JP2018127442A - レプトスピラ症の診断に用いるレプトスピラ抗原検出用抗体 - Google Patents

レプトスピラ症の診断に用いるレプトスピラ抗原検出用抗体 Download PDF

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Abstract

【課題】可能な限り病原性レプトスピラのみを検出し,特異度を高めるレプトスピラ症の診断方法の提供。【解決手段】HADHにおける特定のアミノ酸配列のいずれか又は複数を検出することにより,病原性レプトスピラ感染の診断を行うレプトスピラ症診断方法。HADHの検出が、FLISA又はイムノクロマトグラフィーによるレプトスピラ症診断方法。特定のアミノ酸配列部位を認識する抗HADHモノクロナール抗体を用いることにより,非病原性レプトスピラ由来HADHを検出せず,病原性レプトスピラ症由来HADHの検出が可能となり,特異度の高いレプトスピラ症診断が可能となる。【選択図】図12

Description

本発明は,レプトスピラ症の診断に用いる病原性レプトスピラ抗原検出用抗体等に関する。さらに詳しくいうと本発明は,レプトスピラ症の診断を可能とするための3-hydroxyacyl-CoA dehydrogenaseに対する抗体,ならびにこの抗体を用いたレプトスピラ症診断方法に関する。
レプトスピラ症(Leptospirosis)は,熱帯や亜熱帯などの地域を中心に広く分布する人獣共通感染症である。
レプトスピラ症の患者発生は全世界で年間約30〜50万人,致死率は23%にのぼると推測されている。また,病原性レプトスピラは250以上の血清型があり,正確な同定には,時間と高度の専門技術が必要となってくる。加えて,レプトスピラ症は,他の感染症(マラリア,デング等)と臨床症状が酷似していることもあり,正確な診断を困難としている。
これらの事情から,レプトスピラ症を適切に治療するとともに感染拡大を防ぐためには,早期発見ならびに正確な診断が重要となってくる。このことから,医療現場では,特異度・感度,ともに高い,病原性レプトスピラの迅速診断キットの開発が期待されており,研究が進められている(非特許文献1)。
Segawa et al. BMC Microbiology 2014, 14:132
非特許文献1には,レプトスピラ症として,フィリピンで分離される血清型Manilaeの菌株で感染させたハムスターの尿中において,菌由来の酵素(3-hydroxyacyl-CoA dehydrogenase,以下,「HADH」と略する)が検出されること,ならびに,これに関する抗血清が作製されたことが開示されている。
先行技術において作製された抗血清は,尿中におけるHADHを検出することで,レプトスピラ症の感染有無の診断が期待できる点において有用である。
しかし,この先行技術における抗血清は,HADHのみならず他のバンドも検出してしまう。そのため,この先行技術は,レプトスピラ症に感染しておらず,HADHが検出されないはずのハムスターにおいても非特異的な検出を示すことから,必ずしもレプトスピラ症の感染を正確に診断することができない。
そのため,HADHのみを検出する特異性の高い技術の開発が強く望まれていた。
そこで,発明者は,先行技術におけるHADH自体の検出では,レプトスピラ症感染の正確な診断ができない可能性があることに気づいた。
すなわち,HADHは,病原性レプトスピラだけでなく,非病原性レプトスピラにおいても存在する。そのため,HADHそのものを検出したとしても,非病原性レプトスピラを検出する場合があり,この場合,偽陽性として検出することとなってしまい,正確な診断ができない。
さらには,ヒトにおいて同様の報告は未だなく,レプトスピラ患者の尿中でハムスターの尿中と同様に,HADHを検出できるかも不明である。
上記事情を背景として,本発明では,HADHに対して特異度の高い検出,ならびレプトスピラ症診断方法の開発を第一の課題とする。さらに本発明では,可能な限り病原性レプトスピラのみを検出し,特異度をより高めたレプトスピラ症の診断方法の開発を第二の課題とする。
