JP2018130450A - 電子内視鏡システム - Google Patents

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Abstract

【課題】光学系を複雑化することなく、生体組織の表面からの深さが異なる血管を識別可能な撮影画像を生成する電子内視鏡システムを提供する。
【解決手段】電子内視鏡システムを、生体組織のカラー撮影画像を撮影して、画像信号を生成する撮影手段と、画像信号から、生体組織の表層血管を表す表層血管成分と、生体組織の深層血管を表す深層血管成分を生成する血管成分生成手段と、表層血管成分と深層血管成分を合成して、表層血管と深層血管を識別可能な合成画像信号を生成する合成画像生成手段と、から構成する。
【選択図】図4

Description

本発明は、電子内視鏡システムに関する。
人体内部の観察や治療に電子内視鏡が使用されている。電子内視鏡観察では、照明光が生体組織に照射され、生体組織における反射光が撮像される。この反射光には、生体組織の表層部や深層部など、様々な深さで反射された光が含まれる。そのため、術者にとって、撮影された生体組織の画像が、どの深さの生体組織の画像であるかを識別するのが困難であった。
特許文献1には、フィルタによって生体組織に照射する照明光の波長帯域を切り替えることにより、生体組織の表面からの深さが異なる血管を識別可能な電子内視鏡システムが記載されている。特許文献1に記載の電子内視鏡システムでは、血管の吸収スペクトルが深さによって変わることを利用し、生体組織に照射する照明光のスペクトルを切り替えることにより、深さ毎の血管の撮影画像を得ている。
特開2006−218283号公報
特許文献1に記載の電子内視鏡システムでは、照明光のスペクトルを切り替えるために波長フィルタが使用されるため、光学系が複雑化し、電子内視鏡システムの大型化や製造コストが増加するという問題が生じる。
本発明は、上記の事情を鑑みてなされたものであり、光学系を複雑化することなく、生体組織の表面からの深さが異なる血管を識別可能な撮影画像を生成する電子内視鏡システムを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明の一実施形態の電子内視鏡システムは、生体組織のカラー撮影画像を撮影して、画像信号を生成する撮影手段と、画像信号から、生体組織の表層血管を表す表層血管成分と、生体組織の深層血管を表す深層血管成分を生成する血管成分生成手段と、表層血管成分と深層血管成分を合成して、表層血管と深層血管を識別可能な合成画像信号を生成する合成画像生成手段と、を備える。
このような構成によれば、一つの画像信号から表層血管成分と深層血管成分が生成されて、表層血管と深層血管を識別可能な画像信号が生成される。そのため、表層血管と深層血管を識別するために、照明光のスペクトルを変えながら複数の画像信号を生成する必要が無い。これにより、撮影手段の光学系の構成を簡素化できる。
また、本発明の一実施形態によれば、電子内視鏡システムは、例えば、画像信号の各画素について、表層血管成分及び深層血管成分をそれぞれ、表層血管成分の信号レベル及び深層血管成分の信号レベルに応じて増幅する、血管成分増幅手段を更に備える。
また、本発明の一実施形態によれば、血管成分増幅手段は、例えば、表層血管成分の信号レベルが大きいほど、大きい増幅率で表層血管成分を増幅し、深層血管成分の信号レベルが大きいほど、大きい増幅率で深層血管成分を増幅する。
また、本発明の一実施形態によれば、電子内視鏡システムは、例えば、画像信号を輝度信号Y、色差信号Cb、色差信号Crに分離する画像信号分離手段を更に備える。この場合、血管成分生成手段は、色差信号Cb及び色差信号Crを、表層血管成分及び深層血管成分に変換する。
また、本発明の一実施形態によれば、血管成分生成手段は、例えば、色差信号Cb及び色差信号CrをCbCr色平面内で座標変換することにより、表層血管成分及び深層血管成分を生成する。
また、本発明の一実施形態によれば、血管成分生成手段は、例えば、CbCr色平面内において、Cb軸及びCr軸を原点の周りで回転させることにより、色差信号Cb及び色差信号Crから表層血管成分及び深層血管成分を生成する。
