JP2018150202A - 成形物 - Google Patents

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Abstract

【課題】硬化性が大きく、ひび割れ抵抗性や強度発現性が向上する成形物の提供。【解決手段】セメントとカルシウムアルミネート類とセッコウを含有する水硬性材料が、布の隙間に充填された成形物。布は、織布及び/又は不織布が好ましい。水硬性材料は骨材を含有することが好ましい。カルシウムアルミネート類は、Al2O3を60質量%以下、SiO2を5〜25質量%含有することが好ましい。成形物はシート状が好ましい。布の一方の片面に透水層を設け、布のもう一方の片面に不透水層を設けることが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、成形物に関する。
従来、ぬかるんだ地面の通路を確保するために、セメント系固化材やモルタルを用いて混合処理や吹付けによる被覆を行い、地面を安定化処理する工事が行われている。水路確保では一般的に確保すべき箇所を開削しU字溝を設置したり、コンクリートを現場打設したりして水路を確保する工事が行われている。これらの方法は、いずれも専用の機械を用いた施工方法である。しかし、機械を持ち込めない場所でこれら施工を行わなければならないとき、人手をかけ労力を費やして作業を行っており、簡便に施工できる方法が望まれていた。
簡便に施工できる方法として、可とう性のあるシート状の成形物を持ち込み、成形物を設置したあとにそのシート表面に散水し、固化させる方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、プレハブ式避難所を構築する技術が公開されており、プレハブを形成するカバーは、セメントを含浸した織布で形成されており、フェルト状の不織布が使えることが記載されている。特許文献2〜4には、硬質又は半硬質となるように固化可能な可撓性の布地に関する技術が公開されており、表面部とその表面部から空間で分離した第2の表面部の空間に自耐性のある連結繊維で連結し、更にその空間に粉末材料(セメント系材料)が充填されており、液体の添加又は曝露で粉末材料が固化できることを特徴とする布地が提案されている。特許文献5〜6には、地組織の組織点に特定の糸径の刺状立毛を有する編織物布帛を基材にセメントを被覆した複合材料が提案されている。特許文献7には、表地組織と裏地組織が連結糸で連結された三次元編織物の基布が熱硬化性又は熱可塑性の樹脂で被覆又は充填した複合材料が提案されている。特許文献8には、植物の種子と、CaO/Alモル比が1.3〜3.0のカルシウムアルミネート含有物質を1mあたり50〜1000gを分散させた生分解性不織布シートに関する提案がされている。特許文献9には、シート状の不織布内にCaO/Al(モル比)が1.3〜3のカルシウムアルミネート類、セッコウ、及びγ−2CaO・SiO含有物質を含有する粉末状水硬性材料を分散させた有機繊維でできた不織布シートを、除草後の地面に敷き、水又は水性ポリマーエマルジョン液を該シート上から散布し固化させることで雑草の生育を防止する防草シートに関する提案がされている。
特許文献1はフェルト状の不織布にセメントを含浸させてもよいことが示されている。特許文献2〜6は、織布内にセメント系材料を含浸又は被覆させた成形物である。
以下、本発明との相違点を説明する。
特許文献1は、水硬性材料の組成が、本発明とは異なる。
特許文献2〜4は、固化時間を短くするために高アルミナセメントの記載がある。しかし、特許文献2〜7は、水硬性材料の組成が、本発明とは異なる。
特許文献8は、生分解性不織布シート及びそれを用いた緑化防草工法を記載している。特許文献9は、防草シート及びそれを用いた防草工法を記載している。特許文献8〜9は、水硬性材料がセメントを含有しない。
国際公開第2005−124063号公報 特表2012−516395号公報 特開2014−74260号公報 特開2015−163745号公報 特開平6−91794号公報 特開平6−170995号公報 特開平6−126908号公報 特開2016−220636号公報 特開2016−220637号公報
本発明は、硬化性が大きく、ひび割れ抵抗性や強度発現性が向上する成形物を提供する。
