JP2018145414A - 樹脂組成物 - Google Patents

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JP2018145414A JP2018031555A JP2018031555A JP2018145414A JP 2018145414 A JP2018145414 A JP 2018145414A JP 2018031555 A JP2018031555 A JP 2018031555A JP 2018031555 A JP2018031555 A JP 2018031555A JP 2018145414 A JP2018145414 A JP 2018145414A
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信裕 角谷
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Abstract

【課題】密度が比較的低く、耐衝撃強度の高い樹脂組成物を提供する。
【解決手段】樹脂組成物は、脂肪族ポリアミド樹脂(A)と、オレフィン系樹脂(B)と、酸変性ポリオレフィン(C)と、を含む樹脂組成物である。脂肪族ポリアミド樹脂(A)と、オレフィン系樹脂(B)と、酸変性ポリオレフィン(C)の合計を100質量部とした場合に、オレフィン系樹脂(B)及び酸変性ポリオレフィン(C)の合計が10質量部以上90質量部以下である。更に、オレフィン系樹脂(B)及び酸変性ポリオレフィン(C)の合計を100質量部とした場合に、酸変性ポリオレフィン(C)が15質量部以上、100質量部以下であることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、樹脂組成物に関する。
従来から、異種の樹脂を混合して、各々の樹脂が単独で発揮できる特性を超える混合樹脂を得ようとする試みがなされている。例えば、耐衝撃性を向上させる技術としては、ABS樹脂等のように、母相に対してゴム成分を微分散させる技術が知られている。
用途展開を鑑みると、ABS樹脂では対応できない分野も存在するため、ABS樹脂の他にも、汎用性があり、衝撃強度に優れた樹脂組成物の開発が望まれていた。
このような状況の下、下記特許文献1に記載の樹脂組成物が開発されている。この樹脂組成物は、脂肪族ポリアミド樹脂、及びオレフィン系樹脂と、を含有している。実施例では、ポリアミド11(PA11)と高密度ポリエチレン(HDPE)を溶融混練して、シャルピー衝撃強度の高い樹脂組成物を得ている。例えば、質量比で、PA11/HDPE=90/10の樹脂組成物は、衝撃強度が最も高くなっている。
特開2013−227423号公報
ところが、この樹脂組成物の密度は比較的大きく、重い樹脂組成物となってしまう。例えば、PA11/HDPE=90/10の樹脂組成物の密度は、1.018g/cmと比較的大きい。樹脂組成物の密度が比較的大きいのは、密度の高い脂肪族ポリアミド樹脂の含有量が70質量%以上とされ、密度の低いオレフィン系樹脂の含有量が30質量%未満とされているからである。この樹脂組成物は、脂肪族ポリアミド樹脂単体よりも密度が低いものの、脂肪族ポリアミド樹脂を70質量%以上含有させている限り、密度を大幅に低下させることはできない。
もちろん、密度の低いオレフィン系樹脂の含有割合を増加させて、樹脂組成物の密度を低下させることも考えられる。しかし、オレフィン系樹脂の含有割合を増加させると、樹脂組成物中で分散しているオレフィン系樹脂の粒子が粗大化して、衝撃強度の低下を招くことが予想される。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、密度が比較的低く、耐衝撃強度の高い樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、新規な樹脂組成物を開発した。そして、この樹脂組成物は、密度が比較的低く、衝撃強度が高いことを見いだした。この成果に基づいて、次の発明を提供する。
〔1〕脂肪族ポリアミド樹脂(A)と、オレフィン系樹脂(B)と、酸変性ポリオレフィン(C)と、を含む樹脂組成物であって、
前記脂肪族ポリアミド樹脂(A)と、前記オレフィン系樹脂(B)と、前記酸変性ポリオレフィン(C)の合計を100質量部とした場合に、前記オレフィン系樹脂(B)及び前記酸変性ポリオレフィン(C)の合計が10質量部以上90質量部以下であり、
前記オレフィン系樹脂(B)及び前記酸変性ポリオレフィン(C)の合計を100質量部とした場合に、前記酸変性ポリオレフィン(C)が15質量部以上、100質量部以下であることを特徴とする樹脂組成物。
〔2〕密度が、0.93〜1.06g/cmであることを特徴とする〔1〕に記載の樹脂組成物。
〔3〕前記オレフィン系樹脂(B)は、全構成単位数のうち80%以上がエチレンに由来する構成単位であるエチレン系重合体であることを特徴とする〔1〕又は〔2〕のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
〔4〕前記脂肪族ポリアミド樹脂(A)が、炭素原子数が11であるアミド結合含有単位を主鎖に含む脂肪族ポリアミド樹脂であることを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
〔5〕前記脂肪族ポリアミド樹脂(A)が、ポリアミド6であることを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
〔6〕前記オレフィン系樹脂(B)が、高密度ポリエチレンであることを特徴とする〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
本発明の樹脂組成物は、密度が比較的低く、衝撃強度が高い。従って、本発明の樹脂組成物を用いることで、部材の軽量化を図ることができる。
密度が、0.93〜1.06g/cmである場合には、特に軽量で衝撃強度が高い樹脂組成物となる。
オレフィン系樹脂(B)が、全構成単位数のうち80%以上がエチレンに由来する構成単位であるエチレン系重合体である場合には、汎用性の高い樹脂組成物となる。
脂肪族ポリアミド樹脂(A)が、炭素原子数が11であるアミド結合含有単位を主鎖に含む脂肪族ポリアミド樹脂である場合には、環境負荷を抑制しつつ、衝撃強度の高い樹脂組成物となる。
脂肪族ポリアミド樹脂(A)が、ポリアミド6である場合には、衝撃強度の高い樹脂組成物となる。
オレフィン系樹脂(B)が、高密度ポリエチレンである場合には、汎用性の高い樹脂組成物となる。
なお、電子顕微鏡で観察して得られるモルホロジーにおいて、粒子径250〜600nmの第1粒子と、粒子径60〜110nmの第2粒子とを含有する場合には、特に衝撃強度が高い樹脂組成物が得られる。
第1粒子がオレフィン系樹脂(B)を含有する場合には、樹脂組成物は、特に衝撃強度が高い。
第2粒子が前記酸変性ポリオレフィン(C)を含有する場合には、樹脂組成物は、特に衝撃強度が高い。
脂肪族ポリアミド樹脂(A)が連続層として存在する場合には、樹脂組成物は、特に衝撃強度が高い。
本発明について、本発明による典型的な実施形態の非限定的な例を挙げ、言及された複数の図面を参照しつつ以下の詳細な記述にて更に説明する。
PE−g−MAH含有量とシャルピー衝撃値との関係を示すグラフである。 樹脂組成物の透過型電子顕微鏡(TEM)像である(実験例14)。 STEM−EDXによるN元素(窒素原子)の分布を示す図である。 STEM−EDXによるO元素(酸素原子)の分布を示す図である。 HAADF−STEM像を示す図である。 樹脂組成物の走査型電子顕微鏡による反射電子像である(実験例14)。 樹脂組成物の走査型電子顕微鏡による反射電子像である(実験例18)。 樹脂組成物の走査型電子顕微鏡による反射電子像である(実験例18)。 樹脂組成物の走査型電子顕微鏡による反射電子像である(実験例19)。 樹脂組成物の走査型電子顕微鏡による反射電子像である(実験例19)。
ここで示される事項は例示的なものおよび本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
以下、本発明を詳しく説明する。
1.樹脂組成物
本発明の樹脂組成物は、脂肪族ポリアミド樹脂(A)と、オレフィン系樹脂(B)と、酸変性ポリオレフィン(C)と、を含む樹脂組成物である。脂肪族ポリアミド樹脂(A)と、オレフィン系樹脂(B)と、酸変性ポリオレフィン(C)の合計を100質量部とした場合に、オレフィン系樹脂(B)及び酸変性ポリオレフィン(C)の合計が10質量部以上90質量部以下である。更に、オレフィン系樹脂(B)及び酸変性ポリオレフィン(C)の合計を100質量部とした場合に、酸変性ポリオレフィン(C)が15質量部以上、100質量部以下であることを特徴とする。
2.脂肪族ポリアミド樹脂(A)
上記「脂肪族ポリアミド樹脂(A)」は、アミド結合(−NH−CO−)を介して複数の単量体が重合されてなる鎖状骨格を有する重合体である。
脂肪族ポリアミド樹脂(A)を構成する単量体としては、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸等のアミノ酸、ε−カプロラクタム、ウンデカンラクタム、ω−ラウリルラクタム等のラクタム等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
