JP2018132096A - 変速装置 - Google Patents

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仁 伊澤
Hitoshi Izawa
仁 伊澤
小林 靖彦
Yasuhiko Kobayashi
靖彦 小林
拓 秋田
Hiroshi Akita
拓 秋田
誠人 仲条
Masato Nakajo
誠人 仲条
長谷川 善雄
Yoshio Hasegawa
善雄 長谷川
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Abstract

【課題】複数の係合要素のうちの何れかの係合要素を係合する際や解放する際の制御性の向上を図る。【解決手段】複数の係合要素のうちの何れかの係合要素を対象要素として係合する際および解放する際には、対象要素について、基本油圧指令に応答遅れ補償のための補償値を加えて目標油圧指令を設定して油圧制御装置を制御する。そして、この際には、対象要素を係合する際か解放する際かに基づいて時定数を設定し、時定数と直前の目標油圧指令とに基づいて推定油圧を演算し、推定油圧に基づいて補償値を設定する。【選択図】図6

Description

本開示は、変速装置に関する。
従来、この種の変速装置としては、複数の係合要素を選択的に係合して複数の変速段を形成する変速機と、複数の係合要素に油圧を供給する油圧制御回路とを備え、複数の係合要素のうちクラッチC1を係合する際に、クラッチC1の指令油圧に基づくクラッチ係合指令を油圧制御回路に出力する変速装置において、クラッチC1の指令油圧に対する実クラッチ圧の油圧応答性の時定数を、予め設定された油圧応答モデルからクラッチC1の実際の状態に基づいて算出するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。ここで、油圧応答モデルは、クラッチC1および油圧制御回路の物理的な形状からクラッチC1の実際の状態に基づいて油圧応答性の時定数を算出するための関係である。クラッチC1の実際の状態は、クラッチC1の現在のクラッチ圧や作動油温などである。クラッチC1および油圧制御回路の物理的な形状は、クラッチC1のピストン形状や油圧制御回路のリニアソレノイドバルブの特性などのクラッチおよび油圧制御回路の諸元である。
特開2011−220388号公報
こうした変速装置では、複数の係合要素のうちの何れかの係合要素を対象要素として係合する際と解放する際とでは、対象要素の係合油室やキャンセル油室に連通する油路の作動油の流れの方向が異なるなどの理由により、油圧応答性が異なると考えられる。このため、上述の変速装置の手法のように、対象要素を係合する際か解放する際かを考慮せずに油圧応答性の時定数を設定すると、対象要素を係合する際および/または解放する際に、対象要素についての実クラッチ圧と推定クラッチ圧との誤差が大きくなり、制御性が低下する可能性がある。
本開示の変速装置は、複数の係合要素のうちの何れかの係合要素を係合する際や解放する際の制御性の向上を図ることを主目的とする。
本開示の変速装置は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本開示の変速装置は、
複数の係合要素を選択的に係合して複数の変速段を形成する変速機と、
前記複数の係合要素に油圧を供給する油圧制御装置と、
前記複数の係合要素のうちの何れかの係合要素を対象要素として係合する際および解放する際には、前記対象要素について、基本油圧指令に応答遅れ補償のための補償値を加えて目標油圧指令を設定して前記油圧制御装置を制御する制御装置と、
を備える変速装置であって、
前記制御装置は、前記対象要素を係合する際か解放する際かに基づいて時定数を設定し、前記時定数と直前の前記目標油圧指令とに基づいて推定油圧を演算し、前記推定油圧に基づいて前記補償値を設定する、
ことを要旨とする。
この本開示の変速装置では、複数の係合要素のうちの何れかの係合要素を対象要素として係合する際および解放する際には、対象要素について、基本油圧指令に応答遅れ補償のための補償値を加えて目標油圧指令を設定して油圧制御装置を制御する。そして、この際には、対象要素を係合する際か解放する際かに基づいて時定数を設定し、時定数と直前の目標油圧指令とに基づいて推定油圧(油圧の推定値)を演算し、推定油圧に基づいて補償値を設定する。これにより、対象要素を係合する際か解放する際かを考慮せずに時定数を設定するものに比して、対象要素を係合する際や解放する際に、推定油圧と実油圧との誤差が大きくなるのを抑制することができる。この結果、対象要素を係合する際や解放する際の制御性の向上を図ることができる。
本開示の実施形態としての変速装置20を搭載する自動車10の構成の概略を示す構成図である。 自動変速機25を有する変速装置20の構成の概略を示す構成図である。 自動変速機25の各変速段とクラッチC1〜C4,ブレーキB1,B2,ワンウェイクラッチF1の作動状態との関係を表した作動表を示す説明図である。 油圧制御装置60の構成の概略を示す構成図である。 係合側要素および解放側要素についての基本油圧指令の一例を示す説明図である。 変速ECU80により実行される目標油圧指令設定ルーチンの一例を示すフローチャートである。 前回の推定油圧(前回Poes)と対象要素と係合側フラグFeと基本時定数τpoestmpとの関係の一例を示す説明図である。 油温Toと補正係数k1との関係の一例を示す説明図である。 ライン圧PLと補正係数k2との関係の一例を示す説明図である。 油温Toと上下限ガード値αmax,αminとの関係の一例を示す説明図である。 クラッチC1を係合する際(係合側要素となる場合)および解放する際(解放側要素となる場合)の基本油圧指令Potmp,目標油圧指令Po*,仮補償値αtmp,補償値αの様子の一例を示す説明図である。
