JP2018141082A - 樹脂組成物、フィルム、および光デバイス - Google Patents

樹脂組成物、フィルム、および光デバイス Download PDF

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敏彦 片山
律也 川崎
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律也 川崎
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Masahiro Kitamura
昌弘 北村
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Abstract

【課題】高耐熱性、低熱膨張性および低複屈折性である透明部材を形成するために用いられる樹脂組成物を提供する。
【解決手段】透明部材を形成するために用いる樹脂組成物であって、当該樹脂組成物は、ポリアミド、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾールおよびポリアミドイミドからなる群から選択される少なくとも1つのポリマーを含み、当該樹脂組成物からなるフィルムを作製したとき、前記フィルムの波長550nmにおける厚み方向の複屈折が0.03以下であり、前記フィルムの30℃〜200℃における熱膨張係数が33ppm/℃以下であり、前記フィルムのガラス転移温度が300℃以上である、樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物、フィルムおよび光デバイスに関する。より詳細には、本発明は、液晶表示装置等に用いられる光学材料等の透明部材を製造するための樹脂組成物、このような樹脂組成物から製造されるフィルム、およびこのようなフィルムを備える光デバイスに関する。
近年、液晶または有機EL、電子ペーパー等のディスプレイ、太陽電池、およびタッチパネル等のエレクトロニクスの急速な進歩に伴い、デバイスの薄型化や軽量化、さらには、フレキシブル化が要求されている。そこで従来よりこれらのデバイスに用いられているガラス基板に代えて、薄型化、軽量化、およびフレキシブル化が可能な樹脂フィルム基板の使用が検討されている。
またこれらのデバイスでは、フィルム基板上に様々な電子素子、例えば、薄膜トランジスタまたは透明電極等が形成されており、これらの電子素子の形成には高温プロセスが必要である。そのため、フィルム基板には高温プロセスに適応できるだけの十分な耐熱性が必要とされる。また無機材料からなるこれらの電子素子をフィルム基板上に形成した場合、無機材料とフィルムの線熱膨張係数の違いにより、電子素子の形成後にフィルムが反ったり、電子素子が破壊したりする場合があった。このため、フィルム基板には、耐熱性を有しつつ、無機材料と同等の線熱膨張係数を有することが望まれている。
さらに、バックライトや発光素子から発せられる光がフィルム基板を通って出射されるような場合、フィルム基板には透明性が求められる。また、位相差フィルムや偏光板を光が通過する場合は(例えば、液晶ディスプレイ、タッチパネルなど)、フィルム基板には、透明性に加えて、光学的等方性が高いことが必要とされる。
これらデバイスは、ガラス基板上にコーティング樹脂溶液を塗布し、乾燥し、加熱硬化して樹脂フィルムを形成した後、この樹脂フィルムをガラス基板から剥離するプロセスにより作製されることが、新たな設備を必要とすることなく、現行のガラス基板用プロセス設備を使用できるという点で望ましい。
このような背景から、既存のプロセス設備により作製可能であり、耐熱性、低熱膨張性、および透明性にすぐれ、さらには低複屈折性である材料の開発が強く望まれている。しかしながら、熱膨張係数と複屈折はトレードオフの関係にあり、樹脂の熱膨張係数を低下させると、複屈折は高くなることが一般的に知られている。たとえば、特許文献1には、30ppm/℃程度の熱膨張係数と、0.03程度の複屈折を有するポリイミドフィルムが、特許文献2には、30ppm/℃程度の熱膨張係数と、0.01程度の複屈折を有するポリイミドフィルムがそれぞれ記載されている。
WO2015/046019A1 WO2016/052323A1
しかし、特許文献1および2には、耐熱性についての記載がない。このように、高透明性、高耐熱性、低熱膨張性および低複屈折性のすべてを併せもつ樹脂材料は知られていない。
本発明は上述の課題を鑑みてなされたものであり、種々の光デバイス用材料として使用可能な、高耐熱性、低熱膨張性および低複屈折性である透明部材を形成するために用いられる樹脂組成物を提供するものである。
本発明によれば、
透明部材を形成するために用いる樹脂組成物であって、
当該樹脂組成物は、ポリアミド、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾールおよびポリアミドイミドからなる群から選択される少なくとも1つのポリマーを含み、
当該樹脂組成物からなるフィルムを作製したとき、
前記フィルムの波長550nmにおける厚み方向の複屈折が0.03以下であり、
前記フィルムの30℃〜200℃における熱膨張係数が33ppm/℃以下であり、
前記フィルムのガラス転移温度が300℃以上である、
樹脂組成物が提供される。
また、本発明によれば、上記樹脂組成物からなるフィルムが提供される。
またさらに、本発明によれば、上記フィルムをフレキシブルディスプレイ用基板として備える光デバイスが提供される。
本発明によれば、高耐熱性、低熱膨張性および低複屈折性を併せもつ光デバイス用の透明部材を作製するのに好適に用いることができる樹脂組成物が提供される。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本実施形態にしたがう樹脂組成物は、透明部材を形成するために用いられるものであり、ポリアミド、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾールおよびポリアミドイミドからなる群から選択される少なくとも1つのポリマーを含み、当該樹脂組成物からなるフィルムを作製したとき、前記フィルムの波長550nmにおける厚み方向の複屈折が0.03以下であり、前記フィルムの30℃〜200℃における熱膨張係数が33ppm/℃以下であり、前記フィルムのガラス転移温度が300℃以上である。当該樹脂組成物から得られる透明部材は、低熱膨張性であるため、たとえば、ガラス支持材上に樹脂組成物を塗布して成膜してフィルムを製造する場合、支持材の線膨張係数とフィルムの線膨張係数との差が小さいため、フィルムの反りや変形の発生が抑制される。そのため、高品質のフィルムを歩留まり良く製造することができる。また、当該樹脂組成物から得られるフィルムは、低複屈折性であるため、これを表示パネルとして使用した場合、高コントラストを実現できる。
このように、フィルムを形成した場合に上記範囲の複屈折性、熱膨張性およびガラス転移温度を備える樹脂組成物は、半導体絶縁膜、TFT−LCD絶縁膜、パッシベーション膜、液晶配向膜、光通信用材料、太陽電池用保護膜、反射防止膜、フレキシブルディスプレイ用基板、照明用素子、センサ素子等の様々な用途に好適に用いることができる。
本実施形態において、樹脂組成物からなるフィルムとは、本実施形態の樹脂組成物を平坦なガラス支持材上に塗布して乾燥し、必要に応じて硬化させて得られるフィルムをいい、具体的には実施例で開示されるフィルム形成方法で作製されたフィルムをいう。
本実施形態において、透明部材の透明とは、厚み1μm〜30μm程度の部材において、波長450nm〜800nmの範囲にわたり透過率が80%以上であることをいう。可視光領域で透明性があることにより、高透明性が求められるフレキシブルディスプレイ基板等に好適に使用することが可能である。
本実施形態において、樹脂組成物からなるフィルムの波長550nmにおける厚み方向の複屈折は、0.03以下であり、好ましくは、0.02以下であり、更に好ましくは0.015以下であり、更に好ましくは0.01以下であり、更に好ましくは0.008以下であり、更に好ましくは0.005以下であり、更に好ましくは0.003以下である。厚み方向の複屈折が上記範囲であることにより、たとえば、当該フィルムを液晶ディスプレイとして使用した場合、これを斜め方向から見た際の色ずれの問題のない高画質を実現できる。
本実施形態において、樹脂組成物からなるフィルムの波長550nmにおける面内の複屈折は、0.005以下であり、好ましくは、0.001以下であり、さらに好ましくは、0.0005以下であり、さらに好ましくは0.0001以下である。面内の複屈折が上記範囲であることにより、例えば、当該フィルムを液晶ディスプレイとして使用した場合、これを正面から見た際の光漏れが非常に少なく、高いコントラスト比の画質を実現できる。このようなフィルムは、正面特性および視野角特性の優れた表示装置を提供することができる。
