(1)概要
以下に説明する構成は、本発明の一例に過ぎず、本発明は、下記の構成に限定されることはなく、下記の構成以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
本実施形態の照明器具1は、一例として、執務室などの天井に直付けされる天井直付け形の照明器具であることを想定する。ただし、照明器具1は、この限りではなく、天井埋込形の照明器具又は壁に取り付けられる照明器具であってもよい。本実施形態の照明器具1は、例えば図5に示すように、常用照明を行う常用照明装置2と、非常用照明を行う非常用照明装置3と、常用照明装置2及び非常用照明装置3を互いに隣に並べて収容する器具本体10とを備えている。
非常用照明装置3は、図7〜図12に示すように、非常用光源ユニット4と、非常用電源ユニット5と、制御装置6と、カバー7とを備えている。制御装置6は、非常用電源ユニット5から供給される電力で非常用光源ユニット4を点灯する。
カバー7は、非常用光源ユニット4から放射される光が通過する孔711を有して、制御装置6及び非常用光源ユニット4を覆う。器具本体10は、側板(第2側板13)と突起100とを有している。側板(第2側板13)は、常用照明装置2及び非常用照明装置3が並ぶ並び方向における器具本体10の一端(左端)に設けられていて、制御装置6と対向する。突起100は、側板(第2側板13)から制御装置6に近づく向きに突出する。ここで言う「並び方向」とは、図5では左右方向に相当する。
カバー7は、カバー本体70と、突起100に係止される係止部74と、係止部74が突起100に係止された状態(以下、「係止状態」という)でカバー本体70を器具本体10に固定する固定部75と、を有する。本実施形態では、固定部75は、矩形板状に形成されていて、ねじ16(図1B参照)が挿入されるねじ挿通孔750(図3参照)を有する。
係止部74は、並び方向におけるカバー本体70の一端部(左端部)に設けられている。固定部75は、並び方向におけるカバー本体70の一端部とは反対側の他端部(右端部)に設けられている。
係止部74は、係止状態において突起100が引っ掛かる第1部(引掛部分7400)と、係止状態において器具本体10の底部(天板11)と第1部との間に位置する第2部(湾曲部分7401)と、を有している。突起100と制御装置6との間には、第2部が挿入されるための隙間17が設けられている(図1A及び図2参照)。第2部は、隙間17の位置において、突起100と接触して制御装置6に近づく向きに弾性変形するように構成されている。さらに、第2部は、係止状態において、孔711が貫通する貫通方向(上下方向)に沿って見たときに第1部と側板(第2側板13)との間に位置する。
本実施形態の係止部74は、一例として板ばね(弾性部材)である。本実施形態では第2部(湾曲部分7401)は、係止部74(板ばね)の腕部740のうち、制御装置6から離れる方向に凸形状となるように形成されている部分である。なお、並び方向における隙間17の寸法D1は、図2に示すように、係止状態における第2部(例えば頂点P2)から制御装置6までの距離D2より小さいように寸法関係が規定されている。
この構成では、カバー7の取付作業時に、作業者がカバー7の係止部74を隙間17から挿入し、器具本体10の底部(天板11)に向かって押し込むことで、第2部(湾曲部分7401)が突起100と接触して制御装置6に近づく方向に弾性変形する。そして、第2部(湾曲部分7401)が突起100を乗り越えて弾性復帰し、突起100が第1部(引掛部分7400)に引っ掛かることで、係止部74が突起100に係止された係止状態となる。つまり、カバー本体70の一端部(左端部)が、隙間17から脱落することなく器具本体10に保持された状態となる。
特にこの構成では、係止部74が器具本体10ではなくカバー7に設けられていて、さらに、作業者が比較的視認し易いカバー7の一端部に配置されている。作業者は、係止部74を視認しながら器具本体10側の隙間17から挿入して、器具本体10の底部(天板11)に向かって押し込むだけ、カバー7の保持状態が達成される。したがって、カバーの取付け作業性を向上することができる。なお、図2は、図1Bの要部の拡大図である。
(2)詳細
(2.1)全体構成
以下、本実施形態の照明器具1について、図1〜図14を参照して詳しく説明する。以下では、特に断りの無い限り、照明器具1の上下、左右、前後の方向を、図5に図示されている上下、左右、前後の矢印を用いて規定して説明する。
本実施形態の照明器具1は、「(1)概要」の欄で説明したように、常用照明を行う常用照明装置2と、非常用照明を行う非常用照明装置3と、常用照明装置2及び非常用照明装置3を収容する器具本体10とを備えている。
(2.2)器具本体
器具本体10は、金属材料によって長尺の箱形に形成されている。器具本体10は、長尺の矩形平板状の天板11と、天板11の長手方向(左右方向)に沿った2つの端縁のそれぞれから下向きに突出する一対の第1側板12とを有している。器具本体10は、さらに、天板11の短手方向(前後方向)に沿った2つの端縁のそれぞれから下向きに突出する一対の第2側板13を有している。さらに、器具本体10は、天板11に対向する下面に開口部15(図5参照)を有している。天板11には、電線を通すための孔110が左右方向におけるほぼ中央に設けられている。また、天板11には、左右方向における両端寄りの位置に吊りボルトを通すための孔111がそれぞれ設けられている(図5参照)。さらに、天板11の下面には、孔110から引き込まれる電線が結線される端子台14が取り付けられている。
器具本体10は、図6Aに示すように、非常用照明装置3を左端近傍に収容するように構成され、非常用照明装置3の右側に常用照明装置2を収容するように構成されている。ただし、この限りではなく、器具本体10は、非常用照明装置3を右端近傍に収容するように構成され、非常用照明装置3の左側に常用照明装置2を収容するように構成されてもよい。あるいは、器具本体10は、2つの非常用照明装置3を左端近傍及び右端近傍の両方にそれぞれ収容するように構成されてもよい。この場合、常用照明装置2は、左右方向において、2つの非常用照明装置3の間に挟まれるように、器具本体10内に収容される。
また、器具本体10は、「(1)概要」の欄で説明したように、常用照明装置2及び非常用照明装置3が並ぶ並び方向(左右方向)における器具本体10の一端(左端)に突起100を有している(図5参照)。具体的には、器具本体10の各第2側板13は、その下端に常用照明装置2及び非常用照明装置3に向かって突出する突起100を有している。各突起100は、図5に示すように、下方から見て前後方向に延びる細長い矩形板状にある。各突起100は、例えば折り曲げ加工によって第2側板13と一体に形成されている。
本実施形態では、非常用照明装置3が器具本体10の左端近傍に収容されるため、一対の第2側板13のうち左端の第2側板13の突起100が、カバー7の係止部74が係止されるための部位に相当する。カバー7の係止部74が、この突起100の先端(右端)と制御装置6の筐体62との隙間17に挿入されて突起100に係止することで、器具本体10に対するカバー7の左端部の保持が達成される。ただし、器具本体10が非常用照明装置3を右端近傍に収容するように構成されている場合には、カバー7の係止部74が一対の第2側板13のうち右端の第2側板13の突起100に係止することで、カバー7の一端部の保持が達成されてもよい。なお、係止部74については、後の「(2.4.7)カバーの係止部」の欄で詳しく説明する。
