JP2018133199A - 電池モジュール - Google Patents

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Abstract

【課題】捲回電極体の内部に発生したガス溜まりによって、負極上に正極含有金属が析出することを防止できる電池モジュールを提供する。【解決手段】ここで開示される電池モジュール100では、配列された複数の単電池10の最外側に配置された一対の拘束板40A、40Bによって単電池10内の捲回電極体に拘束荷重が印加されるように構成されている。そして、かかる電池モジュール100は、捲回電極体の湾曲部に拘束荷重を印加する湾曲部拘束板48と、捲回電極体の湾曲部における圧力を複数の測定点において測定する圧力測定手段と、複数の測定点における圧力を相互に比較して湾曲部に局所的な圧力上昇が生じているか否かを判定する判定手段80と、判定手段80が局所的な圧力上昇を検知した場合に湾曲部拘束板48が湾曲部に印加する拘束荷重を減少させる荷重調整手段90とを備えている。【選択図】図4

Description

本発明は、電池モジュールに関する。詳しくは、二次電池を単電池とし、当該単電池が複数配列された組電池を備えた電池モジュールに関する。
リチウムイオン二次電池等の二次電池を単電池とし、当該単電池を複数有する組電池は、車両搭載用電源などに好ましく用いられている。かかる組電池は、例えば、角型の単電池を所定の配列方向に沿って複数配列し、各々の単電池の電極端子(正極端子および負極端子)をバスバーによって電気的に接続することによって構築され、種々の制御装置と接続された電池モジュールの状態で車両等に搭載される。
上記した組電池を構成する各々の単電池の内部には、シート状の正負極がセパレータと共に捲回された捲回電極体が収容されているが、かかる捲回電極体の正負極の間隔(以下、「極間距離」ともいう)が大きくなると、正極に含まれる金属(例えば、Ni、Co、Mnなど)が溶出した後、負極上に析出することがある。このような場合、当該析出した正極含有金属がセパレータを貫通して正負極を短絡させる虞がある。
このため、一般的な電池モジュールでは、組電池を構成する各単電池を配列方向に沿って拘束して捲回電極体の極間距離が大きくなることを抑制している。特許文献1および特許文献2には、かかる組電池の拘束に関する技術が記載されている。
特開2012−38530号公報 特開2014−53153号公報
しかしながら、上記した電池モジュールでは、充放電を繰り返している間に捲回電極体の内部にガスが発生し、当該ガスが捲回電極体の湾曲部の一部に滞留することがある。このようなガス溜まりが生じた箇所では、適切な拘束荷重を印加していたとしても、極間距離が大きくなって正極含有金属が析出する虞があった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、捲回電極体の内部に発生したガス溜まりによって正極含有金属が析出することを防止できる電池モジュールを提供することを目的とする。
上記目的を実現するべく、本発明によって以下の構成の電池モジュールが提供される。
ここで開示される電池モジュールは、単電池が所定の配列方向に沿って複数配列され、該配列方向に沿って各々の単電池が拘束されてなる組電池を備えている。
かかる電池モジュールの単電池は、長尺シート状の正負極がセパレータを介して捲回された扁平形状の捲回電極体を備え、該捲回電極体の捲回軸に直交する断面における長手方向の両端部には外表面が湾曲した湾曲部が形成されている。そして、配列された複数の単電池の最外側に一対の拘束板が配置され、当該一対の拘束板が各単電池を挟み込むことによって、単電池内の前記捲回電極体に所定の拘束荷重が印加されている。
ここで、上記した電池モジュールは、一対の拘束板の少なくとも一方に設けられ、捲回電極体の上下の湾曲部の少なくとも一方に拘束荷重を印加する湾曲部拘束板と、捲回電極体の湾曲部における圧力を捲回軸に沿って所定の間隔を空けて設けられた複数の測定点において測定する圧力測定手段と、複数の測定点における圧力を相互に比較し、当該比較結果に基づいて捲回電極体の湾曲部に局所的な圧力上昇が生じているか否かを判定する判定手段と、判定手段が湾曲部における局所的な圧力上昇を検知した場合に湾曲部拘束板が湾曲部に印加する拘束荷重を減少させる荷重調整手段とを備えている。