発明者は,鋭意研究の結果,HADHに対するモノクローナル抗体の作製を行い,作製された抗HADHモノクローナル抗体がHADHに対する特異性が高いことを実験的に確認し,発明を完成させたものである。
加えて発明者は,病原性レプトスピラと非病原性レプトスピラにおけるHADHアミノ酸配列を比較し,診断に有用な複数のアミノ酸配列部位を明らかにした。さらに発明者は,複数のアミノ酸配列部位の中から,病原性レプトスピラ由来HADHのC末端に位置するアミノ酸配列に着目し,これに特異的な抗体(以下,「抗HADH断片抗体」)を作製したところ,非病原性レプトスピラ症由来HADHには反応せず,複数の血清型の病原性レプトスピラ由来HADHの検出が可能となることを見出し,発明を完成させたものである。
さらに発明者は,抗HADHモノクローナル抗体ならびに抗HADH断片抗体を組み合わせて作製したELISAキットを完成させた。
このELISAキットを用いた,レプトスピラ症感染患者と健常者のヒト尿試料による実験において,健常者と比較してレプトスピラ症感染患者のOD値が有意に高い測定値が示された。この結果から,このELISAキットが,ヒト生体試料においてもHADHの検出が可能であるとともに,レプトスピラ症感染患者に対して特異度の高い検出が可能になることが明らかになった。
本発明は,以下の構成からなる。
本発明の第一の構成は,HADHを抗原とすることを特徴とする抗HADHモノクローナル抗体である。
本発明の第二の構成は,第一の構成に記載のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマである。
本発明の第三の構成は,第一の構成に記載の抗HADHモノクローナル抗体によりHADHの検出を行い,レプトスピラ感染の診断を行うレプトスピラ症診断方法である。
本発明の第四の構成は,HADHの検出が,ELISA又はイムノクロマトグラフィーのいずれかによる第三の構成に記載のレプトスピラ症診断方法である。
本発明の第五の構成は,HADHにおける配列番号1から配列番号5に示されるアミノ酸配列のいずれか又は複数を検出することにより,病原性レプトスピラ感染の診断を行うことを特徴とするレプトスピラ症診断方法である。
本発明の第六の構成は,少なくとも配列番号5の検出を行うことを特徴とする第五の構成に記載のレプトスピラ症診断方法である。
本発明の第七の構成は,前記検出が,抗体により行われることを特徴とする第五又は第六の構成に記載のレプトスピラ症診断方法である。
本発明の第八の構成は,さらに,HADHを抗原とする抗HADH抗体と合わせて,HADHの検出を行う第五から第七の構成いずれかに記載のレプトスピラ症診断方法である。
本発明の第九の構成は,ELISA又はイムノクロマトグラフィーのいずれかを用いて検出を行う第五から第八の構成いずれかに記載のレプトスピラ症診断方法である。
本発明の第十の構成は,第五から第九の構成いずれかに記載のレプトスピラ症診断方法に用いられる抗体である。
本発明の第十一の構成は,第十の構成に記載の抗体を含むことを特徴とするレプトスピラ症診断キットである。
本発明により,HADHに特異度の高い検出技術の提供ならびに,可能な限り病原性レプトスピラのみを検出し,特異度をより高めたレプトスピラ症の診断方法の提供が可能となった。
すなわち,本発明の抗HADHモノクローナル抗体ならびに抗HADH断片抗体は,HADHの特異度の高い検出を可能とするものであり,これを単独もしくは組み合わせて用いることにより,病原性レプトスピラに対して,より特異度の高い診断を可能とするものである。
作製したハイブリドーマのHADHに対する結合性をスクリーニングした結果を示した図 10種の抗HADHモノクローナル抗体のHADHに対する結合性を調べた結果を示した図 5種の抗HADHモノクローナル抗体のHADHに対する結合性を調べた結果を示した図 5種の抗HADHモノクローナル抗体の各濃度におけるHADHに対する結合性を調べた結果を示した図 2種の抗HADHモノクローナル抗体(5A9,3H12)を用いて,病原性レプトスピラならびに非病原性レプトスピラに対する検出能を調べた結果を示した図 病原性レプトスピラ(L. interrogans)のHADHのアミノ酸配列を分析した結果を示した図 