更に、脂肪族ポリアミド樹脂(A)は、ジアミンとジカルボン酸との共重合により得ることもできる。この場合、単量体としてのジアミンには、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,13−ジアミノトリデカン、1,14−ジアミノテトラデカン、1,15−ジアミノペンタデカン、1,16−ジアミノヘキサデカン、1,17−ジアミノヘプタデカン、1,18−ジアミノオクタデカン、1,19−ジアミノノナデカン、1,20−ジアミノエイコサン、2−メチル−1,5−ジアミノペンタン、2−メチル−1,8−ジアミノオクタン等の脂肪族ジアミン、シクロヘキサンジアミン、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)メタン等の脂環式ジアミン、キシリレンジアミン(p−フェニレンジアミン及びm−フェニレンジアミン等)等の芳香族ジアミン等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
更に、単量体としてのジカルボン酸には、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラシリン酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、オクタデカン二酸のような脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸のような脂環式ジカルボン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸のような芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
本樹脂組成物では、脂肪族ポリアミド樹脂(A)は、炭素原子数が11であるアミド結合含有単位を主鎖に含む脂肪族ポリアミド樹脂、又はポリアミド6であることが好ましい。即ち、1番目の例としては、脂肪族ポリアミド樹脂(A)は、炭素原子数が11である単量体に由来する構成単位を含む脂肪族ポリアミド樹脂であることが好ましく、特に11−アミノウンデカン酸又はウンデカンラクタムを単量体として用いた重合体(以下、この重合体を「PA11系樹脂」ともいう)であることが好ましい。とりわけ11−アミノウンデカン酸は、ヒマシ油から得られる単量体であるため、環境保護の観点(特にカーボンユートラルの観点)から望ましい。これらの炭素原子数が11である単量体に由来する構成単位は、PA11系樹脂内において全構成単位のうちの50%以上であることが好ましい。更に、このPA11系樹脂は、その全構成単位が、炭素原子数11である単量体に由来する構成単位であってもよい。即ち、脂肪族ポリアミド樹脂(A)は、ポリアミド11(PA11)であってもよい。
また、脂肪族ポリアミド樹脂(A)は、ポリアミド11系樹脂のみからなってもよいが、その他のポリアミドを含んでもよい。その他のポリアミドとしては、例えば、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド12、ポリアミド6T、ポリアミド6I、ポリアミド9T、ポリアミドM5T等が挙げられる。これらの他のポリアミドは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。但し、他のポリアミドが含有される場合、脂肪族ポリアミド樹脂(A)全体100質量部に対して、他のポリアミドは40質量部未満が好ましい。
尚、上記脂肪族ポリアミド樹脂(A)は、主鎖を構成する炭素原子のうちの半数以上(50%以上)の炭素原子が鎖状骨格を構成する。即ち、脂肪族ポリアミド樹脂(A)は、芳香族骨格を含んでもよいが、芳香族骨格を構成する炭素原子は、主鎖を構成する炭素原子のうちの半数未満(50%未満)である。
また、2番目の例では、脂肪族ポリアミド樹脂(A)は、ポリアミド6である。この場合、樹脂組成物に、その他のポリアミドを含んでもよい。その他のポリアミドとしては、例えば、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド12、ポリアミド6T、ポリアミド6I、ポリアミド9T、ポリアミドM5T等が挙げられる。これらの他のポリアミドは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。但し、他のポリアミドが含有される場合、樹脂組成物中のポリアミド樹脂全体100質量部に対して、他のポリアミドは40質量部未満が好ましい。
脂肪族ポリアミド樹脂(A)の数平均分子量(Mn)は、特に限定されない。数平均分子量は、例えば、10,000〜100,000であることが好ましく、12,000〜70,000であることがより好ましく、15,000〜50,000であることがさらに好ましい。
脂肪族ポリアミド樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されない。重量平均分子量は、例えば、10,000〜100,000であることが好ましく、12,000〜70,000であることがより好ましく、15,000〜50,000であることがさらに好ましい。
脂肪族ポリアミド樹脂(A)の分子量分布(Mw/Mn)は、特に限定されない。分子量分布は、例えば、1〜5であることが好ましく、1〜4であることがより好ましく、1〜3であることがさらに好ましい。
分子量の測定装置、及び条件は、以下の<1>又は<2>のいずれかに記載の通りである。
<1>
脂肪族ポリアミド樹脂(A)の分子量測定装置:ゲル浸透クロマトグラフィー(東ソー(株)製 GPC−8121/HT)
分子量測定条件:溶離液に1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(トリフルオロ酢酸ナトリウムを5mmol/L添加)を用い、カラムはTSKgel−GMHHR−HとTSKgel−GMHHR−Nを直列接続し使用する。検量線はポリメタクリル酸メチル(PMMA)を標準試料として用い、測定は温度50℃、流速0.5ml/minにて行う。
<2>
脂肪族ポリアミド樹脂(A)の分子量測定装置:ゲル浸透クロマトグラフィー(島津製作所製(LC−20AD(送液ポンプ)、SIL−20A(オートサンプラー)、CTO−20A(カラムオーブン)、RID−20(示差屈折率検出器))
分子量測定条件:溶離液に1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(トリフルオロ酢酸ナトリウムを5mmol/L添加)を用い、カラムはTSKgel−GMHHR−HとTSKgel−GMHHR−Nを直列接続し使用する。検量線はポリメタクリル酸メチル(PMMA)を標準試料として用い、測定は温度40℃、流速0.5ml/minにて行う。
3.オレフィン系樹脂(B)
上記「オレフィン系樹脂(B)」は、オレフィンの単独重合体、及び/又は、オレフィンを単量体として用いた共重合体である。
オレフィン系樹脂を構成するオレフィン(オレフィン単量体)としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等が挙げられる。
従って、オレフィン系樹脂(B)としては、エチレン系重合体、プロピレン系重合体、1−ブテン系重合体、1−ヘキセン系重合体、4−メチル−1−ペンテン系重合体等が挙げられる。これら重合体は1種のみで用いてもよく、2種以上を併用してもよい。即ち、オレフィン系樹脂は各種の重合体の混合物であってもよい。
エチレン系重合体としては、例えば、エチレン単独重合体(ポチエチレン)、及び、エチレンと他の単量体との共重合体(エチレン共重合体)が挙げられる。エチレン共重合体としては、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ペンテン共重合体、エチレン・1−へキセン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体等が挙げられる。
尚、エチレン共重合体に含まれるエチレン単位(エチレンに由来する構成単位)は、全構成単位数のうち50%以上(通常99.999%以下)であればよいが、例えば、全構成単位数のうち80〜99.999%とすることができ、また90〜99.995%とすることができ、更には99.0〜99.990%とすることができる。エチレン単位と下記プロピレン単位とが1:1で含まれた共重合体は、本明細書ではエチレン・プロピレン共重合体というものとする。
また、プロピレン系重合体としては、例えば、プロピレン単独重合体(ポリプロピレン)、及び、プロピレンと他の単量体との共重合体(プロピレン共重合体)が挙げられる。プロピレン共重合体としては、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・1−ペンテン共重合体、プロピレン・1−オクテン共重合体等が挙げられる。
尚、プロピレン共重合体に含まれるプロピレン単位(プロピレンに由来する構成単位)は、全構成単位数のうち50%以上(通常99.999%以下)であればよいが、例えば、全構成単位数のうち80〜99.99%とすることができ、また90〜99.995%とすることができ、更には99.0〜99.990%とすることができる。
更に上記のうち、1−ブテン重合体としては1−ブテン単独重合体(ポリ1−ブテン)、1−ヘキセン重合体としては1−ヘキセン単独重合体(ポリ1−ヘキセン)、4−メチル−1−ペンテン重合体としては4−メチル−1−ペンテン単独重合体(ポリ4−メチル−1−ペンテン)等が挙げられる。
また、オレフィン系重合体には、本発明の目的を害しない範囲で、オレフィンを除く単量体に由来する構成単位を含んでもよい。オレフィン以外の単量体としては、不飽和カルボン酸(アクリル酸、メタクリル酸等)、不飽和カルボン酸エステル(アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル等)、ビニルエステル(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、フマル酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノエステル等)等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