ここで、本明細書において、フィルムの遅相軸方向の屈折率をnx、進相方向の屈折率をnとし、厚み方向の屈折率をnとしたとき、「厚み方向の複屈折」とは、n−nで表される屈折率の差であり、「面内の複屈折」は、(n+n)/2−nで表される値である。
本実施形態の樹脂組成物からなるフィルムは、低複屈折性であるため、上述の用途に加え、光学的等方フィルム、偏光子保護フィルム、透明導電フィルムを含む液晶表示装置等の光学的用途に好適に用いることができる。
本実施形態において、樹脂組成物からなるフィルムの30℃〜200℃における熱膨張係数が33ppm/℃以下であり、好ましくは0ppm/℃以上33ppm/℃以下であり、さらに好ましくは5ppm/℃以上30ppm/℃以下であり、さらに好ましくは5ppm/℃以上25ppm/℃以下である。上記範囲の熱膨張係数を有するフィルムは、ガラス基板などのキャリア支持材に成膜した際のキャリアの反りを抑制することができ、加熱処理した場合または使用時において寸法安定性が優れる。また、このフィルムを他の材料に積層または複合した場合、カールが生じたり、しわが入るなどのフィルムの平面性の悪化や、フィルム自体の機能の低下の発生を低減することができる。
本実施形態において、樹脂組成物からなるフィルムのガラス転移温度は300℃以上であり、好ましくは、300℃以上500℃以下であり、さらに好ましくは310℃以上500℃以下であり、さらに好ましくは320℃以上500℃以下であり、さらに好ましくは350℃以上500℃以下であり、さらに好ましくは400℃以上500℃以下である。このような範囲のガラス転移温度を有するフィルムは、耐熱性に優れるため高温プロセスに適応でき、上述の種々の光学的用途に用いることができる。
一実施形態において、樹脂組成物からなるフィルムの、波長550nmにおける光透過率は、80%以上であり、好ましくは、85%以上である。上記の光透過率を有するフィルムは、上記の種々の光学的用途に好適に用いることができる。
一実施形態において樹脂組成物からなるフィルムの、波長450nmにおける光透過率は、80%以上、好ましくは85%以上であり、波長400nmにおける光透過率は、50%以上、好ましくは55%以上である。上記範囲の光透過率を有するフィルムは、上述の種々の光学的用途に好適に用いることができる。
一実施形態において、樹脂組成物からなるフィルムの、波長308nmにおける光透過率は、10%以下であり、好ましくは、8%以下である。本発明の樹脂組成物から形成されるフィルムは、ガラス基板等の透明支持材に塗布され、乾燥および加熱された後、この透明支持材から剥離される。透明支持材から剥離するプロセスにおいて、当該フィルムに、透明支持材を介してまたは介することなく、レーザー光を照射して、フィルムと透明支持材との接着性を低減させる方法が用いられる。本発明の樹脂組成物からなるフィルムの、波長308nmにおける光透過率が上記の値以下であれば、換言すれば、当該フィルムが波長308nmの光照射により化学変化を生じる特性を有すれば、この光照射によるフィルムと透明支持材との間の相互作用が変化することに起因して、フィルムと透明支持材との接着性を効率的に低下させることができる。
一実施形態において、樹脂組成物からなるフィルムの、25℃における弾性率は、1.0GPa以上15.0GPa以下であり、好ましくは2.0GPa以上10.0GPa以下である。弾性率が上記下限値より低い場合、フィルムの剛性が低く変形しやすい。また、弾性率が上記上限値より高い場合、フィルムの靱性が低くなる。上記範囲の弾性率を有するフィルムは、上記種々の光学的用途に好適に用いることができ、とくにフレキシブルディスプレイ用基板として好適に用いることができる。
一実施形態において、樹脂組成物からなるフィルムは、耐薬品性を有する。なお、本明細書中において、「耐薬品性を有する」とは、SEMI D19−0305に準拠して、所定の薬品中に、本実施形態の樹脂組成物からなるフィルムを、23℃で30分間浸漬し、次いで水またはメタノールを浸み込ませたウエスでフィルムの表面を拭き取った後、フィルム表面に荒れまたは白化が目視で認められないことをいう。薬品としては、n−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、2−プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテル、2.38%トリス(ヒドロキシメチル)アミンメタン、18%塩化水素、5%水酸化ナトリウム、5%水酸化カリウム、またはこれらの混合物が挙げられる。
フィルムが耐薬品性を有することにより、このフィルム上にさらなる部材を形成するために液状材料を用いる場合、この液状材料に用いる溶剤の選択の幅を広げることができる。たとえば、本実施形態の樹脂組成物からなるフィルムの上に、別の樹脂層(例えば、保護膜、カラーフィルター、レジスト等)を形成する際、このフィルムには、樹脂層を形成するための樹脂が溶剤に溶解されたワニスが塗布される。このような場合、耐薬品性のないフィルムでは、ワニスに使用された溶剤に溶解してしまい、フィルムが膨潤したり、フィルムの透明性が損なわれたり、当該フィルムと樹脂層との間に剥離や膨れが生じる場合がある。あるいは、フィルム上に設けられる別の樹脂層がレジストである場合、このレジストを剥離するための剥離液が用いられる。耐薬品性のないフィルムでは、剥離液に用いられる溶剤に溶解してしまい、フィルムの透明性が損なわれる場合がある。上記事情から、本実施形態の樹脂組成物からなるフィルムは、少なくとも上述の溶媒に対して耐薬品性を有していることが望ましい。
本実施形態の樹脂組成物から作製されるフィルムの上述の特性は、樹脂組成物に用いられるポリマーの種類および構造、ならびにその含有量、樹脂組成物に用いられるその他の成分およびその含有量、フィルムの作製条件等を変更することにより適宜調整することができる。
本実施形態において、樹脂組成物は、ポリアミド、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾールおよびポリアミドイミドからなる群から選択される少なくとも1つのポリマーを含む。
本実施形態の樹脂組成物におけるポリマーとして用いられる、ポリアミド、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾールおよびポリアミドイミドは、当該分野で公知のものが使用できる。これらのポリマーは、ガラス転移温度が300℃以上であることが好ましい。また、30℃〜200℃の熱膨張係数が、0〜60ppm/℃程度であることが好ましい。これらのポリマーの特性は、ポリマーの構造、ポリマーが有する置換基およびその含有量、ポリマーを調製するための重合条件等を適宜選択することにより調整することができる。
本実施形態の樹脂組成物に用いられるポリアミドとしては、式(I)で表される第一の繰り返し単位、および式(II)で表される第二の繰り返し単位を有するカルボキシル基含有芳香族ポリアミドが挙げられる。
Figure 2018141082
ここで、式(I)及び(II)において、xは第一の繰り返し単位(I)のモル%を示し、yは第二の繰り返し単位(II)のモル%を示し、xは90〜99であり、yは1〜10であり、
nは1〜4の整数であり、
Arは、
Figure 2018141082
からなる群から選択され、p=4、q=3、R、R、R、R、およびRは、独立して、水素、ハロゲン(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル、ハロゲン化アルキル等の置換アルキル、ニトロ、シアノ、チオアルキル、アルコキシ、ハロゲン化アルコキシ等の置換アルコキシ、アリール、ハロゲン化アリール等の置換アリール、アルキルエステル、またはハロゲン化アルキルエステル等の置換アルキルエステルであり、Gは、共有結合、CH基、C(CH基、C(CF基、C(CX基(Xはハロゲン)、CO基、O原子、S原子、SO基、Si(CH基、9,9−フルオレン基、置換9,9−フルオレン基、およびOZO基からなる群から選択され、Zは、フェニル基、ビフェニル基、パーフルオロビフェニル基、9,9−ビスフェニルフルオレン基、および置換9,9−ビスフェニルフルオレン基等のアリール基または置換アリール基であり、
Arは、
Figure 2018141082
からなる群から選択され、p=4、R、R、およびRは、独立して、水素、ハロゲン(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル、ハロゲン化アルキル等の置換アルキル、ニトロ、シアノ、チオアルキル、アルコキシ、ハロゲン化アルコキシ等の置換アルコキシ、アリール、ハロゲン化アリール等の置換アリール、アルキルエステル、またはハロゲン化アルキルエステル等の置換アルキルエステルであり、Gは、共有結合、CH基、C(CH基、C(CF基、C(CX基(但しXはハロゲン)、CO基、O原子、S原子、SO基、Si(CH基、9,9−フルオレン基、置換9,9−フルオレン基、およびOZO基からなる群から選択され、Zは、フェニル基、ビフェニル基、パーフルオロビフェニル基、9,9−ビスフェニルフルオレン基、および置換9,9−ビスフェニルフルオレン基等のアリール基または置換アリール基であり、
