JP2018127489A - 禁煙のためのβ−アドレナリン作動性インバースアゴニストの使用 - Google Patents
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Abstract
【課題】禁煙を試みている被験体における粘液分泌過多の処置のための改善された方法を提供すること。【解決手段】β−アドレナリン作動性インバースアゴニスト、例えば、ナドロール、カルベジロールおよびICI−118,551の長期使用により、粘液分泌過多を有するか、または粘液分泌過多が発生するリスクのある被験体、特に、禁煙を試みている被験体におけるかかる粘液分泌過多の処置のための改善された方法がもたらされる。本発明による方法の一態様は、治療有効量のβ−アドレナリン作動性インバースアゴニストを、粘液分泌過多を有するか、または粘液分泌過多のリスクがある被験体に投与することを含む、呼吸道における粘液分泌過多を予防またはコントロールする方法である。【選択図】なし
Description
発明者:Richard A.BondおよびMitchell Glass。
相互参照
この出願は、表題「Use of Beta−Adrenergic Inverse Agonists for Smoking Cessation」の2011年1月10日に出願された、R.A.Bondらによる米国仮特許出願第61/431,308号(この内容は、その全体が参考として本明細書に援用される)からの優先権を主張する。
この出願は、表題「Use of Beta−Adrenergic Inverse Agonists for Smoking Cessation」の2011年1月10日に出願された、R.A.Bondらによる米国仮特許出願第61/431,308号(この内容は、その全体が参考として本明細書に援用される)からの優先権を主張する。
発明の背景
本発明は、禁煙のため、特に、禁煙と関連している一連の身体的および生理学的症状:例えば限定されないが、一般開業医または専門家のいずれかの管理の下で禁煙を試みている個体において起こる渇望、振せん、咳、痰を伴う咳(productive cough)および粘液の分泌過多をコントロールまたは予防するためのβ−アドレナリン作動性インバースアゴニストを使用する新規な方法および組成物に関する。詳しくは、本発明は、禁煙を補助するための処置としての選択的または非選択的β2−アドレナリン作動性インバースアゴニストの長期投与を提供する組成物および方法に関する。
本発明は、禁煙のため、特に、禁煙と関連している一連の身体的および生理学的症状:例えば限定されないが、一般開業医または専門家のいずれかの管理の下で禁煙を試みている個体において起こる渇望、振せん、咳、痰を伴う咳(productive cough)および粘液の分泌過多をコントロールまたは予防するためのβ−アドレナリン作動性インバースアゴニストを使用する新規な方法および組成物に関する。詳しくは、本発明は、禁煙を補助するための処置としての選択的または非選択的β2−アドレナリン作動性インバースアゴニストの長期投与を提供する組成物および方法に関する。
タバコ喫煙の健康被害は充分に文献に示されている。タバコ関連疾患は、世界中において最大の死因の一例であり、ほとんどの先進国の早死にの主な原因の1つであるといわれている。米国では、毎年おおよそ500,000例の死亡は、喫煙関連疾患に起因していると推定されている。最近の研究では、中国の男性人口の3分の1もの多くが喫煙のためかなり寿命が短くなっていると推定されている。男性および女性の喫煙者は、それぞれ、喫煙により寿命が平均13.2歳および14.5歳短くなると算出されている。
数ある中で、喫煙と関連している疾患および状態は、肺がん、心臓疾患、循環器系の疾患、例えば、バーガー病、気腫、慢性閉塞性肺疾患、および血管狭窄である。さらに、現在、喫煙は、アルツハイマー病および多くの他の疾患のリスクファクターであることが疑われている。
さらに、非喫煙者であっても、間接喫煙のため喫煙によって大きな健康上のリスクが引き起こされる。さらに、紙巻きたばこの喫煙は、習慣的喫煙者に対して相当な金銭的負担となり得る;紙巻きたばこの費用は、近年、一部において増税のため大きく増大している。
現在多くの喫煙者がやめることを望んでいる。しかしながら、喫煙をやめることは、多くの喫煙者にとって極めて困難である。喫煙者は、やめることを、処方箋なしの製品および手法を用いて自力で、または薬物療法ならびに教育、支援、強化および追跡を含むプログラムのいずれかで試み得る。最良のプログラムの援助下であっても、いくつかの理由のため失敗率は高い。タバコの煙に存在するニコチンは極めて嗜癖性である。低い濃度では、ニコチンは興奮薬として作用し、タバコ喫煙の依存性形成特性に寄与する主な因子である。アメリカ心臓協会(American Heart Association)によると、ニコチン嗜癖は最も遮断するのが最も困難な嗜癖の1つであり、タバコ嗜癖を決定する薬理学的および行動的特徴は、コカイン、ヘロインおよびアンフェタミンなどの違法薬物乱用に対する嗜癖を決定するものと類似している。
喫煙者がやめることを試みる場合、本人は、多くの場合、コカインまたはヘロインなどの違法薬物乱用者が直面する離脱症状と同様の離脱症状に直面する。このような離脱症状としては、生理学的症状および心理学的症状の両方、例えば限定されないが、渇望、振せん、不安煽動、極度疲労、咳、および胸痛が挙げられる。禁煙に対して現在承認されている薬物としては、ニコチン置換の効果を低下させるためのニコチン代替薬、および禁煙の心理学的症状に対処するための抗不安薬(バレニクリンまたはブプロプリオンなど)が挙げられる。しかしながら、現在承認されている薬物では、禁煙と関連している生理学的および解剖学的変化は対処されない。以下の詳述するように、重大な身体的症状のうちの1つは粘液分泌過多および発咳(coughing)であり、これらは極めて不快であり、禁煙を試みている紙巻きたばこの喫煙者を悩ませ得る。
いくつかの禁煙補助薬が現在利用可能であるが、このような禁煙補助薬は失敗率が高く、有意な副作用を有することがあり得、場合によっては、ニコチン嗜癖の遮断を補助するものではない。例えば、単独療法薬として、または併用するニコチン代替薬は失敗率が高い。
上皮からの粘液分泌は重要な機能であり、鼻内および気道内で起こる。粘液は、乾燥の予防および異物粒子の捕捉などの重要な保護機能をもたらす。正常な気道上皮の機能には、気道上皮の表面上に分泌された粘液が拍動する線毛によって気道まで連続的に移動し、それによりあらゆる異物が除去される粘液線毛性クリアランスが必要とされる。粘液線毛性クリアランスの欠如は、上皮線毛の拍動の不全、線毛上皮の欠如、がないか最小限の粘液分泌〜粘液分泌なしまたは粘液の分泌過多、あるいはこれらの組合せなどのさまざまな崩壊によって引き起こされ得る。最も重要なことには、気道上皮は、粘液を生成して分泌する杯細胞への可逆的な表現型の変化を受けることがあり得る。粘液の分泌過多は、アレルギー、ウイルス、細菌または真菌感染、喘息、嚢胞性線維症またはCOPDの結果として起こる。上記に示したように、これは、禁煙を試みている結果として個体においても起こる。
発咳という身体機構は、気道からの粘液を吐き出す機能を果たす(例えば、“Foundations of Respiratory Care”PiersonおよびKacmarek編(1992)Churchill Livingstone Inc.New York,N.Y.;“Harrison’s Principles of Internal Medicine”,Fauciら編(1997)第14版,McGraw Hill,New York,N.Y.参照)。
粘液線毛性系は、線毛上皮細胞、上皮杯細胞、および粘膜下腺内に存在する漿液細胞と粘液細胞からなる。線毛は、塩化物の能動輸送および上皮を横切る水の受動移動によって気道の内腔内に分泌される水層(線毛周囲液(periciliary fluid))に囲まれている。線毛は、この水層上を流動している粘液と接触し、一方向性の推進運動によって粘液を声門の方へ移動させる(PiersonおよびKacmarek(上掲)ならびにFauciら(上掲)参照)。粘液は、上皮杯細胞と粘膜下腺細胞によって生成され、脱顆粒後、気道内腔内に分泌される。
粘液は、一般的にムチンとして知られている糖タンパク質ファミリーの存在を特徴とする。ムチンは、呼吸道、胃腸管および女性の生殖器官のものなどの上皮細胞によって分泌される糖タンパク質ファミリーである。ムチンは、粘液の粘弾特性を担い、少なくとも8つのムチン遺伝子が知られている(非特許文献1)。気道内分泌物の解析により、呼吸器系の粘液ゲル状物の主なムチン成分としてMUC5ACとMUC5Bが同定された。
粘液は、一般的に、吸入された粒子または感染性因子の排除を助長するが、気道内の粘液の分泌過多によって進行性の気道閉塞が引き起こされることがあり得る。末梢気道では、分泌物の排除に咳は有効でない。さらに、大きさが小さいため、多くの杯細胞を含む小気道は特に、粘液によって気道が詰まりやすい。気道内分泌過多は、かなり多数の個体が罹患している;これは、さまざまな肺疾患、例えば、慢性気管支炎、急性喘息、嚢胞性線維症および気管支拡張症において見られる。また、肺線維症および結核などの他の状態も粘液分泌過多を特徴とするものである。上記に示したように、粘液分泌過多は、紙巻きたばこの喫煙者および禁煙を試みている喫煙者において重大な症状であり、高頻度で禁煙の試みの失敗の原因となっている。紙巻きたばこの喫煙は、肺がんおよび慢性閉塞性肺疾患(これは、慢性気管支炎および気腫からなる)の大部分の症例の原因である。慢性気管支炎の定義(参考文献ATS)には、粘液分泌過多が少なくとも2ヶ月間、連続して数年間と示されている。
また、分泌過多は、世界中において最も一般的な致命的遺伝性疾患の1つである嚢胞性線維症にも関与している。嚢胞性線維症は、気道の粘膜細胞が膜の塩化物イオンチャネルのサイクリックAMP依存性プロテインキナーゼの活性化に対して不応答性となる常染色体劣性疾患である(PiersonおよびKacmarek(上掲)ならびにFauciら(上掲))。その結果として起こる電解質不均等により気道粘液の水和レベルが低下し、したがって、嚢胞性線維症に罹患している個体の肺内では高度に粘性の粘液が生じる。分泌過多は、嚢胞性線維症を有する個体の気道を閉塞させ、さらに肺機能を障害する。
慢性の(chronmic)咳および粘液分泌過多に罹患している個体の処置の古典的モダリティとしては、抗生物質療法、気管支拡張薬、全身性または吸入型のコルチコステロイドの使用、去痰薬、例えば、グアイフェネシン(Organidin(登録商標)もしくはIophenTMなどのさまざまな商標名で販売)またはヨウ化グリセロール(同様に、Par GlycerolTMもしくはR−GenTMなどのさまざまな商標名で販売)の経口投与による粘液の液状化、ならびに「粘液溶解」剤(水または高張性食塩水溶液など)のエーロゾル送達が挙げられる。鎮咳剤(cough suppressant)としては、コデインなどの麻薬性の製品が挙げられる。嚢胞性線維症の療法は、DNAに富む粘液または痰を標的化するDNアーゼの投与である(非特許文献2;非特許文献3)。使用される他の薬物はアセチルシステイン(MucomystTM、Mucosil−10TM、Mucosil−20TMなどの商標名で販売)である。また、打診、振とう法およびドレナージからなる胸部の理学療法も、粘性粘液の排除を助長するために使用される。具体的には、粘液(杯)細胞の線毛上皮への逆転を可能にすること、または引き起こすことにより、気道内の粘液分泌物の形成を低減させる特異的なモダリティの必要性が存在している。
さらに、場合によっては、抗ヒスタミン薬および鬱血除去薬が、過剰な粘液分泌の存在を特徴とする呼吸器の状態の症状緩和を得る試みにおいて使用される。抗ヒスタミン薬は、呼吸道を乾燥させ、上気道アレルギーによって引き起こされたものである場合以外、咳の処置においてほとんどまたは全く価値がない。気管支炎などの他の原因による咳では、抗ヒスタミン薬の乾燥作用は有害であり得、呼吸器内分泌物を増粘させ、除去することがより困難となり得る。
現在いくつかの医薬物質が、COPDの症状に対して指示されているか、またはその処置に有用であることが示されており、キシナホ酸サルメテロール、プロピオン酸フルチカゾン、臭化イプラトロピウム、(2R,3R,4S,5R)−2−[6 アミノ−2−(1S−ヒドロキシメチル−2−フェニル−エチルアミノ)−プリン−9−イル]−5−(2−エチル−2H−テトラゾル−5−イル)−テトラヒドロフラン−3,4−ジオールチオトロピウム、4−ヒドロキシ−7−[2−[[2−[[3−(2−フェニルエチオキシ)プロピル]スルホニル]エチル]アミノ]エチル−2−(3H)−ベンゾチアゾロンおよびシス−20,4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシフェニル]シクロヘキサンカルボン酸が挙げられる。しかしながら、依然として、粘液分泌過多を逆転させ得、呼吸器系の上皮細胞の杯細胞への形質転換を防止し得る、または杯細胞表現型を線毛円柱上皮に逆転させ得る特効薬の開発の必要性が存在している。特に、慢性の咳の結果として粘液分泌過多が起こっている個体において粘液分泌過多を遮断し得るような薬剤の必要性が存在している。
D.J.Thorntonら、J.Biol.Chem.(1997)272,9561〜9566
Shakら、Proc.Nat.Acad.(USA)(1990)87:9188〜9192
Hubbard,R.C.ら、N.Engl.J.Med.(1991)326:812
禁煙の帰結である症状、例えば、振せん、渇望、粘液分泌過多および慢性の空咳(unproductive cough)または痰を伴う咳をもたらす解剖学的、組織学的および生理学的変化を逆転させ得る、より効率的で長期持続性の治療モダリティにより、罹患した鼻および/または肺の気道において正常な粘液線毛性クリアランスの回復がもたらされ得、必要とされている。最も特別には、ニコチン離脱と関連している身体的症状を低減させるため、および禁煙プログラムの有効性を増大させるために、禁煙を試みている患者の一連の症状のうちの1つ以上が処置または遮断され得る効率的な治療モダリティの必要性が存在している。
発明の概要
本発明による方法および組成物により、β−アドレナリン作動性インバースアゴニストの規則的な(長期)投与によって、禁煙と関連している症状、例えば限定されないが、振せん、渇望、粘液分泌過多および急性または慢性の咳を引き起こす解剖学的または生理学的変化の予防または低減の効率的な手段がもたらされる。このような方法および組成物は、禁煙の試みに伴う一連の症状の遮断または処置において特に有効である。このような症状としては、振せん、咳および粘液分泌過多が挙げられる。
本発明による方法および組成物により、β−アドレナリン作動性インバースアゴニストの規則的な(長期)投与によって、禁煙と関連している症状、例えば限定されないが、振せん、渇望、粘液分泌過多および急性または慢性の咳を引き起こす解剖学的または生理学的変化の予防または低減の効率的な手段がもたらされる。このような方法および組成物は、禁煙の試みに伴う一連の症状の遮断または処置において特に有効である。このような症状としては、振せん、咳および粘液分泌過多が挙げられる。
本発明の一態様は、治療有効量のβ−アドレナリン作動性インバースアゴニストを、粘液分泌過多を有するか、または粘液分泌過多のリスクがある被験体に、特に、禁煙を試みているか、または禁煙しようとしている被験体に投与することを含む、呼吸道における粘液分泌過多を予防またはコントロールする方法である。該方法は、被験体が実際に禁煙を試みる前に開始してもよい。
典型的には、β−アドレナリン作動性インバースアゴニストは、β2選択的インバースアゴニスト、ならびにβ1−およびβ2−アドレナリン作動性受容体のどちらに対してもインバースアゴニスト活性を有する非選択的インバースアゴニストからなる群より選択される。好ましくは、β−アドレナリン作動性インバースアゴニストはβ2選択的インバースアゴニストである。
典型的には、β−アドレナリン作動性インバースアゴニストは、ナドロール、ブプラノロール(bupranolol)、ブトキサミン、カラゾロール(carazolol)、カルベジロール、ICI−118,551、レボブノロール、メトプロロール、プロプラノロール、ソタロールおよびチモロール、ならびにその塩、溶媒和物、類似体、同族体、模倣物、生物学的等価物(bioisostere)、立体異性体、加水分解生成物、代謝産物、前駆体およびプロドラッグからなる群より選択される。
好ましいある代替例では、β−アドレナリン作動性インバースアゴニストは、ナドロールおよび式(I)
の化合物からなる群より選択される。より好ましくは、この代替例において、β−アドレナリン作動性インバースアゴニストはナドロールである。
別の好ましい代替例では、β−アドレナリン作動性インバースアゴニストは、カルベジロールおよび式(II)
さらに別の好ましい代替例では、β−アドレナリン作動性インバースアゴニストは、チモロールおよび式(III)
さらに別の好ましい代替例では、β−アドレナリン作動性インバースアゴニストは、メトプロロールおよび式(IV)
さらに別の好ましい代替例では、β−アドレナリン作動性インバースアゴニストは、ICI−118,551および式(V)
典型的には、該方法により、被験体の血流においてβ−アドレナリン作動性インバースアゴニストの連続的なレベルがもたらされる。典型的には、該方法により、肺β−アドレナリン作動性受容体の上方調節という治療効果が奏される。典型的には、該方法により、上皮形成(epithelialiated)気道の粘液生成杯細胞が優位を占める気道への変換が阻害または逆転される。
種々の投与経路が当該技術分野で知られている。特に、β−アドレナリン作動性インバースアゴニストは、経皮パッチまたはチューインガムによって投与され得る。
本発明の別の態様は、粘液分泌過多を特徴とする疾患または状態を処置または予防する方法であって、治療有効量のβ−アドレナリン作動性インバースアゴニストを、かかる疾患もしくは状態を有するか、またはかかる疾患もしくは状態に罹患するリスクがある被験体に投与することを含む方法である。この方法に適したインバースアゴニストは上記のものである。好ましいある代替例では、該疾患または状態がニコチン離脱症状である。
本発明のまた別の態様は、粘液分泌過多を有するか、または粘液分泌過多のリスクがある被験体に:
(1)治療有効量のβ−アドレナリン作動性インバースアゴニスト;および
(2)粘液分泌過多を処置するための治療有効量のさらなる化合物
を投与することを含む、呼吸道における粘液分泌過多を予防またはコントロールする方法である。
(1)治療有効量のβ−アドレナリン作動性インバースアゴニスト;および
(2)粘液分泌過多を処置するための治療有効量のさらなる化合物
を投与することを含む、呼吸道における粘液分泌過多を予防またはコントロールする方法である。
上記のように、粘液分泌過多は禁煙と関連しているものであり得、被験体は、禁煙を試みているか、または禁煙しようとしている被験体である。該方法は、実際に禁煙を試みている被験体に適用してもよく、禁煙しようとしている被験体に予防的に適用してもよい。
この方法に適したインバースアゴニストは上記のものである。粘液分泌過多を処置するための該さらなる化合物は、限定されないが:(1)抗生物質;(2)DNアーゼ;(3)気管支拡張薬;(4)コルチコステロイド;(5)上皮増殖因子アンタゴニスト;(6)去痰薬;(7)(2R,3R,4S,5R)−2−[6 アミノ−2−(1S−ヒドロキシメチル−2−フェニル−エチルアミノ)−プリン−9−イル]−5−(2−エチル−2H−テトラゾル−5−イル)−テトラヒドロフラン−3,4−ジオール;(8)4−ヒドロキシ−7−[2−[[2−[[3−(2−フェニルエチオキシ)プロピル]スルホニル]エチル]アミノ]エチル−2−(3H)−ベンゾチアゾロン;(9)シス−20,4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシフェニル]シクロヘキサンカルボン酸;または(10)PDE4阻害薬であり得る。
本発明のまた別の態様は、粘液分泌過多のリスクがあり、禁煙を試みている被験体において、呼吸道における粘液分泌過多を予防またはコントロールする方法であって、該被験体に:
(1)治療有効量のβ−アドレナリン作動性インバースアゴニスト;および
(2)禁煙を促進させるための治療有効量のさらなる化合物
を投与することを含む方法である。
(1)治療有効量のβ−アドレナリン作動性インバースアゴニスト;および
(2)禁煙を促進させるための治療有効量のさらなる化合物
を投与することを含む方法である。
この方法に適したインバースアゴニストは上記のものである。禁煙を促進させるための該さらなる化合物は、限定されないが、ブプロプリオン、バレニクリン、クロニジンおよびノルトリプチリン、ならびにその塩、溶媒和物、類似体、同族体、模倣物、生物学的等価物、立体異性体、加水分解生成物、代謝産物、前駆体およびプロドラッグからなる群より選択され得る。
本発明のまた別の態様は、粘液分泌過多のリスクがあり、禁煙を試みている被験体において、呼吸道における粘液分泌過多を予防またはコントロールする方法であって、該被験体に:
(1)治療有効量のβ−アドレナリン作動性インバースアゴニスト;
(2)粘液分泌過多を処置するための治療有効量のさらなる化合物;および
(3)禁煙を促進させるための治療有効量のさらなる化合物
を投与することを含む方法である。
(1)治療有効量のβ−アドレナリン作動性インバースアゴニスト;
(2)粘液分泌過多を処置するための治療有効量のさらなる化合物;および
(3)禁煙を促進させるための治療有効量のさらなる化合物
を投与することを含む方法である。
この方法において、β−アドレナリン作動性インバースアゴニスト、粘液分泌過多を処置するための該さらなる化合物、および禁煙を促進させるための該さらなる化合物は、上記のものである。
本発明の別の態様は:
(1)治療有効量の上記のβ−アドレナリン作動性インバースアゴニスト;および
(2)少なくとも1種類の薬学的に許容され得る担体
を含む医薬組成物である。
(1)治療有効量の上記のβ−アドレナリン作動性インバースアゴニスト;および
(2)少なくとも1種類の薬学的に許容され得る担体
を含む医薬組成物である。
本発明の別の態様は:
(1)治療有効量の上記のβ−アドレナリン作動性インバースアゴニスト;
(2)粘液分泌過多を処置するための治療有効量の上記のさらなる化合物;および
(3)少なくとも1種類の薬学的に許容され得る担体
を含む医薬組成物である。
(1)治療有効量の上記のβ−アドレナリン作動性インバースアゴニスト;
(2)粘液分泌過多を処置するための治療有効量の上記のさらなる化合物;および
(3)少なくとも1種類の薬学的に許容され得る担体
を含む医薬組成物である。
本発明のまた別の態様は:
(1)治療有効量の上記のβ−アドレナリン作動性インバースアゴニスト;
(2)禁煙を促進させるための治療有効量の上記のさらなる化合物;および
(3)少なくとも1種類の薬学的に許容され得る担体
を含む医薬組成物である。
(1)治療有効量の上記のβ−アドレナリン作動性インバースアゴニスト;
(2)禁煙を促進させるための治療有効量の上記のさらなる化合物;および
(3)少なくとも1種類の薬学的に許容され得る担体
を含む医薬組成物である。
本発明のさらに別の態様は:
(1)治療有効量の上記のβ−アドレナリン作動性インバースアゴニスト;
(2)禁煙を促進させるための治療有効量のさらなる化合物;
(3)粘液分泌過多を処置するための治療有効量の上記のさらなる化合物;および
(4)少なくとも1種類の薬学的に許容され得る担体
を含む医薬組成物である。
(1)治療有効量の上記のβ−アドレナリン作動性インバースアゴニスト;
(2)禁煙を促進させるための治療有効量のさらなる化合物;
(3)粘液分泌過多を処置するための治療有効量の上記のさらなる化合物;および
(4)少なくとも1種類の薬学的に許容され得る担体
を含む医薬組成物である。
本発明による医薬組成物は、経皮パッチによる、またはチューインガムとしての投与のために処方され得る。
以下の発明は、本明細書、添付の特許請求の範囲、および添付の図面を参照すると、より良好に理解されることになろう。
