JP2018129131A - 正極活物質粒子の検査方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】正極活物質粒子の良否をより短い時間で判定することができる正極活物質粒子の検査方法を提供する。【解決手段】正極活物質粒子の検査方法は、正極活物質粒子1の良否を判定するのに、検査対象となる正極活物質粒子1は、殻部11と、殻部11に形成された中空部12と、殻部11を貫通する貢通孔13とを有する中空構造の一次粒子10を、複数凝集してなる二次粒子1であり、二次粒子1は、平均粒径D50が2.0μm以上10.0μm以下、かつDBP吸油量が34ml/100g以上43ml/100g以下の物性であること、二次粒子1の圧壊強度の値と、予め定めた判定基準値との大小関係に基づいて、中空部12の状態を判別することにより、正極活物質粒子1の良否を判定する。【選択図】 図1
Description
本発明は、例えば、非水電解質二次電池で、集電体に保持された正極活物質層に含む正極活物質粒子等を対象とした正極活物質粒子の検査方法に関する。
特許文献1に開示した非水電解質二次電池では、正極活物質層が集電体に保持されており、この正極活物質層には、正極活物質粒子が含まれている。正極活物質粒子は、中空部と、この中空部を覆う殻部とにより形成された中空構造であり、この殻部を貫通する貢通孔を有している。正極活物質層は、例えば、正極活物質粒子と、必要に応じて導電材や結着材等を、適当な溶媒と混合することで、ペースト状またはスラリー状に調製された正極合材である。溶媒には、例えば、N‐メチル‐2‐ピロリドン(NMP)等の溶媒が好適に用いられる。正極合材は、正極集電体に塗付されて、乾燥工程で溶媒を揮発した後、圧縮工程でプレスされる。かくして、正極活物質層を集電体上に保持した正極が形成される。
非水電解質二次電池では、溶媒が正極活物質粒子の中空部に多く残留していると、電池性能上に影響が生じるため、本出願人は、正極の製造工程で、溶媒の残留量を把握する必要性を重視して、残留する溶媒の検査技術を考えた。この検査技術は、走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)により正極活物質粒子を撮影したSEM画像を取得する工程と、このSEM画像に基づいて1次粒子の面積相当計αとアスペクト比βとの積α×βを取得する工程とを含み、残留する溶媒の量と相関関係のある積α×βに基づいて、正極活物質粒子の良否を判定する技術である。この検査技術により、溶媒の残留量(乾燥性)に対する良否が判断でき、判断で適合する正極活物質粒子を用いることにより、正極活物質層の正極活物質粒子の中空部で、溶媒の残留量が多いことに起因した電池の不良を低減させることができている。
検討した検査技術では、複数の検体を検査対象に、正極活物質粒子の状態の良否を、SEM画像に基づいて判定するのにあたり、解析しようとする活物質粒子に対し、粒子の数を各検体とも同じとした上で、活物質粒子毎に一粒全体を撮影したSEM画像が必要となる。しかしながら、活物質粒子を実際に走査電子顕微鏡で撮影しようとすると、複数の活物質粒子がランダムな配置で写り、その中には、隣接する粒子同士が互いに重なり合って写る活物質粒子や、撮影画像による平面的な視野の範囲内に、粒子一粒の全体が収まらない活物質粒子もある。そのため、作業者は、一粒の活物質粒子全体を撮影できる視野範囲を探し出す作業と、撮影対象の活物質粒子に対し、ピント調整や明暗調整等の撮影条件を設定する作業を、撮影の度に毎回行わなければならず、一粒の活物質粒子全体を撮ったSEM画像を取得するまでに多大な時間を要してしまい、検査時間が長くなってしまうという問題があった。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、正極活物質粒子の良否をより短い時間で判定することができる正極活物質粒子の検査方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様は、正極活物質粒子の良否を判定するための正極活物質粒子の検査方法において、検査対象となる前記正極活物質粒子は、一次粒子からなる殻部と、前記殻部に形成された中空部と、前記殻部を貫通する貢通孔とを有し、前記一次粒子を複数凝集してなる中空構造の二次粒子であり、前記二次粒子は、平均粒径D50が2.0μm以上10.0μm以下、かつDBP吸油量が34ml/100g以上43ml/100g以下の物性であること、前記二次粒子の圧壊強度の値と、予め定めた判定基準値との相対関係に基づいて、前記中空部の状態を判別することにより、前記正極活物質粒子の良否を判定すること、を特徴とする。
