JP2018138810A - 平行カルダン駆動方式の鉄道車両用歯車装置 - Google Patents

平行カルダン駆動方式の鉄道車両用歯車装置 Download PDF

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Abstract

【課題】モジュールが4〜8、圧力角が20〜30°及びねじれ角が15〜30°の歯車諸元を夫々有する、対をなすはすば小歯車1とはすば大歯車2とを備える平行カルダン駆動方式の鉄道車両用歯車装置において、二次元的な歯面修整だけで大歯車と小歯車とが噛み合うときに発生する振動と騒音とを低減できる低コストのものを提供する。【解決手段】本発明の鉄道車両用歯車装置GMは、はすば小歯車1の歯筋方向の歯面11が単一の円弧曲線で表される、はすば小歯車の歯幅方向全幅の55%以上の範囲に亘る円弧曲線形状のクラウニング修整面GW1と、歯幅方向両端側の残存部分のレリービング修整面GW2とを有する。クラウニング修整面の修整量Rは式(1)の範囲内に設定される。【選択図】図2

Description

本発明は、モジュールが4〜8、圧力角が20〜30°及びねじれ角が15〜30°の歯車諸元を夫々有する一対のはすば大歯車とはすば小歯車を備える平行カルダン駆動方式の鉄道車両用歯車装置に関する。
平行カルダン駆動方式の鉄道車両は、車台に固定の主電動機で発生するトルクを、撓み軸継手、歯車装置を介して車軸に伝達し、車軸に設けた車輪を回転させてレール上を走行する。このような鉄道車両に用いられる歯車装置(以下、単に「歯車装置」という)は、対をなすはすば大歯車(以下、単に「大歯車」という)とはすば小歯車(以下、単に「小歯車」という)とを備え、互いに噛み合いながら回転してトルクを伝達する。この場合、撓み軸継手に連結される回転軸に固定の小歯車と車軸に固定の大歯車とは歯車箱内に収納され、小歯車の軸方向両側に位置する回転軸部分が夫々第1の円錐ころ軸受を介して歯車箱に軸支されると共に、大歯車の軸方向両側に位置する車軸部分が夫々第2の円錐ころ軸受を介して歯車箱に軸支される。
この種の歯車装置では、例えば、温度変化に起因して円錐ころ軸受に給油するための潤滑油の粘度が変動して潤滑不良を引き起こすと、円錐ころ軸受が焼き付くといった不具合を招く。そこで、このような歯車装置では、第1及び第2の両円錐ころ軸受の内輪及び外輪と、ころとの夫々の軸方向間隙、所謂エンドプレー値(σs)の調整をシムによって行い、一般的な産業用歯車装置におけるエンドプレー値(20〜30μm)と比較して非常に大きなエンドプレー値(例えば、小歯車側では、σs:60〜170μm、大歯車側では、σs:80〜210μm)となるように組み立てることが一般的である。エンドプレー値を大きく設定した場合、円錐ころ軸受の回転軸周りのがたつきが大きくなり、これに伴って小歯車の回転軸の軸心での傾きも大きくなる。その結果、走行時(小歯車の回転時)、撓み軸継手が振動すると、小歯車に大きな歳差運動が生じ、対をなす大歯車と小歯車との噛み合いに悪影響を及ぼすことになる。
ここで、大歯車側では、そのエンドプレー値が小歯車のエンドプレー値と比較して一層大きく設定されるが、通常、大歯車が固定の車軸はそれ自体の軸長寸法が長く、しかも、車軸の両側に夫々外挿される車輪を介してレールで支持されている等のため、エンドプレー値を大きく設定しても、対をなす大歯車と小歯車との噛み合いに及ぼす悪影響は殆どないものと見做すことができる。このため、大歯車側に対しては、歯丈方向の歯面における歯形修整や、歯筋方向の歯面に対してクラウニング及びレリービング修整を施さず、小歯車に対してのみ、歯丈方向の歯面に対する歯形修整と、歯筋方向の歯面に対してクラウニングとレリービング修整とを施し、大歯車と小歯車との噛み合いを改善させることが従来から行われている。
