JP2018139518A - 糸引き納豆、その製法、並びに、糸引き納豆のえぐみの改善方法 - Google Patents

糸引き納豆、その製法、並びに、糸引き納豆のえぐみの改善方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、大豆由来の「えぐみ」が抑制され、煮豆本来のフレッシュな風味が保持され、さらに糸やネバの付着しづらい、特に撹拌後の糸の付着しづらい、糸引き納豆を提供することを目的とするものである。【解決手段】 本発明は、糸引き納豆であって、2-エチルブチリック アシドを納豆湿重量1000gあたり0.005mg以上1.0mg以下の範囲で含有することを特徴とする、糸引き納豆を提供する。【選択図】 なし

Description

本発明は、糸引き納豆(以下の記載では“納豆”と略記することもある。)に特定の化合物を含有することにより、従来の糸引き納豆で課題であった納豆の風味、納豆の糸の特性等を大幅に改善し、優れた嗜好性を有する糸引き納豆を提供する技術に関する。
大豆を納豆菌で発酵させた糸引き納豆は、日本古来の発酵食品であり、大豆タンパク質を豊富に含み栄養価が高い。また、栄養価に加えて、納豆はそれ自体の嗜好性が高いことから、日本人の日常食品の一つとなっている。
さらに、近年、納豆にはプロバイオティック作用、抗菌作用、機能性成分等による各種健康増進効果があることが報告されており、益々需要が期待されている食品である。
納豆菌による発酵過程では、発酵により、強い粘りを有するポリグルタミン酸を主成分とする糸引き成分が生成される。
当該糸引き成分は、独特の風味や食感を納豆に与える性質を有し、白米を炊いたご飯との相性が抜群に良いが、喫食の際に箸や容器に付着しやすく、しかも付着すると洗浄に時間を要するなど、不都合があり、特に撹拌後の糸の付着しづらい納豆が要望されていた。
また、納豆菌の発酵過程が進行すると、大豆に含まれる成分のアミノ酸等が代謝され、特有の香気や風味が付与されるが、それと引き換えに大豆由来の「えぐみ」が強調される傾向があった。
このような独特な「えぐみ」は、納豆を初めて食する場合の障壁となる場合がある。
また、発酵が過剰に進行した場合は、煮豆本来のフレッシュな風味が失われる場合があった。
納豆の糸引きや嗜好性に関する技術として、例えば、糸引き納豆製造工程において、海洋深層水を用いることで、糸引きや納豆の風味を改善する技術(特許文献1参照)や、発酵後に高温で維持する工程を設けることで、従来の納豆と異なる嗜好性を持たせた技術(特許文献2参照)などが提案されている。
しかしながら、これらの技術は、従来と異なる方法で納豆製造を行う必要があり、コストが増加するという課題があるだけでなく、糸引き納豆の嗜好性を全体的に向上させることができる技術ではなかった。
特開2002−45141号公報 特開2014−18089号公報
本発明は、上記従来の問題点を解消し、大豆由来の「えぐみ」が抑制された糸引き納豆を提供することを目的とするものである。
また、本発明は、煮豆本来のフレッシュな風味が保持された糸引き納豆を提供することを目的とするものである。
さらに、本発明は、糸やネバの付着しづらい、特に撹拌後喫食の際に箸や容器などに糸の付着しづらい糸引き納豆を提供することを目的とするものである。
本発明者は、上記従来の問題点を解消すべく鋭意検討を重ねた。
その結果、2-エチルブチリック アシドを特定割合で含有したものが、上記従来の問題を悉く解消し得ることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成したものである。
すなわち、本発明は、以下の(1)から(8)に関する。
(1):糸引き納豆であって、2-エチルブチリック アシドを納豆湿重量1000gあたり0.005mg以上1.0mg以下の範囲で含有することを特徴とする、糸引き納豆。

(2):前記(1)に記載の糸引き納豆であって、さらに2-メチルプロピオン酸を含有し、2-エチルブチリック アシドと2-メチルプロピオン酸との含有量比が以下の関係式1を満たすことを特徴とする、糸引き納豆。
(関係式1)
0.0057≦a/b≦20
ただし a: 納豆湿重量1000gあたりの2-エチルブチリック アシドの含有量(mg)
b: 納豆湿重量1000gあたりの2-メチルプロピオン酸の含有量(mg)

(3):前記(1)または(2)に記載の糸引き納豆であって、さらにベンゼンカルボアルデヒドを含有し、2-エチルブチリック アシドとベンゼンカルボアルデヒドとの含有量比が以下の関係式2を満たすことを特徴とする、糸引き納豆。
(関係式2)
0.080≦a/c≦32
ただし a: 納豆湿重量1000gあたりの2-エチルブチリック アシドの含有量(mg)
c: 納豆湿重量1000gあたりのベンゼンカルボアルデヒドの含有量(mg)

(4):糸引き納豆の製法であって、蒸煮大豆又は煮大豆に納豆菌を植菌する植菌工程と、前記植菌工程の後に納豆の品温として37℃〜53℃の範囲で10時間〜24時間維持する発酵工程を有し、前記発酵工程以降に、2-エチルブチリック アシドを納豆湿重量1000gあたり0.005mg以上1.0mg以下の範囲で産生させることを特徴とする、糸引き納豆の製法。

(5):前記(4)に記載の糸引き納豆の製法であって、前記発酵工程以降に、さらに2-メチルプロピオン酸を以下の関係式1を満たすように産生させることを特徴とする、糸引き納豆の製法。
(関係式1)
0.0057≦a/b≦20
ただし a: 納豆湿重量1000gあたりの2-エチルブチリック アシドの含有量(mg)
b: 納豆湿重量1000gあたりの2-メチルプロピオン酸の含有量(mg)

(6):前記(4)または(5)に記載の糸引き納豆の製法であって、前記発酵工程以降に、さらにベンゼンカルボアルデヒドを以下の関係式2を満たすように産生させることを特徴とする、糸引き納豆の製法。
(関係式2)
0.080≦a/c≦32
ただし a: 納豆湿重量1000gあたりの2-エチルブチリック アシドの含有量(mg)
c: 納豆湿重量1000gあたりのベンゼンカルボアルデヒドの含有量(mg)

(7):前記(4)乃至(6)のいずれか一項に記載の製法で製造し、2-エチルブチリック アシドを納豆湿重量1000gあたり0.005mg以上1.0mg以下の範囲で含有する糸引き納豆。

