JP2018146405A - 画像処理装置、画像処理システムおよび画像処理方法 - Google Patents

画像処理装置、画像処理システムおよび画像処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】運用者の作業負荷を抑制することができる画像処理装置を得ること。【解決手段】合成開口レーダにより撮像された撮像データにレンジ圧縮処理を行うレンジ圧縮処理部11と、レンジ圧縮処理が施された前記撮像データにアジマス圧縮処理を行うアジマス圧縮処理部12と、入力されたPRF情報に基づいて撮像データのリサンプリングを行うリサンプリング部18と、を備える。【選択図】図2

Description

本発明は、合成開口レーダ(SAR:Synthetic Aperture Radar)により撮像されたデータを処理する画像処理装置、画像処理システムおよび画像処理方法に関する。
SARは、衛星および航空機といった移動体から、高分解能に地表面を観測する装置である。通常、SARは、移動体の移動方向であるアジマス方向にほぼ直交する方向であるレンジ方向に電波を放射する。SARにより観測されたデータに対しては、電波が照射された地上の領域について、アジマス方向には合成開口処理が実施され、電波の放射方向、すなわちレンジ方向にはパルス圧縮処理が実施される。これらの処理によりSARにより観測されたデータすなわちSARによる撮像データから画像データが生成される。これらの処理は、画像再生処理と呼ばれる。SARにおける画像再生処理については、例えば、特許文献1を参照されたい。
画像再生処理により生成された画像におけるアジマススペーシングは、撮像時のパルス繰り返し周波数(PRF:Pulse Repetition Frequency)に応じた値となる。アジマススペーシングは、アジマス方向のピクセルスペーシングであり、ピクセルスペーシングは、地上における一画素に対応する時間に相当する。
一方、画像再生処理により生成された複数の画像を用いて干渉処理と呼ばれる処理を行うことにより、地殻変動等の情報が得られる。干渉データは、複数の画像間の差分を示す情報である。この差分は、移動体に搭載されているSARと電波を反射する散乱体との間の距離の差分である。干渉処理を行う場合、干渉処理の対象となる複数の画像データ間でアジマススペーシングが揃っている必要がある。
このため、干渉データを生成するために、運用者は以下のような作業が必要である。まず、運用者は、画像再生処理によって生成された画像データが格納されている画像データベースから干渉処理を実施したい地域である処理対象地域を含む画像データを検索する。そして、運用者は、検索して得られた画像のPRFを示すPRF情報を得る。なお、画像データベースには、画像データとともに該画像データに対応するSARの観測データが取得された際のPRFを示すPRF情報が格納されている。
つぎに、運用者は、SARが搭載される移動体へ、SARによる撮像のためのパラメータのうちのPRFを、上記のように得られたPRF情報が示すPRFに設定する。移動体は、運用者により設定されたPRFによりSARの撮像を実施し、SARによる撮像データを地上へ送信する。地上では、画像再生処理により撮像データから画像データを生成し、生成した画像データと上述した検索により得られた画像データとを用いて干渉処理を実施する。
特開2012−093257号公報
しかしながら、上記従来の技術によれば、運用者は、干渉処理を行うたびに、処理対象箇所が過去に撮像された時のPRFを移動体へ設定する必要があり、運用者の作業負荷が大きいという問題がある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、運用者の作業負荷を抑制することができる画像処理装置を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる画像処理装置は、合成開口レーダにより撮像された撮像データにレンジ圧縮処理を行うレンジ圧縮部と、レンジ圧縮処理が施された撮像データにアジマス圧縮処理を行うアジマス圧縮部と、を備える。また、画像処理装置は、入力されたパルス繰り返し数に基づいて、撮像データのリサンプリングを行うリサンプリング部、を備える。
本発明によれば、運用者の作業負荷を抑制することができるという効果を奏する。
実施の形態にかかる画像処理システムの構成例を示す図 画像再生処理装置の構成例を示す図 データベース装置の構成例を示す図 高次画像処理装置の構成例を示す図 制御回路の構成例を示す図 画像処理システムにおける全体処理を説明するための図 画像再生処理装置における画像再生処理手順の一例を示すフローチャート 畳み込み処理手順の一例を示すフローチャート
以下に、本発明の実施の形態にかかる画像処理装置、画像処理システムおよび画像処理方法を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態.