即ち、小歯車に対しては、例えば、歯先の所定範囲と歯元の所定範囲とを歯幅全体の歯筋方向に亘って一律な形状で所定値(例えば、歯幅が70mmの場合、20〜30μm)の歯形修整を施し、歯筋方向の歯面に、歯幅方向中央領域を円弧曲線(例えば、半径R≒17685mm)で所定値(例えば、20μm)のクラウニングを施すと共に歯幅方向両端側を当該クラウニング時の円弧曲線とは異なる半径の円弧曲線で所定値(例えば、50μm)のレリービング(修整)を施し、歯幅両端面でのクラウニングとレリービングと加算した歯筋方向の修整量を所定値(例えば、70μm)として二次元的な歯面修整を施している。
ところで、近年では、鉄道車両の更なる速度向上の要請による電動機の高速回転化に伴い、小歯車の回転数が上昇の一途を辿っている。このため、大歯車と小歯車との間でトルク伝達を行う際に、上記のような歯形修整では、歯当たり領域の面積が小さくなって噛合い率の低下を招来し、大歯車と小歯車とが噛み合うときに発生する振動と騒音のオーバーオール値が大きくなり、しかも、オーバーオール値の主成分である、大歯車と小歯車とが噛み合うときに発生する騒音の周波数が2000〜3000Hzの範囲に高周波化しているという問題が生じている。このような周波数帯域の騒音は、等ラウドネス曲線にて人間の聴覚が最も敏感となるものであり、同一のホン単位において1000Hz以下の周波数帯域の騒音と比較して、10倍程度うるさい騒音として人間が感知するため、不快感を与える。
従来、大歯車と小歯車とが噛み合うときに発生する振動と騒音とを低減する方法として、はすば歯車の歯面に対し、歯幅方向接触線ピッチの整数倍の幅の完全接触線領域を残し、この完全接触線領域以外の歯面で噛合い時に接触が起こらない3次元的なバイアス歯面修整を施すこと(つまり、歯筋方向位置によって逐次歯丈方向歯面における歯形形状が異なる、所謂バイアスアウトという三次元的な歯面修整を施すこと)が特許文献1で知られている。また、はすば歯車の歯面の有効噛み合い範囲に対して、歯面の噛み合い接触線方向に5〜20μmのクラウニングを施工し、この噛み合い接触線方向のクラウニングと、歯先及び歯元修整と歯筋修整のためのクラウニングとを加えた後の最大バイアス修整量が10〜40μmとなるように、歯面に修整を施すこと(つまり、歯筋方向位置によって逐次歯丈方向歯面における歯形形状が異なる、所謂バイアスインという三次元的な歯面修整を施すこと)が特許文献2で知られている。
上記各特許文献記載のものはいずれも三次元的な歯面修整を施すため、従来から広く用いられている二次元的な歯面修整が可能な歯車研削盤(例えば、NILES ZE400)ではもはや加工できない。このため、高価かつ高性能な歯車研削盤が必要となり、設備投資に多大なコストがかかる。しかも、三次元的な歯面修整を施すときの加工は、二次元的な歯面修整を施す場合と比較して多大な時間を要し(少なくとも5倍以上の加工時間)、生産性が格段に低下する。その結果、はすば歯車製作に多大なコストがかかるという問題がある。
そこで、本願の出願人は、はすば小歯車の歯筋方向の歯面に、単一の正弦関数で表される、はすば小歯車の歯幅方向全幅の55%以上の範囲に亘る正弦曲線形状にてクラウニングを施す共に、歯幅方向両端側の残存部分を円弧形状にてレリービングを施して構成することを提案した(特許文献3参照)。ここで、上記歯車研削盤(NILES ZE400)を用いて、はすば小歯車の歯筋方向の歯面に単一の正弦曲線形状にてクラウニングを施す場合、座標値入力された最寄りの3点の入力座標点を通過する軌跡から描かれる近似的な円弧曲線にて逐次に研削成形されていくことになる。このため、高精度で研削成形するためには可及的に数多くの入力座標点が必要となる。