したがって、本発明は、以下の項目を提供する:
(項目1)
治療有効量のβ−アドレナリン作動性インバースアゴニストを、粘液分泌過多を有するか、または粘液分泌過多のリスクがある被験体に投与することを含む、呼吸道における粘液分泌過多を予防またはコントロールする方法。
(項目2)
上記粘液分泌過多が禁煙と関連しており、上記被験体が、禁煙を試みているか、または禁煙しようとしている被験体である、項目1に記載の方法。
(項目3)
上記被験体が禁煙を試みている被験体である、項目2に記載の方法。
(項目4)
上記被験体が禁煙しようとしている被験体であり、上記方法が予防的に適用される、項目2に記載の方法。
(項目5)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、β2選択的インバースアゴニスト、ならびにβ1−およびβ2−アドレナリン作動性受容体のどちらに対してもインバースアゴニスト活性を有する非選択的インバースアゴニストからなる群より選択される、項目1に記載の方法。
(項目6)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストがβ2選択的インバースアゴニストである、項目5に記載の方法。
(項目7)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、ナドロール、ブプラノロール、ブトキサミン、カラゾロール、カルベジロール、ICI−118,551、レボブノロール、メトプロロール、プロプラノロール、ソタロールおよびチモロール、ならびにその塩、溶媒和物、類似体、同族体、模倣物、生物学的等価物、加水分解生成物、代謝産物、前駆体およびプロドラッグからなる群より選択される、項目1に記載の方法。
(項目8)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、ナドロールおよび式(I)
(式中、R1は水素または低級アルキルであり、R2は水素または低級アルキルであり、mおよびnは1〜3である、ただし、R1とR2がともに水素であり、mが1であるとき、nは1以外であるものとする)の化合物からなる群より選択される、項目7に記載の方法。
(項目9)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストがナドロールである、項目8に記載の方法。
(項目10)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、カルベジロールおよび式(II)
(式中、R1は水素または低級アルキルであり、R2は水素または低級アルキルであり、R3は水素または低級アルキルである、ただし、R1、R2およびR3のすべてが全部水素であることはないものとする)のカルベジロール類似体からなる群より選択される、項目7に記載の方法。
(項目11)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストがカルベジロールである、項目10に記載の方法。
(項目12)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、チモロールおよび式(III)
(式中、R1は水素または低級アルキルであり、R2は水素または低級アルキルである、ただし、R1とR2がともに水素であることはないものとする)のチモロール類似体からなる群より選択される、項目7に記載の方法。
(項目13)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストがチモロールである、項目12に記載の方法。
(項目14)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、メトプロロールおよび式(IV)
(式中、R1は水素または低級アルキルであり、R2は水素または低級アルキルである、ただし、R1とR2がともに水素であることはないものとする)のメトプロロール類似体からなる群より選択される、項目7に記載の方法。
(項目15)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストがメトプロロールである、項目14に記載の方法。
(項目16)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、ICI−118,551および式(V)
(式中、R1は低級アルキルであり、R2は水素または低級アルキルであり、R3は水素または低級アルキルであり、R4は水素または低級アルキルであり、R5は低級アルキルであり、R6は低級アルキルである、ただし、R1、R3、R5およびR6のすべてがメチルであることはなく、R2およびR4のすべてが水素であることはないものとする)のICI−118,551類似体からなる群より選択される、項目7に記載の方法。
(項目17)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストがICI−118,551である、項目16に記載の方法。
(項目18)
上記被験体の血流において上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストの連続的なレベルがもたらされる、項目1に記載の方法。
(項目19)
肺のβ−アドレナリン作動性受容体の上方調節という治療効果が奏される、項目1に記載の方法。
(項目20)
上記呼吸道の上皮細胞の粘液生成杯細胞への形質転換が阻害または逆転される、項目1に記載の方法。
(項目21)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが経皮パッチの使用によって投与される、項目1に記載の方法。
(項目22)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストがチューインガムによって投与される、項目1に記載の方法。
(項目23)
振せん、咳および粘液分泌過多からなる群より選択される1つ以上の症状が処置される、項目1に記載の方法。
(項目24)
粘液分泌過多を特徴とする疾患または状態を処置または予防する方法であって、治療有効量のβ−アドレナリン作動性インバースアゴニストを、かかる疾患もしくは状態を有するか、またはかかる疾患もしくは状態に罹患するリスクがある被験体に投与することを含む、方法。
(項目25)
上記疾患または上記状態がニコチン離脱症状である、項目24に記載の方法。
(項目26)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、β2選択的インバースアゴニスト、ならびにβ1−およびβ2−アドレナリン作動性受容体のどちらに対してもインバースアゴニスト活性を有する非選択的インバースアゴニストからなる群より選択される、項目24に記載の方法。
(項目27)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストがβ2選択的インバースアゴニストである、項目26に記載の方法。
(項目28)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、ナドロール、ブプラノロール、ブトキサミン、カラゾロール、カルベジロール、ICI−118,551、レボブノロール、メトプロロール、プロプラノロール、ソタロールおよびチモロール、ならびにその塩、溶媒和物、類似体、同族体、模倣物、生物学的等価物、立体異性体、加水分解生成物、代謝産物、前駆体およびプロドラッグからなる群より選択される、項目26に記載の方法。
(項目29)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、ナドロールおよび式(I)
(式中、R1は水素または低級アルキルであり、R2は水素または低級アルキルであり、mおよびnは1〜3である、ただし、R1とR2がともに水素であり、mが1であるとき、nは1以外であるものとする)の化合物からなる群より選択される、項目28に記載の方法。
(項目30)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストがナドロールである、項目29に記載の方法。
(項目31)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、カルベジロールおよび式(II)
(式中、R1は水素または低級アルキルであり、R2は水素または低級アルキルであり、R3は水素または低級アルキルである、ただし、R1、R2およびR3のすべてが全部水素であることはないものとする)のカルベジロール類似体からなる群より選択される、項目28に記載の方法。
(項目32)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストがカルベジロールである、項目31に記載の方法。
(項目33)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、チモロールおよび式(III)
(式中、R1は水素または低級アルキルであり、R2は水素または低級アルキルである、ただし、R1とR2がともに水素であることはないものとする)のチモロール類似体からなる群より選択される、項目28に記載の方法。
(項目34)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストがチモロールである、項目33に記
載の方法。
(項目35)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、メトプロロールおよび式(IV)
(式中、R1は水素または低級アルキルであり、R2は水素または低級アルキルである、ただし、R1とR2がともに水素であることはないものとする)のメトプロロール類似体からなる群より選択される、項目28に記載の方法。
(項目36)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストがメトプロロールである、項目35に記載の方法。
(項目37)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、ICI−118,551および式(V)
(式中、R1は低級アルキルであり、R2は水素または低級アルキルであり、R3は水素または低級アルキルであり、R4は水素または低級アルキルであり、R5は低級アルキルであり、R6は低級アルキルである、ただし、R1、R3、R5およびR6のすべてがメチルであることはなく、R2およびR4のすべてが水素であることはないものとする)のICI−118,551類似体からなる群より選択される、項目28に記載の方法。
(項目38)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストがICI−118,551である、項目37に記載の方法。
(項目39)
上記被験体の血流において上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストの連続的なレベルがもたらされる、項目24に記載の方法。
(項目40)
肺のβ−アドレナリン作動性受容体の上方調節という治療効果が奏される、項目21に記載の方法。
(項目41)
上記呼吸道の上皮細胞の粘液生成杯細胞への形質転換が阻害または逆転される、項目21に記載の方法。
(項目42)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが経皮パッチの使用によって投与される、項目24に記載の方法。
(項目43)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストがチューインガムによって投与される、項目24に記載の方法。
(項目44)
振せん、咳および粘液分泌過多からなる群より選択される1つ以上の症状が処置される、項目24に記載の方法。
(項目45)
粘液分泌過多を有するか、または粘液分泌過多のリスクがある被験体に:
(a) 治療有効量のβ−アドレナリン作動性インバースアゴニスト;および
(b) 粘液分泌過多を処置するための治療有効量のさらなる化合物
を投与することを含む、呼吸道における粘液分泌過多を予防またはコントロールする方法。
(項目46)
上記粘液分泌過多が禁煙と関連しており、上記被験体が、禁煙を試みているか、または禁煙しようとしている被験体である、項目45に記載の方法。
(項目47)
上記被験体が禁煙を試みている被験体である、項目46に記載の方法。
(項目48)
上記被験体が禁煙しようとしている被験体であり、上記方法が予防的に適用される、項目46に記載の方法。
(項目49)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、β2選択的インバースアゴニスト、ならびにβ1−およびβ2−アドレナリン作動性受容体のどちらに対してもインバースアゴニスト活性を有する非選択的インバースアゴニストからなる群より選択される、項目45に記載の方法。
(項目50)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストがβ2選択的インバースアゴニストである、項目49に記載の方法。
(項目51)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、ナドロール、ブプラノロール、ブトキサミン、カラゾロール、カルベジロール、ICI−118,551、レボブノロール、メトプロロール、プロプラノロール、ソタロールおよびチモロール、ならびにその塩、溶媒和物、類似体、同族体、模倣物、生物学的等価物、加水分解生成物、代謝産物、前駆体およびプロドラッグからなる群より選択される、項目45に記載の方法。
(項目52)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、ナドロールおよび式(I)
(式中、R1は水素または低級アルキルであり、R2は水素または低級アルキルであり、mおよびnは1〜3である、ただし、R1とR2がともに水素であり、mが1であるとき、nは1以外であるものとする)の化合物からなる群より選択される、項目51に記載の方法。
(項目53)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストがナドロールである、項目52に記載の方法。
(項目54)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、カルベジロールおよび式(II)
(式中、R1は水素または低級アルキルであり、R2は水素または低級アルキルであり、R3は水素または低級アルキルである、ただし、R1、R2およびR3のすべてが全部水素であることはないものとする)のカルベジロール類似体からなる群より選択される、項目51に記載の方法。
(項目55)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストがカルベジロールである、項目54に記載の方法。
(項目56)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、チモロールおよび式(III)
(式中、R1は水素または低級アルキルであり、R2は水素または低級アルキルである、ただし、R1とR2がともに水素であることはないものとする)のチモロール類似体からなる群より選択される、項目51に記載の方法。
(項目57)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストがチモロールである、項目56に記載の方法。
(項目58)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、メトプロロールおよび式(IV)
(式中、R1は水素または低級アルキルであり、R2は水素または低級アルキルである、ただし、R1とR2がともに水素であることはないものとする)のメトプロロール類似体からなる群より選択される、項目51に記載の方法。
(項目59)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストがメトプロロールである、項目58に記載の方法。
(項目60)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、ICI−118,551および式(V)
(式中、R1は低級アルキルであり、R2は水素または低級アルキルであり、R3は水素または低級アルキルであり、R4は水素または低級アルキルであり、R5は低級アルキルであり、R6は低級アルキルである、ただし、R1、R3、R5およびR6のすべてがメチルであることはなく、R2およびR4のすべてが水素であることはないものとする)のICI−118,551類似体からなる群より選択される、項目51に記載の方法。
(項目61)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストがICI−118,551である、項目60に記載の方法。
(項目62)
粘液分泌過多を処置するための上記さらなる化合物が抗生物質である、項目45に記載の方法。
(項目63)
上記抗生物質が、アミノペニシリン、キノロンおよびトリメトプリム・スルファメトキサゾールからなる群より選択される、項目62に記載の方法。
(項目64)
粘液分泌過多を処置するための上記さらなる化合物がDNアーゼである、項目45に記載の方法。
(項目65)
上記DNアーゼが組換えヒトDNアーゼである、項目64に記載の方法。
(項目66)
粘液分泌過多を処置するための上記さらなる化合物が気管支拡張薬である、項目45に記載の方法。
(項目67)
上記気管支拡張薬が、メチルキサンチン、強力なβ2−アドレナリン作動性刺激特性を有する交感神経様作用薬、および抗コリン作動薬からなる群より選択される、項目66に記載の方法。
(項目68)
粘液分泌過多を処置するための上記さらなる化合物がコルチコステロイドである、項目45に記載の方法。
(項目69)
上記コルチコステロイドが、ベクロメタゾン、モメタゾン、ブデソニド、シクレソニド、フルニソリド、フルチカゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾンおよびトリアムシノロン、ならびにその塩、溶媒和物、類似体、同族体、生物学的等価物、加水分解生成物、代謝産物、前駆体およびプロドラッグからなる群より選択される、項目68に記載の方法。
(項目70)
粘液分泌過多を処置するための上記さらなる化合物が上皮増殖因子受容体アンタゴニストである、項目45に記載の方法。
(項目71)
上皮増殖因子受容体アンタゴニストが、抗EGF−R抗体、チロシンキナーゼ阻害薬、酸化防止剤、マイトジェン活性化プロテインキナーゼキナーゼ(MEK)の阻害薬、膜貫通メタロプロテイナーゼ(MP)の阻害薬、およびEGF生成またはEGF−R生成を刺激する因子に結合する抗体からなる群より選択される、項目70に記載の方法。
(項目72)
粘液分泌過多を処置するための上記さらなる化合物が去痰薬である、項目45に記載の方法。
(項目73)
粘液分泌過多を処置するための上記さらなる化合物が、(2R,3R,4S,5R)−2−[6 アミノ−2−(1S−ヒドロキシメチル−2−フェニル−エチルアミノ)−プリン−9−イル]−5−(2−エチル−2H−テトラゾル−5−イル)−テトラヒドロフラン−3,4−ジオールである、項目45に記載の方法。
(項目74)
粘液分泌過多を処置するための上記さらなる化合物が、4−ヒドロキシ−7−[2−[[2−[[3−(2−フェニルエチオキシ(phenylethyoxy))プロピル]スルホニル]エチル]アミノ]エチル−2−(3H)−ベンゾチアゾロンである、項目45に記載の方法。
(項目75)
粘液分泌過多を処置するための上記さらなる化合物が、シス−20,4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシフェニル]シクロヘキサンカルボン酸である、項目45に記載の方法。
(項目76)
粘液分泌過多を処置するための上記さらなる化合物がPDE4阻害薬である、項目45に記載の方法。
(項目77)
上記PDE4阻害薬が、シロミラスト、フィラミナスト、イブジラスト、ピクラミラストおよびロフルミラストからなる群より選択される、項目76に記載の方法。
(項目78)
上記PDE4阻害薬が、ロフルミラストおよびシロミラストからなる群より選択される、項目77に記載の方法。
(項目79)
粘液分泌過多を有するか、または粘液分泌過多のリスクがある被験体に:
(a) 治療有効量のβ−アドレナリン作動性インバースアゴニスト;および
(b) 禁煙を促進させるための治療有効量のさらなる化合物
を投与することを含み、該粘液分泌過多が禁煙と関連しており、該被験体が、禁煙を試みているか、または禁煙しようとしている被験体である、呼吸道における粘液分泌過多を予防またはコントロールする方法。
(項目80)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、β2選択的インバースアゴニスト、ならびにβ1−およびβ2−アドレナリン作動性受容体のどちらに対してもインバースアゴニスト活性を有する非選択的インバースアゴニストからなる群より選択される、項目79に記載の方法。
(項目81)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストがβ2選択的インバースアゴニストである、項目80に記載の方法。
(項目82)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、ナドロール、ブプラノロール、ブトキサミン、カラゾロール、カルベジロール、ICI−118,551、レボブノロール、メトプロロール、プロプラノロール、ソタロールおよびチモロール、ならびにその塩、溶媒和物、類似体、同族体、模倣物、生物学的等価物、加水分解生成物、代謝産物、前駆体およびプロドラッグからなる群より選択される、項目80に記載の方法。
(項目83)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、ナドロールおよび式(I)
(式中、R1は水素または低級アルキルであり、R2は水素または低級アルキルであり、mおよびnは1〜3である、ただし、R1とR2がともに水素であり、mが1であるとき、nは1以外であるものとする)の化合物からなる群より選択される、項目82に記載の方法。
(項目84)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストがナドロールである、項目83に記載の方法。
(項目85)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、カルベジロールおよび式(II)
(式中、R1は水素または低級アルキルであり、R2は水素または低級アルキルであり、R3は水素または低級アルキルである、ただし、R1、R2およびR3のすべてが全部水素であることはないものとする)のカルベジロール類似体からなる群より選択される、項目82に記載の方法。
(項目86)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストがカルベジロールである、項目85に記載の方法。
(項目87)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、チモロールおよび式(III)
(式中、R1は水素または低級アルキルであり、R2は水素または低級アルキルである、ただし、R1とR2がともに水素であることはないものとする)のチモロール類似体からなる群より選択される、項目82に記載の方法。
(項目88)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストがチモロールである、項目87に記載の方法。
(項目89)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、メトプロロールおよび式(IV)
(式中、R1は水素または低級アルキルであり、R2は水素または低級アルキルである、ただし、R1とR2がともに水素であることはないものとする)のメトプロロール類似体からなる群より選択される、項目82に記載の方法。