この態様によれば、本発明に係る正極活物質粒子の検査方法は、SEM画像を撮影する作業工程を必要としないため、SEM画像を用いた従来の正極活物質粒子の検査方法に比して、正極活物質粒子の良否を判定するのに必要な検査時間を、例えば、1/4以下等、大幅に短縮できるため、正極活物質粒子の良否の判定を効率良く行うことができる。ひいては、判定で適合する正極活物質粒子を用いることにより、正極活物質層の正極活物質粒子の中空部で、溶媒の残留量が多いことに起因した電池の不良を低減させることができる。
本発明に係る正極活物質粒子の検査方法によれば、正極活物質粒子の良否を、より短い時間で判定することができる。
以下、本発明に係る正極活物質粒子の検査方法について、実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。本実施形態では、正極活物質粒子は、非水電解質二次電池の正極側集電体に保持された正極合材に含有するものであり、正極側集電体は、正極活物質粒子と結着材等とを溶媒中に混合して調製された正極活物質層を塗付し、乾燥工程で溶媒を揮発した後、圧縮工程でプレスして形成される。本実施形態に係る正極活物質粒子の検査方法は、乾燥工程後に残留する溶媒の濃度を検査し、正極活物質粒子の状態の良否を判定するのに用いられる。
正極活物質粒子は、例えば、層状のリチウム遷移金属酸化物等で構成されており、その好適な一例として、例えば、Ni,Co,及びMnの全てを含むリチウム遷移金属酸化物が挙げられる。図5は、正極活物質粒子を示す顕微鏡画像であり、正極活物質粒子の断面を示すSEM画像を、図6に示す。
図5及び図6に示すように、検査対象となる正極活物質粒子1は、一次粒子10からなる殻部11と、殻部11に形成された中空部12と、殻部11を貫通する貢通孔13とを有し、一次粒子10を複数凝集してなる中空構造の二次粒子1である。
具体的に説明する。正極活物質粒子1は、図5に示すように、外観上の幾何学的形態から判断すると、粒子態様として、単位粒子(ultimate particle)と考えられる一次粒子10の凝集体で構成された二次粒子1である。一次粒子10は、リチウム遷移金属酸化物の結晶子の集合体である。図6に例示するように、正極活物質粒子1は、球殻状に集合した一次粒子10でなる殻部11の内部に、中空部12を有した中空構造に構成されており、この殻部11には、当該殻部11を貫通する貢通孔13が形成されている。このような貢通孔13は、多くの場合、一次粒子10間の隙間に形成されている。正極活物質粒子1では、図5及び図6に示すように、一次粒子10が略球形に凝集して中空構造をなしている粒子態様が好ましい。
正極活物質粒子1は、例えば、N‐メチル‐2‐ピロリドン(NMP:N-methylpyrrolidone)等の溶媒と混練した所定の方法により、正極ペーストが作製される。正極ペーストは、厚さ15μmで帯状のアルミニウム箔である正極集電箔の表面に塗付された後、正極ペーストを乾燥させた正極活物質層を正極集電箔に保持した正極合材が得られる。この正極活物質層は圧延プレスで圧延され、正極活物質層内の密度が調製される。かくして、帯状の正極合材から所定形状に切り取った正極シートが形成される。
ところで、正極ペーストの乾燥工程では、正極ペーストに含有する溶媒を揮発させるが、正極活物質粒子1が中空構造となっているため、正極活物質粒子1の中空部12には、溶媒(溶媒中の成分を含む)が残留し易い。正極活物質粒子1に中空部12が存在すると、電解液が中空部12にまで入り込んで、正極活物質粒子1と電解液との接触面積がより大きく確保できることから、電池性能の向上に寄与するが、溶媒が中空部12に残留していると、電解液が中空部12に入り込むのに制限がかかってしまう。
