JP2018128019A - ガス交換バルブのバルブシートリング、ガス交換バルブ、およびバルブシートリングを製造するための方法 - Google Patents

Abstract

【課題】新しいタイプのガス交換バルブのバルブシートリング、かかるバルブシートリングを有するガス交換バルブ、およびバルブシートリングを製造するための方法を提供すること。【解決手段】内燃機関のシリンダのガス交換バルブ用のバルブシートリング(10)であって、ガス交換バルブのバルブ本体が、ガス交換バルブを閉じるためにバルブシートリングに当接して載置され得、バルブ本体は、ガス交換バルブを開くためにバルブシートリングから移動され得る。バルブシートリング(10)は、異なる材料から、すなわち第1のセクション(13)においては第1の材料からおよび第2のセクション(14)においては第2の材料からなり、第1の材料は、第2の材料と比較した場合により高い強度を有し、第2の材料は、第1の材料と比較した場合により高い熱伝導性を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関のガス交換バルブのバルブシートリングに関する。さらに、本発明は、内燃機関用のガス交換バルブと、バルブシートリングを製造するための方法と、に関する。

慣例的に知られている内燃機関はガス交換バルブ、すなわち内燃機関のシリンダに給気を供給し得る吸気口側ガス交換バルブと、内燃機関のシリンダから排気を排出させ得る排気口側交換バルブと、を備える。

内燃機関の全てのガス交換バルブは、バルブ本体を備え、バルブシートリングがバルブ本体と相互作用する。ガス交換バルブが閉じた状態では、バルブ本体は、バルブシートリングの規定の表面領域上に規定の領域が載置されるまたは着座するが、ガス交換バルブが開かれた状態では、バルブ本体のこの領域は、バルブシートリングに当接して載置されないか、またはバルブシートリングから移動されて離れるもしくは引き上げられて離れる。

慣例的に知られているガス交換バルブのバルブシートリングは、同一材料から全体が製造され、部分的に摩耗保護(表面硬化)が施される。シリンダの内燃チャンバ内の圧力および温度がますます上昇しつつある結果として、ガス交換バルブのバルブシートリングに関する要件は、特に強度、熱伝導性、および耐摩耗性に関して高くなっている。慣例的に知られているバルブシートリングでは、これらの要件は不十分に満たすことしかできない。

ここを出発点として、本発明は、新しいタイプのガス交換バルブのバルブシートリング、かかるバルブシートリングを有するガス交換バルブ、およびバルブシートリングを製造するための方法を生み出すという目的に基づく。

この目的は、請求項1に記載のバルブシートリングにより達成される。本発明によれば、バルブシートリングは異なる材料から、すなわち第1のセクションにおいては第1の材料からおよび第2のセクションにおいては第2の材料からなり、第1の材料は、第2の材料と比較した場合により高い強度を有し、第2の材料は、第1の材料と比較した場合により高い熱伝導性を有する。したがって、本発明は、同一材料から連続的には製造されず、複合構造体の意味においてそれぞれ異なる材料のセクションをむしろ有するバルブシートリングを提案する。第1の材料の第1のセクションは、バルブシートリングの静的強度および動的強度の主要機能を帯びる。第2の材料の第2のセクションは、バルブシートリングから離れる方向への高い熱輸送の機能を帯びる。代替的には、これらの2つの材料は、それぞれ他方の材料の各主要機能を支援する。異なる材料を使用することは、これらの材料をそれらの主要機能に対して適合的に個別に選択することが可能となり、単一の材料が高強度および良好な熱伝導性に関する要件を同時に満たす必要がないという利点を有する。

優先的には、バルブシートリングは、第3のセクションにおいて第3の材料から形成され、第3の材料は、第1の材料および第2の材料と比較した場合により高い延性を有する。バルブシートリングの第3の領域に第3の材料を有することにより、特にガス交換バルブの閉鎖挙動がプラスの影響を被り得る。第3のセクションの延性が高いことにより、バルブシートリングとガス交換バルブのバルブ本体との間の封止効果が、わずかな動作時間以内においても実現され、したがって動作変動が軽減されることが確保される。

