JP2018131167A - 発進支援装置 - Google Patents

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聖悟 山崎
Shogo Yamazaki
聖悟 山崎
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Abstract

【課題】降雪の際に車両の駐車位置からの発進を容易にする発進支援装置を提供する。【解決手段】指令信号に応じて車両100を前方又は後方に走行させる自動運転制御部2を備えた車両に装備され、車両100周辺の降雪を検知する降雪検知部22と、降雪検知部22によって降雪が検知された場合に、駐車中の車両100を、待機時間を挟んで自動運転により前方及び後方に往復移動させる指令信号を自動運転制御部2に出力する移動指令部43とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、降雪の際に駐車中の車両を自動的に移動させることで、この車両の発進を支援する、発進支援装置に関する。
車両をその使用環境にあわせて適切に動作を行わせるための各種技術が開発されている。中でも、冬季又は寒冷地において路面に積雪がある場合に、車両の走行又は発進を行うための技術が提案されている。
特許文献1には、外気温等に応じて積雪状態という車両環境を推定して、滑りやすい路面に対して駆動輪の空転が生じないよう走行モードを切り替えるための技術が開示されている。
特許文献2には、内燃機関により発生した排気ガスを熱源とする放熱器を駆動輪の周辺に設け、この放熱器により車輪及び路面の除雪及び解氷を行う技術が開示されている。
特開2009−143355号公報 実用新案登録第3016067号
車両が屋外に駐車している間に、この駐車車両の周囲に降雪があると、積雪量によっては車両の発進に支障をきたす場合がある。つまり、駐車車両の発進方向(前方又は後方)に車体と干渉する高さまでの積雪があると、車両はこの雪を押しのけて発進しなくてはならず、発進できない場合もある。特許文献1,2の技術は、このような状況を想定しておらず、上記の不具合を解決し得ない。
本発明は、上記のような課題に鑑み創案されたもので、降雪の際に車両の駐車位置からの発進を容易にする発進支援装置を提供することを目的とする。なお、この目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本件の他の目的である。
(1)開示の発進支援装置は、指令信号に応じて車両を前方又は後方に走行させる自動運転制御部を備えた車両に装備され、前記車両の周辺の降雪を検知する降雪検知部と、前記降雪検知部によって降雪が検知された場合に、駐車中の前記車両を、待機時間を挟んで自動運転により前方及び後方に往復移動させる指令信号を前記自動運転制御部に出力する移動指令部とを備えることを特徴としている。
(2)前記車両の前方付近及び後方付近の障害物を検知する障害物検知部をさらに備え、前記移動指令部は、前記降雪検知部によって降雪が検知されて、且つ前記障害物検知部によって前記障害物が検知されなかった場合に、前記指令信号を出力することが好ましい。
(3)前記車両の前方及び後方を撮像する撮像装置をさらに備え、前記障害物検知部は、前記撮像装置と、前記撮像装置によって撮像された画像データを解析することによって、前記車両の前方付近又は後方付近に前記障害物が存在しているか否かを判定する障害物判定部とを備え、前記移動指令部は、前記障害物判定部が前記車両の前方付近及び後方付近の何れか一方に前記障害物が検知されなかった場合、前記障害物が検知されなかった方向に向けて前記車両が移動するように前記指令信号を出力することが好ましい。
(4)前記降雪検知部は、前記撮像装置と、前記撮像装置によって撮像された画像データを解析することによって前記車両周辺に降雪があるか否かを判定する画像判定部とを備え、前記降雪検知部は、前記画像判定部による降雪の判定によって、降雪を検知することが好ましい。
(5)前記降雪検知部は、前記車両の屋根に設けられて前記屋根上の重量を測定する重量センサと、前記重量センサによって取得された重量情報に基づいて、前記屋根上の重量が所定の重量よりも増加しているか否か判定する重量判定部とをさらに備え、前記降雪検知部は、前記重量判定部による重量の増加の判定を加えて降雪を検知することが好ましい。
(6)前記降雪検知部は、フロントガラス又はリアガラスに向けて光を照射する発光素子と、前記発光素子から照射された光を受光する受光素子と、前記受光素子によって受光された光の強度情報に基づいて、前記フロントガラス又は前記リアガラスへ雪が付着しているか否かを判定する付着判定部とをさらに備え、前記降雪検知部は、前記付着判定部による雪の付着の判定を加えて降雪を検知することが好ましい。
(7)前記降雪検知部は、前記車両の駐車位置を含む地域における、天気情報及び/又は気温情報を含む気象情報を受信する気象情報受信部と、前記気象情報受信部によって受信された前記天気情報が雪であるか、又は気温情報が所定の温度以下である場合に、降雪が生じうる気象条件と判定する気象条件判定部とをさらに備え、前記降雪検知部は、前記気象条件判定部よる気象条件の判定を加えて、降雪を検知することが好ましい。
(8)前記車両の周辺の積雪量を検出する積雪量検出部をさらに備え、前記降雪検知部は、前記積雪量検出部によって検出される前記積雪量を加えて降雪を検知することが好ましい。
(9)前記積雪量検出部は、前記撮像装置と、前記撮像装置によって撮像された画像データに基づいて積雪量を算出する第1積雪量算出部とを備えていることが好ましい。
(10)前記積雪量検出部は、前記車両の周囲に積雪した雪の上面までの距離を測定する測距センサと、前記測距センサによって取得された距離情報に基づいて積雪量を算出する第2積雪量算出部とを備えていることが好ましい。
(11)前記積雪量検出部によって検出された積雪量に基づいて前記待機時間を設定する待機時間設定部をさらに備えることが好ましい。
(12)前記撮像装置の周辺に設けられ、放熱により前記撮像装置周辺の雪を溶かすヒータと、前記待機時間に応じて前記ヒータの動作温度を設定する動作温度設定部とをさらに備え、前記ヒータは、前記待機時間において前記動作温度にて放熱を行うことが好ましい。
(13)報知音を発生させて前記車両の存在を知らせる報知装置をさらに備え、前記移動指令部は、前記車両の移動を行う際に、前記報知装置によって前記報知音を発生させることが好ましい。
本発明によれば、車両周辺に降雪が生じている場合に駐車中の車両を前後に自動的に往復移動させることで、車両の前後に積雪の少ないスペースを確保することによって、車両の発進を容易にすることができる。
