JP2018131695A - 導電布の製造方法 - Google Patents

導電布の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2018131695A
JP2018131695A JP2017024238A JP2017024238A JP2018131695A JP 2018131695 A JP2018131695 A JP 2018131695A JP 2017024238 A JP2017024238 A JP 2017024238A JP 2017024238 A JP2017024238 A JP 2017024238A JP 2018131695 A JP2018131695 A JP 2018131695A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
silver
cloth
conductive
conductive composition
silver complex
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2017024238A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6862887B2 (ja
Inventor
久保田 和宏
Kazuhiro Kubota
和宏 久保田
澤田 公平
Kohei Sawada
公平 澤田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NOF Corp
Original Assignee
NOF Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NOF Corp filed Critical NOF Corp
Priority to JP2017024238A priority Critical patent/JP6862887B2/ja
Publication of JP2018131695A publication Critical patent/JP2018131695A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6862887B2 publication Critical patent/JP6862887B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Treatments For Attaching Organic Compounds To Fibrous Goods (AREA)
  • Conductive Materials (AREA)
  • Non-Insulated Conductors (AREA)

Abstract

【課題】優れた導電性を有し、かつ耐伸縮性および耐洗濯性にも優れる導電布の製造方法を提供する。【解決手段】(A)カルボニル基を有する銀化合物(a)と、炭素数3〜10の脂肪族第1級アミン化合物(b)とを、その配合比(a):(b)が質量比で10:90〜50:50の範囲で含有する導電性組成物を製造する工程、(B)前記導電性組成物を布に塗布して導電性組成物含有布を得る工程、および(C)前記導電性組成物含有布を、100℃以上、200℃以下の熱風で通気乾燥する工程、を有する導電布の製造方法とする。【選択図】なし

Description

本発明は、優れた導電性、伸縮性および耐洗濯性を示す導電布を低温かつ短時間の加熱によって製造する、導電布の製造方法に関する。
近年、人間などの生体情報を常時計測するための技術として、人間などが着用することが可能なウェアラブルデバイスの開発が盛んに行なわれている。その中で、より高精度な計測を行なうために、体への密着度が高い衣服に電極などの導電部が形成された導電布の製造検討が進められている。
導電布に用いる繊維は、一般的な衣服に用いられている綿やポリエステルなどである。これらの繊維は、高温での加熱によって変質が生じるため、高温、長時間の加熱による導電部の形成は行なうことができない。そこで、粒子径がマイクロメートルオーダーの金属粒子をバインダ樹脂中に分散させることで得られる導電性ペーストや(特許文献1)、ナノメートルオーダーの金属粒子を溶媒中に分散させることで得られる導電性ナノ粒子インク(特許文献2)などの粒子分散系組成物を用いて、より低温での加熱で導電布を得る方法が提案されている。
国際公開第2015/005204号 特開2008−202159号公報
しかしながら、金属粒子含有導電性ペーストを用いて形成された導電布は、折り曲げや伸縮などの繰り返しの変形を受けた際に、布上に形成された導電膜に亀裂が生じやすい。また、導電性ナノ粒子インクを用いて形成された導電布は、繊維と粒子の接触面積が小さく、ナノ粒子による繊維の均一な被覆ができないため、変形を受けた際に繊維表面からの粒子の脱離が生じやすい。以上の点から、粒子分散系組成物をウェアラブルデバイスに適用した場合、繰り返しの着脱や洗濯によって導電性が低下し、高精度な生体情報の計測を行なうことができないという問題がある。
そこで本発明の課題は、優れた導電性を有し、かつ耐伸縮性および耐洗濯性にも優れる導電布の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために検討を重ねた結果、特定の構造を有する銀化合物とアミン化合物とを含む溶液状組成物を布に塗布した後に、塗布面に200℃以下の熱風を供給して乾燥する通気乾燥を行なうことによって、低温かつ短時間で、優れた導電性を有し、かつ耐伸縮性および耐洗濯性にも優れる導電布を形成できることを見出し、発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば、以下の工程を有する、導電布の製造方法が提供される。(A)カルボニル基を有する銀化合物(a)と、炭素数3〜10の脂肪族第1級アミン化合物(b)とを、その配合比(a):(b)が質量比で10:90〜50:50の範囲で含有する導電性組成物を製造する工程。(B)前記導電性組成物を布に塗布して導電性組成物含有布を得る工程。(C)前記導電性組成物含有布を、100℃以上、200℃以下の熱風で通気乾燥する工程。
好ましくは、(a)は、3−ヒドロキシ酪酸銀、2−メチル−3−ヒドロキシ酪酸銀、3−メトキシ酪酸銀、アセトンジカルボン酸銀、3−ヒドロキシグルタル酸銀、2−メチル−3−ヒドロキシグルタル酸銀、2,2,4,4−ヒドロキシグルタル酸銀、式(1)で示すアンモニウムカルバメート系化合物の銀錯体、式(2)で示すアンモニウムカーボネート系化合物の銀錯体、および式(3)で示すアンモニウムバイカーボネート系化合物の銀錯体から選択される1種以上の銀化合物である。