次に、図面を参照しながら、本開示の発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本開示の実施形態としての変速装置20を搭載する自動車10の構成の概略を示す構成図であり、図2は、自動変速機25を有する変速装置20の構成の概略を示す構成図である。
自動車10は、図1および図2に示すように、エンジン12と、エンジン12を運転制御するエンジン用電子制御ユニット(以下、「エンジンECU」という)16と、エンジン12のクランクシャフト14に取り付けられた流体伝動装置23と、エンジン12からの動力により駆動されるオイルポンプ24と、を備える。また、自動車10は、流体伝動装置23の出力側に入力軸26が接続されると共にギヤ機構42やデファレンシャルギヤ44を介して駆動輪18a,18bに出力軸28が接続されて入力軸26に入力された動力を変速して出力軸28に伝達する有段の自動変速機25と、オイルポンプ24からの作動油を流体伝動装置23や自動変速機25に供給する油圧制御装置60と、を備える。さらに、自動車10は、油圧制御装置60を制御することによって流体伝動装置23や自動変速機25を制御する変速機用電子制御ユニット(以下、「変速機ECU」という)80と、図示しない電子制御式油圧ブレーキユニットを制御するブレーキ用電子制御ユニット(以下、「ブレーキECU」という)17と、を備える。ここで、変速装置20としては、主として、自動変速機25,油圧制御装置60,変速機ECU80が該当する。
エンジンECU16は、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMと、データを一時的に記憶するRAMと、入出力ポートと、通信ポートと、を備える。エンジンECU16には、クランクシャフト14に取り付けられたクランク角センサ14aからのクランク角θeなどのエンジン12の運転状態を検出する各種センサからの信号や、アクセルペダル91の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ92からのアクセル開度Acc,車速センサ98からの車速Vなどの信号が入力ポートを介して入力されている。エンジンECU16は、クランク角センサ14aからのクランク角θeに基づいてエンジン回転速度Neを演算している。また、エンジンECU16からは、スロットルバルブを駆動するスロットルモータへの駆動信号や燃料噴射弁への制御信号,点火プラグへの点火信号などが出力ポートを介して出力されている。
流体伝動装置23は、エンジン12のクランクシャフト14にフロントカバーを介して接続される入力側のポンプインペラや、自動変速機25の入力軸26に接続される出力側のタービンランナ,ポンプインペラおよびタービンランナの内側に配置されてタービンランナからポンプインペラへの作動油の流れを整流するステータ,ステータの回転方向を一方向に制限するワンウェイクラッチ,フロントカバーと入力軸26とを互いに接続すると共に両者の接続を解除するロックアップクラッチ等を有するトルクコンバータとして構成されている。オイルポンプ24は、ポンプボディおよびポンプカバーからなるポンプアッセンブリや、流体伝動装置23のポンプインペラに接続される外歯ギヤ,外歯ギヤと噛合する内歯ギヤ等を有するギヤポンプとして構成されている。
自動変速機25は、8段変速式の変速機として構成されており、図2に示すように、ダブルピニオン式の第1遊星歯車機構30と、ラビニヨ式の第2遊星歯車機構35と、入力側から出力側までの動力伝達経路を変更するための4つのクラッチC1〜C4,2つのブレーキB1,B2,ワンウェイクラッチF1と、を備える。
第1遊星歯車機構30は、外歯歯車であるサンギヤ31と、このサンギヤ31と同心円上に配置される内歯歯車であるリングギヤ32と、互いに噛合すると共に一方がサンギヤ31に、他方がリングギヤ32に噛合する2つのピニオンギヤ33a,33bの組を自転自在(回転自在)かつ公転自在に複数保持するプラネタリキャリヤ34と、を有する。図示するように、第1遊星歯車機構30のサンギヤ31は、トランスミッションケース22に固定されており、第1遊星歯車機構30のプラネタリキャリヤ34は、入力軸26に一体回転可能に連結されている。第1遊星歯車機構30は、いわゆる減速ギヤとして構成されており、入力要素であるプラネタリキャリヤ34に伝達された動力を減速して出力要素であるリングギヤ32から出力する。
第2遊星歯車機構35は、外歯歯車である第1サンギヤ36aおよび第2サンギヤ36bと、第1,第2サンギヤ36a,36bと同心円上に配置される内歯歯車であるリングギヤ37と、第1サンギヤ36aに噛合する複数のショートピニオンギヤ38aと、第2サンギヤ36bおよび複数のショートピニオンギヤ38aに噛合すると共にリングギヤ37に噛合する複数のロングピニオンギヤ38bと、複数のショートピニオンギヤ38aおよび複数のロングピニオンギヤ38bを自転自在(回転自在)かつ公転自在に保持するプラネタリキャリヤ39と、を有する。第2遊星歯車機構35のリングギヤ37は、自動変速機25の出力部材として機能し、入力軸26からリングギヤ37に伝達された動力は、ギヤ機構42やデファレンシャルギヤ44を介して左右の駆動輪18a,18bに伝達される。また、プラネタリキャリヤ39は、ワンウェイクラッチF1を介してトランスミッションケース22により支持され、プラネタリキャリヤ39の回転方向は、ワンウェイクラッチF1により一方向に制限される。
クラッチC1〜C4は、いずれも、ピストン,複数の摩擦係合プレート(摩擦プレートおよびセパレータプレート),作動油が供給される油室(係合油室およびキャンセル油室)等により構成される油圧サーボを有し、2つの回転系を互いに接続すると共に両者の接続を解除する摩擦式油圧クラッチとして構成されている。クラッチC1は、第1遊星歯車機構30のリングギヤ32と第2遊星歯車機構35の第1サンギヤ36aとを互いに接続すると共に両者の接続を解除することができる。クラッチC2は、入力軸26と第2遊星歯車機構35のプラネタリキャリヤ39とを互いに接続すると共に両者の接続を解除することができる。クラッチC3は、第1遊星歯車機構30のリングギヤ32と第2遊星歯車機構35の第2サンギヤ36bとを互いに接続すると共に両者の接続を解除することができる。クラッチC4は、第1遊星歯車機構30のプラネタリキャリヤ34と第2遊星歯車機構35の第2サンギヤ36bとを互いに接続すると共に両者の接続を解除することができる。