すなわち、本発明者によると、正極活物質粒子1では、その製造方法の違いにより、一次粒子の形状や大きさに差異が生じ、正極活物質粒子1の中空部12に残留する溶媒の量も異なる。具体的には、例えば、一次粒子10(殻部)の形状が、針状により近似すればするほど、殻部11を貫通する貢通孔13が大きくなる傾向にあり、反対に、一次粒子10(殻部)の形状が、塊状により近似すればするほど、殻部11を貫通する貢通孔13が小さくなる傾向にある。他方、一次粒子10の大きさが、より小さくなればなるほど、殻部11を貫通する貢通孔13が大きくなる傾向にあり、反対に、一次粒子10の大きさが、より大きくなればなるほど、殻部11を貫通する貢通孔13が大きくなる傾向にある。加えて、正極活物質粒子1の貢通孔13が、より大きくなればなるほど、中空部12に入った溶媒が揮発し易い傾向にあり、反対に、正極活物質粒子1の貢通孔13が、より小さくなればなるほど、溶媒が中空部12に残留し易い傾向にある。
正極活物質粒子1の中空部12に残留する溶媒がより少ない正極を備えた非水電解質二次電池を製造するには、正極活物質粒子1の中空部12に残留する溶媒の量を把握し、溶媒の量を管理することが重要になる。そこで、例えば、リチウムイオン二次電池等(非水電解質二次電池)の製造にあたり、サンプリングした正極活物質層を検査対象に、正極活物質粒子の中空部に残留する溶媒の量を管理する手法として、本実施形態に係る正極活物質粒子の検査方法が用いられる。
この正極活物質粒子の検査方法は、より好適な適用として、二次粒子1の物性を、平均粒径D50が2.0μm以上10.0μm以下、かつDBP吸油量が34ml/100g以上43ml/100g以下としている。二次粒子1(正極活物質粒子1)の平均粒径D50は、例えば、レーザ解析散乱法に基づいた公知の計測手法等により、体積基準のメジアン径(D50:50%体積平均粒径)として求められる。DBP吸油量は、例えば、JIS K−6217(ゴム用カーボンブラックの基本性能の試験方法)に規定されているA法に準じる測定方法により、正極活物質粒子と溶媒との親和性を表す量として把握できる。
具体的に説明する。本実施形態に係る正極活物質粒子の検査方法ではまず、正極シートにおいて、正極活物質層に残留する溶媒(本実施形態では、N‐メチル‐2‐ピロリドン(NMP))の抽出とその濃度の分析を行う。NMPの抽出及び分析は、「(a)標準溶液の調製、(b)NMPの抽出、(c)検査機器によるNMPの計測、(d)NMP残留量の算出」の4つの工程に大別される。
(a)標準溶液の調製工程
以下の手順により、まず標準溶液を調製する。
(1)相対比較用のNMPにアセトンを希釈してA液を生成。これにより、生成に要したNMPの量とアセトンの量より、NMP濃度(A)が求まる。
(2)A液にアセトンを加えて希釈した基準溶液を生成し、秤量する。これにより、A液の量と、加えたアセトンの量と、A液のNMP濃度(A)に基づき、基準溶液のNMP濃度(B)が求まる。
(3)上記(2)の要領で、基準溶液をさらに希釈して検量線用の標準溶液を調製する。
標準溶液のNMP濃度(C)=基準溶液(g)÷[基準溶液(g)+アセトン(g)]×基準溶液のNMP濃度(B)
この演算式より、標準溶液のNMP濃度(C)が求まる。なお、検量線用の標準溶液について、例えば、試料のNMP濃度に応じて、標準溶液のNMP濃度(C)が異なる溶液を、複数用意することが好ましい。また、試料の濃度が、予め用意された標準溶液の濃度から外れる場合には、試料の濃度に適した濃度の標準溶液を追加することが望ましい。
(4)後述するガスクロマトグラフィ検査機器向けのスクリューバイアルに、標準溶液を所定量注ぐ。
以下の手順により、まず標準溶液を調製する。
(1)相対比較用のNMPにアセトンを希釈してA液を生成。これにより、生成に要したNMPの量とアセトンの量より、NMP濃度(A)が求まる。
(2)A液にアセトンを加えて希釈した基準溶液を生成し、秤量する。これにより、A液の量と、加えたアセトンの量と、A液のNMP濃度(A)に基づき、基準溶液のNMP濃度(B)が求まる。
(3)上記(2)の要領で、基準溶液をさらに希釈して検量線用の標準溶液を調製する。
標準溶液のNMP濃度(C)=基準溶液(g)÷[基準溶液(g)+アセトン(g)]×基準溶液のNMP濃度(B)