(2.3)常用照明装置
常用照明装置2は、常用光源と、常用光源が取り付けられる取付部材21と、常用光源を覆う透光カバー20と、常用光源を点灯する電源装置とを備えている。常用光源は、長尺の基板と、基板の表面に実装される多数のLED(Light Emitting Diode)とを有している。取付部材21は、金属材料によって長尺の樋状に形成されている。取付部材21は、長尺の矩形板状に形成された底板と、底板の短手方向(前後方向)における両端から上向きに立ち上がる一対の側板210とを有している。常用光源は、取付部材21の底板の下面に取り付けられる。電源装置は、端子台14を介して常用電源(例えば、商用の交流電源)から供給される交流電力を直流電力に変換するように構成されている。電源装置は、取付部材21の底板の上面に取り付けられる。常用光源と電源装置は、底板に設けられた挿通孔に挿通される電線によって電気的に接続される。常用光源は、電線を介して電源装置から直流電力が供給されることによって点灯する。
透光カバー20は、アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂などの透光性を有する合成樹脂材料により上面が開口する長尺の箱形に形成されている。透光カバー20の下面は、短手方向(前後方向)において両端から中央に向かってなだらかに下向きに突出する曲面形状に形成されている(図5参照)。なお、透光カバー20を形成する合成樹脂材料には、拡散剤が混入されている。すなわち、常用光源から放射される光は、透光カバー20を透過する際に拡散される。
常用照明装置2は、透光カバー20を除く部分(取付部材21の側板210,210及び電源装置など)が器具本体10内に収容され、器具本体10の開口部15の大部分を透光カバー20で塞ぐようにして器具本体10に着脱可能に取り付けられる。ただし、常用照明装置2を器具本体10に着脱可能に取り付ける構造は、特許文献1に記載されている従来例と共通であるから、詳細な説明及び図示は省略する。
(2.4)非常用照明装置
(2.4.1)非常用照明装置の全体構成
次に、非常用照明装置3について、図7〜図14を参照して詳細に説明する。非常用照明装置3は、「(1)概要」の欄で説明したように、非常用光源ユニット4と、非常用電源ユニット5と、制御装置6と、カバー7と、を備えている(図7〜図10参照)。さらに、非常用照明装置3は、押さえ具8を備えている。
(2.4.2)非常用光源ユニット
非常用光源ユニット4は、図12に示すように、LEDモジュール40(光源)と、ホルダ41と、一対の端子板42と、放熱シート43(図11参照)と、レンズ44とを有している。LEDモジュール40は、矩形平板状の実装基板400の中央に少なくとも1個のLEDチップが実装されて構成されている。LEDチップは、例えば、青色光を放射する青色発光ダイオードであることが好ましい。また、LEDチップを含む実装基板400の実装面(下面)は、LEDチップから放射される青色光を波長変換する蛍光物質が混入された封止樹脂401で被われている(図12参照)。さらに、実装基板400の対角の位置にある一対の角部の下面には、それぞれ電極が形成されている。一方の電極は、LEDチップのカソードと電気的に接続され、他方の電極は、LEDチップのアノードと電気的に接続されている。さらに、これら2つの電極は、一対の端子板42のうちの対応する端子板42と電気的に接続されている。
レンズ44は、例えばガラス製であって、図12に示すように、レンズ本体440と、レンズ本体440の周縁から外向きに突出する円環状の外鍔部441とを有している。レンズ44は、図11に示すように、非球面形状の入射面442及び出射面443を有し、いわゆるバットウイング(batwing)状の配光特性を実現する広角配光レンズであることが好ましい。ただし、レンズ44は、ガラス繊維が混入されることで耐熱性(難燃性)が向上された合成樹脂材料(例えば、ポリカーボネート樹脂など)で形成されてもよい。レンズ本体440は、図1Bに示すように、カバー7の係止部74が突起100に係止した係止状態において、孔711からカバー7の外部に突出する。
放熱シート43は、高熱伝導率、電気絶縁性及び難燃性を有するシリコーン樹脂製のシート材で構成される。放熱シート43は、LEDモジュール40の実装基板400の上面に接触する。
ホルダ41は、例えばポリカーボネート樹脂などの合成樹脂材料により、上下方向から見て、おおよそ菱形に形成される(図12参照)。ホルダ41は、LEDモジュール40の発光面(下面)にレンズ44のレンズ本体440を重ねるようにして、LEDモジュール40とレンズ44を保持している。また、ホルダ41は、端子板保持部410を有している。端子板保持部410は、上向きに伸びた角筒状に形成され、一対の端子板42を内部に収容して保持している(図11〜図13参照)。
(2.4.3)非常用電源ユニット
非常用電源ユニット5は、図14に示すように、乾電池型の複数(図示例では5本)の蓄電池50と、これら複数の蓄電池50を収容する合成樹脂材料製のケース51と、第1導体54と、第2導体55とを備えている。ケース51は、ケースボディ52とケースカバー53を有する。ケースボディ52は、矩形の底壁520と、底壁520の前後両端縁から下向きに突出する一対の第1側壁521とを有している。また、ケースボディ52は、底壁520の右側の端縁から下向きに突出する第2側壁522と、底壁520の左側の端縁から下向きに突出する第3側壁523とを有している。ただし、第3側壁523は、第1側壁521,521及び第2側壁522よりも上下方向の高さを高くするように形成されている。
底壁520は、その下面から下向きに突出する5つの突台部526を有している。これら5つの突台部526は、底壁520の下面において左右方向に並んでいる。また、各突台部526の下面は、半円筒面形状に形成されている。各突台部526の下面に蓄電池50が1本ずつ載せられて支持される。ただし、5つの突台部526のうちで左端の突台部526は、他の4つの突台部526よりも下方に位置している。
第1側壁521,521の各々は、一対の突片5210を有している。各突片5210は、矩形の板状に形成され、第1側壁521の下端から下に突出している。また、各突片5210は、その先端(下端)に三角柱状の爪5211を有している。ただし、前方の第1側壁521が有する各突片5210の爪5211は前方へ突出し、後方の第1側壁521が有する各突片5210の爪5211は後方へ突出している。
第2側壁522は、その右側面における下端から右向きに突出している突部524を有する。突部524は、おおよそ直方体状に形成されている。ただし、突部524の右下の辺は、凸曲面形状に形成されることが好ましい。
第3側壁523は、矩形の板状に形成されている。第3側壁523は、その左側面における前方の下部に、端子保持部527を有している。端子保持部527は、軸方向を上下方向に一致させた角筒状に形成されている。また、端子保持部527内の空間は、隔壁5270によって2つに区切られている(図14参照)。また、端子保持部527は、その前面における上端部分に、矩形板状のガイド片5271を有している。ガイド片5271は、厚み方向を左右方向に一致させるようにして端子保持部527の前面から前方へ突出している。