(8):2-エチルブチリック アシドを納豆湿重量1000gあたり0.005mg以上1.0mg以下の範囲で含有させることを特徴とする、糸引き納豆のえぐみの抑制方法。
本発明によれば、大豆由来の「えぐみ」が抑制された糸引き納豆が提供される。ここで「えぐみ」とは、あくが強くて、のどや舌がいがらっぽく感じる味であって、苦味、収斂味を中心とする好まれない味を指し、糸引き納豆においては、大豆由来のサポニンが主体となった複数の呈味物質によって「えぐみ」が生じている。本発明によれば、このような「えぐみ」が抑制された糸引き納豆が提供されることから、糸引き納豆を食することに抵抗のある消費者における糸引き納豆を食することへの抵抗感といったものがより一層低減される。
また、本発明によれば、煮豆本来のフレッシュな風味が保持された糸引き納豆が提供される。ここで、煮豆本来のフレッシュな風味とは、青臭い香りであるヘキサナールや青葉様の香気を呈する3-ヘキセン-1-オールなど、煮豆に含有する複数の香気成分によって醸しだされる好適な風味のことを意味する。本発明によれば、このような「フレッシュな風味」が向上した糸引き納豆が提供されることから、糸引き納豆の嗜好性が高まる。
さらに、本発明によれば、ポリグルタミン酸を主成分とする糸引き納豆の糸の粘りが改質されて、糸やネバの付着しづらい、特に撹拌後の糸の付着しづらい糸引き納豆が提供される。したがって、本発明によれば、糸引き納豆を購入する際に心理的抵抗感を与えていた、喫食後の使用器具の洗浄の手間が省力化される。
従って、本発明によれば、糸引き納豆の嗜好性を全体的に向上させることができる。
しかも、本発明は、従来と異なる方法で納豆製造を行う必要はなく、このためコストが増加するという問題もない。
従って、本発明は、糸引き納豆を提供する技術として、有効に用いることができる。
本発明について、以下詳細に説明する。
本発明の第1は、糸引き納豆に関し、2-エチルブチリック アシドを納豆湿重量1000gあたり0.005mg以上1.0mg以下の範囲で含有することを特徴とするものである。
本発明の第1の糸引き納豆においては、2-エチルブチリック アシドを納豆湿重量1000gあたり0.005mg以上1.0mg以下の範囲で含有するものであればよく、当該割合の2-エチルブチリック アシドを、納豆発酵(後述する二次発酵を含む)により含有させたものであってもよいし、添加により含有させたものであってもよいし、さらには、納豆発酵と添加の両方により含有させたものであってもよいが、最も好ましくは、納豆発酵により含有させたものである。
納豆発酵により、当該割合の2-エチルブチリック アシドを産生させて含有させた場合、大豆由来の「えぐみ」が抑制され、煮豆本来のフレッシュな風味が保持され、しかも糸やネバの付着しづらい、特に撹拌後の糸の付着しづらい糸引き納豆となる。 2-エチルブチリック アシドが上記の効果を奏する理由は不明であるが、2-エチルブチリック アシドが有する脂質様の香気の作用によって、納豆に含まれる大豆由来の「えぐみ」を抑制するだけでなく、フレッシュな風味を引き立たせており、さらに、糸引き納豆の糸やネバの物性にも何らかの影響を与えている可能性が考えられる。また、2-エチルブチリック アシドを納豆発酵により含有させた方がより好ましい効果が得られることから、2-エチルブチリック アシドの産生に合わせて産生される他の成分との相乗効果により、上記効果がより増強されている可能性も考えられる。
2-エチルブチリック アシドの納豆湿重量1000gあたりの含有量としては、0.005mg以上1.0mg以下の範囲、好ましくは0.005mg以上0.25mg以下の範囲、より好ましくは0.010mg以上0.25mg以下の範囲である。
ここで2-エチルブチリック アシドの納豆湿重量1000gあたりの含有量が少な過ぎると、2-エチルブチリック アシドが十分な効果を発揮せず、大豆由来の「えぐみ」がそのまま感じられ、煮豆本来のフレッシュな風味は向上されず撹拌後喫食の際に箸や容器などに糸やネバが付着しやすいため、好ましくない。
一方、2-エチルブチリック アシドの納豆湿重量1000gあたりの含有量が多過ぎても、大豆由来の「えぐみ」がかえって強く感じられるばかりか、酸化した脂質様の香気が生じて煮豆本来のフレッシュな風味が失われ、糸引き納豆の糸の物性にも悪影響を与え、撹拌後喫食の際に箸や容器などに糸やネバが付着しやすくなるため、好ましくない。
次に、本発明の第2は、本発明の第1の糸引き納豆において、さらに2-メチルプロピオン酸を含有し、2-エチルブチリック アシドと2-メチルプロピオン酸との含有量比が以下の関係式1を満たすことを特徴とするものである。
(関係式1)
0.0057≦a/b≦20
ただし a: 納豆湿重量1000gあたりの2-エチルブチリック アシドの含有量(mg)
b: 納豆湿重量1000gあたりの2-メチルプロピオン酸の含有量(mg)
即ち、本発明の第2の糸引き納豆は、2-エチルブチリック アシドを納豆湿重量1000gあたり0.005mg以上1.0mg以下の範囲で含有すると共に、さらに2-メチルプロピオン酸を含有し、2-エチルブチリック アシドと2-メチルプロピオン酸との含有量比が上記関係式1を満たすものである。
2-エチルブチリック アシドと2-メチルプロピオン酸との含有量比としては、上記のように、納豆湿重量1000gあたりの2-エチルブチリック アシドの含有量(mg)をaとし、納豆湿重量1000gあたりの2-メチルプロピオン酸の含有量(mg)をbとした場合に、0.0057≦a/b≦20の関係式を満たすことが要求され、好ましくは0.02≦a/b≦2の関係式を満たすことが要求される。
ここで2-エチルブチリック アシドと2-メチルプロピオン酸との含有量比(a/b)が、0.0057未満であると、2-エチルブチリック アシドによる煮豆本来のフレッシュな風味の向上効果を、相対的に過剰な2-メチルプロピオン酸が阻害してしまうため、好ましくない。
また、2-エチルブチリック アシドと2-メチルプロピオン酸との含有量比(a/b)が、20を超えても、2-メチルプロピオン酸の含有量が相対的に過小となり、2-エチルブチリック アシドとの相乗的な効果を有さないため、煮豆本来のフレッシュな風味の向上効果が十分には発揮されないため好ましくない。
また、本発明の第3は、本発明の第1または第2の糸引き納豆においてさらにベンゼンカルボアルデヒドを含有し、2-エチルブチリック アシドとベンゼンカルボアルデヒドとの含有量比が以下の関係式2を満たすことを特徴とするものである。
(関係式2)
0.080≦a/c≦32
ただし a: 納豆湿重量1000gあたりの2-エチルブチリック アシドの含有量(mg)
c: 納豆湿重量1000gあたりのベンゼンカルボアルデヒドの含有量(mg)
即ち、本発明の第3の糸引き納豆は、2-エチルブチリック アシドを納豆湿重量1000gあたり0.005mg以上1.0mg以下の範囲で含有すると共に、必要に応じて、2-メチルプロピオン酸を含有し、2-エチルブチリック アシドと2-メチルプロピオン酸との含有量比が上記関係式1を満たすものであり、かつ、さらにベンゼンカルボアルデヒドを含有し、2-エチルブチリック アシドとベンゼンカルボアルデヒドとの含有量比が上記関係式2を満たすものである。
2-エチルブチリック アシドの納豆湿重量1000gあたりの含有量や、2-エチルブチリック アシドと2-メチルプロピオン酸との含有量比、及び、これらの好適範囲、並びに、それらの理由については、本発明の第1や本発明の第2において記載したものと同様である。
また、2-エチルブチリック アシドとベンゼンカルボアルデヒドとの含有量比としては、上記のように、納豆湿重量1000gあたりの2-エチルブチリック アシドの含有量(mg)をaとし、納豆湿重量1000gあたりのベンゼンカルボアルデヒドの含有量(mg)をcとした場合に、0.080≦a/c≦32の関係式を満たすことが要求され、好ましくは0.2≦a/c≦3.6の関係式を満たすことが要求される。
ここで2-エチルブチリック アシドとベンゼンカルボアルデヒドとの含有量比(a/c)が、0.080未満であると、相対的に過剰なベンゼンカルボアルデヒドが2-エチルブチリック アシドによる糸引き納豆の糸やネバの改質に関する効果を阻害し、攪拌後喫食の際に箸や容器などに糸やネバが付着しやすくなるため、好ましくない。
また、2-エチルブチリック アシドとベンゼンカルボアルデヒドとの含有量比(a/c)が、32を超えても、ベンゼンカルボアルデヒドが過小となり2-エチルブチリック アシドとの相乗的な効果を有さないため、糸引き納豆の糸やネバの改質に関する効果が十分に発揮されないため、好ましくない。
上記したような本発明の第1乃至第3の糸引き納豆は、上記各成分を、納豆発酵により含有させて得ることができるばかりでなく、上記各成分を所定割合で添加することにより含有させて得ることもできるし、さらには、納豆発酵と添加の両方により含有させて得ることもできる。
このうち、上記各成分を納豆発酵により含有させて、本発明の第1乃至第3の糸引き納豆を得る方法を提供するのが、本発明の第4乃至第6に示す製法である。
即ち、本発明の第4は、糸引き納豆の製法に関し、蒸煮大豆又は煮大豆に納豆菌を植菌する植菌工程と、前記植菌工程の後に納豆の品温として37℃〜53℃の範囲で10時間〜24時間維持する発酵工程を有し、前記発酵工程以降に、2-エチルブチリック アシドを納豆湿重量1000gあたり0.005mg以上1.0mg以下の範囲で産生させることを特徴とするものである。
次に、本発明の第5は、本発明の第4に記載の糸引き納豆の製法であって、前記発酵工程以降に、さらに2-メチルプロピオン酸を以下の関係式1を満たすように産生させることを特徴とするものである。
(関係式1)
0.0057≦a/b≦20
ただし a: 納豆湿重量1000gあたりの2-エチルブチリック アシドの含有量(mg)
b: 納豆湿重量1000gあたりの2-メチルプロピオン酸の含有量(mg)
さらに、本発明の第6は、本発明の第4または第5に記載の糸引き納豆の製法であって、前記発酵工程以降に、さらにベンゼンカルボアルデヒドを以下の関係式2を満たすように産生させることを特徴とするものである。
(関係式2)
0.080≦a/c≦32
ただし a: 納豆湿重量1000gあたりの2-エチルブチリック アシドの含有量(mg)
c: 納豆湿重量1000gあたりのベンゼンカルボアルデヒドの含有量(mg)
本発明の第4〜第6において、糸引き納豆の基本的な製法は共通している。
従って、以下、共通の製法に関して、まとめて説明する。
本発明の第4〜6による糸引き納豆の製造は、特別な工程を必要とせず、発明特定要件を除き、常法に従い実施することができる。
以下に、糸引き納豆の製造法を例示するが、本発明の第4〜6においては、糸引き納豆の製造方法に用いられる方法に通常用いられる製法であれば、どのような方法でも用いることができる。
<糸引き納豆の製造法>
(1)原料大豆の浸漬及び液中加熱による、蒸煮大豆又は煮大豆の調製
まずは、蒸煮大豆又は煮大豆を得るため、原料大豆の浸漬及び液中加熱を行う。
本発明の糸引き納豆の製造方法では、通常の糸引き納豆の製造に用いることができるものであれば、如何なる原料大豆をも用いることができる。
原料大豆としては、例えば、丸大豆、半割大豆、割砕大豆(挽き割り納豆の原料)、脱脂大豆などを使用できる。これら原料大豆の中でも、特に高品質の糸引き納豆製造時に使用される中粒や大粒のものが好適である。
これらの原料大豆は、生のまま用いることもできるが、乾燥処理を行ったもの(乾燥品)を用いることが一般的である。
本発明の第4〜6に示す糸引き納豆の製法においては、これらの原料大豆を常法により、浸漬及び液中加熱し、蒸煮大豆又は煮大豆にして用いる。
即ち、本発明では、原料大豆を常法により蒸煮大豆又は煮大豆とするため、液中加熱を行う。成分の流亡を防ぐ意味では、蒸煮大豆が好適である。
なお、蒸煮や煮る操作を行う前には、原料大豆を水に浸漬し、膨潤させて用いることが望ましい。
ここで、蒸煮大豆の具体的な調製手順としては、例えば、原料大豆を常温の水中に6〜24時間程度浸漬した後、水切りして、100〜135℃の蒸気で5〜30分間の蒸煮処理する方法を採用することができる。このとき、例えば、0.10〜0.22MPaの高圧条件にて、加圧下に蒸煮する方法を採用することもできる。
また、煮大豆の具体的な調製手順としては、例えば、原料大豆を常温の水中に6〜24時間程度浸漬した後、90〜100℃の湯で、20〜50分間煮込む方法を採用することができる。
(2)植菌
このようにして得られた蒸煮大豆又は煮大豆に、納豆菌を植菌する。
即ち、本発明の第4〜6においては、糸引き納豆を製造するにあたり、上記のようにして得られた蒸煮大豆又は煮大豆に、納豆菌を植菌する植菌工程を行う。
本発明の第4〜6による糸引き納豆の製法において、納豆菌スターターとして添加する納豆菌の状態としては、特に制限はないが、雑菌汚染を防ぐため蒸煮直後の高温の大豆に直接植菌可能な、胞子状態のものを用いることが好適である。
納豆菌スターターに使用する納豆菌は、如何なる納豆菌も採用することができる。例えば、一般的な市販菌である宮城野菌(商品名:宮城野納豆菌)(有限会社宮城野製造所製)、高橋菌(商品名:納豆素)(有限会社高橋祐三研究所製)、成瀬菌(商品名:粉末納豆菌)(成瀬発酵化学研究所製)等を用いることができるが、特定の性質を有する突然変異株、遺伝子組み換え株などの各種菌株を利用することもできる。
なお、本発明の第4〜6による糸引き納豆の製造に際しては、後述する実施例で例示したBacillus subtilis(バシルス・サチリス) MZ-21113株、Bacillus subtilis (バシルス・サチリス) MZ-21544株のように、2-エチルブチリック アシドを納豆発酵中に産生する菌株が好適である。
Bacillus subtilis(バシルス・サチリス)MZ-21113株、同MZ-21544株は、いずれも市販の納豆菌株から、自社で育種選抜して得られた納豆菌株であり、2-エチルブチリック アシドを納豆発酵中に産生する。両菌株は、2017年2月16日付で独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター(NPMD)(〒292-0818 日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8)に、それぞれ受託番号 NITE BP-02420(識別の表示:MZ-21113)、NITE BP-02421(識別の表示:MZ-21544)として、国際寄託されている。
このBacillus subtilis(バシルス・サチリス)MZ-21113株、同MZ-21544株の菌学的性質に関しては、上記のように、市販の納豆菌株を変異処理して得られた変異株であって、2-エチルブチリック アシドを納豆発酵中に産生し、当該納豆菌を用いて製造した納豆は、2-エチルブチリック アシドを含有している。細胞形態は、桿状であり、コロニーは、白色、円形、扁平、全縁、スムース、不透明、粘調性である。
上記したように、本発明の第4〜6による糸引き納豆の製法における植菌工程において、スターターとして用いる納豆菌としては、特に2-エチルブチリック アシドを産生するものが用いられ、2-エチルブチリック アシドを納豆湿重量1000gあたり0.005mg以上産生する納豆菌が好ましく用いられる。
そのような2-エチルブチリック アシドを産生する納豆菌は、特に制限はないが、納豆工業で使用されている納豆菌や、自然界から分離取得された納豆菌、親株としての納豆菌を、2-エチルブチリック アシドを産生するように育種改良することにより得たものを用いることができる。
育種改良の対象である元の納豆菌(親株)としては、特に制限はないが、通常、納豆工業で使用されている納豆菌や、自然界から分離取得された納豆菌、並びに、さらに改良を重ねて得られた納豆菌などを用いるのが望ましい。
なお、納豆菌は、枯草菌バチルス・サチリス(Bacillus subtilis)に分類されているが、一般にはこの枯草菌バチルス・サチリス(Bacillus subtilis)の変種として、Bacillus subtilis var. natto 、或いは、Bacillus subtilis (natto)として枯草菌と区別して分類されたり、または、枯草菌の近縁種バチルス・ナットウ(Bacillus natto)として、分類されている細菌である。