有利なさらなる発展によれば、バルブシートリングは、複数の部品から形成される。バルブ本体と相互作用し冷却される第1の部品が、上記のそれぞれ異なる材料からなる上記のセクションを備え、内燃機関内にバルブシートリングを組み付ける役割を果たす第2の部品が、1つの材料から全体が構成され、これらの2つの部品は、固定的に相互に連結される。これは、バルブシートリングの経済的な製造に関して有利である。強度および熱伝導性ならびに封止効果に関して非常に重要であるバルブシートリングの領域のみが、それぞれ異なる材料のセクションから製造される。内燃機関内にバルブシートリングを組み付ける役割を果たすバルブシートリングの部品は、従来の方法で同一材料から製造され得る。

本発明によるガス交換バルブは、請求項11に定義される。バルブシートリングを製造するための方法は、請求項12または13に定義される。

本発明の好ましいさらなる発展は、下位クレームおよび以下の説明から得られる。本発明の例示の実施形態が、非限定的な図面によりさらに詳細に説明される。

本発明によるガス交換バルブのバルブシートリングの領域における本発明による内燃機関の抜粋を示す図である。

本発明は、内燃機関のガス交換バルブ用のバルブシートリングと、かかるバルブシートリングを有するガス交換バルブと、バルブシートリングを製造するための方法と、に関する。

図1は、内燃機関のシリンダのガス交換バルブ用のバルブシートリング10からの抜粋を非常に概略的に示す。ガス交換バルブは、給気用の吸気側ガス交換バルブまたは排気用の排気側ガス交換バルブであることが可能である。

図1に示すバルブシートリング10は、図示しないバルブ本体と相互作用し、バルブ本体は、バルブコーンまたはバルブディスクとも呼ばれる。ガス交換バルブを閉じるためには、バルブ本体は、バルブシートリング10に当接して載置され、接触状態におかれたバルブ本体およびバルブシートリング10のセクションまたは表面領域同士が、封止効果をもたらす。ガス交換バルブを開くためには、バルブ本体は、バルブシートリング10から移動されて離れ得る、特に引き上げられて離れ得る。

図1に示すバルブシートリング10は、2つの部品11、12を備え、これらは、相互に対して固定的に、すなわち図1では溶接シーム18を介して連結される。バルブシートリング10の第1の部品11は、バルブ本体と相互作用し、強度、熱伝導性、および封止効果に関して適切に設計されなければならない部分である。バルブシートリング10の第2の部品12は、内燃機関のシリンダヘッド内にバルブシートリング10を組み付けるための役割を果たす。

内燃機関内に、具体的には内燃機関のシリンダヘッド内にバルブシートリング10を組み付けるための役割を果たすバルブシートリング10の第2の部品12は、同一材料から連続的に製造され、この第2の部品12は、例えばフライス加工または旋盤加工などの切削加工方法により特に製造され得る。

バルブ本体と相互作用する図1のバルブシートリング10の第1の部品11は、種々の材料から製造される。

したがって、バルブシートリング10の部品11は、第1の材料の第1のセクション13と、第2の材料の第2のセクション14とを備え、第1のセクション13の第1の材料は、第2のセクション14の第2の材料と比較してより高い強度を有し、第2のセクション14の第2の材料は、第1のセクション13の第1の材料と比較してより高い熱伝導性を有する。

第1の材料から製造された第1のセクション13は、バルブシートリング10の十分な静的強度および動的強度を本質的に確保する。第2の材料の第2のセクション14は、バルブシートリング10の表面から離れる方向への高い熱輸送が温度制御的に行われることを可能にするのに適した高い熱伝導性を本質的にもたらす。異なる材料からなる両セクションはそれぞれ、他方の材料のそれぞれ他方の領域の機能の代替をさらに支援的に果たす。

この場合には、異なる材料からなるセクション13および14は、複合構造体を形成する。これら2つのセクション13および14の各材料は、各機能に対して個別に選択または設計され得る。第1の材料は、優先的には第1の金属材料である。第2の材料は、同様に優先的には第2の金属材料である。

優先的には、第1のセクション13の第1の材料の強度は、740N/m²〜1200N/m²の間に達する。第1のセクション13用の第1の材料としては、以下の材料が、すなわちステライト12が優先的に使用される。第2のセクション14の第2の材料の熱伝導性は、優先的には250W/mK〜400W/mKの間に達する。第2のセクション14用の第2の材料としては、以下の材料が、すなわち銅が優先的に使用される。