ここで開示される電池モジュールでは、湾曲部における圧力を複数の測定点において測定し、該複数の測定点における圧力を相互に比較することによって、湾曲部に局所的な圧力上昇(すなわち、ガス溜まりによる圧力上昇)が生じているか否かを判定する。そして、かかるガス溜まりによる局所的な圧力上昇が生じていることを検知した場合、湾曲部に印加される拘束荷重を減少させる。これによって、湾曲部における極間距離を一時的に大きくし、正負極の隙間からガスを排出させることができるため、捲回電極体の湾曲部に生じているガス溜まりを解消して、負極上に正極含有金属が析出することを防止できる。
本発明の一実施形態における単電池を模式的に示す斜視図である。 本発明の一実施形態における捲回電極体を模式的に示す斜視図である。 本発明の一実施形態における単電池の断面構造を模式的に示す図である。 本発明の一実施形態に係る電池モジュールを模式的に示す側面図である。 本発明の一実施形態に係る電池モジュールの圧力測定手段を説明する正面図である。 本発明の一実施形態に係る電池モジュールの拘束荷重の調整動作の一例を説明するフロー図である。 式(1)〜式(6)中の指標値αを設定するための予備試験の結果の一例を示すグラフである。 実験Aのサンプル2〜サンプル6における正極含有金属の析出量を示すグラフである。
以下、本発明の一実施形態に係る電池モジュールとして、リチウムイオン二次電池を単電池とし、当該リチウムイオン二次電池を複数接続してなる組電池を備えた電池モジュールを例に挙げて説明する。
また、以下の説明において、図面中の同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付している。なお、各図における寸法関係(長さ、幅、厚み等)は実際の寸法関係を反映するものではない。また、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、電極体や電解液の構成および製法など)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。
1.単電池の構成
本実施形態に係る電池モジュールは、所定の配列方向に沿って単電池が複数配列され、該配列方向に沿って各々の単電池が拘束された組電池を備えている。本明細書では、先ず、かかる組電池を構成する単電池の具体的な構成を説明する。
図1は本実施形態における単電池を模式的に示す斜視図である。また、図2は本実施形態における捲回電極体を模式的に示す斜視図であり、図3は本実施形態における単電池の断面構造を模式的に示す図である。
図1に示すように、本実施形態においては、組電池を構成する単電池として扁平な角型の単電池10が用いられている。かかる単電池10は、扁平な角型の電池ケース50の内部に、電解液と捲回電極体20(図2参照)とが収容されることによって構成されている。以下、単電池10を構成する各々の部材について説明する。
(1)電池ケース
電池ケース50は、図1に示すように、上面が開放された扁平な角型のケース本体52と、当該ケース本体52の上面を塞ぐ蓋体54とから構成されている。電池ケース50の蓋体54には正極端子60と負極端子62の一対の電極端子が設けられている。これらの電極端子は、一方の端部が電池ケース50の外部に露出し、他方の端部が電池ケース50内で捲回電極体20の端子接続部20B(図2参照)と電気的に接続されるように構成されている。
(2)電解液
上記したように、電池ケース50の内部には、図2に示す捲回電極体20とともに電解液が収容されている。かかる電解液は、所定の溶媒にリチウム塩を混合させることによって調製される。なお、電解液に用いられる溶媒やリチウム塩は、従来からリチウムイオン二次電池に用いられるものと同様のものを特に限定なく使用することができる。
(3)捲回電極体
捲回電極体20は、図2に示すように、長尺シート状の正極21と負極25とをセパレータ29を介して積層させ、当該積層体を捲回させることによって形成されている。
