以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
以下の実施形態の移動体管理システムは、一例として、工場や建築現場等の作業場所に導入され、作業員の動向や機器の所在管理に用いられる。また、移動体管理システムは、一例として、ショッピングモール等の商業施設やテーマパーク等の娯楽施設に導入され、施設を訪れる来場者等の動向を調べるために用いられる。また、移動体は、発信端末、発信端末の近傍に位置する人物や物体、その他の移動体を含んでよい。
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態における移動体管理システム5の構成の概略を示す図である。移動体管理システム5は、1つ以上の発信端末10と、1つ以上の中継端末20と、ゲートウェイ装置50と、アクセスポイント60と、移動体管理サーバ70とを含む構成を有する。
一例として、移動体管理システム5が導入される中規模な施設では、1台のゲートウェイ装置50に対し、300個程度の中継端末20が配置されてよい。一例として、大規模な施設では、複数のゲートウェイ装置50に対し、数千個の中継端末20が配置されてよい。
発信端末10には、ビーコン端末が採用されてよい。ビーコン信号は、低消費電力((BLE:Bluetooth(登録商標) Low Energy)で一定間隔(例えば1秒)毎にビーコン端末からブロードキャストで送信され、半径数十m程度の範囲に届く2.4GHz帯等の信号でよい。また、ビーコン信号は、この信号の受信機能を持つ端末が受信可能な信号である。ビーコン信号は、制御信号の一例でもある。BLEは、コネクションレスの通信の一例である。
発信端末10は、例えば、作業員や来場者によって所持され、起動後、ビーコン信号を間欠的に発信し続ける。図1では、3つの発信端末10A,10B,10Cが示されており、特にこれらを区別する必要がない場合、単に発信端末10と表記する。また、ここでは、発信端末10からブロードキャストで送信されるビーコン信号bs(bs1,bs2,bs3)を、発信ビーコン信号bsとも称する。
中継端末20は、所定の位置に固定して設定されてよい。中継端末20は、例えば、建物の天井や屋根や壁に設置されてよい。中継端末20は、各発信端末10又は他の中継端末20から送信されるビーコン信号を受信する。中継端末20は、受信したビーコン信号を必要に応じて加工する。中継端末20は、必要に応じて加工されたビーコン信号を、即時にブロードキャスト送信する。送信されたビーコン信号は、次の中継端末20やゲートウェイ装置50により受信される。ここでの即時とは、待機することなく、ビーコン信号を受信・加工・送信に要する時間の経過後すぐにということを意図してよい。
図1では、中継端末20A,20Bが示されており、特にこれらを区別する必要がない場合、単に中継端末20と表記する。また、ここでは、中継端末20からブロードキャストで送信されるビーコン信号bt(bt1,bt2)を中継ビーコン信号btとも称する。
なお、ビーコン信号bs,btと記載する場合、ビーコン信号bs及びビーコン信号btの少なくとも1つを含んでよい。
ゲートウェイ装置50は、中継端末20又は発信端末10から送信されるビーコン信号を受信する。ゲートウェイ装置50は、アクセスポイント60を経由して移動体管理サーバ70に信号集合情報msを、一定間隔(例えば1分)で送信する。信号集合情報msは、ゲートウェイ装置50にビーコン信号bs,btが到達している場合、少なくとも1つのビーコン信号bs,btの情報を含む。ゲートウェイ装置50は、例えばLAN(Local Area Network)やインターネットを介して、移動体管理サーバ70へ情報を送信する。
アクセスポイント60は、LANでゲートウェイ装置50と接続されてよい。このLANは、無線LANでよい。また、アクセスポイント60は、インターネット等を介して移動体管理サーバ70と接続されてよい。アクセスポイント60は、ゲートウェイ装置50から送信された信号集合情報msを移動体管理サーバ70に送信する。
移動体管理サーバ70は、アクセスポイント60を介してゲートウェイ装置50から信号集合情報msを受信する。移動体管理サーバ70は、信号集合情報msに含まれるビーコン信号bs,btの情報から、そのビーコン信号bs,btの発信元情報を認識する。発信元情報は、発信元である発信端末10の識別情報を含んでよい。また、中継端末20の識別情報は、発信端末10が発信した信号が最初に受信された位置に関連付けられて利用されてよい。
移動体管理サーバ70は、中継端末20の設置位置の情報と中継端末20の識別情報とを対応づけて保持してよい。移動体管理サーバ70は、信号集合情報msに含まれる中継端末20の識別情報を基に、中継端末20の位置情報を取得し、発信端末10の位置を推定してよい。
図1では、移動体管理サーバ70は、中継端末20Aが、発信端末10Aからのビーコン信号bs1と、発信端末10Bからのビーコン信号bs2とを受信したことを認識する。移動体管理サーバ70は、ゲートウェイ装置50が、発信端末10Cからのビーコン信号bs3を受信したことを認識する。これらのビーコン信号bs1,bs2,bs3の受信時刻は、ゲートウェイ装置50にビーコン信号bt1,bt2,bs3が到達した時刻とされてよい。
中継端末20では、受信時刻が付加されず、ゲートウェイ装置50で受信時刻が付加されてよい。この場合でも、移動体管理システム5は、ゲートウェイ装置50により付加された場合の受信時刻Aと中継端末20により付加された場合の受信時刻Bとの時間差が小さいので、時刻情報Aに基づく発信端末10の位置情報の推定の劣化を許容範囲に抑制できる。また、移動体管理システム5は、ゲートウェイ装置50に限定してタイムスタンプ機能を持たせることで、中継端末20の構成を簡素化でき、コスト削減できる。また、移動体管理サーバ70は、後述するように、ビーコン信号bs3に含まれる中継フラグ(後述)が値0である場合、中継端末20を介さずに、ゲートウェイ装置50が直接に受信したことを認識してよい。
図2は移動体管理システム5における各装置の機能的構成を示すブロック図である。発信端末10は、ビーコン信号(信号情報)を間欠的にブロードキャストで送信する送信部11を有する。ビーコン信号は、発信端末を識別するための動体ID(図4参照)を含んでよい。動体IDは、発信端末10の識別情報の一例である。
中継端末20は、ビーコン信号を受信する受信部21、受信したビーコン信号を加工する処理部22、及びビーコン信号を間欠的にブロードキャストで送信する送信部23を有する。
処理部22は、動体IDに含まれる制御フラグである中継フラグ及び中継回数を変更し、中継端末20のRSSI(Received Signal Strength Indicator)値(受信信号強度の一例)と、UUID(Universally Unique Identifier)と、を付加して、ビーコン信号btを生成してよい。RSSI値は、中継端末20の受信信号強度を示す。UUIDは、中継端末20固有の値であり、中継端末20の識別情報の1つである。
