JP2018127726A - 手袋 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、耐衝撃パッドの接着強さが比較的大きく、かつ耐衝撃性、防水性及び耐薬品性に優れる手袋の提供を目的とする。【解決手段】本発明の手袋は、伸縮性を有する繊維製の手袋本体と、この手袋本体の外面を被覆し、合成樹脂又はゴムを主成分とするコーティング層と、上記手袋本体のコーティング層の背側部分の外面側のうち少なくとも一部に付設され、合成樹脂又はゴムを主成分とする1又は複数の耐衝撃パッドと、上記コーティング層及び耐衝撃パッドを接着する接着剤層とを備え、上記接着剤層を構成する接着剤が、湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤である。上記耐衝撃パッドが、少なくとも1の指の関節相当箇所上に付設されているとよい。上記耐衝撃パッドが、上記コーティング層に重畳されるベース層と、このベース層の外面に突設される凸部とを備えるとよい。上記ベース層の平均厚みとしては、0.1mm以上1mm以下が好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、手袋に関する。
土木や建設等の作業において使用される手袋として、外側に高強度の防護部(耐衝撃パッド)を付設した手袋が公知である(特開2005−325456号公報参照)。
上記公報に開示される手袋では、伸縮性繊維材により構成される手袋本体の指先と指の第1関節との間、及び指の隣り合う関節間に、樹脂等から形成される防護部を接着することで、作業者の手を保護している。
しかし、この従来の手袋では繊維材に直接防護部を接着しているため、防護部と繊維材との十分な接着強さが得られない。このため、防護部のずれや脱落防止の観点から、防護部の付設場所は手袋の装着時に屈曲し難い部分に限られ、例えば指の関節部分等の屈曲する部分を十分に保護することが難しい。また、手袋本体の防護部が接着されない部分では、繊維材が手袋の表面に露出するため、上記従来の手袋は防水性や耐薬品性が不十分である。
特開2005−325456号公報
本発明はこれらの事情に鑑みてなされたものであり、耐衝撃パッドの接着強さが比較的大きく、かつ耐衝撃性、防水性及び耐薬品性に優れる手袋を提供することを目的とする。
上記課題を解決するためになされた発明は、伸縮性を有する繊維製の手袋本体と、この手袋本体の外面を被覆し、合成樹脂又はゴムを主成分とするコーティング層と、上記手袋本体のコーティング層の背側部分の外面側のうち少なくとも一部に付設され、合成樹脂又はゴムを主成分とする1又は複数の耐衝撃パッドと、上記コーティング層及び耐衝撃パッドを接着する接着剤層とを備える手袋である。
当該手袋は、合成樹脂又はゴムを主成分とするコーティング層と、合成樹脂又はゴムを主成分とする耐衝撃パッドとを接着剤層を介して接着する。このため、当該手袋は、耐衝撃パッドの接着が樹脂同士、ゴム同士又はゴムと樹脂との接着となるので、繊維製の手袋本体に直接接着する場合に比べて、耐衝撃パッドを強固に接着できる。従って、当該手袋は、耐衝撃パッドが屈曲部分に付設されても剥がれ難いので、耐衝撃パッドにより当該手袋の屈曲部分を容易に保護することができる。また、当該手袋はコーティング層により手袋本体の外面を被覆している。また、当該手袋は、耐衝撃パッドが接着剤層により接着されるので、縫合により固定する場合のようにコーティング層に穴を開けることなく耐衝撃パッドを固定できる。このため、当該手袋は、このコーティング層により防水性及び耐薬品性に優れる。さらに、当該手袋は、縫合糸を用いる必要がないので、手袋本体の内面の縫合糸による凹凸に起因する装着感の低下を抑止できる。また、当該手袋は、上記接着剤層を構成する接着剤として、加工性に優れ、かつゴム及び樹脂との接着力にも優れる湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤を用いることで、耐衝撃パッドのずれや脱落の防止効果を高められる。
上記耐衝撃パッドが、少なくとも1の指の関節相当箇所上に付設されているとよい。このように上記耐衝撃パッドを少なくとも1の指の関節相当箇所上に付設することで、防護効果を高めることができる。
また、上記耐衝撃パッドが、上記コーティング層に重畳されるベース層と、このベース層の外面に突設される凸部とを備えるとよい。このように耐衝撃パッドをベース層と凸部とを備える構成とすることで、ベース層により耐衝撃パッドの屈曲柔軟性を維持しつつ、凸部により耐衝撃性を向上させることができる。
上記ベース層の平均厚みとしては、0.1mm以上1mm以下が好ましい。上記ベース層の厚みを上記範囲内とすることで、耐衝撃性を維持しつつ、耐衝撃パッドの屈曲柔軟性をさらに向上できる。
上記コーティング層と耐衝撃パッドとの25℃における接着強さとしては、20N/cm以上が好ましい。このように上記コーティング層と耐衝撃パッドとの接着強さを上記下限以上とすることで、より高い接着強さを有し、耐衝撃パッドにより手袋の屈曲部分をさらに容易に保護することができる。
上記耐衝撃パッドの付設部分における曲げ応力としては、1.6MPa以下が好ましい。上記耐衝撃パッドの付設部分における曲げ応力を上記上限以下とすることで、より高い柔軟性を有し、耐衝撃パッドにより手袋の屈曲部分を保護しつつ、作業効率が高い手袋とできる。
ここで、「主成分」とは、最も含有量の多い成分であり、例えば含有量が50質量%以上の成分をいう。また、「背側」とは、手袋を装着した際に手の甲を覆う側をいう。また、「平均厚み」とは、断面をデジタルマイクロスコープ(例えば、キーエンス株式会社の「VHX−900」)を用いて観察し、外面から内面までの距離について、10箇所測定した値の平均値である。
また、「コーティング層と耐衝撃パッドとの接着強さ」とは、コーティング層と耐衝撃パッドとの接着部分を含む幅10mm×長さ60mmの大きさの試験片を切り取り、この試験片を用いて、引張速度50mm/分、走行距離100mmで180度剥離試験を行った際に観測される荷重の複数の山のピークと複数の谷のピークとの荷重値を算術平均した値を接着部分の平均幅で除した値である。
また、耐衝撃パッドの付設部分における曲げ応力は、耐衝撃パッドを接着したコーティング層から切り取った幅10mmの試験片を用いて、JIS−K−7171(2008)に準拠して3点曲げ試験を行うことで算出できる。なお、曲げ方向は指の屈曲方向である。また、3点曲げ試験における厚みには、手袋本体の内面から耐衝撃パッドの最底部(例えば耐衝撃パッドがベース層を有する場合はベース層)の外面までの厚みを用いる。
以上説明したように、本発明の手袋は、耐衝撃パッドの接着強さが比較的大きく、かつ耐衝撃性、防水性及び耐薬品性に優れる。
本発明の一実施形態の手袋を背側から見た模式図である。 図1の手袋の指部に付設される耐衝撃パッド部分を拡大した模式図である。 図2の手袋のA−Aでの模式的断面図である。 図1とは異なる実施形態の手袋を背側から見た模式図である。
以下、適宜図面を参照しつつ本発明の実施の形態を詳説する。
[第1実施形態]
図1に示す当該手袋10は、伸縮性を有する繊維製の手袋本体1と、この手袋本体1の外面を被覆するコーティング層2と、上記手袋本体1のコーティング層2の背側部分の外面側のうち指部に付設される複数の耐衝撃パッド3と、上記コーティング層2及び耐衝撃パッド3を接着する接着剤層4とを備える。また、図2及び図3は、当該手袋10の指部に付設される耐衝撃パッド部分を示す。