ブレーキB1,B2は、いずれも、ピストン,複数の摩擦係合プレート(摩擦プレートおよびセパレータプレート),作動油が供給される油室(係合油室およびキャンセル油室)等により構成される油圧サーボを有し、回転系を固定系に回転不能に固定すると共にその固定を解除する摩擦式油圧ブレーキとして構成されている。ブレーキB1は、第2遊星歯車機構35の第2サンギヤ36bをトランスミッションケース22に回転不能に固定すると共に第2サンギヤ36bのトランスミッションケース22に対する固定を解除することができる。ブレーキB2は、第2遊星歯車機構35のプラネタリキャリヤ39をトランスミッションケース22に回転不能に固定すると共にプラネタリキャリヤ39のトランスミッションケース22に対する固定を解除することができる。
ワンウェイクラッチF1は、第2遊星歯車機構35のプラネタリキャリヤ39に連結(固定)されるインナーレースや、トランスミッションケース22に固定されるアウターレース,インナーレースとアウターレースとの間に配置されたトルク伝達部材(複数のスプラグ等)を有し、プラネタリキャリヤ39の一方向の回転のみを許容する。
これらのクラッチC1〜C4およびブレーキB1,B2は、油圧制御装置60による作動油の給排を受けて動作する。図3に自動変速機25の各変速段とクラッチC1〜C4,ブレーキB1,B2,ワンウェイクラッチF1の作動状態との関係を表した作動表を示す。自動変速機25は、クラッチC1〜C4、ブレーキB1,B2を図3の作動表に示す状態とすることにより、第1速〜第8速の前進段および第1速,第2速の後進段とを提供する。具体的には、図3に示すように、前進1速は、クラッチC1を係合すると共にクラッチC2〜C4およびブレーキB1,B2を解放することにより形成される。なお、前進1速は、エンジンブレーキ時には、ブレーキB2も係合される。前進2速は、クラッチC1およびブレーキB1を係合すると共にクラッチC2〜C4およびブレーキB2を解放することにより形成される。前進3速は、クラッチC1,C3を係合すると共にクラッチC2,C4およびブレーキB1,B2を解放することにより形成される。前進4速は、クラッチC1,C4を係合すると共にクラッチC2,C3およびブレーキB1,B2を解放することにより形成される。前進5速は、クラッチC1,C2を係合すると共にクラッチC3,C4およびブレーキB1,B2を解放することにより形成される。前進6速は、クラッチC2,C4を係合すると共にクラッチC1,C3およびブレーキB1,B2を解放することにより形成される。前進7速は、クラッチC2,C3を係合すると共にクラッチC1,C4およびブレーキB1,B2を解放することにより形成される。前進8速は、クラッチC2およびブレーキB1を係合すると共にクラッチC1,C3,C4およびブレーキB2を解放することにより形成される。後進1速は、クラッチC3およびブレーキB2を係合すると共にクラッチC1,C2,C4およびブレーキB1を解放することにより形成される。後進2速は、クラッチC4およびブレーキB2を係合すると共にクラッチC1〜C3およびブレーキB1を解放することにより形成される。
油圧制御装置60は、図4に示すように、オイルポンプ24から圧送される作動油の一部をクーラ71やギヤ,ベアリング等の潤滑対象72に供給しながら調圧してライン圧用油路63にライン圧PLを発生させるレギュレータバルブ62と、ライン圧用油路63のライン圧PLを調圧してクラッチC1〜C4およびブレーキB1,B2の各油圧サーボに供給するリニアソレノイドバルブSLC1〜SLC4,SLB1,SLB2(SLC2〜SLC4とSLB1は図示省略)と、を備える。
変速機ECU80は、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMと、データを一時的に記憶するRAMと、入出力ポートと、通信ポートと、を備える。変速機ECU80には、油圧制御装置60内の作動油の油温を検出する油温センサ68からの油温Toや、ライン圧PLを検出する油圧センサ69からのライン圧PL,シフトレバー95の位置を検出するシフトポジションセンサ96からのシフトポジションSP,車速センサ98からの車速Vなどが入力ポートを介して入力されている。変速機ECU80からは、油圧制御装置60(リニアソレノイドバルブSLC1〜SLC4,SLB1,SLB2)への制御信号などが出力ポートを介して出力されている。
なお、エンジンECU16とブレーキECU17と変速機ECU80とは、相互に通信ポートを介して接続されており、相互に制御に必要な各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。変速機ECU80は、エンジン回転速度Neやイグニッションスイッチからのイグニッション信号,アクセルペダルポジションセンサ92からのアクセル開度AccをエンジンECU16を介して通信により入力したり、ブレーキペダル93の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ94からのブレーキ開度BraをブレーキECU17を介して通信により入力したりしている。
