JP2018143163A - 光照射装置及び光照射システム - Google Patents

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JP2018143163A JP2017041120A JP2017041120A JP2018143163A JP 2018143163 A JP2018143163 A JP 2018143163A JP 2017041120 A JP2017041120 A JP 2017041120A JP 2017041120 A JP2017041120 A JP 2017041120A JP 2018143163 A JP2018143163 A JP 2018143163A
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雄太 中島
金市 森田
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金市 森田
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Abstract

【課題】 細胞培養や細胞の動態制御における容器の表面状態の制御パラメータを明らかにするために、表面状態を様々な条件で制御可能な光照射装置等を提供する。【解決手段】 容器の表面に光を照射する光照射装置であって、前記容器を載せるためのステージと、光触媒物質が光触媒活性を示す波長域の光である活性光を照射する光触媒用光源と、175nm以下の波長の真空紫外光を放出するVUV光源と、前記活性光及び前記真空紫外光以外の光が、前記ステージに置かれた前記容器に入射することを遮る遮光部とを備える、光照射装置である。【選択図】図1

Description

本発明は、光照射装置及び光照射システムに関し、特に、容器の表面に光を照射する光照射装置に関するものである。
細胞の性質や機能の明確化、医薬品有効性の評価、抗体医薬の生産等を目的として、細胞は培養される。また近年研究が進んでいる再生医療技術においても、患者の患部に移植する前に幹細胞等が培養される。培養細胞は、種々の用途において重要であるため、培養細胞の動態を制御する技術が求められている。
培養細胞の動態に影響を及ぼす1つの要素は、細胞等の生体分子を取り扱うための容器(シャーレ、ディッシュ)の表面状態である。例えば、容器の表面に細菌や不純物(コンタミネーション)が付着している場合、均一に細胞を付着させることが困難となる。また、容器の表面状態が疎水性であると、容器表面に細胞を播種したとしても、細胞の容器表面への付着性が弱く、良好な細胞培養を行うことができない。このように、容器の表面状態によっては、当該容器に細胞を播種し、細胞を培養する際、良好な細胞培養を行うことが難しい場合がある。
そこで、良好な細胞培養を行うための技術の一つとして、細胞の播種前の細胞培養表面に波長200nm以下の真空紫外光(VUV光)を照射してオゾンを発生させ、当該表面に付着している有機化合物等を分解除去してクリーニングする光洗浄技術が知られている(特許文献1)。
また、オゾン及び紫外線(184nm、254nm)をパラメータとして、細胞の播種前の細胞培養表面の除菌(有機化合物の分解除去)だけでなく、濡れ性の制御(親水化)による表面改質までも行える表面処理装置も知られている(非特許文献1)。具体的には、非特許文献1の表面処理装置は、放電式オゾン発生器、オゾン発生UVランプ、オゾン分解器等から構成され、予熱・加湿用ヒータにより外部環境温度の影響を受けずに安定した条件でオゾン/UV処理が可能であるとされている。
また、容器の表面状態は、細胞の細胞培養表面への付着性だけではなく、培養中の細胞の動態にも影響を及ぼすことが考えられる。本発明の発明者らは、細胞培養容器が酸化チタンである場合、酸化チタンの光触媒反応が細胞外と細胞質との電位差である膜電位の減少を引き起こし、細胞におけるプロトンポンプ作用に影響が及び、培養中の細胞の動態に影響が及ぶことを見出した(特許文献2参照)。
このように、細胞の播種前のみならず、細胞培養中においても、容器の表面状態の制御は重要である。
