JP2018125493A - ガスレーザ発振器 - Google Patents

ガスレーザ発振器 Download PDF

Info

Publication number
JP2018125493A
JP2018125493A JP2017018705A JP2017018705A JP2018125493A JP 2018125493 A JP2018125493 A JP 2018125493A JP 2017018705 A JP2017018705 A JP 2017018705A JP 2017018705 A JP2017018705 A JP 2017018705A JP 2018125493 A JP2018125493 A JP 2018125493A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gas
temperature
pressure
time
laser oscillator
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2017018705A
Other languages
English (en)
Inventor
孝徳 佐藤
Takanori Sato
孝徳 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fanuc Corp
Original Assignee
Fanuc Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fanuc Corp filed Critical Fanuc Corp
Priority to JP2017018705A priority Critical patent/JP2018125493A/ja
Publication of JP2018125493A publication Critical patent/JP2018125493A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Lasers (AREA)

Abstract

【課題】起動時に、安定したレーザ出力を得るための所定のレーザガス組成へのガス置換の時間を短縮することが可能なガスレーザ発振器を提供する。
【解決手段】ガスレーザ発振器1は、起動時に、真空容器3の真空引き及びレーザガス充填のガス置換を行うガスレーザ発振器であって、真空容器3と、筐体2と、水冷部500と、真空容器3の温度、筐体2の温度、及び、冷却水の温度のうちの少なくとも1つの温度を測定する温度測定部601,602,603と、真空容器3の温度、筐体2の温度、及び、冷却水の温度のうちの少なくとも1つの温度を入力とし、入力された少なくとも1つの温度に応じた真空引きの圧力を出力とする第1関数を記憶する記憶部710と、起動時に、真空引きの圧力を、第1関数から導出される真空引きの圧力であって、測定された少なくとも1つの温度に応じた真空引きの圧力に変更する制御部700とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、レーザ媒質として気体状態のレーザガスを用いるガスレーザ発振器に関する。
レーザ加工機などに用いられるレーザ発振器として、例えば炭酸ガス(CO)を用いるガスレーザ発振器が知られている。このようなガスレーザ発振器は、共振器における真空容器内に、例えば二酸化炭素、ヘリウム及び窒素を所定の組成比で混合したレーザガスを充填して、レーザガスを励起し、励起光を増幅することにより、レーザ発振を行う。
このようなガスレーザ発振器では、停止時間が長くなると真空容器内に空気や水分が侵入する。そのため、ガスレーザ発振器では、起動時、侵入した空気や水分がレーザガスに混合することにより、レーザガスの組成比が変化してしまい、レーザ出力が不安定になってしまう。
このようなレーザ出力の不安定を防ぐため、ガスレーザ発振器では、起動時、真空容器内を一旦低真空状態に真空引きを行った後に真空容器内にレーザガスを充填するガス置換(ガス交換)を行うことにより、真空容器内に侵入した空気や水分を排出する。また、真空容器内を温める暖気運転を行うことにより、真空容器内面に付着した空気や水分をも排出する。特許文献1〜3には、起動時にガス交換(真空引き及びレーザガス充填)を行うガスレーザ発振器が開示されている。
