JP2018127427A - 唾液分泌促進剤、ならびにこれを配合した食品組成物、および口腔用組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】安全、効果的で、かつ口腔用組成物や食品組成物に配合してもその味を損なうことがない、新規な唾液分泌促進剤の提供。【解決手段】D-, DL-メチオニン、D-, DL-アラニン、D-, L-, DL-プロリン、D-, L-, DL-スレオニン、D-, L-, DL-トリプトファン、及びこれらの塩からなる群から選択される1種以上のアミノ酸を有効成分として含有する唾液分泌促進剤。【選択図】図1
Description
本発明は、唾液分泌促進剤、ならびにこれを配合した食品組成物、および口腔用組成物に関する。
唾液は、以下に示す多くの機能を有する:(1)抗菌作用、(2)口腔内の湿潤化・粘膜保護・洗浄作用、(3)舌運動の円滑化、(4)食塊形成を助けるなど、食物の咀嚼嚥下の円滑化、(5)味覚の補助(味物質の溶媒としての作用)、(6)消化機能、(7)胃液中和作用など。したがって、唾液分泌が減少すると、う蝕や歯周病などの口腔感染症が増え、歯の喪失や口臭の原因となるばかりでなく、口腔内の痛み、会話困難、食物誤嚥の増加、味覚障害、逆流性食道炎などの上部消化器障害の誘発など、生活の質(QOL)は多面的に低下することとなる。
口腔乾燥症(ドライマウス;xerostomia)は患者数が多く、我が国では800万人以上の潜在患者がいる可能性が指摘されている。特に高齢者において口腔内乾燥は日常的に見られる兆候であり、65歳以上の高齢者の3割弱は常時自覚しているとの調査結果がある。その多くは唾液分泌量が減少・欠乏していると考えられる。
口腔乾燥症(ドライマウス;xerostomia)は患者数が多く、我が国では800万人以上の潜在患者がいる可能性が指摘されている。特に高齢者において口腔内乾燥は日常的に見られる兆候であり、65歳以上の高齢者の3割弱は常時自覚しているとの調査結果がある。その多くは唾液分泌量が減少・欠乏していると考えられる。
唾液分泌が減少する原因は、精神的ストレスや唾液腺の加齢変化、シェーグレン症候群や糖尿病など多様であるが、若年者に比べると有病率の高い高齢者では、薬物による副作用や放射線治療による唾液腺の破壊など、医療原性のものが占める割合が高いと言われている。一般的な降圧剤、抗ヒスタミン薬、過活動膀胱治療薬(抗コリン剤)など、唾液分泌を低下させる薬物は数多く身近に存在する。頭頸部がん自体は頻度の高い悪性腫瘍ではないが、放射線が効きやすいものが多く、臓器や機能の温存が他の部位に比べて極めて重視されるため、放射線治療を受ける新規患者数は全世界で年間50万人、国内では1.8万人程度にのぼるとみられている。放射線照射で破壊された唾液腺は極めて再生し難く、照射法によっては、前述の口腔機能の低下は非可逆的である。
にもかかわらず、口腔乾燥症に対する有効な対策は多いとはいえない。人工唾液や、副交感神経を刺激して唾液分泌を促すピロカルピン塩酸塩、セビメリン塩酸塩などの医薬品は、味の悪さ、適応の狭さ(シェーグレン症候群と、頭頸部癌における放射線照射による唾液腺分泌障害のみ)、副作用(多汗、嘔気)などといった問題がある。服用中の薬物と作用がぶつかる可能性もある。そのため、頻繁に水を飲む、ジェルやスプレーなどの口腔内保湿剤を使う、唾液腺をマッサージするなどといった対処法が一般にとられるが、有効性や持続性は十分ではない。
薬物以外の唾液分泌量を増加させる手段としては、酸味やうま味を用いて、味覚的に刺激を与える方法(特許文献1、非特許文献1)や、嗅覚的に刺激を与える方法(非特許文献2)が知られている。また、唾液分泌促進作用を有する植物抽出物(特許文献1)や、ペプチド(特許文献2)、ポリグルタミン酸又はその塩(特許文献3)、ヌクレオチド(特許文献4)を使用する方法などが提案されている。他の唾液分泌促進物質との併用も含めて最も頻用される有機酸の場合、効果が投与直後の数分間しか持続しないことや、酸蝕による歯面へのダメージ、酸味により用途が限定されるなどの問題がある。その他の物質についても、効果の強さや持続性、味の優劣に関する情報は乏しく、摂取後の吸収性や、唾液腺への集積の有無など、作用機序の推定や安全性の評価に有益な情報が開示されているものはほぼ皆無である。
薬物以外の唾液分泌量を増加させる手段としては、酸味やうま味を用いて、味覚的に刺激を与える方法(特許文献1、非特許文献1)や、嗅覚的に刺激を与える方法(非特許文献2)が知られている。また、唾液分泌促進作用を有する植物抽出物(特許文献1)や、ペプチド(特許文献2)、ポリグルタミン酸又はその塩(特許文献3)、ヌクレオチド(特許文献4)を使用する方法などが提案されている。他の唾液分泌促進物質との併用も含めて最も頻用される有機酸の場合、効果が投与直後の数分間しか持続しないことや、酸蝕による歯面へのダメージ、酸味により用途が限定されるなどの問題がある。その他の物質についても、効果の強さや持続性、味の優劣に関する情報は乏しく、摂取後の吸収性や、唾液腺への集積の有無など、作用機序の推定や安全性の評価に有益な情報が開示されているものはほぼ皆無である。
