本発明の目的は、簡単な構造で自然エネルギーから発電する発電機を提供することである。その目的を実現するために、本発明は、簡単な構造で回転運動エネルギーを電気エネルギーに変換する回転体を用いた発電機であり、複数の永久磁石が配置された永久磁石搭載板状体、および複数のコイルが配置されたコイル搭載板状体を含む回転式板状体発電機であり、コイル搭載板状体の両底面に配置された永久磁石搭載板状体(永久磁石搭載板状体A、永久磁石搭載板状体B)がコイル搭載板状体に対して相対的に回転することによって、コイル搭載板状体に搭載されたコイルを横切る磁界が変化することによって、コイルに発生する誘導電流を利用して発電する発電機に関する。本発明は、本発明者が発明した特願2015−048882に記載の発明を発展させたものであり、特願2015−048882に記載の内容は本発明に矛盾しない限り適用できるものとする。
図1は、羽根板212を外側に取り付けた連結回転体211に対して複数の発電機を取り付けて、発電効率を高めた本発明の発電機の実施形態を示す図である。回転する円板体の底面に垂直方向から見た図である。連結回転体211は回転軸213と連結しており、羽根板212が流体(水、風、潮、波等)の力(水力、風力、潮力、波力等)を受けて回転すると、羽根板212と一緒に連結回転体211も回転し、連結回転体211の軸である回転軸213が回転する。回転軸213の左右両側に回転歯車214、224が連結している(これらは一体で動く)ので、羽根板212および回転軸213の回転に合わせて回転歯車214、224も回転する。回転歯車(大歯車と称する)214、224に対して、それらよりも半径の小さな(歯数の小さな)歯車215、225が噛み合って接続し、これらの小歯車の回転軸216、226に発電機217に備わる複数の永久磁石を搭載した永久磁石搭載円環体(円板体、板状体としても良い)220、230が取り付けられている。尚、ここでは、小歯車215、225が大歯車214、224に直接噛み合って接続しているが、これらの間に段階的に歯数を小さくした歯車を介在させても良い。この場合は、小歯車215、225が大歯車214、224に間接的に(噛み合って)接続している。
発電機217は、発電機筐体(ケース)218(218−1、2、3、4)内に収納され、複数の(発電用)コイルを搭載した発電用コイル搭載円環体(円板体、板状体としても良い)219および永久磁石搭載円環体220を備えている。発電用コイル搭載円環体219は、複数の発電用コイルを搭載しており、発電機筐体(ケース)218に固定されており、発電用コイル搭載円環体219の中心部には小歯車回転軸216を通す穴があいている。小歯車回転軸216は発電用コイル搭載円環体219には接触せず回転する。永久磁石搭載円環体220は、小歯車回転軸216と一緒に回転し、発電用コイル搭載円環体219に対して回転し、発電用コイル搭載円環体219に搭載されたコイルで発電できる。
発電機筐体(ケース)218(218−1、2、3、4)内部は外部環境の影響を受けないように気密状態になっていることが望ましい。たとえば、外部環境に存在する湿気や水分、ゴミ、埃等の異物、汚染気体等は発電機を劣化させる恐れがあるので、これらが発電機筐体(ケース)218(218−1、2、3、4)内部へ侵入しないようにする。小歯車回転軸216が通る発電機筐体壁218−1および発電機筐体壁218−4の部分には、穴が空いているが、スムーズに回転しかつ外部環境と遮断できるようにボールベアリング等のシール部材221が配置されている。発電機217において、固定された発電用コイル搭載円環体219の両側に永久磁石搭載円環体220が配置され、それらが繰り返し多数配置される。連結回転円板体211に大きな負荷を与えて回転が発電できないくらいに遅くならない限り、多数の発電用コイル搭載円環体219および永久磁石搭載円環体220を配置して、大きな発電ができるようにすることが望ましい。
また、同じ構造の発電機217を回転させる小歯車215を大歯車214の他の場所に噛み合わせて接続することもできる。図1では右側の上下に2つ配置しているが、連結回転円板体211に大きな負荷を与えて回転が発電できないくらいに遅くならない限り、配置可能な場所に配置して、大きな発電ができるようにすることが望ましい。尚、多数の発電機217を配置しておき、連結回転円板体211の回転力が大きい時には多数の発電機217を回転できるようにし、連結回転円板体211の回転力が小さくなったときには、その回転力に対応して、大歯車214に接続する小歯車215の幾つかを大歯車214から外して回転させないようにすることもできる。これらは、連結回転円板体211の回転力を計測しておきコンピューター等で自動制御しても良い。
連結回転円板体211と大歯車214の間に遮蔽板(遮蔽ケース)241を配置して、水分や湿気等が大歯車214側へ侵入しないようにしても良い。それらの侵入をできるだけ防止するために、連結回転円板体211の回転軸213を通る遮蔽板(遮蔽ケース)241に空いた穴に、スムーズに回転しかつ外部環境と遮断できるようにボールベアリング等のシール部材221を配置することもできる。
図1の左側の小歯車225に通り付けられた発電機231も、発電機217と同様な構造であり、発電用コイル搭載円環体229の両側に永久磁石搭載円環体230配置されたものが多数並べて、発電効率を高めている。発電用コイル搭載円環体229は発電機筐体壁228に固定されており、その中央部に空いた穴に小歯車225の回転軸226が通り、その小歯車回転軸226に永久磁石搭載円環体230が取り付けられており、小歯車回転軸226と一緒に回転する。発電機231も発電機筐体壁228の内部に気密に収納されており、外部環境の影響を受けないようになっている。大歯車224に複数の小歯車225および小歯車回転軸226および発電機231も複数配置して、さらに発電能力を高めている。また、大歯車224、小歯車225、発電機231を含む全体が、保護ケース232の内部に気密に収納されており、これらの発電機システム全体が、外部環境の影響を受けないようになっている。図1の左側に取り付けた大歯車224は右側に取り付けた大歯車214より小型であるが、連結回転円板体211の回転力に対応して大歯車214および224のサイズを決定して、最適化すれば良い。また、小歯車225に通り付けられた発電機231システムの大きさや配置する数も適宜選択することができる。