かかる捲回電極体20を構成する正極21は、導電性の箔体である正極集電体22の表面に正極合材層23が付与されることによって構成されており、負極25は、負極集電体26の表面に負極合材層27が付与されることによって構成されている。また、セパレータ29にはシート状に成形された多孔質の絶縁材料が用いられている。そして、捲回電極体20の捲回軸WLの軸方向における中央部には、各々の合材層が対向した捲回コア部20Aが形成されており、両側縁部には、合材層が付与されていない集電体が巻き重ねられた端子接続部20Bが形成されている。
なお、正極21、負極25、セパレータ29の各々に用いられる材料は、一般的なリチウムイオン二次電池に用いられ得る材料を特に限定なく使用することができ、本発明を特徴付けるものでないため説明を省略する。
そして、本実施形態における捲回電極体20は、扁平形状になるように押し潰されている。このため、図3に示すような捲回軸に直交する断面視において、捲回電極体20の長手方向(図3中の縦方向)の中央部には外表面が平坦な扁平面20Cが形成されており、当該扁平面20Cを挟んだ長手方向の両端部には外表面が湾曲した湾曲部20Dが形成されている。そして、かかる捲回電極体20は、扁平面20Cが電池ケース50の扁平面50aと対向するように電池ケース50内に収容され、捲回電極体20の湾曲部20Dは単電池10の上側と下側に配置されている。
2.電池モジュール
次に、上記した単電池10を備えた本実施形態に係る電池モジュールを説明する。図4は本実施形態に係る電池モジュールを模式的に示す側面図である。
(1)組電池
図4に示すように、本実施形態に係る電池モジュール100は、複数の単電池10を有する組電池30を備えている。かかる組電池30は、複数の単電池10を所定の配列方向Xに沿って配列させ、各々の単電池10を電気的に接続することによって構築されている。具体的には、各々の単電池10は、電池ケース50の扁平面50aが相互に対向するように配列され、隣接して配置された一方の単電池10の正極端子60が他方の単電池10の負極端子62にバスバー64によって電気的に接続されている。
(2)拘束板
そして、本実施形態に係る電池モジュール100では、配列された複数の単電池10の最外側に一対の拘束板40A、40Bが配置されており、当該一対の拘束板40A、40Bが各々の単電池10を挟み込むことによって、各々の単電池10内の捲回電極体20(図3参照)に所定の拘束荷重が印加されるように構成されている。
具体的には、上記した一対の拘束板40A、40Bには、単電池10の配列方向Xに沿って延びる3本の架橋部材42a〜42cが取り付けられており、かかる架橋部材42a〜42cに沿って一対の拘束板40A、40Bを近接(又は離間)させることによって各単電池10への拘束荷重を調整できる。そして、配列された各単電池10の間には、電池内部の捲回電極体と略同等の寸法を有した緩衝板43が配置されている。この緩衝板43を捲回電極体20の扁平面20C(図3参照)と対向するように配置することによって、一対の拘束板40A、40Bからの拘束荷重を捲回電極体20に適切に印加させることができる。
そして、図4に示すように、本実施形態に係る電池モジュール100では、一対の拘束板40A、40Bのうちの一方の拘束板40Bに、捲回電極体20の湾曲部20D(図3参照)に拘束荷重を印加する湾曲部拘束板48が設けられている。
具体的には、本実施形態における拘束板40Bは、上部拘束板46と湾曲部拘束板48の2つの拘束板に分割されている。
上部拘束板46は各単電池10の上側を押圧するように配置され、拘束板40A、40Bを架橋する3本の架橋部材42a〜42cのうち、上側の架橋部材42aと中央の架橋部材42bが取り付けられている。かかる上部拘束板46を反対側の拘束板40Aに対して近接・離間させることによって、捲回電極体20の扁平面20Cと上側の湾曲部20Dに印加される拘束荷重を調整できる。
一方、本実施形態における湾曲部拘束板48は、各々の単電池10の下側を押圧するように配置されており、下側の架橋部材42cが取り付けられている。そして、湾曲部拘束板48を下側の架橋部材42cに沿って拘束板40Aに近接・離間させることによって、捲回電極体20の下側の湾曲部20Dに印加される拘束荷重を調整できる。
(3)圧力測定手段
本実施形態に係る電池モジュールは、捲回電極体20の湾曲部20Dにおける圧力を測定する圧力測定手段を備えている。
