JP2018129311A - 電池用包装材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】成形時にクラックやピンホールが生じ難く、優れた成形性を有する電池用包装材料を提供する。
【解決手段】少なくとも、基材層、金属層、及びシーラント層が順次積層された積層体からなり、
前記金属層は、引張試験によって、下記式で算出されるr値が0.9以上である、電池用包装材料。
r値=log(WA/WB)/log(tA/tB
A=(XA0+XA45×2+XA90)/4
B=(XB0+XB45×2+XB90)/4
A0,XA45,XA90:それぞれ、引張試験前における面内0°,45°,90°方向で採取した試験片の引張方向中央部の幅
B0,XB45,XB90:それぞれ、前記面内0°,45°,90°方向で採取した試験片の引張試験後における引張方向中央部の幅
A:引張試験前の試験片の厚み
B:引張試験後の試験片の厚み
【選択図】なし

Description

本発明は、成形時にピンホールやクラックが生じ難く、優れた成形性を備える電池用包装材料に関する。
従来、様々なタイプの電池が開発されているが、あらゆる電池において、電極や電解質等の電池素子を封止するために包装材料が不可欠な部材になっている。従来、電池用包装として金属製の包装材料が多用されていた。
一方、近年、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、パソコン、カメラ、携帯電話等の高性能化に伴い、電池には、多様な形状が要求されると共に、薄型化や軽量化が求められている。しかしながら、従来多用されていた金属製の電池用包装材料では、形状の多様化に追従することが困難であり、しかも軽量化にも限界があるという欠点がある。
そこで、近年、多様な形状に加工が容易で、薄型化や軽量化を実現し得る電池用包装材料として、基材/金属層/シーラント層が順次積層されたフィルム状の積層体が提案されている。しかしながら、このようなフィルム状の包装材料は、金属製の包装材料に比べて薄く、成形時にピンホールやクラックが生じ易いという欠点がある。電池用包装材料にピンホールやクラックが生じた場合には、電解液が金属層にまで浸透して金属析出物を形成し、その結果、短絡を生じさせることになりかねないため、フィルム状の電池用包装材料には、成形時にピンホールが生じ難い特性、即ち優れた成形性を備えさせることは不可欠となっている。
従来、フィルム状の電池用包装材料の成形性を高めるために、金属層を接着させるための接着層に着目した検討が種々行われている。例えば、特許文献1には、樹脂フィルムからなる内層、第1接着剤層、金属層、第2接着剤層、及び樹脂フィルムからなる外層を備えた積層型包装材料において、前記第1接着剤層及び第2接着剤層の少なくとも一方を、側鎖に活性水素基を有する樹脂、多官能イソシアネート類、及び多官能アミン化合物を含む接着剤組成物で形成することにより、より深い成形に対して信頼性の高い包装材料が得られることが開示されている。
特許文献1に代表されるように、従来、フィルム状の積層体からなる電池用包装材料において、金属層と他の層を接着させる接着層の配合成分に着目して、成形性を高める技術については多くの検討がなされているが、金属層の物性に着目して成形性を高める技術に関しては殆ど報告されていない。
特開2008−287971号公報
太田哲 著、プレス加工技術マニュアル、日刊工業新聞社発行、昭和56年7月30日発行、1−3頁
本発明の主な目的は、少なくとも、基材層、金属層、及びシーラント層が順次積層されたフィルム状の積層体からなる電池用包装材料において、成形時にクラックやピンホールが生じ難く、優れた成形性を備えさせる技術を提供することにある。
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、少なくとも、基材層、金属層、及びシーラント層が順次積層された積層体からなり、前記金属層として、引張試験前後における厚みと幅とが特定の関係を有するものを用いることにより、電池用包装材料に対して格段に優れた成形性を備えさせることができ、成形時のピンホールやクラックの発生率を大幅に低減できることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の電池用包装材料及び電池を提供する。
項1. 少なくとも、基材層、金属層、及びシーラント層が順次積層された積層体からなり、
前記金属層は、下記引張試験によって、下記式で算出されるr値が0.9以上である、電池用包装材料。
<引張試験>
前記金属層の圧延方向に対してそれぞれ面内0°、45°、90°の3方向で採取した厚み1.0mmのJIS 5号試験片を用いる。前記各試験片に対してインストロン形万能試験機で引張試験速度5mm/分の条件にて一軸方向の引張試験を行い、各試験片に15%の伸びを加える。前記各試験片の引張試験前における面内平均幅WA、及び引張試験後における面内平均幅WBを下記式にて算出する。
A=(XA0+XA45×2+XA90)/4
B=(XB0+XB45×2+XB90)/4
A0,XA45,XA90:それぞれ、引張試験前における面内0°,45°,90°方向で採取した試験片の引張方向中央部の幅
B0,XB45,XB90:それぞれ、前記面内0°,45°,90°方向で採取した試験片の引張試験後における引張方向中央部の幅
<r値>
r値=log(WA/WB)/log(tA/tB
A:引張試験前の試験片の厚み
B:引張試験後の試験片の厚み
項2. 前記基材層は、MD方向における50%伸長時の応力/5%伸長時の応力の値Aと、TD方向における50%伸長時の応力/5%伸長時の応力の値Bとの和(A+B)が、A+B≧3.5の関係を充足する、項1に記載の電池用包装材料。
項3. 前記r値が、0.9〜1.2の範囲にある、項1または2に記載の電池用包装材料。
項4. 前記金属層の少なくとも一方の面に化成処理が施されている、項1〜3のいずれかに記載の電池用包装材料。