蒸煮大豆又は煮大豆への上記納豆菌スターターの植菌は、発酵を均一に行うため、大豆等と納豆菌が均一になるように、接種又は散布などにより添加した後、混合等を行うことが望ましい。好ましくは、上記納豆菌の胞子懸濁液を調製し、液体状態にて添加して用いることが好適である。
ここで胞子懸濁液としては、胞子形成に適当な成分を有する液体培地にて上記納豆菌を培養した培養液を用いることができる。
上記液体培地の成分としては、納豆菌の胞子形成と成育を可能にし、納豆菌の培養に通常使用される、炭素源、窒素源、無機塩類等の培地成分を含む液体培地であれば、特に限定はされず、合成培地であっても天然培地であってもよい。
培地成分のうち、炭素源としては、グルコース、シュクロース、ガラクトース、マンノース、デンプン、デンプン分解物などの糖類、クエン酸などの有機酸類、窒素源としては、ペプトン、肉エキス、カゼイン加水分解物、アンモニア、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム等が挙げられ、無機塩類としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、硝酸ナトリウム、リン酸カリウム、塩化第2鉄・6水和物、硫酸マグネシウム・7水和物、塩化マンガン・4水和物、硫酸第一鉄等が挙げられる。
また、当該培地には、酵母エキス、麦芽エキス、大豆粉、ビタミン類(ビオチン等)などを含有させてもよい。遺伝子欠損等で特定の栄養成分を要求する納豆菌変異株を用いた場合は、適時培地組成を変更してもよい。
植菌する納豆菌の数は、常法に準じた菌濃度で特に限定はないが、通常、蒸煮大豆又は煮大豆1gあたり103〜106個である。植菌する際の大豆の品温は、特に限定はないが、植菌時の雑菌汚染を防ぐため、55〜95℃程度の高温状態で植菌することが好ましい。
上記納豆菌を植菌した大豆は、1〜数食分用の個別容器に充填した後、個別容器内にて後述する発酵を行うことが好適である。また、伝統的な方法として、煮沸した藁苞に充填して行うことも可能である。
また、数リットル体積容の容器等にて発酵を行うことも可能であるが、表面積に対する体積の値が大きくなると、中央部の豆に温度変化が伝わりにくくなることを考慮すると、大きめの容器を用いることは望ましくない。
ここで個別容器としては、大豆の充填が可能であれば、いかなる容器を用いることもできる。具体的には、納豆で一般に用いられるようなスチレン改質ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、スチレン−エチレン共重合体等のポリスチレン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂等の各種の合成樹脂製の発泡シートで成形した容器や、カップ状の紙製の容器を用いることができる。
また、容器の形状として、当該容器を用いて直接、喫食のための掻き混ぜ(攪拌)ができるような形状のものが好適である。
また、発酵後は、蓋やシーリングによる封を行うことができる態様のものが好適である。
(3)納豆発酵
本発明の第4〜6においては、このようにして蒸煮大豆又は煮大豆に納豆菌を植菌する植菌工程を行った後に、発酵を行う。
本発明の第4〜6による糸引き納豆の製法において、納豆の発酵は、大豆の品温を実質的に37〜53℃(好ましくは40〜50℃)である通常の納豆発酵温度帯に維持することで行うことが可能である。
また、本発明の第4〜6に示される糸引き納豆の製法においては、室温を30〜50℃(好ましくは35〜45℃)の温度帯に維持することによって、発酵中の大豆の品温を上記温度帯に維持することが可能となる。発酵熱によって豆の品温が上昇し、上記納豆発酵温度帯に維持されるためである。
大豆の品温を、当該納豆発酵温度帯に維持する所定時間(発酵時間)としては、特に制限はないが、10〜24時間、好ましくは14〜20時間を挙げることができる。
本発明の第4〜6による糸引き納豆の製法においては、後述する熟成工程や納豆製品の保管流通において二次発酵が十分抑制された状況下では、産生される2-エチルブチリック アシド等の大半は前記発酵工程で産生される。そのため、発酵工程中に適宜、後述の測定方法によって、納豆中に含有する2-エチルブチリック アシド等の含有量をモニタリングして、2-エチルブチリック アシド等が所定の含有量に到達した時点で発酵工程を停止させることもできる。
この発酵工程における温度条件を正確に調節するため、昇温及び冷却機能を有する発酵室等を用いることが好適である。
なお、「大豆の品温を実質的に37〜53℃(好ましくは40〜50℃)である通常の納豆発酵温度帯に維持する」とは、完全に当該温度帯を外れないことを意味するものではなく、例えば、若干の温度範囲(例えば、2℃以内、好ましくは1℃以内)であって、かつ、若干の時間(例えば、10分以内、好ましくは5分以内)であれば、当該温度帯を外れた品温となった場合も、当該発酵条件を満たすことを意味する。
(4)熟成
発酵工程終了後、二次発酵による糸引き劣化、アンモニアの産生等の品質劣化を抑制するために、通常、3℃以上10℃未満、好ましくは3℃以上8℃未満、より好ましくは3℃以上6℃未満の低温になるようにして6時間〜3日間、好ましくは8時間〜2日間、より好ましくは24時間程度、熟成を行い納豆の製造が完了する。
なお、熟成工程、その後の納豆製品の保管流通時に納豆の保存温度が高い場合は、二次発酵に伴う納豆菌の代謝により、2-エチルブチリック アシド等の含有量が増加することがある。ただし、二次発酵が発生すると納豆の品質劣化が避けられないため、二次発酵により2-エチルブチリック アシド等の含有量を調整することは好ましくない。
本発明の第4においては、この発酵工程以降に、2-エチルブチリック アシドを納豆湿重量1000gあたり0.005mg以上1.0mg以下の範囲で、好ましくは0.005mg以上0.25mg以下の範囲で、より好ましくは0.010mg以上0.25mg以下の範囲で、産生させる。
本発明の第4においては、この発酵工程以降に、2-エチルブチリック アシドを上記特定量産生させて、糸引き納豆中に含有させるが、2-エチルブチリック アシドの含有量が少ないような場合には、必要に応じて、2-エチルブチリック アシドを添加してもよい。逆に、2-エチルブチリック アシドの含有量が多過ぎるようになりそうな場合には、前記したように、2-エチルブチリック アシドが所定の含有量に到達した時点で発酵工程を停止させればよい。
本発明の第4に係る糸引き納豆の製法においては、納豆発酵により、2-エチルブチリック アシドを納豆湿重量1000gあたり0.005mg以上1.0mg以下の範囲で含有させるが、このように納豆発酵により、当該割合の2-エチルブチリック アシドを産生させて含有させた場合、大豆由来の「えぐみ」が抑制され、煮豆本来のフレッシュな風味が保持され、しかも糸やネバの付着しづらい、特に撹拌後の糸の付着しづらい糸引き納豆となる。
次に、本発明の第5は、本発明の第4による糸引き納豆の製法であって、前記発酵工程以降に、さらに2-メチルプロピオン酸を以下の関係式1を満たすように産生させることを特徴とするものである。
(関係式1)
0.0057≦a/b≦20
ただし a: 納豆湿重量1000gあたりの2-エチルブチリック アシドの含有量(mg)
b: 納豆湿重量1000gあたりの2-メチルプロピオン酸の含有量(mg)
即ち、本発明の第5は、上記した如き本発明の第4による糸引き納豆の製法であって、前記発酵工程以降に、さらに2-メチルプロピオン酸を、上記関係式1を満たすように産生させることを特徴とするものである。
換言すると、本発明の第5に係る糸引き納豆の製法は、納豆発酵により、2-エチルブチリック アシドを納豆湿重量1000gあたり0.005mg以上1.0mg以下の範囲で含有させると共に、さらに2-メチルプロピオン酸を含有させ、2-エチルブチリック アシドと2-メチルプロピオン酸との含有量比が上記関係式1を満たすものである。
本発明の第5の製法では、本発明の第4の製法で製造される2-エチルブチリック アシドに加えて、さらに2-メチルプロピオン酸を、上記関係式1を満たすように産生させている。
本発明の第5において、2-エチルブチリック アシドの納豆湿重量1000gあたりの含有量や、2-エチルブチリック アシドと2-メチルプロピオン酸との含有量比、及び、これらの好適範囲、並びに、それらの理由については、本発明の第1や本発明の第2において記載したものと同様である。
さらに、本発明の第6は、本発明の第4または本発明の第5による糸引き納豆の製法であって、前記発酵工程以降に、さらにベンゼンカルボアルデヒドを以下の関係式2を満たすように産生させることを特徴とするものである。
(関係式2)
0.080≦a/c≦32
ただし a: 納豆湿重量1000gあたりの2-エチルブチリック アシドの含有量(mg)
c: 納豆湿重量1000gあたりのベンゼンカルボアルデヒドの含有量(mg)
即ち、本発明の第6は、上記した如き本発明の第4または本発明の第5による糸引き納豆の製法であって、前記発酵工程以降に、さらにベンゼンカルボアルデヒドを、上記関係式2を満たすように産生させることを特徴とするものである。
換言すると、本発明の第6に係る糸引き納豆の製法は、納豆発酵により、2-エチルブチリック アシドを納豆湿重量1000gあたり0.005mg以上1.0mg以下の範囲で含有させると共に、ベンゼンカルボアルデヒドを含有させ、2-エチルブチリック アシドとベンゼンカルボアルデヒドとの含有量比が上記関係式2を満たすものであって、さらに必要に応じて、2-メチルプロピオン酸を含有させ、2-エチルブチリック アシドと2-メチルプロピオン酸との含有量比が上記関係式1を満たすものである。
本発明の第6において、2-エチルブチリック アシドの納豆湿重量1000gあたりの含有量や、2-エチルブチリック アシドとベンゼンカルボアルデヒドとの含有量比など、さらには2-エチルブチリック アシドと2-メチルプロピオン酸との含有量比、及び、これらの好適範囲、並びに、それらの理由については、本発明の第1や本発明の第2や本発明の第3において記載したものと同様である。
[2-エチルブチリック アシド、2-メチルプロピオン酸、ベンゼンカルボアルデヒドの測定方法]
本発明の第4〜6による糸引き納豆の製法で得られる糸引き納豆中に含まれる2-エチルブチリック アシド、2-メチルプロピオン酸、ベンゼンカルボアルデヒドの測定は、いずれもガスクロマトグラフィー質量分析法など、揮発性成分の微量分析に使用しうる測定法であれば、どのような方法でも用いることができる。
以下に、ガスクロマトグラフィー質量分析法を用いた測定法を例示する。
測定に用いるガスクロマトグラフィー分析装置としては、キャピラリーカラムが接続でき、一般的なガスクロマトグラフィー分析装置としての性能を有するものならば如何なるものでも用いることができるが、例えばHP6890 Series GC System(Agilent社製)等を用いることができる。
また、キャピラリーカラムは、一般的な分析に使用するものであれば特に制限はないが、内膜にジメチルポリシロキサン、ジフェニル、シアノプロピルフェニル、ポリエチレングリコール、テレフタル酸修飾ポリエチレングリコールなどを含むものがよく、例えばTC-WAX(内径0.25mm、長さ30m、膜厚0.25μm)(GL-Sciences社製)等を用いることができる。
移動相として、例えば、高純度のヘリウムガスを用いることができる。
測定用の試料としては、納豆中の揮発性成分を有機溶媒で抽出した抽出液を用いることができる。使用する有機溶媒の種類は特に限定されないが、ジクロロメタンを用いると高収率で揮発性成分を回収できる。
試料注入時の温度は、例えば、試料注入口の温度は250℃に設定し、カラムの昇温プログラムは35℃にて5分保持し、その後、5℃/分にて145℃まで昇温した後、20℃/分にて230℃にて15分保持する条件を例示できる。
ガスクロマトグラフィーで分離した各成分は、ガスクロマトグラフィー分析装置に接続した質量分析装置(MS)にて質量電荷比(m/z)を測定し、標準物質とのピーク面積比で定量を行うことが可能である。
なお、2-エチルブチリック アシド、2-メチルプロピオン酸、ベンゼンカルボアルデヒドの定量に用いるイオンの質量電荷比(m/z)は、例えば、2-エチルブチリック アシドの場合は88、2-メチルプロピオン酸の場合は73、ベンゼンカルボアルデヒドの場合は106を、それぞれ例示することができる。物質定量用のイオンに加え、各成分の定性確認用のイオンの質量電荷比も設定するのが好ましい。
定量法は、内部標準法、外部標準法のいずれも採用可能であるが、溶媒抽出時の揮発性成分の回収率を考慮できる内部標準法の採用が好ましい。内部標準物質としては、1−ペンタノールを例示できる。1−ペンタノールの定量用のイオンの質量電荷比は(m/z)は70が例示できる。
質量分析装置(MS)は、一般的なマススペクトル解析性能を有するものならば如何なるものでも用いることができるが、より低濃度の物質が定量可能な四重極型の質量分析計が好ましい。
四重極型の質量分析装置として、例えば5973 Mass Selective Detector(Agilent社製)等を用いることができる。
また、試料のイオン化法は、電子イオン化法(EI)、エレクトロスプレーイオン化法(ESI)、マトリックス支援レーザー脱離イオン化法(MALDI)、化学イオン化法(CI)、電解脱離法(FD)などの一般的な方法が採用できるが、測定データのライブラリが豊富な電子イオン化法(EI)が好ましい。例えば電子イオン化法:EI+、フラグメンテーター電圧:70Vの条件で分析を行うことができる。
質量分析計の測定モードは、全イオン検出(スキャン)モードまたは選択イオン検出(SIM)モードのいずれも用いることが可能であるが、より低濃度の物質が定量可能な選択イオン検出(SIM)モードで測定するのが好ましい。
また、本発明の第7は、上記した本発明の第4乃至第6のいずれか一に記載の製法で製造し、2-エチルブチリック アシドを納豆湿重量1000gあたり0.005mg以上1.0mg以下の範囲で含有する糸引き納豆である。
本発明の第4、5、6による糸引き納豆の製法については、上記したとおりである。
本発明の第7に係る糸引き納豆は、2-エチルブチリック アシドの含有量以外は、その製法によって特定されている。これは、以下に示すように、出願時において、この糸引き納豆を、その構造又は特性により直接特定することが不可能であるか、またはおよそ実際的でないという事情(不可能・非実際的事情)が存在するためである。
本発明の第7に係る糸引き納豆は、本発明の第4乃至第6のいずれか一に記載の製法で製造されたものである。
本発明の第4乃至第6においては、2-エチルブチリック アシドの納豆湿重量1000gあたりの含有量、2-エチルブチリック アシドとベンゼンカルボアルデヒドとの含有量比、2-エチルブチリック アシドと2-メチルプロピオン酸との含有量比、が特定されている。
しかしながら、納豆発酵中においては、これら2-エチルブチリック アシド、ベンゼンカルボアルデヒド、2-メチルプロピオン酸以外にも生成される成分があり、これら成分を全て特定することは著しく困難というか、実際上不可能である。また、2-エチルブチリック アシド、ベンゼンカルボアルデヒド、2-メチルプロピオン酸以外に生成される成分の全てを特定することは、著しく過大な経済的支出を伴い、およそ実際的ではない。
さらに、例えば、特定割合の2-エチルブチリック アシドを添加して含有させた糸引き納豆の場合(添加系の場合)と比べて、納豆発酵により、特定割合の2-エチルブチリック アシドを産生させて含有させた糸引き納豆の場合(発酵系の場合)、大豆由来の「えぐみ」が抑制され、煮豆本来のフレッシュな風味が保持され、しかも糸やネバの付着しづらい、特に撹拌後の糸の付着しづらい糸引き納豆となることが、実施例で示されているなど、発酵系と添加系の評点に差があることからも、2-エチルブチリック アシド、ベンゼンカルボアルデヒド、2-メチルプロピオン酸以外に生成される成分が存在することが示唆される。
また、本発明の第8は、糸引き納豆のえぐみの抑制方法に関し、2-エチルブチリック アシドを納豆湿重量1000gあたり0.005mg以上1.0mg以下の範囲で含有させることを特徴とするものである。
本発明の第8によれば、糸引き納豆中に、2-エチルブチリック アシドを納豆湿重量1000gあたり0.005mg以上1.0mg以下の範囲で、好ましくは0.005mg以上0.25mg以下の範囲で、より好ましくは0.010mg以上0.25mg以下の範囲で、含有させることにより、糸引き納豆のえぐみを抑制し、えぐみの程度を改善することができる。

