JP2018148619A - ワイヤレス給電制御装置、送電器および受電器 - Google Patents

ワイヤレス給電制御装置、送電器および受電器 Download PDF

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Abstract


【課題】適切な給電制御を行うことができる。
【解決手段】ワイヤレス給電制御装置は、複数の第1アンテナを有する1つ以上の送電器から複数の受電器にワイヤレスで電力を送電する制御を行うワイヤレス給電制御装置であって、前記送電器または前記複数の受電器から、前記送電器と前記複数の受電器との間の伝搬路情報を受信し、かつ前記複数の受電器が要求する要求電力に関する要求電力情報を前記複数の受電器から受信する第1通信部と、前記伝搬路情報と前記要求電力情報とに基づいて、前記複数の受電器のうち前記要求電力を上回る受電器の数が所定個以上になるように、前記送電器の送電電力を所定値に制御するとともに、前記複数の第1アンテナに給電される電力の位相および振幅の少なくとも一方を制御する制御部と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明の実施形態は、ワイヤレス給電制御装置、送電器および受電器に関する。
複数の受電器から電力要求を受信し、その要求に応じた無線電力を送電器から複数の受電器に時分割で送信する技術が提案されている。
この技術では、時間毎に送電器の指向性等を変化させ、給電対象とする受電器を時間的に切り替えながら複数の受電器に給電を行う。ところが、ある時間において給電対象とされる受電器には効率的に給電可能であるものの、その他の受電器では必ずしも十分な電力が供給されるとは限らない。また送電器より放射される無線電力の一部は不要な方向へ拡散し、有効活用されず、結果としてシステム全体としての給電効率が低下してしまう。
このように、送電器から受電器にワイヤレス給電を行う従来のシステムでは、適切な給電制御を行っていたとは言えない。
特表2016−512677号公報
本発明の一実施形態では、適切な給電制御を行うことが可能なワイヤレス給電制御装置、送電器および受電器を提供するものである。
本実施形態では、複数の第1アンテナを有する1つ以上の送電器から複数の受電器にワイヤレスで電力を送電する制御を行うワイヤレス給電制御装置であって、
前記送電器または前記複数の受電器から、前記送電器と前記複数の受電器との間の伝搬路情報を受信し、かつ前記複数の受電器が要求する要求電力に関する要求電力情報を前記複数の受電器から受信する第1通信部と、
前記伝搬路情報と前記要求電力情報とに基づいて、前記複数の受電器のうち前記要求電力を上回る受電器の数が所定個以上になるように、前記送電器の送電電力を所定値に制御するとともに、前記複数の第1アンテナに給電される電力の位相および振幅の少なくとも一方を制御する制御部と、を備える、ワイヤレス給電制御装置が提供される。
第1の実施形態によるワイヤレス給電システムの概略構成を示すブロック図。 送電器の内部構成の第1例を示すブロック図。 受電器の内部構成の第1例を示すブロック図。 送電器の内部構成の第2例を示すブロック図。 受電器の内部構成の第2例を示すブロック図。 図2の送電器と図3の受電器との間で伝搬路情報の推定を行って電力の送電を行う処理手順を示すフローチャート。 図6の各ステップの処理を行う際の、送電器、受電器および制御器の間で行われる信号や電力の流れを矢印で明示した図。 図6の各ステップの処理を行う際の、送電器、受電器および制御器の間で行われる信号や電力の流れを矢印で明示した図。 図6の各ステップの処理を行う際の、送電器、受電器および制御器の間で行われる信号や電力の流れを矢印で明示した図。 図4の送電器と図5の受電器との間で伝搬路情報の推定を行って電力の送電を行う処理手順を示すフローチャート。 図8の各ステップの処理を行う際の、送電器、受電器および制御器の間で行われる信号や電力の流れを矢印で明示した図。 図8の各ステップの処理を行う際の、送電器、受電器および制御器の間で行われる信号や電力の流れを矢印で明示した図。 図8の各ステップの処理を行う際の、送電器、受電器および制御器の間で行われる信号や電力の流れを矢印で明示した図。 第1の実施形態による制御器が行う制御指針を概念的に示す図。 第1の実施形態による制御器が行う制御指針をより具体的に示す図。 送電器の複数の第1アンテナから送信される電力波のビームパターンを模式的に示した図。 第2の実施形態によるワイヤレス給電システムの制御指針を示す図。 第3の実施形態によるワイヤレス給電システムの制御指針を示す図。 第4の実施形態による制御指針を示す図。 第5の実施形態による制御指針を示す図。 第4の実施形態と第5の実施形態の制御指針を組み合わせた制御指針を示す図。 第1の実施形態と第4の実施形態の制御指針を組み合わせた制御指針を示す図。 第1の実施形態と第5の実施形態の制御指針を組み合わせた制御指針を示す図。 第1の実施形態と、第4の実施形態と、第5の実施形態との制御指針を組み合わせた制御指針を示す図。 第2の実施形態と第5の実施形態の制御指針を組み合わせた制御指針を示す図。 第1の実施形態と、第2の実施形態と、第5の実施形態との制御指針を組み合わせた制御指針を示す図。 第7の実施形態による制御指針を示す図。 第7の実施形態の第1変形例の制御指針を示す図。 第7の実施形態の第2変形例の制御指針を示す図。 第8の実施形態による制御指針を示す図。 第8の実施形態の第1変形例の制御指針を示す図。 第8の実施形態の第2変形例の制御指針を示す図。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態によるワイヤレス給電システム1の概略構成を示すブロック図である。図1のワイヤレス給電システム1は、ワイヤレス給電制御装置(以下、制御器と呼ぶ)2と、1つ以上の送電器3と、複数の受電器4とを備えている。図1では、複数の送電器3を備えているが、送電器3は1つ以上であればよく、特に台数に制限はない。受電器4は、2つ以上であればよく、特に台数に制限はない。