本実施形態の発進支援装置の構成を示すブロック図である。 本実施形態の発進支援装置の機能を説明するための模式図であり、(a)は初期位置の状態を示し、(b)は前方に移動した位置の状態を示し、(c)は後方に移動した位置の状態を示す。 本実施形態の発進支援装置の制御内容を説明するためのフローチャートである。 本実施形態の変形例の発進支援装置の構成を示すブロック図である。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態としての発進支援装置について説明する。以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることができる。なお、本実施形態では、車両の前進方向を前方とし、その反対方向を後方とし、前方を基準に左右を定める。
[1.発進支援装置の構成]
図1に示すように、本実施形態の発進支援装置1は、車両100に搭載されている。車両100は、モータを駆動源とする電気自動車である。なお、この電気自動車は、駆動源にモータが含まれていればよく、モータのみを駆動源とする純粋な電気自動車だけでなく、モータ及びエンジン(内燃機関)を駆動源とするハイブリッド車も含むものとする。
本実施形態にかかる車両100は、駆動,制動及び操舵を自動で行う自動運転制御部2を備えている。さらに、車両100は、自動運転制御部2による指令信号に応じて自動運転に係る制御を行うための制御対象となる、駆動ECU3、制動ECU4、及び操舵ECU5を備えている。発進支援装置1は、自動運転制御部2を介して、駆動ECU3、制動ECU4、及び操舵ECU5を制御して、特定の自動運転を実施する発進支援ECU21を備えている。
さらに、発進支援装置1は、発進支援ECU21に接続されて信号の入出力を行う、撮像装置11a,11b,11c、重量センサ12、発光素子13、受光素子14、通信装置15、ヒータ17、及び報知装置18を備えている。なお、ECUは、電子制御ユニット(Electric Control Unit)の略称であり、これらのECUは、図示しない入出力装置,制御プログラムや制御マップ等の記憶に供される記憶装置(ROM,RAM等)、中央処理装置(CPU)及びタイマカウンタ等を備えて構成されている。なお、図1では、撮像装置11a,11b,11cを区別して説明しているが、これらはそれぞれの撮像装置によって取得された情報の出力先に応じて各撮像装置を、便宜的に符号を区別して示したものである。撮像装置11a,11b,11cは、同一の撮像装置を用いてもよく、それぞれ個別の撮像装置を用いてもよい。また、撮像装置11a,11b,11cを特に区別しない場合には、「撮像装置11」として符合を付して説明する場合がある。
駆動ECU3は、車両100の駆動制御を行う電子制御ユニットである。駆動ECU3は、発進支援ECU21からの制御信号に基づいて、車両100に搭載されるモータ(図示略)の出力を調整する。
制動ECU4は、車両100の制動制御を行う電子制御ユニットである。制動ECU4は、発進支援ECU21からの制御信号に基づいて、車両100に搭載されるブレーキアクチュエータ(図示略)を介して、車両100に搭載されるブレーキ装置(図示略)を作動させる。
操舵ECU5は、車両100の操舵制御を行う電子制御ユニットである。操舵ECU5は、発進支援ECU21からの制御信号に基づいて、車両100に搭載されるステアリングアクチュエータ(図示略)を介して、車両100の操舵輪の転舵又は保舵を操作する。
発進支援装置1が行う自動運転は、駐車中の車両100の周囲(車両100の前後を含む)の路面に積雪があって、積雪量が多くなると車両100が駐車状態から発進しようとすると、積雪が障害になって発進することができなくなることを回避しようとするために行うものである。そこで、車両100の周囲に対応が必要な積雪があることを判定し、積雪があることを判定したら、車両100を前方又は後方に自動で移動させて、積雪を圧雪して積雪が発進の障害とならないようにする。このため、発進支援装置1は各構成要素を装備している。
発進支援ECU21は、車両100の周辺の降雪を検知し、駆動ECU3、制動ECU4、及び操舵ECU5を介した駆動制御、制動制御、及び操舵制御によって、駐車中の車両100を前方又は後方に移動させるよう自動運転を行う。ただし、本実施形態の発進支援においては、車両100を前後に直進させて移動させるため、操舵制御については、発進支援の開始時に、操舵輪が非直進状態であれば直進状態に転舵したのち保舵し、操舵輪が直進状態であればそのまま保舵する制御を行う。
車両100の周辺の降雪を検知するのは、車両100の周辺の路面上に本制御が必要な量の積雪があること、又は車両100の周辺の路面上に本制御が必要な量の積雪が生じうることを推定するためである。本実施形態では、発進支援装置1は降雪検知部22を備え、この降雪検知部22が、降雪によって変化する種々のパラメータに着目して、車両100の周辺の降雪を検知する。つまり、これらのパラメータの値を予め設定された閾値と比較して、各パラメータ毎に降雪状態であるか否かを判定し、これらの判定結果を総合して、車両100の周辺の降雪を検知する。そして、降雪検知部22によって降雪が検知された場合に、移動指令部43は、駐車中の車両100を、待機時間を挟んで自動運転により前方及び後方に往復移動させる指令信号を自動運転制御部2に出力する。さらに、発進支援装置1は障害物検知部22を備え、この障害物検知部22が、車両100の前方付近及び後方付近の障害物を検知する。そして、降雪検知部22によって降雪が検知されて、且つ障害物検知部23によって障害物が検知されなかった場合に、移動指令部43は、上述の指令信号を出力する。
図1に示すように、発進支援ECU21は、画像判定部31、重量判定部32、付着判定部33、気象情報受信部34、気象条件判定部35、第1障害物判定部36、第1積雪量算出部38、降雪量算出部40、待機時間設定部41、動作温度設定部42、及び移動指令部43を有している。これらは、発進支援ECU21のプロセッサで演算処理される機能部位であって、個々の要素を独立したプログラムとして記述してもよいし、これらの機能を兼ね備えた複合プログラムとして記述してもよい。これらのプログラムは、メモリや補助記憶装置に記憶され、プロセッサによって実行される。あるいは、これらのプログラムが光ディスクや半導体メモリなどの記録媒体(リムーバブルメディア)に記録され、記録媒体ドライブを介してメモリ上に読み込まれた上で実行される。さらに、発進支援ECU21は、積雪量記憶部51を有する記憶装置50を備えている。
<ハードウェア構成>