<手袋本体>
手袋本体1は、繊維製の糸を手袋状に編んだもの又は織ったものであり、伸縮性を有する。手袋本体1としてはシームレスに編んだものが好ましい。手袋本体1がシームレスでない場合、2枚以上の生地を縫い合わせて手袋本体1を作ることとなる。この場合、手袋側面や、側面より掌側に縫い目がくるのが通常であり、この縫い目によって、使用時に水圧のかかりやすい手袋の側面や掌面等のコーティング生地に孔が開いて防水性が損なわれるおそれがある。これに対し、手袋本体1をシームレスとし、手袋本体1にコーティング層2を被覆することで、手袋状に形成するための縫製によりコーティング層2に欠損が生じることが防止される。
手袋本体1は、使用者の手の甲及び掌を覆うよう袋状に形成された本体部と、使用者の指を覆うよう上記本体部から延設された指部と、使用者の手首を覆うよう本体部から指部とは反対方向に延設された筒状の裾部とを有する。上記本体部は、掌部及び甲部を有し、上記指部は、使用者の第一指(親指)、第二指(人差指)、第三指(中指)、第四指(薬指)及び第五指(小指)をそれぞれ覆う第一指部、第二指部、第三指部、第四指部及び第五指部を有する。この第一指部から第五指部は、指先が閉塞された筒状に形成される。また、上記裾部は、使用者が手を挿入可能な開口を有する。
手袋本体1を構成する繊維としては、綿、麻等の天然繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、レーヨン繊維、アクリル繊維、アラミド繊維、高強力ポリエチレン繊維、ポリウレタン繊維等の合成繊維、ステンレス等の金属繊維、グラスファイバー等の無機繊維、導電性繊維などが挙げられる。これらの繊維は単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。例えば2種を混合して用いる繊維としては、ステンレス繊維をナイロン等でカバーリングした複合糸を挙げることができる。上記繊維は保温性、断熱性、耐切創性、保湿性、クッション性等の機能に応じて選択される。例えば耐切創性を得るためには、ステンレス繊維等の金属繊維、超強力ポリエチレン繊維、アラミド繊維、グラスファイバーなどが選択できる。また、上記繊維からなる糸としては、特に限定されず、紡績糸や捲縮加工されたフィラメント糸、ループヤーンやモールヤーン等の意匠糸、ストレートのフィラメント糸等を利用できる。
手袋本体1の平均厚みの下限としては、0.1mmが好ましく、0.2mmがより好ましい。一方、手袋本体1の平均厚みの上限としては、4mmが好ましく、3mmがより好ましい。手袋本体1の平均厚みが上記下限未満であると、当該手袋10の耐久性が低下するおそれがある。逆に、手袋本体1の平均厚みが上記上限を超えると、当該手袋10の厚みが大きくなることで屈曲柔軟性が低下するため、装着時における作業性が低下するおそれがある。なお、手袋本体1の平均厚み(図3のA)は、手袋の指領域において、指の長手方向に対して略45度の角度で20mmの切れ目を入れ、この切れ目の断面を2mmごとに10箇所測定して値を用いて算出する。
<コーティング層>
コーティング層2は、手袋本体1の外面を被覆する。具体的には、コーティング層2は、手袋本体1の外面の掌部、甲部及び指部を被覆する第一コーティング層2aと、この第一コーティング層2aの外面の掌部及び指部を被覆する第二コーティング層2bとを有する。なお、コーティング層2は、上記二層構造に限らず単層又は三層以上の多層でもよい。また、「手袋本体の外面を被覆する」とは、手袋本体全体を被覆することに限定されず、手袋本体の一部、例えば図1のように裾部を除外した部分を被覆することも含む概念である。
コーティング層2は、合成樹脂又はゴムを主成分とする。上記合成樹脂としては、例えばポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、塩素化ポリエチレン、エチレン−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、これらを混合したもの等が挙げられる。これらの中でも接着強さの観点からポリ塩化ビニル及びポリウレタンが好ましく、加工面でポリ塩化ビニルが特に好ましい。また、上記ゴムとしては、例えば天然ゴム、イソプレンゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、エピクロヒドリンゴム、ウレタンゴム、エチレン−プロピレンゴム、シリコーンゴム、これらを混合したもの等が挙げられる。これらの中でも、天然ゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、及びアクリロニトリル−ブタジエンゴムが好ましく、天然ゴム及びアクリロニトリル−ブタジエンゴムが経済面、加工面、弾性、耐久性、耐候性等の点で特に好ましい。さらに、アクリロニトリル−ブタジエンゴムが耐油性の点で特に好ましい。
コーティング層2には、例えば抗菌剤、架橋剤、加硫促進剤、老化防止剤、増粘剤、可塑剤、顔料、起泡剤、整泡剤等が添加されてもよい。
また、第一コーティング層2aと第二コーティング層2bとの材質は同一でもよいが、これらの層の材質を異ならせることで、当該手袋10の特性を部分的に異ならせることができる。さらに、第一コーティング層2aと第二コーティング層2bとの色を変えることで、意匠性を向上できる。
上記コーティング層2は、図3に示すように手袋本体1に含浸していることが好ましい。このようにコーティング層2を手袋本体1に含浸させることで、手袋本体1とコーティング層2との接着強さが向上する。一方、上記コーティング層2は、手袋本体1の内面まで浸透していないことが好ましい。このようにコーティング層2を手袋本体1の内面まで浸透させないことで、手袋本体1の装着感が低下することを防止できる。
第一コーティング層2aの平均厚みの下限としては、0.2mmが好ましく、0.3mmがより好ましい。一方、第一コーティング層2aの平均厚みの上限としては、2mmが好ましく、1.5mmがより好ましい。また、第二コーティング層2bの平均厚み(図3のB、第一コーティング層2aも同様)の下限としては、0.1mmが好ましく、0.2mmがより好ましい。一方、第二コーティング層2bの平均厚みの上限としては、2mmが好ましく、1.5mmがより好ましい。第一コーティング層2a又は第二コーティング層2bの平均厚みが上記下限未満であると、コーティング層2の強度が不足するおそれがある。逆に、第一コーティング層2a又は第二コーティング層2bの平均厚みが上記上限を超えると、当該手袋10の屈曲柔軟性が不十分となるおそれがある。なお、コーティング層2の平均厚みは、手袋の指領域の背側において、指の長手方向に対して略45度の角度で20mmの切れ目を入れ、この切れ目の断面を2mmごとに10箇所測定して値を用いて算出する。
