以下、この発明の好適な実施の形態を、添付図面等を参照しながら詳細に説明する。ただし、各図において、各部の寸法および縮尺は、実際のものと適宜に異ならせてある。また、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
<第1実施形態>
[電波修正時計の概略構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る電波修正時計1の構成を示すブロック図である。電波修正時計1は、長波標準電波(以下「標準電波」と略す)を受信し、標準電波に含まれる時刻データを取得して、取得された時刻データに基づいて、計時している内部時刻を修正する。
電波修正時計1は、アンテナ2、受信回路3、処理部4、発振器5、表示部6および操作部7を備える。アンテナ2は、標準電波を受信して、受信した標準電波に応じた受信信号を受信回路3に出力する。受信回路3は、アンテナ2に特定の周波数の電波を受信させるとともに、アンテナ2から入力される受信信号に基づいて、TCO(Time Code Out:タイムコード出力)信号を復調し、TCO信号を処理部4に出力する。アンテナ2および受信回路3により、受信部8が構成される。
処理部4は、電波修正時計1の動作を制御する各種の処理を行う。処理部4は、受信回路3に制御信号を出力して受信回路3の動作を制御する。処理部4は、また、受信回路3から入力されるTCO信号をデコードしてTC(Time Code)を生成し、TCに含まれる時刻データを取得する。処理部4は、また、詳細は後述するように、取得された時刻データが内部時刻の修正に採用できる信頼性の高い時刻データであるかどうか(整合性があるかどうか)判定し、整合性があると判定された時刻データに基づいて内部時刻を修正する。処理部4は、また、内部時刻を表示部6に表示させる。
発振器5は、水晶振動子を有し、水晶振動子により発振される所定の基準クロック周波数(例えば32.768kHz)の基準信号を出力する。発振器5から出力された基準信号は、処理部4に入力され、処理部4により、1Hzの信号に分周される。
表示部6は、処理部4で計時されている内部時刻を表示する。表示部6の構成としては、例えば、液晶パネルを採用することができ、また例えば、文字板および指針と、指針を回転させるステップモーターおよび歯車とを備える構成を採用することができる。
操作部7は、使用者による操作に応じた操作信号を処理部4に出力し、電波修正時計1の外部に露出したリューズ、ボタン等により構成される。操作部7は、使用者が内部時刻を変更する操作に用いられる。操作部7は、また、アンテナ2で受信される標準電波の種類(日本における標準電波JJY、アメリカ合衆国における標準電波WWVB等)を選択する操作に用いられる。
[受信回路の構成]
受信回路3は、同調回路31、第1増幅回路32、局部発振信号生成部33、周波数変換部34、BPF(Band-pass filter)35、第2増幅回路36、検波回路37、二値化回路38およびデコード回路39を備える。デコード回路39は、処理部4から入力される制御信号をデコードして、当該制御信号により示される制御内容を、各機能部31〜38に出力する。
同調回路31は、コンデンサーを備えて構成され、同調回路31とアンテナ2とにより、並列共振回路が構成される。同調回路31は、処理部4から入力される制御信号に応じて、受信対象である特定の周波数の電波をアンテナ2に受信させる。
第1増幅回路32は、同調回路31から入力される受信信号を一定の振幅に増幅する。局部発振信号生成部33は、周波数変換部34に出力される局部発振信号を生成する。周波数変換部34は、第1増幅回路32から入力される受信信号と、局部発振信号生成部33から入力される局部発振信号とを混合して、処理用信号をBPF35に出力する。
BPF35は、周波数変換部34から入力された処理用信号のうち、所定の周波数帯域の信号成分のみを通過させ、帯域外の周波数成分の信号を遮断する。BPF35は、水晶フィルターを備えて構成され、水晶フィルターの中心周波数は、例えば30kHzに設定されている。周波数変換部34から出力される処理用信号の周波数を、水晶フィルターの中心周波数に合わせることで、ノイズを効果的に除去することができる。
第2増幅回路36は、BPF35から入力される受信信号を、固定のゲインでさらに増幅する。検波回路37は、整流器およびLPF(Low-Pass Filter)を備え、第2増幅回路36から入力される受信信号を整流およびろ波し、得られた包絡線信号を二値化回路38に出力する。
二値化回路38は、二値化コンパレーターで構成される。二値化回路38は、検波回路37から入力される包絡線信号の信号レベルと、基準電圧の電圧レベルとを比較して、二値化信号であるTCO信号を生成する。そして、二値化回路38は、TCO信号を処理部4に出力する。
[処理部の構成]
処理部4は、時刻データ取得部(TCOデコード部)41、記憶部42、計時部43、内部時刻修正部44、駆動部45および制御部46を備える。
時刻データ取得部41は、受信回路3から入力されるTCO信号をデコードして、当該TCO信号からTCを抽出する。TCには、時刻データ等が含まれる。そして、時刻データ取得部41は、抽出したTCを制御部46に出力する他、記憶部42に記憶させる。時刻データ取得部41は、JJY、WWVB等の、複数種類の標準電波のTCをデコード可能なものとすることができる。
記憶部42は、処理部4による電波修正時計1の制御に必要な各種データおよびプログラムを記憶する。記憶部42は、時刻データ取得部41により取得されたTCを記憶する他、電波修正時計1における内部時刻を記憶する。記憶部42は、後述の受信処理に用いられるデータを記憶するテーブルTBLを備える。
計時部43は、発振器5から入力される基準信号から生成された1Hzの信号に基づいて、記憶部42に記憶されている内部時刻を更新し、これにより、現在日時を計時する。
内部時刻修正部44は、時刻データ取得部41により取得されたTCに含まれる時刻データに基づいて、記憶部42に記憶された内部時刻を修正する。内部時刻の修正に用いられる時刻データとしては、後述の受信処理における整合性判定処理により、整合性があると判定された時刻データが用いられる。
駆動部45は、表示部6の駆動を制御して、表示部6に内部時刻を表示させる。表示部6が液晶パネルにより構成されている場合には、駆動部45は、液晶パネルに内部時刻を表示させる。また、表示部6が、文字板および指針と、指針を回転させるステッピングモーターおよび歯車とを有する構成である場合には、駆動部45は、ステッピングモーターにパルス信号を出力して、指針により内部時刻を表示させる。なお、現在時刻に加えて日付を表示する構成としてもよい。
[制御部の構成]
