JP2018136947A - 流体流れ及び音響挙動のコンピュータシミュレーション - Google Patents

流体流れ及び音響挙動のコンピュータシミュレーション Download PDF

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Abstract

【課題】流体の流れ及び多孔質媒体との流体の音響相互作用をシミュレーションするためのコンピュータで実現される方法を提供する。
【解決手段】空隙率φの多孔質媒体PMによって占められる第2の体積に隣接する第1の体積における流体の動作を、第1のパラメータセットを有する第1のモデルを用いて第1の体積内の要素の移動をモデル化するようにシミュレーションするステップと、多孔質媒体によって占められる第2の体積における流体の動作を、第2のパラメータセットを有し、且つ、多孔質媒体の流れ及び音響特性を考慮するようにして第1のモデルとは異なる第2のモデルを用いて第2の体積内の要素の移動をモデル化するようにシミュレーションするステップと、第1の体積及び第2の体積間の界面にて第1の体積と第2の体積との間の要素の移動をシミュレーションするステップと、を含む。
【選択図】図14

Description

本発明は、流体の流れ及び音響のような物理的プロセスのコンピュータシミュレーションに関する。
高レイノルズ数の流れは、巨視的物理量(例えば、密度、温度、流体速度)を表す変数に対して多くの離散的空間位置の各々にて高精度浮動小数点算術演算を実施することで、ナビエ・ストークス(Navier−Stokes)微分方程式の離散解を生成することによりシミュレーションされてきた。別の手法では、微分方程式の代わりに格子ガス(又はセル)オートマンを導入し、ここでは、ナビエ・ストークスの方程式を解くことによりもたらされる巨視的レベルのシミュレーションは、格子サイト間を移動する粒子に関する演算を実施する微視的レベルのモデルと置き換えられる。
米国特許第5,594,671号明細書
全体として、本明細書は、流体(fluid)と多孔質媒体(porous medium)との間の界面(interface)における流体と多孔質媒体との間の相互作用(interactions)をシミュレーションする技術を記載している。これらの相互作用は、流体及び多孔質媒体を含むシステムの音響特性を特徴付ける目的でシミュレーションすることができる。また、流れ抵抗(flow resistance)の精密なシミュレーションを可能にする体積特性(volume properties)を用いて、音響抵抗(acoustic resistance)の精密なシミュレーションを可能にすることができる。従って、流れ抵抗特性を用いて多孔質媒体を表して、流体空間(fluid space)と多孔質媒体との間の界面を精密にモデル化することによって、多孔質媒体の音響挙動(すなわち、多孔質媒体の音減衰能力)の精密な表現をもたらすことができる。音響特性の精密な表現により、移動体及び建造物などの複雑系における物質の音響インピーダンス又は音響吸収(acoustic absorption)のような物理現象のシミュレーションの改善を可能にすることができる。
1つの一般的な態様において、流体の流れ及び多孔質媒体との流体の音響相互作用をシミュレーションするためのコンピュータで実現される方法は、多孔質媒体によって占められる第2の体積に隣接する第1の体積における流体の動作をシミュレーションするステップを含む。第1の体積における流体の動作は、第1のパラメータセットを有する第1のモデルを用いて第1の体積内の要素の移動をモデル化するようにシミュレーションされる。加えて、多孔質媒体によって占められる第2の体積における流体の動作は、第2のパラメータセットを有し且つ多孔質媒体の流れ及び音響特性を考慮するようにして第1のモデルとは異なる第2のモデルを用いて第2の体積内の要素の移動をモデル化するようにシミュレーションされる。最後に、第1の体積及び第2の体積間の界面にて第1の体積と第2の体積との間の要素の移動がシミュレーションされる。
実施構成は、以下の特徴の1つ又はそれよりも多くを含むことができる。例えば、コンピュータアクセス可能メモリを用いて、第1の体積のボクセル(voxel)についての第1の状態ベクトルセット及び第2の体積のボクセルについての第2の状態ベクトルセットを格納することができ、状態ベクトルの各々は、対応するボクセルにて可能性のある運動量状態のうちの特定の運動量状態に相当する複数のエントリーを含む。第1の体積における流体の動作をシミュレーションするステップは、第1のモデルに従って異なる運動量状態の要素間の相互作用をモデル化する第1の相互作用演算を第1の状態ベクトルセットに対して実施するステップと、第1のモデルに従って第1の体積における新しいボクセルへの要素の移動を反映させるために第1の状態ベクトルセットに対して第1の移動演算を実施するステップと、を含むことができる。第2の体積における流体の動作をシミュレーションするステップは、第2のモデルに従って異なる運動量状態の要素間の相互作用をモデル化する第2の相互作用演算を第2の状態ベクトルセットに対して実施するステップと、第2のモデルに従って第2の体積における新しいボクセルへの要素の移動を反映させるために第2の状態ベクトルセットに対して第2の移動演算を実施するステップと、を含むことができる。
第1の体積及び第2の体積間の界面にて第1の体積と第2の体積との間の要素の移動をシミュレーションするステップは、界面での第1の体積の領域と界面での第2の体積の領域との間の要素の移動をシミュレーションするステップを含むことができる。例えば、第1の体積及び第2の体積間の界面にて第1の体積と第2の体積との間の要素の移動をシミュレーションするステップは、界面での第1の体積におけるボクセルについての第1の状態ベクトルセットの状態ベクトルと、界面での第2の体積におけるボクセルについての第2の状態ベクトルセットの状態ベクトルとの間の要素の移動をシミュレーションするステップを含むことができる。
第1の体積から第2の体積への要素の移動は、第1の制約セットによって規定することができ、第2の体積から第1の体積への要素の移動は、第1の制約セットとは異なる第2の制約セットによって規定することができる。第1の制約セットによって、第1の体積から第2の体積へ移動するよう配向された要素の少量部分(fraction)が、第1の体積から第2の体積へ実際に移動することを可能にすることができ、その少量部分は、シミュレーションされている多孔質媒体の空隙率(porosity)に相当し、第2の制約セットによって、第2の体積から第1の体積へ移動するよう配向された全ての要素が、第2の体積から第1の体積へ実際に移動することを可能にすることができる。第2のモデルの第2のパラメータセットは、シミュレーションされている多孔質媒体の空隙率、或いは、シミュレーションされている多孔質媒体の音響抵抗、音響吸収、及び音響インピーダンスのうちの1つ又はそれよりも多くを考慮するようにして、第1のモデルの第1のパラメータセットとは異なることができる。第2のモデルの第2のパラメータセットはまた、シミュレーションされている多孔質媒体の屈曲度、粘性特性長、熱的特性長、及び熱的透過性のうちの1つ又はそれよりも多くを考慮するようにして、第1のモデルの第1のパラメータセットとは異なることができる。
要素は、質量流量、運動量流束、及びエネルギー流速などの流体力学及び熱力学特性の粒子分布又は流束を含むことができる。加えて、要素は、質量、密度、運動量、圧力、速度、温度、及びエネルギーなどの特性を含むことができる。その上、要素は、上記に網羅的に記載されず、又は明示的に以下で考察されないが、あらゆる流体、流れ、又は熱力学に関連する物理量と関連付けることができる。
第1の体積は、例えば、車両の車室内部及び航空機の外部のうちの1つ又はそれよりも多くを含むことができ、第2の体積が、車両の車室内部の固定構成要素及び表面を含むことができる。より詳細な実施例において、第1の体積は、航空機の外部の航空機着陸ギア組立体の周囲の領域を含むことができ、第2の体積が、航空機着陸ギア組立体の個々の構成要素間の領域を含むことができる。
別の一般的な態様において、流体の流れ及び多孔質媒体との流体の音響相互作用をシミュレーションするためのコンピュータで実現される方法は、多孔質媒体によって占められる第2の体積に隣接する第1の体積における流体の動作を、第1のパラメータセットを有する第1のモデルを用いて第1の体積内の要素の移動をモデル化するようにシミュレーションするステップと、多孔質媒体によって占められる第2の体積における流体の動作を、第2のパラメータセットを有し且つ多孔質媒体の特性を考慮するようにして第1のモデルとは異なる第2のモデルを用いて第2の体積内の要素の移動をモデル化するようにシミュレーションするステップと、界面での第1の体積の領域と界面での第2の体積の領域との間の要素の移動をシミュレーションすることにより、第1の体積及び第2の体積間の界面にて第1の体積と第2の体積との間の要素の移動をシミュレーションするステップと、を含む。第1の体積から第2の体積への要素の移動が第1の制約セットによって規定され、第2の体積から第1の体積への要素の移動が、第1の制約セットとは異なる第2の制約セットによって規定される。第1の制約セットによって、第1の体積から第2の体積へ移動するよう配向された要素の少量部分が、第1の体積から第2の体積へ実際に移動することが可能になり、少量部分が、シミュレーションされている多孔質媒体の空隙率に相当する。
実施構成は、上述され又は以下で考察する特徴の1つ又はそれよりも多くを含むことができる。
他の一般的な態様において、上述され又は以下で説明する方法及び技法は、流体の流れ及び多孔質媒体との流体の音響相互作用をシミュレーションするためのシステム、及び実行時に流体の流れ及び多孔質媒体との流体の音響相互作用をシミュレーションするコンピュータ実行可能命令を格納するコンピュータ可読データ記憶媒体に含まれる。
本システム及び技法は、格子ボルツマンの定式化を利用した格子ガスシミュレーションを用いて実施することができる。従来の格子ガスシミュレーションは、各格子サイトにおいて限定数の粒子を前提とし、粒子は、ビットのショートベクトルにより表される。各ビットは、特定方向に移動する粒子を表す。例えば、ベクトルの1つのビットは、特定の方向に移動する粒子が存在する(1にセットされたとき)、又は存在しない(0にセットされたとき)ことを表すことができる。このようなベクトルは6ビットを有することができ、値110000は、2つの粒子がX軸に沿って反対方向に移動し、Y及びZ軸に沿った粒子の移動がないことを示す。衝突規則のセットは、各サイトでの粒子間の衝突の挙動を規定する(例えば、110000ベクトルは、001100ベクトルになることができ、X軸に沿って移動する2つの粒子間の衝突は、Y軸に沿って離れて移動する2つの粒子をもたらしたことを示す)。ルックアップテーブルに状態ベクトルを入力することによって実施され、これによりビットに対し置換を実施する(例えば、110000を001100に変換する)。次いで、粒子は、隣接するサイトに移動される(例えば、Y軸に沿って移動する2つの粒子は、Y軸に沿って左右の隣接サイトに移動されることになる)。
拡張システムにおいて、各格子サイトの状態ベクトルは、粒子エネルギー及び移動方向の変化を提供するために更に多くのビット(例えば、亜音速流において54ビット)を含み、完全状態ベクトルのサブセットを含む衝突規則が利用される。別の拡張システムにおいて、1つよりも多くの粒子が各格子サイト又はボクセル(これら2つの用語は、本明細書全体で同義的に用いられる)にて各運動量状態で存在することが許容される。例えば、8ビットの実施構成において、0〜255の粒子が特定のボクセルの特定の方向で移動することができる。状態ベクトルは、ビットのセットではなく、整数のセット(例えば、8ビットバイトのセットが0〜255の範囲の整数を提供する)であり、その各々は、所与の状態の粒子数を表す。
別の拡張機能において、格子ボルツマン法(LBM)は、流体のメゾスコピックな表現を使用して、複雑な幾何形状における非定常の3D圧縮性乱流プロセスを従来の数値流体力学(CFD)手法で可能なものよりも深いレベルでシミュレーションを行う。このLBM法の概要を以下に示す。
ボルツマンレベルのメゾスコピック表現
流体系がいわゆる「メゾスコピック」レベルの運動方程式で表すことができることは、統計物理学の分野において周知である。このレベルでは、個々の粒子の詳細な運動を決定する必要はない。その代わりに、流体の特性は、単一の粒子位相空間を用いて定義される粒子分布関数
により表され、ここでxは空間座標、νは粒子速度座標である。質量、密度、流体速度、及び温度などの典型的な流体力学物理量は、粒子分布関数の単純なモーメントである。粒子分布関数の動力学は、以下のボルツマン方程式に従う。