送電器3は複数の第1アンテナを有する。送電器3は、複数の第1アンテナを介して、複数の受電器4にワイヤレスで電力を送電する。送電器3と制御器2との間の通信路と、受電器4と制御器2との間の通信路は、無線通信路でもよいし、有線通信路でもよい。また、これらの通信路の接続確立の手法は特に問わず、例えばインターネットを経由して行ってもよい。
図1では、複数の送電器3を設けて、各送電器3が1つの第1アンテナを有する例を示しているが、単一の送電器3が複数の第1アンテナを有していてもよいし、複数の送電器3のそれぞれが1つ以上の第1アンテナを有していてもよい。複数の受電器4のそれぞれは、送電器3側の複数の第1アンテナから送信された電力を受電する。
複数の第1アンテナは電磁波または音波を送信する。複数の受電器4は、電磁波または音波に含まれる送電電力を受電する。複数の第1アンテナと複数の受電器4との間で送受される電磁波または音波の周波数帯は任意であり、例えば100MHz以上の周波数帯の電磁波または16〜20kHz以上の音波(超音波)が利用される。本明細書では、送電に利用される電磁波または音波を電力波とも呼ぶ。
制御器2は、第1通信部5と、制御部6とを有する。第1通信部5は、送電器3または複数の受電器4から、送電器3と複数の受電器4との間の伝搬路情報を受信し、かつ複数の受電器4が要求する要求電力に関する情報を複数の受電器4から受信する。制御部6は、伝搬路情報と要求電力情報とに基づいて、複数の受電器4にて要求電力を同時に上回るように、送電器3の送電電力を所定値に制御するとともに、複数の第1アンテナに給電される電力の位相および振幅の少なくとも一方を制御する。
このとき、伝搬路情報に基づき、いくつかの受電器4において要求電力を上回る電力を供給することが不可能であると判断された場合、当該受電器4を上記制御の対象からあらかじめ除外しても良い。また制御の結果、要求電力に満たない受電器4が存在した場合、そのまま継続して給電を行っても良いし、当該受電器4を上記制御の対象から除外し、再計算の上、制御を行っても良い。これらの場合、制御器6は、伝搬路情報と要求電力情報とに基づいて、複数の受電器4のうち要求電力を上回る受電器4の数が所定個以上にように、送電器3の送電電力を所定値に制御するとともに、複数の第1アンテナに給電される電力の位相および振幅の少なくとも一方を制御すればよい。所定個とは、複数の受電器4のうち、種々の理由で要求電力に満たない可能性のある受電器4のすべてを除外した残りの受電器4の総数である。
送電器3または複数の受電器4は、送電器3と複数の受電器4との間の伝搬路情報を推定する機能を有する。送電器3または複数の受電器4のどちらで伝搬路情報を推定するかによって、送電器3と受電器4の内部構成が異なる。
図2は送電器3の内部構成の第1例を示すブロック図である。図2の送電器3は、伝搬路情報を推定する機能を有する。図2の送電器3は、複数の第1アンテナ11と、第1スイッチ12と、電力源13と、分配器14と、複数の可変位相器15と、複数の可変増幅器16と、第2通信部17と、複数の第1位相振幅検出器18とを有する。
可変位相器15と、可変増幅器16と、第1位相振幅検出器18は、複数の第1アンテナ11のそれぞれに対応づけて設けられている。
第1スイッチ12は、複数の第1アンテナ11にて送信を行うか、受信を行うかを切り替えるために設けられている。第1スイッチ12の代わりにアイソレータを用いてもよい。
図2の送電器3内の各部は、送電系統と伝搬路情報推定系統とに分けることができる。図2の送電器3における送電系統は、複数の第1アンテナ11と、第1スイッチ12と、電力源13と、分配器14と、複数の可変位相器15と、複数の可変増幅器16とを有する。電力源13は、制御器2からの指示により、送電電力の電力値を設定する。分配器14は、各受電器4の要求電力を同時に上回るように、電力源13から出力された送電電力を複数の第1アンテナ11向けに分配する。複数の可変位相器15は、制御器2からの指示により、分配された送電電力の位相を設定する。複数の可変増幅器16は、制御器2からの指示により、分配された送電電力の振幅を設定する。
図2の送電器3における伝搬路情報推定系統は、複数の第1アンテナ11と、第1スイッチ12と、複数の第1位相振幅検出器18と、第2通信部17とを有する。複数の第1位相振幅検出器18は、複数の第1アンテナ11と第1スイッチ12を介して、任意の受電器4が送信したパイロット信号(基準信号)を受信し、パイロット信号が辿った伝搬路の位相および振幅に関する伝搬路情報を推定する。複数の第1位相振幅検出器18で推定された伝搬路情報は、第2通信部17を介して制御器2に送信される。
制御器2は、送電器3からの伝搬路情報に基づいて、送電器3における送電電力の電力値を制御するとともに、分配後の送電電力の位相および振幅の少なくとも一方を制御し、これらの制御信号を送電器3に送信する。送電器3は、制御器2からの制御信号に基づいて、上述したように、電力源13にて送電電力の電力値を設定し、複数の可変位相器15にて、分配後の送電電力の位相を設定し、複数の可変増幅器16にて、分配後の送電電力の振幅を設定する。
図3は受電器4の内部構成の第1例を示すブロック図である。図3の受電器4は、パイロット信号を送電器3に送信する機能を有する。図3の受電器4は、第2アンテナ21と、第2スイッチ22と、整流器23と、負荷24と、演算部25と、第3通信部26と、パイロット信号送信部27とを有する。第2アンテナ21は、送電器3から送電された送電電力を受電するとともに、パイロット信号送信部27で生成したパイロット信号を送信する。第2スイッチ22は、第2アンテナ21の送受信を切り替える。整流器23は、受電された送電電力を直流電力に変換して、負荷24に蓄電する。負荷24は、例えば、充電池、キャパシタ、スーパーキャパシタなどで構成されている。演算部25は、負荷24の状態、例えば充電残量や消費電力などに基づいて、受電器4が必要とする要求電力を算出する。要求電力に関する情報は、第3通信部26を介して、制御器2に送信される。