上述した様に、ポリグルタミン酸又はその塩が唾液分泌促進作用を持つことは知られているが、その他のアミノ酸のポリマーや、アミノ酸単体が唾液分泌におよぼす影響についてはあまり知られていない。経口投与したD−セリンが正常マウスの唾液分泌量を上昇させることが最近報告されているが(非特許文献3)、D−セリンには腎毒性が知られている(非特許文献4)ため、実用上の問題がある。放射線照射による主な有害作用に口腔粘膜炎および唾液腺機能障害があるが、D−メチオニンがこれらを軽減すること、ならびに、アカゲザルを用いたPET解析により、D−メチオニンがこれらの部位に集積し易く、生物学的半減期も長いことが示唆されている(非特許文献5)。しかしながら、こうした放射線防護効果以外に、D−メチオニン自身が唾液分泌量を調節するか否かについては全く知られていない。
Sasano et al., Flavour (2015), 4: 10
東岡ら、老年歯学 (2014), 29: 3
Yoshikawa et al., The 2nd International Conference of D-Amino Acid Research (2014), 21
Krug A.W., et al., Am J. Physiol. Renal Physiol., (2007), 293: F382
吉川ら、日薬理誌 (2013), 141: 310
Visser W.F., et al., J. Chromatogr. A (2011), 1218: 7130
本発明は、安全、効果的で、かつ口腔用組成物や食品組成物に配合してもその味を損なうことがない、新規な唾液分泌促進剤の提供を目的とする。
本発明者らは、上記の課題について鋭意研究を進めた結果、D−メチオニンが用量依存的に唾液分泌を促進し、その効果が光学特異的であることを見出した。また、D−メチオニン以外にも、D−アラニン、D−プロリン、D−スレオニン、D−トリプトファン等にも同様の効果があることを見出した。これらの知見に基づき、本発明者らは本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下に関する。
1.D-, DL-メチオニン、D-, DL-アラニン、D-, L-, DL-プロリン、D-, L-, DL-スレオニン、D-, L-, DL-トリプトファン、及びこれらの塩からなる群から選択される1種以上のアミノ酸を有効成分として含有する唾液分泌促進剤。
2.アミノ酸が、D-アラニン、D-, L-, DL-プロリン、D-, L-, DL-スレオニン、及びこれらの塩からなる群から選択される前記1項記載の唾液分泌促進剤。
3.前記1又は2項記載の唾液分泌促進剤を含有する、唾液分泌低下に関連する状態又は疾患の予防、改善又は治療用組成物。
4.前記状態又は疾患が、ドライマウス、口渇感、会話の困難さ、食物の咀嚼・嚥下のしにくさ、口臭、嚥下障害、誤嚥性肺炎、味覚障害、歯周病又はう蝕である、前記3項記載の組成物。
5.口腔用又は経口投与用である、前記3又は4項記載の組成物。
6.食品の形態である、前記3又は4項記載の組成物。
すなわち、本発明は以下に関する。
1.D-, DL-メチオニン、D-, DL-アラニン、D-, L-, DL-プロリン、D-, L-, DL-スレオニン、D-, L-, DL-トリプトファン、及びこれらの塩からなる群から選択される1種以上のアミノ酸を有効成分として含有する唾液分泌促進剤。
2.アミノ酸が、D-アラニン、D-, L-, DL-プロリン、D-, L-, DL-スレオニン、及びこれらの塩からなる群から選択される前記1項記載の唾液分泌促進剤。
3.前記1又は2項記載の唾液分泌促進剤を含有する、唾液分泌低下に関連する状態又は疾患の予防、改善又は治療用組成物。
4.前記状態又は疾患が、ドライマウス、口渇感、会話の困難さ、食物の咀嚼・嚥下のしにくさ、口臭、嚥下障害、誤嚥性肺炎、味覚障害、歯周病又はう蝕である、前記3項記載の組成物。
5.口腔用又は経口投与用である、前記3又は4項記載の組成物。
6.食品の形態である、前記3又は4項記載の組成物。
本発明は、唾液分泌量を効果的に増加させることができるもので、これにより、口渇感や会話の困難さ、食物の咀嚼・嚥下のしにくさ、口臭の発生等を解消し得る。また、う蝕、歯周病、口腔粘膜の痛みなどを予防することもできる。本発明は、その有効成分がアミノ酸であることから、副作用が生じにくいという点で安全性に優れる。また、D−アミノ酸は、L−アミノ酸とは異なり、苦みが少ないため、口腔用組成物や食品組成物としてもその味を損なうことがなく摂取し易い。DL−メチオニン、DL−アラニン、DL−スレオニン、DL−トリプトファンは食品添加物(指定添加物)として認可されており、食品組成物としての適性が高く、経済的にも利用し易い。また本発明者らは、経口投与後のD−メチオニンの血中濃度が速やかに上昇すること、唾液腺への高レベルな集積が起こることを今回見出したことから、本発明により、速やか、かつ持続的な効果が期待できる。
