JP2018131419A - 血中尿酸値を低下させるための医薬および食品組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
高尿酸血症を改善し、痛風発作等の発生を予防する医薬としては、例えば、アロプリノールが知られている。アロプリノールは尿酸の前駆体であるキサンチンから尿酸を生成させる酵素であるキサンチンオキシダーゼを阻害することにより、血中尿酸値を低下させる。
すなわち、本発明は下記の[1]〜[8]を提供するものである。
[2]R1が水酸基である、[1]に記載の医薬。
[3]R2およびR4がそれぞれ水素原子である、[1]または[2]に記載の医薬。
[4]R1およびR3がそれぞれ水酸基であり、かつR2およびR4がそれぞれ水素原子である、[1]に記載の医薬。
[5]式(I)で表される化合物もしくはその薬学的に許容される塩、またはそれらの水和物もしくはそれらの溶媒和物を有効成分として含む、血中尿酸値を低下させるための食品組成物:
[6]R1が水酸基である、[5]に記載の食品組成物。
[7]R2およびR4がそれぞれ水素原子である、[5]または[6]に記載の食品組成物。
[8]R1およびR3がそれぞれ水酸基であり、かつR2およびR4がそれぞれ水素原子である、[5]に記載の食品組成物。
本発明は、血中尿酸値を低下させるための医薬または食品組成物に関する。
本明細書において、血中尿酸値低下作用というとき、血中尿酸値を低下させる作用であってもよく、血中尿酸値の上昇を抑制する作用であってもよい。したがって、血中尿酸値を低下させるための医薬というとき、血中尿酸値を低下させるための医薬であってもよく、血中尿酸値の上昇を抑制する医薬であってもよい。血中尿酸値を低下させるための食品組成物というときも同様である。なお、血中尿酸値は血液中の尿酸濃度であり、通常、mg/dLの単位で表される値である。血漿中または血清中の尿酸の濃度に基づいて血中尿酸値の低下や上昇を判断することもできる。
R1は水酸基であることが好ましい。R2は水素原子または水酸基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。式(I)において、R1が水酸基であり、かつR2およびR4がそれぞれ水素原子である化合物がより好ましく、R1およびR3がそれぞれ水酸基であり、かつR2およびR4がそれぞれ水素原子である化合物がさらに好ましい。
上記ウロリチン類は、ザクロやイチゴなどに含まれるエラグ酸の腸内細菌による代謝等で生じる化合物である(J.Agric.Food Chem.,Vol 57, No.21, 2009, 10181-10186; Mol.Nutr. Food Res. 2015, 59, 1942-1953等参照)。
式(I)で表される化合物としては、天然成分や、天然成分発酵物を用いてもよく、合成品を用いてもよい。
塩としては、塩酸塩、硫酸塩等の鉱酸塩や、酢酸、プロピオン酸、酒石酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、シュウ酸、コハク酸、クエン酸および安息香酸等の有機酸との塩が挙げられる。塩や遊離形態の化合物の他、これらの任意の水和物あるいは溶媒和物を有効成分として用いてもよい。上記の溶媒和物を形成し得る溶媒としては、例えば、エタノール、イソプロパノール、アセトン、酢酸エチル、塩化メチレン等が挙げられる。
式(I)で表される化合物もしくはその薬学的に許容される塩、またはそれらの水和物もしくはそれらの溶媒和物は、例えば、体重1kg当たり5.0mg〜1.0g程度、好ましくは10mg〜500mg程度で、1日1〜5回程度、ヒトまたはそのほかの哺乳動物等に投与することができる。
実施例において、統計処理は以下のように行った。
データは平均値±標準誤差で示した。
AML12細胞の尿酸産生量の検討では、各群間の比較は一元配置分散分析(One-way ANOVA)を行った後にTukey法にて多重比較検定を行った。p<0.05 を統計的に有意とし、アルファベットの異なる群間(図1に示すグラフにおいて記載のa〜cの文字)において有意差があることを示した。