Arは、
Figure 2018141082
からなる群から選択され、t=0から3、R、R10、R11は、独立して、水素、ハロゲン(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル、ハロゲン化アルキル等の置換アルキル、ニトロ、シアノ、チオアルキル、アルコキシ、ハロゲン化アルコキシ等の置換アルコキシ、アリール、ハロゲン化アリール等の置換アリール、アルキルエステル、またはハロゲン化アルキルエステル等の置換アルキルエステルであり、Gは、共有結合、CH基、C(CH基、C(CF基、C(CX基(Xはハロゲン)、CO基、O原子、S原子、SO基、Si(CH基、9,9−フルオレン基、置換9,9−フルオレン基、およびOZO基からなる群から選択され、Zは、フェニル基、ビフェニル基、パーフルオロビフェニル基、9,9−ビスフェニルフルオレン基、および置換9,9−ビスフェニルフルオレン基等のアリール基または置換アリール基である。
上述のポリアミドが有する置換基において、アルキルとしては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられ、アルコキシとしては、メトキシ基、エトキシ基等が挙げられ、アリールとしては、トリル基、キシリル基、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等が挙げられる。
上記芳香族ポリアミドにおいて、この芳香族ポリアミドからなるフィルムの耐薬品性を向上させる観点から、カルボキシ基を有する第二の繰り返し単位(II)のモル%は、芳香族ポリアミド全体に対し、1モル%以上10モル%以下であり、より好ましくは3モル%以上7モル%以下である。芳香族ポリアミドは、芳香族環に由来する剛直な骨格を備える。これにより、ポリマーの分子鎖が密に配列した3次元架橋構造を形成することができ、耐薬品性を向上できる。さらにカルボキシ基を有する芳香族ポリアミドは、これを硬化した場合、カルボキシル基とアミド部分との間のアミド交換反応に起因して、得られるフィルムの耐薬品性が改善される。
上記芳香族ポリアミドは、下記の工程を含む製造方法で得られた、または得られうるものである。
a)少なくとも1つの芳香族ジアミンを溶媒に溶解させる工程。
b)前記ジアミン混合物と少なくとも1つの芳香族二酸ジクロリドと反応させて、塩酸およびポリアミドを含む反応混合物溶液を生成する工程。
c)トラッピング試薬と反応させて、反応混合物からフリーの塩酸を取り除く工程。
芳香族ポリアミドの合成に用いられ得る芳香族ジアミンとしては、4,4'−ジアミノ−2,2'−ビストリフルオロメチルベンジジン(PFMB)、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン(FDA)、9,9−ビス(3−フルオロ−4−アミノフェニル)フルオレン(FFDA)、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン(4,4'−DDS)、3,3'−ジアミノジフェニルスルホン(3,3'−DDS)、4,4'−ジアミノジフェン酸(DADP)、3,5−ジアミノ安息香酸(3,5−DABA)、4,4'−ジアミノ−2,2'−ビストリフルオロメトキシルベンジジン(PFMOB)、4,4'−ジアミノ−2,2'−ビストリフルオロメチルジフェニルエーテル(6FODA)、ビス−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェニルオキシル)ベンゼン(6FOQDA)、およびビス−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェニルオキシル)ビフェニル(6FOBDA)等が挙げられる。
上記式(I)の繰り返し単位を合成するためのジアミンとして、特に、4,4'−ジアミノ−2,2'−ビストリフルオロメチルベンジジン(PFMB)、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン(FDA)、9,9−ビス(3−フルオロ−4−アミノフェニル)フルオレン(FFDA)、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン(4,4'−DDS)が、得られる樹脂の透明性と耐熱性の観点から好ましい。
また、上記式(II)の繰り返し単位を合成するためのジアミンとして、4,4'−ジアミノジフェン酸(DADP)、3,5−ジアミノ安息香酸(3,5−DABA)を用いることができる。
芳香族ポリアミドの合成に用いられ得る芳香族二酸ジクロリドとしては、テレフタル酸ジクロリド(TPC)、イソフタル酸ジクロリド(IPC)、2,6−ナフタル酸ジクロリド(NDC)、および4,4'−ビフェニルジカルボニルジクロリド(BPDC)等が挙げられる。
中でも、テレフタル酸ジクロリド(TPC)、およびイソフタル酸ジクロリド(IPC)が、得られる樹脂の透明性の観点から好ましい。
上記工程(b)において生成した塩酸を除去するためのトラッピング試薬として、酸化プロピレン(PrO)等を用いることができる。
また得られた芳香族ポリアミドの末端基を、塩化ベンゾイルやアニリンなどと反応させてエンドキャップしてもよい。
一実施形態において、芳香族ポリアミドとしては、例えば、Arが、テレフタル酸ジクロリド由来の構造であり、Arが、4,4'−ジアミノ−2,2'−ビストリフルオロメチルベンジジン由来の構造であり、Arが、例えば、4,4'−ジアミノジフェン酸由来の構造、または3,5−ジアミノ安息香酸由来の構造であるポリアミドが挙げられる。
上記芳香族ポリアミドの数平均分子量(Mn)は、光学用途に好適に用いる観点、および白化抑制の観点から、4.0×10以上であることが好ましく、5.0×10以上であることがより好ましく、6.0×10以上であることがより好ましく、7.0×10以上であることがより好ましく、8.0×10以上であることがさらに好ましい。また、同様の観点から、芳香族ポリアミドの数平均分子量(Mn)は、1.0×10以下であることが好ましく、8.0×10以下であることがより好ましく、6.0×10以下であることがより好ましく、4.0×10以下であることがさらに好ましい。また、芳香族ポリアミドの分子量分布(Mw/Mn)は、5.0以下であることが好ましく、4.0以下であることがより好ましく、3.0以下であることがより好ましく、2.8以下であることがより好ましく、2.6以下であることがより好ましく、2.4以下であることがさらに好ましい。なお、芳香族ポリアミドの分子量分布は、入手容易性の観点から、2.0以上であることが好ましい。重量平均分子量(Mn)および数平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィーにて測定される。
本実施形態の樹脂組成物に用いられるポリアミドとしては、樹脂組成物を硬化して作製されるフィルムの用途に応じて、公知のポリイミドを用いることができる。
このようなポリイミドは、ジアミン、二無水物および無水物を共重合して、ポリイミドの前駆体であるポリアミドを合成し、次いでポリイミドの前駆体であるポリアミドをイミド化することにより合成できる。
このようなポリイミドは、耐薬品性を改善する観点から、酸二無水物および酸無水物:ジアミンを1:1の当量比にして、ポリイミド分子鎖の末端を無水物で置換したものであることが好ましい。
このようなポリイミドを得るために使用できる酸二無水物としては、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物(6FDA)、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸二無水物(TDA)、ピロメリット酸二無水物(1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、PMDA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、オキシジフタル酸二無水物(ODPA)、ビスカルボキシフェニルジメチルシラン二無水物(SiDA)、ビスジカルボキシフェノキシジフェニルスルフィド二無水物(BDSDA)、スルホニルジフタル酸二無水物(SO2DPA)、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(CBDA)、イソプロピリデンジフェノキシビスフタル酸二無水物(6HBDA)等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの酸二無水物は、1種単独でかまたは2種以上を組み合わせて使用される。