高強度を有する第1の材料から形成された第1のセクション13は、優先的には三次元構造体を形成し、第2のセクション14は、三次元構造体の中空空間または空き空間が第2の材料で充填されることにより比較的高い熱伝導性を有する第2の材料から形成される。この場合には、三次元構造体は、規則的な構造体、特にハニカム構造体もしくはフレーム構造体か、またはさらには不規則な構造体、特に発泡構造体であることが可能である。

本発明に関しては、バルブシートリング10は、バルブ本体と相互作用する少なくとも部品11の領域に、それぞれ異なる材料からなるセクション13、14を、すなわちバルブシートリング10の静的強度および動的強度の主要な機能を実現するための第1の材料の第1のセクション13と、バルブシートリング10の表面領域などのセクションから離れる方向への高い熱輸送が温度制御的に行われることを可能にするための第2の材料の第2のセクション14と、を備える。図1は、バルブシートリング10の部品11の領域に冷媒が流通する冷却チューブまたは冷却ダクトの意味での冷却デバイスを示す。第2の材料の第2のセクション14により、冷却デバイス17の方向に離れる良好な熱輸送が確保される。

図1に示す本発明によるバルブシートリング10の好ましい例示の実施形態では、この実施形態は、バルブシートリング10の表面領域16を画定する第3のセクション15を備え、バルブ本体は、ガス交換バルブを閉じるためにこの表面領域16に当接するように載置され得る。バルブ本体の底部領域を形成するこの第3のセクション15では、バルブシートリング10は優先的には第3の材料から製造され、第1の材料および第2の材料と比較した場合に、第3の材料は高いまたはより高い延性を有する。

優先的には、以下の金属材料またはセラミック材料、すなわちニッケルまたは酸化ジルコニウムが第3の材料として使用される。

高い延性を有する金属材料またはセラミック材料の第3のセクション15により、特にバルブシートリング10とガス交換バルブのバルブ本体との間の封止効果が改善されることが可能となり、それにより優れた封止効果がごくわずかな動作時間以内においても実現され、したがって動作変動が軽減され得る。

さらに、本発明は、かかるバルブシートリング10を有するガス交換バルブに関し、このガス交換バルブは、バルブシートリング10と相互作用する図示しないバルブ本体をさらに備える。

さらに、本発明は、本発明によるバルブシートリングを製造するための方法に関する。図1に示すバルブシートリング10は、第2の部品12が切削加工製造方法により製造されることによって製造される。バルブシートリング10の第1の部品11を製造するためには、中空空間構造体などの三次元構造体が、第1の材料から初めに作製され、したがってそれにより、第1のステップではバルブシートリング10の部品11を製造するための第1のセクション13が、第1の材料から初めに製造される。このとき、既に説明したような三次元構造体は、例えばハニカム構造体の形態などにおいて規則的に、または例えば発泡構造体の形態などにおいて不規則的に具現化され得る。三次元構造体は、例えば3D印刷などのジェネレーティブ製造方法(generative production method)などにより製造され得る。三次元構造体の製造後に、中空空間または空き空間が、例えば溶浸などにより第2の材料で充填され、それにより第2の材料の第2のセクションが第1の材料の第1のセクション13に与えられる。2つの部品11、12の形成後に、これらの部品は、優先的には溶接により相互に連結される。

これとは対照的に、第1の材料の第1のセクション13および第2の材料の第2のセクション14を少なくとも備える第1の部品11は、両材料およびしたがってバルブシートリング10の部品11の両セクション13、14が例えば複数材料3D印刷プロセスの助力などジェネレーティブ製造方法の助力により同時にまたは準同時に作製されることによって製造されることも可能である。

2つの部品11、12を連結する前に、またはさらには2つの部品11、12を連結した後に、第3の材料の第3のセクション15は、例えばコーティング方法などによりバルブシートリング10の部品11上に形成され得る。代替的には、第1の部品11の第3のセクション15は、ジェネレーティブ製造方法によっても製造され得る。

内燃機関内に、具体的には内燃機関のシリンダヘッド内にバルブシートリング10を組み付けるための役割を果たすバルブシートリング10の第2の部品12は、優先的には同一材料から全体が製造される。優先的には、この場合には、第2の部品12は、第1の部品11の第1のセクション13の第1の材料からなる。この場合には、これにより、例えば溶接などによる2つの部品11、12の良好な連結性が確保される。