撮像装置11は、車両100の周辺を撮像して、その画像(静止画や動画)をデジタル信号である画像データ(画像情報)として得るものである。撮像装置11aは、取得した画像データを、画像判定部31に出力する。また、撮像装置11bは、取得した画像データを、第1障害物判定部36に出力する。また、撮像装置11cは、取得した画像データを、第1積雪量算出部38に出力する。撮像装置11は、例えば、撮像素子としてCCD(Charge-Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal-oxide Semiconductor)を用いたイメージセンサを有するビデオカメラである。撮像装置11は、画像データの画像解析により雪の検出を行うため、カラー画像を撮像する。本実施形態では、車両100の前方及び後方を撮像するために、発進支援装置1は車体の前方と後方とに設けられる複数の撮像装置11を備える。また、雪が付着することで撮像に影響がでることを避けるために、撮像装置11は、車体の下部又はドアミラー若しくはフェンダーミラーの下部や、車両100の車内に設けられている。
重量センサ12は、車両100の屋根上の重量を測定して、重量の値を示す重量情報を得るものである。重量センサ12は、取得した重量情報を、重量判定部32に出力する。重量センサ12は、例えばひずみゲージや圧電センサである。重量センサ12は、車両100の屋根上に設けられ、積雪による車両100の屋根の微小な変形(検出箇所における変位)や微小な圧力変化から、屋根の上への降雪及び屋根の上の積雪量を検出する。
発光素子13は、車両100のフロントガラス又はリアガラスに向けて光を照射するものである。受光素子14は、発光素子13から照射されて、フロントガラス又はリアガラスで反射した光を受光して、受光された光の強度を示す強度情報(受光情報)を得るものである。受光素子14は、取得した受光情報を、付着判定部33に出力する。発光素子13は、例えばレーザーダイオード(LD)やLED(Light Emitting Diode;発光ダイオード)である。受光素子14は、例えばPINフォトダイオード、PN接合・フォトダイオード等のフォトダイオードである。
通信装置15は、無線通信を利用し、ネットワークを介してサーバ等の各種通信端末との通信を行うことで、この通信端末から各種情報を取得するものである。中でも、通信装置15は、車両100の駐車位置を含む地域における、天気情報及び/又は気温情報を含む気象情報を受信する。そして、通信装置15は、この気象情報を気象情報受信部34に出力する。
ヒータ17は、撮像装置11の周辺に設けられ、放熱により撮像装置11周辺の雪を溶かすためのものである。ヒータ17の熱源は、例えば電熱線や、赤外線ヒータである。ヒータ17は、動作温度設定部42によって設定される動作温度にて放熱を行う。撮像装置11が車両100の車室内に設けられる場合には、ヒータ17は、撮像装置11付近のフロントガラス若しくはリアガラス又はその周辺に放熱することで、フロントガラス又はリアガラスに付着した雪を溶かすことができる。
報知装置18は、車両100の周囲に向けて、車両100の存在を知らせるものである。報知装置18は、例えばクラクションや、スピーカである。報知装置18は、クラクションやスピーカを用いて、例えば「前進します」、「バックします」等の音声や、エンジン音やモータ音を模した走行音や警告音等の報知音を発することで報知を行う。
<ソフトウェア構成>
降雪検知部22は、車両100周辺の降雪を検知するものである。図1に示すように、降雪検知部22は、撮像装置11a、重量センサ12、発光素子13、受光素子14、通信装置15、画像判定部31、重量判定部32、付着判定部33、気象情報受信部34、及び気象条件判定部35を備えている。車両100周辺の降雪の検知は、発進支援装置1が備える撮像装置11a、重量センサ12、受光素子14、及び通信装置15によって得られる情報、すなわち、画像情報、重量情報、受光情報、及び気象情報を、降雪情報として利用して行われる。これらの降雪情報に基づいて、画像判定部31、重量判定部32、付着判定部33、及び気象条件判定部35が、それぞれ降雪に関する判定処理を行う。降雪検知部22は、これらの各判定結果を総合することによって、降雪を検知する。
そして、得られた降雪情報に基づいて、降雪検知部22は降雪の検知を行う。降雪検知部22は、撮像装置11によって得られる降雪情報を主に利用して、重量センサ12、受光素子14、及び通信装置15によって得られる降雪情報のうち少なくとも一つを補助的に利用して、降雪の検知を行う。
例えば、降雪検知部22は、画像判定部31による降雪の判定に、重量判定部32による重量の増加の判定を加えることで、画像判定部31による降雪の判定がされて、且つ重量判定部32による重量の増加の判定がされた場合に、降雪を検知したとする。または、降雪検知部22は、画像判定部31による降雪の判定に、付着判定部33による雪の付着の判定を加えることで、画像判定部31による降雪の判定がされて、且つ付着判定部33による雪の付着の判定がされた場合に、降雪を検知したとする。または、降雪検知部22は、画像判定部31による降雪の判定に、気象条件判定部35による気象条件の判定を加えることで、画像判定部31による降雪の判定がされて、且つ気象条件判定部35による気象条件の判定がされた場合に、降雪を検知したとする。一方、画像判定部31による降雪の判定がされなかった場合には、重量判定部32による重量の増加の判定がされた場合、付着判定部33による雪の付着の判定がされた場合、又は気象条件判定部35による気象条件の判定がされた場合であっても、降雪を検知したとしない。このようにして、降雪検知部22は、比較的に判定精度の高い画像認識による降雪の判定を主に利用して検知を行う。
なお、画像判定部31による降雪の判定がされた場合であっても、重量判定部32による重量の増加の判定がされなかった場合には、降雪を検知したとしない。または、画像判定部31による降雪の判定がされた場合であっても、付着判定部33による雪の付着の判定の判定がされなかった場合には、降雪を検知したとしない。また、画像判定部31による降雪の判定がされた場合であっても、気象条件判定部35による気象条件の判定がされなかった場合には、降雪を検知したとしない。このように、降雪検知部22では、画像判定部31による降雪の判定を主に利用しながら、他の判定を加えて降雪を検知することで、検知の精度を向上させている。
または、降雪検知部22は、画像判定部31による降雪の判定と、重量判定部32、付着判定部33、及び気象条件判定部35による判定とを総合的に判断して降雪を検知したとすることができる。このとき、各判定部による判定結果に対して、画像判定部31による降雪の判定結果を重視するよう重みづけをして判断を行ってもよい。例えば、画像判定部31による降雪の判定がされて、且つ重量判定部32による重量の増加の判定と、付着判定部33による雪の付着の判定と、気象条件判定部35による気象条件の判定との3つの内の1つ以上の判定がされた場合に、降雪を検知したとする。