本発明の唾液分泌促進剤は、有効成分として、D-, DL-メチオニン、D-, DL-アラニン、D-, L-, DL-プロリン、D-, L-, DL-スレオニン、D-, L-, DL-トリプトファン、及びこれらの塩からなる群から選択される1種以上のD-アミノ酸を含むことを特徴とする。このうち、D-メチオニン、D-アラニン、D-, L-プロリン、D-, L-スレオニン、D-, L-トリプトファン、及びこれらの塩が好ましい。本発明の唾液分泌促進剤を摂取、又は口に含むことにより、唾液分泌量を高めることができる。
本発明において用いられるD−アミノ酸としては、化学的に合成されるもの、あるいは動物や植物に由来する天然のもの、発酵法、酵素法、遺伝子組み換え法によって得られるもののいずれであってもよい。具体的には、例えば、D−メチオニンは、ラセミ体の分別晶析法およびクロマトグラフィーによる光学分割法、有機化学的な不斉合成法で製造することができる。また、微生物酵素を用いて、N−アセチル−DL−メチオニンを不斉加水分解する製造法、5−メチルチオエチルヒダントインを不斉加水分解する製造法、D−N−カルバモイル−α−アミノ酸を加水分解する製造法などが知られている。また、例えば、D−アラニンは、Brevibacterium属、またはCorynebacterium属に属するD−アラニン生産菌、またはそれらの変異株を用いた発酵法や、アラニンラセマーゼを用いてL−アラニンを酵素的に変換することにより製造することができる。
本発明において用いられるD−アミノ酸としては、化学的に合成されるもの、あるいは動物や植物に由来する天然のもの、発酵法、酵素法、遺伝子組み換え法によって得られるもののいずれであってもよい。具体的には、例えば、D−メチオニンは、ラセミ体の分別晶析法およびクロマトグラフィーによる光学分割法、有機化学的な不斉合成法で製造することができる。また、微生物酵素を用いて、N−アセチル−DL−メチオニンを不斉加水分解する製造法、5−メチルチオエチルヒダントインを不斉加水分解する製造法、D−N−カルバモイル−α−アミノ酸を加水分解する製造法などが知られている。また、例えば、D−アラニンは、Brevibacterium属、またはCorynebacterium属に属するD−アラニン生産菌、またはそれらの変異株を用いた発酵法や、アラニンラセマーゼを用いてL−アラニンを酵素的に変換することにより製造することができる。
本発明の唾液分泌促進剤に含まれるアミノ酸は、D体(例:D−メチオニン、D−アラニン)、またはそれぞれのアミノ酸の鏡像異性体であるL体との混合物(例:DL−メチオニン、DL−アラニン)のいずれであってもよい。
本発明において用いられるアミノ酸は、遊離体のみならず、塩の形態であってもよい。塩の形態としては、酸付加塩や塩基との塩等を挙げることができ、薬理学的に許容される塩を選択することが好ましい。そのような塩としては、例えば、無機酸との塩、有機酸との塩、無機塩基との塩、有機塩基との塩が挙げられる。無機酸との塩としては、例えば、ハロゲン化水素酸(塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸等)、硫酸、硝酸、リン酸等との塩が、有機酸との塩としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、クエン酸等との塩が、無機塩基との塩としては、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属との塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属との塩、アンモニウムとの塩等が、有機塩基との塩としては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、エタノールアミン、モノアルキルエタノールアミン、ジアルキルエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等との塩が挙げられる。このうち、カルシウム等の無機塩基との塩が好ましい。
本発明において用いられるアミノ酸は、遊離体のみならず、塩の形態であってもよい。塩の形態としては、酸付加塩や塩基との塩等を挙げることができ、薬理学的に許容される塩を選択することが好ましい。そのような塩としては、例えば、無機酸との塩、有機酸との塩、無機塩基との塩、有機塩基との塩が挙げられる。無機酸との塩としては、例えば、ハロゲン化水素酸(塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸等)、硫酸、硝酸、リン酸等との塩が、有機酸との塩としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、クエン酸等との塩が、無機塩基との塩としては、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属との塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属との塩、アンモニウムとの塩等が、有機塩基との塩としては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、エタノールアミン、モノアルキルエタノールアミン、ジアルキルエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等との塩が挙げられる。このうち、カルシウム等の無機塩基との塩が好ましい。