ケースカバー53は、矩形の第1底壁530と、第1底壁530の左側の端縁から左斜め下向きに突出する矩形の第1側壁531と、第1底壁530及び第1側壁531の前後両端縁から上向きに突出する一対の第2側壁532とを有している。また、ケースカバー53は、第1底壁530の右側の端縁から上向きに突出する第3側壁533と、第1側壁531の左側の端縁から左向きに突出する第2底壁534とを有している。
各第2側壁532は、一対の貫通孔5320を有している。また、前方の第2側壁532は、階段状に形成されている。
第3側壁533は、突片5330を有している。突片5330は、第3側壁533の後端寄りの上端から上に突出している。また、突片5330は、その先端(上端)に三角柱状の爪5331を有している。爪5331は、突片5330の上端における右側面から右方へ突出している。
第2底壁534は、矩形の板状に形成されている。第2底壁534は、その前方左端に蓋部535を有している。蓋部535は、左右方向から見た形状がU字状となるように形成されている。
5本の蓄電池50は、各々の径方向に沿って互い違いに並ぶように配置される。右端の蓄電池50の負極端子に、第1導体54の一端部(右端の端部)が電気的に接続される。また、左端の蓄電池50の正極端子に、第2導体55の一端部(右端の端部)が電気的に接続される。右端の蓄電池50の正極端子と、右から2番目の蓄電池50の負極端子とが導体板56によって電気的に接続される。右から2番目の蓄電池50の正極端子と、右から3番目の蓄電池50の負極端子とが導体板56によって電気的に接続される。左端の蓄電池50の負極端子と、左から2番目の蓄電池50の正極端子とが導体板56によって電気的に接続される。右から3番目の蓄電池50の正極端子と、左から2番目の蓄電池50の負極端子とが導体板56によって電気的に接続される。つまり、5本の蓄電池50は、4枚の導体板56によって電気的に直列接続されている。
第1導体54は、金属板によってS字状に形成されている(図14参照)。第1導体54の長手方向の一端(右端)が右端の蓄電池50の負極端子と電気的に接続される。第1導体54は、その長手方向の他端(左端)に第1コンタクト57を有している。第1コンタクト57は、角筒状の枠体570と、枠体570内に収容されるばね体とを有している。ばね体は、枠体570の上端に結合され、枠体570内において左右方向に撓み可能となるように枠体570と一体に形成されている。第1導体54は、上側の第1側壁521及び第3側壁523に沿ってケースボディ52内に収容される。また、第1コンタクト57は、端子保持部527内の2つの空間のうちで隔壁5270の上側の空間に収容される。
第2導体55は、金属板によってS字状に形成されている。第2導体55の長手方向の一端(右端)が左端の蓄電池50の正極端子と電気的に接続される。第2導体55は、その長手方向の他端(左端)に第2コンタクト58を有している。第2コンタクト58は、角筒状の枠体と、枠体内に収容されるばね体とを有している。ばね体は、枠体の上端に結合され、枠体内において左右方向に撓み可能となるように枠体と一体に形成されている。第2導体55は、下側の第1側壁521及び第3側壁523に沿ってケースボディ52内に収容される。また、第2コンタクト58は、端子保持部527内の2つの空間のうちで隔壁5270の下側の空間に収容される。
ケースボディ52にケースカバー53が結合されることによってケース51が組み立てられる(図12参照)。ケースボディ52が有する4つの突片5210がそれぞれ、ケースカバー53が有する4つの貫通孔5320のうちの対応する貫通孔5320に挿入される。さらに、ケースカバー53が有する突片5330が、ケースボディ52の突部524に設けられている貫通孔5240に挿入される。そして、突片5210、5330の先端に設けられている爪5211、5331が、貫通孔5320、5240の縁にそれぞれ引っ掛かることでケースボディ52とケースカバー53が結合される。なお、ケースボディ52の端子保持部527の下側の開口部は、ケースカバー53の蓋部535が被さることで閉じられる(図12参照)。
(2.4.4)制御装置
制御装置6は、図13に示すように、第1回路ブロック60、第2回路ブロック61、筐体62、及び放熱板63を備えている。第1回路ブロック60は、矩形板状の第1プリント配線板600、複数種類の電子部品601、受け側コネクタ64、入力端子台603、出力コネクタ602、及び第1コネクタ604を有している。複数の種類の電子部品601のうちでリード付きの電子部品601が第1プリント配線板600の下面(部品面)に挿入実装されている。また、複数種類の電子部品601のうちで表面実装型の電子部品601が第1プリント配線板600の上面(はんだ面)に表面実装されている。ただし、第1プリント配線板600の部品面には、受け側コネクタ64、入力端子台603、出力コネクタ602及び第1コネクタ604も挿入実装されている。
出力コネクタ602は、一対のコンタクト6020を有している(図13参照)。出力コネクタ602の各コンタクト6020は、非常用光源ユニット4の一対の端子板42のうちの対応する端子板42と接触して導通する。
受け側コネクタ64は、第1コンタクト受け641と、第2コンタクト受け642と、ベース640とを有している(図13参照)。ベース640は、電気絶縁性を有した合成樹脂材料によって矩形の板状に形成されている。第1コンタクト受け641及び第2コンタクト受け642は棒状に形成されて、ベース640を厚み方向に貫通した状態でベース640に支持されている。第1コンタクト受け641は、非常用電源ユニット5の第1コンタクト57の枠体570内に挿入された状態において、枠体570内のばね体によって枠体570に押し付けられることで第1コンタクト57と電気的に接続される。第2コンタクト受け642は、非常用電源ユニット5の第2コンタクト58の枠体内に挿入された状態において、枠体内のばね体によって枠体に押し付けられることで第2コンタクト58と電気的に接続される。
第1回路ブロック60は、第1プリント配線板600に形成されているプリント配線と、第1プリント配線板600の部品面及びはんだ面に実装されている複数種類の電子部品601とで構成されたプリント回路を有している。第1回路ブロック60のプリント回路は、例えば、直流電源回路、充電回路、点灯回路、停電検出回路、制御回路を含んでいる。直流電源回路は、例えば、リンギングチョークコンバータなどの自励型のスイッチング電源回路で構成され、常用電源から入力端子台603に入力される交流電圧を直流電圧に変換するように構成されている。充電回路は、常用電源から給電されているときに受け側コネクタ64を通して一定の充電電流を出力するように構成されている。点灯回路は、非常用電源ユニット5から受け側コネクタ64に入力される直流電流を定電流化し、定電流化した出力電流を出力コネクタ602より非常用光源ユニット4に供給するように構成されている。停電検出回路は、直流電源回路の出力電圧から常用電源の停電を検出して制御回路に通知するように構成されている。制御回路は、停電検出回路が常用電源の停電を検出していないときに充電回路を動作させ、かつ、点灯回路を停止させるように構成されている。また、制御回路は、停電検出回路が常用電源の停電を検出しているときに充電回路を停止させ、かつ、点灯回路を動作させるように構成されている。
