以下、本発明の各実施の形態に係るコントローラについて、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
本実施の形態に係るコントローラは、例えば建物に設置された空気調和機(図示せず)との間で制御信号を送受信することにより空気調和機の動作を制御する。図1に示すように、コントローラ1000は、矩形の箱状に形成された筐体6と、筐体6の一面を覆うように配設された外殻体8と、を備える。筐体6には、着脱自在な蓋体26が取り付けられている。外殻体8の一部は、ユーザが把持できる把持部HAを構成している。
コントローラ1000は、図2に示すように、直流電力を出力するための電源基板1と、制御信号を出力するための制御基板2と、制御基板2と空気調和機との間で制御信号を送受信する伝送基板3と、を備える。また、コントローラ1000は、空気調和機の動作状態を表示するための表示基板4と、USB(Universal Serial Bus)ケーブル(図示せず)を接続するためのUSBコネクタ501が設けられたUSB基板5と、を備える。
電源基板1は、扁平な長方形の箱状の筐体6に収納されている。制御基板2および伝送基板3は、筐体6の外部に配置されている。制御基板2は、その厚さ方向において伝送基板3と重なる位置に配置されている。制御基板2と伝送基板3とは、接地部材19に共通に接続されている。表示基板4とUSB基板5とは、その厚さ方向において制御基板2と重なる位置に配置されている。表示基板4とUSB基板5とは、保持部材7に保持されている。接地部材19と筐体6との間には、絶縁部材18が介在している。
電源基板1は、例えば外部の商用電源(図示せず)等から供給される交流電力を直流電力に変換する電源回路が形成された回路基板である。この電源回路は、グランド電位に維持される接地線(第1接地線、図示せず)を含む。電源基板1は、図3に示すように、本体基板101と端子基板102とから構成される。本体基板101と端子基板102とは、いずれも矩形板状であり、筐体6内に配置されている。
本体基板101は、矩形板状のプリント基板と、このプリント基板上に配設された整流素子111、コンデンサ112、絶縁トランス113等と、から構成される。絶縁トランス113は、その一次側に供給される交流を降圧して二次側に接続された整流素子111へ出力する。整流素子111から出力される脈流は、コンデンサ112により平滑化される。本体基板101は、交流電力供給用のワイヤハーネス114が接続される第1本体側接続部117aと、直流電力供給用のワイヤハーネス115が接続される第2本体側接続部117bと、を更に備える。ここで、ワイヤハーネス114は、3本の導電線を束ねたものである。また、ワイヤハーネス115は、1本の導電線から構成される。
端子基板102は、外部装置に接続される端子や、制御基板2、伝送基板3、表示基板4およびUSB基板5に接続される端子、空気調和機に接続される端子を備える回路基板である。この端子基板102は、長方形の板状のプリント基板と、このプリント基板に配設された複数の端子と、から構成される。端子基板102は、蓋体26を取り外したときに、その短手方向における本体基板101側とは反対側の端縁が筐体6における外部からアクセス可能な部位に位置するように配置されている。端子基板102には、図12に示すように、電源ケーブル23が接続される電源接続端子901と、伝送ケーブル24が接続される伝送接続端子902と、が配設されている。図3に戻って、端子基板102には、更に、製品検査工程時等に使用される検査用コネクタ903と市場でのサービス時等に使用されるサービス用コネクタ904とが配設されている。電源接続端子901、伝送接続端子902、検査用コネクタ903およびサービス用コネクタ904は、端子基板102の上記端縁に沿って配置されている。つまり、端子基板102の上記端縁には、筐体6の外部からアクセスする必要のある外部接続用の端子が配置されている。また、端子基板102には、制御基板2へ直流電力を供給するための第1供給端子905と、伝送基板3へ直流電力を供給するための第2供給端子906と、が配設されている。第1供給端子905と第2供給端子906とは、筐体6の外部からアクセスする必要のない内部接続用の端子であり、端子基板102の短手方向における本体基板101側の端縁に沿って配置されている。端子基板102は、ワイヤハーネス(電源線)114が接続される第1端子側接続部118aと、ワイヤハーネス(電源線)115が接続される第2端子側接続部118bと、を備える。ワイヤハーネス114は、本体基板101への交流電力供給用の電源線であり、ワイヤハーネス115は、端子基板102への直流電力供給用の電源線である。本体基板101と端子基板102とは、ワイヤハーネス114、115を介して電気的に接続されている。
図2に戻って、制御基板(回路基板)2は、空気調和機制御用の制御信号を生成して伝送基板3へ出力するとともに伝送基板3から入力される制御信号を処理する制御回路を備える。この制御回路は、グランド電位に維持される接地線(第2接地線、図示せず)を有する。制御基板2は、矩形板状のプリント基板と、このプリント基板上に配設された、マイクロコンピュータ201およびスイッチ202を含む回路部品と、を有する。スイッチ202は、例えばトグルスイッチから構成される。スイッチ202は、制御基板2のスイッチ202が配設された面に交差する方向から操作部202aを操作できる。また、制御基板2には、電源基板1から供給される直流電力を受電し、回路部品に供給する受電部203が配設されている。スイッチ202は、制御基板2の一面に直交する方向から操作される操作部202aを有する電子部品である。受電部203は、動作用電力を受電するため、端子基板102に設けられた第1供給端子905に電力供給用のワイヤハーネス116を介して電気的に接続されている。マイクロコンピュータ201は、電源基板1から受電部203で受電した電力により動作する。スイッチ202は、操作部202aが外方を臨むようにして配置されている。即ち、制御基板2は、スイッチ202が配設された面が筐体6側とは反対側を臨むようにして配置されている。制御基板2は、一面が制御基板2の厚さ方向において一部の領域が表示基板4およびUSB基板5に対向するとともに、スイッチ202が外部から視認可能なように表示基板4およびUSB基板5で覆われない位置に配置されている。
伝送基板(回路基板)3は、制御回路と空気調和機との間で空気調和機の制御信号の送受信を行う伝送回路を備える。この伝送回路は、グランド電位に維持される接地線(第2接地線、図示せず)を有する。伝送基板3は、矩形板状のプリント基板と、このプリント基板上に配設された、モジュラージャック301を含む回路部品と、を有する。伝送回路は、例えばモデム(図示せず)とゲートウェイ(図示せず)を含む。伝送基板3には、電源回路から供給される直流電力を受電し、回路部品に供給する受電部302と、表示基板4へ制御信号を送信するための送信部303とが配設されている。モジュラージャック301は、外殻体8の外部から、LAN(Local Area Network)ケーブルのプラグが着脱されるコネクタである。モジュラージャック301は、伝送基板3のモジュラージャック301が配設された面に交差する方向からプラグの着脱ができる。受電部302は、動作用電力を受電するため、端子基板102に設けられた第2供給端子906に電力供給用のワイヤハーネス117を介して電気的に接続されている。モデムおよびゲートウェイは、電源基板1から受電部302で受電した電力により動作する。伝送基板3は、モジュラージャック301が配設された一面が外方を臨むように配置されている。即ち、伝送基板3は、モジュラージャック301が配設された面が筐体6側とは反対側を臨むようにして配置されている。また、伝送基板3は、一面が伝送基板3の厚さ方向において一部の領域が制御基板2に対向するとともに、モジュラージャック301が外部から視認可能なように制御基板2で覆われない位置に配置されている。外殻体8を取り外した状態において、外方からスイッチ202とモジュラージャック301との両方が視認可能である。
表示基板(回路基板)4は、発光部401を含む表示回路を備える。この表示回路は、グランド電位に維持される接地線(第2接地線、図示せず)を有する。表示基板4は、矩形板状のプリント基板と、このプリント基板上に配設された各種部品と、を有する。表示基板4には、例えば制御回路からの制御信号により発光部401の点灯状態を制御するドライバ402と、制御回路から制御信号を受信するための受信部403とが配設されている。表示基板4におけるその中心を挟んで対向する2つの角部近傍には、その厚さ方向に貫通し螺子571が挿通される貫通孔(図示せず)が貫設されている。発光部401は、LEDランプ等から構成され、外部から視認される表示部である。受信部403は、伝送基板3に配設された送信部303に表示信号線であるワイヤハーネス119を介して接続されている。発光部401の点灯制御用の制御信号は、制御回路から伝送回路を介して表示回路の受信部403へ送信される。受信部403は、受信した制御信号をドライバ402に入力する。