本発明の唾液分泌促進剤は、有効成分のみからなるのもよく、あるいは、唾液分泌促進作用が知られている既知の化合物と併用してもよい。唾液分泌促進作用が知られている既知の化合物としては、クエン酸や乳酸などの有機酸、グルタミン酸、セリン、ポリグルタミン酸、ヌクレオチド、プロタミンペプチドなどが例示される。
本発明の唾液分泌促進剤は、製剤上の必要に応じて、適宜の薬学的に許容される担体を配合して、自体公知の方法により医薬として製剤化されていてもよい。薬学的に許容される担体としては、例えば、賦形剤、結合剤、滑沢剤、溶剤、崩壊剤、溶解補助剤、懸濁化剤、乳化剤、等張化剤、安定化剤、無痛化剤、防腐剤、抗酸化剤、矯味矯臭剤、着色剤等が挙げられる。
本発明の唾液分泌促進剤は、製剤上の必要に応じて、適宜の薬学的に許容される担体を配合して、自体公知の方法により医薬として製剤化されていてもよい。薬学的に許容される担体としては、例えば、賦形剤、結合剤、滑沢剤、溶剤、崩壊剤、溶解補助剤、懸濁化剤、乳化剤、等張化剤、安定化剤、無痛化剤、防腐剤、抗酸化剤、矯味矯臭剤、着色剤等が挙げられる。
賦形剤としては、乳糖、ブドウ糖、D−マンニトールなどの糖類、でんぷん類、結晶セルロースなどのセルロース類などの有機系賦形剤、炭酸カルシウム、カオリンなどの無機系賦形剤などが、結合剤としては、α化デンプン、ゼラチン、アラビアゴム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、D−マンニトール、トレハロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールなどが、滑沢剤としては、ステアリン酸、ステアリン酸塩などの脂肪酸塩、タルク、珪酸塩類などが、溶剤としては、精製水、生理的食塩水などが、崩壊剤としては、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、化学修飾されたセルロースやデンプン類などが、溶解補助剤としては、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、トレハロース、安息香酸ベンジル、エタノール、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、酢酸ナトリウムなどが、懸濁化剤あるいは乳化剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、アラビアゴム、ゼラチン、レシチン、モノステアリン酸グリセリン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース類、ポリソルベート類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などが、等張化剤としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、糖類、グリセリン、尿素などが、安定化剤としては、ポリエチレングリコール、デキストラン硫酸ナトリウム、その他のアミノ酸類などが、無痛化剤としては、ブドウ糖、グルコン酸カルシウム、塩酸プロカインなどが、防腐剤としては、パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸などが、抗酸化剤としては、亜硫酸塩、アスコルビン酸などが、矯味矯臭剤としては、医薬分野において通常に使用される甘味料、香料などが、着色剤としては、医薬分野において通常に使用される着色料が挙げられる。
製剤化された本発明の唾液分泌促進剤の剤形は、特に限定されないが、経口投与用として、例えば、散剤、顆粒剤、カプセル剤、錠剤、チュアブル剤等の固形剤、溶液剤、シロップ剤等の液剤等とすることができる。また、上記剤形は、非経口投与用として、例えば、注射剤、輸液剤、経鼻・経肺用スプレー剤等とすることもできる。
本発明の唾液分泌促進剤は、唾液分泌低下に関連する状態又は疾患の予防、改善又は治療用組成物とすることもできる。前記状態又は疾患としては、精神的ストレス、唾液腺の加齢変化、シェーグレン症候群や糖尿病などの疾病、薬物による副作用や放射線治療による唾液腺の破壊など医療原性によるもの(特に高齢者)など、健常なヒトにも発生する一時的なものから加齢等による恒常的なものまで挙げられる。具体的には、ドライマウス、口渇感、会話の困難さ、食物の咀嚼・嚥下のしにくさ、口臭、嚥下障害、誤嚥性肺炎、味覚障害、歯周病又はう蝕等があげられる。
