチルメチレン、ジメチルメチレン、1,2−エチレン等のアルキレン基;ジフェニルメチレン等のアリールアルキレン基;シリレン基;メチルシリレン、ジメチルシリレン、ジエチルシリレン、ジ(n−プロピル)シリレン、ジ(i−プロピル)シリレン、ジ(シクロヘキシル)シリレン等のアルキルシリレン基、メチル(フェニル)シリレン等の(アルキル)(アリール)シリレン基;ジフェニルシリレン等のアリールシリレン基;テトラメチルジシリレン等のアルキルオリゴシリレン基;ゲルミレン基;上記の2価の炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリレン基のケイ素をゲルマニウムに置換したアルキルゲルミレン基;(アルキル)(アリール)ゲルミレン基;アリールゲルミレン基などを挙げることが出来る。これらの中では、炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリレン基、又は、炭素数1〜20の炭化水素基を有するゲルミレン基が好ましく、アルキルシリレン基、アルキルゲルミレン基が特に好ましい。
上記一般式(a1)で表される化合物のうち、好ましい化合物として、以下に具体的に例示する。
ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−チエニル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジフェニルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレンビス{2−(5−メチル−2−チエニル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−トリメチルシリル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−フェニル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(4,5−ジメチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウムジクロライド、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−ベンゾフリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−メチルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−iプロピルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−トリメチルシリルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フルフリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−クロロフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−フルオロフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−トリフルオロメチルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フリル)−4−(1−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フリル)−4−(2−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フリル)−4−(2−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フリル)−4−(9−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(1−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(2−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(2−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(9−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−(1−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−(2−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−(2−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−(9−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウムなどを挙げることができる。
これらのうち、更に好ましいのは、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−メチルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−iプロピルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−トリメチルシリルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−クロロフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(2−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル}]ハフニウムである。
また、特に好ましいのは、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−iプロピルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−トリメチルシリルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル}]ハフニウムである。
(ii)成分[A−2]:一般式(a2)で表される化合物
Figure 2018154949
(一般式(a2)中、R21及びR22は、各々独立して、炭素数1〜6の炭化水素基であり、R23及びR24は、それぞれ独立して、ハロゲン、ケイ素、酸素、硫黄、窒素、ホウ素、リン又はこれらから選択される複数のヘテロ元素を含有してもよい、炭素数6〜16のアリール基である。X21及びY21は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20の酸素含有炭化水素基、アミノ基又は炭素数1〜20の窒素含有炭化水素基を表し、Q21は、炭素数1〜20の二価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基又はゲルミレン基を表す。M21は、ジルコニウム又はハフニウムである。)
上記R21及びR22は、それぞれ独立して、炭素数1〜6の炭化水素基であり、好ましくはアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である。具体的な例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、n−ヘキシル等が挙げられ、好ましくはメチル、エチル、n−プロピルである。
また、上記R23及びR24は、それぞれ独立して、炭素数6〜16の、好ましくは炭素数6〜12の、ハロゲン、ケイ素、又は、これらから選択される複数のヘテロ元素を含有してもよいアリール基である。好ましい例としては、フェニル、3−クロロフェニル、4−クロロフェニル、3−フルオロフェニル、4−フルオロフェニル、4−メチルフェニル、4−i−プロピルフェニル、4−t−ブチルフェニル、4−トリメチルシリルフェニル、4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)、4−(2−クロロ−4−ビフェニリル)、1−ナフチル、2−ナフチル、4−クロロ−2−ナフチル、3−メチル−4−トリメチルシリルフェニル、3,5−ジメチル−4−t−ブチルフェニル、3,5−ジメチル−4−トリメチルシリルフェニル、3,5−ジクロロ−4−トリメチルシリルフェニル等が挙げられる。