USB基板(回路基板)5は、USBコネクタ501に接続された電子機器(図示せず)と制御基板2との間で信号の送受信を行うUSB伝送回路を備える。このUSB伝送回路は、グランド電位に維持される接地線(第2接地線、図示せず)を有する。USB基板5は、矩形板状のプリント基板と、このプリント基板上に配設された各種部品と、を有する。USB基板5におけるその中心を挟んで対向する2つの角部近傍には、その厚さ方向に貫通し螺子(図示せず)が挿通される貫通孔(図示せず)が貫設されている。
結局、端子基板102の外部接続用の端子が設けられた面と制御基板2のスイッチ202が設けられた面と伝送基板3のモジュラージャック301が設けられた面は、同一方向を向いている。また、表示基板4の発光部401が設けられた面とUSB基板5のUSBコネクタ501が設けられた面とは、制御基板2のスイッチ202が設けられた面と同一方向を向いている。
接地部材19は、金属等の導電性材料から形成される。接地部材19は、矩形板状の主片191と、主片191の周部における複数箇所(例えば4箇所)から延出し保持部材7が固定される固定片192と、を備える。接地部材19には、制御基板2に電気的に接続される第1接続部193と、伝送基板3に電気的に接続される第2接続部194と、が一体に立設されている。第1接続部193と第2接続部194とは、金属等の導電性材料から形成されている。第1接続部193および第2接続部194の先端部には、それぞれ螺子孔(図示せず)が穿設されている。制御基板2の第1接続部193に対応する複数(図4では5つ)の部位には、貫通孔(図示せず)が貫設され、この貫通孔の外周部には、接地線と電気的に接続されたランド部(図示せず)が形成されている。図4に示すように、各貫通孔に挿通された金属製の螺子521を第1接続部193の螺子孔に螺着することにより制御基板2が第1接続部193の先端部に固定される。これにより、制御基板2のランド部が、螺子521および第1接続部193を介して接地部材19と電気的に接続される。伝送基板3の周部における第2接続部194に対応する複数の部位には、貫通孔(図示せず)が貫設され、この貫通孔の外周部には、伝送基板3の接地線と電気的に接続されたランド部(図示せず)が形成されている。各貫通孔に挿通された金属製の螺子531を第2接続部194の螺子孔に螺着することにより伝送基板3が第2接続部194の先端部に固定される。これにより、伝送基板3のランド部が、螺子531および第2接続部194を介して接地部材19と電気的に接続される。
図2のA−A矢視断面図である図5に示すように、制御基板2は、伝送基板3に比べて蓋部602から離間した位置に配置されている。この配置に対応して、制御基板2に接続される第1接続部193の長さは、伝送基板3に接続される第2接続部194の長さに比べて長く設定されている。なお、図5では、電源基板1、制御基板2、伝送基板3、表示基板4およびUSB基板5それぞれに配設された各種コネクタおよび電子部品等並びに外殻体8の図示を省略している。伝送基板3と接地部材19の主片191との間の距離W3、制御基板2と伝送基板3との間の距離W2、および電源基板1と筐体6の底壁601aとの間の距離W1は、例えば、IEC60950などの安全基準規格等で規定される。IEC60950 Table 2Hでは、電源基板1のAC主電源電圧、埃などの汚染物の量といった要因から空間距離の最小規定値が定められている。
保持部材7は、制御基板2および伝送基板3を跨ぐように配置され、表示基板4およびUSB基板5を、制御基板2の厚さ方向から見て制御基板2と重なる位置で保持する。保持部材7は、螺子571により接地部材19の固定片192に螺子止めされている。これにより、表示基板4およびUSB基板5は、保持部材7を介して設置部材19に電気的に接続される。保持部材7は、金属等の導電性材料から形成される。保持部材7は、図2に示すように、表示基板4が取着される取付面701aを有する平面視矩形状の第1部位701と、第1部位701に隣接しUSB基板5が取着される窓部702aを有する平面視矩形状の第2部位702と、第1部位701および第2部位702を支持する支持部703と、を備える。また、保持部材7は、第2部位702と一体に設けられ、第2部位702の厚さ方向に延伸する、外殻体8を支持するためのリブ705を備える。支持部703には、保持部材7を接地部材19に固定するための固定片703aが設けられている。リブ705は、その先端部に螺子581b(図1参照)が螺合する螺子孔705aが穿設されている。
第1部位701の取付面701aには、表示基板4が螺子571により螺子止めされている。USB基板5は、その周部が第2部位702の下面に当接し、USBコネクタ501等の電子部品が窓部702aから露出した状態で、螺子止めされている。
筐体6は、図6に示すように、扁平な長方形の箱状であり厚さ方向における一面が開放された本体部601と、本体部601の開放部分の一部を覆うように配置された蓋部602と、から構成される。本体部601における蓋部602に覆われない部位を囲む側壁601bには、電源ケーブル23および伝送ケーブル24を挿通させるための切欠部601cが形成されている。本体部601および蓋部602は、いずれも金属材料等の耐火性のある材料から形成されている。金属材料としては、アルミニウム等が挙げられる。本体部601および蓋部602は、例えば金属材料からなる板状部材に板金加工を施すことにより形成される。
図3に示すように、本体基板101は、本体部601の長手方向における蓋部602で覆われる一端側に配置される。端子基板102は、本体部601の長手方向における他端側に配置される。本体基板101および端子基板102は、スペーサ611を介して本体部601の底壁601aから離間して螺子止めされている。本体部601の底壁601aにおける、本体基板101が取り付けられる領域と端子基板102が取り付けられる領域との間には、本体部601内に突出した突台部612が形成されている。突台部612は、底壁601aと一体に形成されている。突台部612には、ワイヤハーネス114、115を結束する結束部材613が配設されている。これにより、本体部601内におけるワイヤハーネス114、115の位置を固定することができ、ワイヤハーネス114、115が、本体基板101や端子基板102等に配設された部品と干渉するのを防止できる。突台部612には、螺子孔(図示せず)が穿設されており、ワイヤハーネス114の接地端子114aは、この螺子孔に螺着された螺子550により突台部612に固定されている。これにより、本体基板101および端子基板102それぞれの接地線(第1接地線)と筐体6とが電気的に接続される。端子基板102における電源接続端子901、伝送接続端子902、検査用コネクタ903およびサービス用コネクタ904が配設された部位は、筐体6内部における蓋部602で覆われない位置に配置される。
底壁601aの側壁601bの近傍には、電源ケーブル23および伝送ケーブル24(図1参照)それぞれを固定するための固定台614が配設されている。固定台614は、底壁601aに穿設された螺子孔(図示せず)に螺着した螺子560により本体部601に固定されている。また、2つの固定台614の間には、底壁601aと一体に形成され、後述の接地プラグ23b(図12参照)を挟持する挟持部618aを有する接地端子台618が配設されている。接地プラグ23bは、螺子618bにより接地端子台618に螺子止めされる。底壁601aの電源接続端子901と固定台614との間には、電源ケーブル端子の接続先を示す文字列等(図示せず)が印刷された表示ラベル21が貼り付けられている。底壁601aの伝送接続端子902と固定台614との間には、伝送ケーブル端子の接続先を示す文字列等(図示せず)が印刷された表示ラベル22が貼り付けられている。
本体部601の互いに平行に配置された側壁601dの端縁には、底壁601aに平行であり且つ互いに近づく方向に延出する延出片601fが設けられている。延出片601fは、各側壁601dの蓋部602で覆われる部位に位置する。各延出片601fには、蓋部602を取着するための螺子孔615と、外殻体8を固定するための螺子孔616と、蓋体26を筐体6に取着するための螺子孔617と、が穿設されている。本体部601における側壁601bと側壁601bに対向配置された側壁601eとには、それぞれ後述の取付部材27(図10参照)を取着するための螺子孔601gが穿設されている。また、側壁601b、601eにおける螺子孔601g近傍には、取付部材27の位置決めを行うための突起部601hが突設されている。