(項目90)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストがメトプロロールである、項目89に記載の方法。
(項目91)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、ICI−118,551および式(V)
(式中、R1は低級アルキルであり、R2は水素または低級アルキルであり、R3は水素または低級アルキルであり、R4は水素または低級アルキルであり、R5は低級アルキルであり、R6は低級アルキルである、ただし、R1、R3、R5およびR6のすべてがメチルであることはなく、R2およびR4のすべてが水素であることはないものとする)のICI−118,551類似体からなる群より選択される、項目82に記載の方法。
(項目92)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストがICI−118,551である、項目91に記載の方法。
(項目93)
禁煙を促進させるための上記さらなる化合物が、ブプロプリオン、バレニクリン、クロニジンおよびノルトリプチリン、ならびにその塩、溶媒和物、類似体、同族体、模倣物、生物学的等価物、立体異性体、加水分解生成物、代謝産物、前駆体およびプロドラッグからなる群より選択される、項目79に記載の方法。
(項目94)
粘液分泌過多を有するか、または粘液分泌過多のリスクがある被験体に:
(a) 治療有効量のβ−アドレナリン作動性インバースアゴニスト;
(b) 粘液分泌過多を処置するための治療有効量のさらなる化合物;および
(c) 禁煙を促進させるための治療有効量のさらなる化合物
を投与することを含み、該粘液分泌過多が禁煙と関連しており、該被験体が、禁煙を試みているか、または禁煙しようとしている被験体である、呼吸道における粘液分泌過多を予防またはコントロールする方法。
(項目95)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、β2選択的インバースアゴニスト、ならびにβ1−およびβ2−アドレナリン作動性受容体のどちらに対してもインバースアゴニスト活性を有する非選択的インバースアゴニストからなる群より選択される、項目94に記載の方法。
(項目96)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストがβ2選択的インバースアゴニストである、項目95に記載の方法。
(項目97)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、ナドロール、ブプラノロール、ブトキサミン、カラゾロール、カルベジロール、ICI−118,551、レボブノロール、メトプロロール、プロプラノロール、ソタロールおよびチモロール、ならびにその塩、溶媒和物、類似体、同族体、模倣物、生物学的等価物、加水分解生成物、代謝産物、前駆体およびプロドラッグからなる群より選択される、項目94に記載の方法。
(項目98)
粘液分泌過多を処置するための上記さらなる化合物が、抗生物質;DNアーゼ;気管支拡張薬;コルチコステロイド;上皮増殖因子アンタゴニスト;去痰薬;(2R,3R,4S,5R)−2−[6 アミノ−2−(1S−ヒドロキシメチル−2−フェニル−エチルアミノ)−プリン−9−イル]−5−(2−エチル−2H−テトラゾル−5−イル)−テトラヒドロフラン−3,4−ジオール;4−ヒドロキシ−7−[2−[[2−[[3−(2−フェニルエチオキシ)プロピル]スルホニル]エチル]アミノ]エチル−2−(3H)−ベンゾチアゾロン;シス−20,4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシフェニル]シクロヘキサンカルボン酸;およびPDE4阻害薬からなる群より選択される、項目94に記載の方法。
(項目99)
禁煙を促進させるための上記さらなる化合物が、ブプロプリオン、バレニクリン、クロニジンおよびノルトリプチリン、ならびにその塩、溶媒和物、類似体、同族体、模倣物、生物学的等価物、立体異性体、加水分解生成物、代謝産物、前駆体およびプロドラッグからなる群より選択される、項目94に記載の方法。
(項目100)
(a) 治療有効量のβ−アドレナリン作動性インバースアゴニスト;および
(b) 少なくとも1種類の薬学的に許容され得る担体
を含む医薬組成物であって、
該医薬組成物は、粘液分泌過多を処置するために処方されたものである、医薬組成物。
(項目101)
ニコチン離脱と関連している粘液分泌過多を処置するために処方されたものである、項目100に記載の医薬組成物。
(項目102)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、β2選択的インバースアゴニスト、ならびにβ1−およびβ2−アドレナリン作動性受容体のどちらに対してもインバースアゴニスト活性を有する非選択的インバースアゴニストからなる群より選択される、項目100に記載の医薬組成物。
(項目103)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストがβ2選択的インバースアゴニストである、項目102に記載の医薬組成物。
(項目104)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、ナドロール、ブプラノロール、ブトキサミン、カラゾロール、カルベジロール、ICI−118,551、レボブノロール、メトプロロール、プロプラノロール、ソタロールおよびチモロール、ならびにその塩、溶媒和物、類似体、同族体、模倣物、生物学的等価物、加水分解生成物、代謝産物、前駆体およびプロドラッグからなる群より選択される、項目101に記載の医薬組成物。
(項目105)
経皮パッチによる投与のために処方されたものである、項目100に記載の医薬組成物。
(項目106)
チューインガムとしての投与のために処方されたものである、項目100に記載の医薬組成物。
(項目107)
(a) 治療有効量のβ−アドレナリン作動性インバースアゴニスト;
(b) 粘液分泌過多を処置するための治療有効量のさらなる化合物;および
(c) 少なくとも1種類の薬学的に許容され得る担体
を含む医薬組成物であって、
該医薬組成物は、粘液分泌過多を処置するために処方されたものである、医薬組成物。
(項目108)
ニコチン離脱と関連している粘液分泌過多を処置するために処方されたものである、項目107に記載の医薬組成物。
(項目109)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、β2選択的インバースアゴニスト、ならびにβ1−およびβ2−アドレナリン作動性受容体のどちらに対してもインバースアゴニスト活性を有する非選択的インバースアゴニストからなる群より選択される、項目107に記載の医薬組成物。
(項目110)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストがβ2選択的インバースアゴニストである、項目109に記載の医薬組成物。
(項目111)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、ナドロール、ブプラノロール、ブトキサミン、カラゾロール、カルベジロール、ICI−118,551、レボブノロール、メトプロロール、プロプラノロール、ソタロールおよびチモロール、ならびにその塩、溶媒和物、類似体、同族体、模倣物、生物学的等価物、加水分解生成物、代謝産物、前駆体およびプロドラッグからなる群より選択される、項目107に記載の医薬組成物。
(項目112)
粘液分泌過多を処置するための上記さらなる化合物が、抗生物質;DNアーゼ;気管支拡張薬;コルチコステロイド;上皮増殖因子アンタゴニスト;去痰薬;(2R,3R,4S,5R)−2−[6 アミノ−2−(1S−ヒドロキシメチル−2−フェニル−エチルアミノ)−プリン−9−イル]−5−(2−エチル−2H−テトラゾル−5−イル)−テトラヒドロフラン−3,4−ジオール;4−ヒドロキシ−7−[2−[[2−[[3−(2−フェニルエチオキシ)プロピル]スルホニル]エチル]アミノ]エチル−2−(3H)−ベンゾチアゾロン;シス−20,4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシフェニル]シクロヘキサンカルボン酸;およびPDE4阻害薬からなる群より選択される、項目107に記載の医薬組成物。
(項目113)
経皮パッチによる投与のために処方されたものである、項目107に記載の医薬組成物。
(項目114)
チューインガムとしての投与のために処方されたものである、項目107に記載の医薬組成物。
(項目115)
(a) 治療有効量のβ−アドレナリン作動性インバースアゴニスト;
(b) 禁煙を促進させるための治療有効量のさらなる化合物;および
(c) 少なくとも1種類の薬学的に許容され得る担体
を含む医薬組成物であって、
該医薬組成物は、ニコチン離脱と関連している粘液分泌過多を処置するために処方されたものである、医薬組成物。
(項目116)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、β2選択的インバースアゴニスト、ならびにβ1−およびβ2−アドレナリン作動性受容体のどちらに対してもインバースアゴニスト活性を有する非選択的インバースアゴニストからなる群より選択される、項目115に記載の医薬組成物。
(項目117)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストがβ2選択的インバースアゴニストである、項目116に記載の医薬組成物。
(項目118)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、ナドロール、ブプラノロール、ブトキサミン、カラゾロール、カルベジロール、ICI−118,551、レボブノロール、メトプロロール、プロプラノロール、ソタロールおよびチモロール、ならびにその塩、溶媒和物、類似体、同族体、模倣物、生物学的等価物、加水分解生成物、代謝産物、前駆体およびプロドラッグからなる群より選択される、項目115に記載の医薬組成物。
(項目119)
禁煙を促進させるための上記さらなる化合物が、ブプロプリオン、バレニクリン、クロニジンおよびノルトリプチリン、ならびにその塩、溶媒和物、類似体、同族体、模倣物、生物学的等価物、立体異性体、加水分解生成物、代謝産物、前駆体およびプロドラッグからなる群より選択される、項目115に記載の医薬組成物。
(項目120)
経皮パッチによる投与のために処方されたものである、項目115に記載の医薬組成物。
(項目121)
チューインガムとしての投与のために処方されたものである、項目115に記載の医薬組成物。
(項目122)
(a) 治療有効量のβ−アドレナリン作動性インバースアゴニスト;
(b) 粘液分泌過多を処置するための治療有効量のさらなる化合物;
(c) 禁煙を促進させるための治療有効量のさらなる化合物;および
(d) 少なくとも1種類の薬学的に許容され得る担体
を含む医薬組成物であって、
該医薬組成物は、ニコチン離脱と関連している粘液分泌過多を処置するために処方されたものである、医薬組成物。
(項目123)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、β2選択的インバースアゴニスト、ならびにβ1−およびβ2−アドレナリン作動性受容体のどちらに対してもインバースアゴニスト活性を有する非選択的インバースアゴニストからなる群より選択される、項目122に記載の医薬組成物。
(項目124)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストがβ2選択的インバースアゴニストである、項目123に記載の医薬組成物。
(項目125)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、ナドロール、ブプラノロール、ブトキサミン、カラゾロール、カルベジロール、ICI−118,551、レボブノロール、メトプロロール、プロプラノロール、ソタロールおよびチモロール、ならびにその塩、溶媒和物、類似体、同族体、模倣物、生物学的等価物、加水分解生成物、代謝産物、前駆体およびプロドラッグからなる群より選択される、項目122に記載の医薬組成物。
(項目126)
粘液分泌過多を処置するための上記さらなる化合物が、抗生物質;DNアーゼ;気管支拡張薬;コルチコステロイド;上皮増殖因子アンタゴニスト;去痰薬;(2R,3R,4S,5R)−2−[6 アミノ−2−(1S−ヒドロキシメチル−2−フェニル−エチルアミノ)−プリン−9−イル]−5−(2−エチル−2H−テトラゾル−5−イル)−テトラヒドロフラン−3,4−ジオール;4−ヒドロキシ−7−[2−[[2−[[3−(2−フェニルエチオキシ)プロピル]スルホニル]エチル]アミノ]エチル−2−(3H)−ベンゾチアゾロン;シス−20,4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシフェニル]シクロヘキサンカルボン酸;およびPDE4阻害薬からなる群より選択される、項目122に記載の医薬組成物。
(項目127)
禁煙を促進させるための上記さらなる化合物が、ブプロプリオン、バレニクリン、クロニジンおよびノルトリプチリン、ならびにその塩、溶媒和物、類似体、同族体、模倣物、生物学的等価物、立体異性体、加水分解生成物、代謝産物、前駆体およびプロドラッグからなる群より選択される、項目122に記載の医薬組成物。
(項目128)
経皮パッチによる投与のために処方されたものである、項目122に記載の医薬組成物。
(項目129)
チューインガムとしての投与のために処方されたものである、項目122に記載の医薬組成物。
したがって、本発明は、以下の項目を提供する:
(項目1)
治療有効量のβ−アドレナリン作動性インバースアゴニストを、粘液分泌過多を有するか、または粘液分泌過多のリスクがある被験体に投与することを含む、呼吸道における粘液分泌過多を予防またはコントロールする方法。
(項目2)
上記粘液分泌過多が禁煙と関連しており、上記被験体が、禁煙を試みているか、または禁煙しようとしている被験体である、項目1に記載の方法。
(項目3)
上記被験体が禁煙を試みている被験体である、項目2に記載の方法。
(項目4)
上記被験体が禁煙しようとしている被験体であり、上記方法が予防的に適用される、項目2に記載の方法。
(項目5)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、β2選択的インバースアゴニスト、ならびにβ1−およびβ2−アドレナリン作動性受容体のどちらに対してもインバースアゴニスト活性を有する非選択的インバースアゴニストからなる群より選択される、項目1に記載の方法。
(項目6)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストがβ2選択的インバースアゴニストである、項目5に記載の方法。
(項目7)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、ナドロール、ブプラノロール、ブトキサミン、カラゾロール、カルベジロール、ICI−118,551、レボブノロール、メトプロロール、プロプラノロール、ソタロールおよびチモロール、ならびにその塩、溶媒和物、類似体、同族体、模倣物、生物学的等価物、加水分解生成物、代謝産物、前駆体およびプロドラッグからなる群より選択される、項目1に記載の方法。
(項目8)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、ナドロールおよび式(I)
(項目9)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストがナドロールである、項目8に記載の方法。
(項目10)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、カルベジロールおよび式(II)
(項目11)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストがカルベジロールである、項目10に記載の方法。
(項目12)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、チモロールおよび式(III)
(項目13)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストがチモロールである、項目12に記載の方法。
(項目14)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、メトプロロールおよび式(IV)
(項目15)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストがメトプロロールである、項目14に記載の方法。
(項目16)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、ICI−118,551および式(V)
(項目17)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストがICI−118,551である、項目16に記載の方法。
(項目18)
上記被験体の血流において上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストの連続的なレベルがもたらされる、項目1に記載の方法。
(項目19)
肺のβ−アドレナリン作動性受容体の上方調節という治療効果が奏される、項目1に記載の方法。
(項目20)
上記呼吸道の上皮細胞の粘液生成杯細胞への形質転換が阻害または逆転される、項目1に記載の方法。
(項目21)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが経皮パッチの使用によって投与される、項目1に記載の方法。
(項目22)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストがチューインガムによって投与される、項目1に記載の方法。
(項目23)
振せん、咳および粘液分泌過多からなる群より選択される1つ以上の症状が処置される、項目1に記載の方法。
(項目24)
粘液分泌過多を特徴とする疾患または状態を処置または予防する方法であって、治療有効量のβ−アドレナリン作動性インバースアゴニストを、かかる疾患もしくは状態を有するか、またはかかる疾患もしくは状態に罹患するリスクがある被験体に投与することを含む、方法。
(項目25)
上記疾患または上記状態がニコチン離脱症状である、項目24に記載の方法。
(項目26)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、β2選択的インバースアゴニスト、ならびにβ1−およびβ2−アドレナリン作動性受容体のどちらに対してもインバースアゴニスト活性を有する非選択的インバースアゴニストからなる群より選択される、項目24に記載の方法。
(項目27)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストがβ2選択的インバースアゴニストである、項目26に記載の方法。
(項目28)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、ナドロール、ブプラノロール、ブトキサミン、カラゾロール、カルベジロール、ICI−118,551、レボブノロール、メトプロロール、プロプラノロール、ソタロールおよびチモロール、ならびにその塩、溶媒和物、類似体、同族体、模倣物、生物学的等価物、立体異性体、加水分解生成物、代謝産物、前駆体およびプロドラッグからなる群より選択される、項目26に記載の方法。
(項目29)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、ナドロールおよび式(I)
(項目30)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストがナドロールである、項目29に記載の方法。
(項目31)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、カルベジロールおよび式(II)
(項目32)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストがカルベジロールである、項目31に記載の方法。
(項目33)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、チモロールおよび式(III)
(項目34)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストがチモロールである、項目33に記
載の方法。
(項目35)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、メトプロロールおよび式(IV)
(項目36)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストがメトプロロールである、項目35に記載の方法。
(項目37)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、ICI−118,551および式(V)
(項目38)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストがICI−118,551である、項目37に記載の方法。
(項目39)
上記被験体の血流において上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストの連続的なレベルがもたらされる、項目24に記載の方法。
(項目40)
肺のβ−アドレナリン作動性受容体の上方調節という治療効果が奏される、項目21に記載の方法。
(項目41)
上記呼吸道の上皮細胞の粘液生成杯細胞への形質転換が阻害または逆転される、項目21に記載の方法。
(項目42)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが経皮パッチの使用によって投与される、項目24に記載の方法。
(項目43)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストがチューインガムによって投与される、項目24に記載の方法。
(項目44)
振せん、咳および粘液分泌過多からなる群より選択される1つ以上の症状が処置される、項目24に記載の方法。
(項目45)
粘液分泌過多を有するか、または粘液分泌過多のリスクがある被験体に:
(a) 治療有効量のβ−アドレナリン作動性インバースアゴニスト;および
(b) 粘液分泌過多を処置するための治療有効量のさらなる化合物
を投与することを含む、呼吸道における粘液分泌過多を予防またはコントロールする方法。
(項目46)
上記粘液分泌過多が禁煙と関連しており、上記被験体が、禁煙を試みているか、または禁煙しようとしている被験体である、項目45に記載の方法。
(項目47)
上記被験体が禁煙を試みている被験体である、項目46に記載の方法。
(項目48)
上記被験体が禁煙しようとしている被験体であり、上記方法が予防的に適用される、項目46に記載の方法。
(項目49)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、β2選択的インバースアゴニスト、ならびにβ1−およびβ2−アドレナリン作動性受容体のどちらに対してもインバースアゴニスト活性を有する非選択的インバースアゴニストからなる群より選択される、項目45に記載の方法。
(項目50)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストがβ2選択的インバースアゴニストである、項目49に記載の方法。