発信端末10と中継端末20とは、ゲートウェイ装置50と比べ、安価で同様の仕様を有するビーコン端末で構成される。なお、発信端末10と中継端末20とは、異なる仕様を有するビーコン端末でもよい。
ここでは、中継端末20のハードウェア構成を説明し、中継端末20と同様のハードウェア構成を有する発信端末10については、説明を省略する。また、発信端末10と中継端末20とが同じビーコン端末であることから、発信端末10の数と中継端末20の数とをダイナミックに可変自在に割り当てることも可能である。
図3は中継端末20のハードウェア構成を示すブロック図である。中継端末20は、例えば、プロセッサ201、通信デバイス202、キャッシュメモリ203、メモリ204、タイマ205、及びLED(Light Emitting Diode)206を含む構成を有する。
プロセッサ201は、例えばMPU(Micro Processing Unit)、CPU(Central Processing Unit)、又はDSP(Digital Signal Processor)を含んでよい。プロセッサ201は、メモリに保持されたプログラムを実行することで、例えば処理部22としての機能を実現する。処理部22は、中継端末20内の各部を統括し、各種処理(例えば演算、通信、記憶に係る処理)を行う。
例えば、プロセッサ201は、ビーコン信号bs,btを受信すると、そのビーコン信号bs,btに含まれるデータ(例えばUUID)をメモリ204のキャッシュメモリ203に登録してよい(記憶させてよい)。
プロセッサ201は、ビーコン信号bs,btに含まれるデータを取得してからこのデータを消去するまでの有効期間(例えば3秒)を設定してよい。キャッシュメモリ203は、プロセッサ201によって予め設定された有効期間(例えば3秒)、UUID等のデータを記憶・保持し、有効期間が経過すると、データを消去する。データの消失は、例えばプロセッサ201による新たなデータの上書きで行われてもよい。
プロセッサ201は、メモリ204に各種パラメータを保持させる。例えば、UUID、中継ビーコン信号btの受信時の信号強度、LED制御、死活監視アドバタイズの発信間隔(秒)等のパラメータが、メモリ204に変更可能に保持される。一例として、LED制御では、送信時にLED206を1回青色点滅する動作、又は青色点滅しない動作が設定可能である。
通信デバイス202は、無線通信を行うデバイスを含む。通信デバイス202は、一例として、近距離無線(例えばBLE)を実施するためのデバイスを含んでよい。通信デバイス202は、受信部21及び送信部23としての機能を有してよい。送信部23は、例えば半径20m〜30mの範囲にビーコン信号btを一定間隔毎にブロードキャストで送信してよい。受信部21は、ビーコン信号bs,btが自端末に到達すると、ビーコン信号bt,btを受信してよい。
メモリ204は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)を含む。メモリ204は、キャッシュメモリ203を含む。メモリ240は、その他のメモリを含んでよい。
タイマ205は、各種時間を計測する。タイマ205は、通信デバイス202によってビーコン信号btが間欠的に送信される際の時間間隔を計測して、プロセッサ201に通知してよい。
図2に示すように、ゲートウェイ装置50は、プロトコルの異なるネットワークを接続するためのネットワークノードである。例えば、ゲートウェイ装置50は、発信端末10及び中継端末20を含むネットワーク(例えばBLEシステム)と、アクセスポイント60側のネットワーク(例えばLAN)と、を接続する。
ゲートウェイ装置50は、ハードウェア構成として、図示しないが、プロセッサ、通信デバイス、メモリ、等を含んで構成されてよい。ゲートウェイ装置50は、機能構成として、ビーコン信号bs,btを受信する受信部51、受信したビーコン信号bs,btに現在時刻(ビーコン信号bs,btを受信した際の現在時刻、つまり受信時刻)の情報を付与する処理部52、及び受信したビーコン信号bs,btを集めて信号集合情報msを作成し、移動体管理サーバ70に送信する送信部53を有する。
処理部52は、受信したビーコン信号bs,btにそれぞれ現在時刻をタイムスタンプとして付加してよい。
なお、同じ発信ビーコン信号bsが複数のルートで(異なる中継端末20を中継して)ゲートウェイ装置50に到達する場合、これらのビーコン信号bs,btの受信時刻は、ゲートウェイ装置50がビーコン信号bs,btを受信した時刻となるため、異なることがある。この場合でも、異なるルートで到達したビーコン信号bs,btの受信時刻の差は、僅かであると想定されるので、許容範囲とされてよい。
処理部52は、受信したビーコン信号bs,btに付加されたUUIDを、信号集合情報msのゲートウェイID(図4参照)に設定してよい。送信部53は、一定間隔(例えば、30秒、1分)毎に、生成された信号集合情報msを移動体管理サーバ70に送信してよい。信号集合情報は、アクセスポイント60を経由して移動体管理サーバ70に送信されてよい。
移動体管理サーバ70は、汎用のコンピュータ装置で構成されてよい。移動体管理サーバ70は、ハードウェア構成として、例えば、プロセッサ、メモリ、通信デバイスを含んで構成されてよい。移動体管理サーバ70は、機能構成として、ゲートウェイ装置50から送信される信号集合情報msを受信する受信部71と、受信した信号集合情報msを記録媒体に保存する保存部72と、処理部73と、を含んで構成されてよい。
処理部73は、信号集合情報msを基に、移動体としての発信端末10を管理する。例えば、処理部22は、信号集合情報msに含まれるゲートウェイIDで識別される中継端末20又はゲートウェイ装置50の位置、及び信号集合情報msに含まれるビーコン信号bs,btのタイムスタンプを基に、発信端末10の位置の情報及びその位置に所在した時刻の情報を認識する。発信端末10の位置情報及び時刻情報は、発信端末10を所持する人物や発信端末10が取り付け等された物体の位置情報及び時刻情報に相当すると言える。
なお、信号集合情報msには、同じ発信端末10から発信されたビーコン信号bsが複数のルート(図10参照)を経由してゲートウェイ装置50に到達するものが含まれてよい。
次に、発信端末10、中継端末20、及びゲートウェイ装置50が扱う信号について説明する。図4は各種信号のフレーム構成を示す図である。
発信端末10は、ビーコン信号bsを生成し、送信する。中継端末20は、ビーコン信号btを生成し、送信する。ゲートウェイ装置50は、信号集合情報msを含むゲートウェイ信号を生成し、送信する。ビーコン信号bsとビーコン信号btとは、含まれる情報が異なる。
ビーコン信号bsは、発信端末10を識別するための動体IDを含む。ビーコン信号btは、動体ID、RSSI値、及びゲートウェイIDを含む。ゲートウェイ信号は、信号集合情報msを含む。信号集合情報msは、ゲートウェイIDと、ビーコン信号bs,btに付加されるタイムスタンプ、RSSI値、及び動体IDと、を含む。