また、上記X21及びY21は、補助配位子であり、触媒成分(B)の助触媒と反応してオレフィン重合能を有する活性なメタロセンを生成させる。したがって、この目的が達成される限りX21及びY21は、配位子の種類が制限されるものではなく、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20の酸素含有炭化水素基、アミノ基又は炭素数1〜20の窒素含有炭化水素基を示す。
また、上記Q21は、二つの共役五員環配位子を架橋する結合性基であり、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基又は炭素数1〜20の炭化水素基を有するゲルミレン基であり、好ましくは置換シリレン基又は置換ゲルミレン基である。ケイ素、ゲルマニウムに結合する置換基は、炭素数1〜12の炭化水素基が好ましく、二つの置換基が連結していてもよい。
21の具体的な例としては、メチレン、ジメチルメチレン、エチレン−1,2−ジイル、ジメチルシリレン、ジエチルシリレン、ジフェニルシリレン、メチルフェニルシリレン、9−シラフルオレン−9,9−ジイル、ジメチルシリレン、ジエチルシリレン、ジフェニルシリレン、メチルフェニルシリレン、9−シラフルオレン−9,9−ジイル、ジメチルゲルミレン、ジエチルゲルミレン、ジフェニルゲルミレン、メチルフェニルゲルミレン等が挙げられる。
さらに、上記M21は、ジルコニウム又はハフニウムであり、好ましくはハフニウムである。
上記一般式(a2)で表されるメタロセン化合物の非限定的な例として、下記のものを好ましく挙げることができる。
ただし、以下は、煩雑な多数の例示を避けて代表的例示化合物のみ記載しており、本発明はこれら化合物に限定して解釈されるものではなく、種々の配位子や架橋結合基又は補助配位子を任意に使用し得ることは自明なことである。また、以下では、中心金属がハフニウムの化合物を記載したが、ジルコニウムに代替した化合物も本願明細書に開示されたものとして取り扱われる。
ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)}ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−t−ブチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−クロロ−4−t−ブチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−メチル−4−t−ブチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−クロロ−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−メチル−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(1−ナフチル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(2−ナフチル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロ−2−ナフチル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(2−クロロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(9−フェナントリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−n−プロピル−4−(3−クロロ−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(3−クロロ−4−t−ブチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(3−メチル−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレンビス{2−メチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレンビス{2−メチル−4−(4−t−ブチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−(9−シラフルオレン−9,9−ジイル)ビス{2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−クロロ−2−ナフチル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−(9−シラフルオレン−9,9−ジイル)ビス{2−エチル−4−(3,5−ジクロロ−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウムなどが挙げられる。
これらの中で好ましくは、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−クロロ−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−クロロ−2−ナフチル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(3−メチル−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−(9−シラフルオレン−9,9−ジイル)ビス{2−エチル−4−(3,5−ジクロロ−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、である。
また、特に好ましくは、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(3−メチル−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−(9−シラフルオレン−9,9−ジイル)ビス{2−エチル−4−(3,5−ジクロロ−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、である。
(2)触媒成分(B)
ポリプロピレン樹脂(X)を製造するのに好ましく使用される触媒成分(B)は、イオン交換性層状珪酸塩である。
(i)イオン交換性層状珪酸塩の種類
イオン交換性層状珪酸塩(以下、単に珪酸塩と略記することもある。)とは、イオン結合などによって構成される面が、互いに結合力で平行に積み重なった結晶構造を有し、かつ、含有されるイオンが交換可能である珪酸塩化合物をいう。大部分の珪酸塩は、天然では主に粘土鉱物の主成分として産出されるため、イオン交換性層状珪酸塩以外の夾雑物(石英、クリストバライト等)が含まれることが多いが、それらを含んでもよい。それら夾雑物の種類、量、粒子径、結晶性、分散状態によっては純粋な珪酸塩以上に好ましいことがあり、そのような複合体も、触媒成分(B)に含まれる。
使用する珪酸塩は、天然産のものに限らず、人工合成物であってもよく、また、それらを含んでもよい。
珪酸塩の具体例としては、例えば、白水春雄著「粘土鉱物学」朝倉書店(1995年)に記載されている次のような層状珪酸塩が挙げられる。
すなわち、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト等のスメクタイト族、バーミキュライト等のバーミキュライト族、雲母、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母族、アタパルジャイト、セピオライト、パリゴルスカイト、ベントナイト、パイロフィライト、タルク、緑泥石群等である。