特開2014−193249号 特願2016−222215号 特開2013−198507号
「加温・加湿機能付 オゾン/UV表面処理装置 型式:EKBIO−1100」、[online]、荏原実業株式会社、[平成29年3月2日検索]、インターネット<URL:http://ejooo.com/wp-content/uploads/2014/01/EKBIO-1100.pdf>
しかしながら、そもそも細胞の機能化や分化等の細胞動態については未知なる部分が多いため、容器の表面状態が細胞にどのように影響を及ぼすか、容器の表面状態をどのように制御すればよいかは必ずしも明確ではない。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、細胞培養や細胞の動態制御における容器の表面状態の制御パラメータを明らかにするために、表面状態を様々な条件で制御可能な光照射装置等を提供することを目的とする。
本発明の第1の観点は、容器の表面に光を照射する光照射装置であって、前記容器を載せるためのステージと、光触媒物質が光触媒活性を示す波長域の光である活性光を照射する光触媒用光源と、175nm以下の波長の真空紫外光を放出するVUV光源と、前記活性光及び前記真空紫外光以外の光が、前記ステージに置かれた前記容器に入射することを遮る遮光部とを備える、光照射装置である。
本発明の第2の観点は、第1の観点の光照射装置であって、前記活性光は、240nmよりも波長が長い光のみを含む。
本発明の第3の観点は、第1又は第2の観点の光照射装置であって、前記ステージを上下に駆動させるステージ駆動部とをさらに備える。
本発明の第4の観点は、容器の表面に光を照射する光照射システムであって、前記容器を載せるためのステージと、光触媒物質が光触媒活性を示す波長域の光である活性光を照射する光触媒用光源と、175nm以下の波長の真空紫外光を放出するVUV光源と、前記活性光及び前記真空紫外光以外の光が、前記ステージに置かれた前記容器に入射することを遮る遮光部と、前記容器を入れるための密閉可能なチャンバ部と、前記チャンバ部の内部に、酸素を含む気体を供給する気体供給部とを備える、光照射システムである。
本発明の第5の観点は、第4の観点の光照射システムであって、前記気体供給部は、大気より酸素濃度が低い気体を供給する、光照射システムである。
本発明の各観点によれば、細胞培養容器の上に播種した細胞の動態を制御する光照射装置等を提供することが可能になる。本発明は、細胞培養容器の親水化により間接的に細胞を制御するのではなく、細胞が播種された細胞培養容器における光触媒活性により細胞の動態をより直接的に制御できるという、本発明の発明者らが初めて明らかにした技術的思想に基づくものである。
ここで、室内光にも光触媒反応を起こす波長域の光が含まれているが、細胞を播種する前に細胞培養容器を親水化する表面改質を行うだけであれば、室内光による光触媒反応までも厳密に制御する必要はなかった。しかし、本発明に関しては、細胞が播種された細胞培養容器に室内光が入射すると、細胞培養容器上の細胞の動態に影響が出てしまう。本発明の各観点によれば、遮光部により室内光等の外部光の影響を排除した状態で精密に細胞の動態制御を行うことが可能となる。
また、本発明の各観点によれば、VUV光源からの真空紫外光(VUV光)による細胞培養容器の表面改質を行うことも可能になる。
さらに、本発明の各観点によれば、下記従来技術の2つの問題点を解決できる。
<問題点1>
従来の放電式オゾン発生方式の表面処理装置においては、原料ガスとして酸素ガスのみを用いる必要があった。非特許文献1の表面処理装置は、反応室内を酸素でパージして、放電(無声放電)でオゾンを発生させている。しかしながら、酸素ガスは支燃性ガスであり、取扱いに注意を有する。また、原料ガスとして清浄乾燥空気を使用することも考えられるが、放電式の場合、オゾン以外に副生成物として生成するNOxの影響も考慮する必要があった。
この点、本発明の各観点によれば、放電式ではなくVUVでオゾンを発生させるため、酸素ガスを使用しない。また、NOxも発生しない。
<問題点2>