動体IDは、例えば32ビットで示される。この32ビットは、Majorの16ビットとMinorの16ビットを含む。動体IDのうち、24ビット(Minorの16ビットとMajorの1〜8ビット目)は、発信端末10を識別するIDを表す。動体IDのうち、残りの8ビット(Majorの9〜16ビット目)は制御フラグを表す。制御フラグの情報は、中継端末20又はゲートウェイ装置50により変更され得る。
制御フラグのうち、最初の4ビット(Majorの9〜12ビット目)は、ビーコン信号bsが中継端末20を経由した回数である中継回数を表す。図4では、中継回数は、4ビット全てが値1となる最大値15まで計数可能である。なお、最大値15は、一例であり、中継回数の制限値は任意の値に設定されてもよい。
制御フラグの残りの4ビット(Majorの13〜16ビット目)は、それぞれ1ビットで表現され、死活監視通知、中継フラグ、3軸センサ通知、電池残量低下通知、を表す。Majorの13ビット目の死活監視通知は、中継端末20が稼働状態にあるか否かを示し、例えば、値1で非稼働を表し、値0で稼働を表す。死活監視通知により、中継端末20が稼働状態であるか否かが移動体管理サーバ70へ通知される。Majorの14ビット目の中継フラグは、中継端末20で中継されたビーコン信号であるか否かを示し、例えば、値1(オン)で中継を表し、値0(オフ)で非中継を表す。Majorの15ビット目の3軸センサ通知は、発信端末10の動きの有無を示し、例えば、値1で動きがあることを表し、値0で静止を表す。よって、移動体管理サーバ70は、3軸センサ通知の情報を元に、移動体としての発信端末10が動いているか否かを判断できる。Majorの16ビット目の電池残量低下通知は、発信端末10の電池残量が低下しているか否かを示し、例えば、値1で残量低下を表し、値0で残量正常を表す。
中継ビーコン信号btに含まれるゲートウェイIDには、ビーコン信号bsを最初に中継した中継端末20のUUIDが格納される。中継ビーコン信号btに含まれるRSSI値には、最初に中継した中継端末20によりビーコン信号bsが受信された際のRSSI値が格納される。中継ビーコン信号btに含まれる動体IDは、発信ビーコン信号bsに含まれる動体IDの一部が変更(加工)されたものである。
信号集合情報msに含まれるゲートウェイIDには、ビーコン信号bsを最初に中継した中継端末20又はゲートウェイ装置50のUUIDが格納される。タイムスタンプには、ゲートウェイ装置50がビーコン信号bs,btを受信した受信時刻が格納される。信号集合情報msに含まれるRSSI値は、中継ビーコン信号btに含まれるRSSI値と同じであり、最初に中継した中継端末20によりビーコン信号bsが受信された際のRSSI値が格納される。信号集合情報msに含まれる動体IDは、中継ビーコン信号btに含まれる動体IDの一部が変更(加工)されたものである。
図5は発信端末10からビーコン信号bsを受信した場合の中継端末20の動作を示すタイミングチャートである。
中継端末20では、待機期間t0において、処理部22がビーコン信号bsを受信するまで待ち、時刻t1で、受信部21が発信ビーコン信号bsを受信する。処理部22がビーコン信号bsに対して加工処理を行った後、時刻t2で、送信部23が加工された中継ビーコン信号btを一回又は一定間隔(例えば500ms)で複数回送信する。その後、処理部22が、休止期間t3(例えば3秒間)、受信を停止させる。この期間では、処理部22は、発信端末10から送信される発信ビーコン信号bsを監視しなくてよい。よって、受信部21は、発信ビーコン信号bsが休止期間t3中に中継端末20に到達しても、受信しない。休止期間t3の終了後、時刻t4で、送信部23は、休止期間t3後に受信した発信ビーコン信号bsを送信する。この後、処理部22は、待機期間t5において、次の発信ビーコン信号bsを受信するまで待機する。受信期間は、セントラルとなり、送信期間はペリフェラルとなる。
このように、中継端末20は、中継端末20の状態(例えば送信状態、受信状態、休止状態)を切り替えるので、1つの通信スレッドを用いる場合でも、好適に切り替えて送受信が可能である。なお、ビーコン信号の送信と受信とが同時に行われてもよい。
なお、中継端末20が、ビーコン信号bsを受信してから送信に切り替えるまでの時間、ビーコン信号btを送信してから休止期間に入るまでの時間、休止期間から受信に切り替えるまでの時間、及びビーコン信号btを送信してから受信に切り替えるまでの時間には、所定時間(例えば100ミリ秒)を要する。
なお、ビーコン信号の受信の停止は、全ての発信端末10からのビーコン信号bsの受信の停止でもよい。この場合、ビーコン信号bsの動体IDを識別することなく、ビーコン信号bsを受信しなくてよい。また、ビーコン信号の受信の停止は、特定の発信端末10からのビーコン信号bsの受信の停止に限ってもよい。この場合、ビーコン信号bsの動体IDを識別して特定の発信端末10を特定し、その発信端末10の動体IDが付されたビーコン信号を所定期間受信しなくてよい。
このように、休止期間を設けることで、中継端末20は、受信信号強度(RSSI値)の強いビーコン信号を中継する処理だけに追われることなく、受信信号強度の弱い他のビーコン信号も受信可能となる。
つまり、全ての発信端末10からのビーコン信号bsの受信の停止する場合でも、休止期間が終了すると、無限ループに陥る可能性のあった例えば信号レベルの大きいビーコン信号が転送されてくる可能性が小さい。そのため、中継端末20は、この信号以外の例えば受信信号強度の弱い他のビーコン信号でも、受信される可能性が高くなる。
また、特定の発信端末10からのビーコン信号bsの受信の停止する場合、同じ発信端末10のビーコン信号を休止期間内に再度受信しないようにすることで、無限ループに陥る可能性のあった例えば信号レベルの大きいビーコン信号が反復して受信されなくなる。そのため、中継端末20は、この信号以外の例えば受信信号強度の弱い他のビーコン信号でも、受信される可能性が高くなる。
図6は、他の中継端末20Bからビーコン信号を受信した場合の中継端末20Aの動作を示すタイミングチャートである。中継端末20A,20Bは、中継端末20の一例である。
他の中継端末20Bから中継ビーコン信号btを受信する場合、中継端末20Aでは、発信端末10から発信ビーコン信号bsを受信する場合と同様、待機期間t10において、処理部22がビーコン信号btを受信するまで待ち、時刻t11で、受信部21が他の中継端末20Bから中継ビーコン信号btを受信する。処理部22がビーコン信号btに対して加工処理を行った後、時刻t12で、送信部23が加工された新たな中継ビーコン信号btを送信する。その後、処理部22が休止期間t13(例えば3秒間)、受信を停止させる。休止期間t13中、中継端末20Aは、他の中継端末20Bや発信端末10から送信されるビーコン信号bs,btの受信を停止している。休止期間t13の終了後、時刻t14で、送信部23は、休止期間t13の終了後に受信した中継ビーコン信号btを送信する。この後、処理部22は、待機期間t15で次の中継ビーコン信号btを受信するまで待機する動作を行う。
