JP2018141156A - 導電性パターン印刷用組成物及び導電性パターンを有する基板の製造方法 - Google Patents

導電性パターン印刷用組成物及び導電性パターンを有する基板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】導電性パターン印刷用組成物の溶剤のブランケットへの吸収に対応し、ブランケットから基板への転写性を改良し、1つの基板内に大小異なる線幅が混在していても転写性の良い導電性パターン印刷用組成物を提供すること。
【解決手段】少なくとも、導電性粉末、バインダー樹脂、及び、混合溶剤を含有する導電性パターン印刷用組成物であって、SP値が9.4以上12.1以下である溶剤(H)を、該混合溶剤全体に対して、2質量%以上60質量%以下で含有し、かつ、該混合溶剤は、少なくとも1種の溶剤(H)に対してSP値が0.3以上小さい溶剤(A)を含有することを特徴とする導電性パターン印刷用組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、導電性パターン印刷用組成物に関し、更に詳しくは、SP値で特定された2種以上の溶剤からなる混合溶剤を含有する導電性パターン印刷用組成物、及び、それを用いた導電性パターンを有する基板の製造方法に関する。
タッチパネル、電子ペーパー、太陽光発電パネル、積層セラミックコンデンサー等の電子部品・電気部品の配線、電極、導電回路等の導電性パターンを形成する方法としては、エッチング法、印刷法等が知られている。
エッチング法により導電性パターンを形成する場合は、金属膜を蒸着した基板上にフォトレジストを塗布し、パターン露光と現像処理をしてレジストパターンを形成した後に、該レジストパターンが存在しない部分の金属膜を溶解除去し、最後にレジストパターンを除去する。
しかしながら、かかるエッチング法では、上記した通り多くの工程が必要であり、しかもその工程は非常に煩雑であり、金属膜の溶解除去等による材料ロスもあり、その結果、量産性に乏しいものになっている。
一方、印刷法により導電性パターンを形成する場合は、所望のパターンを低コストで大量生産を行うことが可能であり、更に、印刷された組成物を乾燥又は硬化させることによって容易に導電性を付与でき、導電性パターンを得ることができる。
かかる印刷法に用いられる印刷の方式としては、形成したいパターンの線幅、パターン直線性、厚さ、線幅精度、相対位置精度、絶対位置精度、表面平滑性(表面凹凸削減)、生産速度等に合わせて、フレキソ印刷、インクジェット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷(特許文献1等)、グラビアオフセット印刷(特許文献2〜5等)、スクリーンオフセット印刷(特許文献6等)、タンポ印刷(特許文献7等)、オフセット印刷(平版印刷)、凸版印刷、ロータリースクリーン印刷、凸版反転印刷、ディスペンサー印刷、静電吐出インクジェット印刷等が提案されている。
中でも、ブランケットに一旦転写又は印刷してから、基板に再度転写する印刷方式は、パターンの細線化が可能、パターン形状の安定化が可能、一定量の印刷用組成物の転写が可能等の点から注目されている。
グラビアオフセット印刷では、所望のパターンに対応して凹部が形成された凹版に、印刷用組成物を、ドクターブレード等を用いて充填し、その後、該印刷用組成物をブランケットに転写し、該ブランケットから基板に再度転写することで基板上にパターンを形成する。このパターンは、熱又はUV等の光照射により、硬化又は焼成することで導電性パターンとなる。
スクリーンオフセット印刷では、所望のパターンに対応して形成されたスクリーン版から、印刷用組成物をブランケットに印刷し、該ブランケットから基板に転写することで基板上にパターンを形成する。熱又はUV等の光照射により、硬化又は焼成することで導電性パターンとなる。
タンポ印刷では、所望のパターンに対応して凹部が形成された凹版に印刷用組成物を充填し、その後、該印刷用組成物を柔らかい半球状や船底状のタンポと呼ばれるブランケットに転写させ、次いで、該タンポ(ブランケット)を基板に押しつけて、タンポ(ブランケット)上の印刷用組成物を基板に再度転写することで基板上にパターンを形成する。このパターンは、熱又はUV等の光照射により、硬化又は焼成することで導電性パターンとなる。
しかしながら、上記何れの印刷方式でも、公知の導電性パターン印刷用組成物は、版からブランケットへの転写性や、特にブランケットから基板への転写性が十分ではなく、印刷適性に優れるものとは言えなかった。
近年、パターンの線幅としては、前記の電子部品の小型化、高集積化等の点から、例えば線幅50μm以下の高精細な導電性パターンの形成が求められており、また、用途や機能に応じて同一基板内に線幅数百μmのパターンが併存するものもあり、該パターンの形成も求められている。
しかも、それらを1回の印刷で形成しなければならないが、それに対応するには公知技術には問題点があり(不十分であり)、導電性パターン印刷用組成物に関して更なる改善の余地があった。
特開2009−269976号公報 特開2010−159350号公報 特開2010−235780号公報 特開2014−034589号公報 特開2015−172103号公報 国際公開第2014/050560号 特開2014−226859号公報
本発明は上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、ブランケットに一旦転写する工程を有する印刷法において、細線パターンの版からブランケットへの転写性を改良し、導電性パターン印刷用組成物(以下、単に「印刷用組成物」と略記することがある)の溶剤のブランケットへの吸収に対応し、ブランケットから基板への転写性を改良した導電性パターン印刷用組成物を提供することにあり、また、それを用いた導電性パターンを有する基板の製造方法を提供することにある。
以下に、特に「ブランケットから基板への印刷用組成物の転写性」に関する課題について具体的に記載する。
印刷用組成物を版から直接基板に転写する印刷方法に比べて、印刷用組成物を版から一旦ブランケットを介して基板に転写する印刷方法は、細線化が可能であり、一定量の印刷用組成物の転写が可能であり、パターン形状を安定的に形成できる等の特長がある。
しかしながら、印刷用組成物を版から一旦ブランケットを介して基板に転写する印刷方法においては、実用化に耐える印刷用組成物はなかった。
本発明において、印刷用組成物のブランケットから基板への転写性について、以下の課題解決が極めて重要であることが明らかとなった。
本発明は、印刷適性の向上した(特にブランケットから基板への転写性が向上した)印刷用組成物を提供することが課題ではあるが、本発明は、それに先立ち、以下の課題を見出したことにも存する。
すなわち、印刷されるパターンの幅が狭くなると(例えば、20〜30μmの幅になると)、ブランケットから基板に転写される印刷用組成物の量が激減する。
一般に、凹版を用いる印刷の転写量は、凹版の溝の深さによって決まる。線幅20μm〜30μmのパターンの溝の深さは、版の作製工法から浅くならざるを得ないので、転写量は極めて制限される。
一方、ブランケットから基板への印刷用組成物の転写は、ブランケット上の印刷用組成物のほぼ全量でないと、前記した「版から一旦ブランケットに転写する工程を有する印刷方法」の特長を生かすことができない。
しかしながら、印刷されるパターンの幅が狭くなり、それに応じてブランケット上の印刷用組成物の量が減ると、「パターンの微細化により単位体積当たりの表面積が増えてパターン表面からの溶剤の蒸発が促進されること」と、「ブランケットに転写した印刷用組成物中の溶剤がブランケットに吸収されること」により、「印刷用組成物の固形分濃度が上昇して乾燥状態となり、べたつき(以下、「タック」と言うこともある)が減少してしまう現象」が重要となる。すなわち、パターンの幅が狭くなると、ブランケット上の印刷用組成物の全体量が少なくなるので、僅かの溶剤が蒸発したり、ブランケットに吸収されたりしただけでも、ブランケット上の印刷用組成物のパターンのべたつきの減少が無視できなくなり、そのべたつきの減少は、ブランケットから基板への印刷用組成物の転写性を悪化させる。