非病原性レプトスピラのアミノ酸配列との比較から,病原性レプトスピラ(L. interrogans)において,診断に有用なアミノ酸配列部位を示した図 病原性レプトスピラ(L. interrogans)のHADH,配列番号5をもとに作製された抗HADH断片ポリクローナル抗体の検出結果を示した図 配列番号5をもとに作製された抗HADH断片ポリクローナル抗体の各種検体における検出結果を比較検討した図 配列番号5をもとに作製された抗HADH断片ポリクローナル抗体を用いてレプトスピラ患者の尿でHADHを検出した図 抗HADHモノクローナル抗体ならびに抗HADH断片ポリクローナル抗体を用いたELISAにより,ヒト尿試料におけるHADH検出を行った結果を示した図 抗HADHモノクローナル抗体ならびに抗HADH断片ポリクローナル抗体を用いたICストリップにより,HADH検出を行った結果を示した図
本発明のレプトスピラ症診断方法等について説明を行う。
<<HADHを抗原とした抗HADHモノクローナル抗体>>
本発明のレプトスピラ症診断方法の第一の態様においては,HADH全長を抗原として検出を行うものであり,HADHを抗原とする抗HADHモノクローナル抗体を用いることを特徴とする。加えて,かかる抗HADHモノクローナル抗体ならびにこれを産生するハイブリドーマについても,発明者により完成された発明である。
本発明において抗HADHモノクローナル抗体とは,HADH全長を抗原とするモノクローナル抗体として定義される。また,モノクローナル抗体とは,抗体を構成するアミノ酸配列において,単一クローン(単一分子種)のみからなる分子,もしくは分子の集合体として定義される。
モノクローナル抗体の種類について,HADHの検出が可能である限り特に限定する必要はなく種々のものを用いることができる。このようなモノクローナル抗体の種類として,例えば,ヒト抗体,マウス抗体,ウサギ抗体,キメラ抗体,マルチスペシフィック抗体,人工抗体などを用いればよい。また,本発明におけるHADH検出の趣旨に沿う範囲で,化学修飾を行った抗体や抗体フラグメントを用いることができる。
抗HADHモノクローナル抗体は,通常用いられる手法により作製することができる。このような手法として,例えば,ハイブリドーマ法,ファージディスプレイ法,遺伝子工学的手法などにより作製することができる。
一例として,ハイブリドーマ法(実験例1参照)では,免疫原としてリコンビナントHADHなどを用いて免疫したマウスなどの動物の脾臓ないしリンパ節から採取したB細胞と,不死化させたミエローマ細胞とを融合させてハイブリドーマの作製を行う。この作製されたハイブリドーマについてスクリーニングを行い,HADHとの特異的結合能を有するものなど,HADHの検出に有用なハイブリドーマを選択すればよい。
ハイブリドーマからモノクローナル抗体を得るには,ハイブリドーマの培養を行い,その培養上清として得ることができる。もしくは,ハイブリドーマと適合性がある哺乳動物に投与して増殖させ,その腹水として得ることができる。
得られた抗HADHモノクローナル抗体は,均一になるまで精製することが望ましく,この場合,通常のタンパク質として用いられる分離・精製方法を用いることができる。このような手法として例えば,アフィニティークロマトグラフィー等のクロマトグラフィーカラム,限外濾過,塩析,透析など,これらを単独もしくは組み合わせて用いればよい。
作製された抗HADHモノクローナル抗体を用いて,HADHの検出を行い,レプトスピラ症の診断を行えばよい。
HADHの検出については,HADHの検出が可能である限り特に限定する必要はなく,種々の免疫学的測定方法を用いることができる。このような手法として,例えば,ELISAやイムノクロマトグラフィーを用いることができる。
<<HADH断片を抗原とした抗HADH断片抗体>>
本発明のレプトスピラ症診断方法の第二の態様については,HADH断片を抗原として検出を行うものであり,発明者により,下記の知見が見出されたことを基礎とする。
(1) 病原性レプトスピラと非病原性レプトスピラのアミノ酸配列を比較し,下記に示す診断に有用な5つの配列が見出された。
配列番号1(285-296):MSKTPDGKKEKL
