JP2018139552A - 油中水型乳化油脂組成物及び、その製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡易な方法で、従来にない強い酸化安定性を有する油中水型乳化油脂組成物の提供。
【解決手段】水相に1種の水溶性抗酸化剤及び前記以外の水溶性抗酸化剤、糖質、及び蛋白質からの1種以上の水溶性固形分を含み、且つ水相に前記水溶性抗酸化剤及び前記水溶性固形分が合計で40〜70重量%含まれ、水相が0.01〜40重量%含まれる油中水型乳化油脂組成物。水相中の前記水溶性固形分とデキストリンを含有し、及び/又は油相に油溶性乳化剤を含有することが好ましい、前記油中水型乳化油脂組成物。
【選択図】なし
【解決手段】水相に1種の水溶性抗酸化剤及び前記以外の水溶性抗酸化剤、糖質、及び蛋白質からの1種以上の水溶性固形分を含み、且つ水相に前記水溶性抗酸化剤及び前記水溶性固形分が合計で40〜70重量%含まれ、水相が0.01〜40重量%含まれる油中水型乳化油脂組成物。水相中の前記水溶性固形分とデキストリンを含有し、及び/又は油相に油溶性乳化剤を含有することが好ましい、前記油中水型乳化油脂組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、油中水型乳化油脂組成物及び、その製造方法に関するものである。
油脂に水溶性酸化防止剤を添加することで、顕著な酸化防止効果が得られることが知られている(特許文献1)。
特許文献2では、水溶性茶ポリフェノール及び乳化剤を使用した、酸化安定性に優れた油脂について記載されている。
特許文献3には、「油脂、キラヤサポニンおよび糖アルコールからなる必須の組合せを特徴とする酸化安定性に優れ、透明感を有する油脂乳化物。」についての記載がある。
特許文献4には、アスコルビン酸及びクエン酸等が添加された油脂組成物についての記載がある。この出願では、トコフェロールを含有する油脂において、アスコルビン酸やクエン酸が、その再生に寄与することで、油脂の酸化防止機能を発揮する旨の記載がある。
特許文献2では、水溶性茶ポリフェノール及び乳化剤を使用した、酸化安定性に優れた油脂について記載されている。
特許文献3には、「油脂、キラヤサポニンおよび糖アルコールからなる必須の組合せを特徴とする酸化安定性に優れ、透明感を有する油脂乳化物。」についての記載がある。
特許文献4には、アスコルビン酸及びクエン酸等が添加された油脂組成物についての記載がある。この出願では、トコフェロールを含有する油脂において、アスコルビン酸やクエン酸が、その再生に寄与することで、油脂の酸化防止機能を発揮する旨の記載がある。
本発明は、簡易な方法で、従来にない強い酸化安定性を有する油中水型乳化油脂組成物を提供することを課題とする。
特許文献1及び2において開示された技術を用いることで、一定程度、酸化安定性の優れた油脂を得ることができる。しかし、多価不飽和脂肪酸を多く含む油脂の酸化安定性を更に向上させるような要望も存在し、より強力な酸化安定性を有する油脂が求められた。
特許文献3においては、酸化安定性に優れ、透明感を有する油脂乳化物についての記載があるが、かなり多くの糖アルコールを添加する必要があり、汎用性に欠けるものであった。
特許文献4に記載されている方法は、本発明者も再現を試みた。しかし、高度不飽和含有油脂に対する酸化防止効果は限定的なものであった。
特許文献3においては、酸化安定性に優れ、透明感を有する油脂乳化物についての記載があるが、かなり多くの糖アルコールを添加する必要があり、汎用性に欠けるものであった。
特許文献4に記載されている方法は、本発明者も再現を試みた。しかし、高度不飽和含有油脂に対する酸化防止効果は限定的なものであった。