また、非特許文献1の表面処理装置は波長254nm、185nmの紫外線を放出するオゾン発生UVランプを有している。このオゾン発生UVランプを用いれば、原料ガスとして清浄乾燥空気を使用してもNOxが生成されることはない。しかしながら、185nmはオゾン生成波長であるが、254nmはオゾン分解波長であるので、このようなオゾン発生UVランプを使用すると、オゾンの生成と分解の反応が並列して発生し、さらに分解反応で生じた酸素原子(O)がオゾンと反応してオゾンが減少するので、効率的なオゾン発生は期待できなかった。
この点、本発明の各観点によれば、VUV光源として175nm以下の波長の真空紫外光を用いる。そのため、光触媒用光源とVUV光源とを分けて用いることにより、オゾン発生時にオゾンの分解反応が起きず、効率的にオゾンを発生させることが容易となる。
本発明の第2の観点によれば、細胞にとってストレスとなるオゾンの発生を防ぐことが可能になる。
本発明の第3の観点によれば、VUV光源と細胞培養容器の距離を調整することで、さらに、細胞培養容器の表面においてオゾン又は励起一重項酸素を発生させることが容易になる。
本発明の第4の観点によれば、細胞培養容器の表面において、従来よりも高濃度のオゾン又は励起一重項酸素を発生させ、表面改質を行うことが容易になる。
大気雰囲気下では、VUV光源付近の酸素によりVUVが吸収されて減衰する。そのため、細胞培養容器とVUV光源が離れている場合には、細胞培養容器の表面付近にVUVが到達せず、オゾン又は励起一重項酸素による表面改質が行えない。本発明の第5の観点によれば、大気より酸素濃度が小さい気体雰囲気下にすることで、VUV光源付近でのVUVの減衰が低減され、細胞培養容器の表面付近におけるVUVの光強度を高くすることが可能になる。
本発明の生物培養容器の改質装置の構成例を示す図である。 本発明の生物培養容器の改質装置に用いる希ガス蛍光ランプの構成例を示す図である。 希ガス蛍光ランプの分光放射スペクトルを示す図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施例について述べる。なお、本発明の実施の形態は、以下の実施例に限定されるものではない。
図1に本発明の生物培養容器1(本願請求項に記載の「細胞培養容器」の一例)の改質装置3(本願請求項に記載の「容器表面制御装置」の一例)の構成例を示す。上記改質装置3は、生物培養容器1が設置されるチャンバ5(本願請求項に記載の「チャンバ部」及び「遮光部」の一例)を有する。チャンバ5は図示を省略した扉部があり、当該扉部からチャンバ5内に生物培養容器1の出し入れが行われる。なお、チャンバ5は前記扉部が閉状態のときには、外部からの光は当該チャンバ5内に入射しない。すなわち、前記扉部が閉状態の場合、チャンバ5は外部からの光の入射を遮光する遮光部としても機能する。チャンバ5内には、生物培養容器1が設置されるステージ7(本願請求項に記載の「ステージ」の一例)が設けられる。ステージ7は上下動方向に高さを調整することが可能となっている。ステージ7の高さ調整は、手動で行ってもよいし、図示を省略したステージ7を駆動するステージ駆動機構(本願請求項に記載の「ステージ駆動部」の一例)を制御することにより行ってもよい。
チャンバ5内上部には、波長175nm以下の真空紫外線を放出するVUVランプ9(本願請求項に記載の「VUV光源」の一例)が設けられている。VUVランプ9としては、例えば波長172nmのVUV光を放出するキセノンエキシマランプが採用される。VUVランプ9への給電は、ランプ電源11から行われる。
また、チャンバ5内上部には、酸化チタン基板に光触媒作用を奏させる波長域の光を照射するための光触媒用光源13(本願請求項に記載の「光触媒用光源」の一例)が設けられる。酸化チタンが光触媒活性を示す波長域は、例えば400nm以下又は378.5nm以下、好ましくは、200〜400nm、250〜400nm、300〜400nm、又は350〜400nmである。光触媒用光源13としては、水銀ランプ、希ガス蛍光ランプ、メタルハライドランプ、LED等が用いられる。図1は水銀ランプを用いる場合を示している。なお図1において、光触媒用光源13(水銀ランプ)とVUVランプ9(Xeエキシマランプ)は、上下方向に配置されているが、これは理解を容易にするためであり、同一平面上に並列に配置してもよい。なお、光触媒用光源13への給電は、光源用電源15から行われる。