他の中継端末20Bから中継ビーコン信号btを受信する場合、中継端末20Aでは、処理部22は、受信したビーコン信号btに含まれるUUID(ゲートウェイID)が自身(中継端末20A)のUUIDと同じである場合、送信動作に切り替えず、受信動作を継続してよい。つまり、送信部23が、受信した中継ビーコン信号btの転送を実施しなくてよい。これにより、中継端末20Aは、一度中継した発信端末10のビーコン信号bsが他の中継端末Bから再中継されて戻ってくる場合など、同じ発信端末10のビーコン信号bsが繰り返し特定の中継端末20間で送受信される無限ループに陥ることを抑制できる。
また、中継端末20Aは、受信したビーコン信号btに含まれる中継回数が閾値th(例えば15回)に達している場合、送信動作に切り替えず、受信動作を継続してよい。つまり、送信部23が、受信した中継ビーコン信号btの転送を実施しなくてよい。これにより、中継端末20Aは、一度中継した発信端末10のビーコン信号bsが多くの中継端末20により中継されて一巡して戻ってくる場合など、同じ発信端末10のビーコン信号bsが繰り返し特定の中継端末20間で送受信される無限ループに陥ることを抑制できる。
また、ビーコン信号btの受信の停止は、全ての中継端末20からのビーコン信号btの受信の停止でもよい。この場合、ビーコン信号btの動体IDを識別することなく、ビーコン信号btを受信しなくてよい。また、ビーコン信号btの受信の停止は、特定の中継端末20からのビーコン信号btの受信の停止に限ってもよい。この場合、ビーコン信号btの動体IDを識別して特定の発信端末10を特定し、その発信端末10の動体IDが付されたビーコン信号btを所定期間受信しなくてよい。
このように、休止期間を設けることで、中継端末20は、受信信号強度(RSSI値)の強いビーコン信号を中継する処理だけに追われることなく、受信信号強度の弱い他のビーコン信号も受信可能となる。
次に、移動体管理システム5の動作について説明する。
一例として、中継端末20A,20B,20Cは、この順番でゲートウェイ装置50から離れた位置にある場合を想定する。つまり、中継端末20Cがゲートウェイ装置50に最も近くにあり、その次に中継端末20Bがゲートウェイ装置50に近くにあり、最も遠くに中継端末20Aがあるとする。
図7は中継端末20の動作手順を示すフローチャートである。
まず、処理部22が、発信端末10又は他の中継端末20から送信されるビーコン信号bs,btの到達を待機する。受信部21は、ビーコン信号bs,btが到達すると、このビーコン信号bs,btを受信する(S1)。
処理部22は、キャッシュメモリ203にUUIDが登録(記憶)されているか否かを判別する(S2)。このUUIDは、休止期間以内にビーコン信号bs,btが中継された場合に登録されている。UUIDがキャッシュメモリ203に登録されている場合、処理部22は、休止期間中であるとして、受信したビーコン信号bs,btを無視し、S1の処理に戻る。
S2でキャッシュメモリ203にUUIDが登録されていない場合、処理部22は、受信したビーコン信号bs,btに含まれる中継フラグがオンであるか否かを判別する(S3)。中継フラグがオンである場合、処理部22は、ビーコン信号が中継ビーコン信号btであると判断する。そして、処理部22は、ビーコン信号btに含まれるUUID(ゲートウェイID)が自端末のUUIDであるか否かを判別する(S4)。自端末のUUIDである場合、処理部22は、受信したビーコン信号btを無視し、S1の処理に戻る。
S4でビーコン信号btに含まれるUUIDが自端末のUUIDでない場合、処理部22は、ビーコン信号btに含まれる中継回数が閾値th(例えば15回)以上であるか否かを判別する(S5)。中継回数が閾値th以上である場合、処理部22は、受信したビーコン信号を無視し、S1の処理に戻る。
一方、中継回数が閾値th未満である場合、処理部22は、中継回数に値1加算してビーコン信号btを加工し、送信部23は、加工されたビーコン信号btをブロードキャストで送信する(S6)。そして、処理部22は、有効期間(例えば3秒)を設定し、キャッシュメモリ203にビーコン信号btに含まれるUUID及び動体IDを登録する(S8)。なお、有効期間3秒は、一例であり、5秒、10秒等、任意の時間であってもよい。この後、処理部22は、S1の処理に戻る。
また、S3で中継フラグがオフである場合、処理部22は、ビーコン信号bsが中継されていないと判断して、加工処理を行い、送信部23は、加工されたビーコン信号btをブロードキャストで送信する(S7)。加工処理では、処理部22は、ビーコン信号bsにおいて、自端末のUUIDを設定したゲートウェイIDとRSSI値とを付与し、中継フラグをオンに変更し、中継回数を値1に設定して、ビーコン信号btを生成する。よって、加工されたビーコン信号btは、加工された動体ID、各制御フラグの情報、ゲートウェイID、RSSI値を含んでよい。そして、処理部22は、S8の処理に進む。
図7の処理によれば、中継端末20は、発信端末10が発信したビーコン信号bsを最初に中継した中継端末20のUUIDがビーコン信号btに含まれる。中継端末20は、ビーコン信号btに含まれるUUIDを参照して、自端末が中継済みである場合には、更なるビーコン信号btの中継を行わない。これにより、複数の中継端末20間でビーコン信号btが通信し続けられ、無限ループに陥ることを回避できる。
また、中継端末20は、休止期間を設けることで、仮に他の中継端末20から一度中継したビーコン信号btが転送されてきても、このビーコン信号btを受信しない。よって、中継端末20は、複数の中継端末20間でビーコン信号btが通信し続けられ、無限ループに陥ることを回避できる。
なお、図7では、S2及びS8の処理が省略されてもよい。つまり、中継端末20は、キャッシュメモリ203にUUID等を登録して有効期間を設定して受信の休止期間を設けることを省略してもよい。この場合でも、S4の存在により、中継端末20は、中継端末20自身のUUIDがビーコン信号btに含まれる場合には、このビーコン信号btの転送を抑制でき、他の中継端末との間で無限ループに陥ることを抑制できる。
なお、図7では、S3の処理が省略されてもよい。つまり、中継端末20は、受信したビーコン信号bs,btに中継端末20自身のUUIDが含まれるか否かの確認を省略してもよい。この場合でも、S2及びS8の存在により、中継端末20は、受信の休止期間を設けることで、ビーコン信号bs,btの転送を抑制でき、他の中継端末との間で無限ループに陥ることを抑制できる。
図8はゲートウェイ装置50の動作手順を示すフローチャートである。この動作は、所定時間毎に繰り返し実行される。