上述のポリイミドを得るために使用できる酸無水物としては、ビシクロヘプテンジカルボン酸無水物(無水ナジック酸(Nadic anhydride)、Bicyclo[2.2.1]−5−heptene−2,3−dicarboxylic anhydride)、アントラセニルエチニルフタル酸無水物(4−(9−anthracenyl ethynyl)phthalic anhydride)等が挙げられるが、これらに限定されない。
上述のポリイミドを得るために使用できるジアミンとしては、オキシジアニリン(ODA)、p−フェニレンジアミン(pPDA)、m−フェニレンジアミン(mPDA)、p−メチレンジアミン(pMDA)、m−メチレンジアミン(mMDA)、ビスアミノフェノキシベンゼン(133APB、134APB)、ビスアミノフェノキシフェニルヘキサフルオロプロパン(4BDAF)、ビスアミノフェニルヘキサフルオロプロパン(33−6F、44−6F)、ビスアミノフェニルスルホン(4DDS、3DDS)、ビストリフルオロメチルベンジジン(TFDB)、シクロヘキサンジアミン(13CHD、14CHD)、ビスアミノフェノキシフェニルプロパン(6HMDA)、ビスアミノヒドロキシフェニルヘキサフルオロプロパン(DBOH)、ビスアミノフェノキシジフェニルスルホン(DBSDA)等が挙げられるが、これらに限定されない。これらのジアミンは、1種単独でかまたは2種以上を組み合わせて使用される。
樹脂組成物に用いられるポリイミドとして、別の実施形態において、以下の式(III)で表されるポリイミドを用いることができる。このようなポリイミドは、テトラカルボン酸成分と、ジアミン成分とを共重合してポリアミドを合成し、次いで得られたポリアミドをイミド化することにより得られる。このようなポリイミドは、良好な耐熱性、耐薬品性および低熱膨張係数を有するため好ましい。
Figure 2018141082
式(III)中、Aは、化学構造中に少なくとも一つの脂肪族6員環を有し、芳香族環を有さない4価の基であり、Bは、化学構造中に少なくとも一つのアミド結合と芳香族環とを有する2価の基であるか、または、Aは、脂肪族の4価の基であり、Bは、化学構造中に少なくとも一つの式(IV)の構造を有する2価の基である。
Figure 2018141082
式(III)中のAが、化学構造中に少なくとも一つの脂肪族6員環を有し芳香族環を有さない4価の基である場合、Aで表される構造を導入するためのテトラカルボン酸成分としては、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸、[1,1'−ビ(シクロヘキサン)]−3,3',4,4'−テトラカルボン酸、[1,1'−ビ(シクロヘキサン)]−2,3,3',4'−テトラカルボン酸、[1,1'−ビ(シクロヘキサン)]−2,2',3,3'−テトラカルボン酸、4,4'−メチレンビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)、4,4'−(プロパン−2,2−ジイル)ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)、4,4'−オキシビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)、4,4'−チオビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)、4,4'−スルホニルビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)、4,4'−(ジメチルシランジイル)ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)、4,4'−(テトラフルオロプロパン−2,2−ジイル)ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)等の誘導体、およびこれらの酸二無水物、ならびにオクタヒドロペンタレン−1,3,4,6−テトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸、6−(カルボキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5−トリカルボン酸、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.2]オクタ−5−エン−2,3,7,8−テトラカルボン酸、トリシクロ[4.2.2.02,5]デカン−3,4,7,8−テトラカルボン酸、トリシクロ[4.2.2.2.5]デカ−7−エン−3,4,9,10−テトラカルボン酸、9−オキサトリシクロ[4.2.1.2.5]ノナン−3,4,7,8−テトラカルボン酸、デカヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボン酸、およびこれらの酸二無水物等が挙げられる。
式(III)中のBが、化学構造中に少なくとも一つのアミド結合と芳香族環とを有する2価の基である場合、Bで表される構造を導入するためのジアミン成分としては、4,4'−ジアミノベンズアニリド、3'−クロロ−4,4'−ジアミノベンズアニリド、2'−クロロ−4,4'−ジアミノベンズアニリド、2',6'−ジクロロ−4,4'−ジアミノベンズアニリド、3'−メチル−4,4'−ジアミノベンズアニリド、2'−メチル−4,4'−ジアミノベンズアニリド、2',6'−ジメチル−4,4'−ジアミノベンズアニリド、3'−トリフルオロメチル−4,4'−ジアミノベンズアニリド、2'−トリフルオロメチル−4,4'−ジアミノベンズアニリド、3−クロロ−4,4'−ジアミノベンズアニリド、3−ブロモ−4,4'−ジアミノベンズアニリド、3−メチル−4,4'−ジアミノベンズアニリド、2−クロロ−4,4'−ジアミノベンズアニリド、2−ブロモ−4,4'−ジアミノベンズアニリド、2−メチル−4,4'−ジアミノベンズアニリド、4,3'−ジアミノベンズアニリド、4'−フルオロ−4,3'−ジアミノベンズアニリド、4'−クロロ−4,3'−ジアミノベンズアニリド、4'−ブロモ−4,3'−ジアミノベンズアニリド、3,4'−ジアミノベンズアニリド、4−クロロ−3,4'−ジアミノベンズアニリド、4−メチル−3,4'−ジアミノベンズアニリド、N,N'−ビス(4−アミノフェニル)テレフタルアミド(4−APTP)、N,N'−ビス(4−アミノフェニル)−2,5−ジクロロテレフタルアミド、N,N'−ビス(4−アミノフェニル)−2,5−ジメチルテレフタルアミド、N,N'−ビス(4−アミノフェニル)−2,3,5,6−テトラフルオロテレフタルアミド、N,N'−ビス(4−アミノフェニル)−2,3,5,6−テトラクロロテレフタルアミド、N,N'−ビス(4−アミノフェニル)−2,3,5,6−テトラブロモテレフタルアミド、N,N'−ビス(4−アミノフェニル)−4−ブロモイソフタルアミド、N,N'−ビス(4−アミノフェニル)−5−tert−ブチルイソフタルアミド、N,N'−p−フェニレンビス(p−アミノベンズアミド)、N,N'−m−フェニレンビス(p−アミノベンズアミド)等が挙げられる。
式(III)中のAが脂肪族の4価の基である場合、Aで表される構造を導入するための脂肪族テトラカルボン酸成分としては、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、オキシジフタル酸、ビスカルボキシフェニルジメチルシラン、ビスジカルボキシフェノキシジフェニルスルフィド、スルホニルジフタル酸、シクロブタンテトラカルボン酸、イソプロピリデンジフェノキシビスフタル酸、およびこれらの酸二無水物が挙げられる。
式(III)中のBが式(IV)で表される2価の基である場合、Bで表される構造を導入するためのジアミン成分としては、2,4−ビス(4−アミノアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(4−アミノアニリノ)−6−メチル−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(4−アミノアニリノ)−6−エチル−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(4−アミノアニリノ)−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(4−アミノアニリノ)−6−アミノ−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(4−アミノアニリノ)−6−メチルアミノ−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(4−アミノアニリノ)−6−ジメチルアミノ−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(4−アミノアニリノ)−6−エチルアミノ−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(4−アミノアニリノ)−6−ジエチルアミノ−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(4−アミノアニリノ)−6−アニリノ−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(4−アミノアニリノ)−6−ジフェニルアミノ−1,3,5−トリアジン、およびこれらの誘導体等が挙げられる。