項5. 前記金属層が、アルミニウム箔またはステンレス鋼箔により構成されている、項1〜4のいずれかに記載の電池用包装材料。
項6. 前記基材層が、ポリアミド樹脂及びポリエステル樹脂の少なくとも一方により構成されている、項1〜5のいずれかに記載の電池用包装材料。
項7. 二次電池用の包装材料である、項1〜6のいずれかに記載の電池用包装材料。
項8. 少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた電池素子が、項1〜7のいずれかに記載の電池用包装材料内に収容されている、電池。
本発明の電池用包装材料によれば、成形時に金型の形状に応じて、金属層が適度に追従できるので、ピンホールやクラック等の発生を抑制できる。このように、本発明の電池用包装材料は、優れた成形性を備えているので、生産性の向上にも寄与することができる。
本発明の電池用包装材料の断面構造の一例を示す図である。 本発明の電池用包装材料の断面構造の一例を示す図である。 電池用包装材料の成形時における応力とひずみとの関係を説明するための模式図である。
本発明の電池用包装材料は、少なくとも、基材層、金属層、及びシーラント層が順次積層された積層体からなり、前記金属層として、引張試験前後における厚みと幅とが下記特定の関係を有することを特徴とする。以下、本発明の電池用包装材料について詳述する。
1.電池用包装材料の積層構造
電池用包装材料は、図1に示すように、少なくとも、基材層1、金属層3、及びシーラント層4が順次積層された積層体からなる。本発明の電池用包装材料において、基材層1が最外層になり、シーラント層4は最内層になる。即ち、電池の組み立て時に、電池素子の周縁に位置するシーラント層4同士が熱溶着して電池素子を密封することにより、電池素子が封止される。
本発明の電池用包装材料は、図1に示すように、基材層1と金属層3との間に、これらの接着性を高める目的で、必要に応じて接着層2が設けられていてもよい。また、図2に示すように、金属層3とシーラント層4との間に、これらの接着性を高める目的で、必要に応じて接着層5が設けられていてもよい。
2.電池用包装材料を形成する各層の組成
[基材層1]
本発明の電池用包装材料において、基材層1は最外層を形成する層である。基材層1を形成する素材については、絶縁性を備えていることを限度として特に制限されるものではない。基材層1を形成する素材としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン樹脂、珪素樹脂、フェノール樹脂、及びこれらの混合物や共重合物等の樹脂フィルムが挙げられる。これらの中でも、好ましくはポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂が挙げられ、より好ましくは2軸延伸ポリエステル樹脂、2軸延伸ポリアミド樹脂が挙げられる。ポリエステル樹脂としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、共重合ポリエステル、ポリカーボネート等が挙げられる。また、ポリアミド樹脂としては、具体的には、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6とナイロン6,6との共重合体、ナイロン6,10、ポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)等が挙げられる。
本発明において、基材層1は、MD方向における50%伸長時の応力/5%伸長時の応力の値Aと、TD方向における50%伸長時の応力/5%伸長時の応力の値Bの和(A+B)がA+B≧3.5の関係を充足することが好ましい。具体的には、基材層1を構成する樹脂フィルムの流れ方向(MD方向)における50%伸長時の応力/5%伸長時の応力の値Aと、MD方向とは同一平面の垂直方向(TD方向)における50%伸長時の応力/5%伸長時の応力の値Bの和(A+B)がA+B≧3.5の関係を充足することが好ましい。なお、本発明において、基材層1のMD方向及びTD方向における、上記50%伸長時の応力及び5%伸長時の応力は、それぞれ、JIS K7127に規定された方法に準拠して測定された値である。
本発明の電池用包装材料においては、基材層1のMD方向及びTD方向の応力がこのような関係を充足している場合、後述の金属層3の物性を備えることとの相乗効果により、成形時におけるピンホールやクラック等の発生がさらに抑制され、優れた成形性を有する。本発明の電池用包装材料において外層を形成している基材層1の物性を上記のように設定することにより、成形時におけるピンホールやクラック等の発生が抑制される機序の詳細は必ずしも明らかではないが、例えば次のように考えることができる。すなわち、上記のMD方向及びTD方向における50%伸長時の応力/5%伸長時の応力の値A,Bが、A+B≧3.5と大きな値を有する。これにより、例えば図3の電池用包装材料の成形時における応力とひずみとの関係を示す模式図の線Aで表されるように、応力−ひずみ曲線の降伏点付近における応力変化が緩やかになるため、接着層2を介して基材層1と積層されている金属層3の変形(伸び)を緩やか変化させることができる。このため、電池用包装材料の成形時において、金属層2を金型の形状に適度に追従させることができ、ピンホールやクラック等の発生が抑制されているものと考えられる。
基材層1のMD方向における50%伸長時の応力としては、特に制限されないが、好ましくは100〜210MPa程度、より好ましくは110〜200MPa程度が挙げられる。また、基材層1のTD方向における50%伸長時の応力としては、特に制限されないが、好ましくは130〜270MPa程度、より好ましくは140〜260MPa程度が挙げられる。基材層1のMD方向における5%伸長時の応力としては、特に制限されないが、好ましくは50〜110MPa程度、より好ましくは60〜100MPa程度が挙げられる。また、基材層1のTD方向における5%伸長時の応力としては、特に制限されないが、好ましくは40〜100MPa程度、より好ましくは50〜90MPa程度が挙げられる。