ここで
は、
における外部又は自己無撞着的に生成される体積力を表す。衝突項Cは、種々の速度及び位置にある粒子の相互作用を表す。衝突項Cについての特定形態を規定することなく、上記のボルツマン方程式は、希薄ガスの周知の状況(ボルツマンにより当初構築されたような)にだけでなく、全ての流体システムに適用可能であることを強調しておくことが重要である。
一般的に、Cは、二点相関関数の複雑な多次元積分を含む。分布関数fの閉鎖系を形成するためだけでなく、効率的計算のために最も好都合で物理的に一貫性のある形態の1つは、周知のBGK演算子である。BGK演算子は、衝突のどのような小さな要素であっても、分布関数は、次式で与えられる明確に定義された局所平衡に近づくという物理的根拠に従って構築される。
衝突
による
ここでパラメータτは衝突による平衡までの特性緩和時間を表す。粒子(例えば、原子又は分子)の処理では、緩和時間は通常は一定と見なされる。「ハイブリッド」(流体−運動)表現では、この緩和時間は、歪み速度、乱流運動エネルギー及びその他のような流体力学変数の関数である。従って、乱流は、局所的に決定された特性を有する乱流粒子(「渦」)のガスとして表すことができる。
ボルツマン−BGK方程式の数値解法は、ナビエ・ストークスの方程式の解法よりも優れた幾つかの計算上の利点がある。第一に、方程式内に複雑な非線形項又は高次空間導関数が存在せず、従って、移流不安定性に関する問題がほとんどないことは容易に理解することができる。この記述レベルでは、圧力を扱う必要がないので方程式が局所的であり、これは、アルゴリズムの並列化において大きな利点をもたらす。線形の移流演算子であることの別の望ましい特徴は、二次空間導関数を有する拡散演算子が存在しないことと共に、流体偏微分方程式(「PDE」)の数学的条件ではなく、実際の固体面と粒子が実際にどのように相互作用するかを模擬するようにして非滑り面又は滑り面などの物理的境界条件の実現が容易であることである。直接的な恩恵の1つは、固体面上での界面の移動を扱う問題がなく、これにより、格子ボルツマンベースのシミュレーションソフトウェアが複雑乱流空気力学を良好にシミュレーションすることが可能になる。加えて、有限粗面などの境界による特定の物理的特性も有効に組み込むことができる。その上、BGK衝突演算子は、純粋に局所的であるが、自己無撞着性の体積力の算術演算は、近接情報だけで得ることができる。そのため、ボルツマン−BGK方程式のコンピュータ演算は、並列処理に効果的に適合させることができる。
格子ボルツマン定式化
ボルツマン方程式を解くことは、位置及び速度の位相空間において積分微分方程式の数値的評価を伴う点で重要な課題となる。位置だけでなく速度の位相空間を離散化できることが観測されたときに大幅な簡素化が行われた結果として、ボルツマン方程式の解法の効率的な数値アルゴリズムがもたらされた。流体力学の物理量は、高々最近傍情報に依存する単純和の項で記述することができる。従来の格子ボルツマン方程式の定式化は、速度
の離散集合上での粒子の発展を規定する格子ガスモデルに基づくものであったが、この方程式は、連続体ボルツマン方程式の離散化として第一原理から体系的に導くことができる。結果として、LBEは、格子ガス手法に関連する周知の問題の影響を受けない。従って、位相空間における連続体の分布関数f(x,v,t)を扱うのではなく、離散速度指数を表記した添字を有する離散分布の有限集合
を辿ることのみ必要とされる。巨視的記述ではないこの運動方程式を扱う主な利点は、システムの位相空間の増加が、問題の局所性により相殺されることである。
対称性の考慮により、速度値の集合は、位置座標空間にわたるときに特定の格子構造を形成するように選択される。このような離散値系の動力学は、形式
を有するLBEに従い、ここで、衝突演算子は通常は上述のBGK形式をとる。平衡分布形式を適切に選ぶことにより、格子ボルツマン方程式が適正な流体力学特性及び熱流体力学特性をもたらすことを理論的に明らかにすることができる。すなわち、
から導かれる流体力学的モーメントは、巨視的極限においてナビエ・ストークスの方程式に従う。これらのモーメントは、次式で定義される。
ここで、ρ、u、及びTはそれぞれ、流体密度、速度、及び温度、Dは、離散速度空間の次元(物理空間次元と等しくない)
である。
他の特徴及び利点は、図面及び請求項を含めて、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
LBMモデルの速度成分を示す図である。 LBMモデルの速度成分を示す図である。 物理プロセスシミュレーションシステムが辿る手順のフローチャートである。 マイクロブロックの斜視図である。 図3のシステムが用いる格子構造を示す図である。 図3のシステムが用いる格子構造を示す図である。 可変分解能技術を示す図である。 可変分解能技術を示す図である。 表面のファセットにおり影響を受ける領域を示す図である。 ボクセルから表面への粒子の移動を示す図である。 表面から表面への粒子の移動を示す図である。 表面動力学を実施する手順のフローチャートである。 異なるサイズのボクセル間の界面を示す図である。 可変分解能条件下でファセットとの相互作用をシミュレーションする手順のフローチャートである。 例示的な多孔質媒体モデルの概略図である。 例示的な両側サーフェルの概略図である。 音響吸収をモデル化するための例示的なシステムの概略図である。 他の例示的な多孔質媒体モデルの概略図である。 他の例示的な多孔質媒体モデルの概略図である。 別の例示的な多孔質媒体モデルの概略図である。 吸収係数を周波数の関数として示したグラフである。 吸収係数を周波数の関数として示したグラフである。 吸収係数を周波数の関数として示したグラフである。 吸収係数を周波数の関数として示したグラフである。 車両の内部を示す図である。 航空機着陸システムを示す図である。
A.音響吸収のための体積手法
多孔質物質による音響吸収、すなわち、音響抵抗、音響インピーダンス、その他は、音響工学における重要なテーマである。微視的スケールでは、多孔質媒体における音の伝播は、物質の位相的な複雑性に起因して特徴付けることが困難である。巨視的スケールでは、高空隙率の多孔質物質は、空気に対して修正された特性を有する流体領域として扱うことができる。このような媒体での音伝播は、2つの固有の周波数依存及び体積の物質特性:すなわち、特性インピーダンス(characteristic impedance)と複素音響波数(complex acoustic wave number)の形態で表すことができる。これらの特性は、異なる方法でモデル化することができる。例えば、特定の仮定条件下において、吸収物質における音伝播の所与の体積モデルは、2つの異なる媒体間の界面にて局所的に反応する周波数依存の複素インピーダンスの形態にすることができる。このようなインピーダンスモデルは、境界要素モデル(BEM)、有限要素モデル(FEM)、統計的エネルギー解析(SEA)法などの手法で用いることができ、周波数領域にける境界条件として実装することができる。
流れ誘起騒音に伴う問題において、好適な数値流体力学(CFD)及び/又は計算空力音響学(CAA)の数値的方法は、非線形であり、時間陽的な場合が多い。時間陽的解法において、時間領域の表面インピーダンス境界条件は、多孔性物質であることによる音響吸収のモデル化を可能にすることができる。しかしながら、時間領域の表面インピーダンス定式化が得られた場合でも、安定性と頑健性は、克服すべき困難な問題とすることができる。
以下でより詳細に説明する別の手法は、吸収物質を体積流体領域(volumetric fluid regions)としてモデル化し、音波(sound waves)が物質を通じて移動して運動量シンク(momentum sink)を介して散逸するようにすることを含む。これは、ダルシーの法則に従う物質の流れ抵抗に運動量シンクを関連付けることによって得られる、多孔質媒体を通る流れの巨視的モデル化方法と類似している。音響吸収モデル化において、所望の吸収挙動を得るために運動量シンクをどのようにして決定するかに関する問題がある。音響吸収が流れ抵抗と同じ物理的機構により規定される(少なくとも支配的となる)場合には、特定の多孔性物質の正確な流れ抵抗を達成するのに使用される同じ運動量シンク挙動はまた、当該物質の正確な音響吸収を達成するはずである。この手法は、あらゆる受動的で均質な多孔性物質に適用可能とすることができる。その上、この手法は、受動的、因果的及び実際の条件を満たすようにインピーダンスが実現されるので、数値安定性の問題が排除される。
この体積モデル化手法は、マサチューセッツ州Burlington所在のExa Corporationから入手可能なPowerFLOWシステムのような、格子ボルツマン法に基づいた時間陽的CFD/CAA解法と併せて用いることができる。巨視的連続体方程式の離散化に基づく方法とは違って、LBMは、「メゾスコピック」ボルツマン運動方程式から始めて、巨視的流体動力学を予測する。結果として得られる圧縮性非定常解法は、空力音響学及び純音響問題のような様々な複雑な流れの物理的特性を予測するのに用いることができる。多孔質媒体モデルは、HVACシステム、移動体エンジン区画、及び他の用途などを通るような流れのシミュレーションにおいて生じる、フィルタ、ラジエター、熱交換器、エバポレータ、及び他の構成要素など、様々な構成要素の流れ抵抗を表すのに使用される。
LBMベースのシミュレーションシステムの一般的な考察が以下で提供され、その後、音響吸収及び他の現象の体積モデル化手法、並びにこのような体積モデル化手法をサポートするのに用いることができる多孔質媒体境界モデルに関する考察を行う。
B.シミュレーション空間モデル
LBMベースの物理プロセスシミュレーションシステムにおいて、流体流量は、離散速度
の集合にて評価される分布関数値
により表すことができる。分布関数の動力学は、方程式(4)によって規定される。ここで、fi(0)は、次式で定義される平衡分布関数として知られている。

