以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に相当し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
(第1の実施形態)
図1(a)及び図1(b)は、第1の実施形態に係る検体検出装置を例示する模式図である。
図1(a)に表したように、本実施形態に係る検体検出装置110は、光源部10と、バンドパスフィルタ部11と、フィルタ部21と、センサ部22と、制御部30と、を含む。
光源部10は、第1動作及び第2動作を実施する。第1動作において、光源部10から照射された光は、バンドパスフィルタ部11を通して、第1ピーク波長の第1光L1を検体50に入射させる。第2動作において、光源部10から照射された光は、バンドパスフィルタ部11を通して、第2ピーク波長の第2光L2を検体50に入射させる。第2ピーク波長は、第1ピーク波長とは異なる。
検体50は、検体検出装置110が検出の目的とする物質である。検体50は、例えば、有機物または無機物である。検体50は、例えば、医療などにおいて検出される有機物である。検体50は、例えば、DNA、抗体、または、細胞等を含む。検体50は、例えば、蛍光標識される。検体50に励起光が照射されると、検体50から光が放出される。この光は、例えば、蛍光(燐光を含む)である。
第1光L1及び第2光L2は、励起光である。第1光L1及び第2光L2は例えば紫外線である。第1光L1及び第2光L2の例については、後述する。
第1光L1が照射された検体50から第3光が放出される。第2光L2が照射された検体50から第4光が放出される。第3光のピーク波長は、第1ピーク波長とは異なる。第4光のピーク波長は、第2ピーク波長とは異なる。例えば、第3光のピーク波長は、第1ピーク波長よりも長い。例えば、第4光のピーク波長は、第2ピーク波長よりも長い。
この例では、検体検出チップ20が用いられる。この例では、検体検出チップ20は、壁部23と、フィルタ部21と、センサ部22と、が設けられる。壁部23とセンサ部22との間に、フィルタ部21が配置される。壁部23により空間が区画される。この空間に検体50が配置される。
フィルタ部21には、第1光L1、第2光L2、第3光及び第4光が入射する。フィルタ部21は、第1光L1及び第2光L2を減衰させる。フィルタ部21は、第1光L1に対する吸収性及び反射性の少なくともいずれかを有する。フィルタ部21は、第2光L2に対する吸収性及び反射性の少なくともいずれかを有する。フィルタ部21は、第3光の少なくとも一部及び第4光の少なくとも一部を通過させる。例えば、フィルタ部21の透過率は、波長依存性を有する。
フィルタ部21は、例えば、吸収型のフィルタである。フィルタ部21は、例えば、反射型(干渉型)のフィルタである。
例えば、フィルタ部21において、第1光L1及び第2光L2は実質的に遮断される。フィルタ部21を通過した第3光及び第4光がセンサ部22に入射する。フィルタ部21で遮断しきれなかった第1光L1及び第2光L2が僅かに通過し、センサ部22に入射しても良い。
センサ部22は、入射した光に応じて信号を出力する。すなわち、センサ部22は、フィルタ部21を通過した第3光の少なくとも一部に応じた第1信号を出力する。センサ部22は、フィルタ部21を通過した第4光の少なくとも一部に応じた第2信号を出力する。これらの信号は、検体50から放出された光(例えば蛍光)の強度に対応する。
制御部30は、第1信号及び第2信号を入手して、第1信号及び第2信号を処理した結果値を算出する。算出した結果が、検出結果に対応する。制御部30には、例えば演算部32(コンピュータなど)が用いられる。
この例では、信号処理部31及び出力部33が設けられる。信号処理部31は、センサ部22から出力される信号を処理する。例えば、信号処理部31は、センサ部22から出力される信号を増幅する。例えば、増幅された信号が、制御部30に供給される。例えば、センサ部22から出力される信号がアナログ信号である場合に、信号処理部31は、AD変換を行う。例えば、AD変換された信号が、制御部30に供給される。制御部30は、供給された信号を用いて結果値を算出する。