(項目51)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、ナドロール、ブプラノロール、ブトキサミン、カラゾロール、カルベジロール、ICI−118,551、レボブノロール、メトプロロール、プロプラノロール、ソタロールおよびチモロール、ならびにその塩、溶媒和物、類似体、同族体、模倣物、生物学的等価物、加水分解生成物、代謝産物、前駆体およびプロドラッグからなる群より選択される、項目45に記載の方法。
(項目52)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、ナドロールおよび式(I)
(項目53)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストがナドロールである、項目52に記載の方法。
(項目54)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、カルベジロールおよび式(II)
(項目55)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストがカルベジロールである、項目54に記載の方法。
(項目56)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、チモロールおよび式(III)
(項目57)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストがチモロールである、項目56に記載の方法。
(項目58)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、メトプロロールおよび式(IV)
(項目59)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストがメトプロロールである、項目58に記載の方法。
(項目60)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、ICI−118,551および式(V)
(項目61)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストがICI−118,551である、項目60に記載の方法。
(項目62)
粘液分泌過多を処置するための上記さらなる化合物が抗生物質である、項目45に記載の方法。
(項目63)
上記抗生物質が、アミノペニシリン、キノロンおよびトリメトプリム・スルファメトキサゾールからなる群より選択される、項目62に記載の方法。
(項目64)
粘液分泌過多を処置するための上記さらなる化合物がDNアーゼである、項目45に記載の方法。
(項目65)
上記DNアーゼが組換えヒトDNアーゼである、項目64に記載の方法。
(項目66)
粘液分泌過多を処置するための上記さらなる化合物が気管支拡張薬である、項目45に記載の方法。
(項目67)
上記気管支拡張薬が、メチルキサンチン、強力なβ2−アドレナリン作動性刺激特性を有する交感神経様作用薬、および抗コリン作動薬からなる群より選択される、項目66に記載の方法。
(項目68)
粘液分泌過多を処置するための上記さらなる化合物がコルチコステロイドである、項目45に記載の方法。
(項目69)
上記コルチコステロイドが、ベクロメタゾン、モメタゾン、ブデソニド、シクレソニド、フルニソリド、フルチカゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾンおよびトリアムシノロン、ならびにその塩、溶媒和物、類似体、同族体、生物学的等価物、加水分解生成物、代謝産物、前駆体およびプロドラッグからなる群より選択される、項目68に記載の方法。
(項目70)
粘液分泌過多を処置するための上記さらなる化合物が上皮増殖因子受容体アンタゴニストである、項目45に記載の方法。
(項目71)
上皮増殖因子受容体アンタゴニストが、抗EGF−R抗体、チロシンキナーゼ阻害薬、酸化防止剤、マイトジェン活性化プロテインキナーゼキナーゼ(MEK)の阻害薬、膜貫通メタロプロテイナーゼ(MP)の阻害薬、およびEGF生成またはEGF−R生成を刺激する因子に結合する抗体からなる群より選択される、項目70に記載の方法。
(項目72)
粘液分泌過多を処置するための上記さらなる化合物が去痰薬である、項目45に記載の方法。
(項目73)
粘液分泌過多を処置するための上記さらなる化合物が、(2R,3R,4S,5R)−2−[6 アミノ−2−(1S−ヒドロキシメチル−2−フェニル−エチルアミノ)−プリン−9−イル]−5−(2−エチル−2H−テトラゾル−5−イル)−テトラヒドロフラン−3,4−ジオールである、項目45に記載の方法。
(項目74)
粘液分泌過多を処置するための上記さらなる化合物が、4−ヒドロキシ−7−[2−[[2−[[3−(2−フェニルエチオキシ(phenylethyoxy))プロピル]スルホニル]エチル]アミノ]エチル−2−(3H)−ベンゾチアゾロンである、項目45に記載の方法。
(項目75)
粘液分泌過多を処置するための上記さらなる化合物が、シス−20,4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシフェニル]シクロヘキサンカルボン酸である、項目45に記載の方法。
(項目76)
粘液分泌過多を処置するための上記さらなる化合物がPDE4阻害薬である、項目45に記載の方法。
(項目77)
上記PDE4阻害薬が、シロミラスト、フィラミナスト、イブジラスト、ピクラミラストおよびロフルミラストからなる群より選択される、項目76に記載の方法。
(項目78)
上記PDE4阻害薬が、ロフルミラストおよびシロミラストからなる群より選択される、項目77に記載の方法。
(項目79)
粘液分泌過多を有するか、または粘液分泌過多のリスクがある被験体に:
(a) 治療有効量のβ−アドレナリン作動性インバースアゴニスト;および
(b) 禁煙を促進させるための治療有効量のさらなる化合物
を投与することを含み、該粘液分泌過多が禁煙と関連しており、該被験体が、禁煙を試みているか、または禁煙しようとしている被験体である、呼吸道における粘液分泌過多を予防またはコントロールする方法。
(項目80)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、β2選択的インバースアゴニスト、ならびにβ1−およびβ2−アドレナリン作動性受容体のどちらに対してもインバースアゴニスト活性を有する非選択的インバースアゴニストからなる群より選択される、項目79に記載の方法。
(項目81)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストがβ2選択的インバースアゴニストである、項目80に記載の方法。
(項目82)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、ナドロール、ブプラノロール、ブトキサミン、カラゾロール、カルベジロール、ICI−118,551、レボブノロール、メトプロロール、プロプラノロール、ソタロールおよびチモロール、ならびにその塩、溶媒和物、類似体、同族体、模倣物、生物学的等価物、加水分解生成物、代謝産物、前駆体およびプロドラッグからなる群より選択される、項目80に記載の方法。
(項目83)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、ナドロールおよび式(I)
(項目84)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストがナドロールである、項目83に記載の方法。
(項目85)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、カルベジロールおよび式(II)
(項目86)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストがカルベジロールである、項目85に記載の方法。
(項目87)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、チモロールおよび式(III)
(項目88)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストがチモロールである、項目87に記載の方法。
(項目89)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、メトプロロールおよび式(IV)
(項目90)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストがメトプロロールである、項目89に記載の方法。
(項目91)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、ICI−118,551および式(V)
(項目92)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストがICI−118,551である、項目91に記載の方法。
(項目93)
禁煙を促進させるための上記さらなる化合物が、ブプロプリオン、バレニクリン、クロニジンおよびノルトリプチリン、ならびにその塩、溶媒和物、類似体、同族体、模倣物、生物学的等価物、立体異性体、加水分解生成物、代謝産物、前駆体およびプロドラッグからなる群より選択される、項目79に記載の方法。
(項目94)
粘液分泌過多を有するか、または粘液分泌過多のリスクがある被験体に:
(a) 治療有効量のβ−アドレナリン作動性インバースアゴニスト;
(b) 粘液分泌過多を処置するための治療有効量のさらなる化合物;および
(c) 禁煙を促進させるための治療有効量のさらなる化合物
を投与することを含み、該粘液分泌過多が禁煙と関連しており、該被験体が、禁煙を試みているか、または禁煙しようとしている被験体である、呼吸道における粘液分泌過多を予防またはコントロールする方法。
(項目95)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、β2選択的インバースアゴニスト、ならびにβ1−およびβ2−アドレナリン作動性受容体のどちらに対してもインバースアゴニスト活性を有する非選択的インバースアゴニストからなる群より選択される、項目94に記載の方法。
(項目96)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストがβ2選択的インバースアゴニストである、項目95に記載の方法。
(項目97)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、ナドロール、ブプラノロール、ブトキサミン、カラゾロール、カルベジロール、ICI−118,551、レボブノロール、メトプロロール、プロプラノロール、ソタロールおよびチモロール、ならびにその塩、溶媒和物、類似体、同族体、模倣物、生物学的等価物、加水分解生成物、代謝産物、前駆体およびプロドラッグからなる群より選択される、項目94に記載の方法。
(項目98)
粘液分泌過多を処置するための上記さらなる化合物が、抗生物質;DNアーゼ;気管支拡張薬;コルチコステロイド;上皮増殖因子アンタゴニスト;去痰薬;(2R,3R,4S,5R)−2−[6 アミノ−2−(1S−ヒドロキシメチル−2−フェニル−エチルアミノ)−プリン−9−イル]−5−(2−エチル−2H−テトラゾル−5−イル)−テトラヒドロフラン−3,4−ジオール;4−ヒドロキシ−7−[2−[[2−[[3−(2−フェニルエチオキシ)プロピル]スルホニル]エチル]アミノ]エチル−2−(3H)−ベンゾチアゾロン;シス−20,4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシフェニル]シクロヘキサンカルボン酸;およびPDE4阻害薬からなる群より選択される、項目94に記載の方法。
(項目99)
禁煙を促進させるための上記さらなる化合物が、ブプロプリオン、バレニクリン、クロニジンおよびノルトリプチリン、ならびにその塩、溶媒和物、類似体、同族体、模倣物、生物学的等価物、立体異性体、加水分解生成物、代謝産物、前駆体およびプロドラッグからなる群より選択される、項目94に記載の方法。
(項目100)
(a) 治療有効量のβ−アドレナリン作動性インバースアゴニスト;および
(b) 少なくとも1種類の薬学的に許容され得る担体
を含む医薬組成物であって、
該医薬組成物は、粘液分泌過多を処置するために処方されたものである、医薬組成物。
(項目101)
ニコチン離脱と関連している粘液分泌過多を処置するために処方されたものである、項目100に記載の医薬組成物。
(項目102)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、β2選択的インバースアゴニスト、ならびにβ1−およびβ2−アドレナリン作動性受容体のどちらに対してもインバースアゴニスト活性を有する非選択的インバースアゴニストからなる群より選択される、項目100に記載の医薬組成物。
(項目103)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストがβ2選択的インバースアゴニストである、項目102に記載の医薬組成物。
(項目104)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、ナドロール、ブプラノロール、ブトキサミン、カラゾロール、カルベジロール、ICI−118,551、レボブノロール、メトプロロール、プロプラノロール、ソタロールおよびチモロール、ならびにその塩、溶媒和物、類似体、同族体、模倣物、生物学的等価物、加水分解生成物、代謝産物、前駆体およびプロドラッグからなる群より選択される、項目101に記載の医薬組成物。
(項目105)
経皮パッチによる投与のために処方されたものである、項目100に記載の医薬組成物。
(項目106)
チューインガムとしての投与のために処方されたものである、項目100に記載の医薬組成物。
(項目107)
(a) 治療有効量のβ−アドレナリン作動性インバースアゴニスト;
(b) 粘液分泌過多を処置するための治療有効量のさらなる化合物;および
(c) 少なくとも1種類の薬学的に許容され得る担体
を含む医薬組成物であって、
該医薬組成物は、粘液分泌過多を処置するために処方されたものである、医薬組成物。
(項目108)
ニコチン離脱と関連している粘液分泌過多を処置するために処方されたものである、項目107に記載の医薬組成物。
(項目109)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、β2選択的インバースアゴニスト、ならびにβ1−およびβ2−アドレナリン作動性受容体のどちらに対してもインバースアゴニスト活性を有する非選択的インバースアゴニストからなる群より選択される、項目107に記載の医薬組成物。
(項目110)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストがβ2選択的インバースアゴニストである、項目109に記載の医薬組成物。
(項目111)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、ナドロール、ブプラノロール、ブトキサミン、カラゾロール、カルベジロール、ICI−118,551、レボブノロール、メトプロロール、プロプラノロール、ソタロールおよびチモロール、ならびにその塩、溶媒和物、類似体、同族体、模倣物、生物学的等価物、加水分解生成物、代謝産物、前駆体およびプロドラッグからなる群より選択される、項目107に記載の医薬組成物。
(項目112)
粘液分泌過多を処置するための上記さらなる化合物が、抗生物質;DNアーゼ;気管支拡張薬;コルチコステロイド;上皮増殖因子アンタゴニスト;去痰薬;(2R,3R,4S,5R)−2−[6 アミノ−2−(1S−ヒドロキシメチル−2−フェニル−エチルアミノ)−プリン−9−イル]−5−(2−エチル−2H−テトラゾル−5−イル)−テトラヒドロフラン−3,4−ジオール;4−ヒドロキシ−7−[2−[[2−[[3−(2−フェニルエチオキシ)プロピル]スルホニル]エチル]アミノ]エチル−2−(3H)−ベンゾチアゾロン;シス−20,4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシフェニル]シクロヘキサンカルボン酸;およびPDE4阻害薬からなる群より選択される、項目107に記載の医薬組成物。
(項目113)
経皮パッチによる投与のために処方されたものである、項目107に記載の医薬組成物。
(項目114)
チューインガムとしての投与のために処方されたものである、項目107に記載の医薬組成物。
(項目115)
(a) 治療有効量のβ−アドレナリン作動性インバースアゴニスト;
(b) 禁煙を促進させるための治療有効量のさらなる化合物;および
(c) 少なくとも1種類の薬学的に許容され得る担体
を含む医薬組成物であって、
該医薬組成物は、ニコチン離脱と関連している粘液分泌過多を処置するために処方されたものである、医薬組成物。
(項目116)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、β2選択的インバースアゴニスト、ならびにβ1−およびβ2−アドレナリン作動性受容体のどちらに対してもインバースアゴニスト活性を有する非選択的インバースアゴニストからなる群より選択される、項目115に記載の医薬組成物。
(項目117)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストがβ2選択的インバースアゴニストである、項目116に記載の医薬組成物。
(項目118)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、ナドロール、ブプラノロール、ブトキサミン、カラゾロール、カルベジロール、ICI−118,551、レボブノロール、メトプロロール、プロプラノロール、ソタロールおよびチモロール、ならびにその塩、溶媒和物、類似体、同族体、模倣物、生物学的等価物、加水分解生成物、代謝産物、前駆体およびプロドラッグからなる群より選択される、項目115に記載の医薬組成物。
(項目119)
禁煙を促進させるための上記さらなる化合物が、ブプロプリオン、バレニクリン、クロニジンおよびノルトリプチリン、ならびにその塩、溶媒和物、類似体、同族体、模倣物、生物学的等価物、立体異性体、加水分解生成物、代謝産物、前駆体およびプロドラッグからなる群より選択される、項目115に記載の医薬組成物。
(項目120)
経皮パッチによる投与のために処方されたものである、項目115に記載の医薬組成物。
(項目121)
チューインガムとしての投与のために処方されたものである、項目115に記載の医薬組成物。
(項目122)
(a) 治療有効量のβ−アドレナリン作動性インバースアゴニスト;
(b) 粘液分泌過多を処置するための治療有効量のさらなる化合物;
(c) 禁煙を促進させるための治療有効量のさらなる化合物;および
(d) 少なくとも1種類の薬学的に許容され得る担体
を含む医薬組成物であって、
該医薬組成物は、ニコチン離脱と関連している粘液分泌過多を処置するために処方されたものである、医薬組成物。
(項目123)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、β2選択的インバースアゴニスト、ならびにβ1−およびβ2−アドレナリン作動性受容体のどちらに対してもインバースアゴニスト活性を有する非選択的インバースアゴニストからなる群より選択される、項目122に記載の医薬組成物。
(項目124)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストがβ2選択的インバースアゴニストである、項目123に記載の医薬組成物。
(項目125)
上記β−アドレナリン作動性インバースアゴニストが、ナドロール、ブプラノロール、ブトキサミン、カラゾロール、カルベジロール、ICI−118,551、レボブノロール、メトプロロール、プロプラノロール、ソタロールおよびチモロール、ならびにその塩、溶媒和物、類似体、同族体、模倣物、生物学的等価物、加水分解生成物、代謝産物、前駆体およびプロドラッグからなる群より選択される、項目122に記載の医薬組成物。
(項目126)
粘液分泌過多を処置するための上記さらなる化合物が、抗生物質;DNアーゼ;気管支拡張薬;コルチコステロイド;上皮増殖因子アンタゴニスト;去痰薬;(2R,3R,4S,5R)−2−[6 アミノ−2−(1S−ヒドロキシメチル−2−フェニル−エチルアミノ)−プリン−9−イル]−5−(2−エチル−2H−テトラゾル−5−イル)−テトラヒドロフラン−3,4−ジオール;4−ヒドロキシ−7−[2−[[2−[[3−(2−フェニルエチオキシ)プロピル]スルホニル]エチル]アミノ]エチル−2−(3H)−ベンゾチアゾロン;シス−20,4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシフェニル]シクロヘキサンカルボン酸;およびPDE4阻害薬からなる群より選択される、項目122に記載の医薬組成物。
(項目127)
禁煙を促進させるための上記さらなる化合物が、ブプロプリオン、バレニクリン、クロニジンおよびノルトリプチリン、ならびにその塩、溶媒和物、類似体、同族体、模倣物、生物学的等価物、立体異性体、加水分解生成物、代謝産物、前駆体およびプロドラッグからなる群より選択される、項目122に記載の医薬組成物。
(項目128)
経皮パッチによる投与のために処方されたものである、項目122に記載の医薬組成物。
(項目129)
チューインガムとしての投与のために処方されたものである、項目122に記載の医薬組成物。
発明の詳細な説明
本明細書で用いる場合、一般的に認められている受容体の二状態モデル理論において、用語「アゴニスト」は、受容体の活性部位に対して親和性を有し、それにより該受容体の活性状態を優先的に安定化させる物質、あるいは、受容体の活性化をもたらし、該受容体によるシグナル伝達を向上させる物質(例えば限定されないが、薬物、ホルモンまたは神経伝達物質)と定義する。作用機序(1つまたは複数)に関係なく、アゴニストは、受容体の活性化をもたらし、該受容体によるシグナル伝達を向上させるものである。
本明細書で用いる場合、一般的に認められている受容体の二状態モデル理論において、用語「アゴニスト」は、受容体の活性部位に対して親和性を有し、それにより該受容体の活性状態を優先的に安定化させる物質、あるいは、受容体の活性化をもたらし、該受容体によるシグナル伝達を向上させる物質(例えば限定されないが、薬物、ホルモンまたは神経伝達物質)と定義する。作用機序(1つまたは複数)に関係なく、アゴニストは、受容体の活性化をもたらし、該受容体によるシグナル伝達を向上させるものである。
本明細書で用いる場合、受容体の二状態モデル理論において、用語「アンタゴニスト」は、受容体(活性または不活性)のいずれの形態も優先的に安定化させない物質、あるいは、アゴニストおよび/またはインバースアゴニストの効果を妨害または障害する物質(例えば限定されないが、薬物、ホルモンおよび神経伝達物質)と定義する。作用機序(1つまたは複数)に関係なく、アンタゴニストは、アゴニストおよび/またはインバースアゴニストの効果を妨害または障害するものである。
本明細書で用いる場合、受容体の二状態モデル理論において、用語「インバースアゴニスト」は、受容体の不活性状態に対して親和性を有し、それにより該受容体の不活性状態を優先的に安定化させる物質、あるいは受容体の不活化をもたらす、および/またはアゴニストによる活性化を妨害もしくは障害し、それにより該受容体からのシグナル伝達を低減させる物質(例えば限定されないが、薬物、ホルモンおよび神経伝達物質)と定義する。
本明細書で用いる場合、用語「共時投与(concurrent administration)」は、好ましくはいずれかの薬剤単独の投与によって得られ得るものより大きい複合治療効果が得られるのに充分に時間的に近接した2種類以上の活性薬剤の投与をいう。かかる共時投与は、例えば、該活性薬剤を共通の薬学的に許容され得る担体中で一緒に投与することにより、1回以上の用量で同時に行なってもよい。