配列番号2(301-311):GADLYEPVPKF
配列番号3(317-332):RQANKRISEADYTGAM
配列番号4(396-414):DAIQLIEKAKLPVPEVLAK
配列番号5(410-424):EVLAKAKPGKPFYEL

(2) 上記配列から配列番号5を最も好ましい部位として選択し,これを認識する抗HADHポリクローナル抗体を作製したところ,この抗体が,複数種の病原性レプトスピラ由来HADHを検出した一方,非病原性レプトスピラ由来HADHを検出しなかった。
(3) 上記実験結果から,配列番号5に記載のアミノ酸配列部位ならびにこれを認識する抗体が,病原性レプトスピラの診断に有用であることが分かった。
本発明におけるレプトスピラ症診断方法は,HADHにおける配列番号1から配列番号5に示されるアミノ酸配列のいずれか又は複数を検出することにより,病原性レプトスピラ感染の診断を行うことを特徴とする。
本発明において「HADHにおける配列番号1から配列番号5に示されるアミノ酸配列のいずれか又は複数を検出」とは,これら配列番号に記載されるアミノ酸配列そのもののみを検出することに限定されるものではない。すなわち,これら5つのアミノ酸配列が「病原性レプトスピラと非病原性レプトスピラのアミノ酸配列を比較し,診断に有用なアミノ酸配列である」という本発明の趣旨に沿う範囲で,これら5つのアミノ酸配列を包含するアミノ酸配列も検出対象として含まれるものである。このようなアミノ酸配列として,これら配列番号1から配列番号5に示されるアミノ酸配列に,それぞれのアミノ酸配列における近傍のアミノ酸ないし任意のアミノ酸を好ましくは6個,より好ましくは4個ほど付加する形の配列であればよい。
これらアミノ酸配列部位を検出する手法としては,検出が可能である限り特に限定する必要はなく,種々の手法を用いることがでる。検出手法として,典型的には,ポリクローナル抗体,モノクローナル抗体,抗体フラグメント,もしくはこれらの修飾抗体などを用いた検出方法が挙げられる。
また,検出する検体としては,HADHの検出が可能な限り特に限定する必要はなく,種々の検体を用いることができるが,典型的には,尿を検体として,必要に応じ前処理を行い,用いることができる。
アミノ酸配列として配列番号5に示すアミノ酸配列の検出を行うことが好ましい。これにより,病原性レプトスピラ由来HADHの検出特異性を高めることが可能となり,本発明のレプトスピラ症診断方法の有用性を向上させる効果を有する。
本発明のレプトスピラ症診断方法においては,抗HADHモノクローナル抗体,抗HADH断片抗体,これらを合わせて用いることができる。これにより,それぞれの検出特性を活かした,より特異度の高いレプトスピラ症診断が可能となるという効果を有する。
これらを組み合わせた一態様として,Sandwich ELISAが挙げられる。
すなわち,マイクロプレートに,抗HADHモノクローナル抗体,抗HADH断片抗体のいずれかを固相化させ,これに検体試料,一次抗体,二次抗体(場合によっては検出用基質)を反応させるなどである。この場合,固相化された抗体とは,異なる種の組み合わせで一次抗体を用いることができる。
配列番号1から配列番号5を認識する抗HADH断片抗体ないし抗HADHモノクローナル抗体は,これをキット化したうえで用いることが好ましい。これにより,レプトスピラ症が疑われる患者などにおいて速やかに診断を行うことが可能となり,本発明のレプトスピラ症診断方法の有用性を向上させる効果を有する。
キット化については,被検体の種類や検出手段により適宜調整すればよく,例えば,配列番号1から5を認識しうる抗HADH断片抗体,抗HADHモノクローナル抗体,修飾抗体,これら抗体を固相化させたマイクロプレート,ICストリップ,尿の前処理のためのフィルター,蛍光標識された二次抗体などが挙げられる。
本発明について,実施例を用いて詳述する。
<<実験例1.抗HADHモノクローナル抗体産生ハイブリドーマの作製>>
レプトスピラHADHを抗原として用い,抗レプトスピラHADHモノクローナル抗体の作製を行った。
1.マウスをリコンビナントHADHで免疫し,リンパ節の摘出を行った。