図5は本実施形態に係る電池モジュールの圧力測定手段を説明する正面図である。なお、図5では圧力測定手段の測定点A〜Cを説明するために、単電池10内部の捲回電極体20を模式的に示している。
図5に示すように、本実施形態における圧力測定手段は、捲回電極体20の下側の湾曲部20Dの圧力を、捲回電極体20の捲回軸WLに沿って所定の間隔を空けて設けられた3つの測定点A〜Cで測定する。なお、かかる圧力測定手段による測定点の個数は、特に限定されず、測定精度等を考慮して適宜増減すると好ましい。
本実施形態における圧力測定手段は、各単電池の間の緩衝板43(図4参照)の内部に収容された3個の圧力センサを備えており、各々の圧力センサは図5中の測定点A〜Cと対向するように配置されている。これによって、圧力測定手段は捲回電極体20の下側の湾曲部20Dの圧力を3つの測定点A〜Cで測定できる。なお、上記した測定点A〜Cにおける圧力を測定することができれば、圧力測定手段の具体的な構造は特に限定されない。例えば、圧力測定手段を構成する各々の圧力センサは各単電池のケース内部に収容されていてもよい。
そして、図4に示すように、圧力測定手段は、後述する判定手段80に接続されており、各測定点A〜Cにおいて測定された圧力は判定手段80に送信される。なお、以下の説明において、測定点Aにおいて測定した圧力をP、測定点Bにおいて測定した圧力をP、測定点Cにおいて測定した圧力をPと称する。
(4)判定手段
判定手段80は、上記した圧力測定手段によって測定された圧力P〜Pに基づいて、捲回電極体20の下側の湾曲部20Dにガス溜まりが生じているか否かを判定する。
一般に、捲回電極体20の湾曲部20Dにガス溜まりが生じると、当該ガス溜まりが生じている箇所に局所的な圧力上昇が生じる。判定手段80による判定は、このことを考慮して設定されたものであって、圧力測定手段が測定した測定点A〜Cにおける圧力P〜Pを相互に比較し、特定の測定点に局所的な圧力上昇が生じているか否かを判定することによって、下側の湾曲部20Dにおけるガス溜まりの発生を検知することができる。なお、判定手段80による判定の具体的な手順については、後に詳しく説明する。
(5)荷重調整手段
また、本実施形態に係る電池モジュール100には荷重調整手段90が設けられている。かかる荷重調整手段90は、拘束板40Bの湾曲部拘束板48に接続されており、湾曲部拘束板48を、対向する拘束板40Aに対して前進・後退させることによって、捲回電極体20の下側の湾曲部20Dに印加される拘束荷重を調整できる。
そして、荷重調整手段90は判定手段80と接続されており、判定手段80が捲回電極体20の下側の湾曲部20Dに局所的な圧力上昇が生じていると判定した場合、荷重調整手段90は、湾曲部拘束板48を後退させて、捲回電極体20の下側の湾曲部20Dに印加される拘束荷重を減少させる。これによって、捲回電極体20の下側の湾曲部20Dにおける極間距離が一時的に大きくなり、正負極の隙間からガスを排出させることができるため、捲回電極体20の下側の湾曲部20Dに生じたガス溜まりを解消できる。
3.拘束荷重の調整
次に、本実施形態に係る電池モジュール100における拘束荷重の調整動作の一例を具体的に説明する。図6は本実施形態に係る電池モジュールの拘束荷重の調整動作の一例を説明するフロー図である。
図6中のS10に示すように、本実施形態に係る電池モジュールは、組電池の充放電を停止させたタイミングで拘束荷重の調整動作を開始する。充放電を行っている途中で拘束荷重の調整を行うと、捲回電極体の極間距離が不安定になって電池性能が低下する虞があるため、拘束荷重の調整動作は本実施形態のように充放電を停止させたタイミングで行うことが好ましい。
本実施形態における拘束荷重の調整動作では、先ず、圧力測定手段が捲回電極体20の下側の湾曲部20Dにおける圧力を測定する(S20)。このとき、圧力測定手段は、上記したように、図5に示す捲回電極体20の下側の湾曲部20Dの3つの測定点A〜Cにおける圧力P〜Pを測定し、かかる測定結果(圧力P〜P)を判定手段80に送信する。
次に、圧力P〜Pを受信した判定手段80は、各々の圧力P〜Pを相互に比較し、比較結果に基づいて捲回電極体20の下側の湾曲部20Dに局所的な圧力上昇が生じているか否かを判定する。本実施形態の判定手段80は、図6中のS30に示すように、下記の式(1)〜式(6)をすべて満たしているか否かの判定を行うことによって、捲回電極体20の下側の湾曲部20Dに局所的な圧力上昇が生じているか否かを検知する。