また、本発明の一実施形態によれば、合成画像信号は、例えば、輝度信号Y´、色差信号Cb´、色差信号Cr´を含む。また、色差信号Cr´は、表層血管成分と表層血管成分の線形結合を含む。
また、本発明の一実施形態によれば、色差信号Cb´は、例えば、色差信号Cbを所定倍したものである。
また、本発明の一実施形態によれば、電子内視鏡システムは、例えば、輝度信号Yに対して強調処理を施して、輝度信号Y´を生成する輝度信号強調手段を更に備える。
また、本発明の一実施形態によれば、輝度信号強調手段は、例えば、画像信号の対象画素の輝度信号Yと対象画素の周囲の画素の輝度信号Yとの間に信号レベル差がある場合に、信号レベル差が大きくなるように対象画素の輝度信号Yを増幅して輝度信号Y´を生成する。
本発明によれば、光学系を複雑化することなく、生体組織の表面からの深さが異なる血管を識別可能な撮影画像を生成する電子内視鏡システムが提供される。
本発明の実施形態における電子内視鏡システムの概略構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態における前段信号処理回路の構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態におけるモニタに表示される生体組織のカラー撮影画像の例である。 本発明の実施形態における前段信号処理回路が備える層構造強調部の構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態における座標変換部による座標変換処理を説明するための図である。 本発明の実施形態における色差信号Cb、Crの画像である。 本発明の実施形態における表層血管成分Ss、深層血管成分Sdの画像である。 本発明の実施形態における色差信号Cb´、Cr´の画像である。 本発明の実施形態におけるCb´Cr´色平面である。 本発明の実施形態における輝度信号強調部による強調処理を説明するためのブロック図である。 本発明の実施形態におけるモニタに表示される合成画像である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下においては、本発明の一実施形態として電子内視鏡システムを例に取り説明する。
[電子内視鏡システム1全体の構成]
図1は、本実施形態の電子内視鏡システム1の概略構成を示すブロック図である。図1に示されるように、電子内視鏡システム1は、電子スコープ100、プロセッサ200及びモニタ300を備えている。
プロセッサ200は、システムコントローラ201及びタイミングコントローラ202を備えている。システムコントローラ201は、メモリ206に記憶された各種プログラムを実行し、電子内視鏡システム1全体を統合的に制御する。また、システムコントローラ201は、操作パネル207に接続されている。システムコントローラ201は、操作パネル207より入力される術者からの指示に応じて、電子内視鏡システム1の各動作及び各動作のためのパラメータを変更する。タイミングコントローラ202は、各部の動作のタイミングを調整するクロックパルスを電子内視鏡システム1内の各回路に出力する。
ランプ204は、ランプ電源イグナイタ203による始動後、照射光Lを射出する。ランプ204は、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、水銀ランプ、メタルハライドランプ等の高輝度ランプである。また、ランプ204は、LD(Laser Diode)やLED(Light Emitting Diode)等の半導体発光素子であってもよい。照射光Lは、主に可視光領域から不可視である赤外光領域に広がるスペクトルを持つ光(又は少なくとも可視光領域を含む白色光)である。
ランプ204より射出された照射光Lは、集光レンズ205によりLCB(Light Carrying Bundle)102の入射端面に集光されてLCB102内に入射される。
LCB102内に入射された照射光Lは、LCB102内を伝播して電子スコープ100の先端に配置されたLCB102の射出端面より射出され、配光レンズ104を介して被写体に照射される。照射光Lにより照射された被写体からの戻り光は、対物レンズ106を介して固体撮像素子108の受光面上で光学像を結ぶ。