またさらに、降雪検知部22は、画像判定部31による降雪の判定に、積雪量検出部24による積雪量を加えて、降雪を検知したとしてもよい。例えば、画像判定部31による降雪の判定と、積雪量検出部24によって数cm以上の積雪量の算出とがされた場合に、降雪を検知したとすることができる。
画像判定部31は、撮像装置11aによって撮像された画像データを解析することによって車両100周辺に降雪があるか否かを判定する。降雪の判定手法の一例として、画像判定部31は、色情報を利用してカラー画像データに占める白色又は白色に近い色の領域を抽出し、これらの領域の占める割合、濃淡、輝度、時間変化等に基づいて、雪が存在すると判断した場合に、降雪があると判定する。または、降雪の判定手法の他の例として、画像判定部31は、カラー画像データから画素の塊を抽出し、この画素の塊の色、大きさ、落下速度等に基づいて、雪片を検出する。そして、画像判定部31は、雪片の数を計測して、雪片の数が所定の数量以上であった場合に、降雪があると判定することができる。
重量判定部32は、重量センサ12によって取得された重量情報に基づいて、車両100の屋根上の重量が増加しているか否か判定する。降雪によって屋根上に積雪が生じると重量が増加するため、屋根上の重量が増加している場合には、降雪がある可能性が高いと推測される。
付着判定部33は、発光素子13によって照射された光の強度情報と、受光素子14によって受光された光の強度情報とに基づいて、フロントガラス又はリアガラスへ雪が付着しているか否かを判定する。まず、付着判定部33は、光の強度情報に基づいて、フロントガラス又はリアガラスの反射率を算出する。そして、フロントガラス又はリアガラスに雪が付着していると光の反射率が変化することを利用して、付着判定部33は、反射率の変化から雪の付着を判定する。フロントガラス又はリアガラスへ雪が付着している場合には、降雪がある可能性が高いと推測される。
気象情報受信部34は、通信装置15を介して気象情報を定期的に受信して、受信した気象情報を気象条件判定部35に出力する。気象条件判定部35は、気象情報受信部34によって受信された天気情報が雪であるか、又は気温情報が所定の温度(例えば0度)以下である場合に、降雪が生じうる気象条件と判定する。
障害物検知部23は、車両100の前方付近及び後方付近の障害物を検知する。図1に示すように、障害物検知部23は、撮像装置11b、及び第1障害物判定部36を備えている。障害物の検知は、撮像装置11bによって得られる情報、すなわち画像情報を、障害物情報として利用して行われる。この障害物情報に基づいて、第1障害物判定部36は、車両100の前方付近又は後方付近に障害物が存在しているか否かの判定を行う。障害物検知部23は、第1障害物判定部36の判定結果に基づいて、障害物の検知を行う。第1障害物判定部36は、2以上の撮像装置11(ステレオカメラ)によって撮像されたステレオの画像データを解析することによって、車両100の前方付近又は後方付近に障害物が存在しているか否かを判定するとともに、画像データに含まれる障害物までの距離を測定することができる。このとき、カラー画像データから色情報を利用して車両100周辺の雪を検出して、積雪高さの低い雪を障害物として検出しないように除外することができる。また、第1障害物判定部36は、画像データから認識される障害物の大きさを利用して、柱や壁又は自車両100以外の車両といった比較的大きく移動しない障害物であるか、人間や動物といった比較的小さく移動する障害物であるかを判別することができる。障害物検知部23は、検知結果を移動指令部43に出力する。
積雪量検出部24は、撮像装置11cによって撮像された画像データに基づいて、車両100の周辺の積雪量を算出する。図1に示すように、積雪量検出部24は、撮像装置11c、及び第1積雪量算出部38を備えている。第1積雪量算出部38は、2以上の撮像装置11(ステレオカメラ)によってそれぞれ撮像されたステレオのカラー画像データを解析することで、画像データに含まれる雪の領域を検出するとともに、画像データに含まれる雪の領域までの距離を測定することができる。さらに、第1積雪量算出部38は、測定された雪までの距離と、積雪が無い場合の撮像装置11cから路面までの距離とから、積雪量を算出する。積雪量検出部24は、第1積雪量算出部38によって算出された積雪量を、降雪検知部22及び降雪量算出部40に出力する。
降雪量算出部40は、車両100の周囲の単位時間あたりの降雪量を算出する。降雪量の算出手法の一例として、まず、積雪量検出部24が積雪量を定期的に算出して、算出された積雪量のデータを積雪量記憶部51に書き込む。そして、降雪量算出部40が積雪量記憶部51に書き込まれた2以上の積雪量のデータを読み出して、単位時間あたりの積雪量の変化量に基づいて降雪量を算出する。降雪量の算出手法の他の例として、撮像装置11によって取得された画像データから検出された雪片の大きさ、数量、落下速度等に基づいて、降雪量を算出することができる。降雪量算出部40は、算出された降雪量を、待機時間設定部41に出力する。
待機時間設定部41は、降雪量算出部40によって算出された降雪量に基づいて、車両100の移動を行うまでの待機時間を設定する。待機時間は、駐車状態の車両100が、降雪を検知して初期の駐車位置から初めて前方又は後方への移動を行うまでの時間、又は前方若しくは後方のいずれか一方の方向へ向けて移動を行った後、次に他の方向への移動を行うまでの時間である。待機時間は降雪量に応じて設定すればよく、降雪量が大きい場合には待機時間を短くするよう設定する。車両100の前後に車体と大きく干渉する高さにまで積雪が生じると移動が困難になることから、例えば積雪量が数cm程度増加するのに要する程度の時間を待機時間とする。待機時間は、例えば数分から数十分程度とすることができる。なお、車体前面による雪の押し退けは、車体前面と積雪した雪の上層との干渉が少なければ支障なく行うことができる。待機時間設定部41は、設定された待機時間を、動作温度設定部42及び移動指令部43に出力する。
動作温度設定部42は、待機時間設定部41によって設定された待機時間に応じて、ヒータ17の動作温度を設定する。動作温度設定部42は、待機時間の間に撮像装置11周辺の雪を溶かして、撮像装置11による撮像に雪によって支障が出なくなる程度の温度に動作温度を設定する。なお、動作温度設定部42による動作温度の設定に代えて、ヒータ17の動作温度を一定として、ヒータ17を断続作動させて、その動作頻度を調整するようにしてもよい。
(移動指令部)