2.リンパ節から,リンパ球を分離・精製した後,ミエローマ細胞と融合ならびに培養を行った。
3.得られた4320個のハイブリドーマについてELISAにより一次スクリーニングを行い,HADHと反応がみられた31個のハイブリドーマを得た(図1)。さらに,二次スクリーニングを行い,31個のうち,10個のハイブリドーマを選択した。
4.以下の検討では,選択された10個のハイブリドーマから得られる抗体を,抗HADHモノクローナル抗体として用いた。
<<実験例2.抗HADHモノクローナル抗体のELISAによる評価>>
作製した抗HADHのハイブリドーマの性能評価を目的に,ELISAによる検討を行った。
1.リコンビナント3-HADHをコーティングしたマイクロプレートに,各種ハイブリドーマの培養上清,PO標識二次抗体,POD基質の順に反応させ,OD値の測定を行った。
2.得られた10個の抗HADHハイブリドーマの培養上清で検討を行った結果を図2に示す。
(1) 検討を行った10個の抗HADHハイブリドーマの培養上清は,そのすべてにおいて,陰性コントロールであるPBSと比較すると高いOD値を示していた。
(2) この結果から,検討を行った10個の抗HADHハイブリドーマいずれも,HADHに対する結合能を有するモノクローナル抗体を産生することが確認された
3.マウスで腹水生産が良好だった5つの抗HADHハイブリドーマ(5A9,17C7,21C10,23A2,30G1)について,得られた腹水をプロテインGカラムにより精製し,精製抗体を用いてSandwich ELISAを行った結果を図3に示す。
(1) 検討を行った5つの抗HADHモノクローナル抗体は,そのすべてにおいて,陰性コントロールであるPBSと比較すると高いOD値を示していた。
(2) この結果から,検討を行った5つの抗HADHモノクローナル抗体は,いずれも,HADH対して特異性を有することが確認された。
4.5つの抗HADHモノクローナル抗体について,反応させる抗原濃度を変化させて検討を行った結果を図4に示す。
(1) 検討を行った5つの抗HADHモノクローナル抗体は,そのすべてにおいて,添加する抗原濃度に応じて,OD値が減少していた。
(2) この結果から,検討を行った5つの抗HADHモノクローナル抗体は,いずれも,HADH対して特異性を有するとともに,定量的な検出が可能なことが示された。
(3) また,17C7の例では,陽性の場合,黄色く呈色するのに対し,陰性の場合は無色透明であり,目視の点からも検出が可能であることが示された。
<<実験例3.抗HADHモノクローナル抗体を用いた電気泳動による検出>>
作製を行った抗HADHモノクローナル抗体について,病原性レプトスピラならびに非病原性レプトスピラを用い,電気泳動による特異的検出が可能かどうかを調べることを目的に検討を行った。
1.病原性レプトスピラならびに非病原性レプトスピラの培養を行い,これらのタンパク成分を採取後,電気泳動を行った。
2.電気泳動後,タンパクをPVDF膜に転写し,作製した抗HADHモノクローナル抗体(5A9,3H12)と反応させた。抗原・抗体反応は,HRP標識二次抗体を用いて化学発光により検出した。
3.図5に結果を示す。
(1) 5A9では,コントロールであるリコンビナントHADHならびに全ての病原性レプトスピラの検出が可能であった。加えて,非病原性レプトスピラ(L. biflexa)においては,HADHに相当するバンドは検出されず,その他,非特異的と思われる検出もほとんどなかった。
(2) 3H12では,コントロールであるリコンビナントHADHならびに全ての病原性レプトスピラの検出が可能であった。しかしながら,非病原性レプトスピラ(L. biflexa)においては,HADHとは異なるバンドが検出され,同様のバンドの検出が,全ての病原性レプトスピラにおいても検出された。
4.この結果から,少なくとも5A9と3H12では,病原性レプトスピラの特異的検出という観点から,5A9の方が優れていることが確認された。
<<実験例4.HADHの解析ならびに抗原決定>>
全ての病原性レプトスピラに反応するとともに特異性が高い抗体を作製することを目的として,病原性レプトスピラと非病原性レプトスピラのHADH配列構造を比較し,どの配列部分が抗体認識部位として適切かを明らかにするため,検討を行った。