本発明者は鋭意検討を行った。そうしたところ、水溶性抗酸化剤を溶解した水相において、水溶性固形分を添加して固形分量を調整することで、当該水相を油相に分散した場合に、油脂の酸化安定性が顕著に向上することを見出し、本発明を完成させた。
即ち本発明は、
(1)以下の要件を満たす油中水型乳化油脂組成物、
A 水相に1種の水溶性抗酸化剤を含む、
B 水相に、A以外の水溶性抗酸化剤、糖質、及び蛋白質から選ばれる1種以上の水溶性固形分を含む、
C 水相にA記載の水溶性抗酸化剤及びB記載の水溶性固形分が合計で40〜70重量%含まれる、
D 油中水型乳化油脂組成物中に該水相が0.01〜40重量%含まれる、
(2)Bの水溶性固形分がデキストリンである、(1)記載の油中水型乳化油脂組成物、
(3)油相に油溶性乳化剤を含有する、(1)又は(2)に記載の油中水型乳化油脂組成物、
(4)以下の要件を満たす油中水型乳化油脂組成物の製造法、
A 水相に1種の水溶性抗酸化剤を含む、
B 水相に、A以外の水溶性抗酸化剤、糖質、及び蛋白質から選ばれる1種以上の水溶性固形分を含む、
C 水相にA記載の水溶性抗酸化剤及びB記載の水溶性固形分が合計で40〜70重量%含まれる、
D 油中水型乳化油脂組成物中に、該水相が0.01〜40重量%含まれるように、油相に水相を混合する、
(5)Bの水溶性固形分がデキストリンである、(4)記載の油中水型乳化油脂組成物の製造法、
(6)油相に油溶性乳化剤を含有する、(4)又は(5)に記載の油中水型乳化油脂組成物の製造法、
に関するものである。
(1)以下の要件を満たす油中水型乳化油脂組成物、
A 水相に1種の水溶性抗酸化剤を含む、
B 水相に、A以外の水溶性抗酸化剤、糖質、及び蛋白質から選ばれる1種以上の水溶性固形分を含む、
C 水相にA記載の水溶性抗酸化剤及びB記載の水溶性固形分が合計で40〜70重量%含まれる、
D 油中水型乳化油脂組成物中に該水相が0.01〜40重量%含まれる、
(2)Bの水溶性固形分がデキストリンである、(1)記載の油中水型乳化油脂組成物、
(3)油相に油溶性乳化剤を含有する、(1)又は(2)に記載の油中水型乳化油脂組成物、
(4)以下の要件を満たす油中水型乳化油脂組成物の製造法、
A 水相に1種の水溶性抗酸化剤を含む、
B 水相に、A以外の水溶性抗酸化剤、糖質、及び蛋白質から選ばれる1種以上の水溶性固形分を含む、
C 水相にA記載の水溶性抗酸化剤及びB記載の水溶性固形分が合計で40〜70重量%含まれる、
D 油中水型乳化油脂組成物中に、該水相が0.01〜40重量%含まれるように、油相に水相を混合する、
(5)Bの水溶性固形分がデキストリンである、(4)記載の油中水型乳化油脂組成物の製造法、
(6)油相に油溶性乳化剤を含有する、(4)又は(5)に記載の油中水型乳化油脂組成物の製造法、
に関するものである。
本発明により、酸化安定性が極めて向上した、油中水型乳化油脂組成物を提供することができる。
本発明で言う水相とは、本発明に係る油中水型乳化油脂組成物の原料において、水及び水に溶解する原料を混合したものである。代表的には、水に水溶性抗酸化剤及び、当該水溶性抗酸化剤以外の水溶性固形分を混合したものを指す。
本発明で言う油相とは、本発明に係る油中水型乳化油脂組成物の原料において、油及び油に溶解する原料を混合したものである。代表的には、油に油溶性乳化剤を混合したものである。
なお、本発明に係る油中水型乳化油脂組成物の製造法において、最初に水相の量が多い油中水型乳化油脂組成物を調製したのち、当該油中水型乳化油脂組成物を油脂に分散し、最終的な油中水型乳化油脂組成物とする方法もあり、当該態様でも、効果を発揮させることができる。この場合は、最初に調製する油中水型乳化油脂組成物の原料における油相と水相が、上記で言う油相及び水相に該当する。