移動指令部43は、降雪検知部22によって降雪が検知された場合に、自動運転制御部2に指令信号を出力することで、駆動ECU3、制動ECU4、及び操舵ECU5に、車両100の自動運転を指令する。車両100の自動運転では、降雪が検地されてから所定時間の後に、駐車中の車両100を前方又は後方のいずれか一方の方向に向けて自動的に移動させる。さらに、一方の方向に向けて自動的に移動させてから所定時間の駐車によって待機をした後に、車両100を他方の方向に向けて自動的に移動させる。これらの所定時間は、待機時間設定部41により設定される待機時間である。このように、車両100の自動運転は、待機時間を挟んで、前方及び後方に往復移動を行うものである。自動運転の際の初期の駐車位置から一方の方向への移動距離は特に限定されないが、車両100が発進する際に十分な加速をつけられるよう、例えば数十cmから数m程度である。
移動指令部43による自動運転の制御の例を、図2を参照して説明する。図2は、屋外で駐車している車両100を側面から見た状態を模式的に示している。図2(a)は、初期の駐車位置に駐車している状態の車両100及び雪200を示している。この位置は車両100が駐車を開始した位置、又は前方及び後方へ所定距離の移動を行った後に車両100が戻ってきた位置にあたる。図2(a)の位置から車両100を前方に向けて移動させるよう移動指令部43によって指令がなされると、図2(b)に示すような位置に車両100は移動する。さらに、図2(b)の位置から車両100を後方に向けて移動させるよう移動指令部43によって指令がなされると、図2(c)に示すような位置に車両100は移動する。そして、図2(c)の位置から車両100を前方方に向けて移動させるよう移動指令部43によって指令がなされると、図2(b)に示すような位置に車両100は移動する。なお、図2(b),図2(c)では、初期位置の状態の車両100’を破線で示している。
車両100が自動運転によって図2(a)の位置から図2(b)の位置に移動することで、車両100が車体前面によって前方の雪を押し退けることによって、車両100の前方のL11に示す所定長さ分の雪が退けられたスペースを確保することができる。また、このとき、車両100が前輪及び後輪によって、車両100の前輪の前のL31に示す長さ分の雪と、後輪の前のL41に示す長さ分の雪とを圧雪することができる。また、車両100が図2(b)の位置から図2(c)の位置に移動することで、車両100が車体後面によって後方の雪を押し出すことで、車両100の後方のL21に示す長さ分の雪が退けられたスペースを確保することができる。また、このとき、車両100が前輪及び後輪によって、車両100の前輪の後ろのL32に示す長さ分の雪と車両100の後輪の後ろのL42に示す長さ分の雪とを圧雪することができる。すなわち、車両100が図2(a)の位置から図2(c)の位置を移動することで、車両100の前方周辺のL11+L12に示す長さ分の雪と、車両100の後方周辺にL21+L22に示す長さ分の雪とが退けられたスペースを確保することができる。また、車両100の前輪周辺のL31+L32に示す長さ分の雪と、後輪周辺のL41+L42に示す長さ分の雪とを圧雪することができる。
車両100が降雪を検知した場合の初期位置からの移動は、それぞれに移動可能なスペースがあれば前方又は後方のいずれの方向に向けて移動してもよい。車両100は、前方又は後方のいずれか一方の方向に向けて移動した後に、図2(b)に示す前方に移動した位置又は図2(c)に示す後方に移動した位置で待機時間が経過するまでは停止する。そして、待機時間後に車両100は、他方の方向に向けて移動する。さらに、前方と後方との両方の移動を行った後には、図2(a)に示す初期位置に移動するようにしてもよい。または、車両100の移動は、図2(a)の初期の駐車位置を基準として、前方又は後方に移動した後に、直ちに図2(a)に示す初期の駐車位置に戻って、この位置で待機時間が経過するまで駐車するようにしてもよい。
移動指令部43は、降雪検知部22によって降雪が検知されて、且つ障害物検知部23によって障害物が検知されなかった場合に、車両100の自動運転を指令する。さらに、移動指令部43は、障害物検知部23によって前方付近辺又は方向付近のいずれか一方に障害物が検知されて、他方には障害物が検知されなかった場合には、障害物が検知されなかった方向に向けて自動運転を開始するよう指令することができる。このとき、車両100は、障害物が検知されない場合に移動する通常の距離よりも倍程度に長い距離を、障害物が検知されなかった方向に向けて移動してもよい。さらに、障害物が検知されなかった方向に向けて移動して待機した後には、当初に障害物が検知された方向に向けて障害物に接触しない距離まで移動する。このようにして、障害物を避けるとともに、障害物が検知されなかった方向のスペースを利用して発進を容易にすることができる。
車両100の移動中に、障害物検知部23によって進行方向に障害物が検知された場合には、移動指令部43は移動を停止するよう指令する。その後、進行方向に障害物が検知さなくなった場合には、再度、所定の進行方向への移動を行う。このようにして、発進支援装置1は、自動運転による移動中に障害物を検知して、車両100を停止させることで、自動運転による移動の安全性を高めることができる。
移動指令部43は、車両100の移動を行う際に、報知装置18を動作させて周囲に車両100の存在を知らせる。このとき、移動指令部43は、障害物検知部23によって人間や動物といった比較的小さく移動する障害物が検知された場合に、報知装置18を動作させるようにしてもよい。これにより、報知装置18によって障害物に車両100の存在を認識させて、人や動物等の障害物が自ら車両100から離れるように促がすことができる。また、移動指令部43は、障害物検知部23によって比較的小さく移動する障害物が検知されずに、柱や壁又は他の車両といった比較的大きく移動しない障害物が検知された場合に、報知装置18を動作させないようにしてもよい。これにより、過度な報知装置18の動作を抑えることができる。
[2.制御フロー]
以下、図3を参照して、本実施形態の発進支援装置1の制御フローを説明する。なお、この制御フローは、発進支援装置1の動作中に所定の周期で繰り返し実行される。