珪酸塩は、主成分の珪酸塩が2:1型構造を有する珪酸塩であることが好ましく、スメクタイト族であることが更に好ましく、モンモリロナイトが特に好ましい。層間カチオンの種類は、特に限定されないが、工業原料として比較的容易に且つ安価に入手し得る観点から、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を層間カチオンの主成分とする珪酸塩が好ましい。
(ii)イオン交換性層状珪酸塩の化学処理
触媒成分(B)のイオン交換性層状珪酸塩は、特に処理を行うことなくそのまま用いることができるが、化学処理を施すことが好ましい。ここでイオン交換性層状珪酸塩の化学処理とは、表面に付着している不純物を除去する表面処理と粘土の構造に影響を与える処理のいずれをも用いることができ、具体的には、酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理等が挙げられる。
<酸処理>:
酸処理は、表面の不純物を取り除くほか、結晶構造のAl、Fe、Mg等の陽イオンの一部又は全部を溶出させることができる。
酸処理で用いられる酸は、好ましくは塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、シュウ酸から選択される。
処理に用いる塩類(次項で説明する)及び酸は、2種以上であってもよい。塩類及び酸による処理条件は、特には制限されないが、通常、塩類及び酸濃度は、0.1〜50重量%、処理温度は、室温〜沸点、処理時間は、5分〜24時間の条件を選択して、イオン交換性層状珪酸塩から成る群より選ばれた少なくとも一種の化合物を構成している物質の少なくとも一部を溶出する条件で行うことが好ましい。また、塩類及び酸は、一般的には水溶液で用いられる。
なお、以下の酸類、塩類を組み合わせたものを処理剤として用いてもよい。また、これら酸類、塩類の組み合わせであってもよい。
<塩類処理>:
塩類で処理される前の、イオン交換性層状珪酸塩の含有する交換可能な1族金属の陽イオンの好ましくは40%以上、より好ましくは60%以上を、下記に示す塩類より解離した陽イオンと、イオン交換することが好ましい。
このようなイオン交換を目的とした塩類処理で用いられる塩類は、1〜14族原子から成る群より選ばれた少なくとも一種の原子を含む陽イオンと、ハロゲン原子、無機酸及び有機酸から成る群より選ばれた少なくとも一種の陰イオンとから成る化合物であり、更に好ましくは、2〜14族原子から成る群より選ばれた少なくとも一種の原子を含む陽イオンと、Cl、Br、I、F、PO、SO、NO、CO、C、ClO、OOCCH、CHCOCHCOCH、OCl、O(NO、O(ClO、O(SO)、OH、OCl、OCl、OOCH、OOCCHCH、C及びC等から成る群から選ばれる少なくとも一種の陰イオンとから成る化合物である。
このような塩類の好ましい具体例としては、LiF、LiCl、LiBr、LiI、LiSO、Li(CHCOO)、LiCO、Li(C)、LiCHO、LiC、LiClO、LiPO、CaCl、CaSO、CaC、Ca(NO、Ca(C、MgCl、MgBr、MgSO、Mg(PO、Mg(ClO、MgC、Mg(NO、Mg(OOCCH、MgC等が挙げられる。
また、Ti(OOCCH、Ti(CO、Ti(NO、Ti(SO、TiF、TiCl、Zr(OOCCH、Zr(CO、Zr(NO、Zr(SO、ZrF、ZrCl、ZrOCl、ZrO(NO、ZrO(ClO、ZrO(SO)、HF(OOCCH、HF(CO、HF(NO、HF(SO、HFOCl、HFF、HFCl、V(CHCOCHCOCH、VOSO、VOCl、VCl、VCl、VBr等が挙げられる。
また、Cr(CHCOCHCOCH、Cr(OOCCHOH、Cr(NO、Cr(ClO、CrPO、Cr(SO、CrOCl、CrF、CrCl、CrBr、CrI、Mn(OOCCH、Mn(CHCOCHCOCH、MnCO、Mn(NO、MnO、Mn(ClO、MnF、MnCl、Fe(OOCCH、Fe(CHCOCHCOCH、FeCO、Fe(NO、Fe(ClO、FePO、FeSO、Fe(SO、FeF3、FeCl、FeC等が挙げられる。
また、Co(OOCCH、Co(CHCOCHCOCH、CoCO、Co(NO、CoC、Co(ClO、Co(PO、CoSO、CoF、CoCl、NiCO、Ni(NO、NiC、Ni(ClO、NiSO、NiCl、NiBr等が挙げられる。
さらに、Zn(OOCCH、Zn(CHCOCHCOCH、ZnCO、Zn(NO、Zn(ClO、Zn(PO、ZnSO、ZnF、ZnCl、AlF、AlCl、AlBr、AlI、Al(SO、Al(C、Al(CHCOCHCOCH、Al(NO、AlPO、GeCl、GeBr、GeI等が挙げられる。
<アルカリ処理>:
酸、塩処理の他に、必要に応じて下記のアルカリ処理や有機物処理を行ってもよい。アルカリ処理で用いられる処理剤としては、LiOH、NaOH、KOH、Mg(OH)、Ca(OH)、Sr(OH)、Ba(OH)などが例示される。
<有機物処理>:
また、有機物処理に用いられる有機処理剤の例としては、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、N,N−ジメチルアニリニウム、トリフェニルホスホニウム等が挙げられる。
また、有機物処理剤を構成する陰イオンとしては、塩類処理剤を構成する陰イオンとして例示した陰イオン以外にも、例えば、ヘキサフルオロフォスフェート、テトラフルオロボレート、テトラフェニルボレートなどが例示されるが、これらに限定されるものではない。
また、これらの処理剤は、単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。これらの組み合わせは、処理開始時に添加する処理剤について組み合わせて用いてもよいし、処理の途中で添加する処理剤について、組み合わせて用いてもよい。また化学処理は、同一又は異なる処理剤を用いて複数回行うことも可能である。
これらイオン交換性層状珪酸塩には、通常、吸着水及び層間水が含まれる。本発明においては、これらの吸着水及び層間水を除去して触媒成分(B)として使用するのが好ましい。
イオン交換性層状珪酸塩の吸着水及び層間水の加熱処理方法は、特に制限されないが、層間水が残存しないように、また、構造破壊を生じないよう条件を選ぶことが必要である。加熱時間は0.5時間以上、好ましくは1時間以上である。その際、除去した後の触媒成分(B)の水分含有率が、温度200℃、圧力1mmHg(133Pa)の条件下で2時間脱水した場合の水分含有率を0重量%とした時、3重量%以下、好ましくは1重量%以下であることが好ましい。
以上のように、触媒成分(B)として特に好ましいものは、塩類処理及び/又は酸処理を行って得られた、水分含有率が3重量%以下の、イオン交換性層状珪酸塩である。
イオン交換性層状珪酸塩は、触媒形成又は触媒として使用する前に、後述する有機アルミニウム化合物の触媒成分(C)で処理を行うことが可能で、好ましい。イオン交換性層状珪酸塩1gに対する触媒成分(C)の使用量に制限は無いが、通常20mmol以下、好ましくは0.5mmol以上、10mmol以下で行う。処理温度や時間の制限は無く、処理温度は、通常0℃以上、70℃以下、処理時間は10分以上、3時間以下で行う。処理後に洗浄することも可能で、好ましい。溶媒は後述する予備重合やスラリー重合で使用する溶媒と同様の炭化水素溶媒を使用する。
また、触媒成分(B)は、平均粒径が5μm以上の球状粒子を用いるのが好ましい。粒子の形状が球状であれば、天然物又は市販品をそのまま使用してもよいし、造粒、分粒、分別等により粒子の形状及び粒径を制御したものを用いてもよい。
ここで用いられる造粒法は、例えば攪拌造粒法、噴霧造粒法が挙げられるが、市販品を利用することもできる。
また、造粒の際に、有機物、無機溶媒、無機塩、各種バインダ−を用いてもよい。
上記のようにして得られた球状粒子は、重合工程での破砕や微粉の生成を抑制するためには0.2MPa以上、特に好ましくは0.5MPa以上の圧縮破壊強度を有することが望ましい。このような粒子強度の場合には、特に予備重合を行う場合に、粒子性状改良効果が有効に発揮される。
(3)触媒成分(C)
触媒成分(C)は、有機アルミニウム化合物である。触媒成分(C)として用いられる有機アルミニウム化合物は、一般式:(AlR31 3−q で示される化合物が適当である。