本実施形態の樹脂組成物に用いられるポリベンゾオキサゾールとしては、式(Va)で表されるベンゾオキサゾール構造を有するポリマーが挙げられる。このようなポリベンゾオキサゾールを用いることにより、得られるフィルムの機械的強度を向上させることができる。
Figure 2018141082
22は、任意の置換基である。3つのR22はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。また、ベンゾオキサゾール構造を有する構造単位は、アミド結合を有していてもよい。
ポリベンゾオキサゾールは、例えば、以下の式で表される構造単位からなる群から選択される一種以上を有することができる。
Figure 2018141082
上記式において、Xは、二価の原子、または二価の有機基であり、R21は、芳香環または脂環式構造を有する基であり、R22は、任意の置換基であり、3つまたは4つのR22はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
Xにおいて、二価の原子としては、酸素原子、硫黄原子等が挙げられる。二価の有機基としては、アルキレン基、ハロゲン化炭化水素基、エーテル結合を含む基、二価の環状構造含有有機基が挙げられる。前記アルキレン基としては炭素数1〜6のアルキレン基、−CH−、−C(CH−、−(CH−、−(CH−等が挙げられる。ハロゲン化炭化水素基、エーテル結合を含む基としては、−O−、−S−、−C(CF−、−C(CCl−、−C(CBr−、−CF−、−CCl−、−CBr−等が挙げられ、二価の環状構造含有有機基としては、1若しくは2以上の置換基で置換されたこれらの基が挙げられる。
21において、芳香環を有する基としては、以下の2価の有機基、またはその置換体が挙げられる。
Figure 2018141082
(ここで、YはSiを含む基、Pを含む基、Sを含む基、ハロゲン化炭化水素基、又は、Oを含む基等が挙げられ、限定されない一実施形態において、−S−、−SO−、−(CFC−が挙げられる。)
置換体としては、置換基として、水素原子、重水素、ハロゲン、炭素数1〜5の炭化水素基、ハロゲン置換された炭素数1〜5の炭化水素基、−CF、−CCl、−CI、−CBr、−I、−NO、−CN、−COCH、−CO、−OH、−COOH、および−OCHからなる群から選択される1少なくとも1つを有する上記有機基が挙げられる。
脂環式構造を有する二価の基としては、前記芳香環を有する二価の基のベンゼン環構造を水添化したもの等が挙げられる。
22の具体例としては、たとえば、水素原子、重水素、ハロゲン、炭素数1〜5の炭化水素基、ハロゲン置換された炭素数1〜5の炭化水素基、−CF、−CCl、−CI、−CBr、−I、−NO、−CN、−COCH、−CO、−OH、−COOHまたは−OCH等が挙げられる。
このようなポリベンゾオキサゾールは、例えば、カルボン酸ジクロリドとジアミンとの重合反応により、式(Vb)で表される構造を有するポリベンゾオキサゾール前駆体との混合物として得ることができる。
Figure 2018141082
式(Vb)において、R22は、上記定義と同様である。
ポリベンゾオキサゾールの合成に用いられ得るジアミンとしては、例えば、2,4−ジアミノ−レゾルシノール、2,5−ジアミノ−1,4−ジヒドロキシルベンゼン等のジヒドロキシルベンゼンを有する化合物;3,3'−ジアミノ−4,4'−ジヒドロキシ−ビフェニル、3,3'−ジヒドロキシ−4,4'−ジアミノ−ビフェニル等のジヒドロキシ−ビフェニルを有するビスアミノフェノール化合物;3,3'−ジアミノ−4,4'−ジヒドロキシ−ジフェニルエーテル等のジヒドロキシ−ジフェニルエーテルを有するビスアミノフェノール化合物;9,9−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(4−アミノ−3−ヒドロキシ)−フェノキシ−フェニル)フルオレン等のフルオレン骨格を有する化合物;2,2'−ビス−(4−アミノ−3−ヒドロキシ−フェノキシ)−1,1'−ビナフタレン等のビナフタレン骨格を有する化合物;3,3'−ジアミノ−4,4'−ジヒドロキシ−ジフェニルスルホン、ビス(4−(4−アミノ−3−ヒドロキシ)−フェノキシ−フェニル)スルホン、ビス(4−(4−ヒドロキシ−3−アミノ)フェノキシ−フェニル)スルホン等のスルホン基を有する化合物;2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン等のフッ素またはフッ素化アルキル基を有する化合物が挙げられる。これらのジアミンは、1種単独でかまたは2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
ポリベンゾオキサゾールの合成に用いられ得るカルボン酸ジクロリドとしては、例えば、テレフタル酸ジクロリド、2−クロロ−テレフタル酸ジクロリド、イソフタル酸ジクロリド、ナフタレンジカルボニルクロリド、ビフェニルジカルボニルクロリド、4,4'−ビフェニルジカルボニルクロリド、ターフェニルジカルボニルクロリド、2−フロロ−テレフタル酸ジクロリド、1,4−シクロヘキサンカルボン酸ジクロリド、2,2'−ビス(4−カルボキシフェニル)プロパンジクロリド、2,2'−ビス(4−カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンジクロリド等が挙げられるが、好ましくはテレフタル酸ジクロリド、2−クロロ−テレフタル酸ジクロリド、4,4'−ビフェニルジカルボニルクロリド、イソフタル酸クロリドが用いられる。
上記ポリベンゾオキサゾールの重量平均分子量(Mn)は、6.0×10以上、6.5×10以上、7.0×10以上、7.5×10以上、または8.0×10 以上が好ましい。また、同様の観点から、一または複数の実施形態において、重量平均分子量は、5.0×10以下、3.0×10以下、1.0×10以下である。また、好ましい分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は、5.0以下、4.0以下、3.0以下である。
本実施形態の樹脂組成物に用いられるポリアミドイミドとしては、式(VI)で表される構造単位を含むポリアミドイミドが挙げられる。これにより、フィルムの透明性を保ったまま、高耐熱性、低熱膨張性を実現できる。また、ポリアミドイミドは、構造単位に芳香族環を有してもよい。
Figure 2018141082

(式(VI)中、R31は、水素、脂肪族炭化水素基またはハロゲン基である。)
ポリアミドイミドは、シクロヘキサントリカルボン酸無水物またはその塩化物と、アミンとを反応させることにより合成することができる。ポリアミドイミドの合成方法としては限定されず、イソシアネート法、酸クロリド法、低温溶液重合法、室温溶液重合法などにより合成することができる。
ポリアミドイミドの合成に用いられるシクロヘキサントリカルボン酸無水物としては、限定されず、例えば、シクロヘキサントリカルボン酸無水物;シクロヘキサントリカルボン酸無水物の水素原子がメチル基、エチル基などの脂肪族炭化水素基、または、フッ素、塩素などのハロゲン基などによって置換されたものでもよい。
なお、シクロヘキサントリカルボン酸無水物の異性体としては、具体的には、シス体、トランス体、アキシャル、エカトリアルなどが挙げられる。シクロヘキサントリカルボン酸無水物の異性体は、上記具体例のうち1種または2種以上を用いることができる。
ポリアミドイミドの合成に用いられ得るアミンとしては、限定されず、具体的には、ジアミン、ジイソシアネートなどが挙げられる。
