JP6728366B2 - 多孔質媒体における流体の音響挙動に屈曲度の影響を含めるためのデータ処理方法 - Google Patents

多孔質媒体における流体の音響挙動に屈曲度の影響を含めるためのデータ処理方法 Download PDF

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Description

〔関連出願への相互参照〕
本出願は、2016年1月13日に出願された「多孔質媒体における流体の音響挙動に屈曲度の影響を含めるためのデータ処理方法(A DATA PROCESSING METHOD FOR INCLUDING THE EFFECT OF THE TORTUOSITY ON THE ACOUSTIC BEHAVIOR OF A FLUID IN A POROUS MEDIUM)」という名称の米国本特許出願第14/994,943号に対する優先権を主張するものであり、この文献の内容は全体が引用により本明細書に組み入れられる。
本明細書は、屈曲度に従ってモデル化された多孔質媒体の音響特性を表すデータを処理するためのデータ処理装置に関する。
高レイノルズ数の流れは、巨視的物理量(例えば、密度、温度、流速)を表す変数に対して多くの離散的空間位置の各々において高精度の浮動小数点算術演算を行うことでナヴィエ・ストークス微分方程式の離散化解を生成することによってシミュレートされてきた。別の方法は、微分方程式を一般に格子ガス(又はセル)オートマトンとして知られているものに置き換えて、ナヴィエ・ストークス式を解くことによってもたらされる巨視的レベルのシミュレーションを、格子上のサイト間を移動する粒子に対して演算を実行する顕微鏡レベルのモデルに置き換える。
一般に、本明細書で説明する主題の1つの革新的態様は、態様1において、多孔質媒体における屈曲度効果を含む流体の音響挙動のモデルであって流体の音速を示す時間変数を含むモデルをデータ処理装置の第1のデータ処理プログラムが生成する処理を含む方法において具体化することができる。この方法は、多孔質媒体における流体の音速に基づいてモデルの時間変数を再スケーリングする処理を含む。この方法は、モデル内の時間変数の再スケーリングに基づいて、多孔質媒体の屈曲度の影響を含む音響挙動をシミュレートする処理も含む。
上述の及びその他の実施形態の各々は、任意に以下の特徴のうちの1つ又は2つ以上を単独で又は組み合わせて含むことができる。
態様1に基づく態様2では、方法が、多孔質媒体の屈曲度の影響を含むモデル内の音響挙動を決定する処理を含むことができる。
態様1及び2のいずれかに基づく態様3では、音響挙動が、音波の消失及び伝播を含むことができる。
態様1、2及び3のいずれかに基づく態様4では、時間変数の再スケーリングが、1つのシミュレーション時間ステップによって表される時間を調整するステップを含むことができる。
態様1、2、3及び4のいずれかに基づく態様5では、音響挙動をシミュレートするステップが、容積領域を通る又は容積領域内の流体流をシミュレートするステップを含むことができる。
態様1、2、3、4及び5のいずれかに基づく態様6では、モデルが、多孔質媒体の音響損失を考慮した運動量シンクを含むことができる。
態様1、2、3、4、5及び6のいずれかに基づく態様7では、時間変数を再スケーリングするステップが、流体の公称音速と、多孔質媒体における流体の音速とに基づくことができる。
態様1、2、3、4、5、6及び7のいずれかに基づく態様8では、流体を要素によって表すことができ、この要素は、流体の質量、密度、運動量、圧力、速度、温度、エネルギー、質量流束、運動量流束及びエネルギー流束のうちの1つ又は2つ以上を含むことができる。
態様1、2、3、4、5、6、7及び8のいずれかに基づく態様9では、時間変数の再スケーリングが、モデルの温度を再スケーリングするステップを含むことができる。
態様1、2、3、4、5、6、7、8及び9のいずれかに基づく態様10では、時間変数の再スケーリングが、モデルの圧力を再スケーリングするステップを含むことができる。
態様1、2、3、4、5、6、7、8、9及び10のいずれかに基づく態様11では、時間変数の再スケーリングが、流体の速度を再スケーリングするステップを含むことができる。
態様1、2、3、4、5、6、7、8、9、10及び11のいずれかに基づく態様12では、時間変数の再スケーリングが、多孔質媒体の抵抗を再スケーリングするステップを含むことができる。
システム及び技術は、格子ボルツマンの公式化を用いた格子ガスシミュレーションを使用して実装することができる。従来の格子ガスシミュレーションは、各格子サイトにおける制限数の粒子を仮定し、これらの粒子を短いビットベクトルによって表す。各ビットは、特定の方向に移動する粒子を表す。例えば、ベクトル内の1ビットは、(1に設定された時には)特定の方向に沿って移動する粒子の存在を、又は(0に設定された時には)その不在を表すことができる。このようなベクトルは6ビットを有することができ、例えば110000という値は、2つの粒子がX軸に沿って反対方向に移動しており、Y軸及びZ軸に沿って移動している粒子が存在しないことを示す。各サイトにおける粒子同士の衝突挙動は、一連の衝突則に支配される(例えば、110000ベクトルは、X軸に沿って移動する2つの粒子同士の衝突によってY軸に沿って遠ざかる2つの粒子が生じたことを示す001100ベクトルになることができる)。この法則は、ビットに対して置換を行う(例えば、110000を001100に変換する)状態ベクトルをルックアップテーブルに供給することによって実装される。その後、粒子は、隣接するサイトに移動する(例えば、Y軸に沿って移動する2つの粒子は、Y軸に沿った近くの左右の位置に移動する)。
高度なシステムでは、各格子サイトにおける状態ベクトルが、粒子エネルギー及び移動方向のばらつきをもたらすさらに多くのビット(例えば、亜音速流では54ビット)を含み、完全な状態ベクトルのサブセットを伴う衝突則が利用される。さらに高度なシステムでは、各格子サイト又はボクセル(本文書では、全体を通じてこれらの2つの用語を同義的に使用する)に各運動量状態の複数の粒子が存在することができる。例えば、8ビットの実装では、特定のボクセルにおいて0〜225個の粒子が特定の方向に移動することができる。状態ベクトルは、ビットの組ではなく、各々が所与の状態にある粒子数を表す整数の組(例えば、0〜255の整数をもたらす8ビットバイトの組)である。
さらなる強化では、格子ボルツマン法(LBM)が、流体のメゾスコピック表現を用いて、従来の計算流体力学(「CFD」)法を用いてなし得るものよりも深いレベルで複雑な形状の3D非定常圧縮性乱流プロセスをシミュレートする。以下、LBM法の概要を示す。
ボルツマンレベルメゾスコピック表現
統計物理学では、動力学方程式によっていわゆる「メゾスコピック」レベルで流体系を表現できることが周知である。このレベルでは、個々の粒子の詳細な動きを求める必要はない。むしろ、単一の粒子位相空間を用いて定められる粒子分布関数であるf=f(x、v、t)によって流体の特性が表され、ここでのxは空間座標であり、vは粒子速度座標である。質量、密度、流体速度及び温度などの典型的な流体力学量は、粒子分布関数の単純なモーメントである。粒子分布関数の動力学は、以下のボルツマン式に従い、
Figure 0006728366
ここでのF(x,t)は、(x,t)における外部体積力又は自己矛盾なく生成された体積力を表す。衝突項Cは、様々な速度及び位置の粒子の相互作用を表す。上記のボルツマン式は、衝突項Cの特定の形態を指定することなく、(ボルツマンによって最初に構築された)周知の希薄気体の状況だけでなく全ての流体系に利用可能であることを強調しておくことが重要である。
一般的に言えば、Cは、複雑な二点相関関数の多次元積分を含む。分布関数fを単独で有する閉システムを形成する目的及び効率的な計算目的のために最も便利で物理的に安定した形態の1つは、周知のBGK演算子である。BGK演算子は、たとえ衝突の詳細がどうであろうと、分布関数は、衝突を通じて{feq(x,v,t)}によって与えられる明確に定義された局所平衡に近付くという物理的議論に従って構築される。
Figure 0006728366
ここでのパラメータτは、衝突を介した平衡までの特性緩和時間を表す。粒子(例えば、原子又は分子)に関して言えば、通常、この緩和時間は定数と見なされる。「ハイブリッド」(流体−運動)表現では、この緩和時間は、歪み速度のような流体力学的変数、乱流運動エネルギー及びその他の関数である。従って、乱流は、局所的に測定された特徴的な特性を有する乱流粒子のガス(「渦」)として表すことができる。
ボルツマン−BGK式の数値解法は、ナヴィエ・ストークス式の解法を上回る複数の計算上の利点を有する。まず、式に複雑な非線形項又は高次空間導関数が存在せず、従って移流不安定性に関する問題がほどんどないことが直ぐに認識できる。そうすると、圧力を取り扱う必要がないので式が局所的であり、アルゴリズムの並列化にとってかなりの利点をもたらす。二次空間導関数を含む拡散演算子(diffusive operator)が存在しない事実と併せた線形移流演算子の別の望ましい特徴は、流体の偏微分方程式(「PDE」)のための数学的条件ではなく、実際に粒子が固体表面と相互作用する方法を模倣する形で非滑り面又は滑り面などの物理的境界条件を実現する容易さである。直接的な恩恵の1つは、固体表面上の界面の動きに対処する問題が存在しないことであり、このことは格子−ボルツマンベースのシミュレーションソフトウェアが複雑な乱流の空気力学を上手くシミュレートできるようにするのに役立つ。また、有限粗度表面(finite roughness surfaces)などの境界からの特定の物理的特性を力に組み込むこともできる。さらに、BGK衝突演算子が純粋に局所的であると同時に、近接情報のみを通じて首尾一貫した体積力の計算を行うことができる。従って、ボルツマン−BGK式の計算を効果的に並行処理に適合させることができる。
格子ボルツマンの公式化
連続ボルツマン式を解くことは、位置及び速度位相空間における積分−微分方程式の数値評価を伴うという点で相当な挑戦となる。位置だけでなく速度位相空間も離散化できることが観察された時には大幅な単純化が行われ、ボルツマン式を解くための効率的な数値アルゴリズムがもたらされた。流体力学量は、せいぜい最近傍情報にしか依存しない単純和を用いて書くことができる。この式は、たとえこれまで格子ボルツマン式の公式化が速度の離散集合v(∈{ci,i=1,...,b})に応じた粒子の発達を規定する格子ガスモデルに基づいていたとしても、連続ボルツマン式の離散化である第1の原理から体系的に導き出すことができる。この結果、LBEは、格子ガス法に関連する周知の問題の影響を受けることがない。従って、位相空間における連続分布関数f(x,v,t)を取り上げる代わりに、離散速度指数を下付き文字で表す離散型分布の有限集合fi(x,t)を追跡しさえすればよい。巨視的記述の代わりにこの動力学方程式を取り上げる主な利点は、システムの増大した位相空間が問題の局所性によって相殺される点である。
対称性を考慮することにより、速度値の集合は、配置空間内でスパニングした時に特定の格子構造を形成するように選択される。このような離散系の動力学は、fi(x+ci,t+1)−fi(x,t)=Ci(x,t)の形を取るLBEに従い、ここでの衝突演算子は、通常は上述したようなBGKの形を取る。平衡分布形態を正しく選択することにより、格子ボルツマン式が正しい流体力学及び熱流体力学をもたらすことを理論的に示すことができる。すなわち、fi(x,t)から導き出される流体力学的モーメントは、巨視的極限ではナヴィエ・ストークス式に従う。これらのモーメントは、以下のように定義される。
Figure 0006728366
ここでのρ、u及びTは、それぞれ流体の密度、速度及び温度であり、Dは、(物理的空間次元とは全く異なる)離散化速度空間の次元である。
図面及び特許請求の範囲を含む以下の説明から、他の特徴及び利点が明らかになるであろう。