本発明では、この式で表される化合物を単独で、複数種混合して又は併用して使用することができることはいうまでもない。この式中、R31は、炭素数1〜20の炭化水素基を示し、Zは、ハロゲン、水素、アルコキシ基又はアミノ基を示す。qは1〜3の、pは1〜2の整数を各々表す。
31としては、アルキル基が好ましく、またZは、それがハロゲンの場合には塩素が、アルコキシ基の場合には炭素数1〜8のアルコキシ基が、アミノ基の場合には炭素数1〜8のアミノ基が、好ましい。
有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリノルマルプロピルアルミニウム、トリノルマルブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリノルマルヘキシルアルミニウム、トリノルマルオクチルアルミニウム、トリノルマルデシルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムセスキクロライド、ジエチルアルミニウムヒドリド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジエチルアルミニウムジメチルアミド、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、ジイソブチルアルミニウムクロライド等が挙げられる。
これらのうち、好ましくは、p=1、q=3のトリアルキルアルミニウム及びp=1、q=2のジアルキルアルミニウムヒドリドである。さらに好ましくは、R31が炭素数1〜8のアルキル基であるトリアルキルアルミニウムである。
(4)触媒の形成・予備重合について
触媒は、上記の各触媒成分(A)〜(C)を(予備)重合槽内で、同時に若しくは連続的に、又は一度に若しくは複数回にわたって、接触させることによって形成させることができる。
各成分の接触は、脂肪族炭化水素又は芳香族炭化水素溶媒中で行うのが普通である。接触温度は、特に限定されないが、−20℃から150℃の間で行うのが好ましい。接触順序としては、合目的的な任意の組み合わせが可能であるが、特に好ましいものを各成分について示せば、次の通りである。
触媒成分(C)を使用する場合、(1)触媒成分(A)と触媒成分(B)を接触させる前に、触媒成分(A)と、触媒成分(B)と、若しくは触媒成分(A)及び触媒成分(B)の両方とに触媒成分(C)を接触させること、(2)触媒成分(A)と触媒成分(B)を接触させるのと同時に触媒成分(C)を接触させること、又は(3)触媒成分(A)と触媒成分(B)を接触させた後に触媒成分(C)を接触させることが可能であるが、好ましくは、(1)触媒成分(A)と触媒成分(B)を接触させる前に、触媒成分(C)と触媒成分(A)及び触媒成分(B)の少なくとも一つに接触させる方法である。
また、各成分を接触させた後、脂肪族炭化水素又は芳香族炭化水素溶媒にて洗浄することが可能である。
使用する触媒成分(A)、(B)及び(C)の使用量は任意である。例えば、触媒成分(B)に対する触媒成分(A)の使用量は、触媒成分(B)1gに対し、好ましくは0.1μmol〜1,000μmol、特に好ましくは0.5μmol〜500μmolの範囲である。また触媒成分(A)に対する触媒成分(C)の量は、遷移金属のモル比で、好ましくは0.01〜5×10、特に好ましくは0.1〜1×10の範囲内が好ましい。
前記成分[A−1](一般式(a1)で表される化合物)と前記成分[A−2](一般式(a2)で表される化合物)の使用割合は、ポリプロピレン樹脂(X)の前記特性を満たす範囲において任意であるが、各成分[A−1]と[A−2]の合計量に対する[A−1]の遷移金属のモル比で、好ましくは0.30以上、0.99以下である。
この割合を変化させることで、溶融物性と触媒活性のバランスを調整することが可能である。つまり、成分[A−1]からは、低分子量の末端ビニルマクロマーを生成し、成分[A−2]からは、一部マクロマーを共重合した高分子量体を生成する。したがって、成分[A−1]の割合を変化させることで、生成する重合体の平均分子量、分子量分布、分子量分布の高分子量側への偏り、非常に高い分子量成分、分岐(量、長さ、分布)を制御することができ、そのことにより、分岐指数g’や歪硬化度λmax、溶融張力、延展性といった溶融物性を制御することができる。
ポリプロピレン樹脂(X)を製造するためには、モル比は好ましくは0.30以上が必要であり、より好ましくは0.40以上であり、更に好ましくは0.5以上である。また、上限に関しては好ましくは0.99以下であり、高い触媒活性で効率的にポリプロピレン樹脂(X)を得るためには、好ましくは0.95以下であり、更に好ましくは0.90以下の範囲である。
また、上記範囲で成分[A−1]を使用することにより、水素量に対する、平均分子量と触媒活性のバランスを調整することが可能である。
触媒は、好ましくは、これにオレフィンを接触させて少量重合されることからなる予備重合処理に付される。予備重合処理を行うことにより、本重合を行った際に、ゲルの生成を防止できる。その理由としては、本重合を行った際の重合体粒子間で長鎖分岐構造が均一に分布させることができるためと考えられ、また、そのことにより溶融物性を向上することができる。
予備重合時に使用するオレフィンは、特に限定はないが、プロピレン、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、ビニルシクロアルカン、スチレン等を例示することができる。オレフィンのフィード方法は、オレフィンを反応槽に定速的に又は定圧状態になるように維持するフィード方法やその組み合わせ、段階的な変化をさせる等、任意の方法が可能である。
予備重合温度、時間は、特に限定されないが、各々−20℃〜100℃、5分〜24時間の範囲であることが好ましい。また、予備重合の量は、予備重合ポリマー量が触媒成分(B)に対し、重量比で好ましくは0.01〜100、さらに好ましくは0.1〜50である。また、予備重合時に触媒成分(C)を添加、又は追加することもできる。また、予備重合終了後に洗浄することも可能である。
また、上記の各成分の接触の際又は接触の後に、ポリエチレン、ポリプロピレン等の重合体、シリカ、チタニア等の無機酸化物の固体を共存させる等の方法も可能である。
(5)触媒の使用/プロピレン重合について
重合様式は、前記触媒成分(A)、触媒成分(B)及び触媒成分(C)を含むオレフィン重合用触媒とモノマーが効率よく接触するならば、あらゆる様式を採用し得る。
具体的には、不活性溶媒を用いるスラリー重合法、不活性溶媒を実質的に用いずプロピレンを溶媒として用いる、所謂バルク重合法、溶液重合法又は実質的に液体溶媒を用いず各モノマーをガス状に保つ気相重合法などの重合方法が採用できる。また、連続重合、回分式重合を行う方法も適用される。また、単段重合以外に、2段以上の多段重合することも可能である。
スラリー重合法の場合は、重合溶媒として、ヘキサン、ヘプタン、ペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の飽和脂肪族又は芳香族炭化水素の単独又は混合物が用いられる。
また、重合温度は、通常0℃以上150℃以下である。特に、バルク重合法を用いる場合には、40℃以上が好ましく、更に好ましくは50℃以上である。また上限は80℃以下が好ましく、更に好ましくは75度以下である。
さらに、気相重合法を用いる場合には、40℃以上が好ましく、更に好ましくは50℃以上である。また上限は100℃以下が好ましく、更に好ましくは90℃以下である。
重合圧力は、1.0MPa以上5.0MPa以下であることが好ましい。特に、バルク重合法を用いる場合には、1.5MPa以上が好ましく、更に好ましくは2.0MPa以上である。また上限は4.0MPa以下が好ましく、更に好ましくは3.5MPa以下である。
さらに、気相重合法を用いる場合には、1.5MPa以上が好ましく、更に好ましくは1.7MPa以上である。また上限は2.5MPa以下が好ましく、更に好ましくは2.3MPa以下である。
さらに、分子量調節剤として、また活性向上効果のために、補助的に水素をプロピレンに対してモル比で、好ましくは1.0×10−6以上、1.0×10−2以下の範囲で用いることができる。