この式は、分布関数
の時間発展を記述する周知のボルツマン方程式である。左辺は、いわゆる「流動プロセス」に起因した分布の変化を表している。流動プロセスは、流体ポケットがグリッド位置で始まり、次いで速度ベクトルの1つに沿って次のグリッド位置に移動する場合のものである。この時点で、「衝突要因」、すなわち流体の始動ポケットに対する流体の近傍ポケットの作用が算出される。流体は、別のグリッド位置にのみ移動することができ、そのため、全ての速度の要素全てが同じ速度の倍数であるように、速度ベクトルを適切に選択する必要がある。
一次方程式の右辺は、上述の「衝突演算子」であり、流体のポケット間の衝突に起因した分布関数の変化を表している。ここで使用される衝突演算子の特定の形態は、Bhatnagar, Gross及びKrook(BGK)に起因する。この衝突演算子は、分布関数を二次方程式で与えられる規定値に近づけ、「平衡」形態となる。
このシミュレーションから、質量ρ及び流体速度uなどの従来の流体変数は、式(3)において単純な加算として得られる。ここで、ci及びwiの集合値はLBMモデルを定義する。
LBMモデルは、拡張可能なコンピュータプラットフォーム上で効率的に実装され、時間的に非定常の流れ及び複雑な境界条件において優れた頑健性で実行することができる。
ボルツマン方程式から流体系の運動の巨視的方程式を得る標準的技術は、完全なボルツマン方程式の逐次近似を考慮するチャップマン・エンスコッグ(Chapman−Enskog)法である。
流体系において、密度の微小変動は、音速で移動する。ガス系において、音速は一般に、温度によって決定される。流れにおける圧縮率の作用の重要性は、マッハ数として知られる、特性速度と音速との比によって測定される。
図1を参照すると、第1モデル(2D−1)100は、21の速度を有する2次元モデルである。これら21の速度のうち、1つ(105)は、移動しない粒子を表し、4つの速度の3つのセットは、正規化された速度(r)(110〜113)、正規化された速度の2倍(2r)(120〜123)、又は正規化された速度の3倍(3r)(130〜133)で、格子のx軸又はy軸の何れかに沿って正方向又は負方向の何れかの方向に移動する粒子を表し、4つの速度の2つのセットは、正規化された速度(r)(140〜143)又は正規化された速度の2倍(2r)で格子のx軸又はy軸の両方に対して移動する粒子を表す。
また、図2に示すように、第2モデル(3D−1)200は、39の速度を含む3次元モデルであり、この場合、各速度は、図2の矢印の1つによって表される。これら39の速度のうち、1つは、移動しない粒子を表し。6つの速度についての3つのセットは、正規化された速度(r)、正規化された速度の2倍(2r)、又は正規化された速度の3倍(3r)の何れかの速度で格子のx軸、y軸、又はz軸に沿って正方向又は負方向の何れかの方向に移動する粒子を表し、8つの速度は、正規化された速度(r)で格子のx軸、y軸、又はz軸の3つ全てに対して移動する粒子を表し、12の速度は、正規化された速度の2倍(2r)で格子のx軸、y軸、又はz軸のうちの2つに対して移動する粒子を表す。
101の速度を含む3D−2モデル、37の速度を含む2D−2モデルのような、より複雑なモデルを用いることもできる。これらの速度は、それぞれ表1及び表2に記載されているように各軸に沿った要素によってより明確に記述される。
101の速度からなる3次元モデル3D−2において、1つは、移動しない粒子を表し(グループ1)、6つの速度についての3つのセットは、正規化された速度(r)、正規化された速度の2倍(2r)、又は正規化された速度の3倍(3r)の何れかで格子のx軸、y軸、又はz軸に沿って正方向又は負方向の何れかの方向に移動する粒子を表し(グループ2、グループ4、グループ7)、8つの速度についての3つのセットは、正規化された速度(r)、正規化された速度の2倍(2r)、又は正規化された速度の3倍(3r)で格子のx軸、y軸、z軸の3つ全てに対して移動する粒子を表し(グループ3、グループ8、グループ10)、12の速度は、正規化された速度の2倍(2r)で格子のx軸、y軸、又はz軸のうちの2つに対して移動する粒子を表し(グループ6)、24の速度は、正規化された速度(r)及び正規化された速度の2倍(2r)で格子のx軸、y軸、又はz軸のうちの2つに対して移動し、残りの軸に対しては移動しない粒子を表し(グループ5)、24の速度は、格子のx軸、y軸、又はz軸の2つに対して正規化された速度(r)で移動し、残りの軸に対しては正規化された速度の3倍(3r)で移動する粒子を表す(グループ9)。
37の速度の2次元モデル2D−2において、1つは、移動しない粒子を表し(グループ1)、4つの速度についての3つのセットは、正規化された速度(r)、正規化された速度の2倍(2r)、又は正規化された速度の3倍(3r)で格子のx軸又はy軸の何れかに沿って正方向又は負方向の何れかの方向に移動する粒子を表し(グループ2、グループ4、グループ7)、4つの速度についての2つのセットは、正規化された速度(r)又は正規化された速度の2倍(2r)で格子のx軸又はy軸の両方に対して移動する粒子を表し、8つの速度は、格子のx軸及びy軸のうちの1つに対して正規化された速度(r)で移動し、他の軸に対しては正規化された速度の2倍(2r)で移動する粒子を表し、8つの速度は、格子のx軸及びy軸のうちの1つに対して正規化された速度(r)で移動し、他の軸に対しては正規化された速度の3倍(3r)で移動する粒子を表す。
上述のLBMモデルは、2次元及び3次元の両方における流れの数値シミュレーションのための効率的で頑健な速度動力学的モデルの特定のクラスを提供する。この種類のモデルは、その速度に関連する離散速度及び重みの特定のセットを含む。速度は、速度空間におけるデカルト座標の格子ポイントと一致し、特に格子ボルツマンモデルとして既知である正確で効率的な離散速度モデルの実装を可能にする。このようなモデルを用いることで、高い忠実度で流体をシミュレーションすることができる。
図3を参照すると、物理プロセスシミュレーションシステムが、流体流量のような物理プロセスをシミュレーション手順300に従って動作する。シミュレーションの前に、シミュレーション空間がボクセルの集合としてモデル化される(ステップ302)。通常、シミュレーション空間は、コンピュータ支援設計(CAD)プログラムを用いて生成される。例えば、CADプログラムを用いて、風洞内に位置付けられたマイクロデバイスを描画することができる。その後、CADプログラムによって生成されたデータは、適切な分解能を有する格子構造を加えて、シミュレーション空間内でオブジェクト及び表面を考慮するよう処理される。
格子の分解能は、シミュレーション中のシステムのレイノルズ数に基づいて選択することができる。レイノルズ数は、流れの粘性(ν)、流れにおけるオブジェクトの特性長(L)、及び流れの特性速度(u)に関連し、次式となる。
Re=uL/ν 式(5)
オブジェクトの特性長は、オブジェクトのラージスケールの特徴要素を表す。例えば、マイクロデバイスの周りの流れをシミュレーションしている場合、マイクロデバイスの高さは、特性長とみなすことができる。オブジェクトの小さな領域の周りの流れが対象である場合、シミュレーションの分解能を増大させることができ、或いは、増大した分解能の区域を対象領域の周りで利用することができる。ボクセルの次元は、格子の分解能が増大するにつれて減少する。
状態空間は、fi(x,t)として表され、ここでfiは、時間tでの3次元ベクトルxによって示された格子サイトでの状態iにおける単位体積当たりの要素又は粒子の数(すなわち、状態iでの粒子密度)を表している。既知の時間増分において、粒子の数は、単にfi(x)に示される。格子サイトの全ての状態の組合せは、f(x)として示される。
状態の数は、各エネルギーレベル内の可能性のある速度ベクトルの数によって決定される。速度ベクトルは、3次元x、y、及びz空間における整数の線形速度からなる。状態の数は、複数種のシミュレーションに対して増大する。
各状態iは、特定のエネルギーレベル(すなわち、エネルギーレベルが0、1又は2)で異なる速度ベクトルを表す。各状態の速度ciは、以下のように3次元の各々の「速度」で表される。
i =(ci,x, ci,y, ci,z) 式(6)
エネルギーレベルが0である状態は、何れの次元にも移動していない停止した粒子を表し、すなわち、Cstopped=(0,0,0)である。エネルギーレベルが1の状態は、3つの次元のうちの1つの速度が±1、他の2つの次元の速度が0である粒子を表す。エネルギーレベルが2である状態は、3つの次元全てにおける速度が±1であるか、又は3つの次元のうちの1つ速度が±2で他の2つの次元の速度が0である、粒子を表す。
3つのエネルギーレベルの可能性のある順列の全てを生成すると、合計で可能性のある39の状態が得られる(エネルギー0の状態が1つ、エネルギー1の状態が6つ、エネルギー3の状態が8つ、エネルギー4の状態が6つ、エネルギー8の状態が12、エネルギー9の状態が6つ)。
各ボクセル(すなわち、各格子サイト)は、状態ベクトルf(x)によって表される。状態ベクトルは、ボクセルのステータスを完全に定義し、39のエントリーを含む。39のエントリーは、エネルギー0の状態が1つ、エネルギー1の状態が6つ、エネルギー3の状態が8つ、エネルギー4の状態が6つ、エネルギー8の状態が12、エネルギー9の状態が6つに相当する。この速度集合を用いることによって、システムは、達成される平衡状態ベクトルについてマクスウェルボルツマン統計を生成することができる。
処理効率に関して、ボクセルは、マイクロブロックと呼ばれる2×2×2体積にグループ化される。マイクロブロックは、ボクセルの並列処理を可能にし、更にデータ構造に関連するオーバーヘッドを最小限にするように編成される。マイクロブロックにおけるボクセルの簡易表記は、ni(n)として定義され、ここで、nはマイクロブロック内の格子サイトの相対位置を表し、n∈{0、1、2・・・7}となる。図4にマイクロブロックを示す。
図5A及び図5Bを参照すると、表面S(図A)は、ファセットFαの集合としてシミュレーション空間に示される(図5B)。
S={Fα} 式(7)
ここで、αは特定のファセットを示すインデックスである。ファセットは、ボクセル境界に限定されないが、通常は、ファセットが比較的少数のボクセルに影響を及ぼすように、ファセットに隣接しているボクセルのサイズとほぼ同じか、又はそれよりも僅かに小さいサイズにされる。ファセットには、表面動力学を実施する目的で特性が割り当てられる。具体的には、各ファセットFαは、単位法線(nα)、表面積(Aα)、中心位置(xα)、及びファセットの表面動力学的特性を記述するファセット分布関数(fi(α))を有する。
図6を参照すると、処理効率を改善させるために、分解能の異なるレベルをシミュレーション空間の異なる領域で用いることができる。通常、オブジェクト655の周りの領域650が最も重要であり、従って、最も高い分解能を用いてシミュレーションされる。オブジェクトからの距離に伴って粘性の作用が減少するので、低いレベルの分解能(すなわち、拡大したボクセル体積)は、オブジェクト655から広がった距離で離間している領域660、665をシミュレーションするのに用いられる。同様に、図7に示すように、低いレベルの分解能は、オブジェクト775のあまり重要ではない特徴付近の領域770をシミュレートするのに用いることができ、一方、最高レベルの分解能は、オブジェクト775の最も重要な特徴付近の領域780をシミュレーションするのに用いられる。中心から離れた領域785は、最も低いレベルの分解能で最も大きなボクセルを用いてシミュレーションされる。
C.ファセットによって影響を受けるボクセルの識別
図3を参照すると、シミュレーション空間がモデル化されると(ステップ302)、1つ又はそれよりも多くのファセットによって影響を受けるボクセルが識別される(ステップ304)。ボクセルは、様々な形でファセットにより影響を受ける可能性がある。まず、1つ又はそれよりも多くのファセットが交差しているボクセルは、交差していないボクセルと比較して体積が小さいという点で影響を受ける。これは、ファセット及びそのファセットによって表される表面下の物質がボクセルの一部分を占有することに起因して生じる。部分因子Pf(x)は、ファセットの影響を受けないボクセルの部分(すなわち、流量がシミュレーションされる流体又は他の物質が占有される部分)を示す。交差していないボクセルにおいて、Pf(x)は1に等しい。
ファセットに粒子を移動させるか、又はファセットから粒子を受けとることによって1つ又はそれよりも多くのファセットと相互作用するボクセルはまた、ファセットから影響を受けるボクセルとして識別される。ファセットが交差している全てのボクセルは、ファセットから粒子を受けとる少なくとも1つの状態及び粒子をファセットに移動させる少なくとも1つの状態を含む。ほとんどの場合、追加のボクセルはこのような状態を含むことになる。
図8を参照すると、非ゼロの速度ベクトルciを有する各状態iに関して、ファセットFαは、平行六面体Gによって定義される領域から粒子を受けとり、又はその領域へ粒子を移動させ、当該平行六面体Gは、速度ベクトルciとファセットの単位法線nαとのベクトルドット積の大きさによって定義される高さ(|cii|)と、ファセットの表面積Aαによって定義される底辺とを有し、その結果、平行六面体Gの体積Vは、次式に等しい。
=|ciα|Aα 式(8)
ファセットFαは、状態の速度ベクトルがファセットに向けられたとき(|cii|<0)に体積Vから粒子を受けとり、状態の速度ベクトルがファセットから離れる方向に向けられたとき(|cii|>0)に粒子を領域に移動させる。以下で考察するように、この表現は、内側の角のような非凸形の特徴の近傍で生じる可能性がある条件である、他のファセットが平行六面体Gの一部を占有する場合には修正しなければならない。
ファセットFαの平行六面体Giaは、複数のボクセルの一部又は全てと重なる可能性がある。ボクセル又はその一部の数は、ボクセルのサイズに対するファセットのサイズ、状態のエネルギー、及び格子構造に対するファセットの配向に依存する。影響を受けるボクセルの数は、ファセットのサイズに伴って増加する。従って、上述のように、ファセットのサイズは通常、ファセットの近傍に配置されているボクセルのサイズとほぼ同じか又はそれよりも小さくなるように選択される。
平行六面体Gによって重なったボクセルN(x)の部分は、V(x)として定義される。この項を用いて、ボクセルN(x)とファセットFαとの間を移動する状態iの粒子の流束Γ(x)は、ボクセルとの重なり領域の体積(V(x))とボクセルにおける状態iの粒子の密度(Ni(x))とを乗算したものに等しくなる。
Γ(x)=Ni(x)V(x) 式(9)
平行六面体Gが1つ又はそれよりも多くのファセットと交差している場合には、以下の条件は真である。
=ΣVα(x)+ΣV(β) 式(10)
ここで、第1の総和は、Gによって重なった全てのボクセルに相当し、第2項は、Gと交差する全てのファセットに相当する。平行六面体Gが他のファセットと交差しない場合は、この式は、次式に約される。
=ΣV(x) 式(11)
D.シミュレーションの実行
1つ又はそれよりも多くのファセットによって影響を受けるボクセルが、識別されると(ステップ304)、タイマーが初期化されてシミュレーションを開始する(ステップ306)。シミュレーションの各時間増分の間、ボクセルからボクセルへの粒子の移動は、粒子と表面のファセットとの相互作用を考慮した移流段階によりシミュレーションされる(ステップ308〜316)。次に、衝突段階(ステップ318)は、各ボクセル内の粒子の相互作用をシミュレーションする。その後、タイマーが増分される(ステップ320)。増分したタイマーが、シミュレーションの完了を示していない場合(ステップ322)には、移流段階及び衝突段階(ステップ308〜320)を繰り返す。増分タイマーが、シミュレーションの完了を示している場合(ステップ322)には、シミュレーションの結果が、記憶及び/又は表示される(ステップ324)。
1.表面についての境界条件
表面との相互作用を正確にシミュレーションするために、各ファセットは、4つの境界条件を満たさなければならない。第1に、ファセットが受けとる粒子の合計質量は、そのファセットによって移動された粒子の合計質量と等しくなければならない(すなわち、ファセットへの正味質量流束は0に等しくなければならない)。第2に、ファセットが受けとる粒子の合計エネルギーは、そのファセットによって移動された粒子の合計エネルギーと等しくなければならない(すなわち、ファセットへの正味エネルギー流束は0に等しくなければならない)。これら2つの条件は、各エネルギーレベル(すなわち、エネルギーレベルが1及び2)での正味質量流束が0に等しいことを要求することによって満たすことが可能となる。