基材層1(基材層1を構成する樹脂フィルム)のMD方向における引張破断強度としては、好ましくは190〜350MPa、より好ましくは210〜320MPaが挙げられる。また、基材層1のTD方向における引張破断強度としては、好ましくは220〜400MPa、より好ましくは260〜350MPaが挙げられる。基材層1の引張破断強度がこれらの範囲にあることにより、本発明の電池用包装材料の成形時のピンホールやクラックの発生をより一層効果的に抑制し、成形性をより向上させることが可能になる。なお、基材層1の引張破断強度は、JIS K7127に準拠した方法により測定して得られた値である。
また、基材層1のMD方向における引張破断伸度としては、好ましくは80〜150%、より好ましくは90〜130%が挙げられる。また、基材層1のTD方向における引張破断伸度としては、好ましくは70〜150%、より好ましくは80〜120%が挙げられる。基材層1の引張破断伸度がこれらの範囲にあることにより、本発明の電池用包装材料の成形時のピンホールやクラックの発生をより一層効果的に抑制し、成形性をより向上させることが可能になる。なお、基材層1の引張破断伸度は、JIS K7127に準拠した方法により測定して得られた値である。
基材層1は、1層の樹脂フィルムから形成されていてもよいが、耐ピンホール性や絶縁性を向上させるために、2層以上の樹脂フィルムで形成されていてもよい。基材層1を多層の樹脂フィルムで形成する場合、2以上の樹脂フィルムは、接着剤または接着性樹脂などの接着成分を介して積層させればよく、使用される接着成分の種類や量等については、後述する接着層2又は接着層5の場合と同様である。なお、2層以上の樹脂フィルムを積層させる方法としては、特に制限されず、公知方法が採用でき、例えばドライラミネーション法、サンドラミネーション法などが挙げられ、好ましくはドライラミネーション法が挙げられる。ドライラミネーション法により積層させる場合には、接着層としてウレタン系接着剤を用いることが好ましい。このとき、接着層の厚みとしては、例えば2〜5μm程度が挙げられる。
基材層1の厚さについては、特に制限されないが、例えば、10〜50μm程度、好ましくは15〜25μm程度が挙げられる。
[接着層2]
本発明の電池用包装材料において、接着層2は、基材層1と金属層3を強固に接着させるために、これらの間に設けられる層である。
接着層2は、基材層1と金属層3とを接着可能である接着剤によって形成される。接着層2の形成に使用される接着剤は、2液硬化型接着剤であってもよく、また1液硬化型接着剤であってもよい。更に、接着層2の形成に使用される接着剤の接着機構についても、特に制限されず、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型等のいずれであってもよい。
接着層2の形成に使用できる接着成分としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリカーボネート、共重合ポリエステル等のポリエステル系樹脂;ポリエーテル系接着剤;ポリウレタン系接着剤;エポキシ系樹脂;フェノール樹脂系樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、共重合ポリアミド等のポリアミド系樹脂;ポリオレフィン、カルボン酸変性ポリオレフィン、金属変性ポリオレフィン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂;セルロース系接着剤;(メタ)アクリル系樹脂;ポリイミド系樹脂;尿素樹脂、メラミン樹脂等のアミノ樹脂;クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム等のゴム;シリコーン系樹脂等が挙げられる。これらの接着成分は1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの接着成分の中でも、好ましくはポリウレタン系接着剤が挙げられる。
接着層2の厚さについては、例えば、1〜10μm程度、好ましくは2〜5μm程度が挙げられる。
[金属層3]
本発明の電池用包装材料において、金属層3は、電池用包装材料の強度向上の他、電池内部に水蒸気、酸素、光などが侵入することを防止するためのバリア層として機能する層である。本発明においては、前記金属層は、下記引張試験によって、下記式で算出されるr値が0.9以上である。
<引張試験>
前記金属層の圧延方向に対してそれぞれ面内0°、45°、90°の3方向で採取した厚み1.0mmのJIS 5号試験片を用いる。次に、各試験片に対してインストロン形万能試験機で引張試験速度5mm/分の条件にて一軸方向の引張試験を行い、各試験片に15%の伸びを加える。次に、各試験片の引張試験前における面内平均幅WA、及び引張試験後における面内平均幅WBを下記式にて算出する。なお、各試験片の幅と厚みは、それぞれマイクロメータにより測定することができる。
A=(XA0+XA45×2+XA90)/4
B=(XB0+XB45×2+XB90)/4
A0,XA45,XA90:それぞれ、引張試験前における面内0°,45°,90°方向で採取した試験片の引張方向中央部の幅
B0,XB45,XB90:それぞれ、前記面内0°,45°,90°方向で採取した試験片の引張試験後における引張方向中央部の幅
<r値>
r値=log(WA/WB)/log(tA/tB
A:引張試験前の試験片の厚み
B:引張試験後の試験片の厚み