こうして構成された本実施形態の自動車10に搭載される変速装置20では、変速機ECU80は、エンジン12の運転中に、アクセル開度Accおよび車速Vに基づいて自動変速機25の目標変速段が変更された(変速要求が行なわれた)ときには、変速制御として、クラッチC1〜C4およびブレーキB1,B2のうち、係合すべき係合要素としての係合側要素が係合されると共に解放すべき係合要素としての解放側要素が解放されるように油圧制御装置60を制御する。例えば、前進第6速から前進第5速に切り替える際には、クラッチC1,C4がそれぞれ係合側要素,解放側要素に該当する。この変速制御の際には、係合側要素および解放側要素のそれぞれについて、基本油圧指令に応答遅れ補償のための補償値を加えて目標油圧指令を設定して油圧制御装置60を制御する。図5は、係合側要素および解放側要素についての基本油圧指令の一例を示す説明図である。係合側要素および解放側要素についての基本油圧指令は、変速制御の開始からの時間に基づいて設定されるものとした。変速制御では(時刻t11〜)、まず、係合側要素についての基本油圧指令は、ストローク制御が実行されるように設定され、解放側要素についての基本油圧指令は、第1段階解放制御が実行されるように設定される(時刻t12〜t13)。ストローク制御は、係合側要素のピストンと摩擦係合プレートとの隙間を詰める(ピストンをストロークさせる)ファストフィルと、その後に油圧を比較的低い待機圧で保持する低圧待機と、を行なう制御である。第1段階解放制御は、油圧を1段低下させて解放側要素をスリップ係合させる制御である。続いて、係合側要素についての基本油圧指令は、トルク相制御が実行されるように設定され、解放側要素についての基本油圧指令は、第2段階解放制御が実行されるように設定される(時刻t13〜t14)。トルク相制御および第2段階解放制御は、係合側要素の油圧を徐々に上昇させると共に解放側要素の油圧を徐々に低下させて、トルクの伝達を変更前の変速段による伝達から変更後の変速段による伝達に変更する制御である。そして、係合側要素についての基本油圧指令は、イナーシャ相制御,終期制御の順に実行されるように設定され、解放側要素についての基本油圧指令は、第3段階解放制御が実行されるように設定される(時刻t14〜)。イナーシャ相制御は、係合側要素の油圧を更に徐々に上昇させて、自動変速機25の入力軸26の回転速度Ninを変速後の変速段(目標変速段)に応じた回転速度に近づける制御である(時刻t14〜t15)。終期制御は、係合側要素の油圧を更に上昇させる制御である(時刻t15〜)。第3段階解放制御は、解放側要素の油圧を更に低下させる制御である。
次に、こうして構成された本実施形態の自動車10に搭載される変速装置20の動作、特に、変速制御における係合側要素および解放側要素のそれぞれについて、基本油圧指令に基づいて目標油圧指令を設定する際の動作について説明する。図6は、変速ECU80により実行される目標油圧指令設定ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、変速制御における係合側要素および解放側要素のそれぞれについて並列に繰り返し実行される。例えば、前進第6速から前進第5速に切り替える際には、クラッチC1,C4がそれぞれ係合側要素,解放側要素に該当するから、クラッチC1,C4のそれぞれについて図6のルーチンが並列に繰り返し実行される。
目標油圧指令設定ルーチンが実行されると、変速ECU80は、まず、油温Toやライン圧PL,対象要素,対象要素の基本油圧指令Potmp,対象要素の係合側フラグFeなどのデータを入力する(ステップS100)。ここで、油温Toは、油温センサ68により検出されたものを入力するものとした。ライン圧PLは、油圧センサ69により検出されたものを入力するものとした。対象要素は、係合側要素および解放側要素のうち本ルーチンで対象としている係合要素(例えば、前進第6速から前進第5速に切り替える際におけるクラッチC1またはクラッチC4)を入力するものとした。対象要素の基本油圧指令Potmpは、変速制御の開始からの時間に応じて設定されたもの(図5参照)を入力するものとした。対象要素の係合側フラグFeは、対象要素を係合する際(対象要素が係合側要素であるとき)には値1が設定され、対象要素を解放する際(対象要素が解放側要素であるとき)には値0が設定されたものを入力するものとした。
こうしてデータを入力すると、係合側フラグFeの値を調べ(ステップS110)、係合側フラグFeが値1のとき即ち対象要素が係合側要素であるときには対象要素についてのストローク制御の完了前か完了後かを判定し(ステップS112)、係合側フラグFeが値0のとき即ち対象要素が解放側要素であるときには対象要素についての第1段階解放制御の開始前か開始後かを判定する(ステップS114)。図5を参照すると、ステップS112の処理は、変速制御の開始から低圧待機の終了(イナーシャ相制御の開始)までの時間(時刻t11〜t13の時間)が経過したか否かを判定することにより行なうことができ、ステップS114の処理は、変速制御の開始から第1段階解放制御の開始までの時間(時刻t11〜t12の時間)が経過したか否かを判定することにより行なうことができる。
ステップS110で係合側フラグFe1が値1で且つステップS112で対象要素(係合側要素)についてのストローク制御の完了前であると判定されたときや、ステップS110で係合側フラグFeが値0で且つステップS114で対象要素(解放側要素)についての第1段階解放制御の開始前であると判定されたときには、実油圧の基本油圧指令Potmpに対する油圧応答遅れ補償のための補償値αに値0を設定し(ステップS120)、対象要素の基本油圧指令Potmpに補償値αを加えた値をライン圧PLおよび値0で上下限ガードして対象要素の目標油圧指令Po*を設定して(ステップS210)、本ルーチンを終了する。
ステップS110で係合側フラグFe1が値1で且つステップS112で対象要素(係合側要素)についてのストローク制御の完了後であると判定されたときや、ステップS110で係合側フラグFeが値0で且つステップS114で対象要素(解放側要素)についての第1段階解放制御の開始後であると判定されたときには、対象要素がクラッチC1〜C4,ブレーキB1,B2のうちの何れの係合要素であるかと対象要素の前回の推定油圧(前回Poes)と対象要素の係合側フラグFeと油温Toとライン圧PLとに基づいて、対象要素の油圧の推定値としての推定油圧Poesの演算に用いる推定油圧応答時定数τpoesを設定する(ステップS140)。なお、係合側フラグFeが値1の場合の対象要素についてのストローク制御の完了直後や係合側フラグFeが値0の場合の対象要素についての第1段階解放制御の開始直後には、前回の推定油圧(前回Poes)がないから、前回の目標油圧指令(前回Po*)を用いるものとした。こうして推定油圧応答時定数τpoesを設定すると、対象要素の前回の目標油圧指令(前回Po*)と推定油圧応答時定数τpoesと本ルーチンの実行周期(例えば数msec)を用いて式(1)により推定油圧Poesを演算する(ステップS150)。この式(1)から分かるように、推定油圧Poesは、前回の目標油圧指令(前回Po*)に対して、推定油圧応答時定数τpoesが小さいほど高い応答性で追従する。