/P<α (1)
/P<α (2)
/P<α (3)
/P<α (4)
/P<α (5)
/P<α (6)
上記した式(1)〜式(6)は、各々の測定点A〜Cにおける圧力P〜Pを相互に比較する式である。これらの式(1)〜式(6)では左辺の値が1に近づく程、測定点A〜Cの間でバラツキの少ない均一な圧力が生じており、左辺の値が大きくなると、いずれかの測定点A〜Cに局所的な圧力上昇が生じていることとなる。そして、本実施形態では、上記した式(1)〜式(6)の左辺に対して所定の指標値αを設け、各式の左辺が当該指標値αを超えた場合にガス溜まりによる局所的な圧力上昇が生じていると判断している。
なお、上記の式中の「指標値α」は、予め実験などによって設定することができる。
例えば、予備試験において、図7に示すようにP/Pの値が1.2を超えた辺りから正極含有金属の析出量が急激に上昇するような実験結果が得られた場合には、各々の式の左辺が1.2を超えた場合に正極含有金属が析出するようなガス溜まりが発生しているとみなすことができ、かかる実験結果に基づいて式(1)〜式(6)中の指標値αを1.2に設定することができる。なお、図7の縦軸は測定点Bにおける正極含有金属の析出量を基準値とした場合の測定点Aにおける正極含有金属の析出量を負極合材層の総量に対する割合で示している。
そして、S30における判定の結果、各測定点A〜Cにおける圧力P〜Pが式(1)〜(6)を全て満たす場合(図6中のYESの場合)には、判定手段80は、捲回電極体20の下側の湾曲部20Dに局所的な圧力上昇(すなわち、エア溜まり)が発生していないと判定し、拘束荷重の調整動作を終了させる。
一方、圧力P〜Pが上記式(1)〜式(6)のいずれか一つでも満たしていない場合(図6中のNOの場合)には、判定手段80は、捲回電極体20の下側の湾曲部20Dに局所的な圧力上昇(エア溜まり)が生じていると判定し、かかる判定結果を荷重調整手段90に送信する。
上記した判定結果を受信した荷重調整手段90は、湾曲部拘束板48を後退させることによって捲回電極体20の下側の湾曲部20Dへの拘束荷重を減少させる(S40)。これによって、捲回電極体20の下側の湾曲部20Dにおける極間距離が大きくなり、捲回電極体20の内部に発生したガスを正負極の隙間から排出することができる。
そして、本実施形態に係る電池モジュール100では、図6中のS20に戻って測定点A〜Cにおける圧力を再び測定した後、各測定点における圧力P〜Pの比較判定(S30)を再度実施する。そして、かかる比較判定において、圧力P〜Pが上記式(1)〜(6)を満たしている場合には、捲回電極体20の下側の湾曲部20Dに生じていたガス溜まりが解消されたと判定し、下側の湾曲部20Dへの拘束荷重を再び強くした後に拘束荷重の調整動作を終了する。
一方、再度の比較判定においても、圧力P〜Pが上記式(1)〜式(6)を満たしていないと判定された場合には、ガス溜まりが解消されるまで上記の調整動作を繰り返す。
以上のように、本実施形態に係る電池モジュールでは、下側の湾曲部における圧力を捲回軸に沿った複数の測定点で測定し、各々の測定点における測定結果を相互に比較することによって、局所的な圧力上昇(ガス溜まり)が捲回電極体の下側の湾曲部に生じているか否かを正確に検知することができる。
そして、かかる検知結果に基づいて、下側の湾曲部への拘束荷重を低減させて当該下側の湾曲部からガスを排出させることによって、湾曲部に発生したガス溜まりを適切に解消することができるため、捲回電極体の内部に発生したガス溜まりによって、負極上に正極含有金属が析出することを適切に防止することができる。
以上、本発明の一実施形態に係る組電池について説明したが、ここで開示される組電池は、上記した実施形態に限定されず、種々の構成を変更することができる。
例えば、上記した実施形態において、湾曲部拘束板48の高さh2は拘束板40Bの高さh1の10%以下に設定すると好ましい。湾曲部拘束板48の高さh2を高くし過ぎると、湾曲部拘束板48を後退させた際に、捲回電極体20全体に印加される拘束荷重が大きく減少して充放電中の電池温度が上昇し易くなる。