上記ジアミンとしては、具体的には、2,2'−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,5−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノキシレン、2,4−ジアミノデュレン、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−メチレンビス(2−メチルアニリン)、4,4'−メチレンビス(2−エチルアニリン)、4,4'−メチレンビス(2,6−ジメチルアニリン)、4,4'−メチレンビス(2,6−ジエチルアニリン)、3,4'−ジアミノジフェニルエーテル、3,3'−ジアミノジフェニルエーテル、2,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、3,3'−ジアミノジフェニルスルホン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、3,3'−ジアミノベンゾフェノン、4、4'−ジアミノジフェニルスルフィド、3、3'−ジアミノジフェニルスルフィド、4、4'−ジアミノジフェニルプロパン、3、3'−ジアミノジフェニルプロパン、4,4'−ジアミノベンズアニリド、p−キシレンジアミン、m−キシレンジアミン、1,4−ナフタレンジアミン、1,5−ナフタレンジアミン、2,6−ナフタレンジアミン、2,7−ナフタレンジアミン、ベンジジン、3,3'−ジヒドロキシベンジジン、3,3'−ジメトキシベンジジン、3,3'−ジメチル−4、4'−ジアミノビフェニル、3,3'−ジエチル−4,4'−ジアミノビフェニル、2,2'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、2,2'−ジエチル−4,4'−ジアミノビフェニル、3,3'−ジメトキシ−4、4'−ジアミノビフェニル、3,3'−ジエトキシ−4,4'−ジアミノビフェニル、m−トリジン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、p−ターフェニレンジアミン等の芳香族ジアミン、トランス−1,4−ジアミノシクロヘキサン、シス−1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン(トランス/シス混合物)、1,3−ジアミノシクロヘキサン、4,4'−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)(トタンス体、シス体、トランス/シス混合物)、イソホロンジアミン、1,4−シクロヘキサンビス(メチルアミン)、2,5−ビス(アミノメチル)ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン、2,6−ビス(アミノメチル)ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン、3,8−ビス(アミノメチル)トリシクロ〔5.2.1.0〕デカン、1,3−ジアミノアダマンタン、4,4'−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)、4,4'−メチレンビス(2−エチルシクロヘキシルアミン)、4,4'−メチレンビス(2,6−ジメチルシクロヘキシルアミン)、4,4'−メチレンビス(2,6−ジエチルシクロヘキシルアミン)、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−プロパンジアミン、1,4−テトラメチレンジアミン、1,5−ペンタメチレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,7−ヘプタメチレンジアミン、1,8−オクタメチレンジアミン、1,9−ノナメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミンが挙げられる。
上記ジイソシアネートとしては、具体的には、o−トリジンイソシアネート、ナフタレンジイソシアネートなどが挙げられる。
これらのポリマーを乾燥粉末の形態で溶剤に溶解または分散させてワニス状の樹脂組成物を得てもよいし、溶液形態のポリマーを溶剤と混合してワニス状の組成物を得てもよい。
一実施形態において、樹脂組成物はナノフィラーを含むことが好ましい。ナノフィラーを用いることにより、樹脂組成物からなるフィルムの熱膨張性を低減することができる。ナノフィラーは、樹脂組成物の全固形分に対して、好ましくは、25重量%以上80重量%以下、より好ましくは30重量%以上70重量%以下、さらに好ましくは40重量%以上65重量%以下の量で配合される。
用いられ得るナノフィラーとしては、タルク、焼成クレー、未焼成クレー、マイカ、ガラス等のケイ酸塩;酸化チタン、アルミナ、ベーマイト、シリカ、溶融シリカ等の酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト等の炭酸塩;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化物;硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム等の硫酸塩または亜硫酸塩;ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩;窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化炭素等の窒化物;チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、チタン酸カリウム等のチタン酸塩等、またはこれらの混合物が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合せて用いることができる。これらの中でも特にシリカが好ましい。なお、ガラスの種類としては、Eガラス、Cガラス、Aガラス、Sガラス、Dガラス、NEガラス、Tガラス、低誘電率ガラス、高誘電率ガラス等が挙げられる。これらのナノフィラーはアルコキシシランなどのカップリング剤等により予め表面処理されていてもよい。
ナノフィラーの平均粒径Dは、好ましくは1nm以上100nm以下であり、よりこのましくは1nm以上50nm以下であり、さらに好ましくは1nm以上30nm以下である。ナノフィラーの平均粒径Dが100nmを超えた場合、得られるフィルムの透明性が損なわれたり、フィルムの表面平滑性が損なわれたりする場合がある。また、ナノフィラーの平均粒径Dが1nmより小さい場合、ナノフィラーの凝集が生じて得られるフィルムの透明性が損なわれる場合がある。上記範囲の平均粒径Dを有するナノフィラーを用いることにより、製造時の取り扱い性が良好であるとともに、得られるフィルムの透明性を維持しつつ、熱膨張性を低減させることができる。
本実施形態において、ナノフィラーの平均粒径Dは、ナノフィラーの粒子形状に応じて、当該分野で通常使用される種々の方法により求めることができる。ナノフィラーが球形状の場合、平均粒径Dは、窒素吸着法(BET法)により、比表面積Sおよび密度ρを用いて、以下の式から算出することができる。
(式) D=6/(S×ρ)
あるいは、ナノフィラーの平均粒径Dは、粒子形状に応じて、レーザー回折散乱法または動的光散乱法で測定される体積基準粒度分布の累積頻度が50%となる粒径により求めてもよい。
ナノフィラーの形状は球状、鱗片状、針状など特に限定されない。
またナノフィラーは予め溶剤に分散させたスラリー状で用いることが好ましい。例えば、ナノフィラーが水中でゾルゲル法により作製された場合、スラリー状態では合成時に良好な分散状態が保たれており、また水から所望の溶剤への溶剤置換をナノフィラーが乾粉を経ずに直接溶剤置換にて行えば、所望の溶剤でもスラリー状では良好な分散状態が保たれており、これらのスラリーを用いて樹脂組成物のワニスを作製すれば、ワニス中のナノフィラーの分散状態も良好とすることができる。またナノフィラーが乾粉を経てからスラリー化される場合には、良好な分散状態を得るためにナノフィラーはアルコキシシランなどのカップリング剤等により予め表面処理されていることが好ましい。
一実施形態において、樹脂組成物はシランカップリング剤を含むことが好ましい。シランカップリング剤を用いることにより、本実施形態の樹脂組成物を支持材上に塗布してフィルムを形成する際、得られるフィルムと支持材との間の密着性を向上させることができる。シランカップリング剤は、樹脂組成物の全固形分に対して、0.5重量%以上15重量%以下の量で配合されることが好ましい。さらに好ましくは0.5重量%以上10重量%以下である。シランカップリング剤の量が、0.5重量%より少ない場合、支持材との密着性向上の効果が得られない場合がある。また、シランカップリング剤の量が、15重量%より多い場合、得られるフィルムの靱性が低下する場合がある。
使用できるカップリング剤としては、例えば、エポキシシランカップリング剤、カチオニックシランカップリング剤、アミノシランカップリング剤等のシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤およびシリコーンオイル型カップリング剤等が挙げられる。カップリング剤は一種類を単独で用いてもよいし、二種類以上を併用してもよい。