固体撮像素子108は、ベイヤ型画素配置を有する単板式カラーCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサである。固体撮像素子108は、受光面上の各画素で結像した光学像を光量に応じた電荷として蓄積して、R(Red)、G(Green)、B(Blue)の撮像信号を生成して出力する。なお、固体撮像素子108は、CCDイメージセンサに限らず、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサやその他の種類の撮像装置に置き換えられてもよい。固体撮像素子108はまた、補色系フィルタを搭載したものであってもよい。
電子スコープ100の接続部内には、ドライバ信号処理回路110が備えられている。ドライバ信号処理回路110には、撮像信号がフィールド周期で固体撮像素子108より入力される。なお、以降の説明において「フィールド」は「フレーム」に置き替えてもよい。本実施形態において、フィールド周期、フレーム周期はそれぞれ、1/60秒、1/30秒である。ドライバ信号処理回路110は、固体撮像素子108より入力される撮像信号に対して所定の処理を施してプロセッサ200の前段信号処理回路208に出力する。
ドライバ信号処理回路110はまた、メモリ112にアクセスして電子スコープ100の固有情報を読み出す。メモリ112に記録される電子スコープ100の固有情報には、例えば、固体撮像素子108の画素数や感度、動作可能なフィールドレート、型番等が含まれる。ドライバ信号処理回路110は、メモリ112より読み出された固有情報をシステムコントローラ201に出力する。
システムコントローラ201は、電子スコープ100の固有情報に基づいて各種演算を行い、制御信号を生成する。システムコントローラ201は、生成された制御信号を用いて、プロセッサ200に接続されている電子スコープ100に適した処理がなされるようにプロセッサ200内の各種回路の動作やタイミングを制御する。
タイミングコントローラ202は、システムコントローラ201によるタイミング制御に従って、ドライバ信号処理回路110にクロックパルスを供給する。ドライバ信号処理回路110は、タイミングコントローラ202から供給されるクロックパルスに従って、固体撮像素子108をプロセッサ200側で処理される映像のフィールドレートに同期したタイミングで駆動制御する。
前段信号処理回路208は、ドライバ信号処理回路110より1フィールド周期で入力される画像信号に対して色補間、マトリックス演算、Y/C分離等の所定の信号処理を施して、後段信号処理回路209に出力する。前段信号処理回路208の詳細は後述する。
後段信号処理回路209は、前段信号処理回路208より入力される画像信号を処理してモニタ表示用の画面データを生成し、生成されたモニタ表示用の画面データを所定のビデオフォーマットのビデオ信号に変換する。変換されたビデオ信号は、モニタ300に出力される。これにより、被写体のカラー画像がモニタ300の表示画面に表示される。
本実施形態のプロセッサ200は、2つの動作モードで動作する。一つは、通常観察画像をモニタ300の画面に表示する通常表示モードであり、もう一つは、層構造強調処理が施された層構造強調画像をモニタ300の画面に表示する層構造強調表示モードである。前段信号処理回路208による信号処理は、動作モードに応じて変化する。まず、通常表示モードにおける前段信号処理回路208の処理内容について説明する。
[前段信号処理回路208の構成]
図2は、本実施形態の前段信号処理回路208の構成を示すブロック図である。前段信号処理回路208は、クランプ処理部221、欠陥補正処理部222、デモザイク処理部223、リニアマトリックス処理部224、ホワイトバランス処理部225、輪郭補正処理部226、YC分離処理部227及び層構造強調部228を備えている。
クランプ処理部221は、画像信号からオフセット成分を除去するクランプ処理を行う機能ブロックである。
欠陥補正処理部222は、欠陥画素の画素値をその周囲の画素の画素値を用いて補正する欠陥補正処理を行う機能ブロックである。