1つのLBMモデルの速度成分を示す図である。 別のLBMモデルの速度成分を示す図である。 物理プロセスシミュレーションシステムが従う手順のフローチャートである。 マイクロブロックの透視図である。 図3のシステムが使用する格子構造の図である。 図3のシステムが使用する格子構造の図である。 可変分解能技術を示す図である。 可変分解能技術を示す図である。 表面のファセットの影響を受ける領域を示す図である。 ボクセルから表面への粒子の動きを示す図である。 表面から表面への粒子の動きを示す図である。 表面動力学の実行手順を示すフローチャートである。 異なるサイズのボクセル間の境界面を示す図である。 可変分解能条件下でのファセットとの相互作用をシミュレートする手順のフローチャートである。 例示的な多孔質媒体モデルの概略図である。 例示的な両面サーフェルの概略図である。 音響吸収をモデル化する例示的なシステムの概略図である。 他の例示的な多孔質媒体モデルの概略図である。 他の例示的な多孔質媒体モデルの概略図である。 別の例示的な多孔質媒体モデルの概略図である。 周波数の関数としての吸収係数を示す図である。 周波数の関数としての吸収係数を示す図である。 周波数の関数としての吸収係数を示す図である。 周波数の関数としての吸収係数を示す図である。 車両の内部を示す図である。 航空機の着陸システムを示す図である。 多孔質媒体における屈曲度の例を示す図である。 NASAセラミックライナ多孔質媒体の吸収係数対周波数曲線に対する屈曲度の影響を示す図である。 屈曲度に従ってモデル化した多孔質媒体の音響特性を表すデータを処理するプロセス例のフローチャートである。
A.音響吸収をモデル化するための容積法
音響工学では、多孔質材料による音響吸収、すなわち音響抵抗、音響インピーダンスなどが重要なテーマである。顕微鏡スケールでは、材料の位相幾何学的な複雑さに起因して、多孔質媒体における音の伝播を特性化することは困難である。巨視的スケールでは、空隙率の高い多孔質材料を、空気に対する修正特性を有する流体の領域として扱うことができる。このような媒体の音響伝播は、材料の2つの固有の周波数依存した容量特性の形である特性インピーダンス及び複素音波数(complex acoustic wave number)で表すことができる。これらの特性は、異なる形でモデル化することもできる。例えば、ある仮定の下では、吸収材料における音響伝播のための所与の容積モデルを、2つの異なる媒体間の境界面における局所的に反応する周波数依存した複素インピーダンスの形にすることができる。このようなインピーダンスモデルは、境界要素法(BEM)、有限要素法(FEM)及び統計的エネルギー解析(SEA)法などの方法において使用することができ、周波数領域の境界条件として実装することができる。
流れに起因する騒音に関する問題の場合、好適な計算流体力学(CFD)及び/又は計算空力音響学(CAA)数値法は非線形的であって、しばしば時間陽的(time−explici)である。時間陽的解決策(time−explicit solution)では、時間領域表面インピーダンス境界条件が、多孔質材料に起因する音響吸収のモデル化を可能にすることができる。しかしながら、たとえ時間領域表面インピーダンスの公式化を導き出せる場合であっても、安定性及びロバスト性は、克服の困難な課題となり得る。
以下で詳細に説明する別の方法は、音波が材料内を伝わって運動量シンクを通じて消失するように、吸収材料を容積流体領域としてモデル化することを含む。この方法は、ダルシーの法則に従って運動量シンクを材料の流れ抵抗に関連付けることによって行われる、多孔質媒体を通る流れを巨視的モデル化する方法に類似する。音響吸収のモデル化では、望ましい吸収挙動を実現するための運動量シンクの求め方が問題である。音響吸収が流れ抵抗と同じ物理的機構によって支配される(又は少なくとも左右される)のであれば、特定の多孔質材料の正しい流れ抵抗を実現するために使用するものと同じ運動量シンク挙動が、この材料の正しい音響吸収も実現するはずである。この方法は、あらゆる受動的な同質の多孔質材料に適用することができる。さらに、この方法では、原因となる実際の受動的条件を満たすようにしてインピーダンスが実現されるので、数値的安定性の問題も排除される。
この容積モデル化法は、マサチューセッツ州バーリントンのExa社から市販されているPowerFLOWシステムなどの、格子ボルツマン法(LBM)に基づく時間陽的CFD/CAA解決策と併用することができる。LBMは、巨視的連続体方程式を離散化することに基づく方法とは異なり、巨視的流体力学を予測する「メゾスコピック」なボルツマン動力学方程式から開始する。結果として得られる圧縮可能で非定常的な解法を用いて、空力音響学及び純粋な音響問題などの様々な複雑な流動物理学を予測することができる。多孔質媒体モデルは、HVACシステム、車両のエンジンコンパートメント及びその他の用途装置などを通じた流れをシミュレートする際に遭遇する、エアフィルタ、ラジエータ、熱交換器、蒸発器及びその他の構成部品などの様々な構成部品の流れ抵抗を表すために使用される。
以下では、LBMベースのシミュレーションシステムの一般論を示し、その後にこのような容積モデル化法を支援するために使用できる、音響吸収及びその他の現象、並びに多孔質媒体境界面モデルのための容積モデル化法について説明する。
B.モデルシミュレーション空間
LBMベースの物理プロセスシミュレーションシステムでは、離散速度の集合ciにおいて評価される分布関数値fiによって流体流を表すことができる。分布関数の動力学は、以下の式4によって制御され、
Figure 0006728366
ここでの
Figure 0006728366

は、以下のように定義される平衡分布関数として知られている。
Figure 0006728366
この式は、分布関数fiの時間発展を表す周知の格子ボルツマン式である。左辺は、いわゆる「流動過程」に起因する分布の変化を表す。この流動過程は、ある格子位置において流体ポケットが始動し、速度ベクトルのうちの1つに沿って次の格子位置に移動する時点である。この時点で、「衝突係数」、すなわち始動した流体ポケットに対する近くの流体ポケットの影響を計算する。流体は、別の格子位置にしか移動することができず、従って全ての速度の全ての成分が共通速度の倍数となるように正しい速度ベクトルの選択が必要である。
第1の方程式の右辺は、上述した流体ポケット間の衝突に起因する分布関数の変化を表す「衝突演算子」である。ここで使用する特定の形の衝突演算子は、Bhatnagar、Gross及びKrock(BGK)によるものである。この衝突演算子は、分布関数を、「平衡」形態である第2の方程式によって与えられる規定値に進むように強要する。
このシミュレーションからは、式(3)の単純和として質量ρ及び流体速度uなどの従来の流体変数が得られる。ここでは、ci及びwiの集合的な値がLBMモデルを定める。LBMモデルは、スケーラブルコンピュータプラットフォーム上に効率的に実装して、時間非定常流(time unsteady flows)及び複雑な境界条件のために高いロバスト性を伴って実行することができる。
ボルツマン式から流体系の動きの巨視的方程式を取得する標準技術は、完全なボルツマン式の連続近似を取るチャップマン−エンスコッグ法(Chapman−Enskog method)である。
流体系では、密度のわずかな乱れが音速で伝わる。気体系では、一般に音速が温度によって決まる。流れにおける圧縮率の影響の重要性は、特性速度と音速との比率によって測定され、これはマッハ数として知られている。
図1を参照すると、第1のモデル(2D−1)100は、21個の速度を含む2次元モデルである。これらの21個の速度のうち、1つ(105)は動いていない粒子を表し、3組の4つの速度は、格子のx軸又はy軸のいずれかに沿って正の方向又は負の方向のいずれかに正規化速度(r)(110〜113)、正規化速度の2倍(2r)(120〜123)、又は正規化速度の3倍(3r)(130〜133)のいずれかで動いている粒子を表し、2組の4つの速度は、x格子軸及びy格子軸の両方に関して正規化速度(r)(140〜143)又は正規化速度の2倍(2r)(150〜153)で動いている粒子を表す。
また、図2に示すように、第2のモデル(3D−1)200は、各速度が図2の矢印のうちの1つによって表される39個の速度を含む3次元モデルである。これらの39個の速度のうち、1つは動いていない粒子を表し、3組の6つの速度は、格子のx軸、y軸又はz軸に沿って正の方向又は負の方向のいずれかに正規化速度(r)、正規化速度の2倍(2r)、又は正規化速度の3倍(3r)のいずれかで動いている粒子を表し、8つの速度は、x、y、z格子軸の3つ全てに関して正規化速度(r)で動いている粒子を表し、12個の速度は、x、y、z格子軸の2つに関して正規化速度の2倍(2r)で動いている粒子を表す。
101個の速度を含む3D−2モデル及び37個の速度を含む2D−2モデルなどのさらに複雑なモデルを使用することもできる。これらの速度は、表1及び表2それぞれに文書化されるように、その各軸に沿った成分によってさらに明確に記述される。
101個の速度から成る3次元モデル3D−2では、1つが動いていない粒子(グループ1)を表し、3組の6つの速度が、格子のx、y又はz軸に沿って正の方向又は負の方向のいずれかに正規化速度(r)、正規化速度の2倍(2r)、又は正規化速度の3倍(3r)のいずれかで動いている粒子(グループ2、4及び7)を表し、3組の8つの速度が、x、y、z格子軸の3つ全てに関して正規化速度(r)、正規化速度の2倍(2r)、又は正規化速度の3倍(3r)で動いている粒子(グループ3、8及び10)を表し、12個の速度が、x、y、z格子軸の2つに関して正規化速度の2倍(2r)で動いている粒子(グループ6)を表し、24個の速度が、x、y、z格子軸のうちの2つに対して正規化速度(r)及び正規化速度の2倍(2r)で動いていて残りの軸に関しては動いていない粒子(グループ5)を表し、24個の速度が、x、y、z格子軸のうちの2つに対して正規化速度(r)で動いていて残りの軸に関して正規化速度の3倍(3r)で動いている粒子(グループ9)を表す。
37個の速度から成る2次元モデル2D−2では、1つが動いていない粒子(グループ1)を表し、3組の4つの速度が、格子のx軸又はy軸のいずれかに沿って正の方向又は負の方向のいずれかに正規化速度(r)、正規化速度の2倍(2r)、又は正規化速度の3倍(3r)のいずれかで動いている粒子(グループ2、4及び7)を表し、2組の4つの速度が、x及びy格子軸の両方に関して正規化速度(r)又は正規化速度の2倍(2r)で動いている粒子を表し、8つの速度が、x及びy格子軸の一方に関して正規化速度(r)で動いていて他方の軸に関して正規化速度の2倍(2r)で動いている粒子を表し、8つの速度が、x及びy格子軸の一方に関して正規化速度(r)で動いていて他方の軸に対して正規化速度の3倍(3r)で動いている粒子を表す。
上述したLBMモデルは、2次元及び3次元の両方における流れの数値シミュレーションのための特定のクラスの効率的でロバストな離散速度動力学モデルを提供する。この種のモデルは、特定の離散速度の組と、これらの速度に関連する重みとを含む。これらの速度は、特に格子ボルツマンモデルとして知られている種類の離散速度モデルの正確で効率的な実装を容易にする速度空間におけるデカルト座標の格子点と一致する。このようなモデルを用いて、高い忠実度で流れをシミュレートすることができる。
図3を参照すると、物理プロセスシミュレーションシステムが、手順300に従って動作して流体流などの物理プロセスをシミュレートする。シミュレーションの前に、シミュレーション空間をボクセルの集合としてモデル化する(ステップ302)。通常、シミュレーション空間は、コンピュータ支援設計(CAD)プログラムを用いて生成される。例えば、CADプログラムを用いて、風洞内に位置するマイクロデバイスを描くことができる。従って、CADプログラムによって生成されたデータを処理して適切な分解能の格子構造を追加し、シミュレーション空間内の物体及び表面を考慮する。
格子の分解能は、シミュレートされるシステムのレイノルズ数に基づいて選択することができる。レイノルズ数は、流れの粘度(v)、流れにおける物体の特性長(L)及び流れの特性速度(u)に関連する。
Re=uL/v 式(5)
物体の特性長は、物体の大規模な特徴を表す。例えば、マイクロデバイスの周囲の流れをシミュレートする場合には、マイクロデバイスの高さを特性長と見なすことができる。小さな物体領域(例えば、自動車のサイドミラー)の周囲の流れに関心がある時には、シミュレーションの分解能を高めるか、或いは関心領域の周囲に高分解能の領域を使用することができる。格子の分解能が高まるにつれてボクセルの次元は減少する。