蓋部602は、図6に示すように、矩形板状である。蓋部602は、その一辺に平面視矩形状の切欠部602cが形成された主片602aと、主片602aにおける切欠部602cが形成された一辺以外の三辺から主片602aに直交する一方向に延出する側片602bと、を備える。蓋部602は、側片602bの内面が本体部601の側壁601d、601eの外面に当接した状態で配置される。蓋部602の主片602aの4つの角部近傍には、その厚さ方向に貫通する4つの貫通孔(図示せず)が貫設されている。蓋部602は、これらの貫通孔に挿通された螺子562が本体部601の延出片601fに穿設された螺子孔615(図3参照)に螺着されることにより本体部601に固定される。また、主片602aにおける切欠部602cの外周部には、ワイヤハーネス116、117を結束する環状の結束部材603が取り付けられている。結束部材603は、例えば電気的絶縁性のある樹脂材料から形成される。ワイヤハーネス116は、端子基板102に配設された第1供給端子905から結束部材603を通じて制御基板2の受電部203に接続されている(図2参照)。ワイヤハーネス117は、端子基板102に配設された第2供給端子906から結束部材603を通じて、伝送基板3の受電部302に接続されている(図2参照)。蓋部602には、その厚さ方向に貫通し、外殻体8を筐体6に固定するための螺子582(図1参照)が挿通される貫通孔621が貫設されている。また、蓋部602には、絶縁部材18を蓋部602に固定するための孔622が穿設されている。
ところで、蓋部602は、板金加工により形成されるので、切欠部602cの周縁部にワイヤハーネス116、117が直接接触するとワイヤハーネス116、117の被覆が損傷する虞がある。これに対して、本実施の形態では、ワイヤハーネス116、117が樹脂製の結束部材603を挿通するように配置されている。これにより、ワイヤハーネス116、117の切欠部602cの周縁部への接触を抑制できるので、ワイヤハーネス116、117の被覆の損傷を抑制することができる。
図1に戻って、蓋体26は、長方形板状の主片261と、主片261の短手方向における一端側で主片261に連続し、主片261に直交する一方向へ延出する側片262と、を備える。蓋体26は、金属材料等の耐火性のある材料から形成されている。金属材料としては、例えばアルミニウム等が上げられる。主片261は、筐体6の本体部601の開放部分のうち蓋部602で覆われない部分を覆うように配置される。側片262は、側壁601bの切欠部601cを覆うように配置される。主片261は、短手方向における他端側において、主片261の長手方向における両端部に切欠部261aが形成されている。主片261には、各切欠部261aの近傍に、蓋体26を筐体6に取り付けるための螺子510が挿通される貫通孔(図示せず)が貫設されている。これらの貫通孔に挿通された螺子510が筐体6の本体部601の螺子孔617に螺着されることにより、蓋体26が筐体6に取り付けられる。側片262には、電源ケーブル23や伝送ケーブル24を挿通させるための切欠部262a、262bが形成されている。切欠部262bの大きさは、切欠部262aの大きさに比べて大きい。蓋体26は、電源ケーブル23や伝送ケーブル24の脱着作業を行う際、螺子510を取り外すことにより、筐体6から取り外される。
絶縁部材18は、接地部材19と筐体6との間に介在し、接地部材19と筐体6とを電気的に絶縁するための部材である。この絶縁部材18は、例えば電気的絶縁性のある樹脂材料、例えばポリカーボネート樹脂材やABS樹脂材等から形成されている。絶縁部材18は、図4に示すように、底壁181と、底壁181の周部から厚さ方向に延出する側壁182と、側壁182と一体に形成され、底壁181の厚さ方向に延伸するリブ183を備える。絶縁部材18は、底壁181が蓋部602に面接触した状態で蓋部602に取着されている。絶縁部材18の蓋部602には、蓋部602に設けられた孔622(図6参照)に係合する係合部(図示せず)が設けられている。絶縁部材18は、係合部が孔622に係合した状態で蓋部602に固定される。絶縁部材18の底壁181の上には、接地部材19が配設されている。リブ183は、その先端部に螺子581a(図1参照)が螺合する螺子孔183aが穿設されている。
図5に示すように、制御基板2、伝送基板3の接地線は、第1接続部193、第2接続部194を介して接地部材19に電気的に接続されている。一方、電源基板1の接地線は、接地端子114aが螺子550により筐体6に固定されることにより筐体6に電気的に接続されている。そして、接地部材19と筐体6とは、それらの間に介在する絶縁部材18により電気的に絶縁されている。このようにして、比較的小さい電流が流れる制御基板2および伝送基板3の接地線と電気的に接続された接地部材19と、比較的大きい電流が流れる電源基板1の接地線と電気的に接続された筐体6とが、絶縁部材18により電気的に絶縁されている。また、絶縁部材18は、側壁182を備えている。これにより、筐体6の蓋部602と接地部材19との間の沿面距離L1を長くできるので、側壁182が存在しない場合に比べて、筐体6と接地部材19とを確実に絶縁できる。なお、沿面距離L1に関しては安全基準規格などで規定されている。例えば、IEC60950 Table 2Lでは、最大定格電圧、絶縁材料、埃などの汚染物の量といった要因から沿面距離L1の最小規定値が定められている。
外殻体8は、図7に示すように、一面が開放された箱状であり、開放面側から制御基板2、伝送基板3、表示基板4およびUSB基板5を覆うように配置されている。外殻体8は、その一部にユーザがコントローラ1000を手で持つ際に把持される把持部HAを有し、把持部HA内には表示基板4およびUSB基板5が配置されている。前述のように、制御基板2、伝送基板3、表示基板4およびUSB基板5は、各基板の厚さ方向で重なっている。また、伝送基板3は、モジュラージャック301が制御基板2で覆われないように配置され、制御基板2は、スイッチ202が表示基板4およびUSB基板5で覆われない位置に配置されている。この結果、制御基板2、伝送基板3、表示基板4およびUSB基板5は、それらの側方に段差が生じるように配置されている(例えば図5参照)。外殻体8は、このような制御基板2、伝送基板3、表示基板4およびUSB基板5の配置を反映した階段状の形状を有する。外殻体8は、平面視矩形状の第1底壁801a、第2底壁801b、第3底壁801cおよび第4底壁801dを備える。第2底壁801bは、第1底壁801aよりも開放面から離れる方向(図7中の+Z方向)に離間している。第3底壁801cは、第2底壁801bよりも更に開放面から離れる方向(図7中の+Z方向)に離間している。第4底壁801dは、第3底壁801cよりも更に開放面から離れる方向(図7中の+Z方向)に離間している。
把持部HAは、外殻体8における、第4底壁801dと、側壁801g、側壁801i、801j、801kそれぞれにおける第4底壁801d近傍の部位とから構成される。側壁801iの蓋部602側の端部には、舌片部802a、802bが形成されている。舌片部802a、802bには、外殻体8を蓋部602に固定するための螺子582が挿通される貫通孔(図示せず)が貫設されている。第2底壁801bの端部には、外殻体8を絶縁部材18に固定するための螺子581aが挿通される貫通孔(図示せず)が貫設されている。第4底壁801dの端部にも、外殻体8を保持部材7に固定するための螺子581bが挿通される貫通孔(図示せず)が貫設されている。外殻体8は、舌片部802a、802bに形成された貫通孔および貫通孔621に挿通された螺子582を、本体部601の螺子孔616(図3参照)に螺着することにより筐体6に固定される。また、外殻体8は、第2底壁801b、第4底壁801dに形成された貫通孔に挿通された螺子581a、581bをリブ183、705の螺子孔183a、705aに螺着することにより絶縁部材18および保持部材7に固定される。
外殻体8には、モジュラージャック301を外殻体8の外部に露出させるための開口部803と、外殻体8からスイッチ202にアクセスするための開口部804と、が設けられている。開口部803は、外殻体8において、伝送基板3の厚さ方向においてモジュラージャック301と重なる部位に設けられている。開口部804は、外殻体8において、制御基板2の厚さ方向においてスイッチ202と重なる部位に設けられている。具体的には、開口部803は、第2底壁801bに設けられている。開口部804は、第3底壁801cに設けられている。また、第4底壁801dには、USB基板5のUSBコネクタ501を外殻体8の外部に露出させるための開口部805aが設けられている。また、第4底壁801dにおける表示基板4の発光部401に対応する部位には、発光部401で発せられた光を外殻体8の外部へ透過させるための複数の窓部805bが配設されている。第4底壁801dにおける窓部805bが設けられた部位には、各発光部401の点灯状態が示す意味をユーザに知らせるための文字列(図示せず)が印刷された表示印刷部材805cが貼り付けられている。表示印刷部材805cは、各窓部805bに対応する部位に孔が設けられており、発光部401から窓部805bを透過した光が外殻体8の外部へ放射される。