この現象は、蒸気圧の低い溶剤(乾燥し難い溶剤、所謂「遅口溶剤」)を用いても同様に起こってしまう。
このようなべたつきの減少を抑制するために、ブランケットに吸収され難い溶剤を使用することが考えられる。
しかしながら、ブランケットに吸収され難い溶剤を使用すると、今度は、ブランケット上での印刷用組成物の固形分濃度の上昇が殆どなくなり、所謂「ウェット状態」を維持してしまう。そのため、ブランケット上での印刷用組成物のパターンのブランケットへの密着性及び基板への密着性が高くなり過ぎ、なおかつブランケット上のパターンは溶剤を多く含んでいるためブランケット上の組成物が軟らかくなり、パターンがブランケット上の印刷用組成物の厚み方向の間で分かれて(パターンがバルク破壊(泣別れ)を起こして)、基板への転移性が劣化する所謂「泣別れ現象」が発生する。
以下、前記した「印刷用組成物中の溶剤がブランケットに吸収される等して、ブランケット上の印刷用組成物のパターンのべたつきが低下して、ブランケットから基板への印刷用組成物の転写性が悪化する現象」を抑制する性質を、「タック維持性」と略記することがある。
また、前記した「印刷用組成物中の溶剤がブランケットに吸収され難い等のため、ブランケット上での印刷用組成物のパターンが溶剤を多く含んだままとなり、パターンがブランケット上の印刷用組成物の厚み方向の間で分かれて、基板への転移性が悪化する現象」を抑制する性質を、「バルク破壊抑制性」と略記することがある。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、2種類以上の混合溶媒を用い、各溶媒のそれぞれのSP値を特定の範囲・関係とし、かつ特定の溶媒の含有量を特定の範囲とすることによって、上記課題が解決されることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、少なくとも、導電性粉末、バインダー樹脂、及び、混合溶剤を含有する導電性パターン印刷用組成物であって、
SP値が9.4以上12.1以下である溶剤(H)を、該混合溶剤全体に対して、2質量%以上60質量%以下で含有し、
かつ、該混合溶剤は、少なくとも1種の溶剤(H)に対してSP値が0.3以上小さい溶剤(A)を含有することを特徴とする導電性パターン印刷用組成物を提供するものである。
また、本発明は、上記混合溶剤は、SP値が7.8以上9.1以下である溶剤(L)と、SP値が9.4以上12.1以下である溶剤(H)を含有し、該溶剤(L)と該溶剤(H)との合計含有量が、該混合溶剤全体に対して70質量%以上である上記の導電性パターン印刷用組成物を提供するものである。
また、本発明は、上記の導電性パターン印刷用組成物を用いて基板上にパターンを印刷する導電性パターンを有する基板の印刷方法であって、該導電性パターン用組成物を印刷用の版からブランケットに転写する工程、及び、該ブランケットから基板に転写する工程を有することを特徴とする導電性パターンを有する基板の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、前記問題点と課題を解決し、「タック維持性」と「バルク破壊抑制性」とを両立させた導電性パターン印刷用組成物を提供することができる。
すなわち、ブランケットに一旦転写する工程を有する印刷法において、細線パターンの版からブランケットへの転写性を改良し、印刷用組成物の溶剤のブランケットへの吸収に対応し、ブランケットから基板への転写性を改良した導電性パターン印刷用組成物を提供することにあり、また、それを用いた導電性パターンを有する基板の製造方法を提供することにある。
また、1つの基板に線幅が小さいパターンと大きいパターンが混在している場合でも、多くの線幅のパターンに適応して、上記「タック維持性」と上記「バルク破壊抑制性」とを両立させた導電性パターン印刷用組成物を提供することができる。
すなわち、本発明の導電性パターン印刷用組成物によれば、線幅が小さいパターンのときに問題になり易い「タック維持性」と、線幅が大きいパターン(面積が大きいパターン)のときに問題になり易い「バルク破壊抑制性」とを両立できる。
本発明の印刷用組成物を使用すれば、印刷用組成物を印刷用の版からブランケットに転写する工程、及び、ブランケットから基板に転写する工程を有する導電性パターンを有する基板の製造方法において、「1つの基板内の大小の線幅のパターン」に適応して、「タック維持性」と「バルク破壊抑制性」とを両立させた導電性パターンを有する基板の製造方法の実現が可能となる。
以下、本発明について説明するが、本発明は、以下の具体的形態に限定されるものではなく、技術的思想の範囲内で任意に変形することができる。
本発明は、少なくとも、導電性粉末、バインダー樹脂、及び、混合溶剤を含有する導電性パターン印刷用組成物であって、
SP値が9.4以上12.1以下である溶剤(H)を、該混合溶剤全体に対して、2質量%以上60質量%以下で含有し、
かつ、該混合溶剤は、少なくとも1種の溶剤(H)に対してSP値が0.3以上小さい溶剤(A)を含有することを特徴とする導電性パターン印刷用組成物である。
以下、「導電性パターン印刷用組成物」を、単に「印刷用組成物」と略記することがある。
<導電性粉末>
本発明の印刷用組成物は導電性粉末を含有する。本発明の印刷用組成物に含有される導電性粉末としては、特に限定はないが、具体的には、例えば、ニッケル、銅、金、銀、アルミニウム、亜鉛、スズ、鉛、クロム、白金、パラジウム、タングステン、モリブデン、インジウム、クロム、ケイ素、ゲルマニウム等の金属の粉末;これらの合金の粉末;これらの混合体の粉末;これらの金属の化合物で良好な導電性を有する粉末;酸化銀、酸化銅、酸化アルミニウム、酸化ニッケル、酸化スズ等の金属酸化物の粉末;無機物又は有機物の粒子を金属の被膜で覆った粉末;カーボンブラック、チオフェン、アニリン等の有機導電性の粉末;等が挙げられる。中でも、ニッケル、銅、金、銀、アルミニウム、白金、パラジウム等の金属の粉末;これらの合金の粉末;等が好ましく、銀粉末が、安定した高い導電性を有し、酸化され難く、熱伝導特性も良好で、コスト的にもよいので特に好ましい。
具体的な銀粉末としては特に限定はないが、下記商品が一例として使用可能である。
DOWAエレクトロニクス(株)製AG2−1C、AG2−8、AG2−11、FA−D−5;三井金属鉱業(株)製SPQ03R、SPQ05S、SF−K;(株)徳力化学研究所製シルベストAGS−050、シルベストTC905S(「シルベスト」は登録商標);METALOR社製K−1631P、AC−4048。
導電性粉末の粒子径は、印刷されるパターンの幅に比べて十分に小さければ、特に限定はないが、平均粒子径として、メジアン径(D50)が0.01〜6μmであることが好ましく、0.03〜5μmであることがより好ましく、0.1〜4μmであることが特に好ましい。また、フレーク状の粉末と球状の粉末を併用して用いることもできる。フレーク状の粉末は、粒子間の接触面積を大きくすることができること等から、高い導電性を期待することができる。
平均粒子径が小さ過ぎると、導電性粉末の調製が難しくなる、導電性が低下する、分散が難しくなる、構造粘性の調節が難しくなる、等の場合があり、一方、平均粒子径が大き過ぎると、分散が難しくなる、分散安定性が悪化する、パターンの形状が悪化する、等の場合がある。
この範囲の平均粒子径であると、後記する混合溶剤との相乗効果で、印刷用組成物の粘度、流動性、構造粘性、チクソトロピー性(構造粘性の時間変化)等が良好で、グラビアオフセット印刷、スクリーンオフセット印刷、タンポ印刷等のブランケット(タンポ)を使用する印刷方法において、印刷機上で連続的に印刷した場合でも、トラブルが起こり難く安定的に良好な導電性パターンを得易くなる。
上記した導電性粉末と後記するバインダー樹脂との含有割合は、特に限定はないが、導電性粉末100質量部当たり、バインダー樹脂が、0.3質量以上30質量%以下が好ましく、1質量以上20質量%以下がより好ましく、3質量以上15質量%以下が特に好ましい。
<バインダー樹脂>
本発明の印刷用組成物はバインダー樹脂を含有する。バインダー樹脂は、印刷後に基板上で樹脂皮膜を形成し、基板上に導電性粉末を固着させる。本発明においては、「バインダー樹脂」の中には、硬化して樹脂になる硬化性化合物(硬化性樹脂)のような、エポキシ樹脂、多官能アクリルモノマー(オリゴマー)等の比較的低分子量の硬化性化合物(硬化性樹脂)も含まれる。また、それらの混合物も含まれる。