本発明においては、金属層3として、引張試験前後における厚みと幅とがこのような特定の関係を有するものを用いることにより、電池用包装材料に対して格段に優れた成形性を備えさせることができ、成形時のピンホールやクラックの発生率を大幅に低減できる。本発明の電池用包装材料において、金属層3として、このようなものを用いることにより、成形時におけるピンホールやクラック等の発生が抑制される機序の詳細は必ずしも明らかではないが、例えば次のように考えることができる。すなわち、上記のr値が0.9以上であることにより、金属層面内方向での材料流動が厚み方向のそれよりも起こりやすいため、電池用包装材料の成形時において、金属層3を金型の形状に適度に追従させることができ、ピンホールやクラック等の発生が抑制されているものと考えられる。
成形時におけるピンホールやクラック等の発生をより効果的に抑制する観点からは、r値としては、0.9〜1.2の範囲にあることが好ましく、0.9〜1.1の範囲にあることがより好ましい。
金属層3を構成する金属としては、具体的には、アルミニウム、ステンレス鋼、チタンなどが挙げられ、好ましくはアルミニウム及びステンレス鋼が挙げられる。金属層3は、金属箔や金属蒸着などにより形成することができ、金属箔により形成することが好ましく、アルミニウム箔またはステンレス鋼箔により形成することがさらに好ましい。電池用包装材料の製造時に、金属層3にしわやピンホールが発生することを防止する観点からは、例えば、焼きなまし処理済みのアルミニウム(JIS A8021P−O、JIS A8079P−O)など軟質アルミニウム箔、A3004、SUS304などのステンレス鋼箔などにより形成することがより好ましい。ただし、上記のr値は、アルミニウム合金やステンレス鋼などの金属層を構成する材料の組成だけでなく、金属層の加工方法によっても変化するため、例えばJISに規定された組成のみでr値を所定の値に設定することはできない。所定のr値を有する金属層を形成する方法として、以下に、Al−Fe系アルミニウム箔を例にして説明する。
(Al−Fe系アルミニウム箔の形成方法)
所定のr値を有するAl−Fe系アルミニウム箔は、溶解、鋳造、スラブ、面削、ホモゲナイズ(均質化処理)、熱間圧延、冷間圧延、中間焼鈍、冷間圧延、箔圧延、最終焼鈍の各工程を行うことにより製造することができる。溶解工程及び鋳造工程においては、例えば、アルミニウム合金の組成がFe含有量:0.7〜1.3質量%、Si含有量:0.05〜0.3質量%、Cu含有量:0.05質量%以下、Zn含有量:0.10質量%以下、残りがAl及びその他不可避不純物からなる材料(例えば、JIS規格A8079H−O)を溶解し、鋳塊を作製する。次に、スラブ工程において、鋳塊をスラブ状に加工する。スラブ状に加工する際の材料の厚さは、例えば500〜600mmとする。続いて、面削工程において、スラブ状に加工した合金材料の4〜6面を均一に削り、不純物を除去する。本工程においては、例えば6〜12mm/片面で合金材料の切削を行う。
次に、ホモゲナイズ工程において、面削工程後の合金材料の均質化処理を行う。均質化処理温度は、400〜600℃とすることが好ましい。また、均質化処理時間は、2〜10時間とすることが好ましい。次に、熱間圧延工程において、均質化処理後の合金材料を高温下で圧延する。本工程における合金材料の熱間圧延温度は、280〜300℃とすることが好ましい。また、熱間圧延後の合金材料の厚みは、5mm程度とする。続いて、冷間圧延工程において、熱間圧延された合金材料を冷間圧延し、薄く延ばす。本工程における合金材料の冷間圧延温度、圧延率、圧延後の合金材料の厚みは、それぞれ110〜240℃、40〜90%(4パス)、0.6mmとすることが好ましい。
次に、中間焼鈍工程において、熱処理により冷間圧延後の合金材料内部のひずみを取り除き、組織を軟化させ、展延性を向上させる。本工程における処理温度は、380〜400℃であることが好ましく、特に390℃であることが好ましい。また、処理時間は1.5〜2.5時間とすることが好ましい。次に、冷間圧延工程において、中間焼鈍後の合金材料を圧延する。また、本工程における圧延率と冷間圧延後の合金材料の厚みは、0.3mm、50%(1パス)とすることが好ましい。次に、箔圧延工程において、合金材料を複数パスでさらに圧延し、薄く延ばす。本工程における圧延率と箔圧延後の合金材料の厚みは、40μm、50%以下(3〜4パス)とすることが好ましい。次に、最終焼鈍工程では、薄く圧延した合金材料に焼鈍処理を施す。本工程における処理温度と処理時間は、それぞれ240〜300℃、24〜96時間とすることが好ましい以上の条件で処理を行うことにより、電池外装用包装材に使用するアルミニウム合金箔が製造される。
金属層3の厚みは、上記の物性を有することを限度として特に制限されないが、例えば、10μm〜50μm程度、好ましくは20μm〜35μm程度とすることができる。
また、金属層3は、接着の安定化、溶解や腐食の防止などのために、少なくとも一方の面、好ましくは両面が化成処理されていることが好ましい。ここで、化成処理とは、金属層の表面に耐酸性皮膜を形成する処理をいう。化成処理としては、例えば、硝酸クロム、フッ化クロム、硫酸クロム、酢酸クロム、蓚酸クロム、重リン酸クロム、クロム酸アセチルアセテート、塩化クロム、硫酸カリウムクロムなどのクロム酸化合物を用いたクロム酸クロメート処理;リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸アンモニウム、ポリリン酸などのリン酸化合物を用いたリン酸クロメート処理;下記一般式(1)〜(4)で表される繰り返し単位を有するアミノ化フェノール重合体を用いたクロメート処理などが挙げられる。
