JP2018130480A - 射出成形品及び医療用コネクタ並びに射出成形品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ホルダによる弁体の耳部の十分な保持力を容易に確保することができる、医療用コネクタのメスコネクタ部を構成するための射出成形品を提供する。【解決手段】本発明に係る射出成形品は、弁本体部の外周面より径方向外側に位置する耳部を有する弁体と、前記耳部と接した第1表面と前記弁本体部の前記外周面と接した第2表面とを有するホルダとを備え、前記耳部と前記ホルダの前記第1表面とは、互いに一体に成形されており、前記弁本体部の前記外周面と前記ホルダの前記第2表面とは、前記耳部と前記ホルダの前記第1表面との接合強度より弱い接合強度で互いに一体に成形されており、又は互いに接合していないことを特徴とする。【選択図】図5

Description

本発明は、射出成形品及び医療用コネクタに関する。また、本発明は、射出成形品の製造方法に関する。
従来、例えば輸液セットなどにおいて用いられる医療用コネクタとして、弁体とホルダとによって構成されたメスコネクタ部を有するものが知られている。弁体は、天面、底面及び外周面を有する弁本体部と、該弁本体部の前記外周面より径方向外側に位置する耳部とを有している。また、ホルダは、弁体を安定して保持するために、耳部と接した第1表面と、弁本体部の前記外周面と接した第2表面とを有している。ここで、耳部は、弁体が閉じているときも、メスコネクタ部に他の医療用コネクタのオスコネクタ部が接続されて弁体が開くときも、ホルダの第1表面に対して相対的に移動することなくホルダに保持される一方、弁本体部の前記外周面は、弁体が開くときにはホルダの第2表面に対して相対的に移動する必要がある。一般的に、このようなメスコネクタ部は、別々に成形された弁体とホルダとを、互いに組み付けることによって構成されている(例えば、特許文献1参照)。
国際公開第2014/046271号
しかしながら、特許文献1に記載されるような従来のメスコネクタ部を有する医療用コネクタでは、ホルダによる弁体の耳部の十分な保持力を確保し難い場合があった。
本発明は、このような問題に鑑み開発されたもので、ホルダによる弁体の耳部の十分な保持力を容易に確保することができる、医療用コネクタのメスコネクタ部を構成するための射出成形品を提供することを目的とする。また、本発明は、ホルダによる弁体の耳部の十分な保持力を容易に確保することができる医療用コネクタを提供することを目的とする。さらに、本発明は、前記したような医療用コネクタのメスコネクタ部を構成するための射出成形品を有利に製造することができる、射出成形品の製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る射出成形品は、
医療用コネクタのメスコネクタ部を構成するための射出成形品であって、
天面、底面及び外周面を有する弁本体部と、該弁本体部の前記外周面より径方向外側に位置する耳部とを有する弁体と、
前記耳部と接した第1表面と、前記弁本体部の前記外周面と接した第2表面とを有するホルダとを備え、
前記耳部と前記ホルダの前記第1表面とは、互いに一体に成形されており、
前記弁本体部の前記外周面と前記ホルダの前記第2表面とは、前記耳部と前記ホルダの前記第1表面との接合強度より弱い接合強度で互いに一体に成形されており、又は互いに接合していないことを特徴とする。
また、本発明に係る射出成形品では、前記ホルダの第1表面は、粗面部又は凹凸部を有することが好ましい。
また、本発明に係る射出成形品では、
前記耳部は、前記弁本体部の前記外周面と径方向に対向する対向面を有し、
前記ホルダの前記第1表面は、前記対向面と接していることが好ましい。
さらに、本発明に係る射出成形品では、前記ホルダの前記第1表面は、前記対向面と接する部分に前記粗面部又は前記凹凸部を有することが好ましい。
また、本発明に係る医療用コネクタは、本発明に係る射出成形品を備えるメスコネクタ部を有することを特徴とする。
また、本発明に係る射出成形品の製造方法は、
本発明に係る射出成形品を製造する方法であって、
前記ホルダ及び前記弁体の一方である第1成形品を射出成形する第1射出工程と、
前記第1成形品が金型内に位置する状態で、前記ホルダ及び前記弁体の他方である第2成形品を射出成形する第2射出工程とを有することを特徴とする。
また、本発明に係る射出成形品の製造方法では、前記第2射出工程は、前記第1成形品を金型に残した状態で前記第2成形品を射出成形する2色成形工程であることが好ましい。