Poes=Δt/(τpoes+Δt)・(前回Po*-前回Poes)+前回Poes (1)
ここで、推定油圧応答時定数τpoesは、本実施形態では、対象要素がクラッチC1〜C4,ブレーキB1,B2のうちの何れの係合要素であるかと対象要素の前回の推定油圧(前回Poes)と対象要素の係合側フラグFeとに基づいて基本時定数τpoestmpを設定し、油温Toに基づいて補正係数k1を設定し、ライン圧PLに基づいて補正係数k2を設定し、基本時定数τpoestmpに係数k1,k2を乗じることにより、設定するものとした。対象要素がクラッチC1〜C4,ブレーキB1,B2のうちの何れの係合要素であるかと対象要素の前回の推定油圧(前回Poes)と対象要素の係合側フラグFeと基本時定数τpoestmpとの関係の一例を図7に示し、油温Toと補正係数k1との関係の一例を図8に示し、ライン圧PLと補正係数k2との関係の一例を図9に示す。なお、図7では、クラッチC1,C4についてだけ示し、クラッチC2,C3およびブレーキB1,B2については図示を省略した。
図7に示すように、基本時定数τpoestmpには、対象要素がクラッチC1〜C4,ブレーキB1,B2のうちの何れの係合要素であるかに応じて異なる値が設定される。これは、クラッチC1〜C4およびブレーキB1,B2のそれぞれにより、リニアソレノイドバルブから係合油室までの油路の長さや係合油室の容量(係合時の体積)などが異なり、油圧応答性が異なるためである。具体的には、基本時定数τpoestmpには、クラッチC1〜C4およびブレーキB1,B2のうち、リニアソレノイドバルブから係合油室までの油路の長さが長い係合要素ほど大きくなり、係合油室の容量が大きい係合要素ほど大きくなる傾向の値が設定される。これは、リニアソレノイドバルブから係合油室までの油路の長さが長いほど且つ係合油室の容量が大きいほど油圧応答性が低くなると考えられるためである。
また、図7に示すように、基本時定数τpoestmpには、前回の推定油圧(前回Poes)が低いほど大きくなる傾向の値が設定される。これは、係合油室の実油圧が低いほど単位油量変化量当たりのピストンの移動量(係合油室の体積の変化量)が大きく、油圧応答性が低くなりやすいと考えられるためである。
さらに、図7に示すように、基本時定数τpoestmpには、係合側フラグFeに応じて異なる値が設定される。これは、対象要素を係合する際か解放する際か(対象要素が係合側要素であるか解放側要素であるか)によって係合油室やキャンセル油室に連通する油路の作動油の流れの方向が異なり、圧損が異なり、油圧応答性が異なるためである。具体的には、基本時定数τpoestmpには、係合側フラグFeが値1のときに値0のときに比して大きくなる傾向の値が設定される。これは、以下の理由による。対象要素が係合側要素である場合、係合油室に油圧が供給されてピストンが係合側(複数の摩擦係合プレートに接近する側)に移動する際に、キャンセル室の体積の減少に対してキャンセル室からの作動油の排出が十分でないためにキャンセル室の油圧が高くなってピストンの移動の妨げとなることによってピストンが移動しにくく、これによって、係合油室に作動油が流入しにくく、係合油室の実油圧の変化(上昇)が遅くなりやすい。一方、対象要素が解放側要素である場合、係合油室から作動油が排出されてピストンが解放側(複数の摩擦係合プレートから離間する側)に移動する際に、キャンセル室の油圧がピストンの移動の妨げにならずにピストンが移動しやすく、係合油室から作動油が排出されやすいから、係合油室の実油圧の変化(低下)が早くなりやすい。これらのことから、対象要素が係合側要素である場合、対象要素が解放側要素である場合に比して油圧応答性が低くなると考えられる。
図8に示すように、補正係数k1には、油温Toが低いほど大きくなる傾向の値が設定される。これは、油温Toが低いほど作動油の粘性が高くなり、対象要素の係合油室やキャンセル室に連通する油路の圧損が大きくなり、油圧応答性が低くなると考えられるためである。
図9に示すように、補正係数k2には、ライン圧PLが高いほど大きくなる傾向の値が設定される。これは、ライン圧PLが高いほど、対象要素に油路を介して接続されるリニアソレノイドバルブに作用するサイドフォース(スプールの移動方向に直交する方向の力)が大きくなり、油圧応答性が低くなると考えられるためである。
このように、係合側要素についてのストローク制御の完了後や解放側要素についての第1段階解放制御の開始後には、対象要素(係合側要素または解放側要素)について、対象要素を係合する際か解放する際か(対象要素の係合側フラグFe)に基づいて推定油圧応答時定数τpoesを設定し、この推定油圧応答時定数τpoesと前回の目標油圧指令Po*とに基づいて推定油圧Poesを演算する。これにより、対象要素を係合する際か解放する際かを考慮せずに推定油圧応答時定数τpoesを設定するものに比して、対象要素を係合する際や解放する際に、推定油圧Poesと実油圧との誤差が大きくなるのを抑制することができる。しかも、対象要素がクラッチC1〜C4,ブレーキB1,B2のうちの何れの係合要素であるかや、対象要素の前回の推定油圧(前回Poes),油温To,ライン圧PLにも基づいて推定油圧応答時定数τpoesを設定する。これにより、対象要素を係合する際や解放する際に、推定油圧Poesと実油圧との誤差が大きくなるのをより十分に抑制することができる。