外殻体8の寸法は、図8に示すように、内部に収納される制御基板2、伝送基板3、絶縁部材18および保持部材7等の配置に合わせて設定されている。なお、図8では、電源基板1の図示を省略している。また、以下の説明において、図8において、筐体6の厚さ方向において、筐体6から外殻体8へ向かう方向を前方向とし、「高さ」とは蓋部602の前面602fからの高さを意味するものとして説明する。第1底壁801aの高さH11と伝送基板3の高さH12との差(H11−H12)は、例えば伝送基板3に配設される電子部品が第1底壁801aに接触しない程度の大きさに設定される。第2底壁801bの高さH21は、モジュラージャック301の前端面の高さに等しい。第3底壁801cの高さH31と制御基板2の高さH32との差(H31−H32)は、例えば制御基板2に配設される電子部品が第3底壁801cに接触しない程度の大きさに設定される。第4底壁801dの高さH41と表示基板4の高さH42との差(H41−H42)は、少なくとも表示基板4の発光部401から放射される光を効率良く外殻体8外部へ放出できる程度の大きさに設定される。また、第4底壁801dの高さは、USBコネクタ501(図1参照)の前端面の高さに等しい。
ところで、把持部HAの一部を構成する第4底壁801dは、その第3底壁801c、第4底壁801dの並び方向における最大幅W4が、ユーザが外殻体8を片手で把持できる大きさに設定されている。即ち、最大幅W4は、一般的な人の手の大きさを考慮して設定される。また、把持部HAの一部を構成する側壁801gの前後方向の長さ、即ち、第3底壁801cと第4底壁801dとの間の段差(H41−H31)の大きさもユーザの把持し易さを考慮して設定できる。この段差(H41−H31)の大きさは、第4底壁801dと表示基板4との間の距離を一定の大きさとしながら種々の大きさに設計することができる。例えば、段差(H41−H31)の大きさを大きくしたい場合、表示基板4と制御基板2との間の距離を大きくするように、保持部材7を設計すればよい。なお、第4底壁801dの最大幅W4を一般的な人が手を軽く広げた状態で親指の第一関節と中指の第一関節の間の直線距離に収まる長さ、例えば120mm以下に設定し、側壁801gの前後方向の長さ(段差(H41−H31))を手の各指先から第一関節までの長さの概ね2分の1以上の部分が掛かる長さ、例えば15mm以上に設定すると、側壁801gまたは側壁801kのいずれか一方に片手の親指を掛け、もう一方に親指以外の指を掛けて、外殻体8を把持できる。
(コントローラの取付方法について)
次に、本実施の形態に係るコントローラ1000の取付方法について説明する。コントローラ1000は、例えば図9に示すような、コントロールユニット2000の制御盤2011に取り付けられる。なお、制御盤2011は、本体2012内に収納されている。各コントローラ1000から導出された電源ケーブル23および伝送ケーブル24は、制御盤2011に配設された配管2013、2014内に引き回されている。
コントローラ1000は、2つの取付部材27により制御盤2011に取り付けられる。取付部材27は、図10に示すように、細長の長方形板状の主片271と、主片271の短手方向における一端側に連続し主片271の長手方向における両端部それぞれから主片271に直交する方向に立ち上がった立上片272と、を備える。主片271には、2つのだるま孔271aが貫設されている。各立上片272には、2つの貫通孔272a、272bが貫設されている。
まず、図10に示すように、取付部材27をコントローラ1000に取り付ける。具体的には、取付部材27の立上片272に形成された貫通孔272bに側壁601bの突起部601hを嵌合させる。そして、立上片272の各貫通孔272aに挿通された螺子591を、側壁601b、601eの螺子孔601gに螺子止めすることにより、取付部材27を筐体6に固定する。
次に、螺子592を制御盤2011に螺子止めしてから、外殻体8の把持部HAを片手で把持してコントローラ1000の上側に取り付けられた取付部材27のだるま孔271aを螺子592に掛止する。このとき、螺子592の頭部をだるま孔271aの幅広部に挿通させた後、螺子592の軸部をだるま孔271aの幅狭部に移動させることにより、取付部材27のだるま孔271aを螺子592に掛止することができる。
その後、螺子593をコントローラ1000の下側に取り付けられた取付部材27のだるま孔271bの幅狭部に挿通させた螺子593を制御盤2011に螺着する。
このように、制御盤2011に螺着された螺子592にコントローラ1000を掛止してから螺子593を制御盤2011に螺着することにより、コントローラ1000が制御盤2011に取り付けられる。これにより、コントローラ1000を制御盤2011に掛止すればコントローラ1000を手で保持しておく必要がないので、取付作業における作業負担を軽減することができる。
(コントローラに電源ケーブルと伝送ケーブルとを接続する方法について)
次に、コントローラ1000に電源ケーブル23と伝送ケーブル24(図1参照)とを取り付ける方法について、図11および図12を参照しながら説明する。なお、コントローラ1000の電源ケーブル23または伝送ケーブル24の付け替え作業も同様の方法で行うことができる。
まず、筐体6から蓋体26を取り外す。このとき、図11に示すように、コントローラ1000の正面から見て、電源接続端子901、伝送接続端子902、検査用コネクタ903、サービス用コネクタ904および接地端子台618が見える状態になっている。また、電源ケーブル23の電源プラグ23aおよび接地プラグ23b(図12参照)の接続先を示す表示ラベル21と、伝送ケーブル24の伝送プラグ24aの接続先を示す表示ラベル22とが視認できる状態になっている。
次に、図12に示すように、電源ケーブル23の電源プラグ23aを電源接続端子901に接続する。また、電源ケーブル23の接地プラグ23bを挟持部618aに挟持させてから、螺子618bにより接地プラグ23bと接地端子台618とを電気的に接続する。更に、伝送ケーブル24の伝送プラグ24aを伝送接続端子902に接続する。このとき、電源ケーブル23、伝送ケーブル24の取付作業を行うユーザは、表示ラベル21、22を参照しながら電源ケーブル23の電源接続端子901への接続作業並びに伝送ケーブル24の伝送接続端子902への接続作業を行うことができる。
続いて、2つの電源プラグ23aそれぞれに接続された2本の電源ケーブル23と、接地プラグ23bに接続された1本の電源ケーブル23とを、固定台614に載置した状態で結束部材(図示せず)により結束する。また、3つの伝送プラグ24aそれぞれに接続された3本の伝送ケーブル24を、固定台614に載置した状態で結束部材(図示せず)により結束する。その後、蓋体26を筐体6に取り付ける。
(コントローラのメンテナンス作業等について)
次に、コントローラ1000のメンテナンス作業等の例について説明する。一例として、ユーザが制御基板2のスイッチ202を操作することにより制御基板2の調整を行う作業が挙げられる。ここでは、ユーザは、例えばモジュラ−ジャック301にLANケーブルのプラグ(図示せず)を介してパソコンを接続し、コントローラ1000から出力される各情報をパソコンで確認しながらスイッチ202を操作して制御基板2の調整を行う。或いは、ユーザは、LANケーブル発光部401の点灯状態を確認しながら、パソコンから設定情報を制御基板2に入力し、制御基板2の設定情報の更新を行う。或いは、ユーザは、例えばUSBコネクタ501を介してコントローラ1000とパソコンとを接続し、コントローラ1000から出力される各情報をパソコンで確認しながらスイッチ202を操作する。或いは、ユーザは、発光部401の点灯状態を確認しながらスイッチ202を操作して制御基板2の調整を行う。
他の例として、製品検査工程時に電源基板1の動作を検査する作業が挙げられる。ここでは、検査作業者は、蓋体26を筐体6から取り外してから、検査装置(図示せず)のプローブ(図示せず)を検査用コネクタ903に接続して検査を行う。検査作業者は、検査装置から通知される検査結果に基づいて、電源基板1の良否判定を行う。更に他の例として、コントローラ1000が市場に出回った後、サービスマン等が、コントローラ1000の定期点検において電源基板1の動作を検査する作業が挙げられる。ここでは、サービスマンは、蓋体26を筐体6から取り外してから、検査装置のプローブをサービス用コネクタ904に接続して検査を行う。サービスマンは、検査装置から通知される検査結果に基づいて、電源基板1の良否判定を行う。
前述したように、いずれのメンテナンス作業も、制御基板2を外殻体8の外部に取り出したり、電源基板1を筐体6の外部に取り出したりすることなく、実施することができる。
以上説明したように、本実施の形態に係るコントローラ1000では、電源基板1の接地線が、筐体6に電気的に接続され、制御基板2および伝送基板3の接地線が、接地部材19に電気的に接続されている。そして、接地部材19と筐体6とは、絶縁部材18により電気的に絶縁されている。これにより、例えば電源基板1、制御基板2および伝送基板3の接地線を全て共通の接地部材19や筐体6に電気的に接続した場合に比べて、制御基板2または伝送基板3において、電源基板1の接地線を流れる電流に起因したグランドノイズを抑制できる。従って、制御基板2および伝送基板3における動作不良の発生を抑制できる。