即ち、本発明は、セメントとカルシウムアルミネート類とセッコウを含有する水硬性材料が、布の隙間に充填された成形物であり、更に、水硬性材料が骨材を含有する該成形物であり、カルシウムアルミネート類が、Alを60質量%以下含有する該成形物であり、カルシウムアルミネート類が、SiOを5〜25質量%含有する該成形物であり、布が、織布及び/又は不織布である該成形物であり、布が、ランダムに配列した厚み2〜20mmの繊維からなる不織布である該成形物であり、布の一方の片面に透水層を設けた該成形物であり、布のもう一方の片面に不透水層を設けた該成形物であり、成形物がシート状である該成形物であり、該成形物の硬化体であり、水を散布して硬化させる該硬化体の製造方法である。
本発明は、硬化性が大きく、ひび割れ抵抗性や強度発現性が向上する成形物を提供する。
本発明は水硬性材料を使用する。水硬性材料としては、水硬性粉体が好ましい。
本発明のセメントとしては、普通、早強、超早強、低熱及び中庸熱等の各種ポルトランドセメントや、高炉スラグ、フライアッシュ又はシリカを混合した各種混合セメント、これらを粒度調整した微粉セメント等が挙げられる。これらのうちの1種又は2種以上が使用可能である。これらの中では、ポルトランドセメントが好ましい。ポルトランドセメントの中では、普通ポルトランドセメントが好ましい。
セメントの粒度は、強度発現性の点で、ブレーン比表面積2000cm/g以上が好ましく、3000cm/g以上が好ましい。
本発明のカルシウムアルミネート類とは、CaO原料、Al原料、必要に応じてSiO原料を混合したものを、キルンで焼成したり、又は電気炉等で溶融したり、等の熱処理をし、冷却して得られるカルシウムアルミネート類である。その他の成分として、ナトリウム、カリウム及びリチウム等のアルカリ金属塩を一部固溶させてもよい。
本発明のカルシウムアルミネート類は、硬化性や強度発現性の点で、溶融後に急冷した非晶質カルシウムアルミネートが好ましい。
カルシウムアルミネート類において、CaO含有量は、20質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、40質量%以上が最も好ましい。カルシウムアルミネート類において、CaO含有量は、60質量%以下が好ましく、55質量%以下がより好ましく、50質量%以下が最も好ましい。20質量%未満では強度発現性を示さない可能性がある。
カルシウムアルミネート類において、Al含有量は、強度発現性の点で、20質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、40質量%以上が最も好ましい。カルシウムアルミネート類において、Al含有量は、70質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましく、50質量%以下が最も好ましい。
カルシウムアルミネート類において、SiO含有量は、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。カルシウムアルミネート類において、SiO含有量は、25質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましい。SiOが5質量%未満では耐久性や強度発現性を向上させる効果が発揮できない可能性があり、25質量%を越えると、硬化性や強度発現性が低下する可能性がある。
カルシウムアルミネート類のガラス化率は、反応活性の点で、70%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。70%未満では強度発現性が低下する可能性がある。ガラス化率は加熱前のサンプルについて、粉末X線回折法により、本発明のカルシウムアルミネート類の結晶鉱物のメインピーク面積Sを予め測定し、その後1000℃で2時間加熱後、1〜10℃/分の冷却速度で徐冷し、粉末X線回折法による加熱後の結晶鉱物のメインピーク面積Sを求め、更に、これらのS及びSの値を用い、次の式を用いてガラス化率χを算出する。
ガラス化率χ(%)=100×(1−S/S
カルシウムアルミネート類の粒度は、強度発現性の点で、ブレーン比表面積3000cm/g以上が好ましく、5000cm/g以上がより好ましい。3000cm/g未満では強度発現性が低下する場合がある。