制御部46は、CPU(Central Processing Unit)を用いて構成され、当該CPUは、記憶部42に記憶されている制御プログラムを実行することによって、電波修正時計1を制御する制御部46として機能する。制御部46は、発振器5から入力される基準信号に基づいて駆動され、各種の制御処理を実行する。例えば、制御部46は、発振器5から入力される基準信号を受信回路3に出力するとともに、前述のデコード回路39に制御信号を出力する。制御部46からデコード回路39に入力される制御信号は、シリアル通信線を介して伝送される。
図2は、制御部46の構成を示す機能ブロック図である。制御部46は、受信タイミング制御部461、整合性判定部462、受信時刻データ質判定部463、および、内部時刻データ質判定部464を含む。後述の受信処理は、これらの各部を用いて行われる。なお、制御部46は、必要に応じて他の機能ブロックを含んでもよい。
なお、時刻データ取得部41は、制御部46を構成するCPUとは別のハードウェアで構成されてもよいが、制御部46を構成するCPUの機能として実現されてもよく、制御部46が、機能ブロックとして時刻データ取得部41を含んでもよい。
[受信処理]
以下、図3〜図8を参照して、電波修正時計1による標準電波の受信処理について説明する。まず、受信処理の概略的な流れについて説明する。受信処理は、例えば、毎日一定の時刻から、自動的に開始される。一定の時刻は、例えば、1時、2時および3時に設定されている。1回分の受信処理(例えば1時に開始される回の受信処理)は、所定期間(例えば12分間)実施される。1回分の受信処理の期間に受信処理が成功しなければ、受信処理は一旦停止され、その後、次回の受信処理(例えば2時に開始される回の受信処理)が開始される。受信が成功したら、受信処理は終了される。ここで、1回分の受信処理を、定時受信処理と呼ぶ。
図3は、定時受信処理を示すフローチャートである。ステップS1において、受信タイミング制御部461は、内部時刻が定時受信処理を開始すべき受信開始時刻(例えば1時)となったら、受信部8を制御して標準電波の受信を開始させる。受信タイミング制御部461は、受信開始時刻となるまでは、受信開始時刻を待機する。
標準電波の受信が開始された後、ステップ2において、受信制御処理が行われる。図4は、受信制御処理を示すフローチャートである。受信制御処理のステップS10において、時刻データ取得部41は、標準電波に対する秒同期処理を行う。
秒同期が成功しない場合、ステップS19bにおいて、制御部46は、「受信失敗」のフラグを設定する。ステップS19bが行われると、受信制御処理は終了する。秒同期が成功した場合、ステップS11において、時刻データ取得部41は、標準電波のマーカーを取得する。
マーカーが取得された後、ステップS12において、受信タイミング制御部461は、受信開始時刻から所定期間(第1の期間)が経過しているかどうか判定する。
所定期間が経過している場合、ステップS19bにおいて、制御部46は、「受信失敗」のフラグを設定する。ステップS19bが行われると、受信制御処理は終了する。所定期間が経過している場合、受信タイミング制御部461は、受信部8を制御して標準電波の受信を停止させる。
所定期間が経過していない場合、ステップS13において、時刻データ取得部41は、標準電波から時刻データ(第1の受信時刻データ)を取得する。標準電波から取得される時刻データを、内部時刻を示す内部時刻データに対して、受信時刻データと呼ぶ。
受信時刻データが取得された後、ステップS14において、受信時刻データ質判定部463は、ステップS13で取得された受信時刻データがエラーのないデータかどうか判定する。エラーがないことの基準には、例えば、取得された受信時刻データに対応するTCのパリティーが一致することが含まれ、また例えば、「分」と「時」と「年月日」が取り得る値であること(「分」は00分から59分までの値であり、「時」は00時から23時までの値であり、「年月日」は存在する日付であること)が含まれる。
受信時刻データにエラーがある場合、ステップS12に戻り、受信開始時刻から所定期間が経過したかどうか再び判定され、所定期間が経過していなければ、ステップS13において、新たな受信時刻データが取得される。受信時刻データにエラーがない場合、ステップS15において、データ記憶処理が行われる。
図5は、データ記憶処理を示すフローチャートである。データ記憶処理のステップS20において、受信時刻データ質判定部463は、ステップS13で取得された受信時刻データを、テーブルTBLに記憶させる。また、ステップS21において、受信時刻データ質判定部463は、ステップS13で取得された受信時刻データの取得時における内部時刻を示す内部時刻データ(受信時刻データに対応する内部時刻データ)を、テーブルTBLに記憶させる。
図6は、テーブルTBLのデータ構造の例である。第1実施形態では、テーブルTBLに、受信時刻データT1aと、この受信時刻データに対応する内部時刻データT1bとが対になって記憶される。同様にして、受信時刻データT2a〜T7aが、それぞれ、対応する内部時刻データT2b〜T7bと対になって記憶される。本例では、受信時刻データT1a等および内部時刻データT1b等は、それぞれ、「年月日時分」を示す。本例のテーブルTBLには、受信時刻データとこれに対応する内部時刻データとの対が、最大で7対記憶される。
第1実施形態におけるテーブルTBLは、受信時刻データとこれに対応する内部時刻データとの対を記憶することで、当該受信時刻データと当該内部時刻データとの関係(当該受信時刻データと当該内部時刻データとの間の差分の関係)を記憶する記憶部42の一態様を示している。
テーブルTBLに記憶されている受信時刻データの個数(テーブルTBLに記憶されている対の個数)を、データ記憶数nと呼ぶ。初期にはテーブルTBLに受信時刻データおよび内部時刻データが記憶されておらず、初期のデータ記憶数nは0である。図5に示すデータ記憶処理におけるステップS20およびステップS21で、受信時刻データおよびこれに対応する内部時刻データが記憶されることに対応し、ステップS22において、受信時刻データ質判定部463は、データ記憶数nを1つ加算する。ステップS22が行われると、データ記憶処理は終了する。
データ記憶処理が終了したら、図4に示す受信制御処理において、ステップS16に進む。ステップS16において、整合性判定部462は、データ記憶数nが、整合数閾値N以上であるかどうか判定する。整合数閾値Nについては後述する。データ記憶数nが整合数閾値N以上でない場合、ステップS12に戻り、受信開始時刻から所定期間が経過したかどうか再び判定され、所定期間が経過していなければ、ステップS13において、新たな受信時刻データが取得される。
ここまでの説明から理解されるように、受信制御処理では、マーカーが取得された後、受信開始時刻から所定期間が経過するまでに、受信時刻データの取得が繰り返されて、テーブルTBLに記憶された受信時刻データの個数(データ記憶数)nが増加する。