ここで2-エチルブチリック アシドの納豆湿重量1000gあたりの含有量が少な過ぎても、或いは、逆に多過ぎても、糸引き納豆中における、大豆由来の「えぐみ」を抑制することはできない。
この糸引き納豆のえぐみの抑制は、上記割合の2-エチルブチリック アシドを、糸引き納豆中に、納豆発酵によって含有させることにより行ってもよいし、添加によって含有させることにより行ってもよいし、さらには、納豆発酵と添加の両方によって含有させることにより行ってもよいが、納豆発酵によって含有させることにより行った場合に、糸引き納豆中における、大豆由来の「えぐみ」を抑制することができる。
また、糸引き納豆中に、2-エチルブチリック アシドを納豆湿重量1000gあたり0.005mg以上1.0mg以下の範囲で含有させると共に、さらに2-メチルプロピオン酸を含有させ、2-エチルブチリック アシドと2-メチルプロピオン酸との含有量比が前記関係式1を満たすようにすることにより;或いは、糸引き納豆中に、2-エチルブチリック アシドを納豆湿重量1000gあたり0.005mg以上1.0mg以下の範囲で含有させると共に、必要に応じて、2-メチルプロピオン酸を含有させ、2-エチルブチリック アシドと2-メチルプロピオン酸との含有量比が前記関係式1を満たすようにし、かつ、さらにベンゼンカルボアルデヒドを含有させ、2-エチルブチリック アシドとベンゼンカルボアルデヒドとの含有量比が前記関係式2を満たすようにすることにより;糸引き納豆のえぐみの改善ばかりでなく、糸引き納豆における煮豆本来のフレッシュな風味の保持ができ、さらには糸引き納豆における糸やネバの付着性を抑え、特に撹拌後の糸の付着性を抑制することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明の範囲はこれらにより限定されるものではない。
実施例1、実施例2、比較例3、並びに、実施例2c、実施例2d(納豆発酵による糸引き納豆の調製)
a)納豆発酵
実施例1、実施例2、比較例3は、上述に記載の定法に従い納豆発酵を行うことで調製した。
納豆菌スターターに用いる納豆菌株は、実施例1はBacillus subtilis(バシルス・サチリス)MZ-21113株、実施例2はBacillus subtilis(バシルス・サチリス) MZ-21544株、比較例3はBacillus subtilis(バシルス・サチリス)No.7株をそれぞれ用いて、定法に従って納豆菌胞子液を調製して納豆菌スターターとした。培地としては、以下表1記載の胞子形成培地を用いた。なお、Bacillus subtilis(バシルス・サチリス)MZ-21113株、同MZ-21544株は、2017年2月16日付で独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター(NPMD)(〒292-0818 日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8)に、それぞれ国際寄託されており、その受託番号は、それぞれ NITE BP-02420(識別の表示:MZ-21113)、NITE BP-02421(識別の表示:MZ-21544)である。また、Bacillus subtilis(バシルス・サチリス)No.7株は、2014年2月25日付で独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター(NPMD)(〒292-0818 日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8)に、受託番号(NITE BP-01805)として、国際寄託されている。
Figure 2018139518