コーティング層2の外面の耐衝撃パッド3が付設される領域は、表面粗さが大きいとよい。このように上記領域の表面粗さを大きくすることで、アンカー効果により接着剤層4とコーティング層2との接着強さが向上する。上記領域の表面の算術平均粗さRaの下限としては、0.05μmが好ましく、0.1μmがより好ましい。一方、上記領域の表面の算術平均粗さRaの上限としては、1μmが好ましく、0.3μmがより好ましい。上記領域の表面の算術平均粗さRaが上記下限未満であると、接着剤層4のアンカー効果が十分に得られないおそれがある。逆に、上記領域の表面の算術平均粗さRaが上記上限を超えると、コーティング層2の厚い部分と薄い部分との差が大きくなり過ぎるため、当該手袋10の屈曲柔軟性の低下又は耐水性や耐薬品性の低下を発生するおそれがある。また、当該手袋10の製造コストが過大となるおそれがある。なお、「算術平均粗さRa」とは、光干渉式表面形状測定機(例えばテーラーホブソン社の「タリサーフCCI Lite」、20倍レンズ)を用いカットオフを0.08mmとして得られる粗さ曲線から、その平均線の方向に基準長さ(0.83mm)の部分を抜き取り、この抜き取り部分の平均線から測定曲線までの偏差の絶対値を合計した値である。
<耐衝撃パッド>
複数の耐衝撃パッド3は、手袋本体1のコーティング層2の背側部分の外面側のうち指部に付設される。具体的には、各指部(第一指部、第二指部、第三指部、第四指部及び第五指部)にそれぞれ1の耐衝撃パッド3が付設される。
上記耐衝撃パッド3は、接着剤層4を介してコーティング層2に接着されている。つまり、上記耐衝撃性パッド3は縫製されていない。また、耐衝撃パッド3は、図2及び図3に示すように、コーティング層2に重畳されるベース層3aと、このベース層3aの外面に突設される凸部3bとを備える。
上記耐衝撃パッド3は、図1に示すように各指部の長手方向全体に付設される。つまり、上記複数の耐衝撃パッド3は、それぞれの指の関節相当箇所上にも付設されている。このように上記耐衝撃パッド3を指の関節相当箇所上に付設することで、防護効果を高めることができる。
耐衝撃パッド3は合成樹脂又はゴムを主成分とする。この合成樹脂としては、例えばポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、塩素化ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、これらを混合したもの等が挙げられる。これらの中でもポリ塩化ビニル及びポリウレタンが好ましく、加工面でポリ塩化ビニルが特に好ましい。また、上記ゴムとしては、例えば天然ゴム、イソプレンゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、エピクロヒドリンゴム、ウレタンゴム、エチレン−プロピレンゴム、シリコーンゴム、これらを混合したもの等が挙げられる。これらの中でも、天然ゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、及びアクリロニトリル−ブタジエンゴムが好ましく、天然ゴム及びアクリロニトリル−ブタジエンゴムが経済面、加工面、弾性、耐久性、耐候性等の点で特に好ましい。さらに、アクリロニトリル−ブタジエンゴムが耐油性の点で特に好ましい。
また、耐衝撃パッド3には、架橋剤、安定剤、抗菌剤、老化防止剤、増粘剤、可塑剤、顔料等が添加されてもよい。特に、耐衝撃パッド3は、成形性を向上する観点から可塑剤を含有することが好ましい。この可塑剤としては、例えば非フタル酸可塑剤が用いられる。また、耐衝撃パッド3は、視認性向上の観点から顔料を含有することが好ましい。
可塑剤の含有量の下限としては、上記合成樹脂100質量部に対し、50質量部が好ましく、60質量部がより好ましい。一方、可塑剤の含有量の上限としては、200質量部が好ましく、100質量部がより好ましい。可塑剤の含有量が上記下限未満であると、成形性向上効果及び屈曲柔軟性向上効果が不十分となるおそれがある。逆に、可塑剤の含有量が上記上限を超えると、耐衝撃パッド3の硬度が不十分となるおそれや、可塑剤のブリードが発生するおそれがある。
なお、ベース層3a及び凸部3bは、それぞれの材質が異なっていてもよいが、少なくとも合成樹脂の種類を同一とするとよい。合成樹脂の種類を同一とすることで、ベース層3a及び凸部3bの一体成形が容易となる。また、ベース層3aと凸部3bとに含有させる顔料の種類を異ならせることで、当該手袋10の意匠性を向上できる。さらに、凸部3bの硬度をベース層3aよりも小さくすることで、耐衝撃パッド3の強度を維持しつつ、耐衝撃性を向上することができる。
また、手袋使用時の作業効率の観点から上記耐衝撃パッド3の付設部分は柔軟性を有することが好ましい。上記耐衝撃パッド3の付設部分における曲げ応力の上限としては、1.6MPaが好ましく、1.5MPaがより好ましい。上記耐衝撃パッド3の付設部分における曲げ応力が上記上限を超えると、当該手袋10の屈曲柔軟性が不足し、手袋使用時の作業効率が低下するおそれがある。一方、上記耐衝撃パッド3の付設部分における曲げ応力の下限は特に限定されないが、通常0.1MPaである。
(ベース層)
ベース層3aは、帯板状であり、長手方向が当該手袋10の指の長手方向と一致する。ベース層3aの平面形状は、角部が丸められると共に指の先端側が幅方向及び長手方向に円弧状に膨出した形状を有する。この膨出部分は凸部3bを有さず、ベース層3aのみで爪全体を被覆している。
ベース層3aの縁は、凸部3bの縁から外側にオフセットしている。上記膨出部分を除く部分でのオフセット量(図3のS)の下限としては、0.5mmが好ましく、1.0mmがより好ましい。一方、上記オフセット量の上限としては、3mmが好ましく、2.5mmがより好ましい。上記オフセット量が上記下限未満であると、接着強さが不足するおそれがある。逆に、上記オフセット量が上記上限を超えると、ベース層3aの幅が広がるため、比較的大きく湾曲して付設する必要があり、この湾曲により特に縁部の接着強さが低下するおそれがある。なお、当該手袋10は接着剤層4を介して耐衝撃パッド3をコーティング層2に接着するので、ベース層3a上に縫製のための空隙を設ける必要がない。このため、上記オフセット量を比較的小さくできるので、縁部の接着強さが低下し難い。
当該手袋10は、湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤を用いてベース層3aをコーティング層2に接着するので、その強固な接着力によりベース層3aを薄くすることができる。これにより当該手袋10は屈曲柔軟性を向上できる。ベース層3aの平均厚み(図3のT1)の下限としては、0.1mmが好ましく、0.3mmがより好ましい。一方、ベース層3aの平均厚みの上限としては、1mmが好ましく、0.8mmがより好ましく、0.7mmがさらに好ましい。ベース層3aの平均厚みが上記下限未満であると、ベース層3aに直接衝撃が加わった際の耐衝撃性が不足するおそれや、加工性が悪くなり、生産性が低下するおそれがある。逆に、ベース層3aの平均厚みが上記上限を超えると、当該手袋10の屈曲柔軟性が不十分となるおそれがある。
ベース層3aの硬度の下限としては、デュロメータ硬さのタイプAの測定値で、A30が好ましく、A40がより好ましい。一方、ベース層3aの硬度の上限としては、A80が好ましく、A70がより好ましい。ベース層3aの硬度が上記下限未満であると、耐衝撃性が不十分となるおそれがある。逆に、ベース層3aの硬度が上記上限を超えると、当該手袋10の屈曲柔軟性が低下するおそれがある。なお、上記硬度は、JIS−K6253−3(2012)及びISO7619(2010)に準拠して測定される硬さを意味する。