本発明によれば、ホルダによる弁体の耳部の十分な保持力を容易に確保することができる、医療用コネクタのメスコネクタ部を構成するための射出成形品を提供することができる。また、本発明によれば、ホルダによる弁体の耳部の十分な保持力を容易に確保することができる医療用コネクタを提供することができる。さらに、本発明によれば、前記したような医療用コネクタのメスコネクタ部を構成するための射出成形品を有利に製造することができる、射出成形品の製造方法を提供することができる。
本発明の第1実施形態に係る射出成形品及び医療用コネクタを示す斜視図である。 図1に示す医療用コネクタの分解斜視図である。 図1に示す医療用コネクタの平面図である。 図3のA−A線に沿う縦断面図である。 図4の部分拡大図であり、断面を表すハッチングを省略して示す。 図1に示す射出成形品によって構成される医療用コネクタの他の例を模式的に示す斜視図である。 図1に示す射出成形品の製造工程を示すフローチャートである。 本発明の第2実施形態に係る射出成形品及び医療用コネクタを図5に準じて示す縦断面図である。 本発明の第3実施形態に係る射出成形品及び医療用コネクタを図5に準じて示す縦断面図である。 本発明の第4実施形態に係る射出成形品及び医療用コネクタを図5に準じて示す縦断面図である。 本発明の第5実施形態に係る射出成形品及び医療用コネクタを図5に準じて示す縦断面図である。 本発明の第6実施形態に係る射出成形品及び医療用コネクタを図5に準じて示す縦断面図である。
以下、図面を参照して、本発明の様々な実施形態に係る、射出成形品及び医療用コネクタ並びに射出成形品の製造方法について詳細に例示説明する。
まず、図1〜図7を参照して、本発明の第1実施形態に係る、射出成形品1及び医療用コネクタ2並びに射出成形品1の製造方法について詳細に例示説明する。なお、本明細書において、上下方向とは、メスコネクタ部3の中心軸線Oに沿う方向を意味し、上とは弁体4から見て天面11側、下とは弁体4から見て底面12側を意味する。
図1〜図4に示すように、本実施形態に係る射出成形品1は、医療用コネクタ2のメスコネクタ部3を構成するためのものであり、弁体4と、ホルダ5とを備える一体成形品である。図2では、便宜上、弁体4とホルダ5とを互いに分離した状態で示しているが、弁体4とホルダ5とは、後述する射出成形によって一体に成形されている。
本実施形態では、医療用コネクタ2は、オスコネクタ部6がメスコネクタ部3の中心軸線Oと同芯に配置されたI型ポート2aとして構成されている。また、本実施形態では、メスコネクタ部3は、弁体4と、上部キャップ7と、下部キャップ8とによって構成されている。そして、本実施形態では、下部キャップ8が、射出成形品1のホルダ5に相当している。したがって、本実施形態では、図2に示すように、下部キャップ8(ホルダ5)と弁体4とを備える射出成形品1に、上部キャップ7を組み付けて構成されるキャップ部材9を、ハウジング10に組み付け、例えば溶着等によって適宜接合することにより、医療用コネクタ2が形成されている。
図5に示すように、弁体4は、天面11、底面12及び外周面13を有する弁本体部14を有している。また、弁体4は、弁本体部14の外周面13より径方向外側に位置する耳部15を有している。なお、図5中の二点鎖線は、弁本体部14と耳部15との境界を示している。また、本実施形態では、耳部15は弁体4の全周に亘って連続的に設けられている。なお、耳部15は、弁体4の全周に亘って間欠的に設けてもよい。本実施形態では、弁本体部14の外周面13は、底面12に隣接する下部外周面13aと、天面11に隣接する上部外周面13bとを有している。
ホルダ5は、耳部15と接した第1表面16を有している。また、ホルダ5は、弁本体部14の外周面13(下部外周面13a)と接した第2表面17を有している。そして、本実施形態では、耳部15とホルダ5の第1表面16とは、互いに一体に成形されている。また、弁本体部14の外周面13(下部外周面13a)とホルダ5の第2表面17とは、耳部15とホルダ5の第1表面16との接合強度より弱い接合強度で互いに一体に成形されており、又は互いに接合していない。
ここで、接合強度とは、単位面積当たりの接合力を意味する。また、第1表面16は、耳部15と接した表面の全体であるのが好ましいが、一部であってもよい。また、第2表面17は、弁本体部14の外周面13(下部外周面13a)と接した表面の全体であるのが好ましいが、一部であってもよい。