第2回路ブロック61は、矩形板状の第2プリント配線板610、2つの押釦スイッチ611、612、表示素子613、受光素子614並びに第2コネクタ615を有している。第2コネクタ615は、第2プリント配線板610の下面における長手方向の一端(前端)に実装されている。一方の押釦スイッチ611は、第2プリント配線板610の下面における第2コネクタ615の後方に実装されている。他方の押釦スイッチ612は、第2プリント配線板610の下面における長手方向の他端(後端)に実装されている。表示素子613は、例えば、緑色光を放射するLEDチップを有している。表示素子613は、第2プリント配線板610の下面における押釦スイッチ612の前方に実装されている。受光素子614は、赤外線を通信媒体とする制御信号を受信し、受信した制御信号から送信フレームを復調するように構成されている。この制御信号は、定期点検の作業を行う作業者に操作されるリモートコントローラから送信される。受光素子614は、第2プリント配線板610の下面における表示素子613と押釦スイッチ611の間に実装されている。第2コネクタ615は、例えば、ケーブルによって第1回路ブロック60の第1コネクタ604と電気的に接続される。第1回路ブロック60の制御回路は、ケーブルを通して各押釦スイッチ611、612の操作状態(オン及びオフ)を監視するように構成されている。また、制御回路は、受光素子614で復調される制御信号の送信フレームを、ケーブルを通して受け取るように構成されている。さらに、制御回路は、第1回路ブロック60の充電回路が動作している場合、ケーブルを通して表示素子613に電流を流すことで表示素子613を発光させるように構成されている。
なお、制御回路は、一方の押釦スイッチ611がオンされた場合、及び受光素子614から送信フレームを受け取った場合、定期点検動作を行うように構成されている。定期点検動作とは、充電回路を停止させ、かつ、点灯回路を動作させることである。さらに、制御回路は、他方の押釦スイッチ612がオンされた場合、自己点検動作を行うように構成されている。自己点検動作とは、充電回路を停止するとともに点灯回路を数秒間動作させた後、再度、点灯回路を停止させ、かつ、充電回路を動作させることである。ただし、制御回路は、自己点検動作を行うように指示する送信フレームを受光素子614から受け取った場合も自己点検動作を行うように構成されることが好ましい。
筐体62は、第1筐体620と第2筐体621を有している。第1筐体620は、底部6200と、側壁部6201とを有している。底部6200は、おおよそ矩形の箱形に形成されている。底部6200は、第1回路ブロック60の第1プリント配線板600のはんだ面を厚み方向(上下方向)から支持するように構成されている。側壁部6201は、板状に形成されている。側壁部6201は、ヒンジを介して底部6200に連結されている。ゆえに、側壁部6201は、ヒンジを軸にして底部6200に対して回転可能となるように構成されている。また、側壁部6201は、第2回路ブロック61の第2プリント配線板610の長手方向に沿った端部(左端部)を厚み方向から挟んで支持するように構成されている。
第2筐体621は、上面及び左側面が開放された箱状に形成されている。第2筐体621は、第1筐体620と結合される。第2筐体621の上面は、第1筐体620の底部6200によって閉じられる。また、第2筐体621の左側面は、第1筐体620の側壁部6201によって閉じられる(図11参照)。
第2筐体621は、下面の左端から下方へ突出する突台部6210を有している(図13参照)。突台部6210は、おおよそ角錐台状に形成されている。突台部6210は、2つの操作部材(第1操作部材6214及び第2操作部材6215)を有している。第1操作部材6214は、突台部6210の下面における前端に設けられている。また、第2操作部材6215は、突台部6210の下面における後端に設けられている。第1操作部材6214及び第2操作部材6215は、突台部6210の下面に対して上下方向に移動可能となるように構成されている。つまり、上向きに押された第1操作部材6214が押釦スイッチ611の押釦を押すことにより、押釦スイッチ611がオンする。また、上向きに押された第2操作部材6215が押釦スイッチ612の押釦を押すことにより、押釦スイッチ612がオンする。さらに、突台部6210の下面において第1操作部材6214と第2操作部材6215の間に、円形の窓6216、6217が2つ設けられている。前方の窓6216は、上下方向において第2回路ブロック61の受光素子614と対向している。後方の窓6217は、上下方向において第2回路ブロック61の表示素子613と対向している。つまり、リモートコントローラから送信される制御信号は、前方の窓6216を通して受光素子614に到達する。また、表示素子613が発する光(緑色光)は、後方の窓6217を通して筐体62の外に放射される。
また、第2筐体621は、右端に3つの開口部6211、6212、6213を有している。これら3つの開口部6211、6212、6213は、前後方向に沿って一列に並んでいる(図13参照)。前端の開口部6211は、第1回路ブロック60の受け側コネクタ64と対向している。後端の開口部6213は、入力端子台603が挿通される。中央の開口部6212は、出力コネクタ602と対向している(図12参照)。
放熱板63は、非常用光源ユニット4が取り付けられる取付部630と、一対の脚部631と、一対の固定部632とを有している(図13参照)。取付部630は、おおよそ台形状に形成されている。一対の脚部631は、平坦な板状に形成されて取付部630の前端及び後端から上方向へ突出している。一対の固定部632は、一対の脚部631の上端から前後方向に沿って互いに近付く向きに突出している。ただし、本実施形態では、取付部630と一対の脚部631と一対の固定部632とは、アルミ又はアルミ合金製の板材によって一体に形成されている。
放熱板63は、取付部630を第2筐体621の下面に対向させ、一対の脚部631を第2筐体621の前面及び後面に対向させ、一対の固定部632を第1筐体620の底部6200の上面に引っ掛けるようにして筐体62に取り付けられる(図12参照)。また、放熱板63は、一対の脚部631に設けられている矩形の嵌合孔633のそれぞれに、第2筐体621の上面及び下面の上端から突出する突部6218を嵌合させることによって筐体62に対して位置決めされている(図12及び図13参照)。
非常用光源ユニット4は、放熱板63の取付部630に設けられているねじ孔6300に対してホルダ41がねじ止めされることによって取付部630に取り付けられている(図10〜図13参照)。また、非常用光源ユニット4は、第2筐体621の中央の開口部6212から露出する出力コネクタ602にホルダ41の端子板保持部410が差込接続されることにより、制御装置6の第1回路ブロック60と電気的に接続される(図11参照)。さらに、LEDモジュール40は、放熱シート43を介して取付部630(放熱板63)と熱的に結合される(図11参照)。
制御装置6は、器具本体10内の左端に収容される(図3参照)。制御装置6は、放熱板63の一対の固定部632が天板11にねじ止めされることによって器具本体10に固定されることが好ましい。つまり、LEDモジュール40が発する熱は、放熱シート43から放熱板63に伝導され、さらに、放熱板63から器具本体10に伝導されて放熱される。