本発明で言う油相とは、本発明に係る油中水型乳化油脂組成物の原料において、油及び油に溶解する原料を混合したものである。代表的には、油に油溶性乳化剤を混合したものである。
なお、本発明に係る油中水型乳化油脂組成物の製造法において、最初に水相の量が多い油中水型乳化油脂組成物を調製したのち、当該油中水型乳化油脂組成物を油脂に分散し、最終的な油中水型乳化油脂組成物とする方法もあり、当該態様でも、効果を発揮させることができる。この場合は、最初に調製する油中水型乳化油脂組成物の原料における油相と水相が、上記で言う油相及び水相に該当する。
本発明で使用する油脂としては、各種の油脂を使用することができる。特に、本発明では酸化安定性の極めて優れた油中水型乳化油脂組成物が得られることから、酸化安定性の低い油脂を使用した場合に、その効果が顕著に現れ好ましい。
よって、具体的にはDHAやEPAのような高度不飽和脂肪酸を多く含有した油脂を使用することが望ましい。より具体的には魚油や濃縮魚油、藻類油を挙げることができる。
なお、上記の様に、最初に水相の割合の多い油中水型乳化油脂組成物を調製する製造方法においては、最終的に分散する油脂を、高度不飽和脂肪酸含有油脂とすることができる。
よって、具体的にはDHAやEPAのような高度不飽和脂肪酸を多く含有した油脂を使用することが望ましい。より具体的には魚油や濃縮魚油、藻類油を挙げることができる。
なお、上記の様に、最初に水相の割合の多い油中水型乳化油脂組成物を調製する製造方法においては、最終的に分散する油脂を、高度不飽和脂肪酸含有油脂とすることができる。
本発明で言う、水溶性抗酸化剤とは、水に溶ける抗酸化剤のことである。ここで、本来的には水に溶けない抗酸化剤であっても、加工等により水に溶ける性質を付与されたものも含まれる。
具体的にはアスコルビン酸、カテキン、茶抽出物、没食子酸、ヤマモモ抽出物をあげることができ、より望ましくは、アスコルビン酸,カテキンである。本発明では、これらを適宜選択し、使用することができる。適当な水溶性抗酸化剤を使用することで、酸化安定性が極めて向上した、油中水型乳化油脂組成物を得ることができる。
なお、水溶性抗酸化剤は見かけ上、水相中で溶解している必要がある。
具体的にはアスコルビン酸、カテキン、茶抽出物、没食子酸、ヤマモモ抽出物をあげることができ、より望ましくは、アスコルビン酸,カテキンである。本発明では、これらを適宜選択し、使用することができる。適当な水溶性抗酸化剤を使用することで、酸化安定性が極めて向上した、油中水型乳化油脂組成物を得ることができる。
なお、水溶性抗酸化剤は見かけ上、水相中で溶解している必要がある。
本発明では、水相中に必須の要件である1種の水溶性抗酸化剤のほか、当該水溶性抗酸化剤以外の水溶性抗酸化剤、糖質、及び蛋白質から選ばれる1種以上の水溶性固形分が合計40〜70重量%含まれる必要がある。
ここで糖質としては、具体的には単糖類であるグルコースやフルクトース、マンノース、キシロース、二糖類であるシュクロースやマルトース、トレハロースを、更にデキストリンや各種澱粉を挙げることができ、より望ましくはフルクトース、シュークロース、デキストリンであり、更に望ましくはデキストリンである。
また、糖質として水溶性繊維も含めることができる。具体的には、水溶性大豆多糖類、ペクチンである。
蛋白質としては、具体的にはカゼインやβラクトグロブリン、大豆蛋白やエンドウ蛋白など各種豆類蛋白をあげることができ、より望ましくはカゼインである。
以上より、水溶性固形分として最も望ましいのは、必須の水溶性抗酸化剤としてカテキン、及びそれ以外の水溶性固形分としてのデキストリンの組み合わせである。