まず、処理部52が、発信端末10又は中継端末20から送信されるビーコン信号bs,btの到達を待機する。受信部51は、ビーコン信号bs,btが到達すると、このビーコン信号bs,btを受信する(S11)。
処理部52は、受信したビーコン信号bs,btに含まれる中継フラグがオンであるか否かを判別する(S12)。中継フラグがオンである場合、処理部52は、受信したビーコン信号btに、タイムスタンプ(Timestamp)として現在時刻情報を付与する(S13)。よって、このタイムスタンプには、ビーコン信号btが受信された受信時刻が格納されることになる。
処理部52は、受信したビーコン信号btを加工する(S14)。この加工において、処理部52は、ビーコン信号btに含まれるUUID(ゲートウェイID)を、信号集合情報msのゲートウェイIDに設定する。処理部52は、受信したビーコン信号btに含まれる動体IDの制御フラグ(動体IDのMajorの9〜14ビット目、16ビット目)をマスク処理する。マスク処理では、データが消去されてもよいし、単にデータが使用されなくてよい。よって、加工されたビーコン信号btは、動体IDの発信端末10のID、RSSI値、を含んでよく、タイムスタンプが付加されてよい。
一方、S12で中継フラグがオフである場合、処理部52は、受信したビーコン信号bsに含まれるタイムスタンプ(Timestamp)に、現在時刻情報を付与する(S15)。
処理部52は、受信したビーコン信号bsを加工する(S16)。この加工において、処理部52は、ゲートウェイ装置50を識別するためのUUIDを、信号集合情報msのゲートウェイIDに設定する。処理部52は、ビーコン信号bsに、ゲートウェイ装置50によりビーコン信号bsが受信された際のRSSI値を付与する。よって、加工されたビーコン信号bsは、動体IDの発信端末10のID、RSSI値、を含んでよく、タイムスタンプが付加されてよい。
処理部52は、S14,S16において加工されたビーコン信号bs,btを信号集合情報キューに登録する(S17)。処理部52は、信号集合情報キューに登録された、少なくとも1つの加工済みのビーコン信号bs,btを含む信号集合情報msを作成する。この場合、信号集合情報msに設定されたゲートウェイID毎に、信号集合情報msが生成される。
送信部53は、インターネット等を介して、移動体管理サーバ70に、定期的に(例えば1分毎に)、信号集合情報msを送信する(S18)。この後、処理部52は、本動作を終了する。
図8の処理によれば、ゲートウェイ装置50は、中継端末20や発信端末10からのビーコン信号bs,btを収集して信号集合情報msを生成し、移動体管理システム5へ送信できる。また、発信端末10のビーコン信号bsを中継する中継端末20及びゲートウェイ装置50を代表して、ゲートウェイ装置50が移動体管理システム5と通信することで、中継端末20の機能を簡略化できる。例えば、中継端末20と発信端末10とを同様の構成にできる。この場合、中継端末20の台数を増やすことで、発信端末10の中継地点を増大でき、発信端末10の位置検出の精度を向上できる。また、ゲートウェイ装置50は、ゲートウェイ装置50がタイムスタンプを付与することで、中継端末20がタイムスタンプを付与するための機能を省略でき、中継端末20の構成を簡略化できる。
図9は移動体管理システム5における送信動作を示すシーケンス図である。
移動体管理システム5では、発信端末10は、一定間隔(例えば1秒)で繰り返しビーコン信号bsをブロードキャストで送信している。中継端末20Aは、発信端末10からの発信ビーコン信号bsを受信すると、自端末のUUIDを付与する等、発信ビーコン信号bsを加工し、加工後の中継ビーコン信号bt1をブロードキャストで送信する(TS1)。中継端末20Aは、ブロードキャスト送信後、休止期間を有効期間(例えば3秒)として、受信動作を停止してもよい。
中継端末20Bは、中継端末20Aからの中継ビーコン信号bt1を受信すると、中継ビーコン信号bt1の中継フラグがオンであるので、キャッシュメモリ203にビーコン信号bt1に含まれるUUID(ゲートウェイID)と動体IDとを登録する。中継端末20Bは、中継ビーコン信号bt1を中継ビーコン信号bt2としてブロードキャストで送信する(TS2)。
中継端末20Aは、中継端末20Bからの中継ビーコン信号bt2を受信すると、中継ビーコン信号bt2に含まれるUUIDが自端末のUUIDと一致するので、自端末が中継したビーコン信号bt1と判断して、この中継ビーコン信号bt2を無視する(中継しない)(TS3)。これにより、移動体管理システム5は、中継端末20A,20Bの間でビーコン信号の通信が無限ループすることを抑制できる。
また、中継端末20Cは、中継端末20Bから中継ビーコン信号bt2を受信すると、中継回数が閾値th(例えば15回)未満である場合、中継を行い、中継ビーコン信号bt3をブロードキャストで送信する(TS4)。
中継端末20Bは、中継端末20Cから送信される中継ビーコン信号bt3を受信すると、中継ビーコン信号bt3に含まれるUUID等がキャッシュメモリ203に有効期間3秒で登録されているので、この中継ビーコン信号bt3を無視する(中継しない)(TS5)。これにより、移動体管理システム5は、中継端末20B,20Cの間でビーコン信号の通信が無限ループすることを抑制できる。
その後に休止期間が終了した後、中継端末20Bは、ビーコン信号bsを受信すると、このビーコン信号bsに自端末のUUIDを付与したビーコン信号bt4をブロードキャストで送信する(TS6)。
中継端末20Aは、中継端末20Bから中継ビーコン信号bt4を受信すると、中継を行い、中継ビーコン信号bt5をブロードキャストで送信する(TS7)。同様に、中継端末20Cは、中継端末20Bから中継ビーコン信号bt4を受信すると、中継を行い、中継ビーコン信号bt6をブロードキャストで送信する(TS8)。
中継端末20Bは、中継端末20A及び中継端末20Cからそれぞれ送信された2つの中継ビーコン信号bt5,bt6に含まれるUUIDがいずれも自端末のUIIDと同じであり、自端末が中継したビーコン信号と判断するので、これらのビーコン信号bt5,bt6を無視する(中継しない)(TS9)。つまり、ここでは、中継端末20Bは、ビーコン信号bt5,bt6を転送しない。これにより、移動体管理システム5は、中継端末20A,20Bの間でビーコン信号の通信が無限ループすることを抑制できる。また、中継端末20B,20Cの間でビーコン信号の通信が無限ループすることを抑制できる。
その後、手順TS1〜TS5と同様、中継端末20Aは、発信端末10から送信されたビーコン信号bsを受信すると、自端末のUUIDを付与する等、ビーコン信号を加工し、加工後の中継ビーコン信号bt7をブロードキャストで送信する(TS10)。中継端末20Aは、ブロードキャスト送信後、有効期間3秒で休止期間に入ってよい。
中継端末20Bは、中継端末20Aからの中継ビーコン信号bt7を受信すると、キャッシュメモリ203に中継ビーコン信号bt7に含まれるUUID及び動体IDを登録した後、中継ビーコン信号bt8をブロードキャストで送信する(TS11)。