受信時刻データの取得が繰り返されて、データ記憶数nが整合数閾値N以上となったら、ステップS17に進み、整合性判定処理が行われる。後述のように、整合数jが整合数閾値Nと等しくなる(整合数閾値Nに達する)には、データ記憶数nが整合数閾値N以上であることが必要なため、ステップS16において、データ記憶数nが整合数閾値N以上であるかどうか判定されている。
図7は、整合性判定処理を示すフローチャートである。整合性判定処理のステップS30において、整合性判定部462は、番号数iの初期値を1に設定する。テーブルTBLに記憶された受信時刻データの個数(データ記憶数)がnであることは、テーブルTBLに記憶されたn個目の受信時刻データが、最も新しく取得された受信時刻データであることを示す。番号数iは、n個目の受信時刻データから過去に遡って、(n−i)個目の受信時刻データを表すために用いられる。
また、ステップS30において、整合性判定部462は、整合数jの初期値を1に設定する。整合数jは、n個目の受信時刻データと整合している受信時刻データの個数を示す。なお、n個目の受信時刻データは、それ自身であるn個目の受信時刻データと整合していると考えるため、整合数jの最小値は1である。
ステップS31において、整合性判定部462は、n個目の受信時刻データと、(n−i)個目の受信時刻データとの差分である受信時刻差分データD1を算出する。
ステップS32において、整合性判定部462は、n個目の内部時刻データと、(n−i)個目の内部時刻データとの差分である内部時刻差分データD2を算出する。
ステップS33において、整合性判定部462は、受信時刻差分データD1と内部時刻差分データD2とを比較する。本例では、当該比較において、受信時刻差分データD1と内部時刻差分データD2とが一致するかどうか判定される。
受信時刻差分データD1と内部時刻差分データD2とが一致する状況とは、例えば、受信時刻差分データD1が、プラス1分を示す場合に、内部時刻差分データD2も、プラス1分を示すような状況である。
受信時刻差分データD1と内部時刻差分データD2とが一致した場合、n個目の受信時刻データと(n−i)個目の受信時刻データとは整合していると判定され、ステップS34において、整合性判定部462は、整合数jを1つ加算する。ステップS34が行われると、ステップS35に進む。
受信時刻差分データD1と内部時刻差分データD2とが一致しない場合、n個目の受信時刻データと(n−i)個目の受信時刻データとは整合しないと判定され、ステップS34はスキップされて、整合数jが加算されずに、ステップS35に進む。
ステップS35において、整合性判定部462は、番号数iを1つ加算する。次に、ステップS36aにおいて、整合性判定部462は、整合数jが、整合数閾値Nと等しいかどうか判定する。整合数閾値Nは、整合数jが十分な大きさに達したかどうか判定するための閾値であり、予め定められた2以上の整数である。整合数閾値Nは、必要に応じて調整することができ、整合数閾値Nが大きくなるほど、整合性判定の基準は厳しくなる。整合数閾値Nは、例えば3であり、整合数jが3であるとは、n個目の受信時刻データが、それ自身と整合しているとともに、n個目の受信時刻データよりも過去に取得された2個の((N−1)個の)受信時刻データと整合していることを示す。
整合数jが整合数閾値Nと等しい場合、ステップS37aにおいて、整合性判定部462は、「整合性あり」のフラグを設定する。ステップS37aが行われると、整合性判定処理は終了する。
整合数jが整合数閾値Nと等しくない場合(整合数jが整合数閾値Nに達しておらず、整合数閾値N未満である場合)、ステップS36bにおいて、整合性判定部462は、番号数iがデータ記憶数nよりも小さいかどうか判定する。番号数iがデータ記憶数nよりも小さい場合、ステップS31に戻り、再び、ステップS31〜ステップS33における整合性の判定が行われる。番号数iがデータ記憶数nよりも小さくない場合(番号数iがデータ記憶数nに達するまで加算された場合)、ステップS37bにおいて、整合性判定部462は、「整合性なし」のフラグを設定する。ステップS37bが行われると、整合性判定処理は終了する。
このように、整合性判定処理では、最も新しく取得された受信時刻データ(テーブルTBLに記憶されたn個目の受信時刻データ)の整合性が、この受信時刻データよりも過去に取得された受信時刻データ((n−i)個目の受信時刻データ)を参照することで、判定される。
整合性判定処理(「整合性あり」または「整合性なし」のフラグが設定されるまでの処理)が終了したら、図4に示す受信制御処理において、ステップS18に進む。ステップS18において、整合性判定部462は、整合性判定処理で設定された「整合性あり」または「整合性なし」のフラグに基づいて、受信時刻データに整合性があるかどうか判定する。
整合性がないと判定された場合、ステップS12に戻り、受信開始時刻から所定期間が経過したかどうか再び判定され、所定期間が経過していなければ、ステップS13において、新たな受信時刻データが取得されて、再び、ステップS14以下の処理が行われる。
整合性があると判定された場合、ステップS19aにおいて、制御部46は、「受信成功」のフラグを設定する。ステップS19aが行われると、受信制御処理は終了する。
受信制御処理が終了したら、図3において、ステップS3に進む。ステップS3において、制御部46は、受信制御処理で設定された「受信成功」または「受信失敗」のフラグに基づいて、受信が成功したかどうか判定する。
受信が成功したと判定された場合、ステップS4において、内部時刻修正部44は、受信制御処理のステップS18で整合性ありと判定された、最も新しく取得された受信時刻データに基づいて、内部時刻を修正する。整合性ありと判定された受信時刻データは、十分な(整合数jが整合数閾値Nに達した)整合性を有し、信頼性の高い受信時刻データであるため、内部時刻の修正に用いられる受信時刻データとして採用することができる。整合性判定部462は、整合性判定の対象である受信時刻データにより内部時刻を修正するかどうか判定する判定部ということもできる。
内部時刻が修正されたら、ステップS5において、内部時刻修正部44は、テーブルTBLに記憶されたデータをすべて削除する。この削除により、テーブルTBLに記憶された受信時刻データおよび内部時刻データの個数は0個となる。ステップS6において、内部時刻修正部44は、データ記憶数nを0に初期化する。ステップS6が行われると、定時受信処理は終了する。
受信が失敗したと判定された場合、ステップS4〜ステップS6の処理はスキップされて、定時受信処理は終了する。以上説明したように、定時受信処理が行われる。
ステップS3で、受信が失敗したと判定された場合、ステップS4がスキップされて、この回の定時受信処理では、内部時刻が修正されない。また、ステップS5がスキップされることで、テーブルTBLに記憶されたデータは保持され、ステップS6がスキップされることで、データ記憶数nは初期化されずに保持される。