本発明のカルシウムアルミネート類の使用量は、セメント100質量部に対して1〜30質量部が好ましく、5〜25質量部がより好ましく、10〜20質量部が最も好ましい。1質量部未満では十分な硬化性が得られない場合があり、30質量部を越えると長期強度発現性を阻害する可能性がある。
本発明のセッコウは、カルシウムアルミネート類と併用することで強度発現性を向上できる。セッコウとしては、二水セッコウ、半水セッコウ及び無水セッコウ等が挙げられる。これらの中では、強度発現性の点で、無水セッコウが好ましい。無水セッコウとしては、弗酸副生無水セッコウや天然無水セッコウ等が挙げられる。セッコウを水に浸漬させた時のpHは、弱アルカリから酸性の値を示すことが好ましく、pH8以下がより好ましい。pH8を越えると、セッコウ成分の溶解度が高くなり、強度発現性を阻害する場合がある。ここでいうpHとは、セッコウ/イオン交換水=1g/100gの20℃における希釈スラリーのpHを、イオン交換電極等を用いて測定したものである。
本発明のセッコウの粒度は、硬化性と強度発現性と適正な作業時間が得られる点で、ブレーン比表面積3000cm/g以上が好ましく、4000cm/g以上がより好ましい。
本発明のセッコウの使用量は、カルシウムアルミネート類100質量部に対して70〜300質量部が好ましく、100〜200質量部がより好ましい。70質量部未満では、十分な硬化性や強度発現性が得られない場合があり、300質量部を越えると長期強度発現性を阻害する可能性がある。
本発明は、短期的及び長期的な強度を確保するためには、骨材を使用することが好ましい。骨材の種類としては、市販されている天然の石灰岩や石灰石由来の骨材やケイ酸質由来の骨材、更に、比重が3.0を越える重量骨材等が使用できる。又、軽量化を目的として、使用する骨材の一部又は全量にバルーン系骨材を使用することもできる。これらの中では、細骨材が好ましい。骨材の最大粒子径は、5.0mm以下が好ましく、2.5mm以下がより好ましく、0.8mm以下が最も好ましい。
骨材の使用量は、セメント、カルシウムアルミネート類及びセッコウの合計100質量部に対して30〜300質量部が好ましく、50〜200質量部がより好ましい。使用量が少なすぎると強度発現性に寄与しない可能性がある。使用量が多すぎると成形物への充填性に支障を来たす可能性がある。
本発明の布の中では、織布や不織布が好ましい。織布としては、水硬性材料の充填性を考慮すると立体構造を有するものが好ましく、代表的なものとしてハニカムメッシュ等が挙げられる。織布は、不織布に比べ、繊維密度が小さく、コスト的に高いけれども、充填性に優れる。
布の中では、固化後のひび割れ抵抗性が低くなる点で、不織布が好ましい。不織布としては、繊維同士がランダムに配列し絡み合った不織布であれば特に限定するものではない。不織布としては、短繊維を原料にエアや高圧水流で繊維を絡ませて製造したもの、溶融した樹脂をエアで吹き飛ばして製造したもの、ニードルを繰り返し突き刺して繊維同士を絡ませて製造したもの、熱融着繊維を混合したフリースを、熱ロールの間を通して熱圧着するか熱風を当てるかして繊維同士を接着させて製造したもの、エマルジョン系の接着樹脂を含浸又はスプレー等の方法でフリースに付着させ、加熱・乾燥させて繊維の交点を接着させて製造したもの等が挙げられる。繊維の材質としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、レーヨン、ナイロン、ポリエステル、アクリル、アラミド、ガラス等の化学繊維、綿、羊毛、麻等の天然繊維等が挙げられる。これらを2種以上併用した混合不織布の使用も可能である。これらの中では、入手しやすい点で、合成繊維が好ましい。合成繊維の中では、ポリオレフィンが好ましい。ポリオレフィンの中では、ポリエステルやポリプロピレンが好ましい。不織布の中では、繊維がランダムに配列した厚み2〜20mmの不織布が好ましい。
本発明の布の厚みは、2〜20mmが好ましく、5〜10mmがより好ましい。厚みが薄すぎると固化後の強度が不足し、ひび割れ抵抗性が小さくなる可能性がある。厚みが厚すぎると成形物が重くなり、作業性が悪くなる可能性がある。
本発明の布の目付け量は、50〜500g/mが好ましく、80〜300g/mがより好ましい。目付け量が小さいと充填した水硬性材料がシート内で偏析する可能性がある。目付け量が大きいと水硬性材料の充填性が低下する可能性がある。