また、本実施の形態に係るコントローラ1000では、伝送基板3が、モジュラージャック301が配設された一面が制御基板2に対向し、モジュラージャック301が制御基板2で覆われないように配置されている。これにより、伝送基板3の配置をそのままにして、外部からモジュラージャック301に対してプラグを着脱できる。また、制御基板2は、スイッチ202が配設された一面が表示基板4およびUSB基板5に対向し、スイッチ202が表示基板4およびUSB基板5で覆われないように配置されている。これにより、制御基板2の配置をそのままにして、外部からスイッチ202の操作部202aを操作できる。従って、モジュラージャック301に対するプラグの着脱やスイッチ202の操作部202aの操作等の際に、伝送基板3、制御基板2の配置を変更する作業が不要である。その分、モジュラージャック301に対するプラグの着脱やスイッチ202の操作部202aの操作等を容易に実施できるので、コントローラ1000のメンテナンス作業の効率化を図ることができる。
また、本実施の形態に係るコントローラ1000では、制御基板2と伝送基板3とが制御基板2の厚さ方向において重なる形で配置されている。また、表示基板4とUSB基板5とが、制御基板2の厚さ方向において制御基板2と重なる形で配置されている、これにより、例えば制御基板2、伝送基板3、表示基板4およびUSB基板5が2次元状に配置された構成に比べて、コントローラ1000の小型化を図ることができるので、設置場所の自由度を広げることができる。例えば、コントロールユニット2000の制御盤2011のような限られたスペースの中に、より多くのコントローラ1000を配置することができる。
本実施の形態に係る筐体6は、その外に外殻体8が取り付けられるとともに、筐体6に対して着脱自在な蓋体26が設けられている。また、端子基板102における電源接続端子901、伝送接続端子902、検査用コネクタ903およびサービス用コネクタ904が配設された部位は、筐体6内部における蓋体26に対応する位置に配置される。また、電源接続端子901、伝送接続端子902、検査用コネクタ903およびサービス用コネクタ904は、蓋体26が取り外された状態において、筐体6の外部からアクセス可能である、これにより、ユーザは、コントローラ1000が設置された状態で、蓋体26を取り外すだけで、電源ケーブル23、伝送ケーブル24の電源接続端子901、伝送接続端子902への配線作業を実施することができる。従って、配線作業を効率よく実施することができる。コントローラ1000では、図11に示すように、蓋体26を取り外した状態でコントローラ1000を正面から見ると、電源接続端子901および伝送接続端子902が視認できる。これにより、ユーザは、コントローラ1000の正面から電源ケーブル23、伝送ケーブル24の電源接続端子901、伝送接続端子902への配線作業を容易に行うことができる。また、電源ケーブル23、伝送ケーブル24の電源接続端子901、伝送接続端子902への配線作業の際、電源基板1を筐体6の外部に引き出す必要がないので、コントローラ1000の側方に電源基板1を引き出すためのスペースを確保する必要がない。従って、例えばコントロールユニット2000の制御盤2011のような限られたスペースの中に、より多くのコントローラ1000を設置することができる。
ところで、電源基板1には、比較的大きな電流が流れている。従って、例えば電源基板1に過電流が流れたりすると、電源基板1が発火する場合がある(図5のF参照)。これに対して、本実施の形態に係るコントローラ1000では、筐体6と蓋体26とが耐火性のある材料から形成されている。そして、筐体6と蓋体26とで電源基板1を覆うことによって電源基板1が発火した場合に電源基板1から制御基板2や伝送基板3へ炎が移るのを防止する防火用エンクロージャとして機能する。これにより、制御基板2または伝送基板3が電源基板1での発火に起因して損傷を受けることを防止できるので、制御基板2および伝送基板3の保護を強化できるという利点がある。
更に、本実施の形態に係る外殻体8は、その一部に把持部HAを有する。これにより、ユーザは、例えばコントローラ1000を制御盤等に取り付ける際、外殻体8の把持部HAを片手で把持しながら、制御盤2011への取付作業を行うことができるので、コントローラ1000の設置作業の容易化を図ることができる。また、片手で把持部HAを把持しながら、制御盤2011への取付作業を行うことができるので、一人での設置作業が可能となり、コントローラ1000の設置や配線工事に要する人員を削減することができる。また、外殻体8の把持部HA内には、表示基板4とUSB基板5とが配置されている。これにより、把持部HAは、単にユーザにより把持される部位としてだけではなく、表示基板4およびUSB基板5を収納する部位としても機能する。従って、外殻体8の内部のスペースを有効に活用できるという利点もある。
ところで、伝送基板3および制御基板2が背面側に配置されたコントローラの場合、伝送基板3に配設されたモジュラージャック301へのプラグ接続や制御基板2に配設されたスイッチ202の微調整等の作業をコントローラの背面側から実施する必要がある。この場合、コントローラがその背面側を制御盤2011に当接した状態で設置されている場合、コントローラを制御盤2011から取り外してからプラグ接続等の作業を行う必要があり、作業効率が悪くなる虞がある。
これに対して、本実施の形態に係るコントローラ1000では、伝送基板3は、伝送基板3におけるモジュラージャック301が配設された一面が正面方向を臨むように配置されている。また、制御基板2は、スイッチ202が配設された一面が正面方向を臨むように配置されている。外殻体8は、伝送基板3の厚さ方向において、モジュラージャック301と重なる部位に設けられた開口部803を有する。また、外殻体8は、制御基板2の厚さ方向において、スイッチ202と重なる部位に設けられた開口部804を有する。これにより、ユーザは、モジュラージャック301へのプラグ接続作業やスイッチ202による制御基板2の調整作業といったコントローラ1000のメンテナンス作業を正面方向から実施することができる。従って、メンテナンス作業の際、コントローラ1000を制御盤2011から取り外す必要がないので、メンテナンス作業を効率良く実施することができ、ひいては、メンテナンス作業時間を短縮することができる。
(実施の形態2)
本実施の形態に係るコントローラは、電源基板1が収納される筐体の構造が実施の形態1とは相違する。図13に示すように、本実施の形態に係るコントローラ5000は、実施の形態1とは構造が異なる筐体5006を備える。なお、図13において実施の形態1と同様の構成については図1と同一の符号を付している。
コントローラ5000は、図14および図15に示すように、電源基板1と制御基板2と伝送基板3と表示基板4とUSB基板5とを備える。なお、図14および図15において実施の形態1と同様の構成については図2および図3と同一の符号を付している。図14に示すように、制御基板2と伝送基板3とは、筐体5006の上方に重なった状態で配置され、接地部材19に共通に接続されている。また、表示基板4とUSB基板5とは、保持部材7により保持された状態で伝送基板3の上方に配置されている。電源基板1は、図15に示すように、筐体5006に収納されている。接地部材19は、筐体5006の上方に配置され、この接地部材19と筐体5006との間には、絶縁部材18が介在している。
筐体5006は、図15に示すように、本体部5601とスライド体5603と蓋部5602とストッパ5604とを有する。本体部5601は、扁平な長方形の箱状であり厚さ方向における一面が開放されている。本体部5601の短手方向において対向する一対の側壁5601b、5601eのうちの一方の側壁5601bには、スライド体5603を本体部5601の側方から本体部5601内に挿入するための切欠部(開口部)5601cが形成されている。
スライド体5603は、扁平な矩形箱状であり厚さ方向における一面が開放されている。スライド体5603は、矩形板状の底壁5603aと一対の側壁5603dと一対の側壁5603b、5603eとを有する。一対の側壁5603dは、底壁5603aの短手方向において対向する2辺から底壁5603aの厚さ方向に立設している。一対の側壁5603b、5603eは、底壁5603aの長手方向における両端を覆うように配置されている。一対の側壁5603b、5603eの長手方向における長さは、一対の側壁5603dの間隔よりも長い。即ち、一対の側壁5603d、5603eの長手方向における両端部は、底壁5603aの短手方向において一対の側壁5603dから外側に張り出している。また、側壁5603dには、電源ケーブル23、伝送ケーブル24を挿通させるための切欠部5603j、5603kが形成されている。このスライド体5603は、本体部5601の内に配置された状態で、側壁5603dの貫通孔5603gに挿通された螺子5611を、本体部5601の側壁5601dの螺子孔5601gに螺着することにより本体部5601に固定されている。このスライド体5603は、螺子5611を取り外して本体部5601に対してその厚さ方向に直交する方向へスライドさせることができる。そして、図15に示すような、スライド体5603が本体部5601内に配置された状態(第1状態)と、図16に示すような、スライド体5603の大部分が本体部5601の外側に配置された状態(第2状態)とをとりうる。電源基板1は、このスライド体5603内に配置されている。電源接続端子901、伝送接続端子902、検査用コネクタ903およびサービス用コネクタ904は、端子基板102における、スライド体5603の大部分が本体部5601の外側に配置された状態において筐体5006の外側からアクセスできる位置に配設されている。スライド体5603の底壁5603aに設けられた固定台614上には、結束部材(図示せず)により結束された電源ケーブル23と伝送ケーブル24とが載置されている。