次に、受信が失敗したと判定されて終了した定時受信処理の後に行われる定時受信処理について説明する。この、後に行われる定時受信処理を、2回目の定時受信処理と呼び、それに先立って行われた回の、受信失敗で終了した定時受信処理を、1回目の定時受信処理と呼ぶ。
2回目の定時受信処理のステップS1において、受信タイミング制御部461は、内部時刻が、定時受信処理を開始すべき受信開始時刻(例えば2時)となったら、受信部8を制御して標準電波の受信を開始させる。
1回目の定時受信処理と同様にして、ステップS2で受信制御処理が行われる。受信制御処理のステップS10における秒同期、ステップS11におけるマーカー取得の後、ステップS12において、受信タイミング制御部461は、受信開始時刻から所定期間(第2の期間)が経過しているかどうか判定する。所定期間が経過していない場合、ステップS13において、時刻データ取得部41は、標準電波から時刻データ(第2の受信時刻データ)を取得する。所定期間が経過している場合、受信タイミング制御部461は、受信部8を制御して標準電波の受信を停止させる。
ステップS14において、ステップS13で取得された受信時刻データにエラーがないと判定された場合、ステップS15において、データ記憶処理が行われて、受信時刻データがテーブルTBLに記憶される。1回目の定時受信処理において、ステップS5がスキップされることで、テーブルTBLに記憶されたデータは保持され、ステップS6がスキップされることで、データ記憶数nは初期化されずに保持されている。したがって、ステップS15においては、2回目の定時受信処理に取得された受信時刻データおよびこれに対応する内部時刻データが、テーブルTBLに追加的に記憶され、記憶数nが、追加的に加算される。
ステップS16で、データ記憶数nが整合数閾値N以上であると判定されると、ステップS17において、整合性判定処理が行われる。テーブルTBLに、過去に取得された受信時刻データとして、1回目の定時受信処理で取得された受信時刻データが保持されているため、受信時刻データの整合性は、2回目の定時受信処理で取得された受信時刻データのみならず、1回目の定時受信処理で取得された受信時刻データを参照することで、判定される。整合性の判定の仕方は、1回目の定時受信処理におけるものと同様である。
本実施形態は、2回目の(ある回の)定時受信処理で取得された受信時刻データの整合性が、1回目の(当該ある回に先立って行われた回の)定時受信処理で取得された受信時刻データを参照することで判定されることを特徴とする。具体的な例は、図8を参照して後述する。このような判定では、少なくとも、2回目の定時受信処理で取得された受信時刻データおよびこれに対応する内部時刻データの対と、1回目の定時受信処理で取得された受信時刻データおよびこれに対応する内部時刻データの対とに基づいて、2回目の定時受信処理で取得された受信時刻データの整合性が判定される。
2回目の定時受信処理で取得された受信時刻データおよびこれに対応する内部時刻データの対は、2回目の定時受信処理で取得された受信時刻データとこれに対応する内部時刻データとの関係(この関係を、第2の関係と呼ぶ)を示すデータである。また、1回目の定時受信処理で取得された受信時刻データおよびこれに対応する内部時刻データの対は、1回目の定時受信処理で取得された受信時刻データとこれに対応する内部時刻データとの関係(この関係を、第1の関係と呼ぶ)を示すデータである。したがって、整合性判定部462は、少なくとも、第1の関係を示すデータと、第2の関係を示すデータとに基づいて、整合性の判定を行う。
なお、後述の第3実施形態においては、2回目の定時受信処理で取得された受信時刻データとこれに対応する内部時刻データとの差分である受信内部時刻差分データが、2回目の定時受信処理で取得された受信時刻データとこれに対応する内部時刻データとの関係(第2の関係)を示すデータとなる。また、1回目の定時受信処理で取得された受信時刻データとこれに対応する内部時刻データとの差分である受信内部時刻差分データが、1回目の定時受信処理で取得された受信時刻データとこれに対応する内部時刻データとの関係(第1の関係)を示すデータとなる。
ステップS18以降の処理は、1回目の定時受信処理と同様に行われて、受信制御処理が終了する。ステップS2の受信制御処理の終了後、ステップS3以降の処理は、1回目の定時受信処理と同様に行われて、2回目の定時受信処理が終了する。
以下、1回目の定時受信処理が1時に開始され、2回目の定時受信処理が2時に開始された場合を例として、整合性の判定についてより具体的に説明する。
図8は、テーブルTBLに記憶された受信時刻データおよび対応する内部時刻データと、整合性の判定結果とを例示する表である。図8に示す受信時刻データは、受信制御処理のステップS14においてエラーがないと判定された受信時刻データである。整合数閾値Nは、3に設定されている。
図8に示す例では、2016年11月11日の内部時刻1時に開始された定時受信処理(1時の自動受信)の期間において、内部時刻「1時2分」に、1個目の受信時刻データ「2016年11月11日1時5分」が取得され、内部時刻「1時3分」に、2個目の受信時刻データ「2016年11月11日1時6分」が取得され、内部時刻「1時6分」に、3個目の受信時刻データ「2016年11月11日1時1分」が取得されている。なお、説明の煩雑さを避けるため、受信時刻データまたは内部時刻データの「年月日」の部分である「2016年11月11日」は、表記を省略することがある。
3個目の受信時刻データ「2016年11月11日1時1分」が取得されると、データ記憶数nが、整合数閾値Nの3に達し、受信制御処理のステップS17での整合性判定処理が行われる。まず、3個目の受信時刻データと2個目の受信時刻データとの整合性が判定される。
ステップS31において算出される、3個目の受信時刻データと2個目の受信時刻データとの受信時刻差分データD1は、マイナス5分を示す。一方、ステップS32において算出される、3個目の内部時刻データと2個目の内部時刻データとの内部時刻差分データD2は、プラス3分を示す。したがって、ステップS33の比較において、受信時刻差分データD1と内部時刻差分データD2とは一致せず、3個目の受信時刻データと2個目の受信時刻データとは整合しない。整合数jは1のままである。
次に、3個目の受信時刻データと1個目の受信時刻データとの整合性が判定される。この判定においては、受信時刻差分データD1はマイナス4分で、内部時刻差分データD2はプラス4分であり、受信時刻差分データD1と内部時刻差分データD2とは一致せず、3個目の受信時刻データと1個目の受信時刻データとは整合しない。整合数jは1のままである。