特許文献1に記載のガスレーザ発振器は、休止時間(発振停止時間)が設定時間よりも長い場合、又は、発振器内のガス温度が設定値以下の場合、この休止期間中に真空リークが生じて空気などの不純ガスが発振器内に混入している可能性があるので、一旦真空引きを行ってからレーザガス充填を行う(ガス交換)。一方、休止時間が設定時間よりも短い場合、又は、発振器内のガス温度が設定値以上の場合、まだ真空リークはほとんどなく、発振器内は良好な状態に保たれている可能性があるので、ガスレーザ発振器は、真空引きを行わずにレーザガス充填を行う。このように、休止時間が短くてホットスタートとみなせるときには、真空引きを省略することにより、再起動に要する時間を短縮することができる。
特許文献2に記載のガスレーザ発振器は、起動時に複数回のガス交換を行う。このガスレーザ発振器は、停止時間が設定値よりも大きい場合に、1回目の真空引きを行った後、レーザガス充填により一旦大気圧近傍まで真空容器を加圧し、その後2回目の真空引きを行った後にレーザガス充てんを行う。これにより、停止時間が長く、真空容器への空気及び水分の侵入量が増加しても、安定したレーザ出力を得ることができる。この際、1回目の真空引きの圧力を、2回目の真空引きの圧力よりも高く設定することにより、起動時間を短縮することができる。
特許文献3に記載のガスレーザ発振器は、前回のガスレーザ発振器停止時のガス圧と今回のガスレーザ発振器起動時のガス圧との差圧が設定値よりも大きい場合に、真空引きの減圧目標値又は減圧時間を変化させ、差圧が設定値よりも小さい場合の減圧目標値よりも低い圧力まで減圧させるか、又は、差圧が設定値よりも小さい場合の減圧時間よりも長い時間まで減圧させる。これにより、真空容器内に空気が混入する場合でも、真空容器内のガスは通常時よりも低圧になるまで排出されるので、ガスレーザ発振器のレーザガス混合比を一定にすることが可能となり、安定なレーザ出力を得ることができる。
また、特許文献4には、起動後であっても、一定間隔でガス交換を行うガスレーザ発振器が記載されている。このガスレーザ発振器は、ガス交換の間隔を短くすることにより、真空引きの目標到達圧力を高くする。これにより、低い目標到達圧力まで真空引きすることが不要となり、真空引きの時間を短縮することができる。その結果、ガス交換の時間を短縮することができる。
特開平2−130981号公報 特開2010−212559号公報 特開平3−286585号公報 特許5241963号公報
ガスレーザ発振器の停止時間が長くなると、真空容器に混入する空気の量が多くなる。これは、真空容器内の温度、すなわち真空容器の温度が低下し、真空容器を構成する部材(例えば、金属又はガラス)が収縮して、真空容器のフランジ又は継手の継ぎ目(Oリング部)の隙間が大きくなることによる。この場合、起動時に所定の圧力(規定値)まで真空引きを行っても、真空容器内に残留するガス中における空気の割合が相対的に多くなり、所定のレーザガス組成までガス置換を行うことができず、レーザ出力が不安定となってしまう。
安定したレーザ出力を得るための所定のレーザガス組成までガス置換を行うために、複数回のガス置換(真空引き及びレーザガス充填)を行うことが考えられるが、所定のレーザガス組成へのガス置換を行うまでに時間を要する。
本発明は、起動時に、安定したレーザ出力を得るための所定のレーザガス組成へのガス置換の時間を短縮することが可能なガスレーザ発振器を提供することを目的とする。
(1) 本発明に係るガスレーザ発振器(例えば、後述のガスレーザ発振器1)は、起動時に、真空容器(例えば、後述の真空容器3)の真空引きを行った後に前記真空容器にレーザガスを充填するガス置換を行うガスレーザ発振器であって、前記真空容器と、前記真空容器を収容する筐体(例えば、後述の筐体2)と、前記真空容器を冷却するための冷却水を循環させる水冷部(例えば、後述の水冷部500)と、前記真空容器の温度、前記筐体の温度、及び、前記冷却水の温度のうちの少なくとも1つの温度を測定する温度測定部(例えば、後述の温度センサ601,602,603)と、前記真空容器の温度、前記筐体の温度、及び、前記冷却水の温度のうちの少なくとも1つの温度を入力とし、入力された少なくとも1つの温度に