状態空間はfi(x,t)として表され、ここでのfiは、ある時点tに3次元ベクトルxによって示される、ある格子サイトにおける状態iの単位容積当たりの要素又は粒子の数(すなわち、状態iの粒子の密度)を表す。既知の時間増分では、粒子の数が単純にfi(x)として示される。格子サイトの全ての状態の組み合わせは、f(x)として示される。
状態の数は、各エネルギーレベル内の考えられる速度ベクトル数によって決まる。速度ベクトルは、x、y及びzの3次元を有する空間内の整数の線形速度から成る。多重種シミュレーションでは状態の数が増加する。
各状態iは、特定のエネルギーレベル(すなわち、エネルギーレベル0、1又は2)における異なる速度ベクトルを表す。各状態の速度ciは、以下のように3次元の各次元における「速度」と共に示される。
i=(ci,x,ci,y,ci,z) 式(6)
エネルギーレベルゼロの状態は、どの次元においても動いていない停止した粒子を表し、すなわちcstopped=(0,0,0)である。エネルギーレベル1の状態は、3次元のうちの1つの次元において±1の速度を有し、他の2つの次元においてゼロ速度を有する粒子を表す。エネルギーレベル2の状態は、3次元全てにおいて±1の速度を有する粒子、或いは3次元のうちの1つの次元において±2の速度を有し、他の2つの次元においてゼロ速度を有する粒子を表す。
3つのエネルギーレベルの考えられる順列を全て生成すると、全部で39個の可能な状態(1つのエネルギー0状態、6つのエネルギー1状態、8つのエネルギー3状態、6つのエネルギー4状態、12のエネルギー8状態及び6つのエネルギー9状態)が得られる。
各ボクセル(すなわち、各格子サイト)は、状態ベクトルf(x)によって表される。状態ベクトルは、ボクセルの状態を完全に定め、39個のエントリを含む。39個のエントリは、1つのエネルギー0状態、6つのエネルギー1状態、8つのエネルギー3状態、6つのエネルギー4状態、12のエネルギー8状態及び6つのエネルギー9状態に対応する。システムは、この速度集合を使用することによって、達成された平衡状態ベクトルのためのマクスウェル−ボルツマン統計を生じることができる。
ボクセルは、処理効率のためにマイクロブロックと呼ばれる2×2×2の容量にグループ化される。これらのマイクロブロックは、ボクセルの並行処理を可能にして、データ構造に関連するオーバーヘッドを最小化するように編成される。マイクロブロック内のボクセルの略語はNi(n)として定義され、ここでのnは、マイクロブロック内の格子サイトの相対的位置を表し、n∈{0,1,2,...,7}である。図4にマイクロブロックを示す。
図5A及び図5Bを参照すると、表面S(図3A)をシミュレーション空間(図5B)内にファセットFαの集合として表している。
S={Fα} 式(7)
ここでのαは、特定のファセットを列挙する指数である。ファセットはボクセル境界に制限されず、比較的少数のボクセルにファセットが影響を与えるように、典型的にはファセットに隣接するボクセルのサイズと同程度又はそれよりもわずかに小さなサイズを有する。ファセットには、表面動力学を実装する目的で特性が割り当てられる。具体的に言えば、各ファセットFαは、単位法線(nα)と、表面積(Aα)と、中心位置(xα)と、ファセットの表面動特性を表すファセット分布関数(fi(α))とを有する。
図6を参照すると、シミュレーション空間の異なる領域内で異なるレベルの分解能を用いて処理効率を高めることができる。通常は、物体655の周囲の領域650に最も関心があり、従って最高分解能でシミュレートする。粘度の効果は物体からの距離と共に減少するので、減少レベルの分解能(すなわち、拡大されたボクセル容積)を用いて、物体655から増加する距離に配置された領域660、665をシミュレートする。同様に、図7に示すように、低レベルの分解能を用いて物体775のそれほど重要でない特徴の周囲の領域770をシミュレートする一方で、最高レベルの分解能を用いて物体775の最も重要な特徴(例えば、先端面及び後端面)の周囲の領域780をシミュレートすることもできる。中心から遠い領域785は、最低レベルの分解能及び最大ボクセルを用いてシミュレートされる。
C.ファセットの影響を受けるボクセルの識別
再び図3を参照すると、シミュレーション空間をモデル化したら(ステップ302)、1又は2以上のファセットの影響を受けるボクセルを識別する(ステップ304)。ボクセルは、複数の形でファセットの影響を受けることができる。まず、1又は2以上のファセットが交わるボクセルは、交わっていないボクセルに比べて容量が減少するという点で影響を受ける。この理由は、ファセットと、ファセットが表す表面の下にある材料とがボクセルの一部を占有するからである。分数係数(fractional factor)Pf(x)は、ファセットの影響を受けないボクセルの部分(すなわち、流れをシミュレートする対象である流体又は他の材料が占有できる部分)を示す。交わっていないボクセルでは、Pf(x)が1に等しい。
ファセットへの粒子の移動又はファセットからの粒子の受け取りを行うことによって1又は2以上のファセットと相互作用するボクセルも、ファセットの影響を受けるボクセルとして識別される。ファセットが交わる全てのボクセルは、ファセットから粒子を受け取る少なくとも1つの状態と、ファセットに粒子を移動させる少なくとも1つの状態とを含むようになる。ほとんどの場合、さらなるボクセルもこのような状態を含む。
図8を参照すると、ファセットFαは、非ゼロの速度ベクトルciを有する各状態iについて、速度ベクトルCiとファセットの単位法線nαとのベクトルドット積(|cii|)の大きさによって定められる高さと、ファセットの表面積Aαによって定められる底面とを有する平行六面体Gによってその容積Vが次式に等しくなるように定められた領域から粒子を受け取り、又はこの領域に粒子を移動させる。
=|ciα|Aα 式(8)
ファセットFαは、状態の速度ベクトルがファセットの方に向いている(|cii|<0の)時には容積Vから粒子を受け取り、状態の速度ベクトルがファセットから離れる方に向いている(|cii|>0の)時にはこの領域に粒子を移動させる。後述するように、内角などの非凸面特徴の近傍で起こり得る状態である、別のファセットが平行六面体Gの一部を占有する時には、この式を修正しなければならない。
ファセットFαの平行六面体Gは、複数のボクセルの一部又は全部に重なり合うことができる。ボクセルの数又はその一部は、ボクセルのサイズに対するファセットのサイズと、状態のエネルギーと、格子構造に対するファセットの配向とに依存する。影響を受けるボクセルの数は、ファセットのサイズと共に増加する。従って、上述したように、通常、ファセットのサイズは、ファセットの近くに位置するボクセルのサイズと同程度又はそれよりも小さくなるように選択される。
平行六面体Gが重なり合ったボクセルの部分N(x)は、V(x)として定められる。この項を使用すると、ボクセルN(x)とファセットFαとの間を移動する状態iの粒子の流束Γ(x)は、ボクセルの状態iの粒子の密度(Ni(x))と、ボクセルが重なり合った領域の容積(V(x))とを乗算したものに等しい。
Γ(x)=Ni(x)V(x) 式(9)
平行六面体Gに1又は2以上のファセットが交わる時には、以下の条件が当てはまり、
=ΣVα(x)+ΣV(β) 式(10)
ここでの第1の加算は、Gが重なり合った全てのボクセルに相当し、第2の項は、Gに交わる全てのファセットに相当する。平行六面体Gに別のファセットが交わらない時には、この式が以下のように変形する。
=ΣV(x) 式(11)
D.シミュレーションの実行
1又は2以上のファセットの影響を受けるボクセルが識別されたら(ステップ304)、タイマを初期化してシミュレーションを開始する(ステップ306)。(本明細書では時間ステップとも呼ぶ)シミュレーションの各時間増分中には、粒子と表面ファセットとの相互作用を考慮した移流段階(ステップ308〜316)によってボクセルからボクセルへの粒子の移動をシミュレートする。次に、衝突段階(ステップ318)によって各ボクセル内の粒子の相互作用をシミュレートする。その後、タイマが増分される(ステップ320)。増分したタイマによってシミュレーションが完了した旨が示されない(ステップ322)場合には、移流段階と衝突段階と(ステップ308〜320)を繰り返す。増分したタイマによってシミュレーションが完了した旨が示された(ステップ322)場合には、シミュレーションの結果を記憶及び/又は表示する(ステップ324)。
1.表面の境界条件
表面との相互作用を正しくシミュレートするために、各ファセットは4つの境界条件を満たさなければならない。まず、ファセットが受け取った粒子の合計質量が、ファセットが移動させた粒子の合計質量に等しくなければならない(すなわち、ファセットへの正味質量流束がゼロに等しくなければならない)。次に、ファセットが受け取った粒子の合計エネルギーが、ファセットが移動させた粒子の合計エネルギーに等しくなければならない(すなわち、ファセットへの正味エネルギー流束がゼロに等しくなければならない)。これらの2つの条件は、各エネルギーレベル(すなわち、エネルギーレベル1及び2)での正味質量流束がゼロに等しくなるよう求めることによって満たすことができる。
他の2つの境界条件は、ファセットと相互作用する粒子の正味運動量に関連する。本明細書では滑り面と呼ぶ表面摩擦がない表面では、正味接線運動量流束がゼロに等しくなければならず、正味法線運動量流束がファセットの局所圧力に等しくなければならない。従って、ファセットの法線nαに垂直な受け取った合計運動量の成分と、ファセットの法線nαに垂直な移動させた合計運動量の成分と(すなわち、接線成分)が等しくなければならず、ファセットの法線nαに平行な受け取った合計運動量の成分と、ファセットの法線nαに平行な移動させた合計運動量の成分と(すなわち、法線成分)の差分がファセットの局所圧力に等しくなければならない。非滑り面では、ファセットが受け取った粒子の合計接線運動量に対するファセットが移動させた粒子の合計接線運動量が、表面の摩擦によって摩擦量に関連する倍数だけ減少する。
2.ボクセルからファセットへの収集
粒子と表面との間の相互作用をシミュレートする最初のステップとして、ボクセルから粒子を集めてファセットに提供する(ステップ308)。上述したように、ボクセルN(x)とファセットFαとの間の状態iの粒子の流束は以下の通りである。
Γ(x)=Ni(x)V(x) 式(12)
この式から、各状態iがファセットFαの方を向いている(ciα<0の)場合、ボクセルによってファセットFαに提供される粒子の数は以下の通りである。
Figure 0006728366
(x)が非ゼロの値を有するボクセルのみを加算しなければならない。上述したように、ファセットのサイズは、V(x)が少数のボクセルのみについて非ゼロの値を有するように選択される。V(x)及びPf(x)は非整数値を有することもできるので、Γα(x)は実数として記憶され処理される。
3.ファセットからファセットへの移動
次に、粒子がファセット間を移動する(ステップ310)。ファセットFαが流入状態(ciα<0)にある平行六面体Gに別のファセットFβが交わる場合、ファセットFαが受け取る状態iの粒子の一部はファセットFβから流入するようになる。具体的に言えば、ファセットFαは、前回の時間増分中にファセットFβによって生成された状態iの粒子の一部を受け取るようになる。この関係を図10に示しており、ここでは、ファセットFβが交わる平行六面体Gの一部1000が、ファセットFαが交わる平行六面体Gの一部1005に等しい。上述したように、交わった部分をV(β)として示す。この項を用いて、ファセットFβとファセットFαとの間の状態iの粒子の流束を以下のように表すことができ、
Γ(β,t−1)=Γi(β)V(β)/V 式(14)
ここでのΓi(β,t−1)は、前回の時間増分中にファセットFβによって生成された状態iの粒子の測定量である。この式から、各状態iがファセットFαの方を向いている(ciα<0の)場合、他のファセットによってファセットFαに提供される粒子の数は以下のようになり、
Figure 0006728366
ファセット内への状態iの粒子の全流束は以下のようになる。
Figure 0006728366
ファセット分布関数とも呼ばれるファセットの状態ベクトルN(α)は、ボクセル状態ベクトルの54個のエントリに対応する54個のエントリを有する。ファセット分布関数の入力状態N(α)は、これらの状態になる粒子の流束を容積Vで除算したものに等しく設定され、