用語「被験体」は、本明細書で用いる場合、ヒトまたは動物種をいう。一般に、本発明による方法および組成物は、ヒトだけでなく、社会上または経済上重要な動物種(ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、イヌおよびネコなど)を処置するためにも使用され得る。特に指定のない限り、本発明による方法および組成物はヒトの処置に限定されない。しかしながら、タバコを吸うことが知られているのはヒトだけであるため、禁煙に関する方法および組成物は、本明細書において、ヒトの処置に関するのもであるとみなす。
用語「治療有効量」は、本明細書で用いる場合、所望の疾患もしくは状態を処置、改善もしくは予防するのに有効な、または検出可能な治療効果もしくは予防効果を示すのに有効な治療用の薬剤または組成物の量をいう。該効果は、例えば、化学的マーカー、抗原レベル、または生理学的指標、例えば、気道抵抗、1秒後の努力呼気量(FEV1)、FEV1の20%減少を引き起こす負荷刺激剤メタコリンの濃度(PC20)、または他の指標、例えば限定されないが:(1)気管支拡張薬使用前のFEV1(1秒間の努力呼気量);(2)気管支拡張薬使用後のFEV1(アルブテロールレスキュー薬の吸入後の1秒間の努力呼気量);(3)FVC(努力肺活量);(4)FEF25−75%(肺活量の25から75%時の流量);(5)PEFR(ピーク呼気流量);(6)TLC(全肺気量);(7)VC(肺活量);(8)FRC(通常の呼気後の肺内容量);(9)呼気中亜酸化窒素;(10)肺内および/または血液中の好酸球レベル;あるいは(11)IgEレベルの変化によって検出され得る。また、治療効果としては、身体的症状の低減、例えば、気管支収縮の低減または気道抵抗の低減も挙げられる。被験体またはその介助者がみとめる健康状態の主観的改善も挙げられ得る。他の試験としては、以下のもの:1日あたり、または他の期間でのレスキュー薬の使用;規定の期間、例えば、1年にわたる喘息の増悪(増悪は、予定外の医師の訪問、ER来院、入院である);吸入/経口ステロイド用量レベルの変更;Juniper喘息コントロール質問票の症状スコア(ACQ);喘息症状スコア(単独またはあらゆる組合せ;喘鳴/咳による夜間覚醒、日中の喘鳴、日中の咳、息切れ、胸部絞扼感(chest tightness)、粘液または痰の喀出)が挙げられ得る。被験体に対する厳密な治療有効量は、被験体のサイズ、体重および健康状態、被験体が罹患している状態の性質および程度、ならびに投与に選択された治療薬または治療薬の組合せ、ならびに投与される治療薬の薬物動態に影響する肝臓および腎臓の機能などの変数に依存する。したがって、厳密な有効量を事前に特定することは有益でない。しかしながら、所与の状況に対する有効量は、常套的な実験手法によって決定され得、医師の判断の範囲内である。禁煙を試みている被験体の粘液分泌過多を処置または予防するためにインバースアゴニストを使用する場合、用語「治療有効量」は、被験体が経験する主観的不快感およびニコチン離脱症状、ニコチン離脱症状と関連している粘液分泌の容量の減少、被験体によって示される気分および心理学的見通しの改善、または被験体が紙巻きたばこの喫煙に戻るのを自制する能力に関して定義され得る。禁煙を試みている被験体の場合のインバースアゴニストまたは他の治療用薬剤の治療有効量の決定に適した他のパラメータは当該技術分野で知られている。
本発明の一実施形態は、治療有効量のβ−アドレナリン作動性インバースアゴニストを、粘液分泌過多を有するか、または粘液分泌過多のリスクがある被験体に投与することを含む、呼吸道における粘液分泌過多を予防またはコントロールする方法である。慢性の咳および/または粘液分泌過多を有するか、あるいは粘液分泌過多のリスクがある被験体は、典型的には、禁煙を試みているか、またはそうしようとしている被験体である。
同様に、本発明の別の実施形態は、粘液分泌過多を特徴とする疾患または状態を処置または予防する方法であって、治療有効量のβ−アドレナリン作動性インバースアゴニストを、かかる疾患もしくは状態を有するか、またはかかる疾患もしくは状態に罹患するリスクがある被験体に投与することを含む方法である。上記に詳述したように、被験体は、禁煙を試みているか、またはそうすることを計画している被験体であり得る。
古典的受容体理論では、2つのクラスのGタンパク質共役受容体(GPCR)リガンド:アゴニストとアンタゴニストが考慮された。受容体は、アゴニストが結合した際にのみ細胞内シグナル伝達を誘導して受容体の活性化状態をもたらし得る、単一の静止状態で存在していると考えられていた。このモデルでは、アンタゴニストによる結合は、細胞内シグナル伝達をもたらすのではなく、単に、受容体がアゴニストによって結合し活性化させることを妨害した。その後、CostaとHerzによって、受容体は、アゴニスト占有の非存在下で細胞内シグナル伝達をもたらす構成的または自発的活性状態に操作され得ることが実証された。また、彼らは、特定の化合物が自発的に活性な受容体を不活化させる証拠を示した(T.Costa & A.Herz,“Antagonists with Negative Intrinsic Activity at δ Opioid Receptors Coupled to GTP−Binding Proteins,”Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:7321−7325(1989))。さらに、GPCRが構成的または自発的活性状態で存在しており、この状態は、インバースアゴニストによってある程度不活化されるという証拠もある(R.A.de Ligtら,“Inverse Agonism at G Protein−Coupled Receptors:(Patho)physiological Relevance and Implications for Drug Discovery,” Br.J.Pharmacol.130:1−12(2000);G.Milliganら,“Inverse Agonism:Pharmacological Curiosity or Potential Therapeutic Strategy?,” Trends Pharmacol.Sci.16:10−13(2000))。
本発明のこの実施形態のストラテジーの根拠は、インバースアゴニストの存在の認識およびインバースアゴニストでの長期処置が受容体機能に対して有する効果の理解である。インバースアゴニストとは何であり、どのようにして機能を果たすのか?アドレナリン(エピネフリン)に応答するβ−アドレナリン作動性受容体などの受容体は、典型的には、活性状態と不活性状態の2つの状態間の平衡状態で存在している。受容体がβ−アドレナリン受容体のアゴニスト(アドレナリンなど)に結合すると、サイクルの不活性状態に戻ることを止め、したがって、活性状態と不活性状態間の平衡が質量作用の法則に従ってシフトする。これは、アゴニストに結合している受容体が平衡から外れるために起こる。典型的には、アンタゴニストは受容体に結合するが、アゴニストの結合を妨げる。しかしながら、「インバースアゴニスト」として知られている分子は、不活性状態の受容体に結合し、活性状態と不活性状態間の平衡を不活性状態にシフトさせる。これは、単なるアゴニストの結合のブロックということではない。
さらに、インビボで自発的に活性な受容体の集団が存在している。このような受容体は、ベースラインの構成的活性レベルを示す;この活性は決して完全に「オフ」にはならない。
上記に示したように、β−アドレナリン作動性アゴニストの長期投与によってアゴニスト依存性脱感作がもたらされることが充分に実証されている。β−アゴニストの急性投与時では、アドレナリン作動性受容体が内在化され、それにより、該受容体がさらなる肺弛緩のために再刺激されることが妨げられる。β−アゴニストの長期投与では、実際に、β−アドレナリン作動性受容体の総数の下方調節が認められる。この帰結は、長期作用性のβ−アゴニスト下にある喘息患者で見られる応答性の低減の観察であり、耐容性またはタキフィラキシー(上記)と称される。
本発明の処置方法は、インバースアゴニストの長期投与は活性なβ−アドレナリン作動性受容体集団の上方調節の効果を有するという発見に基づいたものである。観察された活性は、受容体の構成的ベースライン活性または内因性アゴニストに応答する受容体レベルの増大の複合効果によるものであり得る。これにより、一見したところ生理学的機能を破壊する(喘息の気道過剰応答性を引き起こすことなどによって)ように思われ得る薬物の投与が、長期的に投与すると、該生理学的機能と関連している自発的に活性なβ−アドレナリン作動性受容体集団を上方調節することにより該生理学的機能を向上させ得るという一見逆説的な結果がもたらされる。さらにまたは択一的に、インバースアゴニストにより、受容体のその対応内部Gタンパク質に対する共役が改善されることもあり得、それにより、より少ない活性化受容体集団でより高度な細胞内cAMPの生成などの成果の産出がもたらされ得る。これは、「逆説的薬理学」の原則の具体的な応用の一例である。
Kleinらに対する米国特許第5,116,867号(この引用により本明細書に組み込まれる)では、D−プロプラノロールまたは85%以上が該D体で構成されたラセミ混合物が喘息の処置に提案された。プロプラノロールのD体は、β−アドレナリン作動性受容体の阻害において効力がL体の1/100であった。対照的に、この特許では、活性なβ−アドレナリン作動性アンタゴニストを50%以上含む活性形態またはラセミ混合物の使用を特定する。
Broderらに対する米国特許第6,284,800号(この引用により本明細書に組み込まれる)では、プロプラノロール、メトプロロール、カルベジロールまたはビソプロロールのD体が喘息の処置に提案された。プロプラノロールのD体とL体とを比較する実験が行なわれ、D−プロプラノロールの急性投与が、抗原誘導性気管支収縮の抑止および気道の過剰応答性の低減に有益であることが実証された。対照的に、L体の急性投与では、活性なβ−アドレナリン作動性アゴニストで予測されたとおり、比肺抵抗(specific lung resistance)が増大した。プロプラノロールのD体は、β−アドレナリン作動性受容体に対して不活性であった。そのため、米国特許第6,284,800号は、インバースアゴニスト作用を取り扱ったものではない。
BondによるPCT特許公開公報番号WO02/29534では、アレルギー性障害および炎症性障害(例えば、喘息および慢性閉塞性肺疾患)を処置するための、β1および/またはβ2アンタゴニスト活性を有し、β−アドレナリン作動性受容体を阻害する化合物が提案された。喘息マウスを、β−アンタゴニストとして特徴づけられる化合物、例えば、アルプレノロール、カルベジロールおよびICI−118,551で長期処置する実験が行なわれた。その後、マウスの気管を切除し、メタコリンに応答した気管の収縮を喘息発作の代替物としてモニタリングした。最も有効な化合物はアルプレノロールであり、続いてカルベジロール、次いでICI−118,551であった。
本出願の発明者が閉塞性肺疾患のマウスモデルで行なったより生理学的に関連性のある実験では、当初は長期的に有益であると考えられていたアルプレノロールでは、感作された負荷刺激未処置マウスと比べて気道の過剰応答性は低減されないことが示された。アルプレノロールはβ−アドレナリン作動性アンタゴニストではあるが、これは部分アゴニスト活性を有する。カルベジロールは、α1−アドレナリン作動性アンタゴニスト活性を有するβ1/β2非選択的アドレナリン作動性アンタゴニストである。本出願において報告した実験では、カルベジロールの長期投与で気道の過剰応答性が低減され、喘息の患者に有益であり得るが、該投与ではまた、メタコリンに対する応答性の感度が低濃度側にシフトし、これは喘息患者に有害であり得る。
さらに、PCT特許公開公報番号WO02/29534に報告された実験では、マウスから、肺気道の大部分を残して気管を切除した。マウスでは、気管には、ほぼ排他的にβ1アドレナリン作動性受容体のみが含まれているが、気道の残余部はβ1およびβ2アドレナリン作動性受容体の混合物である。対照的に、ヒト気道では、気管と小気道のどちらにもほぼ排他的にβ2受容体が含まれている。そのため、PCT特許公開公報番号WO02/29534に報告された実験は、ヒト喘息に関する予測価値はほとんどない。本出願において報告した実験は、より密接にヒト生理学を反映させたものである。
β−アドレナリン作動性アンタゴニスト薬物または「β遮断薬」は、通常の薬理学では同じ活性を有するものとして扱われている。β遮断薬は、その選択性またはその欠如に基づいて、β1(「心選択的」と称される)またはβ1/β2(「非選択的」)またはβ2にのみ選択的のいずれかとしてさらに分類される。さらに、β遮断薬は、部分アゴニスト活性を有するか否か、または実際にインバースアゴニストであるか否かに関して分類され得る。後者の定義は、多くのG共役タンパク質受容体、例えばβ−アドレナリン作動性受容体が示す自発的活性は低レベルであり、この活性は、インバースアゴニストが該受容体に結合することによってさらに抑制され得るという本出願において記載した新しい認識に基づいている。この識別は、単に「アンタゴニスト」に言及したものであるPCT特許公開公報番号WO02/29534では行なわれなかった。
当該技術分野におけるこのようなβ遮断薬のサブクラスの知識にもかかわらず、多くの科学者は、種々のサブクラスの化合物を1つのクラスとして扱い続けている。この一例は、鬱血性心不全に対するβ遮断薬ブシンドロールの1998〜1999年の臨床試験である。以前に、2種類の他のβ遮断薬メトプロロールとカルベジロールの臨床試験が行なわれており、CHFの患者において有意な死亡率の低下が示された。ブシンドロールでは、プラセボと比べてなんら有益性は示されず、したがって、臨床試験は中止された。本出願の発明者は、メトプロロールとカルベジロールはともにβ−インバースアゴニストであるが、ブシンドロールは、部分アゴニスト活性を有するニュートラルアンタゴニストであることに気がついた。そのため、本出願の発明者は、β−アドレナリン作動性インバースアゴニストのみがCHFの処置に有効であり得るのではないかと予測した。同じ筋で、本出願の発明者は、β−アドレナリン作動性インバースアゴニストのみが喘息気道の過剰応答性の長期処置に有効であろうと予測する。この識別は、PCT特許公開公報番号WO02/29534では行なわれておらず、示唆もされていない。この予測を本発明において、不備のあるマウス喘息モデルにおいて好ましい薬物であるとこれまで考えられていた部分アゴニストであるβ遮断薬アルプレノロールは、本発明においてなんら活性を有しないことがわかったという論駁によって確証する。
その代わり、本発明は、粘液分泌過多の予防または抑制におけるβ−アドレナリン作動性インバースアゴニストの活性なβ−アドレナリン作動性受容体結合形態の使用を提供し、禁煙の補助のための新たなモダリティをもたらす。このモダリティは、主に心理学的または行動的な側面に指向される他の禁煙方法とは対照的に、禁煙の生理学的効果、例えば、振せん、咳および粘液分泌過多を処置するものである。インバースアゴニストは、純粋なまたは実質的に純粋なエナンチオマー形態またはジアステレオマー形態であってもよく、ラセミ混合物であってもよい。多くの場合、かかる化合物の活性形態は、キラル中心が1つだけの場合はL体である。だが、3つのキラル中心を有し、潜在的に12種類の異性体を有するナドロールの場合、典型的には、合成時に2種類だけ形成され、最も活性な形態はナドロールのRSR体である。
本発明による使用に特に好ましいのは、β−アドレナリン作動性インバースアゴニスト:ナドロール、例えば、塩酸塩として:ブプラノロール、例えば、塩酸塩として;ブトキサミン、例えば、塩酸塩として;カラゾロール、例えば、塩酸塩として;カルベジロール;、例えば、塩酸塩として;ICI−118,551、すなわち、塩酸塩として;レボブノロール、例えば、塩酸塩として;メトプロロール、酒石酸塩またはコハク酸塩として;プロプラノロール、例えば、塩酸塩として;ソタロール、例えば、塩酸塩として;チモロール;例えば、塩酸塩として;ならびにその塩、溶媒和物、類似体、同族体、模倣物、生物学的等価物、立体異性体、加水分解生成物、代謝産物、前駆体およびプロドラッグである。特に好ましいインバースアゴニストはカルベジロール、ナドロール、およびICI−118,551である。最も好ましいインバースアゴニストはナドロールとICI−118,551である。本明細書で用いる場合、インバースアゴニスト化合物、または適切な場合はアゴニスト化合物という記載は、特に除外していない限り、該インバースアゴニスト化合物またはアゴニスト化合物のあらゆる薬学的に許容され得る塩を包含している。したがって、塩酸塩としてのナドロールまたはICI−118,551の記載は、調製された、または調製され得る他の薬学的に許容され得る塩を除外するものではない。
本発明による方法および組成物に有用なインバースアゴニストは、典型的には、β1−およびβ2−アドレナリン作動性受容体のどちらに対してもインバースアゴニスト作用を示す非選択的インバースアゴニスト、または選択的β2−インバースアゴニストのいずれかとして、β2−アドレナリン作動性受容体にインバースアゴニスト作用を示すものである。
好ましくは、本発明による方法および組成物に有用なインバースアゴニストは、気道の過剰応答性を低減させるとともに、喘息マウスモデルで試験した場合、メタコリン応答を左側(すなわち、低メタコリン濃度側)にシフトさせないものである。
また、具体的には、本発明の範囲に含まれることが予測されるのは、式(I)(式中、R1は水素または低級アルキルであり、R2は水素または低級アルキルであり、mおよびnは1〜3である、ただし、R1とR2がともに水素であり、mが1であるとき、nは1以外であるものとする)のナドロール類似体である。本明細書で用いる場合、用語「低級アルキル」は、1〜6個の炭素原子の直鎖または分枝鎖のヒドロカルビル残基と定義する。
同様に本発明の範囲に含まれることが予測されるのは、式(III)(式中、R1は水素または低級アルキルであり、R2は水素または低級アルキルである、ただし、R1とR2がともに水素であることはないものとする)のチモロール類似体
さらに、本発明の範囲に含まれることが予測されるのは、式(IV)(式中、R1は水素または低級アルキルであり、R2は水素または低級アルキルである、ただし、R1とR2がともに水素であることはないものとする)のメトプロロール類似体
さらに、同様に本発明の範囲に含まれることが予測されるのは、式(V)(式中、R1は低級アルキルであり、R2は水素または低級アルキルであり、R3は水素または低級アルキルであり、R4は水素または低級アルキルであり、R5は低級アルキルであり、R6は低級アルキルである、ただし、R1、R3、R5およびR6のすべてがメチルであることはなく、R2およびR4のすべてが水素であることはないものとする)のICI−118,551類似体
塩の場合、有機化合物、例えば、本発明による方法に適した活性を有する化合物は、該化合物が存在している溶液のpHに応じてプロトンを受容または供与し得る多数の基を有するものであることはよく知られている。このような基としては、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、スルホン酸基、および酸−塩基反応に関与することが知られている他の基が挙げられる。化合物または類似体の記載は、具体的に除外していない限り、生理学的pHまたは医薬組成物のpHで存在するものなどの塩形態を包含している。薬理学的に許容され得る塩としては、限定されないが、後述する塩が挙げられる。
同様に、プロドラッグエステルは、本発明による方法に適した化合物または類似体上のカルボキシル基またはヒドロキシル基のいずれかと、酸またはアルコールのいずれかとの反応によってエステルが形成されることによって形成され得るものである。典型的には、該酸またはアルコールは、低級アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、および三級ブチルを含むものである。このような基は、ヒドロキシなどの置換基または他の置換基で置換されていてもよい。かかるプロドラッグは当該技術分野でよく知られており、本明細書においてさらに記載する必要はない。プロドラッグは、典型的には細胞内酵素によるエステル結合の加水分解によって活性化合物に変換される。プロドラッグエステルを形成するために使用され得る他の適当な基は当該技術分野でよく知られている。例えば、プロドラッグとしては、親の酸化合物と適当なアミンとの反応によって調製されるアミドが挙げられ得る。場合によっては、二重エステル型のプロドラッグ((アシルオキシ)アルキルエステルまたは((アルコキシカルボニル)オキシ)アルキルエステルなど)を調製することが望ましい。プロドラッグとして好適なエステルとしては、必ずしも限定されないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、モルホリノエチル、およびN,N−ジエチルグリコールアミドが挙げられる。メチルエステルプロドラッグは、適当なカルボン酸基を有する化合物の酸形態を、メタノールなどの媒体中で、酸または塩基のエステル化触媒(例えば、NaOH、H2SO4)を伴って反応させることによって調製され得る。エチルエステルプロドラッグは、メタノールの代わりにエタノールを用いて同様の様式で調製される。モルホリニルエチルエステルプロドラッグは、適当な化合物のナトリウム塩(ジメチルホルムアミドなどの媒体中)を塩酸4−(2−クロロエチル)モルヒネ(Aldrich Chemical Co.,(Milwaukee,Wis.USA)から入手可能)と反応させることによって調製され得る。
薬学的に許容され得る塩としては、無機または有機酸の塩、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、スルファミン酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、シクロヘキシルスルファミン酸塩、キナ酸塩、ギ酸塩、桂皮酸塩、ピクリン酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、グリコール酸塩、グルコン酸塩、アスコルビン酸塩、安息香酸塩、アントラニル酸塩、メシル酸塩、p−ヒドロキシ安息香酸塩、フェニル酢酸塩、マンデル酸塩、エンボン酸塩、パントテン酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、スルファニル酸塩、ステアリン酸塩、シクロヘキシルアミノスルホン酸塩、アルギン酸塩(algenate)、β−ヒドロキシ酪酸塩、サリチル酸塩、ガラクタル酸塩、ガラクツロン酸塩、および他の適当な塩が挙げられる。かかる塩は、塩酸、硫酸、リン酸、スルファミン酸、酢酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、マロン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクロヘキシルスルファミン酸、およびキナ酸などの酸、ならびにその他の上記のものの対応する酸を用いて誘導することができる。
また、薬学的に許容され得る塩としては、塩基との塩、例えば、アルカリ金属塩(ナトリウムまたはカリウムなど)、ならびにピリジン塩、アンモニウム塩、ピペラジン塩、ジエチルアミン塩、ニコチンアミド塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩、リチウム塩、メチルアミノ塩、トリエチルアミノ塩、ジメチルアミノ塩、N,N’−ジベンジルエチレンジアミノ塩、コリン塩、ジエタノールアミン塩、クロロプロカイン塩、エチレンジアミノ塩、メグルミン塩、プロカイン塩、およびトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩も挙げられる。かかる塩は、適切な塩基を用いて誘導することができる。
処置対象の被験体は、ヒト患者または社会上もしくは経済上重要な動物、例えば限定されないが、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ヒツジ、ヤギまたはブタであり得る。本発明による方法はヒトの処置に限定されない。しかしながら、タバコを吸うことが知られているのはヒトだけであるため、禁煙に関する方法および組成物は、本明細書においてヒトの処置に関するのもであるとみなす。