デモザイク処理部223は、単色の色情報を有する画素からなる撮像データ(RAWデータ)をフルカラーの画素値を有する画素からなる画像データに変換するデモザイク処理(補間処理)を行う機能ブロックである。
リニアマトリックス処理部224は、カラーマトリックスを用いて撮像素子の分光特性を補正するリニアマトリックス処理を行う機能ブロックである。
ホワイトバランス処理部225は、照明光のスペクトル特性を補正するホワイトバランス処理を行う機能ブロックである。
輪郭補正処理部226は、画像信号の空間周波数特性の劣化を補償する輪郭補正処理を行う機能ブロックである。
YC分離処理部227は、輪郭補正処理部226から出力されたRGB信号に対して色空間の変換を行って、輝度信号Y及び色信号C(色差信号Cb、Cr)を生成する機能ブロックである。
数式1は、YC分離処理部227において行われる、カラーマトリックスM1を使用した信号変換を表す変換式である。
Figure 2018130450
カラーマトリックスM1は、例えば、標準YC分離処理に使用される一般的なカラーマトリックスであり、ITU-R BT.601規格に準拠するものである。なお、カラーマトリックスM1は、数式1に記載のマトリックスに限定されない。カラーマトリックスM1は、使用する固体撮像素子108やモニタ300の仕様に応じて、適宜変更されてもよい。
YC分離処理部227によって生成されたYCbCr信号は、層構造強調部228に入力される。層構造強調部228は、通常表示モードでは信号処理を行わず、入力された信号をそのまま後段信号処理回路209出力する。
YC分離処理部227によって生成されたYCbCr信号は、後段信号処理回路209によりビデオ信号に変換されて、モニタ300へ出力される。モニタ300には、ビデオ信号に基づく生体組織のカラー撮影画像が表示される。
図3は、モニタ300に表示される生体組織のカラー撮影画像の例を示す。図3において、比較的細い線として表れているのは、生体組織の表層部に含まれる血管(表層血管)である。また、図3において、比較的太い線として表れているのは、生体組織の深層部に含まれる血管(深層血管)である。表層血管及び深層血管以外の箇所は、生体組織に含まれる粘膜である。
生体組織に発生する病変部には、その種類に応じて、生体組織の表層部分にのみに現れるものや、表層部分から深層部分にかけて現れるもの等がある。そのため、生体組織の病変部と健常部を識別するためには、表層血管と深層血管を区別して観察できることが望ましい。しかし、通常のカラー撮影画像では、表層血管と深層血管を識別することが困難であった。カラー撮影画像から表層血管と深層血管を識別することが困難である理由について、以下に説明する。
生体組織に白色の照明光が照射された場合について考える。生体組織の表層血管に照明光が照射されると、照明光に含まれる青色の光や緑色の光は表層血管に含まれるヘモグロビンによって吸収される。一方、照明光に含まれる赤色の光は吸収されず、ヘモグロビンで反射される。そのため、表層血管は、カラー撮影画像では赤色(或いは、褐色や橙色等の赤味を有する色)として観察される。これに対し、深層血管に照明光が照射されると、青色の光は、深層血管に到達する前に粘膜によって反射される。また、深層血管に到達した赤色の光はヘモグロビンで反射される。また、青色と赤色の中間の波長を有する緑色の光は、血管に含まれるヘモグロビンによって吸収される。そのため、深層血管は、カラー撮影画像では、反射された青色の光と赤色の光とが混ざったマゼンタ(或いは、紫色)として観察される。
このように、表層血管と深層血管は、光の吸収スペクトルの違いにより、カラー撮影画像では異なる色として表示される。しかし、表層血管と深層血管は何れも赤色の成分を有している。そのため、術者が表層血管と深層血管の色の違いを熟知していない場合や、照明光のスペクトルや粘膜の特性等によっては、カラー撮影画像から表層血管と深層血管を識別することが困難な場合があった。例えば、図3に示されるカラー撮影画像では、表層血管と深層血管がほぼ同じ色として表示されてしまい、両者を識別することができなかった。