まず、発進支援装置1は降雪情報を取得する(ステップS1)。降雪情報の取得は、撮像装置11を用いた画像情報の取得と、重量センサ12を用いた重量情報の取得と、受光素子14を用いた受光情報の取得と、及び通信装置15を用いた気象情報の取得とによって行われる。次に、発進支援装置1は、ステップS1で取得された各々の降雪情報に基づいて、それぞれ降雪に関する判定を行う(ステップS2)。降雪に関する判定は、画像判定部31による降雪があるか否かの判定と、重量判定部32による重量の増加の判定と、付着判定部33による雪の付着の判定と、気象条件判定部35による気象条件の判定とによって行われる。さらに、発進支援装置1は、降雪の検知を行う(ステップS3)。降雪の検知は、ステップS2における判定に基づいて、降雪検知部22によって行われる。本実施形態では、ステップS2において、降雪があると判定されて、且つ重量の増加の判定と、雪の付着の判定と、気象条件の判定との3つの内の1つ以上の判定がされた場合には、降雪検知部22は降雪を検知したとする。降雪検知部22によって降雪が検知されなかった場合には、ステップS1に戻り、発進支援装置1は降雪情報を繰り返し取得する。
降雪検知部22によって降雪が検知された場合には、発進支援装置1は待機時間の設定を行う(ステップS4)。待機時間の設定は、撮像装置11によって得られた画像データに基づいて降雪量算出部40が降雪量を算出し、降雪量算出部40によって算出された降雪量に基づいて、待機時間設定部41が待機時間を設定することで行われる。
続いて、発進支援装置1は、ヒータ17により撮像装置11周辺への放熱によって解雪を行う(ステップS5)。このとき、待機時間設定部41によって設定された待機時間に応じて、動作温度設定部42がヒータ17の動作温度を設定する。そして、ヒータ17は、この動作温度にて放熱を行う。ステップS4にて設定された待機時間が経過するまではステップS5に戻り、待機時間の間、車両100は駐車した状態で撮像装置11周辺の解雪を行う(ステップS6)。なお、ヒータ17による撮像装置11周辺への放熱は、ステップS11の車両100の移動が完了するまで継続してもよい。
待機時間が経過した場合には、発進支援装置1は、障害物情報の取得を行う(ステップS7)。障害物情報の取得は、撮像装置11を用いた画像情報の取得によって行われる。次に、発進支援装置1は、ステップS7で取得された障害物情報に基づいて、障害物に関する判定を行う(ステップS8)。障害物に関する判定は、第1障害物判定部36による障害物があるか否かの判定によって行われる。さらに、発進支援装置1は、障害物の検知を行う(ステップS9)。障害物の検知は、ステップS8における判定に基づいて、障害物検知部23によって行われる。ステップS8において障害物があると判定された場合には、障害物検知部23は障害物を検知したとする。この場合、ステップS7に戻り、障害物があると判定されなくなるまで障害物情報の取得を繰り返し行う。
障害物検知部23によって障害物が検知されなかった場合には、発進支援装置1は周囲への報知を行う(ステップS10)。発進支援装置1は、周囲の報知に先立ってEVシステムを起動して車両100をREADY−ON(走行可能)の状態として、さらに報知装置18によって周囲への報知を行う。続いて、発進支援装置1は、車両100の移動の指令信号を出力して、前方又は後方への移動を行う(ステップS11)。移動の指令は、移動指令部43から、自動運転制御部2を介して、駆動ECU3、制動ECU4、及び操舵ECU5へ、移動の内容に応じた信号が送られることで行われる。具体的には、自動運転制御部2は、まず制動ECU4を介して車両100のブレーキ装置を解除させる。次に、自動運転制御部2は、駆動ECU3を介してモータの出力を上げて、車両100を移動させる。所定の位置まで移動した後に、自動運転制御部2は、制動ECU4を介してブレーキ装置を作動させて、車両100を停止させる。この間、自動運転制御部2は、操舵ECU5を介して、適宜、操舵輪の転舵又は保舵を行わせる。このとき、移動指令部43は、車両100の前方又は後方の障害物が検知されなかった方向に向けて車両100の移動を行うよう指令する。また、移動指令部43は、移動中に障害物が検知された場合には、制動ECU4を介して移動を停止するよう指令し、必要に応じて報知装置18を動作させる。所定の位置まで車両100が移動した後には、一旦処理を終了して、再度ステップS1〜S10の処理を行い、次のステップS11における車両100の移動の際には前回移動した方向とは反対方向に向けて移動を行う。
上記説明では、障害物を検知した場合には、障害物があると判定されなくなるまで障害物情報の取得を行う場合を例に挙げて説明した(ステップS7〜S9)。障害物を検知した場合には、報知装置18を動作させて周囲への報知を行い、報知後に再び障害物情報の取得を行ってもよい。また、障害物を検知した場合には、一旦処理を終了して、改めて降雪情報の取得(ステップS1)を行うようにしてもよい。
また、上記説明では、発進支援装置1の動作中にステップS1〜S11の処理が繰り返し実行される場合を例に挙げて説明したが、車両100周辺のドライバーの存在を検知して処理を中止してもよい。ドライバーの存在の検知は、例えば車両100のドアの解錠や、ドアの開閉によって行われる。
[3.作用及び効果]
(1)上記の発進支援装置1では、降雪検知部22が車両100周辺の降雪を検知することで、駐車中の車両100を前後に往復移動するよう自動運転が行われる。このような車両100の移動により、積雪した雪の上層部を排除して、駐車中の車両100の前後に積雪の少ないスペースを確保することができる。これによって、車両100が駐車位置から発進する際に、車両100の前方や後方に生じたスペースを利用して勢いをつけながら走り出すことで、雪の抵抗に打ち勝って容易に発進することができる。また、車輪によって車両100の前後及び下部の雪を圧雪するので、発進する際に、駆動力を車輪から路面に十分に伝えることができ、車輪の空転を抑えて容易に発進することができる。
(2)上記の発進支援装置1では、障害物検知部23が車両100の前方付近及び後方付近の障害物を検知して、障害物が検知されなかった場合に車両100の自動運転を行う。これにより、車両100と障害物との接触を避けて、車両100の移動を安全に行うことができる。
(3)上記の発進支援装置1では、撮像装置11によって撮像された画像データを解析して障害物を検知し、障害物が検知されなかった方向に向けて自動運転を開始する。これにより、前後いずれか一方の空いているスペースを利用して車両100の移動を行うことができる。
(4)上記の発進支援装置1では、画像判定部31が撮像装置11によって撮像された画像データを解析することによって降雪を判定する。さらに、降雪検知部22が、画像判定部31による降雪の判定によって、降雪を検知する。これにより、画像データに表れる雪の特徴を利用することで、降雪の検知精度を高めることができる。