バインダー樹脂は、硬化性化合物又は硬化剤の存在下に硬化又は架橋するものであっても、硬化又は架橋しないものであってもよい。
バインダー樹脂としては、基板上で良好な皮膜を形成でき、ブランケット上で良好な皮膜を形成し、印刷用組成物の皮膜がブランケットから基板に完全転写することが可能になるものが好ましい。
本発明における特定のSP値を有する後記する混合溶剤に可溶で、該混合溶剤を使用した場合(該混合溶剤に溶解した場合)、該バインダー樹脂の含有量や分子量等を適切に調整すれば、前記した「タック維持性」や「バルク破壊抑制性」を良好なものとし得るバインダー樹脂が好ましい。
本発明におけるバインダー樹脂は、熱、光線又は電子線等によって硬化する硬化性の樹脂(化合物)であることが、基板上の導電性パターンの硬度が上がる、基板上への固着性が上がる、耐熱性が上がる等の点から好ましい。
硬化性の樹脂若しくは化合物を使用する場合には、上記したような樹脂の分子構造中に、硬化性の官能基があることが好ましい。
バインダー樹脂としては、特に限定はされないが、硬化性の官能基を含まないものとしては、具体的には、例えば、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、塩化ビニルと他の不飽和二重結合含有モノマーとの共重合体、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体、(メタ)アクリル酸エステルと他の不飽和二重結合含有モノマーとの共重合体、ポリスチレン、スチレンと他の不飽和二重結合含有モノマーとの共重合体、ケトン−ホルムアルデヒド縮合体若しくはその水素添加物、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール若しくはその共重合体、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド等が挙げられる。これらは単独又は2種以上を併用することができる。
上記のポリエステル及び塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体の具体的な樹脂名としては特に限定はないが、下記商品が一例として使用可能である。
ポリエステルについては、東洋紡(株)製バイロン200、ユニチカ(株)製エリーテルUE3200;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体については、日信化学工業(株)製ソルバインAL、ソルバインTA5R、ソルバインTA3;(株)カネカ製カネビニールT555。
更に、上記の樹脂(重合体)の側鎖若しくは末端に硬化性の官能基を有している樹脂(重合体)等も挙げられる。これらは、官能基のあるものもないものも含めた上で、単独又は2種以上を併用することができる。
バインダー樹脂の中に概念的に含まれる硬化性化合物(硬化性樹脂)としては、官能基を有するものが好ましい。官能基として水酸基を有する多価アルコール、エポキシ基(グリシジル基)を有するエポキシ樹脂(グリシジル化合物)、カルボキシル基を有する多価カルボン酸、(メタ)アクリル基を有する(メタ)アクリレートモノマー若しくはオリゴマー等が特に好ましい。
上記エポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ樹脂であれば、一般的に用いられているエポキシ樹脂が使用可能であり、具体的には、例えば、ビスフェノールA型、AP型、B型、BP型、C型、E型、F型、S型等のエポキシ樹脂(ビスフェノール型エポキシ樹脂);ノボラック型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;ナフタレン型エポキシ樹脂;1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリス(ヒドロキシフェニル)メタントリグリシジルエーテル等の多価グリシジル化合物;等が挙げられる。
上記フェノキシ樹脂は、熱可塑性樹脂であり、造膜性に優れ、組成物中に導電性粉末が多量に含有されても導電性粒子間の接触が悪くなり難いので好ましい。
フェノキシ樹脂としては、数平均分子量(Mn)が、3000以上のものが好ましく、より好ましくは10000以上であり、40000以下のものが好ましく、20000以下のものがより好ましい。この範囲であると、造膜性や上記効果に優れる。
具体的なエポキシ樹脂及びフェノキシ樹脂としては特に限定はないが、下記の商品が一例として使用可能である。
エポキシ樹脂については、DIC(株)製EPICLON830、EPICLON840、EPICLON850;新日鉄住金化学(株)製エポトートYD−127、エポトートYD−128;三菱化学(株)製jER828;(株)プリンテック社製EPOX−MKR710、EPOX−MKR1710。
フェノキシ樹脂については、三菱化学(株)製jER1256;新日鉄住金化学(株)製エポトートYP−50S;InChem社製PKHC、PKHB。
上記多官能アルコールとしては、低分子ポリオール化合物等が挙げられ、具体的には、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール等の2官能アルコール;トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の3官能以上のアルコール;等を挙げることができる。
また、例えば、分子量800以上のポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール等の高分子ポリオール化合物が挙げられる。
また、バインダー樹脂としては、ポリエステル、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂等を2種以上組み合わせて用いることも好ましい。
本発明の印刷用組成物において、バインダー樹脂の含有量は、印刷方式によって異なるが、例えば、グラビアオフセット印刷、スクリーンオフセット印刷、タンポ印刷の何れでも、印刷用組成物全体に対して、2質量%以上30質量%以下が好ましく、3質量%以上27質量%以下がより好ましく、4質量%以上25質量%以下が特に好ましい。
この範囲のバインダー樹脂の含有量であると、後記する混合溶剤との相乗効果で、印刷用組成物の粘度、流動性、構造粘性、チクソトロピー性(構造粘性の時間変化)等が良好で、印刷機上で連続的に印刷した場合でもトラブルが起こり難く安定的に良好な導電性パターンを得易くなる。
<硬化剤>
本発明の印刷用組成物においては、バインダー樹脂を硬化性とした上で、それと併用して硬化剤を用いることも好ましい。
このような硬化剤としては、具体的には、例えば、オキセタン化合物、酸無水物類、アミン類、イミダゾール類、フェノール(樹脂)類等を挙げることができる。また硬化剤には潜在性硬化剤(アミンアダクト、ブロックイソシナネート化合物等)や硬化促進剤(オクチル酸塩等)も含める。これらは、単独又は2種以上を併用することができる。
潜在性硬化剤又は硬化促進剤としては特に限定はないが、具体的には下記の商品が一例として使用可能である。
ブロックポリイソシアネート化合物については、日本ポリウレタン工業(株)製コロネートAP−M、コロネート2503、コロネート2507、コロネート2513、コロネート2015;旭化成ケミカルズ(株)デュラネート17B−60P、デュラネートTPA−B80E、デュラネートMF−K60B、デュラネートE402−B80B;三井化学(株)タケネートB−830、タケネートB−815N、タケネートB−846N、タケネートB−882N。
アミンアダクトについては、味の素ファインテクノ(株)製アミキュアPN−23、アミキュアPN−H、アミキュアPN−40、アミキュアPN−F、アミキュアMY−24、アミキュアMY−25;四国化成工業(株)製キュアダクトP−0505。
オクチル酸塩等については、サンアプロ(株)製U−CAT SA1、U−CAT SA102、U−CAT SA102−50、U−CAT SA106。
該硬化剤は、印刷後のパターンの焼成工程における共有結合生成による硬化を目的とした、前記バインダー樹脂と反応しうる官能基を含有するものであることが、基板への導電性パターンの固着性や耐熱性の観点から好ましい。