図1は、本発明の実施の形態にかかる画像処理システムの構成例を示す図である。図1に示すように、画像処理システムは、画像再生処理装置1、高次画像処理装置2およびデータベース装置5を備える。本実施の形態の画像処理システムは、衛星および航空機といった移動体4に搭載されたSARにより撮像された撮像データを処理する。移動体4に搭載されたSARにより撮像された撮像データは、地上の受信局3により受信される。
本発明にかかる画像処理装置である画像再生処理装置1は、受信局3から撮像データを取得し、取得した撮像データに対して、後述する本実施の形態の画像処理を実施して画像データを生成する。画像再生処理装置1は、生成した画像データを高次画像処理装置2へ送信する。ここでは、通信回線により画像再生処理装置1が受信局3から撮像データを取得する例を説明するが、画像再生処理装置1が撮像データを取得する方法はこの例に限定されない。例えば、画像再生処理装置1は、撮像データを記録媒体により取得してもよい。また、ここでは、通信回線により画像再生処理装置1が高次画像処理装置2へ画像データを送信する例を説明するが、画像再生処理装置1が画像データを高次画像処理装置2へ渡す方法はこの例に限定されない。例えば、高次画像処理装置2は、画像再生処理装置1によって生成された画像データを記録媒体により取得してもよい。
図2は、画像再生処理装置1の構成例を示す図である。図2に示すように、画像再生処理装置1は、レンジ圧縮処理部11、アジマス圧縮処理部12、周波数シフト処理部13、畳み込み処理部14、周波数シフト戻し処理部15、記憶部16および通信部17を備える。レンジ圧縮処理部11、アジマス圧縮処理部12、周波数シフト処理部13、畳み込み処理部14および周波数シフト戻し処理部15の各部の動作については後述する。通信部17は、通信回路であり、受信局3との間の通信、および高次画像処理装置2との間の通信を実施する。通信部17は、受信局3から受信した撮像データを記憶部16へ格納し、レンジ圧縮処理部11、アジマス圧縮処理部12、周波数シフト処理部13、畳み込み処理部14および周波数シフト戻し処理部15により生成された画像データを記憶部16から読み出して高次画像処理装置2へ送信する。記憶部16は、受信局3から受信した撮像データを記憶し、レンジ圧縮処理部11、アジマス圧縮処理部12、周波数シフト処理部13、畳み込み処理部14および周波数シフト戻し処理部15により生成された画像データを記憶する。周波数シフト処理部13、畳み込み処理部14および周波数シフト戻し処理部15は、リサンプリング部18を構成する。
データベース装置5は、SARにより撮像された撮像データを用いて画像再生処理により生成された画像データが格納される画像データベースを有する。図3は、データベース装置5の構成例を示す図である。図3に示すように、本実施の形態のデータベース装置5は、通信部51およびデータベース処理部52を備える。通信部51は、通信回路であり、高次画像処理装置2をはじめとした他の装置との間の通信を実施する。データベース処理部52は、画像データベースを有する。画像データベースに格納されている画像データは、過去にSARにより撮像された撮像データに対応する画像データであり、画像再生処理装置1により生成された画像データであっても良いし、一般的な画像再生処理を行う装置により生成された画像データであってもよい。画像データベースには、画像データとともに該画像データに関する付加情報が格納される。付加情報は、該画像データに対応する撮像地域を示す情報である位置情報と、撮像された際に設定されていたPRFを示すPRF情報とを含む。位置情報の一例は、撮像地域の緯度および経度を示す情報である。データベース処理部52は、通信部51を介して、画像データの検索要求を受け付けた場合、検索要求に基づいて対応する画像データを画像データベースから取得して、取得した画像データを、通信部51を介して検索要求の送信元の装置へ送信する。
高次画像処理装置2は、画像再生処理装置1から取得した画像データである第1の画像データと画像データベースから取得した画像データである第2の画像データと、を用いて干渉処理を実施することにより干渉データを生成する。干渉データは、第1の画像データと第2の画像データとの間の、SARと電波を反射する散乱体との間の距離の差分を示す。したがって、地上の同一地点について、第1の画像データと第2の画像データとの間の上記の距離の差分を求めることにより、該地点の変位を知ることができる。干渉処理の方法については、どのような方法を用いてもよく、一般的な方法を用いることができるため詳細な説明を省略する。