ベース層3aの内面(手袋本体1側の面)の算術平均粗さRaの下限としては、0.05μmが好ましく、0.1μmがより好ましい。一方、上記算術平均粗さRaの上限としては、1μmが好ましく、0.3μmがより好ましい。上記算術平均粗さRaが上記下限未満であると、接着剤層4のアンカー効果が十分に得られないおそれがある。逆に、上記算術平均粗さRaが上記上限を超えると、接着剤層4がベース層3aの内面深くまで入り込むため、接着剤層4が硬くなり、当該手袋10の屈曲柔軟性が低下するおそれがある。
(凸部)
凸部3bは、ベース層3aの外面(手袋本体1と反対側の面)に突設される。また、凸部3bは、指の長手方向に沿った複数のV字状又はU字状の第一谷部V1及び上記長手方向と垂直な多数のV字状又はU字状の第二谷部V2で区分される複数のブロックから構成される。具体的に説明すると、凸部3bは、2つの第一谷部V1と、この2つの第一谷部V1と平面視で垂直に交差する複数の第二谷部V2により分割される平面視長方形状の複数のブロックを有する。さらに、凸部3bは、それぞれ平面視U字状に形成され、指の長手方向外側に凸となり、かつ他の複数のブロックを挟むように対向して配設されるブロックを先端側と後端側(手首側)とに有する。これらのブロック以外の平面視長方形状のブロックは、長手方向に3列かつ等間隔に配設される。
ここで、第一谷部V1の底はベース層3aの外面より高い位置にあり、第二谷部V2の底はベース層3aの外面と一致することが好ましい。このように構成することで、耐衝撃パッド3の耐衝撃性を維持しつつ、屈曲柔軟性を向上することができる。ベース層3aの外面と第一谷部V1の底との高さの差(図3のT2)としては、例えば0.05mm以上0.5mm以下とできる。
また、指の関節相当箇所上に、第二谷部V2の1つが配設されるとよい。このように構成することで、指の動きに追従して当該手袋10を屈曲し易くできる。
凸部3bを構成するブロックのうち、2つの第一谷部V1で挟まれる中央列のブロックは、両端列(左右の列)のブロックよりも厚み(突出量)が大きい。また、中央列のブロックの指の長手方向と垂直な断面は台形状であり、両端列のブロックの上記断面は三角形状である。
凸部3bの長手方向の長さ(最も先端側のブロックの先端と、最も後端側のブロックの後端との距離)としては、例えば指部の長さの50%以上90%以下である。また、凸部3bの幅方向の長さ(左側の列のブロックの左端と、右側の列のブロックの右端との距離)としては、例えば指部の幅の5%以上50%以下である。さらに、平面視長方形状のブロックの長手方向の長さは例えば1mm以上10mm以下、短手方向(幅方向)の長さは例えば0.1mm以上3mm以下とすることができる。
凸部3bの硬度の下限としては、A30が好ましく、A40がより好ましい。一方、凸部3bの硬度の上限としては、A70が好ましく、A60がより好ましい。凸部3bの硬度が上記下限未満であると、強度が不十分となるおそれがある。逆に、凸部3bの硬度が上記上限を超えると、衝撃吸収性が低下するおそれがある。
耐衝撃パッド3の最大厚み(図3のT、ベース層3aの内面から凸部3bの最大突出位置までの厚み)の下限としては、1mmが好ましく、3mmがより好ましい。一方、耐衝撃パッド3の最大厚みの上限としては、9mmが好ましく、7mmがより好ましい。耐衝撃パッド3の最大厚みが上記下限未満であると、耐衝撃性が不十分となるおそれがある。逆に、耐衝撃パッド3の最大厚みが上記上限を超えると、耐衝撃パッド3の柔軟性が不足するおそれがある。
<接着剤層>
接着剤層4は、コーティング層2と耐衝撃パッド3とを接着する。具体的には、接着剤層4は、耐衝撃パッド3の内面、すなわちベース層3aの内面に配設されている。接着剤層4は、耐衝撃パッド3の内面の一部に配設されていてもよいが、接着強さの観点から耐衝撃パッド3の内面全面に配設されることが好ましい。
接着剤層4を構成する接着剤は、湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤である。
湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤は、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを主成分とする無溶剤の1液型接着剤である。
上記ウレタンプレポリマーに用いられるポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリアルキレンポリオール、ポリカーボネートポリオール等が挙げられる。また、上記イソシアネート基としては、ジフェニルメタンジイソシアネートやトリレンジイソシアネート等の芳香族系ジイソシアネート化合物、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族系ジイソシアネート化合物などを挙げることができる。中でも、加工性及び接着強さの観点から、芳香族系ジイソシアネート化合物のイソシアネート基を末端に持つ芳香族系の湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤を用いるとよい。
湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤は、ジブチルスズジラウリレート等のスズ化合物、チタン化合物等の有機金属触媒、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン等の三級アミン化合物などの硬化用触媒を含んでもよい。また、湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤には、必要に応じて可塑剤、粘着付与剤、各種充填剤、顔料、ワックス、水分除去剤、貯蔵安定剤、酸化防止剤、二酸化炭素捕捉剤等の添加剤を含んでもよい。
硬化前の湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤は、半架橋の状態であり、熱によって液状化し、冷めると固化する性質がある。この性質を利用して、湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤を用いた接着は、以下の手順で行われる。まず、加熱により湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤を液状化し、一方の接着面に塗布する。次に、塗布後、自然に固化した湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤を加熱し、再液状化する。最後に、他方の接着面を重ね合わせると共に、加圧しつつ冷却する。このようにして被着体同士を接着できる。
また、湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤の主成分であるウレタンは、分子末端にイソシアネート基を有する。この末端イソシアネート基が空気中に存在する水分等と反応し、不安定なカルバミド酸基を生成する。このカルバミド酸基はさらにアミンと二酸化炭素に分解する。生成したアミンは速やかに他のイソシアネート基と反応して、尿素結合を形成すると共に架橋構造を形成し、湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤のウレタンは高分子化する。この性質により上記湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤を架橋させることで、耐衝撃パッド3の接着強さが高まると共に、耐薬品性が向上し、薬品による接着強さの低下を抑止できる。