[式(1)、式(2)および式(3)の、R、R、R、R、RおよびRは各々独立に、水素原子、または炭素数1〜10の脂肪族アルキル基である。]
本発明によれば、工程(C)で200℃以下の熱風により、導電性組成物含有布を通気乾燥するので、布の繊維間に熱風が行き渡って、繊維上および繊維に浸潤した導電性組成物を効率よく加熱乾燥することができる。従って、200℃以下という比較的低温の加熱で、導電性組成物中の溶液成分を揮発させ、銀化合物を分解して金属銀を銀膜として析出させることができる。その結果、繊維と銀膜の接触面積が大きく密着性に優れた銀被覆繊維を形成することできる。
従って、本発明の製造方法によれば、金属粒子含有導電性ペーストや導電性ナノ粒子インクを使用する場合と比較して、繊維が緻密な銀膜で被覆された導電布を得ることができる。その結果、本発明の製造方法によって得られる導電布は、折り曲げや伸縮によって導電部が変形した際も繊維上からの銀膜の剥離が生じず、銀被覆繊維同士の電気的接点が維持されるため、導電性が高度に維持されるという特徴を有する。
すなわち、本発明の製造方法によって、優れた導電性を有し、かつ耐伸縮性および耐洗濯性にも優れる導電布を得ることができる。
なお、導電性組成物含有布をオーブン等で加熱する場合には、溶液成分を揮発させ、かつ銀化合物を分解して金属銀を析出させるためには、200℃超の加熱が必要である。しかし、このような高温加熱では布が変質し、導電布としての強度や耐久性等に劣る結果となる。
本発明の製造方法の工程(B)および(C)の一実施形態の概略図である。 実施例1で用いた導電布製造用の布の概略図である。 実施例1で調製した導電布の概略図である。 比較例5で調製した導電布の概略図である。 比較例6で調製した導電布の概略図である。 比較例5の繰り返し伸縮試験および洗濯試験後の導電布の概略図である。 比較例6の繰り返し伸縮試験後の導電布の概略図である。
以下に本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明の導電布の製造方法は、以下に説明する工程(A)〜(C)を有する方法である。
[工程(A)]
工程(A)は、カルボニル基を有する銀化合物(a)と、炭素数3〜10の脂肪族第1級アミン化合物(b)とを、その配合比(a):(b)が質量比で10:90〜50:50の範囲で含有する導電性組成物を製造する工程である。
(a)の好ましい化合物として、3−ヒドロキシ酪酸銀、2−メチル−3−ヒドロキシ酪酸銀、3−メトキシ酪酸銀、アセトンジカルボン酸銀、3−ヒドロキシグルタル酸銀、2−メチル−3−ヒドロキシグルタル酸銀、2,2,4,4−ヒドロキシグルタル酸銀、式(1)で示すアンモニウムカルバメート系化合物の銀錯体、式(2)で示すアンモニウムカーボネート系化合物の銀錯体、および式(3)で示すアンモニウムバイカーボネート系化合物の銀錯体を挙げることができ、これらから1種以上を選択して使用することができる。