実施形態において、信号処理部31の機能の少なくとも一部が、検体検出チップ20に設けられても良い。
出力部33は、例えば、制御部30により算出された結果値を出力する。出力は、例えば、表示、印刷、及び、データの送信の少なくともいずれかを含む。
実施形態において、例えば、制御部30は、光源部10に、上記の第1動作及び第2動作を実施させても良い。すなわち、制御部30は、装置の動作を制御しても良い。
図1(b)に表したように、検体検出装置110aにおいては、検体検出チップ20aが用いられる。検体検出チップ20aにおいては、壁部23が、フィルタ部21と離間している。壁部23により区画される空間に収容される検体50も、フィルタ部21と離間する。
この例では、壁部23は、ベース部23bと、凸部23pと、を含む。凸部23p及びベース部23bにより、空間(凹部)が区画される。この空間に検体50が収容される。
検体検出装置110aにおける、光源部10、フィルタ部21、センサ部22及び制御部30の動作は、検体検出装置110に関して説明した動作と同様である。検体検出装置110及び110aにおいては、複数の波長の光(励起光)により生じた光を処理して結果値を算出することで、高い精度が得られる。処理の例については、後述する。
図2は、第1の実施形態に係る検体検出装置の一部及び検体検出チップを例示する模式的断面図である。
図2は、検体検出チップ20を例示している。図2に例示したように、センサ部22からフィルタ部21に向かう方向をZ軸方向とする。Z軸方向に対して垂直な1つの方向をX軸方向とする。Z軸方向及びX軸方向に対して垂直な方向をY軸方向とする。
図2に表したように、基板24の上に、複数の検出素子26が設けられる。複数の検出素子26は、センサ部22に含まれる。センサ部22(検出素子26)は、例えば光を電気信号に変換する。センサ部22(検出素子26)には、例えば光電変換素子を用いても良い。複数の検出素子26どうしの間に素子分離部25が設けられる。素子分離部25には、例えば、後述する配線が設けられる。素子分離部25に絶縁層が設けられても良い。
センサ部22(複数の検出素子26)の上に、フィルタ部21が設けられる。フィルタ部21には、例えば、誘電体多層膜を用いても良い。誘電体多層膜においては、複数の第1層と、複数の第2層と、が交互に積層される。第2層の屈折率は第1層の屈折率とは異なる。フィルタ部21に、光を吸収する材料を用いても良い。
フィルタ部21の上に、壁部23が設けられる。例えば、Z軸方向を含む平面で壁部23を切断したときに、壁部23は、複数の部分を有する。複数の部分により囲まれた空間に検体50が収容される。
第1動作において、第1ピーク波長の第1光L1が検体50に入射する。第2動作において、第2ピーク波長の第2光L2が検体50に入射する。第1光L1が照射された検体50から第3光L3が放出される。第2光L2が照射された検体50から第4光L4が放出される。
フィルタ部21において、第1光L1及び第2光L2が減衰する。一方、第3光L3の少なくとも一部及び第4光L4の少なくとも一部が、フィルタ部21を通過する。これらの光が、センサ部22に入射する。
センサ部22は、フィルタ部21を通過した第3光L3の少なくとも一部に応じた第1信号Sig1を出力する。センサ部22は、フィルタ部21を通過した第4光L4の少なくとも一部に応じた第2信号Sig2を出力する。これらの信号が、制御部30に供給される。このとき、必要に応じて、信号処理部31による処理した結果が、制御部30に供給される。
図3は、第1の実施形態に係る検体検出装置及び検体検出チップの特性を例示するグラフ図である。
これらの図は、光源部10から出射する光の特性と、検体50から放出される光の特性、及び、フィルタ部21の特性を例示している。横軸は、波長λ(nm)である。縦軸は、光の強度Intまたは透過率Trである。縦軸は、任意単位である。