一般式(1)〜(4)中、Xは、水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アリル基またはベンジル基を示す。また、R1及びR2は、それぞれ同一または異なって、ヒドロキシル基、アルキル基、またはヒドロキシアルキル基を示す。一般式(1)〜(4)において、X、R1及びR2で示されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基などの炭素数1〜4の直鎖または分枝鎖状アルキル基が挙げられる。また、X、R1及びR2で示されるヒドロキシアルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、1−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基などのヒドロキシ基が1個置換された炭素数1〜4の直鎖または分枝鎖状アルキル基が挙げられる。一般式(1)〜(4)において、X、R1及びR2で示されるアルキル基及びヒドロキシアルキル基は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。一般式(1)〜(4)において、Xは、水素原子、ヒドロキシル基またはヒドロキシアルキル基であることが好ましい。一般式(1)〜(4)で表される繰り返し単位を有するアミノ化フェノール重合体の数平均分子量は、例えば、500〜100万であることが好ましく、1000〜2万程度であることがより好ましい。
また、金属層3に耐食性を付与する化成処理方法として、リン酸中に、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化セリウム、酸化スズなどの金属酸化物や硫酸バリウムの微粒子を分散させたものをコーティングし、150℃以上で焼付け処理を行うことにより、金属層3の表面に耐食処理層を形成する方法が挙げられる。また、耐食処理層の上には、カチオン性ポリマーを架橋剤で架橋させた樹脂層をさらに形成してもよい。ここで、カチオン性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミンとカルボン酸を有するポリマーからなるイオン高分子錯体、アクリル主骨格に1級アミンをグラフト重合させた1級アミングラフトアクリル樹脂、ポリアリルアミンまたはその誘導体、アミノフェノールなどが挙げられる。これらのカチオン性ポリマーとしては、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。また、架橋剤としては、例えば、イソシアネート基、グリシジル基、カルボキシル基、及びオキサゾリン基よりなる群から選ばれた少なくとも1種の官能基を有する化合物、シランカップリング剤などが挙げられる。これらの架橋剤としては、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
化成処理は、1種類の化成処理のみを行ってもよいし、2種類以上の化成処理を組み合わせて行ってもよい。さらに、これらの化成処理は、1種の化合物を単独で使用して行ってもよく、また2種以上の化合物を組み合わせて使用して行ってもよい。化成処理の中でも、クロム酸クロメート処理や、クロム酸化合物、リン酸化合物、及びアミノ化フェノール重合体を組み合わせたクロメート処理などが好ましい。
化成処理において金属層3の表面に形成させる耐酸性皮膜の量については、特に制限されないが、例えば、上記のクロメート処理を行う場合であれば、金属層3の表面1m2当たり、クロム酸化合物がクロム換算で約0.5mg〜約50mg、好ましくは約1.0mg〜約40mg、リン化合物がリン換算で約0.5mg〜約50mg、好ましくは約1.0mg〜約40mg、及びアミノ化フェノール重合体が約1mg〜約200mg、好ましくは約5.0mg〜150mgの割合で含有されていることが望ましい。
化成処理は、耐酸性皮膜の形成に使用する化合物を含む溶液を、バーコート法、ロールコート法、グラビアコート法、浸漬法などによって、金属層の表面に塗布した後に、金属層の温度が70℃〜200℃程度になるように加熱することにより行われる。また、金属層に化成処理を施す前に、予め金属層を、アルカリ浸漬法、電解洗浄法、酸洗浄法、電解酸洗浄法などによる脱脂処理に供してもよい。このように脱脂処理を行うことにより、金属層の表面の化成処理をより効率的に行うことが可能となる。
[シーラント層4]
本発明の電池用包装材料において、シーラント層4は、最内層に該当し、電池の組み立て時にシーラント層同士が熱溶着して電池素子を密封する層である。
シーラント層4に使用される樹脂成分については、熱溶着可能であることを限度として特に制限されないが、例えば、ポリオレフィン、環状ポリオレフィン、カルボン酸変性ポリオレフィン、カルボン酸変性環状ポリオレフィンが挙げられる。
前記ポリオレフィンとしては、具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等のポリエチレン;ホモポリプロピレン、ポリプロピレンのブロックコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのブロックコポリマー)、ポリプロピレンのランダムコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのランダムコポリマー)等のポリプロピレン;エチレン−ブテン−プロピレンのターポリマー;等が挙げられる。これらのポリオレフィンの中でも、好ましくはポリエチレン及びポリプロピレンが挙げられる。
前記環状ポリオレフィンは、オレフィンと環状モノマーとの共重合体であり、前記環状ポリオレフィンの構成モノマーであるオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、4−メチル−1−ペンテン、スチレン、ブタジエン、イソプレン、等が挙げられる。また、前記環状ポリオレフィンの構成モノマーである環状モノマーとしては、例えば、ノルボルネン等の環状アルケン;具体的には、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ノルボルナジエン等の環状ジエン等が挙げられる。これらのポリオレフィンの中でも、好ましくは環状アルケン、更に好ましくはノルボルネンが挙げられる。