1時に開始された定時受信処理の期間において、エラーがなくテーブルTBLに記憶された受信時刻データは、3個である。1時に開始された定時受信処理は、整合数jが最終的に1であり、整合数閾値Nの3に達しないため、受信失敗と判定されて終了する。
その後、2016年11月11日の内部時刻2時に開始された定時受信処理(2時の自動受信)の期間において、内部時刻「2時2分」に、4個目の受信時刻データ「2016年11月11日2時4分」が取得される。これにより、データ記憶数nは4となる。
データ記憶数nの4は、整合数閾値Nの3以上であるので、ステップS17の整合性判定処理が行われる。まず、4個目の受信時刻データと3個目の受信時刻データとの整合性が判定される。この判定においては、受信時刻差分データD1はプラス1時間3分で、内部時刻差分データD2はプラス56分であり、受信時刻差分データD1と内部時刻差分データD2とは一致せず、4個目の受信時刻データと3個目の受信時刻データとは整合しない。整合数jは1のままである。
次に、4個目の受信時刻データと2個目の受信時刻データとの整合性が判定される。この判定においては、受信時刻差分データD1はプラス58分で、内部時刻差分データD2はプラス59分であり、受信時刻差分データD1と内部時刻差分データD2とは一致せず、4個目の受信時刻データと2個目の受信時刻データとは整合しない。整合数jは1のままである。
次に、4個目の受信時刻データと1個目の受信時刻データとの整合性が判定される。この判定においては、受信時刻差分データD1はプラス59分で、内部時刻差分データD2はプラス1時間0分であり、受信時刻差分データD1と内部時刻差分データD2とは一致せず、4個目の受信時刻データと1個目の受信時刻データとは整合しない。整合数jは1のままである。
2時に開始された定時受信処理の期間において、さらに、内部時刻「2時6分」に、5個目の受信時刻データ「2016年11月11日2時9分」が取得される。これにより、データ記憶数nは5となり、再び整合性判定処理が行われる。まず、5個目の受信時刻データと4個目の受信時刻データとの整合性が判定される。この判定においては、受信時刻差分データD1はプラス5分で、内部時刻差分データD2はプラス4分であり、受信時刻差分データD1と内部時刻差分データD2とは一致せず、5個目の受信時刻データと4個目の受信時刻データとは整合しない。整合数jは1のままである。
次に、5個目の受信時刻データと3個目の受信時刻データとの整合性が判定される。この判定においては、受信時刻差分データD1はプラス1時間8分で、内部時刻差分データD2はプラス1時間0分であり、受信時刻差分データD1と内部時刻差分データD2とは一致せず、5個目の受信時刻データと3個目の受信時刻データとは整合しない。整合数jは1のままである。
次に、5個目の受信時刻データと2個目の受信時刻データとの整合性が判定される。この判定においては、受信時刻差分データD1はプラス1時間3分で、内部時刻差分データD2はプラス1時間3分であり、受信時刻差分データD1と内部時刻差分データD2とは一致し、5個目の受信時刻データと2個目の受信時刻データとは整合する。整合数jは1から1つ加算されて2となる。
次に、5個目の受信時刻データと1個目の受信時刻データとの整合性が判定される。この判定においては、受信時刻差分データD1はプラス1時間4分で、内部時刻差分データD2はプラス1時間4分であり、受信時刻差分データD1と内部時刻差分データD2とは一致し、5個目の受信時刻データと1個目の受信時刻データとは整合する。整合数jは2から1つ加算されて3となる。
このように、5個目の受信時刻データは、それ自身と整合するとともに、2個目および1個目の受信時刻データと整合し、5個目の受信時刻データと1個目の受信時刻データとの整合性が判定された時点で、整合数jは3となり、整合数閾値Nの3に達する。したがって、5個目の受信時刻データは、整合性のある受信時刻データと判定され、5個目の受信時刻データの取得によって、受信成功と判定される。
本例において、上述の第2の関係を示すデータは、2時に開始された定時受信処理の期間において取得された、5個目の受信時刻データ「2時9分」とこれに対応する5個目の内部時刻データ「2時6分」との対である。また、上述の第1の関係を示すデータは、例えば、1時に開始された定時受信処理の期間において取得された、2個目の受信時刻データ「1時6分」とこれに対応する2個目の内部時刻データ「1時3分」との対であり、また例えば、1時に開始された定時受信処理の期間において取得された、1個目の受信時刻データ「1時5分」とこれに対応する1個目の内部時刻データ「1時2分」との対である。
受信成功と判定されると、ステップS4において、5個目の受信時刻データに対応する内部時刻「2016年11月11日2時6分」が、5個目の受信時刻データである「2016年11月11日2時9分」に修正される。そして、ステップS5において、テーブルTBLのデータがすべて削除され、ステップS6において、データ記憶数nが0に初期化されて、2時に開始された定時受信処理は終了する。
以上説明したように、本実施形態では、ある回の(例えば2時に開始された)定時受信処理で取得された受信時刻データの整合性を、当該ある回に先立って(当該ある回よりも過去に)行われた回の(例えば1時に開始された)定時受信処理で取得された受信時刻データを参照して判定することができる(このような判定を、実施形態による判定と呼ぶ)。
実施形態による判定を行うことで、ある回の定時受信処理で取得された受信時刻データの整合性を、当該ある回の定時受信処理で取得された受信時刻データのみを参照して判定する場合(このような判定を、比較形態による判定と呼ぶ)と比べて、以下のような利点が得られる。
比較形態による判定では、ある回の定時受信処理のみにおいて、十分な個数の受信時刻データ(本例では3個以上のエラーのない受信時刻データ)が取得されるとともに、取得された受信時刻データが整合数閾値N(本例では3)以上を満たすような整合性を有することが必要となる。しかし、例えばノイズの多い受信環境である場合、ある回の定時受信処理のみで、整合性が満たされるような、十分な個数の受信時刻データを得ることは難しい。
図8に示す例では、1時に開始された定時受信処理で取得された受信時刻データの個数は3個であり、整合性判定の対象となるのは、3個目の受信時刻データのみである。しかし、3個目の受信時刻データは、2個目および1個目のいずれの受信時刻データとも整合性を有さず、1時に開始された定時受信処理は、受信失敗となる。
また、比較形態による判定では、受信が失敗した回の後に行われる回の定時受信処理においても、受信環境が改善されていなければ、受信が失敗する蓋然性が高い。図8に示す例では、2時に開始された定時受信処理で取得された2個の受信時刻データについて、2個目の受信時刻データと1個目の受信時刻データとは整合していない。