そこで、本実施形態の電子内視鏡システム1は、層構造強調モードにおいて、表層血管と深層血管との違いを強調し、術者が表層血管と深層血管を識別し易い撮影画像を生成する。以下で、層構造強調モードにおける前段信号処理回路208の処理内容について説明する。
電子内視鏡システム1の動作モードは、術者が操作パネル207を操作することによって切り替え可能である。電子内視鏡システム1の動作モードが層構造強調モードに切り替えられると、層構造強調部228によってYCbCr信号に対する層構造強調処理が行われる。
[層構造強調部228の構成]
図4は、前段信号処理回路208が備える層構造強調部228の構成を示すブロック図である。層構造強調部228は、座標変換部231、レンジ拡張部232、色差信号合成部233、輝度信号強調部234を備える。
座標変換部231は、YC分離処理部227から出力されたYCbCr信号のうち、CbCr信号に対する座標変換処理を行う。図5は、この座標変換処理を説明するための図である。図5は、CbCr色平面を示しており、大まかには、第1象限がマゼンタ、第2象限が赤色、第3象限が緑色、第4象限がシアンに対応する。表層血管は赤味を帯びているため、表層血管に対応する画素のCbCr信号は、CbCr色平面の第2象限に表れやすい。一方、深層血管はマゼンタを有しているため、深層血管に対応する画素のCbCr信号は、CbCr色平面の第1象限に表れやすい。
座標変換処理では、表層血管と深層血管の違いを強調するように座標変換が行われる。座標変換処理では、CbCr色平面に表層血管軸と深層血管軸が定義される。表層血管軸は、表層血管に対応する画素のCbCr信号が表れる第2象限を通るように定義される。また、深層血管軸は、深層血管に対応する画素のCbCr信号が表れる第1象限を通るように定義される。座標変換処理では、Cb軸及びCr軸から表層血管軸及び深層血管軸への座標軸の変換が行われる。
座標変換部231で実行される座標変換処理は、例えば、数式2によって示される座標軸の回転処理である。
Figure 2018130450
ここで、Cb、Crはそれぞれ、各画素の色差信号Cb、色差信号Cbの値(信号レベル)である。θは座標軸の回転角度である。Ss、Sdはそれぞれ、座標軸回転後の各画素の表層血管成分、深層血管成分の値である。表層血管成分Ss、深層血管成分Sdはそれぞれ、生体組織に含まれる表層血管、深層血管を表す成分である。図5に示す例では、深層血管軸及び表層血管軸はそれぞれ、Cb軸及びCr軸を原点の周りで135°だけ回転させたものである。これにより、表層血管軸は、CbCr色平面内において、第4象限から第2象限に向かう軸となる。また、深層血管軸は、CbCr色平面内において、第1象限から第2象限に向かう軸となる。
図5に示す例では、表層血管は赤味を有する(CbCr色平面の第2象限に表れる)ため、表層血管に対応する画素の表層血管成分Ssは正の値を取る。また、深層血管はマゼンタを有する(CbCr色平面の第1象限に表れる)ため、深層血管に対応する画素の深層血管成分Sdは負の値を取る。
図6は、座標変換処理が行われる前の色差信号Cb、Crの画像を示す。図7は、座標変換によって得られた表層血管成分Ss、深層血管成分Sdの画像を示す。表層血管と深層血管は、元のカラー撮影画像では同系色の色であり、識別が困難である。そのため、撮影画像を色差信号Cb、Crに分けたとしても、表層血管と深層血管を容易に識別可能な画像を得ることができない。これに対し、表層血管成分Ss、深層血管成分Sdはそれぞれ、表層血管、深層血管に対応する画素においてその絶対値が大きくなる。そのため、図7に示すように、表層血管成分Ssの画像では表層血管が強調され、深層血管成分Sdの画像では深層血管が強調される。
レンジ拡張部232は、座標変換処理によって得られた表層血管成分Ss及び深層血管成分Sdに対してレンジ拡張処理を行う。レンジ拡張処理では、表層血管成分Ss又は深層血管成分Sdの絶対値が所定の閾値よりも大きい場合に、その成分を増幅する処理である。詳しくは、レンジ拡張部232は、各画素の表層血管成分Ssの閾値判定を行い、表層血管成分Ssの絶対値が閾値Ts以上であれば、表層血管成分Ssを所定の倍率で増幅する。一方、表層血管成分Ssの絶対値が閾値Ts未満であれば、表層血管成分Ssは増幅されずに値が維持される。同様に、レンジ拡張部232は、各画素の深層血管成分Sdの閾値判定を行い、深層血管成分Sdの絶対値が閾値Td以上であれば、深層血管成分Sdを所定の倍率で増幅する。一方、深層血管成分Sdの絶対値が閾値Td未満であれば、深層血管成分Sdは増幅されずに値が維持される。