大歯車224の半径をR1、歯数をN1、小歯車215の半径をr1、n1とする。大歯車224と小歯車215は噛み合っているので、歯車のピッチは同じとすれば、R1/N1=r1/n1となる。大歯車224が1回転すると、小歯車はN1/n1=R1/r1回転する。たとえば、R1=10r1とすれば、大歯車224が1回転すると小歯車は10回転する。すなわち連結回転円板体211の回転数が少なくても連結する歯車や接続する歯車のサイズを変えることによって発電機側の永久磁石搭載円環体の回転数を大きくすることができ、発電能力を増大することができる。図1では、小歯車回転軸に取り付けた回転体は永久磁石搭載円環体(または円板体)であるが、永久磁石搭載円環体(または円板体)を固定(例えば、発電筐体(ケース)に)して、コイル搭載円環体(または円板体)を小歯車回転軸に取り付けて、小歯車回転軸と一緒にコイル搭載円環体(または円板体)を回転させても良い。永久磁石搭載円環体(または円板体)とコイル搭載円環体(または円板体)のうち、トータルで重量が軽い方を小歯車回転軸に取り付けることが望ましい、同じ小歯車の回転力に対して発電力を高めることができる。永久磁石も重量当たりの磁力の大きなものを採用することが望ましい。
尚、図1の発電機システムでは歯車で接続する回転調整機構を用いたが、歯車以外の回転調整機構でも良い。たとえば、ベルト接続でも良い。すなわち、連結回転円板体211に連結した大きな円板体(半径R3)にベルトを巻き付け、発電機側の小さな円板体(半径r3)に同じベルトを巻き付けることによって、それぞれの円板体の半径比に応じた回転数を得ることができる。すなわち、連結回転円板体211の1回転に対して、発電機側の円板体の回転はR3/r3となり、大きな回転を得ることができる。これらは円環体や円板体と称しているが、板状体でも良いし、その外形形状は回転に支障がない限り、三角形、四角形、多角形、円形、楕円形、任意の曲線形状等種々の形状を取ることができる。
発電用コイル搭載円環体の構造はコイル端面が発電用コイル搭載円環体の底面に近接して底面側を向いて配置されており、コイル軸が発電用コイル搭載円環体の底面に略垂直方向を向いている。永久磁石搭載円環体の構造は永久磁石の磁極面が永久磁石搭載円環体の底面側を向き、かつ永久磁石搭載円環体の底面に近接して配置され、永久磁石の軸の方向(垂直磁界方向)は永久磁石搭載円環体の底面と略垂直方向になるように配置される。永久磁石搭載円環体に搭載された永久磁石の中心は永久磁石搭載円環体の回転中心軸に対して(図1では、たとえば小歯車の回転軸216)略同心円上に複数配列される。発電用コイル搭載円環体の底面は永久磁石搭載円環体の底面と略平行に配置されており、永久磁石搭載円環体が回転しても発電用コイル搭載円環体に接触しない。また、本発明では発電用コイル搭載円環体の両底面(底面は2つある)側に配置される2つの永久磁石搭載円環体の間で磁界が生じているが、これら2つの永久磁石搭載円環体の距離が近いほど磁界が強ので、永久磁石搭載円環体と発電用コイル搭載円環体の距離も、回転による接触がない限り小さい方が望ましい。
また永久磁石搭載円環体の底面側にある磁極において、略円または略同心円上に複数配列された隣接する磁極は逆極になるように配置するのが良い。また、発電用コイル搭載円環体を挟んでその両側にある永久磁石搭載円環体に配置された永久磁石の磁極も逆極になるように配置される。この状態は図1に示され、またたとえば図4に詳細に示されている。発電用コイル搭載円環体に複数搭載されたコイル(図1では、たとえば、236、240)も略円または略同心円上に複数配列される。この円や同心円の中心は永久磁石搭載円環体の永久磁石の円や同心円の中心とほぼ一致するように配列するのが良い。この状態は図1に示され、またたとえば図4に詳細に示されている。永久磁石搭載円環体が回転軸216と一緒に回転すると永久磁石(図1では、たとえば、235、239)は発電用コイル搭載円環体に複数搭載されたコイルの端面を横切るように回転する。発電用コイル搭載円環体を挟んでその両側にある永久磁石搭載円環体に配置された永久磁石同士による磁界方向は、隣接する永久磁石同士で逆になっているので、発電用コイル搭載円環体に搭載されたコイルに生じる磁界方向は正方向から逆方向へサイクル的に変化する。従って、コイルには誘導起電力が発生しコイルにサイクル的に電流が流れる。すなわち、発電する。
最外側に配置するものは、図1の発電機217に示すように永久磁石搭載円環体220でも良いし、発電機244に示すように、永久磁石を搭載した発電用コイル搭載円環体でも良い。永久磁石を搭載した発電用コイル搭載円環体222(222−1、2)において、コイル234、238が複数同心円状に配置され、コイルの一方の端面は発電用コイル搭載円環体の底面に近接して配置され、かつ永久磁石搭載円環体の底面側を向いている。コイルの他方の端面に近接して永久磁石が配置され、同心円状に配列した隣接する永久磁石の磁極は逆極になるように配置する。これらの永久磁石は回転せず、固定されている。この場合もコイルを通る磁界が正方向から逆方向へサイクル的に変化するので、コイルに起電力が発生し電流が発生する。永久磁石搭載円環体に搭載される隣接する永久磁石の磁極は逆極になっているので、コイル搭載円板体を挟んだ両側の永久磁石搭載円板体の間で、向かい合った永久磁石間(たとえば、永久磁石A、Bとする)では引力が働くが、その永久磁石(たとえば、永久磁石A)と、それと向かい合った永久磁石(たとえば、永久磁石Aに対して永久磁石B)に隣接する永久磁石(これを永久磁石B−1、B−2とする)との間では斥力が働くので、両側の永久磁石搭載円板体で見れば、全体としてこれらの引力または斥力が相殺し合い、両側の永久磁石搭載円板体の間には永久磁石による力は非常に小さくなる。すなわち、コギングトルクが軽減され、永久磁石搭載円板はスムーズに回転し、発電効率が向上する。
発電機217は、小歯車回転軸216が取り付けられる発電機筐体(ケース)218−1、4に面した永久磁石搭載円環体220の片側に発電用コイル搭載円環体219が配置されていない。これに対して、発電機244は、すべての永久磁石搭載円環体220の両面に発電用コイル搭載円環体219が配置されているので、発電機217に比較して発電機244は発電能力が大きい。発電機筐体(ケース)218−1側に配置された発電用コイル搭載円環体222(222−1)には、他の発電用コイル搭載円環体219と異なり、コイル234の一方に永久磁石233が配置される。コイル234に面した永久磁石233の極性と、コイル234に面した永久磁石搭載円環体220に配置された永久磁石235の極性は、永久磁石搭載円環体220の回転により同極から逆極へサイクル的に変わり、コイル234に生じる磁界が変化するので、コイル234に電気が発生する。