シランカップリング剤としては、各種のものを用いることができるが、例えば、エポキシシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、メルカプトシラン、ビニルシラン等が挙げられる。
具体的な化合物としては、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニルγ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニルγ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−6−(アミノヘキシル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(3−(トリメトキシシリルプロピル)−1,3−ベンゼンジメタナン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等が挙げられ、これらのうちの一種または二種以上を組み合せて用いることができる。これらのうちエポキシシラン、アミノシランが好ましく、アミノシランとしては、1級アミノシラン又はアニリノシランがより好ましい。
カップリング剤はナノフィラーに予め添加しておいてもよいし、樹脂組成物の調製時に直接添加してもよい。また樹脂成分中にナノフィラーを充分に分散させた後にカップリング剤を添加してもよい。
一実施形態において、好ましくは、樹脂組成物は溶媒を含み、ワニスの形態で提供される。溶媒は、これに溶解される樹脂の溶解性の観点から、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール(IPA)、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、トルエン、クレゾール、キシレン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、1,3−ジメチル−イミダゾリジノン(DMI)、ブチルセロソルブ、γ−ブチロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチレングリコールモノブチルエーテル、ヂエチレングリコールモノブチルエーテル、およびN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)から選択される少なくとも1つを含むことが好ましい。
一実施形態において、樹脂組成物中における固形分の含有量は、1体積%以上であることが好ましく、2体積%以上であることがより好ましく、3体積%以上であることがさらに好ましい。また、樹脂組成物中における固形分の含有量は、40体積%以下であることが好ましく、30体積%以下であることがより好ましく、20体積%以下であることがさらに好ましい。樹脂組成物中における固形分の含有量を上述の範囲内に設定することにより、樹脂組成物を支持材に塗布して成膜する際、樹脂組成物の取扱い性と成膜性を良好に維持することができる。
本実施形態の樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、さらに、溶媒、紫外線吸収剤、酸化防止剤、界面活性剤、消泡剤、レベリング剤、発泡剤、難燃剤、低応力剤、離型剤、イオン補足剤などの添加剤を配合してもよい。
本実施形態の樹脂組成物は、ワニス、薄膜、フィルム、シート、板、成形体など、様々な形状に加工して用いることができる。中でも、薄膜およびフィルムの形態とすることによりフレキシブルディスプレイ用基板として好適に用いることができる。
本実施形態の樹脂組成物を用いて、以下の工程により、フィルムを形成することができる。また、得られたフィルムは、ディスプレイ用素子のような光学素子を設けることにより、ディスプレイ用基板のような種々の用途に使用することができる。
(a)樹脂組成物を支持材へ塗布する工程。
(b)乾燥および必要に応じて加熱硬化によりポリマーフィルムを成膜する工程。
(c)得られたポリマーフィルム上に、ディスプレイ用素子を設けることにより、光デバイスを製造する工程。
一実施形態において、樹脂組成物が塗布される支持材は、ガラス基板、シリコン基板またはPET、PEN、ポリイミドなどのキャリアフィルムである。これらの支持材は、ポリマーフィルム形成後、または光学素子搭載後に、ポリマーフィルムから除去されてもよい。
樹脂組成物を支持材へ塗布する方法としては、ダイコート法、リップコート法、グラビアコート法、インクジェット法、スピンコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法等を用いることができる。
上述の方法により得られるフィルムの厚みは、これが用いられる用途に基づいて適宜調整することが可能であり、例えば、1μm以上30μm以下の厚みとすることができる。フィルムの厚みは、樹脂組成物中の固形分量や粘度を調製することにより調整することができる。上記厚みに調整することにより、フレキシブル性を備えたフィルムとすることができ、たとえば、フレキシブルディスプレイ用基板として好適に用いることができる。
一実施形態において、工程(b)における乾燥工程は、ワニス状の樹脂組成物中の溶剤を除去するのに十分な条件で行われ、例えば、減圧下または不活雰囲気下、300℃未満の温度で、約1分間加熱することにより行われる。工程(b)における加熱硬化工程は、例えば、200℃〜450℃、好ましくは200℃〜400℃の温度で、1分〜60分間、実施される。このような加熱工程により、樹脂組成物中のポリマーの硬化反応、樹脂組成物中のポリマーとナノフィラーまたはシランカップリング剤との相互作用、またはポリマーが上述のカルボキシ基含有芳香族ポリアミドである場合には、芳香族ポリアミド分子内のカルボキシ基とアミド結合との反応が進み、硬化フィルムが得られる。加熱時間および加熱温度は、得られるフィルムに所望される特性に応じて適宜変更される。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。また、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良などは本発明に含まれるものである。
以下、実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものでない。
(芳香族ポリアミドの調製)
芳香族ポリアミドを、以下の表1および下記の成分を使用して調製した。
[芳香族ジアミン]
PFMB:4,4'−ジアミノ−2,2'−ビストリフルオロメチルベンジジン(セイカ株式会社製)
3,5−DABA:3,5−ジアミノ安息香酸(日本純良株式会社製)
BAFL:9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン(FJEケミカル株式会社製)
[芳香族二酸クロリド]
TPC:テレフタル酸ジクロリド(イハラニッケイ株式会社製)
IPC:イソフタル酸ジクロリド(イハラニッケイ株式会社製)
[塩酸トラッピング試薬]
PrO:酸化プロピレン(和光純薬社製)
[溶媒]
DMAc:N,N−ジメチルアセトアミド(菱江化学株式会社)
(調製例1)ポリマー(IPC/TPC/PFMB/DABA)の調製
機械式撹拌機、窒素導入口、及び排出口を備えた1Lの三つ口丸底フラスコに、PFMB(30.4g,0.095mol)、3,5−DABA(0.8g,0.005mol)、及びDMAc(320ml)を加えた。PFMB及び3,5−DABAが完全に溶解した後に、この溶液にPrO(17.4g,0.3mol)を添加した。得られた溶液を0℃まで冷却した。冷却後、TPC(2.0g,0.01mol)及びIPC(18.3g,0.09mol)を添加し、2時間撹拌した。得られた溶液を、貧溶媒であるメタノール(3L)中に滴下し、ポリマー固形分を得た。得られたポリマー固形分は、乾燥機にて溶剤除去し、乾燥ポリマーを得た。
(調製例2)ポリマー(IPC/DABA/BAFL)の調製
機械式撹拌機、窒素導入口、及び排出口を備えた1Lの三つ口丸底フラスコに、BAFL(33.1g,0.095mol)、3,5−DABA(0.8g,0.005mol)、及びDMAc(390ml)を加えた。BAFL及び3,5−DABAが完全に溶解した後に、この溶液にPrO(17.4g,0.3mol)を添加した。得られた溶液を0℃まで冷却した。冷却後、IPC(20.3g,0.1mol)を添加し、2時間撹拌した。得られた溶液を、貧溶媒であるメタノール(3L)中に滴下し、ポリマー固形分を得た。得られたポリマー固形分は、乾燥機にて溶剤除去し、乾燥ポリマーを得た。
(調製例3)ポリマー(TPC/PFMB/DABA/BAFL)の調製