1.病原性レプトスピラ(Leptospira interrogans)と非病原性レプトスピラ(Leptospira biflexa)の配列構造を比較した。
2.結果を図6ならびに図7に示す。
(1) 病原性レプトスピラ由来HADHは,436のアミノ酸配列を有し,それぞれ図6に示された配列部分において,シグナルペプチド部位,膜貫通部位,プロペプチド部位を示した。
(2) これと非病原性レプトスピラの配列を比較したところ,図7の四角で囲まれた部分に相当する下記5つの配列部分が,抗体認識部位として有用であることが分かった。
配列番号1(285-296):MSKTPDGKKEKL
配列番号2(301-311):GADLYEPVPKF
配列番号3(317-332):RQANKRISEADYTGAM
配列番号4(396-414):DAIQLIEKAKLPVPEVLAK
配列番号5(410-424):EVLAKAKPGKPFYEL

3.さらに検討を行った結果,親水性を有するとともに,配列内部にターンがあると推測される配列番号5を,抗原ペプチドとして選択した。
<<実験例5.抗HADH断片ポリクローナル抗体作製>>
配列番号5を認識する抗体作製を目的として行った。
1.抗原ペプチドをキャリアタンパクKLHにコンジュゲーションさせ,SPFウサギを4回抗原投与した。
2.アジュバントとして1回目は,完全フロインドアジュバントを使用し,それ以後は不完全フロイントアジュバントにした。
3.免疫開始56日後に全採血を行い,血清を分離し,抗HADH断片ポリクローナル抗体とした。
<<実験例6.抗HADH断片ポリクローナル抗体による特異性の確認>>
作製した抗HADH断片ポリクローナル抗体が,どのような認識能を有するかを確認することを目的として検討を行った。
1.病原性レプトスピラならびに非病原性レプトスピラの培養を行い,これらのタンパク成分を採取後,電気泳動を行った。
2.電気泳動後,タンパクをPVDF膜に転写し,作製した抗HADH断片ポリクローナル抗体と反応させた。抗原・抗体反応は,HRP標識二次抗体を用いて化学発光により検出した。
3.図8に,非病原性レプトスピラと4種類の病原性レプトスピラの分析結果を示す。
(1) 非病原性レプトスピラ(L. biflexa)においては,HADHに相当するバンドは検出されなかった。
(2) 病原性レプトスピラ(Manilae,Hebdomadis,Icterohaemorrhagiae,Pyrogenes)においては,HADHに相当するバンドがはっきりと強く検出された。
4.図9に,各種検体における比較結果を示す。なお,検討においては,陽性対象として,HADHを組み込んだ大腸菌を培養し,溶菌後に得られたタンパク分画を使用した。陰性対象として非病原性レプトスピラを培養し,溶菌後に得られたタンパク分画を使用した。
(1) 陽性コントロールにおいて,HADHは強く検出された。
(2) また,本検討に用いた2種の病原性レプトスピラ(L.interrogans serovar Manilae,L.interrogans serovar Hebdomadis),いずれにおいてもHADHが検出された。
(3) さらに,正常な尿において,HADHに相当するバンドは検出されなかった。
5.図10に,レプトスピラ患者の尿を用いたHADHの検出を示す。なお,検討においては,陽性対象として,病原性レプトスピラを培養し,溶菌後に得られたタンパク分画を使用した。陰性対象として腎不全等の際に尿に排出されるタンパク質「アルブミン」を使用した。
(1) 陽性コントロールにおいて,HADHは強く検出された。
(2) また,レプトスピラ症患者A,B,いずれにおいてもHADHが検出された。
(3) さらに,抗HADH抗体はアルブミンと交差反応しないことを確認した。
6.これらの結果から,作製した抗HADH断片ポリクローナル抗体は,少なくとも4種類の病原性レプトスピラのHADHを認識すること,レプトスピラ症患者の尿のHADHを認識すること,ならびに,非病原性レプトスピラのHADHを認識しないことが示された。