適当な水溶性抗酸化剤及びその他の水溶性固形分を選択することで、より強い抗酸化力を示すこととなる。
ここで糖質としては、具体的には単糖類であるグルコースやフルクトース、マンノース、キシロース、二糖類であるシュクロースやマルトース、トレハロースを、更にデキストリンや各種澱粉を挙げることができ、より望ましくはフルクトース、シュークロース、デキストリンであり、更に望ましくはデキストリンである。
また、糖質として水溶性繊維も含めることができる。具体的には、水溶性大豆多糖類、ペクチンである。
蛋白質としては、具体的にはカゼインやβラクトグロブリン、大豆蛋白やエンドウ蛋白など各種豆類蛋白をあげることができ、より望ましくはカゼインである。
以上より、水溶性固形分として最も望ましいのは、必須の水溶性抗酸化剤としてカテキン、及びそれ以外の水溶性固形分としてのデキストリンの組み合わせである。
適当な水溶性抗酸化剤及びその他の水溶性固形分を選択することで、より強い抗酸化力を示すこととなる。
本発明においては、必須の構成要件である、1種の水溶性抗酸化剤を含め、水溶性固形分を合計で40〜70重量%含む水相とする必要がある。この濃度は、より望ましくは40〜60重量%であり、さらに望ましくは45〜60重量%である。水溶性抗酸化剤及び、それ以外の水溶性固形分を用い、水相の固形分を適当な量とすることで、水溶性抗酸化剤の効果が顕著に現れることとなる。
この水溶性固形分のうち、水溶性抗酸化剤の量は合計で、3〜30重量%が望ましく、より望ましくは5〜25重量%であり、最も望ましくは7〜15重量%である。
なお、本発明においては、水相中の固形分は溶解していることが必要である。すなわち、本発明において、水相において水溶性固形分を含む、とは、当該水溶性固形分が溶解した状態で含まれることを言う。すなわち、水溶性固形分と言えるものであっても、それが溶解度を超えて、沈殿として存在するような場合は、本発明においては、水相に含まれる、とは言わない。水相中の固形分が溶解していることで、本発明において強い抗酸化力を発揮することとなる。
この水溶性固形分のうち、水溶性抗酸化剤の量は合計で、3〜30重量%が望ましく、より望ましくは5〜25重量%であり、最も望ましくは7〜15重量%である。
なお、本発明においては、水相中の固形分は溶解していることが必要である。すなわち、本発明において、水相において水溶性固形分を含む、とは、当該水溶性固形分が溶解した状態で含まれることを言う。すなわち、水溶性固形分と言えるものであっても、それが溶解度を超えて、沈殿として存在するような場合は、本発明においては、水相に含まれる、とは言わない。水相中の固形分が溶解していることで、本発明において強い抗酸化力を発揮することとなる。
なお、溶解しているかの判断は、20℃において、水相を20ml容の遠心チューブへ5ml入れ、5000Gにて1分間遠心分離して行う。当該処理によっても、目視で沈殿物を確認できない状態を称して溶解していると判断する。
使用する水溶性固形分によっては、その溶解度の関係で、1種のみでは水相中で40〜70重量%含む状態とできない場合もある。このような場合は、2種以上の水溶性固形分を適宜組み合わせ、所定の水溶性固形分量とすることができる。
使用する水溶性固形分によっては、その溶解度の関係で、1種のみでは水相中で40〜70重量%含む状態とできない場合もある。このような場合は、2種以上の水溶性固形分を適宜組み合わせ、所定の水溶性固形分量とすることができる。
本発明に係る油中水型乳化油脂組成物においては、水相を、全体で0.01〜40重量%含有する必要があり、この量はより望ましくは0.02〜30重量%であり、さらに望ましくは0.03〜25重量%である。