尚、オレフィン系重合体に含まれるオレフィン以外の単量体に由来する構成単位は、含まれるとしても全構成単位数のうち1%以下(通常0.001%以上)が好ましい。例えば、全構成単位数のうち0.001〜0.8%とすることができ、また0.005〜0.5%とすることができ、更には0.01〜0.1%とすることができる。
上記各種オレフィン系重合体のなかでも、脂肪族ポリアミド樹脂(A)、及び酸変性ポリオレフィン(C)と混練して得られる樹脂組成物が、コスト的に有利で汎用性に富み、しかも衝撃強度が高くなるという観点から、エチレン系重合体及びプロピレン系重合体が好ましい。エチレン系重合体がより好ましく、高密度ポリエチレン(HDPE)が特に好ましい。
オレフィン系樹脂(B)の数平均分子量(Mn)は、特に限定されない。数平均分子量は、例えば、10,000〜1,000,000であることが好ましく、12,000〜70,000であることがより好ましく、15,000〜50,000であることがさらに好ましい。
オレフィン系樹脂(B)の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されない。重量平均分子量は、例えば、10,000〜1,000,000であることが好ましく、30,000〜250,000であることがより好ましく、150,000〜200,000であることがさらに好ましい。
オレフィン系樹脂(B)の分子量分布(Mw/Mn)は、特に限定されない。分子量分布は、例えば、1〜8であることが好ましく、1〜5であることがより好ましく、1〜4であることがさらに好ましい。
分子量の測定装置、及び条件は、以下の通りである。
オレフィン系樹脂(B)の分子量測定装置:ゲル浸透クロマトグラフィー(東ソー(株)製 GPC−8121/HT)
分子量測定条件:溶離液に1,2,4−トリクロロベンゼン(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールBHT 0.05wt%添加)を用い、カラムはTSKgel−GMHHR−H(20)HTを2本直列接続し使用する。検量線はポリスチレンを標準試料として用い、測定は温度140℃、流速1ml/minにて行う。
4.酸変性ポリオレフィン(C)
上記「酸変性ポリオレフィン(C)」は、カルボン酸で変性されたポリオレフィンである。
酸変性ポリオレフィン(C)の骨格は単独重合体、共重合体のいずれであってもよい。
酸変性ポリオレフィン(C)は、エチレン及び/又はα−オレフィンから形成される繰り返し単位を有するのが好ましい態様の1つとして挙げられる。
α−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテンおよび1−オクテンからなる群から選択される1種が挙げられる。
上記酸変性ポリオレフィン(C)の骨格を構成するポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリオクテン等の単独重合体(ホモポリマー)、
エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・1−ヘキセン共重合体、プロピレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体、プロピレン・1−オクテン共重合体、プロピレン・1−デセン共重合体、プロピレン・1,4−ヘキサジエン共重合体、プロピレン・ジシクロペンタジエン共重合体、プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体、プロピレン・2、5−ノルボルナジエン共重合体、プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体、1−オクテン・エチレン共重合体、1−ブテン・プロピレン共重合体、1−ブテン・1−ヘキセン共重合体、1−ブテン・4−メチル−1−ペンテン共重合体、1−ブテン・1−オクテン共重合体、1−ブテン・1−デセン共重合体、1−ブテン・1,4−ヘキサジエン共重合体、1−ブテン・ジシクロペンタジエン共重合体、1−ブテン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体、1−ブテン・2、5−ノルボルナジエン共重合体、1−ブテン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体等の2成分系の共重合体、
エチレン・プロピレン・1−ブテン共重合体、エチレン・プロピレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・プロピレン・1−オクテン共重合体、エチレン・プロピレン・1−オクテン共重合体、エチレン・プロピレン・1,4−ヘキサジエン共重合体、エチレン・プロピレン・1,4−ヘキサジエン共重合体、エチレン・プロピレン・ジシクロペンタジエン共重合体、エチレン・プロピレン・ジシクロペンタジエン共重合体、エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体、エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体、エチレン・プロピレン・2、5−ノルボルナジエン共重合体、エチレン・プロピレン・2、5−ノルボルナジエン共重合体、エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体、エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体、1−ブテン・エチレン・プロピレン共重合体、1−ブテン・エチレン・1−ヘキセン共重合体、1−ブテン・エチレン・1−オクテン共重合体、1−ブテン・プロピレン・1−オクテン共重合体、1−ブテン・エチレン・1,4−ヘキサジエン共重合体、1−ブテン・プロピレン・1,4−ヘキサジエン共重合体、1−ブテン・エチレン・ジシクロペンタジエン共重合体、1−ブテン・プロピレン・ジシクロペンタジエン共重合体、1−ブテン・エチレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体、1−ブテン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体、1−ブテン・エチレン・2、5−ノルボルナジエン共重合体、1−ブテン・プロピレン・2、5−ノルボルナジエン共重合体、1−ブテン・エチレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体、1−ブテン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体のような多成分系の共重合体等が挙げられる。
これらのうち、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリオクテン、プロピレン・エチレン共重合体、1−ブテン・エチレン共重合体、1−ブテン・プロピレン共重合体、エチレン・プロピレン・1−ブテン共重合体、1−オクテン・エチレン共重合体を用いることが好ましい。
ポリオレフィンを変性するカルボン酸としては、例えば、不飽和カルボン酸が挙げられる。具体的には、マレイン酸、フマル酸、アクリル酸、クロトン酸、メタアクリル酸、イタコン酸、または、これらの各酸の酸無水物等が挙げられる。
これらのうち、無水マレイン酸、マレイン酸、アクリル酸を用いることが好ましい。
変性ポリオレフィン(C)は無水マレイン酸で変性されたポリオレフィンが好ましく、特に無水マレイン酸変性ポリエチレンが好ましい。
酸変性ポリオレフィン(C)は、通常行われる方法、例えば、上記ポリオレフィンに、通常行われる条件、例えば、加熱下での撹拌等により不飽和カルボン酸をグラフト重合させる方法で製造してもよく、また市販品を用いてもよい。例えば、HDPE、LLDPE、PS、又はPPに無水マレイン酸をグラフトしたポリマーが例示される。
市販品としては、例えば、OREVAC OE808(アルケマ株式会社製)等の無水マレイン酸変性ポリエチレン;タフマーMA8510(三井化学社製)、MP0620(三井化学社製)等の無水マレイン酸変性プロピレン・エチレン共重合体;タフマーMH7020(三井化学社製)等の無水マレイン酸変性エチレン・1−ブテン共重合体;アドマーQE060(三井化学社製)等の無水マレイン酸変性ポリプロピレンが挙げられる。
酸変性ポリオレフィン(C)の数平均分子量(Mn)は、特に限定されない。数平均分子量は、例えば、10,000〜500,000であることが好ましく、12,000〜100,000であることがより好ましく、15,000〜80,000であることがさらに好ましい。
酸変性ポリオレフィン(C)の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されない。重量平均分子量は、例えば、10,000〜500,000であることが好ましく、50,000〜300,000であることがより好ましく、100,000〜300,000であることがさらに好ましい。
酸変性ポリオレフィン(C)の分子量分布(Mw/Mn)は、特に限定されない。分子量分布は、例えば、1〜10であることが好ましく、1〜8であることがより好ましく、2〜7であることがさらに好ましい。
分子量の測定装置、及び条件は、以下の通りである。
酸変性ポリオレフィン(C)の分子量測定装置:ゲル浸透クロマトグラフィー(東ソー(株)製GPC−8121/HT)