このレンジ拡張処理により、生体組織の表層血管や深層血管が無い部分(例えば、粘膜)に対応する画素の表層血管成分Ss、深層血管成分Sdは、その値が維持される。また、表層血管に対応する画素の表層血管成分Ss、及び、深層血管に対応する画素の深層血管成分Sdが増幅される。これにより、粘膜に対して表層血管と深層血管が強調された信号が得られる。
なお、レンジ拡張部232による表層血管成分Ss及び深層血管成分Sdの増幅処理の率(増幅率)はそれぞれ、表層血管成分Ss及び深層血管成分Sdの大きさに応じて変更されてもよい。例えば、表層血管成分Ssの絶対値が大きいほど、その表層血管成分Ssは大きい増幅率で増幅される。同様に、深層血管成分Sdの絶対値が大きいほど、その深層血管成分Sdは大きい増幅率で増幅される。各血管成分に対する増幅率は、各血管成分の絶対値に応じて線形に増加してもよく、非線形に増加してもよい。このように、増幅率を変更した場合においても、粘膜に対して表層血管と深層血管が強調された信号が得られる。
また、レンジ拡張部232による増幅率が、表層血管成分Ss及び深層血管成分Sdの大きさに応じて変更される場合、各画素の表層血管成分Ss及び深層血管成分Sdに対する閾値判定は行われなくてもよい。言い換えると、レンジ拡張部232は、全ての画素の表層血管成分Ss及び深層血管成分Sdを増幅してもよい。
色差信号合成部233は、レンジ拡張処理が施された表層血管成分Ss及び深層血管成分Sdを用いて、新たな色差信号Cb´、Cr´を合成する。色差信号Cb´、Cb´は、モニタ300に表示した時に、表層血管と深層血管の違いが明確になるように合成される。次の数式3は、色差信号Cb´、Cr´の合成を表す式の一例である。
Figure 2018130450
ここで、A及びCは所定の係数である。
色差信号Cr´は、表層血管成分Ssと深層血管成分Sdの線形結合「Ss+Sd」を含む。表層血管成分Ssは、表層血管に対応する画素において正の値を取り、深層血管に対応する画素において値が小さくなる(ゼロに近付く)。また、深層血管成分Sdは、深層血管に対応する画素において負の値を取り、表層血管に対応する画素において値が小さくなる(ゼロに近付く)。従って、線形結合「Ss+Sd」は、表層血管では正の値を取り、深層血管では負の値を取る。
色差信号Cb´は、元の色差信号Cbを係数A倍したものである。係数Aの値を調整することより、最終的にモニタ300に表示される画像の色味が調整される。なお、係数Aは、色差信号Cbの値に依らず一定である必要はない。係数Aは、色差信号Cbの値に応じて線形又は非線形に変更されてもよい。詳しくは、係数Aは、色差信号Cbの値に応じて非線形に変化するシグモイド関数であってもよい。
図8は、色差信号Cb´、Cr´の画像を示す。色差信号Cb´は、色差信号Cbを係数倍しているのみであるため、表層血管と深層血管の違いは強調されていない。一方、色差信号Cr´は、表層血管か深層血管かで符号が異なる線形結合「Ss+Sd」を含んでいるため、表層血管と深層血管の違いが強調されている。
図9は、新しい色差信号Cb´、Cr´に対応するCb´Cr´色平面である。Cb´Cr´色平面において、大まかには、第1象限がマゼンタ、第2象限が赤色、第3象限が緑色、第4象限がシアンに対応する。本実施形態では、表層血管に対応する画素の色差信号Cr´は正の値を取り、深層血管に対応する画素の色差信号Cb´は負の値を取るように、表層血管軸、深層血管軸、レンジ拡張処理における増幅率、係数A、C等のパラメータが調整されている。また、これらのパラメータを変更することにより、表層血管の色差信号Cr´Cb´が第1象限又は第2象限に表れ、深層血管の色差信号Cr´Cb´が第3象限に表れるように調整することができる。表層血管の色差信号Cr´Cb´が表れる第1象限又は第2象限は、赤やマゼンタ等の赤系の色である。また、深層血管の色差信号Cr´Cb´が表れる第3象限は、緑系の色である。そのため、新たに合成した色差信号Cr´Cb´に基づいて撮影画像を表示することにより、表層血管と深層血管が異なる色味で表示され、両者の違いを強調することができる。
