JP2018140975A - フルテメタモルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】所定の一般式で表わされる標識前駆体化合物を溶媒存在下に放射性フッ化物イオンと反応させて、所定の一般式で表わされる放射性フッ素標識中間体化合物を得る工程(a)と、前記放射性フッ素標識中間体化合物から保護基を除去して放射性フッ素標識フルテメタモルを得る工程(b)とを含み、前記工程(a)は、反応液の内温を140℃以上で実行する、放射性フッ素標識フルテメタモルの製造方法を提供する。
【選択図】なし
Description
(a)下記一般式(1)で表わされる標識前駆体化合物を溶媒存在下に放射性フッ化物イオンと反応させて、下記一般式(2)で表わされる放射性フッ素標識中間体化合物を得る工程と、
(b)前記放射性フッ素標識中間体化合物から保護基を除去して、放射性フッ素標識フルテメタモルを得る工程と、を含み、
前記工程(a)は、反応液の内温を140℃以上で実行する、放射性フッ素標識フルテメタモルの製造方法が提供される。
本発明の放射性フッ素化工程(a)では、上記一般式(1)で表わされる標識前駆体化合物を放射性フッ化物イオンと溶媒存在下に反応させて放射性フッ素化反応を行うことにより、上記一般式(2)で表わされる放射性フッ素標識中間体化合物を得る。
本発明の脱保護工程(b)では、前記工程(a)で得られた放射性フッ素標識中間体化合物から保護基を除去して、放射性フッ素標識フルテメタモルを得る。具体的には、上記一般式(2)で表される放射性フッ素標識中間体化合物からR1で表されるヒドロキシの保護基及びR2で表されるアミノの保護基をそれぞれ除去して、放射性フッ素標識フルテメタモルを得る。なお、脱保護工程(b)に供する放射性フッ素標識中間体化合物は、前記工程(a)で得られたままの未精製の放射性フッ素標識中間体化合物であってもよく、または、前記工程(a)で得られた反応混合物を精製工程に付すことにより精製された放射性フッ素標識中間体化合物であってもよく、精製工程としては、通常の精製方法を用いた工程の他、下記前駆体分解工程(a1)及び下記第一の精製工程(a2)なども採用することができる。
上述のとおり、本発明の脱保護工程(b)には、本発明の工程(a)で得られた反応混合物を精製することにより得られた放射性フッ素標識中間体化合物を供することができ、精製方法としては、下記前駆体分解工程(a1)及び下記第一の精製工程(a2)を使用することが好ましい。脱保護工程(b)の前に下記前駆体分解工程(a1)及び下記第一の精製工程(a2)を実行することで、脱保護工程(b)の前に標識前駆体化合物から誘導された高極性化合物を除去することができる。これにより、放射性フッ素標識フルテメタモルの中間体化合物である放射性フッ素標識中間体化合物の損失を防ぎつつ、放射性フッ素標識中間体化合物を精製することができるため、従来よりも収率よく、かつ、従来と同等な品質で放射性フッ素標識フルテメタモルを得ることができ、放射性フッ素標識フルテメタモルの生産性を向上させることが可能となる。
前駆体分解工程(a1)では、標識前駆体化合物と放射性フッ素標識中間体化合物とを含む上記工程(a)の反応混合物に、強塩基を作用させる。これにより、上記工程(a)の反応混合物中に含まれる残渣の標識前駆体化合物が高極性化合物に変換される。これら高極性化合物としては、WO2011/044406の図1に示すものが考えられる。なお、前駆体分解工程(a1)では、放射性フッ素標識中間体化合物は強塩基と反応せずに残存する。
第一の精製工程(a2)では、前駆体分解工程(a1)の後、逆相固相抽出カートリッジを用いて上記放射性フッ素標識中間体化合物を精製する。これにより、放射性フッ素標識中間体化合物と、前駆体分解工程(a1)で得られた高極性化合物とが分離される。
本発明の脱保護工程(b)で得られた放射性フッ素標識フルテメタモルは、製剤化する前に、更なる精製工程に付すことができる。更なる精製工程は、例えば、下記第二の精製工程(b1)及び第三の精製工程(b2)により行うことができる。
第二の精製工程(b1)は、例えば、逆相固相抽出カートリッジを用いて行うことができる。
第三の精製工程(b2)では、第二の精製工程(b1)の後、親水性相互作用型(HILIC)固相抽出カートリッジを用いて放射性フッ素標識フルテメタモルを精製する。
[18O]水にサイクロトロンでプロトン照射して得られた[18F]フッ化物イオン含有[18O]水を、陰イオン交換カラムに通液し、[18F]フッ化物イオンを、吸着捕集した。次いで、該カラムを水(3mL)で洗浄した後、0.15mol/L炭酸水素テトラブチルアンモニウム水溶液(0.35mL)とアセトニトリル(1mL)を用いて無色ガラス製バイアル(5mL)に溶出し、得られた溶出液を蒸散させて、ここに、6−エトキシメトキシ−2−(4’−(N−ホルミル−N−メチル)アミノ−3’−ニトロ)フェニルベンゾチアゾール(AH111907)(75μmol)のジメチルスルホキシド溶液(1mL)を加え、表1に示す設定温度で上記バイアルをエアヒーターで加熱し、その間、表1に示す各時間点でキャピラリーを用いて反応液を採取し、TLC法で標識率を確認した。結果を表1及び図1に示す。