[式(1)、式(2)および式(3)の、R、R、R、R、RおよびRは各々独立に、水素原子、または炭素数1〜10の脂肪族アルキル基である。]
式(1)の化合物の銀錯体としては、アンモニウムカルバメート銀錯体、メチルアンモニウムメチルカルバメート銀錯体、エチルアンモニウムエチルカルバメート銀錯体、1−プロピルアンモニウム1−プロピルカルバメート銀錯体、イソプロピルアンモニウムイソプロピルカルバメート銀錯体、ブチルアンモニウムブチルカルバメート銀錯体、イソブチルアンモニウムイソブチルカルバメート銀錯体、アミルアンモニウムアミルカルバメート銀錯体、ヘキシルアンモニウムヘキシルカルバメート銀錯体、ヘプチルアンモニウムヘプチルカルバメート銀錯体、オクチルアンモニウムオクチルカルバメート銀錯体、2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカルバメート銀錯体、ノニルアンモニウムノニルカルバメート銀錯体、およびデシルアンモニウムデシルカルバメート銀錯体を例示できる。
式(2)の化合物の銀錯体としては、アンモニウムカーボネート銀錯体、メチルアンモニウムカーボネート銀錯体、エチルアンモニウムカーボネート銀錯体、1−プロピルアンモニウムカーボネート銀錯体、イソプロピルアンモニウムカーボネート銀錯体、ブチルアンモニウムカーボネート銀錯体、イソブチルアンモニウムカーボネート銀錯体、アミルアンモニウムカーボネート銀錯体、ヘキシルアンモニウムカーボネート銀錯体、ヘプチルアンモニウムカーボネート銀錯体、オクチルアンモニウムカーボネート銀錯体、2−エチルヘキシルアンモニウムカーボネート銀錯体、ノニルアンモニウムカーボネート銀錯体、およびデシルアンモニウムカーボネート銀錯体を例示できる。
式(3)の化合物の銀錯体としては、アンモニウムバイカーボネート銀錯体、メチルアンモニウムバイカーボネート銀錯体、エチルアンモニウムバイカーボネート銀錯体、1−プロピルアンモニウムバイカーボネート銀錯体、イソプロピルアンモニウムバイカーボネート銀錯体、ブチルアンモニウムバイカーボネート銀錯体、イソブチルアンモニウムバイカーボネート銀錯体、アミルアンモニウムバイカーボネート銀錯体、ヘキシルアンモニウムバイカーボネート銀錯体、ヘプチルアンモニウムバイカーボネート銀錯体、オクチルアンモニウムバイカーボネート銀錯体、2−エチルヘキシルアンモニウムバイカーボネート銀錯体、ノニルアンモニウムバイカーボネート銀錯体、およびデシルアンモニウムバイカーボネート銀錯体を例示できる。
優れた導電性を有する導電布が得られる点で、(a)は、アセトンジカルボン酸銀、アンモニウムカルバメート銀錯体、1−プロピルアンモニウム1−プロピルカルバメート銀錯体、イソプロピルアンモニウムイソプロピルカルバメート銀錯体、ブチルアンモニウムブチルカルバメート銀錯体、イソブチルアンモニウムイソブチルカルバメート銀錯体、アミルアンモニウムアミルカルバメート銀錯体、ヘキシルアンモニウムヘキシルカルバメート銀錯体、ヘプチルアンモニウムヘプチルカルバメート銀錯体、オクチルアンモニウムオクチルカルバメート銀錯体、2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカルバメート銀錯体、1−プロピルアンモニウムカーボネート銀錯体、イソプロピルアンモニウムカーボネート銀錯体、ブチルアンモニウムカーボネート銀錯体、イソブチルアンモニウムカーボネート銀錯体、アミルアンモニウムカーボネート銀錯体、ヘキシルアンモニウムカーボネート銀錯体、ヘプチルアンモニウムカーボネート銀錯体、オクチルアンモニウムカーボネート銀錯体、2−エチルヘキシルアンモニウムカーボネート銀錯体、1−プロピルアンモニウムバイカーボネート銀錯体、イソプロピルアンモニウムバイカーボネート銀錯体、ブチルアンモニウムバイカーボネート銀錯体、イソブチルアンモニウムバイカーボネート銀錯体、アミルアンモニウムバイカーボネート銀錯体、ヘキシルアンモニウムバイカーボネート銀錯体、ヘプチルアンモニウムバイカーボネート銀錯体、オクチルアンモニウムバイカーボネート銀錯体、および2−エチルヘキシルアンモニウムバイカーボネート銀錯体から選択される1種以上の銀化合物であることがより好ましい。
アセトンジカルボン酸銀は、例えば、「Jounal fur praktische Chemie.Band 312(1970)pp.240−244」に記載の方法で製造することができる。また、塩基性物質を用いてアセトンジカルボン酸銀を製造する場合、金属イオンの混入を避けるために有機塩基を用いることが望ましい。
式(1)〜(3)の化合物の銀錯体は、例えば、「特表2008−531810号公報」に記載の方法で製造することができる。
(b)は液状のアミン化合物であり、(a)を溶解して(a)および(b)の液状混合物を得ることができる。(b)の好ましい化合物として、例えば、1−プロピルアミン、1−ブチルアミン、1−ペンチルアミン、1−ヘキシルアミン、1−ヘプチルアミン、1−オクチルアミン、1−ノニルアミン、1−デシルアミン、2−エチルヘキシルアミン、イソプロピルアミン、イソブチルアミン、イソペンチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、およびtert−アミルアミンを挙げることができ、これらから1種以上を選択して使用することができる。
(a)と(b)との配合比は、質量比で(a):(b)=10:90〜50:50の範囲であり、好ましくは(a):(b)=15:85〜50:50である。(a)の配合比が上記下限値より少ない場合は、導電性組成物中の銀濃度が低すぎて均一な銀膜が得られないおそれがある。一方、(a)の配合比が上記上限値より多い場合は、(b)の含有割合が少なすぎて(a)を均一に溶解することができないおそれがある。
本発明に使用する導電性組成物は、(a)および(b)を上記配合比で含有する均一な液状の組成物である。導電性組成物中の(a)および(b)の合計含有量は、導電性良好な導電布が得られる点で、50質量%以上が好ましく、導電性組成物が不可避的不純物を除いて(a)および(b)からなることがより好ましい。
導電性組成物は、所望により、本発明の目的および効果を阻害しない範囲で(a)および(b)以外の他の成分を含有することができる。
他の成分としては、布に対するレベリング性の向上、および表面張力の調整に寄与する成分を挙げることができ、具体的には、炭化水素、アセチレンアルコール、シリコーンオイル、界面活性剤等を例示することができる。
導電性組成物の製造方法は特に限定されず、(a)、(b)および所望により他の成分を任意の順または一括して撹拌(混合)装置に投入して、各配合成分が均一になるまで撹拌混合することにより製造することができる。製造温度としては、生産性の点で0℃以上、80℃以下が好ましく、20℃以上、60℃以下がより好ましい。また、撹拌混合に際しては、混合、溶解等に一般に使用される撹拌機を使用すればよい。
導電性組成物の25℃における粘度は特に制限は無いが、例えばE型粘度計による測定で、3mPa・s以上、10,000mPa・s以下であることが好ましく、5mPa・s以上、500mPa・s以下がより好ましい。この範囲であれば布へ良好に塗布できるからである。
また、その25℃における表面張力は特に制限は無いが、10mN/m以上、100mN/m以下であることが好ましく、20mN/m以上、50mN/m以下がより好ましい。この範囲であれば布への濡れ性が良好で塗布しやすいからである。なお、表面張力は例えば、白金プレート法により測定した値で判断すればよい。
[工程(B)]
工程(B)は、工程(A)で製造した導電性組成物を布に塗布して導電性組成物含有布を得る工程である。
次の工程(C)での通気乾燥での乾燥効率の点において、導電性組成物をそのまま布に塗布することが好ましいが、布への塗布性が向上する利点が得られる場合は、粘度調整する目的で、導電性組成物に溶剤を適宜添加して塗布してもよい。溶剤の種類およびその混合比率は、工程(C)での通気乾燥に許容できない悪影響を及ぼさない限り、特に制限されないが、通気乾燥で除去し易く、良好な導電布が得られる範囲での使用が好ましい。