分子量測定条件:溶離液に1,2,4−トリクロロベンゼン(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールBHT 0.05wt%添加)を用い、カラムはTSKgel−GMHHR−H(20)HTを2本直列接続し使用する。検量線はポリスチレンを標準試料として用い、測定は温度140℃、流速1ml/minにて行う。
5.脂肪族ポリアミド樹脂(A)、オレフィン系樹脂(B)、酸変性ポリオレフィン(C)の割合
次に、樹脂組成物中の脂肪族ポリアミド樹脂(A)、オレフィン系樹脂(B)、酸変性ポリオレフィン(C)の割合について説明する。本発明では、脂肪族ポリアミド樹脂(A)と、オレフィン系樹脂(B)と、酸変性ポリオレフィン(C)の合計を100質量部とした場合に、オレフィン系樹脂(B)及び酸変性ポリオレフィン(C)の合計が10質量部以上90質量部以下であり、好ましくは15質量部以上85質量部以下である。この範囲内であれば、樹脂組成物の密度が比較的低く、しかも衝撃強度が高いからである。
オレフィン系樹脂(B)及び酸変性ポリオレフィン(C)の合計を100質量部とした場合に、酸変性ポリオレフィン(C)が15質量部以上、100質量部以下であり、好ましくは30質量部以上80質量部以下であり、より好ましくは、40質量部以上60質量部以下である。この範囲内であれば、樹脂組成物の衝撃強度が特に高くなるからである。
6.シャルピー衝撃値
本発明の樹脂組成物は、JIS K7111−1に準拠したシャルピー衝撃試験を行った場合に、シャルピー衝撃値(シャルピー衝撃強度)が25〜90KJ/mであることが好ましく、30〜90KJ/mであることがより好ましく、60〜90KJ/mであることが特に好ましい。
7.樹脂組成物の密度
本発明の樹脂組成物の密度は、特に限定されない。密度は、好ましくは0.930〜1.060g/cmであり、より好ましくは0.950〜0.999g/cmであり、更に好ましくは0.990〜0.998g/cmである。
密度が、0.990〜0.998g/cmである場合には、特に軽量で衝撃強度が高い樹脂組成物となる。
なお、本発明に関わる樹脂組成物の密度は、以下の装置を使用して測定される値である。
装置:乾式自動密度計 AccuPyc II 1340−1CC(Micromeritics社製)
測定条件:窒素ガスを使用し測定する。
8.電子顕微鏡で観察して得られるモルホロジー
本発明において、電子顕微鏡で観察して得られるモルホロジーは、特に限定されない。
ここで、好ましいモルホロジーについて説明する。
<好ましいモルホロジー1>
本発明では、モルホロジーにおいて、粒子径250〜600nmの第1粒子と、粒子径60〜110nmの第2粒子とを含有することが好ましい。この状態では、連続層(マトリックス)に第1粒子が分散しているとともに、第1粒子よりも小さい第2粒子も分散している。
また、これらの1粒子及び第2粒子を含有することで、第1粒子に由来する粒子径分布と、第2粒子に由来する粒子径分布の2種類の粒子径分布が存在することが好ましい。
ここで、第1粒子がオレフィン系樹脂(B)を含有することが好ましい。
また、第2粒子が酸変性ポリオレフィン(C)を含有することが好ましい。
また、第1粒子と、第2粒子との間に脂肪族ポリアミド樹脂(A)が連続層(マトリックス)として存在することが好ましい。
なお、モルホロジー観察方法は公知の技術が適用でき、例えば、RuO染色凍結超薄切片法で調製した試料を、透過型電子顕微鏡にて観察する方法が挙げられる。
また、走査透過型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分光法(STEM−EDX)を用いることによって、成分分析をすることができる。
<好ましいモルホロジー2>
他の好ましいモルホロジーとしては、脂肪族ポリアミド樹脂(A)とオレフィン系樹脂(B)が共連続構造を示し、かつ脂肪族ポリアミド樹脂(A)の相中に酸変性ポリオレフィン(C)が微粒子として分散している構造が例示される。
<好ましいモルホロジー3>
更に他の好ましいモルホロジーとしては、マトリックスがオレフィン系樹脂(B)と酸変性ポリオレフィン(C)となっており、脂肪族ポリアミド樹脂(A)が粒子として分散している構造が例示される。この構造では、さらに脂肪族ポリアミド樹脂(A)中に酸変性ポリオレフィン(C)の微粒子が存在している、いわゆるサラミ構造が好ましい。
なお、好ましいモルホロジー2,3の場合には、凍結割断した試料を10%リンタングステン酸水溶液中で80℃12時間染色し、走査型電子顕微鏡により反射電子像を得ることにより観察される。この場合、脂肪族ポリアミド樹脂(A)のみ、リンタングステン酸により染色されるため、反射電子像では白く観察される。
9.その他
本発明の樹脂組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲で、脂肪族ポリアミド樹脂(A)、オレフィン系樹脂(B)、及び酸変性ポリオレフィン(C)以外の他の成分も含有できる。他の成分としては、他の熱可塑性樹脂、難燃剤、難燃助剤、充填剤、着色剤、抗菌剤、帯電防止剤等を配合できる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
上記他の熱可塑性樹脂としては、例えば、脂肪族ポリエステル系樹脂(ポリブチレンサクシネート等)、芳香族ポリエステル系樹脂(ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート等)等が挙げられる。
上記難燃剤としては、ハロゲン系難燃剤(ハロゲン化芳香族化合物)、リン系難燃剤(窒素含有リン酸塩化合物、リン酸エステル等)、窒素系難燃剤(グアニジン、トリアジン、メラミン、及びこれらの誘導体等)、無機系難燃剤(金属水酸化物等)、ホウ素系難燃剤、シリコーン系難燃剤、硫黄系難燃剤、赤リン系難燃剤等が挙げられる。
上記難燃助剤としては、各種アンチモン化合物、亜鉛を含む金属化合物、ビスマスを含む金属化合物、水酸化マグネシウム、粘土質珪酸塩等が挙げられる。
上記充填剤としては、ガラス成分(ガラス繊維、ガラスビーズ、ガラスフレーク等)、シリカ、無機繊維(ガラス繊維、アルミナ繊維、カーボン繊維)、黒鉛、珪酸化合物(珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、カオリン、タルク、クレー等)、金属酸化物(酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アンチモン、アルミナ等)、カルシウム、マグネシウム、亜鉛等の金属の炭酸塩及び硫酸塩、有機繊維(芳香族ポリエステル繊維、芳香族ポリアミド繊維、フッ素樹脂繊維、ポリイミド繊維、植物性繊維等)が例示される。
上記着色剤としては、顔料及び染料等が挙げられる。
10.樹脂組成物の製造方法
上記樹脂組成物はどのようにして製造してもよく、その方法は特に限定されない。製造方法として、押出機による溶融混練やニーダーによる溶融混練等を使用できる。生産性の点からは、連続的に製造可能な押出機による溶融混練が好適に用いられる。押出機による溶融混練については、単軸押出機、二軸押出機、四軸押出機等の多軸押出機、二軸単軸複合押出機等の押出機を1台以上で使用できるが、混練性、反応性、生産性の向上の点から、二軸押出機、四軸押出機等の多軸押出機が好ましく使用でき、二軸押出機を用いた溶融混練による方法が好ましい。
より具体的には、例えば、次のようにして製造することができる。すなわち、上記各成分、さらに必要に応じて他の添加剤を常法に準じて適宜配合し、混練機にかけ加熱状態で溶融混練する。必要に応じて、これを室温下にて冷却固化させた後、公知の手段によって粉砕し、必要に応じてペレット状等に成形するという一連の工程を経由することにより目的とする樹脂組成物を製造することができる。
混練温度は、特に限定されない。混練温度としては、各成分の融点以上であることが好ましい。例えば、好ましくは190〜300℃であり、より好ましくは200〜290℃であり、特に好ましくは200〜280℃である。この範囲内であると、より衝撃強度を高くできる。
混練時間も特に限定されない。例えば、好ましくは1〜10分であり、より好ましくは2〜8分であり、特に好ましくは3〜6分である。この範囲内であると、より衝撃強度を高くできる。
11.樹脂組成物の用途
本発明の樹脂組成物は、従来のポリアミド化合物が適用されていた用途はもちろんのこと、その他の幅広い用途に利用できる。例えば、自動車、鉄道車両、船舶、飛行機等のあらゆる部材として利用できる。例えば、内装材及び外装材等として用いられる。このうち自動車用品としては、自動車用内装材、自動車用インストルメントパネル、自動車用外装材等が挙げられる。具体的には、ドア基材、パッケージトレー、ピラーガーニッシュ、スイッチベース、クオーターパネル、サイドパネル、アームレスト、自動車用ドアトリム、シート構造材、シートバックボード、天井材、コンソールボックス、自動車用ダッシュボード、各種インストルメントパネル、デッキトリム、バンパー、スポイラー、カウリング等が挙げられる。更に、例えば、建築物、家具等の内装材及び外装材等が挙げられる。即ち、ドア表装材、ドア構造材、各種家具(机、椅子、棚、箪笥等)の表装材等が挙げられる。その他、包装体、収容体(トレイ等)、保護用部材、パーティション部材等が挙げられる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。なお、以下の記載において、実験例2、3、4、5、6、7、8、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21が本発明の実施例に相当し、実験例1、9、10、11は比較例に相当する。
1.樹脂組成物の製造
1.1樹脂組成物(PA11)−(HDPE)−(PE−g−MAH)の製造
脂肪族ポリアミド樹脂(A)、オレフィン系樹脂(B)、酸変性ポリオレフィン(C)として、それぞれ以下に示す樹脂を用いた。