上記接着剤層4の平均厚み(図3のH)の下限としては、0.05mmが好ましく、0.1mmがより好ましい。一方、上記接着剤層4の平均厚みの上限としては、0.5mmが好ましく、0.3mmがより好ましい。上記接着剤層4の平均厚みが上記下限未満であると、耐衝撃パッド3の接着強さが不足するおそれがある。逆に、上記接着剤層4の平均厚みが上記上限を超えると、当該手袋10の柔軟屈曲性が不足するおそれがある。
湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤が硬化した後の上記接着剤層4の熱変形温度の下限としては、80℃が好ましく、100℃がより好ましく、150℃がさらに好ましい。上記接着剤層4の熱変形温度が上記下限未満であると、特に温度の高い環境下において、コーティング層2と耐衝撃パッド3との接着部分が変形し易くなるため、接着強さが低下するおそれがある。一方、上記接着剤層4の熱変形温度の上限としては、特に限定されないが、例えば300℃とできる。
上記コーティング層2と耐衝撃パッド3と25℃における接着強さの下限としては、20N/cmが好ましく、25N/cmがより好ましく、30N/cmがさらに好ましい。上記コーティング層2と耐衝撃パッド3との25℃における接着強さが上記下限未満であると、コーティング層2と耐衝撃パッド3とが手袋使用時に剥離するおそれがある。一方、上記コーティング層2と耐衝撃パッド3との25℃における接着強さの上限としては、特に限定されないが、例えば70N/cm程度である。
当該手袋10は、湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤を用いて耐衝撃パッド3を接着するので、耐衝撃パッド3のずれや脱落が発生し難く、耐衝撃性に優れる。耐衝撃性についてEN1621−1に準拠して測定される平均伝達力(Mean Transmitted Force)の上限としては、7kNが好ましく、6kNがより好ましい。一方、上記平均伝達力の下限としては、特に限定されないが、通常0.1kNである。
<手袋の製造方法>
当該手袋10は、例えば手袋本体1の外面をコーティング層2により被覆する被覆工程と、耐衝撃パッド3を成形する耐衝撃パッド成形工程と、上記手袋本体1のコーティング層2の背側部分の外面側のうち少なくとも一部に接着剤層4を介して付設する上記耐衝撃パッド3を付設工程とを備える製造方法により得ることができる。以下、各工程について説明する。
(被覆工程)
被覆工程では、手袋本体1を手型に被せ、コーティング層2を形成するための組成物を手袋本体1の外面に塗工し、さらに乾燥することでコーティング層2により手袋本体1を被覆する。上記組成物の塗工方法としては、公知の方法が使用でき、例えば上記組成物中へ手袋本体1を浸漬する方法が挙げられる。なお、コーティング層2が図1のように多層の場合は、上記塗工及び乾燥を組成物を変えながら複数回行う。
(耐衝撃パッド成形工程)
耐衝撃パッド成形工程では、合成樹脂を含む組成物により耐衝撃パッド3を成形する。具体的な成形方法としては、例えば上記組成物を金型に流し込み、加熱成形する方法が挙げられる。なお、耐衝撃パッド3が図1のように複数のパーツ(ベース層3a及び凸部3b)を有する場合、これらを一体で成形してもよいし、これらを別々に成形してから接合してもよい。
(付設工程)
付設工程では、上記耐衝撃パッド3を上記コーティング層2に接着剤層4を介して接着する。接着剤層4を構成する接着剤としては、湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤を用いる。また、上記付設工程は、塗布工程と、加熱工程と、貼合わせ工程と、硬化工程とを備える。
まず、塗布工程で、湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤を上記耐衝撃パッド3の内面に塗布する。湿気硬化型ウレタン系ホットメルトは常温(25℃)で固体であるので、上記塗布は、加熱により接着剤を液状化して行う。なお、接着剤の塗布を行う前に上記耐衝撃パッド3の内面をアセトン等で拭くことで、脱脂すると共に上記耐衝撃パッド3の内面の表面粗さを大きくするとよい。
塗布工程で接着剤を液状化させるための加熱温度の下限としては、100℃が好ましく、110℃がより好ましい。一方、上記加熱温度の上限としては、160℃が好ましく、150℃がより好ましい。上記加熱温度が上記下限未満であると、湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤の軟化が不足し、上記塗布が困難となるおそれがある。逆に、上記加熱温度が上記上限を超えると、湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤の架橋が進み過ぎ、耐衝撃パッド3を貼り合わせる前に硬化し、耐衝撃パッド3の接着が困難となるおそれがある。なお、加熱時間としては、接着剤が液状化すれば特に限定されないが、例えば1分以上24時間以下とできる。
上記塗布工程後、湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤は自然に固化する。このため、加熱工程で固化した湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤を加熱し、再液状化する。
上記加熱工程で接着剤を再液状化させるための加熱温度の下限としては、80℃が好ましく、100℃がより好ましい。一方、上記加熱温度の上限としては、150℃が好ましく、140℃がより好ましい。上記加熱温度が上記下限未満であると、湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤の軟化が不足し、接着強さが不十分となるおそれがある。逆に、上記加熱温度が上記上限を超えると、手袋本体1の素材によっては手袋本体1が熱により変形するおそれがある。なお、加熱時間としては、接着剤が液状化すれば特に限定されないが、例えば1分以上20分以下とできる。
次に、貼合わせ工程で上記耐衝撃パッド3をコーティング層2に貼合わせる。具体的には、コーティング層2を上記加熱工程で液状化した湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤を介して上記耐衝撃パッド3の内面に重ね合わせると共に、加圧しつつ冷却する。なお、重ね合わせを行う前にコーティング層2の外面をアセトン等で拭くことで、脱脂すると共にコーティング層2の外面の表面粗さを大きくするとよい。
上記貼合わせ工程での加圧力の下限としては、0.025kg/cmが好ましく、0.05kg/cmがより好ましい。一方、上記加圧力の上限としては、3kg/cmが好ましく、2kg/cmがより好ましい。上記加圧力が上記下限未満であると、接着強さが不十分となるおそれがある。逆に、上記加圧力が上記上限を超えると、当該手袋10が変形するおそれがある。