該硬化剤は、上記した反応でのバインダー樹脂との一体化により、50℃において固体となり、導電性パターンの固着性や耐熱性を発現する。
硬化剤を含有する場合は、特に限定はないが、硬化性のバインダー樹脂全体に対して、0.1質量%以上100質量%以下が好ましく、0.3質量%以上50質量%以下が特に好ましい。
<溶剤>
本発明の印刷用組成物は、少なくとも、導電性粉末、バインダー樹脂及び混合溶剤を含有するが、このうち、混合溶剤は、
(1)SP値が9.4以上12.1以下である溶剤(H)を、該混合溶剤全体に対して、2質量%以上60質量%以下で含有し、かつ、
(2)少なくとも1種の溶剤(H)に対してSP値が0.3以上小さい溶剤(A)を含有する。
ここで、「混合溶剤」とは、印刷用組成物に含有される全ての溶剤の混合物全体のことを言う。また、前記したような「硬化して樹脂になる比較的低分子量の硬化性化合物」は、たとえ常温で液体のものであっても、バインダー樹脂に概念的に含まれて、該(混合)溶剤には概念的に含まれない。
SP値の如何に依らず、本発明の印刷用組成物に含有され得る溶剤としては、印刷インキの溶剤として知られているものが全て用いられ得る。特に、本発明の印刷用組成物が、グラビアオフセット印刷用のものであれば、公知のグラビア印刷用又は凹版印刷用の溶剤が;スクリーンオフセット印刷用のものであれば、公知のスクリーン印刷用の溶剤が;タンポ印刷用のものであれば、公知のタンポ印刷用の溶剤が用いられ得る。
これらの溶剤から、後記する特定のSP値若しくはSP値の関係を満たすものが、2種以上混合されて(組み合されて)使用される。
溶剤としては、限定はされないが、具体的には、例えば、以下のものが挙げられる。
ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のエチレングリコール縮合物;
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノペンチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル等のエチレングリコールモノアルキルエーテル若しくはエチレングリコールモノフェニルエーテル;
エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールジペンチルエーテル、エチレングリコールジヘキシルエーテル、エチレングリコールジフェニルエーテル等のエチレングリコールジアルキルエーテル若しくはエチレングリコールジフェニルエーテル;
上記の「エチレングリコール」を「ジエチレングリコール」若しくは「トリエチレングリコール」に代えた溶剤;等が挙げられる。
また、上記のエチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル若しくはトリエチレングリコールモノアルキルエーテルのモノアセテート;
エチレングリコール、ジエチレングリコール若しくはトリエチレングリコールのジアセテート;等が挙げられる。
更に、上記の「エチレングリコール」を「プロピレングリコール」に代えた溶剤等が挙げられる。
また、3,5,5−トリメチルヘキサノール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、ポリエステルポリオール、脂肪族多価アルコール等のアルコール;それらのカルボン酸エステル;γ−ブチルラクトン等の環状エステル;プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニルカーボネート等の炭酸エステル;N−メチルピロリドン;等が挙げられる。
更に、酢酸;テトラヒドロフラン;ベンゼン、トルエン、シクロヘキサン、アミルベンゼン、キシレン等の炭化水素;酢酸メチル、酢酸エチル、フタル酸ジオクチル、ギ酸エチル、芳香族エステル等のエステル;アセトフェノン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトン等のケトン;四塩化炭素、クロロホルム、トリクロロエチレン、ジクロロメタン、ジクロルエタン、テトラクロルエタン等の塩素含有溶剤;オクチレングリコール、エタンチオール、アセトンアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール若しくはチオール;二硫化炭素;プロピオニトリルピリジン、ニトロエタン、アセトニトリル等の窒素含有溶剤;ジオキサン;ε−カプロラクトン;等が挙げられる。また、重複はするが、表1と表2に記載の溶媒が挙げられる。
これらの溶剤から、後記する特定のSP値若しくは特定のSP値の関係を満たすものが2種以上混合されて(組み合されて)、本発明における(混合)溶剤として使用される。
SP値が7.8〜12.1の溶剤としては、ジエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコール−2−ヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール−n−ヘキシルエーテル、ジエチレングリコール−2−ヘキシルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、3,5,5−トリメチルヘキサノール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、γ−ブチルラクトン、ベンゼン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、アミルベンゼン、キシレン、メチルエチルケトン、フタル酸ジオクチル、酢酸メチル、ジオキサン、シクロヘキサン、アセトフェノン、シクロヘキサノン、アセトン、イソプロピルアルコール、四塩化炭素、芳香族エステル、ベンゼン、クロロホルム、トリクロロエチレン、ジクロロメタン、ジクロルエタン、二硫化炭素、テトラクロルエタン、プロピオニトリルピリジン、ニトロエタン、アセトニトリル、ε−カプロラクトン、オクチレングリコール、ギ酸エチル、エタンチオール、アセトンアルコール等が挙げられる。また、表1と表2に、SP値が7.8〜12.1の溶剤として記載の溶媒が挙げられる。
<<溶剤のSP値>>
「SP値」とは、溶解パラメーター(Solubility Parameter)のことであり、ヒルデブラント(Hildebrand)によって導入された正則溶液論により定義された値であり、分子間力や物性の極性を表す尺度として使用される。
液体の1モル当たりの蒸発熱を、ΔH[cal]、モル体積をV[cm]とするとき、[SP値]=(ΔH/V)1/2[(cal/cm1/2]により定義される。
2つの成分のSP値の差が小さい程、親和性や溶解性が大となることが経験的に知られている。
本発明者は、導電性パターン印刷用組成物について、(混合)溶剤がブランケット表面のシリコーンゴムに及ぼす影響に関して鋭意検討した結果、SP値が所定の範囲内にある又は所定の関係にある(混合)溶剤によって、前記した「タック維持性」と「バルク破壊抑制性」とを両立させた印刷用組成物を得ることができ、更には、同時に幅の異なる細線が混在するパターンの印刷にも対応できることを見出した。
本発明においては、SP値が9.4以上12.1以下である溶剤(H)を、「印刷用組成物の全ての溶剤である混合溶剤」全体に対して、2質量%以上60質量%以下で含有している。以下、「SP値が9.4以上12.1以下である溶剤(H)」を、単に「溶剤(H)」と略記することがある。
溶剤(H)の含有量は、混合溶剤全体に対して、2質量%以上60質量%以下が必須であるが、好ましくは3質量%以上57質量%以下、より好ましくは4質量%以上55質量%以下、特に好ましくは5質量%以上53質量%以下である。溶剤(H)を2種以上含有するときは、上記値は全ての溶剤(H)の合計含有量で規定される。
上記下限以上であると、タック維持性が良好となる、ブランケット表面のシリコーンゴムに及ぼす影響が低減される等の効果が得られる。また、上記上限以下であると、バルク破壊抑制性が良好となる。