図4は、高次画像処理装置2の構成例を示す図である。図4に示すように、高次画像処理装置2は、通信部21、記憶部22、干渉処理部23、取得部24、表示部25および入力部26を備える。通信部21は、通信回路であり、画像再生処理装置1との間の通信、およびデータベース装置5との間の通信を実施する。通信部21は、画像再生処理装置1から画像データを受信して記憶部22に格納し、データベース装置5から画像データを受信して記憶部22に格納する。記憶部22は、画像データベースから取得した画像データである第2の画像データと画像再生処理装置1から取得した画像データである第1の画像データとを記憶する。干渉処理部23は、記憶部22に格納されている画像データを用いて干渉処理を実施する。詳細には、干渉処理部23は、記憶部22に格納されている第1の画像データと、第2の画像データとを用いて干渉処理を実施する。
入力部26は、キーボード、マウスをはじめとしたユーザからの入力を受け付ける手段である。表示部25は、ディスプレイ、液晶モニタをはじめとした表示装置である。取得部24は、入力部26が受け付けた入力に基づいて、画像データを検索するための検索要求を生成して、通信部21を介してデータベース装置5へ送信する。検索要求には、検索キーが含まれている。検索により得られた画像データはデータベース装置5から高次画像処理装置2へ送信され、上述したように通信部21を介して記憶部22へ格納される。画像データには、上述した付加情報が付加されており、取得部24は、検索により得られた画像データの付加情報からPRF情報を抽出し、抽出したPRF情報を、通信部21を介して画像再生処理装置1へ送信する。
以上のように、画像再生処理装置1は、SARにより撮像された第1の撮像データに画像再生処理を施すことにより第1の画像データを生成する。また、高次画像処理装置2は、第1の画像データと過去にSARにより撮像された第2の撮像データに基づいて生成された第2の画像データとを用いて干渉処理を実施する。
次に、本実施の形態の画像再生処理装置1、高次画像処理装置2およびデータベース装置5のハードウェア構成について説明する。画像再生処理装置1の通信部17、高次画像処理装置2の通信部21およびデータベース装置の通信部51は、上述した通り通信回路であり、送信機および受信機を含む。画像再生処理装置1の記憶部16および高次画像処理装置2の記憶部22は、メモリである。上述した通り、入力部26は、キーボード、マウスなどであり、表示部25はディスプレイ、液晶モニタなどである。
画像再生処理装置1のレンジ圧縮処理部11、アジマス圧縮処理部12、周波数シフト処理部13、畳み込み処理部14および周波数シフト戻し処理部15と、高次画像処理装置2の干渉処理部23および取得部24とは、それぞれ処理回路により実現される。データベース装置5のデータベース処理部52は、メモリと処理回路により実現される。処理回路は、例えば、図5に示す制御回路200である。制御回路200は、プロセッサ201およびメモリ202を備える。図5は、制御回路200の構成例を示す図である。
プロセッサ201は、CPU(Central Processing Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサ、DSP(Digital Signal Processor)ともいう)等である。メモリ202は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリー、等の、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク等が該当する。また、制御回路200は、SoC(System on a Chip)であってもよい。
プロセッサ201が、メモリ202に記憶された各部の処理が記述されたプログラムを読み出して実行することにより、上述した各部の動作が実現される。また、メモリ202は、プロセッサ201が実施する各処理における一時メモリとしても使用される。
画像再生処理装置1、高次画像処理装置2およびデータベース装置5は、それぞれが個別のコンピュータにより実現されてもよい。画像再生処理装置1、高次画像処理装置2およびデータベース装置5のうち2つ以上が1つのコンピュータにより実現されてもよい。