また、使用する水素の量を変化させることで、生成する重合体の平均分子量の他に、分子量分布、分子量分布の高分子量側への偏り、非常に高い分子量成分、分岐(量、長さ、分布)を制御することができ、そのことにより、MFR、分岐指数、歪硬化度、溶融張力MT、延展性といった、長鎖分岐構造を有するポリプロピレンを特徴付ける溶融物性を制御することができる。
そこで水素は、プロピレンに対するモル比で、1.0×10−6以上で用いるのが好ましく、より好ましくは1.0×10−5以上であり、さらに好ましくは1.0×10−4以上用いるのがよい。また上限に関しては、1.0×10−2以下で用いるのが好ましく、より好ましくは0.9×10−2以下であり、更に好ましくは0.8×10−2以下である。
また、プロピレンモノマー以外に、用途に応じて、プロピレンを除く炭素数2〜20のα−オレフィンコモノマー、例えば、エチレン及び/又は1−ブテンをコモノマーとして使用する共重合をおこなってもよい。
そこで、本発明に用いるポリプロピレン樹脂(X)として、触媒活性と溶融物性のバランスの良好なものを得るためには、エチレン及び/又は1−ブテンを、プロピレンに対して15モル%以下で使用することが好ましく、より好ましくは10モル%以下であり、更に好ましくは7モル%以下である。
ここで例示した触媒、重合方法を用いてプロピレンを重合すると、触媒成分[A−1]由来の活性種から、β−メチル脱離と一般に呼ばれる特殊な連鎖移動反応により、ポリマー片末端が主としてプロペニル構造を示し、所謂マクロマーが生成する。このマクロマーは、より高分子量を生成することができ、より共重合性が良好な触媒成分[A−2]由来の活性種に取り込まれ、マクロマー共重合が進行すると考えられる。したがって、生成する長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂の分岐構造としては、櫛型鎖が主であると考えられる。
[ポリプロピレン樹脂(Y)]
上述の分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)とともに含有される、本発明のポリプロピレン繊維の原料樹脂組成物であるポリプロピレン系樹脂組成物の主成分であるポリプロピレン樹脂(X)を除くポリプロピレン樹脂(Y)は、ポリプロピレン樹脂(X)と異なるポリプロピレン樹脂である。すなわち、上記した(i)〜(vi)の特性の少なくとも一つを満たさないポリプロピレン樹脂である限りその種類に特に制限はなく、プロピレン単独重合体、プロピレンランダム共重合体やプロピレンブロック共重合体のいずれのものでも使用することができる。
プロピレンランダム共重合体の共重合成分としては、エチレン及び/又はα−オレフィンが挙げられる。α−オレフィンとしては、例えば、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1、3−メチルブテン−1、4−メチルペンテン−1、2−メチルペンテン−1などがある。
プロピレンブロック共重合体としては、例えば、プロピレンを重合又はプロピレンと少量のエチレン及び/又はα−オレフィンを共重合してなる結晶性ポリプロピレン成分と、プロピレンとエチレン及び/又はα−オレフィンとを共重合してなる低結晶性若しくは非晶性プロピレンランダム共重合体成分とから構成されたポリプロピレン樹脂が挙げられる。α−オレフィンとしては、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1、3−メチルブテン−1、4−メチルペンテン−1、2−メチルペンテン−1等が挙げられる。低結晶性若しくは非晶性プロピレンランダム共重合体成分におけるα−オレフィンは、エチレンが好ましく、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1、3−メチルブテン−1、4−メチルペンテン−1、2−メチルペンテン−1等から選ばれる一以上のα−オレフィンが共重合されていてもよい。
これらのうち、より高強度なポリプロピレン繊維を得るためには、ポリプロピレン樹脂(Y)は、プロピレン単独重合体であることが望ましい。
ポリプロピレン樹脂(Y)は、メルトフローレート(MFR)が0.1〜50g/10分の範囲にあるものが好適である。MFRが0.1g/10分以上であると樹脂組成物の延伸性が十分となり、50g/10分以下であると繊維の強度が向上する。より好ましいMFRの範囲は0.2〜40g/10分であり、さらに好ましくは0.3〜30g/10分である。
なお、MFRは、JIS K7210に準拠して230℃、2.16kg荷重にて測定する値である。
なお、これらポリプロピレン樹脂(Y)の入手方法は、市販の樹脂を利用するほか、各種公知のプロピレン重合用触媒を用いて公知の重合方法によって製造されたものが利用できる。
ポリプロピレン樹脂(Y)の製造方法については、特に制限はなく、従来公知のスラリー重合法、バルク重合法、気相重合法等のいずれの重合方法でも製造可能であり、また、MFRが0.1〜50g/10分の範囲内であれば、多段重合法を利用して、プロピレン−エチレン共重合体を製造することも可能である。
[ポリプロピレン樹脂(X)とポリプロピレン樹脂(Y)の割合]
本発明における前記ポリプロピレン樹脂(X)と上記ポリプロピレン樹脂(Y)の割合は、(X)及び(Y)の合計100重量部基準で、ポリプロピレン樹脂(X)3〜50重量部、好ましくは4〜40重量部、より好ましくは5〜30重量部、ポリプロピレン樹脂(Y)97〜50重量部、好ましくは96〜60重量部、より好ましくは95〜70重量部である。このような範囲の樹脂組成物を用いることで、繊度あたりの繊維強度及び伸度のバランスに優れた延伸糸、すなわち高強度化と伸度低下抑制が両立されたポリプロピレン繊維を得ることができる。
[その他成分]
本発明に用いられるポリプロピレン系樹脂組成物には、必要に応じて、ポリプロピレン樹脂(X)及びポリプロピレン樹脂(Y)以外のその他の樹脂(例えば、ポリエチレン系重合体、各種エラストマー等)、また、酸化防止剤、中和剤、耐候安定剤、滑剤、帯電防止剤、無機充填剤及びブロッキング防止剤、離型剤、難燃剤、ワックス、防かび剤、抗菌剤、発泡剤などの添加剤を配合してもよい。
添加剤として具体的には、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(「IRGANOX 1010」)やn−オクタデシル−3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート(「IRGANOX 1076」)で代表されるフェノール系安定剤、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトやトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトなどで代表されるホファイト系安定剤、ステアリン酸カルシウムやステアリン酸亜鉛などの高級脂肪酸塩類で代表される中和剤、ヒンダードアミン類、ニッケル錯化合物、ベンゾトリアゾール類、ベンゾフェノン類などで代表される耐候安定剤、高級脂肪酸アミドや高級脂肪酸エステルで代表される滑剤、炭素原子数8〜22の脂肪酸のグリセリンエステルやソルビタン酸エステル、ポリエチレングリコールエステルなどの帯電防止剤、タルク、炭酸カルシウム、シリカ、ハイドロタルサイト、ゼオライト、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウムなどで代表される無機充填剤及びブロッキング防止剤などを添加してもよい。
その他の樹脂として具体的には、エチレン−α−オレフィン共重合体、例えば低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンなどで代表されるポリエチレン系樹脂、プロピレンと炭素数4〜12のα−オレフィンとの2元ランダム共重合体樹脂、プロピレンとエチレンと炭素数4〜12のα−オレフィンとの三元ランダム共重合体樹脂を挙げることができる。ここで、α−オレフィンとしては、1−ブテンが好ましい。また、石油樹脂、テルペン樹脂、ロジン系樹脂、クマロンインデン樹脂、及びそれらの水素添加誘導体等に代表される脂環式炭化水素樹脂を添加してもよい。