TLC分析条件:
TLCプレート:Silica Gel 60 F254(製品名、メルク社製)
展開相:酢酸エチル/ジエチルアミン=100/1
検出器:Rita Star(製品名、raytest社製)
また、反応液の内温は、熱電対で測定した。
(実施例1〜4)
(a)放射性フッ素化工程
0.15mol/L炭酸水素テトラブチルアンモニウム水溶液の使用量を0.32〜0.35mLとし、表2に示す含水率となるようにジメチルスルホキシド溶液に水を添加し、内温を151℃に設定し、反応時間を5分とした以外、上記(1)と同様にして放射性フッ素化反応を行った。
工程(a)の冷却後の反応液にナトリウムメトキシドのメタノール溶液(11%(w/w)、1.0〜1.5mL)を加え、内温125℃で5.5分加熱し、冷却した。
工程(a1)の冷却後の反応液に水(2mL)を加え、トリアコンチルシリル化シリカゲル(C30)カラムに通液し、18F標識中間体化合物を保持させた。さらに、40%(v/v)アセトニトリル水溶液(6mL)を、反応容器を経由してC30カラムに通液して洗浄した後、再度40%(v/v)アセトニトリル水溶液(6mL)を直接C30カラムに通液して洗浄した。このC30カラムにエタノール(2mL)を通液して、溶出液を回収した。
工程(a2)で回収した溶出液に4mol/L塩酸(2.0mL)を加え、内温132℃で3分加熱し、未精製の[18F]フルテメタモル溶液を得た。
工程(b)で得られた未精製の[18F]フルテメタモル溶液を冷却後、水(10mL)を加え、工程(a1)で使用したものとは異なる未使用のC30カラムに通液し、[18F]フルテメタモルをC30カラムに保持させた。このC30カラムに40%(v/v)アセトニトリル水溶液(6〜12mL)を通液して洗浄した後、水(5mL)を通液して洗浄した。エタノール(3.5mL)でC30カラムから[18F]フルテメタモルを溶出した。
工程(b1)の溶出液を、アミノプロピルシリル化シリカゲルを充填したカラム(NH2カラム)に通液した。工程(b1)で使用したC30カラム、このNH2カラムの順に水(9.3mL)を通液して洗浄し、各溶出液を0.7%(w/v)ポリソルベート80及び1.2%(w/v)塩化ナトリウムを含む18.8mmol/Lリン酸緩衝液(37.2mL)を添加した容器に回収した。
放射性フッ素化工程(a)において含水率を10ppmとし、内温を130℃に設定し、反応時間を15分とした以外、実施例と同様に実験を行った。
参考例1〜3の工程(a)、(a1)を実行し、以下の工程を実行した。
得られた工程(a1)の反応液に4mol/L塩酸(0.6mL)を加え、125℃で5分加熱し、未精製の[18F]フルテメタモル溶液を得た。
工程(b’)で得られた未精製の[18F]フルテメタモル溶液を冷却後、水(2mL)を加え、C30カラムに通液し、[18F]フルテメタモルを保持させた。さらに、40%(v/v)アセトニトリル水溶液(12mL)を、反応容器を経由してC30カラムに通液して洗浄した後、水(5mL)を直接C30カラムに通液して洗浄した。このC30カラムにアセトニトリル(2mL)を通液して、溶出液を回収した。
工程(a2’)で得られた溶出液をNH2カラムに通液して精製後、さらにアセトニトリル(1mL)を通液し、これら溶出液を混合した。
工程(b1’)で得られた溶液に水(5mL)を加え、工程(a2’)で使用したものとは異なる未使用のC30カラムに通液し、[18F]フルテメタモルをC30カラムに保持させた後、水(4mL)をC30カラムに3回通液して洗浄した。エタノール(3.5mL)をC30カラムに通液し、さらに水(9.3mL)をC30カラムに通液し、これら溶出液を0.7%(w/v)ポリソルベート80及び1.2%(w/v)塩化ナトリウムを含む18.8mmol/Lリン酸緩衝液(37.2mL)を添加した容器に回収した。
なお、[18F]フルテメタモル溶液中の非放射性不純物の濃度は、以下に示す方法で分析した。
UV検出器を用いたHPLC法にて行った。条件は、以下のとおり。
カラム:LunaC18(2)(Phenomenex社製、サイズ:4.6×150mm、3μm)
移動相:20mmoL酢酸アンモニウム緩衝液(pH6.0)/アセトニトリル=62/38→40/10(0→9分),40/10→10/90(9→10分),10/90(10→20分),10/90→62/38(20→20.5分)62/38,(20.5→30分)
流速:1.0mL/分
検出器:紫外可視吸光光度計(検出波長:330nm)
Claims (5)
- 前記工程(a)における反応時間は、3〜10分間である、請求項1に記載の製造方法。
- 前記工程(a)における前記溶媒は、有機溶剤及び水を含み、水の濃度が2,000ppm以下である、請求項1又は2に記載の製造方法。
- 前記有機溶剤が、ジメチルスルホキシドである、請求項3に記載の製造方法。
- 前記工程(a)における反応液の内温が、145〜170℃である、請求項1乃至4の何れか1項に記載の製造方法。
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