*ミーストP2G(アサヒフード アンド ヘルスケア(株))
原料大豆は、乾燥大豆を用い、常温の水に16時間浸漬し、水切りした後、0.16MPaで30分間加圧蒸煮した。蒸煮した大豆1gあたり約5000個の納豆菌を含むように納豆菌スターターを添加し、軽く均一化した。
その後、45gずつをポリスチレン製納豆容器に入れて蓋をして発酵を行った。発酵時の気相温度は、実施例1は40℃、実施例2と比較例3は43℃に設定した。なお、定常状態に達した時の各試料の納豆品温は、発酵熱により44〜50℃となっていた。各試料とも約17時間発酵を継続した時点で、糸引き納豆として十分な糸引きと香りが生じていたため、発酵を終了し、4℃の冷蔵庫で2日以上冷却することで熟成を行った。
熟成後の各試料について、以下に記載した方法で、2-エチルブチリック アシド、2-メチルプロピオン酸、ベンゼンカルボアルデヒドの含有量を測定した。
また、熟成後に、実施例2と比較例3とで得られた糸引き納豆を、それぞれ以下の質量比で混合し、実施例2cと実施例2dを調製した。
実施例2cの糸引き納豆;実施例2:比較例3=2:1
実施例2dの糸引き納豆;実施例2:比較例3=1:2
b)納豆中の2-エチルブチリック アシド、2-メチルプロピオン酸、ベンゼンカルボアルデヒドの測定
納豆中の2-エチルブチリック アシド、2-メチルプロピオン酸、ベンゼンカルボアルデヒドの測定は、ガスクロマトグラフィー質量分析法を用いて測定した。
各成分の標準物質及び内部標準物質(1-ペンタノール)としては、以下を用いた