前記カルボン酸変性ポリオレフィンとは、前記ポリオレフィンをカルボン酸でブロック重合又はグラフト重合することにより変性したポリマーである。変性に使用されるカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等が挙げられる。
前記カルボン酸変性環状ポリオレフィンとは、環状ポリオレフィンを構成するモノマーの一部を、α,β―不飽和カルボン酸又はその無水物に代えて共重合することにより、或いは環状ポリオレフィンに対してα,β―不飽和カルボン酸又はその無水物をブロック重合又はグラフト重合することにより得られるポリマーである。カルボン酸変性される環状ポリオレフィンについては、前記と同様である。また、変性に使用されるカルボン酸としては、前記酸変性シクロオレフィンコポリマーの変性に使用されるものと同様である。
これらの樹脂成分の中でも、好ましくはカルボン酸変性ポリオレフィン;更に好ましくはカルボン酸変性ポリプロピレンが挙げられる。
シーラント層4は、1種の樹脂成分単独で形成してもよく、また2種以上の樹脂成分を組み合わせたブレンドポリマーにより形成してもよい。更に、シーラント層4は、1層のみで成されていてもよいが、同一又は異なる樹脂成分によって2層以上で形成されていてもよい。
また、シーラント層4の厚さとしては、適宜選定することができるが、10〜100μm程度、好ましくは15〜50μm程度が挙げられる。
[接着層5]
本発明の電池用包装材料において、接着層5は、金属層3とシーラント層4を強固に接着させために、これらの間に必要に応じて設けられる層である。
接着層5は、金属層3とシーラント層4とを接着可能である接着剤によって形成される。接着層5の形成に使用される接着剤について、その接着機構、接着剤成分の種類等は、前記接着層2の場合と同様である。接着層5に使用される接着剤成分として、好ましくはポリオレフィン系樹脂、更に好ましくはカルボン酸変性ポリオレフィン、特に好ましくはカルボン酸変性ポリプロピレンが挙げられる。
接着層5の厚さについては、例えば、2〜50μm、好ましくは20〜30μmが挙げられる。
3.電池用包装材料の製造方法
本発明の電池用包装材料の製造方法については、所定の組成の各層を積層させた積層体が得られる限り、特に制限されないが、例えば、以下の方法が例示される。
まず、基材層1、接着層2、金属層3が順に積層された積層体(以下、「積層体A」と表記することもある)を形成する。積層体Aの形成は、具体的には、基材層1上又は必要に応じて表面が化成処理された金属層3に接着層2の形成に使用される接着剤を、押出し法、グラビアコート法、ロールコート法等の塗布方法で塗布・乾燥した後に、当該金属層3又は基材層1を積層させて接着層2を硬化させるドライラミネーション法によって行うことができる。
次いで、積層体Aの金属層3上に、シーラント層4を積層させる。金属層3上にシーラント層4を直接積層させる場合には、積層体Aの金属層3上に、シーラント層4を構成する樹脂成分をグラビアコート法、ロールコート法等の方法により塗布すればよい。また、金属層3とシーラント層4の間に接着層5を設ける場合には、例えば、(1)積層体Aの金属層3上に、接着層5及びシーラント層4を共押出しすることにより積層する方法(共押出しラミネーション法)、(2)別途、接着層5とシーラント層4が積層した積層体を形成し、これを積層体Aの金属層3上に熱ラミネーション法により積層する方法、(3)積層体Aの金属層3上に、接着層5を形成させるための接着剤を押出し法や溶液コーティングした高温で乾燥さらには焼き付ける方法等により積層させ、この接着層5上に予めシート状に製膜したシーラント層4をサーマルラミネーション法により積層する方法、(4)積層体Aの金属層3と、予めシート状に製膜したシーラント層4との間に、溶融させた接着層5を流し込みながら、接着層5を介して積層体Aとシーラント層4を貼り合せる方法(サンドラミネーション法)等が挙げられる。
上記のようにして、基材層1/接着層2/必要に応じて表面が化成処理された金属層3/必要に応じて設けられる接着層5/シーラント層4からなる積層体が形成されるが、接着層2及び必要に応じて設けられる接着層5の接着性を強固にするために、更に、熱ロール接触式、熱風式、近又は遠赤外線式等の加熱処理に供してもよい。このような加熱処理の条件としては、例えば150〜250℃で1〜5分間が挙げられる。
本発明の電池用包装材料において、積層体を構成する各層は、必要に応じて、製膜性、積層化加工、最終製品2次加工(パウチ化、エンボス成形)適性等を向上又は安定化するために、コロナ処理、ブラスト処理、酸化処理、オゾン処理等の表面活性化処理を施していてもよい。
4.電池用包装材料の用途
本発明の電池用包装材料は、正極、負極、電解質等の電池素子を密封して収容するための包装材料として使用される。
具体的には、少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた電池素子を、本発明の電池用包装材料で、前記正極及び負極の各々に接続された金属端子が外側に突出させた状態で、電池素子の周縁にフランジ部(シーラント層同士が接触する領域)が形成できるようにして被覆し、前記フランジ部のシーラント層同士をヒートシールして密封させることによって、電池用包装材料を使用した電池が提供される。なお、本発明の電池用包装材料を用いて電池素子を収容する場合、本発明の電池用包装材料のシーラント部分が内側(電池素子と接する面)になるようにして用いられる。
本発明の電池用包装材料は、一次電池、二次電池のいずれに使用してもよいが、好ましくは二次電池である。本発明の電池用包装材料が適用される二次電池の種類については、特に制限されず、例えば、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、鉛畜電池、ニッケル・水素畜電池、ニッケル・カドミウム畜電池、ニッケル・鉄畜電池、ニッケル・亜鉛畜電池、酸化銀・亜鉛畜電池、金属空気電池、多価カチオン電池、コンデンサー、キャパシター等が挙げられる。これらの二次電池の中でも、本発明の電池用包装材料の好適な適用対象として、リチウムイオン電池及びリチウムイオンポリマー電池が挙げられる。