この演算式より、標準溶液のNMP濃度(C)が求まる。なお、検量線用の標準溶液について、例えば、試料のNMP濃度に応じて、標準溶液のNMP濃度(C)が異なる溶液を、複数用意することが好ましい。また、試料の濃度が、予め用意された標準溶液の濃度から外れる場合には、試料の濃度に適した濃度の標準溶液を追加することが望ましい。
(4)後述するガスクロマトグラフィ検査機器向けのスクリューバイアルに、標準溶液を所定量注ぐ。
(b)NMPの抽出工程
(1)試料打ち抜き機(例えば、株式会社島ウイスタ製トリミングカッタ等)により、正極シートを所定形状に切り取った試験片を作製し、この試験片の形状に基づく正極打ち抜き面積(D)を求める。次に、試験片を、セラミックス製の鋏で所定の大きさに裁断する。正極シートの打ち抜き時や、試験片の裁断時に生じた切粉も、試験片を裁断した分割試験片と同様に扱う。
(2)サンプル管に、上記(1)の分割試験片を入れ、所定量のアセトンを注入した後、分割試験片とアセトンの混合物を秤量する。これにより、注入したアセトンの量に基づき、抽出溶媒アセトンの質量(E)が得られる。
(3)蓋口部にシールテープを巻いたサンプル管を所定時間、超音波抽出機にかけてNMPを抽出する。
(4)シリンジフィルタで濾過しながら、抽出溶液を、前述したスクリューバイアルに全量注ぐ。
(1)試料打ち抜き機(例えば、株式会社島ウイスタ製トリミングカッタ等)により、正極シートを所定形状に切り取った試験片を作製し、この試験片の形状に基づく正極打ち抜き面積(D)を求める。次に、試験片を、セラミックス製の鋏で所定の大きさに裁断する。正極シートの打ち抜き時や、試験片の裁断時に生じた切粉も、試験片を裁断した分割試験片と同様に扱う。
(2)サンプル管に、上記(1)の分割試験片を入れ、所定量のアセトンを注入した後、分割試験片とアセトンの混合物を秤量する。これにより、注入したアセトンの量に基づき、抽出溶媒アセトンの質量(E)が得られる。
(3)蓋口部にシールテープを巻いたサンプル管を所定時間、超音波抽出機にかけてNMPを抽出する。
(4)シリンジフィルタで濾過しながら、抽出溶液を、前述したスクリューバイアルに全量注ぐ。
(c)検査機器によるNMPの計測工程
抽出したNMPの計測には、例えば、ガスクロマトグラフィ検査機器(株式会社島津製作所製、機種GCMS-QP2010型)等が用いられる。標準溶液と抽出溶液が入ったスクリューバイアルを、このガスクロマトグラフィ検査機器のオートサンプラにセットし、ガスクロマトグラフィ検査機器により、抽出したNMPの濃度を計測する。
抽出したNMPの計測には、例えば、ガスクロマトグラフィ検査機器(株式会社島津製作所製、機種GCMS-QP2010型)等が用いられる。標準溶液と抽出溶液が入ったスクリューバイアルを、このガスクロマトグラフィ検査機器のオートサンプラにセットし、ガスクロマトグラフィ検査機器により、抽出したNMPの濃度を計測する。
(d)NMP残留量の算出工程
(1)標準溶液のピーク面積値をx、NMP濃度をyとした、原点を通らない一次近似式による検量線を導く。
(2)一次近似式(x)に試料のピーク面積値を代入したNMP濃度(F)を導く。NMP濃度(F)は、次式より導かれる。
NMP濃度(F)=傾きa×(試料のピーク面積値)+切片b (但しa≠0)
(3)NMP全量(G)を、次式より求める。
NMP全量(G)=NMP濃度(F)×抽出溶媒アセトンの質量(E)
(4)正極1cm2当たりのNMP量(H)を、次式より求める。
NMP量(H)=NMP全量(G)÷正極打ち抜き面積(D)
(5)正極合材1mg当たりのNMP量(I)を、次式より求める。
正極合材1mg当たりのNMP量(I)=正極1cm2当たりのNMP量(H)÷目付量
(1)標準溶液のピーク面積値をx、NMP濃度をyとした、原点を通らない一次近似式による検量線を導く。
(2)一次近似式(x)に試料のピーク面積値を代入したNMP濃度(F)を導く。NMP濃度(F)は、次式より導かれる。
NMP濃度(F)=傾きa×(試料のピーク面積値)+切片b (但しa≠0)
(3)NMP全量(G)を、次式より求める。
NMP全量(G)=NMP濃度(F)×抽出溶媒アセトンの質量(E)
(4)正極1cm2当たりのNMP量(H)を、次式より求める。
NMP量(H)=NMP全量(G)÷正極打ち抜き面積(D)
(5)正極合材1mg当たりのNMP量(I)を、次式より求める。