使用可能な溶剤としては、アルコール類、エーテル類、ケトン類、エステル類、ニトリル類、スルホキシド類、水から選ばれる1種類以上を含む溶剤である。具体的には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、3−メチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、2,2−ジメチル−1−プロパノール、3−メチル−2−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、2,2−ジメチル−1−ブタノール、2,3−ジメチル−1−ブタノール、3,3−ジメチル−1−ブタノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、2−エチル−1−ブタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2-エチル−1−ヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブトキシエタノール、メトキシエタノール、エトキシエタノール、1H,1H−ナノフルオロ−1−ペンタノール、ターピネオールなどのアルコール類、アセトキシメトキシプロパン、フェニルグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセタートなどのエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸メトキシブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテートなどのエステル類、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリルなどのニトリル類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、および水等を例示できる。
通気乾燥で除去し易く、良好な導電布が得られる点において、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2-エチル−1−ヘキサノール、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、およびアセトニトリルがより好ましく、これらから1種以上を選択して使用することができる。
導電性組成物(または溶剤含有導電性組成物)を塗布する布としては、布を構成する繊維、ならびに布の形状および厚みは特に限定されない。
布を構成する繊維素材としては、木綿、麻、絹、羊毛などからなる天然繊維、レーヨン、キュプラ、リヨセル、テンセル、ポリノジックなどからなる再生セルロース繊維、ポリエステル、アセテート、ナイロン、アクリル、ポリウレタン、ポリイミド、アラミド、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアセタール、ポリエーテルエステル、ポリ乳酸、ポリフロロエチレン、フェノールなどからなる合成繊維、および炭素、ガラス、セラミックスなどからなる無機繊維、ならびにこれらの混紡糸などが使用できる。また、布としては、これらの繊維を織物、編布、不織布等いずれの形態にしたものでもよい。
また、布の坪量としては特に制限はないが、坪量が大きすぎると、工程(C)での熱風の通気が不十分となるおそれがあるので、10〜200g/mが好ましい。
また、本発明で用いる布は、導電性組成物と布の接着性を向上させるための接着性組成物や、布上での導電性組成物の濡れ広がりを防止するための縁取り液などの前処理がなされているものであっても、これらの前処理がなされていないものであってもよい。
接着性組成物に含有される接着性化合物としては、アクリル系、ウレタン系、塩化ビニル系、酢酸ビニル系、などの接着剤に汎用されるモノマー、オリゴマー、ポリマーが挙げられ、ポリエステル、ポリアクリル酸エステル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル樹脂やポリビニルアルコール樹脂等のポリビニル化合物、ポリビニルアセトアセタールやポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール、ポリエーテル、ポリウレタン、スチレンアクリレートコポリマー、ポリアクリルアミド、ポリアミド、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミン、およびそれらの変性体を用いることができる。また、接着性化合物としては、ロジン、糊化デンプン、ニカワ、各種の糖類等の天然樹脂またはその変性体などの粘着性を有する物質であってもよい。また、シラン系、チタン系、アルミ系のシランカップリング剤であっても良い。
縁取り液については、導電性組成物が布を構成する繊維を介して拡散するのを遮断する働きを示すものであればよい。縁取り液は導電性組成物をはじく性質を有するものを含んでいればいかなる物質でもよい。例えば、フッ素系化合物、シリコン系化合物、ワックス類、ロウ類、トリアジン系化合物、あるいはこれらの混合物のような撥液剤が挙げられる。
導電性組成物の布への塗布は、各種印刷等により行なうことができる。塗布方法としては、例えば、キャスト、スピンコート、ディップコート、バーコート、スプレー、ブレードコート、スリットダイコート、グラビアコート、リバースコート、パッド印刷、ステンシル印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、グラビアオフセット印刷、リバースオフセット印刷、スクリーンオフセット印刷、インクジェット印刷、鋳型塗布、およびマイクロコンタクトプリントなどの一般的な方法が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
導電性組成物のこれらの布への塗布量としては、導電布として所望する導電性に合わせて、適宜決定すればよい。また、導電布の用途により、導電性組成物を布全体に塗布する場合があってもよく、一方、布の一部に塗布する場合があってもよい。従って、布への導電性組成物の塗布量は一概には決めることはできない。そこで、例えば、導電布となる部分に所望される導電性を達成し得る量を適宜求めて、導電性組成物の塗布量とすることができる。
また、塗布時の導電性組成物の温度としては特に制限はないが、導電性組成物製造後、該組成物を特に冷却または加温することなく塗布することが製造効率上好ましい。従って、導電性組成物製造時の好ましい温度である0℃以上、80℃以下で塗布すればよい。
以上のように導電性組成物を布に塗布することにより、導電性組成物含有布を製造することができる。
[工程(C)]
工程(C)は、工程(B)で製造した導電性組成物含有布を、100℃以上200℃以下の熱風で通気乾燥する工程である。該乾燥により導電性組成物中の溶液成分が揮発すると共に、銀化合物が分解され、金属銀が銀膜として布の繊維と密着して析出し、導電布が得られる。
工程(C)の熱風での通気乾燥とは、100℃以上、200℃以下の熱風を導電性組成物含有布に供給する、すなわち吹き付けて、導電性組成物含有布を乾燥させることを意味する。熱風の温度は、100℃以上、180℃以下が好ましい。熱風の温度が100℃未満である場合、導電性組成物に含まれる銀化合物の分解が速やかに進行せず、導電性に優れた導電布を得ることができない。また、熱風の温度が200℃超である場合、布の変質が生じやすく、導電布としての強度や耐久性等が劣り、伸縮性や耐洗濯性に優れた導電布を得ることが困難になる。
熱風の布への単位時間当たり供給量(吹付量)としては、導電性組成物含有布100cm当たり50m/分以上、300m/分以下が好ましい。熱風の供給量が50m/分未満では、布を通過する熱風の量が少なく、溶液成分の揮発および銀化合物の分解が不十分となる可能性がある。一方、300m/分超としても乾燥効率はさほど変化せず、コスト的に無駄になる可能性がある。
また、上記単位時間当たり供給量の熱風の供給時間は、10秒間以上、30分間以下が好ましい。10秒間未満では、熱風の総供給量が不足し、溶液成分の揮発および銀化合物の分解が不十分となる可能性がある。一方、30分間超としても乾燥効率はさほど変化せず、コスト的に無駄になる可能性がある。
熱風は、塗布面に対して垂線方向から直交するように吹き付けることが乾燥効率の点で好ましい。ただし、良好な導電布が得られる限り、熱風の吹付方向は上記方向に限らず、塗布面に対して90℃未満の角度で、いわゆる斜めに吹き付けてもよい。
また、熱風を供給する際、導電性組成物含有布は、基板等の上に設置するよりも、熱風が布を通過しやすいよう、熱風が供給される部分は例えば図1に示すように、導電性組成物含有布のみが存在し得る方法で支持されることが好ましい。または、熱風が通過できるメッシュ状の基板で支持してもよい。
熱風の発生方法は特に制限されず、例えば、熱と風を同時に発生させることが可能な熱風発生器、ホットエアガン、ヒートガン、ドライヤー、および連続式バンド型通気乾燥機などを用いることができる。また、熱風を伴わないIRヒーターなどの加熱機器と、風を発生させることができる送風機を組み合わせることによって熱風を発生させてもよい。