このように、耳部15とホルダ5の第1表面16とが互いに一体に成形されていることにより、ホルダ5による耳部15の十分な保持力を容易に確保することができる。また、弁体4が閉じているときには、ホルダ5の第2表面17が弁本体部14の外周面13(下部外周面13a)と接することにより、弁体4を安定して保持することができる一方、メスコネクタ部3に他の医療用コネクタのオスコネクタ部(図示省略)が接続されて弁体4が開くときには、弁本体部14の外周面13(下部外周面13a)は、ホルダ5の第2表面17との接合部を剥離させることにより、又はホルダ5の第2表面17と接合していないことにより、ホルダ5の第2表面17に対して相対的に移動することができる。したがって、弁体4をスムーズに開かせることができる。
また、本実施形態では、ホルダ5の第1表面16は、粗面部又は凹凸部を有している。したがって、ホルダ5による耳部15の保持力が、粗面部又は凹凸部による投錨効果によって高められている。ここで、凹凸部は、リブ又は溝を含むことが好ましい。なお、第1表面16が粗面部及び凹凸部のいずれをも有さない構成としてもよい。
また、本実施形態では、耳部15は、弁本体部14の外周面13と径方向に対向する対向面18を有している。本実施形態では、耳部15の対向面18は、下部外周面13aと径方向に対向する下部対向面18aと、上部外周面13bと径方向に対向する上部対向面18bとを有している。そして、ホルダ5の第1表面16は、対向面18(下部対向面18a)と接している。すなわち、ホルダ5の第1表面16が、耳部15における対向面18(下部対向面18a)と一体に成形されている。したがって、ホルダ5による耳部15の保持力が、対向面18(下部対向面18a)での接合力によって効果的に高められている。なお、図5中、太線によって下部対向面18aを示す。
また、本実施形態では、ホルダ5の第1表面16は、対向面18(下部対向面18a)と接する部分に前記粗面部又は前記凹凸部を有している。したがって、ホルダ5による耳部15の保持力は、対向面18(下部対向面18a)での投錨効果によって相乗的に高められている。
なお、本実施形態では、下部キャップ8は、弁本体部14の下部外周面13aに接する面と、耳部15の下部対向面18aに接する面と、メスコネクタ部3の内部空間に接する面とを有している。また、上部キャップ7は、弁本体部14の上部外周面13bに接する面と、耳部15の上部対向面18bに接する面と、メスコネクタ部3の外周面とを有している。
なお、本実施形態に係る射出成形品1は、I型ポート2aとして構成された医療用コネクタ2における閉鎖式のメスコネクタ部3を構成するためのものであったが、例えば、図6(a)に示すような三方活栓2bとして構成された医療用コネクタ2における閉鎖式のメスコネクタ部3を構成するためのものであってもよいし、図6(b)に示すようなT型ポート2cとして構成された医療用コネクタ2における閉鎖式のメスコネクタ部3を構成するためのものであってもよいし、その他の構成のコネクタにおける閉鎖式のメスコネクタ部3を構成するためのものであってもよい。なお、図6(a)に示す三方活栓2bは、開放式のメスコネクタ部19とオスコネクタ部20とを有している。また、図6(b)に示すT型ポート2cは、開放式のメスコネクタ部21とオスコネクタ部22とを有している。
本実施形態に係る射出成形品1の製造方法は、以下のとおりである。図7に示すように、本実施形態に係る射出成形品1の製造方法は、第1射出工程S1と、第2射出工程S2とを有している。第1射出工程S1では、下部キャップ8に相当するホルダ5と弁体4との一方である第1成形品を射出成形する。第2射出工程S2では、第1成形品が金型内に位置する状態で、ホルダ5及び弁体4の他方である第2成形品を射出成形する。ここで、ホルダ5は第1の材料からなり、弁体4は第1の材料とは異なる第2の材料からなっているが、通常は第1の材料の方が第2の材料よりも融点が低いため、第1成形品はホルダ5であることが好ましい。第2射出工程S2において金型内に射出される第2の材料の温度により、第1の材料からなる第1成形品の表面を溶かすことで第1の材料と第2の材料との界面での接合力(すなわち、耳部15とホルダ5の第1表面16との接合強度)を高めることができるからである。