本発明に係る唾液分泌促進剤は、歯磨き等の口腔用組成物として用いることもできる。本発明の唾液分泌促進剤を口腔用組成物に配合して利用する場合、通常の口腔用組成物に配合される成分を適宜任意に配合することができる。配合される成分は特に限定されないが、粘稠剤、界面活性剤、粘結剤、研磨剤、甘味料、防腐剤、着色剤、香料、各種有効成分等を例示することができる。具体的には、粘稠剤としては、グリセリン、ソルビット、ポリエチレングリコール、キシリット、マンニット等が、界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、α−オレイン酸ナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、アルキロールアミド、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等が、粘結剤としては、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カラギーナン、キサンタンガム、グアガム、ゼラチン等が、研磨剤としては、シリカゲル、アルミノシリケート、第二リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、アルミナ、炭酸マグネシウム等が、甘味料としては、サッカリンナトリウム、ステビア等が、防腐剤としては、パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウム等が、着色剤としては、青色一号、黄色四号等が、香料としては、メントール、リモネン、アネトール等が、各種有効成分としては、フッ化物、水溶性リン酸化合物、塩化リゾチウム、グリチルリチン酸、トラネキサム酸、塩化ストロンチウム、トオキエキス、チョウジエキス、オウゴンエキス、塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。
口腔用組成物の形態は特に限定されないが、歯磨き、洗口剤、口腔用軟膏、うがい用錠剤、トローチ、咀嚼錠、口腔用スプレー等の口腔内に使用して直接唾液の分泌を促進するものが挙げられる。
口腔用組成物の形態は特に限定されないが、歯磨き、洗口剤、口腔用軟膏、うがい用錠剤、トローチ、咀嚼錠、口腔用スプレー等の口腔内に使用して直接唾液の分泌を促進するものが挙げられる。
本発明の唾液分泌促進剤は食品としても有用である。本明細書において「食品」とは、食品全般(飲料を含む)を意味し、サプリメントや、消費者庁の特別用途食品制度に規定される特別用途食品(病者用食品、特定保健用食品)や、機能性表示食品も包含するものである。本発明の唾液分泌促進剤は、口腔内の乾燥を緩和する機能を有する旨の表示を付した組成物として用いることができる。
本発明の唾液分泌促進剤を食品として利用する場合、有効成分のみからなるのもよいが、食品組成物として利用する場合、通常の食品に配合される成分を適宜任意に配合することができる。配合される成分は特に限定されないが、乳脂、牛脂等の動物油、オリーブ油、カカオ油、ゴマ油、大豆油、トウモロコシ油、綿実油等の植物油、ショ糖、果糖、ブドウ糖、パラチノース、フラクトオリゴ糖、デキストリン、アスパルテーム、糖アルコール等の甘味料、安息香酸、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸、プロピオン酸等の保存料、オルトフェニルフェノール、チアベンダゾール等の防カビ剤、アスコルビン酸、エチレンジアミン四酢酸カルシウム二ナトリウム、クエン酸イソプロピル、ジブチルヒドロキシトルエン等の酸化防止剤、あるいはデンプン、増粘剤、ゲル化剤、糊料、食物繊維、うま味調味料、着色料、ビタミン類、食塩、食酢、醤油、香辛料、酵素、着色料等を挙げることができる。
食品組成物の形態は特に限定されないが、キャンディー、飲料、ガム、タブレット、カプセル剤、クッキー、ケーキ、冷菓、ゼリー、パスタ等を例示することができる。
本発明の唾液分泌促進剤を食品として利用する場合、有効成分のみからなるのもよいが、食品組成物として利用する場合、通常の食品に配合される成分を適宜任意に配合することができる。配合される成分は特に限定されないが、乳脂、牛脂等の動物油、オリーブ油、カカオ油、ゴマ油、大豆油、トウモロコシ油、綿実油等の植物油、ショ糖、果糖、ブドウ糖、パラチノース、フラクトオリゴ糖、デキストリン、アスパルテーム、糖アルコール等の甘味料、安息香酸、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸、プロピオン酸等の保存料、オルトフェニルフェノール、チアベンダゾール等の防カビ剤、アスコルビン酸、エチレンジアミン四酢酸カルシウム二ナトリウム、クエン酸イソプロピル、ジブチルヒドロキシトルエン等の酸化防止剤、あるいはデンプン、増粘剤、ゲル化剤、糊料、食物繊維、うま味調味料、着色料、ビタミン類、食塩、食酢、醤油、香辛料、酵素、着色料等を挙げることができる。
食品組成物の形態は特に限定されないが、キャンディー、飲料、ガム、タブレット、カプセル剤、クッキー、ケーキ、冷菓、ゼリー、パスタ等を例示することができる。
本発明の唾液分泌促進剤における上記D−アミノ酸の含有量は、特に限定されるものではなく、本発明の効果を奏するのに必要な量を含有するように適宜調整することができる。上記D−アミノ酸の含有量は、剤形の種類や使用される担体の種類によっても異なるが、製剤や組成物の全重量に対し、例えば0.015〜100重量%であり、好ましくは0.02〜99重量%であり、より好ましくは0.025〜98.5重量%であり、さらに好ましくは0.03〜98重量%である。尚、D−アミノ酸が塩を形成する場合、含有量の計算は、その塩を遊離体に換算した上で行うものとする。