また、チャンバ5には、チャンバ5内の雰囲気を調整するために、窒素ガス供給管17、窒素/酸素バランスガス供給管19、ガス排出管21が接続されている。窒素ガス供給管17は、第1バルブ23を介して窒素ガス供給器25に接続されている。窒素ガス供給器25からの窒素ガスは、第1バルブ23が開状態のとき窒素ガス供給管17からチャンバ5内に供給される。窒素/酸素バランスガス供給管19は、第2バルブ27を介して窒素/酸素バランスガス供給器29に接続されている。窒素/酸素バランスガス供給器29からの窒素/酸素バランスガスは、第2バルブ27が開状態のとき窒素/酸素バランスガス供給管19からチャンバ5内に供給される。
ガス排出管21は、第3バルブ31を介し真空ポンプ等のガス排出器33に接続されている。チャンバ5内のガスは、ガス排出器33が稼働し、第3バルブ31が開状態であるとき、ガス排出管21からチャンバ5外に排出される。なお、例えば、チャンバ5内を窒素/酸素バランスガスや窒素ガスでパージする際、チャンバ5内のガスを外部に放出して問題ない場合は、ガス排出管21にガス排出器33を接続せず、そのままガス排出管21から外部にチャンバ5内のガスを放出するように構成してもよい。
上記したVUVランプ9に給電するランプ電源11の動作、光触媒用光源13に給電する光源用電源15の動作、第1バルブ23の開閉動作、第2バルブ27の開閉動作、第3バルブ31の開閉動作、窒素ガス供給器25の動作、窒素/酸素バランスガス供給器29の動作、ガス排出器33の動作、不図示のステージ駆動機構によるステージ7の上下動動作は、制御部35により制御される。
以下、本発明の生物培養容器1の改質装置3の動作パラメータの調整例を示す。
1.オゾン処理による改質
制御部35により、窒素/酸素バランスガス供給器29が動作し、バルブ2が開状態とされて、チャンバ5内に窒素/酸素バランスガス(本願請求項に記載の「大気より低濃度の酸素を含む気体」の一例)が供給される。なお、窒素/酸素バランスガス供給器29は、窒素/酸素バランスガスの流量を調節可能な流量調整機能を有しているものとする。また、制御部35により、ガス排出器33が動作し、バルブ3が開状態とされて、チャンバ5内のガスがチャンバ5から排出される。窒素/酸素バランスガスの単位時間あたりの流入量、ガス排出器33からの単位時間あたりの排出量が適宜、制御部35により設定されることにより、チャンバ5内が窒素/酸素バランスガスによりパージされる。
次に、制御部35により、ランプ電源11からVUVランプ9への給電を行い、上記VUVランプが点灯する。その結果、チャンバ5内にVUV光(172nm)が照射され、下記の式(1)及び(2)に基づき、オゾンが光生成される。
すなわち、窒素/酸素バランスガス中の酸素分子(O)がVUV光を吸収して、酸素原子(O)に光解離する(式(1))。この酸素原子(O)と酸素分子と第三の物質M(例えば、窒素分子:Nや酸素分子:O)の三体衝突により、オゾン(O)が生成される(式(2))。上記第三の物質Mは、OとOとの結合時に生じる余分なエネルギーを吸収する。このようにして生成したオゾンにより、ステージ7に載置されたシャーレ等の生物培養容器1の表面が改質される。
本発明においては、オゾン生成にVUVランプ9からのVUV光(例えば、172nm)を用いている。このようなVUVランプ9から放出される光は、従来の改質装置のような、オゾン分解波長光を含まないので、効率的なオゾン発生は期待でき、高濃度のオゾンをパラメータとして表面改質を行うことが可能となる。
なお、波長172nmの光は、酸素に激しく吸収されるので、大気中では数mm程度しか透過しない。一方、生物培養容器1がシャーレの場合、周縁部の壁部の高さが10mm程度ある。そのため、VUVランプ9とシャーレ表面(底面)との距離が10mmより大きくなるので、VUV光はシャーレ表面には到達しない。そのため、シャーレ表面付近では、オゾンが発生せず、オゾンでのシャーレ表面の改質は困難となる。