また、上記した実施形態においては、対向した一対の拘束板40A、40Bのうち、一方の拘束板40Bのみに湾曲部拘束板48が設けられているが、かかる湾曲部拘束板は対向した一対の拘束板の両方に設けられていてもよい。
さらに、上記した実施形態においては、捲回電極体20の下側の湾曲部20Dに拘束荷重を印加することができるような位置に湾曲部拘束板48が配置されている。しかし、湾曲部拘束板の配置位置は、上記した実施形態に限定されず、捲回電極体の上下の湾曲部の少なくとも一方に拘束荷重を印加することができるように配置されていればよい。なお、この場合、圧力測定手段のセンサは、湾曲部拘束板の配置位置に対応するように設けられていると好ましい。
また、上記した実施形態における判定手段80は、上記した式(1)〜式(6)に基づいて、捲回電極体20の下側の湾曲部20Dにガス溜まりが生じているか否かを判定しているが、かかる判定に使用される式は上記した式(1)〜式(6)に限定されない。ガス溜まりが発生しているか否かを判定するための詳細な方法は、対象とする電池モジュールの構造や使用環境などを考慮した予備試験を行い、かかる予備試験の結果に基づいて適宜設定することが好ましい。
[試験例]
以下、本発明に関係する試験を説明するが、以下の説明は本発明を限定することを意図したものではない。
1.試験A
本実験においては、複数の単電池(リチウムイオン二次電池)が所定の拘束荷重で拘束された組電池を用意し、各々の組電池を高温環境(60℃)で保管した後、図5中の測定点Aにおける圧力Pと測定点Bにおける圧力Pを測定し、各測定点における圧力の比率P/Pが1.16の組電池をサンプル1〜5として実験に使用した。
(1)各サンプルの説明
(a)サンプル1
本実験においては、先ず、サンプル1の組電池を分解し、当該サンプル1の測定点Aにおける正極含有金属(Ni、Co、Mn)の析出量を測定し、測定結果を正極含有金属の析出量の基準値とした。
(b)サンプル2〜サンプル5
次に、サンプル2〜サンプル5の各々の組電池について、捲回電極体20の下側の湾曲部20Dに印加される拘束荷重を下記のように異ならせ、かかる拘束状態で再び高温環境(60℃)で所定期間保管した。
サンプル2:拘束荷重の変更なし
サンプル3:下側の湾曲部への拘束荷重を12%減少
サンプル4:下側の湾曲部への拘束荷重を20%減少
サンプル5:下側の湾曲部への拘束荷重を50%減少
(2)評価試験
上記した保管期間が過ぎた後に各サンプルの組電池を分解し、測定点Aにおける正極含有金属の析出量を測定した。そして、負極合材層の総量に対する正極含有金属の析出量を算出し、サンプル1の算出結果を0として各サンプルの算出結果を規格化した。結果を図8に示す。図8中の縦軸は、負極合材層の総量に対する正極含有金属の析出量について、サンプル1の算出結果を0とした場合のサンプル2〜サンプル5の算出結果を示している。
図8に示すように、サンプル3〜サンプル5では、サンプル2に比べて正極含有金属の析出が抑制されていた。このことから、捲回電極体の湾曲部の圧力が部分的に上昇し始めた際に、捲回電極体の下側の湾曲部に印加される拘束荷重を減少させることによって正極含有金属の析出を抑制できることが分かった。また、サンプル3〜サンプル5の各々の結果を比較すると、捲回電極体の下側の湾曲部への拘束荷重を20%以上減少させることによって、より好適に正極含有金属の析出を抑制できることが分かった。
2.実験B
実験Bでは、拘束板の構造が異なる4種類の電池モジュール(試験例1〜試験例4)を作製し、各々の電池モジュールにおける正極含有金属の析出の程度を調べた。
(1)各試験例
(a)試験例1
試験例1では、図4に示すような荷重調整手段が設けられておらず、各々の単電池への拘束荷重が所定の値に固定された電池モジュールを使用した。
(b)試験例2
試験例2では、図4に示すような湾曲部拘束板48と荷重調整手段90を備えた電池モジュール100を使用し、圧力測定手段の測定結果に基づいて捲回電極体の下側の湾曲部への拘束荷重を減少させたことを除いて試験例1と同じ条件に設定した。なお、試験例2における湾曲部拘束板48の高さh1は、拘束板40Bの高さh2の10%に設定した。
(c)試験例3
試験例3では、湾曲部拘束板48の高さh1を拘束板40Bの高さh2の50%に設定したことを除いて試験例2と同じ条件に設定した。
(d)試験例4