他の2つの境界条件は、ファセットと相互作用する粒子の正味運動量に関連する。本明細書では滑り面と呼ばれる、表面摩擦の無い表面に関して、接線方向の正味運動量流束は0と等しくなければならず、法線方向の正味運動量流束は、ファセットでの局所圧力に等しくなければならない。従って、ファセットの法線nαに垂直である受けとった合計の運動量と移動された合計の運動量の成分(すなわち、接線成分)は等しくなければならず、他方、ファセットの法線nαと平行である、受けとった合計の運動量と移動された合計の運動量の成分(すなわち、法線成分)間の差分は、ファセットでの局所圧力に等しくなければならない。非滑り面について、表面の摩擦は、摩擦量に関連する因子により、ファセットが受けとった粒子の合計の接線運動量に比例して、ファセットにより移動された粒子の合計の接線運動量を減少させる。
2.ボクセルからファセットへの収集
粒子と表面との間の相互作用をシミュレーションする第1ステップとして、粒子がボクセルから集められ、ファセットに提供される(ステップ308)。上述のように、ボクセルN(x)とファセットFαとの間の状態iの粒子の流束は、次式で示される。
Γ(x)=Ni(x)V(x) 式(12)
このことから、ファセットFαに向けられる各状態i(ciα<0)に関して、ボクセルがファセットFαに提供する粒子の数は、次式で示される。
(x)が非0値を有するボクセルのみを合計しなければならない。上述のように、ファセットのサイズは、V(x)が小さな数のボクセルのみに対して非ゼロ値を有するように選択される。V(x)とPf(x)は、非整数値とすることができるので、Γα(x)は、実数として記憶及び処理される。
3.ファセットからファセットへの移動
次に、粒子がファセット間で移動する(ステップ310)。ファセットFαの流入状態(ciα<0)における平行六面体Gが、別のファセットFβと交差する場合、ファセットFαが受けとった状態iの粒子の一部は、ファセットFβから得られることになる。詳細には、ファセットFαは、前回の時間増分の間、ファセットFβが生成する状態iの粒子の一部を受けとることになる。この関係は図10に示され、ここでは、ファセットFβと交差する平行六面体Gの一部1000は、ファセットFαと交差する平行六面体Gの一部1005と等しい。上述のように、交差部分はV(β)として示される。この項を用いると、ファセットFβとファセットFαとの間の状態iの粒子の流束を次式で記述することができる。
Γ(β,t−1)=Γi(β)V(β)/V 式(14)
ここで、Γi(β,t−1)は、前回の時間増分の間にファセットFβによって生成された状態iの粒子の基準量である。このことから、ファセットFαに向けられる各状態i(ciα<0)に関して、ファセットFαに他のファセットが提供する粒子の数は、次式で表される。
ファセットへの状態iの粒子の全流束は、次式となる。
ファセット分布関数とも呼ばれる、ファセットについての状態ベクトルN(α)は、ボクセル状態ベクトルの54のエントリーに対応する54のエントリーを有する。ファセット分布関数N(α)の入力状態は、粒子の流束を体積Vで除算した値に等しくなるように設定される。
iα<0において、
i(α)=ΓiIN(α)/V 式(17)
ファセット分布関数は、ファセットから出力流束を生成するためのシミュレーションツールであり、必ずしも実際の粒子を表すとは限らない。精密な出力流束を生成するために、値は、分布関数の他の状態に割り当てられる。外部の状態は、内部の状態を取り込むために上述の技術を用いて取り込まれる。
iα≧0である場合、
i(α)=ΓiOTHER(α)/V 式(18)
ここでΓiOTHER(α)は、ΓiIN(α)を生成するため上述の技術を用いて決定されるが、流入状態(ciα<0)以外の状態(ciα≧0)にこの技術を適用する。代替の手法において、ΓiOTHER(α)は、前回の時間ステップからΓiOUT(α)の値を用いて次式のように生成することができる。
ΓiOTHER(α,t)=ΓiOUT(α,t−1) 式(19)
平行状態(ciα=0)に関して、V及びV(x)は共に0である。Ni(α)についての式において、V(x)は分数の分子(ΓiOTHER(α)ついての式により)に表され、Vは、分数の分母(Ni(α)についての式により)に表される。従って、平行状態についてのNi(α)は、V及びV(x)がゼロに近づくにつれてNi(α)の極限として決定される。
速度ゼロを有する状態の値(すなわち、静止状態、及び状態が(0,0,0,2)と(0,0,0,−2))は、温度及び圧力の初期条件に基づいてシミュレーション開始時に初期化される。次いで、これら値は時間と共に調整される。
4.ファセット表面動力学の実行
次に、表面動力学が、上記で考察した4つの境界条件を満たすよう各ファセットについて実行される(ステップ312)。ファセットについての表面動力学を実行する手順が、図11に示されている。最初に、ファセットFαに合計の法線方向の運動量は、そのファセットにおける粒子の合計の運動量P(α)を決定することによって次式のように決定される(ステップ1105)。
全てのiに関して、
このことから、法線方向の運動量Pn(α)は、次式で決定される。
n(α)=nα・P(α) 式(21)
この法線方向の運動量は、プッシュ/プル技術を用いて排除され(ステップ1110)、Nn-(α)を生成する。この技術に従って、粒子は、法線運動量のみに影響を及ぼすようにして状態間を移動する。プッシュ/プル技術は、米国特許第5,594,671号に記載され、引用により本明細書に組み込まれる。
その後、Nn-(α)の粒子が衝突して、ボルツマン分布Nn-β(α)をもたらす(ステップ1115)。流体動力学を実行することに関して以下で説明するように、ボルツマン分布は、衝突規則のセットをNn-(α)に適用することによって達成することができる。
ファセットFαに対する流出流束分布が、流入流束分布及びボルツマン分布に基づいて決定される(ステップ1120)。最初に、流入流束分布Γi(α)とボルツマン分布との間の差分が、次式で決定される。
ΔΓi(α)=ΓiIN(α)−Nn-βi(α)V 式(22)
この差分を用いると、流出流束分布は、次式となる。
αi>0である場合、
ΓiOUT(α)=Nn-βi(α)V−.Δ.Γi*(α) 式(23)
ここでi*は、状態iとは反対の方向を有する状態である。例えば、状態iが(1,1,0,0)である場合、状態i*は、(−1,−1,0,0)となる。表面摩擦及び他の要因を考慮すると、流出流束分布は、次式のように更に改良することができる。
αi>0である場合、
ここで、Cfは表面摩擦の関数であり、tはnαに垂直な第1接線ベクトルであり、tはnα及びTの両方に垂直な第2接線ベクトルであり、ΔNj,1及びΔNj,2は、状態iのエネルギー(j)及び示された接線ベクトルに対応する分布関数である。この分布関数は、次式に従って決定される。
ここで、jは、エネルギーレベル1の状態において1に等しく、エネルギーレベル2の状態において2に等しい。
ΓiOUT(α)についての方程式の各項の機能は、以下の通りである。第1項及び第2項は、衝突がボルツマン分布を生成するのに有効である範囲まで、法線方向の運動量流束の境界条件を実現するが、接線運動量の流束異常も含む。第3項及び第4項は、不十分な衝突に起因して離散性作用又は非ボルツマン構造により生じる可能性がある、この異常を補正する。最後に、第3項は、表面上の接線運動量流束における所望の変化を実施するよう指定量の表面摩擦を加える。摩擦係数Cfの生成について以下に説明する。ベクトル操作を含む全ての項は、シミュレーションを開始する前に算出可能な幾何学的因子である点に留意されたい。
このことから、接線速度は次式で決定される。
i(α)=(P(α)−Pn(α)nα)/ρ 式(26)
ここで、ρはファセット分布の密度である。
上述のように、流入流束分布とボルツマン分布との間の差分は次式で決定される。
ΔΓi(α)=ΓiIN(α)−Nn-βi(α)V 式(28)
流出流束分布は次式のようになる。
ΓiOUT(α)=Nn-βi(α)V−ΔΓi*(α)+Cf(nαi)[Nn-βi*(α)−Nn-βi(α)]V 式(29)
これは、従来技術によって決定される流出流束分布の第1の2つの線に相当するが、異常な接線流束の補正を必要としない。
何れの手法を用いても、結果として得られる流束分布は、運動量流束の条件の全てを満たし、すなわち、次式となる。
ここで、pαは、ファセットFαでの平衡圧力であり、粒子をファセットに提供するボクセルの平均密度及び温度値に基づき、uαは、ファセットでの平均速度である。
質量及びエネルギー境界条件を確実に満たすために、入力エネルギーと出力エネルギーとの間の差分は、各エネルギーレベルjについて以下のように測定される。
ここでインデックスjは、状態iのエネルギーを意味する。次いで、このエネルギーの差分を用いて、差分項を生成する。
cjinα>0である場合、
この差分項を用いて流出流束を修正すると、流束は以下のようになる。
cjinα>0である場合、
ΓαjiOUTf=ΓαjiOUT+δΓαji 式(33)
この演算は、接線運動量流束を不変にしたまま、質量及びエネルギー流束を補正する。流量がファセットの近傍でほぼ均一であり、平衡化状態に近い場合には、この調整は僅かなものとなる。調整後、結果として生じる法線の運動量流束は、近傍平均特性と近傍の非均一又は非平衡特性に起因した補正とに基づいて、平衡圧力である値に僅かに変更される。
5.ボクセルからボクセルへの移動
図3を再度参照すると、粒子は、3次元の直線的格子に沿ってボクセル間を移動する(ステップ314)。このボクセル間の移動は、ファセットと相互作用しないボクセル(すなわち、表面近くに位置していないボクセル)上で実施される唯一の移動演算である。典型的なシミュレーションにおいては、表面と相互作用するほど十分に近くに位置していないボクセルが大多数のボクセルを構成している。
個別の状態の各々は、3次元:x、y、及びzの各々において整数倍の速度で格子に沿って移動する粒子を表す。整数倍の速度は、0、±1、及び±2を含む。速度の符号は、粒子が対応する軸に沿って移動する方向を示している。
表面と相互作用しないボクセルに関して、移動演算は、コンピュータで計算する上では極めて単純である。状態の母集団全体は、時間増分毎の間に現在のボクセルから目的のボクセルへ移動する。同時に、目的のボクセルの粒子は、当該ボクセルからその粒子自体の目的のボクセルへ移動する。例えば、+1x及び+1yの方向(1,0,0)で移動しているエネルギーレベル1の粒子は、その現在のボクセルからx方向で+1上で他の方向で0であるボクセルに移動する。粒子は、最終的には、移動(1,0,0)の前に有していた同じ状態の目的のボクセルで終わる。ボクセル内での相互作用は、他の粒子及び表面との局所的な相互作用に基づいて、当該状態に粒子数を変える可能性が高い。そうでない場合、粒子は、同一の速度及び方向で格子に沿って移動し続けることになる。
移動演算は、1つ又はそれよりも多くの表面と相互作用するボクセルについては僅かに複雑になる。これは、1つ又はそれよりも多くの部分粒子がファセットに移動される結果となる可能性がある。このような部分粒子のファセットへの移動は、ボクセルに残っている部分粒子を生じさせる。これら部分粒子は、ファセットによって占められるボクセルに移動される。例えば、図9を参照すると、ボクセル905についての状態iの粒子の一部分900が、ファセット910に移動すると(ステップ308)、残りの部分915は、ファセット910が位置するボクセル920に移動され、該ボクセル920から状態iの粒子がファセット910に配向される。従って、状態母集団が25に等しく、V(x)が0.25に等しい(すなわち、ボクセルの4分の1が平行六面体Gと交差する)場合には、6.25の粒子がファセットFαへ移動し、18.75の粒子がファセットFαによって占有されるボクセルも移動されることになる。複数のファセットが単一のボクセルと交差するので、1つ又はそれよりも多くのファセットによって占有されるボクセルN(f)へ移動される状態iの粒子の数は、次式で示される。
ここで、N(x)はソースボクセルである。
6.ファセットからボクセルへの散乱
次に、各ファセットから外に向かう粒子は、ボクセルへ散乱する(ステップ316)。基本的に、このステップは、ボクセルからファセットに粒子が移動する収集ステップの逆である。ファセットFαからボクセルN(x)に移動する状態iの粒子の数は、次式で表される。
ここで、Pf(x)は、部分ボクセルの体積減少を表す。このことから、各状態iに関して、ファセットからボクセルN(x)に向けられている粒子の総数は、次式となる。
ファセットからボクセルに粒子を散乱させた後、これらと周囲のボクセルから移流を生じた粒子とを結合し、その結果を整数化すると、特定のボクセルにおける特定の方向は、アンダーフロー(負となる)か、オーバーフロー(8ビット実装の場合は255を超える)の何れかとなる可能性がある。これは、質量、運動量、及びエネルギーが許容範囲の値に一致するよう切り捨てられた後、これら物理量の増加(gain)又は減少(loss)の何れかをもたらす結果となる。このような現象の発生を防ぐために、境界外の質量、運動量、エネルギーは、問題を生じている状態の切り捨ての前に集計される。状態が属しているエネルギーに関して、増加(アンダーフローに起因して)又は減少(オーバーフローに起因して)した値に等しい質量の量は、同じエネルギーを有し且つオーバーフロー又はアンダーフローの影響を受けない無作為に(又は順次的に)選択された状態に加えられる。この質量及びエネルギーの付加に起因する追加された運動量は、集計され、切り捨てによる運動量に追加される。同じエネルギー状態に単に質量を追加することにより、質量カウンターがゼロに達したときに質量及びエネルギーの両方が補正される。最後に、運動量は、運動量アキュームレータがゼロに戻るまで、プッシュ/プル技術を用いて補正される。
7.流体力学の実行
最後に、流体動力学が実行される(ステップ318)。このステップは、マイクロ動力学又はイントラボクセルの演算と呼ぶことができる。同様に、移流手法は、インターボクセル演算と呼ぶことができる。以下で説明するマイクロ動力学演算は、ファセットにて粒子を衝突させて、ボルツマン分布を発生させるのにも用いることができる。
格子ボルツマン方程式モデルにおいて、流体動力学は、BGK衝突モデルとして既知である特定の衝突演算子によって確保される。この衝突モデルは、実際の流体系における分布の動力学を模擬する。この衝突プロセスは、式1及び式2の右辺によって明確に記述することができる。移流ステップ後、流体系の保存された物理量、特に密度、運動量、及びエネルギーは、式3を用いて分布関数から得られる。これらの物理量から、式(2)の
で示される平衡分布関数は、式(4)により十分に定められる。表1に記載の速度ベクトル集合ciと重量の選択肢の両方は、方程式2と共に、巨視的挙動が正確な流体力学方程式に従うことを保証する。
D.可変分解能
図12を参照すると、可変分解能(図6及び図7に例示し、上述したような)は、異なるサイズのボクセル(以下では、粗いボクセル1200と微細ボクセル1205と呼ぶ)を用いる。(以下の考察では、2つの異なるサイズを有するボクセルを参照し、記載される技術は、追加の分解能レベルを提供するよう3又はそれ以上の異なるサイズのボクセルに適用できることを理解されたい。)粗いボクセルと微細ボクセルとの界面は、可変分解能(VR)界面1210と呼ばれる。
可変分解能が、表面又はその近傍で利用される場合、ファセットは、VR界面の両側でボクセルと相互作用することができる。これらのファセットは、VR界面ファセット1215(FαIC)又はVR微細ファセット1220(FαIF)として分類される。VR界面1215は、VR界面の粗い側に位置し、微細ボクセルに延びる粗い平行六面体1225を有するファセットである。(粗い平行六面体は、ciが粗いボクセルの寸法に応じた大きさにされたものであり、微細平行六面体は、ciが微細ボクセルの寸法に応じた大きさにされたものである。)VR微細ファセット1220は、VR界面の微細側に位置し、粗いボクセルにまで延びる微細平行六面体1230を有するファセットである。界面ファセットに関連する処理はまた、粗いファセット1235(FαC)及び微細ファセット1240(FαF)との相互作用を含むことができる。
VRファセットの両方のタイプに関して、表面動力学は、微細スケールで実行され、上述のように演算を行う。しかしながら、粒子がVRファセットとの間で移流する方法に関しては、VRファセットは他のファセットとは異なる。