典型的には、本発明によるβ−アドレナリン作動性インバースアゴニストの投与方法は、禁煙と関連している生理学的症状のうちの1つ以上、例えば限定されないが、振せん、粘液分泌過多および咳に対処するものである。この活性により、禁煙に対する独自のアプローチがもたらされ、心理学的および行動的問題点を処置する他の方法が補完される。
典型的には、β−アドレナリン作動性インバースアゴニストの投与方法により、被験体の血流においてβ−アドレナリン作動性インバースアゴニストの連続的なレベルがもたらされる。典型的には、該方法により、肺β−アドレナリン作動性受容体の上方調節という治療効果が奏される。典型的には、該方法により、β2−アドレナリン作動性アゴニスト薬物に対する肺気道弛緩応答性の増大という治療効果が奏される。これにより、併用療法(以下に詳細に論考)がもたらされる。
典型的には、本発明による方法は、呼吸道の上皮細胞の粘液生成杯細胞への形質転換を阻害または逆転させるものである。
β−アドレナリン作動性インバースアゴニストは、1種類以上の医薬用賦形剤とともに投与され得る。医薬用賦形剤としては、必ずしも限定されないが、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、種々の糖類または種々の型のデンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油、ポリエチレングリコールおよび生理学的に適合性のある溶媒が挙げられ得る。他の医薬用賦形剤は当該技術分野でよく知られている。β−アドレナリン作動性インバースアゴニストは、1種類以上の薬学的に許容され得る担体とともに投与され得る。例示的な薬学的に許容され得る担体としては、限定されないが、任意のおよび/またはあらゆる溶媒、例えば、水性および非水性の溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤および/または抗真菌剤、等張剤および/または吸収遅延剤などが挙げられる。医薬活性物質用のかかる媒体および/または薬剤の使用は当該技術分野でよく知られている。慣用的な媒体、担体または薬剤(あれば)が活性成分(1種類または複数種)と非適合性である場合を除き、本発明による組成物におけるその使用が想定される。また、後述するように、特に併用療法下では補助活性成分が該組成物に組み込まれ得る。本発明に使用される任意の化合物の投与では、調製物は、FDA Office of Biologics Standardsまたは薬物を規制する他の規制機関によって求められた滅菌性、発熱原性、一般的な安全性、および純度の基準を満たすものであるのがよい。
したがって、β−アドレナリン作動性インバースアゴニストは、経口、徐放経口、口腔内、舌下、吸入、吹送または非経口投与のために処方され得る。しかしながら、禁煙と関連している粘液分泌過多の処置または予防における使用のためにはβ−アドレナリン作動性インバースアゴニストの経口投与が一般的に好ましい。本発明の範囲に含まれる該当する他の投与経路としては、経皮パッチによる、またはチューインガムとしての投与が挙げられる。
β−アドレナリン作動性インバースアゴニストを慣用的な調製物または徐放調製物のいずれかで経口投与する場合、これは、典型的には、慣用的な単位投薬形態、例えば、錠剤、カプセル剤、丸剤、トローチ剤、カシェ剤、散剤または液体、例えば、液剤、懸濁剤、チンキ剤またはシロップ剤で投与される。経口処方物には、典型的には、例えば、医薬等級のマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどの通常使用される賦形剤、および他の慣用的な医薬用賦形剤が含まれる。一部の特定の規定された実施形態では、経口医薬組成物は、不活性な希釈剤および/または同化性食用担体を含むものである、および/または該組成物は、硬質または軟質殻ゼラチンカプセル剤に封入され得る。あるいはまた、該組成物を錠剤に圧縮してもよい。別の代替例として、特に獣医学的実務では、該組成物は食物に直接組み込まれ得る。治療用経口投与では、該組成物は、賦形剤ともに組み込まれ得るか、または摂取用錠剤、口腔錠、糖衣錠、丸剤、トローチ剤、カプセル剤、カシェ剤、ガム、もしくは他の慣用的な投薬形態で使用され得る。
また、錠剤、丸剤、トローチ剤、カプセル剤、カシェ剤、ガム、または他の慣用的な投薬形態に、以下のもの:結合剤(ガムトラガカント、アカシア、コーンスターチ、ソルビトール、デンプン粘液、ポリビニルピロリドン、もしくはゼラチンなど);賦形剤もしくは充填剤(リン酸二カルシウム、ラクトース、微晶質セルロース、もしくは糖など);崩壊剤(ジャガイモデンプン、クロスカルメロースナトリウム、もしくはグリコール酸デンプンナトリウム、もしくはアルギン酸など);滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク、ポリエチレングリコール、もしくはシリカなど);甘味剤(スクロース、ラクトース、もしくはサッカリンなど);湿潤剤(ラウリル硫酸ナトリウムなど);または矯味矯臭剤(ペパーミント、ウィンターグリーン油、オレンジフレーバー、もしくはチェリーフレーバーなど)を含有させてもよい。投薬単位形態がカプセル剤である場合、これには、上記の型の物質に加えて液状担体を含有させてもよい。種々の他の物質をコーティングとして、あるいは他の方法で投薬単位の物理的形態および特性を改変するために存在させ得る。例えば、錠剤、丸剤またはカプセル剤は、シェラック、糖または両方でコーティングされ得る。本発明の医薬組成物は、それ自体は既知の様式で、例えば、慣用的な混合、溶解、造粒、糖衣錠作製、浮揚(levitating)、乳化、カプセル封入、捕捉または凍結乾燥プロセスによって製造され得る。有意な投薬形態の一例は、チューインガムなどのガムであり;ガム形成剤および賦形剤は当該技術分野でよく知られている。チューインガムは、典型的には、天然または合成のガム基剤、着色料、矯味矯臭剤、および他の慣用的な成分を含むものである。
経口使用のための医薬調製物は、活性化合物を固形賦形剤と合わせ、得られた混合物を任意選択で磨砕し、所望により適当な補助剤を添加した後、顆粒混合物を加工処理し、錠剤または糖衣錠コアを得ることにより得られ得る。好適な賦形剤は、特に、充填剤(糖類、例えば、ラクトース、スクロース、マンニトール、もしくはソルビトールなど);セルロース調製物(例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、ガムトラガカント、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル−セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなど)、および/またはポリビニルピロリドン(PVP)である。所望により、崩壊剤、例えば、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはその塩(アルギン酸ナトリウムなど)を添加してもよい。
糖衣錠コアには適当なコーティングが施される。この目的には、濃縮糖溶液が使用され得、任意選択で、これにアラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カーボポールゲル、ポリエチレングリコールおよび/または二酸化チタン、ラッカー溶液、ならびに適当な有機溶媒または溶媒混合物を含有させてもよい。識別のため、または活性化合物の用量の種々の組合せを特徴付けるために染料または顔料を錠剤または糖衣錠コーティングに添加してもよい。
経口使用され得る医薬調製物としては、ゼラチン製のプッシュフィット型カプセル剤、ならびにゼラチンと可塑剤(例えば、グリセロールまたはソルビトール)製の軟質密封カプセル剤が挙げられる。プッシュフィット型カプセル剤には活性成分が、充填剤(ラクトースなど)、結合剤(デンプンなど)および/または滑沢剤(タルクもしくはステアリン酸マグネシウムなど)ならびに任意選択で安定剤と混合された状態で含有され得る。軟質カプセル剤では、活性化合物を適当な液体(例えば、脂肪油、液状パラフィン、または液状ポリエチレングリコール)中に溶解または懸濁させてもよい。また、安定剤を添加してもよい。
択一的な一例では、徐放処方物が使用される。徐放処方物は当該技術分野でよく知られている。例えば、該処方物は、多糖類(キサンタンガムおよびイナゴマメガムなど)を、ジメチルシロキサン、ケイ酸、マンナンとガラクタンの混合物、キサンタン、および微粒海草(Baichwalに対する米国特許第6,039,980号(この引用により本明細書に組み込まれる)に記載)などの担体とともに使用することを含むものであり得る。他の徐放処方物は、生分解性ポリマー、例えば、乳酸−グリコール酸ポリマー(Saikawaらに対する米国特許第6,740,634号(この引用により本明細書に組み込まれる)に記載)が組み込まれたものである。さらに他の徐放処方物は、ポリビニルアルコールとポリエチレングリコールを主成分とするポリマー(Keithに対する米国特許第4,428,926号(この引用により本明細書に組み込まれる)に記載)を含む発泡性格子(expandable lattice)が組み込まれたものである。さらに他の徐放処方物は、Rohm & HaasのEudragitTMポリマーを主成分とするものであり、該ポリマーは、官能基として第4級アンモニウム基を有するアクリレートとメタクリレートのコポリマーならびに中性エステル基を有するアクリル酸エチルメタクリル酸メチルコポリマーを含むものである。本発明による方法における使用に適した特に好ましい長期放出組成物は、ナドロールまたはICI−118,551を活性成分として含む長期放出組成物である。
経口液体調製物は、例えば、水性または油性の懸濁剤、液剤、乳剤、シロップ剤、チンキ剤またはエリキシル剤の形態であってもよく、使用前に水または他の適当なビヒクルで再構成される乾燥製品として提示されるものであってもよい。かかる液体調製物には、慣用的な添加剤、例えば、懸濁化剤、例えば、ソルビトールシロップ、メチルセルロース、グルコース/糖シロップ、ゼラチン、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸アルミニウムゲル、もしくは水素添加食用脂;乳化剤、例えば、レシチン、ソルビタンモノオレエート、もしくはアカシア;非水性ビヒクル(食用油が挙げられ得る)、例えば、アーモンド油、画分化されたヤシ油、油性エステル、プロピレングリコール、もしくはエチルアルコール;または保存料、例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン、もしくはソルビン酸が含有され得る。また、該調製物に緩衝塩、矯味矯臭剤、着色剤または甘味剤(例えば、マンニトール)を適宜含有させてもよい。
当業者には、投与経路が吸収効率の割合の重要な決定因子であることが認識されよう。例えば、消化器経由の経路(例えば、経口または口腔内)が一般的に最も安全な投与経路とみなされている。循環系内への薬物の送達は遅く、したがって、潜在的に急性の有害効果を有し得る急速な高い血中レベルの薬物は排除される。これは最も安全な投与経路とみなされるが、いくつかの不都合点がある。重要な不都合点の1つは吸収速度が異なることであり、これは、小さい血中レベル範囲で薬物の所望の治療効果とその毒性効果が分かれる場合、すなわち、薬物が比較的小さい治療指数を有する場合、大きな問題となる。また、患者のコンプライアンスは常に確保されるとは限らない(特に、患者が経口投与を不快と感じる場合)。さらに、経口投与では、薬物がその標的部位に到達する前に、大幅に肝臓での代謝が起こり得る。
遊離塩基または薬理学的に許容され得る塩としての活性化合物の液剤は、界面活性剤(ヒドロキシプロピルセルロースなど)と好適に混合された水で調製され得る。また、分散物は、グリセロール、液状ポリエチレングリコールおよび/またはその混合物および/または油で調製され得る。通常の保存条件下および使用条件下では、このような調製物に、微生物の増殖を抑制するための保存料を含有させる。好適な非感作性で非アレルギー性の保存料は当該技術分野でよく知られている。
また、担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび/または液状ポリエチレングリコールなど)、その適当な混合物、および/または植物油を含む溶媒および/または分散媒であってもよい。適正な流動性は、例えば、コーティング(レシチンなど)の使用によって、適当な粒径の維持によって(分散物の場合)、および/または界面活性剤の使用によって維持され得る。微生物の作用の抑制は、種々の抗菌剤および/または抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、またはチメロサールを含めることによってもたらされ得る。多くの場合、等張剤、例えば、糖類または塩化ナトリウムを含めることが好ましい。多くの場合、生理学的に適合性のある緩衝液、例えば、ハンクス液、リンゲル液、または生理学的な食塩緩衝液での液剤を調製することが好ましい。
本発明による組成物の別の投与経路は経鼻であり、経鼻液剤、経鼻スプレー剤、エーロゾル剤、または吸入剤などの投薬形態が使用される。経鼻液剤は、通常、鼻道に液滴剤またはスプレー剤で投与されるように設計された水性液剤である。経鼻液剤は、典型的には、正常な線毛作用が維持されるように多くの点で経鼻分泌物と類似するように調製される。したがって、水性の経鼻液剤は、約5.5〜約6.5のpHを維持するために、通常等張性にされる、および/またはわずかに緩衝される。また、眼科用調製物に使用されるものと同様の抗菌性保存料、および/または必要であれは適切な薬物(安定剤)を処方物に含めてもよい。種々の市販の経鼻調製物が知られており、例えば、抗生物質または抗ヒスタミン薬が挙げられ得る。スプレー剤組成物は、例えば、水性液剤もしくは懸濁剤として処方され得るか、または適当な噴射剤(ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、二酸化炭素、または他の適当なガスなど)の使用を伴って加圧パックから送達されるエーロゾル剤として処方され得る。
エーロゾル療法は、非常に少ない用量の吸入医薬によって、有害効果が最小限で最適な治療がもたらされるため、ほぼ理想的な便益/リスク比を得ることが可能である。しかしながら、エーロゾル化によって投与される薬物の治療効率は、薬物自体の薬理学的特性だけでなく、送達デバイスの特徴にも依存する。送達デバイスの特徴は、肺内に沈着する薬物の量および気道内の薬物分布パターンに影響する。
エーロゾル剤は、空気媒介性の微粒子の懸濁剤である。該粒子は、固形物であっても液状物であってもよい。エーロゾル剤の粒子はヘテロ分散であり(すなわち、粒子は、ある範囲のサイズのものである)、エーロゾル剤の粒径分布は、対数正規分布によって最良に示される。粒子は、沈降し(沈積)、互いに付着し(凝集)、管組織および粘膜などの構造に付着する(沈着)傾向にある。エーロゾル剤によって送達される粒子は、その空気力学的挙動に基づいて簡便に特性評価され得る。パラメータの1つは空気力学的質量中位径(mass median aerodynamic diameter)(MMAD)である。定義によると、1μmのMMADを有する粒子分布は、単位密度および1μm直径の液滴と同じ平均沈降速度を有する。
エーロゾル剤の粒子サイズ、ならびに呼吸器系に影響を及ぼす変数は、気道内の吸入エーロゾル剤の沈着に影響を及ぼす。一方、直径が10μmより大きい粒子は肺内に沈着しにくい。しかしながら、0.5μmより小さい粒子は、肺胞に達しやすいか、または吐き出されてしまう可能性がある。したがって、1μm〜5μmの直径を有する粒子が最も効率的に下気道内に沈着する。このようなサイズの粒子は、治療用薬剤、例えば、β−アドレナリン作動性インバースアゴニストの送達に最も効率的である。
治療用エーロゾル剤は、一般的には、ジェット式ネブライザ内での液体の微粒化によって、または貯留液体(standing pool of liquid)の振動(超音波霧化)によって作製される。また、予備形成されたエーロゾル剤を投与してもよい。後者の例としては、MDIおよび乾燥粉末デバイスが挙げられる。どうような送達デバイスが使用されるにせよ、患者は、正しい使用を教示されるべきである。
ジェット式ネブライザはすべて、よく知られた香水アトマイザによって提示されるものと同様の操作原理によって作動するものである。液体を密閉容器の底部に入れ、該デバイス内に通したコンプレッサまたは圧縮ガスシリンダーのいずれかからの空気のジェットによってエーロゾルを生成させる。超音波ネブライザでは、変換器の上部に存在させた液体を約1mHzの周波数で振動させることによりエーロゾルが生成される。これにより雲状の粒子が生成され、これは、デバイスから患者へと空気流によって運ばれる。ネブライザでは、ネブライザの設計およびどのようにして作動させるかに応じてさまざまな量、粒径および粒子分布のエーロゾル剤が生成され得る。すべてのネブライザが、最適な有効性を得るのに必要な規格(MMAD、流量、排出量)を有するわけではないことに注意されたい。最近の研究で、健常志願者において4種類のネブライザによる肺沈着が比較され、エーロゾル剤肺沈着の中央値は、ネブライザに最初に負荷された用量に対するパーセンテージで示すと、2〜19%の範囲であることが示された。有害効果を最小限にするために、霧化された液剤のpHおよび容量オスモル濃度を制御するのがよい。
定量吸入器(MDI)は、その簡便性と有効性のため、吸入薬物を患者に送達するために使用される、おそらく最も広く使用されている治療用エーロゾル剤である。現在使用されているほとんどのMDIは、噴射剤中に薬物の懸濁液を含むものである。MDIには主要な2つの構成要素:(i)キャニスター(噴射剤、活性医薬、および定量チャンバを内包しているプラスチックまたは金属製の密閉シリンダー);および(ii)アクチュエータ(キャニスターを収容しており、放出されたエーロゾル剤を患者の気道に指向させる成型プラスチック容器)が存在している。
噴射剤混合物は、最適な薬物送達に所望される蒸気圧および噴霧特性が得られるように選択される。クロロフルオロカーボンがこれまで使用されていたが、現在では、環境問題のため非塩素含有噴射剤が使用されている。薬物の微細化粒子(通常、1μm未満)を加圧(液化)噴射剤中に懸濁させる。薬物が凝集することを防ぐため、典型的には表面活性剤(オレイン酸ソルビタン、レシチンまたはオレイン酸など)が添加される;他の表面活性剤は当該技術分野で知られている。定量チャンバには、通常、25〜100μLが内包される。定量チャンバの内容物は、キャニスターをアクチュエータ内に押し下げると放出される。ほぼ即時に噴射剤が気化し始め、排出された液体の粒子への崩壊がもたらされ、該粒子が大きな勢いで前方に噴出される。最適な肺内薬物沈着のため、薬物は、約5秒間持続させた後、10秒間息を止めるゆっくりとした吸息の初めに放出されるのがよい。MDIの有効性を改善するためにいくつかの吸入補助剤が設計されている。このようなものは、手作業と呼吸の協調が不充分な患者において非常に有用である。短いチューブ(例えば、円錐状または球状)では、エーロゾル剤がまっすぐ口内に指向され得、あるいは押出し式の袋は、懸濁剤の状態の粒子を3〜5秒間収容するエーロゾル剤のレザーバとしての機能を果たし得、この間に患者は薬物を吸入することができる。しかしながら、このようなデバイスのいずれかを使用する場合、口腔咽頭部に進入時にエーロゾル剤の速度は低下し、肺に対する薬物の利用可能性および口腔咽頭部内の沈着は減少する。
乾燥粉末吸入器は、MDIの使用が困難な患者(例えば、小児および高齢患者)に薬剤を送達するために考案されたものである。一般に、適切な投薬量がカプセル内に、流動助剤または充填剤(ラクトースまたはグルコースの大粒子など)とともに入れられる。デバイス内部では、まず、カプセルに針が貫通するか(例えば、Spinhaler(登録商標))またはカプセルが半分に剪断されるか(例えば、Rotohaler(登録商標))のいずれかとなる。吸入中、カプセルは回転するか、またはプロペラを回転させ、カプセルの内容物が吸息空気中に進入し、気道への送達に適した小粒子に分解される状態が作出される。粉末を分散させるのに必要とされるエネルギーは、患者の吸息努力によりもたらされる。最近では、より簡便な反復用量乾燥粉末吸入器が導入されている(例えば、Diskhaler(登録商標)、Turbuhaler(登録商標))。乾燥粉末吸入器と関連している潜在的問題点としては、食道の刺激および、その結果として気道内での粉末の直接効果による咳が挙げられる。さらに、カプセルからの薬物放出不良または塊状粉末の分解不良のいずれかの結果として、カプセルの壁面が薬物でコーティングされることがあり得る。これにより、事実上すべての薬物が口内に沈着されることになり得る。このような粉末用デバイスにはクロロフルオロカーボンは含有されず、MDIの代替として提供されることがあり得る。
インバースアゴニストと、その相互作用対象であるβ−アドレナリン作動性受容体との相互作用の性質のため、治療応答は、罹患組織内に受容体密度がインバースアゴニストの投与に応答して増大するにつれて経時的に徐々に発現される。したがって、典型的には、インバースアゴニストは、相当な期間にわたって長期投与される。したがって、特に好ましい択一的な一例では、投薬量を、漸増させながら、投与の開始時に用量設定(titrate)する。換言すると、β−アドレナリン作動性インバースアゴニストは、最低用量から始めて最高用量まで増大させる一連の段階的用量で経時的に投与される。最高用量に達したら、β−アドレナリン作動性インバースアゴニストをその用量(維持用量)で投与し続ける。例えば、経口投与されるナドロールでは、処置は、1mg投薬量で開始し、次いで3mg、5mg、10mg、15mgへと進め、次いで、必要と思われれば、処置される具体的な状態、重症度、および処置に対する状態の応答に応じて、より高い維持投薬量、例えば、25mg、30mg、50mg、75mg、100mg、150mgまたはそれ以上へと進められ得る。特に好ましい投薬量レジメンの一例では、10mgで開始し、次いで、肺機能、症状、心拍数および血圧(以下にさらに詳述)よって決定される規定の用量増大基準に基づいて25、50、75、100および150mgへと進める。β−アドレナリン作動性インバースアゴニストを、禁煙を試みている被験体の粘液分泌過多を処置または予防するために投与する場合、被験体の生理学的状態、気分、行動またはニコチンに対する渇望に対するβ−アドレナリン作動性インバースアゴニスト処置の効果に関する基準もまた、用量増大の計算に含められ得る。同様の投与レジメンが他のインバースアゴニストでも使用され得、厳密な開始用量は、典型的には、β−アドレナリン作動性受容体の結合部位に対するインバースアゴニストの親和性に依存する。
β−アドレナリン作動性インバースアゴニストの適当な投薬量の設定には、種々の要因を考慮しなければならない。このような要因としては、患者が、β−アドレナリン作動性インバースアゴニストの薬物動態を改変し得る(より早いまたはより遅いのいずれかでの分解を引き起こす)他の薬物を摂取しているかどうかが挙げられる。特に、患者が抗生物質エリスロマイシンまたはネオマイシンを摂取している場合、典型的には、維持用量を下げることが必要である。
β−アドレナリン作動性インバースアゴニストの毒性と治療効力は、標準的な製薬手順によって、例えば、LD50(集団の50%に対して致死性の用量)およびED50(集団の50%において治療上有効な用量)を求めるために細胞培養物または実験動物において測定され得る。毒性効果と治療効果の用量の比は治療指数であり、これは、LD50/ED50比で示され得る。大きな治療指数を示す化合物が好ましい。このような細胞培養物のアッセイおよび動物試験で得られたデータは、ヒトにおける使用のための投薬量範囲の設定に使用され得る。かかる化合物の投薬量は、好ましくは、ED50を含み、毒性がほとんんどまたは全くない範囲の循環濃度である。投薬量は、使用される投薬形態および使用される投与経路に応じて、この範囲内で異なり得る。