特に、最初に水相の割合の多い油中水型乳化油脂組成物を調製し、その後に当該油中水型乳化油脂組成物を油脂に分散させる調製法においては、望ましくは水相を1〜40重量%、より望ましくは5〜35重量%含有する油中水型乳化油脂組成物を調製後、油脂に分散させる。
水相の量を適当な量とすることで、水溶性抗酸化剤の効果が顕著に現れることとなる。
特に、最初に水相の割合の多い油中水型乳化油脂組成物を調製し、その後に当該油中水型乳化油脂組成物を油脂に分散させる調製法においては、望ましくは水相を1〜40重量%、より望ましくは5〜35重量%含有する油中水型乳化油脂組成物を調製後、油脂に分散させる。
水相の量を適当な量とすることで、水溶性抗酸化剤の効果が顕著に現れることとなる。
本発明においては、油相に油溶性乳化剤を含有することが望ましい。使用する油溶性乳化剤としては、PGPR(ポリグリセリン縮合リシノレート)、ポリグリセリン、モノグリセリド、シュガーエステル、ソルビタン脂肪酸エステルを上げることができ、より望ましくはPGPR,ソルビタン脂肪酸エステルであり、さらに望ましくはPGPRである。
適当な油溶性乳化剤を含有することで、水溶性抗酸化剤の効果がより顕著に現れることとなる。
使用する油溶性乳化剤の量は、最終的に得られる油中水型乳化油脂組成物において、0.2〜3重量%であり、より望ましくは0.5〜2.5重量%である。適当な量の油溶性乳化剤を使用することで、油中水型乳化油脂組成物がより好ましい抗酸化力を示すこととなる。
適当な油溶性乳化剤を含有することで、水溶性抗酸化剤の効果がより顕著に現れることとなる。
使用する油溶性乳化剤の量は、最終的に得られる油中水型乳化油脂組成物において、0.2〜3重量%であり、より望ましくは0.5〜2.5重量%である。適当な量の油溶性乳化剤を使用することで、油中水型乳化油脂組成物がより好ましい抗酸化力を示すこととなる。
なお、本発明においては「油中水型乳化油脂組成物」と称し、現実的にもW/O型の乳化物の形態をとっている。しかし、最終製品における水相の割合はごくわずかとなる場合もあり、外見上もほぼ透明で、いわゆる乳化状態であることを視認することが困難となる場合も多い。
本発明においては、上記のような状況ではあるが、実態としてはW/O型乳化物であることから、便宜的に「油中水型乳化油脂組成物」と称呼している。
本発明においては、上記のような状況ではあるが、実態としてはW/O型乳化物であることから、便宜的に「油中水型乳化油脂組成物」と称呼している。
以下に、本発明に係る油脂組成物の製造法を説明する。
本発明においては、まず水相と油相を準備する。水相は、水に所定量の水溶性抗酸化剤および、水溶性固形物を添加して調製する。
ここで、上記記載の通り、水溶性固形分は水相において溶解している必要がある。溶解しているか否かの判断基準も、上記記載の通りである。
水溶性抗酸化剤及び、それ以外の水溶性固形分として何を選択するかは、それらの溶解度のデータを参考に決めることができる。たとえば、溶解度の低い水溶性抗酸化剤を選択した場合は、それ以外の水溶性固形分として、溶解度の高い素材を選択し、全体として所定の水溶性固形分量とすることができる。また、1種の水溶性固形分では所定の水溶性固形分量とできない場合等には、複数の水溶性固形分を組み合わせることも可能である。
本発明においては、まず水相と油相を準備する。水相は、水に所定量の水溶性抗酸化剤および、水溶性固形物を添加して調製する。
ここで、上記記載の通り、水溶性固形分は水相において溶解している必要がある。溶解しているか否かの判断基準も、上記記載の通りである。