(5)上記の発進支援装置1では、重量センサ12によって取得された重量情報に基づいて、重量判定部32が屋根上の重量の増加を判定する。また、上記の発進支援装置1では、受光素子14によって受光された光の強度情報に基づいて、付着判定部33がフロントガラス又はリアガラスへの雪の付着を判定する。また、上記の発進支援装置1では、気象情報受信部34によって受信された天気情報又は気温情報に基づいて、気象条件判定部35が気象条件を判定する。さらに、これらの重量の増加の判定、雪の付着の判定、及び気象条件の判定を、降雪の判定に加えることによって、降雪検知部22は降雪を検知する。このように、撮像装置11による降雪判定と、他の判定とを複合的に利用することで、降雪の検知精度をより高めることができる。
(6)上記の発進支援装置1では、積雪量検出部24が、車両100の周辺の積雪量を検出する。さらに、撮像装置11を用いた降雪判定に、積雪量検出部24によって算出される積雪量を加えることによって、降雪検知部22は降雪を検知する。これにより、所定量以上の積雪量がある場合に、車両100を移動するよう制御することができる。また、上記の発進支援装置1では、撮像装置11によって撮像された画像データに基づいて、第1積雪量算出部38が積雪量を算出する。これにより、画像データに表れる雪の特徴を利用することで、積雪量を算出することができる。
(7)上記の発進支援装置1では、待機時間設定部41が車両100の移動を行うまでの待機時間を設定する。待機時間を挟んで、車両100の前方及び後方に往復移動を行うことで、降雪量に応じた適切な時間間隔での移動を行うことができる。これにより、例えば、降雪量が激しい場合には移動の頻度を上げて、積雪量が多くなる状況下でも発進を容易にすることができる。また、降雪が穏やか場合には移動の頻度を下げて、車両100の過度な移動を抑えことができる。
(8)上記の発進支援装置1では、動作温度設定部42が待機時間に応じてヒータ17の動作温度を設定して、ヒータ17の放熱により撮像装置11周辺の雪を溶かす。これにより、撮像装置11の視界が雪に覆われることによって誤動作することを防ぎ、降雪時であっても障害物等の検出を行うことができる。
(9)上記の発進支援装置1では、車両100の移動を行う際に、報知装置18によって報知音を発生させる。これにより、周囲に車両100が移動することを知らせて、移動の安全性を向上させることができる。また、車両100の周辺に人や動物がいた場合には、報知音を聞いた人や動物が車両100から離れることで、車両100の移動を行えるようになることが期待できる。
[4.その他]
(1)上記の実施形態では、車両100がモータを駆動源とする電気自動車である例を説明したが、車両100は、エンジンを駆動源とするガソリン車又はディーゼル車であってもよい。エンジンを駆動原とする場合、駆動ECU3によって、エンジンの出力の調整が行われる。
(2)上記の実施形態では、撮像装置11によって得られる降雪情報を主に利用して、他の降雪情報のうち少なくとも一つを補助的に利用して、降雪の検知を行う例を説明した。降雪の検知は、少なくとも撮像装置11によって得られる降雪情報を利用して行えばよい。例えば、降雪検知部22は、画像判定部31による降雪の判定がされた場合に、降雪を検知したとしてもよい。また、上記の実施形態では、画像判定部31による降雪の判定に、積雪量検出部24による積雪量を加えて、降雪を検知する場合について説明した。降雪検知部22は、積雪量検出部24による積雪量のみによって、降雪を検知したとしてもよい。
(3)上記の実施形態では、障害物検知部23が、第1障害物判定部36によって、撮像装置11bによって得られる画像情報を障害物情報として、車両100の前方付近又は後方付近に障害物の検知を行う例を説明した。また、上記の実施形態では、積雪量検出部24が、第1積雪量算出部38によって、撮像装置11bによって得られる画像情報に基づいて、積雪量を算出する例を説明した。図4に示すように、発進支援装置1は、測距センサ16a,16bをさらに備えていてもよい。さらに、発進支援ECU1が、第1障害物判定部36に代えて第2障害物判定部37を備えていてもよい。また、発進支援ECU1が、第1積雪量算出部38に代えて第2積雪量算出部39を備えていてもよい。すなわち、発進支援装置1は、障害物検知部23に代えて、撮像装置11b、測距センサ16a、及び第2障害物判定部37を備える障害物検知部25を備えていてもよい。また、発進支援装置1は、積雪量検出部24に代えて、撮像装置11c、測距センサ16b、及び第2積雪量算出部39を備える積雪量算出部26を備えていてもよい。
この場合、障害物検知部25による障害物の検知は、撮像装置11b及び測距センサ16aによって得られる情報、すなわち画像情報、及び距離情報を、障害物情報として利用した、第2障害物判定部37の判定結果に基づいて行われる。また、積雪量検出部26による積雪量の算出は、撮像装置11cによって撮像された画像情報及び測距センサ16bよって取得された距離情報に基づいて、第2積雪量算出部39によって行われる。なお、図4では、測距センサ16a,16bを区別して説明しているが、これらはそれぞれの測距センサによって取得された情報の出力先に応じて各測距センサを、便宜的に符号を区別して示したものである。測距センサ16a,16bは、同一の測距センサを用いてもよく、それぞれ個別の測距センサを用いてもよい。測距センサ16a,16bを特に区別しない場合には、「測距センサ16」として符合を付して説明する場合がある。
測距センサ16は、車両100の前方又は後方に存在する物体までの距離を測定して、距離の長さを示す距離情報を得るものである。測距センサ16aは、取得した距離情報を、第2障害物判定部37に出力する。また、測距センサ16bは、取得した距離情報を、第2積雪量検出部39に出力する。測距センサ16は、例えばミリ波レーダ、超音波センサ、レーザレーダ等のセンサである。車両100の周囲に積雪がある場合には、測距センサ16は、積雪した雪までの距離を測定し積雪量を検出することができる。測距センサ16を用いて距離を測定する場合、撮像装置11のみを用いる場合と比べて、雨天や降雪等の天候による影響を比較的に受け難い。
なお、車両100が測距センサ16を備える場合には、ヒータ17は、撮像装置11の周辺に加えて、測距センサ16の周辺に設けられて、放熱により撮像装置11及び測距センサ16周辺の雪を溶かす。
第2障害物判定部37は、測距センサ16aにより測定される物体までの距離から、車両100の前方付近又は後方付近に障害物が存在しているか否かを判定することで障害物を検知する。このとき、第2障害物判定部37は、撮像装置11によって撮像されたカラー画像データを解析することで、積雪の低い雪を除外して障害物を検出するとともに、測距センサ16bにより物体までの距離を測定することができる。
第2積雪量検出部39は、撮像装置11によって撮像されたカラー画像データを解析することで、画像データに含まれる雪を検出するとともに、雪が存在する場合には、測距センサ16bにより雪までの距離を測定することができる。さらに、第2積雪量検出部39は、測定された雪までの距離と、積雪が無い場合の測距センサ16bから路面までの距離とから、積雪量を算出することができる。