応じた真空引きの圧力又は時間を出力とする第1関数を記憶する記憶部(例えば、後述の記憶部710)と、前記ガスレーザ発振器の起動時に、前記真空容器の真空引きの圧力又は時間を、前記記憶部に記憶された第1関数から導出される真空引きの圧力又は時間であって、前記温度測定部で測定された前記少なくとも1つの温度に応じた真空引きの圧力又は時間に変更する制御部(例えば、後述の制御部700)とを備え、前記第1関数が出力とする真空引きの圧力は、前記第1関数が入力とする前記少なくとも1つの温度が低いほど低く、前記第1関数が出力とする真空引きの時間は、前記第1関数が入力とする前記少なくとも1つの温度が低いほど長い。
(2) (1)に記載のガスレーザ発振器は、前記真空容器において構成される放電管(例えば、後述の放電管111,112,113,114)と、前記放電管に駆動電圧を供給するレーザ電源(例えば、後述のレーザ電源201)と、前記真空容器内のレーザガスを循環させるターボブロワ(例えば、後述のターボブロワ320)とをさらに備えてもよく、前記制御部は、変更した前記真空引きの圧力又は時間まで前記真空容器の真空引きを行った後に前記真空容器にレーザガスを充填するガス置換を行った後、レーザ発振動作を行うように前記ガスレーザ発振器を制御し、前記記憶部は、前記ガスレーザ発振器の前回起動時の第1状態パラメータを記憶すると共に、前記ガスレーザ発振器の第1状態パラメータの変化量及び第2状態パラメータのうちの少なくとも1つを入力とし、入力された第1状態パラメータの変化量及び/又は第2状態パラメータに応じた真空引きの追加の回数を出力とする第2関数を記憶してもよく、前記制御部は、前記記憶部に記憶された第2関数から導出される真空引きの追加の回数であって、前記記憶部に記憶された前回起動時の第1状態パラメータに対する前記レーザ発振動作における今回起動時の第1状態パラメータの変化量、及び、前記レーザ発振動作における第2状態パラメータのうちの少なくとも1つに応じて、真空引きの追加の回数を設定してもよく、前記第1状態パラメータは、レーザ出力指令値を得るための前記レーザ電源の出力電圧値及び出力電流値、前記放電管の駆動電圧値及び駆動電流値、及び、前記ターボブロワの駆動電流値であってもよく、前記第2状態パラメータは、レーザ出力指令値に対する前記ガスレーザ発振器のレーザ出力値の補正係数であってもよい。
(3) (1)又は(2)に記載のガスレーザ発振器において、前記第1関数は、前記真空容器の温度、前記筐体の温度、及び、前記冷却水の温度のうちの少なくとも1つの温度と、真空引きの圧力又は時間とが関連付けされたテーブルであってもよい。
(4) (2)に記載のガスレーザ発振器において、前記第2関数は、前記ガスレーザ発振器の第1状態パラメータの変化量及び第2状態パラメータのうちの少なくとも1つと、真空引きの追加の回数とが関連付けされたテーブルであってもよい。
(5) (1)に記載のガスレーザ発振器において、前記制御部は、変更した前記真空引きの圧力又は時間まで前記真空容器の真空引きを行った後に前記真空容器にレーザガスを充填するガス置換を行った後、さらに少なくとも1回、変更した前記真空引きの圧力又は時間まで前記真空容器の真空引きを行うように前記ガスレーザ発振器を制御してもよい。
(6) (1)に記載のガスレーザ発振器において、前記制御部は、変更した前記真空引きの圧力又は時間まで前記真空容器の真空引きを行った後に前記真空容器のレーザガスを充填するガス置換を行った後、さらに少なくとも1回、前記真空容器の真空引きの圧力又は時間を、前記記憶部に記憶された第1関数から再導出される真空引きの圧力又は時間であって、前記温度測定部で再測定された前記少なくとも1つの温度に応じた真空引きの圧力又は時間に再変更し、再変更した前記真空引きの圧力又は時間まで前記真空容器の真空引きを行うように前記ガスレーザ発振器を制御してもよい。
(7) (1)から(6)のいずれかに記載のガスレーザ発振器において、前記制御部は、変更した前記真空引きの圧力又は時間まで前記真空容器の真空引きを行った後に、レーザ発振動作を行うことにより前記真空容器及び前記筐体の内部の暖機を行うように前記ガスレーザ発振器を制御してもよい。
(8) (1)から(7)のいずれかに記載のガスレーザ発振器において、前記制御部は、前記真空容器にレーザガスを充填するとき、一旦大気圧又は陽圧までレーザガスを充填するように前記ガスレーザ発振器を制御してもよい。