図3に例示したように、光源からの出射する光(励起光E0)は、例えば、ピーク状の波長分布を有する。また、例えば、検体50を第1の蛍光試薬で処理した場合に、蛍光Fa(蛍光スペクトル)および励起光Fb(励起光スペクトル)の特性が得られる。例えば、検体50に第1の励起光E0を照射した場合に、検体50から蛍光Fa’が放出される。検体50に第2の励起光E1を照射した場合に、検体50から蛍光Faが、第1の励起光E0を照射した場合とは異なる強度で放出される。蛍光の特性は、検体50の種類と、試薬の種類に依存する。励起光E0に対するフィルタ部21の透過率CFtrは、低い。一方、蛍光Faに対するフィルタ部21の透過率CFtrは高い。このように励起光を減衰させ蛍光の少なくとも一部を透過するようなフィルタ部21を用いることで、目的とする蛍光Faを効率的に検出することができる。これにより検出の精度が高まる。
図4(a)及び図4(b)は、第1の実施形態に係る検体検出装置及び検体検出チップの特性を例示するグラフ図である。
図4(a)は、第1動作ST1を例示する。図4(b)は、第2動作ST2を例示する。これらの図の横軸は、波長λであり、縦軸は、強度Intである。この例では、第1の蛍光試薬が用いられる。
図4(a)に表したように、第1動作ST1において、第1光L1が光源部10からバンドパスフィルタ部11を介して出射する。この例では、第1光L1のピーク波長は、約420nmである。このとき、検体50から第3光L3が放出される。第3光L3の強度Intは、比較的低い。
図4(b)に表したように、第2動作ST2において、第2光L2が光源部10からバンドパスフィルタ部11を介して出射する。この例では、第2光L2のピーク波長は、約465nmである。このとき、検体50から第4光L4が放出される。第4光L4の強度Intは、比較的高い。
このように、異なる波長の複数の励起光を検体50に照射する。このとき得られる複数の蛍光のそれぞれの強度は、互いに異なる。この複数の蛍光の強度の比は、例えば、検体50の材料に特有である。この比を、結果値として用いることで、高精度の検出が可能になる。
例えば、第1信号Sig1に対応する値を第1値V1とする。第2信号Sig2に対応する値を第2値V2とする。結果値として、例えば、第1値V1の第2値V2に対する比(すなわち、V1/V2)に応じた値を用いる。結果値として、V2/V1に応じた値を用いても良い。例えば、この比と、定数と、の積を結果値として用いても良い。
1つの材料の検体50において、第1光L1に基づいて放出される第3光L3の強度の、第2光L2に基づいて放出される第4光L4の強度に対する比は、蛍光試薬の濃度、光の強度、光の通過距離等が等しい場合、特有である。このため、この比を用いることで、高精度の検出が可能になる。
例えば、1つの波長の光だけを用いて検体50を検出する参考例がある。この場合、蛍光標識されていない物体(検体)において、自家蛍光による発光が存在する。この自家発光による影響により、誤検出が生じる場合がある。このため、この参考例においては、検出の精度が低い。
これに対して、本実施形態においては、複数の波長の光を用いて検出を行う。この場合には、蛍光標識された検体50に特有の、発光の比(すなわち、例えば、V1/V2など)が得られる。これにより、自家発光による影響が抑制される。
例えば、医療用途において、蛍光標識された検体50(DNA、抗体及び細胞等)を検出する際に、蛍光顕微鏡を用いる参考例もある。この参考例においては、複雑な光学系を用いる。このため、装置サイズが大きい。例えば、患者のベッドサイドで測定することは困難である。
これに対して、本実施形態に係る検体検出装置においては、装置が小型である。これにより、POCT(Point of Care Test)が容易である。
例えば、本実施形態において、検体検出チップ20(または20a)は、ディスポーザブルである。例えば、1回の検出において、1つの検体検出チップを用いる。
例えば、センサ部22の上にフィルタ部21を形成する。フィルタ部21の上に、壁部23を形成しても良い。例えば、壁部23は、フィルタ部21と貼り合わされても良い。
実施形態において、第1ピーク波長は、例えば、420ナノメートル以下である。第2ピーク波長は、420ナノメートルよりも長い。これにより、高い強度の2つの蛍光を効果的に得やすい。実施形態において、第1ピーク波長及び第2ピーク波長は任意である。
実施形態において、検出のキャリブレーションを行っても良い。例えば、センサ部22においては、暗電流などが存在する場合がある。この暗電流に対応する信号を考慮することにより、検出の感度をより高めることができる。