このような永久磁石も搭載した発電用コイル搭載円環体は永久磁石を搭載しない発電用コイル搭載円環体に比べて重量が大きくなるが、図1に示す場合は、発電用コイル搭載円環体は固定されているので、その重量が永久磁石搭載円環体220の回転に影響を与えることはない。また、発電機筐体(ケース)218−4側に配置された発電用コイル搭載円環体222(222−2)には、他の発電用コイル搭載円環体219と異なり、コイル238の一方に永久磁石242が配置される。コイル238に面した永久磁石242の極性と、コイル238に面した永久磁石搭載円環体220に配置された永久磁石239の極性は、永久磁石搭載円環体220の回転により同極から逆極へサイクル的に変わり、コイル238に生じる磁界が変化するので、コイル238に電気が発生する。
尚、発電用コイル搭載円環体219にはコイル236や240が多数配置されている。両側の発電用コイル搭載円環体222(222−1、2)の中央付近には回転軸216が通る軸穴が空いている。発電機217と244はそれらの構造が少し異なっているが、当然同じ構造の発電機を搭載しても良い。尚、発電用コイル搭載円環体を回転軸216に取り付けて回転させて、永久磁石搭載円環体を固定するようにしても(すなわち、発電用コイル搭載円環体と永久磁石搭載円環体の関係を逆にしても)、コイルに電流が発生することも言うまでもない。
コイル同士の間の磁芯の形状を変化させてコイル内に発生する磁界の大きさを変化させる方法について説明する。図2は、コイルの間の磁芯の形状を変化させた実施形態を示す図である。図2は、コイル同士(コイル421および425)の間の接続磁芯429(距離d5)の形状をコイル421の磁芯(コア)424およびコイル425の磁芯(コア)428の形状と異なるものを用いた実施形態である。すなわち、磁芯(コア)424および磁芯(コア)428の形状は円柱形状であり、磁芯429の形状も円柱形状(円板状)であるが、両側の磁芯424、428よりも半径が大きい。いわば、中央部分にコイルサイズより大きな円板体が配置された、中心部に円板体を有する上下(左右)対称のコマ状コイルと言える。このような形状にするとコイル同士の間で磁界が大きく変化するので、大きな起電力が発生する。また、このような形状の磁芯は左右の径の小さな磁芯に巻かれたコイル配線(たとえば、銅線)で押さえた状態になっているので、磁芯は動かないようにできる。
コイル421の両端子422と423の間で誘導電流が流れ、コイル425の両端子426と427の間で誘導電流が流れるが、隣接する端子423および426を接続することもでき、この場合、端子422と427の間で電流が流れる。尚、この場合の円柱(円板)状磁芯429は、円柱形状の磁芯424および428の間に円柱(円板)状の磁芯429を接続して作製することができる。尚、図2において、コイルに使用される磁芯と隣接するコイル同士の間に存在する接続磁芯は同じ材料として説明してきたが、異なる材料でも良い。図2だけでなく、本発明に用いるコイルに使用される磁芯(コア)は軟磁性材料が望ましい。たとえば、コア材料は鉄、純鉄、鉄系合金、フェライト、パーマロイ、ケイ素鋼、アモルファス磁性合金、センダスト等である。透磁率の高い材料ほどコイル内の磁束密度が大きくなる。が、接続磁芯は軟磁性材料ではなく、これまでに記載してきた非磁性材料や各種絶縁体材料(プラスチック等)でも良い。
コイルに磁芯(コア)を用いる場合は、図2に示すようにコイル端面から離してコイル内部で終点するようにすることが望ましい。永久磁石はコイル端面に近づくので、磁芯(コア)が余り永久磁石に近いと永久磁石に引き寄せられ、永久磁石搭載円板体とコイル搭載円板体が接触する危険性がある。図2に示すコイルとは異なる通常のコイルの場合は(たとえば、コイル421や425)、コイルに挿入されるコアはコイルの両端面より内側に存在するようにすることが望ましい。また、コイル配線は電流が流れやすい材料で磁性体でない材料、たとえば銅や金、アルミ、これらを含む合金が良い。当然のことであるが、コイル配線は密着して巻かれるので、コイル配線同士は接触しても電流が流れないように、コイル配線を絶縁膜(体)で被覆するのが良い。
図2に示すコイルは、図1や図3に示すような回転円板体発電機に使用することができる。図3は、回転円板体発電機に図2に示したコマ状コイル452を適用した実施例を示す図である。すなわち、図3は、コイル452を搭載したコイル搭載円環(円板)状体451の両底面に一定距離で離間し永久磁石455、456を搭載した永久磁石搭載円環体(円板体)453、454を配置した回転円板状発電機である。コマ状コイル452はコイル搭載円環(円板)状体451の両底面にコマ状コイル452の軸が略直角方向になるように複数配置される。複数のコイル452は同心円状(中心が同じである円環状)に配置されている。コマ状コイル452の中心部の円板状磁芯はコイル搭載円環(円板)状体451の両底面に平行に配置される。
永久磁石搭載円環体(円板体)453、454は基本的に同じ構造であり、多数の永久磁石が同心円状(中心が同じである円環状)に配置されている。また、同心円状に配列した隣接する永久磁石455、456は互いに磁極が逆となっている。コイル搭載円環(円板)状体451のコイルが配置された同心円と永久磁石搭載円環体(円板体)453、454の永久磁石が配置された同心円の径はほぼ同じであり、その中心もほぼ一致する。永久磁石搭載円環体(円板体)453、454の中心は同じ回転軸で固定されており、コイル搭載円環(円板)状体451は固定されている場合、永久磁石搭載円環体(円板体)453、454が回転軸の回りに回転すると永久磁石搭載円環体(円板体)453、454に配置された永久磁石は、コイル搭載円環(円板)状体451に配置されてコイルの底面上を回転していく。
このとき、永久磁石による磁界がコイル内で変化するので、コイルに誘導電流(誘導電力)が発生する。コイルの中央にある磁芯によって磁界の変化が大きくなるので、コイル内の磁界変化も大きくなり誘導起電力も大きくなる。また、中央部の大きな円板状の磁芯が永久磁石搭載円環体(円板体)453、454に配置した永久磁石に両側から均等にひかれるのでコギングトルクも小さくなる。コマ状コイル452のコイル内に挿入されたコアの外側端面(底面)はコイル端面から離してコイル配線内部にあり、コイル端面の外側には出ないようにしている。これは、既述したように永久磁石に強く引かれて永久磁石搭載円環体(円板体)とコイル搭載円環体(円板体)が接触しないようにすること、および回転を抑制させないようにするためである。磁芯は鉄等の軟磁性材料が望ましい。コアが軟磁性体材料であれば、コイルで発生する磁束は増大する。たとえば、コア材料は鉄、純鉄、鉄系合金、フェライト、パーマロイ、ケイ素鋼、アモルファス磁性合金、センダスト等である。透磁率の高い材料ほどコイル内の磁束密度が大きくなる。