本発明によれば、起動時に、安定したレーザ出力を得るための所定のレーザガス組成へのガス置換の時間を短縮することが可能なガスレーザ発振器を提供することができる。
本発明の実施形態に係るガスレーザ発振器の構成を示す図である。 第1実施形態に係るガスレーザ発振器の記憶部に記憶された第1関数(第1テーブル)の一例を示す図である。 第1実施形態に係るガスレーザ発振器の起動時の真空容器内の圧力の時間変化を示す図である。 第1実施形態の第1変形例に係るガスレーザ発振器の記憶部に記憶された第1関数(第1テーブル)の一例を示す図である。 第1実施形態の第2変形例に係るガスレーザ発振器の起動時の真空容器内の圧力の時間変化を示す図である。 第1実施形態の第3変形例に係るガスレーザ発振器の記憶部に記憶された第1関数(第1テーブル)の一例を示す図である。 第1実施形態の第4変形例に係るガスレーザ発振器の記憶部に記憶された第1関数(第1テーブル)の一例を示す図である。 第2実施形態に係るガスレーザ発振器の起動時の真空容器内の圧力の時間変化を示す図である。 第3実施形態に係るガスレーザ発振器の記憶部に記憶された第2関数(第2テーブル)の一例を示す図である。 第3実施形態の第1変形例に係るガスレーザ発振器の記憶部に記憶された第2関数(第2テーブル)の一例を示す図である。
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態の一例について説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るガスレーザ発振器の構成を示す図である。図1に示すガスレーザ発振器1は、例えば炭酸ガスレーザ発振器であり、レーザ加工機に用いられる。ガスレーザ発振器1は、共振器100と、放電駆動部200と、送風系300と、圧力コントロール部400と、水冷部500と、温度センサ601,602,603と、制御部700とを備えている。
共振器100、放電駆動部200、送風系300、圧力コントロール部400、水冷部500、及び、温度センサ601,602,603は、筐体2の内部に収容されている。制御部700は、例えばレーザ加工機の数値制御装置に含まれる。制御部700は、例えば筐体2内に設けられたインタフェース部(図示せず)を介して筐体2内の各部と通信を行い、ガスレーザ発振器1の全体の制御(例えば、動作シーケンス制御)を行う。
共振器100は、例えば二酸化炭素、ヘリウムおよび窒素を所定の組成比で混合したレーザガスを励起するための4つの放電管111,112,113,114と、これらの放電管111,112,113,114で励起された励起光を増幅するために、これらの放電管111,112,113,114において励起光を往復させるための出力鏡121、折返鏡122,123及びリア鏡124とを備えている。
具体的には、共振器100は、放電管111,112,113,114を構成するために、レーザガスが流れる流路130と、4つの電極対141,142,143,144とを備えている。流路130は、例えば管状をなし、金属又は石英等の材料で構成される。流路130の両端部には、レーザガスを流入させるための流入部131,132がそれぞれ設けられ、流路130の中央部には、レーザガスを流出させるための流出部133が設けられている。流路130の流入部131と流出部133との間の部分は2つに分岐されており、これらの分岐された部分には、電極対141,144がそれぞれ設けられている。これにより、流入部131と流出部133との間の部分に、放電管111,114が構成される。また、流路130の流入部132と流出部133との間の部分は2つに分岐されており、これらの分岐された部分には、電極対142,143がそれぞれ設けられている。これにより、流入部132と流出部133との間の部分に、放電管112,113が構成される。なお、図1では、各電極対141,142,143,144が簡略化されて示されている。
放電管111の流入部131側には出力鏡121が設けられており、放電管114の流入部131側にはリア鏡124が設けられている。また、放電管112の流入部132側には、光路を90度変更するように折返鏡122が設けられており、放電管113の流入部132側には、光路を90度変更するように折返鏡123が設けられている。換言すれば、折返鏡122,123は、放電管112と放電管113との間において光路を180度変更するように、すなわち光路を折り返すように配置されている。