図4は送電器3の内部構成の第2例を示すブロック図である。図4の送電器3は、図2における複数の第1位相振幅検出器18が省略されている。第2通信部17は、接続する第1アンテナ11を順次切り替えながら、伝搬路情報推定用のパイロット信号を複数の受電器4に送信する。図4の送電器3における送電系統の構成および動作は、図2と同様である。
図5は受電器4の内部構成の第2例を示すブロック図である。図5の受電器4は、図3におけるパイロット信号送信部27が省略されている代わりに、第2位相振幅検出器28を有する。第2位相振幅検出器28は、第2アンテナ21で受信された送電器3からのパイロット信号に基づいて、伝搬路情報を推定する。推定された伝搬路情報は、第3通信部26を介して制御器2に送信される。
図6は図2の送電器3と図3の受電器4との間で伝搬路情報の推定を行って電力の送電を行う処理手順を示すフローチャートである。図6のフローチャートは、制御器2、送電器3および受電器4の処理手順を時系列的に示したものである。また、図7A〜図7Cは、図6の各ステップの処理を行う際の、送電器3、受電器4および制御器2の間で行われる信号や電力の流れを矢印で明示した図である。
まず、受電器4からパイロット信号を送信し、そのパイロット信号を送電器3にて受信する。また、複数の受電器4は、制御器2に対して要求電力情報を送信する(ステップS1、図7A)。次に、送電器3は、パイロット信号に基づいて、伝搬路情報を推定する(ステップS2)。次に、送電器3は、伝搬路情報を制御器2に送信する(ステップS3、図7B)。制御器2は、伝搬路情報と各受電器4の要求電力情報に基づいて、送電電力の電力値を計算するとともに、複数の第1アンテナ11に給電される電力の位相および振幅を計算する(ステップS4、図7B)。そして、送電電力の電力値を制御するとともに、各第1アンテナ11に給電される電力の位相と振幅の少なくとも一方を制御するための制御信号を送電器3に送信する(ステップS5)。そして、送電器3は、制御器2からの制御信号に基づいて、送電電力の電力値を設定するとともに、分配後の送電電力の位相と振幅の少なくとも一方を設定し、設定された電力を複数の第1アンテナ11に給電して、複数の受電器4に向けて送電を行う(ステップS6、図7C)。
図8は図4の送電器3と図5の受電器4との間で伝搬路情報の推定を行って電力の送電を行う処理手順を示すフローチャートである。また、図9A〜図9Cは、図6の各ステップの処理を行う際の、送電器3、受電器4および制御器2の間での信号や電力の流れを矢印で明示した図である。
まず、送電器3からパイロット信号を送信し、そのパイロット信号を複数の受電器4にて受電する(ステップS11、図9A)。次に、各受電器4は、パイロット信号に基づいて、伝搬路情報を推定する(ステップS12)。次に、各受電器4は、伝搬路情報と要求電力情報を制御器2に送信する(ステップS13、図9B)。その後は、図6のステップS4〜S6と同様の処理を行う(ステップS14〜S16、図9C)。
図10は第1の実施形態による制御器2が行う制御指針を概念的に示す図である。図10に示すように、第1の実施形態による制御器2は、複数の受電器4の要求電力を同時に上回る受電電力が得られるように、送電器3の送電電力を所定値に制御するとともに、送電器3の各第1アンテナ11に給電される電力の位相と振幅の少なくとも一方を制御する。このような制御は、送電器3の送電電力と、各第1アンテナ11に給電される電力の位相と、各第1アンテナ11に給電される電力の振幅と、のすべての組合せを総当たり的に探索して、複数の受電器4の要求電力を同時に上回る組合せを特定してもよい。あるいは、送電器3の送電電力を任意の電力値に設定した上で、各第1アンテナ11に給電される電力の位相および振幅のすべての組合せを総当たり的に探索して、複数の受電器4の要求電力を同時に上回る組合せを特定してもよい。
図11は第1の実施形態による制御器2が行う制御指針をより具体的に示す図である。図11に示すように、第1の実施形態による制御器2は、各受電器4の受電電力が要求電力を上回り、かつワイヤレス給電システム1全体の給電効率が最大になるように、送電器3の送電電力値と、各第1アンテナ11に給電される電力の位相と振幅を制御する。給電効率を最大にする理由は、省電力化を考慮に入れたためである。
給電効率とは、送電器3の総送電電力に対する複数の受電器4の合計受電電力の比で表される。より詳細には、制御部6は、この比が、この比の最大値を複数の受電器4の数で割った値以上になるように、すなわち、給電効率が給電効率の最大値を受電器4の数で割った値以上になるように、送電器3の送電電力を所定値に制御するとともに、複数の第1アンテナ11に給電される電力の位相および振幅の少なくとも一方を制御する。送電器3から複数の受電器4への給電効率の最大値を受電器4の数で割る理由は、給電効率を正確に最大にするのは困難なためである。給電効率を最大にしようとしても、実際には必ず給電効率の最大値よりも小さい値になるはずである。そこで、給電効率の最大値を受電器4の数で割った値を給電効率の下限値として、この下限値以上に給電効率がなるように、送電器3の送電電力を所定値に制御するとともに、複数の第1アンテナ11に給電される電力の位相および振幅の少なくとも一方を制御する。このような制御により、給電効率ができるだけ高くなるようにして、送電器3から受電器4に送電電力を送電できる。