尚、図2では通常のコイル457も載せている。コイルの両端面はコイル搭載円板体の底面に一致するか近接して配置されることが望ましく、永久磁石に近い方が望ましい。また、コイル軸はコイル搭載円板体の底面に略垂直方向になるように配置することが望ましい。(このことはコマ状コイルに関しても同様である。)このようにコマ状コイルと通常コイルを混在させて配置することもできる。通常コイル457にはコアが挿入されていないが、当然コアを挿入しても良い。そのときは、コアは通常コイルの両端面から離してコイル配線の内側に配置するのが良い。個々のコイルは同時に同じ方向に電流が流れる分けではないので、たとえば各コイルに整流素子を接続して、各コイルに発生する電流を整流し、電流の向きを一定方向に揃えることによって電流ロスをなくすことができる。このようにコイル105に誘起される電流の向きを一方向に整流することによって、各コイルの特性、各永久磁石の特性、これらの部品の配置を厳密にそろえる必要はなくなるので、発電機の製造が簡単となり、コストを低減することもできる。
本発明では、図3に示すように永久磁石搭載円板体で配置される永久磁石は同心円上で隣接する永久磁石の磁極(面)は底面で逆極になっている。たとえば、図3において、永久磁石搭載円板体453に配置される永久磁石456(456−1)のコイル搭載円板体451の側の磁極(N極)は、対面する永久磁石搭載円板体454に配置される永久磁石456(456−2)のコイル搭載円板体451の側の磁極(S極)は、逆極同士である。従って、永久磁石456(456−1)と永久磁石456(456−2)の間には引力が作用する。永久磁石搭載円板体454に配置される永久磁石456(456−2)の隣接する永久磁石455(455−2)および永久磁石458(458−2)は永久磁石456(456−2)と逆極(コイル搭載円板体451の側の磁極はN極)であるから、永久磁石456(456−1)とこれらの永久磁石{永久磁石458(458−2)および永久磁石455(455−2)}との間では斥力(反発力)が作用する。同様に、永久磁石456(456−2)と、永久磁石搭載円板体453における永久磁石456(456−1)の隣接する永久磁石{永久磁石458(458−1)は永久磁石455(455−1)}との間では斥力(反発力)が作用する。すなわち、対面する永久磁石間では引力が作用し、それらの永久磁石と、対面する永久磁石の隣接する永久磁石の間では斥力が作用しているので、引力と斥力が相殺され、全体としてコイル搭載円板体を挟んだ永久磁石搭載円板体では永久磁石による引力または斥力は非常に小さくなる。従って、コギングトルクが軽減されて、永久磁石の回転が抑制されずスムーズになるので、発電効率が高まる。
図4は、回転円板体発電機の他の実施形態を示す図である。図4(a)は、図1に示す回転円板体発電機217、231に類似した回転円板体発電機を示す図である。回転軸は破線494で示され、永久磁石搭載円板体457、458の中心に固定されて取り付けられている。コイル搭載円板体(または円環体)459は発電機筐体(ケース)等に固定されて動かないようになっている。本実施形態では、コイル490は、そのコイル軸がコイル搭載円板体459の底面に直角方向になるように、配置されている。他の言い方をすれば、コイル490の両底面はコイル搭載円板体459の底面に平行である。また、コイル搭載円板状体459には永久磁石は配置していない。コイル490の両底面(端面)は永久磁石に近い方が良いので(永久磁石間の距離が小さくなり磁界の強度が大きくなるので、回転するときに磁界の強度変化が大きくなり、コイルの発電量が増大する)コイル端面はコイル搭載円板体の底面に略平行であり、コイル搭載円板体の底面に一致するか近接することが望ましい。
永久磁石搭載円板体457、458において、永久磁石491、492、493の磁極面は永久磁石搭載円板体457、458の底面に平行に配置されている。永久磁石搭載円板体457、458の底面はコイル搭載円板状体459の底面と平行であるから、永久磁石491、492、493の磁極面は、コイル搭載円板状体459の底面に平行である。永久磁石は、コイル搭載円板状体を向いて、互いに向かい合った永久磁石(底面側)の磁極が交互に逆になるように配置されている。すなわち、永久磁石491と永久磁石493はそれらの磁極が逆となっている。また、同じ永久磁石搭載円板体では、隣接する永久磁石の磁極は交互に逆になるように配置されている。すなわち、永久磁石491と永久磁石492はそれらの磁極が逆となっている。永久磁石搭載円板体457と永久磁石搭載円板体458は、それらの磁極面が互いに逆に(S極に対してはN極、N極に対してはS極)になるように配置され、回転軸に固定されていて同時に回転するので、回転軸が回転しても永久磁石搭載円板体457の磁極と永久磁石搭載円板体458磁極の関係は変化しない。
すなわち、永久磁石搭載円板体457の磁極と永久磁石搭載円板体458磁極との間で磁界が発生するが、隣接する永久磁石では、磁界の方向が逆になっている。永久磁石搭載円板体は回転するから、それらの間にあるコイル搭載円板状体459に配置されてコイル490内の磁界が正常磁界から逆磁界へと変化し、さらに逆磁界から正常磁界へサイクル的に変化する。従って、コイルに誘導起電力が発生し、コイル配線に電気(電力)が生じ、発電する。複数のコイルに発生する電流(電力)を集めることによって、大きな電流(電力)を発生させることができる。これまでに説明したように、コイルにコア(磁芯)を挿入することにより発生する磁界を大きくすることができ、発生する電流も増大させることができる。特に、コアは軟磁性体材料が望ましく、たとえば、コア材料は鉄、純鉄、鉄系合金、フェライト、パーマロイ、ケイ素鋼、アモルファス磁性合金、センダスト等である。透磁率の高い材料ほどコイル内の磁束密度が大きくなる。また、前述したように、コイルにコアが挿入されている場合、コアの外端面(底面)はコイル端面から離して内側に留めるのが望ましい。
図4(b)は、コイル搭載円板体の一方の底面に面した永久磁石搭載円板体の底面の状態を示す図である。たとえば、コイル搭載円板体459の左側の底面側に向いた永久磁石搭載円板体457の底面の状態を示す図である。永久磁石搭載円板体460はその中心に回転軸462に固定されており、永久磁石搭載円板体460の底面461において、その中心部に取り付けた回転軸462を中心とした同心円465、466、467上に永久磁石463、464が(好適には等間隔に)配置されている。また、同心円状に配置された永久磁石において、隣接する永久磁石463、464は磁極が逆になっている。すなわち、コイル搭載円板体左側の底面側に向いた永久磁石搭載円板体460の底面461において、隣接する永久磁石は逆極の磁極が交互に配列している。当然、永久磁石搭載円板体460の他方の底面(裏底面)側の表面を向いた永久磁石は逆極になるので、永久磁石搭載円板体460の他方の底面(裏底面)側の多数の永久磁石も同心円状に配列され、隣接する永久磁石も逆極の磁極が交互に配列している。