VRファセットとの相互作用は、図13に示した可変分解能手順1300を用いて処理される。この手順のほとんどのステップは、非VRファセットとの相互作用について上述した同等のステップを用いて実行される。手順1300は、2つの位相を含む粗い時間ステップ(すなわち、粗いボクセルに対応する時間間隔)の間に実行され、該2つの位相は各々、微細な時間ステップに対応する。ファセットの表面動力学は、各微細時間ステップの間に実行される。このため、VR界面ファセットFαICは、完全に同じサイズ及び向きにされた2つの微細ファセットと見なされ、それぞれ、黒ファセットFαICb及び赤ファセットFαICrと呼ばれる。黒ファセットFαICbは、粗い時間ステップ内の第1の微細時間ステップと関連しており、他方、赤ファセットFαICrは、粗い時間ステップ内の第2の微細時間ステップと関連している。
最初に、粒子は、第1の表面間移流段階によりファセット間を移動(移流)する(ステップ1302)。粒子は、重み付け係数V-αβで黒ファセットFαICbから粗いファセットFβCへ移動され、V-αβは、ファセットFαから延びて且つファセットFβの後方にある微細の平行六面体(図12の1245)のブロック化されていない部分を差し引いた、ファセットFαから延びて且つファセットFβの後方にある粗い平行六面体(図12の1225)ブロック化されていない部分の体積に相当する。微細ボクセルについてのciの大きさは、粗いボクセルについてのciの大きさの2分の1である。上述のように、ファセットFαについての平行六面体の体積は、次式で定義される。
=|ciα|Aα 式(37)
従って、ファセットの表面積Aαは、粗い平行六面体と微細の平行六面体との間で変化しないので、また、単位法線nαは常に大きさが1であるので、ファセットに対応する微細の平行六面体の体積は、そのファセットについての対応する粗い平行六面体の体積の2分の1である。
粒子は、重み付け係数Vαβで粗いファセットFαCから黒ファセットFβICbへ移動され、該Vαβは、ファセットFαから延びて且つファセットFβの後方にある微細の平行六面体のブロック化されていない部分の体積に相当する。
粒子は、重み付け係数Vαβで赤ファセットFαICrから粗いファセットFβCへ移動され、更に、重み付け係数V-αβで粗いファセットFαCから赤ファセットFβICrへ移動される。
粒子は、Vαβの重み付け係数で赤ファセットFαICrから黒ファセットFβICbへ移動される。この段階において、黒から赤への移流は発生しない。更に、黒ファセット及び赤ファセットは、連続した時間ステップを表すので、黒から黒への移流(又は赤から赤への移流)が発生することはない。同様の理由から、この段階における粒子は、重み付け係数Vαβで赤ファセットFαICrから微細ファセットFβIF又はFβFへ移動され、更に、同じ重み付け係数で微細ファセットFαIF又はFαFから黒ファセットFαICbへ移動される。
最後に、粒子は、同じ重み付け係数で微細ファセットFαIF又はFαFから他の微細ファセットFβIF又はFβFへ移動され、更に、重み付け係数VCαβで粗いファセットFαCから他の粗いファセットFCへ移動され、VCαβは、ファセットFαから延びて且つファセットFβの後方にある粗い平行六面体のブロック化されていない部分の体積に相当する。
粒子が表面間を移流した後、粒子は、第1の収集段階(ステップ1304〜1310)においてボクセルから集められる。粒子は、微細ファセットFαFにおいて微細平行六面体を用いて微細ボクセルから集められ(ステップ1304)、また、粗いファセットFαCにおいて、粗い平行六面体を用いて粗いボクセルから集められる(ステップ1306)。次に、粒子は、黒ファセットFαIRbにおいて、及び微細VRファセットFαIFにおいて、微細の平行六面体を用いて粗いボクセル及び微細ボクセルの両方から集められる(ステップ1308)。最後に、粒子は、赤ファセットFαIRrにおいて、粗い平行六面体と微細の平行六面体との間の差分を用いて粗いボクセルから集められる(ステップ1310)。
次に、微細ボクセル又はVRファセットと相互作用する粗いボクセルは、微細ボクセルの集合に展開される(ステップ1312)。単一の粗い時間ステップ内で粒子を微細ボクセルに送ろうとする粗いボクセルの状態が展開される。例えば、ファセットと交差しない粗いボクセルの適切な状態は、図4のマイクロブロックのように配向された8つの微細ボクセルに展開される。1つ又はそれよりも多くのファセットと交差する粗いボクセルの適切な状態は、完全微細ボクセル及び/又はどのようなファセットとも交差していない粗いボクセルの一部に相当する部分微細ボクセルの集合に展開される。その展開から生じた粗いボクセルと微細ボクセルについての粒子密度Ni(x)は等しいが、微細ボクセルは、粗いボクセルの部分因子及び他の微細ボクセルの部分因子とは異なる部分因子Pfを有することができる。
その後、表面動力学は、微細ファセットFαIF及びFαFについて実行され(ステップ1314)、更に黒ファセットFαICbについて実行される(ステップ1316)。動力学は、図11に示す上記で考察した手順を用いて実行される。
次に、粒子は、実際の微細ボクセルと、粗いボクセルの展開により生じた微細ボクセルとを含む、微細ボクセル間で移動される(ステップ1318)。粒子の移動が完了すると、粒子は、微細ファセットFαIF及びFαFから微細ボクセルへ散乱される(ステップ1320)。
粒子はまた、黒ファセットFαICbから微細ボクセル(粗いボクセルを展開することにより生じる微細ボクセルを含む)へ散乱される(ステップ1322)。表面が存在しない時点でボクセルが粒子を受けとった場合、粒子は微細ボクセルへ散乱される。詳細には、ボクセルが実際の微細ボクセル(粗いボクセルの展開により生じた微細ボクセルではなく)であるとき、又はボクセルN(x)を超える1速度単位であるボクセルN(x+ci)が実際の微細ボクセルであるとき、或いは、ボクセルN(x)を超える1速度単位であるボクセルN(x+ci)が粗いボクセルの展開により生じた微細ボクセルであるときに、粒子はボクセルN(x)へ散乱される。
最後に、第1の微細時間ステップは、微細ボクセル上で流体動力学を実行することによって完了する(ステップ1324)。流体力学が実行されるボクセルは、粗いボクセルを展開させたことにより生じた微細ボクセルを含まない(ステップ1312)。
手順1300は、第2の微細時間ステップの間、同様のステップを実行する。最初に、粒子は、第2の表面間移流段階において表面間を移動される(ステップ1326)。粒子は、黒ファセットから赤ファセットへ、黒ファセットから微細ファセットへ、微細ファセットから赤ファセットへ、及び微細ファセットから微細ファセットへ移流される。
粒子が表面間を移流した後、粒子は、第2の収集段階(ステップ1328〜1330)においてボクセルから集められる。粒子は、赤ファセットFαIRrについて微細の平行六面体を用いて微細ボクセルから集められる(ステップ1328)。粒子はまた、微細ファセットFαF及びFαIFについて、微細の平行六面体を用いて微細ボクセルから集められる(ステップ1330)。
その後、表面動力学は、上述のように微細ファセットFαIF及びFαFについて実行され(ステップ1332)、粗いファセットFαCについて実行され(ステップ1334)、更に赤ファセットFαICrについて実行する(ステップ1336)。
次に、粒子は、微細分解能を用いてボクセル間を移動され(ステップ1338)、その結果、粒子は、微細ボクセル及び粗いボクセルを表す微細ボクセルとの間で移動するようになる。次いで、粒子は、粗い分解能を用いてボクセル間を移動され(ステップ1340)、その結果、粒子は、粗いボクセルとの間で移動するようになる。
次に、結合ステップにおいて、粗いボクセルを表す微細ボクセル(すなわち、粗いボクセルの展開により生じた微細ボクセル)が、粗いボクセルに合体される間、粒子は、ファセットからボクセルへ散乱される(ステップ1342)。この結合ステップにおいて、粒子は、粗い平行六面体を用いて粗いファセットから粗いボクセルへ、微細の平行六面体を用いて微細ファセットから微細ボクセルへ、微細の平行六面体を用いて赤ファセットから微細ボクセル又は粗いボクセルへ、及び粗い平行六面体と微細の平行六面体との間の差分を用いて黒ファセットから粗いボクセルへ散乱される。最後に、流体動力学が、微細ボクセル及び粗いボクセルについて実行される(ステップ1344)。
F.多孔質媒体界面モデル
多孔質媒体(PM)を通る流体流れの抵抗は、一般に、ダルシーの法則によって記述され、これは、2点間の圧力降下は、流量「ρu」と2点間の距離Lとに比例し、すなわち、
p2−p1=σLρu
であるとされ、ここで「σ」はPM抵抗率である。1に近い高空隙率Φ(空隙率(0と1の間)はPM細孔の体積比として定義される)のPMを通る流れにおいて、PMと流体との間の界面での流れの詳細要素は無視することができる。しかしながら、低空隙率のPMについては、界面の作用は、流れ音響特性のような特定のタイプの用途においては大きな影響を与える場合がある。
例えば、図14は、空隙率Φの多孔質媒体の界面1401に向かって流れる流体を示している。界面1401上の単位面積1402において、透過可能で且つ流体が流れることができる表面の少量部分はΦである。対照的に、PM固体により遮断される表面の少量部分は、1−Φである。その結果、表面上の各単位面積における流体FのΦ少量部分のみがPMに流入することができ、流体Fの少量部分1−Φは、PM固体壁により遮断され、界面1401の流体側上に留まる。LBM手法のような動力学的手法において、このような部分的な流体透過は、効率的に実現することができる。流体は、流体粒子、すなわち、質量運動量エネルギー流束、及び粒子分布のような流体流束によって表されるので、粒子のΦ少量部分は、粒子移流中にPM内に移動することが許され、粒子の1−Φ少量部分は、PM固体壁境界条件(BC)によって抑制される。ここで、流体粒子は、流体力学の粒子分布又は流束と、質量流束、運動量流束、及びエネルギー流束などの熱力学的特性とを含むことができる。加えて、流体粒子又は要素は、質量、密度、運動量、圧力、速度、温度、及びエネルギーなどの特性を含むことができる。その上、要素は、本明細書では網羅して明らかにはされないが、あらゆる流体、流れ、又は熱力学に関連する物理量と関連付けることができる。
摩擦壁(反発又は乱流壁)BC又は無摩擦壁BCの何れかを適用することができる。PMに移動することが許された粒子の少量部分は、界面に垂直な方向で質量及び運動量条件に影響を及ぼす。界面における接線方向の挙動について、無摩擦壁又は摩擦壁BCを適用することができる(「典型的な」壁境界についてと同様)。無摩擦壁BCは、界面での接線運動量の流束を修正しないことにより、表面接線方向の流体速度を維持する。摩擦壁BCは、接線方向の運動量流束を変更し、例えば、非滑動壁境界条件又は乱流壁モデルを得る。これらの壁BCは、壁の前後で質量流束がゼロであることを確保する。空隙率Φが1に等しい場合、PMの壁部分は効果的に消失し、部分壁モデルはその作用がなくなる。
流体からPM内に通過する粒子の少量部分は、PMの空隙率により制御されるが、PMから離れる粒子は、流体側からの固体障害物と衝突するものがないので、自由に移動することができる。これらの粒子は、PMに流入するのを阻止された粒子と共に、流体側内への総粒子流を形成する。
PM界面Xは、図15に示すように、いわゆる両側表面要素(すなわち、サーフェル(surfel))によって記述することができる。このような両側サーフェルにおいて、ペアのサーフェルSの集合は、内側表面Aと外側表面Bとを有する二重層状表面を形成する。内側表面Aは、PMと相互作用し、外側表面Bは、流体領域Fdと相互作用する。内側表面Aと外側表面Bとの間に間隙は存在しない。コンピュータ演算の便宜上、各内側表面は、ペアの外側サーフェルと全く同じ形状及びサイズを有し、また、各内側表面は、ペアの外側サーフェルとのみ接触している。標準的なサーフェル収集及び散乱方式は、表面A、Bの各側で実施され、その境界条件では、流体側Fから流入する粒子の少量部分Φfが、PM側を通過し、PM側からの流入粒子ΦPMの全てが流体側Fを通過するとされている。この手法の利点として、複雑なPM界面の扱いが簡素化されること、保存則が完全に達成されること、及びPM界面上の指定の流体境界条件の実現が容易であることが挙げられる。
実際には、この手法は、PM厚みに比例しないPM界面抵抗を導入し、従って、ダルシーの法則の近似方式に含めることはできない。この手法は、PM界面での流れ詳細要素を考慮し、音響吸収のモデル化のような特定のタイプの流れ問題のシミュレーション結果を改善する。
例えば、図16を参照すると、音響吸収をモデル化するシステム1600において、流体流領域FFは、吸音特性を有するPM材料により占められた領域PMに隣接することができ、PM界面Xは、流体流領域FFと領域PMとの間の界面を提供し、壁界面Yは、領域PMと壁Wとの間の界面を提供する。流体流領域FF及び領域PMは、実際には、異なる特性(例えば、領域PMにおいては、増加インピーダンスを用いて、PMインピーダンスの存在を考慮することができる)を有する2つの別個のシミュレーション空間として扱うことができ、2つのシミュレーション空間FF、PM間の移動Φ及び1−Φは、上述mのように、PM界面の特性により規定される。
多孔性物質による音響吸収は、音響工学においける重要なテーマである。微視的スケールでは、多孔質媒体における音の伝播は、物質の位相的な複雑性に起因して特徴付けることが困難である。巨視的スケールでは、高空隙率の多孔質物質は、空気に対して修正された特性を有する流体領域として扱うことができる。このような媒体での音伝播は、2つの固有の周波数依存及び体積の物質特性:すなわち、特性インピーダンスと複素音響波数の形態で表すことができる。特定の仮定条件下において、吸収物質における音伝播の所与の体積モデルは、2つの異なる媒体間の界面にて局所的に反応する周波数依存の複素インピーダンスの形態にすることができる。例えば、境界要素モデル(BEM)、有限要素モデル(FEM)、統計的エネルギー解析(SEA)法などのインピーダンスモデルは、周波数領域にける境界条件として実装される。
流れ誘起騒音に伴う問題において、好適な数値流体力学(CFD)及び/又は計算空力音響学(CAA)の数値的方法は、非線形であり、時間陽的な場合が多い。時間陽的解法において、時間領域の表面インピーダンス境界条件は、同様に、多孔性物質であることによる音響吸収のモデル化を可能にすることができる。しかしながら、時間領域の表面インピーダンス定式化が得られた場合でも、安定性と頑健性は、克服すべき困難な問題であると思われる。例示的な手法は、吸収物質を体積流体領域としてモデル化し、音波が物質を通じて移動して運動量シンクを介して散逸させるようにすることを含む。これは、ダルシーの法則に従う物質の流れ抵抗に運動量シンクを関連付けることによって得られる、多孔質媒体を通る流れの巨視的モデル化方法に関連している。例示的な音響吸収モデル化方法において、所望の吸収挙動を得るために運動量シンクをどのようにして決定するかに関する問題がある。音響吸収が流れ抵抗と同じ物理的機構により規定される(少なくとも支配的となる)場合には、特定の多孔性物質の正確な流れ抵抗を達成するのに使用される同じ運動量シンク挙動はまた、当該物質の正確な音響吸収を達成するはずである。この手法は、あらゆる受動的で均質な多孔性物質に対して成り立つはずある。その上、適切である(すなわち、受動的、因果的及び実際の条件が満たされる)ようにインピーダンスが実現されるので、数値安定性の問題が排除されるはずである。
例示的な手法によれば、従来のCFDに対する代替の数値法として最近の20年にわたり発展した格子ボルツマン法(LBM)に基づいた時間陽的CFD/CAA解法を用いることができる。巨視的連続体方程式の離散化に基づく方法とは違って、LBMは、「メゾスコピック」ボルツマン運動方程式から始めて、巨視的流体動力学を予測する。結果として得られる圧縮性非定常解法は、空力音響学及び純音響問題のような様々な複雑な流れの物理的特性を予測するのに用いることができる。多孔質媒体モデルは、HVACシステム、移動体エンジン区画、及び他の用途などを通るような流れのシミュレーションにおいて生じる、フィルタ、ラジエター、熱交換器、エバポレータ、及び他の構成要素など様々な構成要素の流れ抵抗を表すのに使用される。
空隙率がΦ=1に近い均質で受動的な吸収物質内部の音波の伝播は、物質の特性インピーダンスZc(ω)と複素波数k(ω)により巨視的に完全に特徴付けられる。様々な多孔質及び繊維性物質に関する測定を実施することにより、Delany−Bazley又はAllard−Champoux 3パラメータモデルなどの多くの半経験的モデルが導かれる。例えば、Allard−Champoux 3パラメータモデルは、次式で得られる。