[組成物の製造方法]
本発明に用いられるポリプロピレン系樹脂組成物は、上記のポリプロピレン樹脂(X)及びポリプロピレン樹脂(Y)及び必要に応じてその他の樹脂及び/又は添加剤をヘンシェルミキサー(商品名)、vブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーブレンダー等で混合後、単軸押出機、多軸押出機、ニーダー、バンバリミキサー等の混練機により溶融混練する方法により得られる。
[繊維の製造方法]
本発明のポリプロピレン繊維は、溶融紡糸法、具体的にはマルチフィラメント成形法、モノフィラメント成形法やヤーン成形法等によって得られる。
特に、モノフィラメント成形法では繊維径が10〜10,000dtexの糸を得るのに適した製法として広く用いられている。その成形概要は、以下の通りである。
原料を押出機により溶融させた後、孔径0.3mm 〜3mm、孔数数十〜数百の紡糸ノズルヘッドから、溶融ストランドが押し出される。溶融ストランドは、紡糸ノズル直下10〜500mmに据え付けてある冷却水槽へ導入され冷却固化される。冷却固化されたストランドは複数の繰出ロールにより延伸槽へと運ばれる。繰出ロール速度は通常数m〜数十m/分で実施される。延伸槽でストランドは効率よく延伸される。延伸槽は、湿式と乾式タイプがあり、湿式の場合は通常60〜100℃の加熱水が用いられる。乾式の場合では熱板又はオーブンが用いられ、温度は通常60〜160℃の範囲内である。延伸されたストランドは、場合によっては熱セットを施された後に巻き取り機へと運ばれる。
[繊度]
本発明のポリプロピレン繊維は、繊度が10〜10,000dtexの範囲であることが好ましく、20〜5,000dtexの範囲であることがより好ましく、30〜2,500dtexの範囲にあることがさらに好ましい。
繊度が10dtex以上である場合、その直径は40μmを満たす程に太く、繊維一本あたりの強度が向上するために本発明による効果の確認が容易となる。また、10,000dtex以下である場合、その直径は1mm以下である程に細くなるため、繊維一本あたりの強度が十分な強度レベルを保ったまま、しなやかさを維持するために繊維製品として応用することが容易となり好ましい。
なお、繊度は、JIS−L1013に定められた繊度測定法の「B法(簡便法)」に準じて測定した。
以下に、実施例、比較例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明は、実施例のみに限定されるものではない。なお、実施例で用いた各ポリプロピレン樹脂の物性測定方法、ポリプロピレン繊維の物性測定方法、用いた材料は以下の通りである。
[各ポリプロピレン樹脂の物性]
(i)メルトフローレートMFR(単位:g/10分):
JIS K7210:1999のA法、条件M(230℃、2.16kg荷重)に準拠して測定した。
(ii)25℃パラキシレン可溶成分量(CXS、単位:重量%):
前述した方法に従って、測定した。
(iii)mm分率:
日本電子(株)製超伝導核磁気共鳴装置GSX−400(400MHz)、FT−NMRを用い、前述したとおり、特開平2009−275207号公報の段落[0053]〜[0065]に記載の方法で測定した。
(iv)分子量分布Mw/Mn及びMz/Mn:
前述した方法に従って、GPC測定により求めた。
(v)分岐指数g’:
前述したように、示差屈折計(RI)、粘度検出器(Viscometer)、光散乱検出器(MALLS)を検出器として備えたGPCによって求めた。
(vi)溶融張力MT(単位:グラム):
(株)東洋精機製作所製キャピログラフを用いて、以下の条件で測定した。
・キャピラリー:直径2.0mm、長さ40mm
・シリンダー径:9.55mm
・シリンダー押出速度:20mm/分
・引き取り速度:4.0m/分
・温度:230℃
MTが極めて高い場合には、引き取り速度4.0m/分では、樹脂が破断してしまう場合があり、このような場合には、引取り速度を下げ、引き取りのできる最高の速度における張力をMTとする。
(vii)歪み硬化度λmax:
伸張粘度測定は以下の条件で行った。
・装置:Rheometorics社製Ares
・冶具:ティーエーインスツルメント社製Extentional Viscosity Fixture
・測定温度:180℃
・歪み速度:0.1/sec
・試験片の作成:プレス成形して18mm×10mm、厚さ0.7mm、のシートを作成する。
λmaxの算出法の詳細は、前述した通りである。
(viii)融点(単位:℃)
示差走査熱量計(DSC)を用い、一旦200℃まで温度を上げて熱履歴を消去した後、10℃/分の降温速度で40℃まで温度を降下させ、再び昇温速度10℃/分にて測定した際の、吸熱ピークトップの温度を融点とした。
[ポリプロピレン繊維の物性]
(i)紡糸性
紡糸ノズル直下における糸の走行状態を15分間目視にて観察し、以下の判定基準に則って紡糸性の格付けを行った。
○:糸揺れはなく、糸切れもない。安定して紡糸可能。
△:糸揺れが見られるものの、糸切れはなく紡糸可能。
×:糸切れが多発し、安定した紡糸が困難。
(ii)繊維強度及び繊維伸度
得られた延伸糸を、(株)エー・アンド・デイ製テンシロン万能材料試験機にて引張試験を行った。破断に至る迄の最大強度(N)を繊度(dtex)で除した値を繊維強度(cN/dtex)とした。また、破断時の伸び(mm)をチャック間距離(mm)で除した値を百分率で表し、繊維伸度(%)とした。
チャック間距離:100mm
クロスヘッド速度:100mm/分
測定温度:23℃
なお、ここでは繊度の単位として、tex(テックス)の10分の1を意味するdtex(デシテックス)を用いた。
[使用樹脂]
実施例及び比較例に使用したポリプロピレン樹脂(X)としては、後記製造例で製造されたポリプロピレン樹脂(X−1)〜(X−3)及び市販の分岐構造を有する高溶融張力ポリプロピレン樹脂(X−4)、(X−5)、さらには分岐構造を有しない高溶融張力ポリプロピレン樹脂(X−6)を使用した。
X−4;
バゼル社製、商品名:「PF814」
X−5;
ボレアリス社製、商品名:「WB140HMS」
X−6;
日本ポリプロ(株)製、商品名:ニューフォーマー、グレード名:FB3312
MFR=3.5、Mw/Mn=8.5、Mz/Mw=7.0、MT=7.0
また、ポリプロピレン樹脂(Y)としては、以下のプロピレン単独重合体(Y−1)を使用した。
Y−1;
日本ポリプロ(株)製、商品名:ノバテックPP、グレード名:FY4
チーグラー・ナッタ触媒によるプロピレン単独重合体
MFR=5.0、Mw/Mn=4.0
Y−2;
日本ポリプロ(株)製、商品名:ノバテックPP、グレード名:FY6H
チーグラー・ナッタ触媒によるプロピレン単独重合体
MFR=2.0、Mw/Mn=4.0
[製造例1(ポリプロピレン樹脂X−1の製造)]
<触媒成分(A)の合成例1>
ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデニル}]ハフニウム(成分[A−1](錯体1)の合成):
(i)4−(4−i−プロピルフェニル)インデンの合成
500mlのガラス製反応容器に、4−i−プロピルフェニルボロン酸15g(91mmol)、ジメトキシエタン(DME)200mlを加え、炭酸セシウム90g(0.28mol)と水100mlの溶液を加え、4−ブロモインデン13g(67mmol)、テトラキストリフェニルホスフィノパラジウム5g(4mmol)を順に加え、80℃で6時間加熱した。
放冷後、反応液を蒸留水500ml中に注ぎ、分液ロートに移しジイソプロピルエーテルで抽出した。エーテル層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、4−(4−i−プロピルフェニル)インデンの無色液体15.4g(収率99%)を得た。
(ii)2−ブロモ−4−(4−i−プロピルフェニル)インデンの合成