例えば、制御部30は、以下の第3動作及び第4動作をさらに実施しても良い。これらの動作においては、壁部23による空間に検体50を収容していない状態で、光の検出を行う。
例えば、第3動作においては、制御部30は、第1光L1を、検体50を通過させずに、センサ部22に入射させる。そして、制御部30は、センサ部22に、検体50を通過しない第1光L1に応じた第1基準信号を出力させる。
例えば、第4動作においては、制御部30は、第2光L2を、検体50を通過させずに、センサ部22に入射させる。そして、制御部30は、センサ部22に、検体50を通過しない第2光L2に応じた第2基準信号を出力させる。
制御部30は、第1基準信号に対応する値及び第2基準信号に対応する値を用いて、第1信号Sig1及び第2信号Sig2を処理して、結果値を算出する。
これにより、検体50の有無による信号の差異に基づく補正を行うことができる。例えば、センサ部22に特有の特性(例えば、暗電流など)に基づく補正を行うことができる。例えば、検体検出チップ20(または20a)に検体50を収容する前に、上記の第3動作及び第4動作を行う。そして、検体検出チップ20(または20a)に検体50を収容した状態で、上記の第1動作ST1及び第2動作ST2を実施する。そして、基準信号を用いて補正を行う。例えば、検体検出チップ20(または20a)に固有の特性に基づく補正も実施できる。
実施形態において、励起光が検体50に照射されていない状態で得られる光を検出して、その結果に基づいて、補正を行っても良い。例えば、制御部30は、第5動作において、光源部10に第1光L1及び第2光L2を出射させずに、センサ部22に第3基準信号を出力させる。第3基準信号は、例えば、センサ部22の暗電流を含む。このとき、検体50から放出される光をセンサ部22で検出する場合は、第3基準信号は、例えば、検体50で生じる自家発光の成分を含む。このとき、制御部30は、第3基準信号に対応する値を用いて第1信号Sig1及び第2信号Sig2を処理して、結果値を算出する。これにより、さらに高精度の検出が可能になる。
上記の第1動作及び第2動作の少なくともいずれかを複数回実施しても良い。複数回実施された動作の結果を、例えば、積算しても良い。
例えば、光源部10は、第1動作ST1を複数回実施する。センサ部22は、複数回の第1動作ST1のそれぞれに対応して得られる複数の第1信号Sig1を出力する。制御部30は、複数の第1信号Sig1を入手した結果に基づいて、結果値を算出する。
例えば、光源部10は、第2動作ST2を複数回実施する。センサ部22は、複数回の第2動作ST2のそれぞれに対応して得られる複数の第2信号Sig2を出力する。制御部30は、複数の第2信号Sig2を入手した結果に基づいて、結果値を算出する。
このように、動作を複数回し、その結果を基に結果値を算出することで、高精度の検出が安定して実施できる。
(第2の実施形態)
図5(a)〜図5(d)は、第2の実施形態に係る検体検出チップを例示する模式的平面図である。
図5(a)及び図5(b)は、本実施形態に係る検体検出チップ20bを例示している。図5(a)は、センサ部22を例示している。図5(b)は、壁部23及び複数の空間23sを例示している。既に説明したように、センサ部22と壁部23とは重なる。これらの図では、図を見易いようにセンサ部22と壁部23とを分離して表している。これらの図においては、フィルタ部21を省略している。
図5(a)に表したように、本実施形態に係る検体検出チップ20bには、センサ部22が設けられる。図5(b)に表したように、本実施形態に係る検体検出チップ20bには、壁部23が設けられる。
センサ部22は、複数の検出素子26を含む。複数の検出素子26は、第1方向(例えば、X軸方向)に沿って第1ピッチ26pxで配置される。第1方向は、積層方向(例えば、Z軸方向)と交差する。複数の検出素子26どうしの間に素子分離部25が設けられる。素子分離部25は、複数の第1配線25xと、複数の第2配線25yと、を含む。第1配線25xは、X軸方向に延びる。第2配線25yは、Y軸方向に延びる。