また、上記範囲内であると、前記した本発明の効果を好適に奏し、特に、タック維持性とバルク破壊抑制性が両立した印刷用組成物を得ることができ、更には、幅又は面積の異なるパターンが混在していても、何れのパターンの印刷でも同時に好適にできる。
上記溶剤(H)の含有量は、バインダー樹脂の種類、(混合)溶剤以外の成分の濃度等にも依存するが、(混合)溶剤以外の成分の濃度が高い場合、固形分濃度が高い場合には、上記溶剤(H)の含有量は多い方が好ましい。
更に、本発明における混合溶剤は、少なくとも1種の溶剤(H)に対してSP値が0.3以上小さい溶剤(A)を含有することを特徴とする。
溶剤(H)を2種以上含有するときは、SP値が高い方の溶剤(H)に対してSP値が0.3以上小さい溶剤(A)を含有していればよい。
また、少なくとも1種の溶剤(H)に対してSP値が0.3未満だけ小さい溶剤を含有していてもよい。
また、「少なくとも1種の溶剤(H)に対してSP値が0.3以上小さい溶剤(A)」が、別の溶剤(H)であってもよい。すなわち、SP値が0.3以上離れた2種の溶剤(H)を含有する場合であっても本発明に含まれる。
以下、「少なくとも1種の溶剤(H)に対してSP値が0.3以上小さい溶剤(A)」を、単に「溶剤(A)」と略記することがある。
溶剤(A)は、少なくとも1種の溶剤(H)に対してSP値が0.3以上小さい溶剤であるが、SP値が0.5以上小さい溶剤であることがより好ましく、0.7以上小さい溶剤であることが特に好ましい。
溶剤(A)と溶剤(H)のSP値の差が上記であると、すなわち、SP値の離れた少なくとも2種の溶剤を含有することによって、タック維持性とバルク破壊抑制性が両立した印刷用組成物を得ることができ、更には、幅又は面積の異なるパターンが混在していても、何れのパターンの印刷でも同時に好適にできる。
「溶剤(H)に属する溶剤(A)」に対してSP値が0.3以上大きい溶剤(H)が混合溶剤中に存在する場合は、その溶剤(H)の合計含有量が、混合溶剤全体に対して、1質量%以上含有されていることが好ましく、2質量%以上含有されていることがより好ましく、3質量%以上含有されていることが更に好ましく、4質量%以上含有されていることが特に好ましい。少な過ぎると、溶剤(H)含有の前記効果が低減する場合がある。
本発明の印刷用組成物において、SP値が7.8以上12.1以下の溶剤は、混合溶剤全体に対して90質量%以上含有されていることが好ましい。より好ましくは95質量%以上、更に好ましくは98質量%以上、特に好ましくは100質量%である。
SP値が7.8未満の溶剤が多過ぎるとタック維持性に劣る場合があり、SP値が12.1より大きい溶剤が多過ぎるとバルク破壊抑制性に劣る場合がある。
また、「SP値が7.8以上12.1以下の溶剤」であることに代えて、「SP値が8.0以上11.0以下の溶剤」であることがより好ましく、「SP値が8.3以上9.6以下の溶剤」であることが特に好ましい。また、そのときの、該SP値の範囲の溶剤の含有量が、上記範囲であることが更に好ましい。
SP値が小さ過ぎる溶剤が多過ぎるとタック維持性に劣る場合があり、SP値が大き過ぎる溶媒が多過ぎるとバルク破壊抑制性に劣る場合がある。
本発明の印刷用組成物に含有される混合溶剤は、SP値が7.8以上9.1以下である溶剤(L)と、SP値が9.4以上12.1以下である溶剤(H)を含有し、該溶剤(L)と該溶剤(H)との合計含有量が、該混合溶剤全体に対して70質量%以上であることが好ましい。
すなわち、前記溶剤(H)と前記溶剤(A)は、SP値が0.3以上(好ましくは0.5以上、特に好ましくは0.7以上)離れていることが必須であるが、該距離(SP値の差の部分)には、SP値9.1以上9.4以下の範囲を含んでいることが好ましい。すなわち、前記溶剤(A)が溶剤(L)であることが好ましい。
以下、「SP値が7.8以上9.1以下である溶剤(L)」を、単に「溶剤(L)」と略記することがある。
溶剤(L)と溶剤(H)とを含有することによって、すなわち、SP値9.1以上9.4以下の範囲を空けて、上下に少なくとも2種の溶剤を含有することによって、タック維持性とバルク破壊抑制性が両立した印刷用組成物をより好適に得ることができ、更には、幅又は面積の異なるパターンが混在していても、何れのパターンでも同時により好適に印刷できる。
溶剤(L)と溶剤(H)との合計含有量が、混合溶剤全体に対して70質量%以上であることが好ましい。より好ましくは80質量%以上であり、更に好ましくは90質量%以上であり、特に好ましくは100質量%である。
溶剤(L)と溶剤(H)とを、上記範囲で含有することによって、タック維持性とバルク破壊抑制性が両立した印刷用組成物を特に好適に得ることができ、更には、幅又は面積の異なるパターンが混在していても、何れのパターンでも同時に特に好適に印刷できる。
なお、上記の場合、SP値9.1以上9.4以下の範囲に、溶剤(L)でも溶剤(H)でもない溶剤を含有していてもよい。
また、前記した溶剤(A)は、溶剤(H)でもよく、SP値9.1以上9.4以下の範囲の溶剤であってもよく、溶剤(L)であってもよいが、溶剤(L)であることが好ましい。すなわち、溶剤(L)(溶剤(A)でもある)と溶剤(H)とを含有することによって(SP値9.1以下の溶剤とSP値9.4以上の溶媒を含有することによって)、タック維持性とバルク破壊抑制性が両立し、更に、幅又は面積の異なるパターンでも同時に好適に印刷できる。
上記溶剤(H)は(より好ましくは何れも)、20℃における蒸気圧が0.05hPa以下のものであることが、タック維持性に優れた印刷用組成物を得るために好ましい。20℃における蒸気圧が0.01hPa以下のものであることが特に好ましい。
上記溶剤(H)は(より好ましくは何れも)、常圧(1013hPa)における沸点が240℃以上のものであることが好ましく、250℃以上のものであることがより好ましく、260℃以上のものであることが更に好ましく、270℃以上のものであることが特に好ましい。
具体的な溶剤名とそれぞれの溶剤の蒸気圧及び沸点の例としては、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(蒸気圧0.0033hPa、沸点271.2℃)、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル(0.01hPa以下、274℃)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(0.01hPa、230.6℃)、エチレングリコールモノフェニルエーテル(0.013hPa、244.7℃)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(0.08hPa、187.2℃)、ε−カプロラクトン(0.0013hPa、136.0℃)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(0.26hPa、193.0℃)、アセトフェノン(0.60hPa、201.7℃)、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル(0.01hPa未満、302℃)、1,3−ブチレングリコールジアセテート(0.00026hPa、232℃)等があるがこれらには限定されない。
例えばグラビアオフセット印刷の場合、線幅が約20μm〜約30μmと微細になると、凹版の深さが約10μmになり、また、スクリーンオフセット印刷とタンポ印刷も含めて、ブランケットに転写される印刷用組成物の量(体積)が少なくならざるを得ないが、(混合)溶剤には、ブランケットに吸収され難い性質と共に、蒸発し難い性質も有していた方が、タック維持性の向上のためには良いからである。
上記混合溶剤のうち、表面張力(静的)が20℃において20mN/m以上40mN/m以下である溶剤が、該混合溶剤全体に対して合計量で80質量%以上含有されていることが、「パターン直線性(うねりが少ない)」や「パターン幅再現性(太りが少ない)」を良好にするために好ましい。
上記混合溶剤の表面張力(静的)は、特に限定はないが、20℃において、20mN/m以上40mN/m以下であることが好ましく、25mN/m以上38mN/m以下であることが特に好ましい。
また、「表面張力(静的)が20℃において20mN/m以上40mN/m以下である溶剤」は、80質量%以上含有されていることが好ましいが、より好ましくは90質量%以上であり、特に好ましくは95質量%以上である。