試験例4では、分割されていない一対の拘束板を有し、当該拘束板の一方に荷重調整手段が取り付けられている電池モジュールを使用した。そして、捲回電極体の下側の湾曲部にガス溜まりが発生したことを検知した場合に、単電池の全面に印加される拘束荷重を減少させた。なお、その他の条件については、試験例2と同じ条件に設定した。
(2)評価試験
(a)正極金属析出量
上記した各々の電池モジュールの組電池を高温環境(60℃)に配置して充放電を行った後に各々の試験例の単電池を分解して、負極上の正極含有金属の析出量を測定し、負極合材層に対する正極含有金属の析出量を算出した。算出結果を表1に示す。なお、表1では試験例1の算出結果を0とし、試験例2〜試験例4の算出結果を試験例1からの増減量で示した。
(b)過充電時の温度上昇
各試験例の組電池を25℃の環境に配置し、電池電圧が4.1Vに達するまで1Cの定電流で充電した後、充電電流が1/10Cになるまで4.1Vの定電圧で充電して満充電状態とした。その後、この過充電状態から1Cの定電流でさらに充電を行う過充電を行い、各試験例の電池モジュールの組電池に急激な温度上昇が生じるか否かを確認した。結果を表1に示す。なお、表1中の可は電池温度の上昇量が160℃未満であった場合を示し、不可は160℃以上であった場合を示す。
Figure 2018133199
以上の試験結果より、試験例2〜試験例4のように、圧力測定手段の測定結果に基づいて捲回電極体への拘束荷重を減少させることによって、捲回電極体におけるガス溜まりを適切に解消して正極含有金属の析出を抑制できることが確認できた。
一方で、拘束荷重を減少させる領域を大きくしすぎると、組電池が過充電状態となった際に電池温度が上昇し易くなるという結果が得られた。このことから、試験例2に示すように、捲回電極体の下側の湾曲部への拘束荷重のみを調整できるように構成することによって、正極含有金属の析出を抑制できるとともに、過充電時の発熱を抑制できることが分かった。
以上、具体的な実施形態を挙げて本発明を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に記載した実施形態を様々に変形、変更したものが含まれる。
10 単電池
20 電極体
20A 捲回コア部
20B 端子接続部
20C 扁平面
20D 湾曲部
21 正極
22 正極集電体
23 正極合材層
25 負極
26 負極集電体
27 負極合材層
29 セパレータ
30 組電池
40A、40B 拘束板
42a〜42c 架橋部材
43 緩衝板
46 上部拘束板
48 湾曲部拘束板
50 電池ケース
52 ケース本体
54 蓋体
60 正極端子
62 負極端子
64 バスバー
80 判定手段
90 荷重調整手段
100 電池モジュール
A〜C 測定点
h1 拘束板の高さ
h2 湾曲部拘束板の高さ
WL 捲回軸
X 配列方向

Claims (1)

  1. 単電池が所定の配列方向に沿って複数配列され、該配列方向に沿って各々の単電池が拘束されてなる組電池を備えた電池モジュールであって、
    前記単電池は、長尺シート状の正負極がセパレータを介して捲回された扁平形状の捲回電極体を備え、該捲回電極体の捲回軸に直交する断面における長手方向の両端部には外表面が湾曲した湾曲部が形成され、
    配列された前記複数の単電池の最外側に一対の拘束板が配置され、当該一対の拘束板が各単電池を挟み込むことによって、前記単電池内の前記捲回電極体に所定の拘束荷重が印加されており、
    ここで、前記電池モジュールは、前記一対の拘束板の少なくとも一方に設けられ、前記捲回電極体の上下の湾曲部の少なくとも一方に拘束荷重を印加する湾曲部拘束板と、
    前記捲回電極体の湾曲部における圧力を、前記捲回軸に沿って所定の間隔を空けて設けられた複数の測定点において測定する圧力測定手段と、
    前記複数の測定点における圧力を相互に比較し、当該比較結果に基づいて前記捲回電極体の湾曲部に局所的な圧力上昇が生じているか否かを判定する判定手段と、
    前記判定手段が前記湾曲部における局所的な圧力上昇を検知した場合に、前記湾曲部拘束板が前記湾曲部に印加する拘束荷重を減少させる荷重調整手段と
    を備えている、電池モジュール。

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