然しながら、上記歯車研削盤では、入力できる座標点数に限界(46点程度)がある。仮に正弦曲線形状にてクラウニングを施すための入力座標点を11点とし、歯幅方向両端側の残存部分を半径の異なる二つの円弧形状を夫々組み合わせてレリービングを施すため、歯幅両端側に各々2点の入力座標点を追加して入力座標点の合計を15点とした場合、初品のはすば小歯車を試し研削して、量産用の本研削の歯面形状を割り出し決定するには、上記三次元的な歯面修整を施す場合程ではないものの、未だ比較的長い時間を要するという問題がある。このため、生産性を更に向上し、更なる低コスト化を図るために改良の余地がある。
特許第2965913号公報 特許第4952362号公報 国際公開2015/15806
本発明は、以上の点に鑑み、二次元的な歯面修整だけで大歯車と小歯車とが噛み合うときに発生する振動と騒音とを低減することができる機能を損なうことなく、更に生産性が良くて低コスト化が図れる平行カルダン駆動方式の鉄道車両用歯車装置を提供することをその課題とするものである。
上記の課題を解決するために、本発明は、モジュールが4〜8、圧力角が20〜30°及びねじれ角が15〜30°の歯車諸元を夫々有する、対をなすはすば小歯車とはすば大歯車とを備える平行カルダン駆動方式の鉄道車両用歯車装置において、はすば小歯車の歯筋方向の歯面は、単一の円弧曲線で表される、はすば小歯車の歯幅方向全幅の55%以上の範囲に亘る円弧曲線形状のクラウニング修整面と、歯幅方向両端側の残存部分のレリービング修整面とを有し、前記はすば小歯車が回転しながら歳差運動することで生じ得るはすば大歯車に対する歯筋方向の最大隙間をCm、圧力角をα、ねじれ角をβ、はすば小歯車がはすば大歯車と接触するときに変形する度合に対して影響度係数をA,Bとした場合、前記歯幅両端面でのクラウニングとレリービングとを加算した歯筋方向の修整量Rは、
の式(1)の範囲内に設定されることを特徴とする。
本発明によれば、例えば、従来から広く用いられている歯車研削盤(例えば、NILES ZE400)により、はすば小歯車の歯筋方向の歯面に、単一の円弧曲線で表される、はすば小歯車の歯幅方向全幅の55%以上の範囲に亘る円弧曲線形状にクラウニングを施してクラウニング修整面を切削成形する場合、最寄の3点の入力座標点を通過する軌跡から描くことができるため、入力座標点は3点で済む。そして、歯幅方向両端側の残存部分を、例えば、半径の異なる二つの円弧形状を夫々組み合わせてレリービングを施してレリービング修整面を切削成形する場合、歯幅方向両端側に各々2点の入力座標点を追加すれば良い。このため、必要とする入力座標点は7点で済む。従って、新設計の初品のはすば小歯車を試し研削して、量産用の本研削の歯面形状を割り出し決定するために要する時間は、上記特許文献3記載のものと比較して半分以下の時間で済む。結果として、生産性を向上できて更なる低コスト化が図れる。
ここで、本発明のように、はすば小歯車の歯筋方向の歯面に、単一の円弧曲線で表される、はすば小歯車の歯幅方向の全幅の55%以上の範囲に亘る円弧曲線形状にてクラウニングを施す場合と、上記特許文献3に記載したように、はすば小歯車の歯筋方向の歯面に、単一の正弦関数で表される、はすば小歯車の歯幅方向全幅の55%以上の範囲に亘る正弦曲線形状にてクラウニングを施す場合とでは、そのクラウニング修整量が5μm以下の小さな値になると、研削後の成形された歯面形状はほんの僅かな差異しか無い。このため、はすば大歯車とはすば小歯車が噛み合う時に発生する振動と騒音を低減化できるという機能は損なわれない。
本発明において、回転軸に固定のはすば小歯車が歯車箱内に収納され、はすば小歯車の軸方向両側に位置する回転軸部分が第1及び第2の各円錐ころ軸受を介して歯車箱に軸支されている場合、前記クラウニング修整面は、はすば小歯車のねじれ角βに対し、所定の角度修整量で更に修整されたものであり、クラウニング修整面を角度修整量(Δβ)だけ傾斜させた形状にすることが好ましい。この場合、前記第1及び第2の両円錐ころ軸受の内輪及び外輪と、ころとの夫々の軸方向間隙に相当するエンドプレー値をδs、スパン長さをLとした場合、はすば小歯車のねじれ角の角度修整量Δβは、