iα<0の場合、以下のようになる。
i(α)=ΓiIN(α)/V 式(17)
ファセット分布関数は、ファセットからの出力流束を生成するためのシミュレーションツールであり、必ずしも実際の粒子を表すものではない。正確な出力流束を生成するには、分布関数の他の状態に値を割り当てる。上述した内向き状態を投入する手法を用いて外向き状態を投入すると、
iα≧0の場合、
i(α)=ΓiOTHER(α)/V 式(18)
となり、ここでのΓiOTHER(α)は、上述したΓiIN(α)を生成するための手法を用いて、ただしこの手法を流入状態(ciα<0))以外の状態(ciα≧0)に適用して決定される。別の方法では、以前の時間ステップからのΓiOUT(α)の値を用いて以下のようにΓiOTHER(α)を生成することもできる。
ΓiOTHER(α,t)=ΓiOUT(α,t−1) 式(19)
平行状態(ciα=0)では、V及びV(x)がいずれもゼロである。Ni(α)を求める式では、V(x)が(ΓiOTHER(α)の式からの)分子に現れ、Vが(Ni(α)の式からの)分母に現れる。従って、V及びV(x)がゼロに近付くと、平行状態のNi(α)は、Ni(α)の極限として決定される。
ゼロ速度を有する状態の値(すなわち休止状態、並びに状態(0,0,0,2)及び(0,0,0,−2))は、シミュレーションの最初に温度及び圧力の初期条件に基づいて初期化される。その後、これらの値は時間と共に調整される。
4.ファセット表面動力学の実行
次に、各ファセットが上述した4つの境界条件を満たすように表面動力学を実行する(ステップ312)。図11に、ファセットの表面動力学の実行手順を示す。最初に、ファセットにおける粒子の合計運動量P(α)を以下のように求めることによって、ファセットFαに垂直な合計運動量を求める(ステップ1105)。
全てのiについて、
Figure 0006728366
この式から、以下のように法線運動量Pn(α)を求める。
n(α)=nα・P(α) 式(21)
次に、プッシング/プリング法を用いてこの法線運動量を排除(ステップ1110)してNn(α)を取り出す。この手法によれば、粒子は、法線運動量にのみ影響を与える形で状態間を移行する。このプッシング/プリング法は、引用により組み入れられる米国特許第5,594,671号に記載されている。
その後、Nn-(α)の粒子を衝突させてボルツマン分布Nn-β(α)を生じさせる(ステップ1115)。以下で流体力学の実行に関して説明するように、ボルツマン分布は、Nn-(α)に一連の衝突則を適用することによって達成することができる。
次に、流入流束分布とボルツマン分布とに基づいてファセットFαの流出流束分布を求める(ステップ1120)。まず、流入流束分布Γi(α)とボルツマン分布との差分を以下のように求める。
ΔΓi(α)=ΓiIN(α)−Nn-βi(α)V 式(22)
この差分を使用すると、流出流束分布は、
nαci>0の場合、
ΓiOUT(α)=Nn-βi(α)V−.Δ.Γi*(α) 式(23)
となり、ここでのi*は、状態iとは逆方向を有する状態である。例えば、状態iが(1,1,0,0)である場合、状態i*は(−1,−1,0,0)である。流出流束分布は、表面摩擦及びその他の因子を考慮してさらに精緻化することができ、
αi>0の場合、以下のようになり、
ΓiOUT(α)=Nn-βi(α)V−ΔΓi*(α)+
f(nα・ci)[Nn-Bi*(α)]V
(nα・ci)(t・ci)ΔNj,1
(nα・ci)(t・ci)ΔNj,2 式(24)
ここでのCfは、表面摩擦の関数であり、tは、nαに垂直な第1の接線ベクトルであり、tは、nαとtの両方に垂直な第2の接線ベクトルであり、ΔNj,1及びΔNj,2は、状態iのエネルギー(j)及び指示される接線ベクトルに対応する分布関数である。分布関数は、次式に従って決定され、
Figure 0006728366
ここでのjは、エネルギーレベル1状態では1に等しく、エネルギーレベル2状態では2に等しい。
ΓiOUT(α)の方程式の各項の関数は以下の通りである。第1及び第2の項は、ボルツマン分布を生じる上で衝突が効果的である限りは法線運動量流束境界条件を強制するが、接線運動量流束の例外を含む。第4及び第5の項は、この不十分な衝突に起因する離散性効果又は非ボルツマン構造を原因として生じ得る例外を補正する。最後に、第3の項は、表面上の接線運動量流束の所望の変化を強制するように一定量の表面摩擦を追加する。摩擦係数Cfの生成については以下で説明する。なお、ベクトル操作に関与する全ての項は、シミュレーションの開始前に計算できる幾何学的因子である。
この式から、接線速度が以下のように求められ、
i(α)=(P(α)−Pn(α)nα)/ρ 式(26)
ここでのpは、以下のようなファセット分布の密度である。
Figure 0006728366
上記と同様に、流入流束分布とボルツマン分布との差分を以下のように求める。
ΔΓi(α)=ΓiIN(α)−Nn-βi(α)V 式(28)
すると、流出流束分布は以下のようになり、
ΓiOUT(α)=Nn-βi(α)V−ΔΓi*(α)+Cf(nαi)[Nn-βi*(α)−Nn-βi(α)]V式(29)
この式は、先の手法によって求めた流出流束分布の最初の2行に対応するが、異常な接線流束のための補正を必要としない。
いずれかの方法を使用すると、結果として得られる流束分布は運動量流束条件を全て満たし、すなわち、
Figure 0006728366
となり、ここでのpαは、ファセットFαにおける平衡圧であって、ファセットに粒子を提供するボクセルの平均密度及び温度値に基づき、uαは、ファセットにおける平均速度である。
質量及びエネルギー境界条件が確実に満たされるように、各エネルギーレベルjについて入力エネルギーと出力エネルギーとの差分を以下のように測定する。
Figure 0006728366
ここでの添字jは、状態iのエネルギーを示す。次に、このエネルギー差を用いて差分項(difference term)を生成すると、
jiα>0の場合、以下のようになる。
Figure 0006728366
この差分項を用いて流出流束を修正すると、流速は、
jiα>0の場合、以下のようになる。
ΓαjiOUTf=ΓαjiOUT+δΓαji 式(33)
この演算は、接線運動量流束をそのままにした状態で質量及びエネルギー流束を訂正する。ファセットの近傍において流れがおおよそ均一であって平衡に近い場合には、この調整はわずかなものである。結果として得られる調整後の法線運動量流束は、近傍の平均特性に近傍の非均一性又は非平衡特性に起因する補正をプラスしたものに基づく平衡圧である値へとわずかに変化する。
5.ボクセルからボクセルへの移動
図3を参照すると、3次元直線格子に沿ってボクセル間で粒子を移動させる(ステップ314)。このボクセルからボクセルへの移動は、ファセットと相互作用しないボクセル(すなわち、表面付近に存在しないボクセル)に対して行われる唯一の移動操作である。典型的なシミュレーションでは、表面と相互作用するほど十分に表面近くに存在しないボクセルがボクセルの大多数を構成する。
この分離状態の各々は、3次元のx、y及びzの各々において格子に沿って整数速度で移動する粒子を表す。整数速度は、0、±1及び±2を含む。速度の符号は、対応する軸に沿った粒子の移動方向を示す。
表面と相互作用しないボクセルでは、この移動操作は計算的に極めて単純である。毎時間増分中に、状態の集団全体をその現在のボクセルから宛先ボクセルに移動させる。同時に、宛先ボクセルの粒子を、そのボクセルから独自の宛先ボクセルに移動させる。例えば、+1x及び+1y方向に移動しているエネルギーレベル1の粒子(1,0,0)は、その現在のボクセルから、x方向に+1上回り他の方向が0であるボクセルに移動させる。この粒子は、最後には移動前の状態と同じ状態の宛先ボクセル(1,0,0)に行き着く。ボクセル内の相互作用は、他の粒子及び表面との局所的相互作用に基づいてその状態の粒子総数を変化させることがある。変化しなければ、粒子は格子に沿って同じ速度で同じ方向に移動し続ける。
この移動操作は、1又は2以上の表面と相互作用するボクセルでは若干複雑になる。この結果、1又は2以上の端数粒子(fractional particles)がファセットに移動することがある。このような端数粒子のファセットへの移動により、ボクセルに端数粒子が留まるようになる。これらの端数粒子を、ファセットに占有されたボクセルに移動させる。例えば図9を参照すると、ボクセル905の状態iの粒子の一部900がファセット910に移動した時には(ステップ308)、残り部分915をファセット910が位置するボクセル920に移動させ、ここから状態iの粒子をファセット910に向ける。従って、状態集団が25に等しく、V(x)が0.25に等しい(すなわち、ボクセルの4分の1が平行六面体Gに交わる)場合には、6.25の粒子がファセットFαに移動し、18.75の粒子を、ファセットFαに占有されたボクセルに移動させる。1つのボクセルに複数のファセットが交わることもあるので、1又は2以上のファセットに占有されたボクセルに移動する状態iの粒子の数N(f)は以下のようになり、
Figure 0006728366
ここでのN(x)はソースボクセルである。
6.ファセットからボクセルへの散乱
次に、各ファセットからの流出粒子をボクセルに散乱させる(ステップ316)。基本的に、このステップは、ボクセルからファセットに粒子が移動する収集ステップの逆である。ファセットFαからボクセルN(x)に移動する状態iの粒子の数は以下のようになり、
Figure 0006728366
ここでのPf(x)は、部分的なボクセルの容積縮小に相当する。この式から、各状態iについて、ファセットからボクセルに向かう粒子の総数N(x)は以下のようになる。
Figure 0006728366
粒子をファセットからボクセルに散乱させ、これらの粒子を周囲のボクセルから移流した粒子と組み合わせて結果を整数化した後には、一定のボクセルの一定の方向がアンダーフロー(負になる)又はオーバーフロー(8ビット実装において255を超える)のいずれかになることがある。この結果、これらの量を許容できる値の範囲に収まるように切り捨てた後に、質量、運動量及びエネルギーが増加又は減少するようになる。このような発生を防ぐために、有害な状態を切り捨てる前に、限界を超えた質量、運動量及びエネルギーを蓄積する。状態を有するエネルギーでは、(アンダーフローに起因して)得られた又は(オーバーフローに起因して)失われた値に等しい質量が、同じエネルギーを有するランダムに(又は順次に)選択された状態に再び追加され、これ自体がオーバーフロー又はアンダーフローに影響されることはない。この質量及びエネルギーの追加によって生じるさらなる運動量を蓄積して、切り捨てからの運動量に追加する。同じエネルギー状態のみに質量を追加することにより、質量カウンタがゼロに達した時に質量及びエネルギーがいずれも補正される。最終的に、運動量積算器がゼロに戻るまでプッシング/プリング法を用いて運動量を補正する。
7.流体力学の実行
最後に、流体力学を実行する(ステップ318)。このステップは、マイクロ動力学操作又はボクセル内操作と呼ぶことができる。同様に、移流手順は、ボクセル間操作と呼ぶことができる。後述するマイクロ動力学操作を用いて、ファセットにおける粒子を衝突させてボルツマン分布を生成することもできる。
流体力学は、格子ボルツマン方程式モデルにおいて、BGK衝突モデルとして知られている特定の衝突演算子によって保証される。この衝突モデルは、実際の流体系における分布の動力学を模倣する。衝突プロセスは、式1及び式2の右辺によって十分に説明することができる。移流ステップ後には、式3を用いた分布関数から流体系の保存量、具体的には密度、運動量及びエネルギーが取得される。これらの量から、式(2)にfeqで示す平衡分布関数が式(4)によって十分に規定される。いずれも表1に列挙する速度ベクトルセットci、重みの選択は、式2と相まって、巨視的挙動が正しい流体動力学方程式に従うことを保証する。
E.可変分解能
図12を参照すると、(図6及び図7に示して上述した)可変分解能は、本明細書では粗ボクセル12000及び微小ボクセル1205と呼ぶ異なるサイズのボクセルを使用する。(以下の説明では、2つの異なるサイズを有するボクセルを参照するが、説明する手法を3又は4以上の異なるサイズのボクセルに適用してさらなる分解能レベルを提供することもできると理解されたい。)粗ボクセルの領域と微小ボクセルの領域との間の境界面は、可変分解能(VR)境界面1210と呼ぶ。