一方、実施形態による判定では、ある回の定時受信処理と、当該ある回に先立って行われた回の定時受信処理とを通算した期間において、十分な個数の受信時刻データが取得されて、取得された受信時刻データが整合数閾値N以上を満たすような整合性を有すればよい。なお、当該ある回に先立って行われた回は、当該ある回の直前に行われた回に限定されず、さらに前に行われた回であってもよい。また、異なる日に実施された回であってもよい。
図8に示す例では、2時に開始された定時受信処理で取得された1個目、2個目の受信時刻データは、1時に開始された定時受信処理と通算した期間においては4個目、5個目の受信時刻データとなる。したがって、2時に開始された定時受信処理で取得された、通算して4個目および5個目の受信時刻データは、いずれも整合性判定の対象とすることができる。本例では、4個目の受信時刻データは、3個目〜1個目のいずれの受信時刻データとも整合性を有しないが、5個目の受信時刻データは、4個目〜1個目の受信時刻データのうち、2個目および1個目の受信時刻データと整合性を有する。この結果、2時に開始された定時受信処理において、受信成功となる。このように、ある回の定時受信処理と、当該ある回に先立って行われた回の定時受信処理とを通算した期間を、整合性判定の対象の期間とすることで、例えばノイズの多い受信環境であっても、受信を成功させることが容易になる。
以上説明したように、本実施形態による電波修正時計1は、標準電波を受信する受信部8と、ある回の定時受信処理の期間(この期間を、第1の期間と呼ぶ)に標準電波を受信させ、第1の期間が経過すると標準電波の受信を停止させ、第1の期間の後に行われる回の定時受信処理の期間(この期間を、第2の期間と呼ぶ)に標準電波を受信させ、第2の期間が経過すると標準電波の受信を停止させるように、受信部8を制御する受信タイミング制御部461と、第1の期間に受信部8により受信された標準電波に基づいて受信時刻データ(この受信時刻データを、第1の受信時刻データと呼ぶ)を取得し、第2の期間に受信部8により受信された標準電波に基づいて受信時刻データ(この受信時刻データを、第2の受信時刻データと呼ぶ)を取得する時刻データ取得部41と、第1の受信時刻データと、第1の受信時刻データの取得時における内部時刻を示す内部時刻データ(第1の内部時刻データ)との関係を第1の関係とし、第2の受信時刻データと、第2の受信時刻データの取得時における内部時刻を示す内部時刻データ(第2の内部時刻データ)との関係を第2の関係としたとき、少なくとも、第1の関係を示すデータと、第2の関係を示すデータとを記憶する記憶部42(テーブルTBL)と、少なくとも、第1の関係を示すデータと、第2の関係を示すデータとに基づいて、第2の受信時刻データにより内部時刻を修正するかどうか判定する整合性判定部462(第1の判定部)と、整合性判定部462の判定結果に基づいて内部時刻を修正する内部時刻修正部44と、を備える。
本実施形態による電波修正時計1を用いることで、第2の受信時刻データにより内部時刻を修正するかどうか判定するために参照される受信時刻データとして、第2の受信時刻データが取得された第2の期間に先立つ第1の期間に取得された第1の受信時刻データが用いられる。このような参照される受信時刻データとして、第2の期間に適当な受信時刻データが取得できない場合であっても、第1の期間に取得された第1の受信時刻データを用いることで、第2の受信時刻データにより内部時刻を修正するかどうか判定することができる。これにより、標準電波の受信が成功しやすくなる。
また、本実施形態による電波修正時計1は、第1の受信時刻データが予め定められた基準(この基準を、第1の基準と呼ぶ)を満たすかどうかの判定と、第2の受信時刻データが第1の基準を満たすかどうかの判定とを行う受信時刻データ質判定部463(第2の判定部)を備え、記憶部42(テーブルTBL)は、受信時刻データ質判定部463で第1の基準を満たすと判定された第1の受信時刻データについて、第1の関係を示すデータを記憶し、受信時刻データ質判定部463で第1の基準を満たすと判定された第2の受信時刻データについて、第2の関係を示すデータを記憶する。
第1の基準には、上述のように、例えば、取得された受信時刻データに対応するTCのパリティーが一致することが含まれ、また例えば、「分」と「時」と「年月日」が取り得る値であることが含まれる。
なお、第1の基準としては(受信制御処理のステップS14での判定基準としては)、その他例えば、取得された受信時刻データとこれに対応する内部時刻データとの差分(の大きさ)が閾値以下(例えば10分以下)であること等を含んでもよい。
受信時刻データ質判定部463により第1の受信時刻データおよび第2の受信時刻データの質を高めることで、内部時刻の修正の信頼性を高めることができる。
<第2実施形態>
上述の第1実施形態では、受信制御処理のステップS17での整合性判定処理において、n個目の受信時刻データと(n−i)個目の受信時刻データとの差分である受信時刻差分データD1と、n個目の内部時刻データと(n−i)個目の内部時刻データとの差分である内部時刻差分データD2との比較結果に応じて、n個目の受信時刻データと(n−i)個目の受信時刻データとの整合性を判定する例について説明した。第2実施形態では、他の整合性判定の方法について説明する。
図9は、第2実施形態による整合性判定処理のフローチャートである。第1実施形態における整合性判定処理のステップS31〜ステップS33が、第2実施形態ではステップS31A〜ステップS33Aに変更されている。
ステップS31Aにおいて、整合性判定部462は、n個目の受信時刻データとn個目の内部時刻データとの差分である受信内部時刻差分データE1(第2の受信内部時刻差分データ)を算出する。ステップS32Aにおいて、整合性判定部462は、(n−i)個目の受信時刻データと(n−i)個目の内部時刻データとの差分である受信内部時刻差分データE2(第1の受信内部時刻差分データ)を算出する。ステップS33Aにおいて、整合性判定部462は、受信内部時刻差分データE1と受信内部時刻差分データE2とを比較する。これらが一致したら、n個目の受信時刻データと(n−i)個目の受信時刻データとが整合すると判定される。
図8に示した例において、例えば5個目の受信時刻データ「2時9分」は、内部時刻データ「2時6分」と対応しており、例えば2個目の受信時刻データ「1時6分」は、内部時刻データ「1時3分」と対応している。
上述のように、第1実施形態では、5個目の受信時刻データ「2時9分」と2個目の受信時刻データ「1時6分」との差分D1はプラス1時間3分であり、5個目の内部時刻データ「2時6分」と2個目の内部時刻データ「1時3分」との差分D2はプラス1時間3分であって、差分D1と差分D2とが一致することで、5個目の受信時刻データは、2個目の受信時刻データと整合すると判定されている。
このような整合関係は、5個目の受信時刻データ「2時9分」と5個目の内部時刻データ「2時6分」との差分E1がプラス3分であり、2個目の受信時刻データ「1時6分」と2個目の内部時刻データ「1時3分」との差分E2がプラス3分であって、差分E1と差分E2とが一致することと等価である。