の式(2)にて設定されることが好ましい。
以上によれば、小歯車の回転時、小歯車の歳差運動に追従するように小歯車と大歯車とが歯当たりすることで、歯当たり領域面積がより一層確保されて歯噛合い率が向上し、小歯車と大歯車とが噛み合うときに発生する側帯波を含む振動と騒音とを確実に低減することができる。
平行カルダン駆動方式の鉄道車両の構成を示す模式図。 (a)は、本発明の歯車装置を示す部分断面図、(b)は、小歯車の部分を更に拡大して示す部分断面図、(c)は、小歯車の歯筋方向歯面修整を説明する図。 従来例の歯車装置にて騒音を測定し、測定データをFFTアナライザーにて周波数分析を行った結果を示すグラフ。 従来例の歯車装置にて小歯車の歯面の大歯車の歯面に対する歯筋方向の隙間の推移をシミュレーション解析した結果を示すグラフ。 (a)及び(b)は、小歯車と大歯車との歯面間に生じる隙間を説明する斜視図。 本発明を適用して製作した小歯車(発明品)と従来例に従い製作した小歯車(従来品)との歯面修整形状を夫々示すグラフ。 (a)〜(c)は、発明品1,2と従来品との小歯車の歯当たり領域をシミュレーション解析した結果を示す図。 発明品2と従来品とを夫々搭載させて現車走行試験を実施し、歯車の噛合い周波数が2165Hzとなった時点の騒音データを、FFTアナライダーにて周波数分析した結果を示すグラフ。 発明品2と従来品とを夫々搭載させて現車走行試験を実施し、計測された騒音レベルのオーバーオール値の結果を示すグラフ。
以下、図面を参照して、平行カルダン駆動方式の鉄道車両に本発明の歯車装置を適用した場合を例にその実施形態を説明する。
図1を参照して、RCは、平行カルダン駆動方式の鉄道車両であり、鉄道車両RCは、図示省略の車台に固定の主電動機DMと、この主電動機DMに撓み軸継手FCを介して連結される歯車装置GMとを備え、主電動機DMで発生するトルクを、撓み軸継手FC、歯車装置GMを介して車軸DSに伝達し、車軸DSに設けた左右一対の車輪DW,DWを回転させて図外のレール上を走行するようになっている。なお、主電動機DMや撓み軸継手FC等の構成要素については、公知のものが利用できるため、ここでは詳細な説明は省略する。
図2を参照して、歯車装置GMは、対をなすはすば小歯車(以下、「小歯車1」という)とはすば大歯車(以下、「大歯車2」という)とを備え、小歯車1と大歯車2とが互いに噛み合いながら回転してトルクを伝達する。小歯車1と大歯車2とは、モジュールが4〜8、圧力角が20〜30°及びねじれ角が15〜30°の歯車諸元を夫々有するように製作されている。また、撓み軸継手FCに連結される回転軸3に固定の小歯車1と車軸DSに固定の大歯車2とは歯車箱4内に収納され、小歯車1の軸方向両側に位置する回転軸3部分が夫々第1の円錐ころ軸受5,5を介して歯車箱4に軸支されると共に、大歯車2の軸方向両側に位置する車軸DS部分が夫々第2の円錐ころ軸受6,6を介して歯車箱4に軸支されている。
第1の円錐ころ軸受5,5は、同一構成を有し、回転軸3にしまり嵌めされる内輪51と、ころ52と、リテーナー53と、外輪54とを備える公知のものであり、歯車箱4の軸受装着箇所には、外輪54に外嵌され、小歯車1との間で内輪51を軸方向両側から挟み込む蓋体兼用の押え板55a、55bが設けられている。他方、第2の円錐ころ軸受6,6もまた、同一構成を有し、車軸DSにしまり嵌めされる内輪61と、ころ62と、リテーナー63と、外輪64とを備える公知のものであり、歯車箱4の軸受装着箇所には、外輪64に外嵌する蓋体41a,41bが固定されている。また、大歯車2との間で内輪61を軸方向両側から挟み込む軸受押え65が車軸DSにしまり嵌めにより固定されている。そして、大歯車2が回転すると、歯車箱4下部に収納される潤滑油(図示せず)がかき上げられ、小歯車1と大歯車2との噛み合い面や円錐ころ軸受5,5,6,6の潤滑が行われる。