図4(c)は、コイル搭載円板体の底面の状態を示す図である。たとえば、コイル搭載円板体459の底面の状態であり、両底面(底面は2つある)とも同じ状態であり、コイル搭載円板体480の底面481において、その中心部は円形状の中心部穴483が空いており、その中に回転軸482が通っている。この回転軸482は回転軸462と同じである。(図4(a)の回転軸494とも同じ。)コイル搭載円板体480の底面481において、コイルの底面(端面)484も同心円状(485、486、487)に(好適には、等間隔に)配置されている。この同心円の半径(485、486、487)は永久磁石搭載円板体460の底面461における同心円(465、466、467)とほぼ同じ半径であり、回転軸462(482)を中心に永久磁石搭載円板体460が回転すると、永久磁石搭載円板体460に配置された永久磁石463、464がコイルの底面484に配置されたコイルの底面(端面)上を動く。回転軸482はコイル搭載円板体の底面の中心部にあって回転するので、中心部穴483もコイル搭載円板体の底面の中心を中心として回転軸482の大きさよりも大きなサイズで空いているので、回転軸482がコイル搭載円板体に接触することはない。コイルには磁芯が挿入されていても良い。磁芯が存在すると生じる磁界が大きくなり、コイルに発生する電流も大きくなる。
図4(d)は、コイル搭載円板体の他方の底面に面した永久磁石搭載円板体の底面の状態を示す図である。たとえば、コイル搭載円板体459の右側の底面側に向いた永久磁石搭載円板体458の底面の状態を示す図である。永久磁石搭載円板体470はその中心に回転軸472に固定されており、永久磁石搭載円板体470の底面471において、その中心部に取り付けた回転軸472を中心とした同心円475、476、477上に永久磁石473、474が(好適には等間隔に)配置されている。また、同心円状に配置された永久磁石において、隣接する永久磁石473、474は磁極が逆になっている。すなわち、コイル搭載円板体の右側の底面側に向いた永久磁石搭載円板体470の底面471において、隣接する永久磁石は逆極の磁極が交互に配列している。図4(b)に示す永久磁石搭載円板体460の反対底面の状態が図4(d)に示す永久磁石搭載円板体470の底面の状態と考えて良い。すなわち、図4(b)に示す永久磁石搭載円板体460の底面461における永久磁石463(N極)の逆極が図4(d)に示す永久磁石搭載円板体470の底面471における永久磁石473(S極)となっている。図4(b)に示す永久磁石搭載円板体460の底面461における永久磁石464(S極)の逆極が図4(d)に示す永久磁石搭載円板体470の底面471における永久磁石474(N極)となっている。また、回転軸472は回転軸462(482、494)とほぼ(略)同じであり、同心円475、476、477の半径も同心円465、466、467、および同心円485、486、487の半径とほぼ(略)同じである。図4(b)、(d)では、底面側の永久磁石の形状は矩形で記載しているが、他の形状でも良い。たとえば、円形、三角形、多角形、楕円形である。また、隣接する永久磁石は離間して配置しているが、隙間なく配置しても良い。尚、離間して配置した方が斥力と引力のバランスを取り易いのでコギングトルクを低減できる。永久磁石搭載円板体が所望の回転数で回転できれば、コイルの数は多い方が発電力は大きくなるので、同心円の数も多い方が望ましい。図4(a)において、最外側に配置されている永久磁石搭載円板体はコイル搭載円板体と一体となっていても良い。たとえば、図1の発電機244に示すコイル搭載円板体222で示されている。また、円や同心円は完全な円や完全な同心円でなくても良く、多少のゆがみがあっても良い。(これを略円(当然、円も含む)や略同心円(当然、同心円も含む)とも言う。尚、本明細書(請求項を含む)で単に円や同心円と記載した場合でも略円や略同心円も含む。)永久磁石やコイルは正確に円や同心円上に配置されていなくても良く、多少ずれて配置されていても良い。すなわち、永久磁石やコイルが円や同心円上に配置されているという記載は多少ずれて配置されている場合も含み、本明細書(請求項を含む)の他の記載においても同様である。(略円や略同心円についても同様である。)尚、永久磁石搭載円板体に搭載される永久磁石は1つの円周に配列されるだけで発電に十分であれば同心円でなくても1つの円だけでも良い。また、コイル搭載円板体に搭載されるコイルは1つの円周に配列されるだけで発電に十分であれば同心円でなくても1つの円だけでも良く、本明細書(請求項を含む)の他の記載においても同様である。さらに、永久磁石が円や同心円上に配置されているとは、永久磁石の中心(磁界の中心、面積的な中心や重心でも良い)だけでなく、永久磁石の一部が円や同心円上に配置されていることも含み、コイルが円や同心円上に配置されているとは、コイル軸だけでなくコイルの一部が円や同心円上に配置されている場合も含み、これらは本明細書(請求項を含む)の他の記載においても同様である。
また、図4(b)および図4(d)に記載しているように、同心円で配列している永久磁石について、隣接する同心円(たとえば、図4(b)では465、466、467、図4(d)では475、476、477)同士の間でも隣接する永久磁石の磁極も(できるだけ)逆極になるように配置することが望ましい。このように配置することによって、コイル搭載円板体を挟んだ両側の永久磁石搭載円板体の間で、向かい合った永久磁石間(たとえば、永久磁石A、Bとする)では引力が働くが、その永久磁石(たとえば、永久磁石A)と、向かい合った永久磁石(たとえば、永久磁石Aに対して永久磁石B)に隣接する永久磁石(これを永久磁石B−1、B−2とする)との間では斥力が働くので、両側の永久磁石搭載円板体で見れば、全体としてこれらの引力または斥力が相殺し合い、両側の永久磁石搭載円板体の間には永久磁石による力は殆ど働かなくなる。すなわち、コギングトルクが軽減され、永久磁石搭載円板はスムーズに回転することができる。尚、特に回転や発電に支障がなければ(あるいはあっても)、永久磁石やコイルは円や同心円上だけでなく他の位置に配置されても良い。