壁部23は、積層方向に沿って、センサ部22と離間する。壁部23は、検体50を収容可能な複数の空間23sを区画する。複数の空間23sは、第1方向(例えば、X軸方向)に沿って第2ピッチ23pxで配置される。
図1(a)及び図1(b)に例示したように、フィルタ部21は、センサ部22と壁部23との間に設けられる。フィルタ部21は、第1ピーク波長の第1光L1を減衰させる。フィルタ部21は、第1ピーク波長よりも長い波長の光を透過させる。フィルタ部21は、第2ピーク波長の第2光L2を減衰させる。フィルタ部21は、第2ピーク波長よりも長い波長の光を透過させる。
第2ピッチ23pxは、第1ピッチ26pxの実質的に整数倍である。例えば、第2ピッチ23pxは、第1ピッチ26pxの整数倍の0.95倍以上1.05倍以下である。
この例では、第2ピッチ23pxは、第1ピッチ26pxの実質的に2倍である。例えば、第2ピッチ23pxは、第1ピッチ26pxの2倍の1.95倍以上2.05倍以下である。
この例では、複数の検出素子26は、第2方向(例えば、Y軸方向)に沿って第3ピッチ26pyでさらに配置される。第2方向は、第1方向及び積層方向に対して交差する。
複数の空間23sは、第2方向に沿って第4ピッチ23pyでさらに配置される。
第4ピッチ23pyは、第3ピッチ26pyの実質的に整数倍である。例えば、第4ピッチ23pyは、第3ピッチ26pyの整数倍の0.95倍以上1.05倍以下である。例えば、第4ピッチ23pyは、第3ピッチ26pyの実質的に2倍である。例えば、第4ピッチ23pyは、第3ピッチ26pyの2倍の1.95倍以上2.95倍以下である。
このように、実施形態においては、複数の検出素子26のピッチを複数の空間23sのピッチの実質的な整数倍に設定する。これにより、例えば、複数の検出素子26のそれぞれの位置が、複数の空間23sのそれぞれの位置からずれた場合においても、検出素子26は空間23sと重なる。空間23sに収容される検体50の位置が、検出素子26と重なる。これにより、高精度の検出を行うことができる。
例えば、複数の空間23sのそれぞれの第1方向に沿った長さは、複数の検出素子26のそれぞれの第1方向に沿った長さ以上である。例えば、複数の空間23sのそれぞれの第2方向に沿った長さは、複数の検出素子26のそれぞれの第2方向に沿った長さ以上である。
これにより、空間23sの位置を検出素子26の位置に重ね易くなる。これにより、高精度の検出が可能になる。
図5(c)及び図5(d)は、本実施形態に係る別の検体検出チップ20bを例示している。図5(c)は、センサ部22を例示している。図5(d)は、壁部23及び複数の空間23sを例示している。これらの図では、センサ部22と壁部23とを分離して表している。これらの図においては、フィルタ部21を省略している。
図5(c)及び図5(d)に表したように、本実施形態に係る別の検体検出チップ20cにおいては、1つの空間23sが、4つの検出素子26と重なる。例えば、X−Y平面(積層方向に対して垂直な平面)に投影したときに、複数の空間23sのうちの1つは、複数の検出素子26の少なくとも2つと重なる。複数の検出素子26の3つ以上と重なっても良い。1つの空間23sが、複数の検出素子26と重なっている場合、その重なっている複数の検出素子26によって得られる信号を処理することで、高精度の検出が可能になる。
例えば、空間23sと重ならない検出素子26が設けられても良い。この検出素子26には、検体50から放出される光が実質的に入射しない。この検出素子26から得られる信号を用いた処理を行うことで、検出の精度が向上する。
図1(b)に関して説明したように、実施形態において、壁部23は、ベース部23bと、凸部23pと、を含んでも良い。凸部23pとフィルタ部21との間に、ベース部23bが配置される。例えば、ベース部23bと凸部23pにより、複数の空間23sが区画される。壁部23は、例えば、ウェル基板である。例えば、ベース部23bは、フィルタ部21と離間しても良い。例えば、ベース部23bは、フィルタ部21と接しても良い。壁部23は、フィルタ部21と離間しても良く、接しても良い。
(第3の実施形態)
図6(a)及び図6(b)は、第3の実施形態に係る検体検出装置を例示する模式図である。