水溶性抗酸化剤及び、それ以外の水溶性固形分として何を選択するかは、それらの溶解度のデータを参考に決めることができる。たとえば、溶解度の低い水溶性抗酸化剤を選択した場合は、それ以外の水溶性固形分として、溶解度の高い素材を選択し、全体として所定の水溶性固形分量とすることができる。また、1種の水溶性固形分では所定の水溶性固形分量とできない場合等には、複数の水溶性固形分を組み合わせることも可能である。
油相は、融解した油脂に、必要に応じ油溶性乳化剤を添加して調製する。本発明においては、油脂に油溶性抗酸化剤を添加する必要はないが、適正量の油溶性抗酸化剤の使用を排除するものではない。しかし、油溶性抗酸化剤の量が多くなると、逆に油脂の酸化が促進される場合もあり、注意が必要である。
次に、油相に水相を添加し、攪拌混合する。攪拌機器の一例としてボールミル、ホモミキサー、インペラー攪拌機、ローターミキサー、スタティックミキサー、ステーターミキサー、ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、コロイドミル、高圧ホモジナイザー、湿式ジェットミル、湿式微粒化装置、高圧湿式メディアレス微粒化装置が挙げられるが、攪拌装置には限定はない。攪拌においては、使用する油脂の融点により、結晶が析出していない程度に加温した状態で攪拌混合する必要がある。
本発明においては、一旦水相の量の多い油中水型乳化油脂組成物を調製した後に、当該油中水型乳化油脂組成物を油で希釈することで、目的とする水相量を含む油中水型乳化油脂組成物とすることもできる。このようにして調製した油中水型乳化油脂組成物であっても、強い酸化防止効果を示すこととなる。
なお、水相量の多い油中水型乳化油脂組成物については、大豆油等の一般的な油脂を使用して調製し、その後当該油中水型乳化油脂組成物を魚油等に希釈することで、目的とする、酸化安定性の強い油中水型乳化油脂組成物とすることもできる。
以下、実施例により本発明の実施形態をより具体的に記載する。
なお、水相量の多い油中水型乳化油脂組成物については、大豆油等の一般的な油脂を使用して調製し、その後当該油中水型乳化油脂組成物を魚油等に希釈することで、目的とする、酸化安定性の強い油中水型乳化油脂組成物とすることもできる。
以下、実施例により本発明の実施形態をより具体的に記載する。
検討1
表1の配合に基づき、以下の「○油中水型乳化油脂組成物の調製法」に従い、油中水型乳化油脂組成物を調製した。
得られた油中水型乳化油脂組成物を、「○POV評価法」に従い評価した。結果を表2に記載した。
表1の配合に基づき、以下の「○油中水型乳化油脂組成物の調製法」に従い、油中水型乳化油脂組成物を調製した。
得られた油中水型乳化油脂組成物を、「○POV評価法」に従い評価した。結果を表2に記載した。
表1 配合
・各実施例、比較例のうち、左の列は、水相の割合の多いW/O組成物(W/O組成物A)の組成を示した。中の列は、水相の割合の多いW/O組成物(W/O組成物A)と油脂の混合比率を示した。右の列は、最終サンプルたるW/O組成物(W/O組成物B)での組成を示した。単位はいずれも重量%で示した。
・VC:ビタミンC(アスコルビン酸)
・デキストリンは松谷化学社製TK16を使用した(DE=18 メーカー情報)。
・DHA,EPA入り油脂は、DHA,EPAを合計で11.4重量%含む油脂を使用した。
・パーム低融点油は不二製油株式会社製「パームエース10」を使用した。
・PGPRは坂本薬品工業株式会社製CRS75を使用した。
・各実施例、比較例のうち、左の列は、水相の割合の多いW/O組成物(W/O組成物A)の組成を示した。中の列は、水相の割合の多いW/O組成物(W/O組成物A)と油脂の混合比率を示した。右の列は、最終サンプルたるW/O組成物(W/O組成物B)での組成を示した。単位はいずれも重量%で示した。
・VC:ビタミンC(アスコルビン酸)
・デキストリンは松谷化学社製TK16を使用した(DE=18 メーカー情報)。