機械式撹拌機、窒素導入口、及び排出口を備えた1Lの三つ口丸底フラスコに、PFMB(6.4g,0.02mol)、BAFL(26.1g,0.075mol)、3,5−DABA(0.8g,0.005mol)、及びDMAc(590ml)を加えた。PFMB、BAFL及び3,5−DABAが完全に溶解した後に、この溶液にPrO(17.4g,0.3mol)を添加した。得られた溶液を0℃まで冷却した。冷却後、TPC(20.3g,0.1mol)を添加し、2時間撹拌した。得られた溶液を、貧溶媒であるメタノール(3L)中に滴下し、ポリマー固形分を得た。得られたポリマー固形分は、乾燥機にて溶剤除去し、乾燥ポリマーを得た。
(調製例4)ポリマー(TPC/PFMB/DABA/BAFL)の調製
機械式撹拌機、窒素導入口、及び排出口を備えた1Lの三つ口丸底フラスコに、PFMB(20.8g,0.065mol)、BAFL(10.4g,0.03mol)、3,5−DABA(0.8g,0.005mol)、及びDMAc(570ml)を加えた。PFMB、BAFL及び3,5−DABAが完全に溶解した後に、この溶液にPrO(17.4g,0.3mol)を添加した。得られた溶液を0℃まで冷却した。冷却後、TPC(20.3g,0.1mol)を添加し、2時間撹拌した。得られた溶液を、貧溶媒であるメタノール(3L)中に滴下し、ポリマー固形分を得た。得られたポリマー固形分は、乾燥機にて溶剤除去し、乾燥ポリマーを得た。
Figure 2018141082
(樹脂組成物の調製)
実施例1〜3および比較例1〜2のそれぞれについて、以下に示す成分を使用して、表2に示す固形分割合で各成分を溶剤であるDMAcに溶解または分散させ、DMAcで不揮発分5〜30質量%となるように濃度を調整し、高速撹拌装置を用い撹拌して、樹脂組成物を調製した。不揮発分濃度は、フィルム形成時に所望される粘度に応じて適宜変更した。
[芳香族ポリアミド]
芳香族ポリアミド1:調製例1で得られた芳香族ポリアミド
芳香族ポリアミド2:調製例2で調製した芳香族ポリアミド
芳香族ポリアミド3:調製例3で調製した芳香族ポリアミド
芳香族ポリアミド4:調製例4で調製した芳香族ポリアミド
[シランカップリング剤]
シランカップリング剤1:3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(製品名「A−187」、モメンティブパフォーマンスマテリアル社製)
シランカップリング剤2:3−アミノプロピルトリメトキシシラン(製品名「KBM−903」、信越化学社製)
[ナノフィラー]
シリカフィラー分散液:シリカフィラーのDMAc分散液(製品名「DMAc−ST」、日産化学工業株式会社製、フィラー平均粒径D:15nm、フィラー密度ρ:2.2g/cm、フィラー濃度20.7wt%)
なおここで、フィラー平均粒径Dは、窒素吸着法により求められた値である。
[溶剤]
DMAc:N,N−ジメチルアセトアミド(菱江化学株式会社)
Figure 2018141082
(フィルム形成)
上記の方法で得られた樹脂組成物を使用して、ガラス支持材上にポリアミドフィルムを作製した。
上述の芳香族ポリアミド溶液を、平坦なガラス基板(商品名EAGLE XG、Corning Inc., U.S.A社製)上に注いだ。この基板を、60℃で30分間乾燥させて、乾燥フィルムを得た。乾燥後のフィルムを、表3の硬化条件にて、不活性ガス下、加熱して硬化させた。フィルムの厚みは、約10μmであった。
(フィルムの特性の評価)
得られたフィルムを、以下の特性について評価した。結果を以下の表2に示す。
複屈折:作製したフィルムの複屈折を、偏光計(AXOMETRICS社製AxoScan)を用いて、23℃、湿度40%、1atmの条件で測定した。
光透過率:膜厚約10μmのフィルムの300〜800nmでの透過率をUV可視分光光度計(Shimazu UV2450)を用いて測定した。
熱膨張係数:膜厚約10μmのフィルムを幅5mmの短冊状に切り取って試験片とし、熱機械分析装置(NETZSCH社製TMA−4000SA)を用いて、チャック間長10mm、荷重2g、昇温速度10℃/minで400℃まで昇温した。得られたTMA曲線から、30℃から200℃までの平均線膨張係数を求めた。
反り測定:ポリアミド溶液を平坦なガラス基板(370mm×470mm、厚み0.7mm、Eagle−XG、Corning社製)上にスピンコートにより塗布した。60℃で30分以上乾燥したのち、表3の硬化条件にて真空または不活性ガス下で加熱して硬化させた。ガラス基板上のポリアミドフィルムの厚みは約10μmであった。ポリアミドフィルムとガラスが積層した状態の反り量について、レーザー変位計(KEYENCE社、LT9010)により測定した。面内で高さが最低となる地点を高さ0とし、四隅の高さの平均を反り量とした。
弾性率:膜厚約10μmのフィルムを幅5mmの短冊状に切り取って試験片とし、動的粘弾性測定装置(TA Instruments社製RSA−G2)を用いて、チャック間長20mm、荷重30g、昇温速度5℃/minで450℃まで昇温した。得られた貯蔵弾性率(E')曲線から、25℃における弾性率を求めた。
耐薬品性:膜厚約10μmのフィルムを温度23℃の条件下、N,N−ジメチルアセトアミドに30分間浸漬した後、メタノールまたは水を浸み込ませたウエスでフィルム表面を拭き取り、フィルムの状態を目視で確認した。フィルム表面に荒れも白化も確認されないものを「良好」と判定した。
Figure 2018141082
実施例1〜3の樹脂組成物から作製したフィルムはいずれも、低複屈折性、低熱膨張性を有しており、300℃を超えるガラス転移温度を有していた。これらのフィルムは、ガラス基板に塗布して加熱硬化した際に生じる反りが低減されたものであった。

Claims (16)

  1. 透明部材を形成するために用いる樹脂組成物であって、
    当該樹脂組成物は、ポリアミド、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾールおよびポリアミドイミドからなる群から選択される少なくとも1つのポリマーを含み、
    当該樹脂組成物からなるフィルムを作製したとき、
    前記フィルムの波長550nmにおける厚み方向の複屈折が0.03以下であり、
    前記フィルムの30℃〜200℃における熱膨張係数が33ppm/℃以下であり、
    前記フィルムのガラス転移温度が300℃以上である、
    樹脂組成物。
  2. 当該樹脂組成物からなるフィルムを作製したとき、前記フィルムの波長550nmにおける面内の複屈折が0.005以下である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 当該樹脂組成物からなるフィルムを作製したとき、前記フィルムの波長550nmにおける光透過率が80%以上である、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. 当該樹脂組成物からなるフィルムを作製したとき、前記フィルムの波長308nmにおける光透過率が10%以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  5. 当該樹脂組成物からなるフィルムを作製したとき、前記フィルムの25℃における弾性率が、1.0GPa以上15.0GPa以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  6. 前記樹脂組成物からなるフィルムを作製したとき、前記フィルムが耐薬品性を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  7. 前記ポリマーがポリアミドであり、前記ポリアミドが、カルボキシ基を有する芳香族ポリアミドである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  8. ナノフィラーをさらに含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  9. 前記ナノフィラーが、樹脂組成物の全固形分に対して、25重量%以上80重量%以下の量である、請求項8に記載の樹脂組成物。
  10. 前記ナノフィラーの平均粒径Dが、1nm以上100nm以下である、請求項8または9に記載の樹脂組成物。
  11. シランカップリング剤をさらに含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  12. 前記シランカップリング剤が、樹脂組成物の全固形分に対して、0.5重量%以上15重量%以下の量である、請求項11に記載の樹脂組成物。
  13. 請求項1〜12のいずれか一項に記載の樹脂組成物からなるフィルム。
  14. 1μm以上30μm以下の厚みを有する、請求項13に記載のフィルム。
  15. 当該フィルムが、ディスプレイ用基板である、請求項13または14に記載のフィルム。
  16. 請求項15に記載のフィルムをディスプレイ用基板として備える、光デバイス。
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