なお、本発明における表面張力は、測定温度20℃にて、Wilhelmy法(協和界面科学製、型式:CBVP−Z)で測定された値である。
表面張力が大き過ぎると、ブランケット表面又は基板表面に対して垂直方向上面から観察した時のブランケット上又は基板上のパターンの直線性が劣化して、数珠状にくびれる現象(うねり)が発生することにより、「パターン直線性(うねりが少ない)」に劣る場合や、パターン形状が変形する場合等がある。
一方、表面張力が小さ過ぎると、ブランケット表面又は基板表面に対して垂直方向上面から観察した時のパターンの線幅が印刷版の線幅より太くなる現象(太り)が発生することにより、「パターン幅再現性(太りが少ない)」に劣る場合や、バルク破壊抑制性に劣る場合等がある。
具体的な溶剤名と表面張力としては、例えば、ジエチレングリコールジブチルエーテル(23.6mN/m)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(25.1mN/m)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(27.7mN/m)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(26.2mN/m)、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル(26.2mN/m)、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル(36.3mN/m)、その他、表2に記載の「溶剤と表面張力」等があるがこれらに限定されない。
本発明の印刷用組成物において、混合溶剤の含有量は、印刷方式によって異なるが、例えば、グラビアオフセット印刷では、印刷用組成物全体に対して、3質量%以上50質量%以下が好ましく、5質量%以上40質量%以下がより好ましく、7質量%以上35質量%以下が特に好ましい。
<その他の成分>
本発明の印刷用組成物には、更に、必要に応じて、「その他の成分」を含有することが好ましい。
「その他の成分」としては、グラビアオフセット印刷の場合には、公知のグラビア印刷用インキや凹版印刷用インキの成分が挙げられ、スクリーンオフセット印刷の場合には、公知のスクリーン印刷用インキの成分が挙げられ、タンポ印刷の場合は、公知のタンポ印刷用インキの成分が挙げられる。
具体的には、例えば、流動性付与剤、流動性調整微粒子、分散(安定)剤、消泡剤、剥離剤、レベリング剤、可塑剤、滑剤、構造粘性付与剤、チクソトロピー付与剤、熱硬化反応を抑制する安定化剤等が挙げられる。
流動性調整微粒子は、吸油量や比表面積によって、組成物の流動性を調整することで、印刷性を良好にするもので、数平均粒径1μm以下のものが好ましく、0.5μm以下のものが特に好ましい。
流動性調整微粒子を含有させると、印刷用組成物の「流動性」が向上する。
流動性調整微粒子としては、例えば、火炎法(ヒュームド)シリカ、コロイド状シリカ、アルミナ、チタニア等が好ましいものとして挙げられる。疎水性処理等の処理が施されたものであることも好ましい。
流動性調整微粒子としては特に限定はないが、具体的には下記の商品が一例として使用可能である。
富士シリシア化学(株)製サイリシア310、サイリシア320、サイリシア350;日本アエロジル(株)製AEROSIL200、AEROSIL380。
<基板>
本発明の印刷用組成物が印刷される基板としては、限定はないが、具体的には、例えば、プラスチック(フィルム)、セラミック(フィルム)、シリコンウエハ、ガラス、金属(プレート)、紙、布、ゴム、木材等が挙げられる。
本発明の印刷用組成物は、タック維持性とバルク破壊抑制性が両立しており、特に、線幅50μm以上のパターンで悪化し易いバルク破壊抑制性が改良され、線幅20μm以下のパターンで悪化し易いタック維持性が改良されている。
従って、本発明の印刷用組成物を印刷する基板は、同一基板上に、線幅20μm以下のパターンと、線幅50μm以上のパターンとが共存している基板であることが、その効果を顕著に発揮する点から好ましい。
実際の基板では、細い線幅と太い線幅が併存するものが多いが、このような基板においては、本発明の印刷用組成物が「細い線幅のときに問題となり易い『タック維持性』、及び、太い線幅のときに問題となり易い『バルク破壊抑制性』の両立性に優れている」という特長が生かされる。
本発明の印刷用組成物は、線幅20μm以下のパターンと線幅50μm以上のパターンとが共存している基板への印刷用のものであることが好ましく、線幅20μm以下のパターンと線幅100μm以上のパターンとが共存している基板への印刷用のものであることがより好ましく、線幅20μm以下のパターンと線幅150μm以上のパターンとが共存している基板への印刷用のものであることが特に好ましく、線幅20μm以下のパターンと線幅300μm以上のパターンとが共存している基板への印刷用のものであることが、上記理由から更に好ましい。
なお、上記線幅は、基板上での線幅を規定したものである。印刷用の版における細い線幅のパターンが合体して、ブランケット上や基板上で太い線幅のパターンになることがある。又は意識的に、版における細い線幅のパターンを合体させて、ブランケット上や基板上で太い線幅のパターンにさせることがある。
本発明における「タック維持性」も「バルク破壊抑制性」も、ブランケットから基板への印刷用組成物の転写時の特性であるので、上記線幅の規定は、版における線幅の規定ではなく、ブランケット及び/又は基板における線幅の規定である。すなわち、グラビアオフセット印刷やタンポ印刷では凹版にける「線状の凹部の幅」の規定ではなく、スクリーンオフセット印刷ではスクリーン版における「線状の抜け部分の太さ」の規定ではない。
<用途>
本発明の印刷用組成物の印刷対象は、特に限定はないが、タッチパネル、電子ペーパー、太陽光発電パネル、積層セラミックコンデンサー等の電子部品の配線、電極、導電回路等の導電性パターンであることが、本発明の印刷用組成物の効果を顕著に発揮するために好ましい。
印刷される導電性パターンの特に好ましい対象は、タッチパネル用の導電性パターンである。すなわち、印刷される導電性パターンを有する基板は、タッチパネル用の導電性パターンを有する基板であることが特に好ましい。
<導電性パターンの印刷方法・製造方法>
本発明の印刷用組成物は、ブランケットを使用する任意の印刷方法で基板上に印刷することで導電性パターンを形成することができる。
本発明の印刷用組成物は、ブランケットから基板への転写性を改良したものであるから、ブランケットを使用する印刷方法で使用されることが好ましい。
本発明の他の態様は、前記の本発明の導電性パターン印刷用組成物を用いて基板上にパターンを印刷する導電性パターンを有する基板の製造方法であって、該導電性パターン印刷用組成物を印刷用の版からブランケットに転写する工程、及び、該ブランケットから基板に転写する工程を有することを特徴とする導電性パターンを有する基板の製造方法である。
上記のような導電性パターンの印刷方法としては、例えば、グラビアオフセット印刷、スクリーンオフセット印刷、タンポ印刷等が挙げられる。
中でも、本発明の前記効果を特に有効に発揮させるためには、グラビアオフセット印刷が好ましい。すなわち、本発明の導電性パターンを有する基板の製造方法は、上記印刷方法がグラビアオフセット印刷による方法であって、上記印刷用の版がグラビア版又は凹版であることが特に好ましい。
グラビアオフセット印刷は、凹版オフセット印刷とも呼ばれ、例えば特許文献2〜5等に記載されている。
グラビアオフセット印刷では、導電性パターンに対応する凹部が形成されたグラビア版(凹版)と、印刷用組成物をグラビア版(凹版)の凹部に充填するドクターブレードと、表面が、例えばシリコーンゴムからなるブランケットとが用いられる。なお、グラビアオフセット印刷に用いられる凹版は、汎用のグラビア印刷に用いられる通常の凹版とは形態が異なっていてもよい。以下、グラビアオフセット印刷に用いられる「グラビア版又は凹版」を、「グラビア版(凹版)」と略記する場合がある。