輝度信号強調部234は、YC分離処理部227で生成された輝度信号Yに対して強調処理を施す。図10は、輝度信号強調部234による強調処理を説明するためのブロック図である。強調処理では、輝度信号Yが2つに分けられ、一方の輝度信号Yが平均化処理部241に入力される。平均化処理部241では、処理対象である画素とその周囲の画素の計25画素について、輝度信号Yの信号レベルの平均値Yavgが計算される。次に、輝度信号Yの信号レベルの平均値Yavgと、2つに分けられた輝度信号Yの他方の信号レベルとの差分Ydiffが計算される。輝度信号Yの信号レベルの差分Ydiffは、増幅処理部242で増幅されて、増幅輝度信号Ygainが生成される。次いで、増幅輝度信号Ygainが元の輝度信号Yに加算されることにより、輝度信号Y´が生成される。
この輝度信号強調部234の処理により、処理対象の画素の輝度信号Yと周囲の画素の輝度信号Yとの間に信号レベル差がある場合、その信号レベル差が大きくなるように輝度信号Yが増幅される。例えば、血管はその周囲の粘膜に比べて光の吸収率が高いため、撮影画像において血管は暗く表示される。この撮影画像の輝度信号Yに対して強調処理が施されると、血管に対応する画素の輝度信号Yは、より暗くなるように変換される。これにより、血管と粘膜との違いが強調された撮影画像が得られる。
輝度信号強調部234で強調処理された輝度信号Y´と、色差信号合成部233で合成された色差信号Cb´、Cr´は、後段信号処理回路209に入力される。
後段信号処理回路209は、前段信号処理回路208より入力される輝度信号Y´及び色差信号Cr´、Cb´を処理してモニタ表示用の画面データを生成し、生成されたモニタ表示用の画面データを所定のビデオフォーマットのビデオ信号に変換する。変換されたビデオ信号は、モニタ300に出力される。これにより、表層血管と深層血管の違いが強調されたカラーの合成画像がモニタ300の表示画面に表示される。
図11は、層構造強調表示モードにおいて、モニタ300に表示される合成画像である。合成画像では、通常表示モードにおいて表示されるカラー撮影画像(図3参照)と比較して、粘膜と血管(表層血管及び深層血管)との差異が強調されている。また、合成画像では、表層血管の色味と深層血管の色味が異なるため、表層血管と深層血管を容易に識別可能である。
以上が本発明の例示的な実施形態の説明である。本発明の実施形態は、上記に説明したものに限定されず、本発明の技術的思想の範囲において様々な変形が可能である。例えば明細書中に例示的に明示される実施形態等又は自明な実施形態等を適宜組み合わせた内容も本発明の実施形態に含まれる。
また、上述の実施形態では、座標変換部231は数式2に基づいて、Cb軸及びCr軸を表層血管軸及び深層血管軸に変換するが、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば、表層血管軸と深層血管軸は、表層血管に対応する画素において表層血管成分Ssの値(絶対値)が大きくなり、深層血管に対応する画素において深層血管成分Sdの値(絶対値)が大きくなるように設定されていればよい。そのため、表層血管軸と深層血管軸は、CbCr色平面内において直交している必要はなく、CbCr色平面の原点を通る必要もない。
また、上述の実施形態では、色差信号合成部233において、色差信号Cb´、Cr´は、表層血管が赤系の色、深層血管が緑系の色で表示されるように合成されるが、本発明の実施形態はこれに限定されない。色差信号Cb´、Cr´は、表層血管と深層血管を識別しやすいように合成されていればよい。例えば、色差信号Cb´、Cr´は、表層血管が緑系の色、深層血管が赤系の色で表示されるように合成されてもよい。また、色差信号Cb´、Cr´は、表層血管と深層血管のうち一方が青系(例えば、シアン)、他方が緑系の色で表示されるよう合成されてもよく、一方が青系(例えば、シアン)、他方が赤系の色で表示されるよう合成されてもよい。