本発明の水硬性材料の使用量は、布1m、厚み1mmあたり、0.1kg以上が好ましい。0.1kg未満では、充填不足によりシート内で水硬性材料が偏析する可能性がある。布の隙間に水硬性材料を充填して成形物を製造する際、布の空間体積よりも過剰に水硬性材料を充填しないように調整する。成形物としては、シート状が好ましい。シートとは、例えば、薄くて広いものをいう。本発明の水硬性材料の使用量は、布1m、厚み1mmあたり、5kg以下が好ましい。
本発明の成形物の一方の片面(上面、地面に接しない側)には、透水層を設けることができる。透水層を設けることにより、表面からの水硬性材料の漏洩を防止し、水を成形物の水硬性材料層まで浸透させるといった効果を有する。透水層としては、特に限定するものではないが、水硬性材料が漏洩しない程度の目付け量を有する不織布、水硬性材料が漏洩しない程度の孔を有する多孔膜、ポリビニルアルコール等の水溶性シート等が挙げられる。
本発明の成形物の一方の片面(下面、地面に接する側)には、不透水層を設けることができる。本発明の不透水層は、充填した水硬性材料が、布の内部に留まるようにし、散水した水が地面側に流出しないようにするために設ける。不透水層の材質としては、特に限定するものではないが、例えば、不織布の材質と同じもの等が挙げられる。
本発明の透水層や不透水層と、布との接合は、特に限定するものではないが、粘着剤、接着剤、熱融着等で接合すればよい。補強効果のあるガラス繊維等のグリットを、布と不透水層の間又は布と透水層の間に設けてもよい。
本発明の成形物は、水硬性材料が充填された布単体といった構成、その布片面に透水層を設けた構成、その布の片面に不透水層を設けた構成、その布の片面に透水層を設け、その布のもう一方の片面に不透水層を設けた構成、布の両面に透水層を設けた構成等であってよい。
本発明の成形物の製造方法としては、例えば、振動台に接触する側に不透水層を接合した布を設置し、水硬性材料を加振しながら、布の隙間に充填する方法、回転ブラシを用いてブラッシングによって布の隙間に充填する方法、減圧含浸によって布の隙間に充填する方法、これらを併用する方法等が挙げられる。その際、布の側面から水硬性材料が外部に漏洩するようであれば、予め、粘着テープ、シール材、熱融着等で布の側面を塞いで漏れを防止したり、水硬性材料を充填した後にシート際部分の数mm領域を水で固化させ水硬性材料の漏れを防止したりしてもよい。溶融した樹脂をエアで吹き付けて製造する布(特に不織布)に対しては、樹脂を吹き付けると同時に水硬性材料をエアで吹き飛ばして成形物を製造することも可能である。水硬性材料を充填した後に透水層を接合する場合は、例えば、接合するシートを充填後の布に重ね、熱融着によって接合してもよい。
本発明の成形物の質量やサイズは、特に限定するものではないが、人力で運搬する場合は50kg以下が好ましい。クレーン等を使用して機械で運搬する場合は50kgを越えても問題ない。人力で運搬する場合、成形物のシート面積は、運搬できる質量を考慮した場合、2m以下が好ましい。
本発明の成形物は、水を加えること等で固化させる。水の添加方法としては、地面に成形物を設置後、ジョウロや噴霧器等を用いて表面に散水する方法等が挙げられる。
散水する水の量は、布1m、厚み1mmあたり、0.01〜5kgが好ましく、0.1〜0.5kgがより好ましい。水量が少ないと硬化不良を起こす可能性がある。水量が多いと固化した成形物の強度が弱くなる可能性がある。基本的には、施工直後に適正な水を散布することが好ましいが、十分な水量が確保できない場合は、雨等を利用して自然に固化することもできる。その際は、固化成分が洗い流されないように施工直後に表層部分を固化させておく意味で0.3kg以上の水を散布することが好ましい。
本発明は、不透水層を設けることができるので、土砂の流出を防止することができる。本発明は、不透水層を設けることができるので、水路形成を目的とした場合に効率的に排水することができる。
以下、実施例に基づき詳細に説明する。
目付け100g/m、厚み7mmの透水性を有するポリプロピレン製不織布からなる未充填シート状成形物(縦0.5m×横0.5m)を用意した。その成形物を振動台に設置し、表1に示す水硬性材料を使用量が1kg/m・mmとなるように成形物表面に敷き詰め、周波数40ヘルツに調整し振動を加え、回転ブラシでブラッシングしながら充填した。得られた水硬性材料を充填したシート状成形物に噴霧器を用いて水を0.2kg/m・mm散水し、20分後の硬化状態を確認し、更に1ヶ月後のひび割れの有無と、充填した水硬性材料単体を固化した試験体の35℃での圧縮強度を確認した。結果を表1に示す。