このグラビア版(凹版)の凹部から印刷用組成物がブランケットに一旦転写される。このブランケットに対向させる様に基板を供給して、両者を圧接させて、ブランケット上のパターンを基板に再度転写することで、印刷パターンが形成される。
この印刷パターンは、加熱して焼成することで導電性を有する導電性パターンとなる。
この印刷法によれば、凹部の形状によって印刷パターンの形状を自在に設定でき、また、ブランケットから基板への印刷用組成物の皮膜の転写率も、本発明の印刷用組成物を用いれば、ほぼ100%にできるため、微細配線パターンに対応する印刷パターンから、大面積のパターンまでを精度良く形成することが可能である。
グラビア版(凹版)としては、公知のものが使用できる。
グラビア版(凹版)、ブランケット及び基板は、それぞれ平板状(枚葉)のものでもよいし円筒状のものでもよい。ブランケットを基板に圧接して、連続的にブランケット上のパターンを基板に転写するようにしてもよい。
また、1つのブランケットを使って、多数の基板への印刷を行う場合には、印刷後に、溶剤を吸収したブランケットを乾燥させる工程を含ませることも好ましい。この乾燥工程は、1回の印刷サイクル毎に行ってもよいし、間隔を開けて、5〜20回の印刷サイクル毎に行ってもよい。
ブランケットとしては、シリコーンゴムを材質とするものが好ましい。シリコーンゴム層を表面に有するシートが好ましいものとして挙げられる。ブランケット胴と称される剛性のある円筒に巻きつけた状態で使用されることが好ましい。
例えば、シリコーンゴム層をポリエステルフィルム等のプラスチックフィルム上に形成したシリコーンブランケットを、ブランケット胴に巻きつけた状態で使用することができる。
スクリーンオフセット印刷は、例えば特許文献6等に記載されている。
スクリーンオフセット印刷では、導電性パターンに対応する通過孔が形成されたスクリーン印刷版を用いて、印刷用組成物がブランケットに一旦スクリーン印刷される。このブランケットに対向させる様に基板を供給して、両者を圧接させて、ブランケット上のパターンを基板に再度転写することで、印刷パターンが形成される。ブランケットとしては、シリコーンゴムを材質とするものが好ましい。
この印刷パターンは、加熱して焼成することで導電性を有する導電性パターンとなる。
タンポ印刷は、スタッピング印刷、パット印刷とも呼ばれ、例えば特許文献7等に記載されている。
タンポ印刷では、凹版上の印刷用組成物は、一旦、柔らかい半球状や船底状のシリコーンゴム製のブランケット(「タンポ」とも言う)に転写され、次に、該ブランケット(タンポ)が基板に押しつけられることによって、ブランケット(タンポ)上の印刷用組成物が基板に転写される。
凹版を使用すること、凹部に印刷用組成物を充填するためにドクターを使用すること等は、グラビアオフセット印刷と同様である。ブランケット(タンポ)としては、シリコーンゴムを材質とするものが好ましい。
具体的なタンポ印刷のブランケットとしては、例えば、ミノグループ社製シリコンパッドR−12(φ70×61mm(底面×高さ))、硬度40度を用いることができる。
上記導電性パターンを有する基板の製造方法においては、印刷対象(製造対象)である基板が、同一基板上に線幅20μm以下のパターンと線幅50μm以上のパターンとが共存している基板であることは、本発明の印刷用組成物が、細い線幅で問題となる「タック維持性」、及び、太い線幅で問題となる「バルク破壊抑制性」の両立ができる、という特長が生かされるために好ましい。
線幅20μm以下のパターンと、線幅100μm以上のパターンとが共存している基板であることがより好ましく、線幅20μm以下のパターンと線幅150μm以上のパターンとが共存している基板であることが特に好ましく、線幅20μm以下のパターンと線幅300μm以上のパターンとが共存している基板であることが特に好ましい。なお、実際の基板では、細い線幅と太い線幅が併存するものが極めて多い。
なお、印刷用の版における細い線幅のパターンを合体させて、ブランケット上や基板上で太い線幅のパターンにすることがあるが、上記線幅は、基板上での線幅を規定したものである。
本発明における「タック維持性」も「バルク破壊抑制性」も、ブランケットから基板への印刷用組成物の転写時の特性である。上記線幅の規定は、印刷用の版における線幅の規定ではなく、ブランケット及び/又は基板における線幅の規定である。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限りこれらの実施例に限定されるものではない。ここで、「%」と「部」は、特に断らない限り「質量%」と「質量部」である。
調製例1
<導電性パターン印刷用組成物1の調製>
以下の組成で、グラビアオフセット印刷のための「導電性パターン印刷用組成物1」を調製した。
導電性粉末として、平均粒子径がメジアン径(D50)として、0.5μmの銀粉末(三井金属鉱業(株)社製SPQ03R)を80部;
バインダー樹脂として、ビスフェノール型エポキシ樹脂(DIC(株)製EPICLON840)1.5部、及び、フェノキシ樹脂(新日鉄住金化学(株)製エポトートYP−50S)5.0部;
硬化剤として、アミン化合物(味の素ファインテクノ(株)製アミキュアMY−24)0.8部;
流動性調整微粒子として、火炎法シリカ(富士シリシア化学(株)製サイリシア320)0.2部;
以上と「表2に記載した溶剤からなる混合溶剤」30部を用いて組成物を調製した。なお、上記「混合溶剤」は、印刷用組成物に含まれる溶剤の全てであり、「30部」は、それら全ての溶剤の合計量である。
調製例2
<導電性パターン印刷用組成物2の調製>
調製例1の以下の「導電性パターン印刷用組成物1」の調製において、混合溶剤30部に代えて、混合溶剤25部に減量した(混合溶剤量を減らして固形分濃度を上げた)以外は、調製例1と同様にして、グラビアオフセット印刷のための「導電性パターン印刷用組成物2」を調製した。
混合溶剤中の各溶剤の含有比率は、「導電性パターン印刷用組成物1」と同様にした。
固形分濃度を上げるとバルク破壊抑制性が良い方向に行くので、「導電性パターン印刷用組成物1」で、何れかの線幅のパターンで、バルク破壊抑制性が「×」だったものについてのみ評価を行った。
ただし、「導電性パターン印刷用組成物2」は、濃度としては現実的ではあるが、「導電性パターン印刷用組成物1」に比較して、固形分濃度を上げることにより流動性が低下してグラビア版の凹部への充填が不十分となり、基板に印刷される導電性パターンが「断線」や「ピンホール」等の欠陥が発生し易くなると言った欠点がある。従って、「導電性パターン印刷用組成物1」を使用したとき、何れかの線幅のパターンでバルク破壊抑制性が「×」であるため、「導電性パターン印刷用組成物2」でも評価したものについては、後記する総合評価は最良でも「△」とした。
評価例1
<グラビアオフセット印刷の方法>
幅20μm、幅50μm及び幅150μmのラインが混在するパターンをグラビアオフセット印刷で印刷した。用いたグラビア版(凹版)は版深10μmであった。
表中で、幅20μmのパターンを「線幅小」、幅50μmのパターンを「線幅中」、幅150μmのパターンを「線幅大」と略記する。
表面に厚さ0.85mmのシリコーンゴムシート(シリコーンゴム/ポリエステルフィルム層構成、ゴム硬度(JIS A)45度、表面平均粗さRa:0.1μm、表面張力21mN/m)が取り付けられたブランケットロールを有するグラビアオフセット印刷装置を用い、上記で得られた印刷用組成物を用いて、PET製の基板に印刷を行った。以下の評価例に従って評価して、判定した。
評価例2
<タック維持性の評価方法>
印刷した枚数毎に、印刷後のブランケットと基板について、光学顕微鏡と目視で、ブランケット上に残存するパターンと基板上に転写されたパターンとを観察した。以下の基準で判定した。
<タック維持性の判定基準>
○:10枚の印刷で、10枚全てブランケット上のパターンが基板上に転写されて問題がない。
△:10枚の印刷で、「1枚目からブランケット上のパターンが全て基板上に転写されるが、途中から基板上に転写されないパターンが存在する」若しくは「1枚目は基板上に転写されないパターンが存在するが、途中からパターンが全て基板上に転写される」。
×:10枚の印刷で、10枚全ての基板上に転写されないパターンが存在する。
評価例3
<バルク破壊抑制性の評価方法>