表面又は表面近くで可変分解能を使用する場合、ファセットは、VR境界面の両側のボクセルと相互作用することができる。これらのファセットは、VR境界面ファセット1215(FαIc)又はVR微小ファセット1220(FαIF)として分類される。VR境界面ファセット1215は、VR境界面の粗側に位置する、微小ボクセルに及ぶ粗平行六面体1225を有するファセットである。(粗平行六面体は、ciの次元が粗ボクセルの寸法に従って決定される平行六面体であり、微小平行六面体は、ciの次元が微小ボクセルの寸法に従って決定される平行六面体である。)VR微小ファセット1220は、VR境界面の微小側に位置する、粗ボクセルに及ぶ微小平行六面体1230を有するファセットである。境界面ファセットに関する処理は、粗ファセット1235(Fαc)及び微小ファセット1240(FαF)との相互作用を伴うこともできる。
両タイプのVRファセットでは、表面動力学が微小スケールで実行されて上述したように動作する。しかしながら、VRファセットは、VRファセットへの及びVRファセットからの粒子の移流方法に関して他のファセットとは異なる。
VRファセットとの相互作用は、図13に示す可変分解能手順1300を用いて行われる。この手順のほとんどのステップは、非VRファセットとの相互作用について上述した同等のステップを用いて行われる。手順1300は、それぞれが微小時間ステップに対応する2つの位相を含む粗時間ステップ(すなわち、粗ボクセルに対応する期間)中に実行される。ファセット表面動力学は、各微小時間ステップ中に実行される。このため、VR境界面ファセットFαIcは、それぞれ黒色ファセットFαIcb及び赤色ファセットFαICrと呼ばれる2つの同一サイズ及び同一配向の微小ファセットと見なされる。黒色ファセットFαICbは、粗時間ステップ内の第1の微小時間ステップに関連し、赤色ファセットFαICrは、粗時間ステップ内の第2の微小時間ステップに関連する。
最初に、第1の表面−表面移流段階によって粒子がファセット間を移動する(移流する)(ステップ1302)。粒子は、黒色ファセットFαICbから、V-αβの重み付け係数を有する粗ファセットFβCに移動し、この重み付け係数V-αβは、ファセットFαから広がってファセットFβの裏側に存在する粗平行六面体(図12、1225)の非ブロック部分から、ファセットFαから広がってファセットFβの裏側に存在する微小平行六面体(図12、1245)の非ブロック部分を差し引いた容積に対応する。微小ボクセルのciの大きさは、粗ボクセルのciの大きさの1/2である。上述したように、ファセットFαの平行六面体の容積は以下のように定義される。
=|ciα|Aα 式(37)
従って、ファセットの表面積Aαは粗平行六面体と微小平行六面体との間で変化せず、単位法線nαは常に1の大きさを有するので、あるファセットに対応する微小平行六面体の容積は、このファセットの対応する粗平行六面体の容積の1/2である。
粒子は、粗ファセットFαCから、Vαβの重み付け係数を有する黒色ファセットFβICbに移動し、この重み付け係数Vαβは、ファセットFαから広がってファセットFβの裏側に存在する微小平行六面体の非ブロック部分の容積に対応する。
粒子は、赤色ファセットFαICrからVαβの重み付け係数を有する粗ファセットFβCに、そして粗ファセットFαCからV-αβの重み付け係数を有する赤色ファセットFβICbに移動する。
粒子は、赤色ファセットFαICrからVαβの重み付け係数を有する黒色ファセットFβICbに移動する。このステップでは、黒色から赤色への移流は行われない。また、黒色ファセット及び赤色ファセットは連続する時間ステップを表すので、黒色から黒色への移流(又は赤色から赤色への移流)は決して行われない。同様の理由で、この段階の粒子は、赤色ファセットFαICrからVαβの重み付け係数を有する微小ファセットFβIF又はFβFに、そして微小ファセットFαIF又はFαFから同じ重み付け係数を有する黒色ファセットFαICbに移動する。
最後に、粒子は、微小ファセットFαIF又はFαFから同じ重み付け係数を有する他の微小ファセットFβIF又はFβFに、そして粗ファセットFαCからVCαβの重み付け係数を有する他の粗ファセットFCに移動し、この重み付け係数VCαβは、ファセットFαから広がってファセットFβの裏側に存在する粗平行六面体の非ブロック部分の容積に対応する。
粒子が表面間を移流した後に、第1の収集段階においてボクセルから粒子を収集する(ステップ1304〜1310)。微小ファセットFαFの粒子は、微小平行六面体を用いて微小ボクセルから収集され(ステップ1304)、粗ファセットFαCの粒子は、粗平行六面体を用いて粗ボクセルから収集される(ステップ1306)。次に、微小平行六面体を用いて、粗ボクセル及び微小ボクセルの両方から黒色ファセットFαIRb及びVR微小ファセットFαIFの粒子を収集する(ステップ1308)。最後に、粗平行六面体と微小平行六面体との差分を用いて、粗ボクセルから赤色ファセットFαIRrの粒子を収集する(ステップ1310)。
次に、微小ボクセル又はVRファセットと相互作用をする粗ボクセルを一群の微小ボクセルに展開する(ステップ1312)。単一の粗時間ステップ内で粒子を微小ボクセルに移動させる状態の粗ボクセルを展開する。例えば、ファセットが交わっていない適切な状態の粗ボクセルは、図4のマイクロブロックのように配向された8つの微小ボクセルに展開される。1又は2以上のファセットが交わっている適切な状態の粗ボクセルは、いずれのファセットも交わっていない粗ボクセルの部分に対応する一群の完全な及び/又は部分的な微小ボクセルに展開される。粗ボクセルと、粗ボクセルの展開によって生じる微小ボクセルとでは粒子密度Ni(x)は等しいが、微小ボクセルは、粗ボクセルの分数係数及び他の微小ボクセルの分数係数とは異なる分数係数Pfを有することができる。
その後、微小ファセットFαIF及びFαFについて表面動力学を実行し(ステップ1314)、黒色ファセットFαICbについて表面動力学を実行する(ステップ1316)。動力学は、図11に示して上述した手順を用いて実行される。
次に、実際の微小ボクセルと、粗ボクセルの展開によって生じた微小ボクセルとを含む微小ボクセル間で粒子を移動させる(ステップ1318)。粒子を移動させたら、微小ファセットFαIF及びFαFから微小ボクセルに粒子を散乱させる(ステップ1320)。
粒子は、黒色ファセットFαICbから(粗ボクセルの展開によって生じた微小ボクセルを含む)微小ボクセルにも散乱させる(ステップ1322)。粒子は、微小ボクセルがその時に表面の存在が無ければ粒子を受け取っていたと思われる場合には微小ボクセルに散乱させる。具体的に言えば、(粗ボクセルの展開によって生じた微小ボクセルではなく)ボクセルが実際の微小ボクセルである時、ボクセルN(x)を超える1つの速度単位N(x)であるボクセルN(x+ci)が実際の微小ボクセルである時、或いはボクセルを超える1つの速度単位N(x)であるボクセルN(x+ci)が粗ボクセルの展開によって生じた微小ボクセルである時には、粒子をボクセルN(x)に散乱させる。
最後に、微小ボクセル上で流体力学を実行することによって第1の微小時間ステップが完了する(ステップ1324)。流体力学を実行するボクセルは、粗ボクセルの展開によって生じた微小ボクセルを含まない(ステップ1312)。
手順1300は、第2の微小時間ステップ中にも同様のステップを実施する。最初に、第2の表面−表面移流段階において、粒子が表面間を移動する(ステップ1326)。粒子は、黒色ファセットから赤色ファセットに、黒色ファセットから微小ファセットに、微小ファセットから赤色ファセットに、そして微小ファセットから微小ファセットに移流する。
粒子が表面間を移流した後に、第2の収集段階においてボクセルから粒子を収集する(ステップ1328〜1330)。赤色ファセットFαIRrの粒子は、微小平行六面体を用いて微小ボクセルから収集される(ステップ1328)。微小ファセットFαF及びFαIFの粒子も、微小平行六面体を用いて微小ボクセルから収集される(ステップ1330)。
その後、上述したように、微小ファセットFαIF及びFαFについて表面動力学を実行し(ステップ1332)、粗ファセットFαCについて表面動力学を実行し(ステップ1134)、赤色ファセットFαICRについて表面動力学を実行する(ステップ1336)。
次に、微小ボクセルと粗ボクセルを表す微小ボクセルとの間を粒子が移動するように、微小分解能を用いてボクセル間で粒子を移動させる(ステップ1338)。その後、粒子が粗ボクセル間を移動するように、粗分解能を用いてボクセル間で粒子を移動させる(ステップ1340)。
次に、組み合わせステップにおいて、粒子をファセットからボクセルに散乱させながら、粗ボクセルを表す微小ボクセル(すなわち、粗ボクセルの展開によって生じた微小ボクセル)を粗ボクセルに合体させる(ステップ1342)。この組み合わせステップでは、粗平行六面体を用いて粒子を粗ファセットから粗ボクセルに散乱させ、微小平行六面体を用いて粒子を微小ファセットから微小ボクセルに散乱させ、微小平行六面体を用いて粒子を赤色ファセットから微小又は粗ボクセルに散乱させ、粗平行六面体と微小平行六面体との差分を用いて粒子を黒色ファセットから粗ボクセルに散乱させる。最後に、微小ボクセル及び粗ボクセルに流体力学を実行する(ステップ1344)。
F.多孔質媒体の境界面モデル
一般に、多孔質媒体(PM)を通る流体流の抵抗は、2地点間の圧力降下が流速「ρu」と2地点間の距離Lとに比例することを唱えるダルシーの法則によって表され、
p2−p1=σLρu
ここでの「σ」はPMの抵抗率である。多孔率(0〜1)をPMの孔の容積率として定義した場合に1に近い高多孔率ФのPMを通る流れでは、一般にPMと流体との間の境界面における流れの詳細は無視することができる。しかしながら、低多孔率のPMでは、流量音響学などの特定のタイプの応用については界面効果が有意になる場合がある。
例えば、図14に、多孔率Фの多孔質媒体PMの境界面1401に向かって流れる流体Fを示す。境界面1401上の単位面積1402では、浸透性があって流体が流入できる表面の割合はФのみである。対照的に、PMの固体構造によってブロックされる表面の割合は1−Фである。この結果、表面上の各単位面積における流体FのФの割合しかPMに侵入できず、流体Fの1−Фの割合部分はPMの固体壁によってブロックされて境界面1401の流体側に留まる。LBM法などの動力学的方法では、このような部分的流体透過率を効率的に実現することができる。流体は、流体粒子によって、すなわち質量運動量エネルギー流束及び粒子分布などの流体流束によって表されるので、粒子の移流中には粒子のФの割合がPM内に侵入することができ、粒子の1−Фの割合がPMの固体壁境界条件(BC)によって制限される。ここでは、流体粒子が、粒子分布又は流体力学の流束と、質量流束、運動量流束及びエネルギー流束などの熱力学的特性とを含むことができる。また、流体粒子又は流体要素は、質量、密度、運動量、圧力、速度、温度及びエネルギーなどの特性を含むこともできる。さらに、本明細書では完全に識別してはいないが、これらの要素は、あらゆる流体、流れ、又は熱力学に関する量に関連することもできる。
摩擦壁(反発壁又は乱流壁)BC又は無摩擦壁BCのいずれかを適用することができる。PMに侵入できる粒子の割合は、質量及び運動量条件に、境界面に対して法線方向に影響を与える。境界面における接線挙動では、(「典型的な」壁境界に当てはまるように)無摩擦壁又は摩擦壁BCのいずれかを適用することができる。無摩擦壁BCは、境界面における接線運動量の流束を修正しないことによって壁の表面接線流体速度を維持する。摩擦壁BCは、例えば非滑り壁の境界条件又は乱流壁モデルを達成するように接線運動量流束を変化させる。これらの壁BCは、壁全体にわたるゼロ質量流束を保証する。多孔率Фが1に等しい時には、PMの壁部分が事実上消失し、部分的な壁モデルが作用をもたらさなくなる。
流体からPM内に流入する粒子の割合はPMの多孔率によって制御されるのに対し、PMから離れる粒子は、流体側からの固体障害物に遭遇しないので自由に移動することができる。これらの粒子、及びPMへの侵入を妨げられた粒子は、流体側への総粒子流を形成する。