次に、本実施の形態の動作について説明する。図6は、本実施の形態の画像処理システムにおける全体処理を説明するための図である。図6を用いて、受信局3から送信される撮像データすなわち新たに撮像された撮像データを用いて干渉処理を実施する例を説明する。まず、運用者は高次画像処理装置2を用いて、干渉処理を行いたい地域すなわち新たに撮像された撮像データに対応する地域の画像データを、画像データベースに格納されている画像データすなわち過去の画像データのなかから選択する。画像データを選択する方法はどのような方法を用いてもよいが、例えば、高次画像処理装置2は、データベース装置5へ画像データベースへのアクセス要求を送信すると、データベース装置5が利用可能な画像データの一覧を示す情報を送信し、高次画像処理装置2が画像データの一覧を表示部25へ表示する。画像データの一覧は、例えば、画像データごとの、画像データに対応する撮像が行われた時刻および画像データの位置情報を含む。そして、運用者は、表示された一覧のなかから、干渉処理を行いたい地域の画像データを選択する。または、運用者は、干渉処理を行いたい地域を示す位置情報である選択位置情報を高次画像処理装置2へ入力し、高次画像処理装置2が選択位置情報を検索キーとした検索要求を生成してデータベース装置5へ検索要求を送信し、対応する画像データを取得してもよい。
高次画像処理装置2は、運用者により指定された条件を満たす画像データである画像データ105を、画像データベースから取得する。取得された画像データ105は、記憶部22に格納される。つぎに、運用者は干渉処理の対象とする画像データを、記憶部22に格納されている画像データ105のなかから選択する。干渉処理を行いたい地域の画像データが1つしかない場合には、この選択は不要であるが、干渉処理を行いたい地域の画像データが複数存在する場合、例えば、付加情報に基づいて、どの画像データを処理対象とするかを運用者が選択する。
高次画像処理装置2の取得部24は、運用者が処理対象に決定した画像データのPRF情報を、通信部21を介して画像再生処理装置1へ送信する。画像再生処理装置1は、受信局3から受信した撮像データ100とPRF情報107とを用いて、後述する本実施の形態の画像再生処理を実施することにより画像データ102を生成し、生成した画像データ102を高次画像処理装置2へ送信する。高次画像処理装置2は、画像データ102と画像データ105とに基づいて干渉データ104を生成して出力する。
なお、以上の例では、新たに撮像された撮像データを用いて干渉処理を実施したが、新たに撮像された撮像データではなく過去に撮像されたデータを用いて、図6と同様の処理を実施してもよい。
次に、本実施の形態の画像再生処理について説明する。図7は、本実施の形態の画像再生処理装置1における画像再生処理手順の一例を示すフローチャートである。まず、画像再生処理装置1は、上述したように、撮像データを受信局3から取得し、PRF情報を高次画像処理装置2から取得する(ステップS1)。次に、画像再生処理装置1のレンジ圧縮処理部11は、撮像データをレンジ方向にパルス圧縮する(ステップS2)。すなわち、レンジ圧縮処理部11は、SARにより撮像された撮像データにレンジ圧縮処理を行う。パルス圧縮は受信信号と参照信号との相関処理である。
次に、アジマス圧縮処理部12は、レンジ圧縮処理部11によりパルス圧縮された撮像データをアジマス圧縮する(ステップS3)。すなわち、アジマス圧縮処理部12は、レンジ圧縮処理が施された撮像データにアジマス圧縮処理を行う。アジマス圧縮は、アジマス方向に圧縮する処理である。アジマス圧縮においてスペクトル解析法(SPECAN:Spectral Analysis)を利用することで、PRFを超えるドップラ帯域を持つ撮像データに対しても処理可能となる。SPECANは、deramp処理と呼ばれる処理を用いた解析法である。SPECANを用いると、線形周波数変調を有する観測信号を、観測時間ごとに異なる周波数の正弦波に変換することで、効率的にアジマス圧縮を行うことができる。レンジ圧縮およびアジマス圧縮については、どのような方法を用いてもよく、例えば特許文献1に記載の方法を用いることができる。このアジマス圧縮により得られる撮像データのアジマススペーシングは、撮像データが撮像されたときに設定されていたPRFに応じた値となっている。
次に、周波数シフト処理部13は、レンジ圧縮およびアジマス圧縮された撮像データすなわち観測信号に対して、周波数シフト処理を実施する(ステップS4)。周波数シフト処理は、観測信号を周波数シフトさせることにより、観測信号を0[Hz]を中心とした信号とする処理である。すなわち、周波数シフト処理部13は、アジマス圧縮処理が施された撮像データに対して、周波数傾斜を取り除き中心周波数が0Hzとなるように周波数シフトさせる。周波数傾斜は、周波数の時間依存であり、例えば、時間に対して周波数がある傾きを持って変化することである。したがって、周波数シフト処理部13はこの傾きを除去する。なお、撮像データすなわち観測信号はシーンと呼ばれる単位で生成されている。撮像データのシーン内の画素は、アジマス方向の番号であるアジマスライン番号とレンジ方向の番号であるレンジライン番号とにより識別される。シーン内のレンジライン番号pかつアジマスライン番号lの観測信号をS(p,l)とし、周波数シフト後のレンジライン番号pかつアジマスライン番号lの観測信号をSshift(p,l)とし、観測信号の持つ共通ドップラレートをKa_sclとし、アジマス時刻すなわちl番目の観測信号が観測された時刻をtAZ(l)とし、観測中心位置におけるゼロドップラ時刻をTa,c、アジマススペーシングをPRIとすると、例えば、以下の式(1)に示した計算式で周波数シフト処理を実現することができる。ドップラレートとは周波数の変化率のことを指し、ゼロドップラ時刻とは観測点に対するドップラ周波数を時刻ごとの履歴で表したとき、最小のドップラ周波数を持つ時刻である。なお、pおよびlはそれぞれ整数である。