(4)上記の実施形態では、報知装置18がクラクションやスピーカである例を説明したが、報知装置18としてディスプレイやランプ等の表示装置を用いて、メッセージを表示したり点灯又は点滅したりすることで報知を行ってもよい。または、報知装置18として、クラクションやスピーカと、表示装置とを併用して報知を行ってもよい。
(5)発進支援装置1は、車両100を自動的に移動させる際に、車両100のコンビネーションメータやインストルメントパネルに、自動運転を行っている旨を表示してもよい。また、発進支援装置1は、通信装置15を介して、ドライバーの所持する通信端末に信号を送信することで、自動運転を行っている旨を通知するようにしてもよい。
1 発進支援装置
2 自動運転制御部
3 駆動ECU
4 制動ECU
5 操舵ECU
11a,11b,11c 撮像装置
12 重量センサ
13 発光素子
14 受光素子
15 通信装置
16a,16b 測距センサ
17 ヒータ
18 報知装置
21 発進支援ECU
22 降雪検知部
23,25 障害物検知部
24,26 積雪量検出部
31 画像判定部
32 重量判定部
33 付着判定部
34 気象情報受信部
35 気象条件判定部
36 第1障害物判定部
37 第2障害物判定部
38 第1積雪量算出部
39 第2積雪量算出部
40 降雪量算出部
41 待機時間設定部
42 動作温度設定部
43 移動指令部
100 車両

Claims (13)

  1. 指令信号に応じて車両を前方又は後方に走行させる自動運転制御部を備えた車両に装備され、
    前記車両の周辺の降雪を検知する降雪検知部と、
    前記降雪検知部によって降雪が検知された場合に、駐車中の前記車両を、待機時間を挟んで自動運転により前方及び後方に往復移動させる指令信号を前記自動運転制御部に出力する移動指令部とを備える
    ことを特徴とする、発進支援装置。
  2. 前記車両の前方付近及び後方付近の障害物を検知する障害物検知部をさらに備え、
    前記移動指令部は、前記降雪検知部によって降雪が検知されて、且つ前記障害物検知部によって前記障害物が検知されなかった場合に、前記指令信号を出力する
    ことを特徴とする、請求項1に記載の発進支援装置。
  3. 前記車両の前方及び後方を撮像する撮像装置をさらに備え、
    前記障害物検知部は、前記撮像装置と、前記撮像装置によって撮像された画像データを解析することによって、前記車両の前方付近又は後方付近に前記障害物が存在しているか否かを判定する障害物判定部とを備え、
    前記移動指令部は、前記障害物判定部が前記車両の前方付近及び後方付近の何れか一方に前記障害物が検知されなかった場合、前記障害物が検知されなかった方向に向けて前記車両が移動するように前記指令信号を出力する
    ことを特徴とする、請求項2に記載の発進支援装置。
  4. 前記降雪検知部は、
    前記撮像装置と、
    前記撮像装置によって撮像された画像データを解析することによって前記車両周辺に降雪があるか否かを判定する画像判定部とを備え、
    前記降雪検知部は、前記画像判定部による降雪の判定によって、降雪を検知する
    ことを特徴とする、請求項3に記載の発進支援装置。
  5. 前記降雪検知部は、
    前記車両の屋根に設けられて前記屋根上の重量を測定する重量センサと、
    前記重量センサによって取得された重量情報に基づいて、前記屋根上の重量が所定の重量よりも増加しているか否か判定する重量判定部とをさらに備え、
    前記降雪検知部は、前記重量判定部による重量の増加の判定を加えて降雪を検知する
    ことを特徴とする、請求項4に記載の発進支援装置。
  6. 前記降雪検知部は、
    フロントガラス又はリアガラスに向けて光を照射する発光素子と、
    前記発光素子から照射された光を受光する受光素子と、
    前記受光素子によって受光された光の強度情報に基づいて、前記フロントガラス又は前記リアガラスへ雪が付着しているか否かを判定する付着判定部とをさらに備え、
    前記降雪検知部は、前記付着判定部による雪の付着の判定を加えて降雪を検知する
    ことを特徴とする、請求項4又は5に記載の発進支援装置。
  7. 前記降雪検知部は、
    前記車両の駐車位置を含む地域における、天気情報及び/又は気温情報を含む気象情報を受信する気象情報受信部と、
    前記気象情報受信部によって受信された前記天気情報が雪であるか、又は気温情報が所定の温度以下である場合に、降雪が生じうる気象条件と判定する気象条件判定部とをさらに備え、
    前記降雪検知部は、前記気象条件判定部よる気象条件の判定を加えて、降雪を検知する
    ことを特徴とする、請求項4〜6のいずれか1項に記載の発進支援装置。
  8. 前記車両の周辺の積雪量を検出する積雪量検出部をさらに備え、
    前記降雪検知部は、前記積雪量検出部によって検出される前記積雪量を加えて降雪を検知する
    ことを特徴とする、請求項4〜7のいずれか1項に記載の発進支援装置。
  9. 前記積雪量検出部は、前記撮像装置と、前記撮像装置によって撮像された画像データに基づいて積雪量を算出する第1積雪量算出部とを備えている
    ことを特徴とする、請求項8に記載の発進支援装置。
  10. 前記積雪量検出部は、前記車両の周囲に積雪した雪の上面までの距離を測定する測距センサと、前記測距センサによって取得された距離情報に基づいて積雪量を算出する第2積雪量算出部とを備えている
    ことを特徴とする、請求項8または9に記載の発進支援装置。
  11. 前記積雪量検出部によって検出された積雪量に基づいて前記待機時間を設定する待機時間設定部をさらに備える
    ことを特徴とする、請求項8〜10の何れか1項に記載の発進支援装置。
  12. 前記撮像装置の周辺に設けられ、放熱により前記撮像装置周辺の雪を溶かすヒータと、
    前記待機時間に応じて前記ヒータの動作温度を設定する動作温度設定部とをさらに備え、
    前記ヒータは、前記待機時間において前記動作温度にて放熱を行う
    ことを特徴とする、請求項1〜11の何れか1項に記載の発進支援装置。
  13. 報知音を発生させて前記車両の存在を知らせる報知装置をさらに備え、
    前記移動指令部は、前記車両の移動を行う際に、前記報知装置によって前記報知音を発生させる
    ことを特徴とする、請求項1〜12の何れか1項に記載の発進支援装置。
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