(使用材料)
普通ポルトランドセメント:酸化物換算でSiOが22.1質量%、CaOが63.7質量%、Alが5.1質量%を含有、ブレーン比表面積3300cm/g、市販品
無水セッコウ:天然無水セッコウ、ブレーン比表面積4800cm/g、pH7.2
石灰石骨材:最大粒子径0.6mm、新潟県青海鉱山産
水硬性材料A:普通ポルトランドセメント100質量部に対して、市販特級試薬のCaCO、Alを所定割合になるように混合し、高周波炉を用いて約2000℃で加熱溶融し、水中で急冷し、粉砕して調製したカルシウムアルミネート類(ガラス化率100%、酸化物換算でSiOが0質量%、CaOが43質量%、Alが55質量%のカルシウムアルミネート類、ブレーン比表面積6050cm/g)を15質量部、カルシウムアルミネート類100質量部に対して無水セッコウを150質量部配合した水硬性材料
水硬性材料B:普通ポルトランドセメント100質量部に対して、市販特級試薬のSiO、CaCO、Alを所定割合になるように混合し、高周波炉を用いて約2000℃で加熱溶融し、水中で急冷し、粉砕して調製したカルシウムアルミネート類(ガラス化率100%、酸化物換算でSiOが15.2質量%、CaOが41.7質量%、Alが42.2質量%のカルシウムアルミネート類、ブレーン比表面積6000cm/g)を15質量部、カルシウムアルミネート類100質量部に対して無水セッコウを150質量部配合した水硬性材料
水硬性材料C:普通ポルトランドセメント100質量部に対して、市販特級試薬のSiO、CaCO、Alを所定割合になるように混合し、高周波炉を用いて約2000℃で加熱溶融し、水中で急冷し、粉砕して調製したカルシウムアルミネート類(ガラス化率100%、酸化物換算でSiOが5.3質量%、CaOが46.5質量%、Alが47.2質量%のカルシウムアルミネート類、ブレーン比表面積5900cm/g)を15質量部、カルシウムアルミネート類100質量部に対して無水セッコウを150質量部配合した水硬性材料
水硬性材料D:普通ポルトランドセメント100質量部に対して、市販特級試薬のSiO、CaCO、Alを所定割合になるように混合し、高周波炉を用いて約2000℃で加熱溶融し、水中で急冷し、粉砕して調製したカルシウムアルミネート類(ガラス化率100%、酸化物換算でSiOが24.5質量%、CaOが36.8質量%、Alが37.4質量%のカルシウムアルミネート類、ブレーン比表面積5800cm/g)を15質量部、カルシウムアルミネート類100質量部に対して無水セッコウを150質量部配合した水硬性材料
水硬性材料E:水硬性材料A100質量部に対して、石灰石骨材を100質量部配合した水硬性材料
水硬性材料F:水硬性材料B100質量部に対して、石灰石骨材を100質量部配合した水硬性材料
水硬性材料G:普通ポルトランドセメント100質量部に対して、石灰石骨材を100質量部配合した水硬性材料
水硬性材料H:市販アルミナセメント1号(酸化物換算でSiOが0質量%、CaOが36.7質量%、Alが63.3質量%、ブレーン比表面積3100cm/g)100質量部に対して、石灰石骨材を100質量部配合した水硬性材料
水硬性材料I:市販特級試薬のSiO、CaCO、Alを所定割合になるように混合し、高周波炉を用いて約2000℃で加熱溶融し、水中で急冷し、粉砕して調製したカルシウムアルミネート類(ガラス化率100%、酸化物換算でSiOが15.2質量%、CaOが41.7質量%、Alが42.2質量%のカルシウムアルミネート類、ブレーン比表面積6000cm/g)100質量部に対して、無水セッコウを150質量部配合した水硬性材料
水硬性材料J:普通ポルトランドセメント100質量部に対して、市販特級試薬のSiO、CaCO、Alを所定割合になるように混合し、高周波炉を用いて約2000℃で加熱溶融し、水中で急冷し、粉砕して調製したカルシウムアルミネート類(ガラス化率100%、酸化物換算でSiOが15.2質量%、CaOが41.7質量%、Alが42.2質量%のカルシウムアルミネート類、ブレーン比表面積6000cm/g)を15質量部配合した水硬性材料
(試験方法)
ブレーン比表面積:JIS R 5201−1997に準じて測定した。
最大粒子径:JIS A 1102に準じて骨材のふるい分けを行い、完全通過しない一番大きなふるい目の寸法を最大粒子径とした。