ところで、この種の歯車装置GMでは、例えば、温度変化に起因して潤滑油の粘度が変動して潤滑不良を引き起こすと、円錐ころ軸受5,5,6,6が焼き付くといった不具合を招く。そこで、第1及び第2の両円錐ころ軸受5,5,6,6の内輪51,61及び外輪54,64と、ころ52,62との夫々の軸方向間隙、所謂エンドプレー値(σs)の調整をシム7a,7bによって行うと共に(図2(a)参照)、各エンドプレー値(σs)が、小歯車側で60〜170μm、大歯車側で80〜210μmとなるように設定している。このように小歯車1のエンドプレー値(σs)を大きく設定して小歯車1を組み付けた場合、円錐ころ軸受5,5の回転軸3周りのがたつきが大きくなり、これに伴って小歯車1の回転軸3の軸心は、+θから−θの角度範囲で傾くことになる(図2(b)参照)。その結果、走行時(小歯車の回転時)、撓み軸継手FCが振動すると、小歯車1に大きな歳差運動が生じ、対をなす小歯車1と大歯車2との噛み合いに悪影響を及ぼす。
ここで、段落番号0005に記載した上記従来例の小歯車と大歯車を備えた歯車装置に対して、小歯車の回転数を4480rpmとして騒音測定し、その測定データをFFTアナライザーにて周波数分析を行い、その結果を図3に示す。これによれば、噛合い周波数の2165Hzで騒音レベルが大きくなるピーク騒音の山が表れ、その両側に、低周波数領域と高周波数領域との或る周波数にて騒音レベルが大きく表れるいくつかのピーク騒音(以下、単に「側帯波」という)が表れていることが確認された。これから、従来例の歯車装置は、小歯車と大歯車とが噛合って回転するとき、小歯車と大歯車との歯当たり領域面積が小さくなって噛合い率不足を招来していると考えられる。
そこで、本願の発明者らは、鋭意研究を重ね、回転軸の回転位相角をφとし、小歯車の歳差運動により生じる、当該小歯車の歯面の大歯車の歯面に対する歯筋方向の隙間がどのように推移するかをシミュレーション解析し、小歯車の回転位相角φが0°〜180°の間で当該小歯車が半回転する間に、図4に示すように、最大隙間+Cmから最小隙間−Cmへと、単一の正弦関数で表される正弦曲線に則った軌跡を描くことの知見を得た。隙間Cは、図5(a)及び図5(b)に示すように、小歯車1と大歯車2とに歯筋方向誤差或いは回転軸に平行度誤差があり、小歯車と大歯車とが噛合って回転するときに一方の歯筋方向の端面での小歯車1の歯10と大歯車2の歯20との歯面11,21間に生じる隙間であって、平行誤差による隙間Uと食違い誤差による隙間Uとを加えたものである。
ここで、同じ小歯車に対して、上記特許文献3に記載の如く、小歯車の歯筋方向の歯面に、単一の正弦関数で表される、小歯車の歯幅方向全幅の55%以上の範囲に亘る正弦曲線形状にてクラウニングを施した場合と、例えば、小歯車1の歯筋方向の歯面に、単一の円弧曲線で表される、小歯車1の歯幅方向の全幅の55%以上の範囲に亘る円弧曲線形状にてクラウニングを施した場合とを比較すると、クラウニング修整量が5μm以下の小さな値のとき、研削後の成形された歯面形状はほんの僅かな差異しか無く、いずれの場合も、台上試験装置での定置試験による検証データを精査により大歯車2と小歯車1が噛み合う時に発生する振動と騒音を低減化でき、有意差も無いことが判明した。