正極合材1mg当たりのNMP量(I)=正極1cm2当たりのNMP量(H)÷目付量
かくして、正極活物質粒子1(二次粒子1)に残留するNMPが抽出され、抽出されたNMPの濃度が知得できる。
次に、本実施形態に係る正極活物質粒子の検査方法のうち、二次粒子1の圧壊強度の値と、予め定めた判定基準値との大小関係に基づいて、中空部12の状態を判別することにより、正極活物質粒子1の良否を判定する要領について、説明する。図1は、正極活物質粒子の二次粒子に対し、残留するNMP濃度と圧壊強度との関係を示すグラフであり、実施形態に係る正極活物質粒子の検査方法で、正極活物質粒子の良否を判定する選別基準となる検量線である。
二次粒子1の圧壊強度の値と、予め定めた判定基準値との大小関係に基づいて、中空部12の状態を判別することにより、正極活物質粒子1の良否を判定するには、判定基準として、図1に示すように、検量線が用いられる。検量線は、予め行った調査実験を通じて、残留するNMP濃度(X軸)と圧壊強度(Y軸)との相関関係を回帰分析して作成したグラフである。作成した検量線では、製品になった正極合材が、評価用試料として評価基準に用いられ、評価用試料の正極活物質層で残留するNMPに対し、その濃度の違いによる複数種の評価用試料が、評価基準の母集団となっている。この検量線は、重相関係数Rの二乗である寄与率R2を0.93とする信頼性の高い評価指標になっている。
この検量線を作成する背景として、実際に行っている非水電解質二次電池の正極の性能試験では、NMPの残留濃度に起因した性能評価における正極合材の良否は、本実施形態では、NMPの濃度300ppmを閾値とした基準で判断されている。性能評価では、正極活物質層でNMPの濃度が300ppm以下になっている正極は、良品として判定され、その反対に、NMPの濃度が300ppmを超えている正極については、良品から除外した判断で判定されている。
また、この検量線の圧壊強度では、サンプル数20粒分の正極活物質粒子1の各圧壊強度を平均化した平均圧壊強度が採用され、前述した正極合材の良否については、この平均圧壊強度をパラメータとして判断される。すなわち、図1に示す検量線では、正極活物質粒子1の平均圧壊強度が4.65MPaであった場合、この正極活物質粒子1に残留するNMP濃度が閾値300ppmに相当するともの判断される。検量線の傾きは、NMP濃度の増加に伴って、平均圧壊強度も増加する「正」の傾きとなっており、NMP濃度が300ppm以下となる良品の正極合材では、その平均圧壊強度は、4.65MPa以下となる。その反対に、NMP濃度が300ppmを超える良品除外品の正極合材では、その平均圧壊強度は、4.65MPaを超える。
図2は、正極活物質粒子の一次粒子を示す画像であり、圧壊強度の大きい場合のサンプルを示す画像である。図3は、正極活物質粒子の一次粒子を示す画像であり、圧壊強度の小さい場合のサンプルを示す画像である。図2に示すように、正極活物質粒子1をなす一次粒子10が比較的小さい粒になっていると、この正極活物質粒子1に生じている貢通孔13は、比較的大きく、かつその数も多くなり、NMPが貢通孔13を通じて中空部12に入っても、NMPは揮発し易く、正極活物質粒子1に残留し難い傾向にある。換言すれば、このような状態の正極活物質粒子1は、圧壊強度が相対的に小さい物性であり、NMPをより効果的に除去できる乾燥性の高い物性でもある。その反対に、図3に示すように、正極活物質粒子1をなす一次粒子10が比較的大きい粒になっていると、この正極活物質粒子1に生じている貢通孔13は、比較的小さく、かつその数も少なくなり、NMPが貢通孔13を通じて中空部12に入っても、NMPは揮発し難く、正極活物質粒子1に残留し易い傾向にある。換言すれば、このような状態の正極活物質粒子1は、圧壊強度が相対的に大きい物性であり、NMPをより効果的に除去でき難い乾燥性の低い物性でもある。
次に、検量線の作成にあたり、残留するNMP濃度は、前述した「(d)NMP残留量の算出工程」より求められ、二次粒子1の圧壊強度の求め方については、次述する。
二次粒子1の圧壊強度を求めるにあたり、例えば、微小粒子圧壊力測定装置(株式会社ナノシーズ製、機種NS-A100型、加圧プローブ先端径Φ20μm)等を用いて、二次粒子1の圧壊時における荷重の大きさを計測する必要がある。また、圧壊強度を調査する対象の正極活物質粒子1(調査試料)について、その平均粒径を予め把握しておく必要がある。