したがって、本発明は、内燃機関のガス交換バルブ用の完全に新たなタイプのバルブシートリング10を提案する。高い機械負荷および高い熱負荷にさらされるバルブシートリング10の少なくとも部品11は、異なる材料から製造された少なくとも2つの異なるセクション13、14の、すなわち比較的高い強度を有する第1の材料の第1のセクション13および比較的高い熱伝導性を有する第2の材料の第2のセクション14の複合構造体からなる。

バルブシートリング10がバルブ本体用の底部領域としての役割を果たす第3のセクションにおいて高い延性を有する第3の材料から製造される一実施形態が、特に好ましい。

10 バルブシートリング
11 部品
12 部品
13 第1のセクション
14 第2のセクション
15 第3のセクション
16 表面領域
17 冷却デバイス
18 溶接シーム

Claims (13)

1. 内燃機関のシリンダのガス交換バルブ用のバルブシートリング(10)であって、前記ガス交換バルブのバルブ本体が、前記ガス交換バルブを閉じるために前記バルブシートリングに当接して載置されることが可能であり、前記バルブ本体は、前記ガス交換バルブを開くために前記バルブシートリングから移動されることが可能である、バルブシートリング(10)において、前記バルブシートリング(10)は異なる材料から、すなわち第1のセクション(13)においては第1の材料から、および第2のセクション(14)においては第2の材料からなり、前記第1の材料は、前記第2の材料と比較した場合により高い強度を有し、前記第2の材料は、前記第1の材料と比較した場合により高い熱伝導性を有することを特徴とする、バルブシートリング(10)。
2. 前記第1の材料から形成された前記第1のセクション(13)は、三次元構造体を形成すること、および前記第2のセクション(14)は、前記第2の材料で充填された前記構造体の中空空間または空き空間により形成されることを特徴とする、請求項1に記載のバルブシートリング。
3. 前記三次元構造体は、規則的なハニカム構造体であることを特徴とする、請求項2に記載のバルブシートリング。
4. 前記三次元構造体は、不規則な発泡構造体であることを特徴とする、請求項2に記載のバルブシートリング。
5. 前記第1の材料は、第1の金属材料であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のバルブシートリング。
6. 前記第2の材料は、第2の金属材料であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のバルブシートリング。
7. 前記バルブシートリング(10)は、第3のセクション(15)において第3の材料から形成され、前記第3の材料は、前記第1の材料および前記第2の材料と比較した場合により高い延性を有することを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のバルブシートリング。
8. 前記第3のセクション(15)は、前記バルブ本体が前記ガス交換バルブを閉じるために当接して載置され得る前記バルブシートリング(10)の表面領域(16)を画定することを特徴とする、請求項7に記載のバルブシートリング。
9. 前記第3の材料は、第3の金属材料またはセラミック材料であることを特徴とする、請求項7または8に記載のバルブシートリング。
10. 前記バルブシートリング(10)は、複数の部品から形成され、前記バルブ本体と相互作用し冷却される第1の部品(11)が、前記異なる材料からなる前記セクション(13、14、15)を備え、前記内燃機関内に前記バルブシートリングを組み付ける役割を果たす第2の部品(12)が、1つの材料から全体が構成され、前記2つの部品(11、12)は、固定的に相互に連結されることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載のバルブシートリング。
11. バルブ本体と、前記バルブ本体用のバルブシートリング(10)と、を有する内燃機関のガス交換バルブにおいて、請求項1から10のいずれか一項に記載のバルブシートリング(10)が形成されることを特徴とする、ガス交換バルブ。
12. 請求項1から10のいずれか一項に記載のバルブシートリング(10)を製造するための方法において、第1のステップで、前記第1のセクション(13)が三次元構造体を形成する前記第1の材料から製造されることと、その後の前記第2のセクション(14)を形成する第2のステップで、前記三次元構造体の中空空間または空き空間が前記第2の材料で充填されることと、を含むことを特徴とする、方法。
13. 前記第1のセクション(13)は、前記第1の材料から製造され、前記第2のセクション(14)は、ジェネレーティブ製造方法により同時に同一材料から製造されることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の前記バルブシートリング(10)を製造するための方法。