1回あたりの摂取量、使用量又は投与量は、唾液分泌低下の程度等に応じて適宜調整されるが、例えば、0.0003〜0.3g/kg体重となるよう、上記D-アミノ酸を摂取、使用又は投与するのが好ましい。一日当たりの摂取量、使用量又は投与量もまた、唾液分泌低下の程度等により異なるが、例えば、0.02〜18g/成人(体重60kg)であることが好ましい。
1回あたりの摂取量、使用量又は投与量は、唾液分泌低下の程度等に応じて適宜調整されるが、例えば、0.0003〜0.3g/kg体重となるよう、上記D-アミノ酸を摂取、使用又は投与するのが好ましい。一日当たりの摂取量、使用量又は投与量もまた、唾液分泌低下の程度等により異なるが、例えば、0.02〜18g/成人(体重60kg)であることが好ましい。
(実施例1)正常マウスにおけるD−メチオニンの唾液分泌促進効果
材料・方法:
C3H/HeN系雌性マウス(9〜10週齢、18〜22グラム;日本クレア)に対して、D−メチオニン(D-Met)、 L−メチオニン(L-Met)(各200mM;シグマ)、および対照として生理食塩水(saline)を、それぞれ100μLずつゾンデを用いて経口投与した(メチオニン投与量=150mg/kg、各群7匹)。投与後5分目にペントバルビタール(42mg/kg;共立製薬)を腹腔内投与した。さらにその5分後にピロカルピン(0.2mg/kg;ナカライテスク)を皮下投与し、唾液分泌を刺激した。ピロカルピン投与後の30分間に分泌された唾液をヘマトクリット管、および脱脂綿で回収し、唾液重量を測定した。結果は、動物の体重で補正した唾液分泌量の平均値の相対値(対照群=100)で表した。統計解析ソフトはGraphPad Prism(ver.6)を用い、群間平均値はノンパラメトリック検定(Kruskal-Wallis test)で比較した。有意水準は0.05とした。
結果:
図1に示したように、D−メチオニン投与群における唾液分泌量は、対照群よりも37.5%有意に増加した。一方、L−メチオニン投与群ではそのような効果は認められなかった(対照群の79.6%にとどまった)。
材料・方法:
C3H/HeN系雌性マウス(9〜10週齢、18〜22グラム;日本クレア)に対して、D−メチオニン(D-Met)、 L−メチオニン(L-Met)(各200mM;シグマ)、および対照として生理食塩水(saline)を、それぞれ100μLずつゾンデを用いて経口投与した(メチオニン投与量=150mg/kg、各群7匹)。投与後5分目にペントバルビタール(42mg/kg;共立製薬)を腹腔内投与した。さらにその5分後にピロカルピン(0.2mg/kg;ナカライテスク)を皮下投与し、唾液分泌を刺激した。ピロカルピン投与後の30分間に分泌された唾液をヘマトクリット管、および脱脂綿で回収し、唾液重量を測定した。結果は、動物の体重で補正した唾液分泌量の平均値の相対値(対照群=100)で表した。統計解析ソフトはGraphPad Prism(ver.6)を用い、群間平均値はノンパラメトリック検定(Kruskal-Wallis test)で比較した。有意水準は0.05とした。
結果:
図1に示したように、D−メチオニン投与群における唾液分泌量は、対照群よりも37.5%有意に増加した。一方、L−メチオニン投与群ではそのような効果は認められなかった(対照群の79.6%にとどまった)。
(実施例2)D−メチオニンによる唾液分泌促進効果の用量依存性
材料・方法:
実施例1と同様の方法で、生理食塩水、あるいはD−メチオニン(20、60、200、400mM)をそれぞれ100μLずつゾンデで経口投与し、ピロカルピン刺激唾液を30分間にわたり回収した(各群6匹)。結果は、動物の体重で補正した唾液分泌量の平均値の相対値(生理食塩水投与群=100)で表し、GraphPad Prism(ver.6)の非線形回帰機能を用いて用量作用曲線を求めた。
結果:
図2に示したように、唾液分泌量はD−メチオニンの投与量に依存して増加した。50 mg/kg以上の用量で唾液分泌量は有意に増加した。用量作用曲線から求められた50%有効量(ED50)は328.0μg/マウス(約16.4 mg/kg)であった。
材料・方法:
実施例1と同様の方法で、生理食塩水、あるいはD−メチオニン(20、60、200、400mM)をそれぞれ100μLずつゾンデで経口投与し、ピロカルピン刺激唾液を30分間にわたり回収した(各群6匹)。結果は、動物の体重で補正した唾液分泌量の平均値の相対値(生理食塩水投与群=100)で表し、GraphPad Prism(ver.6)の非線形回帰機能を用いて用量作用曲線を求めた。
結果:
図2に示したように、唾液分泌量はD−メチオニンの投与量に依存して増加した。50 mg/kg以上の用量で唾液分泌量は有意に増加した。用量作用曲線から求められた50%有効量(ED50)は328.0μg/マウス(約16.4 mg/kg)であった。
(実施例3)正常マウスにおけるD−アラニンの唾液分泌促進効果
材料・方法:
実施例1と同じ方法で、生理食塩水、および200mMのD、L−アラニンをそれぞれ100μLずつマウスに経口投与し(アラニン投与量=89mg/kg、各群9〜10匹)、その10分後にピロカルピン刺激を与えて分泌された唾液を30分間にわたって回収した。
結果:
図3に示したように、D−アラニン投与群における唾液分泌量は、対照群よりも約56%有意に増加した。一方、L−アラニン投与群では、若干(約22%)上昇する傾向は見られたものの、統計学的に有意な差ではなかった。
材料・方法:
実施例1と同じ方法で、生理食塩水、および200mMのD、L−アラニンをそれぞれ100μLずつマウスに経口投与し(アラニン投与量=89mg/kg、各群9〜10匹)、その10分後にピロカルピン刺激を与えて分泌された唾液を30分間にわたって回収した。
結果:
図3に示したように、D−アラニン投与群における唾液分泌量は、対照群よりも約56%有意に増加した。一方、L−アラニン投与群では、若干(約22%)上昇する傾向は見られたものの、統計学的に有意な差ではなかった。
(実施例4)経口投与したD−メチオニンの生体内動態解析
材料・方法:
C3H/HeN系雌性マウス(9〜10週齢、18〜22グラム)にD、L−メチオニン (各200mM)、生理食塩水をそれぞれ100μLずつゾンデを用いて経口投与した(各群5匹)。投与後7分目に顎骨後部静脈より採血後(終濃度1mg/mLとなるようにEDTA-2Kを添加)、 4℃、1,000 xg、30分間の遠心分離を行ない、上清(血漿)を液体窒素で凍結後、−80℃で保存した。採血後直ちに頸椎脱臼し、耳下腺、顎舌下腺を摘出し液体窒素で凍結後、−80℃で保存した。上記と同じ条件でD、L−メチオニン、および生理食塩水を別個体に経口投与後、5分目にペントバルビタール(42mg/kg)を腹腔内投与して麻酔した。その5分後にピロカルピン(0.2mg/kg)を皮下投与し、その直後に口腔内を生理的食塩液に浸漬した綿で拭った。ピロカルピン刺激により分泌される唾液のうち、ピロカルピン投与後約3分目までの唾液(約10μL)を廃棄し、ピロカルピン投与後3〜30分間に分泌される唾液を回収し、液体窒素で凍結後、−80℃で保存した。
材料・方法:
C3H/HeN系雌性マウス(9〜10週齢、18〜22グラム)にD、L−メチオニン (各200mM)、生理食塩水をそれぞれ100μLずつゾンデを用いて経口投与した(各群5匹)。投与後7分目に顎骨後部静脈より採血後(終濃度1mg/mLとなるようにEDTA-2Kを添加)、 4℃、1,000 xg、30分間の遠心分離を行ない、上清(血漿)を液体窒素で凍結後、−80℃で保存した。採血後直ちに頸椎脱臼し、耳下腺、顎舌下腺を摘出し液体窒素で凍結後、−80℃で保存した。上記と同じ条件でD、L−メチオニン、および生理食塩水を別個体に経口投与後、5分目にペントバルビタール(42mg/kg)を腹腔内投与して麻酔した。その5分後にピロカルピン(0.2mg/kg)を皮下投与し、その直後に口腔内を生理的食塩液に浸漬した綿で拭った。ピロカルピン刺激により分泌される唾液のうち、ピロカルピン投与後約3分目までの唾液(約10μL)を廃棄し、ピロカルピン投与後3〜30分間に分泌される唾液を回収し、液体窒素で凍結後、−80℃で保存した。
アミノ酸分析:
採取した血漿、唾液は内部標準物質を含む含水アセトニトリルと混合し、除タンパクした後に、また、採材した唾液腺は内部標準物質を含む含水メタノール中でホモジネートし、除タンパクした後、(S)-NIFE((S)-N-(4-nitrophenoxycarbonyl)-l-phenylalanine-2-methoxyethyl ester; Santa Cruz Biotechnology)で誘導体化したものを分析サンプルとした。D、L−アミノ酸の分析は既報(非特許文献6)に従い、LC―MS/MSシステムを用いて実施した。
採取した血漿、唾液は内部標準物質を含む含水アセトニトリルと混合し、除タンパクした後に、また、採材した唾液腺は内部標準物質を含む含水メタノール中でホモジネートし、除タンパクした後、(S)-NIFE((S)-N-(4-nitrophenoxycarbonyl)-l-phenylalanine-2-methoxyethyl ester; Santa Cruz Biotechnology)で誘導体化したものを分析サンプルとした。D、L−アミノ酸の分析は既報(非特許文献6)に従い、LC―MS/MSシステムを用いて実施した。
結果:
図4に示したように、L−メチオニン、D−メチオニン共に、投与後7分における血漿(Plasma)、唾液(Saliva)、顎舌下腺(SMG/SLG)、耳下腺(PG)中のメチオニンレベルは各々大きく上昇した。もともと組織中レベルが低いD−メチオニンは、D−メチオニン投与による上昇率が約700(唾液)〜10,000倍(血漿)に達した。血漿中のD−メチオニン濃度は投与7分後に約1.8mMに達し、L−メチオニン投与時のL−メチオニンレベル(約0.96 mM)を有意に上回った(P=0.0079、Mann-Whitney U test)。同様に、唾液腺中のD−メチオニンレベルも、L−メチオニン投与後のL−メチオニンレベルを上回る傾向が見られた。このことから、経口投与されたD−メチオニンは血中に吸収され易く、構造変化を伴うことなく、唾液腺に著量集積することが明らかとなった。