そのような不具合を防止するために、本発明においては、大気と比較して酸素濃度が小さい窒素/酸素バランスガスを用いて、当該ガスでのVUV光の到達距離を大きくしている。また、できるだけ、生物培養容器1であるシャーレとVUVランプ9との距離を小さくするために、生物培養容器1を載置したステージ7を上下動可能なように構成している。すなわち、当該ステージ7を上方向に移動させて、生物培養容器1であるシャーレとVUVランプ9との距離を小さくすることが可能となる。なお、生物培養容器1が平板状基板の場合、ステージ7の駆動によりVUVランプと基板表面との距離を数mmに設定することが可能となる。この場合は、大気と同等の酸素濃度である窒素/酸素バランスガスを用いることが可能となる。
2.酸素原子による改質
本発明の改質装置3によれば、酸素原子により生物培養容器1の表面を改質することも可能となる。具体的には、励起一重項酸素O(D)による酸化処理となる。波長300nm以下の紫外線(例えば、オゾン分解波長である254nm)を用いる場合、O(D)は、式(3)のようなオゾン分解反応により生じる。
ここで紫外線が175nmより長ければ、酸素は式(4)のように原子状酸素に分解されるが、反応性の高いO(D)は得られず、基底状態の原子状酸素O(P)が得られる。よって、O(D)を得るには、式(3)のように、オゾンを分解する必要がある。
ここで、本発明のように、波長175nm以下の紫外線を用いる場合、式(5)のように、酸素の直接分解でO(D)を得ることが可能となる。
なお、オゾン処理による改質のときと同様、波長175nm以下の光は、酸素に激しく吸収されるので、大気中では数mm程度しか透過しない。よって、VUVランプ9と生物培養容器1の改質面との距離を数mmに設定することが困難である場合、オゾン処理による改質のときと同様、本発明の改質装置3においては、大気と比較して酸素濃度が小さい窒素/酸素バランスガスを用いて、当該ガスでのVUV光の到達距離を大きくしている。また、できるだけ、生物培養容器1の改質面とVUVランプ9との距離を小さくするために、生物培養容器1を載置したステージ7を上下動可能なように構成している。すなわち、当該ステージ7を上方向に移動させて、生物培養容器1の改質面とVUVランプ9との距離を小さくすることが可能となる。
波長175nm以下のVUV光にて生じせしめたO(D)による改質処理として、チタン基板表面のチタニア(酸化チタン)化がある。発明者らは、波長172nmのVUV光をチタン基板に照射して、表面のチタニア化を行った。チタン基板上でのVUV照度を1〜100mW/cm、3〜50mW/cm、又は5〜20mW/cmとした。チタン基板表面に、光触媒作用を奏することが可能な酸化チタンを生成するまでの照射時間は、VUV照度が1〜100mW/cmのときは3〜60分間、3〜50mW/cmのときは5〜40分間、5〜20mW/cmときは10〜30分間であった。
3.VUV光照射による改質
制御部35により、窒素ガス供給器25が動作し、バルブ1が開状態とされて、チャンバ5内に窒素ガスが供給される。なお、窒素ガス供給器25は、窒素ガスの流量を調節可能な流量調整機能を有しているものとする。また、制御部35により、ガス排出器33が動作し、バルブ3が開状態とされて、チャンバ5内のガスがチャンバ5から排出される。窒素ガスの単位時間あたりの流入量、ガス排出器33からの単位時間あたりの排出量が適宜、制御部35により設定されることにより、チャンバ5内が窒素ガスによりパージされる。
次に、制御部35により、ランプ電源11からVUVランプ9への給電を行い、上記VUVランプ9が点灯する。その結果、チャンバ5内にVUV光(Xeエキシマランプの場合、波長172nm光)が照射される。ここで、チャンバ5内は窒素ガスでパージされているので、チャンバ5内でのVUV光の減衰は起こらない。よって、生物培養容器1の表面にVUV光を照射することが可能となる。波長175nm以下のVUV光は高エネルギーフォトンであるので、このVUV光が生物培養容器1の表面に照射され吸収されると、生物培養容器1を構成する物質の構造を変化させる作用が生じる。すなわち、本発明の改質装置3によれば、上記VUV光照射による生物培養容器1表面の改質を行うことが可能となる。