本実施形態による送電器3の複数の第1アンテナ11は、利得向上と指向性の可変性向上の観点から、数十から数百個程度のアンテナ(第1アンテナ11)を有するフェーズドアレーアンテナで構成可能である。この場合、フェーズドアレーアンテナのアンテナ数分の位相と振幅の全組合せを総当たり的に探索して、送電電力の電力値と、各第1アンテナ11に給電される電力の位相および振幅を制御しようとすると、膨大な計算時間を要するため、効率的とはいえない。このため、本実施形態では、予め推定された伝搬路情報に基づいて、送電器3の送電電力値を所定値に設定するとともに、各第1アンテナ11に給電される電力の位相および振幅の少なくとも一方を設定する。
ここで、説明の簡略化のため、N個の第1アンテナ11を有する単一の送電器3と、N個の受電器4から構成されるワイヤレス給電システム1を想定する。実際には、互いに同期している複数の送電器3が存在していたとしても、各送電器3のアンテナ数を足し合わせたアンテナ数を有する単一の送電器3とみなすことができる。よって、以下の説明は、複数の送電器3を有する場合にも適用可能である。
まず、送電器3のN個のアンテナとN個の受電器4間の伝搬路行列をHと定義する。ここで、伝搬路行列HはN行N列の複素行列となり、第i行、第j列目の行列成分hijは、以下の(1)式に示すように、送電器3のアレーの第jアンテナと第i番目の受電器4との間の伝搬路情報を表す。
ij=aejθ …(1)
(1)式において、eはネイピア数であり、aは当該の伝搬路の振幅、θは当該の伝搬路の位相を表す。この伝搬路行列Hは、特異値分解により以下の(2)式のように分解することができる。
H=UΣV …(2)
(2)式において、VとUはそれぞれN次、N次の複素行列であり、伝搬路Hの送信、受信正規直交基底行列である。なお添え字Hは、行列の複素共役転置を表す。ここでVはN個の列ベクトルからなり、以下の(3)式のように表すことができる。
ここで、vは第k送電ウェイト、各ウェイトの第k要素は、送電器3の第k番目の第1アンテナ11に設定される位相および振幅値に相当する。また、ΣはHの特異値を対角項に持つ対角行列であり、第k特異値をσと表し、特異値の最も大きなものを第1特異値と定義する。ここで、特異値σの二乗は、第kウェイトvに基づいて送電器3の位相と振幅を設定して給電を行った場合のシステム全体の給電効率に相当する。特に、第1特異値σ1の二乗は、当該の伝搬路状態において達成されるシステム全体の最大給電効率となる。
また、送電器3のアンテナ数Nが受電器4の数Nより大きい場合(N≦N)、伝搬路行列Hは以下のように特異値分解を行うことができる。
上式において、行列ΔはN個の特異値を含むN次の対角行列、行列OはN行(N−N)列の零行列である。また、区分行列VΔおよびVはそれぞれ行列ΔおよびOに対応する直交基底行列であり、それぞれN個、(N−N)個のウェイトから成る。概念的には、各ウェイトは送電器3のフェーズドアレーアンテナが形成する指向性に対応し、ウェイト毎に異なる指向性を形成する。ここで、VΔの各ウェイトは0以上の特異値(給電効率≧0)に対応するため、給電に寄与する指向性を形成する。一方、Vの各ウェイトはヌル空間(給電効率=0)に対応するため、給電に寄与しない指向性を形成する。よって、給電の観点から言えば、前者のウェイトのみ、送電器3に設定される位相および振幅の組み合わせの候補として採用し、後者のウェイトは候補からあらかじめ除外することが好ましい。
このように、制御部6は、伝搬路行列を分解して得られる直交基底行列に基づいて、送電器3の送電電力を所定値に制御するとともに、複数の第1アンテナ11に給電される送電電力の位相および振幅の少なくとも一方を制御する。より具体的には、制御部6は、直交基底行列のうち給電効率に寄与する直交基底に基づいて、送電器3の送電電力を所定値に制御するとともに、複数の第1アンテナ11に給電される送電電力の位相および振幅の少なくとも一方を制御する。すなわち、制御部6は、直交基底行列のうち給電効率に寄与しない直交基底を除去した後の直交基底に基づいて、送電器3の送電電力を所定値に制御するとともに、複数の第1アンテナ11に給電される送電電力の位相および振幅の少なくとも一方を制御する。
図12は送電器3の複数の第1アンテナ11から送信される電力波のビームパターンを模式的に示した図である。本実施形態では、給電に寄与しないウェイトを除外し(破線枠w1)、給電に寄与するウェイトを採用する(破線枠w2)。
具体例として、送電器3に与えるウェイトwは、VΔに含まれるウェイトのうち、真に給電に寄与するウェイト同士の重み付け合成により、以下の(5)式で表される(図12の破線枠w3)。
ここでrは伝搬路行列Hの階数(ランク)を表し、r≦Nである。
なお、区分行列VΔ’は、以下の(6)式で表される。
ここで、(5)式において、cは第kウェイトvに乗ぜられる重み付け(複素)係数であり、cはr個の重み付け係数からなる複素ベクトルとなる。特に、第1ウェイトvは最大の特異値cに対応するため最大給電効率を実現する指向性を形成する。そのため、単純に給電効率最大化の観点からすれば、第1ウェイトvに対応する複素係数cのみ有限の値とし、その他の係数は0とすることが望ましい。
しかしながら、複数の受電器4のうち、「位置的に孤立した受電器4が存在する場合」や「距離的に離れた受電器4が存在する場合」は、第1ウェイトvは「まとまって存在する複数の受電器4」または「距離的に近い受電器4」に対して優先的に給電を行うような指向性を形成し得る。結果として、「位置的に孤立した受電器4」や「距離的に離れた受電器4」に対しては十分な給電がなされず、これらの受電器4の要求電力を満たすことが困難となる。
また、各受電端末の要求電力値に大小の偏りがある場合、第1ウェイトvが形成する指向性が、必ずしも要求電力の大小の偏りを考慮したものであるとは限らない。そこで、第1ウェイトv以外のウェイトも使用し、それらを適切に重み付け合成したウェイトに基づき位相および振幅を制御することにより、複数の受電器4の要求電力を同時に満足するような任意形状の指向性を形成可能とする。(図12の破線枠w4)