中継端末20Aは、中継端末20Bからの中継ビーコン信号bt8を受信すると、中継ビーコン信号bt8に含まれるUUIDが自端末のUUIDと一致するので、自端末が中継したビーコン信号bt7と判断して、この中継ビーコン信号bt8を無視する(中継しない)(TS12)。
また、中継端末20Cは、中継端末20Bから中継ビーコン信号bt8を受信すると、中継回数が閾値th(例えば15回)未満である場合、中継を行い、中継ビーコン信号bt9をブロードキャストで送信する(TS13)。
中継端末20Bは、中継端末20Cから送信される中継ビーコン信号bt9を受信すると、中継ビーコン信号bt9に含まれるUUIDがキャッシュメモリ203に有効期間3秒で登録されているので、この中継ビーコン信号bt9を無視する(TS14)。
また、ゲートウェイ装置50は、例えば発信端末10によるビーコン信号bsの送信間隔よりも長い送信間隔(例えば1分)で、少なくとも1つの中継端末20及び発信端末10から送信されたビーコン信号bs,btを基に、信号集合情報msを生成し、移動体管理サーバ70に定期的に送信する。
例えば、ゲートウェイ装置50は、TS5の処理後のタイミングで、中継端末20Cから送信された中継ビーコン信号bt3を元に、信号集合情報ms1を生成し、移動体管理サーバ70にアクセスポイント60経由で送信する(TS5A)。
例えば、ゲートウェイ装置50は、TS14の処理後のタイミングで、中継端末20Cから送信された中継ビーコン信号bt6,bt9を基に、信号集合情報ms2を生成し、移動体管理サーバ70にアクセスポイント60経由で送信する(TS14A)。
移動体管理サーバ70は、TS5Aで送信された信号集合情報ms1、及びTS14Aで送信された信号集合情報ms2を元に、発信端末10の移動状況を管理する。
図10は、発信端末10から中継端末20を経由してゲートウェイ装置50に到達するまでのルートを説明する図である。
図10では、発信端末10から送信されるビーコン信号bsがゲートウェイ装置50に届くまでには、様々なルート(経路)が存在する。ルートp1では、発信端末10からの発信ビーコン信号bsは、中継端末20A,20B,20C,20E,20F,20Gを経由して、中継ビーコン信号btとなって、ゲートウェイ装置50に到達する。別のルートp2では、発信端末10からの発信ビーコン信号bsは、中継端末20A,20D,20E,20F,20Gを経由して、中継ビーコン信号btとなって、ゲートウェイ装置50に到達する。
従って、同じ発信端末10からの発信ビーコン信号bsに基づく中継ビーコン信号btが、ゲートウェイ装置50に複数ルートで到達することがある。同じ発信端末10から同じ時刻に発信された発信ビーコン信号bs又は発信ビーコン信号bsに基づく中継ビーコン信号は、1つあればよい。そのため、ゲートウェイ装置50では、特定の1つ以外のビーコン信号bs,btを破棄(削除)してもよく、この場合にはゲートウェイ装置50の処理負荷が軽減され得る。例えば、ビーコン信号bs,btに含まれるRSSI値の大小や中継回数の大小等に基づいて、破棄するビーコン信号bs,btが決定されてよい。
移動体管理サーバ70は、ゲートウェイ装置50から信号集合情報msを受け取ると、この信号集合情報msを基に、移動体の状況を管理する。例えば、移動体管理サーバ70が企業等の営業活動に用いられる場合、移動体管理サーバ70は、売上の良い人と売上の悪い人との動きの状況を比較し、その動きを分析し、売上の効率化を図ってもよい。また、移動体管理サーバ70が監視システムに用いる場合、移動体管理サーバ70は、発信端末10を所持する作業員が立ち入り禁止場所に近寄っていることを把握し、警告することで、安心や安全を図ってもよい。また、移動体管理サーバ70は、監視エリア内の人物の位置とその位置に所在した時刻とを管理することで、ロジスティックス会社の倉庫管理や入退室管理を行ってよい。
また、移動体管理サーバ70は、発信端末10のログ(例えば、発信端末10を所持する人物の情報、発信端末10の位置情報、その位置に所在した時刻情報)を取得し、管理し、分析してよい。移動体管理サーバ70は、例えば、所定のエリアに所定人数(例えば3人)以上存在することが好ましくない場合に、この情報を設定しておいてよい。移動体管理サーバ70は、同時刻又は同時間帯に所定のエリアに所定人数以上検出された場合に、移動体管理サーバ70の管理者へ通知してよい。
なお、図10では、各中継端末20の位置を中心とした点線の円は、中心に位置する中継端末20からの中継ビーコン信号btを受信可能な範囲の一例を示している。
[本実施形態の作用効果等]
以上のように、本実施形態の中継端末20では、受信部21は、発信端末10からの発信端末10の動体ID(識別情報の一例)を有するビーコン信号bs(発信信号の一例)又は他の中継端末20からのビーコン信号bt(第1の中継信号の一例)を、受信信号として受信する。処理部22は、ビーコン信号bsに自中継端末のUUID(識別情報の一例)及び他の中継端末のUUIDのいずれも含まれない場合、ビーコン信号bsに自中継端末のUUIDを付加して、ビーコン信号bt(第2の中継信号の一例)を生成する。送信部23は、ビーコン信号btに自中継端末のUUIDが含まれる場合、ビーコン信号btをブロードキャスト送信せず、ビーコン信号btに自中継端末のUUIDが含まれない場合、ビーコン信号btをブロードキャスト送信する。
これにより、中継端末20は、発信端末10と同様に、簡易な構成で安価に実現でき、発信端末10からブロードキャストで送信されるビーコン信号bsを中継できる。また、中継端末20は、簡易な構成で安価であるので、容易に数多く配置されることができ、移動体管理システム5全体のコストを低減できる。また、中継端末20は、自中継端末と他の中継端末との間で自中継端末が送信したビーコン信号btが通信され続けることを抑制できる。つまり、中継端末20は、自中継端末(例えば中継端末20A)と他の中継端末(例えば中継端末20B)との間で中継ビーコン信号btが繰り返し通信される無限ループに陥ることを抑制できる。よって、中継端末20は、特定の通信装置間で特定の信号が通信され続けることを抑制できる。
処理部22は、中継ビーコン信号btのブロードキャスト送信後の所定期間、受信部21による受信を停止させてよい。
これにより、中継端末20は、休止期間を設けることで、自中継端末及び他の中継端末が受信信号強度の強い発信端末10から送信される発信信号を受信し続けることを抑制できる。よって、中継端末20は、休止期間後には新たなビーコン信号bs,btを受信でき、例えば受信信号強度の弱い発信端末10から送信される発信ビーコン信号bsも受信可能となる。また、受信信号強度の弱い発信端末10の発信ビーコン信号bsを受けられることで、受信信号強度の弱い発信端末10の位置情報も追跡可能となる。また、他の中継端末(例えば中継端末B)は、休止期間を設けることで、更に別の他の中継端末(例えば中継端末C)からの中継ビーコン信号btを受信することで、同じ中継ビーコン信号btが繰り返し通信されることも防止できる。よって、他の中継端末は、別の他の中継端末との間で繰り返し通信され無限ループに陥ることを抑制できる。