・DHA,EPA入り油脂は、DHA,EPAを合計で11.4重量%含む油脂を使用した。
・パーム低融点油は不二製油株式会社製「パームエース10」を使用した。
・PGPRは坂本薬品工業株式会社製CRS75を使用した。
○油中水型乳化油脂組成物の調製法
1.表において、W/O組成物Aの水相及び油相の原料をそれぞれ混合し、溶解した。(W/O組成物Aの配合が全て「-」とされているものは、W/O組成物Aの調製は行わななかった。)
2.油相を攪拌しながら水相を添加し、略乳化し調合液とした。
3.調合液を高圧ホモゲナイザーにより、ホモ圧50Mpaで5パス処理することでW/O組成物Aを得た。
4.W/O組成物Aを油脂と混合し、W/O組成物Bを得た。
1.表において、W/O組成物Aの水相及び油相の原料をそれぞれ混合し、溶解した。(W/O組成物Aの配合が全て「-」とされているものは、W/O組成物Aの調製は行わななかった。)
2.油相を攪拌しながら水相を添加し、略乳化し調合液とした。
3.調合液を高圧ホモゲナイザーにより、ホモ圧50Mpaで5パス処理することでW/O組成物Aを得た。
4.W/O組成物Aを油脂と混合し、W/O組成物Bを得た。
○POV評価法
1.サンプルを100ml容トールビーカーへ50ml入れ、アルミ箔で遮光の上、密閉蓋をして60℃のインキュベーター内で100rpmにて攪拌した。
2.経時的にサンプリングし、過酸化物価(POV)を測定した。過酸化物価(POV)の測定はヨウ素滴定法に従った。
3.9日目でのPOVが3.0以下を合格とした。
1.サンプルを100ml容トールビーカーへ50ml入れ、アルミ箔で遮光の上、密閉蓋をして60℃のインキュベーター内で100rpmにて攪拌した。
2.経時的にサンプリングし、過酸化物価(POV)を測定した。過酸化物価(POV)の測定はヨウ素滴定法に従った。
3.9日目でのPOVが3.0以下を合格とした。
表2の通り、本発明に係る油中水型乳化油脂組成物は、極めて高い酸化安定性を示した。
なお、数値データとしては示していないが、官能的にも、POVの傾向に従った臭気が感じられた。すなわち、実施例1は80日を経過しても臭気的異常はほとんど感じられなかった。
なお、数値データとしては示していないが、官能的にも、POVの傾向に従った臭気が感じられた。すなわち、実施例1は80日を経過しても臭気的異常はほとんど感じられなかった。
検討2
表3の配合に基づき、「○油中水型乳化油脂組成物の調製法」に従い、油中水型乳化油脂組成物を調製した。
得られた油中水型乳化油脂組成物を、「○POV評価法2」に従い評価した。結果を表4に記載した。
表3の配合に基づき、「○油中水型乳化油脂組成物の調製法」に従い、油中水型乳化油脂組成物を調製した。
得られた油中水型乳化油脂組成物を、「○POV評価法2」に従い評価した。結果を表4に記載した。
○POV評価法2
1.サンプルを100ml容トールビーカーへ50ml入れ、アルミ箔で遮光の上、密閉蓋をして60℃のインキュベーター内で静置保管した。
2.経時的にサンプリングし、過酸化物価(POV)を測定した。過酸化物価(POV)の測定はヨウ素滴定法に従った。
3.9日目でのPOVが2.0以下を合格とした。
1.サンプルを100ml容トールビーカーへ50ml入れ、アルミ箔で遮光の上、密閉蓋をして60℃のインキュベーター内で静置保管した。
2.経時的にサンプリングし、過酸化物価(POV)を測定した。過酸化物価(POV)の測定はヨウ素滴定法に従った。
3.9日目でのPOVが2.0以下を合格とした。
考察
水溶性固形分であるデキストリンを水相へ添加した実施例2では、高い酸化安定性を示したが、デキストリンを添加しない比較例5では酸化安定性は実施例2に比べ劣る結果となった。