Figure 2018146405
次に、畳み込み処理部14は、畳み込み処理を実施する(ステップS5)。畳み込み処理部14は、周波数シフト後のデータ内の処理対象画素を含むアジマス方向に連続した複数の画素のデータにsinc関数の畳み込み演算を行う。図8は、畳み込み処理手順の一例を示すフローチャートである。図8に示すように、畳み込み処理部14は、PRF情報に基づいて、PRF更新後のPRFに対応するアジマスライン数を算出する(ステップS11)。PRF更新後のPRFとは、高次画像処理装置2から取得したPRF情報により示されるPRFであり、運用者により選択された過去の画像データに対応したPRFである。PRF更新後とは、上述したPRF情報により示されるPRFに対応した換算が行われた後を意味する。アジマスライン数は、シーン内のアジマス方向のライン数である。
具体的には、PRF更新後のアジマスライン数をNAZ,new、シーン末尾のアジマスライン時刻をTeとし、シーン先頭のアジマスライン時刻をTsとし、PRF更新後のアジマス時刻インターバルすなわちPRF情報により示されるPRFに対応したアジマススペーシングをPRInewとすると、畳み込み処理部14は、例えば、以下の式(2)に示した計算式でPRF更新後のアジマスライン数NAZ,newを算出することができる。ここでceil()は、括弧内の値以上の最小の整数を返す演算子である。PRInewは、PRF更新後のPRFであるPRFnewから、PRFnew=1/PRInewの関係を用いて、算出することができる。以下の式(2)に示すように、先頭と末尾との時刻差をPRInewすなわち時間の刻みで除算することで、アジマスライン数NAZ,newすなわち時刻差が刻みいくつ分になるかを算出することができる。
Figure 2018146405
次に、畳み込み処理部14は、PRF更新後のアジマス時刻を算出する(ステップS12)。PRF更新後のアジマス時刻をtAZ,new(lnew)とし、シーン先頭のアジマスライン時刻をTsとし、PRF更新後のアジマス時刻のインターバルをPRInewとし、PRF更新後のアジマスライン番号をlnewとすると、畳み込み処理部14は、例えば、以下の式(3)に示す計算式でPRF更新後アジマス時刻算出を実現することができる。ここでround()は、括弧内の値を四捨五入して返す演算子である。lnewは、整数である。式(3)によれば、先頭の時刻にPRInewすなわち時間の刻みと刻みの数を乗算したものを加えることで、ある刻み位置における時刻を算出することができる。
tAZ,new(lnew)=Ts+round(PRInew×lnew) …(3)
次に、畳み込み処理部14は、PRF更新後のアジマス開始時刻を算出する(ステップS13)。PRF更新後のアジマス開始時刻をts,newとし、シーン先頭のアジマスライン時刻をTsとし、PRF更新後のアジマス時刻をtAZ,new(lnew)とすると、畳み込み処理部14は、例えば、以下の式(4)により、PRF更新後アジマス開始時刻を算出することができる。すなわち、上記式(3)で算出した時刻のなかから、先頭時刻に最も近いものを抽出することによりPRF更新後アジマス開始時刻を算出する。PRF更新後のアジマス開始時刻は、上述したPRF情報により示されるPRFに対応した換算が行われた後のシーン内のアジマスラインのうち最も観測時刻が早い時刻である。
ts,new=Tsに最も近いtAZ,new(lnew) …(4)
次に、畳み込み処理部14は、PRF更新後のアジマス終了時刻を算出する(ステップS14)。PRF更新後のアジマス終了時刻をte,newとし、シーン末尾のアジマスライン時刻をTeとし、PRF更新後アジマス時刻をtAZ,new(lnew)とすると、畳み込み処理部14は、例えば、以下の式(5)により、PRF更新後のアジマス終了時刻を算出することができる。すなわち、上記式(3)で算出した時刻のなかから、末尾時刻に最も近いものを抽出することによりPRF更新後のアジマス終了時刻を算出する。
te,new=Teに最も近いtAZ,new(lnew) …(5)