500mlのガラス製反応容器に4−(4−i−プロピルフェニル)インデン15.4g(67mmol)、蒸留水7.2ml、DMSO:200mlを加え、ここにN−ブロモスクシンイミド17g(93mmol)を徐々に加えた。そのまま室温で2時間撹拌し、反応液を氷水500ml中に注ぎ入れ、トルエン100mlで3回抽出した。トルエン層を飽和食塩水で洗浄し、p−トルエンスルホン酸2g(11mmol)を加え、水分を除去しながら3時間加熱還流した。反応液を放冷後、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、2−ブロモ−4−(4−i−プロピルフェニル)インデンの黄色液体19.8g(収率96%)を得た。
(iii)2−(2−メチル−5−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデンの合成
500mlのガラス製反応容器に、2−メチルフラン6.7g(82m1mol)、DME:100mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。ここに1.59mol/Lのn−ブチルリチウム−n−ヘキサン溶液51ml(81mmol)を滴下し、そのまま3時間撹拌した。−70℃に冷却し、そこにトリイソプロピルボレート20ml(87mmol)とDME50mlの溶液を滴下した。滴下後、徐々に室温に戻しながら一夜撹拌した。
反応液に蒸留水50mlを加え加水分解した後、炭酸カリウム223gと水100mlの溶液、2−ブロモ−4−(4−i−プロピルフェニル)インデン19.8gg(63mmol)を順に加え、80℃で加熱し、低沸分を除去しながら3時間反応させた。
放冷後、反応液を蒸留水300ml中に注ぎ、分液ロートに移しジイソプロピルエーテルで3回抽出した、エーテル層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、2−(2−メチル−5−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデンの無色液体19.6g(収率99%)を得た。
(iv)ジメチルビス(2−(2−メチル−5−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデニル)シランの合成
500mlのガラス製反応容器に、2−(2−メチル−5−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデン9.1g(29mmol)、THF200mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。ここに1.66mol/Lのn−ブチルリチウム−ヘキサン溶液17ml(28mmol)を滴下し、そのまま3時間撹拌した。−70℃に冷却し、1−メチルイミダゾール0.1ml(2mmol)、ジメチルジクロロシラン1.8g(14mmol)を順に加え、徐々に室温に戻しながら一夜撹拌した。
反応液に蒸留水を加え、分液ロートに移し食塩水で中性になるまで洗浄し、硫酸ナトリウムを加え反応液を乾燥させた。硫酸ナトリウムを濾過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、ジメチルビス(2−(2−メチル−5−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデニル)シランの淡黄色固体8.6g(収率88%)を得た。
(v)ジメチルシリレンビス(2−(2−メチル−5−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデニル)ハフニウムジクロライドの合成
500mlのガラス製反応容器に、ジメチルビス(2−(2−メチル−5−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデニル)シラン8.6g(13mmol)、ジエチルエーテル300mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。ここに1.66mol/Lのn−ブチルリチウム−n−ヘキサン溶液15ml(25mmol)を滴下し、3時間撹拌した。反応液の溶媒を減圧で留去し、トルエン400ml、ジエチルエーテル40mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。そこに、四塩化ハフニウム4.0g(13mmol)を加えた。その後、徐々に室温に戻しながら一夜撹拌した。
溶媒を減圧留去し、ジクロロメタン−ヘキサンで再結晶を行い、ジメチルシリレンビス(2−(2−メチル−5−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデニル)ハフニウムジクロライドのラセミ体を黄色結晶として7.6g(収率65%)得た。
得られたラセミ体についてのH−NMRによる測定値を以下に記す。
H−NMR(C6D6)測定結果:
ラセミ体:δ0.95(s,6H),δ1.10(d,12H),δ2.08(s,6H),δ2.67(m,2H),δ5.80(d,2H),δ6.37(d,2H),δ6.74(dd,2H),δ7.07(d,2H),δ7.13(d,4H),δ7.28(s,2H),δ7.30(d,2H),δ7.83(d,4H)。
<触媒成分(A)の合成例2>
rac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム(成分[A−2](錯体2)の合成):
rac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウムの合成は、特開平11―240909号公報の実施例1に記載の方法と同様にして、実施した。
<触媒合成例1>
(i)イオン交換性層状珪酸塩の化学処理
セパラブルフラスコ中で蒸留水2,264gに96%硫酸(668g)を加えその後、層状珪酸塩としてモンモリロナイト(水澤化学工業(株)製、商品名:ベンクレイSL、平均粒径19μm)400gを加えた。このスラリーを90℃で210分加熱した。この反応スラリーに蒸留水4,000gを加えた後にろ過したところ、ケーキ状固体810gを得た。
次に、セパラブルフラスコ中に、硫酸リチウム432g、蒸留水1,924gを加え硫酸リチウム水溶液としたところへ、上記ケーキ状固体を全量投入した。このスラリーを室温で120分反応させた。このスラリーに蒸留水4Lを加えた後にろ過し、更に蒸留水でpH5〜6まで洗浄し、ろ過を行ったところ、ケーキ状固体760gを得た。
得られた固体を窒素気流下100℃で一昼夜予備乾燥後、53μm以上の粗大粒子を除去し、更に200℃、2時間、減圧乾燥することにより、化学処理スメクタイト220gを得た。
この化学処理スメクタイトの組成は、Al:6.45重量%、Si:38.30重量%、Mg:0.98重量%、Fe:1.88重量%、Li:0.16重量%であり、Al/Si=0.175[mol/mol]であった。
(ii)触媒調製及び予備重合
3つ口フラスコ(容積1L)中に、上記で得られた化学処理スメクタイト20gを入れ、ヘプタン(132mL)を加えてスラリーとし、これにトリイソブチルアルミニウム(25mmol:濃度143mg/mLのヘプタン溶液を68.0mL)を加えて1時間攪拌後、ヘプタンで残液率が1/100になるまで洗浄し、全容量を100mLとした。
また、別のフラスコ(容積200mL)中で、前記触媒成分(A)の合成例1で作製した前記触媒成分[A−1]の錯体1、rac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデニル}]ハフニウム(210μmol)をトルエン(42mL)に溶解し(溶液1)、更に、別のフラスコ(容積200mL)中で、前記触媒成分(A)の合成例2で作製した前記触媒成分[A−2]の錯体2、rac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム(90μmol)をトルエン(18mL)に溶解した(溶液2)。
先ほどの化学処理スメクタイトが入った1Lフラスコにトリイソブチルアルミニウム(0.84mmol:濃度143mg/mLのヘプタン溶液を1.2mL)を加えた後、上記溶液1を加えて20分間室温で撹拌した。その後更にトリイソブチルアルミニウム(0.36mmol:濃度143mg/mLのヘプタン溶液を0.50mL)を加えた後、上記溶液2を加えて、1時間室温で攪拌した。
その後、ヘプタンを338mL追加し、このスラリーを、1Lオートクレーブに導入した。