上記のようにして熱風を導電性組成物含有布に供給する、すなわち吹き付けることにより、布の繊維間に熱風が行き渡って、繊維上および繊維に浸潤した導電性組成物を効率よく加熱乾燥することができる。その結果、導電性組成物中の溶液成分を揮発させ、銀化合物を分解して金属銀を銀膜として析出させることができ、繊維と銀膜の接触面積が大きく密着性に優れた銀被覆繊維を形成することできる。溶液成分とは、導電性組成物を構成する炭素数3〜10の脂肪族第1級アミン化合物(b)、および所望により添加した溶剤等である。
工程(C)の通気乾燥によって得られる導電布は、後述する表面抵抗値が100Ω以下を達成することができる。すなわち、表面抵抗値が100Ω以下であれば、溶液成分の揮発および銀膜形成が十分達成され、工程(C)の終了と判断してよい。80Ω以下を達成していることが好ましい。表面抵抗値は小さければ小さいほどよいが、実用上は0.1Ωが下限である。
工程(B)および(C)の具体的方法の一実施形態を、図1〜3によって説明する。布1を搬送用のローラーによって所定速度で走行させる。布1としては、例えば図2に示す、糸(繊維)1aを縦横交互に交差させた平織りの布を用いることができる。
布1の走行途中において、導電性組成物2を充填した導電性組成物吐出装置5から、導電性組成物2を走行中の布1に所望量吹き付け等によって塗布する。それによって、導電性組成物含有布3の部分が形成される。この導電性組成物含有布3が熱風発生装置6の位置まで搬送され、所定量の熱風7が導電性組成物含有布3に供給(吹き付け)されることによって、溶液成分が揮発し、導電部である銀膜8が形成され、導電布4の部分が形成される。銀膜8は、図3に示すように、糸1a表面に密着した膜状に形成されるので、良好な導電性を有する導電布4が得られる。
以下に、本発明に用いたカルボニル基を有する銀化合物(a)の合成例、導電性組成物の製造例、および導電布の製造方法に関する実施例、比較例を挙げて本発明の実施形態をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
各実施例および比較例の導電布の各種評価方法を下記に示す。
[導電性評価]
導電布の表面の所定のパターン両端間の表面抵抗値を、デジタルマルチメーター(PC7000、三和電気計器株式会社製)で測定することで導電性を評価した。本評価においては、測定値が100Ω以下である場合を良好と判定した。なお、デジタルマルチメーターの測定上限値である50,000,000Ω以上の場合は、O.L.(オーバーロード)と表記した。
[耐伸縮性評価]
導電布を元の長さの50%伸長した状態、および元の長さに戻した状態とすることを繰り返す伸長率50%での繰返し伸縮を100回繰り返した(繰り返し伸縮試験)後に、元の長さに戻した状態(伸長率0%)で、前述の導電性評価と同様の方法で表面抵抗値を測定し、導電布の耐伸縮性を評価した。本評価においては、繰り返し伸縮試験前後の表面抵抗値の変化率が500%以下である場合を、耐伸縮性良好と判定した。表面抵抗値の変化率は下記の式により求めた。耐洗濯性評価においても同様。
変化率(%)=(試験後の表面抵抗値/試験前の表面抵抗値)×100
なお、繰り返し伸縮試験後の表面抵抗値が50,000,000Ω以上となった場合は、O.L.と表記した。
[耐洗濯性評価]
導電布をイオン交換水中で30分間水洗した後に、槽内温度を50℃に設定した定温乾燥機(OFW−300S、アズワン株式会社製)で乾燥することで、導電布を洗濯処理した(洗濯試験)。その後、前述の導電性評価と同様の方法で表面抵抗値を測定し、導電布の耐洗濯性を評価した。本評価においては、洗濯試験前後の表面抵抗値の変化率が500%以下である場合を、耐洗濯性良好と判定した。
なお、洗濯試験後の表面抵抗値が50,000,000Ω以上となった場合は、O.L.と表記した。
以下に、実施例及び比較例で使用したカルボニル基を有する銀化合物(a)の合成例を示す。
[合成例1:アセトンジカルボン酸銀の合成]
アセトンジカルボン酸43.8gを600.0gのイオン交換水に溶解させた後に氷冷し、さらに102.0gの硝酸銀を溶解させた。そこへ、48.0gのヘキシルアミンを投入後、30分間撹拌した。得られた白色の固体を濾過しアセトンで洗浄後、減圧乾燥することでアセトンジカルボン酸銀を白色固体として得た。得られたアセトンジカルボン酸銀のTGA分析を、熱重量分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製)を用いて行った。分析条件は、昇温速度10℃/分、測定雰囲気を空気中とした。その結果、熱分解開始温度は175℃であった。また、熱重量分析後の残分は60%であった。
[合成例2:3−ヒドロキシグルタル酸銀の合成]
水酸化ナトリウム8.0gをイオン交換水100.0gに溶解させた後に、9.5gの3−ヒドロキシグルタル酸ジエチルを加え、室温で1時間撹拌した。次に、反応溶液を氷冷した後、65%硝酸を水酸化ナトリウムに対して等モル量加え、氷冷下で1時間撹拌した。これに、17.0gの硝酸銀を含む70mLの水溶液を滴下し、さらに1時間撹拌した。得られた白色の固体を濾過しアセトンで洗浄後、減圧乾燥することで3−ヒドロキシグルタル酸銀を白色固体として得た。得られた3−ヒドロキシグルタル酸銀のTGA分析を合成例1と同様に行った。その結果、熱分解開始温度は183℃であった。また、熱重量分析後の残分は60%であった。
[合成例3:3−ヒドロキシ酪酸銀の合成]
3−ヒドロキシ酪酸10.4gを50.0gのイオン交換水に添加し溶解させた後に氷冷し、さらに17gの硝酸銀を溶解させた。そこへ、7.4gのブチルアミンを投入後、30分間撹拌した。得られた白色の固体を濾過しアセトンで洗浄後、減圧乾燥することで3−ヒドロキシ酪酸銀を白色固体として得た。得られた3−ヒドロキシ酪酸銀のTGA分析を合成例1と同様に行った。その結果、熱分解開始温度は148℃であった。また、熱重量分析後の残分は52%であった。
[合成例4:1−プロピルアンモニウム1−プロピルカルバメート銀錯体の合成]
1−プロピルアンモニウム1−プロピルカルバメート6.7gとイソプロピルアミン15.0gを50mlのメタノールに溶解させた後、酸化銀10.0gを添加して常温で攪拌した。前記反応溶液は、反応が進行するにつれて黒色懸濁液から無色透明溶液に変化した。無色透明に変化した反応溶液を濾過した後に、真空下で溶媒を全て除去することで、1−プロピルアンモニウム1−プロピルカルバメート銀錯体を白色固体として得た。得られた1−プロピルアンモニウム1−プロピルカルバメート銀錯体のTGA分析を合成例1と同様に行った。その結果、熱分解開始温度は95℃であった。また、熱重量分析後の残分は42%であった。
[合成例5:2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカルバメート銀錯体の合成]
2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカルバメート3.3gを10mlのメタノールに溶解させた後、炭酸銀1.0gを添加して常温で攪拌した。前記反応溶液は、反応が進行するにつれて黄色懸濁液から黄色透明溶液に変化した。黄色透明に変化した反応溶液を濾過した後に、真空下で溶媒を全て除去することで、2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカルバメート銀錯体を白色固体として得た。得られた2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカルバメート銀錯体のTGA分析を合成例1と同様に行った。その結果、熱分解開始温度は108℃であった。また、熱重量分析後の残分は19%であった。
[合成例6:1−プロピルアンモニウムカーボネート銀錯体の合成]
1−プロピルアンモニウムカーボネート4.1gとイソプロピルアミン15.0gを50mlのメタノールに溶解させた後、炭酸銀11.9gを添加して常温で攪拌した。前記反応溶液は、反応が進行するにつれて黄色懸濁液から黄色透明溶液に変化した。黄色透明に変化した反応溶液を濾過した後に、真空下で溶媒を全て除去することで、1−プロピルアンモニウムカーボネート銀錯体を白色固体として得た。得られた1−プロピルアンモニウムカーボネート銀錯体のTGA分析を合成例1と同様に行った。その結果、熱分解開始温度は98℃であった。また、熱重量分析後の残分は48%であった。
[合成例7:2−エチルヘキシルアンモニウムカーボネート銀錯体の合成]