具体的には、調査試料の平均粒径を取得するのに、調査試料の母集団は、製造された正極活物質粒子1の製造ロットを複数(複数の検体)とした上で、一つの製造ロット(1検体)に付き、一例として正極活物質粒子1(二次粒子1)を20粒程度サンプリングし、このサンプリングを、全ての製造ロットで行った正極活物質粒子1の総数である。1検体分の調査試料の平均粒径は、サンプル数20粒分の正極活物質粒子1の粒径の平均値であり、後述する計算式(1)中、正極活物質粒子1の粒径Dに対応する。正極活物質粒子1の粒径は、その計測結果を記した検査表の測定値に準じる。この平均粒径の値を、複数の検体分について、それぞれ取得しておく。
図4は、圧壊時の荷重について、説明するグラフである。微小粒子圧壊力測定装置による正極活物質粒子1の圧壊では、作業者は、正極活物質粒子1を0.1g程度、装置の試料台上に載せた状態で、加圧プローブ先端の位置をカメラで確認しながら、この試料台を速度10μm/sでゆっくりと移動させ、ランダムに選択した正極活物質粒子1を一粒ずつ、加圧プローブ先端中央部に接触させて加圧する。併せて、微小粒子圧壊力測定装置は、加圧プローブ先端により正極活物質粒子1に相対的に掛ける荷重の大きさを計測する。
このとき、試料台の移動に伴い、試料台の変位が、加圧開始以降増大にするにつれて、加圧プローブ先端による荷重も増加するが、図4に示すように、試料台がある程度移動すると、加圧プローブ先端により、正極活物質粒子1が圧壊されて、加圧プローブ先端の荷重は急激に減少する。作業者は、微小粒子圧壊力測定装置より、加圧プローブ先端で正極活物質粒子1(二次粒子1)に荷重をかけて圧壊したときの荷重の大きさを取得する。作業者は、1検体あたり、20粒分の正極活物質粒子1に対し、このような圧壊荷重の測定作業を、正極活物質粒子1一粒ずつ繰り返し行う。
二次粒子1の圧壊強度は、次の計算式(1)より求められる。
σ=2.8×P/π/D2 …(1)
但し、σ:圧壊強度[Pa]、P=圧壊荷重[N]、D:正極活物質粒子1の粒径[m]
1検体あたり、20粒分の正極活物質粒子1に対し、それぞれの圧壊強度を、前述した正極活物質粒子1の粒径の平均値と、取得した圧壊荷重の測定値とを、計算式(1)に代入することにより、正極活物質粒子1の圧壊強度が算出される。
σ=2.8×P/π/D2 …(1)
但し、σ:圧壊強度[Pa]、P=圧壊荷重[N]、D:正極活物質粒子1の粒径[m]
1検体あたり、20粒分の正極活物質粒子1に対し、それぞれの圧壊強度を、前述した正極活物質粒子1の粒径の平均値と、取得した圧壊荷重の測定値とを、計算式(1)に代入することにより、正極活物質粒子1の圧壊強度が算出される。
このように、1検体あたり、20粒分の正極活物質粒子1に対し、それぞれ計算式(1)の解である圧壊強度σの値を、図1に示すグラフにプロットし、回帰分析の処理を行うことで、図1に示す検量線が取得できる。そして、本実施形態に係る正極活物質粒子の検査方法により、検量線の取得後に行う正極活物質粒子1(二次粒子1)の良否判定では、検査対象となる正極活物質粒子1に対し、粒径の平均値と、取得した圧壊荷重の測定値とが、把握できれば、計算式(1)に基づいて圧壊強度σの算出値を導き出す。そして、図1に示す検量線を用いて、圧壊強度σの算出値に対応する残留するNMP濃度を読み取る。かくして、正極活物質粒子1に残留するNMP濃度が、図1に示す検量線により把握でき、正極活物質粒子1(二次粒子1)の良否判定が判断できる。
以上、本実施の形態に係る正極活物質粒子の検査方法によれば、正極活物質粒子の良否を判定するための正極活物質粒子の検査方法において、検査対象となる正極活物質粒子1は、一次粒子10からなる殻部11と、殻部11に形成された中空部12と、殻部11を貫通する貢通孔13とを有し、一次粒子10を複数凝集してなる中空構造の二次粒子1であり、二次粒子1は、平均粒径D50が2.0μm以上10.0μm以下、かつDBP吸油量が34ml/100g以上43ml/100g以下の物性であること、二次粒子1の圧壊強度の値と、予め定めた判定基準値との大小関係に基づいて、中空部12の状態を判別することにより、正極活物質粒子1の良否を判定すること、を特徴とする。