上記判明事項を基に、本実施形態では、図2(c)に示すように、歯筋方向の歯面11に対して、頂点11aが小歯車1の歯幅GW方向中央領域に位置し、単一の円弧曲線で表される、小歯車1の歯幅GW方向全幅の55%以上の範囲GWに亘る円弧曲線形状にてクラウニングを施してクラウニング修整面とし、歯幅GW方向両端側の残存部分GW、GWを半径の異なる二以上の円弧形状を組み合わせてレリービングを施してレリービング修整面として構成した。ここで、上記の如く、回転軸3に固定の小歯車1は歯車箱4に収納され、小歯車1の軸方向両側に位置する回転軸3部分が夫々円錐ころ軸受5,5を介して歯車箱4に軸支されている場合、(1)各円錐ころ軸受5,5の形式や形式が同一であり、(2)小歯車1の歯幅GW方向の中心から円錐ころ軸受5,5が夫々配置されている位置までの距離が同等であり、(3)円錐ころ軸受5,5を支持する歯車箱4部分の剛性(当該部分の形状や変位量が同一)が同等であれば、小歯車1の歯幅GW方向の中点GCと両円錐ころ軸受5,5の荷重作用点間距離の中点とが実質的に合致していると見做すことができる。このような場合には、歯幅GW方向の中心GCを通る中心線GL上に頂点11aが位置すればよい。
他方、上記(1)〜(3)の少なくとも一つが異なると、例えば、図2(b)に示すように、小歯車1の歯幅GW方向の中心から円錐ころ軸受5,5が夫々配置されている位置までの距離が異なると、小歯車1の歯幅GW方向の中点GCと両円錐ころ軸受5,5の荷重作用点5P,5P間距離の中点5Cとがずれ、車両走行中における伝達トルクの稼働方向と出力範囲の変化に伴い、はすば小歯車1の歳差運動を引き起こす傾斜角の傾き角度θが影響を被り、効果的に歯噛合い率を向上することができない。このような場合、中央領域は、小歯車1の歯幅GW方向の中心GCと両円錐ころ軸受5,5の荷重作用点5P,5P間距離の中点5Cとの間に位置していればよい。また、クラウニングとレリービングとを加算した歯筋方向の修整量Rは、最大隙間Cm、圧力角をα、ねじれ角をβ、はすば小歯車がはすば大歯車と接触するときに変形する度合に対して影響度係数をA,Bとした場合、次式(1)で算出される。
更に、本実施形態では、小歯車1の元のねじれ角βに対し、ねじれ角度の角度修整量Δβを加味したクラウニング形状の変更を行い、クラウニング修整面11aを角度修整量のΔβだけ傾斜させた形状としている。図2(b)に示すように、エンドプレー値をδs、スパン長さをLとした場合、小歯車1のねじれ角βの角度修整量Δβとしては、次式(2)で算出される値を使用する。
ここで、スパンLとは、図2(b)において、小歯車1の第1の円錐ころ軸受5のころ52の大端径と外輪54の内径との接点と、第1の円錐ころ軸受5のころ52の大端径と外輪54の内径との接点を対角線状で結んだ、図2(b)中、符号Lにて表示する部分の長さである。
次に、本発明の効果を確認するために、歯幅70mm、歯数29、モジュール6、圧力角26°、ねじれ角20°の歯車諸元を有する小歯車において、段落番号0005に記載したもの(従来品)と、式(1)に従い算出された修整量でクラウニングとレリービングとを施したもの(発明品1)と、式(2)で算出される値の角度修整量で発明品1におけるクラウニング修整面11aを更に角度修整したもの(発明品2)とを夫々3種類の小歯車を製作した。
図6は、従来品、発明品1及び発明品2の歯型修整形状を夫々示すグラフであり、図6中、実線で示すものが発明品1、一点鎖線で示すものが発明品2、点線で示すものが従来品である。これによれば、歯筋方向の修整形状が明らかに異なることが判る。