図4に示したように、L−メチオニン、D−メチオニン共に、投与後7分における血漿(Plasma)、唾液(Saliva)、顎舌下腺(SMG/SLG)、耳下腺(PG)中のメチオニンレベルは各々大きく上昇した。もともと組織中レベルが低いD−メチオニンは、D−メチオニン投与による上昇率が約700(唾液)〜10,000倍(血漿)に達した。血漿中のD−メチオニン濃度は投与7分後に約1.8mMに達し、L−メチオニン投与時のL−メチオニンレベル(約0.96 mM)を有意に上回った(P=0.0079、Mann-Whitney U test)。同様に、唾液腺中のD−メチオニンレベルも、L−メチオニン投与後のL−メチオニンレベルを上回る傾向が見られた。このことから、経口投与されたD−メチオニンは血中に吸収され易く、構造変化を伴うことなく、唾液腺に著量集積することが明らかとなった。
(実施例5)正常マウスにおけるプロリンの唾液分泌促進効果
材料・方法:
実施例1と同じ方法で、生理食塩水、および200mMのD、L−プロリンをそれぞれ100μLずつマウスに経口投与し(プロリン投与量=115.1mg/kg、各群9匹)、その10分後にピロカルピン刺激を与えて分泌された唾液を30分間にわたって回収した。
結果:
図5に示したように、D−プロリン投与群における唾液分泌量は、対照群よりも有意に増加した。また、L−プロリン投与群においても、統計学的に有意な上昇が認められた。
材料・方法:
実施例1と同じ方法で、生理食塩水、および200mMのD、L−プロリンをそれぞれ100μLずつマウスに経口投与し(プロリン投与量=115.1mg/kg、各群9匹)、その10分後にピロカルピン刺激を与えて分泌された唾液を30分間にわたって回収した。
結果:
図5に示したように、D−プロリン投与群における唾液分泌量は、対照群よりも有意に増加した。また、L−プロリン投与群においても、統計学的に有意な上昇が認められた。
(実施例6)正常マウスにおけるスレオニンの唾液分泌促進効果
材料・方法:
実施例1と同じ方法で、生理食塩水、および200mMのD、L−スレオニンをそれぞれ100μLずつマウスに経口投与し(スレオニン投与量=119.1mg/kg、各群9匹)、その10分後にピロカルピン刺激を与えて分泌された唾液を30分間にわたって回収した。
結果:
図6に示したように、D−スレオニン投与群における唾液分泌量は、対照群よりも有意に増加した。また、L−スレオニン投与群においても、統計学的に有意な上昇が認められた。
材料・方法:
実施例1と同じ方法で、生理食塩水、および200mMのD、L−スレオニンをそれぞれ100μLずつマウスに経口投与し(スレオニン投与量=119.1mg/kg、各群9匹)、その10分後にピロカルピン刺激を与えて分泌された唾液を30分間にわたって回収した。
結果:
図6に示したように、D−スレオニン投与群における唾液分泌量は、対照群よりも有意に増加した。また、L−スレオニン投与群においても、統計学的に有意な上昇が認められた。
(実施例7)正常マウスにおけるトリプトファンの唾液分泌促進効果
材料・方法:
実施例1と同じ方法で、生理食塩水、および200mMのD、L−トリプトファンをそれぞれ100μLずつマウスに経口投与し(トリプトファン投与量=204.2mg/kg、各群9匹)、その10分後にピロカルピン刺激を与えて分泌された唾液を30分間にわたって回収した。
結果:
図7に示したように、D−トリプトファン投与群における唾液分泌量は、対照群よりも有意に増加した。また、L−トリプトファン投与群においても、統計学的に有意な上昇が認められた。
材料・方法:
実施例1と同じ方法で、生理食塩水、および200mMのD、L−トリプトファンをそれぞれ100μLずつマウスに経口投与し(トリプトファン投与量=204.2mg/kg、各群9匹)、その10分後にピロカルピン刺激を与えて分泌された唾液を30分間にわたって回収した。
結果:
図7に示したように、D−トリプトファン投与群における唾液分泌量は、対照群よりも有意に増加した。また、L−トリプトファン投与群においても、統計学的に有意な上昇が認められた。
Claims (6)
- D-, DL-メチオニン、D-, DL-アラニン、D-, L-, DL-プロリン、D-, L-, DL-スレオニン、D-, L-, DL-トリプトファン、及びこれらの塩からなる群から選択される1種以上のアミノ酸を有効成分として含有する唾液分泌促進剤。
- アミノ酸が、D-アラニン、D-, L-, DL-プロリン、D-, L-, DL-スレオニン及びこれらの塩からなる群から選択される請求項1記載の唾液分泌促進剤。
- 請求項1又は2記載の唾液分泌促進剤を含有する、唾液分泌低下に関連する状態又は疾患の予防、改善又は治療用組成物。
- 前記状態又は疾患が、ドライマウス、口渇感、会話の困難さ、食物の咀嚼・嚥下のしにくさ、口臭、嚥下障害、誤嚥性肺炎、味覚障害、歯周病又はう蝕である、請求項3記載の組成物。
- 口腔用又は経口投与用である、請求項3又は4記載の組成物。
- 食品の形態である、請求項3又は4記載の組成物。
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- 2017-02-10 JP JP2017023056A patent/JP2018127427A/ja active Pending
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