動物実験では、各群間の比較は一元配置分散分析(One-way ANOVA)を行った後に高尿酸血症モデルマウス群をコントロールとしてDunnett法を用いて多重比較検定を行った。p<0.05を統計的に有意とした(図4に示すグラフにおいて記載の*の印)。
全ての統計解析は、GraphPad Prism 6 (GraphPad Software Inc., San Diego, CA, USA)を用いて行った。
細胞培養
AML12細胞をATCC(American Type Culture Collection, Manassas, VA, USA)より購入し、実験に用いた。10%FBS(ウシ胎児血清、Hyclone,Logan,UT,USA)、5μg/ml組換えヒトインスリン(ヒト組換え体、和光純薬工業株式会社)、5μg/mlトランスフェリン(和光純薬工業株式会社)、3ng/ml セレン(シグマアルドリッチ社(Sigma−Aldrich Chemical Co.,St.Louis,MO,USA))、40ng/ml デキサメタゾン(和光純薬工業株式会社)、100IU/mlペニシリンおよび100μg/mlストレプトマイシン(ナカライテスク株式会社)を含むDMEM/F−12培地(Life Technologies,Grand Island,NY,USA)にて37℃、5%CO2の条件下で培養した。
下記の緩衝塩類液(BSS)中、100μMのグアノシン+100μMのイノシンの最終濃度となるように緩衝塩類液(188mM NaCl,5mM KCl,1mM MgCl2,0.8mM CaCl2,25mM NaHCO3,1mM NaH2PO4、10mM HEPES,5mMグルコース(全て和光純薬工業株式会社))に添加した。ウロリチンA(東京化成工業株式会社、純度98.1%)をDMSOに溶解し、緩衝塩類液中での最終濃度が0μM、10μM、30μM、100μMとなるように調製した緩衝塩類液200μL(DMSOとしての塩類液中での最終濃度は0.15%)を、上記のように洗浄後の肝臓細胞に加え37℃で2時間維持した。
上記維持後のBSSを回収後、肝臓細胞をPBS(−)で洗浄し、300μLの1mMリン酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社)および50mMトリス(pH7.5、Sigma−Aldrich Chemical Co.)を含む緩衝液中でセルスクレイパーにて掻き出し、超音波分解し、4℃で12000×g、5分間遠心分離した。BSS中の尿酸濃度は、ウリカーゼ比色法(尿酸C−テストワコー,和光純薬工業株式会社)を用いて測定した。また回収した細胞のタンパク量は、ビシンコニン酸法(Pierce BCA protein assay kit, Thermo Fisher Scientific Inc., Waltham,MA,USA)を用いて測定した。肝臓細胞タンパク量1mg当たり2時間当たりの尿酸産生量(nmol/2h/mgタンパク質)として算出した。結果を図1に示す。なお、図1に示すグラフで示される個々の値は平均±標準誤差(n=6)である。
上記実験1と同様の手順で、100μMウロリチンAおよび100μMエラグ酸(和光純薬工業株式会社、純度98%以上)をそれぞれ肝臓細胞に加えた例について実験を行ない、細胞による尿酸産生量を比較した。結果を図2に示す。なお、対照としては、いずれも添加しないものを用いた。
ウロリチンAを加えた例においてエラグ酸を加えた例よりも尿酸産生量が有意に低下した。
上記実験1と同様の手順で、100μMウロリチンAと100μMウロリチンB(Sigma−Aldrich Chemical Co.、純度95%以上)をそれぞれ肝臓細胞に加えた例について実験を行ない、細胞中の尿酸濃度を比較した。結果を図3に示す。なお、対照として、いずれも添加しないものを用いた。
ウロリチンAを加えた例においてウロリチンBを加えた例よりも尿酸産生量が有意に低下した。