2−エチルヘキシルアンモニウムカーボネート3.7gを10mlのメタノールに溶解させた後、酸化銀1.0gを添加して常温で攪拌した。前記反応溶液は、反応が進行するにつれて黒色懸濁液から無色透明溶液に変化した。無色透明に変化した反応溶液を濾過した後に、真空下で溶媒を全て除去することで、2−エチルヘキシルアンモニウムカーボネート銀錯体を白色固体として得た。得られた2−エチルヘキシルアンモニウムカーボネート銀錯体のTGA分析を合成例1と同様に行った。その結果、熱分解開始温度は110℃であった。また、熱重量分析後の残分は21%であった。
[合成例8:1−プロピルアンモニウムバイカーボネート銀錯体の合成]
1−プロピルアンモニウムバイカーボネート3.4gとイソプロピルアミン15.0gを50mlのメタノールに溶解させた後、炭酸銀11.9gを添加して常温で攪拌した。前記反応溶液は、反応が進行するにつれて黄色懸濁液から黄色透明溶液に変化した。黄色透明に変化した反応溶液を濾過した後に、真空下で溶媒を全て除去することで、1−プロピルアンモニウムバイカーボネート銀錯体を白色固体として得た。得られた1−プロピルアンモニウムバイカーボネート銀錯体のTGA分析を合成例1と同様に行った。その結果、熱分解開始温度は100℃であった。また、熱重量分析後の残分は48%であった。
[合成例9:2−エチルヘキシルアンモニウムバイカーボネート銀錯体の合成]
2−エチルヘキシルアンモニウムバイカーボネート4.9gを10mlのメタノールに溶解させた後、酸化銀1.0gを添加して常温で攪拌した。前記反応溶液は、反応が進行するにつれて黒色懸濁液から無色透明溶液に変化した。無色透明に変化した反応溶液を濾過した後に、真空下で溶媒を全て除去することで、2−エチルヘキシルアンモニウムバイカーボネート銀錯体を白色固体として得た。得られた2−エチルヘキシルアンモニウムバイカーボネート銀錯体のTGA分析を合成例1と同様に行った。その結果、熱分解開始温度は107℃であった。また、熱重量分析後の残分は21%であった。
以下に、実施例及び比較例で使用した導電性組成物の製造例を示す。
[製造例1]
室温下で、(a)であるアセトンジカルボン酸銀5.0gを、(b)であるn−オクチルアミン5.0gに溶解させ、導電性組成物を調製した。該導電性組成物の組成を表1に示す。
[製造例2〜15]
(a)および(b)の種類および配合量を表1に示したものとした以外は、製造例1と同様にして各導電性組成物を調製した。
[比較製造例1および2]
(a)と(b)との配合比を、本願発明範囲外の表1に示す比とした以外は、製造例1と同様にして比較例1および2用導電性組成物を調製した。
[比較製造例3]
(a)に代えて硝酸銀を使用した以外は、製造例4と同様にして比較例3用導電性組成物を調製した。
[実施例1]
導電布製造用の布として、厚さ1mmの綿製、平織り、坪量150g/mの布地を使用した。
製造例1で得た導電性組成物0.5gを、布地300mm(10mm×30mm)に均一に塗布して導電性組成物含有布を作製した。次に、熱風発生装置としてホットエアガン(HAG−1551、リョービ株式会社製)による熱風で導電性組成物含有布を通気乾燥することにより、導電布を作製した。通気乾燥の条件、ならびに得られた導電布の表面抵抗値、耐伸縮性、および耐洗濯性の評価結果を表2に示す。なお、熱風の風量(供給量)はホットエアガンの吹き出し口にデジタルアネモメーター風量計(MS6252A、Precision Mastech社製)を設置することで計測した。
[実施例2〜19]
導電性組成物、および通気乾燥の条件を表2に示した通りとした以外は、実施例1と同様にして導電布を作製した。得られた導電布を用いて、実施例1と同様に導電性、耐伸縮性、および耐洗濯性を評価した。結果を表2に示す。
[実施例20]
厚さ0.5mmのポリエステル製、綾織り、坪量60g/mの布地を用いた以外は、実施例7と同様にして導電布を作製した。得られた導電布を用いて、実施例1と同様に導電性、耐伸縮性、および耐洗濯性を評価した。結果を表2に示す。
[実施例21]
厚さ0.5mmのナイロン製、平織り、坪量100g/mの布地を用いた以外は、実施例7と同様にして導電布を作製した。得られた導電布を用いて、実施例1と同様に導電性、耐伸縮性、および耐洗濯性を評価した。結果を表2に示す。
[比較例1]
比較製造例1の比較例1用導電性組成物の調製を試みたが、アミン化合物の含有比率が少なく、溶液状の導電性組成物を得ることができなかった。そのため、導電性組成物含有布を作製することができず、よって、各種評価も実施することができなかった。
[比較例2および3]
比較製造例2の比較例2用導電性組成物、および比較製造例3の比較例3用導電性組成物を使用し、通気乾燥の条件を表3に示した通りとした以外は、実施例1と同様にして導電布を作製した。得られた導電布を用いて、実施例1と同様に導電性、耐伸縮性、および耐洗濯性を評価した。結果を表3に示す。
[比較例4]
通気乾燥の条件を本願発明範囲外の表3に示す条件とした以外は、実施例7と同様にして導電布を作製した。得られた導電布を用いて、実施例1と同様に導電性、耐伸縮性、および耐洗濯性を評価した。結果を表3に示す。
[比較例5]
導電性組成物に代えて銀ナノ粒子含有インク(TEC−PR−020、InkTec社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして導電布を作製した。得られた導電布を用いて、実施例1と同様に導電性、耐伸縮性、および耐洗濯性を測定した。結果を表3に示す。
また、比較例5によって得られた作製直後の導電布の概略を図4に、繰り返し伸縮試験および洗濯試験後の導電布の概略を図6に示す。
[比較例6]
導電性組成物に代えて銀粒子含有ペースト(DW250H−5、東洋紡株式会社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして導電布を作製した。得られた導電布を用いて、実施例1と同様に導電性、耐伸縮性、および耐洗濯性を測定した。結果を表3に示す。
また、比較例6によって得られた作製直後の導電布の概略を図5に、繰り返し伸縮試験後の導電布の概略を図7に示す。
[比較例7]
実施例7と同様にして導電性組成物含有布を作製した後、通気乾燥に代えて、定温乾燥機(OFW−300S、アズワン株式会社製)を用い、表3に示す条件で加熱乾燥して導電布の作製を試みた。しかし、通気乾燥に代えて定温乾燥機による加熱乾燥を行ったため、金属銀の析出が進行せず、銀膜が形成されなかった。そのため、表面抵抗値の測定結果はO.L.であった。よって、耐伸縮性および耐洗濯性は評価しなかった。
実施例1〜21に示す製造方法により、導電性、耐伸縮性および耐洗濯性の全てに優れる導電布を作製することができた。
比較例2は、比較例2用導電性組成物中の(a)の含有比率が少なく、布地の繊維を十分な量の銀膜で被覆することができなかった。そのため、繰り返し伸縮試験および洗濯試験後の表面抵抗値が大幅に増加した。
比較例3は、(a)に代えて硝酸銀を用いた比較例3用導電性組成物を使用したため、通気乾燥において金属銀の析出及び銀膜形成が十分に進行しなかった。そのため、優れた導電性を得ることができなかった。また、銀膜の緻密性が低く、繰り返し伸縮試験および洗濯試験後の表面抵抗値が大幅に増加した。
比較例4は、通気乾燥に用いる熱風の温度が低いため、通気乾燥による金属銀の析出及び銀膜形成が十分に進行しなかった。そのため、優れた導電性を得ることができなかった。また、耐伸縮性および耐洗濯性も実施例と比較して劣っていた。
比較例5は、(a)に代えて銀ナノ粒子含有インクを用いたため、図4に示すように、銀膜ではなく銀ナノ粒子が集合した導電部(図4の9)が形成されていると考えられる。従って、繰り返し伸縮試験または洗濯試験によって導電部の部分的な脱離が生じ(図6)、試験後の表面抵抗値が大幅に増加した。
比較例6は、(a)に代えて結着剤を含有する銀粒子含有ペーストを用いたため、図5に示すように、銀膜ではなく銀粒子と結着剤との複合導電膜(図5の10)が形成されていると考えられる。従って、耐洗濯性は良好であったが、繰り返し伸縮試験によって複合導電膜の部分的な脱離が生じ(図7)、試験後の表面抵抗値が大幅に増加した。
本発明の導電布の製造方法によれば、優れた導電性を有し、かつ耐伸縮性および耐洗濯性にも優れる導電布を得ることができるので、繰り返しの着脱や洗濯が行なわれる衣服型のウェアラブルデバイスの製造への利用が期待できる。
1 布(布地)
1a 糸(繊維)
2 導電性組成物(または比較例用導電性組成物)
3 導電性組成物含有布(または比較例用導電性組成物含有布)
4 導電布
5 導電性組成物(または比較例用導電性組成物)吐出装置
6 熱風発生装置
7 熱風
8 実施例1の導電布の導電部(銀膜)
9 比較例5の導電布の導電部(銀ナノ粒子の集合体)
10 比較例6の導電布の導電部(複合導電膜)