ここで、本実施形態の照明器具1は、係止部74が突起100に係止した係止状態において、係止部74の(後述する)腕部740が収容されるための収容空間18を有している。具体的には、収容空間18は、図1A及び図1Bに示すように、左右方向において互いに対向する第2側板13の内面と制御装置6の筐体62の左端面との間に設けられている。要するに、制御装置6は、器具本体10内の左端において、収容空間18を形成するために、第2側板13から離間して固定されている。
(2.4.5)押さえ具
押さえ具8は、図10に示すように、主片80、引掛片81、側片82、第1差込片83、第2差込片84、及び第3差込片85を有している。なお、本実施形態では、主片80、引掛片81、側片82、第1差込片83、第2差込片84及び第3差込片85は、金属板によって一体に形成されている。
主片80は、下方から見てL字状に形成されている。主片80は、雌ねじ部800を有している。引掛片81は、円弧状に湾曲した湾曲部810と、湾曲部810と主片80を連結する連結部811と、湾曲部810の下端から突出する矩形の平坦部812とを有している(図8A〜8C及び図10参照)。引掛片81は、連結部811によって主片80の左端の下部と連結されている。なお、引掛片81は、連結部811が厚み方向に撓むことにより、湾曲部810を左右方向に変位可能とするように構成されている。側片82は、矩形に形成されている。側片82は、主片80の後端から下向き及び左向きに突出している。側片82の下部は後方に向かって傾斜している。第1差込片83及び第2差込片84は、前後方向から見てL字状に形成されている(図8B及び図9B参照)。なお、第2差込片84は、主片80に切り起こし形成されることが好ましい。第3差込片85は、前後方向から見てL字状に形成されている(図8B及び図9B参照)。第3差込片85は、側片82の左端の上端から上方向へ突出している(図8B参照)。
押さえ具8は、天板11を貫通する3つの孔に第1差込片83、第2差込片84及び第3差込片85が一対一に対応して差し込まれ、第1差込片83、第2差込片84及び第3差込片85のそれぞれが天板11を挟むように構成されている。そして、押さえ具8は、天板11に設けられるねじ挿通孔に挿通されたねじが主片80の雌ねじ部800にねじ込まれることによって天板11の下面に取り付けられる。
非常用電源ユニット5は、器具本体10の天板11に取り付けられた制御装置6と押さえ具8の間に配置される(図3参照)。非常用電源ユニット5は、ケースボディ52を天板11に対向させた状態で器具本体10内の制御装置6と押さえ具8の間の空間に収容される。非常用電源ユニット5の端子保持部527は、第2筐体621の前端の開口部6211を通して筐体62内に挿入される。このとき、端子保持部527のガイド片5271が、第2筐体621の前面の右端に設けられているガイド溝6219に案内される(図10参照)。そして、非常用電源ユニット5の第1コンタクト57が、制御装置6の第1コンタクト受け641と電気的に接続される。また、非常用電源ユニット5の第2コンタクト58が、制御装置6の第2コンタクト受け642と電気的に接続される。さらに、非常用電源ユニット5は、ケース51に設けられた突部524に、押さえ具8の引掛片81の湾曲部810を引っ掛けることによって押さえ具8に支持される(図8A及び図12参照)。ここで、引掛片81は、平坦部812に加えられる力によって連結部811が撓むと、湾曲部810が右向きに変位して湾曲部810と突部524との引っ掛かりが解除される。そして、非常用電源ユニット5は、湾曲部810と突部524との引っ掛かりが解除された状態で下向きに引っ張られると、第1コンタクト57及び第2コンタクト58が第1コンタクト受け641及び第2コンタクト受け642から引き抜かれる。つまり、作業者は、非常用電源ユニット5の器具本体10への収容作業とほぼ同時に非常用電源ユニット5と制御装置6との電気的な接続作業を完了させることができる。また、作業者は、非常用電源ユニット5の器具本体10からの取り外し作業とほぼ同時に非常用電源ユニット5と制御装置6との電気的な接続解除作業を完了させることができる。
(2.4.6)カバー
カバー7は、非常用光源ユニット4から放射される光が通過する孔711を有して、制御装置6及び非常用光源ユニット4を覆うように構成されている。ただし、本実施形態のカバー7は、制御装置6及び非常用光源ユニット4以外に、非常用電源ユニット5も覆うように構成されている。カバー7は、図1A、1B、図3及び図4に示すように、カバー本体70と、一対の係止部74,74(図1A及び1Bでは一方のみ図示)と、固定部75とを有している。
カバー本体70は、図4に示すように、第1カバー体71と第2カバー体72と連結体73とから構成されている。第1カバー体71は、非常用光源ユニット4、制御装置6及び非常用電源ユニット5の一部(左端部)を下から覆うように構成されている。第2カバー体72は、非常用電源ユニット5の残り全部を下から覆うように構成されている。第1カバー体71と第2カバー体72は、前後方向から見てL字状に形成されている長尺の連結体73によって左右方向に並ぶように連結されている。本実施形態では、第1カバー体71、第2カバー体72及び連結体73は、金属のような不燃性の材料によって一体に形成される。カバー7は、例えばアルミダイカストで構成される。
第1カバー体71は、上面に矩形状の開口部716(図4参照)を有した箱形に形成されている。第1カバー体71は、図8Aに示すように、下方から見たときに矩形状に形成されている。第1カバー体71の下面は、常用照明装置2の透光カバー20と同様に、短手方向(前後方向)において両端から中央に向かってなだらかに下向きに突出する曲面形状に形成されている(図3参照)。第1カバー体71の下面に窪み710が形成されている。窪み710は、下方から見た形状が楕円形に形成されている。孔711は、窪み710の中央(底)に、上下方向に貫通して設けられている。孔711は、レンズ44のレンズ本体440が挿通可能な形状(楕円形状)に形成されている。窪み710は、その長軸方向(左右方向)の両端を、その短軸方向(前後方向)の両端よりも下方へ突出させるように形成されている(図8B参照)。
第2カバー体72は、前後方向から見てL字状に形成されていて、非常用電源ユニット5の一部を覆うように構成されている(図1B参照)。具体的には、第2カバー体72は、平坦部720と腕部721とを有している。平坦部720は、おおよそ矩形平板状に形成されている。平坦部720は、その左端において連結体73と連結されている。腕部721は、おおよそ矩形平板状に形成されている。腕部721は、平坦部720の右端における前端から上方へ立ち上るように構成されている(図4参照)。
固定部75は、おおよそ矩形平板状に形成されている。固定部75は、腕部721の上端から右方へ突出するように構成されている。また、固定部75は、その前方寄りの右隅に円形のねじ挿通孔750を有している。
係止部74,74は、常用照明装置2及び非常用照明装置3が並ぶ「並び方向」、すなわち左右方向における、カバー本体70の一端部(左端部)に設けられている。言い換えると、係止部74,74は、第1カバー体71の左端部に設けられている。係止部74は、器具本体10の突起100に係止するための部位である。
以下、第1カバー体71について、さらに具体的に説明する。第1カバー体71は、図4に示すように、第1側壁部71A及び第2側壁部71Bと、左右方向において第1側壁部71A及び第2側壁部71Bを互いに対向するように連結する湾曲底部71Cとから構成されている。第1側壁部71A、第2側壁部71B及び湾曲底部71Cは、一体となって形成されている。