上記貼合わせ工程での加圧時間としては、3秒以上が好ましい。このように加圧時間を3秒以上とすることで、耐衝撃パッド3をコーティング層2により確実に圧着できる。加圧時間の上限は特に限定されないが、製造効率の観点から10分以下とされる。
また、加圧は冷却と同時に、つまり加熱を行わない状態で行われる。また、加圧と同時に行う冷却は、強制的に行ってもよいが、製造コストの観点から空気中での自然冷却を用いることが好ましい。すなわち、常温(例えば25℃)で加圧を行うとよい。
最後に、貼合わせ工程後に硬化工程で当該手袋10を離型し、硬化させる。湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤の硬化方法としては、特に限定されないが、例えば空気中に自然放置する方法、手袋本体1等に湿気を含ませる方法等が挙げられる。中でも、製造の簡便性の観点から、空気中に自然放置する方法が好ましい。湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤を自然放置により硬化させる際の雰囲気は、湿気のある空気が好ましい。このように湿気のある空気中に放置することで、湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤が湿気により架橋反応するため接着強さが向上する。
上記硬化時間の下限としては、15時間が好ましく、20時間がより好ましい。上記硬化時間が上記下限未満であると、接着強さの向上効果が不十分となるおそれがある。一方、上記硬化時間の上限としては、特に限定されないが、製造効率の観点から1週間が好ましい。
自然放置により湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤を硬化させる場合、上記硬化時の空気の湿度の下限としては、15%が好ましく、30%がより好ましい。一方、上記硬化時の空気の湿度の上限としては、95%が好ましく、90%がより好ましい。上記湿度が上記下限未満であると、湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤の架橋が十分に進行せず、接着強さの向上効果が不十分となるおそれがある。逆に、上記湿度が上記上限を超えると、結露等により当該手袋10の乾燥処理が必要となり、製造コストが増加するおそれがある。
なお、湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤を硬化させる温度としては、架橋反応が進行する温度であれば特に限定されず、例えば25℃以上50℃以下とできる。
<利点>
当該手袋10は、合成樹脂又はゴムを主成分とするコーティング層2と、合成樹脂又はゴムを主成分とする耐衝撃パッド3とを接着剤層4を介して接着する。このため、当該手袋10は、耐衝撃パッド3の接着が樹脂同士、ゴム同士又はゴムと樹脂との接着となるので、繊維製の手袋本体1に直接接着する場合に比べて、耐衝撃パッド3を強固に接着できる。従って、当該手袋10は、耐衝撃パッド3が屈曲部分に付設されても剥がれ難いので、耐衝撃パッド3により当該手袋10の屈曲部分を容易に保護することができる。また、当該手袋10はコーティング層2により手袋本体1の外面を被覆している。また、当該手袋10は、耐衝撃パッド3が接着剤層4により接着されるので、縫合により固定する場合のようにコーティング層2に穴を開けることなく耐衝撃パッド3を固定できる。このため、当該手袋10は、このコーティング層2により防水性及び耐薬品性に優れる。さらに、当該手袋10は、縫合糸を用いる必要がないので、手袋本体1の内面の縫合糸による凹凸に起因する装着感の低下を抑止できる。また、当該手袋10は、上記接着剤層4を構成する接着剤として、加工性に優れ、かつゴム及び樹脂との接着力にも優れる湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤を用いることで、耐衝撃パッド3のずれや脱落の防止効果を高められる。
[第2実施形態]
図4の当該手袋20は、伸縮性を有する繊維製の手袋本体1と、この手袋本体1の外面を被覆するコーティング層2と、上記手袋本体1のコーティング層2の背側部分の外面側のうち指部に付設される複数の指部耐衝撃パッド3と、上記コーティング層2の背側部分の外面側のうち甲部に付設される1つの甲部耐衝撃パッド23とを備える。当該手袋20の手袋本体1、コーティング層2、及び指部耐衝撃パッド3は、図1の手袋10の手袋本体1、コーティング層2、及び耐衝撃パッド3と同様であるため、同一符号を付して説明を省略する。
<甲部耐衝撃パッド>
甲部耐衝撃パッド23は、コーティング層2の背側部分の外面側のうち甲部に付設され、指部耐衝撃パッド3と同様、接着剤層4を介してコーティング層2に接着されている。
甲部耐衝撃パッド23は、コーティング層2に重畳されるベース層23aと、このベース層23aの外面に突設される凸部23bとを備える。
甲部耐衝撃パッド23は合成樹脂又はゴムを主成分とする。この合成樹脂又はゴムとしては、指部耐衝撃パッド3と同様のものが使用できる。また、甲部耐衝撃パッド23に添加する添加剤も指部耐衝撃パッド3と同様のものが使用できる。
(ベース層)
ベース層23aは、板状であり、各指の第三関節と、甲部の一部を覆うようにコーティング層2に接着剤層4を介して付設されている。
ベース層23aの平均厚みの下限としては、0.1mmが好ましく、0.3mmがより好ましい。一方、ベース層23aの平均厚みの上限としては、1mmが好ましく、0.8mmがより好ましい。ベース層23aの平均厚みが上記下限未満であると、ベース層23aの強度が不十分となるおそれがある。逆に、ベース層23aの平均厚みが上記上限を超えると、甲部耐衝撃パッド23が不要に厚く、装着持の作業性が低下するおそれがある。
ベース層23aの硬度の下限としては、A40が好ましく、A50がより好ましい。一方、ベース層23aの硬度の上限としては、A80が好ましく、A70がより好ましい。ベース層23aの硬度が上記下限未満であると、耐衝撃性が不十分となるおそれがある。逆に、ベース層23aの硬度が上記上限を超えると、当該手袋20の屈曲柔軟性が低下するおそれがある。
ベース層23aの内面(手袋本体1側の面)の算術平均粗さRaは、指部耐衝撃パッド3のベース層3aと同様とすることができる。
なお、ベース層23aには、指の長手方向の1又は複数のスリットが形成されていてもよい。このスリットにより、甲部耐衝撃パッド23に柔軟性を付与することができる。
(凸部)
凸部23bは、ベース層23aの外面に突設される。
凸部23bの硬度の下限としては、A30が好ましく、A40がより好ましい。一方、凸部23bの硬度の上限としては、A70が好ましく、A60がより好ましい。凸部23bの硬度が上記下限より小さいと、強度が不十分となるおそれがある。逆に、凸部23bの硬度が上記上限を超えると、耐衝撃性が不十分となるおそれがある。
甲部耐衝撃パッド23の最大厚みの下限としては、2mmが好ましく、3mmがより好ましい。一方、甲部耐衝撃パッド23の最大厚みの上限としては、9mmが好ましく、7mmがより好ましい。甲部耐衝撃パッド23の最大厚みが上記下限未満であると、耐衝撃性が不十分となるおそれがある。逆に、甲部耐衝撃パッド23の最大厚みTが上記上限を超えると、甲部耐衝撃パッド23の柔軟性が不足するおそれがある。