各ストッパ5604は、本体部5601に固定される固定片5604aと、固定片5604aの一辺から固定片5604aの厚さ方向に延出しスライド体5603の移動を規制する規制片5604bと、を有する。固定片5604aは、本体部5601の側壁5601dに螺子止めや溶接等により固定される。規制片5604bは、本体部5601の一対の側壁5601dから互いに近づく方向に突出している。ストッパ5604は、スライド体5603の大部分が本体部5601の外側に配置された状態において、その規制片5604bがスライド体5603の側壁5603eの長手方向における両端部に当接することによりスライド体5603の移動を規制する。
図14に戻って、蓋部5602は、本体部5601およびスライド体5603の開放部分を覆うように配置されている。本体部5601、スライド体5603および蓋部5602は、いずれも金属材料等の耐火性のある材料から形成されている。金属材料としては、アルミニウム等が挙げられる。また、蓋部5602における絶縁部材18で覆われない部位には、貫通孔5623が形成されており、この貫通孔5623の周縁部全体を覆うように環状の結束部材5650が装着されている。結束部材5650は、例えば電気的絶縁性のある樹脂材料から形成されている。ワイヤハーネス116、117は、筐体5006内からこの結束部材5650の内側を通じて筐体5006の外部へ引き出されている。これにより、ワイヤハーネス116、117の貫通孔5623の周縁部への接触を防止できるので、ワイヤハーネス116、117の被覆の損傷を抑制することができる。
電源基板1を構成する本体基板101および端子基板102は、図15に示すように、スペーサ611を介してスライド体5603の底壁5603aから離間した状態で螺子561により底壁5603aに固定されている。端子基板102の電源接続端子901には、電源ケーブル23の端部に設けられた電源プラグ23aが接続されている。端子基板102の伝送接続端子902には、伝送ケーブル24の端部に設けられた伝送プラグ24aが接続されている。接地端子台5638には、接地プラグ23bが螺子618bにより螺子止めされる。本体基板101と端子基板102とは、交流電力供給用のワイヤハーネス114および直流電力供給用のワイヤハーネス115で接続されている。
図14に戻って、制御基板2は、実施の形態1と同様に、受電部203が端子基板102に設けられた第1供給端子905に電力供給用のワイヤハーネス116を介して電気的に接続され、電源基板1からワイヤハーネス116を介して電力供給を受ける。伝送基板3も、実施の形態1と同様に、受電部302が端子基板102に設けられた第2供給端子906に電力供給用のワイヤハーネス117を介して電気的に接続され、電源基板1からワイヤハーネス117を介して電力供給を受ける。
絶縁部材18は、実施の形態1と同様に、蓋部5602に固定されている。絶縁部材18の底壁181には、接地部材19が固定されている。制御基板2の接地線は、実施の形態1と同様に、第1接続部193および螺子531を介して接地部材19に電気的に接続されている。伝送基板3の接地線も、実施の形態1と同様に、第2接続部194および螺子521を介して接地部材19に電気的に接続されている。
図13に戻って、外殻体8は、実施の形態1と同様に、制御基板2、伝送基板3、表示基板4およびUSB基板5の配置を反映した階段状の形状を有する。外殻体8は、実施の形態1と同様に、舌片部802a、802bに形成された貫通孔に挿通された螺子582を、蓋部5602に形成された螺子孔621(図14参照)に螺着することにより筐体5006に固定される。また、外殻体8は、第2底壁801b、第4底壁801dに形成された貫通孔に挿通された螺子581a、581bをリブ183、705の螺子孔183a、705aに螺着することにより絶縁部材18および保持部材7に固定される。実施の形態1と同様に、第4底壁801dにおける表示基板4の発光部401に対応する部位には、複数の窓部805bが配設されている。発光部401から発せられた光は、窓部805bを通じて外殻体8の外部へ放射される。第4底壁801dにおける窓部805bが設けられた部位には、実施の形態1と同様に、各発光部401の点灯状態が示す意味(仕様)をユーザに知らせるための文字列(図示せず)が印刷された表示印刷部材805cが貼り付けられている。
コントローラ5000は、例えば図17に示すような、コントロールユニット7000の制御盤7011に取り付けられる。制御盤7011は、本体7012内に収納されている。各コントローラ5000から導出された電源ケーブル23および伝送ケーブル24は、制御盤7011に配設された配管7013、7014内に引き回されている。コントローラ5000は、2つの取付部材5027a、5027bにより制御盤7011に取り付けられる。取付部材5027a、5027bは、固定部材(図示せず)によりコントローラ5000の本体部5601に固定されている。そして、取付部材5027bは、スライド体5603を本体部5601から引き出すときにスライド体5603と干渉しないように本体部5601に固定されている。
(コントローラに電源ケーブルと伝送ケーブルとを接続する方法について)
コントローラ5000に電源ケーブル23と伝送ケーブル24とを取り付ける方法について説明する。まず、ユーザは、図13に示す螺子5611を取り外してから、図18に示すように、スライド体5603を本体部5601から引き出す。そして、実施の形態1と同様に、電源ケーブル23の電源プラグ23aを電源接続端子901に接続し、接地プラグ23bを、図19に示すように挟持部5638aに挟持させてから、螺子618bにより接地プラグ23bと接地端子台5638とを電気的に接続する。また、伝送ケーブル24の伝送プラグ24aを伝送接続端子902に接続する。その後、スライド体5603を本体部5601内に収納する。
(コントローラのメンテナンス作業について)
ユーザが制御基板2のスイッチ202を操作することにより制御基板2の調整等を行う作業は、実施の形態1で説明した方法と同様の方法により行うことができる。製造時の製品検査工程やコントローラ5001が市場に出回った後の定期点検では、検査作業者またはサービスマン等が、図18に示すように、螺子5611を取り外してスライド体5603を本体部5601から引き出した後、検査装置のプローブを検査用コネクタ903やサービス用コネクタ904に接続して検査を行う。
以上説明したように、本実施の形態に係るコントローラ5000では、筐体5006上に、制御基板2、伝送基板3、表示基板4およびUSB基板5が重ねて配置されている。また、スライド体5603が本体部5601内に配置された状態で、コントローラ5000を電源基板1、制御基板2および伝送基板3の重なり方向から見たときに、筐体5006の外形寸法は、外殻体8の外径寸法と同じである。一方、実施の形態1で説明したコントローラ1000では、それを電源基板1、制御基板2および伝送基板3の重なり方向から見たときに、筐体5006の外形寸法が、外殻体8の外径寸法よりも大きい。即ち、本実施の形態に係るコントローラ5000は、実施の形態1で説明したコントローラ1000に比べて、コントローラ5000を電源基板1、制御基板2および伝送基板3の重なり方向から見たときに、筐体5006の外形寸法が小さい。このように、本実施の形態に係るコントローラ5000は、実施の形態1に係るコントローラ1000に比べて、筐体5006の外形寸法を小さくできる分、その全体を小型化することができる。そして、例えばコントローラ5000の大量輸送において、各コントローラ5000が小型化できることにより、コントローラ5000の輸送効率を上げることができるという利点もある。
また、本実施の形態に係るコントローラ5000では、筐体5006を構成する本体部5601、スライド体5603および蓋部5602が耐火性のある材料から形成されている。そして、スライド体5603が本体部5601内に配置された状態では、電源基板1が本体部5601とスライド体5603と蓋部5602とで囲まれた空間に閉じ込められる。即ち、筐体5006は、電源基板1が発火した場合に電源基板1から制御基板2や伝送基板3へ炎が移るのを防止する防火用エンクロージャとして機能する。これにより、制御基板2または伝送基板3が電源基板1での発火に起因して損傷を受けることを防止できるので、制御基板2および伝送基板3の保護を強化できるという利点がある。
更に、本実施の形態に係るコントローラ5000は、図18に示すように、コントローラ5000の正面から電源接続端子901、伝送接続端子902にアクセスできる位置まで、スライド体5603を引き出せる。これにより、ユーザは、スライド体5603を引き出した後、コントローラ5000の正面から、電源ケーブル23および伝送ケーブル24の接続作業を実施することができる。従って、コントローラ5000への電源ケーブル23および伝送ケーブル24の接続作業が容易になるという利点がある。