<PA11(脂肪族ポリアミド樹脂(A))>
メーカー:アルケマ株式会社製
グレード:RilsanB BESN O TL
密度:1.02g/cm(カタログ値)
融点:186℃
結晶化温度:159℃
分子量:数平均分子量(Mn)=18,800、
重量平均分子量(Mw)=37,500 分子量分布(Mw/Mn)=2

PA11の分子量測定装置:ゲル浸透クロマトグラフィー(東ソー(株)製 GPC−8121/HT)
分子量測定条件:溶離液に1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(トリフルオロ酢酸ナトリウムを5mmol/L添加)を用い、カラムはTSKgel−GMHHR−HとTSKgel−GMHHR−Nを直列接続し使用した。検量線はポリメタクリル酸メチル(PMMA)を標準試料として用い、測定は温度50℃、流速0.5ml/minにて行った。
<HDPE(オレフィン系樹脂(B))>
メーカー:日本ポリエチレン(株)製
グレード:NOVATEC HJ580
密度:0.96g/cm(カタログ値)
融点:134℃
結晶化温度:115℃
分子量:数平均分子量(Mn)=32,000、
重量平均分子量(Mw)=191,000、分子量分布(Mw/Mn)=3.03

HDPEの分子量測定装置:ゲル浸透クロマトグラフィー(東ソー(株)製 GPC−8121/HT)
分子量測定条件:溶離液に1,2,4−トリクロロベンゼン(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールBHT 0.05wt%添加)を用い、カラムはTSKgel−GMHHR−H(20)HTを2本直列接続し使用した。検量線はポリスチレンを標準試料として用い、測定は温度140℃、流速1ml/minにて行った。
<PE−g−MAH(酸変性ポリオレフィン(C))>
メーカー:アルケマ株式会社製
グレード:OREVAC OE808
密度:0.89 g/cm(カタログ値)
融点:115℃
結晶化温度:101℃
分子量:数平均分子量(Mn)=63,000、
重量平均分子量(Mw)=208,000 分子量分布(Mw/Mn)=6.5