・2-エチルブチリック アシド(和光純薬工業 販売元コード054-03722 CAS:88-09-5)
・2-メチルプロピオン酸(関東化学 販売元コード:04442-30 CAS:79-31-2)
・ベンゼンカルボアルデヒド(和光純薬工業 販売元コード025-12206 CAS:100-52-7)
・1-ペンタノール(和光純薬工業 販売元コード013-03656 CAS:71-41-0)
まず、測定試料とする納豆を約2g採り(精密な採取量を精密ばかりで計量し、希釈率の計算時に考慮)、乳鉢で軽く潰してから、超純水を少しずつ添加して液状とした後、超純水で10mlにフィルアップして納豆懸濁液を調製した。調製した納豆懸濁液に、内部標準として1-ペンタノールを10mg/L含有させた等量の試薬特級ジクロロメタンを添加し20分間振とうして試料中の成分を抽出した。
得られた抽出液を遠心分離(3000rpm、10分)してジクロロメタン層を分離させ、硫酸ナトリウムを適量添加して脱水した上で、ジクロロメタン層をバイアルに分取して分析用試料とした。
分析用試料(ジクロロメタン抽出液)は、スプリットレス注入法によってガスクロマトグラフィー/質量分析装置に1μL注入した。
ガスクロマトグラフィー分析装置としては、HP6890 Series GC System(Agilent社製)を使用し、キャピラリーカラムは、Stabilwax(内径0.25mm、長さ30m、膜厚0.25μm)(島津ジーエルシー社製)を使用した。該ガスクロマトグラフィー分析装置の試料注入口の温度は250℃に設定し、移動相としてヘリウムガスを用いた。カラムの昇温プログラムは35℃にて5分保持し、その後、5℃/分にて145℃まで昇温した後、20℃/分にて230℃にて15分保持する条件に設定した。ガスクロマトグラフィー装置に接続した質量分析計で、各保持時間に検出された成分の質量電荷比(m/z)を求め、定量を行った。
質量分析計(MS)は、5973 Mass Selective Detector(Agilent社製)を使用し、イオン化:EI+、フラグメンテーター電圧:70Vの条件で行った。測定はSIMモードで実施し、下記の質量電荷比(m/z)のイオンを定量イオン、確認イオンとした。