したがって、第1実施形態のステップS31〜S33のような処理と、第2実施形態のステップS31A〜S33Aのような処理とは結果的に等価であり、第2実施形態のステップS31A〜S33Aのような処理によって、n個目の受信時刻データの整合性を判定してもよい。
<第3実施形態>
上述の第1実施形態および第2実施形態では、受信制御処理のステップS15でのデータ記憶処理において、受信時刻データとこれに対応する内部時刻データとを対としてテーブルTBLに記憶させる例について説明した。第3実施形態では、ステップS15のデータ記憶処理の他の方法として、受信時刻データとこれに対応する内部時刻データとの差分を、テーブルTBLに記憶させる例について説明する。
図10は、第3実施形態におけるデータ記憶処理を示すフローチャートである。第3実施形態では、ステップS20Bにおいて、受信時刻データ質判定部463は、ステップS13で取得された受信時刻データと、これに対応する内部時刻データとの差分である受信内部時刻差分データを算出する。ステップS21Bにおいて、受信時刻データ質判定部463は、ステップS20Bで算出された受信内部時刻差分データを、テーブルTBLに記憶させる。
図11は、第3実施形態におけるテーブルTBLのデータ構造の例である。第3実施形態では、テーブルTBLに、受信内部時刻差分データU1〜U7が記憶される。本例のテーブルTBLには、受信内部時刻差分データが、最大で7個記憶される。
第3実施形態におけるテーブルTBLは、受信時刻データとこれに対応する内部時刻データとの差分である受信内部時刻差分データを記憶することで、当該受信時刻データと当該内部時刻データとの関係(当該受信時刻データと当該内部時刻データとの間の差分の関係)を記憶する記憶部42の一態様を示している。
図12は、第3実施形態における整合性判定処理を示すフローチャートである。第3実施形態では、テーブルTBLに受信内部時刻差分データが記憶されることに伴って、整合性判定処理も、第1実施形態(または第2実施形態)から変更される。第1実施形態における整合性判定処理のステップS31およびステップS32が、第3実施形態では省略され、第1実施形態における整合性判定処理のステップS33が、第3実施形態ではステップS33Bに変更されている。
ステップS33Bにおいて、整合性判定部462は、n個目の受信内部時刻差分データ(第2の受信内部時刻差分データ)と(n−i)個目の受信内部時刻差分データ(第1の受信内部時刻差分データ)とを比較する。これらが一致したら、n個目の受信時刻データと(n−i)個目の受信時刻データとが整合すると判定される。
このように、テーブルTBLに受信内部時刻差分データを記憶させ、n個目の受信内部時刻差分データと(n−i)個目の受信内部時刻差分データとの比較結果に応じて、n個目の受信時刻データの整合性を判定してもよい。
なお、内部時刻の修正には、修正前の内部時刻として、整合性があると判定された受信時刻データに対応する内部時刻が必要となる。当該内部時刻は、テーブルTBLには記憶されていないが、記憶部42に記憶されており、内部時刻の修正処理に供される。
第3実施形態によれば、記憶部42(テーブルTBL)が、受信時刻データとこれに対応する内部時刻データとの差分である受信内部時刻差分データを記憶する構成とすることで、記憶部42(テーブルTBL)が受信時刻データと内部時刻データのそれぞれを記憶する構成と比べて、記憶部42(テーブルTBL)が記憶するデータの量を低減できる。
また、整合性判定部462が受信内部時刻差分データに対して処理を行う構成とすることで、整合性判定部462が受信時刻データと内部時刻データに対して処理を行う構成と比べて、整合性判定部462が行う処理の量を低減できる。
<第4実施形態>
上述の第1実施形態〜第3実施形態で説明したように、受信時刻データの整合性は、それよりも過去に取得された受信時刻データを参照して判定される。この判定において、整合性判定の対象となる受信時刻データと当該受信時刻データに対応する内部時刻データとの関係(上述の第2の関係)、および、参照される受信時刻データと当該受信時刻データに対応する内部時刻データとの関係(上述の第1の関係)とが用いられる。
ここで、整合性判定の対象となる受信時刻データに対応する内部時刻データを、判定対象内部時刻データと呼び、参照される受信時刻データに対応する内部時刻データを、参照内部時刻データと呼ぶ。
内部時刻は、歩度に起因してずれる。したがって、判定対象内部時刻データの内部時刻と、参照内部時刻データの内部時刻とが過度に離れていると、内部時刻の信頼性が低下するため、整合性判定の信頼性が低下する。結果的に、内部時刻修正の信頼性が低下する。
このような内部時刻修正の信頼性低下を抑制するために、判定対象内部時刻データ(第2の内部時刻データ)と参照内部時刻データ(第1の内部時刻データ)との差分が、予め定められた基準(この基準を、第2の基準と呼ぶ)を満たすかどうか判定してもよい。当該差分が、第2の基準を満たして小さい場合は、上述の第1の関係を、整合性の判定に(内部時刻を修正するかどうかの判定に)用いるようにし、当該差分が、第2の基準を満たさず大きい場合は、上述の第1の関係を、整合性の判定に(内部時刻を修正するかどうかの判定に)用いないようにする。
当該差分が小さいことで、判定対象内部時刻データと参照内部時刻データとの歩度に起因するずれを抑制することができ、内部時刻の修正の信頼性を高めることができる。
第4実施形態として、このような、判定対象内部時刻データと参照内部時刻データとの歩度に起因するずれを抑制することができる態様の例を説明する。本実施形態では、受信が失敗したと判定されて定時受信処理が終了した回の後に行われる、ある回の定時受信処理について説明する。想定される状況としては、例えば、受信環境が非常に悪い状態が数日以上続き、その間に行われた定時受信処理において受信の失敗が続いているような状況である。
図13は、第4実施形態による定時受信処理を示すフローチャートである。第1実施形態における定時受信処理との違いは、ステップS1の受信開始処理に先立って、ステップS40〜ステップS43が追加されていることである。
まず、ステップS40において、内部時刻データ質判定部464は、受信失敗期間が閾値期間(例えば30日)より短いかどうか判定する。受信失敗期間(例えば日数)は、記憶部42に記憶されている。
受信失敗期間が閾値期間以上である場合、内部時刻データ質判定部464は、ステップS41において、テーブルTBLに記憶されたデータをすべて削除し、ステップS42において、データ記憶数nを0に初期化し、ステップS43において、受信失敗期間(日数)を0に初期化する。ステップS43が行われると、ステップS1において、今回の定時受信処理の受信開始処理が行われる。