ここで、上述した方法において、設定が必要な重み付け係数cの数はrとなる(なお、r≦N≦N)。したがって単純に送電器3のアンテナ数N分の位相および振幅を計算するよりも、はるかに効率的に適切な位相と振幅の組み合わせを探索することができる。
重み付け係数ベクトルcについては、下記のように計算してもよい。例えば図11に示す制御指針は、「システム全体の給電効率の最大化すること」を目的とし、「複数の受電器4の要求電力を上回る電力を供給すること」を制約とする、制約付き最適化問題として解釈できる。制約付き最適化問題の解法は複数存在するが、その一つである「ペナルティ法」を用いても良い。「ペナルティ法」では、本来の目的関数に対して制約関数の項(ペナルティ)を課した新たな目的関数を定義することで、制約付き最適化問題を制約無し最適化問題へと変換することができる。
具体的には、上記の重み付け係数ベクトルcを変数とし、目的関数f(c)を以下の(7)式のように定義できる。
(7)式において、後半の項は(5)式に示すウェイトを用いて給電した場合のシステム全体の給電効率に対応する。前述の通り、当該の伝搬路状態において達成される最大給電効率は第1特異値σ1の二乗で与えられるため、(7)式の目的関数f(c)は0〜1の値をとる。
次に制約関数について、まず(5)式に示すウェイトを用いた場合の第i番目の受電器4の受電電力pは、以下の(8)式で表される。
ここで、hは伝搬路行列Hのうち、第i番目の受電器4に対する伝搬路ベクトルを表す。そして第i番目の受電器4に対する制約関数gを以下の(9)式のように定義できる。
(9)式において、pmin,iは第i番目の受電器4の要求電力を表している。第i番目の受電器4に対する制約関数gは、受電電力が要求電力以上の場合(pmin,i≦p)、0の値をとり、受電電力が要求電力より小さい場合(pmin,i>p)、(1−p/pmin,iとなり0〜1の値をとる。
(7)式の目的関数および(9)式の制約関数から、新たな目的関数φ(c)を以下の(10)式のように定義できる。
式(10)の新たな目的関数φ(c)は、本来の目的関数f(c)から、ペナルティ係数μが乗ぜられた制約関数g(c)の総和を減算した形式で与えられ、φ(c)を最大化することで等価的に本来の制約付き最適化問題の近似解を得ることができる。実際には、最初はμを小さな値(例えば1など)に設定し、φ(c)の最適解が得られたら、μを更新し(通常10の冪乗)、μ更新後のφの最適解を再度計算する。以上の計算を、制約関数の項が限りなく0に近づくまで繰り返す。ここで新たな目的関数φ(c)は変数cで微分可能な関数となるため、勾配法を用いて最適化を行っても良い。
このように、第1の実施形態では、送電器3または複数の受電器4にて推定された伝搬路情報と、複数の受電器4の要求電力情報とに基づいて、送電器3の送電電力値を設定するとともに、送電器3の複数の第1アンテナ11に給電される電力の位相と振幅の少なくとも一方を設定する。これにより、各受電器4には要求電力以上の電力が同時に供給され、かつシステム全体としての給電効率も向上できる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、送電電力の最小化を目的とするものである。
図13は第2の実施形態によるワイヤレス給電システム1の制御指針を示す図である。第2の実施の形態では、各受電器4の受電電力が要求電力を上回り、かつ送電電力が最小になるように、送電器3の送電電力値を設定し、かつ複数の第1アンテナ11に給電される電力の位相と振幅の少なくとも一方を設定する。
ワイヤレス給電においては、省電力化と与干渉の低減化の観点から、送電電力を小さくすることが好ましい。そこで、本実施形態では、送電電力を最小化することを目的としつつ、複数の受電器4の要求電力を上回る電力を供給することを制約とする、制約付き最適化問題の解に基づいて、各パラメータを設定しても良い。例えば、(5)式のウェイトを用いた場合の送電電力Pは、以下の(11)式で表される。(11)式を目的関数としても使用しても良い。
=cc …(11)
送電器3の総送電電力を最小値に設定することは現実には容易ではない。実際上は、送電器3の総送電電力を最小値よりも高い値に設定することになる。そこで、制御部6は、送電器3の総送電電力が、送電器3の送電電力の最小値に複数の受電器4の数を乗じた値以下になるように制御する。送電器3の送電電力の最小値に受電器4の数を乗じることで、送電器3の送電電力の最小値に、受電器4の数分だけのマージンを与えることになる。この乗算値以下になるように送電電力を制御することで、送電器3の送電電力をできるだけ小さくすることができる。
このように、第2の実施形態では、送電電力を最小化しつつ、各受電器4の要求電力を上回るように、送電器3の送電電力値を設定し、かつ複数の第1アンテナ11に給電される電力の位相と振幅の少なくとも一方を設定するため、各受電器4に要求電力以上の電力を供給しつつ、省電力化を図ることができる。
(第3の実施形態)
第3の実施形態は、給電効率の最大化と送電電力の最小化を目的とするものである。
図14は第3の実施形態によるワイヤレス給電システム1の制御指針を示す図である。第3の実施形態では、各受電器4の受電電力が要求電力を上回り、かつシステム全体の給電効率が最大になり、かつ送電電力が最小になるように、送電器3の送電電力値を設定し、かつ複数の第1アンテナ11に給電される電力の位相と振幅の少なくとも一方を設定する。
ワイヤレス給電においては、システム全体の給電効率を向上させることと、送電器3の送電電力を低減することが望ましい。第1の実施形態と同様の手法にて、システム全体の給電効率が最大になるように、送電器3の送電電力値と、複数の第1アンテナ11の位相と振幅の少なくとも一方を設定すると、各受電器4の受電電力は、要求電力値以上の値になることが想定される。ここで、各受電器4における受電電力に対する要求電力の割合を求め、その中で最大の割合を低減率と定義する。受電電力が送電電力に単純に比例すると仮定すると、送電電力に低減率を乗じた値まで送電電力を低減しても、各受電器4の受電電力は要求電力を超えると考えられる。よって、本実施形態の制御部6は、送電器3の送電電力を、低減前の送電電力に上述した低減率を乗じた値まで下げるようにしている。これにより、各受電器4に要求電力以上の電力を供給しつつ、給電効率を最大化した上で、送電電力を最小化することができる。