永久磁石搭載円板体460および永久磁石搭載円板体470は回転軸462(472)と一体となり回転するので、永久磁石搭載円板体460、470は軽い方が良い。また、永久磁石搭載円板体の重量は小さい方が回転しやすいから、永久磁石の重量当たりの永久磁石の磁力の強さは大きい方がよい。従って、永久磁石を搭載する部分以外の材料は軽い方が良く、極端に言えばなくても良い。たとえば、図6等に示すような円環状(すなわち、永久磁石が搭載される部分は円環部分である)であり、同心円状であれば、同心円状の円環がフレームで接続されている。また、永久磁石以外の永久磁石搭載円板体(円環状体)の材料は軽くて強度が高い材料が望ましい。たとえば、木材、FRP等のプラスチック、セルロースナノファイバー(CNF)、炭素系材料等の軽い材料や、金属であればアルミニウムやチタニウムやこれらの各種合金が良い。軽量になれば少ない力で回転させることができるので、多数の円板体を小歯車に搭載できる。また、永久磁石搭載円板体(円環状体)の外側形状は必ずしも円形でなくとも良く、多角形や楕円形等の曲線形状、これらの組合せ形状でも良く、一まとめで言えば板状体でも良い。ただし、この板状体は回転するので、回転モーメントが均一な方が良いので、円形形状や対称形状が望ましい。
また、回転中に外側ケース等に接触しないようにすることは言うまでもない。また、コイル搭載円板体は回転せず固定しているので、必ずしも円板体である必要はなく任意の形状の各種板状体でも良い。材料節約や軽量化のためには、コイルを搭載する部分およびそれらを支持する部分があれば良いので、その他の部分は敢えて備えなくても良い。すなわち穴空き板状体でも良い。たとえば、円環体やフレーム体(フレームでコイルが固定されている)でも良い。尚、永久磁石搭載円板体(円環状体、板状体)を固定して、コイル搭載円板体を回転するようにしても良い。その場合、コイル搭載円板体(円環状体、板状体)や永久磁石搭載円板体(円環状体、板状体)についても上記と同様である。尚、本明細書の図1〜図7に示した円環体や円板体と記載したものについても、固定されているものも回転するものに関しても特に問題(たとえば、回転に支障が出ることなど)がなければ任意の形状の板状体で良く、その板状体は強度に問題なければ隙間(空間)が空いていても良い。(ここで板状体は、望ましくは厚みがほぼ一定のものである。)
図5は、図4に示す回転円板状体発電機を軽量化した回転円板状体発電機を示す図である。図4と類似する部材は同じ番号を付している。図5(a)に示すように、永久磁石搭載円板状体457、458に搭載されている永久磁石491、492、493は、永久磁石搭載円板状体を厚み方向に貫き永久磁石搭載円板状体の厚みより長くなっている。回転軸は破線494で示されている。永久磁石491、492、493は永久磁石搭載円板状体の厚み方向においてほぼ中央に配置されるのが良い。永久磁石搭載円板状体は回転するので、その回転により永久磁石搭載円板状体が変形せず、しかも搭載する永久磁石を確実に固定できれば、永久磁石搭載円板状体は軽い方が良く、厚みも薄い方が良い。また、コイル搭載円板状体459に搭載されているコイル490は、コイル搭載円板状体を厚み方向に貫きコイル搭載円板状体の厚みより長くなっている。コイル490はコイル搭載円板状体459の厚み方向において中央付近に配置されるのが良い。コイル搭載円板状体459は回転しないが、材料節約のために、永久磁石搭載円板状体によりコイル搭載円板状体が変形せず、コイルを確実に固定できればコイル搭載円板状体は軽い方が良く、厚みも薄い方が良い。(逆に、コイル搭載円板状体が回転し、永久磁石搭載円板状体が固定する場合は、コイル搭載円板状体と永久磁石搭載円板状体の記載を上記において取り換えれば良い。)
図5で重要なことは、コイル490の両端面が永久磁石491、493の磁極(磁極面:磁極面とは永久磁石の磁極S、N極の表面である)と略平行になっている。コイル搭載円板状体459を挟んで永久磁石搭載円板状体457、458に搭載された互いに逆極の磁極は近いほど磁界が強くなるので、コイルに発生する誘導電流が大きくなるから、コイル490の両端面と永久磁石491、493の磁極(磁極面)は近い方が良い。ただし、コイル搭載円板状体または永久磁石搭載円板状体はその中心軸の周りにお互いに対して回転するので、接触しない程度に近づければ良い。
図5(b)は、永久磁石搭載円板状体460を回転軸462方向から見た模式図である。この永久磁石搭載円板状体460は図5(a)における永久磁石搭載円板状体457、458と同じと考えて良い。永久磁石463(磁極(面)N極)と永久磁石464(磁極(面)S極)が回転軸462を中心とする同心円465、466、467上に交互に(すなわち、逆極同士で)配列している。図4(b)と異なるのは、永久磁石搭載円板状体460が完全な板状ではなく、永久磁石のない所で、永久磁石の支持に不要な所は空間468にしてできるだけ軽くしたものである。図5(b)に示す永久磁石搭載円板状体460の裏側は、同形であるが、永久磁石の所は表側と逆極になっている。図5(b)に示す形状は一例であるから、永久磁石の形状や、永久磁石搭載円板状体の外形や内形等の形状をさらに変化させても良い。
図5(c)は、コイル搭載円板状体480を回転軸482方向から見た模式図である。このコイル搭載円板状体480は図5(a)におけるコイル搭載円板状体459と同じと考えて良い。コイル484が回転軸482を中心とする同心円485、486、487上に交互に(すなわち、逆極同士で)配列している。図4(c)と異なるのは、コイル搭載円板状体480が完全な板状ではなく、コイルのない所で、コイルの支持に不要な所は空間488にしてできるだけ軽くしたものである。図5(c)に示すコイル搭載円板状体480の裏側は、同形である。図5(c)に示す形状は一例であるから、コイルの形状や、コイル搭載円板状体の外形や内形等の形状をさらに変化させても良い。
図5(d)は、永久磁石搭載円板状体470を回転軸472方向から見た模式図である。この永久磁石搭載円板状体470は図5(a)における永久磁石搭載円板状体457、458と同じと考えて良い。永久磁石474(磁極(面)N極)と永久磁石473(磁極(面)S極)が回転軸472を中心とする同心円475、476、477上に交互に(すなわち、逆極同士で)配列している。図4(d)と異なるのは、永久磁石搭載円板状体480が完全な板状ではなく、永久磁石のない所で、永久磁石の支持に不要な所は空間478にしてできるだけ軽くしたものである。図5(d)に示す永久磁石搭載円板状体480の裏側は、同形であるが、永久磁石の所は表側と逆極になっている。図5(d)に示す形状は一例であるから、永久磁石の形状や、永久磁石搭載円板状体の外形や内形等の形状をさらに変化させても良い。図5(d)は図5(b)の表と裏の関係と言うこともできる。上記では円板状体と記載しているが、外形は必ずしも円形である必要はないので、一般的な名称として板状体と称することもできる。尚、図5に示すように、永久磁石の磁極(面)とコイル端面が略平行であれば良いので、板状体は必ずしも一定厚みでなくても良いが、板状体の作製上はほぼ一定厚みが作製しやいであろう。