第1側壁部71Aは、湾曲底部71Cの左側に配置され、第2側壁部71Bは、湾曲底部71Cの右側に配置されている。第1側壁部71A及び第2側壁部71Bの各々は、左右方向に沿って見たときにその下辺が略円弧状に形成されている。第2側壁部71Bの上端部は、連結体73によって第2カバー体72と連結している。
湾曲底部71Cは、上下方向に沿って見たときに矩形状に形成されており、左右方向に沿って見たときに下向きに突出する曲面形状に形成されている。第1カバー体71の開口部716の周縁は、図4に示すように、湾曲底部71Cの前側及び後側の上端部と、第1側壁部71A及び第2側壁部71Bの上端部とによって形成されている。
湾曲底部71Cは、上述した窪み710及び孔711を有している。非常用光源ユニット4のレンズ本体440は、カバー7が器具本体10に取り付けられた状態において、孔711に挿通されてカバー7の外に露出する。また湾曲底部71Cは、第1貫通孔712と、第2貫通孔713と、第3貫通孔714と、第4貫通孔715とを有している(図8A参照)。
第1貫通孔712は、カバー7が器具本体10に取り付けられた状態において、制御装置6の第1操作部材6214と対向している。第1操作部材6214は、第1貫通孔712に挿通される治具によって押操作される。制御装置6の第2操作部材6215は、カバー7が器具本体10に取り付けられた状態において、第4貫通孔715に挿通されている。第2操作部材6215は、例えば、人の指によって押操作される。第2貫通孔713は、カバー7が器具本体10に取り付けられた状態において、制御装置6の受光素子614と対向している。第3貫通孔714は、カバー7が器具本体10に取り付けられた状態において、制御装置6の表示素子613と対向している。つまり、リモートコントローラから送信される制御信号は、第2貫通孔713を通して受光素子614に到達する。また、表示素子613が発する光(緑色光)は、第3貫通孔714を通してカバー7の外に放射される。
第1カバー体71は、カバー7が器具本体10に取り付けられた状態において、第1側壁部71Aが制御装置6の筐体62の左端面よりも左方に配置されるように、寸法関係が規定されている(図1B参照)。
(2.4.7)カバーの係止部
以下、一対の係止部74,74について、具体的に説明する。係止部74,74は、常用照明装置2及び非常用照明装置3が並ぶ「並び方向」、すなわち左右方向における、カバー本体70の一端部(左端部)に設けられている。言い換えると、係止部74,74は、第1カバー体71の左端部に設けられている。各係止部74は、カバー7を器具本体10の突起100に係止するための部位である。本実施形態では、各係止部74は、一例として板ばね(弾性部材)である。
本実施形態では、各係止部74は、例えば、細長い略矩形板状の一枚の金属板に折り曲げ加工を施すことによって形成されている。各係止部74は、図1A及び図2に示すように、腕部740と基部741とから構成されている。腕部740は、前後方向に沿って見たときに、全体として略S字状に湾曲している。腕部740は、係止部74の「係止状態」において、収容空間18に収まる。基部741は、全体として略矩形板に形成されていて、左端部がやや右斜め上方向に折り曲げられている。基部741は、ねじ76が挿通するための貫通孔を有している。この貫通孔は、基部741の厚み方向(上下方向)に貫通している。腕部740は、基部741の左端から上方向に突出するように設けられている。言い換えると、腕部740の基端740Aは、基部741の左端に位置する。
腕部740は、図2に示すように、引掛部分7400(第1部)と湾曲部分7401(第2部)と延長部分7402とから構成されている。
引掛部分7400は、図2に示すように、腕部740の基端740A側に設けられている。引掛部分7400の基端は、腕部740の基端740Aに相当する。引掛部分7400は、制御装置6に近づく方向(右方向)に凸形状となるように形成されている。本実施形態における係止部74の「係止状態」は、突起100の先端が、引掛部分7400に引っ掛かることにより達成される。
湾曲部分7401は、図2に示すように、係止状態において、器具本体10の天板11と引掛部分7400との間に位置する。湾曲部分7401は、引掛部分7400の先端から連続して左斜め上方向に延びている。湾曲部分7401は、制御装置6から離れる方向(左方向)に凸形状となるように形成されている。本実施形態では、湾曲部分7401は、滑らかな曲面を有するように湾曲している。
ここで、突起100と制御装置6との間には、湾曲部分7401及び延長部分7402が挿入されるための隙間17が設けられている(図1A及び図2参照)。湾曲部分7401は、隙間17を通じて収容空間18内に挿入されるとき、隙間17の位置において、突起100と接触して制御装置6に近づく向きに弾性変形するように構成されている。さらに、湾曲部分7401は、係止状態において、上下方向に沿って見たときに引掛部分7400と第2側板13との間に位置する。なお、左右方向における隙間17の寸法D1は、係止状態における腕部740の湾曲部分7401(例えば頂点P2)から制御装置6までの距離D2より小さくなるように寸法関係が規定されている(図2参照)。
延長部分7402は、湾曲部分7401の先端から連続して上方向に延びている。延長部分7402の先端は、腕部740の先端740Bに相当する。本実施形態では、湾曲部分7401と延長部分7402との境界P1は、一例として、カバー7を上下方向に沿って見たときに、基端740Aと一致する箇所と規定している(図2の点線A1参照)。延長部分7402は、カバー7を上下方向に沿って見たときに、基端740Aと制御装置6との間に配置されている。延長部分7402の先端(すなわち腕部740の先端740B)は、係止状態において、左右方向に互いに対向する第2側板13と制御装置6との間に配置される。本実施形態では、延長部分7402の先端は、係止状態において、制御装置6と接触している。
係止部74,74は、図4に示すように、第1カバー体71に設けられた角柱状の一対のリブ717,717に、それぞれ取り付けられている。具体的には、第1カバー体71は、その内側において上方向に立ち上るように形成された角柱状の一対のリブ717,717を有している。一対のリブ717,717は、第1側壁部71Aの右側面の前端及び後端に一体となってそれぞれ形成されている。各リブ717は、その上端面にねじ孔を有している。各係止部74の基部741は、対応するリブ717の上端面にねじ76を用いてねじ止めされている。要するに、係止部74,74は、カバー本体70の一端部の前後方向における両端にそれぞれ配置されている。
各リブ717と第1側壁部71Aとの間には、隙間があってもよい。つまり、各リブ717は、第1側壁部71Aと一体となって形成される代わりに、湾曲底部71Cの上面から直接上方向に立ち上るように形成されていてもよい。
このように各係止部74は、第1側壁部71Aの内側に配置されたリブ717に取り付けられているため、腕部740の基端740Aは、左右方向において、第1側壁部71Aの上端面718(図1A参照)よりも内側に配置されている。言い換えれば、腕部740は、カバー7を孔711が貫通する貫通方向(上下方向)に沿って見たときに、その基端740Aが、カバー本体70と重なる位置となるように配置されている。したがって、カバー7を上下方向に沿って見たときに、凸形状の湾曲部分7401が第1側壁部71Aを超えて外側に突出する突出量を抑えることができ、カバー7及び器具本体10の大型化を抑制することができる。また、当該突出量を抑えることで、カバー7の取付け作業時等において、湾曲部分7401が他の部材と接触して破損してしまう可能性を低減することができる。またこの場合、係止状態において、器具本体10の左端の第2側板13の左端面と第1カバー体71の第1側壁部71Aの左端面との間に生じる段差を抑えることができ、照明器具1の見栄えをよくすることもできる(図1B参照)。