Claims (3)

  1. 以下の工程を有する、導電布の製造方法。
    (A)カルボニル基を有する銀化合物(a)と、炭素数3〜10の脂肪族第1級アミン化合物(b)とを、その配合比(a):(b)が質量比で10:90〜50:50の範囲で含有する導電性組成物を製造する工程。
    (B)前記導電性組成物を布に塗布して導電性組成物含有布を得る工程。
    (C)前記導電性組成物含有布を、100℃以上、200℃以下の熱風で通気乾燥する工程。
  2. 前記(a)が、3−ヒドロキシ酪酸銀、2−メチル−3−ヒドロキシ酪酸銀、3−メトキシ酪酸銀、アセトンジカルボン酸銀、3−ヒドロキシグルタル酸銀、2−メチル−3−ヒドロキシグルタル酸銀、2,2,4,4−ヒドロキシグルタル酸銀、式(1)で示すアンモニウムカルバメート系化合物の銀錯体、式(2)で示すアンモニウムカーボネート系化合物の銀錯体、および式(3)で示すアンモニウムバイカーボネート系化合物の銀錯体から選択される1種以上の銀化合物である、
    請求項1に記載の導電布の製造方法。



    [式(1)、式(2)および式(3)の、R、R、R、R、RおよびRは各々独立に、水素原子、または炭素数1〜10の脂肪族アルキル基である。]
  3. 前記熱風を前記導電性組成物含有布100cm当たり50m/分以上、300m/分以下供給することにより、前記通気乾燥を実施する、
    請求項1又は2記載の導電布の製造方法。
JP2017024238A 2017-02-13 2017-02-13 導電布の製造方法 Active JP6862887B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017024238A JP6862887B2 (ja) 2017-02-13 2017-02-13 導電布の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017024238A JP6862887B2 (ja) 2017-02-13 2017-02-13 導電布の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018131695A true JP2018131695A (ja) 2018-08-23
JP6862887B2 JP6862887B2 (ja) 2021-04-21