また、図5(b)は図5(a)における永久磁石搭載円板状体457、図5(d)は図5(a)における永久磁石搭載円板状体458、図5(c)は図5(a)におけるコイル搭載円板状体459と考えても良い。すなわち、永久磁石搭載円板状体460と永久磁石搭載円板状体470は回転軸462(472)に固定されており、回転軸462(472)が回転すると永久磁石搭載円板状体460および470は一緒に回転し、コイル搭載円板状体480は固定しているので、コイル搭載円板状体480に対して永久磁石搭載円板状体460および470が回転する。永久磁石搭載円板状体460および470の同心円、コイル搭載円板状体480の同心円の半径はほぼ同じで、それらの同心円の中心軸(462、472、482)はほぼ一致するので、永久磁石搭載円板状体460および470の永久磁石{の磁極(面)}は、コイル搭載円板状体480のコイル端面上を回転しながら横切る。永久磁石搭載円板状体460および470の永久磁石{の磁極(面)}は逆極でしかも常に対面(コイル搭載円板状体480を挟んで)しているから、隣接する永久磁石において磁界の向きが逆になっている。その磁界は、コイル端面に対して(コイル搭載円板状体480(の底面481)がコイル端面に対して略平行であれば、コイル搭載円板状体480(の底面481)に対して)ほぼ垂直になっているので、永久磁石搭載円板状体460および470が一緒に回転すると、コイルを正磁界(N極からS極方向とする)から逆磁界(S極からN極方向とする)がサイクル的に変化するから、コイルに誘導電流が流れ、これらのコイルに流れる電流を合わせれば大きな電流を得ることができる。
図6は、発電用コイル搭載円環体の他の実施形態を示す図である。図6(a)は回転軸656方向から見た発電用コイル搭載円環体650の正面図であり、図6(b)は回転軸656方向に対して垂直方向から見た発電用コイル搭載円環体650および永久磁石搭載円板体665の状態を示す図である。図6に示す発電用コイル搭載円環体650は、内側に内周円板体652、外側に外周リング(円環)653を有し、その間をフレーム654(内側フレーム)で接続し、また発電用コイル搭載円環体650の中心部(内周円板体652の中心部)には小歯車回転軸656(図1における216、226と同じ)を通す穴655が空いている。発電用コイル搭載円環体650は、発電機筐体(ケース)(図1における218、228)に固定されており(たとえば、固定部材661で)、回転する小歯車回転軸656には接触しないようになっている。外周リング(円環)653の複数の部分にコイル657が取り付けられている。コイル657の軸{磁心(コア)}は2つ(657−1or2−1、2)あり、それらの軸の周りにコイル配線658が巻かれている。
コイル657の軸は図27(b)から分かるように、発電用コイル搭載円環体650の厚み方向であり、小歯車回転軸656の軸方向と一致する。発電用コイル搭載円環体650において、外周リング(円環)653の両底面側にコイル657(657−1、2)が配置されており、コイル657(657−1、2)の一方の端面は、外周リング(円環)653の両底面を向いており、外周リング(円環)653の両底面にほぼ近接しかつほぼ平行に配置されている。コイル657(657−1、2)の他方の端面は、永久磁石搭載円板体665(665−1、2)の底面側を向いており、永久磁石搭載円板体665(665−1、2)の底面にほぼ近接しかつほぼ平行に配置されている。コイル657(657−1)の2つの軸(657−1−1、1−2)は、発電用コイル搭載円環体650に接続しており、発電用コイル搭載円環体650の底面にほぼ垂直に配置されている。コイル配線658は、これらの2つの軸(657−1−1、1−2)の周りに巻かれており、コイル657(657−1)を構成している。コイル配線658の巻き方は図27と異なりコイル配線は交叉しない。コイル軸(657−1−1、1−2)が絶縁体でない場合は、コイル配線は被覆されており、コイルに発生する電流がコイル軸(657−1−1、1−2)の方に流れないようにする。
発電用コイル搭載円環体650の材料は、磁性体の方が磁界は強くなり、発生電流は大きいが、非磁性体でも良い。ただし、発電用コイル搭載円環体650の材料が磁性体の場合は、コイル657(657−1)が配置される部分は磁性体材料651であるが、隣接するコイル657(657−1)が配置される部分(磁性体である)との間に非磁性体材料659を配置するのが良い。すなわち、磁性体材料651と非磁性体材料659は交互に配置されて、磁性体材料651の磁界が隣の磁性体材料651に影響を与えないようにする。2つの軸(657−1−1、1−2)は、鉄、ニッケル等の磁性体の方が磁界は強くなり、発生電流は大きいが、非磁性体でも良い。コイル配線は必要に応じて複数回重ねて巻かれている。発電用コイル搭載円環体650は固定されているので、重くても小歯車回転軸656の回転には影響を与えないので、巻き数が大きいほど発電量が大きくなる。発電用コイル搭載円環体650に配置されるコイル657の数も多いほど発電量が大きくなる。従って、発電用コイル搭載円環体650の空間部分をなくした円板体にして、それらの部分にもコイル557を配置しても良い。磁性体材料は、たとえば、鉄、純鉄、鉄系合金、フェライト、パーマロイ、ケイ素鋼、アモルファス磁性合金、センダスト等である。透磁率の高い材料ほどコイル内の磁束密度が大きくなる。非磁性体材料は、たとえば、プラスチック、セラミック、木材、非磁性体金属材料(たとえば、非磁性ステンレス、チタン系材料、アルミニウム系材料、銅系材料)等が挙げられる。
コイル657(657−2)は発電用コイル搭載円環体650のもう一つの底面側に配置されており、2つの軸(657−2−1、2−2)の周りにコイル配線が巻かれており、上記にコイル657(657−1)について説明した内容が適用される。コイル657−1および557−2はコイル配線がひとつなぎにしても良いが、同じ方向に電流が流れるように接続する。コイル657−1および557−2のコイル配線を集めて大きな電流を得るようにする。永久磁石搭載円板体665は発電用コイル搭載円環体650およびコイル657の一端面に略平行に配置される。永久磁石搭載円板体665は回転するが、永久磁石搭載円板体665が発電用コイル搭載円環体650やコイル657に接触しないようにし、永久磁石662や663は発電用コイル搭載円環体650に配置されているコイル657の端面にできるだけ近づけるようにすることが望ましい。