本発明の方法で使用される任意の化合物について、治療有効用量は、まず細胞培養物のアッセイから推定され得る。例えば、用量は、動物モデルにおいて、細胞培養物で求められたIC50(すなわち、長期効果を考慮したとき、受容体シグナル伝達において最大の半分の改善が得られる試験化合物の濃度)を含む循環血漿濃度範囲が得られるように設定され得る。かかる情報は、ヒトにおいて有用な用量をより厳密に決定するために使用され得る。血漿中レベルは、例えばHPLCによって測定され得る。
厳密な処方、投与経路および投薬量は、個々の医師によって患者の状態に鑑みて選択され得る(例えば、Finglら,in The Pharmacological Basis of Therapeutics,1975,第1章,第1項参照)。担当医師には、毒性または器官機能不全のため、どのようにして、およびいつ、投与を終了、中断または調整するかかがわかるであろうことに注意されたい。また、逆に、担当医師には、臨床応答が充分でない場合(毒性を除く)、処置を高レベルに調整するかかもわかるであろう。対象の障害の管理において投与される用量の規模は、処置対象の状態の重症度および投与経路により異なる。状態の重症度は、例えば、一部において、標準的な予後評価方法によって評価され得る。また、さらに用量およびおそらく投与頻度も、個々の患者の年齢、体重および応答に応じて異なる。上記において論考したものと同等のプログラムが、獣医学においても、適宜、非ヒト哺乳動物が被験体でありβ−アドレナリン作動性インバースアゴニストの投与によって処置可能な状態に対して使用され得る。
処置対象の具体的な状態に応じて、かかる薬剤は全身用または局所用に処方され、投与され得る。典型的には、投与は全身性である。処方および投与のための手法は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,第18版,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.(1990)において知得され得る。好適な経路としては、経口、経口制御放出、経鼻、口腔内または経皮経路が挙げられ得る。典型的には、特に、β−アドレナリン作動性インバースアゴニストを、禁煙を試みている被験体の粘液分泌過多を処置または予防するために投与する場合は、経口投与が好ましい。また、チューインガムを使用する口腔内投与、および経皮パッチの使用によるものなどの経皮投与も、本発明の範囲に含まれる重要な投与経路である。
本明細書に開示した化合物を本発明の実施のために全身性投与に適した投薬形態に処方するための薬学的に許容され得る担体の使用は、本発明の範囲に含まれる。担体の適正な選択および適当な製造実務により、本発明の組成物、特に、液剤として処方されたものは、静脈内注射などによって非経口投与され得る。該化合物は、当該技術分野でよく知られた薬学的に許容され得る担体を用いて、経口投与に適した投薬形態に容易に処方され得る。かかる担体は、本発明の化合物が、処置対象の患者による経口摂取のために、錠剤、丸剤、カプセル剤、液体、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤、懸濁剤などとして処方されることを可能にするものである。
本発明における使用に適した医薬組成物としては、活性成分がその意図される目的を達成するための有効量で含まれた組成物が挙げられる。有効量の決定は、特に本明細書に示した詳細な開示に鑑みると、充分に当業者の能力の範囲内である。活性成分に加え、このような医薬組成物には、活性化合物を薬学的に使用され得る調製物に加工処理されることを助長する賦形剤および補助剤を含む適当な薬学的に許容され得る担体が含有され得る。経口投与のために処方される調製物は、錠剤、糖衣錠、カプセル剤、または液剤の形態であり得る。本発明の医薬組成物は、それ自体は既知の様式で、例えば、慣用的な混合、溶解、造粒、糖衣錠作製、浮揚、乳化、カプセル封入、捕捉または凍結乾燥プロセスによって製造され得る。
経口使用のための医薬調製物は、活性化合物を固形賦形剤と合わせ、得られた混合物を任意選択で磨砕し、所望により適当な補助剤を添加した後、顆粒混合物を加工処理し、錠剤または糖衣錠コアを得ることにより得られ得る。好適な賦形剤は、特に、充填剤、例えば、糖類、例えば、ラクトース、スクロース、マンニトール、またはソルビトールなど);セルロース調製物、例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、ガムトラガカント、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル−セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなど、および/またはポリビニルピロリドン(PVP)である。所望により、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸またはその塩(アルギン酸ナトリウムなど)などの崩壊剤を添加してもよい。
糖衣錠コアには適当なコーティングが施される。この目的には、濃縮糖溶液が使用され得、任意選択で、これに、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カーボポールゲル、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液、および適当な有機溶媒または溶媒混合物を含有させてもよい。識別のため、または活性化合物の用量の種々の組合せを特徴付けるために染料または顔料を錠剤または糖衣錠コーティングに添加してもよい。
経口使用され得る医薬調製物としては、ゼラチン製のプッシュフィット型カプセル剤、ならびにゼラチンと可塑剤(例えば、グリセロールまたはソルビトール)製の軟質密封カプセル剤が挙げられる。プッシュフィット型カプセル剤には活性成分が、充填剤(ラクトースなど)、結合剤(デンプンなど)および/または滑沢剤(タルクもしくはステアリン酸マグネシウムなど)および任意選択で安定剤と混合された状態で含有され得る。軟質カプセル剤において、活性化合物を適当な液状物(例えば、脂肪油、液状パラフィン、または液状ポリエチレングリコール)中に溶解または懸濁させてもよい。また、安定剤を添加してもよい。
β−アドレナリン作動性インバースアゴニストなどの化合物の経皮投与のための処方方法は当該技術分野でよく知られており、例えば、K.D.Mccarley & A.L.Bunge,“Pharmacokinetic Models of Dermal Absorption,” J.Pharm.Sci.1699−1719(2001)およびP.Morgantiら,“Percutaneous Absorption and Delivery Systems,” Clin.Dermatol.19:489−501(2001)に記載されている。一般に、経皮送達系は、ポリマーおよび/または感圧接着剤処方物などの担体あるいは他の形態の担体内への医薬の組込みを伴うものである。感圧接着剤は、皮膚に有効に接着し、該担体から皮膚を通して患者の血流中への活性成分(β−アドレナリン作動性インバースアゴニストなど)の移動を可能にするものでなければならない。経皮投与は、米国特許番号3,598,122(Zaffaroniに対する);3,598,123(Zaffaroniに対する);3,731,683(Zaffaroniに対する);3,797,494(Zaffaroniに対する);4,031,894(Urquhartらに対する);4,144,317(Higuchiらに対する);4,201,211(Chandrasekaranらに対する);4,286,592(Chandrasekaranに対する);4,314,557(Chandrasekaranに対する);4,379,454(Campbellらに対する);4,435,180(Leeperに対する);4,559,222(Enscoreらに対する);4,568,343(Leeperらに対する);4,573,995(Chenらに対する);4,588,580(Galeらに対する);4,645,502(Galeらに対する);4,698,062(Galeらに対する);4,704,282(Campbellらに対する);4,725,272(Galeに対する);4,781,924(Leeらに対する);4,788,062(Galeらに対する);4,816,258(Nedbergeらに対する);4,849,226(Galeに対する);4,904,475(Galeらに対する);4,908,027(Enscoreらに対する);4,917,895(Leeらに対する);4,938,759(Enscoreらに対する);4,943,435(Bakerらに対する);5,004,610(Osborneらに対する);5,071,656(Leeらに対する);5,122,382(Galeらに対する);5,141,750(Leeらに対する);5,284,660(Leeらに対する);5,314,694(Galeらに対する);5,342,623(Enscoreらに対する);5,411,740(Leeらに対する);および5,635,203(Galeらに対する)(これらはすべて、この引用により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
使用され得る別の投与経路は、β−アドレナリン作動性インバースアゴニストの口腔内投与に適した経路であるチューインガムの使用によるものである。薬理活性物質を投与するためのチューインガムの使用は当該技術分野でよく知られており、例えば、米国特許番号7,101,579(Athanikarらに対する);6,537,525(Westに対する);6,344,222(Cherukuriらに対する);5,922,347(Hauslerらに対する);および4,971,079(Talapinらに対する)(これらはすべて、この引用により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
典型的には、本発明による方法において、インバースアゴニストは、インバースアゴニストの半減期および他の上記の要因に応じて日用量または1日あたり多数回で投与される。あるいはまた、インバースアゴニストは、例えば、1日おき、3日毎、4日毎、毎週などの低頻度で投与してもよい。低頻度での投与は、体内で薬物のデポーを展開させ、持続的期間にわたって薬物の放出をもたらすことにより行なわれ得る。このデポーは経口であっても注射であってもよい。薬物動態の当業者には、具体的な薬物の投与に関する該薬物のバイオアベイラビリティと半減期の理解の重要性が認識されよう。投与間の時間間隔が半減期の4(four)より短いと薬物が体内に蓄積され、この場合、該薬物の総体内貯蔵量(total body store)が指数関数的に増大してプラトーまたは定常状態の濃度になることはよく知られている。プラトーでの薬物の平均総体内貯蔵量は、用量、投与間の時間間隔、該薬物のバイオアベイラビリティおよび該薬物の排出速度の関数である。したがって、当業者は、所与の薬物に対して、所望の効果を得るための用量および投与間隔を決定することができよう。
本発明の別の実施形態は、粘液分泌過多を有するか、または粘液分泌過多のリスクがある被験体に:
(1)治療有効量のβ−アドレナリン作動性インバースアゴニスト;および
(2)粘液分泌過多を処置するための治療有効量のさらなる化合物
を投与することを含む、呼吸道における粘液分泌過多を予防またはコントロールする方法を含む。
(1)治療有効量のβ−アドレナリン作動性インバースアゴニスト;および
(2)粘液分泌過多を処置するための治療有効量のさらなる化合物
を投与することを含む、呼吸道における粘液分泌過多を予防またはコントロールする方法を含む。
この方法において、粘液分泌過多を有する、または粘液分泌過多のリスクがある被験体は、禁煙を試みている被験体であり得る。
粘液分泌過多を処置するための該さらなる化合物は、限定されないが、抗生物質、DNアーゼ、気管支拡張薬、コルチコステロイド、去痰薬、(2R,3R,4S,5R)−2−[6 アミノ−2−(1S−ヒドロキシメチル−2−フェニル−エチルアミノ)−プリン−9−イル]−5−(2−エチル−2H−テトラゾル−5−イル)−テトラヒドロフラン−3,4−ジオール、4−ヒドロキシ−7−[2−[[2−[[3−(2−フェニルエチオキシ)プロピル]スルホニル]エチル]アミノ]エチル−2−(3H)−ベンゾチアゾロン、シス−20,4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシフェニル]シクロヘキサンカルボン酸、またはPDE4阻害薬であり得る。
抗生物質は、限定されないが:(1)アミノペニシリン、例えば限定されないが、アンピシリンおよびアモキシリン(amoxacillin);(2)キノロン、例えば限定されないが、シノキサシン、ノルフロキサシン、シプロフロキサシン、オフロキサシン、スパルフロキサシン、ロメフロキサシン、フレロキサシン、ペフロキサシン、レボフロキサシン、トロバフロキサシン、ガチフロキサシン、モキシフロキサシン、クリナフロキサシン、およびシタフロキサシン;または(3)トリメトプリム・スルファメトキサゾールであり得る。
DNアーゼは、限定されないが、組換えヒトDNアーゼであり得る。
気管支拡張薬は、限定されないが、メチルキサンチン、強力なβ2−アドレナリン作動性刺激特性を有する交感神経様作用薬、または抗コリン作動薬であり得る。メチルキサンチンとしては、限定されないが、テオフィリン、アミノフィリン、テオブロミン、エンプロフィリン、ジプロフィリン、イスブフィリン、コリンテオフィリネート、アルビフィリン、アロフィリン、バミフィリンおよびカフェインが挙げられる。β2−アドレナリン作動性刺激特性を有する交感神経様作用薬としては、限定されないが、アルブテロール、ビトルテロール、クレンブテロール、クロルプレナリン、ドブタミン、フェノテロール、ホルモテロール、イソエタリン、イソプレナリン、レバブテロール、マブテロール、メタプロテレノール、ピルブテロール、リトドリン、サルブタモール、サルメテロール、テルブタリン、ならびにその塩、溶媒和物、類似体、同族体、生物学的等価物、加水分解生成物、代謝産物、前駆体およびプロドラッグが挙げられる。抗コリン作動薬としては、限定されないが、臭化イプラトロピウム、臭化チオトロピウム、および臭化オキシトロピウム、ならびにその塩、溶媒和物、類似体、同族体、生物学的等価物、加水分解生成物、代謝産物、前駆体およびプロドラッグが挙げられる。
さらに、該さらなる化合物は、コルチコステロイド、例えば限定されないが、ベクロメタゾン、モメタゾン、ブデソニド、シクレソニド、フルニソリド、フルチカゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾンおよびトリアムシノロン、ならびにその塩、溶媒和物、類似体、同族体、生物学的等価物、加水分解生成物、代謝産物、前駆体およびプロドラッグであり得る。
さらに、該さらなる化合物は、Nadelらに対する米国特許第6,846,799号(この引用により本明細書に組み込まれる)に記載の上皮増殖因子受容体(EGF−R)アンタゴニストであり得る。上皮増殖因子受容体アンタゴニストとしては、限定されないが:抗EGF−R抗体、チロシンキナーゼ阻害薬、酸化防止剤、マイトジェン活性化プロテインキナーゼキナーゼ(MEK)の阻害薬、膜貫通メタロプロテイナーゼ(MP)の阻害薬、およびEGF生成またはEGF−R生成を刺激する因子に結合する抗体が挙げられる。具体的な阻害薬としては、チロシンキナーゼ阻害薬、例えば、キナゾリン、例えば、PD 153035、4−(3−クロロアニリノ)キナゾリン、もしくはCP−358,774;ピリドピリミジン;ピリミドピリミジン;ピロロピリミジン、例えば、CGP 59326、CGP 60261およびCGP 62706、ならびにピラゾロピリミジン;4−(フェニルアミノ)7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン;クルクミン(ジフェルロイルメタン);4,5−ビス(4−フルオロアニリノ)フタルイミド;ニトロチオフェン部分を含むチルホスチン;プロテインキナーゼ阻害薬ZD−1839(AstraZeneca);CP−358774(Pfizer,Inc.);PD−0183805(Warner−Lambert);またはアンチセンス分子が挙げられる。
さらに、該さらなる化合物は、PDE4阻害薬、限定されないが、シロミラスト、フィラミナスト、イブジラスト、ピクラミラスト、またはロフルミラストなどであり得る。特に好ましいPDE4阻害薬としては、ロフルミラストおよびシロミラストが挙げられる。
β−アドレナリン作動性インバースアゴニストと粘液分泌過多を処置するための該さらなる化合物は、同時に投与しても異なる時点で投与してもよい。β−アドレナリン作動性インバースアゴニストと該さらなる化合物を同時に投与する場合、これらは、β−アドレナリン作動性インバースアゴニストと粘液分泌過多を処置するための該さらなる化合物の両方を含む単一の医薬組成物または投薬形態で投与され得る。
β−アドレナリン作動性インバースアゴニストと粘液分泌過多を処置するための該さらなる化合物の投与様式は、いくつかの異なるパターンに従い得る。かかるパターンの例としては、以下のものが挙げられる:(1)β−アドレナリン作動性インバースアゴニストと粘液分泌過多を処置するための該さらなる化合物を一緒に処方して単一の調製物を得、これを投与する。(2)β−アドレナリン作動性インバースアゴニストと粘液分泌過多を処置するための該さらなる化合物を異なる2種類の調製物に処方し、これらを同じ投与経路によって、同時または時間的に近接してのいずれかで共時投与する。(3)β−アドレナリン作動性インバースアゴニストと粘液分泌過多を処置するための該さらなる化合物を異なる2種類の調製物に処方し、これらを同じ投与経路だが、異なる時点で投与する。(4)β−アドレナリン作動性インバースアゴニストと粘液分泌過多を処置するための該さらなる化合物を異なる2種類の調製物に処方し、これらを異なる投与経路によって、同時または時間的に近接してのいずれかで共時投与する。(5)β−アドレナリン作動性インバースアゴニストと粘液分泌過多を処置するための該さらなる化合物を異なる2種類の調製物に処方し、これらを異なる投与経路によって異なる時点で、可能ないずれかの投与順で投与する。
β−アドレナリン作動性インバースアゴニストと粘液分泌過多を処置するための該さらなる化合物の両方を含む医薬組成物および投薬形態は、当該技術分野でよく知られた方法、例えば、Ohkawaらによる米国特許出願公開公報第2005/0080113号(この引用により本明細書に組み込まれる)に記載のものに従って調製され得る。
したがって、β−アドレナリン作動性インバースアゴニストと粘液分泌過多を処置するための該さらなる化合物の両方を含む種々の医薬組成物および投薬形態が、一般的に当該技術分野で知られているようにして調製され得る。例えば、β−アドレナリン作動性インバースアゴニストと粘液分泌過多を処置するための該さらなる化合物は、薬理学的に許容され得る担体と混合され、安全に経口投与され得る医薬組成物、例えば、錠剤(例えば、糖コート錠またはフィルムコート錠)、散剤、顆粒剤、カプセル剤(例えば、軟質カプセル剤)、液剤、徐放薬剤などが得られ得る。
好適な薬学的に許容され得る担体が当該技術分野で知られている。例えば、これは、慣用的な有機担体または無機担体であり得る。固形調製物は、賦形剤、滑沢剤、結合剤、および崩壊剤を含み得る。液体調製物は、溶媒、可溶化剤、懸濁化剤、等張性をもたらす薬剤、緩衝液、鎮静剤(soothing agent)、および他の成分を含み得る。さらに、例えば、慣用的な保存料、酸化防止剤、着色料、甘味剤、吸着剤、湿潤剤などの添加剤が適宜使用され得、一般的に当該技術分野で知られている。
好適な賦形剤としては、限定されないが、ラクトース、スクロース、D−マンニトール、デンプン、コーンスターチ、微晶質セルロース、および軽質無水ケイ酸が挙げられる。好適な滑沢剤としては、限定されないが、ステアリン酸マグネシウムまたはカルシウム、タルク、およびコロイド状シリカが挙げられる。好適な結合剤としては、限定されないが、微晶質セルロース、スクロース、D−マンニトール、デキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、デンプン、サッカロース、ゼラチン、メチルセルロース、およびカルボキシメチルセルロースナトリウムが挙げられる。好適な崩壊剤としては、限定されないが、デンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、およびL−ヒドロキシプロピルセルロースが挙げられる。好適な溶媒としては、限定されないが、水、アルコール、プロピレングリコール、マクロゴール ゴマ油、コーン油、オリーブ油、ダイズ油、および他の油類が挙げられる。好適な可溶化剤としては、限定されないが、グリコール、プロピレングリコール、D−マンニトール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリス−アミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、およびクエン酸ナトリウムが挙げられる。好適な懸濁化剤としては、限定されないが、界面活性剤、例えば、ステアリルトリエタノールアミン(triethenolamine)、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオネート、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、グリセリルモノステアレートなど;親水性ポリマー、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、およびヒドロキシプロピルセルロースが挙げられる。等張性をもたらす好適な薬剤としては、限定されないが、グルコース、D−ソルビトール、塩化ナトリウム、グリセロール、およびD−マンニトールが挙げられる。好適な緩衝液としては、限定されないが、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、炭酸緩衝液、およびクエン酸緩衝液が挙げられる。好適な鎮静剤としては、限定されないが、ベンジルアルコールが挙げられる。好適な保存料としては、限定されないが、p−ヒドロキシベンゾエート、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、およびソルビン酸が挙げられる。好適な酸化防止剤としては、限定されないが、亜硫酸塩、アスコルビン酸、およびα−トコフェロールが挙げられる。
β−アドレナリン作動性インバースアゴニストと粘液分泌過多を処置するための該さらなる化合物の両方を含む経口投与のための調製物には、例えば、賦形剤(例えば、ラクトース、スクロース、デンプンなど)、崩壊剤(例えば、デンプン、炭酸カルシウムなど)、結合剤(例えば、デンプン、アカシア、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロースなど)、滑沢剤(例えば、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール6000など)などが、β−アドレナリン作動性インバースアゴニストと該さらなる化合物の組合せに、当該技術分野で知られた方法に従って添加され得、混合物は圧縮成型され得、次いで、所望により、成型された製品は慣用的な方法によって、味の隠ぺい、腸での特性または耐久性の目的でコーティングされ得、経口投与のための調製物が得られ得る。このコーティング剤として、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリオキシエチレングリコール、Tween 80、Pluronic F68、酢酸フタル酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸コハク酸ヒドロキシメチルセルロース、Eudragit(メタクリル酸アクリル酸コポリマー)、顔料(例えば、ベンガラ、二酸化チタンなど)または他の慣用的な成分が使用され得る。経口投与のための調製物は、即時放出調製物であっても徐放調製物であってもよい。