なお、ホルダ5(下部キャップ8)に成形される第1の材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン;エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA);ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリスチレン;ポリアミド;ポリイミド;ポリアミドイミド;ポリカーボネート;ポリ−(4−メチルペンテン−1);アイオノマー;アクリル樹脂;ポリメチルメタクリレート;アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂);アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂);ブタジエン−スチレン共重合体;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)等のポリエステル;ポリエーテル;ポリエーテルケトン(PEK);ポリエーテルエーテルケトン(PEEK);ポリエーテルイミド;ポリアセタール(POM);ポリフェニレンオキシド;変性ポリフェニレンオキシド;ポリサルフォン;ポリエーテルサルフォン;ポリフェニレンサルファイド;ポリアリレート;芳香族ポリエステル(液晶ポリマー);ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂;などが挙げられる。また、これらのうちの1種以上を含むブレンド体やポリマーアロイなどでもよい。また、前記した溶融樹脂は、好適な剛性をもたせるために、ガラス繊維、無機フィラー、ウィスカ、炭素繊維等のフィラーを含有することができる。さらに、前記した溶融樹脂には、製造時の材料特性、又は製品の機械的若しくは化学的特性などを改善するために各種添加剤を添加してもよい。
また、弁体4に成形される第2の材料としては、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、エチレン−プロピレンゴム、ヒドリンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴムのような各種ゴム材料や、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマが挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を混合したものであってもよい。
第2射出工程S2は、第1成形品を金型に挿入して第2成形品を射出成形するインサート成形工程であってもよい。しかしながら、第2射出工程S2は、第1成形品を金型に残した状態で第2成形品を射出成形する2色成形工程であることが好ましい。第1の材料と第2の材料との界面での接合力(すなわち、耳部15とホルダ5の第1表面16との接合強度)を高め易いからである。
第1成形品をホルダ5とする場合、第1射出工程S1において、金型におけるホルダ5の第2表面17を成形する部分に、該第2表面17と弁本体部14の外周面13(下部外周面13a)との接合を抑制する被覆剤を塗布してホルダ5を射出成形し、成形されたホルダ5の第2表面17に被覆剤が金型から転写されるようにしてもよい。また、このような転写によらずに、成形されたホルダ5の第2表面17に被覆剤を直接適用するようにしてもよい。
また、第1成形品を弁体4とする場合、第1射出工程S1において、金型における弁本体部14の外周面13(下部外周面13a)を成形する部分に、該外周面13(下部外周面13a)とホルダ5の第2表面17との接合を抑制する被覆剤を塗布して弁体4を射出成形し、成形された弁体4の外周面13(下部外周面13a)に被覆剤が金型から転写されるようにしてもよい。また、このような転写によらずに、成形された弁体4の外周面13(下部外周面13a)に被覆剤を直接適用するようにしてもよい。
このような被覆剤の適用によれば、弁本体部14の外周面13(下部外周面13a)とホルダ5の第2表面17との接合強度を低減させた射出成形品1を容易に製造することができる。
次に、図8を参照して、本発明の第2実施形態に係る、射出成形品31及び医療用コネクタ32並びに射出成形品31の製造方法について詳細に例示説明する。前述した第1実施形態では、下部キャップ8が、射出成形品1のホルダ5に相当していたが(図5参照)、本実施形態では、上部キャップ7が、射出成形品1のホルダ5に相当している。したがって、本実施形態では、上部キャップ7(ホルダ5)と弁体4とを備える射出成形品31に、下部キャップ8を組み付けて構成されるキャップ部材33を、ハウジング10に組み付け、例えば溶着等によって適宜接合することにより、医療用コネクタ32が形成されている。その他の構成は、第1実施形態の場合と同じである。