このように、第3の実施形態では、各受電器4に要求電力以上の電力を供給し、かつ給電効率をできるだけ高くし、かつ送電電力をできるだけ低くするように、送電器3の送電電力値を設定するとともに、複数の第1アンテナ11に給電される電力の位相と振幅の少なくとも一方を設定する。このため、各受電器4の要求電力を満足するだけでなく、給電効率の最大化と送電電力の最小化を図ることができる。
(第4の実施形態)
第4の実施形態は、送電器3の送電電力に上限を設定するものである。
図15は第4の実施形態による制御指針を示す図である。本実施形態では、送電電力の上限を設定し、この上限を超えない範囲で、送電器3の送電電力値を設定するとともに、複数の第1アンテナ11の位相と振幅の少なくとも一方を設定する。電波型ワイヤレス給電においては、法律および条令等により送電電力そのものまたは等価等方輻射電力に制限が設けられており、これらを遵守しなければならない。そこで、本実施形態の制御部6は、送電電力の上限と受電器4の要求電力を制約関数とする制約つき最適化問題の解に基づいて、上述したパラメータを適当な値に設定する。例えば、(5)式のウェイトを用いた場合の送電電力は(11)式で与えられ、送電電力の上限値をPT,maxとすると、送電電力に関する制約関数g(c)は、以下の(12)式のように定義できる。
(12)式において、送電電力に関する制約関数g(c)は、送電電力が送電電力の上限値以下の場合(p≦pT,max)、0の値をとり、送電電力が送電電力の上限値より大きな場合(p>pT,max)、(1− pT,max / pとなり0〜1の値をとる。
このように、第4の実施形態では、各受電器4の受電電力が要求電力を上回り、かつ送電器3の送電電力が上限を超えないように、送電器3の送電電力値を設定し、かつ複数の第1アンテナ11に給電される電力の位相と振幅の少なくとも一方を設定する。これにより、各受電器4の受電電力が要求電力を下回るおそれがなくなり、かつ送電器3の送電電力が上限を超えなくなる。
(第5の実施形態)
第5の実施形態は、各受電器4の受電電力が許容受電電力を超えないようにするものである。
図16は第5の実施形態による制御指針を示す図である。本実施形態の制御部6は、各受電器4に許容受電電力を設定し、各受電器4の受電電力が許容受電電力を超えないように、送電器3の送電電力値を設定し、かつ複数の第1アンテナ11に給電される電力の位相と振幅の少なくとも一方を設定する。
受電器4の内部の整流器23は、トランジスタ等の回路部品によって構成されており、これらの回路部品には、入力電圧に定格値が存在し、入力電圧が定格値を超えると、性能の飽和や回路部品の破損を招いてしまう。本実施形態では、許容受電電力と受電器4の要求電力を制約関数とする制約つき最適化問題の解に基づいて、上述したパラメータを適当な値に設定する。受電器4に許容受電電力に関する制約関数については、式(9)や(12)式と同様の形式で定義することができる。
このように、第5の実施形態では、各受電器4の受電電力が要求電力を上回り、かつ各受電器4の受電電力が許容受電電力を超えないように、送電器3の送電電力値を設定し、かつ複数の第1アンテナ11に給電される電力の位相と振幅の少なくとも一方を設定する。これにより、各受電器4の電気的特性の劣化や破損を防止できる。
(第6の実施形態)
上述した第1〜第5の実施形態で説明した制御指針は、任意に組み合わせることができる。例えば、図17は第4の実施形態と第5の実施形態の制御指針を組み合わせたものであり、送電器3の送電電力に上限を設定するとともに、各受電器4の受電電力が許容受電電力を超えないようにするものである。
図17の制御指針によれば、各受電器4の受電電力が要求電力を上回り、かつ送電器3の送電電力が上限を超えないように、かつ各受電器4の受電電力が許容受電電力を超えないように、送電器3の送電電力値を設定し、かつ複数の第1アンテナ11に給電される電力の位相と振幅の少なくとも一方を設定することができる。
図18は、第1の実施形態と第4の実施形態の制御指針を組み合わせたものである。図18の制御指針によれば、各受電器4の受電電力が要求電力を上回り、かつシステム全体の給電効率が最大になり、かつ送電器3の送電電力が上限を超えないように、送電器3の送電電力値を設定し、かつ複数の第1アンテナ11に給電される電力の位相と振幅の少なくとも一方を設定することができる。
図19は第1の実施形態と第5の実施形態の制御指針を組み合わせたものである。図19の制御指針によれば、各受電器4の受電電力が要求電力を上回り、かつシステム全体の給電効率が最大になり、かつ各受電器4の受電電力が許容受電電力を超えないように、送電器3の送電電力値を設定し、かつ複数の第1アンテナ11に給電される電力の位相と振幅の少なくとも一方を設定することができる。
図20は第1の実施形態と、第4の実施形態と、第5の実施形態との制御指針を組み合わせたものである。図20の制御指針によれば、各受電器4の受電電力が要求電力を上回り、かつシステム全体の給電効率が最大になり、かつ送電器3の送電電力が上限を超えないように、かつ各受電器4の受電電力が許容受電電力を超えないように、送電器3の送電電力値を設定し、かつ複数の第1アンテナ11に給電される電力の位相と振幅の少なくとも一方を設定することができる。
図21は第2の実施形態と第5の実施形態の制御指針を組み合わせたものである。図21の制御指針によれば、各受電器4の受電電力が要求電力を上回り、かつ送電器3の送電電力が最小になり、かつ各受電器4の受電電力が許容受電電力を超えないように、送電器3の送電電力値を設定し、かつ複数の第1アンテナ11に給電される電力の位相と振幅の少なくとも一方を設定することができる。