以下に実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。但し本発明は実施例に限定されるものではない。
<電池用包装材料の製造>
基材層1/接着層2/金属層3が順に積層された積層体に対して、サーマルラミネート法で接着層5及びシーラント層4を積層させることにより、基材層1/接着層2/金属層3/接着層5/シーラント層4が順に積層された積層体からなる電池用包装材料を製造した。電池用包装材料の具体的な製造条件は、以下に示す通りである。
実施例1−6及び比較例1,2においては、基材層1を構成する樹脂フィルム(厚み25μm)及び金属層2(40μm)として、後述のものを用いた。なお、アルミニウム箔は、フェノール樹脂、フッ化クロム化合物(三価)、及びリン酸からなる処理液をロールコート法により金属層の両面に、厚さ35μm塗布し、皮膜温度が180℃以上となる条件で20秒間焼付けすることにより化成処理した。
まず、基材層1/接着層2/金属層3が順に積層された積層体を作製した。具体的には、基材層1の一方面(コロナ処理面)に、ポリエステル系の主剤とイソシア系硬化剤の2液型ウレタン接着剤からなる接着層2を3μmとなるように形成し、金属層3の化成処理面と加圧加熱貼合し基材層1/接着層2/金属層3が順に積層された積層体を作製した。
また、別途、接着層5を構成する酸変性ポリプロピレン樹脂〔不飽和カルボン酸でグラフト変性した不飽和カルボン酸グラフト変性ランダムポリプロピレン(以下、PPaと呼称する)と、シーラント層4を構成するポリプロピレン〔ランダムコポリマー(以下、PPと呼称する)〕を共押出しすることにより、厚さ23μmの接着層5と厚さ23μmのシーラント層4からなる2層共押出しフィルムを作製した。
次いで、前記で作製した基材層1/接着層2/金属層3からなる積層体の金属層に、前記で作製した2層共押出しフィルムの接着層5が接するように重ねあわせ、金属層3が120℃となるように加熱してサーマルラミネーションを行うことにより、基材層1/接着層2/金属層3/接着層5/シーラント層4が順に積層された積層体を得た。得られた積層体を一旦冷却した後に、180℃になるまで加熱し、1分間その温度を保持して熱処理を施すことにより、実施例1−6及び比較例1,2の電池用包装材料を得た。
基材層1を構成する樹脂フィルムとしては、それぞれ、表1に記載のA=MD方向における50%伸長時応力/5%伸長時応力、及びB=TD方向における50%伸長時応力/5%伸長時応力を有する、2軸延伸ナイロンフィルム、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、及び2軸延伸ポリブチレンテレフタレートフィルムを用いた。樹脂フィルムのMD方向、TD方向における50%伸長時応力及び5%伸長時応力は、それぞれJIS K7127の規定に準拠した方法で測定した値である。また、実施例3においては、基材層1として、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムと2軸延伸ナイロンフィルムとを接着層を介して積層した積層体を用い、この積層体について上記A及びBを測定した。また、当該積層体は、2軸延伸ナイロンフィルムが金属層3側になるようにして用いた。
<実施例1>
基材層1:2軸延伸ナイロン樹脂
金属層3…アルミニウム箔(r値=1.00、東洋アルミニウム株式会社製、A8079)、アルミニウム箔に含まれるAl以外の成分:Si含有量0.05−0.30質量%、Fe含有量0.70−1.30質量%、Cu含有量0.05質量%、Zn含有量0.10質量%
<実施例2>
基材層1…2軸延伸ナイロン樹脂
金属層3…アルミニウム箔(r値=0.94、東洋アルミニウム株式会社製、A3004)、アルミニウム箔に含まれるAl以外の成分:Si含有量0.30質量%、Fe含有量0.70質量%、Cu含有量0.25質量%、Mn含有量1.0−1.5質量%、Mg含有量0.8−1.3質量%、Zn含有量0.25質量%
<実施例3>
基材層1…外側から順に、2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)/2軸延伸ナイロン樹脂
金属層3…アルミニウム箔(r値=1.00、東洋アルミニウム株式会社製、A8079)、アルミニウム箔に含まれるAl以外の成分:Si含有量0.05−0.30質量%、Fe含有量0.70−1.30質量%、Cu含有量0.05質量%、Zn含有量0.10質量%
<実施例4>
基材層1:2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)
金属層3…アルミニウム箔(r値=1.00、東洋アルミニウム株式会社製、A8079)、アルミニウム箔に含まれるAl以外の成分:Si含有量0.05−0.30質量%、Fe含有量0.70−1.30質量%、Cu含有量0.05質量%、Zn含有量0.10質量%
<実施例5>
基材層1:2軸延伸ポリブチレンテレフタレート(PBT)
金属層3…アルミニウム箔(r値=1.00、東洋アルミニウム株式会社製、A8079)、アルミニウム箔に含まれるAl以外の成分:Si含有量0.05−0.30質量%、Fe含有量0.70−1.30質量%、Cu含有量0.05質量%、Zn含有量0.10質量%
<実施例6>
基材層1:2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)
金属層3:ステンレス鋼箔(r値=1.00、新日鐵住金株式会社製、SUS304)、ステンレス鋼に含まれるFe以外の成分:Ni含有量8−10.5質量%、Cr含有量18−20質量%
<比較例1>
基材層1…2軸延伸ナイロン樹脂