図8に示すように、本実施形態では、ホルダ5は、耳部15と接した第1表面34を有している。また、ホルダ5は、弁本体部14の外周面13(上部外周面13b)と接した第2表面35を有している。そして、本実施形態では、耳部15とホルダ5の第1表面34とは、互いに一体に成形されている。また、弁本体部14の外周面13(上部外周面13b)とホルダ5の第2表面35とは、耳部15とホルダ5の第1表面34との接合強度より弱い接合強度で互いに一体に成形されており、又は互いに接合していない。ここで、第1表面34は、耳部15と接した表面の全体であるのが好ましいが、一部であってもよい。また、第2表面35は、弁本体部14の外周面13(上部外周面13b)と接した表面の全体であるのが好ましいが、一部であってもよい。
このように、耳部15とホルダ5の第1表面34とが互いに一体に成形されていることにより、ホルダ5による耳部15の十分な保持力を容易に確保することができる。また、弁体4が閉じているときには、ホルダ5の第2表面35が弁本体部14の外周面13(上部外周面13b)と接することにより、弁体4を安定して保持することができる一方、メスコネクタ部3に他の医療用コネクタのオスコネクタ部(図示省略)が接続されて弁体4が開くときには、弁本体部14の外周面13(上部外周面13b)は、ホルダ5の第2表面35との接合部を剥離させることにより、又はホルダ5の第2表面35と接合していないことにより、ホルダ5の第2表面35に対して相対的に移動することができる。したがって、弁体4をスムーズに開かせることができる。
また、本実施形態では、ホルダ5の第1表面34は、粗面部又は凹凸部を有している。したがって、ホルダ5による耳部15の保持力が、粗面部又は凹凸部による投錨効果によって高められている。ここで、凹凸部は、リブ又は溝を含むことが好ましい。なお、第1表面34が粗面部及び凹凸部のいずれをも有さない構成としてもよい。
また、本実施形態では、ホルダ5の第1表面34は、対向面18(上部対向面18b)と接している。すなわち、ホルダ5の第1表面34が、耳部15における対向面18(上部対向面18b)と一体に成形されている。したがって、ホルダ5による耳部15の保持力が、対向面18(上部対向面18b)での接合力によって効果的に高められている。なお、図8中、太線によって上部対向面18bを示す。
また、本実施形態では、ホルダ5の第1表面34は、対向面18(上部対向面18b)と接する部分に前記粗面部又は前記凹凸部を有している。したがって、ホルダ5による耳部15の保持力は、対向面18(上部対向面18b)での投錨効果によって相乗的に高められている。
また、上記のような構成とすることで、例えば、メスコネクタ部3に他の医療用コネクタのオスコネクタ部を挿入し、当該オスコネクタ部によって弁本体部14を押し込んだ際に、それに伴って耳部15の上部がホルダ5から外れ、径方向内側に引き摺られてしまうことを効果的に防止することができる。
本実施形態に係る射出成形品31の製造方法は、ホルダ5が上部キャップ7に相当している点を除き、第1の実施形態の場合と同様である。すなわち、本実施形態に係る射出成形品31の製造方法は、上部キャップ7に相当するホルダ5と弁体4との一方である第1成形品を射出成形する第1射出工程S1と、第1成形品が金型内に位置する状態で、ホルダ5及び弁体4の他方である第2成形品を射出成形する第2射出工程S2とを有している。本実施形態においても、ホルダ5は第1の材料からなる。すなわち、上部キャップ7は、下部キャップ8の場合と同様に、前述した第1の材料で成形することができる。なお、本実施形態においても、第1成形品はホルダ5であることが好ましい。
第2射出工程S2は、第1成形品を金型に挿入して第2成形品を射出成形するインサート成形工程であってもよい。しかしながら、第2射出工程S2は、第1成形品を金型に残した状態で第2成形品を射出成形する2色成形工程であることが好ましい。第1の材料と第2の材料との界面での接合力(すなわち、耳部15とホルダ5の第1表面34との接合強度)を高め易いからである。
第1成形品をホルダ5とする場合、第1射出工程S1において、金型におけるホルダ5の第2表面35を成形する部分に、該第2表面35と弁本体部14の外周面13(上部外周面13b)との接合を抑制する被覆剤を塗布してホルダ5を射出成形し、成形されたホルダ5の第2表面35に被覆剤が金型から転写されるようにしてもよい。また、このような転写によらずに、成形されたホルダ5の第2表面35に被覆剤を直接適用するようにしてもよい。
また、第1成形品を弁体4とする場合、第1射出工程S1において、金型における弁本体部14の外周面13(上部外周面13b)を成形する部分に、該外周面13(上部外周面13b)とホルダ5の第2表面35との接合を抑制する被覆剤を塗布して弁体4を射出成形し、成形された弁体4の外周面13(上部外周面13b)に被覆剤が金型から転写されるようにしてもよい。また、このような転写によらずに、成形された弁体4の外周面13(上部外周面13b)に被覆剤を直接適用するようにしてもよい。