次に、畳み込み処理部14は、PRF更新後アジマス時刻基準シフト処理を実施する(ステップS15)。PRF更新後アジマス時刻基準シフト処理とは、PRF更新後のアジマス時刻tAZ,new(lnew)以下の最大のPRF更新前のアジマス時刻tAZ(LAZ)を求め、tAZ(LAZ)を基準にシフトさせた後の、PRF更新後のアジマス時刻tAZ,new(lnew)を算出する処理である。PRF更新前とは、PRF情報により示されるPRFに対応した換算が行われる前のことを示す。LAZは、PRF更新後のアジマス時刻tAZ,new(lnew)以下の最大のPRF更新前のアジマス時刻に対応するアジマスライン番号である。畳み込み処理部14は、例えば、以下の式(6)に示す計算式でPRF更新後のアジマス時刻基準シフトを実現することができる。PRF更新後の時間刻みとPRF更新前の時間刻みとの比でないことによりPRF更新前後で時刻の刻みにズレが生じることがあるため、式(6)により、これにより生じるズレを補正する。
tAZ,new(lnew)−tAZ(LAZ) …(6)
次に、畳み込み処理部14は、PRF更新後アジマス時刻スケーリング処理を実施する(ステップS16)。PRF更新後アジマス時刻スケーリング処理は、ステップS15で算出したPRF更新後アジマス時刻を0〜1の範囲にスケーリングする処理である。具体的には、PRF更新後アジマス時刻スケーリング処理は、PRF更新後のアジマスライン番号lnewを、LAZを基準としたPRF更新前のアジマスライン番号l´newに変換する処理である。畳み込み処理部14は、例えば、以下の式(7)に示す計算式でPRF更新後アジマス時刻スケーリングを実施する。
Figure 2018146405
次に、畳み込み処理部14は、注目画素の前後複数点のデータを用いたsinc関数畳み込み処理を実施する(ステップS17)。処理対象画素である注目画素とは、例えば、運用者により干渉処理の対象として選択された地上の箇所に対応する画素である。注目画素の前後に所望の点数データが存在しない場合は、畳み込み処理部14は、データが存在しない境界を対称軸に、ミラーリング処理により仮想的にデータが存在するようにデータを加工した後に、sinc関数畳み込み処理を実施する。PRF更新後の観測信号をSnew(p,lnew)とし、畳み込みに用いる点数をXとし、周波数シフト後の観測信号をSshift(p,i)とすると、畳み込み処理部14は、例えば、以下の式(8)に示す計算式で画素(p,lnew)におけるsinc関数畳み込み処理によるリサンプリングを実現することができる。これにより、畳み込み処理部14における畳み込み処理が終了する。
Figure 2018146405
図7の説明に戻り、ステップS5の後、周波数シフト戻し処理部15は、畳み込み処理後のデータに対して、ステップS4でシフトさせた周波数を元に戻す周波数シフト戻し処理を実施する(ステップS6)。すなわち、周波数シフト戻し処理部15は、畳み込み演算後のデータに周波数シフトでシフトさせた周波数を元の周波数に戻す処理を実施する。周波数を元に戻した観測データをS(p,lnew)とし、ステップS4で周波数シフトされた後にステップS5で畳み込み処理された後のデータをSnew(p,lnew)とすると、周波数シフト戻し処理部15は、例えば、以下の式(9)に示した計算式で周波数シフト戻し処理を実施する。
Figure 2018146405
周波数シフト戻し処理部15による処理後のデータは、画像データとして高次画像処理装置2へ出力され(ステップS7)、画像再生処理が終了する。ステップS7では、詳細には、周波数シフト戻し処理部15による処理後のデータである画像データは記憶部16に格納され、通信部17が記憶部16に格納された画像データを高次画像処理装置2へ送信する。以上の処理により、画像再生処理装置1から高次画像処理装置2へ送信された画像データは、画像データベースから取得した画像データのPRFに応じたアジマススペーシングに揃うことになる。すなわち、周波数シフト処理部13、畳み込み処理部14および周波数シフト戻し処理部15で構成されるリサンプリング部18は、入力されたPRFに基づいて、撮像データのリサンプリングを行う。したがって、高次画像処理装置2は、画像再生処理装置1から取得した画像データと、画像データベースから取得した画像データとを用いて干渉処理を実施することができる。