PE−g−MAHの分子量測定装置:ゲル浸透クロマトグラフィー(東ソー(株)製GPC−8121/HT)
分子量測定条件:溶離液に1,2,4−トリクロロベンゼン(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールBHT 0.05wt%添加)を用い、カラムはTSKgel−GMHHR−H(20)HTを2本直列接続し使用した。検量線はポリスチレンを標準試料として用い、測定は温度140℃、流速1ml/minにて行った。
なお、上記3種類の材料全ての融点、結晶化温度の測定は、以下の装置及び条件で行った。
装置:示差走査熱量計(ブルカー・エイエックスエス株式会社製、
型式「DSC404 F3」)
測定条件:アルゴン雰囲気下、昇温速度10℃/min、冷却速度5℃/min
<実験例1>
これらの各樹脂をラボプラストミル(株式会社東洋精機製作所、型式「4C150」)を用い、混練温度を210℃(PA11、HDPE、及びPE−g−MAHの温度が190℃以上)に設定し、スクリュー回転数を75回転/分として、4分間混練を行い、樹脂組成物を得た。
実験例1における樹脂組成物の質量割合は、
PA11:HDPE:PE−g−MAH=85:13.5:1.5となるようにした。すなわち、実験例1では、脂肪族ポリアミド樹脂(A)と、オレフィン系樹脂(B)と、前記酸変性ポリオレフィン(C)の合計を100質量部とした場合に、オレフィン系樹脂(B)及び酸変性ポリオレフィン(C)の合計が15質量部である。また、オレフィン系樹脂(B)及び酸変性ポリオレフィン(C)の合計を100質量部とした場合に、酸変性ポリオレフィン(C)が10質量部である。
<実験例2>
樹脂組成物の質量割合を、
PA11:HDPE:PE−g−MAH=85:12:3となるようにした以外は実験例1と同様に行った。
すなわち、実験例2では、脂肪族ポリアミド樹脂(A)と、オレフィン系樹脂(B)と、前記酸変性ポリオレフィン(C)の合計を100質量部とした場合に、オレフィン系樹脂(B)及び酸変性ポリオレフィン(C)の合計が15質量部である。また、オレフィン系樹脂(B)及び酸変性ポリオレフィン(C)の合計を100質量部とした場合に、酸変性ポリオレフィン(C)が20質量部である。
<実験例3>
樹脂組成物の質量割合を、
PA11:HDPE:PE−g−MAH=85:9:6となるようにした以外は実験例1と同様に行った。
すなわち、実験例3では、脂肪族ポリアミド樹脂(A)と、オレフィン系樹脂(B)と、前記酸変性ポリオレフィン(C)の合計を100質量部とした場合に、オレフィン系樹脂(B)及び酸変性ポリオレフィン(C)の合計が15質量部である。また、オレフィン系樹脂(B)及び酸変性ポリオレフィン(C)の合計を100質量部とした場合に、酸変性ポリオレフィン(C)が40質量部である。
<実験例4>
樹脂組成物の質量割合を、
PA11:HDPE:PE−g−MAH=85:7.5:7.5となるようにした以外は実験例1と同様に行った。
すなわち、実験例4では、脂肪族ポリアミド樹脂(A)と、オレフィン系樹脂(B)と、前記酸変性ポリオレフィン(C)の合計を100質量部とした場合に、オレフィン系樹脂(B)及び酸変性ポリオレフィン(C)の合計が15質量部である。また、オレフィン系樹脂(B)及び酸変性ポリオレフィン(C)の合計を100質量部とした場合に、酸変性ポリオレフィン(C)が50質量部である。
<実験例5>
樹脂組成物の質量割合を、
PA11:HDPE:PE−g−MAH=85:6:9となるようにした以外は実験例1と同様に行った。
すなわち、実験例5では、脂肪族ポリアミド樹脂(A)と、オレフィン系樹脂(B)と、前記酸変性ポリオレフィン(C)の合計を100質量部とした場合に、オレフィン系樹脂(B)及び酸変性ポリオレフィン(C)の合計が15質量部である。また、オレフィン系樹脂(B)及び酸変性ポリオレフィン(C)の合計を100質量部とした場合に、酸変性ポリオレフィン(C)が60質量部である。
<実験例6>
樹脂組成物の質量割合を、
PA11:HDPE:PE−g−MAH=85:3:12となるようにした以外は実験例1と同様に行った。
すなわち、実験例6では、脂肪族ポリアミド樹脂(A)と、オレフィン系樹脂(B)と、前記酸変性ポリオレフィン(C)の合計を100質量部とした場合に、オレフィン系樹脂(B)及び酸変性ポリオレフィン(C)の合計が15質量部である。また、オレフィン系樹脂(B)及び酸変性ポリオレフィン(C)の合計を100質量部とした場合に、酸変性ポリオレフィン(C)が80質量部である。
<実験例7>
樹脂組成物の質量割合を、
PA11:HDPE:PE−g−MAH=85:0:15となるようにした以外は実験例1と同様に行った。
すなわち、実験例7では、脂肪族ポリアミド樹脂(A)と、オレフィン系樹脂(B)と、前記酸変性ポリオレフィン(C)の合計を100質量部とした場合に、オレフィン系樹脂(B)及び酸変性ポリオレフィン(C)の合計が15質量部である。また、オレフィン系樹脂(B)及び酸変性ポリオレフィン(C)の合計を100質量部とした場合に、酸変性ポリオレフィン(C)が100質量部である。
<実験例8>
樹脂組成物の質量割合を、
PA11:HDPE:PE−g−MAH=80:10:10となるようにした以外は実験例1と同様に行った。
すなわち、実験例8では、脂肪族ポリアミド樹脂(A)と、オレフィン系樹脂(B)と、前記酸変性ポリオレフィン(C)の合計を100質量部とした場合に、オレフィン系樹脂(B)及び酸変性ポリオレフィン(C)の合計が20質量部である。また、オレフィン系樹脂(B)及び酸変性ポリオレフィン(C)の合計を100質量部とした場合に、酸変性ポリオレフィン(C)が50質量部である。
<実験例9>
樹脂組成物の質量割合を、
PA11:HDPE:PE−g−MAH=70:30:0となるようにした以外は実験例1と同様に行った。
すなわち、実験例9では、脂肪族ポリアミド樹脂(A)と、オレフィン系樹脂(B)と、前記酸変性ポリオレフィン(C)の合計を100質量部とした場合に、オレフィン系樹脂(B)及び酸変性ポリオレフィン(C)の合計が30質量部である。また、オレフィン系樹脂(B)及び酸変性ポリオレフィン(C)の合計を100質量部とした場合に、酸変性ポリオレフィン(C)が0質量部である。
<実験例10>
樹脂組成物の質量割合を、
PA11:HDPE:PE−g−MAH=70:28.5:1.5となるようにした以外は実験例1と同様に行った。
すなわち、実験例10では、脂肪族ポリアミド樹脂(A)と、オレフィン系樹脂(B)と、前記酸変性ポリオレフィン(C)の合計を100質量部とした場合に、オレフィン系樹脂(B)及び酸変性ポリオレフィン(C)の合計が30質量部である。また、オレフィン系樹脂(B)及び酸変性ポリオレフィン(C)の合計を100質量部とした場合に、酸変性ポリオレフィン(C)が5質量部である。
<実験例11>
樹脂組成物の質量割合を、
PA11:HDPE:PE−g−MAH=70:27:3となるようにした以外は実験例1と同様に行った。
すなわち、実験例11では、脂肪族ポリアミド樹脂(A)と、オレフィン系樹脂(B)と、前記酸変性ポリオレフィン(C)の合計を100質量部とした場合に、オレフィン系樹脂(B)及び酸変性ポリオレフィン(C)の合計が30質量部である。また、オレフィン系樹脂(B)及び酸変性ポリオレフィン(C)の合計を100質量部とした場合に、酸変性ポリオレフィン(C)が10質量部である。
<実験例12>
樹脂組成物の質量割合を、
PA11:HDPE:PE−g−MAH=70:24:6となるようにした以外は実験例1と同様に行った。
すなわち、実験例12では、脂肪族ポリアミド樹脂(A)と、オレフィン系樹脂(B)と、前記酸変性ポリオレフィン(C)の合計を100質量部とした場合に、オレフィン系樹脂(B)及び酸変性ポリオレフィン(C)の合計が30質量部である。また、オレフィン系樹脂(B)及び酸変性ポリオレフィン(C)の合計を100質量部とした場合に、酸変性ポリオレフィン(C)が20質量部である。
<実験例13>
樹脂組成物の質量割合を、
PA11:HDPE:PE−g−MAH=70:18:12となるようにした以外は実験例1と同様に行った。
すなわち、実験例13では、脂肪族ポリアミド樹脂(A)と、オレフィン系樹脂(B)と、前記酸変性ポリオレフィン(C)の合計を100質量部とした場合に、オレフィン系樹脂(B)及び酸変性ポリオレフィン(C)の合計が30質量部である。また、オレフィン系樹脂(B)及び酸変性ポリオレフィン(C)の合計を100質量部とした場合に、酸変性ポリオレフィン(C)が40質量部である。
<実験例14>
樹脂組成物の質量割合を、
PA11:HDPE:PE−g−MAH=70:15:15となるようにした以外は実験例1と同様に行った。
すなわち、実験例14では、脂肪族ポリアミド樹脂(A)と、オレフィン系樹脂(B)と、前記酸変性ポリオレフィン(C)の合計を100質量部とした場合に、オレフィン系樹脂(B)及び酸変性ポリオレフィン(C)の合計が30質量部である。また、オレフィン系樹脂(B)及び酸変性ポリオレフィン(C)の合計を100質量部とした場合に、酸変性ポリオレフィン(C)が50質量部である。
<実験例15>
樹脂組成物の質量割合を、
PA11:HDPE:PE−g−MAH=70:12:18となるようにした以外は実験例1と同様に行った。
すなわち、実験例15では、脂肪族ポリアミド樹脂(A)と、オレフィン系樹脂(B)と、前記酸変性ポリオレフィン(C)の合計を100質量部とした場合に、オレフィン系樹脂(B)及び酸変性ポリオレフィン(C)の合計が30質量部である。また、オレフィン系樹脂(B)及び酸変性ポリオレフィン(C)の合計を100質量部とした場合に、酸変性ポリオレフィン(C)が60質量部である。
<実験例16>
樹脂組成物の質量割合を、
PA11:HDPE:PE−g−MAH=70:6:24となるようにした以外は実験例1と同様に行った。
すなわち、実験例16では、脂肪族ポリアミド樹脂(A)と、オレフィン系樹脂(B)と、前記酸変性ポリオレフィン(C)の合計を100質量部とした場合に、オレフィン系樹脂(B)及び酸変性ポリオレフィン(C)の合計が30質量部である。また、オレフィン系樹脂(B)及び酸変性ポリオレフィン(C)の合計を100質量部とした場合に、酸変性ポリオレフィン(C)が80質量部である。
<実験例17>
樹脂組成物の質量割合を、
PA11:HDPE:PE−g−MAH=70:0:30となるようにした以外は実験例1と同様に行った。
すなわち、実験例17では、脂肪族ポリアミド樹脂(A)と、オレフィン系樹脂(B)と、前記酸変性ポリオレフィン(C)の合計を100質量部とした場合に、オレフィン系樹脂(B)及び酸変性ポリオレフィン(C)の合計が30質量部である。また、オレフィン系樹脂(B)及び酸変性ポリオレフィン(C)の合計を100質量部とした場合に、酸変性ポリオレフィン(C)が100質量部である。
<実験例18>
樹脂組成物の質量割合を、
PA11:HDPE:PE−g−MAH=60:20:20となるようにした以外は実験例1と同様に行った。
すなわち、実験例18では、脂肪族ポリアミド樹脂(A)と、オレフィン系樹脂(B)と、前記酸変性ポリオレフィン(C)の合計を100質量部とした場合に、オレフィン系樹脂(B)及び酸変性ポリオレフィン(C)の合計が40質量部である。また、オレフィン系樹脂(B)及び酸変性ポリオレフィン(C)の合計を100質量部とした場合に、酸変性ポリオレフィン(C)が50質量部である。
<実験例19>
樹脂組成物の質量割合を、
PA11:HDPE:PE−g−MAH=50:25:25となるようにした以外は実験例1と同様に行った。
すなわち、実験例19では、脂肪族ポリアミド樹脂(A)と、オレフィン系樹脂(B)と、前記酸変性ポリオレフィン(C)の合計を100質量部とした場合に、オレフィン系樹脂(B)及び酸変性ポリオレフィン(C)の合計が50質量部である。また、オレフィン系樹脂(B)及び酸変性ポリオレフィン(C)の合計を100質量部とした場合に、酸変性ポリオレフィン(C)が50質量部である。
1.2樹脂組成物(PA6)−(HDPE)−(PE−g−MAH)の製造
脂肪族ポリアミド樹脂(A)、オレフィン系樹脂(B)、酸変性ポリオレフィン(C)として、それぞれ以下に示す樹脂を用いた。
<PA6(脂肪族ポリアミド樹脂(A))>
メーカー:東レ株式会社製
グレード:アミラン(登録商標) CM1017
密度:1.13g/cm(カタログ値)
融点:225℃
結晶化温度:190℃
分子量:数平均分子量(Mn)=22,400、
重量平均分子量(Mw)=37,400 分子量分布(Mw/Mn)=1.7