また、本実施の形態に係る取付部材5027bは、スライド体5603を本体部5601から引き出すときにスライド体5603と干渉しないように本体部5601に固定されている。これにより、ユーザは、コントローラ5000が制御盤7011に取り付けられた状態で、スライド体5603を本体部5601から引き出すことができる。従って、コントローラ5000を保持する必要がなくなるので、一人でコントローラ5000への電源ケーブル23および伝送ケーブル24の接続作業を行うことが可能となるので、この作業に要する作業員数を低減することができる。
(実施の形態3)
本実施の形態に係るコントローラも、実施の形態2と同様に、電源基板1が収納される筐体の構造が実施の形態1と相違する。図20に示すように、本実施の形態に係るコントローラ6000は、実施の形態1とは構造が異なる筐体6006を備える。なお、図20において実施の形態1と同様の構成については図1と同一の符号を付している。
コントローラ6000は、図21に示すように、電源基板1と制御基板2と伝送基板3と表示基板4とUSB基板5とを備える。なお、図21において実施の形態1と同様の構成については図5と同一の符号を付している。図21に示すように、制御基板2と伝送基板3とは、筐体6006の上方に重なった状態で配置され、接地部材19に共通に接続されている。また、表示基板4とUSB基板5とは、保持部材7により保持された状態で伝送基板3の上方に配置されている。
筐体6006は、扁平な長方形の箱状であり厚さ方向における一面が開放された本体部6601と、本体部6601の開放部分(開口部)全体を覆うように配置された蓋部6602と、から構成される。蓋部6602は、本体部6601の開放部分の外周部に位置する回転軸J1周りに回転することにより本体部6601の開放部分を覆う状態(第3状態)と開放部分を覆わない状態(第4状態)とをとりうる。本体部6601および蓋部6602は、いずれも金属材料等の耐火性のある材料から形成されている。金属材料としては、アルミニウム等が挙げられる。
本体部6601は、矩形板状の底壁6601aの対向する2辺から底壁6601aの厚さ方向に立設された一対の側壁6601dを有する。側壁6601dの先端部には、底壁6601aに平行であり且つ互いに離れる方向へ延出する細長の第1延出片6611a、第2延出片6612aを有する。第1延出片6611aの長手方向における一方の端部には、底壁6601a側に延出する第1舌片6611bが設けられている。第2延出片6612aの長手方向における両端部には、底壁6601a側に延出し後述のシャフト6613を軸支する軸受片(軸受部)6612bが設けられている。第1舌片6611bには、螺子孔6611cが貫設されている。各軸受片6612bにも、厚さ方向に貫通する貫通孔6612cが貫設されている。また、側壁6601dに直交する側壁6601bには、電源ケーブル23および伝送ケーブル24を挿通させるための切欠部6601j、6601kが形成されている。また、本体部6601の底壁6601aに設けられた固定台614上には、結束部材(図示せず)により結束された電源ケーブル23と伝送ケーブル24とが載置されている。
蓋部6602は、矩形板状に形成された主片6602aと、主片6602aの長手方向において対向する2辺からその厚さ方向に延出する細長の第3延出片6602b、第4延出片6602cと、を有する。また、蓋部6602は、第3延出片6602bの長手方向における一方の端部から主片6602a側に延出する第2舌片6602dと、第4延出片6602cの長手方向における両端部それぞれから主片6602a側に延出しシャフト6613を支持する一対の支持片6602eと、を有する。第2舌片6602dには、その厚さ方向に貫通する貫通孔6602fが貫設されている。シャフト6613は、第4延出片6602cの長手方向に沿って配置された状態で一対の支持片6602eにより支持されている。シャフト6613は、本体部6601の各軸受片6612bの貫通孔6612cに挿入されている。これにより、蓋部6602は、シャフト6613の長手方向に沿った中心軸を回転軸J1として、本体部6601に対して回転しうる。図20に示すように、蓋部6602が本体部6601の開放部分を覆った状態では、本体部6601の第1舌片6611bと蓋部6602の第2舌片6602dとがそれらの厚さ方向において重なった状態となる。この状態で、第2舌片6602dの貫通孔6602fに挿通された螺子6614が、本体部6601の第1舌片6611bの螺子孔6611cに螺着することにより蓋部6602の本体部6601に対する回転が規制される。
また、蓋部6602には、図22に示すように、貫通孔6623が形成されている。そして、環状の結束部材6650が、貫通孔6623の周縁部全体を覆うように装着されている。結束部材6650は、例えば電気的絶縁性のある樹脂材料から形成されている。ワイヤハーネス116、117は、筐体6006内からこの結束部材6650の内側を通じて外殻体8内へ引き出されている。これにより、ワイヤハーネス116、117の貫通孔6623の周縁部への接触を防止できる。
電源基板1を構成する本体基板101および端子基板102は、スペーサ611を介して本体部6601の底壁6601aから離間した状態で螺子561により底壁6601aに固定されている。
コントローラ6000は、実施の形態2に係るコントローラ5000と同様に、コントロールユニット(図示せず)の制御盤(図示せず)に取り付けられる。
(コントローラに電源ケーブルと伝送ケーブルとを接続する方法について)
コントローラ6000に電源ケーブル23と伝送ケーブル24とを取り付ける方法について説明する。まず、ユーザは、図20に示す螺子6614を取り外してから、図22に示すように蓋部6602を、本体部6601に対してシャフト6613を回転軸として回転させる。このとき、ユーザは外殻体8の把持部HAを片手で把持して外殻体8と蓋部6602とを本体部6601に対して回転させることができ、比較的簡単に蓋部6602を開くことができる。そして、実施の形態1と同様に、電源ケーブル23の電源プラグ23aを電源接続端子901に接続し、接地プラグ23bを、図22に示すように挟持部6618aに挟持させてから、螺子618b(図23参照)により接地プラグ23bと接地端子台6618とを電気的に接続する。また、伝送ケーブル24の伝送プラグ24aを伝送接続端子902に接続する。その後、蓋部6602を本体部6601に対して回転させることにより蓋部6602を閉じる。
(コントローラのメンテナンス作業等について)
ユーザが制御基板2のスイッチ202を操作することにより制御基板2の調整等を行う作業は、実施の形態1で説明した方法と同様の方法により行うことができる。製造時の製品検査工程やコントローラ6000が市場に出回った後の定期点検では、検査作業者またはサービスマン等が、図20に示す螺子6614を取り外して図22に示すように、蓋部6602を開いた後、検査装置のプローブを検査用コネクタ903やサービス用コネクタ904に接続して検査を行う。
以上説明したように、本実施の形態に係るコントローラ6000では、筐体6006の蓋部6602が閉じた状態で、コントローラ6000を外殻体8と蓋部6602とが重なる方向から見たときに、筐体6006の外形寸法は、外殻体8の外径寸法とほとんど変わらない。従って、本実施の形態に係るコントローラ6000は、実施の形態2と同様に、実施の形態1に係るコントローラ1000に比べて、筐体6006の外形寸法を小さくできる分、その全体を小型化することができる。そして、例えばコントローラ6000の大量輸送において、各コントローラ6000が小型化できることにより、コントローラ6000の輸送効率を上げることができるという利点もある。
また、本実施の形態に係るコントローラ6000は、蓋部6602を本体部6601に対して回転させて蓋部6602を開けることにより、図23に示すようにコントローラ6000の正面から電源接続端子901、伝送接続端子902にアクセスできるようにすることができる。これにより、ユーザは、蓋部6602を開けた後、コントローラ6000の正面から、電源ケーブル23および伝送ケーブル24の接続作業を実施することができる。従って、コントローラ6000への電源ケーブル23および伝送ケーブル24の接続作業が容易になるという利点がある。
更に、本実施の形態に係るコントローラ6000では、筐体6006を構成する本体部6601および蓋部6602が耐火性のある材料から形成されている。そして、蓋部6602を閉じた状態では、電源基板1が本体部6601と蓋部6602とで囲まれた空間に閉じ込められる。即ち、筐体6006は、電源基板1が発火した場合に電源基板1から外殻体8内の制御基板2や伝送基板3へ炎が移るのを防止する防火用エンクロージャとして機能する。これにより、制御基板2または伝送基板3が電源基板1での発火に起因して損傷を受けることを防止できるので、制御基板および伝送基板の保護を強化できるという利点がある。