図6(a)に表したように、本実施形態に係る検体検出装置110は、光源部10と、光学素子部12と、フィルタ部21と、センサ部22と、制御部30と、を含む。光学素子部12には、例えば、回折格子が用いられる。
光源部10は、光を出射する。光源部10と、センサ部22と、の間には、光学素子部12が設けられる。光源部10は、光学素子部12を介して、第1ピーク波長の第1光L1と、第2ピーク波長の第2光L2と、を生成する。第2ピーク波長は、第1ピーク波長とは異なる。第1光L1の半値全幅は、例えば、1ナノメートル(nm)以下が望ましい。第2光L2の半値全幅は、例えば、1nm以下が望ましい。生成された第1光L1及び第2光L2は、検体50を照射する。
第1光L1を照射された検体50から第3光が放出される。第2光L2を照射された検体50から第4光が放出される。第3光のピーク波長は、第1ピーク波長とは異なる。第4光のピーク波長は、第2ピーク波長とは異なる。例えば、第3光のピーク波長は、第1ピーク波長よりも長い。例えば、第4光のピーク波長は、第2ピーク波長よりも長い。
この例では、検体検出チップ20が用いられる。この例では、検体検出チップ20には、壁部23と、フィルタ部21と、センサ部22と、が設けられる。壁部23とセンサ部22との間に、フィルタ部21が配置される。壁部23により空間が区画される。この空間に検体50が配置される。
フィルタ部21には、第1光L1、第2光L2、第3光L3及び第4光L4が入射する。フィルタ部21は、第1光L1及び第2光L2を減衰させる。フィルタ部21は、第1光L1に対する吸収性及び反射性の少なくともいずれかを有する。フィルタ部21は、第2光L2に対する吸収性及び反射性の少なくともいずれかを有する。フィルタ部21は、第3光の少なくとも一部及び第4光の少なくとも一部を通過させる。例えば、フィルタ部21の透過率は、波長依存性を有する。
フィルタ部21は、例えば、吸収型のフィルタである。フィルタ部21は、例えば、反射型(干渉型)のフィルタである。
例えば、フィルタ部21において、第1光L1及び第2光L2は実質的に遮断される。フィルタ部21を通過した第3光L3及び第4光L4がセンサ部22に入射する。フィルタ部21で遮断しきれなかった第1光L1及び第2光L2が僅かに通過し、センサ部22に入射しても良い。
センサ部22は、入射した光に応じて信号を出力する。すなわち、センサ部22は、フィルタ部21を通過した第3光L3の少なくとも一部に応じた第1信号を出力する。センサ部22は、フィルタ部21を通過した第4光L4の少なくとも一部に応じた第2信号を出力する。これらの信号は、検体50から放出された光(例えば蛍光)の強度に対応する。
制御部30は、第1信号及び第2信号を入手して、第1信号及び第2信号を処理した結果値を算出する。算出した結果が、検出結果に対応する。
図6(b)に表したように、検体検出装置110aにおいては、検体検出チップ20aが用いられる。検体検出チップ20aにおいては、壁部23が、フィルタ部21と離間している。壁部23により区画される空間に収容される検体50も、フィルタ部21と離間する。光源部10と、検体検出チップ20aと、の間には、光学素子部12が設けられる。
検体検出装置110aにおける、光源部10、光学素子部12、フィルタ部21、センサ部22及び制御部30の動作は、検体検出装置110に関して説明した動作と同様である。検体検出装置110及び110aにおいては、複数の波長の光(励起光)により生じた光を処理して結果値を算出することで、高い精度が得られる。
図7は、第1の実施形態に係る検体検出装置の一部及び検体検出チップを例示する模式的断面図である。
図7は、検体検出チップ20を例示している。図7に例示したように、センサ部22から光学素子部12に向かう方向をZ軸方向とする。Z軸方向に対して垂直な1つの方向をX軸方向とする。Z軸方向及びX軸方向に対して垂直な方向をY軸方向とする。
図7に表したように、基板24の上に、複数の検出素子26が設けられる。複数の検出素子26は、センサ部22に含まれる。センサ部22(検出素子26)は、例えば光を電気信号に変換する。複数の検出素子26どうしの間に素子分離部25が設けられる。素子分離部25には、例えば、後述する配線が設けられる。素子分離部25に絶縁層が設けられても良い。