<利点>
当該手袋20は、指部耐衝撃パッド3に加えて甲部耐衝撃パッド23を備えるため、使用者の手をより確実に保護することができる。
[その他の実施形態]
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、上記態様の他、種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。
上記実施形態では、指部の耐衝撃パッドが各指部の長手方向全体に付設される場合を説明したが、指部の耐衝撃パッドはこれに限定されない。指部の耐衝撃パッドは、例えば各指部の第一関節、第二関節又はこれらの組み合わせ部分のみを被覆するように付設してもよいし、指の先端と第一関節との間、第一関節と第二関節との間、第二関節と第三関節との間、又はこれらの組み合わせ部分のみを被覆するように付設してもよい。耐衝撃パッドが離間した複数の部分を被覆する場合、耐衝撃パッドは被覆部分に対応し複数に分割されたブロック(分割されたベース層及び凸部)から形成される。
また、上記実施形態では指部の耐衝撃パッドが指の先端側に爪全体を被覆する膨出部分を有する形状を説明したが、この膨張部分は必須の構成要素ではなく、省略可能である。つまり、指部の耐衝撃パッドは膨張部分を有さない帯板状であってもよい。
上記実施形態では、少なくとも指部に耐衝撃パッドが付設される構成としたが、本発明の手袋は手袋本体のコーティング層の背側部分の外面側のうち少なくとも一部に耐衝撃パッドが付設されればよく、指部に耐衝撃パッドが付設されていないものも本発明の意図する範囲である。また、指部に耐衝撃パッドを付設する場合、全ての指部に耐衝撃パッドを付設しなくてもよい。さらに、甲部に複数の耐衝撃パッドが付設されてもよい。また、当該手袋は、上記指部耐衝撃パッド及び甲部耐衝撃パッドとは異なる位置に付設される耐衝撃パッドをさらに備えてもよい。
また、耐衝撃パッドは、少なくとも一部がコーティング層の外面側に付設されればよく、その一部が手袋本体に直接付設されていてもよい。つまり、耐衝撃パッドは、例えば手袋本体の背側のコーティング層の存在しない領域に一部が付設されてもよい。ただし、耐衝撃パッドは、全面がコーティング層に付設されていることが好ましい。耐衝撃パッドの全面をコーティング層に付設する方が、接着剤層が薄く均一に接着できるため、接着強さが強い。
さらに、本発明における耐衝撃パッドの形状は上記実施形態のものに限定されず、任意に設計が可能であり、必ずしもベース層と凸部とを備える必要はない。また、耐衝撃パッドがベース層と凸部とを備える場合、凸部が複数のブロックから構成されなくてもよい。
また、手袋本体は、インナー手袋とアウター手袋とから構成されてもよい。このインナー手袋は、例えば繊維製の糸を編成したものとでき、アウター手袋は、例えば上述のように繊維製の糸を編成した基材と、この基材の外面に積層され、ゴム又は樹脂を主成分とする被膜層とを有するものとできる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、当該発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
(手袋本体)
まず、島精機社の13G手袋編機「N−SFG」を用いて、ウーリーナイロン双糸(1本当たりのフィラメント数24、太さ77dtex)を2本引き揃えで編成し、手袋本体を作成した。
(コーティング層)
次に、上記手袋本体を手型に被せ、60℃程度に加温したのち、メタノール100質量部に対して硝酸カルシウム1質量部を溶解した凝固剤へ手首まで浸漬し、引き上げた。続いて、凝固剤が付着した手袋本体を表1の配合1に示すコンパウンド1へ掌部、甲部及び指部まで浸漬した。上記コンパウンド1へ浸漬した手袋本体を引き上げた後、温度80℃で10分間乾燥させ、続いて表1の配合2に示すコンパウンド2に掌部及び指部を浸漬した。なお、上記コンパウンド2は配合2を電動泡だて器で空気を30%含ませたものを用いた。また、手袋本体及びコーティング層全体の平均厚みは0.92mmとした。さらに、リーチングを行い、温度130℃で40分間乾燥させた。
Figure 2018127726
(耐衝撃パッド)
合成樹脂としてのポリ塩化ビニル100質量部に対して非フタル酸可塑剤を100質量部と顔料とを混合したコンパウンドを金型に流し込み、温度250℃で1分間加熱乾燥して耐衝撃パッドの凸部を成形した。次いで、ポリ塩化ビニル100質量部に対して非フタル酸可塑剤を100質量部と顔料とを混合したコンパウンドを上記凸部の上に流し込み、温度180℃で15分間加熱乾燥して耐衝撃パッドのベース層を凸部と一体成形した。冷却後に、金型から離型し、耐衝撃パッドを得た。この耐衝撃パッドのベース層の平均厚みは0.7mmとした。
(接着)
まず、上記耐衝撃パッドの内面及びコーティング層の外面をアセトンで拭き、接着面を脱脂すると共に表面粗さを大きくした。
次に、芳香族系湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤(株式会社クライベリット製「PUR703.5」)を130℃に加熱して液状化し、ロールコーター(エピック社製「R2」)を用いて、上記耐衝撃パッドの内面全体に厚みが0.15mmとなるように塗布した。
塗布後、自然冷却により固化した上記湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤を、130℃で3分間加熱して再液状化し、コーティング層に貼り合わせ、冷却すると同時に圧力8kg/10cm(=0.8kg/cm)で30秒間加圧した。冷却後に上記手袋を手型から離型し、温度50℃、湿度80%の条件下で48時間放置した。このようにして実施例1の手袋を得た。
[実施例2〜6、比較例1〜3]
表2に示す接着剤及び耐衝撃パッドの合成樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にして実施例2〜6及び比較例1〜3の手袋を得た。なお、脂肪族系湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤には、株式会社クライペリット製「PUR717.1」を用い、ウレタン系熱可塑性エラストマーには、コニシ株式会社製「G350」を用いた。また、合成ゴムには、アクリロニトリル−ブタジエンゴムを用いた。
<接着強さの評価>
上記実施例1〜実施例6及び比較例1〜3について、接着強さの評価を行った。なお、接着強さは、コーティング層と耐衝撃パッドとの接着部分を含む幅10mm×長さ60mmの大きさの試験片を切り取り、この試験片を用いて、引張速度50mm/分、走行距離100mmで180度剥離試験を行った際に観測される荷重の複数の山のピークと複数の谷のピークとの荷重値を算術平均した値を接着部分の平均幅で除して算出した。なお、接着強さが20N/cm以上である場合、接着強さに優れると判断できる。結果を表2に示す。
Figure 2018127726
表2から、接着剤に湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤を用いた実施例1〜6はいずれも接着強さが20N/cm以上であり、接着強さに優れる。これに対し、接着剤にウレタン系熱可塑性エラストマーを用いた比較例1〜3は、いずれも接着強さが20N/cm未満であり、接着強さに劣る。このことから、接着剤に湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤を用いることで高い接着強さが得られることが分かる。