オートクレーブの内部温度を40℃にしたのち、プロピレンを10g/時の速度でフィードし、4時間40℃を保ちつつ予備重合を行った。その後、プロピレンフィードを止めて、1時間残重合を行った。得られた触媒スラリーの上澄みをデカンテーションで除去した後、残った部分に、トリイソブチルアルミニウム(6mmol:濃度143mg/mLのヘプタン溶液を17.0mL)を加えて5分攪拌した。
この固体を1時間減圧乾燥することにより、乾燥予備重合触媒52.8gを得た。予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は1.64であった。
以下、このものを「予備重合触媒1」という。
<重合>
内容積200リットルの攪拌式オートクレーブ内をプロピレンで十分に置換した後、十分に脱水した液化プロピレン40kgを導入した。これに水素4.4リットル(標準状態の体積として)、トリイソブチルアルミニウム0.12mol(濃度50g/Lのヘプタン溶液)を加えた後、内温を70℃まで昇温した。次いで、予備重合触媒1を2.4g(予備重合ポリマーを除いた重量で)、アルゴンで圧入して重合を開始させ、内部温度を70℃に維持した。2時間経過後に、エタノールを100ml圧入し、未反応のプロピレンをパージし、オートクレーブ内を窒素置換することにより重合を停止した。
得られたポリマーを90℃窒素気流下で1時間乾燥し、16.5kgのプロピレン重合体(以下、「X−1」という)を得た。
触媒活性は、6,880(g−PP/g−cat)であった。MFRは1.0g/10分であった。
[製造例2(ポリプロピレン樹脂X−2の製造)]
添加する水素を6.6リットル、使用する予備重合触媒1を1.9g(予備重合ポリマーを除いた重量で)で行う以外は、製造例1と同様に実施した。16.5kgのプロピレン重合体(以下、「X−2」という。)を得た。
触媒活性は、8,050(g−PP/g−cat)であった。MFRは4.6g/10分であった。
[製造例3(ポリプロピレン樹脂X−3の製造)]
添加する水素を9.2リットル、使用する予備重合触媒1を2.1g(予備重合ポリマーを除いた重量で)で行う以外は、製造例1と同様に実施した。18.8kgのプロピレン重合体(以下、「X−3」という。)を得た。
触媒活性は、9,000(g−PP/g−cat)であった。MFRは7.5g/10分であった。
[ポリプロピレン樹脂X−1〜X−3のペレット化]
上記製造例1〜3で製造したプロピレン系樹脂(X−1)〜(X−3)各々100重量部に対し、フェノ−ル系酸化防止剤であるテトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト]メタン(商品名:IRGANOX1010、BASFジャパン(株)製)0.125重量部、フォスファイト系酸化防止剤であるトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト(商品名:IRGAFOS 168、BASFジャパン(株)製)0.125重量部を配合し、高速攪拌式混合機(商品名:ヘンシェルミキサー)を用い室温下で3分間混合した後、二軸押出機にて溶融混練して、ポリプロピレン樹脂(X−1)〜(X−3)のペレットを得た。
なお、二軸押出機には、テクノベル社製KZW−25を用い、スクリュー回転数は400RPM、混練温度は、ホッパ下から80、160、210、230(以降、ダイス出口まで同温度)℃設定とした。
得られたペレット(X−1)〜(X−3)及び(X−4)、(X−5)の分岐構造を有する高溶融張力ポリプロピレンについて、前記した各種の評価を行った。
評価結果を表1に示した。
Figure 2018154949
[実施例1〜6][比較例1〜8]
ポリプロピレン樹脂(X)と、ポリプロピレン樹脂(Y)を、表2に示す割合でヘンシェルミキサー(商品名)にて混合した後、スクリュー径50mmφの押出機を用いて230℃の温度で溶融押出してペレット化した。
得られたペレットを下記の条件によりモノフィラメント成形し、繊度500dtexの延伸糸を得た。
製糸条件
押出機スクリュー系:40mmφ (L/D:24)
紡糸ノズル径:1.0mmφ 、孔数:10孔
紡糸温度:C1/C2/C3/A/D=210/230/230/210/210 ℃
吐出量:3kg/h
延伸槽温度:95℃(沸騰水)
糸繰出速度:11.1m/分(9倍延伸)
巻取(延伸)速度: 100m/分
得られたモノフィラメントについての物性を、前記測定法に準拠し測定した。表2にその評価結果を掲載する。
Figure 2018154949
[実施例と比較例の結果の考察]
表2における実施例1〜6から明らかなように、本発明による分岐構造を有する特定のポリプロピレン樹脂(X)及びポリプロピレン樹脂(Y)を含有した組成物を使用することにより、紡糸性・延伸性に優れ、延伸後の繊度あたりの繊維強度及び伸度のバランスに優れたポリプロピレン繊維が提供される。
一方で、ポリプロピレン樹脂(X)の含有量が過剰となる組成物である場合、紡糸ノズル直下における糸の走行状態が安定せず、断糸や糸揺れが発生しまうために繊維成形には不適である(比較例1、2)。ポリプロピレン樹脂(X)の含有量が少ない又は含まない組成物については、繊維成形は可能であるものの、繊度あたりの繊維強度は十分に高くなく、かつ、伸度も劣る(比較例3、7、8)。
なお、ポリプロピレン樹脂(X)として、本発明の特性を満たさない樹脂(X−4、X−5)を用いた場合、紡糸時の安定性に劣り、繊維成形には不適な組成物となる(比較例4、5)。
また、ポリプロピレン樹脂(X)として、分岐構造を持たず、高分子量のエチレン−α−オレフィン共重合体成分の存在により高溶融張力を有する高溶融張力ポリプロピレン樹脂(X−6)を用いた場合は、紡糸性の悪化は見られないものの、延伸工程において高強度を発現するのに十分に高い倍率では断糸してしまう(比較例6)。
以上の結果より、本発明の各実施例においては、各比較例に比して、ポリプロピレン繊維の各性能が、バランス良くおしなべて顕著に優れており、本発明の構成の合理性と有意性及び従来技術に対する卓越性を明示しているといえる。
本発明により得られたポリプロピレン繊維は、紡糸・延伸後の繊維の繊度あたりの繊維強度及び伸度のバランスに優れている。この繊維は、高い強度と伸度を有するので、ロープ、織物、カーペット、人工芝、コンクリート補強用繊維等の用途に極めて好適なものであり、産業上の幅広い展開が期待できる有用なものである。

Claims (7)

  1. 以下の(i)〜(vi)の特性を満たす分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)3〜50重量部及びポリプロピレン樹脂(X)を除くポリプロピレン樹脂(Y)97〜50重量部を含有するポリプロピレン系樹脂組成物からなることを特徴とするポリプロピレン繊維。
    (i)MFR(230℃、2.16kg荷重)が0.1〜30g/10分
    (ii)25℃パラキシレン可溶成分量(CXS)がポリプロピレン樹脂(X)全量に対して5.0重量%未満
    (iii)13C−NMRによるプロピレン単位3連鎖のmm分率が95%以上
    (iv)GPCによる分子量分布において、Mw/Mnが3.0以上10.0以下、かつ、Mz/Mwが2.5以上10.0以下
    (v)絶対分子量Mabsが100万における分岐指数g’が0.30以上1.00未満
    (vi)溶融張力(MT)(単位:g)が、
    log(MT)≧−0.9×log(MFR)+0.7、又は、MT≧15
    のいずれかを満たす。
  2. ポリプロピレン樹脂(Y)がプロピレン単独重合体である請求項1に記載のポリプロピレン繊維。
  3. 請求項1又は2に記載のポリプロピレン繊維を用いてなるロープ。
  4. 請求項1又は2に記載のポリプロピレン繊維を用いてなる織物。
  5. 請求項1又は2に記載のポリプロピレン繊維を用いてなるカーペット。
  6. 請求項1又は2に記載のポリプロピレン繊維を用いてなる人工芝。
  7. 請求項1又は2に記載のポリプロピレン繊維を用いてなるコンクリート補強用繊維。
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