硬化状態:散水して20分後の成形物表面をJISA 1147に準拠し、断面積12.5mmの針を装着したプロクター貫入試験機で貫入させた。5回貫入させた。貫入抵抗値が1.5Nを示したとき、5回とも針が成形物を貫通しなければ○、1〜4回針が成形物を貫通しなければ△、5回とも貫通すれば×とした。
ひび割れの有無:温度35℃、湿度60%の恒温恒湿室に1ヶ月間養生したときのシート外観を観察し、ひび割れが発生していない場合を○、0.05〜0.15mm幅のひび割れが発生している場合を△、0.15〜0.2mm幅のひび割れが発生している場合を▲、0.2mmを越えるひび割れが発生している場合を×とした。
圧縮強度:温度35℃、湿度60%の恒温恒湿室にて、充填に使用した水硬性材料単体を4×4×16cmの型枠に詰め、表面から水を水硬性材料100質量部に対して20質量部となるように噴霧器で散水して固化した試験体を、ひび割れ発生の有無の確認試験と同じ条件で養生し、材齢7日と6ヶ月の圧縮強度を測定した。
Figure 2018150202
表1に示すように、本発明の水硬性材料を充填したシート状成形物は20分以内で固化することがわかり、35℃といった高温時のひび割れ抵抗性も高いことがわかる。特に、SiOを含むカルシウムアルミネート類のひび割れ抵抗性が高い。本発明の水硬性材料の圧縮強度は、長期強度発現性を示すがアルミナセメント1号を用いた比較例では長期強度の低下が起こっていることがわかる。これは、アルミナセメントの水和反応で生じたCaO・Al・10HOが、時間の経過で3CaO・Al・6HOに転移し遊離水が生じることで空隙が増加するためと考えられる。
従って、気温が上昇する夏場を考慮すると、本発明のシート状成形物を使用することで、早期開放及び耐久性の向上を図ることが可能となる。セメントを使用しない場合は、硬化状態がよく、高温時のひび割れの発生もないが、強度発現性が小さいことがわかる。セッコウを使用しない場合は、硬化状態がわるく、強度発現性が小さいことがわかる。
ポリプロピレン製不織布の代わりに織布を使用し、立体織物に表2に示す水硬性材料を充填したこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
(使用材料)
織布:立体織物、厚さ10mm、長軸方向7mm、短軸方向5mmのユニットを持つハニカムメッシュシート、市販品
Figure 2018150202
表2に示すように、本発明の織物を用いると比較例に比べひび割れ抵抗性が向上しているが、実施例1の不織布を用いたときよりもひび割れ抵抗性は低い。
水硬性材料Bを用いて不織布の厚みを表3に示すように変えたこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
(試験方法)
質量:温度35℃、湿度60%の恒温恒湿室に1ヶ月間養生したときのシート状成形物の質量を測定した。
Figure 2018150202
表3より、不織布の厚みを2mm以上にすることでひび割れ抵抗性を向上できる。不織布の厚みが20mm以下であれば、シート状成形物は軽量であり、概ね人力で運搬できる。
目付け100g/m、厚み7mmの透水性を有するポリプロピレン製不織布からなる未充填シート状成形物(縦0.5m×横0.5m)を用意した。その成形物を振動台に設置し、水硬性材料Bを1kg/m・mmとなるように成形物表面に敷き詰め、周波数40ヘルツに調整し振動を加え、回転ブラシでブラッシングしながら充填した。得られた水硬性材料を充填したシート状成形物の片面に、目付け250g/m、厚み0.1mmの透水性を有するポリプロピレン製不織布を、熱融着により貼りあわせて、シート状成形物内部の水硬性材料が外部に漏洩しないように加工した。噴霧器を用いて水を0.2kg/m・mm散水し、20分後の硬化状態を指触で確認した。その結果、実験No.1-2と同様に20分以内に固化することを確認した。
目付け100g/m、厚み7mmの透水性を有するポリプロピレン製不織布の片面に不透水層を形成するために厚さ0.5mmの不透水性を有するポリプロピレンシートを熱融着した未充填シート状成形物(縦0.5m×横0.5m)を作製した。その成形物を振動台に設置し、水硬性材料Bを1kg/m・mmとなるように成形物表面に敷き詰め、周波数40ヘルツに調整し振動を加え、回転ブラシでブラッシングしながら充填した。得られた水硬性材料を充填したシート状成形物のもう一方の片面に、目付け250g/m、厚み0.1mmの透水性を有するポリプロピレン製不織布を熱融着により貼りあわせて、シート内部の水硬性材料が外部に漏洩しないように加工した。噴霧器を用いて水を0.2kg/m・mm散水し、20分後の硬化状態を指触で確認した。その結果、実験No.1-2と同様に20分以内に固化することを確認した。