ここで、ρ0は空気の密度、c0は空気中の音速、Xは無次元パラメータであり、流れ抵抗をσとしたときに、
X=ρ0ω/2πσ
に等しい。このモデルは、0.01<X<0.1に対して成立するとみなされる。図17Aに示されるように、不透過性の剛体壁1701により裏打ちされた均一の厚み「d」の多孔性物質PMの層の状況において、空気/物質界面Iamでの法線入射時の複素インピーダンスZs(ω)は、次式となる。

図17Bに示されるように、ここでは多孔性物質PMと剛体壁1701との間に厚み「e」の空気の層が存在し、Zs(ω)の式は、以下のようになる。

但し、

である。
複素表面インピーダンスZs(ω)は、実部及び虚部、抵抗R(ω)及び抵抗X(ω)それぞれの関数として表される。R(ω)>0(すなわち、正の抵抗)で特徴付けられる受動的物質において、物質の吸収係数α(ω)は、次式で定義される。

表面インピーダンスは、以下で説明する2マイクロフォン法を用いてインピーダンス管で測定することができる。
LBMベースの方法を用いて、非定常流、並びに音波の発生及び伝播をコンピュータ計算することができる。LBMにおいて、衝突ステップ中に局所瞬間的な粒子分布を変えることにより、外力を流体動力学に含めることができる。単位時間当たりに加わる外力は、効果的に運動量ソース/シンクとなる。この技術は、例えば、重力に起因した浮力効果をモデル化するのに用いることができる。本方法は、流れ速度の関数として流れ抵抗に対するダルシーの法則に基づき外力を加えることにより、多孔質媒体モデルを実施する。流れに対する多孔質媒体の作用は、多孔質領域の各体積位置である量の運動量を排除することにより達成され、その結果、正確な圧力勾配が達成されて、正確な全体の圧力降下が得られることになる。
音響伝播に対する多孔質媒体モデルの作用を評価するために、図18に示すような3D円形インピーダンス管1801をシミュレーションすることができる。例えば、管寸法は、長さL=0.772m及び直径D=0.0515mであり、管1801の有効使用周波数範囲は、例えば、100Hz〜3000Hzとすることができる。管壁1802は、剛体で無摩擦であり、入口1903においてホワイトノイズが加わることを表した時間的に変化する圧力境界条件として仮定される。厚み「d」の層は、吸収物質を表し、x方向で流れ抵抗σx及び他の方向で,無限抵抗により特徴付けられる多孔質媒体領域PMである。厚み「e」の空気層は、多孔質媒体領域PMと右側剛体壁1804との間に含めることができる。均一グリッド分解能は、例えば、f=3000Hzで波長当たりポイント30、すなわち、Δx=1,7mmで用いることができ、音波の低い数値的散逸が確保される。時間ステップはΔt=4.56×10-6、シミュレーションは、T=2sの時間で実施され、これは、結果が始動過渡期間を超え、有意味の統計値をもたらすのに十分な物理的時間であることが確認されている。
圧力時間履歴は、2つの仮想マイクロフォンp1(x1,t)及びp2(x2,t)にて管内部に記録される。x1−x2=s、及びx1=lを用いると、x=0における表面複素インピーダンスは、次式で与えられる。