図15に示すように、PM境界面Xは、いわゆる両面表面要素(すなわち、サーフェル)によって表すことができる。このような両面サーフェルでは、一対のサーフェルの組Sが、内面A及び外面Bを有する二層表面を形成する。内面AはPMと相互作用し、外面Bは流体領域Fdと相互作用する。内面Aと外面Bとの間に間隙は存在しない。計算の便宜上、各内側サーフェルは、その対を成す外側サーフェルと同一の形状及びサイズを有し、対を成す外側サーフェルのみに接触する。表面A、Bの各側面に対し、流体側Fからの流入粒子のФfの割合がPM側に通過して、PM側からの流入粒子ФPMの全てが流体側Fに通過するという条件で、標準的なサーフェル収集及び散乱スキームを実行する。この方法の利点としては、複雑なPM境界面の処理が単純化され、保存則が完全に満たされ、PM境界面の特定の流体境界条件が容易に実現される点が挙げられる。
事実上、この方法は、PMの厚みに比例しないPM境界面抵抗を導入し、従ってダルシーの法則の近似に含めることはできない。この方法は、PM境界面における流れの詳細を考慮し、音響吸収のモデル化などの特定のタイプの流量問題のシミュレーション結果を改善する。
例えば、図16を参照すると、音響吸収モデル化システム1600では、流体流領域FFが、流体流領域FFとの間の境界面を形成するPM境界面Xと、壁部Wとの間の境界面を形成する壁部境界面Yとを含む、音吸収特性を有するPM材料によって占められた領域PMに隣接することができる。流体流領域FF及び領域PMは、実際には異なる特性を有する2つの別個のシミュレーション空間として扱うことができ(例えば、領域PMでは、高インピーダンスを用いてPMインピーダンスの存在を考慮することができる)、上述したように、2つのシミュレーション空間FF、PM間の動きФ及び1−Фは、PM境界面の特性に影響される。
音響工学では、多孔質材料による音響吸収が重要なテーマである。顕微鏡スケールでは、材料の位相幾何学的な複雑さに起因して、多孔質媒体における音の伝播を特性化することは困難である。巨視的スケールでは、空隙率の高い多孔質材料を、空気に対する修正特性を有する流体の領域として扱うことができる。このような媒体の音響伝播は、材料の2つの固有の周波数依存した容量特性の形である特性インピーダンス及び複素音波数で表すことができる。ある仮定の下では、吸収材料における音響伝播のための所与の容積モデルを、2つの異なる媒体間の境界面における局所的に反応する周波数依存した複素インピーダンスの形にすることができる。例えば、境界要素法(BEM)、有限要素法(FEM)及び統計エネルギー分析(SEA)法などのインピーダンスモデルが、周波数領域の境界条件として実装される。
流れに起因する騒音に関する問題の場合、好適な計算流体力学(CFD)及び/又は計算空力音響学(CAA)数値法は非線形的であって、しばしば時間陽的(time−explici)である。時間陽的解決策では、時間領域表面インピーダンス境界条件が、多孔質材料に起因する音響吸収のモデル化を同様に可能にすることもできる。しかしながら、たとえ時間領域表面インピーダンスの公式化を導き出せる場合であっても、安定性及びロバスト性は、克服の困難な課題と思われる。例示的な方法は、音波が材料内を伝わり、運動量シンクを通じて消失するように、吸収材料を容積流体領域としてモデル化することを含む。この方法は、ダルシーの法則に従って運動量シンクを材料の流れ抵抗に関連付けることによって行われる、多孔質媒体を通る流れを巨視的モデル化する方法に関連する。例示的な音響吸収のモデル化法では、望ましい吸収挙動を実現するための運動量シンクの求め方が問題である。音響吸収が流れ抵抗と同じ物理的機構によって支配される(又は少なくとも左右される)のであれば、特定の多孔質材料の正しい流れ抵抗を実現するために使用するものと同じ運動量シンク挙動が、この材料の正しい音響吸収も実現するはずである。この方法は、あらゆる受動的な同質の多孔質材料についても有効なはずである。さらに、本質的に良設定された形でインピーダンスが実現される(すなわち、受動的な原因となる実際の条件が満たされる)ので、数値的安定性の問題も排除されるはずである。
この例示的な方法によれば、伝統的なCFDに代わる数値的方法としてここ20年に渡って進化してきた格子ボルツマン法(LBM)に基づく時間陽的CFD/CAA解決法を使用することができる。LBMは、巨視的連続体方程式を離散化することに基づく方法とは異なり、巨視的流体力学を予測する「メゾスコピック」なボルツマン動力学方程式から開始する。結果として得られる圧縮可能な非定常解法を用いて、空力音響学及び純粋な音響問題などの様々な複雑な流動物理学を予測することができる。多孔質媒体モデルは、HVACシステム、車両のエンジンコンパートメント及びその他の用途装置などを通じた流れをシミュレートする際に遭遇する、エアフィルタ、ラジエータ、熱交換器、蒸発器及びその他の構成部品などの様々な構成部品の流れ抵抗を表すために使用される。
Ф=1に近い多孔率を有する同質の受動的吸収材料の内側の音波の伝播は、材料の特性インピーダンスZc(ω)及び複素波数k(ω)によって巨視的に完全に特徴付けられる。様々な多孔質材料及び繊維質材料を測定することにより、Delany−Bazleyモデル又はAllard−Champoux 3−パラメータモデルなどの多くの半経験的モデルが導出される。例えば、Allard−Champoux 3−パラメータモデルは、以下の式によって与えられ、
Figure 0006728366
Figure 0006728366
ここでのp0は、空気の密度であり、c0は、空気中の音速であり、Xは、流れ抵抗をσとするX=ρ0ω/2πσに等しい無次元パラメータである。このモデルは、0.01<X<0.1の場合に有効と考えられる。図17Aに示すように、不浸透性剛壁1701が裏張りされた均一な厚み「d」の多孔質材料PMの層という状況では、空気/材料境界面Iamにおける法線入射の複素インピーダンスZs(ω)が以下のようになる。
Figure 0006728366
多孔質材料PMと剛壁1701との間に厚み「e」の空気の層が存在する図17Bに示すように、Zs(ω)の式は以下のようになり、
Figure 0006728366
Figure 0006728366
である。
複素表面インピーダンスZs(ω)は、その実数部及び虚数部、抵抗R(ω)及びリアクタンスX(ω)の関数としてそれぞれ表される。R(ω)>0(すなわち、正の抵抗)を特徴とする受動材料では、材料吸収係数α(ω)が以下の式によって定義される。
Figure 0006728366
表面インピーダンスは、後述する2マイクロホン法を用いてインピーダンス管内で測定することができる。
LBMベースの方法を用いて、非定常流と音響波の生成及び伝播とを計算することができる。LBMでは、衝突ステップ中に局所瞬間粒子分布を変化させることによって流体力学に外力を含めることができる。単位時間当たりに加わる外力は、事実上の運動量ソース/シンクになる。この手法を用いて、例えば重力に起因する浮力効果をモデル化することができる。この方法は、ダルシーの法則に基づく外力を流速の関数として流れ抵抗に加えることによって多孔質媒体モデルを実装する。流れに対する多孔質媒体の影響は、正しい圧力勾配が達成されて正しい全体的圧力降下が得られるように多孔質領域の各容積位置における運動量を除去することによって実現される。
音響伝播に対する多孔質媒体モデルの影響を評価するために、図18に示すような3D環状インピーダンス管1801をシミュレートすることができる。例えば、管寸法は、長さL=0.772mであり、直径D=0.0515mであり、管1801を有効使用するための周波数範囲は、例えば100Hz〜3000Hzとすることができる。管壁1802は剛性かつ無摩擦であると見なし、入口1803において白色騒音を表す時変圧力境界条件を加える。厚み「d」の層は吸収材料を表し、x方向の流れの抵抗σxと他の方向の無限抵抗とを特徴とする多孔質媒体領域PMである。多孔質媒体領域PMと右側剛壁1804との間には、厚み「e」の空気層を含めることができる。f=3000Hzの波長当たり30ポイント、すなわちΔx=1.7mmの均一な格子分解能を用いて音響波の低数値消失を保証することができる。時間ステップはΔt=4.56×10-6sであり、結果が始動過度期を超えて発展して有意義な統計値を提供するのに十分な物理的時間であると認められるT=2sの時間にわたってシミュレーションを実行する。
2つの仮想マイクロホン管p1(x1,t)及びp2(x2,t)の内部の圧力時間履歴を記録する。x1−x2=s及びx1=lを使用すると、x=0における表面複素インピーダンスが以下の式によって与えられ、
Figure 0006728366

12は、p1とp2との間の複素伝達関数であり、波数k=ω/c0=2πf/c0である。この式から音響抵抗、リアクタンス及び吸収係数を求めて半経験的モデル及び実験結果と比較する。
表1
Figure 0006728366
表1に示すようなシミュレーション構成を、Allard−Champouxモデル(式38及び式39)と比較する。構成A(吸収層なし)によって示されるように、数値システムの結果のあらゆる残留吸着の格子分解能及び特性に対する結果の収束。図19に示すように、構成Aの場合、低周波では残留吸着がゼロに近く、高周波(f>1500Hz)では粗分解能で多少の吸着が測定される。この吸着は、格子を粗く形成した際の空気中及び固体境界の両方における数値的音響消失の増加に関連する。波長(ppw)当たり40ポイントの場合、残留吸着はf<3000Hzで5%未満であり、満足できるものと考えることができる。1900Hz及び2650Hzにおけるピークは、式42のポールに関連し、数値及び信号処理アーチファクトに対応する。自動車HVACシステムの典型的なエアフィルタに対応する構成Gが示すように、流れ抵抗σx=100rayls/mである。
図20〜図22に、LBM−PMモデル結果、Allard−Champouxモデルの結果、及び実験データを含む、30ppwシミュレーションを用いたいくつかの例示的な予備結果を示す。構成Bについての図20では、PMの厚み「d」が26.5mmであり、空気の厚み「e」が0.0mmであり、流れ抵抗「σ」が23150rayls/mである。構成Cについての図21では、PMの厚み「d」が26.5mmであり、空気の厚み「e」が48.5mmであり、流れ抵抗「σ」が23150rayls/mである。構成Dについての図22では、PMの厚み「d」が120.0mmであり、空気の厚み「e」が48.5mmであり、流れ抵抗「σ」が23150rayls/mである。ここでは、図20〜図22に実証されるようにAllard−Champouxモデルの有効性が確認され、シミュレーション結果もLBM−PMモデル及び実験結果に良好に相関する。各構成では、非単調挙動を含む吸収係数の周波数依存性が良く捉えられている。
例えば、HVACシステムの典型的なエアフィルタに対応する構成Gでは、音響吸収が比較的小さい。従って、LBM−PMモデル法は、流れ抵抗の影響は大きいが音響特性に対する影響は無視できる材料についても、流動効果及び音響効果の両方を正しく捉える。
空力音響学の分野では、ファン騒音の正確な予測が重要な問題である。車両メーカーは、乗客が体験する騒音レベルを低減しようと努めるので、暖房、換気及び空調(HVAC)システムによる騒音は、音響性能を改善するための対象になる。HVACシステムは、前席及び後席の乗客の顔及び足、並びにフロントガラス及びサイドガラスの曇り止めを含む様々な場所に空気を送る多くのダクトに結合された送風機及び混合ユニットから成る複雑なものである。送風機は、それぞれの熱的快適設定にとって望ましい気流速度を達成するのに十分な圧力ヘッドを供給しなければならない。騒音は、送風機の回転、混合ユニットにおける乱気流、ダクトのねじれ及び屈曲、並びにレジスタ(換気出口)からの排気に起因して生じる。HVACシステムの設計時に、騒音目標が満たされるかどうかを予測し、流れ、熱及び音響性能間の最良の妥協点を発見すると同時にパッケージング制約を満たすことは困難である。テストベンチに対する性能を変化させるHVACシステムを車両に統合する影響も考慮しなければならない。