印刷した枚数毎に、印刷後のブランケットと基板について、光学顕微鏡と目視で、ブランケット上に残存するパターンと基板上に転写されたパターンとを観察した。以下の基準で判定した。
<バルク破壊抑制性の判定基準>
○:10枚の印刷で、10枚全てのブランケット上に印刷用組成物が残存せず問題がない。
△:10枚の印刷で、「1枚目からブランケット上に印刷用組成物が残存しないが、途中からブランケット上に残存するようになる」若しくは「1枚目はブランケット上に印刷用組成物が残存するが、途中からブランケット上に残存しないようになる」。
×:10枚の印刷で、10枚全てブランケット上に印刷用組成物が残存する。
評価例4
<パターン直線性(うねりが少ない)の評価方法>
印刷版における「50μmのラインアンドスペース1:1のパターン」を使用し、光学顕微鏡(反射光)を用い、倍率100倍での観察と写真撮影によって、基板上でのパターン線幅の寸法測定を行い、下記式(1)の値で、「パターン直線性(うねりが少ない)」を判定した。なお、下記式(1)の値の単位は、分子も分母も[μm]である。
100×[パターン線幅(最大値)−パターン線幅(最小値)]/50・・・・(1)
<パターン直線性(うねりが少ない)の判定基準>
○:式(1)の値が0%以上20%以下である
△:式(1)の値が20%より大きく50%以下である
×:式(1)の値が50%より大きい
評価例5
<パターン幅再現性(太りが少ない)の評価方法>
印刷版における「50μmのラインアンドスペース1:1のパターン」を使用し、光学顕微鏡(反射光)を用い、倍率100倍での観察と写真撮影によって、基板上でのパターン線幅の寸法測定を行い、下記式(2)の値で、「パターン幅再現性(太りが少ない)」を判定した。なお、下記式(1)の値の単位は、分子も分母も[μm]である。
100×[基板上でのパターン線幅−50]/50・・・・・・・・・(2)
<パターン幅再現性(太りが少ない)の判定基準>
○:式(2)の値が20%以下である(マイナスの%も含む)
△:式(2)の値が20%より大きく50%以下である
×:式(2)の値が50%より大きい
評価例6
<総合評価の方法>
タック維持性、バルク破壊抑制性、パターン直線性(うねりが少ない)、及び、パターン幅再現性(太りが少ない)を総合評価した。
なお、印刷用組成物1の線幅大でバルク破壊抑制性が×だったものについては、混合溶剤量を減らして固形分濃度を上げた印刷用組成物2でも評価した。
<総合評価の判定基準>
○:印刷用組成物1でのタック維持性とバルク破壊抑制性で、×がなく△が2個以下であり、パターン直線性(うねりが少ない)・パターン幅再現性(太りが少ない)が何れも○である。
△:印刷用組成物1でのタック維持性とバルク破壊抑制性で、×がなく△が3個以上であるか、又は、印刷用組成物2で評価した結果×がなかったか、又は、パターン直線性(うねりが少ない)・パターン幅再現性(太りが少ない)の何れかが△である。
×:印刷用組成物1と印刷用組成物2の何れでも、タック維持性又はバルク破壊抑制性に「×」がある。
表2から分かるように、SP値が9.4以上12.1以下である溶剤(H)を、混合溶剤全体に対して2質量%以上60質量%以下で含有し、かつ、少なくとも1種の溶剤(H)に対してSP値が0.3以上小さい溶剤(A)を含有する混合溶剤を用いた導電性パターン印刷用組成物(No.11〜31)では、何れも総合評価が「○」又は「△」であって良好と判断された。
それに対して、本発明の要件を満たさない導電性パターン印刷用組成物(No.32〜42)では、何れも総合評価が「×」であり不良と判断された。
良好と判断された導電性パターン印刷用組成物No.11〜31の中でも、SP値が7.8以上12.1以下の溶剤が、混合溶剤全体に対して、90質量%未満である導電性パターン印刷用組成物(No.24)では、上記要件を満たしていても、総合評価が「△」であった。
また、良好と判断された導電性パターン印刷用組成物No.11〜31の中でも、SP値が7.8以上9.1以下である溶剤(L)とSP値が9.4以上12.1以下である溶剤(H)との合計含有量が、該混合溶剤全体に対して70質量%未満である導電性パターン印刷用組成物(No.16、17、23、25)では、上記要件を満たしていても、何れも総合評価が「△」であった。
また、良好と判断された導電性パターン印刷用組成物No.11〜31の中でも、溶剤(H)の中に、20℃における蒸気圧が0.05hPaより大きいものがある導電性パターン印刷用組成物(No.28、30)では、上記要件を満たしていても、何れも総合評価が「△」であった。
また、良好と判断された導電性パターン印刷用組成物No.11〜31の中でも、混合溶剤のうち、表面張力が20℃において20mN/m以上40mN/m以下である溶剤が、混合溶剤全体に対して合計量で80質量%未満しか含有されていない導電性パターン印刷用組成物(No.29、30)では、上記要件を満たしていても、何れも総合評価が「△」であった。
本発明の導電性パターン印刷用組成物は、転写性に優れているので、各種の電気部品・電子部品の配線、電極、導電回路等の導電性パターンを形成する際に広く利用されるものである。

Claims (13)

  1. 少なくとも、導電性粉末、バインダー樹脂、及び、混合溶剤を含有する導電性パターン印刷用組成物であって、
    SP値が9.4以上12.1以下である溶剤(H)を、該混合溶剤全体に対して、2質量%以上60質量%以下で含有し、
    かつ、該混合溶剤は、少なくとも1種の溶剤(H)に対してSP値が0.3以上小さい溶剤(A)を含有することを特徴とする導電性パターン印刷用組成物。
  2. 上記溶剤(A)が、上記少なくとも1種の溶剤(H)に対してSP値が0.5以上小さい溶剤である請求項1に記載の導電性パターン印刷用組成物。
  3. SP値が7.8以上12.1以下の溶剤が、上記混合溶剤全体に対して、90質量%以上含有されている請求項1又は請求項2に記載の導電性パターン印刷用組成物。
  4. 上記混合溶剤は、SP値が7.8以上9.1以下である溶剤(L)と、SP値が9.4以上12.1以下である溶剤(H)を含有し、該溶剤(L)と該溶剤(H)との合計含有量が、該混合溶剤全体に対して70質量%以上である請求項1ないし請求項3の何れかの請求項に記載の導電性パターン印刷用組成物。
  5. 上記溶剤(H)は何れも、20℃における蒸気圧が0.05hPa以下のものである請求項1ないし請求項4の何れかの請求項に記載の導電性パターン印刷用組成物。
  6. 上記混合溶剤のうち、表面張力が20℃において20mN/m以上40mN/m以下である溶剤が、該混合溶剤全体に対して合計量で80質量%以上含有されている請求項1ないし請求項5の何れかの請求項に記載の導電性パターン印刷用組成物。
  7. 上記導電性粉末が銀粉末である請求項1ないし請求項6の何れかの請求項に記載の導電性パターン印刷用組成物。
  8. 基板に印刷されるものであって、該基板は、同一基板上に線幅20μm以下のパターンと線幅50μm以上のパターンとが共存しているものである請求項1ないし請求項7の何れかの請求項に記載の導電性パターン印刷用組成物。
  9. 上記印刷される導電性パターンが、タッチパネル用の導電性パターンである請求項1ないし請求項8の何れかの請求項に記載の導電性パターン印刷用組成物。
  10. グラビアオフセット印刷用のものである請求項1ないし請求項9の何れかの請求項に記載の導電性パターン印刷用組成物。
  11. 請求項1ないし請求項10の何れかの請求項に記載の導電性パターン印刷用組成物を用いて基板上にパターンを印刷する導電性パターンを有する基板の製造方法であって、該導電性パターン印刷用組成物を印刷用の版からブランケットに転写する工程、及び、該ブランケットから基板に転写する工程を有することを特徴とする導電性パターンを有する基板の製造方法。
  12. 上記基板が、同一基板上に線幅20μm以下のパターンと線幅50μm以上のパターンとが共存しているものである請求項11に記載の導電性パターンを有する基板の製造方法。
  13. 上記印刷方法がグラビアオフセット印刷による方法であって、上記印刷用の版がグラビア版又は凹版である請求項11又は請求項12に記載の導電性パターンを有する基板の製造方法。
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