・1-ペンタノール:定量イオン 70、確認イオン55,42
・ベンゼンカルボアルデヒド:定量イオン106、確認イオン105,77
・2-メチルプロピオン酸:定量イオン73、確認イオン 88,43
・2-エチルブチリック アシド:定量イオン88、確認イオン73,101
各成分の定量は、測定対象成分(2-エチルブチリック アシド、2-メチルプロピオン酸、ベンゼンカルボアルデヒド)及び内部標準(1−ペンタノール)を精密ばかりで計量後、試薬特級ジクロロメタンによって約10mg/Lに希釈した標準物質希釈液を用いて内部標準法により行った。
具体的には、上記の標準物質希釈液を検体と同様の条件で分析に供し、分析用試料の測定時に得られたクロマトグラフパターンから標準物質希釈液と保持時間が近いピークを当該成分と判定し、分析用試料と標準物質希釈液との定量イオンのピーク面積値から分析用試料(ジクロロメタン抽出液)中の2-エチルブチリック アシド、2-メチルプロピオン酸、ベンゼンカルボアルデヒドの含有量を算出した。
各成分の保持時間はそれぞれ2-エチルブチリック アシド:24.4min 、2-メチルプロピオン酸:20.0min、ベンゼンカルボアルデヒド:18.7minであった。
なお、ピークシグナルとベースノイズの比(S/N比)が10未満のピークについては、ノイズが大きく定量が困難であったため、不検出(ND)とした。
さらに、分析用試料(ジクロロメタン抽出液)中の2-エチルブチリック アシド、2-メチルプロピオン酸、ベンゼンカルボアルデヒドの含有量を測定試料(納豆)中の含有量に換算するため、希釈率(納豆2gを超純水で10mlにフィルアップした場合は5倍)と回収率を算出した。
回収率は、分析用試料に含まれる1−ペンタノールと標準物質希釈液に含まれる1−ペンタノールのピーク面積値から算出し(分析用試料に含まれる1-ペンタノールのピーク面積が標準物質希釈液の90%であった場合は回収率90%と算定)、測定結果の補正を行った。なお、1-ペンタノールの保持時間は11.6minであった。
c)実施例、比較例の評価
実施例、比較例の評価は、官能検査員として選抜した人員のべ6名で実施した。
評価項目と評価尺度は以下の通りである。
「大豆のえぐみ」、「納豆のフレッシュ感」については、喫食により評価を行った。「糸の付着しづらさ」については、割り箸で10秒間納豆を攪拌した後の割り箸への糸の付着状況で評価した。
それぞれの評価は、5段階で行い、いずれの評価も、評点「5」が最も評価が高く、評点の数値が低くなるにつれて、評価が低下していき、評点「1」が最も評価が低いことを表わしている。いずれの評価についても、評点が「3」点以上であれば、良好であると判定される。
評価結果及び前述の機器分析結果を表3に示す。
・大豆のえぐみ
5:えぐみが感じられない、4:えぐみがあまり感じられない、3:普通、2:えぐみがやや感じられる、1:えぐみが強く感じられる
・納豆のフレッシュ感
5:フレッシュ感が強い、4:フレッシュ感がやや強い、3:普通、2:フレッシュ感がやや弱い、1:フレッシュ感が弱い
・糸の付着しづらさ
5:糸が付着しづらい、4:糸がやや付着しづらい、3:普通、2:糸がやや付着しやすい、1:糸が付着しやすい
比較例2x、実施例2a、実施例2b、実施例2e、実施例3a、比較例3x、比較例3y(2-エチルブチリック アシド、2-メチルプロピオン酸、ベンゼンカルボアルデヒド添加検体の調製)
比較例2x、実施例2a、実施例2b、実施例2e、実施例3a、比較例3x、比較例3yは、実施例2又は比較例3で得られた納豆に、表2に示す添加量(含量)で、前述の2-エチルブチリック アシド、2-メチルプロピオン酸、ベンゼンカルボアルデヒドの各標準物質を添加することで調製した。
得られた各検体について、前記した方法〔実施例1、実施例2、比較例3、並びに、実施例2c、実施例2d(納豆発酵による糸引き納豆の調製)に記載した方法〕で、2-エチルブチリック アシド、2-メチルプロピオン酸、ベンゼンカルボアルデヒドの含有量を測定した。
評価結果及び前述の機器分析結果を表3に示す。
なお、表3において、2-エチルブチリック アシド、2-メチルプロピオン酸、ベンゼンカルボアルデヒドの含有量の単位は、いずれも「mg/納豆湿重量1000g」である。
また、表3において、含有の方法について、「納豆発酵のみ混合」と記載されているのは、「納豆発酵により得られた糸引き納豆を上記したように混合して用いた」ことを表わしている。
Figure 2018139518
Figure 2018139518
表3によれば、適量の2-エチルブチリック アシド、2-メチルプロピオン酸、ベンゼンカルボアルデヒドを含有する本願実施例(実施例1、実施例2、実施例2a、実施例2b、実施例2c、実施例2d、実施例2e、実施例3a)で得られた検体(糸引き納豆)は、大豆のえぐみ、納豆のフレッシュ感、糸の付着しづらさが、いずれも良好(3点以上)な結果となったことが分かる。
特に、上述の検体のうち、納豆発酵のみで適量の2-エチルブチリック アシド、2-メチルプロピオン酸、ベンゼンカルボアルデヒドを含有させた実施例1、実施例2と;標準物質の添加も併用して実施例1、実施例2と同程度の含有量となるように調製した実施例2eと;を比較すると、実施例1、実施例2の方が評価結果が良好な傾向となっており、成分添加よりも納豆発酵のみで2-エチルブチリック アシド、2-メチルプロピオン酸、ベンゼンカルボアルデヒドを含有させることが好適なことが示唆された。