このような被覆剤の適用によれば、弁本体部14の外周面13(上部外周面13b)とホルダ5の第2表面35との接合強度を低減させた射出成形品31を容易に製造することができる。
次に、図9を参照して、本発明の第3実施形態に係る、射出成形品41及び医療用コネクタ42並びに射出成形品41の製造方法について詳細に例示説明する。前述した第1実施形態では、下部キャップ8が、射出成形品1のホルダ5に相当していたが(図5参照)、本実施形態では、上部キャップ7及び下部キャップ8が、射出成形品41のホルダ5に相当している。したがって、本実施形態では、上部キャップ7及び下部キャップ8(ホルダ5)と弁体4とを備える射出成形品41で構成されるキャップ部材43を、ハウジング10に組み付け、例えば溶着等によって適宜接合することにより、医療用コネクタ42が形成されている。その他の構成は、第1実施形態の場合と同じである。
図9に示すように、本実施形態では、ホルダ5は、耳部15と接した第1表面44を有している。また、ホルダ5は、弁本体部14の外周面13と接した第2表面45を有している。そして、本実施形態では、耳部15とホルダ5の第1表面44とは、互いに一体に成形されている。また、弁本体部14の外周面13とホルダ5の第2表面45とは、耳部15とホルダ5の第1表面44との接合強度より弱い接合強度で互いに一体に成形されており、又は互いに接合していない。ここで、第1表面44は、耳部15と接した表面の全体であるのが好ましいが、一部であってもよい。また、第2表面45は、弁本体部14の外周面13(下部外周面13a及び上部外周面13b)と接した表面の全体であるのが好ましいが、一部であってもよい。
このように、耳部15とホルダ5の第1表面44とが互いに一体に成形されていることにより、ホルダ5による耳部15の十分な保持力を容易に確保することができる。また、弁体4が閉じているときには、ホルダ5の第2表面45が弁本体部14の外周面13と接することにより、弁体4を安定して保持することができる一方、メスコネクタ部3に他の医療用コネクタのオスコネクタ部(図示省略)が接続されて弁体4が開くときには、弁本体部14の外周面13は、ホルダ5の第2表面45との接合部を剥離させることにより、又はホルダ5の第2表面45と接合していないことにより、ホルダ5の第2表面45に対して相対的に移動することができる。したがって、弁体4をスムーズに開かせることができる。
また、本実施形態では、ホルダ5の第1表面44は、粗面部又は凹凸部を有している。したがって、ホルダ5による耳部15の保持力が、粗面部又は凹凸部による投錨効果によって高められている。ここで、凹凸部は、リブ又は溝を含むことが好ましい。なお、第1表面44が粗面部及び凹凸部のいずれをも有さない構成としてもよい。
また、本実施形態では、ホルダ5の第1表面44は、対向面18(上部対向面18b及び/又は下部対向面18a)と接している。すなわち、ホルダ5の第1表面44が、耳部15における対向面18(上部対向面18b及び/又は下部対向面18a)と一体に成形されている。したがって、ホルダ5による耳部15の保持力が、対向面18(上部対向面18b及び/又は下部対向面18a)での接合力によって効果的に高められている。なお、図9中、太線によって上部対向面18b及び下部対向面18aをそれぞれ示す。
また、本実施形態では、ホルダ5の第1表面44は、対向面18(上部対向面18b及び/又は下部対向面18a)と接する部分に前記粗面部又は前記凹凸部を有している。したがって、ホルダ5による耳部15の保持力は、対向面18(上部対向面18b及び/又は下部対向面18a)での投錨効果によって相乗的に高められている。
本実施形態に係る射出成形品41の製造方法は、ホルダ5が上部キャップ7及び下部キャップ8に相当している点を除き、第1の実施形態の場合と同様である。すなわち、本実施形態に係る射出成形品41の製造方法は、弁体4である第1成形品を射出成形する第1射出工程S1と、第1成形品が金型内に位置する状態で、上部キャップ7及び下部キャップ8に相当するホルダ5である第2成形品を射出成形する第2射出工程S2とを有している。本実施形態においても、ホルダ5は第1の材料からなる。
第2射出工程S2は、第1成形品を金型に挿入して第2成形品を射出成形するインサート成形工程であってもよい。しかしながら、第2射出工程S2は、第1成形品を金型に残した状態で第2成形品を射出成形する2色成形工程であることが好ましい。第1の材料と第2の材料との界面での接合力(すなわち、耳部15とホルダ5の第1表面44との接合強度)を高め易いからである。