例えば、図23に例示するように、多くのソース及び経路を含む車両2300のHVACシステムに起因して乗客に聞こえる騒音は、内部キャビン302で吸収される騒音の場合もある。例えば、騒音は、動翼と周囲空気との相互作用によって、並びに車両のシート2304及び天井2306などの付近の固定部品に対する移動空気の影響によって騒音を生じるラジアルファンを含む車両の送風機から生じることもある。このファンの騒音は、レジスタ内から複雑なダクト網を通じて内部キャビン2302に音響的に伝播する。ダクト及び混合ユニットの流れの騒音源は、主に精密な幾何学的特徴に起因する流れの分離及び渦によって生じ、やはりシステムを通じて音響的に伝播する。レジスタから排出される流れに起因する騒音は、グリルの細かな細部及びその配向、並びに結果として生じる出口ジェットが周囲空気と混じり合って(例えば、曇り止めのために)フロントガラス2308などの表面に影響し得ることに依存する。従って、上述したような例示的なモデルを用いて、内部キャビン2302を第1の容積の流体と考え、内部キャビン2302内の固定部品及び表面を多孔質媒体によって占められる第2の容積と考えることによって、数値的流れ音響予測の要件を達成することができる。例示的なモデルを実装することにより、複雑な形状を調査して、ファン及び流れに誘発される騒音源、並びにシステム全体を通じて車両2300の内部キャビン2302における乗客の位置に届く音響伝播を予測することができる。
この例示的なモデルは、複雑な流動構造、対応する騒音源、及び一体型システム全体を通じた幾何学的細部の影響を含めて結果として乗客の頭部空間位置に伝播する音響の正確な予測などの、完全に精密化された自動車HVACシステムの正確な数値的騒音予測を提供する。回転ファンの流れ及び騒音、並びにシステム全体を通じた音響伝播の直接的予測を含め、過渡的流れ特性及び音響学を特定することができる。この例示的なモデルは、提案される早期騒音評価を獲得して潜在的な設計オプションを評価し、及び/又は既存の設計における騒音問題を診断して改善することができる。また、この例示的なモデルは、帯域濾過による圧力分析を含む騒音源の識別及び洞察を可能にして特定の関心周波数帯域における現象を特定する可視化能力ももたらす。乗客位置の予想スペクトルを音声ファイルに変換して、様々な設計オプションの効果を比較試聴(comparative listening)することもできる。この例示的なモデルは、HVACシステムの正確な圧力、流速及び熱混合挙動も提供し、従って多くの学問領域にわたる設計トレードオフを評価して最適な空気、熱及び音響性能を有するHVACを設計するために使用することもできる。
別の例では、運搬用車両及び重機を作動させた結果、都市(又は環境)騒音として知られている音が空気を通じて周辺地域の人々に伝わる。航空及び陸上輸送の使用増加によって都市騒音が著しく増加し、健康への悪影響が証明されている。今やこの騒音公害は深刻な問題と考えられており、ほとんどの国で政府規制の対象であり、具体的な法令は産業及び車両のタイプによって国毎に異なる。移動車両又は固定設備に対する特定の位置又は距離における観察者に届く騒音レベルを伴う規制騒音目標を超えない製品を設計することが重要である。目標が満たされるかどうかを評価するには、近距離場の乱流又は機械的振動によって生じる主な騒音源と、結果として遠距離場の観察者に伝わる音響伝播とを特定しなければならない。
騒音目標を満たすための主な設計部分は、騒音源を評価して低減すると同時に他の多くの設計制約にも対処することである。実験的試験の課題としては、測定値を遠距離場に拡張して固定騒音源の風洞測定値を現実の移動騒音源のシナリオに関連付ける風洞空間制限も挙げられる。実験的手法及び数値手法が流れに誘発される騒音源の識別において共に直面する主要課題は、遠距離場に伝播する音が、近距離騒音場領域における乱流圧力変動に比べて非常に小さくなり得る圧力摂動から成る点である。従って、上記で詳述したような例示的なモデルによれば、騒音源と、結果として生じる音響伝播との両方を予測して、精度の高い過渡的流れ挙動と十分に低い消失及び分散とを達成し、関心周波数範囲にわたる小さな振幅変動を解消することができる。さらに、航空機又は列車の認証などの典型的な応用では、遠距離場騒音目標が、騒音源領域及び観察者をいずれも含むように計算領域を拡張することを非現実的なものにする遠い距離を伴う。
遠距離場騒音を予測するために、この例示的なモデルを用いて、図24に示す航空機着陸装置アセンブリ2400などの関心車両部品又は完成車両のいずれかの詳細な流れ挙動、及び結果として生じる近距離騒音場を実現することができる。例示的なモデルによれば、過渡的解決策が、複雑な時間依存的流動構造、対応する騒音源を正確に予測して、航空機着陸装置アセンブリ2400の様々な構成部品2402などの必要とされる現実的な細部形状に対応することができる。この結果を遠距離伝播モジュールに結合してあらゆる場所の遠距離場騒音を容易かつ効率的に予測することにより、航空機着陸装置アセンブリ2400の周囲領域を第1の容積の流体と考え、航空機着陸装置アセンブリ2400の構成部品2402間の領域を多孔質媒体によって占められた第2の容積として表すことができる。この例示的なモデルは、最終試作品が構築される前の(例えば、感覚騒音レベル進化メトリックEPNLを用いた)騒音証明評価を含む早期の騒音評価及び最適化を可能にする。また、例示的なモデルの可視化により、帯域濾過による圧力分析を含む騒音源の洞察を可能にして特定の関心周波数帯における現象を特定し、例えば遠距離場スペクトルにおいて観察されるピークの原因を発見することもできる。
いくつかの実装では、PMモデルが、媒体の屈曲度を考慮することができる。例えば、多孔質媒体を通じて音波が伝わる際の音波の音響挙動をモデル化することが望ましい。多孔質媒体の正確な形状が未知である時(例えば、発泡体の詰め物を通じた音波の伝播をモデル化する時)には、この挙動のモデル化が困難になり得る。
屈曲度α(≧1)は、以下のように定義することができ、
Figure 0006728366
又は、
Figure 0006728366
図25に示すように、ここでのlは流線長2504であり、dは多孔質媒体(PM)領域の厚み2502であり、c0は空所における流体の音速であり、csはPMにおける音速である。
PM内部の流体粒子の蛇行した経路はPMの厚みよりも長いので、音波がPMを通過するのに必要な時間が長くなり、従ってPM内部の音速が低下する。
多孔質媒体の屈曲度効果は、PM内部の動的変数の再スケーリングももたらす時間変数の再スケーリングによって説明される。
Figure 0006728366
PMの格子ボルツマンモデル(LBM)は、PM抵抗力を用いてナヴィエ・ストークス(NS)式を解くことと同等である。
Figure 0006728366
ここでの
Figure 0006728366
は、次数2のPM抵抗テンソルである。通常の流体では
Figure 0006728366
がゼロであり、従って通常の流体及びPMには、いずれも同じLBMソルバを適用することができる。
以下の例は、時間スケーリング、音響分析のための1D(3D拡張が明快である)微小摂動の仮定を示す。体系(47)は、以下のように線形化することができる。
Figure 0006728366
ここでのuは流体速度であり、pは静的圧力であり、p0は特性密度であり、σはPM抵抗である。
t=t’/√α及びu=√αu’とすると、体系(48)は以下のようになる。
Figure 0006728366
時間スケールした体系(49)を(48)と比較すると、変数を以下のようにスケーリングした場合、
Figure 0006728366
システム(49)がシステム(48)と同じ形態を有し、すなわち(48)と同じソルバを用いて(49)を解けることが分かる。
気体定数をR、比熱比をγとする音速計算
Figure 0006728366
を検討すると、圧力スケーリングp’=p/αから以下の音速率が生じ、
Figure 0006728366
この式は、望ましい屈曲度値αを用いて設定することができる(式(45)を参照)。
LBMでは、体積力を導入することによって圧力を、従って再スケール音速を再スケーリングすることができる。圧力は、以下のアルゴリズムを用いて再スケーリングすることができる。格子ボルツマン式は以下のように書かれ、
Figure 0006728366
ここでのci、fi、fi eqは、それぞれ離散粒子速度、速度ciの粒子分布状態、及び平衡状態である。式(52)のgi項は、圧力をp=RpT/ αに再スケーリングする体積力を導入する。gi項が無ければ、式(52)は、圧力p=ρT0を有する標準的なLBMを回復し、ここでのT0は格子特性温度である。
圧力を再スケーリングする式(52)のアルゴリズムは以下の通りである。
1.衝突
Figure 0006728366
2.局所力項gi(x,t)を減算
3.移流
4.局所力項gi(x,t)を加算
5.t+Δtにおける質量、運動量及び温度を計算
6.最新の温度を用いて新たな力項gi(x,t+Δt)を評価
7.全ての移動状態にわたってgi(x,t+Δt)−gi(x,t)の差分を合計し、この合計を停止状態に加算して合計質量を保存
8.ステップ1〜7を繰り返す
既存のアルゴリズムは、同じ状態式(圧力式)を用いて単一の領域を処理するのに対し、本明細書で説明したシステムは、例えば正常な流体ではp=RpT、PMではp=RρT/αのように異なる状態式の複数の領域をサポートすることができる。
図26に、NASAセラミックライナ多孔質媒体の吸収効率対周波数曲線に対する屈曲度の影響を示す。このライナは、0.57の多孔率及び1.0の屈曲度を有する真っ直ぐなマイクロ環状管を含む。第1の線2602及び第2の線2604は、それぞれ2.0及び1.0に等しい屈曲度を有するPowerFLOW(登録17836)の結果である。第2の線2604と比べると、第1の線2602の曲線に対応する周波数は1/√2の係数によってスケーリングされており、この例では2の屈曲度に一致し、式(46)によって与えられる時間スケーリングと完全に一致する。
図27は、屈曲度に従ってモデル化された多孔質媒体の音響特性を表すデータを処理する例示的なプロセス2700のフローチャートである。このプロセスは、コンピュータシステムなどのデータ処理装置によって実行することができる。
プロセス2700は、流体の音速を示す時間変数を含むモデルを用いて、屈曲度の影響を含む流体で満たされた多孔質媒体の音響挙動のモデルを生成するステップ2702を含む。
プロセス2700は、多孔質媒体における流体の音速に基づいてモデルの時間変数を再スケーリングするステップ2704を含む。時間変数の再スケーリングは、1つのシミュレーション時間ステップによって表される時間量を調整するステップを含むことができる。この時間は、多孔質媒体の流線長及びシミュレートする多孔質媒体の厚みに基づいて再スケーリングすることができる。時間を再スケーリングすると、モデル内の温度及び/又は圧力を再スケーリングすることもできる。
プロセス2700は、モデル内の時間変数の再スケーリングに基づいて、多孔質媒体の屈曲度の影響を含む音響挙動をシミュレートするステップ2706を含む。このシミュレーションを用いて、シミュレートされた屈曲度に従ってモデル内の音響挙動を決定することができる。音響挙動は、音波の消失及び伝播をシミュレートするステップを含むことができる。
本明細書で説明した主題及び動作の実施形態は、本明細書で開示した構造及びこれらの構造的同等物を含む、デジタル電子回路又はコンピュータソフトウェア、ファームウェア又はハードウェア、或いはこれらのうちの1つ又は2つ以上の組み合わせで実装することができる。本明細書で説明した主題の実施形態は、(データ処理プログラムとも呼ばれる)1又は2以上のコンピュータプログラム(すなわちコンピュータ記憶媒体上で符号化された、データ処理装置が実行するための、又はこれらのデータ処理装置の動作を制御するためのコンピュータプログラム命令の1又は2以上のモジュール)として実装することができる。コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読記憶装置、コンピュータ可読記憶基板、ランダム又はシリアルアクセスメモリアレイ又はデバイス、又はこれらの1又は2以上の組み合わせとすることができ、或いはこれらに含めることができる。コンピュータ記憶媒体は、1又は2以上の別個の物理的構成要素又は媒体(例えば、複数のCD、ディスク又はその他の記憶装置)とすることも、或いはこれらに含めることもできる。本主題は、非一時的コンピュータ記憶媒体に記憶されたコンピュータプログラム命令上に実装することができる。
本明細書で説明した動作は、例えば1又は2以上のコンピュータ可読記憶装置に記憶された、又は他のソースから受け取られたデータに対してデータ処理装置が実行する動作として実装することができる。