ステップS150で推定油圧Poesを演算すると、基本油圧指令Potmpから推定油圧Poesを減じて油圧差分ΔPoを演算すると共に(ステップS160)、推定油圧応答時定数τpoesと目標油圧応答時定数τpo*とに基づいて比例制御における比例ゲインKpを設定する(ステップS170)。ここで、目標油圧応答時定数τpo*には、油圧制御装置60の仕様などに基づく値が設定され、例えば、上述の値τ1などが設定される。比例ゲインKpの設定は、推定油圧応答時定数τpoesから目標油圧応答時定数τpo*を減じた値(τpoes−τpo*)を値0で下限ガードし、下限ガード後の値を目標油圧応答時定数τpo*で除することにより、行なうものとした。したがって、推定油圧応答時定数τpoesが大きいほど大きくなる傾向に比例ゲインKpを設定することになる。
こうして油圧差分ΔPoおよび比例ゲインKpを演算すると、油圧差分ΔPoに比例ゲインKpを乗じて、実油圧の基本油圧指令Potmpに対する油圧応答遅れ補償のための補償値αの仮の値としての仮補償値αtmpを演算する(ステップS180)。続いて、油温Toに基づいて上下限ガード値αmax,αminを設定する(ステップS190)。そして、仮補償値αtmpを上下限ガード値αmax,αminで上下限ガードして補償値αを設定し(ステップS200)、対象要素の基本油圧指令Potmpに補償値αを加えた値をライン圧PLおよび値0で上下限ガードして対象要素の目標油圧指令Po*を設定して(ステップS210)、本ルーチンを終了する。
ここで、油温Toと上下限ガード値αmax,αminとの関係の一例を図10に示す。図示するように、上下限ガード値αmax,αminは、油温Toが低いほど絶対値が大きくなる傾向に設定される。これは、油温Toが低いほど作動油の粘性が高くなり、油圧応答性が低くなると考えられることに基づくものである。具体的には、以下の通りである。上下限ガード値αmax,αminとして油温Toを考慮せずに絶対値の比較的小さい一律の値を用いると、油温Toが高いとき(油圧応答性が高いとき)には、補償値αを適切な値にできるものの、油温Toが低いとき(油圧応答性が低いとき)には、補償値αの絶対値を十分に大きくすることができずに実油圧の基本油圧指令Potmpに対する追従性が過剰に低くなり得る(補償値が十分に機能しない可能性がある)。一方、上下限ガード値αmax,αminとして油温Toを考慮せずに絶対値の比較的大きい一律の値を用いると、油温Toが低いときには、補償値αを適切な値にできるものの、油温Toが高いときには、対象要素が係合側要素であるときに基本油圧指令Potmpに対して実油圧がオーバーシュートしたり、対象要素が解放側要素であるときに基本油圧指令Potmpに対して実油圧がアンダーシュートしたりし得る(補償値の絶対値が過剰に大きい可能性がある)。これらに対して、油温Toが低いほど絶対値が大きくなる傾向に上下限ガード値αmax,αminを設定することにより、油温Toが高いときときでも低いときでも、補償値αを適切な値にすることができる。
図11は、クラッチC1を係合する際(係合側要素となる場合)および解放する際(解放側要素となる場合)の基本油圧指令Potmp,目標油圧指令Po*,仮補償値αtmp,補償値αの様子の一例を示す説明図である。図中、「t11」〜「t15」は、図5と同様の各時刻を示す。図11から分かるように、クラッチC1を係合する際と解放する際とでは、仮補償値αtmpの絶対値が異なっている。具体的には、クラッチC1を係合する際に、解放する際に比して、仮補償値αtmpの絶対値が大きくなっている。これは、対象要素を係合する際には、解放する際に比して、推定油圧応答時定数τpoesが大きくなり、これによって、推定油圧応答時定数τpoesが大きくなり、比例ゲインKpが大きくなるためであると考えられる。このように、クラッチC1を係合する際か解放する際か(クラッチC1の係合側フラグFe)に応じて仮補償値αtmpを設定することにより、仮補償値αtmpがより適切な値になっていると考えられる。また、この仮補償値αtmpを油温Toに基づく上下限ガード値αmax,αminで上下限ガードして補償値αを設定することにより、油温Toに応じて補償値αをより適切な値にすることができる。
本実施形態では、係合側要素についてのストローク制御の完了後や解放側要素についての第1段階解放制御の開始後には、対象要素(係合側要素または解放側要素)について、対象要素を係合する際か解放する際か(対象要素の係合側フラグFe)に基づいて推定油圧応答時定数τpoesを設定し、この推定油圧応答時定数τpoesと前回の目標油圧指令Po*とに基づいて推定油圧Poesを演算する。これにより、対象要素を係合する際か解放する際かを考慮せずに推定油圧応答時定数τpoesを設定するものに比して、対象要素を係合する際や解放する際に、推定油圧Poesと実油圧との誤差が大きくなるのを抑制することができる。そして、この推定油圧Poesを用いて油圧指令Po*を設定する。これにより、対象要素を係合する際や解放する際の制御性の向上を図ることができる。しかも、対象要素がクラッチC1〜C4,ブレーキB1,B2のうちの何れの係合要素であるかや、対象要素の前回の推定油圧(前回Poes),油温To,ライン圧PLにも基づいて推定油圧応答時定数τpoesを設定する。これにより、対象要素を係合する際や解放する際に、推定油圧Poesと実油圧との誤差が大きくなるのをより十分に抑制することができる。この結果、対象要素を係合する際や解放する際の制御性の向上をより図ることができる。
しかも、本実施形態では、係合側要素についてのストローク制御の完了後や解放側要素についての第1段階解放制御の開始後には、対象要素について、基本油圧指令Potmpと推定油圧Poesとの油圧差分ΔPoに基づいて仮補償値αtmpを設定し、油温Toに基づいて上下限ガード値αmax,αminを設定し、仮補償値αtmpを上下限ガード値αmax,αminで上下限ガードして補償値αを設定する。これにより、油温Toに応じて補償値αをより適切な値とすることができる。そして、この補償値αと基本油圧指令Potmpとに基づいて油圧指令Po*を設定する。これにより、対象要素を係合する際や解放する際の制御性の向上をより図ることができる。