センサ部22(複数の検出素子26)の上に、フィルタ部21が設けられる。フィルタ部21には、例えば、誘電体多層膜を用いても良い。誘電体多層膜においては、複数の第1層と、複数の第2層と、が交互に積層される。第2層の屈折率は第1層の屈折率とは異なる。フィルタ部21に、光を吸収する材料を用いても良い。
フィルタ部21の上に、壁部23が設けられる。例えば、Z軸方向を含む平面で壁部23を切断したときに、壁部23は、複数の部分を有する。複数の部分により囲まれた空間に検体50が収容される。
光学素子部12から生成された第1光L1が、検体50に入射する。光学素子部12から生成された第2光L2が、検体50に入射する。第1光L1が照射された検体50から第3光L3が放出される。第2光L2が照射された検体50から第4光L4が放出される。
フィルタ部21には、第1光L1、第2光L2、第3光L3及び第4光L4が入射する。フィルタ部21は、第1光L1及び第2光L2を減衰させる。フィルタ部21は、第1光L1に対する吸収性及び反射性の少なくともいずれかを有する。フィルタ部21は、第2光L2に対する吸収性及び反射性の少なくともいずれかを有する。フィルタ部21は、第3光の少なくとも一部及び第4光の少なくとも一部を通過させる。例えば、フィルタ部21の透過率は、波長依存性を有する。
フィルタ部21は、例えば、吸収型のフィルタである。フィルタ部21は、例えば、反射型(干渉型)のフィルタである。
例えば、フィルタ部21において、第1光L1及び第2光L2は実質的に遮断される。フィルタ部21を通過した第3光L3及び第4光L4がセンサ部22に入射する。フィルタ部21で遮断し切れなかった第1光L1及び第2光L2が僅かに通過し、センサ部22に入射しても良い。
センサ部22は、検体50から放出された第3光L3の少なくとも一部に応じた第1信号Sig1を出力する。センサ部22は、検体50から放出された第4光L4の少なくとも一部に応じた第2信号Sig2を出力する。これらの信号が、制御部30に供給される。このとき、必要に応じて、信号処理部31による処理した結果が、制御部30に供給される。
以下、センサ部22の例について説明する。
図8は、実施形態に係る検体検出装置の一部を例示する模式的断面図である。
図8は、センサ基板200を例示している。図8は、後述する図10のA1−A2線断面を例示している。
図8に表したように、基板24の上に、複数のフォトダイオード211A(光電変換素子)と、薄膜トランジスタ211Bと、が設けられる。薄膜トランジスタ211Bは、例えばフォトダイオード211Aを駆動する。基板24には例えばガラス基板が用いられる。
薄膜トランジスタ211Bは、ゲート絶縁膜221を含む。ゲート絶縁膜221は、基板24上に設けられる。ゲート絶縁膜221の上に、第1層間絶縁膜212Aが設けられる。
フォトダイオード211Aとして、例えば、PINダイオードが用いられる。この例では、フォトダイオード211Aは、下部電極224、n形半導体層225N、i形半導体層225I、p形半導体層225P、上部電極226、及び、配線層227を含む。下部電極224は、第1層間絶縁膜212A上に設けられる。n形半導体層225Nは、下部電極224上に設けられる。i形半導体層225Iは、n形半導体層225N上に設けられる。p形半導体層225Pは、i形半導体層225I上に設けられる。上部電極226は、p形半導体層225P上に設けられる。配線層227は、上部電極226に電気的に接続されている。
下部電極224は、例えば、光電変換層(n形半導体層225N、i形半導体層225I、p形半導体層225P)から信号電荷を読み出す。n形半導体層225Nとして、例えば、非結晶シリコンが用いられる。n形半導体層225Nは、例えば、n+領域を含む。i形半導体層225Iとして、例えば非結晶シリコンが用いられる。p形半導体層225Pとして、例えば非結晶シリコンが用いられる。p形半導体層225Pは、例えば、p+領域を含む。上部電極226として、例えば光透過性導電膜が用いられる。上部電極226は、例えば、基準電位(バイアス電位)を光電変換層へ供給する。