以上のように、これまで酸化劣化の問題から食品への利用が制限されていた高度不飽和脂肪酸含有油脂が、本発明により、酸化安定性を付与され、広く食品へ応用することができることとなった。
これにより、チョコレートやビスケットをはじめとする洋菓子、また、マーガリンなどの油脂食品においても、高度不飽和脂肪酸含有油脂が含まれていることを訴求点とする製品開発が可能となった。
水溶性固形分であるデキストリンを水相へ添加した実施例2では、高い酸化安定性を示したが、デキストリンを添加しない比較例5では酸化安定性は実施例2に比べ劣る結果となった。
以上のように、これまで酸化劣化の問題から食品への利用が制限されていた高度不飽和脂肪酸含有油脂が、本発明により、酸化安定性を付与され、広く食品へ応用することができることとなった。
これにより、チョコレートやビスケットをはじめとする洋菓子、また、マーガリンなどの油脂食品においても、高度不飽和脂肪酸含有油脂が含まれていることを訴求点とする製品開発が可能となった。
Claims (6)
- 以下の要件を満たす油中水型乳化油脂組成物。
A 水相に1種の水溶性抗酸化剤を含む。
B 水相に、A以外の水溶性抗酸化剤、糖質、及び蛋白質から選ばれる1種以上の水溶性固形分を含む。
C 水相にA記載の水溶性抗酸化剤及びB記載の水溶性固形分が合計で40〜70重量%含まれる。
D 油中水型乳化油脂組成物中に該水相が0.01〜40重量%含まれる。 - Bの水溶性固形分がデキストリンである、請求項1記載の油中水型乳化油脂組成物。
- 油相に油溶性乳化剤を含有する、請求項1又は2に記載の油中水型乳化油脂組成物。
- 以下の要件を満たす油中水型乳化油脂組成物の製造法。
A 水相に1種の水溶性抗酸化剤を含む。
B 水相に、A以外の水溶性抗酸化剤、糖質、及び蛋白質から選ばれる1種以上の水溶性固形分を含む。
C 水相にA記載の水溶性抗酸化剤及びB記載の水溶性固形分が合計で40〜70重量%含まれる。
D 油中水型乳化油脂組成物中に、該水相が0.01〜40重量%含まれるように、油相に水相を混合する。 - Bの水溶性固形分がデキストリンである、請求項4記載の油中水型乳化油脂組成物の製造法。
- 油相に油溶性乳化剤を含有する、請求項4又は5に記載の油中水型乳化油脂組成物の製造法。
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JP2017036664A JP2018139552A (ja) | 2017-02-28 | 2017-02-28 | 油中水型乳化油脂組成物及び、その製造方法 |
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JP6836226B1 (ja) * | 2020-06-12 | 2021-02-24 | 不二製油株式会社 | 油中水型の不飽和脂肪酸含有組成物及びその製造法 |
-
2017
- 2017-02-28 JP JP2017036664A patent/JP2018139552A/ja active Pending
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WO2021251097A1 (ja) * | 2020-06-12 | 2021-12-16 | 不二製油グループ本社株式会社 | 油中水型の不飽和脂肪酸含有組成物及びその製造法 |
JP2021193923A (ja) * | 2020-06-12 | 2021-12-27 | 不二製油株式会社 | 油中水型の不飽和脂肪酸含有組成物及びその製造法 |
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