図22は、第1の実施形態と、第2の実施形態と、第5の実施形態との制御指針を組み合わせたものである。図22の制御指針によれば、各受電器4の受電電力が要求電力を上回り、かつシステム全体の給電効率が最大になり、かつ送電器3の送電電力が最小になり、かつ各受電器4の受電電力が許容受電電力を超えないように、送電器3の送電電力値を設定し、かつ複数の第1アンテナ11に給電される電力の位相と振幅の少なくとも一方を設定することができる。
このように、上述した第1〜第5の実施形態の制御指針を任意に組み合わせた制御指針に基づいて、送電器3から送電電力値と、複数の第1アンテナ11に給電される電力の位相と振幅の少なくとも一方とを設定することができる。
(第7の実施形態)
第7の実施形態は、1つ以上の受電器4の受電電力を最大化するものである。
図23は第7の実施形態による制御指針を示す図である。制御部6は、図23の制御指針に従って、各受電器4の受電電力が要求電力を上回り、かつ送電器3の送電電力が上限を超えないように、かつ1つ以上の受電器4の受電電力が最大になるように、送電器3の送電電力値を制御し、かつ複数の第1アンテナ11に給電される電力の位相と振幅の少なくとも一方を制御する。
受電器4は、充電残量が極めて少ないとき、あるいは消費電力が著しく大きいとき、より大きな受電電力を必要とする。そこで、本実施形態では、受電電力を目的関数、送電電力の上限、許容受電電力を制約関数とする制約付き最適化問題の解に基づいて、上述したパラメータを適当な値に設定することができる。例えば、(8)式で与えられる第i番目の受電器4の受電電力値を目的関数として使用しても良い。ここで複数の受電器4の受電電力の最大化が必要な場合、それぞれの受電電力を適当な比率で合計したものを目的関数としても良い。
なお、受電器4の受電電力が最大か否かを判定するのは現実的には困難である。そこで、制御部6は、複数の受電器4の受電電力が、複数の受電器4における最大受信可能電力を複数の受電器4の数で割った値以上になるように、送電器3の送電電力を所定値に制御するとともに、複数の第1アンテナ11に給電される電力の位相および振幅の少なくとも一方を制御してもよい。
図24は第7の実施形態の第1変形例の制御指針を示す図である。制御部6は、図24の制御指針に従って、各受電器4の受電電力が要求電力を上回り、かつ受電器4の受電電力が許容受電電力を上回らないように、かつ1つ以上の受電器4の受電電力が最大になるように、送電器3の送電電力値を制御し、かつ複数の第1アンテナ11に給電される電力の位相と振幅の少なくとも一方を制御する。
図25は第7の実施形態の第2変形例の制御指針を示す図である。制御部6は、図25の制御指針に従って、各受電器4の受電電力が要求電力を上回り、かつ送電器3の送電電力が上限を超えないように、かつ受電器4の受電電力が許容受電電力を上回らないように、かつ1つ以上の受電器4の受電電力が最大になるように、送電器3の送電電力値を制御し、かつ複数の第1アンテナ11に給電される電力の位相と振幅の少なくとも一方を制御する。
このように、第7の実施形態では、1つ以上の受電器4の受電電力が最大になるように、送電器3の送電電力値を設定し、かつ複数の第1アンテナ11に給電される電力の位相と振幅の少なくとも一方を設定するため、消費電力の大きい受電器4にできるだけ多くの受電電力を供給できる。
(第8の実施形態)
第8の実施形態は、第1〜第7の実施形態の制御指針を任意に組み合わせた制御指針を採用するものである。
図26は第8の実施形態による制御指針を示す図である。制御部6は、図26の制御指針に従って、各受電器4の受電電力が要求電力を上回り、かつシステム全体の給電効率が最大になり、かつ送電器3の送電電力が上限を超えないように、かつ1つ以上の受電器4の受電電力が最大になるように、送電器3の送電電力値を制御し、かつ複数の第1アンテナ11に給電される電力の位相と振幅の少なくとも一方を制御する。
図27は第8の実施形態の第1変形例の制御指針を示す図である。制御部6は、図27の制御指針に従って、各受電器4の受電電力が要求電力を上回り、かつシステム全体の給電効率が最大になり、かつ受電器4の受電電力が許容受電電力を上回らないように、かつ1つ以上の受電器4の受電電力が最大になるように、送電器3の送電電力値を制御し、かつ複数の第1アンテナ11に給電される電力の位相と振幅の少なくとも一方を制御する。
図28は第8の実施形態の第2変形例の制御指針を示す図である。制御部6は、図28の制御指針に従って、各受電器4の受電電力が要求電力を上回り、かつシステム全体の給電効率が最大になり、かつ送電器3の送電電力が上限を超えないように、かつ受電器4の受電電力が許容受電電力を上回らないように、かつ1つ以上の受電器4の受電電力が最大になるように、送電器3の送電電力値を制御し、かつ複数の第1アンテナ11に給電される電力の位相と振幅の少なくとも一方を制御する。
図26〜図28は、第1〜第7の実施形態の制御指針の組合せの一例であり、第1〜第7の実施形態の制御指針を任意に組み合わせてもよい。
なお、図1では、送電器3と受電器4とは別個に制御器2を設ける例を示したが、制御器2を送電器3または受電器4の内部に配置してもよい。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1 ワイヤレス給電システム、2 ワイヤレス給電制御装置、3 送電器、4 受電器、5 第1通信部、6 制御部、11 第1アンテナ、12 第1スイッチ、13 電力源、14 分配器、15 可変位相器、16 可変増幅器、17 第2通信部、18 第1位相振幅検出器、21 第2アンテナ、22 第2スイッチ、23 整流器、24 負荷、25 演算部、26 第3通信部、27 パイロット信号送信部、28 第2位相振幅検出器

Claims (13)