薄膜トランジスタ211Bとして、例えば電界効果トランジスタが用いられる。薄膜トランジスタ211Bは、ゲート電極220、半導体層222、ソース電極223S及びドレイン電極223Dを含む。ゲート電極220は、基板24上に設けられる。ゲート電極220上にゲート絶縁膜221が設けられる。半導体層222は、ゲート絶縁膜221上に設けられる。ソース電極223S及びドレイン電極223Dは、半導体層222上に設けられる。半導体層222として、例えば、多結晶シリコン、微結晶シリコンまたは非結晶シリコンが用いられる。半導体層222として、例えば、酸化物半導体を用いても良い。ドレイン電極223Dが、下部電極224に接続されている。
センサ基板200は、第2層間絶縁膜212B、第1平坦化膜213A、保護膜214及び第2平坦化膜213Bを含む。第2層間絶縁膜212Bは、フォトダイオード211A及び薄膜トランジスタ211Bのそれぞれの側面を覆う。第1平坦化膜213Aは、フォトダイオード211Aの上、及び、薄膜トランジスタ211Bの一部の上に設けられる。第1平坦化膜213Aには、開口部H1が設けられる。保護膜214は、上部電極226、配線層227及び第1平坦化膜213Aのそれぞれ上に設けられる。第2平坦化膜213Bは、保護膜214上に設けられる。
図9は、実施形態に係る検体検出装置の一部を例示する模式図である。
図9は、センサ基板200の機能ブロックを表す。センサ基板200は、画素部232を有する。センサ基板200において、画素部232の周辺領域に、周辺回路が設けられている。周辺回路は、例えば、第1走査部233、水平選択部234、第2走査部235及びシステム制御部236を含む。
画素部232は、複数の単位画素231を含む。単位画素231は、フォトダイオード211A及び薄膜トランジスタ211Bを含む。単位画素231には、画素駆動線237及び垂直信号線238(ソース線)が接続される。画素駆動線237の一端は、第1走査部233と接続されている。例えば、単位画素231が、検出素子26に対応する。
図10は、実施形態に係る検体検出装置の一部を例示する模式的平面図である。
図10は、単位画素231を例示している。単位画素231において、薄膜トランジスタ211B(駆動素子)のドレイン電極223Dが、フォトダイオード211Aの下部電極224に接続される。ソース電極223Sが、垂直信号線238に接続さる。垂直信号線238は、薄膜トランジスタ211Bと電気的に接続される。
実施形態において、例えば、センサ部22と制御部30との間の通信、及び、光源部10と制御部30との間の通信は、有線及び無線の少なくともいずれかの方法に基づいて実施できる。例えば、制御部30は、センサ部22と離間して、遠隔地に設けられても良い。制御部30における動作の少なくとも一部に関するプログラムは、記録媒体に保持できる。
実施形態によれば、高精度の検体検出装置及び検体検出チップが提供できる。
なお、本願明細書において、「垂直」及び「平行」は、厳密な垂直及び厳密な平行だけではなく、例えば製造工程におけるばらつきなどを含むものであり、実質的に垂直及び実質的に平行であれば良い。
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、検体検出チップに含まれるフィルタ部、センサ部及び壁部など、並びに、検体検出装置に含まれる光源部及び制御部などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
本発明の実施の形態として上述した検体検出装置及び検体検出チップを基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての検体検出装置及び検体検出チップも、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
例えば、前述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
また、本実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について本明細書記載から明らかなもの、又は当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。