7.よって,作製した抗HADH断片ポリクローナル抗体は,レプトスピラ症の診断において,特異度の高い抗体として用いられることが分かった。また,HADHを診断の対象として選択することにより,特異性の高い診断が可能となることが示された。
<<実験例7.生体試料を用いたHADH検出>>
作製した抗HADH断片ポリクローナル抗体もしくは抗HADHモノクローナル抗体を用いて,生体試料におけるHADH検出が可能かどうかについて,検討を行った。
1.抗HADH断片ポリクローナル抗体もしくは抗HADHモノクローナル抗体を固相化したマイクロプレートを作製した。
2.健常者もしくはレプトスピラ症感染患者の尿,各種一次抗体,PO標識二次抗体,POD基質の順に反応させ,OD値の測定を行った。
3.結果を図11に示す。
(1) 抗HADH断片ポリクローナル抗体を固相化したマイクロプレートにおいて,一次抗体として抗HADHモノクローナル抗体を用いて検討を行った結果を図11の左に示す。抗HADHモノクローナル抗体のうち,17C7ならびに23A2において,健常者と感染症患者で差が認められた。
(2) 抗HADHモノクローナル抗体(17C7)を固相化したマイクロプレートにおいて,一次抗体として抗HADH断片ポリクローナル抗体を用いて検討を行った結果を図11の右に示す。いずれにおいても差が認められたが,希釈倍率500倍の方が顕著な差が認められた。
4.これらの結果から,抗HADH断片ポリクローナル抗体もしくは抗HADHモノクローナル抗体を用いて,ヒト生体試料におけるHADHの検出が可能なことが示された。
<<実験例8.各抗体を用いたICストリップの検討>>
作製された各抗体を用いて,ICストリップ(イムノクロマトストリップ)の試作を行い,その性能の評価を行った。
1.ICストリップについて,メンブレン塗布用抗体として抗HADH断片ポリクローナル抗体,金コロイド標識用抗体として抗HADHモノクローナル抗体(17C7)を用いて作成を行った。
2.結果を図12に示す。
(1) 陰性コントロール(25mMリン酸2水素カリウム溶液),ならびにHADHを含むすべての濃度において,コントロールラインにおける検出が確認できた。
(2) また,テストラインにおいては,312ng/mL以上の濃度で検出が可能であり,また,濃度依存的に検出バンドも濃くなっていた。
(3) なお,156ng/mL以下の濃度ならびに陰性コントロールでは,テストラインによる検出は確認されなかった。
3.この結果から,各抗体を用いたICストリップにより,HADHの検出が可能であることが示された。

Claims (11)

  1. HADHを抗原とすることを特徴とする抗HADHモノクローナル抗体
  2. 請求項1に記載のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ
  3. 請求項1に記載の抗HADHモノクローナル抗体によりHADHの検出を行い,レプトスピラ感染の診断を行うレプトスピラ症診断方法
  4. HADHの検出が,ELISA又はイムノクロマトグラフィーのいずれかによる請求項3に記載のレプトスピラ症診断方法
  5. HADHにおける配列番号1から配列番号5に示されるアミノ酸配列のいずれか又は複数を検出することにより,病原性レプトスピラ感染の診断を行うことを特徴とするレプトスピラ症診断方法
  6. 少なくとも配列番号5の検出を行うことを特徴とする請求項5に記載のレプトスピラ症診断方法
  7. 前記検出が,抗体により行われることを特徴とする請求項5又は6に記載のレプトスピラ症診断方法
  8. さらに,HADHを抗原とする抗HADH抗体と合わせて,HADHの検出を行う請求項5から7のいずれかに記載のレプトスピラ症診断方法
  9. ELISA又はイムノクロマトグラフィーのいずれかを用いて検出を行う請求項5から8のいずれかに記載のレプトスピラ症診断方法
  10. 請求項5から9に記載のレプトスピラ症診断方法に用いられる抗体
  11. 請求項10に記載の抗体を含むことを特徴とするレプトスピラ症診断キット
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