第1射出工程S1において、金型における弁本体部14の外周面13(下部外周面13a及び上部外周面13b)を成形する部分に、該外周面13(下部外周面13a及び上部外周面13b)とホルダ5の第2表面45との接合を抑制する被覆剤を塗布して弁体4を射出成形し、成形された弁体4の外周面13(下部外周面13a及び上部外周面13b)に被覆剤が金型から転写されるようにしてもよい。また、このような転写によらずに、成形された弁体4の外周面13(下部外周面13a及び上部外周面13b)に被覆剤を直接適用するようにしてもよい。
このような被覆剤の適用によれば、弁本体部14の外周面13(下部外周面13a及び上部外周面13b)とホルダ5の第2表面45との接合強度を低減させた射出成形品41を容易に製造することができる。
なお、本実施形態に係る射出成形品41は、以下の要領で製造してもよい。まず、第1工程として、ホルダ5の一部(下部キャップ8及び上部キャップ7の一方)を射出成形する。次に、第2工程として、ホルダ5の前記一部が金型内に位置する状態で、弁体4を射出成形する。次に、第3工程として、ホルダ5の前記一部及び弁体4が金型内に位置する状態で、ホルダ5の残りの一部(下部キャップ8及び上部キャップ7の他方)を射出成形する。
ここで、第2工程は、ホルダ5の前記一部を金型に挿入して弁体4を射出成形するインサート成形工程であってもよい。しかしながら、第2工程は、ホルダ5の前記一部を金型に残した状態で、弁体4を射出成形する2色成形工程であることが好ましい。また、第3工程は、ホルダ5の前記一部及び弁体4を金型に挿入して、ホルダ5の残りの一部(下部キャップ8及び上部キャップ7の他方)を射出成形するインサート成形工程であってもよい。しかしながら、第3工程は、ホルダ5の前記一部及び弁体4を金型に残した状態で、ホルダ5の残りの一部(下部キャップ8及び上部キャップ7の他方)を射出成形する2色成形工程であることが好ましい。
第1工程において、金型におけるホルダ5の前記一部の第2表面45を成形する部分に、該第2表面45と弁本体部14の外周面13との接合を抑制する被覆剤を塗布してホルダ5の前記一部を射出成形し、成形されたホルダ5の前記一部の第2表面45に被覆剤が金型から転写されるようにしてもよい。また、このような転写によらずに、成形されたホルダ5の前記一部の第2表面45に被覆剤を直接適用するようにしてもよい。
また、第2工程において、金型における弁本体部14の外周面13を成形する部分に、該外周面13とホルダ5の前記残りの一部の第2表面45との接合を抑制する被覆剤を塗布して弁体4を射出成形し、成形された弁体4の外周面13に被覆剤が金型から転写されるようにしてもよい。また、このような転写によらずに、成形された弁体4の外周面13に被覆剤を直接適用するようにしてもよい。
このような被覆剤の適用によれば、弁本体部14の外周面13とホルダ5の第2表面45との接合強度を低減させた射出成形品41を容易に製造することができる。
次に、図10を参照して、本発明の第4実施形態に係る、射出成形品51及び医療用コネクタ52並びに射出成形品51の製造方法について詳細に例示説明する。前述した第1実施形態では、メスコネクタ部3は、弁体4と、上部キャップ7と、下部キャップ8とによって構成されていたが、本実施形態では、図10に示すように、メスコネクタ部3は、弁体4と、リング53と、キャップ54とによって構成されている。リング53は、弁本体部14の上部外周面13bに接する面と、耳部15の上部対向面18bに接する面とを有している。また、キャップ54は、弁本体部14の下部外周面13aに接する面と、耳部15の下部対向面18aに接する面と、メスコネクタ部3の内部空間に接する面と、メスコネクタ部3の外周面とを有している。そして、本実施形態では、キャップ54が、射出成形品51のホルダ5に相当している。
したがって、本実施形態では、キャップ54(ホルダ5)と弁体4とを備える射出成形品51に、リング53を組み付け、図10において二点鎖線の矢印で示すようにキャップ54の上端を溶融変形させつつリング53に溶着することで、キャップ部材55が構成されている。そして、そのキャップ部材55を、ハウジング10に組み付け、例えば溶着等によって適宜接合することにより、医療用コネクタ52が形成されている。その他の構成は、第1実施形態の場合と同じである。このような構成によっても、下部キャップ8がホルダ5に相当する第1実施形態の場合と同様の効果を得ることができる。また、本実施形態に係る射出成形品51は、第1実施形態の場合と同様にして製造することができる。