また、本実施の形態に係るコントローラ6000がコントロールユニットの制御盤に取り付けられている場合、ユーザは、コントローラ6000が制御盤に取り付けられた状態で、蓋部6602を開けることができる。従って、コントローラ6000を保持する必要がなくなるので、一人でコントローラ6000への電源ケーブル23および伝送ケーブル24の接続作業を行うことが可能となるので、この作業に要する作業員数を低減することができる。
(変形例)
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は実施の形態によって限定されるものではない。
前述の実施の形態1では、制御基板2と伝送基板3との重なり方向から見た場合、スイッチ202とモジュラージャック301とが、表示基板4とUSB基板5との並び方向に直交する方向において、表示基板4の片側に配置される例について説明した。但し、スイッチ202、モジュラージャック301の配置は、これに限定されるものではない。
例えば、図24に示すように、制御基板2と伝送基板3との重なり方向から見た場合、スイッチ202とモジュラージャック301とが、それぞれ表示基板4とUSB基板5との並び方向に直交する方向(図24におけるY方向)において、表示基板4の両側に配置されたコントローラ3000であってもよい。この場合、制御基板2、伝送基板3、表示基板4およびUSB基板5は、表示基板4の両側に段差が生じるように配置される。なお、制御基板2は、第1接続部3193により接地部材3019に接続されている。保持部材3007は、表示基板4およびUSB基板5を、制御基板2のスイッチ202を覆わないように保持する。接地部材3019の固定片3192の位置は、保持部材3007の配置に対応した位置に設けられている。
外殻体8は、図25に示すように、前述の制御基板2、伝送基板3、表示基板4およびUSB基板5の配置を反映して表示基板4の両側に対応する部位に段差がある形状を有する。なお、図25において実施の形態1と同様の構成については図7と同一の符号を付している。第2底壁3801bは、第1底壁3801aよりも開放面から離れる方向(図25中の+Z方向)に離間している。第3底壁3801cは、第2底壁3801bよりも更に開放面から離れる方向(図25中の+Z方向)に離間している。第4底壁3801dは、第3底壁3801cよりも更に開放面から離れる方向(図25中の+Z方向)に離間している。
第1底壁3801aの厚さ方向(図25中の+Z方向)から見た場合、第1底壁3801aと第2底壁3801bとは隣接して配置されている。第4底壁3801dは、第1底壁3801a、第2底壁3801bの並び方向に直交する方向(図25中のY方向)において第1底壁3801aおよび第2底壁3801bに隣接して配置されている。第3底壁3801cは、第4底壁3801dに対して第1底壁3801a、第2底壁3801b側とは反対側に隣接して配置される。把持部HAは、外殻体8における、第4底壁3801dと、側壁3801f、側壁3801g、3801i、3801jそれぞれにおける第4底壁3801d近傍の部位とから構成される。
本構成によれば、コントローラ3000が、モジュラージャック301近傍のスペースが確保できないような場所に設置される場合であっても、スイッチ202がモジュラージャック301から離間した位置に設けられているので、スイッチ202の調整を容易に行うことができる。
前述の実施の形態1では、筐体6上に、制御基板2、伝送基板3および表示基板4の3枚の基板が一部重なるように配置される例について説明したが、筐体6上で重ねて配置される基板の枚数は3枚に限定されるものではない。2枚以下であってもよいし、4枚以上であってもよい。
例えば、図26に示すように、2枚の伝送基板4031、4032を備え、2枚の伝送基板4031、4032の一部が互いに重なるように配置されるものであってもよい。伝送基板4031は、第2接続部4194により接地部材19に接続され、伝送基板4032は、第3接続部4199により接地部材19に接続されている。第2接続部4194の長さと第3接続部4199の長さとが異なっている。これにより、伝送基板4031と伝送基板4032とは、それぞれ蓋部602からの高さが互いに異なる位置に配置される。伝送基板4032は、伝送基板4031のモジュラージャック301を覆わない位置に配置される。表示基板4は、保持部材4007により保持されている。保持部材4007は、表示基板4およびUSB基板5の蓋部602からの高さが制御基板2、伝送基板4031、4032の蓋部602からの高さよりも高くなるように、表示基板4およびUSB基板5を保持する。
本構成によれば、各伝送基板4031、4032の伝送回路の規模を小さくすることにより、各伝送基板4031、4032それぞれの面積を小さくすることができる。従って、制御基板2、伝送基板4031、4032の重なり方向から見たときのコントローラ4000の大きさを縮小できる。
前述の実施の形態2では、本体部5601がストッパ5604を備える構成について説明したが、これに限らず、例えば前述の実施の形態2の構成において、ストッパ5604が無い構成であってもよい。この構成では、スライド体5603は、側壁5603eの長手方向における両端部が側壁5601bの切欠部5601cの外周部に当接した状態で、本体部5601に対する移動が規制される。
前述の実施の形態3では、蓋部6602に固定されたシャフト6613が、本体部6601の軸受片6612bにより軸支される例について説明したが、これに限らず、例えば蓋部が軸受部を有し、本体部に固定されたシャフトがこの軸受部に軸支される構成であってもよい。
また、前述の実施の形態3の構成において、シャフトの代わりに、蓋部6602の一対の支持片6602eから第4延出片6602cの長手方向に沿って互いに近づく方向に突出した突起部(図示せず)を有する構成であってもよい。この場合、これら突起部が本体部6601の軸受片6612bの貫通孔6612cそれぞれに嵌合された状態で、蓋部6602が本体部6601に対して回転自在となる。
前述の実施の形態1から3では、スイッチ202が制御基板2の一面のみに配設される例について説明したが、スイッチ202が配設される場所は一面のみに限定されるものではない。例えば、スイッチ202が制御基板2の両面に設けられるものであってもよい。この場合、制御基板2の厚さ方向から見た場合に、伝送基板3および筐体6の大きさが、制御基板2の大きさよりも小さくなるようにすればよい。そして、スイッチ202が、制御基板2における伝送基板3や筐体6で覆われない部位に配設されるようすればよい。
前述の実施の形態1から3では、外殻体8の把持部HA内に、表示基板4とUSB基板5とが配置される例について説明したが、把持部HA内に配置される回路基板の数は2枚に限定されない。例えば、把持部HA内に回路基板が1枚だけ配置されるものであってよい。或いは、3枚以上の回路基板が、その厚さ方向から見た場合に重なる形で配置されるものであってもよい。
前述の実施の形態1から3では、外殻体8を備えるコントローラ1000、5000、6000の例について説明したが、必ずしも外殻体8を備える必要はない。例えば、コントローラが、ハウジング内に設置される場合、制御基板2、伝送基板3、表示基板4およびUSB基板5が露出した構成であってもよい。
前述の実施の形態1から3では、伝送基板3がモジュラージャック301を備える構成について説明したが、伝送基板3が備えるコネクタの種類はモジュラージャック301に限定されるものではない。例えば、伝送基板3が、USBコネクタ501等他の種類のコネクタを備えるものであってもよい。或いは、伝送基板3が、スイッチ等の操作部を有する電子部品や発光部等の表示部を備えるものであってもよい。また、前述の実施の形態1から3では、制御基板2がスイッチ202を備える構成について説明したが、例えば制御基板2が、USBコネクタ501等のコネクタや発光部401等の表示部を備える構成であってもよい。
前述の実施の形態1から3では、把持部HAの一部を構成する第4底壁801dが矩形板状である例について説明したが、第4底壁801dの形状はこれに限定されるものではない。例えば、表示基板4およびUSB基板5の配置を適宜変更することにより、第4底壁801dの形状を例えば円板状や楕円板状にしてもよい。
前述の実施の形態1から3では、保持部材7と絶縁部材18とがそれぞれ螺子孔705a、183aが穿設されたリブを有し、外殻体8が螺子孔705a、183aに螺着された螺子581b、581aにより保持部材7と絶縁部材18とに固定される例について説明した。但し、外殻体8は、保持部材7と絶縁部材18とに固定される構成に限定されるものではない。例えば筐体6に先端部に螺子孔が穿設されたリブを設けて、外殻体8がこのリブの螺子孔に螺着された螺子により筐体6に固定される構成であってもよい。
前述の実施の形態1から3では、空気調和機のコントローラの例について説明したが、コントローラの制御対象は空気調和機に限定されるものではなく、他の住宅設備機器であってもよい。
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施形態は、この発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。