雄性ICRマウス4週齢を日本チャールズ・リバー株式会社より購入し、通常食(CRF−1、オリエンタル酵母工業株式会社)で一週間予備飼育した。その後、マウスを体重が均等になるようにして以下のように群分けを行った:正常マウス群(8匹/群)、高尿酸血症モデルマウス群(9匹/群)、アロプリノール群(8匹/群)、ウロリチンA低用量群(8匹/群)およびウロリチンA高用量群(8匹/群)の5群とし、試験に供した。予備飼育終了後、マウスに4時間の絶食を課し、0.5%(w/v)カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC−Na、和光純薬工業株式会社)溶液で懸濁したウロリチンAを体重1kg当たりウロリチンA低用量群には80mg、高用量群には240mg経口投与した。アロプリノール群には0.5%CMC−Na溶液で懸濁したアロプリノールを体重1kg当たり10mg経口投与し、正常マウス群および高尿酸血症モデルマウス群には0.5%CMC−Na溶液のみを経口投与した。サンプルの経口投与を3日間連続で一日一回ずつ3回行い、投与後(3日目の投与後)1時間後に正常マウス群以外のマウスにPBS(−)に溶解したグアノシン 5’−モノリン酸(GMP、東京化成工業株式会社)とイノシン 5’−モノリン酸(IMP、東京化成工業株式会社)の両方をそれぞれ300mg/kg腹腔内投与した。正常マウス群にはPBS(−)のみを投与した。腹腔内投与の1時間後に、イソフルラン(Pfizer Inc., New York,NY,USA)麻酔下でマウスを開腹し、腹部下大静脈より採血を行った。回収した血液は氷上で静置した。静置後の血液を4℃で5000×g、10分間遠心分離し、血漿試料を得た。血漿中尿酸濃度は、ウリカーゼ比色法(尿酸C−テストワコー,和光純薬工業株式会社))を用いて測定した。
図4から、ウロリチンAの投与により、高尿酸血症モデルマウスの血漿中尿酸濃度が用量依存的かつ有意(P<0.05)に低下していることが分かる。
正常マウス群(8匹/群)、高尿酸血症モデルマウス群(10匹/群)、アロプリノール群(8匹/群)、エラグ酸低用量群(8匹/群)、エラグ酸高用量群(8匹/群)、ウロリチンA低用量群(8匹/群)およびウロリチンA高用量群(8匹/群)の7群について、動物実験1と同様の手順および材料で動物実験2を行った。ただし、サンプルの経口投与は1回とした。エラグ酸は 和光純薬工業株式会社から入手し、エラグ酸低用量群には100mg、エラグ酸高用量群には300mgを経口投与した。
図5から分かるように、高尿酸血症モデルマウスの血漿中尿酸濃度がウロリチンA用量依存的かつ有意(P<0.05)に低下した一方で、エラグ酸によっては高尿酸血症モデルマウスの血漿中尿酸濃度の有意な低下は見られなかった。
動物実験2で用いた7群のうちウロリチンA投与2群を除いた5群について、動物実験1と同様の手順および材料で動物実験3を行った。すなわち、サンプルの経口投与を3日間連続で一日1回ずつ3回行った。
その結果、エラグ酸によっても高尿酸血症モデルマウスの血漿中尿酸濃度の有意な低下が見られ、その抑制程度は、ウロリチンA投与群と同等であった。
Claims (8)
- 式(I)で表される化合物もしくはその薬学的に許容される塩、またはそれらの水和物もしくはそれらの溶媒和物を有効成分として含む、血中尿酸値を低下させるための医薬;
- R1が水酸基である、請求項1に記載の医薬。
- R2およびR4がそれぞれ水素原子である、請求項1または2に記載の医薬。
- R1およびR3がそれぞれ水酸基であり、かつR2およびR4がそれぞれ水素原子である、請求項1に記載の医薬。
- 式(I)で表される化合物もしくはその薬学的に許容される塩、またはそれらの水和物もしくはそれらの溶媒和物を有効成分として含む、血中尿酸値を低下させるための食品組成物:
- R1が水酸基である、請求項5に記載の食品組成物。
- R2およびR4がそれぞれ水素原子である、請求項5または6に記載の食品組成物。
- R1およびR3がそれぞれ水酸基であり、かつR2およびR4がそれぞれ水素原子である、請求項5に記載の食品組成物。
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FOOD AND CHEMICAL TOXICOLOGY, vol. Vol.59, JPN6018047447, 2013, pages 428 - 437 * |
PLANTA MEDICA, vol. 80, no. 11, JPN6018047443, 2014, pages 887 - 895 * |
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