「データ処理装置」という用語は、データを処理する全ての種類の装置、機器及び機械を含み、一例としてプログラマブルプロセッサ、コンピュータ、システムオンチップ、又は複数のシステムオンチップ、又はこれらの組み合わせを含む。この装置は、(例えばFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)又はASIC(特定用途向け集積回路)などの)専用論理回路を含むこともできる。この装置は、ハードウェアに加えて、(例えばプロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、クロスプラットフォームランタイム環境、仮想マシン、又はこれらのうちの1つ又は2つ以上の組み合わせを構成するコードなどの)対象とするコンピュータプログラムの実行環境を形成するコードを含むこともできる。この装置及び実行環境は、ウェブサービスインフラ、分散コンピューティングインフラ及びグリッド計算インフラなどの様々な異なる計算モデルインフラを実現することができる。
(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、スクリプト又はコードとしても知られている)コンピュータプログラムは、コンパイラ型言語又はインタープリタ型言語、宣言型言語又は手続き型言語を含むあらゆる形のプログラミング言語で書くことができ、スタンドアロンプログラム、又はモジュール、コンポーネント、サブルーチン、オブジェクト、又はコンピュータ環境で使用するのに適した他のユニットとしての形を含むあらゆる形で展開することができる。コンピュータプログラムは、必須ではないが、ファイルシステム内のファイルに対応することができる。プログラムは、対象プログラム専用の単一のファイル内の、又は複数の連動するファイル(例えば、1又は2以上のモジュール、サブプログラム、又はコードの一部を記憶するファイル)内の、他のプログラム又はデータ(例えば、マークアップ言語リソースに記憶された1又は2以上のスクリプト)を保持するファイルの一部に記憶することができる。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ上で実行されるように展開することも、或いは1つのサイトに位置する、又は複数のサイトに分散して通信ネットワークによって相互接続された複数のコンピュータ上で実行されるように展開することもできる。
本明細書で説明したプロセス及びロジックフローは、1又は2以上のコンピュータプログラムを実行する1又は2以上のプログラマブルプロセッサによって、入力データに作用して出力を生成することによって動作を行うように実行することができる。プロセス及びロジックフローは、例えばFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)又はASIC(特定用途向け集積回路)などの専用論理回路によって実行することもでき、装置をこのような専用論理回路として実装することもできる。
コンピュータプログラムを実行するのに適したプロセッサとしては、一例として、汎用マイクロプロセッサ及び専用マイクロプロセッサの両方、並びにいずれかの1又は2以上のあらゆる種類のデジタルコンピュータのプロセッサが挙げられる。一般に、プロセッサは、リードオンリメモリ又はランダムアクセスメモリ、或いはこれらの両方から命令及びデータを受け取る。コンピュータの必須要素は、命令に従って動作を実行するプロセッサ、並びに命令及びデータを記憶する1又は2以上の記憶装置である。一般に、コンピュータは、(例えば磁気ディスク、磁気光学ディスク又は光学ディスクなどの)データを記憶する1又は2以上の大容量記憶装置も含み、或いはこのような大容量記憶装置との間でデータの受け取り及びデータの転送、又はこれらの両方を行うように動作可能に結合されるが、コンピュータは、このような装置を有していなくてもよい。さらに、コンピュータは、例えば携帯電話機、携帯情報端末(PDA)、モバイルオーディオプレーヤ又はビデオプレーヤ、ゲーム機、全地球測位システム(GPS)受信機、又はポータブル記憶装置(例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)フラッシュドライブ)などの別の装置に組み込むこともできる。コンピュータプログラム命令及びデータの記憶に適した装置としては、一例として(EPROM、EEPROM及びフラッシュメモリデバイスなどの)半導体メモリデバイス、(内部ハードディスク又はリムーバブルディスクなどの)磁気ディスク、磁気光学ディスク、並びにCD ROM及びDVD−ROMディスクを含む全ての形の不揮発性メモリ、媒体及びメモリデバイスが挙げられる。プロセッサ及びメモリは、専用論理回路によって補完することも、又は専用論理回路に組み込むこともできる。
本明細書で説明した主題の実施形態は、ユーザとの相互作用をもたらすために、(CRT(陰極線管)又はLCD(液晶ディスプレイ)モニタなどの)ユーザに情報を表示する表示装置と、(マウス又はトラックボールなどの)ユーザがコンピュータに入力を提供できるようにするキーボード及びポインティングデバイスとを有するコンピュータ上に実装することができる。他の種類の装置を使用してユーザとの相互作用をもたらすこともでき、例えばユーザに提供されるフィードバックは、(視覚的フィードバック、聴覚的フィードバック又は触覚的フィードバックなどの)あらゆる形の感覚的フィードバックとすることができ、ユーザからの入力は、音響入力、音声入力又は触覚入力を含むあらゆる形で受け取ることができる。また、コンピュータは、例えばウェブブラウザから受け取られた要求に応答してユーザのユーザ装置上のウェブブラウザにウェブページを送信することなどの、ユーザが使用する装置との間で文書を送受信することによってユーザと相互作用することもできる。
本明細書で説明した主題の実施形態は、(例えばデータサーバとしての)バックエンドコンポーネントを含む、又は(アプリケーションサーバなどの)ミドルウェアコンポーネントを含む、又は(ユーザが本明細書で説明した主題の実装と相互作用できるようにするグラフィカルユーザインターフェイス又はウェブブラウザを有するユーザコンピュータなどの)フロントエンドコンポーネントを含む、或いは1又は2以上のこのようなバックエンドコンポーネント、ミドルウェアコンポーネント又はフロントエンドコンポーネントのいずれかの組み合わせを含むコンピュータシステムに実装することができる。システムのコンポーネントは、(通信ネットワークなどの)いずれかの形又は媒体のデジタルデータ通信によって相互接続することができる。通信ネットワークの例としては、ローカルエリアネットワーク(「LAN」)、(インターネットなどの)ワイドエリアネットワーク(「WAN」)、及び(アドホックピアツーピアネットワークなどの)ピアツーピアネットワークが挙げられる。
コンピュータシステムは、ユーザ及びサーバを含むことができる。一般に、ユーザとサーバは互いに離れており、通常は通信ネットワークを介して相互作用する。このユーザとサーバの関係は、それぞれのコンピュータ上で実行される、互いにユーザ−サーバの関係を有するコンピュータプログラムによって生じる。実施形態によっては、(例えば、ユーザ装置とやりとりするユーザにデータを表示し、このユーザからユーザ入力を受けるために)サーバがユーザ装置にデータ(例えば、HTMLページ)を送信することもある。ユーザ装置で生成されたデータ(例えば、ユーザインタラクションの結果)は、サーバにおいてユーザ装置から受け取ることができる。
本明細書は多くの特定の実装の詳細を含むが、これらの詳細は、いずれかの発明又は特許請求できるものの範囲を限定するものとして解釈すべきではなく、むしろ特定の発明の特定の実施形態に固有の特徴を説明するものとして解釈すべきである。本明細書において別個の実施形態の文脈で説明したいくつかの特徴は、単一の実施形態において組み合わせて実装することもできる。これとは逆に、単一の実施形態の文脈で説明した様々な特徴は、複数の実施形態において別個に、又はいずれかの好適な部分的組み合わせの形で実装することもできる。さらに、上記ではいくつかの組み合わせで機能するように特徴を説明し、最初はこのように特許請求していることもあるが、場合によっては、特許請求する組み合わせから生じる1又は2以上の特徴をこれらの組み合わせから削除することもでき、特許請求する組み合わせを下位の組み合わせ又は下位の組み合わせの変形例に向けることもできる。
同様に、図面には特定の順序で動作を示しているが、これについて、望ましい結果を達成するためにこのような動作を図示の特定の順序又は順番で実施し、又は図示の動作を全て実施する必要があると理解すべきではない。状況によっては、マルチタスク及び並行処理が有利な場合もある。さらに、上述した実施形態において様々なシステムコンポーネントを分離していても、このような分離が全ての実施形態において必要であると理解すべきではなく、説明したプログラムコンポーネント及びシステムを単一のソフトウェア製品に一般的に統合し、又は複数のソフトウェア製品にパッケージ化することもできると理解されたい。
以上、本主題の特定の実施形態について説明した。以下の特許請求の範囲には他の実施形態も含まれる。場合によっては、特許請求の範囲に記載した動作を異なる順序で実行しても望ましい結果を得ることができる。また、望ましい結果を達成するために、添付図に示した処理を必ずしも図示の特定の順序又は順番で行う必要はない。実装によっては、マルチタスク及び並行処理が有利な場合もある。
2702 音響挙動のモデルを生成
2704 モデルの時間変数を再スケーリング
2706 音響挙動をシミュレート

Claims (12)

  1. データ処理装置が実行する、多孔質材料における流体の音響挙動に対する前記多孔質材料の屈曲度の影響を表すデータを処理する方法であって、
    前記データ処理装置のデータ処理プログラムが、前記多孔質材料における前記流体の屈曲度の影響を含む音響挙動のモデルであって前記流体の音速を示す時間変数を含むモデルを生成するステップと、
    前記多孔質材料における前記流体の前記音速に基づいて前記モデルの前記時間変数を再スケーリングするステップと、
    前記モデル内の前記時間変数の前記再スケーリングに基づいて、前記多孔質材料の前記屈曲度の影響を含む前記音響挙動をシミュレートするステップと、
    を含むことを特徴とする方法。
  2. 前記多孔質材料の前記屈曲度の前記影響を含む前記モデル内の音響挙動を決定するステップをさらに含む、
    請求項1に記載の方法。
  3. 前記音響挙動は、音波の消失及び伝播を含む、
    請求項2に記載の方法。
  4. 前記時間変数を再スケーリングするステップは、1つのシミュレーション時間ステップによって表される時間を調整するステップを含む、
    請求項1に記載の方法。
  5. 前記音響挙動をシミュレートするステップは、前記多孔質材料を通る又は該多孔質材料内の流体流をシミュレートするステップを含む、
    請求項1に記載の方法。
  6. 前記モデルは、前記多孔質材料の音響損失を考慮した運動量シンクを含む、
    請求項1に記載の方法。
  7. 前記時間変数を再スケーリングするステップは、前記流体の公称音速と、前記多孔質材料における前記流体の前記音速とに基づく、
    請求項1に記載の方法。
  8. 前記流体は要素によって表され、該要素は、前記流体内の質量、密度、運動量、圧力、速度、温度、エネルギー、質量流束、運動量流束及びエネルギー流束のうちの1つ又は2つ以上を含む、
    請求項1に記載の方法。
  9. 前記時間変数を再スケーリングするステップは、前記モデルの温度を再スケーリングするステップを含む、
    請求項1に記載の方法。
  10. 前記時間変数を再スケーリングするステップは、前記モデルの圧力を再スケーリングするステップをさらに含む、
    請求項9に記載の方法。
  11. 前記時間変数を再スケーリングするステップは、前記流体の速度を再スケーリングするステップをさらに含む、
    請求項9に記載の方法。
  12. 前記時間変数を再スケーリングするステップは、前記多孔質材料の抵抗を再スケーリングするステップをさらに含む、
    請求項9に記載の方法。
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