上記した改質は、先に述べたようなオゾンや酸素原子が関与しない改質となる。従来、シャーレ等の洗浄は、オゾン処理による改質を用いている。オゾン処理による改質により、シャーレの表面が親水化され、当該表面への細胞の付着性が高くなるとされてきた。しかし、発明者らの実験により、オゾン処理による洗浄処理ではシャーレ表面が超親水化表面となり、実際には当該シャーレ表面への細胞の付着性は必ずしも向上しないことが明らかになった。ここで、VUV光による表面改質によれば、出力や照射時間のコントロールによりシャーレ表面の状態をオゾン処理のときよりも詳細に制御できる可能性を見出した。これにより、例えば、水の接触角を精密に調整できるため、シャーレ表面への細胞の付着性が向上する最適条件を見出すことができる。
従来の改質装置は、上記したように、UV/オゾン処理を念頭において構成されているので、本発明の改質装置3のような紫外線そのものの照射による表面改質は考えられていない。また、そもそも従来の改質装置はVUVランプを使用していないので、VUV光照射による生物培養容器1表面の改質を行うことはできない。
4.細胞培養
本発明の生物培養容器1の改質装置3は、単に容器表面を改質するばかりではなく、生物培養容器1に播種された細胞培養および細胞内容中への細胞の動態制御も可能であるという特徴を有する。
4−1.細胞培養雰囲気の調整
生物培養容器1に播種された細胞を培養する場合、がん細胞等の嫌気性細胞は嫌気性雰囲気を必要とする。この場合、本発明の改質装置3は、以下の手順によりチャンバ5内部を嫌気性雰囲気に調整することが可能となる。すなわち、制御部35により窒素ガス供給器25が動作し、バルブ1が開状態とされて、チャンバ5内に窒素ガスが供給される。なお、窒素ガス供給器25は、窒素ガスの流量を調節可能な流量調整機能を有しているものとする。また、制御部35により、ガス排出器33が動作し、バルブ3が開状態とされて、チャンバ5内のガスがチャンバ5から排出される。窒素ガスの単位時間あたりの流入量、ガス排出器33からの単位時間あたりの排出量が適宜、制御部35により設定されることにより、チャンバ5内が窒素ガスによりパージされる。
4−2.細胞動態制御
先に述べたように、発明者らは、特許文献2において、生物培養容器1(細胞培養容器)が酸化チタンである場合、酸化チタンの光触媒反応が細胞外と細胞質との電位差である膜電位の減少を引き起こし、細胞におけるプロトンポンプ作用に影響が及び、培養中の細胞の動態に影響が及ぶことを報告している。
上記した光触媒作用を制御するために、本発明の改質装置3は、酸化チタンからなる生物培養容器1に播種された細胞の培養中に、酸化チタン製生物培養容器1において光触媒作用を奏させる波長域の光を照射するための光触媒用光源13が設けられている。この光触媒用光源13の光の強度や照射時間、細胞培養過程(誘導期、対数増殖期、定常期、死滅期)のどのタイミングで照射するか等を制御することにより、培養細胞の動態を制御することが可能となる。
上記したように、光触媒用光源13としては、水銀ランプ、希ガス蛍光ランプ、メタルハライドランプ、LED等が用いられる。また、酸化チタン基板にて光触媒作用を奏させる波長域は、好ましくは200〜400nm、250〜400nm、300〜400nm、又は350〜400nmである。
ここで、雰囲気に酸素を含む場合、波長約240nm以下の光が酸素に吸収されると、上記(1)式のように酸素の分解が起こり、(2)式に従いオゾンが生成する。細胞によっては、オゾンはストレスの原因となるので、細胞培養雰囲気にはオゾン濃度ができるだけ低い方が望ましい場合がある。
上記のような場合、光触媒用光源13としては、波長240nm以下の光がカットされていて、240〜400nmの波長域の光を放出するような特性のものが好ましい。このような要請に対応可能なのは、希ガス蛍光ランプである。
図2に、希ガス蛍光ランプ41の構成例を示す。同図(a)は管軸を含む平面で切った断面図を示し、(b)は(a)のA−A線断面図を示す。図2において、希ガス蛍光ランプ41は一対の電極43、45を有し、電極43、45は例えばガラスからなる容器(発光管)47の外周面に配設され、電極43,45の外側には保護膜49が設けられる。容器47の内周面の光出射方向側に対して反対側の内面に紫外線反射膜51が設けられ(図2(b)参照)、その内周に低軟化点ガラス層53が設けられ、この低軟化点ガラス層53の内周面に、蛍光体層55が設けられる。容器47内の放電空間Sにはキセノン、アルゴン、クリプトンなどの希ガスが封入される。