また、後段信号処理回路209は、YCbCr信号(又は、Y´Cb´Cr´信号)に基づいて画面データを生成し、モニタ300に撮影画像を表示するためのビデオ信号に変換するが、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば、電子内視鏡システム1の外部の装置に画面データを出力する場合、後段信号処理回路209は、必要に応じて、YCbCr信号(又は、Y´Cb´Cr´信号)をRGB信号に変換して出力してもよい。
1 電子内視鏡システム
100 電子スコープ
102 LCB
104 配光レンズ
106 対物レンズ
108 固体撮像素子
110 ドライバ信号処理回路
112 メモリ
200 プロセッサ
201 システムコントローラ
202 タイミングコントローラ
203 ランプ電源イグナイタ
204 ランプ
205 集光レンズ
206 メモリ
207 操作パネル
208 前段信号処理回路
209 後段信号処理回路
221 クランプ処理部
222 欠陥補正処理部
223 デモザイク処理部
224 リニアマトリックス処理部
225 ホワイトバランス処理部
226 輪郭補正処理部
227 YC分離処理部
228 層鏡像強調部
231 座標変換部
232 レンジ拡張部
233 色差信号合成部
234 輝度信号強調部
241 平均化処理部
242 増幅処理部

Claims (10)

  1. 生体組織のカラー撮影画像を撮影して、画像信号を生成する撮影手段と、
    前記画像信号から、前記生体組織の表層血管を表す表層血管成分と、該生体組織の深層血管を表す深層血管成分を生成する血管成分生成手段と、
    前記表層血管成分と前記深層血管成分を合成して、前記表層血管と前記深層血管を識別可能な合成画像信号を生成する合成画像生成手段と、
    を備える、
    電子内視鏡システム。
  2. 前記画像信号の各画素について、前記表層血管成分及び前記深層血管成分をそれぞれ、該表層血管成分の信号レベル及び該深層血管成分の信号レベルに応じて増幅する、血管成分増幅手段を更に備える、
    請求項1に記載の電子内視鏡システム。
  3. 前記血管成分増幅手段は、
    前記表層血管成分の信号レベルが大きいほど、大きい増幅率で該表層血管成分を増幅し、
    前記深層血管成分の信号レベルが大きいほど、大きい増幅率で該深層血管成分を増幅する、
    請求項2に記載の電子内視鏡システム。
  4. 前記画像信号を輝度信号Y、色差信号Cb、色差信号Crに分離する画像信号分離手段を更に備え、
    前記血管成分生成手段は、前記色差信号Cb及び前記色差信号Crを、前記表層血管成分及び前記深層血管成分に変換する、
    請求項1から請求項3の何れか一項に記載の電子内視鏡システム。
  5. 前記血管成分生成手段は、
    前記色差信号Cb及び前記色差信号CrをCbCr色平面内で座標変換することにより、前記表層血管成分及び前記深層血管成分を生成する、
    請求項4に記載の電子内視鏡システム。
  6. 前記血管成分生成手段は、前記CbCr色平面内において、Cb軸及びCr軸を原点の周りで回転させることにより、前記色差信号Cb及び前記色差信号Crから前記表層血管成分及び前記深層血管成分を生成する、
    請求項5に記載の電子内視鏡システム。
  7. 前記合成画像信号は、輝度信号Y´、色差信号Cb´、色差信号Cr´を含み、
    前記色差信号Cr´は、前記表層血管成分と前記表層血管成分の線形結合を含む、
    請求項4から請求項6の何れか一項に記載の電子内視鏡システム。
  8. 前記色差信号Cb´は、前記色差信号Cbを所定倍したものである、
    請求項7に記載の電子内視鏡システム。
  9. 前記輝度信号Yに対して強調処理を施して、前記輝度信号Y´を生成する輝度信号強調手段を更に備える、
    請求項7又は請求項8に記載の電子内視鏡システム。
  10. 前記輝度信号強調手段は、前記画像信号の対象画素の前記輝度信号Yと該対象画素の周囲の画素の前記輝度信号Yとの間に信号レベル差がある場合に、該信号レベル差が大きくなるように該対象画素の該輝度信号Yを増幅して前記輝度信号Y´を生成する、
    請求項9に記載の電子内視鏡システム。
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