ビーコン信号bs,btは、複数の中継端末20のいずれかによる中継回数の情報を含んでよい。処理部22は、ビーコン信号bs,btに含まれる中継回数の情報に1回分加算して、中継ビーコン信号btを生成してよい。送信部23は、ビーコン信号bs,btに自中継端末のUUIDが含まれない場合、且つ、ビーコン信号に含まれる中継回数の情報が所定回数未満である場合、中継ビーコン信号btをブロードキャスト送信してよい。
これにより、中継端末20は、自中継端末(例えば中継端末A)のUUIDが付与されていない中継ビーコン信号btが、他の中継端末(例えば中継端末B)と別の他の中継端末(例えば中継端末C)との間で繰り返し通信され無限ループに陥ることを抑制できる。この場合、中継端末20は、例えば、順次中継端末を中継され、最終的に自中継端末に周回して戻ってくる中継ビーコン信号btの中継を抑制できる。つまり、中継端末20は、例えば、中継端末A→中継端末B→中継端末C→中継端末D→中継端末E→・・・→中継端末A、のように一周するような無限ループに陥ることを抑制できる。
処理部22は、ビーコン信号bs,btに自中継端末のUUID及び他の中継端末のUUIDのいずれも含まれない場合、ビーコン信号bs,btにビーコン信号bs,btの信号レベルを示すRSSI値(信号レベル情報の一例)を付加して、中継ビーコン信号btを生成してよい。
これにより、中継端末20は、ビーコン信号bsを自中継端末により最初に中継した場合、自端末での受信時の信号レベルの情報を含ませることができる。よって、ビーコン信号bs,btを集計するゲートウェイ装置50やゲートウェイ装置50から信号集合情報msを受ける移動体管理サーバ70は、ビーコン信号bs,btが最初に受信された際の信号レベルを把握できる。よって、ゲートウェイ装置50や移動体管理サーバ70は、複数の中継端末20により同じ発信端末10が送信したビーコン信号bsに基づくビーコン信号bs,btが受信された場合、どの中継端末20が最も近い位置にあったかを、受信レベルを基に判断できる。よって、移動体管理サーバ70は、中継端末20を用いた発信端末10の位置検出精度を向上できる。
また、発信端末10は、複数存在してよい。複数の発信端末10により送信された複数の発信ビーコン信号bsの各々は、送信元の発信端末10の動体IDを含んでよい。
これにより、中継端末20は、発信端末10毎に、発信端末10の位置情報を把握して通知できる。
中継端末20は、所定の位置に固定されてよい。
これにより、中継端末20の位置情報が固定されるので、移動体管理サーバ70は、中継端末20の位置情報を基に、発信端末10の位置を推定できる。つまり、移動体管理サーバ70は、発信ビーコン信号bsを受信した中継端末20の設置位置に応じて、発信端末10の位置情報を推定できる。従って、移動体管理サーバ70は、発信端末10の位置情報を基に、発信端末10の動きの情報を導出できる。
また、中継端末20では、受信部21は、発信端末10からの発信端末10の動体IDを有するビーコン信号bs又は他の中継端末20からのビーコン信号btを受信してよい。処理部22は、ビーコン信号bs,btに自中継端末のUUID及び自端末のUUIDのいずれも含まれない場合、ビーコン信号bs,btに自中継端末のUUIDを付加して、ビーコン信号btを生成してよい。処理部22は、ビーコン信号bs,btに自中継端末のUUIDが含まれる場合、受信したビーコン信号bt(第1の中継信号の一例)を送信対象の中継ビーコン信号bt(第2の中継信号の一例)としてよい。送信部23は、中継ビーコン信号btをブロードキャスト送信してよい。処理部22は、中継ビーコン信号btのブロードキャスト送信後の所定期間、受信部21による信号の受信を停止させてよい。
これにより、中継端末20は、発信端末10と同様、簡易な構成で安価に実現でき、発信端末10からブロードキャストで送信されるビーコン信号bsを中継できる。また、中継端末20は、簡易な構成で安価であるので、容易に数多く配置されることができ、移動体管理システム5全体のコストを低減できる。さらに、中継端末20は、休止期間を設けることで、自中継端末及び他の中継端末が受信信号強度の強い発信端末10から送信される発信信号を受信し続けることを抑制できる。よって、中継端末20は、休止期間後には新たな発信信号を受信でき、受信信号強度の弱い発信端末から送信される発信信号も受信可能となる。また、他の中継端末(例えば中継端末B)は、休止期間を設けることで、更に別の他の中継端末(例えば中継端末C)からの中継ビーコン信号を受信することで、同じ中継ビーコン信号btが繰り返し通信されることも防止できる。よって、他の中継端末は、別の他の中継端末との間で繰り返し通信され無限ループに陥ることを抑制できる。
また、本実施形態の移動体管理システム5は、1つ以上の発信端末10と、複数の中継端末20と、移動体管理サーバ70と、を備える。発信端末10は、発信端末10の動体IDを含む発信ビーコン信号bsを送信する。複数の中継端末20のそれぞれは、発信端末10からの発信ビーコン信号bs又は他の中継端末20からの中継ビーコン信号btを含む信号を、受信信号として受信する。複数の中継端末20のそれぞれは、受信信号に自中継端末のUUID及び他の中継端末のUUIDが含まれない場合、受信したビーコン信号bs,btに自中継端末のUUIDを付加して、中継ビーコン信号btを生成する。複数の中継端末20のそれぞれは、受信したビーコン信号btに自中継端末のUUIDが含まれる場合、中継ビーコン信号btをブロードキャスト送信せず、受信したビーコン信号bs,btに自中継端末の識別情報が含まれない場合、中継ビーコン信号btをブロードキャスト送信する。移動体管理サーバ70は、複数の中継端末20の各々により送信された複数の中継ビーコン信号btに基づいて、発信端末10の移動状況を推定する。
これにより、移動体管理システム5は、発信端末10と同様、簡易な構成で安価な中継端末20を複数配置し、発信端末10からブロードキャストで送信されるビーコン信号bsを中継するように構成できる。よって、移動体管理システム5は、移動体管理システム5全体のコストを低減できる。さらに、移動体管理システム5は、自中継端末と他の中継端末との間で自中継端末が送信したビーコン信号bt(特定の通信装置間で特定の信号の一例)が通信され続けることを抑制できる。つまり、移動体管理システム5は、自中継端末(例えば中継端末A)と他の中継端末(例えば中継端末B)との間で中継ビーコン信号btが繰り返し通信され無限ループに陥ることを抑制できる。
例えば、中継端末20のコストは、ゲートウェイ装置50のコストの1/20程度である。よって、ゲートウェイ装置50が多数配置されて移動体管理システムが構築された場合と比較すると、少数のゲートウェイ装置50と多数の中継端末20とで移動体管理システム5が構築されることで、移動体管理システム5に要するコストが大きく削減可能である。