以上のように、本実施の形態では、画像再生処理装置1が、撮像データに対して、該撮像データとともに干渉処理の対象となる画像データのPRFに応じたアジマススペーシングとするために、周波数シフト処理、畳み込み処理および周波数シフト戻し処理を実施するようにした。すなわち、該撮像データとともに干渉処理の対象となる画像データのPRFに応じたアジマススペーシングとなるようリサンプリングを行うようにした。すなわち、先に所望のアジマススペーシングを決定し、観測信号をそれに合わせて補償するようにしたため、干渉処理対象のアジマススペーシングを揃えることができる。このため、運用者は、SARを搭載する移動体に、過去の画像データに対応するPRFにあわせるようにPRFを設定するためのパラメータ設定を行うことなく、干渉処理を実施することができる。これにより、運用者の作業負荷を抑制することができる。また、運用者が過去の画像データに対応するPRFにあわせるようにPRFを設定する必要がないため、SARには任意のPRFを設定することができ、移動体が自律的に決定した最適なPRFを用いることができる。また、運用者が過去の画像データに対応するPRFにあわせるようにPRFを設定する場合には、このような撮像を行う機会は限られるが、本実施の形態では、任意のPRFで撮像された撮像データを用いることができるため、運用者が過去の画像データに対応するPRFにあわせるようにPRFを設定する場合に比べ、干渉処理を実施する機会を増やすことができる。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
1 画像再生処理装置、2 高次画像処理装置、3 受信局、4 移動体、5 データベース装置、11 レンジ圧縮処理部、12 アジマス圧縮処理部、13 周波数シフト処理部、14 畳み込み処理部、15 周波数シフト戻し処理部、16,22 記憶部、17,21,51 通信部、23 干渉処理部、24 取得部、25 表示部、26 入力部、52 データベース処理部。

Claims (6)

  1. 合成開口レーダにより撮像された撮像データにレンジ圧縮処理を行うレンジ圧縮部と、
    前記レンジ圧縮処理が施された前記撮像データにアジマス圧縮処理を行うアジマス圧縮部と、
    入力されたパルス繰り返し数に基づいて、前記撮像データのリサンプリングを行うリサンプリング部と、
    を備えることを特徴とする画像処理装置。
  2. 前記リサンプリング部は、
    前記アジマス圧縮処理が施された前記撮像データを中心周波数が0Hzとなるように周波数シフトさせる周波数シフト処理部と、
    前記周波数シフト後のデータ内の処理対象画素を含むアジマス方向に連続した複数の画素のデータにsinc関数の畳み込み演算を行う畳み込み処理部と、
    前記畳み込み演算後のデータに前記周波数シフトでシフトさせた周波数を元の周波数に戻す処理を実施する逆周波数シフト部と、
    を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
  3. 前記入力されたパルス繰り返し数は、前記リサンプリング後のデータである第1の画像データとともに干渉処理の対象となる過去に生成された第2の画像データに対応するパルス繰り返し数であることを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
  4. 前記第1の画像データを、前記干渉処理を実施する高次画像処理装置へ送信する通信部、
    を備えることを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
  5. 合成開口レーダにより撮像された第1の撮像データに画像再生処理を施すことにより第1の画像データを生成する画像処理装置と、
    前記第1の画像データと過去に前記合成開口レーダにより撮像された第2の撮像データに基づいて生成された第2の画像データとを用いて干渉処理を実施する高次画像処理装置と、
    を備え、
    前記画像処理装置は、
    前記第1の撮像データにレンジ圧縮処理を行うレンジ圧縮部と、
    前記レンジ圧縮処理が施された前記第1の撮像データにアジマス圧縮処理を行うアジマス圧縮部と、
    前記第2の撮像データの撮像において用いられたパルス繰り返し数に基づいて、前記第1の撮像データのリサンプリングを行うことにより前記第1の画像データを生成するリサンプリング部と、
    を備えることを特徴とする画像処理システム。
  6. 画像処理装置が、
    合成開口レーダにより撮像された撮像データにレンジ圧縮処理を行う第1のステップと、
    前記レンジ圧縮処理が施された前記撮像データにアジマス圧縮処理を行う第2のステップと、
    入力されたパルス繰り返し数に基づいて、前記撮像データのリサンプリングを行う第3のステップと、
    を含むことを特徴とする画像処理方法。
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