本実施形態では、上述の通り腕部740の基端740Aが左右方向において第1側壁部71Aの上端面718よりも内側に配置されているため、引掛部分7400と上端面718とによって凹所77が形成されている。そのため、突起100は、係止状態において、凹所77に嵌まることになる。したがって、基端740Aが第1側壁部71Aよりも外側に配置されている場合(すなわち、凹所77が形成されていない場合)に比べて、カバー7の一端部(左端部)の下方向の脱落だけでなく上方向への位置ずれも規制することができる。なお、突起100は、係止状態において、第1側壁部71Aの上端面718と接触していてもよいし、接触しない程度の隙間が突起100と上端面718との間に設けられていてもよい。
(2.4.8)腕部の延長部分
ところで、本実施形態では、図2に示すように、上下方向における腕部740の長さ寸法L1は、孔711から突出したレンズ本体440の突出寸法L2よりも大きくなるように寸法関係が規定されている。また、図2に示すように、この長さ寸法L1は、突起100から天板11までの距離L3よりも小さくなるように寸法関係が規定されている。腕部740は、このような寸法関係を達成するために、上述した延長部分7402を有している。
そのため、カバー7の取付け時に、作業者は、腕部740を隙間17に挿入してカバー7を上に押し込むことで、レンズ本体440を、孔711の周縁と接触することなく孔711に通すことができる。つまり、作業者とっては、主に腕部740と隙間17との位置関係を確認するだけでよく、レンズ本体440と孔711との正確な位置関係を把握する手間を省くことができ(作業性の向上)、レンズ本体440の接触による破損も防ぐことができる。
更に、延長部分7402は、隙間17への挿入時にその先端が制御装置6と接触するように寸法関係が規定されていることが好ましい。この場合、カバー7の取付け時に、作業者は、延長部分7402を制御装置6の筐体62の左端面に当てながらカバー7を上に押し込むことができる。言い換えると、筐体62の左端面が、腕部740の挿入をガイドするガイド面として機能する。筐体62の左端面がガイド面として機能することで、レンズ本体440が孔711の周縁と接触することをより効果的に防ぐことができる。
(3)カバーの取付け作業
以下に、非常用照明装置3のカバー7の取付け作業について説明する。なお、非常用照明装置3の構成要素のうち、カバー7を除く、非常用光源ユニット4、非常用電源ユニット5、制御装置6及び押さえ具8は、図3に示すように、予め器具本体10内に収容されていることを想定する。
まず作業者は、カバー7を把持し、カバー7の開口部716を上に向けながら、カバー7の長手方向が器具本体10の長手方向とおおむね平行となるようにカバー7の向きを調整する(図1A参照)。そして、作業者は、係止部74,74が隙間17の真下、すなわち隙間17と対向するようにカバー7の位置を調整する。ここで、係止部74がカバー7の左端部に設けられているため、さらに、隙間17が下方向に開口しているため、作業者は、係止部74及び隙間17を容易に視認することができる。
続いて作業者は、カバー7を器具本体10へ近づけて、腕部740の先端740Bを隙間17から挿入する。そして、作業者は、腕部740の延長部分7402の右面を、制御装置6の筐体62の左端面に当てて、延長部分7402が当該左端面に沿って上方向へスライド移動するように、カバー7を上に押し込む。すると、湾曲部分7401の頂点P2付近が突起100の先端と接触し、腕部740は、頂点P2が制御装置6に近づくように弾性変形する。要するに、腕部740は、突起100の先端との接触により、全体的に押し潰れるように撓む。
カバー7がさらに上へ押し込まれると、湾曲部分7401が突起100の先端を乗り越えることで、腕部740は、収容空間18内に収まり、再び元の形状へ戻る。つまり、腕部740は、湾曲部分7401の頂点P2が制御装置6から離れるように弾性復帰する。そして、突起100が引掛部分7400に引っ掛かることで、係止部74の「係止状態」が達成され、カバー7の左端部が器具本体10に保持される(図1B参照)。すなわち、カバー7の左端部は、隙間17から下方向へ脱落しない状態となる。また、突起100は、凹所77に嵌め込まれているため、カバー7の左端部は、下方向への脱落だけでなく、上方向への位置ずれも規制される。さらに同時にレンズ本体440の孔711への挿入も達成される。
最後に作業者は、ねじ16(図1B参照)を固定部75のねじ挿通孔750(図3参照)と、押さえ具8の主片80に設けられたねじ挿通孔801(図3参照)とに挿通し、器具本体10の天板11に設けられている雌ねじにねじ込む。その結果、カバー7の取付け作業が完了する。
このように、本実施形態の照明器具1によれば、特許文献1の照明器具と異なり、係止部74,74と隙間17とが作業者にとって視認し易い位置に設けられている。したがって、本実施形態の照明器具1は、カバー7の取付け作業性を向上することができる。
なお、作業者は、カバー7の取付け作業が完了した後に、常用照明装置2を器具本体10に対して取り付ける。このとき、常用照明装置2は、その左端部でカバー7の第2カバー体72を覆いながらも、カバー7の第1カバー体71と左右方向に沿って並ぶように配置されることになる。
(4)変形例
以下に、いくつかの変形例について列記する。以下では上述した実施形態を「基本例」と呼ぶ。以下に説明する変形例も、上述した基本例と適宜組み合わせて適用可能である。
基本例では、係止部74は、板ばねであるが、例えば線ばねであってもよい。
基本例では、腕部740の湾曲部分7401は、滑らかな曲面を有するように湾曲しているが、例えばL字状に折れ曲がるように形成されていてもよい。ただし、基本例のように湾曲部分7401が滑らかな曲面を有している方が、突起100との接触による摩擦抵抗を減らすことができるため、作業者のカバー7の取付けが容易となる。
基本例では、腕部740は、延長部分7402を有しているが、延長部分7402は、腕部740の必須な構成要素ではなく、例えば、腕部740は、引掛部分7400及び湾曲部分7401のみを有していてもよい。ただし、上述の通り、作業性を考慮すれば、腕部740は、延長部分7402を有していた方が望ましい。なお、延長部分7402を有さない場合、更に、湾曲部分7401は、例えば基本例の半分程度(基端740Aから頂点P2付近まで)の長さ寸法であってもよい。
基本例では、係止部74の数は、一例として2つである。しかし、係止部74の数は、1つでもよいし、3つ以上であってもよい。ただし、器具本体10に対するカバー7の取付けの安定性及び作業性、並びにカバー7の製造コスト面を考慮すれば、基本例のように2つの係止部74が、カバー本体70の左端部の前後方向における両端にそれぞれ配置されていることが望ましい。