永久磁石搭載円板体665には複数の永久磁石(662、667)が搭載されており、発電用コイル搭載円環体650に搭載されたコイル端面と同程度の大きさ(面積)で配置することが望ましい。発電用コイル搭載円環体650の両側に永久磁石搭載円板体665(たとえば、665−1、2)が配置され、永久磁石搭載円板体665−1に配置された永久磁石(662、667)の配置状態は永久磁石搭載円板体665−2に配置された永久磁石(663、668)と同じ配置状態にする。すなわち、永久磁石搭載円板体665−1に配置された永久磁石(662、667)の発電用コイル搭載円環体650を向いた磁極(図6(b)ではS極(662)とN極(667))と、永久磁石搭載円板体665−2に配置された永久磁石(663、668)の発電用コイル搭載円環体650を向いた磁極(図6(b)ではN極(663)とS極(668))は対面するように配置する。このように配置することによって、これらの永久磁石間に大きな磁界が発生している。また隣接する永久磁石間の磁界の向きは逆になる。さらに、永久磁石が配置されていない所は磁界が弱い。従って、永久磁石搭載円板体665は小歯車回転軸に固定されているから、永久磁石搭載円板体665が回転すると発電用コイル搭載円環体650のコイル部分に生じる磁界は強くなったり弱くなったりし、また磁界の向きが逆転する。すなわち、コイルを横切る磁界がサイクル的に変化するので、コイル657に大きな電流が発生する。これらの電流を集めることによって、大きな電流を得ることができる。永久磁石搭載円板体665の回転数が大きくなると一般的には発電量も大きくなるが、配列する永久磁石やコイルの数や大きさや面積、強さに応じて、最適な回転数が存在する場合がある。
コイル軸657−1−1等の材料が磁性体であり、コイル657−1等が配置される発電用コイル搭載円環体650の部分651が磁性体の場合は、磁界が発電用コイル搭載円環体650の部分651でさらに強まるので発電量が大きくなる。図6では発電用コイル搭載円環体650に配置されたコイル657は発電用コイル搭載円環体650の両底面側で分離して配置されているが、発電用コイル搭載円環体650の厚み部分を貫いて配置することもできる。すなわち、コイル軸657−1−1と657−2−1、コイル軸657−1−2と657−2−2は一体となっても良い。この場合、コイル配線658は一体となりコイル657−1と657−2も一体となっている。コイル配線は発電用コイル搭載円環体650の厚み部分においても一体となっているコイル軸657−1−2と657−2−2およびコイル軸657−1−2と657−2−2の間で巻かれている。また、この場合は発電用コイル搭載円環体650の材料は非磁性体で良い。
ここで、永久磁石搭載円板体665に配置される永久磁石の磁極端面も永久磁石搭載円板体665に配置されたコイル端面の近くに配置すると良い。永久磁石搭載円板体665−1に配置された永久磁石662と永久磁石搭載円板体665−2に配置された永久磁石663の距離が近くなるので、発生する磁界も大きくなる。すなわち、永久磁石662の厚みと永久磁石搭載円板体665の円板体の厚みが同程度であることが望ましい。(尚、永久磁石が完全に永久磁石搭載円板体内にない場合は、永久磁石が永久磁石搭載円板体より飛び出ていても良い。)尚、永久磁石搭載円板体665は回転するので、できるだけ軽い方が良い。永久磁石搭載円板体665に配置する永久磁石は軽くて磁力が大きいものが良い。また、永久磁石を支える部材も軽くすることが望ましい。永久磁石搭載円板体665の構造も軽くなるものが良く、たとえば、永久磁石を配置する部分以外はできるだけない方が良い。たとえば、円環体でも良い。尚、永久磁石搭載円板体665を固定して、発電用コイル搭載円環体650を回転させても良い。特に、回転する部分はできるだけ軽い方が良いので、発電用コイル搭載円環体650が永久磁石搭載円板体665より軽くなるならば、永久磁石搭載円板体665を固定して、発電用コイル搭載円環体650を回転させるのが良い。尚、永久磁石に搭載する隣接する永久磁石は逆極でなくとも永久磁石搭載円板体665が回転すると磁界は変化するので、コイルに電流が発生する。尚、コイル軸657−1−1、2と657−2−1、2の端面側(永久磁石と対面する側)は非磁性体であっても良い。すなわち、コイル配線の内側は磁性体材料にして、永久磁石に近い方は非磁性体材料とする。あるいは、コイル軸657−1−1、2と657−2−1、2がコイル配線の外側に出ないようにし、またはコイル軸657−1−1、2と657−2−1、2の先端部がコイル配線の端面から内側の方に留めるようにする。このようにすることによって、永久磁石によってコイル軸657−1−1、2と657−2−1、2が永久磁石側へ引きつけられるのを防止でき、コイルが永久磁石または永久磁石搭載円板体と接触することを防止できる。
図7は、羽根板および連結回転体を連結した状態を示す一実施形態である。複数の羽根板502が連結回転体501の円周面に等間隔に取り付けられている。羽根板502の取り付け状態が分かり易いように斜視図で示している。図8に示した羽根板支持円環体がないので簡単な構造となっており、また、羽根板502は連結回転体501に溶接で接続することができるので、作製が容易である。連結回転体501の中心には回転軸穴503があいており、回転軸をこの穴に通し溶接やボルト結合などにより回転軸と連結回転体501を一体とすることにより、羽根板502が力を受けたときに連結回転体501および回転軸が一緒に回転する。図9で示すような羽根板付き連結回転体500は、重量も軽くでき回転抵抗力を少なくすることができる。
以上詳細に説明した様に、本発明は、コイルの両端に近接して永久磁石を配置し、これらを円板体および円環体に配置させ、円板体または円環体を回転させることによりコイルに発電させる回転円板状発電機である。本発明はさらにコギングトルクを低減するために永久磁石の配置を工夫して、発電能力を高めている。
尚、明細書の各部分に記載し説明した内容を記載しなかった他の部分においても矛盾なく適用できることに関しては、当該他の部分に当該内容を適用できることは言うまでもない。また、円板体または円環体という語句については、特にその構造でなければ適用できない場合を除き、どちらにも適用できるものに関しては、どちらの語句を適用しても良く、その場合、円環体は円板体を含み、円板体は円環体を含むものとする。円、円環体や円板体等の語句を使用した場合、これらの用語は矛盾しない限り、円、円環体や円板体等に近い形状のものも含まれる。さらに、既述したように本発明は円板体や円環体と記載したものについても、種々の板状体についても適用できるので、一般的に板状体と考えることもできる。さらに、上記実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施でき、本発明の権利範囲が上記実施形態に限定されないことも言うまでもない。