この特徴により、活物質粒子毎に一粒全体をSEM画像に撮影して行う従来の正極活物質粒子の検査方法とは異なり、本実施の形態に係る正極活物質粒子の検査方法は、SEM画像を撮影する作業工程を必要とせず、正極活物質粒子1の良否を判定するのに必要な検査時間が大幅に短縮できる。すなわち、本実施形態のように、例えば、1検体あたり、正極活物質粒子1を20粒分の状態を解析する場合、従来の正極活物質粒子の検査方法によれば、SEM画像を撮影する作業工程があったために、正極活物質粒子1の良否を判定するのに必要な検査時間は、180分程度要していた。これに対し、本実施の形態に係る正極活物質粒子の検査方法によれば、正極活物質粒子1の良否を判定するのに必要な検査時間は、僅か40分程度に過ぎず、正極活物質粒子1の良否の判定が効率良くできる。ひいては、判定で適合する正極活物質粒子1を用いることにより、正極活物質層の正極活物質粒子1の中空部12で、NMPの残留量が多いことに起因した電池の不良を低減させることができる。
従って、本実施形態に係る正極活物質粒子の検査方法によれば、正極活物質粒子1の良否を、より短い時間で判定することができる、という優れた効果を奏する。
以上において、本発明を実施形態に即して説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できる。
(1)例えば、実施形態では、正極ペーストの溶媒にNMPを用い、正極活物質粒子に残留する溶媒にNMPを挙げて説明したが、正極ペーストに用いる溶媒や、正極活物質粒子に残留する溶媒は、実施形態に限定されるものでなく、NMP以外にも、正極活物質粒子と、必要に応じて導電材や結着材等とを混合してペースト状、またはスラリー状に調製でき、乾燥工程で揮発できると共に、正極シートの機能として阻害要因とならない物性で、正極ペーストに用いることができる溶媒であれば、特に限定されるものではない。
(1)例えば、実施形態では、正極ペーストの溶媒にNMPを用い、正極活物質粒子に残留する溶媒にNMPを挙げて説明したが、正極ペーストに用いる溶媒や、正極活物質粒子に残留する溶媒は、実施形態に限定されるものでなく、NMP以外にも、正極活物質粒子と、必要に応じて導電材や結着材等とを混合してペースト状、またはスラリー状に調製でき、乾燥工程で揮発できると共に、正極シートの機能として阻害要因とならない物性で、正極ペーストに用いることができる溶媒であれば、特に限定されるものではない。
1 正極活物質粒子(二次粒子)
10 一次粒子
11 殻部
12 中空部
13 貢通孔
10 一次粒子
11 殻部
12 中空部
13 貢通孔
Claims (1)
- 正極活物質粒子の良否を判定するための正極活物質粒子の検査方法において、
検査対象となる前記正極活物質粒子は、一次粒子からなる殻部と、前記殻部に形成された中空部と、前記殻部を貫通する貢通孔とを有し、前記一次粒子を複数凝集してなる中空構造の二次粒子であり、
前記二次粒子は、
平均粒径D50が2.0μm以上10.0μm以下、かつ
DBP吸油量が34ml/100g以上43ml/100g以下の物性であること、
前記二次粒子の圧壊強度の値と、予め定めた判定基準値との相対関係に基づいて、前記中空部の状態を判別することにより、前記正極活物質粒子の良否を判定すること、
を特徴とする正極活物質粒子の検査方法。
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JP2017019888A JP2018129131A (ja) | 2017-02-06 | 2017-02-06 | 正極活物質粒子の検査方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2020105307A1 (ja) * | 2018-11-21 | 2020-05-28 | 株式会社日立製作所 | 負極活物質、これを用いた負極及び二次電池 |
WO2021090680A1 (ja) * | 2019-11-07 | 2021-05-14 | 株式会社村田製作所 | 二次電池用正極および二次電池 |
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