金属層3…アルミニウム箔(r値=0.84、東洋アルミニウム株式会社製、A5052)、アルミニウム箔に含まれるAl以外の成分:Si含有量0.25質量%、Fe含有量0.40質量%、Cu含有量0.10質量%、Mn含有量0.10質量%、Mg含有量2.2−2.8質量%、Cr含有量0.15−0.35質量%、Zn含有量0.10質量%
<比較例2>
基材層1…2軸延伸ナイロン樹脂
金属層3…アルミニウム箔(r値=0.80、東洋アルミニウム株式会社製、A1100)、アルミニウム箔に含まれるAl以外の成分:Si含有量0.95質量%、Cu含有量0.05−0.20質量%、Mn含有量0.05質量%、Zn含有量0.10質量%
<金属層のr値の測定方法>
実施例1−6及び比較例1,2で用いた金属層3について、それぞれ、次のようにして一軸引張試験を行い、下記式で算出されるr値を求めた。結果を表1に示す。
金属層の圧延方向に対してそれぞれ面内0°、45°、90°の3方向で採取した厚み1.0mmのJIS5号試験片を用いた。次に、各試験片をインストロン形万能試験機で引張試験速度5mm/分の条件にて一軸方向の引張試験を行い、各試験片に15%の伸びを加えた。次に、各試験片の引張試験前における面内平均幅WA、及び引張試験後における面内平均幅WBを下記式にて算出した。なお、各試験片の幅と厚みは、それぞれマイクロメータにより測定した。
A=(XA0+XA45×2+XA90)/4
B=(XB0+XB45×2+XB90)/4
A0,XA45,XA90:それぞれ、引張試験前における面内0°,45°,90°方向で採取した試験片の引張方向中央部の幅(mm)
B0,XB45,XB90:それぞれ、前記面内0°,45°,90°方向で採取した試験片の引張試験後における引張方向中央部の幅(mm)
次に、得られたWA及びWBの値を用いて、r値を次の式にて算出した。
r値=log(WA/WB)/log(tA/tB
A:引張試験前の試験片の厚み(mm)
B:引張試験後の試験片の厚み(mm)
<成形性の評価>
実施例1−6及び比較例1,2で得られた電池用包装材料を裁断して、120×80mmの短冊片を作製し、これを試験サンプルとした。30×50mmの矩形状の雄型とこの雄型とのクリアランスが0.5mmの雌型からなるストレート金型を用い、雄型側に熱接着性樹脂層側が位置するように雌型上に上記試験サンプルを載置し、試験サンプルを0.1MPaの押え圧(面圧)で押えて、冷間成形(引き込み1段成形)した。成形深さは、0.5mm単位で変えて、各成形深さにおいて、それぞれ10枚の試験サンプルについて、金属層のピンホール及びクラックの発生の有無を確認した。10枚全ての試験サンプルにシワや、ピンホール及びクラックがない場合の成形深さを限界成形深さとし、下記の基準で成形性を評価した。結果を表1に示す。
○:限界成形深さ6.0mm以上
△:限界成形深さ4.0mm〜5.5mm
×:限界成形深さ3.5mm以下
A:MD方向における50%伸長時応力/5%伸長時応力
B:TD方向における50%伸長時応力/5%伸長時応力
表1に示される結果から明らかなように、r値≧0.9を満たす金属層3を用いた実施例1−6においては、成形深さ6.0mm以上という厳しい条件で電池用包装材料を成形した場合にも、ピンホール及びクラックの発生が顕著に抑制できていた。一方、r値<0.9の金属層3を用いた比較例1,2の電池包装材料では、限界成形深さが5.5mm以下と低くなり、実施例1−6に比して成形性の点で劣っていた。
1 基材層
2 接着層
3 金属層
4 シーラント層
5 接着層

Claims (8)

  1. 少なくとも、基材層、金属層、及びシーラント層が順次積層された積層体からなり、
    前記金属層は、下記引張試験によって、下記式で算出されるr値が0.9以上である、電池用包装材料。
    <引張試験>
    前記金属層の圧延方向に対してそれぞれ面内0°、45°、90°の3方向で採取した厚み1.0mmのJIS 5号試験片を用いる。前記各試験片に対してインストロン形万能試験機で引張試験速度5mm/分の条件にて一軸方向の引張試験を行い、各試験片に15%の伸びを加える。前記各試験片の引張試験前における面内平均幅WA、及び引張試験後における面内平均幅WBを下記式にて算出する。
    A=(XA0+XA45×2+XA90)/4
    B=(XB0+XB45×2+XB90)/4
    A0,XA45,XA90:それぞれ、引張試験前における面内0°,45°,90°方向で採取した試験片の引張方向中央部の幅
    B0,XB45,XB90:それぞれ、前記面内0°,45°,90°方向で採取した試験片の引張試験後における引張方向中央部の幅
    <r値>
    r値=log(WA/WB)/log(tA/tB
    A:引張試験前の試験片の厚み
    B:引張試験後の試験片の厚み
  2. 前記基材層は、MD方向における50%伸長時の応力/5%伸長時の応力の値Aと、TD方向における50%伸長時の応力/5%伸長時の応力の値Bとの和(A+B)が、A+B≧3.5の関係を充足する、請求項1に記載の電池用包装材料。
  3. 前記r値が、0.9〜1.2の範囲にある、請求項1または2に記載の電池用包装材料。
  4. 前記金属層の少なくとも一方の面に化成処理が施されている、請求項1〜3のいずれかに記載の電池用包装材料。
  5. 前記金属層が、アルミニウム箔により構成されている、請求項1〜4のいずれかに記載の電池用包装材料。
  6. 前記基材層が、ポリアミド樹脂及びポリエステル樹脂の少なくとも一方により構成されている、請求項1〜5のいずれかに記載の電池用包装材料。
  7. 二次電池用の包装材料である、請求項1〜6のいずれかに記載の電池用包装材料。
  8. 少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた電池素子が、請求項1〜7のいずれかに記載の電池用包装材料内に収容されている、電池。
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