目付け100g/m、厚み7mmの透水性を有するポリプロピレン製不織布の片面に不透水層を形成するために厚さ0.5mmの不透水性を有するポリプロピレンシートを熱融着した未充填シート状成形物(縦0.5m×横0.5m)を作製した。作製した成形物を振動台に設置し、表4に示す水硬性材料を1kg/m・mmとなるように成形物表面に敷き詰め、周波数40ヘルツに調整し振動を加え、回転ブラシでブラッシングしながら充填した。得られた水硬性材料を充填したシート状成形物に噴霧器を用いて水を0.2kg/m・mm散水し、実施例1と同様に評価した。結果を表4に示す。
Figure 2018150202
表4に示すように、本発明の水硬性材料を充填したシート状成形物は20分以内で固化することがわかり、高温時のひび割れ抵抗性も高いことがわかる。特に、SiOを含むカルシウムアルミネート類のひび割れ抵抗性が高い。不透水層を設けることで、水がシート状成形物内に留まることから、十分な水和反応を進行し、不透水層を設けないとき(実施例1)に比べひび割れ抵抗性や強度発現性の向上も認められる。
実験No.6−6のシート状成形物を屋外暴露し、所定期間経過後の外観を観察した。尚、比較のために布を使用せず、水硬性材料単体だけで同じ厚みで固化させたものと外観を比較した。その結果、2年経過しても、いずれも外観上ひび割れもなく、水を散布しても地面側の面から漏水はなかった。一方、不織布を使用しないで水硬性材料単体で固化させたものは、1年経過後に、ひび割れが発生し、固化物が割れていた。
本発明は以下の利点を有する。
本発明は急速施工ができる。本発明はカルシウムアルミネート類を含む水硬性材料を綿状不織布に含浸できるので、固化時間を短くできる。本発明はアルミナセメントとは異なる組成のカルシウムアルミネート類を使用することにより、アルミナセメントよりも急速に固化し、高温時の強度低下がない、耐久性に優れた固化成形物を提供できる。
本発明の成形物は、可とう性がありロール状にできるので、その質量を小さくすることにより、例えば、20kg以下にすることにより、人力で持ち運ぶことができる。本発明のシート状成形物を地面に設置し、ジョウロや噴霧器等で散水することにより、成形物中の水硬性材料を固化できる。
本発明の成形物は、水の計量作業や水の混合作業を必要とせず、専用の機械を導入できない場所でも、ぬかるんだ地面の通路確保、のり面等の土砂の流出防止、防草、水路確保及びライニング等を容易に実施できる。
本発明の成形物は、地面に設置後、散水することにより短時間に固化でき、専用の機械がなくても簡便に地面を保護又は強固にできる。本発明の成形物は、水硬性材料の固化後に繊維がひび割れ低減効果を発揮するので、耐久性が高い被覆層を容易に構築できる。

Claims (11)

  1. セメントとカルシウムアルミネート類とセッコウを含有する水硬性材料が、布の隙間に充填された成形物。
  2. 更に、水硬性材料が骨材を含有する請求項1記載の成形物。
  3. カルシウムアルミネート類が、Alを60質量%以下含有する請求項1又は2に記載の成形物。
  4. カルシウムアルミネート類が、SiOを5〜25質量%含有する請求項1〜3のうちの1項記載の成形物。
  5. 布が、織布及び/又は不織布である請求項1〜4のうちの1項記載の成形物。
  6. 布が、ランダムに配列した厚み2〜20mmの繊維からなる不織布である請求項1〜5記載のうちの1項記載の成形物。
  7. 布の一方の片面に透水層を設けた請求項1〜6のうちの1項記載の成形物。
  8. 布のもう一方の片面に不透水層を設けた請求項1〜7のうちの1項記載の成形物。
  9. 成形物がシート状である請求項1〜8のうちの1項記載の成形物。
  10. 請求項1〜9のうちの1項記載の成形物の硬化体。
  11. 水を散布して硬化させる請求項10記載の硬化体の製造方法。
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