次に、従来品、発明品1及び発明品2に対し、互いに噛み合わせながら小歯車と大歯車とを回転させたときの大歯車に対する小歯車の歯当たり領域を、歯当たり解析ソフト(東洋電機製造株式会社製)を用いてシミュレーション解析し、その結果を図7(a)〜図7(c)に示す。これによれば、従来品では、歯当たり領域は18%であった(図7(c)参照)。それに対して、発明品1では、歯当たり領域が23%(図7(a)参照)、歯当たり領域が従来品と比較して1.30倍向上し、また、発明品2では、歯当たり領域が24%であり(図7(b)参照)、歯当たり領域が従来品と比較して1.32倍向上し、また、発明品1よりも若干向上することが確認された。これにより、噛合い率が大幅に向上することが判る。また、歯当たり領域が大幅に向上するので、同一の伝達トルクが作用しても、従来品に比べ、小歯車の歯面での面圧が低減すると共に、これに伴い歯元の応力も低減し、小歯車の強度面での安全率も向上する。
次に、発明品2と従来品とを搭載させて現車走行試験を実施し、歯車の噛合い周波数が2165Hzになった時点の騒音データを、FFTアナライザーにて周波数分析した結果を図8に示す。図8中、実線が発明品2であり、破線が従来品である。これによれば、発明品2では、側帯波の発生がほとんど無くなり、顕著に騒音が低減していることが判る。
次に、発明品2と従来品とを搭載させて現車走行試験を実施し、小歯車の回転数4300〜5100min−1において計測された騒音レベルのオーバーオール値の結果を図9に示す。図9中、実線が発明品であり、破線が従来品である。これによれば、発明品2の騒音レベルが大幅に低減されていることが一目瞭然として判る。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記に限定されるものではなく、本発明の思想を逸脱しない範囲で適宜変更することができる。
RC…平行カルダン駆動方式の鉄道車両、GM…歯車装置、1…はすば小歯車(小歯車)、2…はずば大歯車(大歯車)、11…歯面、11a…頂点、GW…歯幅、GC…歯幅方向中点、GW…クラウニング修整面、GW…レリービング修整面、3…回転軸、4…歯車箱、5,5…円錐ころ軸受、5P…円錐ころ軸受の荷重作用点、5C…荷重作用点間の中点、R…クラウニング時の修整量、L…スパン長さ。

Claims (3)

  1. モジュールが4〜8、圧力角が20〜30°及びねじれ角が15〜30°の歯車諸元を夫々有する、対をなすはすば小歯車とはすば大歯車とを備える平行カルダン駆動方式の鉄道車両用歯車装置において、
    はすば小歯車の歯筋方向の歯面は、単一の円弧曲線で表される、はすば小歯車の歯幅方向全幅の55%以上の範囲に亘る円弧曲線形状のクラウニング修整面と、歯幅方向両端側の残存部分のレリービング修整面とを有し、
    前記はすば小歯車が回転しながら歳差運動することで生じ得るはすば大歯車に対する歯筋方向の最大隙間をCm、圧力角をα、ねじれ角をβ、はすば小歯車がはすば大歯車と接触するときに変形する度合に対して影響度係数をA,Bとした場合、前記歯幅両端面でのクラウニングとレリービングとを加算した歯筋方向の修整量Rは、
    の式(1)の範囲内に設定されることを特徴とする平行カルダン駆動方式の鉄道車両用歯車装置。
  2. 請求項1記載の平行カルダン駆動方式の鉄道車両用歯車装置であって、
    回転軸に固定のはすば小歯車が歯車箱内に収納され、はすば小歯車の軸方向両側に位置する回転軸部分が第1及び第2の各円錐ころ軸受を介して歯車箱に軸支されるものにおいて、
    前記クラウニング修整面は、はすば小歯車のねじれ角βに対し、所定の角度修整量で更に修整されたものであることを特徴とする平行カルダン方式の鉄道車両用歯車装置。
  3. 前記第1及び第2の両円錐ころ軸受の内輪及び外輪ところとの夫々の軸方向間隙に相当するエンドプレー値をδs、スパン長さをLとした場合、はすば小歯車のねじれ角の角度修整量Δβは、
    の式(2)にて設定されることを特徴とする請求項2記載の平行カルダン駆動方式の鉄道車両用歯車装置。

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