上述の実施形態では、係合側要素についてのストローク制御の完了後や解放側要素についての第1段階解放制御の開始後には、対象要素がクラッチC1〜C4,ブレーキB1,B2のうちの何れの係合要素であるかと対象要素の前回の推定油圧(前回Poes)と対象要素の係合側フラグFeとに基づいて基本時定数τpoestmpを設定し、油温Toに基づいて補正係数k1を設定し、ライン圧PLに基づいて補正係数k2を設定し、基本時定数τpoestmpに係数k1,k2を乗じることにより、推定油圧応答時定数τpoesを設定するものとした。しかし、基本時定数τpoestmpや係数k1,k2を設定せずに、対象要素がクラッチC1〜C4,ブレーキB1,B2のうちの何れの係合要素であるかと対象要素の前回の推定油圧(前回Poes)と対象要素の係合側フラグFeと油温Toとライン圧PLとに基づいて直接に(例えば1つのマップで)推定油圧応答時定数τpoesを設定するものとしてもよい。
上述の実施形態では、係合側要素についてのストローク制御の完了後や解放側要素についての第1段階解放制御の開始後には、対象要素について、対象要素がクラッチC1〜C4,ブレーキB1,B2のうちの何れの係合要素であるかと、対象要素の前回の推定油圧(前回Poes)と、対象要素を係合する際か解放する際か(対象要素の係合側フラグFe)と、油温Toと、ライン圧PLと、に基づいて推定油圧応答時定数τpoesを設定するものとした。しかし、対象要素について、少なくとも対象要素を係合する際か解放する際かに基づいて推定油圧応答時定数τpoesを設定するものであればよく、対象要素がクラッチC1〜C4,ブレーキB1,B2のうちの何れの係合要素であるかと、対象要素の前回の推定油圧(前回Poes)と、油温Toと、ライン圧PLと、のうちの少なくとも1つを考慮せずに、推定油圧応答時定数τpoesを設定するものとしてもよい。
上述の実施形態では、係合側要素についてのストローク制御の完了後や解放側要素についての第1段階解放制御の開始後には、対象要素について、油温Toに基づいて上下限ガード値αmax,αminを設定し、仮補償値αtmpを上下限ガード値αmax,αminで上下限ガードして補償値αを設定するものとした。しかし、対象要素について、油温Toを考慮せずに一律の上下限ガード値αmax,αminを用いるものとしてもよい。また、対象要素について、油温Toに加えて、対象要素がクラッチC1〜C4,ブレーキB1,B2のうちの何れの係合要素であるかと、対象要素の前回の推定油圧(前回Poes)と、対象要素の係合側フラグFeと、ライン圧PLと、のうちの少なくとも1つにも基づいて上下限ガード値αmax,αminを設定するものとしてもよい。さらに、対象要素について、上下限ガード値αmax,αminを用いずに、仮補償値αtmpをそのまま補償値αに設定するものとしてもよい。
上述の実施形態では、係合側要素についてのストローク制御の完了前や解放側要素についての第1段階解放制御の開始前には、対象要素について、補償値αに値0を設定し、係合側要素についてのストローク制御の完了後や解放側要素についての第1段階解放制御の開始後には、対象要素について、対象要素を係合する際か解放する際か(対象要素の係合側フラグFe)などに基づいて補償値αを設定するものとした。しかし、係合側要素についてのストローク制御の完了前や解放側要素についての第1段階解放制御の開始前であっても、対象要素について、対象要素を係合する際か解放する際かなどに基づいて補償値αを設定するものとしてもよい。
上述の実施形態では、自動変速機25として、8段変速式の変速機を用いるものとしたが、4段変速式や5段変速式,6段変速機式,10段変速式などの自動変速機を用いるものとしてもよい。
以上説明したように、本開示の変速装置は、複数の係合要素(C1〜C4,B1,B2)を選択的に係合して複数の変速段を形成する変速機(25)と、前記複数の係合要素(C1〜C4,B1,B2)に油圧を供給する油圧制御装置(60)と、前記複数の係合要素(C1〜C4,B1,B2)のうちの何れかの係合要素を対象要素として係合する際および解放する際には、前記対象要素について、基本油圧指令に応答遅れ補償のための補償値を加えて目標油圧指令を設定して前記油圧制御装置(60)を制御する制御装置(80)と、を備える変速装置(20)であって、前記制御装置(80)は、前記対象要素を係合する際か解放する際かに基づいて時定数を設定し、前記時定数と直前の前記目標油圧指令とに基づいて推定油圧を演算し、前記推定油圧に基づいて前記補償値を設定することを要旨とする。
この本開示の変速装置では、複数の係合要素のうちの何れかの係合要素を対象要素として係合する際および解放する際には、対象要素について、基本油圧指令に応答遅れ補償のための補償値を加えて目標油圧指令を設定して油圧制御装置を制御する。そして、この際には、対象要素を係合する際か解放する際かに基づいて時定数を設定し、時定数と直前の目標油圧指令とに基づいて推定油圧(油圧の推定値)を演算し、推定油圧に基づいて補償値を設定する。これにより、対象要素を係合する際か解放する際かを考慮せずに時定数を設定するものに比して、対象要素を係合する際や解放する際に、推定油圧と実油圧との誤差が大きくなるのを抑制することができる。この結果、対象要素を係合する際や解放する際の制御性の向上を図ることができる。
こうした本開示の変速装置において、前記制御装置(80)は、前記対象要素を係合する際には解放する際に比して大きくなるように前記時定数を設定するものとしてもよい。