また、移動体管理システム5は、1つ以上の発信端末10と、複数の中継端末20と、移動体管理サーバ70と、を備えてよい。発信端末10は、発信端末10の動体IDを含む発信ビーコン信号bsを送信してよい。複数の中継端末20のそれぞれは、発信端末10からの発信ビーコン信号bs又は他の中継端末20からの中継ビーコン信号btを含む信号を、受信信号として受信してよい。複数の中継端末20のそれぞれは、受信信号に自中継端末のUUID及び他の中継端末のUUIDのいずれも含まれない場合、受信したビーコン信号bs,btに自中継端末のUUIDを付加して、中継ビーコン信号btを生成してよい。複数の中継端末20のそれぞれは、受信したビーコン信号btに自中継端末のUUIDが含まれる場合、受信したビーコン信号btを送信対象の中継ビーコン信号btとし、中継ビーコン信号btをブロードキャスト送信してよい。複数の中継端末20のそれぞれは、中継ビーコン信号btのブロードキャスト送信後の所定期間、自中継端末による受信を停止させてよい。移動体管理サーバ70は、複数の中継端末20の各々により送信された複数の中継ビーコン信号btに基づいて、発信端末10の移動状況を推定してよい。
これにより、移動体管理システム5は、発信端末10と同様、簡易な構成で安価な中継端末を複数配置し、発信端末10からブロードキャストで送信されるビーコン信号bsを中継するように構成できる。よって、移動体管理システム5は、移動体管理システム5全体のコストを低減できる。さらに、移動体管理システム5は、休止期間を設けることで、自中継端末及び他の中継端末が受信信号強度の強い発信端末10から送信される発信信号を受信し続けることを抑制できる。よって、移動体管理システム5は、例えば受信信号強度の弱い発信端末10から送信される発信信号も受信可能となる。
また、移動体管理システム5は、複数の中継端末20と移動体管理サーバ70との通信を中継するゲートウェイ装置50、を備えてよい。ゲートウェイ装置50は、複数の中継端末20からの複数の中継ビーコン信号btを受信してよい。ゲートウェイ装置50は、中継ビーコン信号btの各々が受信された時刻を示す時刻情報を中継ビーコン信号btの各々に付加してよい。ゲートウェイ装置50は、時刻情報が付加された中継ビーコン信号btの各々を、例えば信号集合情報msに含めて、所定のタイミングで移動体管理サーバ70へ送信してよい。
これにより、移動体管理システム5は、ゲートウェイ装置50が時刻情報を付加することで、中継端末20が時刻情報を付与するための機能を有さなく済み、中継端末20の構成を簡略化できる。
言い換えれば、本実施の形態に係る移動体管理システム5において、中継ビーコン信号に対する時刻情報の付加を、ゲートウェイ装置50で行なっている。このため、ゲートウェイ装置50は、中継端末20に比べて高い処理能力および安定性が求められ、高価である。仮に中継端末20を用いないとすれば、移動体の位置を高精度で把握するために、高価なゲートウェイ装置50を多数設置する必要があり、移動体管理システム5に要するコストが高くなる。本実施の形態では、中継端末20は、時刻情報の付加のような中継ビーコン信号に対する処理(以下、信号処理と記載する)を行う機能を有さなくて済み、中継端末20の構成を簡略化して、安価にすることができる。この結果、移動体管理システム5に要するコストを抑えながらも、移動体の位置を高精度で把握できる。
ゲートウェイ装置50が行う信号処理としては、上述の受信時刻の付加の他に、例えば、図10を参照して説明したように、同じ発信端末10からの発信ビーコン信号bsに基づく中継ビーコン信号btが、ゲートウェイ装置50に複数ルートで到達した場合に、特定の1つ以外のビーコン信号bs,btを破棄(削除)する処理が挙げられるが、特に限定されない。
上述のようなゲートウェイ装置50が行う信号処理のための機能は、移動体管理サーバ70で行うことが可能な機能である。したがって、本実施の形態において、ゲートウェイ装置50は、移動体管理サーバ70の機能を分担していると言える。つまり、本実施の形態におけるゲートウェイ装置50は、エッジコンピューティングの思想に基づいて、移動体管理サーバ70の負荷を分散する役割を果たしている。このため、エッジコンピューティングの進展に伴い、ゲートウェイ装置50はより高機能化し、高価になるため、移動体管理システム5に要するコスト低減効果は一層高くなることが予測される。
以上、図面を参照しながら各種の実施形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
上記実施形態では、ビーコン信号bs,btを用いて通信することを例示したが、ブロードキャスト通信可能であれば、ビーコン信号以外の信号を用いた通信でもよい。
上記実施形態では、現在時刻は、ゲートウェイ装置50によって付与されることを例示した。この代わりに、中継端末20が、発信端末10からビーコン信号bs,btを受信した時点をタイムスタンプとして付与してもよい。これにより、中継端末20によって中継されるビーコン信号bs,btの受信時刻が、例えば発信端末10の送信時刻に近くなり、タイムスタンプが示す時刻での発信端末10の位置情報がより実態に近くなる。
中継端末20は、自中継端末がクロックを有している場合、クロックの時刻情報を使用してよい。中継端末20は、GPS受信器を有している場合、GPS衛星から送信されるGPS信号に含まれる時刻情報を取得してもよい。中継端末20は、ネットワーク通信インタフェースを有している場合、NTP(Network Time Protocol)でNTPサーバからの時刻情報を取得してもよい。
したがって、中継端末20では、処理部22は、ビーコン信号bs,btに自中継端末のUUID及び他の中継端末のUUIDが含まれない場合、ビーコン信号bs,btにビーコン信号bs,btが受信された時刻を示す時刻情報を付加して、中継ビーコン信号btを生成してよい。
これにより、中継端末20は、中継端末20による受信時刻と中継端末20の位置とを、発信端末10の動きに関する情報として提供できる。従って、移動体管理サーバ70は、発信端末10の動きを時系列で追跡できる。また、中継端末20は、中継端末20が時刻情報を付加することで、より発信端末10が検出された時刻に近い時刻情報を付加でき、発信端末10の動きに関する検出精度を向上できる。
上記実施形態では、無線通信規格の一例として、BLEを用いてビーコン信号bs,btを通信する場合を例示した。この代わりに、UWB(Ultra Wide Band)、ZigBee等の近距離無線通信を、ビーコン信号bs,btの通信に適用してよい。また、上記実施形態は、長距離無線通信可能なLoRaやWi−SUN(Wireless Smart Utility Network)等の無線通信規格にも適用可能である。
上記実施形態では、発信端末10は、人物(来場者等)によって所持されたが、物流倉庫等における商品、工場等における機器、その他の移動体に付加されてもよい。