電極43,45に高周波電圧が印加されると、電極43,45間に誘電体(ガラスからなる発光管)を介在させた放電(いわゆる誘電体バリア放電)が形成され、放電空間に封入されたガスがキセノンガスの場合は波長172nmの紫外光が発生する。ここで得られる紫外光は、蛍光体の励起用の光であり、蛍光体層を照射することにより、蛍光体層から蛍光体の組成に応じた紫外光が発生し、この光は紫外線反射膜51で反射され、紫外線反射膜51が設けられていない開口部分から外部に放射される。希ガス蛍光ランプは、放射する光の波長域を蛍光物質の配合などにより変更することができる。
図3に、希ガス蛍光ランプ41の分光放射スペクトルの例を示す。横軸は波長(nm)、縦軸は分光放射照度(μW/cm/nm)である。ここで用いた希ガス蛍光ランプは、放電空間Sにキセノンを主成分とした希ガスが封入されており、蛍光体層15には、セリウム付活アルミン酸マグネシウム・ランタン(La−Mg−Al−O:Ce)蛍光体(略称LAM蛍光体)が用いられている。
図3に示すように、上記した例の希ガス蛍光ランプ41から放出される光の波長域は、およそ300〜450nmであり、ピーク波長は約340nmとなる。このランプからは波長240nm以下の光が放出されないので、当該ランプは、オゾンにストレスを受ける細胞の動態を、光触媒作用を利用して行う場合においては好適である。
1・・・生物培養容器、3・・・改質装置、5・・・チャンバ、7・・・ステージ、9・・・VUVランプ、11・・・ランプ電源、13・・・光触媒用光源、15・・・光源用電源、17・・・窒素ガス供給管、19・・・窒素/酸素バランスガス供給管、21・・・ガス排出管、23・・・第1バルブ、25・・・窒素ガス供給器、27・・・第2バルブ、29・・・窒素/酸素バランスガス供給器、31・・・第3バルブ、33・・・ガス排出器、35・・・制御部、41・・・希ガス蛍光ランプ、43・・・電極、45・・・電極、47・・・容器(発光管)、49・・・保護膜、51・・・紫外線反射膜、53・・・低軟化点ガラス層、55・・・蛍光体層

Claims (5)

  1. 容器の表面に光を照射する光照射装置であって、
    前記容器を載せるためのステージと、
    光触媒物質が光触媒活性を示す波長域の光である活性光を照射する光触媒用光源と、
    175nm以下の波長の真空紫外光を放出するVUV光源と、
    前記活性光及び前記真空紫外光以外の光が、前記ステージに置かれた前記容器に入射することを遮る遮光部とを備える、光照射装置。
  2. 前記活性光は、240nmよりも波長が長い光のみを含む、請求項1記載の光照射装置。
  3. 前記ステージを上下に駆動させるステージ駆動部とをさらに備える、請求項1又は2記載の光照射装置。
  4. 容器の表面に光を照射する光照射システムであって、
    前記容器を載せるためのステージと、
    光触媒物質が光触媒活性を示す波長域の光である活性光を照射する光触媒用光源と、
    175nm以下の波長の真空紫外光を放出するVUV光源と、
    前記活性光及び前記真空紫外光以外の光が、前記ステージに置かれた前記容器に入射することを遮る遮光部と、
    前記容器を入れるための密閉可能なチャンバ部と、
    前記チャンバ部の内部に、酸素を含む気体を供給する気体供給部とを備える、光照射システム。
  5. 前記気体供給部は、大気より酸素濃度が低い気体を供給するものであることを特徴とする、請求項4に記載の光照射システム。
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神之浦 雅輝 他: "チタン基板の光機能化が骨芽細胞の接着や活性に与える影響", 日本機械学会第29回バイオエンジニアリング講演会, JPN6020038209, January 2017 (2017-01-01), pages 24 - 2, ISSN: 0004362208 *

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