12はp1及びp2間の複素伝達関数、波数はk=ω/c0=2πf/c0である。この式から、音響抵抗、リアクタンス、及び吸収係数が導かれ、半経験的モデル及び実験結果と比較することができる。
表1に示すシミュレーション設定は、Allard−Champouxモデル(式38及び39)と比較される。設定A(非吸収層)により、グリッド分解能並びに数値システム結果の何らかの残留吸収の特性に関する結果の収束性が示される。設定Aに関して図19に示すように、低い周波数では残留吸収はゼロに近く、高い周波数(f>1500Hz)では、粗い分解能で幾らかの吸収が測定されている。これは、グリッドがより粗く作られるほど、空気及び固体境界の両方で音響の数値的散逸が増大することに関連している。これのことは、本明細書の最後でより正確に詳細を説明する。波長当たりポイント(ppw)40において、残留吸収は、3000Hzでは5%未満であり、適合とみなすことができる。1900Hz及び2650Hzでのピークは、式(42)の極に関連し、数値及び信号処理アーチファクトに相当する。設定Gで示すように、これは自動車HVACシステムにおける典型的な空気フィルタに相当し、流れ抵抗σx=100rayls/mを有する。
図20〜22において、LBM−PMモデルの結果、Allard−Champouxモデルの結果、及び実験データの30ppwシミュレーションに関して、一部の例示的な予備結果が示されている。設定Bについての図20において、PMの厚み「d」は26.5mm、空気の厚み「e」は0.0mm、流れ抵抗「σ」は23150rayls/mである。設定Cについての図21において、PMの厚み「d」は26.5mm、空気の厚み「e」は48.5mm、流れ抵抗「σ」は23150rayls/mである。設定Dについての図22において、PMの厚み「d」は120.0mm、空気の厚み「e」は48.5mm、流れ抵抗「σ」は23150rayls/mである。ここで図20〜22により立証されるように、Allard−Champouxモデルの妥当性が確認され、シミュレーション結果もまた、LBM−PMモデル及び実験結果と相関性がある。吸収係数の周波数依存性は、非単調挙動を含めて各設定に対して良好に表されている。
例えば、HVACシステムにおける典型的なエアフィルタに相当する、設定Gについて、音響吸収は比較的小さい。従って、LBM−PMモデル手法は、有意な流れ抵抗作用を有するが音響特性に対しては無視できる作用を有する物質についても、流れ及び音響作用の両方を正確に表している。
空力音響学の分野において、ファンノイズの精密な予測は重要な課題である。移動体製造業者らは、乗員が受けるノイズレベルを低減するよう努めており、暖房、換気、及び空調(HVAC)システムに起因するノイズは、音響性能の改善における目標となっている。HVACシステムは、複雑であり、顔、前席及び後席乗員の足、並びにフロントガラス及びサイドガラスのデフロストを含む、様々な場所に空気を運ぶための多くのダクトに結合されたブロア及び混合ユニットからなる。ブロアは、各快適な温度設定に対する所望の空気流量を達成するために十分な圧力水頭を供給しなければならない。ノイズは、ブロアの回転に起因して、及び混合ユニットにおける、ダクトの捻れ及び転回部を通る、並びにレジスタ(換気出口)から出る乱流空気流によって発生する。HAVCシステムを設計する際に、ノイズ目標に適合しているかどうかを予測すること、並びにパッケージング制約を満たしながら流れ、熱、及び音響性能の間の最良の妥協点を見つけることは困難である。試験ベンチに対して性能が変化することになる、HVACシステムを移動体に組み込む影響もまた考慮しなくてはならない。
例えば、図23において例示するように、車両2300のHVACシステムに起因して乗員に聞こえるノイズは、多くの発生源及び経路を含み、車室内部2302にて吸収されるノイズとすることができる。例えば、ノイズは、ラジアルファンを含む車両のブロアから生じる可能性があり、該ラジアルファンは、周囲空気と可動ブレードとの相互作用、並びに車両のシート2304及び室内ルーフ2306などの近隣の固定構成要素に対する移動中の空気の衝突によりノイズを発生する。このファンノイズは、複雑なダクト網を通って、レジスタから出て車室内部2302に音響的に伝播される。ダクト及び混合ユニットの流れのノイズ発生源は、主として、精密な幾何形状特徴部から生じる流れ分離及び渦流によって発生する。レジスタから出る流れに起因したノイズは、グリルの微細な詳細部及びその向き、並びに周囲空気と混合し、フロントガラス2308などの表面に衝突する場合がある(例えば、デフロスト用に)結果として生じる出口ジェットに依存する。従って、数値流れ音響予測のための要件は、上述のように例示的なモデル化を用いて達成することができ、これにより車室内部2302は、第1の体積の流体とみなすことができ、車室内部2302内の固定構成要素及び表面は、多孔質媒体によって占められる第2の体積とみなすことができる。例示的なモデル化を実施することにより、複雑な幾何形状を調べて、ファン及び流れ誘起のノイズ発生源、並びに移動体2300の車室内部2302の乗員の位置までシステム全体にわたる音響伝播の予測を提供することができる。
例示的なモデル化により、統合システム全体にわたる幾何形状の詳細部への作用を含めた、乗員の頭部空間位置に対する複雑な流れ構造、対応するノイズ発生源、及び結果として生じる伝播音響特性の精密な予測など、完全に詳細にわたる自動車HVACシステムに対する精密数値ノイズ予測が提供される。回転ファンの流れ及びノイズを含む、過渡流れ特性及び音響特性、並びにシステム全体にわたる音響伝播の直接的予測を決定することができる。例示的なモデル化は、提案設計の早期ノイズアセスメントを取得し、可能性のある設計選択肢を評価して、既存の設計に対するノイズ問題を診断及び改善することができる。加えて、例示的なモデル化は、対象の特定周波数帯域での現象を分離するための帯域フィルタ処理の圧力解析を含む、ノイズ発生源の識別及び洞察を可能にするための視覚化能力を提供する。乗員位置での予測スペクトルを音響ファイルに変換し、種々の設計選択肢の作用を比較して聴くようにすることができる。例示的なモデル化はまた、精密なHVACシステムの圧力、流量、及び熱混合挙動を提供し、よって、複数の学問領域にわたる設計トレードオフを査定し、最適な空力的、熱的、及び音響的性能を有するHVACシステムを設計するのに用いることができる。
別の実施例において、運搬用移動体及び重機の運転は、空気中を伝播して周囲地域における人達に到達する音を生じさせ、都市(又は環境)騒音として知られる。空輸及び陸上輸送の利用量の増大は、都市騒音の大幅な増加をもたらし、健康上の悪影響があることが証明されている。この騒音公害は、現在では深刻な問題と考えられ、ほとんどの国々では政府により規制されており、産業及び移動体のタイプ並びに国によって異なる特定の規制がある。移動体又は固定設備に対して指定された位置又は距離にいる観測者に到達する音レベルを含めた、規制されたノイズ目標を超えない製品を設計することが重要である。目標に適合するかどうかを査定するために、近接場における乱流又は機械的振動によって発生したノイズの主要発生源、及び近接場の観測者への結果として生じる音伝播を決定しなければならない。
ノイズ目標への適合に向けた設計の主要部分は、多数の他の設計制約に対処しながら、ノイズ発生源を査定し低減することである。また、実験的試験上の課題には、遠距離場にまで測定を拡張することに対する風洞空間の制限、及び固定発生源の風洞測定を実際の移動する発生源状況に関連付けることが挙げられる。流れ誘起のノイズ発生源の識別における実験的手法及び数値手法の両方が直面する主な課題は、遠距離場に伝播される音が、近接場の発生源領域における乱流圧力変動に比べて極めて小さい可能性がある圧力摂動からなることである。よって、上述のような例示的なモデル化によれば、ノイズ発生源及び結果として生じる音響伝播の両方の予測を取得して、高度に精密な過渡流れ挙動、並びに十分に低い散逸及び分散を達成し、対象の周波数範囲にわたって小さな振幅変動に分解することができる。その上、航空機又は列車認証などの典型的な用途において、遠距離場のノイズ目標は、発生源領域及び観測者両方を含めるよう計算領域を拡張するために、実用的でなくなるような長距離を含む。
遠距離場ノイズを予測するために、例示的なモデル化は、図24に示すような航空機の着陸ギア組立体2400のような対象の移動体構成要素又は移動体全体についての詳細な流れ挙動及び結果として生じる近接場発生源を提供するのに用いることができる。例示的なモデル化によれば、過渡解は、複雑な時間依存の流れ構造及び対応するノイズ発生源を精密に予測して、航空機の着陸ギア組立体2400の様々な構成要素2402などの現実の必要とされる詳細な幾何形状に適合させることができる。この得られた結果を遠距離場伝播モジュールに結合し、あらゆる位置での遠距離場ノイズを容易且つ効率的に予測することができ、これにより航空機の着陸ギア組立体2400の周囲の領域は、第1の体積の流体とみなすことができ、また、航空機の着陸ギア組立体2400の構成要素2402間の領域は、多孔質媒体によって占められた第2の体積として表すことができる。この例示的なモデル化によって、最終試作が作られる前に、騒音証明評価(例えば、実効知覚騒音レベル:EPNL評価基準を用いた)を含む、早期ノイズアセスメント及び最適化が可能となる。加えて、例示的なモデル化の視覚化は、例えば、遠距離場スペクトラムにおいて観測されたピークの原因を探すために、対象の特定周波数帯域での現象を分離するための帯域フィルタ処理の圧力解析を含む、ノイズ発生源への洞察を提供することができる。
多くの実施構成を説明してきた。それでも尚、請求項の技術的思想及び範囲から逸脱することなく、種々の修正を行うことができることは理解されるであろう。従って、他の実施構成も請求項の範囲内に含まれる。
1401 多孔質媒体の界面
1402 界面上の単位面積
PM 多孔質媒体
F 流体
X PM界面

Claims (44)