Family

ID=63248018

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017024238A Active JP6862887B2 (ja) 2017-02-13 2017-02-13 導電布の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6862887B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020033683A (ja) * 2018-08-28 2020-03-05 ユニチカ株式会社 ウェアラブルデバイス用布帛及びこれを備えるウェアラブルデバイス

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008531810A (ja) * 2005-03-04 2008-08-14 インクテック カンパニー リミテッド 導電性インク組成物及びこの製造方法
JP2010500475A (ja) * 2006-08-07 2010-01-07 インクテック カンパニー リミテッド 銀ナノ粒子の製造方法及びこれにより製造される銀ナノ粒子を含む銀インク組成物
JP2010001581A (ja) * 2008-06-19 2010-01-07 Namics Corp 銀粒子固着繊維シートおよびその製造方法
JP2012046728A (ja) * 2010-07-30 2012-03-08 Toppan Forms Co Ltd 銀インク組成物及び基材
JP2012092299A (ja) * 2010-09-29 2012-05-17 Toppan Forms Co Ltd 銀インク組成物
JP2013173917A (ja) * 2012-01-27 2013-09-05 Toppan Forms Co Ltd 銀インク組成物
JP2014082184A (ja) * 2012-09-28 2014-05-08 Toppan Forms Co Ltd 銀インク組成物及び導電体
JP2015106543A (ja) * 2013-12-02 2015-06-08 日油株式会社 銀含有組成物及び銀膜形成基材

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008531810A (ja) * 2005-03-04 2008-08-14 インクテック カンパニー リミテッド 導電性インク組成物及びこの製造方法
JP2010500475A (ja) * 2006-08-07 2010-01-07 インクテック カンパニー リミテッド 銀ナノ粒子の製造方法及びこれにより製造される銀ナノ粒子を含む銀インク組成物
JP2010001581A (ja) * 2008-06-19 2010-01-07 Namics Corp 銀粒子固着繊維シートおよびその製造方法
JP2012046728A (ja) * 2010-07-30 2012-03-08 Toppan Forms Co Ltd 銀インク組成物及び基材
JP2012092299A (ja) * 2010-09-29 2012-05-17 Toppan Forms Co Ltd 銀インク組成物
JP2013173917A (ja) * 2012-01-27 2013-09-05 Toppan Forms Co Ltd 銀インク組成物
JP2014082184A (ja) * 2012-09-28 2014-05-08 Toppan Forms Co Ltd 銀インク組成物及び導電体
JP2015106543A (ja) * 2013-12-02 2015-06-08 日油株式会社 銀含有組成物及び銀膜形成基材

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020033683A (ja) * 2018-08-28 2020-03-05 ユニチカ株式会社 ウェアラブルデバイス用布帛及びこれを備えるウェアラブルデバイス
JP7526978B2 (ja) 2018-08-28 2024-08-02 ユニチカ株式会社 ウェアラブルデバイス用布帛及びこれを備えるウェアラブルデバイス

Also Published As

Publication number Publication date
JP6862887B2 (ja) 2021-04-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN104641017B (zh) 无电解镀基底剂
KR960015224B1 (ko) 미세한 금속 라인으로 된 웨브(web)
RU2439230C2 (ru) Способ получения металлизированного текстильного изделия плоской формы, металлизированное текстильное изделие плоской формы и его применение
JP5388150B2 (ja) 導電性金属インク組成物および導電性パターンの形成方法
JP2014196246A (ja) Cnt分散液、cnt成形体、cnt組成物、cnt集合体及びそれらの製造方法
US20180242452A1 (en) Electrically conductive materials comprising graphene
CN101185385A (zh) 电磁波屏蔽材料及其制造方法
US9844767B2 (en) Catalyst filter comprising nano metallic catalyst sprayed on the surface of support
TW201704373A (zh) 導電性被覆膜複合體及其製造方法
TWI637078B (zh) Polyimine resin surface modifier and polyimine resin surface modification method
CN105612272B (zh) 用于无电电镀的前处理液及无电电镀的方法
US20190249026A1 (en) E-textiles fabricated using particle-free conductive inks
US20100316789A1 (en) Method of modifying silica nanopowder surfaces
US20140316152A1 (en) Carbon nanotube composite and preparation method of the same
JP6862887B2 (ja) 導電布の製造方法
JP2019006903A (ja) 導電性銅インク組成物
CN104471652B (zh) 含银组合物及银成分形成基材
JP5944668B2 (ja) 金属銅焼結膜の製造方法
Goudarzi et al. Generation of Flexible Multifunctional Electronic Textile Displaying Appropriate Fastness Properties Utilizing Single-Stage Inkjet Printing onto Cotton Fabric Pre-treated with PVC
CN107502174A (zh) 一种水性pu弹性涂料及其制备方法
KR101156966B1 (ko) 저온 소성형 도전성 금속 페이스트
KR20170037930A (ko) 지지체 표면에 분사된 나노 금속 촉매를 포함하는 촉매 필터
JP4360981B2 (ja) 銅薄膜の製造方法
KR101134508B1 (ko) 탄소나노튜브를 이용한 스텔스 기능 직물 및 그 제조방법
TW201817914A (zh) 無電鎳鍍覆方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20191111

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20191119

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20191119

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200716

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200811

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200818

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200930

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210302

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210315

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6862887

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250