また、芳香族系湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤を用いた実施例1〜3と、脂肪族系湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤を用いた実施例4〜6とを比べると、ポリ塩化ビニル製の耐衝撃パッド及びポリウレタン製の衝撃パッドを用いた場合において、芳香族系湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤を用いた実施例が接着強さに優れ、合成ゴム製の耐衝撃パッドを用いた場合において、両者は同等である。このことから、芳香族湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤を用いるとよいことが分かる。
<耐薬品性の評価>
上記実施例1について、耐薬品性の評価を行った。具体的には、実施例1の手袋を表3に示す浸漬条件で薬品に浸漬し、接着強さの評価と同様の方法で浸漬後の接着強さを測定した。結果を表3に示す。なお、表3には浸漬しない場合の接着強さを合わせて示した。
Figure 2018127726
表3から、実施例1は、薬品に浸漬後も接着強さがいずれも20N/cm以上であり、浸漬なしの接着強さからの低下が少ない。このことから、接着剤に湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤を用いた手袋は、耐薬品性にも優れることが分かる。
また、耐薬品性や防水性に優れるためには、上述の接着強さが低下しないことに加え、ピンホール(穴)がないことが必要である。そこで、ピンホールの有無の確認としてエアリークテストを行った。
[比較例4]
実施例1において耐衝撃パッドを芳香族系湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤を用いて付設する代わりに縫製により付設した。このようにして比較例4の手袋を得た。
エアーリークテストには、この比較例4の手袋と、実施例1の手袋とを用いた。また、エアーリークテストは、EN374−2(2003)に準拠し、7.5kPaのエアー圧を加えた状態で水に2分間浸漬した後の手袋からの気泡の発生の有無を確認することで行った。結果は以下の通りであった。
実施例1 : 気泡の発生なし
比較例4 : 気泡の発生あり
この結果から、耐衝撃パッドを湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤を用いて付設した実施例1の手袋は、ピンホールがなく、耐薬品性や防水性に優れることが分かる。これに対し、耐衝撃パッドを縫製により付設した比較例4の手袋は、ピンホールがあるため、耐薬品性や防水性に劣る。
<屈曲柔軟性の評価>
屈曲柔軟性を評価するため、さらに以下の手袋を準備した。
[実施例7]
耐衝撃パッドのベース層の厚みを1.4mmとした以外は、実施例1と同様にして実施例7の手袋を得た。
[参考例1]
耐衝撃パッドを接着しなかった以外は、実施例1と同様にして参考例1の手袋を得た。つまり、参考例1の手袋はコーティング層のみを有し、耐衝撃パッドを備えない手袋である。
実施例1、実施例7及び参考例1について屈曲柔軟性の評価を行った。屈曲柔軟性は、耐衝撃パッドを接着したコーティング層から切り取った幅10mmの試験片を用いて、JIS−K−7171(2008)に準拠して3点曲げ試験を行い、曲げ応力を求めた。曲げ応力を求める際の曲げ方向は指の屈曲方向とした。なお、3点曲げ試験における厚みには、手袋本体の内面からベース層の外面までの厚み(図3のC)を用いた。この曲げ応力の数値は小さいほど、屈曲柔軟性に優れる。結果を表4に示す。
また、実施例1、実施例7及び参考例1の手袋を被験者10名に装着してもらい、以下の指標で官能評価を行った。結果を表4に示す。
A:柔らかい
B:やや柔らかい
C:やや硬い
D:硬い
Figure 2018127726
なお、表4で平均厚みの「全体」とは、手袋の耐衝撃パッドの付設部分における平均厚みを指し、手袋本体の内面からベース層の外面までの厚みの平均である。
表4から、ベース層の平均厚みが1mm以下である実施例1が、ベース層の平均厚みが1mm超である実施例7より曲げ応力が低く、官能評価の結果から耐衝撃パッドを有さない参考例1と同等の柔らかさが得られている。つまり、ベース層の平均厚みを1mm以下とすることで、耐衝撃パッドの屈曲柔軟性をさらに向上できることが分かる。
<耐衝撃性の評価>
耐衝撃性の評価として、実施例1の手袋についてEN1621−1に準拠して平均伝達力を測定した。平均伝達力は7kN以下である場合に耐衝撃性に優れると判断できる。実施例1の手袋の測定結果は、5.5kNであり、耐衝撃性に優れることが確認された。実施例1の手袋は、湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤を用いて耐衝撃パッドを接着するので、耐衝撃パッドのずれや脱落が発生し難く、耐衝撃性に優れたと考えられる。
以上のように、本発明の手袋は、耐衝撃パッドの接着強さが比較的大きく、かつ耐衝撃性、防水性及び耐薬品性に優れる。
1 手袋本体
2 コーティング層
2a 第一コーティング層
2b 第二コーティング層
3、23 耐衝撃パッド
3a、23a ベース層
3b、23b 凸部
4 接着剤層
10、20 手袋
V1、V2 谷部

Claims (6)

  1. 伸縮性を有する繊維製の手袋本体と、
    この手袋本体の外面を被覆し、合成樹脂又はゴムを主成分とするコーティング層と、
    上記手袋本体のコーティング層の背側部分の外面側のうち少なくとも一部に付設され、合成樹脂又はゴムを主成分とする1又は複数の耐衝撃パッドと、
    上記コーティング層及び耐衝撃パッドを接着する接着剤層と
    を備え、
    上記接着剤層を構成する接着剤が、湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤である手袋。
  2. 上記耐衝撃パッドが、少なくとも1の指の関節相当箇所上に付設されている請求項1に記載の手袋。
  3. 上記耐衝撃パッドが、
    上記コーティング層に重畳されるベース層と、
    このベース層の外面に突設される凸部と
    を備える請求項1又は請求項2に記載の手袋。
  4. 上記ベース層の平均厚みが0.1mm以上1mm以下である請求項3に記載の手袋。
  5. 上記コーティング層と耐衝撃パッドとの25℃における接着強さが20N/cm以上である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の手袋。
  6. 上記耐衝撃パッドの付設部分における曲げ応力が1.6MPa以下である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の手袋。
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