基本例では、各係止部74は、リブ717に対してねじ止めされている。つまり、基本例では、各係止部74は、カバー本体70と別体である。しかし、この限りではなく、各係止部74は、カバー本体70と一体に形成されていてもよい。また、各係止部74は、カバー本体70と別体であっても、ねじ止め以外に、かしめ又は溶接等によってリブ717に固定されていてもよい。
基本例では、カバー本体70の右端部は、固定部75のねじ挿通孔750を通じて、ねじ止めにより器具本体10の天板11に保持される。しかし、ねじ止めに限定されず、カバー本体70の右端部も、例えば左端部と同様に板ばねのような弾性部材を用いて、器具本体10の天板11に保持されてもよい。
(5)利点
以上説明したように、第1の態様に係る照明器具1は、常用照明を行う常用照明装置2と、非常用照明を行う非常用照明装置3と、常用照明装置2及び非常用照明装置3を互いに隣に並べて収容する器具本体10とを備える。非常用照明装置3は、非常用光源ユニット4と、非常用電源ユニット5と、制御装置6と、カバー7とを備える。制御装置6は、非常用電源ユニット5から供給される電力で非常用光源ユニット4を点灯する。カバー7は、非常用光源ユニット4から放射される光が通過する孔711を有して、制御装置6及び非常用光源ユニット4を覆う。器具本体10は、側板(第2側板13)と突起100とを有する。側板(第2側板13)は、常用照明装置2及び非常用照明装置3が並ぶ並び方向における器具本体10の一端に設けられ、制御装置6と対向する。突起100は、側板(第2側板13)から制御装置6に近づく向きに突出する。カバー7は、カバー本体70と、突起100に係止される係止部74と、係止部74が突起100に係止された係止状態でカバー本体70を器具本体10に固定する固定部75とを有する。係止部74は、上記並び方向におけるカバー本体70の一端部に設けられている。固定部75は、上記並び方向におけるカバー本体70の一端部とは反対側の他端部に設けられている。
ここで、係止部74は、係止状態において突起100が引っ掛かる第1部(引掛部分7400)と、係止状態において器具本体10の底部(天板11)と第1部との間に位置する第2部(湾曲部分7401)と、を有している。突起100と制御装置6との間には、第2部が挿入されるための隙間17が設けられている。第2部は、隙間17の位置において、突起100と接触して制御装置6に近づく向きに弾性変形するように構成されている。さらに、第2部は、係止状態において、孔711が貫通する貫通方向(上下方向)に沿って見たときに第1部と側板(第2側板13)との間に位置する。
第1の態様によれば、係止部74が作業者にとって視認し易いカバー7の一端部に設けられているため、特許文献1の照明器具に比べてカバー7の取付け作業性を向上することができる。また、特許文献1の照明器具に比べて簡単な構造でありながらも、作業性の向上を達成することができる。
第2の態様に係る照明器具1に関して、第1の態様において、係止部74は、板ばねであることが好ましい。この場合、板ばねは、カバー本体70の一端部から器具本体10の底部(天板11)に向かって突出する腕部740を有することが好ましい。腕部740は、第1部(引掛部分7400)及び第2部(湾曲部分7401)を含むことが好ましい。非常用光源ユニット4は、光源(LEDモジュール40)と、光源を覆うように配置されたレンズ44とを有することが好ましい。レンズ44は、係止状態において孔711からカバー7の外部に突出するレンズ本体440を有することが好ましい。上記貫通方向において、腕部740の長さ寸法L1は、孔711から突出したレンズ本体440の突出寸法L2よりも大きく、突起100から底部(天板11)までの距離L3よりも小さいことが好ましい。
第2の態様によれば、カバー7の取付け時に、作業者は、腕部740を隙間17に挿入してカバー7を上に押し込むことで、レンズ本体440を孔711の周縁と接触することなく孔711に通すことができる。つまり、作業者とっては、主に腕部740と隙間17との位置関係を確認するだけでよく、レンズ本体440と孔711との正確な位置関係を把握する手間を省くことができ(作業性の向上)、レンズ本体440の接触による破損も防ぐことができる。また、係止部74が板ばねであることから、簡単な構造でありながらも、作業性の向上を達成することができる。
第3の態様に係る照明器具1に関して、第1の態様又は第2の態様において、係止部74は、板ばねであることが好ましい。この場合、板ばねは、カバー本体70の一端部から器具本体10の底部(天板11)に向かって突出する腕部740を有することが好ましい。腕部740は、第1部(引掛部分7400)及び第2部(湾曲部分7401)を含むことが好ましい。第2部は、制御装置6から離れる方向に凸形状となるように形成されていることが好ましい。腕部740は、上記貫通方向に沿って見たときに、少なくともその基端740Aが、カバー本体70と重なる位置となるように配置されることが好ましい。
第3の態様によれば、カバー7を孔711の貫通方向に沿って見たときに、凸形状の第2部(湾曲部分7401)がカバー本体70の外側に突出する突出量を抑えることができ、カバー7及び器具本体10の大型化を抑制することができる。また、当該突出量を抑えることで、カバー7の取付け作業時等において、腕部740が他の部材と接触して破損してしまう可能性を低減することができる。また、係止部74が板ばねであることから、簡単な構造でありながらも、作業性の向上を達成することができる。
第4の態様に係る照明器具1に関して、第3の態様において、腕部740の先端740Bは、上記貫通方向に沿って見たときに、腕部740の基端740Aと制御装置6との間に配置されることが好ましい。第4の態様によれば、カバー7の取付け時に、作業者は、例えば、腕部740の先端740Bを制御装置6の端面に当てながら腕部740を隙間17内に押し込むことができる。要するに、制御装置6の端面を、腕部740の先端740Bをガイドするためのガイド面として機能させることができる。したがって、カバー7の取付け作業性がより向上される。
第5の態様に係る照明器具1に関して、第2の態様〜第4の態様のいずれか1つにおいて、第1部(引掛部分7400)は、腕部740の基端側に設けられていることが好ましい。また、腕部740の先端740Bは、係止状態において、器具本体10の側板(第2側板13)と制御装置6との間に配置されることが好ましい。第5の態様によれば、カバー7が器具本体10に取り付けられた状態において、腕部740が器具本体10内に全て収容されるため、照明器具1の大型化を抑制することができる。また、腕部740が照明器具1の外部に露出することを防ぐことができ、照明器具1の見栄えをよくすることもできる。
第6の態様に係る照明器具1に関して、第1の態様〜第5の態様のいずれか1つにおいて、係止部74は、カバー本体70と一体となって形成されていることが好ましい。第6の態様によれば、係止部74がカバー本体70と別体となっている場合に比べて、部材点数を抑えることができる。
第7の態様に係る照明器具1に関して、第1の態様〜第6の態様のいずれか1つにおいて、係止部74は、少なくとも2つ設けられていることが好ましい。第7の態様によれば、係止部74が1つの場合に比べて、カバー7が器具本体10に対してより安定して保持される。
第8の態様に係る照明器具1に関して、第7の態様において、2つの係止部74は、カバー本体70の一端部において、上記貫通方向及び上記並び方向に直交する方向における両端にそれぞれ配置されていることが好ましい。第8の態様によれば、係止部74の数を抑えながらも、カバー7が安定して保持される。