テーブルTBLに記憶されたデータがすべて削除されてから受信開始されるため、今回の定時受信処理において、テーブルTBLには1個目からデータが記憶される。したがって、今回の定時受信処理で取得された受信取得データの整合性は、今回よりも過去の定時受信処理で取得された受信時刻データは参照されずに、判定される。
受信失敗期間が閾値期間より短い場合、ステップS41〜ステップS43がスキップされ、ステップS1において、今回の定時受信処理の受信開始処理が行われる。この場合、ステップS41がスキップされることで、テーブルTBLに記憶されたデータは保持され、ステップS42がスキップされることで、データ記憶数nは初期化されずに保持されている。今回の定時受信処理に取得された受信時刻データは、テーブルTBLに追加的に記憶され、記憶数nが、追加的に加算される。したがって、今回の定時受信処理で取得された受信時刻データの整合性は、今回よりも過去の定時受信処理で取得された受信時刻データを参照して、判定される。
受信失敗期間が閾値期間以上である場合、テーブルTBLには、今回の定時受信処理の受信開始時刻よりも閾値期間以上古い内部時刻に取得された古い受信時刻データが記憶されていることがある。この古い受信時刻データに対応する古い内部時刻は、今回の定時受信処理の受信開始以降の内部時刻に対して、歩度に起因するずれが大きくなっており、信頼性が低下している。
受信失敗期間が閾値期間以上である場合、ステップS41でテーブルTBLに記憶されたデータをすべて削除することで、今回の定時受信処理で取得された受信時刻データの整合性の判定に、信頼性の低い古い内部時刻に取得された古い受信時刻データが参照されないようにできる。これにより、整合性の判定の信頼性を高め、内部時刻修正の信頼性を高めることができる。
受信時刻データとこれに対応する内部時刻データとの、分単位で評価した差分は、内部時刻が±30秒以上ずれることで、内部時刻が仮にずれなかった場合と比べて、±1分以上ずれると概算される。当該差分が±1分以上ずれていると、整合性の判定は、正確には行われない。歩度を月差±15秒とした場合、余裕を持った値として、上述の閾値期間は、例えば30日に設定するとよい。
<第5実施形態>
上述の第4実施形態では、内部時刻が歩度に起因してずれる場合について説明した。内部時刻は、その他、使用者が操作部7を操作して内部時刻を変更した場合にもずれる。内部時刻を変更する内部時刻変更処理が行われると、内部時刻の連続性が保たれないため、整合性判定の信頼性が低下する。結果的に、内部時刻修正の信頼性が低下する。
このような内部時刻修正の信頼性低下を抑制するために、整合性判定の対象となる受信時刻データに対応する内部時刻と、参照される受信時刻データに対応する内部時刻との間に、内部時刻変更処理が行われたかどうか判定してもよい。内部時刻変更処理が行われない場合は、上述の第1の関係を、整合性の判定に(内部時刻を修正するかどうかの判定に)用いるようにし、内部時刻変更処理が行われた場合は、上述の第1の関係を、整合性の判定に(内部時刻を修正するかどうかの判定に)用いないようにする。
整合性判定の対象となる受信時刻データに対応する内部時刻と、参照される受信時刻データに対応する内部時刻との間に、内部時刻変更処理が行われないことで、これらの内部時刻データの間で連続性が保たれるので、内部時刻の修正の信頼性を高めることができる。
第5実施形態として、内部時刻変更処理に起因する内部時刻データのずれを抑制することができる態様の例を説明する。本実施形態では、受信が失敗したと判定されて終了した定時受信処理の後に行われる定時受信処理について説明する。
図14は、第5実施形態による定時受信処理を示すフローチャートである。第1実施形態における定時受信処理との違いは、ステップS1の受信開始処理に先立って、ステップS50〜ステップS52が追加されていることである。
まず、ステップS50において、内部時刻データ質判定部464は、操作部7の操作により(手動で)内部時刻が変更されたかどうか判定する。
内部時刻が変更された場合、内部時刻データ質判定部464は、ステップS51において、テーブルTBLに記憶されたデータをすべて削除し、ステップS52において、データ記憶数nを0に初期化する。ステップS52が行われると、ステップS1において、今回の定時受信処理の受信開始処理が行われる。
テーブルTBLに記憶されたデータがすべて削除されてから受信開始されるため、今回の定時受信処理において、テーブルTBLには1個目からデータが記憶される。したがって、今回の定時受信処理で取得された受信取得データの整合性は、今回よりも過去の定時受信処理で取得された受信時刻データは参照されずに、判定される。
内部時刻が変更されない場合、ステップS51およびステップS52がスキップされ、ステップS1において、今回の定時受信処理の受信開始処理が行われる。この場合、ステップS51がスキップされることで、テーブルTBLに記憶されたデータは保持され、ステップS52がスキップされることで、データ記憶数nは初期化されずに保持されている。今回の定時受信処理に取得された受信時刻データは、テーブルTBLに追加的に記憶され、記憶数nが、追加的に加算される。したがって、今回の定時受信処理で取得された受信時刻データの整合性は、今回よりも過去の定時受信処理で取得された受信時刻データを参照して、判定される。
内部時刻が変更された場合、ステップS51でテーブルTBLに記憶されたデータをすべて削除することで、今回の定時受信処理で取得された受信時刻データの整合性の判定に、内部時刻変更処理が行われる前の内部時刻において取得された受信時刻データが参照されないようにできる。これにより、整合性の判定の信頼性を高め、内部時刻修正の信頼性を高めることができる。
<変形例>
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば次に述べるような各種の変形が可能である。また、次に述べる変形の態様および実施形態は、任意に選択された一または複数を、適宜に組み合わせることもできる。
上述の実施形態では、定時受信処理が、1時、2時および3時に開始される場合を例示したが、定時受信処理は、必要に応じ、他の時刻に開始される態様であってもよい。また、説明の便宜上、各回の受信処理が毎日定時に開始される場合を例示したが、受信処理が毎日定時には開始されない態様であってもよい。使用者が操作部7を操作することで、受信処理の開始時刻を設定できるようにしてもよい。
なお、上述の実施形態では、整合性の判定に用いる受信時刻データ、および、これに対応する内部時刻データとして「年月日時分」を示すものを用いたが、必要に応じて、例えば「年月日時分秒」を示すものを用いてもよい。
なお、上述の実施形態では、時刻データAと時刻データBとの差分を、「時刻データA−時刻データB」で算出する定義を例示したが、必要に応じて、当該差分を「時刻データB−時刻データA」で算出する定義を採用してもよい。