組み合わせ物中での、β−アドレナリン作動性インバースアゴニストと粘液分泌過多を処置するための該さらなる化合物との比は、投与経路、患者の臨床過程、および処置対象の具体的な疾患または状態に応じて選択され得る。上記に詳述したように、本発明の一実施形態において、処置対象の疾患または状態は、禁煙を試みている被験体におけるニコチン離脱と関連している粘液分泌過多である。
例えば、β−アドレナリン作動性インバースアゴニストと粘液分泌過多を処置するための該さらなる化合物を、分散剤(例えば、Tween 80(Atlas Powder(US)製)、HCO 60(日光ケミカルズ製)、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、デキストリンまたは当該技術分野で知られた他の分散剤)、安定剤(例えば、アスコルビン酸、ピロ亜硫酸ナトリウム、または当該技術分野で知られた他の安定剤)、界面活性剤(例えば、ポリソルベート80、マクロゴール、または当該技術分野で知られた他の界面活性剤)、可溶化剤(例えば、グリセリン、エタノール、または当該技術分野で知られた他の可溶化剤)、緩衝剤(例えば、リン酸/そのアルカリ金属塩、クエン酸/そのアルカリ金属塩、または当該技術分野で知られた他の緩衝剤もしくは緩衝系)、等張性をもたらす薬剤(例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、マンニトール、ソルビトール、グルコース、または等張性をもたらす当該技術分野で知られた他の薬剤)、pH調節剤(例えば、塩酸、水酸化ナトリウム、または当該技術分野で知られた他のpH調節剤)、保存料(例えば、p−ヒドロキシ安息香酸エチル、安息香酸、メチルパラベン、プロピルパラベン、ベンジルアルコール、または当該技術分野で知られた他の保存料)、溶解剤(例えば、濃グリセリン、メグルミン、または当該技術分野で知られた他の溶解剤)、溶解助剤(例えば、プロピレングリコール、スクロース、または当該技術分野で知られた他の溶解助剤)、鎮静剤(例えば、グルコース、ベンジルアルコール、または当該技術分野で知られた他の鎮静剤)と一緒にして、水性注射剤に適した処方物に作製してもよく、植物油(オリーブ油、ゴマ油、綿実油、コーン油)または他の油類もしくは溶解助剤(プロピレングリコールなど)に溶解、懸濁または乳化させ、油性処方物に成型してもよい。
したがって、本発明の別の態様は:
(1)治療有効量のβ−アドレナリン作動性インバースアゴニスト;および
(2)少なくとも1種類の薬学的に許容され得る担体
を含む医薬組成物であって、
この医薬組成物は、粘液分泌過多を処置するために処方されたものである。
(1)治療有効量のβ−アドレナリン作動性インバースアゴニスト;および
(2)少なくとも1種類の薬学的に許容され得る担体
を含む医薬組成物であって、
この医薬組成物は、粘液分泌過多を処置するために処方されたものである。
典型的には、この医薬組成物は、ニコチン離脱と関連している粘液分泌過多を処置するために処方されたものである。
したがって、本発明のまた別の態様は:
(1)治療有効量のβ−アドレナリン作動性インバースアゴニスト;
(2)粘液分泌過多を処置するための治療有効量のさらなる化合物;および
(3)少なくとも1種類の薬学的に許容され得る担体
を含む医薬組成物であって、
この医薬組成物は、粘液分泌過多を処置するために処方されたものである。
(1)治療有効量のβ−アドレナリン作動性インバースアゴニスト;
(2)粘液分泌過多を処置するための治療有効量のさらなる化合物;および
(3)少なくとも1種類の薬学的に許容され得る担体
を含む医薬組成物であって、
この医薬組成物は、粘液分泌過多を処置するために処方されたものである。
典型的には、この医薬組成物は、ニコチン離脱と関連している粘液分泌過多を処置するために処方されたものである。
本発明のまた別の態様は:
(1)治療有効量のβ−アドレナリン作動性インバースアゴニスト;
(2)禁煙を促進させるための治療有効量のさらなる化合物;および
(3)少なくとも1種類の薬学的に許容され得る担体
を含む医薬組成物であって、
この医薬組成物は、ニコチン離脱と関連している粘液分泌過多を処置するために処方されたものである。
(1)治療有効量のβ−アドレナリン作動性インバースアゴニスト;
(2)禁煙を促進させるための治療有効量のさらなる化合物;および
(3)少なくとも1種類の薬学的に許容され得る担体
を含む医薬組成物であって、
この医薬組成物は、ニコチン離脱と関連している粘液分泌過多を処置するために処方されたものである。
医薬組成物の特徴、例えば、薬学的に許容され得る担体、使用される具体的なβ−アドレナリン作動性インバースアゴニスト、β−アドレナリン作動性アゴニストの量、粘液分泌過多を処置するための具体的なさらなる化合物、および粘液分泌過多を処置するための該さらなる化合物の量は上記のとおりである。
典型的には、医薬組成物は、粘液分泌過多、特に、禁煙を試みている被験体におけるニコチン離脱と関連している粘液分泌過多の処置に各々治療上有効である量の、β−アドレナリン作動性アゴニストおよび粘液分泌過多を処置するためのさらなる化合物を含むものである。
本発明の別の態様において、β−アドレナリン作動性インバースアゴニストは禁煙を試みている被験体に、禁煙を促進させるための1種類以上のさらなる化合物とともに投与され得る。上記の粘液分泌過多を処置するための該さらなる化合物とは対照的に、禁煙を促進させるための該さらなる化合物は、粘液分泌過多を直接処置するものではない;その薬理活性は、紙巻きたばこ喫煙によって影響を受ける別の生理学的または心理学的過程に指向される。禁煙を促進させるためのかかるさらなる化合物としては、限定されないが、ブプロプリオン、バレニクリン、クロニジンおよびノルトリプチリン、ならびにその塩、溶媒和物、類似体、同族体、模倣物、生物学的等価物、立体異性体、加水分解生成物、代謝産物、前駆体およびプロドラッグが挙げられる。
したがって、禁煙を促進させるための1種類以上のさらなる化合物が使用される場合、本発明の別の態様は、粘液分泌過多のリスクがあり、禁煙を試みている被験体において、呼吸道における粘液分泌過多を予防またはコントロールする方法であって、該被験体に:
(1)治療有効量のβ−アドレナリン作動性インバースアゴニスト;および
(2)禁煙を促進させるための治療有効量のさらなる化合物
を投与することを含む方法である。
(1)治療有効量のβ−アドレナリン作動性インバースアゴニスト;および
(2)禁煙を促進させるための治療有効量のさらなる化合物
を投与することを含む方法である。
同様に、禁煙を促進させるための1種類以上のさらなる化合物が使用される場合、本発明による医薬組成物は:
(1)治療有効量の上記のβ−アドレナリン作動性インバースアゴニスト;
(2)禁煙を促進させるための治療有効量の上記のさらなる化合物;および
(3) 少なくとも1種類の薬学的に許容され得る担体
を含むものであり得る。
(1)治療有効量の上記のβ−アドレナリン作動性インバースアゴニスト;
(2)禁煙を促進させるための治療有効量の上記のさらなる化合物;および
(3) 少なくとも1種類の薬学的に許容され得る担体
を含むものであり得る。
(i)粘液分泌過多を処置するための少なくとも1種類の上記のさらなる化合物;と(ii)禁煙を促進させるための少なくとも1種類の上記のさらなる化合物の両方を含む医薬組成物を調製することも考えられ得る。したがって、この代替例において、かかる医薬組成物は:
(1)治療有効量の上記のβ−アドレナリン作動性インバースアゴニスト;
(2)粘液分泌過多を処置するための治療有効量の上記のさらなる化合物;
(3)禁煙を促進させるための治療有効量の上記のさらなる化合物;および
(4) 少なくとも1種類の薬学的に許容され得る担体
を含むものであり得る。
(1)治療有効量の上記のβ−アドレナリン作動性インバースアゴニスト;
(2)粘液分泌過多を処置するための治療有効量の上記のさらなる化合物;
(3)禁煙を促進させるための治療有効量の上記のさらなる化合物;および
(4) 少なくとも1種類の薬学的に許容され得る担体
を含むものであり得る。
本発明による医薬組成物において、1種類より多くのβ−アドレナリン作動性インバースアゴニスト、粘液分泌過多を処置するための1種類より多くのさらなる化合物(存在させる場合)、および禁煙を促進させるための1種類より多くのさらなる化合物(存在させる場合)を医薬組成物に含めることが考えられ得る。しかしながら、ほとんどの目的では、1種類のみのβ−アドレナリン作動性インバースアゴニスト、粘液分泌過多を処置するための1種類のみのさらなる化合物(存在させる場合)、および禁煙を促進させるための1種類のみの化合物(存在させる場合)を医薬組成物に含めることが一般的に好ましい。
粘液分泌過多を処置するためのさらなる化合物と禁煙を促進させるためのさらなる化合物の両方が使用される場合、粘液分泌過多のリスクがあり、禁煙を試みている被験体において、呼吸道における粘液分泌過多を予防またはコントロールする方法は、該被験体に:
(1)治療有効量のβ−アドレナリン作動性インバースアゴニスト;
(2)粘液分泌過多を処置するための治療有効量のさらなる化合物;および
(3)禁煙を促進させるための治療有効量のさらなる化合物
投与することを含むものである。
(1)治療有効量のβ−アドレナリン作動性インバースアゴニスト;
(2)粘液分泌過多を処置するための治療有効量のさらなる化合物;および
(3)禁煙を促進させるための治療有効量のさらなる化合物
投与することを含むものである。
禁煙を促進させるためのさらなる化合物、または粘液分泌過多を処置するためのさらなる化合物と禁煙を促進させるためのさらなる化合物の両方が、禁煙を試みている被験体に投与される場合、β−アドレナリン作動性インバースアゴニストと粘液分泌過多を処置するための該さらなる化合物がかかる被験体に投与される上記の場合と同じ一般原則が、投薬量、投薬頻度および投与経路に関して適用される。β−アドレナリン作動性インバースアゴニストと禁煙を促進させるための該化合物は、同じ時点で投与しても異なる時点で投与してもよい。(i)β−アドレナリン作動性インバースアゴニスト;(ii)粘液分泌過多を処置するための該さらなる化合物;および(iii)禁煙を処置するための該さらなる化合物の3種類すべてが投与される場合、これらの3種類の化合物を同じ時点で投与してもよく、2種類の化合物をある時点で投与し、3つ目を異なる時点で投与してもよく、3種類すべての化合物を異なる時点で投与してもよい。さまざまなスケジュールが当業者にわかるであろうし、したがって本発明の範囲に含まれ得る。同様に、β−アドレナリン作動性インバースアゴニスト、禁煙を促進させるための該さらなる化合物、および粘液分泌過多を処置するための該さらなる化合物(使用される場合)の投与様式は、いくつかの異なるパターンに従い得る。2種類の化合物だけ使用される場合(すなわち、β−アドレナリン作動性インバースアゴニストと禁煙を促進させるための該さらなる化合物)、投与パターンは、β−アドレナリン作動性インバースアゴニストと粘液分泌過多を処置するための該さらなる化合物を使用する場合の投与パターンに関して上記のものと同様であり得、上記の投与パターンにおいて粘液分泌過多を処置するための該さらなる化合物を、禁煙を促進させるための該さらなる化合物に置き換える。3種類すべての化合物が使用される場合(すなわち、β−アドレナリン作動性インバースアゴニスト、粘液分泌過多を処置するための該さらなる化合物、および禁煙を促進させるための該さらなる化合物)、投与期間、投与経路、1種類より多くの化合物の投与の同時性、および1種類または1種類より多くの化合物を含む調製物の投与のための使用に関して、考えられ得るすべての投与パターンが本発明の範囲に含まれる。
本発明を、以下の実施例によって実例を示す。この実施例は実例を示す目的で含めているにすぎず、本発明の限定を意図しない。
長期インバースアゴニスト処置後の線毛上皮から粘液生成上皮への肺気道の形質転換の逆転
マウスを、抗原オボアルブミンへの感作によって喘息にした。6週齢のBalb/cJマウス(Jackson Animal Laboratory,Bar Harbor,Maine)を特定病原体除去条件下に収容し、ニワトリオボアルブミン無含有の食餌を与えた。マウスを、水酸化アルミニウムに吸着させた25μgのオボアルブミンの皮下注射で、プロトコルの2、9および16日目に感作させた。続いて、マウスに25μgのオボアルブミンを含有する50μLの食塩水溶液を、プロトコルの23〜27日目に毎日鼻内に与えた。オボアルブミン感作食塩水負荷刺激マウスの群を、全身感作かつオボアルブミンでの呼吸器負荷刺激の対照として供する。鼻内投与の前に、マウスをハロタン蒸気で鎮静にした。この実施例の試験では、オボアルブミン感作かつオボアルブミン負荷刺激マウス、およびオボアルブミン感作かつ食塩水負荷刺激マウスを、それぞれ、喘息マウスおよび対照マウスという。
マウスを、抗原オボアルブミンへの感作によって喘息にした。6週齢のBalb/cJマウス(Jackson Animal Laboratory,Bar Harbor,Maine)を特定病原体除去条件下に収容し、ニワトリオボアルブミン無含有の食餌を与えた。マウスを、水酸化アルミニウムに吸着させた25μgのオボアルブミンの皮下注射で、プロトコルの2、9および16日目に感作させた。続いて、マウスに25μgのオボアルブミンを含有する50μLの食塩水溶液を、プロトコルの23〜27日目に毎日鼻内に与えた。オボアルブミン感作食塩水負荷刺激マウスの群を、全身感作かつオボアルブミンでの呼吸器負荷刺激の対照として供する。鼻内投与の前に、マウスをハロタン蒸気で鎮静にした。この実施例の試験では、オボアルブミン感作かつオボアルブミン負荷刺激マウス、およびオボアルブミン感作かつ食塩水負荷刺激マウスを、それぞれ、喘息マウスおよび対照マウスという。
動物には、感作/負荷刺激プロトコルの21〜27日目の7日間、薬物処置を施した;10mg/kgのICI−118,551を1日3回、浸透圧ミニポンプ(Alzet(登録商標),#2004、Durect Corporation,Cupertino,CA)によって皮下投与した。ICI−118,551は50%DMSOに溶解させた。
BALF(気管支肺胞洗浄液)と血液を採取した後、肺を:(1)カニューレによって4%パラホルムアルデヒドで灌流し、次いでPBSで3回洗浄し;(2)30%スクロース/PBS中に、組織がすべてチューブの底に沈むまで入れ;(3)次いで、左肺の内側切片を凍結切片作製に使用した。凍結切片作製のため:(1)肺をスクロース溶液から取り出して、小さいペトリ皿に移し;(2)型上にOCT媒体の薄膜を作製し、ドライアイスをぎっしり詰めた容器の表面上に置き;(3)OCT媒体が固化する前に、その上に組織を、ピンセットで保持して直立させて置き(組織を配置する位置は、必要とされる切片に応じて操作することができる);(4)ブロックの準備ができたら、これを使用時まで−80℃で保存し;(5)次いで、12μm厚の切片を作製し、スライド上に収集した。
次いで、肺をヘマトキシリン−エオシン(図1〜3)または過ヨウ素酸−シッフ染色液(図4〜6)で染色した。ヘマトキシリンとエオシンでの染色は以下のようにして行なった:切片を水中に入れている間、表面のヘマトキシリンをキムワイプでぬぐい、酸化粒子を除去した。過剰の水をスライドホルダーから吸い取った後、ヘマトキシリンに入れた。ヘマトキシリン染色では、染色は、ヘマトキシリンで1×3分間行なった;スライドを蒸留水で、次いで、水道水で1×5分間で洗浄し、染色液を発色させた。次いで、スライドを8〜12回、迅速に酸エタノール中に浸漬させ、脱染した。次いで、スライドを水道水中で2×1分間および脱イオン水中1×2分間洗浄した。過剰の水をスライドホルダーから吸い取った後、エオシンに入れた。エオシン染色および脱水のため、過剰の水をスライドホルダーから吸い取った後、エオシンに入れた。エオシン染色は、エオシン中で1×30秒間(先のエオシンバッチでは45秒間まで、次いで、95%エタノールで3×5分間、95%エタノールで3×5分間、100%エタノールで3×5分間(過剰のエタノールを吸い取った後、キシレンに入れた)、最後にキシレン中で3×15分間行なった。スライドをキシレン中に一晩置いて、あらゆる水を十分に除去した。Permountを用いてカバーガラスを載せた。スライドをフード内で一晩乾燥させた。過ヨウ素酸−シッフ染色液での染色では、標準的な組織保存およびOCT中への包埋、後、スライドを:(1)0.5%過ヨウ素酸中に5分間入れ;(2)蒸留水中ですすぎ洗浄し;(3)シッフ試薬中に室温で30分間包埋し;(4)水道の流水で5分間洗浄し;(5)ヘマトキシリン中で3分間対比染色し;(6)蒸留水中で洗浄し;(7)95%アルコール中で3×5分間処理し;(8)100%アルコール中で3×5分間処理し;(9)キシレンで3×5分間処理し;(10)1滴のマウント媒体をスライド上に置いた後、カバーガラスを置くことにより完了した。
図1は、正常な上皮を示す対照マウスの肺組織の切片の顕微鏡写真である;染色はヘマトキシリン−エオシンによるものである。これは、ほとんどが線毛細胞であるが、線毛は保存されていなかった。
図2は、上皮の有意な変化を示す喘息マウスの肺組織の切片の顕微鏡写真である;染色はヘマトキシリン−エオシンによるものである。
図3は、β−アドレナリン作動性インバースアゴニストICI 118,551で長期処置した喘息マウスの肺組織の切片の顕微鏡写真である;染色はヘマトキシリン−エオシンによるものである。上皮細胞は、実質的にその正常な外観に戻っている。
図4は、過ヨウ素酸−シッフ(PAS)染色液により染色した対照マウスの肺組織の切片の顕微鏡写真である。上皮細胞はほとんどが染色されていない。
図5は、PAS染色液により染色した喘息マウスの肺組織の切片の顕微鏡写真である。上皮は、ほとんどが粘液を分泌する杯細胞に変換されている。
図6は、β−アドレナリン作動性インバースアゴニストICI 118,551で長期処置した喘息マウスの肺組織の切片の顕微鏡写真である(PAS染色液により染色)。上皮細胞は実質的に正常のようである。
この実施例で使用した喘息動物モデルでは、気道上皮は正常な上皮と、粘液分泌細胞の増殖がみられ、粘液分泌過多が生じているという点で異なっている。さらに、正常な粘液線毛性クリアランスの障害をもたらしている線毛上皮の欠陥がみられる。β2選択的インバースアゴニストICI 118,551での長期処置により、該分泌細胞が低減され、それにより粘液分泌過多が逆転されることによって、気道上皮は正常な健常状態に回復する。
図1〜6の結果により、β−アドレナリン作動性インバースアゴニストICI 118,551を喘息マウスに長期投与すると、主に線毛細胞から粘液を生成する杯細胞への肺上皮の形質転換が実質的に逆転され、そのため、インバースアゴニスト処置後、肺上皮細胞の外観が実質的に正常になったことが確立される。この結果により、β−アドレナリン作動性インバースアゴニストの投与は、粘液の分泌過多を低減させ、したがって、上皮気道(鼻および肺の)粘液の分泌過多を特徴とする疾患および状態の処置のために価値があるという仮説が強く裏付けられる。また、粘液分泌過多が禁煙の最も重要な生理学的帰結の1つであり、多くの場合で被験体が禁煙を失敗する一因となっているため、この結果により、β−アドレナリン作動性インバースアゴニストの投与によって、禁煙を試みている被験体が有意に補助され得るという仮設も強く裏付けられる。
発明の利点
本発明は、特に呼吸器系における粘液の分泌過多を予防または逆転させる改善された方法、ならびに粘液の分泌過多を特徴とする疾患および状態、例えば限定されないが、慢性の咳、痰を伴う咳と関連している慢性の咳、喀痰を伴わない咳と関連している慢性の咳および慢性気管支炎を処置する改善された方法を提供する。該方法は、粘液分泌過多が禁煙の最も重大な帰結の1つであり、その結果としての不快感が、禁煙を試みている被験体の多くに喫煙を再開させてしまうため、禁煙を試みている被験体に特に適している。該方法は、習慣的使用に充分適合されたものであり、他の方法によって分泌過多を処置し得る薬剤に対する耐性または不応答性の発現を抑制する。該方法では、実際に、呼吸器系の線毛上皮の粘液分泌杯細胞が優位を占める上皮への形質転換が逆転されている。該方法は、耐容性が良好であり、副作用は生じない;該方法を、粘液分泌過多を特徴とする疾患または状態のための他の慣用的な治療モダリティと一緒に使用してもよい。特に、本発明によるβ−アドレナリン作動性インバースアゴニストの投与方法は、禁煙と関連している生理学的症状のうちの1つ以上、例えば限定されないが、振せん、粘液分泌過多および咳に対処するものである。この活性により、禁煙に対する独自のアプローチがもたらされ、心理学的および行動的問題点を処置する他の方法が補完される。
本発明は、特に呼吸器系における粘液の分泌過多を予防または逆転させる改善された方法、ならびに粘液の分泌過多を特徴とする疾患および状態、例えば限定されないが、慢性の咳、痰を伴う咳と関連している慢性の咳、喀痰を伴わない咳と関連している慢性の咳および慢性気管支炎を処置する改善された方法を提供する。該方法は、粘液分泌過多が禁煙の最も重大な帰結の1つであり、その結果としての不快感が、禁煙を試みている被験体の多くに喫煙を再開させてしまうため、禁煙を試みている被験体に特に適している。該方法は、習慣的使用に充分適合されたものであり、他の方法によって分泌過多を処置し得る薬剤に対する耐性または不応答性の発現を抑制する。該方法では、実際に、呼吸器系の線毛上皮の粘液分泌杯細胞が優位を占める上皮への形質転換が逆転されている。該方法は、耐容性が良好であり、副作用は生じない;該方法を、粘液分泌過多を特徴とする疾患または状態のための他の慣用的な治療モダリティと一緒に使用してもよい。特に、本発明によるβ−アドレナリン作動性インバースアゴニストの投与方法は、禁煙と関連している生理学的症状のうちの1つ以上、例えば限定されないが、振せん、粘液分泌過多および咳に対処するものである。この活性により、禁煙に対する独自のアプローチがもたらされ、心理学的および行動的問題点を処置する他の方法が補完される。
本明細書に記載の方法および組成物は、特に禁煙と関連している粘液分泌過多の処置のための医薬の調製に対して産業上の利用可能性を有するが、これらに限定されない。
本明細書において実例として示した本発明は、本明細書に具体的に開示していないいずれかの構成要素(1つまたは複数)、限定(1つまたは複数)がなくても好適に実施され得る。したがって、例えば、用語「〜を含む(“comprising”、“including”、“containing”など)」は、拡張的で限定されないものとして読まれたい。さらに、本明細書で用いた用語および表現は、説明用語として用いており、限定用語として用いているのではなく、かかる用語および表現の使用において、図示および記載した特徴の同等物またはその一部分をなんら排除する意図はなく、種々の修正例が、特許請求の範囲に記載の発明の範囲内で可能であると認識されたい。したがって、本発明を好ましい実施形態および任意選択的な特徴によって具体的に開示したが、本明細書に開示した発明の修正例および変形例が当業者によって採用され得、かかる修正例および変形例は、本明細書に開示した本発明の範囲に含まれるとみなされると理解されたい。本発明は、本明細書において広く一般的に記載している。一般的な本開示の範囲に含まれる各狭小種および下位群もまた、本発明の一部を構成している。これは、各発明の一般記載を包含しているが、但し書きの限定または消極的限定があれば、除かれる主題が具体的に記載されているか否かに関係なく、その属から主題(あれば)が除かれる。
また、本発明の特徴または態様がマーカッシュ群で記載されている場合、当業者には、それにより、本発明がまた、マーカッシュ群の構成員の任意の個々の構成員または亜群で記載されていることにもなることが認識されよう。また、上記の説明が例示を意図しており、限定でないことも理解されよう。上記の説明を検討すると、当業者には多くの実施形態が自明となろう。したがって、本発明の範囲は、上記の説明を参照して決定されるべきでなく、添付の特許請求の範囲を参照し、かかる特許請求の範囲によって権利付与される均等物の完全な範囲とともに決定されるべきである。論文および参考文献(例えば、特許公開公報)の開示はすべて、引用により本明細書に組み込まれる。
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