PA6の分子量測定装置:ゲル浸透クロマトグラフィー(島津製作所製(LC−20AD(送液ポンプ)、SIL−20A(オートサンプラー)、CTO−20A(カラムオーブン)、RID−20(示差屈折率検出器))
分子量測定条件:溶離液に1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(トリフルオロ酢酸ナトリウムを5mmol/L添加)を用い、カラムはTSKgel−GMHHR−HとTSKgel−GMHHR−Nを直列接続し使用した。検量線はポリメタクリル酸メチル(PMMA)を標準試料として用い、測定は温度40℃、流速0.5ml/minにて行った。
<HDPE(オレフィン系樹脂(B))>
上記「1.1樹脂組成物(PA11)−(HDPE)−(PE−g−MAH)の製造」に記載されたHDPEと同じものを用いた。
<PE−g−MAH(酸変性ポリオレフィン(C))>
上記「1.1樹脂組成物(PA11)−(HDPE)−(PE−g−MAH)の製造」に記載されたPE−g−MAHと同じものを用いた。
<実験例20>
これらの各樹脂を用いて二軸押出機(LTE16−40(Lab Tech社製))にてペレットを作製した。そして、ペレットを用いて射出成形を行い、多目的試験片(A1)を作製した。射出成形には、ハイブリッド式射出成形機(FNX140(日精樹脂工業(株)製))を用いた。
実験例20における樹脂組成物の質量割合は、
PA6:HDPE:PE−g−MAH=70:15:15となるようにした。すなわち、実験例20では、脂肪族ポリアミド樹脂(A)と、オレフィン系樹脂(B)と、前記酸変性ポリオレフィン(C)の合計を100質量部とした場合に、オレフィン系樹脂(B)及び酸変性ポリオレフィン(C)の合計が30質量部である。また、オレフィン系樹脂(B)及び酸変性ポリオレフィン(C)の合計を100質量部とした場合に、酸変性ポリオレフィン(C)が50質量部である。
<実験例21>
樹脂組成物の質量割合を、
PA6:HDPE:PE−g−MAH=15:70:15となるようにした以外は実験例20と同様に行った。
すなわち、実験例21では、脂肪族ポリアミド樹脂(A)と、オレフィン系樹脂(B)と、前記酸変性ポリオレフィン(C)の合計を100質量部とした場合に、オレフィン系樹脂(B)及び酸変性ポリオレフィン(C)の合計が85質量部である。また、オレフィン系樹脂(B)及び酸変性ポリオレフィン(C)の合計を100質量部とした場合に、酸変性ポリオレフィン(C)が18質量部である。
2. シャルピー衝撃試験
2.1 試験片の作製
それぞれの樹脂組成物について、金型を用いてJIS K7111−1に準拠したシャルピー衝撃試験用試験片に成形した。
2.2 試験方法
衝撃特性は、ノッチ付シャルピー試験を行い、シャルピー衝撃値を求めて評価した。試験片は、上述のように作製したJIS K7111−1試験片について、JIS K7111−1に準拠してノッチを付けて作製した。試験に当たっては、試験片の幅、厚みを測定した。測定にはシャルピー衝撃試験機、株式会社 東洋精機製作所DG−UBを用いた。
2.3 試験結果
表1〜6及び図1に試験結果を示す。
図1は、PE−g−MAH(酸変性ポリオレフィン(C))の含有量と、シャルピー衝撃値の関係を示したグラフである。このグラフでは、実験例1−7(白三角)、実験例9−17(黒四角)の結果を示している。
表1−5及び図1から、HDPE(オレフィン系樹脂(B))及びPE−g−MAH(酸変性ポリオレフィン(C))の合計を100質量部とした場合に、PE−g−MAHが20質量部よりも大きく、100質量部以下である場合には、耐衝撃性が高いことが分かる。特に、PE−g−MAHが40質量部よりも大きく、80質量部以下である場合には、耐衝撃性が極めて高いことが分かる。
また、表6から、PA6を用いた場合でも耐衝撃性が高いことが分かる。
3. 密度測定
3.1 測定方法
次の装置を用いて密度を測定した。測定には、以下の試料を用いた。なお、密度の測定には、窒素ガスを使用した。
装置:乾式自動密度計 AccuPyc II 1340−1CC(Micromeritics社製)

<実験例14>
PA11:HDPE:PE−g−MAH=70:15:15

<実験例20>
PA6:HDPE:PE−g−MAH=70:15:15

<実験例21>
PA6:HDPE:PE−g−MAH=15:70:15

<参考試料1>
特開2013−227423に開示されているPA11:HDPE=90:10

<参考試料2>
PA6(100%)

<参考試料3>
HDPE(100%)
3.2 測定結果
測定結果を以下に示す。この結果から本発明の樹脂組成物は、密度が低く、比較的軽量であることが確認された。なお、ここには記載していないが、PA11単独の密度は、1.02g/cmである。