また、本開示の変速装置において、前記油圧制御装置(60)は、作動油を圧送するポンプ(24)からの作動油の油圧を調圧してライン圧を生成するレギュレータバルブ(62)と、前記ライン圧を調圧して前記複数の係合要素に供給する油圧を生成する複数のソレノイドバルブ(SLC1〜SLC4,SLB1,SLB2)とを備え、前記制御装置(80)は、前記対象要素を係合する際か解放する際かに加えて、前記対象要素が前記複数の係合要素(C1〜C4,B1,B2)のうちの何れの係合要素であるか,直前の前記推定油圧,前記油圧制御装置(60)の作動油の油温,前記ライン圧のうちの少なくとも1つにも基づいて前記時定数を設定するものとしてもよい。こうすれば、対象要素を係合する際や解放する際に、推定油圧と実油圧との誤差が大きくなるのをより十分に抑制することができる。
この場合、前記制御装置(80)は、前記対象要素が前記複数の係合要素のうちの何れの係合要素であるかとして、前記複数のソレノイドバルブ(SLC1〜SLC4,SLB1,SLB2)のうち前記対象要素に対応するソレノイドバルブと前記対象要素との間の油路の長さ,前記対象要素の係合油室の容量のうちの少なくとも1つに基づいて前記時定数を設定するものとしてもよい。また、前記制御装置(80)は、直前の前記推定油圧が低いほど大きくなる傾向に前記時定数を設定するものとしてもよい。さらに、前記制御装置(80)は、前記油圧制御装置(60)の作動油の油温が低いほど大きくなる傾向に前記時定数を設定するものとしてもよい。加えて、前記制御装置(80)は、前記ライン圧が高いほど大きくなる傾向に前記時定数を設定するものとしてもよい。
本開示の変速装置において、前記制御装置(80)は、前記時定数を用いて比例ゲインを設定し、前記基本油圧指令と前記推定油圧との差分と前記比例ゲインとの積に基づいて前記目標油圧指令を設定するものとしてもよい。
以上、本開示を実施するための形態について説明したが、本開示はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本開示は、変速装置の製造産業などに利用可能である。
10 自動車、12 エンジン、14 クランクシャフト、14a クランク角センサ、16 エンジンECU、17 ブレーキECU、18a,18b 駆動輪、20 変速装置、22 トランスミッションケース、23 流体伝動装置、24 オイルポンプ、25 自動変速機、26 入力軸、28 出力軸、30 第1遊星歯車機構、31 サンギヤ、32 リングギヤ、33a,33b ピニオンギヤ、34 プラネタリキャリヤ、35 第2遊星歯車機構、36a 第1サンギヤ、36b 第2サンギヤ、37 リングギヤ、38a ショートピニオンギヤ、38b ロングピニオンギヤ、39 プラネタリキャリヤ、42 ギヤ機構、44 デファレンシャルギヤ、60 油圧制御装置、61 オイルポンプ、62 レギュレータバルブ、63 ライン圧用油路、68 油温センサ、69 油圧センサ、71 クーラ、72 潤滑対象、80 変速機ECU、91 アクセルペダル、92 アクセルペダルポジションセンサ、93 ブレーキペダル、94 ブレーキペダルポジションセンサ、95 シフトレバー、96 シフトポジションセンサ、98 車速センサ、C1〜C4 クラッチ、B1,B2 ブレーキ、F1 ワンウェイクラッチ、SLC1〜SLC4,SLB1,SLB2 リニアソレノイドバルブ。

Claims (8)

  1. 複数の係合要素を選択的に係合して複数の変速段を形成する変速機と、
    前記複数の係合要素に油圧を供給する油圧制御装置と、
    前記複数の係合要素のうちの何れかの係合要素を対象要素として係合する際および解放する際には、前記対象要素について、基本油圧指令に応答遅れ補償のための補償値を加えて目標油圧指令を設定して前記油圧制御装置を制御する制御装置と、
    を備える変速装置であって、
    前記制御装置は、前記対象要素を係合する際か解放する際かに基づいて時定数を設定し、前記時定数と直前の前記目標油圧指令とに基づいて推定油圧を演算し、前記推定油圧に基づいて前記補償値を設定する、
    変速装置。
  2. 請求項1記載の変速装置であって、
    前記制御装置は、前記対象要素を係合する際には解放する際に比して大きくなるように前記時定数を設定する、
    変速装置。
  3. 請求項1または2記載の変速装置であって、
    前記油圧制御装置は、作動油を圧送するポンプからの作動油の油圧を調圧してライン圧を生成するレギュレータバルブと、前記ライン圧を調圧して前記複数の係合要素に供給する油圧を生成する複数のソレノイドバルブとを備え、
    前記制御装置は、前記対象要素を係合する際か解放する際かに加えて、前記対象要素が前記複数の係合要素のうちの何れの係合要素であるか,直前の前記推定油圧,前記油圧制御装置の作動油の油温,前記ライン圧のうちの少なくとも1つにも基づいて前記時定数を設定する、
    変速装置。
  4. 請求項3記載の変速装置であって、
    前記制御装置は、前記対象要素が前記複数の係合要素のうちの何れの係合要素であるかとして、前記複数のソレノイドバルブのうち前記対象要素に対応するソレノイドバルブと前記対象要素との間の油路の長さ,前記対象要素の係合油室の容量のうちの少なくとも1つに基づいて前記時定数を設定する、
    変速装置。
  5. 請求項3または4記載の変速装置であって、
    前記制御装置は、直前の前記推定油圧が低いほど大きくなる傾向に前記時定数を設定する、
    変速装置。
  6. 請求項3ないし5のうちの何れか1つの請求項に記載の変速装置であって、
    前記制御装置は、前記油圧制御装置の作動油の油温が低いほど大きくなる傾向に前記時定数を設定する、
    変速装置。
  7. 請求項3ないし6のうちの何れか1つの請求項に記載の変速装置であって、
    前記制御装置は、前記ライン圧が高いほど大きくなる傾向に前記時定数を設定する、
    変速装置。
  8. 請求項1ないし7のうちの何れか1つの請求項に記載の変速装置であって、
    前記制御装置は、前記時定数を用いて比例ゲインを設定し、前記基本油圧指令と前記推定油圧との差分と前記比例ゲインとの積に基づいて前記目標油圧指令を設定する、
    変速装置。
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