次に、図11を参照して、本発明の第5実施形態に係る、射出成形品61及び医療用コネクタ62並びに射出成形品61の製造方法について詳細に例示説明する。前述した第4実施形態では、キャップ54が、射出成形品51のホルダ5に相当していたが、本実施形態では、リング53が射出成形品61のホルダ5に相当している。その他の構成は、第4実施形態の場合と同じである。このような構成によっても、上部キャップ7がホルダ5に相当する第2実施形態の場合と同様の効果を得ることができる。また、本実施形態に係る射出成形品61は、第2実施形態の場合と同様にして製造することができる。
次に、図12を参照して、本発明の第6実施形態に係る、射出成形品71及び医療用コネクタ72並びに射出成形品71の製造方法について詳細に例示説明する。前述した第4実施形態では、キャップ54が、射出成形品51のホルダ5に相当していたが、本実施形態では、リング53及びキャップ54が射出成形品71のホルダ5に相当している。その他の構成は、第4実施形態の場合と同じである。このような構成によっても、上部キャップ7及び下部キャップ8がホルダ5に相当する第3実施形態の場合と同様の効果を得ることができる。また、本実施形態に係る射出成形品71は、第3実施形態の場合と同様にして製造することができる。
以上、本発明の様々な実施形態について説明したが、前述したところは本発明の実施形態の一例を示したにすぎず、発明の要旨を逸脱しない限り、種々の変更を加えてよいことは言うまでもない。
1 射出成形品
2 医療用コネクタ
2a I型ポート
2b 三方活栓
2c T型ポート
3 メスコネクタ部
4 弁体
5 ホルダ
6 オスコネクタ部
7 上部キャップ
8 下部キャップ
9 キャップ部材
10 ハウジング
11 天面
12 底面
13 外周面
13a 下部外周面
13b 上部外周面
14 弁本体部
15 耳部
16 第1表面
17 第2表面
18 対向面
18a 下部対向面
18b 上部対向面
19 メスコネクタ部
20 オスコネクタ部
21 メスコネクタ部
22 オスコネクタ部
31 射出成形品
32 医療用コネクタ
33 キャップ部材
34 第1表面
35 第2表面
41 射出成形品
42 医療用コネクタ
43 キャップ部材
44 第1表面
45 第2表面
51 射出成形品
52 医療用コネクタ
53 リング
54 キャップ
55 キャップ部材
61 射出成形品
62 医療用コネクタ
71 射出成形品
72 医療用コネクタ
O 中心軸線

Claims (7)

  1. 医療用コネクタのメスコネクタ部を構成するための射出成形品であって、
    天面、底面及び外周面を有する弁本体部と、該弁本体部の前記外周面より径方向外側に位置する耳部とを有する弁体と、
    前記耳部と接した第1表面と、前記弁本体部の前記外周面と接した第2表面とを有するホルダとを備え、
    前記耳部と前記ホルダの前記第1表面とは、互いに一体に成形されており、
    前記弁本体部の前記外周面と前記ホルダの前記第2表面とは、前記耳部と前記ホルダの前記第1表面との接合強度より弱い接合強度で互いに一体に成形されており、又は互いに接合していないことを特徴とする射出成形品。
  2. 前記ホルダの第1表面は、粗面部又は凹凸部を有する、請求項1に記載の射出成形品。
  3. 前記耳部は、前記弁本体部の前記外周面と径方向に対向する対向面を有し、
    前記ホルダの前記第1表面は、前記対向面と接している、請求項2に記載の射出成形品。
  4. 前記ホルダの前記第1表面は、前記対向面と接する部分に前記粗面部又は前記凹凸部を有する、請求項3に記載の射出成形品。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の射出成形品を備えるメスコネクタ部を有することを特徴とする医療用コネクタ。
  6. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の射出成形品を製造する方法であって、
    前記ホルダ及び前記弁体の一方である第1成形品を射出成形する第1射出工程と、
    前記第1成形品が金型内に位置する状態で、前記ホルダ及び前記弁体の他方である第2成形品を射出成形する第2射出工程とを有することを特徴とする、射出成形品の製造方法。
  7. 前記第2射出工程は、前記第1成形品を金型に残した状態で前記第2成形品を射出成形する2色成形工程である、請求項6に記載の射出成形品の製造方法。
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