実験例14の密度…0.994g/cm
実験例20の密度…1.0538g/cm
実験例21の密度…0.9693g/cm
PA11:HDPE=90:10の密度…1.018g/cm
PA6の密度…1.13g/cm
HDPEの密度…0.9508g/cm
4. 透過型電子顕微鏡(TEM)観察
4.1 観察条件
次の装置を用いて樹脂組成物のモルホロジーを観察した。観察には、実験例14の試料、すなわち、
PA11:HDPE:PE−g−MAH=70:15:15を用いた。
装置:透過型電子顕微鏡(日本電子製 JEM−1400Plus)
加速電圧:100kV
試料調製:RuO染色凍結超薄切片法
4.2 観察結果
図2に樹脂組成物の透過型電子顕微鏡(TEM)像を示す。図2から、樹脂組成物には、符号A1で示す粒子径250〜600nmの第1粒子と、符号B1で示す粒子径60〜110nmの第2粒子と、連続相があることが確認された。樹脂組成物がこのようなモルホロジーを有することによって、密度が比較的低く、衝撃強度が高くなっているものと推測される。
より詳細にモルホロジーを説明する。連続相には、ほぼ満遍なく粒子径60〜110nmの第2粒子が分散されており、所々に粒子径250〜600nmの第1粒子が点在している状態となっている。そして、第2粒子と第2粒子の間、第1粒子と第1粒子の間、第1粒子と第2粒子の間は、いずれも連続層によって埋められている。
5. 走査透過型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分光法(STEM−EDX)による測定
5.1 測定条件
次の装置を用いて走査透過型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分光法による測定を行った。測定には、実験例14の試料、すなわち、
PA11:HDPE:PE−g−MAH=70:15:15を用いた。
装置:原子分解能分析電子顕微鏡 (日本電子製 JEM−ARM200F Dual−X)
EDX検出器(日本電子製 JED2300 100mm シリコンドリフト(SDD)型)
加速電圧:200kV
試料調製:凍結超薄切片法
5.2 観察結果
図3にSTEM−EDXによるN元素(窒素原子)の分布を示す。図3のN元素の分布では、N元素が少ない部分は比較的暗く(黒く)、N元素が多い部分は比較的明るく(白く)なっている。
図3をみると、符号A2で示す粒子径250〜600nmの暗い部分、及び符号B2で示す粒子径60〜110nmの暗い部分が存在している。そして、連続層として比較的明るい部分C2の存在が確認された。
この結果から、符号A2で示す部分は、N元素が少ないことが分かる。よって、符号A2で示す部分は、N元素を有さないHDPE又はPE−g−MAHであることが分かる。同様に、符号B2で示す部分は、N元素が少ないことが分かる。よって、符号B2で示す部分は、N元素を有さないHDPE又はPE−g−MAHであることが分かる。
また、符号C2で示す部分は、比較的明るいから、N元素が多いことが分かる。よって、符号C2で示す部分は、アミド結合中にN元素を有するPA11であることが分かる。
図4にSTEM−EDXによるO元素(酸素原子)の分布を示す。図4は図3と同じ視野でのO元素分布が示されている。図4のO元素の分布では、O元素が少ない部分は比較的暗く(黒く))、O元素が多い部分は比較的明るく(白く)なっている。
図4をみると、符号A3で示す粒子径250〜600nmの暗い部分が存在している。
この結果から、符号A3で示す部分は、O元素が少ないことが分かる。よって、符号A3で示す部分は、O元素を有さないHDPEであることが分かる。
ここで、以上の結果をまとめながら考察する。図4の結果から、符号A3で示す粒子径250〜600nmの粒子は、HDPEである。また、図4の符号A3で示す粒子と、図3の符号A2で示す粒子とを比較すると、これらの存在位置及び大きさが、ほぼ一致することから、両者は同一であることが確認できる。よって、図3の符号A2で示す粒子はHDPEである。
また、図3では、符号A2で示す部分と符号B2で示す部分は、HDPE又はPE−g−MAHであることが分かった。上述のように、符号A2で示す粒子はHDPEなので、残る符号B2は、粒子径60〜110nmのPE−g−MAHである。
ここで、図5にHAADF−STEM像を示す。「HAADF−」は高角度環状暗視野(High Angle Annular Dark Field)を意味する。HAADF−STEM法は、高角度に散乱された電子を円環状検出器で受け、その強度を像として表示する方法である。HAADF−STEM像は、含有されている元素の原子番号が大きい程、また密度が高いほど白色を呈する特徴を持つ。
図5のHAADF−STEM像から、粒子径250〜600nmの粒子は比較的白く、密度が高く、粒子径60〜110nmの粒子は比較的暗い。よって、両者は、密度の違う異なる粒子であることが分かる。ここで、HDPEの密度は、0.96g/cmであり、PE−g−MAHの密度は0.89g/cmである。粒子径250〜600nmの粒子は比較的白くなっており、密度が高いからHDPEであり、粒子径60〜110nmの粒子は比較的暗くなっており、密度が低いからPE−g−MAHである。この図5の結果は、STEM−EDXによる上記結果と一致する。
以上の透過型電子顕微鏡、STEM−EDX、HAADF−STEMの各観察による結果をまとめると、次のようになる。
すなわち、本発明の樹脂組成物には、粒子径250〜600nmの第1粒子と、粒子径60〜110nmの第2粒子と、連続相がある。第1粒子がオレフィン系樹脂(HDPE)を含有する。第2粒子が酸変性ポリオレフィン(PE−g−MAH)を含有する。そして、第1粒子と、第2粒子との間に脂肪族ポリアミド樹脂(PA11)が連続層として存在する。
樹脂組成物がこのようなモルホロジーを有することによって、密度が比較的低く、衝撃強度が高くなっているものと推測される。
6. 走査型電子顕微鏡による反射電子像の観察
6.1 観察条件
凍結割断した樹脂組成物を10%リンタングステン酸水溶液中で80℃12時間染色し、走査型電子顕微鏡(日本電子製 JSM−6510LV)により反射電子像を得た。
PA11のみ、リンタングステン酸により染色されるため、反射電子像では白く観察される。
観察には、以下の試料を用いた。

・実験例14の試料(PA11:HDPE:PE−g−MAH=70:15:15)
・実験例18の試料(PA11:HDPE:PE−g−MAH=60:20:20)
・実験例19の試料(PA11:HDPE:PE−g−MAH=50:25:25)
6.2 観察結果
図6に、実験例14のSEM観察像(反射電子像 30,000倍)を示す。
図7に、実験例18のSEM観察像(反射電子像 30,000倍)を示す。
図8に、実験例18のSEM観察像(反射電子像 10,000倍)を示す。
図9に、実験例19のSEM観察像(反射電子像 30,000倍)を示す。
図10に、実験例19のSEM観察像(反射電子像 10,000倍)を示す。
実験例14(図6)では、マトリックスがPA11であり、HDPEとPE−g−MAHの粒子が分散している構造である。一方、実験例18(図7、図8)では、PA11とHDPEが共連続構造のようであり、かつPA11相中にPE成分(PE−g−MAHと思われる)が微粒子として分散しているようにみられる。
また、実験例19(図9、図10)ではマトリックスがPE成分(HDPEとPE−g−MAH)となっており、PA11が粒子として分散しており、さらにPA11中にPE成分(PE−g−MAHと思われる)の微粒子が存在しているようにみられる(サラミ構造)。
なお、これらの樹脂組成物のシャルピー衝撃値は、いずれも約50kJ/m以上となっており、高強度であった。
<実施例の効果>
本実施例の樹脂組成物は、密度が比較的低く、衝撃強度が高い。従って、本実施例の樹脂組成物を用いることで、部材の軽量化を図ることができる。
前述の例は単に説明を目的とするものでしかなく、本発明を限定するものと解釈されるものではない。本発明を典型的な実施形態の例を挙げて説明したが、本発明の記述および図示において使用された文言は、限定的な文言ではなく説明的および例示的なものであると理解される。ここで詳述したように、その形態において本発明の範囲または本質から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更が可能である。ここでは、本発明の詳述に特定の構造、材料および実施例を参照したが、本発明をここにおける開示事項に限定することを意図するものではなく、むしろ、本発明は添付の特許請求の範囲内における、機能的に同等の構造、方法、使用の全てに及ぶものとする。
本発明は上記で詳述した実施形態に限定されず、本発明の請求項に示した範囲で様々な変形または変更が可能である。
本発明の樹脂組成物は、幅広い用途に利用できる。例えば、自動車、鉄道車両、船舶、飛行機等のあらゆる部材として利用できる。
A1,A2,A3…粒子径250〜600nmの第1粒子(HDPE)
B1,B2…粒子径60〜110nmの第2粒子(PE−g−MAH)
C1,C2…脂肪族ポリアミド樹脂(PA11)の連続層

Claims (6)

  1. 脂肪族ポリアミド樹脂(A)と、オレフィン系樹脂(B)と、酸変性ポリオレフィン(C)と、を含む樹脂組成物であって、
    前記脂肪族ポリアミド樹脂(A)と、前記オレフィン系樹脂(B)と、前記酸変性ポリオレフィン(C)の合計を100質量部とした場合に、前記オレフィン系樹脂(B)及び前記酸変性ポリオレフィン(C)の合計が10質量部以上90質量部以下であり、
    前記オレフィン系樹脂(B)及び前記酸変性ポリオレフィン(C)の合計を100質量部とした場合に、前記酸変性ポリオレフィン(C)が15質量部以上、100質量部以下であることを特徴とする樹脂組成物。
  2. 密度が、0.93〜1.06g/cmであることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記オレフィン系樹脂(B)は、全構成単位数のうち80%以上がエチレンに由来する構成単位であるエチレン系重合体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記脂肪族ポリアミド樹脂(A)が、炭素原子数が11であるアミド結合含有単位を主鎖に含む脂肪族ポリアミド樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  5. 前記脂肪族ポリアミド樹脂(A)が、ポリアミド6であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  6. 前記オレフィン系樹脂(B)が、高密度ポリエチレンであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
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