Claims (8)

  1. 糸引き納豆であって、2-エチルブチリック アシドを納豆湿重量1000gあたり0.005mg以上1.0mg以下の範囲で含有することを特徴とする、糸引き納豆。
  2. 請求項1に記載の糸引き納豆であって、さらに2-メチルプロピオン酸を含有し、2-エチルブチリック アシドと2-メチルプロピオン酸との含有量比が以下の関係式1を満たすことを特徴とする、糸引き納豆。
    (関係式1)
    0.0057≦a/b≦20
    ただし a: 納豆湿重量1000gあたりの2-エチルブチリック アシドの含有量(mg)
    b: 納豆湿重量1000gあたりの2-メチルプロピオン酸の含有量(mg)
  3. 請求項1または請求項2に記載の糸引き納豆であって、さらにベンゼンカルボアルデヒドを含有し、2-エチルブチリック アシドとベンゼンカルボアルデヒドとの含有量比が以下の関係式2を満たすことを特徴とする、糸引き納豆。
    (関係式2)
    0.080≦a/c≦32
    ただし a: 納豆湿重量1000gあたりの2-エチルブチリック アシドの含有量(mg)
    c: 納豆湿重量1000gあたりのベンゼンカルボアルデヒドの含有量(mg)
  4. 糸引き納豆の製法であって、蒸煮大豆又は煮大豆に納豆菌を植菌する植菌工程と、前記植菌工程の後に納豆の品温として37℃〜53℃の範囲で10時間〜24時間維持する発酵工程を有し、前記発酵工程以降に、2-エチルブチリック アシドを納豆湿重量1000gあたり0.005mg以上1.0mg以下の範囲で産生させることを特徴とする、糸引き納豆の製法。
  5. 請求項4に記載の糸引き納豆の製法であって、前記発酵工程以降に、さらに2-メチルプロピオン酸を以下の関係式1を満たすように産生させることを特徴とする、糸引き納豆の製法。
    (関係式1)
    0.0057≦a/b≦20
    ただし a: 納豆湿重量1000gあたりの2-エチルブチリック アシドの含有量(mg)
    b: 納豆湿重量1000gあたりの2-メチルプロピオン酸の含有量(mg)
  6. 請求項4または請求項5に記載の糸引き納豆の製法であって、前記発酵工程以降に、さらにベンゼンカルボアルデヒドを以下の関係式2を満たすように産生させることを特徴とする、糸引き納豆の製法。
    (関係式2)
    0.080≦a/c≦32
    ただし a: 納豆湿重量1000gあたりの2-エチルブチリック アシドの含有量(mg)
    c: 納豆湿重量1000gあたりのベンゼンカルボアルデヒドの含有量(mg)
  7. 請求項4乃至6のいずれか一項に記載の製法で製造し、2-エチルブチリック アシドを納豆湿重量1000gあたり0.005mg以上1.0mg以下の範囲で含有する糸引き納豆。
  8. 2-エチルブチリック アシドを納豆湿重量1000gあたり0.005mg以上1.0mg以下の範囲で含有させることを特徴とする、糸引き納豆のえぐみの抑制方法。
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