  1. 複数の第1アンテナを有する1つ以上の送電器から複数の受電器にワイヤレスで電力を送電する制御を行うワイヤレス給電制御装置であって、
    前記送電器または前記複数の受電器から、前記送電器と前記複数の受電器との間の伝搬路情報を受信し、かつ前記複数の受電器が要求する要求電力に関する要求電力情報を前記複数の受電器から受信する第1通信部と、
    前記伝搬路情報と前記要求電力情報とに基づいて、前記複数の受電器のうち前記要求電力を上回る受電器の数が所定個以上になるように、前記送電器の送電電力を所定値に制御するとともに、前記複数の第1アンテナに給電される電力の位相および振幅の少なくとも一方を制御する制御部と、を備える、ワイヤレス給電制御装置。
  2. 前記制御部は、前記送電器の総送電電力に対する前記複数の受電器の合計受電電力の比が、前記比の最大値を前記複数の受電器の数で割った値以上になり、かつ前記複数の受電器にて前記要求電力を同時に上回るように、前記送電器の送電電力を所定値に制御するとともに、前記複数の第1アンテナに給電される電力の位相および振幅の少なくとも一方を制御する、請求項1に記載のワイヤレス給電制御装置。
  3. 前記制御部は、前記伝搬路情報から生成される伝搬路行列を分解して得られる直交基底行列に基づいて、前記送電器の送電電力を所定値に制御するとともに、前記複数の第1アンテナに給電される送電電力の位相および振幅の少なくとも一方を制御する、請求項1または2に記載のワイヤレス給電制御装置。
  4. 前記制御部は、前記直交基底行列のうち給電効率に寄与する直交基底に基づいて、前記送電器の送電電力を所定値に制御するとともに、前記複数の第1アンテナに給電される送電電力の位相および振幅の少なくとも一方を制御する、請求項3に記載のワイヤレス給電制御装置。
  5. 前記制御部は、前記直交基底行列のうち給電効率に寄与しない直交基底を除去した後の直交基底に基づいて、前記送電器の送電電力を所定値に制御するとともに、前記複数の第1アンテナに給電される送電電力の位相および振幅の少なくとも一方を制御する、請求項4に記載のワイヤレス給電制御装置。
  6. 前記制御部は、前記送電器の総送電電力が、前記送電器の送電電力の最小値に前記複数の受電器の数を乗じた値以下になり、かつ前記複数の受電器にて前記要求電力を同時に上回るように、前記送電器の送電電力を所定値に制御するとともに、前記複数の第1アンテナに給電される送電電力の位相および振幅の少なくとも一方を制御する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のワイヤレス給電制御装置。
  7. 前記制御部は、前記送電器の総送電電力が所定の閾値を超えないように、かつ前記複数の受電器にて前記要求電力を同時に上回るように、前記送電器の送電電力を所定値に制御するとともに、前記複数の第1アンテナに給電される電力の位相および振幅の少なくとも一方を制御する、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のワイヤレス給電制御装置。
  8. 前記制御部は、前記複数の受電器の中に、受電電力の許容制限値が決められている受電器が存在する場合には、前記許容制限値を超えないように、かつ前記複数の受電器にて前記要求電力を同時に上回るように、前記送電器の送電電力を所定値に制御するとともに、前記複数の第1アンテナに給電される電力の位相および振幅の少なくとも一方を制御する、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のワイヤレス給電制御装置。
  9. 前記制御部は、前記複数の受電器のうち少なくとも1つの受電器の受電電力が、当該受電器における最大受信可能電力を前記複数の受電器の数で割った値以上になるように、かつ前記複数の受電器にて前記要求電力を同時に上回るように、前記送電器の送電電力を所定値に制御するとともに、前記複数の第1アンテナに給電される電力の位相および振幅の少なくとも一方を制御する、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のワイヤレス給電制御装置。
  10. 前記複数の第1アンテナと、
    請求項1乃至9のいずれか一項に記載のワイヤレス給電制御装置と通信を行うとともに、前記複数の第1アンテナを介して送受される信号を処理する第2通信部と、
    前記制御部からの制御信号に基づいて、前記所定値の送電電力を生成する電力源と、
    前記電力源で生成された前記送電電力を前記複数の第1アンテナ向けに分配する分配器と、
    前記制御部からの制御信号に基づいて、前記複数の第1アンテナに給電される電力の位相を設定する可変位相器と、
    前記制御部からの制御信号に基づいて、前記複数の第1アンテナに給電される電力の振幅を設定する可変増幅器と、を備える、送電器。
  11. 前記複数の受電器から前記複数の第1アンテナおよび前記第2通信部を介して受信された基準信号に基づいて、前記複数の受電器との間の伝搬路情報を検出する第1伝搬路検出部を備え、
    前記第2通信部は、前記伝搬路情報を前記ワイヤレス給電制御装置に送信する、請求項10に記載の送電器。
  12. 請求項1乃至9のいずれか一項に記載のワイヤレス給電制御装置と通信を行う第3通信部26と、
    前記送電器から送電された送電電力を受電する第2アンテナと、
    前記第2アンテナで受電された送電電力を整流する整流器と、を備える、受電器。
  13. 前記送電器から前記第2アンテナおよび前記第3通信部を介して受信された基準信号に基づいて、前記送電器との間の伝搬路情報を検出する第2伝搬路検出部を備え、
    前記第3通信部は、前記伝搬路情報を前記ワイヤレス給電制御装置に送信する、請求項12に記載の受電器。
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