  1. 流体の流れ及び多孔質媒体との流体の音響相互作用をシミュレーションするためのコンピュータで実現される方法であって、
    多孔質媒体によって占められる第2の体積に隣接する第1の体積における流体の動作を、第1のパラメータセットを有する第1のモデルを用いて前記第1の体積内の要素の移動をモデル化するようにシミュレーションするステップと、
    前記多孔質媒体によって占められる前記第2の体積における流体の動作を、第2のパラメータセットを有し且つ前記多孔質媒体の流れ及び音響特性を考慮するようにして前記第1のモデルとは異なる第2のモデルを用いて前記第2の体積内の要素の移動をモデル化するようにシミュレーションするステップと、
    前記第1の体積及び前記第2の体積間の界面にて前記第1の体積と前記第2の体積との間の要素の移動をシミュレーションするステップと、
    を含む、方法。
  2. 前記第1の体積のボクセルについての第1の状態ベクトルセット及び前記第2の体積のボクセルについての第2の状態ベクトルセットをコンピュータアクセス可能メモリ内に格納するステップを更に含み、前記状態ベクトルの各々が、対応するボクセルにて可能性のある運動量状態のうちの特定の運動量状態に相当する複数のエントリーを含み、
    前記第1の体積における前記流体の動作をシミュレーションするステップが、
    前記第1のモデルに従って異なる運動量状態の要素間の相互作用をモデル化する第1の相互作用演算を前記第1の状態ベクトルセットに対して実施するステップと、
    前記第1のモデルに従って前記第1の体積における新しいボクセルへの要素の移動を反映させるために前記第1の状態ベクトルセットに対して第1の移動演算を実施するステップと、
    を含み、
    前記第2の体積における前記流体の動作をシミュレーションするステップが、
    前記第2のモデルに従って異なる運動量状態の要素間の相互作用をモデル化する第2の相互作用演算を前記第2の状態ベクトルセットに対して実施するステップと、
    前記第2のモデルに従って前記第2の体積における新しいボクセルへの要素の移動を反映させるために前記第2の状態ベクトルセットに対して第2の移動演算を実施するステップと、
    を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記第1の体積及び前記第2の体積間の界面にて前記第1の体積と前記第2の体積との間の要素の移動をシミュレーションするステップが、前記界面での前記第1の体積におけるボクセルについての前記第1の状態ベクトルセットの状態ベクトルと、前記界面での前記第2の体積におけるボクセルについての前記第2の状態ベクトルセットの状態ベクトルとの間の要素の移動をシミュレーションするステップを含み、前記第1の体積から前記第2の体積への前記要素の移動が第1の制約セットによって規定され、前記第2の体積から前記第1の体積への前記要素の移動が、前記第1の制約セットとは異なる第2の制約セットによって規定されている、請求項2に記載の方法。
  4. 前記第1の制約セットによって、前記第1の体積から前記第2の体積へ移動するよう配向された前記要素の分率が、前記第1の体積から前記第2の体積へ実際に移動することが可能になり、前記分率が、シミュレーションされている前記多孔質媒体の空隙率に相当する、請求項3に記載の方法。
  5. 前記第2の制約セットによって、前記第2の体積から前記第1の体積へ移動するよう配向された全ての要素が、前記第2の体積から前記第1の体積へ実際に移動することが可能になる、請求項4に記載の方法。
  6. 前記第2のモデルの第2のパラメータセットは、シミュレーションされている前記多孔質媒体の空隙率を考慮するようにして、前記第1のモデルの第1のパラメータセットとは異なる、請求項2に記載の方法。
  7. 前記第2のモデルの第2のパラメータセットは、シミュレーションされている前記多孔質媒体の音響抵抗、音響吸収、及び音響インピーダンスのうちの1つ又はそれよりも多くを考慮するようにして、前記第1のモデルの第1のパラメータセットとは異なる、請求項2に記載の方法。
  8. 前記第2のモデルの第2のパラメータセットは、シミュレーションされている前記多孔質媒体の屈曲度、粘性特性長、熱的特性長、及び熱的透過性のうちの1つ又はそれよりも多くを考慮するようにして、前記第1のモデルの第1のパラメータセットとは異なる、請求項2に記載の方法。
  9. 前記第1の体積及び前記第2の体積間の界面にて前記第1の体積と前記第2の体積との間の要素の移動をシミュレーションするステップが、前記界面での前記第1の体積の領域と前記界面での前記第2の体積の領域との間の前記要素の移動をシミュレーションするステップを含み、前記第1の体積から前記第2の体積への前記要素の移動が第1の制約セットによって規定され、前記第2の体積から前記第1の体積への前記要素の移動が、前記第1の制約セットとは異なる第2の制約セットによって規定されている、請求項1に記載の方法。
  10. 前記第1の制約セットによって、前記第1の体積から前記第2の体積へ移動するよう配向された前記要素の分率が、前記第1の体積から前記第2の体積へ実際に移動することが可能になり、前記分率が、シミュレーションされている前記多孔質媒体の空隙率に相当する、請求項9に記載の方法。
  11. 前記第2の制約セットによって、前記第2の体積から前記第1の体積へ移動するよう配向された全ての要素が、前記第2の体積から前記第1の体積へ実際に移動することが可能になる、請求項10に記載の方法。
  12. 前記第2のモデルの第2のパラメータセットは、シミュレーションされている前記多孔質媒体の空隙率を考慮するようにして、前記第1のモデルの第1のパラメータセットとは異なる、請求項1に記載の方法。
  13. 前記第2のモデルの第2のパラメータセットは、シミュレーションされている前記多孔質媒体の音響抵抗、音響吸収、及び音響インピーダンスのうちの1つ又はそれよりも多くを考慮するようにして、前記第1のモデルの第1のパラメータセットとは異なる、請求項1に記載の方法。
  14. 前記第2のモデルの第2のパラメータセットは、シミュレーションされている前記多孔質媒体の屈曲度、粘性特性長、熱的特性長、及び熱的透過性のうちの1つ又はそれよりも多くを考慮するようにして、前記第1のモデルの第1のパラメータセットとは異なる、請求項1に記載の方法。
  15. 前記要素が粒子分布を含む、請求項1に記載の方法。
  16. 前記要素が、前記流体内の質量、密度、運動量、圧力、速度、温度、エネルギー、質量流束、運動量流束、及びエネルギー流速のうちの1つ又はそれよりも多くを含む、請求項1に記載の方法。
  17. 前記第1の体積が、車両の車室内部を含む、請求項1に記載の方法。
  18. 前記第2の体積が、前記車両の車室内部の固定構成要素及び表面を含む、請求項17に記載の方法。
  19. 流体の流れ及び多孔質媒体との流体の相互作用をシミュレーションするためのコンピュータで実現される方法であって、
    多孔質媒体によって占められる第2の体積に隣接する第1の体積における流体の動作を、第1のパラメータセットを有する第1のモデルを用いて前記第1の体積内の要素の移動をモデル化するようにシミュレーションするステップと、
    前記多孔質媒体によって占められる前記第2の体積における流体の動作を、第2のパラメータセットを有し且つ前記多孔質媒体の特性を考慮するようにして前記第1のモデルとは異なる第2のモデルを用いて前記第2の体積内の要素の移動をモデル化するようにシミュレーションするステップと、
    前記界面での前記第1の体積の領域と前記界面での前記第2の体積の領域との間の前記要素の移動をシミュレーションすることにより、前記第1の体積及び前記第2の体積間の界面にて前記第1の体積と前記第2の体積との間の要素の移動をシミュレーションするステップと、
    を含み、前記第1の体積から前記第2の体積への前記要素の移動が第1の制約セットによって規定され、前記第2の体積から前記第1の体積への前記要素の移動が、前記第1の制約セットとは異なる第2の制約セットによって規定されており、前記第1の制約セットによって、前記第1の体積から前記第2の体積へ移動するよう配向された前記要素の分率が、前記第1の体積から前記第2の体積へ実際に移動することが可能になり、前記分率が、シミュレーションされている前記多孔質媒体の空隙率に相当する、方法。
  20. 前記第2の制約セットによって、前記第2の体積から前記第1の体積へ移動するよう配向された全ての要素が、前記第2の体積から前記第1の体積へ実際に移動することが可能になる、請求項19に記載の方法。
  21. 前記第1の体積のボクセルについての第1の状態ベクトルセット及び前記第2の体積のボクセルについての第2の状態ベクトルセットをコンピュータアクセス可能メモリ内に格納するステップを更に含み、前記状態ベクトルの各々が、対応するボクセルにて可能性のある運動量状態のうちの特定の運動量状態に相当する複数のエントリーを含み、
    前記第1の体積における前記流体の動作をシミュレーションするステップが、
    前記第1のモデルに従って異なる運動量状態の要素間の流れ及び相互作用をモデル化する第1の相互作用演算を前記第1の状態ベクトルセットに対して実施するステップと、
    前記第1のモデルに従って前記第1の体積における新しいボクセルへの要素の移動を反映させるために前記第1の状態ベクトルセットに対して第1の移動演算を実施するステップと、
    を含み、
    前記第2の体積における前記流体の動作をシミュレーションするステップが、
    前記第2のモデルに従って異なる運動量状態の要素間の流れ及び相互作用をモデル化する第2の相互作用演算を前記第2の状態ベクトルセットに対して実施するステップと、
    前記第2のモデルに従って前記第2の体積における新しいボクセルへの要素の移動を反映させるために前記第2の状態ベクトルセットに対して第2の移動演算を実施するステップと、
    を含む、請求項19に記載の方法。
  22. 前記第2のモデルの第2のパラメータセットは、シミュレーションされている前記多孔質媒体の空隙率を考慮するようにして、前記第1のモデルの第1のパラメータセットとは異なる、請求項19に記載の方法。
  23. 前記第2のモデルの第2のパラメータセットは、シミュレーションされている前記多孔質媒体の音響抵抗、音響吸収、及び音響インピーダンスのうちの1つ又はそれよりも多くを考慮するようにして、前記第1のモデルの第1のパラメータセットとは異なる、請求項19に記載の方法。
  24. 前記第2のモデルの第2のパラメータセットは、シミュレーションされている前記多孔質媒体の屈曲度、粘性特性長、熱的特性長、及び熱的透過性のうちの1つ又はそれよりも多くを考慮するようにして、前記第1のモデルの第1のパラメータセットとは異なる、請求項19に記載の方法。
  25. 前記要素が粒子分布を含む、請求項19に記載の方法。
  26. 前記要素が、前記流体内の質量、密度、運動量、圧力、速度、温度、エネルギー、質量流束、運動量流束、及びエネルギー流速のうちの1つ又はそれよりも多くを含む、請求項19に記載の方法。
  27. 流体の流れ及び多孔質媒体との流体の音響相互作用をシミュレーションするためのシステムであって、該システムが、
    多孔質媒体によって占められる第2の体積に隣接する第1の体積における流体の動作を、第1のパラメータセットを有する第1のモデルを用いて前記第1の体積内の要素の移動をモデル化するようにシミュレーションし、
    前記多孔質媒体によって占められる前記第2の体積における流体の動作を、第2のパラメータセットを有し且つ前記多孔質媒体の流れ及び音響特性を考慮するようにして前記第1のモデルとは異なる第2のモデルを用いて前記第2の体積内の要素の移動をモデル化するようにシミュレーションし、
    前記第1の体積及び前記第2の体積間の界面にて前記第1の体積と前記第2の体積との間の要素の移動をシミュレーションする、
    ように構成されている、システム。
  28. 前記システムが更に、前記第1の体積のボクセルについての第1の状態ベクトルセット及び前記第2の体積のボクセルについての第2の状態ベクトルセットをコンピュータアクセス可能メモリ内に格納するように構成されており、前記状態ベクトルの各々が、対応するボクセルにて可能性のある運動量状態のうちの特定の運動量状態に相当する複数のエントリーを含み、
    前記第1の体積における前記流体の動作をシミュレーションすることが、
    前記第1のモデルに従って異なる運動量状態の要素間の相互作用をモデル化する第1の相互作用演算を前記第1の状態ベクトルセットに対して実施し、
    前記第1のモデルに従って前記第1の体積における新しいボクセルへの要素の移動を反映させるために前記第1の状態ベクトルセットに対して第1の移動演算を実施する、
    ことを含み、
    前記第2の体積における前記流体の動作をシミュレーションすることが、
    前記第2のモデルに従って異なる運動量状態の要素間の流れ及び相互作用をモデル化する第2の相互作用演算を前記第2の状態ベクトルセットに対して実施し、
    前記第2のモデルに従って前記第2の体積における新しいボクセルへの要素の移動を反映させるために前記第2の状態ベクトルセットに対して第2の移動演算を実施する、
    ことを含む、請求項27に記載のシステム。
  29. 前記要素が粒子分布を含む、請求項28に記載のシステム。
  30. 前記要素が、前記流体内の質量、密度、運動量、圧力、速度、温度、エネルギー、質量流束、運動量流束、及びエネルギー流速のうちの1つ又はそれよりも多くを含む、請求項28に記載のシステム。
  31. 前記第1の体積及び前記第2の体積間の界面にて前記第1の体積と前記第2の体積との間の要素の移動をシミュレーションするステップが、前記界面での前記第1の体積の領域と前記界面での前記第2の体積の領域との間の前記要素の移動をシミュレーションするステップを含み、前記第1の体積から前記第2の体積への前記要素の移動が第1の制約セットによって規定され、前記第2の体積から前記第1の体積への前記要素の移動が、前記第1の制約セットとは異なる第2の制約セットによって規定されている、請求項28に記載のシステム。
  32. 前記第1の制約セットによって、前記第1の体積から前記第2の体積へ移動するよう配向された前記要素の分率が、前記第1の体積から前記第2の体積へ実際に移動することが可能になり、前記分率が、シミュレーションされている前記多孔質媒体の空隙率に相当する、請求項31に記載のシステム。
  33. 前記第2の制約セットによって、前記第2の体積から前記第1の体積へ移動するよう配向された全ての要素が、前記第2の体積から前記第1の体積へ実際に移動することが可能になる、請求項32に記載のシステム。
  34. 前記第2のモデルの第2のパラメータセットは、シミュレーションされている前記多孔質媒体の音響抵抗、音響吸収、及び音響インピーダンスのうちの1つ又はそれよりも多くを考慮するようにして、前記第1のモデルの第1のパラメータセットとは異なる、請求項27に記載のシステム。
  35. 前記第2のモデルの第2のパラメータセットは、シミュレーションされている前記多孔質媒体の屈曲度、粘性特性長、熱的特性長、及び熱的透過性のうちの1つ又はそれよりも多くを考慮するようにして、前記第1のモデルの第1のパラメータセットとは異なる、請求項27に記載のシステム。
  36. 実行時に流体の流れ及び多孔質媒体との流体の音響相互作用をシミュレーションするコンピュータ実効可能命令を格納するコンピュータ可読データ記憶媒体であって、
    前記命令が、実行時に、
    多孔質媒体によって占められる第2の体積に隣接する第1の体積における流体の動作を、第1のパラメータセットを有する第1のモデルを用いて前記第1の体積内の要素の移動をモデル化するようにシミュレーションするステップと、
    前記多孔質媒体によって占められる前記第2の体積における流体の動作を、第2のパラメータセットを有し且つ前記多孔質媒体の音響特性を考慮するようにして前記第1のモデルとは異なる第2のモデルを用いて前記第2の体積内の要素の移動をモデル化するようにシミュレーションするステップと、
    前記第1の体積及び前記第2の体積間の界面にて前記第1の体積と前記第2の体積との間の要素の移動をシミュレーションするステップと、
    を含む動作をコンピュータに実施させるように構成されている、コンピュータ可読データ記憶媒体。
  37. 前記第1の体積のボクセルについての第1の状態ベクトルセット及び前記第2の体積のボクセルについての第2の状態ベクトルセットをコンピュータアクセス可能メモリ内に格納するステップを更に含み、前記状態ベクトルの各々が、対応するボクセルにて可能性のある運動量状態のうちの特定の運動量状態に相当する複数のエントリーを含み、
    前記第1の体積における前記流体の動作をシミュレーションするステップが、
    前記第1のモデルに従って異なる運動量状態の要素間の相互作用をモデル化する第1の相互作用演算を前記第1の状態ベクトルセットに対して実施するステップと、
    前記第1のモデルに従って前記第1の体積における新しいボクセルへの要素の移動を反映させるために前記第1の状態ベクトルセットに対して第1の移動演算を実施するステップと、
    を含み、
    前記第2の体積における前記流体の動作をシミュレーションするステップが、
    前記第2のモデルに従って異なる運動量状態の要素間の相互作用をモデル化する第2の相互作用演算を前記第2の状態ベクトルセットに対して実施するステップと、
    前記第2のモデルに従って前記第2の体積における新しいボクセルへの要素の移動を反映させるために前記第2の状態ベクトルセットに対して第2の移動演算を実施するステップと、
    を含む、請求項36に記載のコンピュータ可読データ記憶媒体。
  38. 前記要素が粒子分布を含む、請求項36に記載のコンピュータ可読データ記憶媒体。
  39. 前記要素が、前記流体内の質量、密度、運動量、圧力、速度、温度、エネルギー、質量流束、運動量流束、及びエネルギー流速のうちの1つ又はそれよりも多くを含む、請求項36に記載のコンピュータ可読データ記憶媒体。
  40. 前記第1の体積及び前記第2の体積間の界面にて前記第1の体積と前記第2の体積との間の要素の移動をシミュレーションするステップが、前記界面での前記第1の体積の領域と前記界面での前記第2の体積の領域との間の前記要素の移動をシミュレーションするステップを含み、前記第1の体積から前記第2の体積への前記要素の移動が第1の制約セットによって規定され、前記第2の体積から前記第1の体積への前記要素の移動が、前記第1の制約セットとは異なる第2の制約セットによって規定されている、請求項36に記載のコンピュータ可読データ記憶媒体。
  41. 前記第1の制約セットによって、前記第1の体積から前記第2の体積へ移動するよう配向された前記要素の分率が、前記第1の体積から前記第2の体積へ実際に移動することが可能になり、前記分率が、シミュレーションされている前記多孔質媒体の空隙率に相当する、請求項40に記載のコンピュータ可読データ記憶媒体。
  42. 前記第2の制約セットによって、前記第2の体積から前記第1の体積へ移動するよう配向された全ての要素が、前記第2の体積から前記第1の体積へ実際に移動することが可能になる、請求項40に記載のコンピュータ可読データ記憶媒体。
  43. 前記第2のモデルの第2のパラメータセットは、シミュレーションされている前記多孔質媒体の音響抵抗、音響吸収、及び音響インピーダンスのうちの1つ又はそれよりも多くを考慮するようにして、前記第1のモデルの第1のパラメータセットとは異なる、請求項36に記載のコンピュータ可読データ記憶媒体。
  44. 前記第2のモデルの第2のパラメータセットは、シミュレーションされている前記多孔質媒体の屈曲度、粘性特性長、熱的特性長、及び熱的透過性のうちの1つ又はそれよりも多くを考慮するようにして、前記第1のモデルの第1のパラメータセットとは異なる、請求項36に記載のコンピュータ可読データ記憶媒体。
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