これにより、出力鏡121と、放電管111,112,113,114と、リア鏡124とは、折返鏡122,123を介して直列に配置され、一点鎖線の矢印で示す折り返し光路を有する共振器100を構成する。共振器100で生成されたレーザ光は、出力鏡121から出射する。また、共振器100で生成されたレーザ光の一部は、リア鏡124側に設けられたパワーセンサ150に入射する。パワーセンサ150は、共振器100のレーザ出力値を検出して制御部700に送信する。
放電駆動部200は、レーザ電源201と、インピーダンス整合部202とを備える。レーザ電源201は、商用交流電力を入力し、インピーダンス整合部202を介して放電管111,112,113,114の電極対141,142,143,144に高周波の高電圧を供給する。これにより、放電駆動部200は、放電管111,112,113,114の放電を駆動する。
レーザ電源201は、制御部700の制御により、放電管111,112,113,114に電圧を供給する。また、レーザ電源201は、出力電圧値及び出力電流値を制御部700に送信する。インピーダンス整合部202は、電圧検出器及び電流検出器を有しており、放電管111,112,113,114に供給される駆動電圧値及び駆動電流値を制御部700に送信する。
送風系300は、共振器100の放電管111,112,113,114、具体的には流路130内にレーザガスを循環させるための配管311,312と、ターボブロワ320と、インバータ321と、吸入側熱交換器330と、吐出側熱交換器340と、ガス集塵器350とを備えている。
配管311の一端は、流路130の流出部133に接続されており、配管311の他端は、ターボブロワ320の吸入口に接続されている。また、配管312の一端側は、分岐して流入部131,132に接続され、配管312の他端は、ターボブロワ320の吐出口に接続されている。配管311,312は、例えば金属又は石英等の材料で構成される。
ターボブロワ320は、太矢印で示されるように、配管311,312を介して、共振器100の流路130内にレーザガスを循環させる。インバータ321は、制御部700の制御により、ターボブロワ320に駆動電流を供給する。また、インバータ321は、ターボブロワ320に供給する駆動電流値を制御部700に送信する。
吸入側熱交換器330は、配管311に設けられ、共振器100の放電管111,112,113,114の放電により熱せられたレーザガスを冷却する。吐出側熱交換器340は、配管312に設けられ、ターボブロワ320で圧縮されたレーザガスの圧縮熱を除去する。ガス集塵器350は、ターボブロワ320からのレーザガス内の粉塵をレーザガスと分離する。
本実施形態では、上記した共振器100及び送風系300が真空容器(真空系)3を構成する。
圧力コントロール部400は、排気用配管411と、ガス供給用配管412と、真空ポンプ420と、排気制御部430と、圧力制御部440と、圧力計450とを備えている。
排気用配管411の一端は、吸入側熱交換器330又は吸入側熱交換器330よりも下流側の配管311に接続され、排気用配管411の他端は、排気制御部430を介して真空ポンプ420に接続される。
排気制御部430は、排気用バルブ(電磁弁)を含む。排気制御部430は、制御部700の制御により、排気用バルブの開閉制御を行い、真空容器3内のガスの排気を行う(真空引き)。
ガス供給用配管412の一端は、吐出側熱交換器340又は吐出側熱交換器340よりも上流側の配管312に接続され、ガス供給用配管412の他端は、圧力計450を介して圧力制御部440に接続される。
圧力制御部440は、ガス供給用バルブ(電磁弁)を含む。圧力制御部440は、制御部700の制御により、ガス供給用バルブの開閉制御を行い、真空容器3内にレーザガスの供給を行う(レーザガス充填)。
圧力計450は、真空容器3内の圧力を測定して制御部700に送信する。
水冷部500は、真空容器3の各部まで冷却水を循環させて、真空容器3の各部の冷却を行う。例えば、水冷部500は、送風系300の吸入側熱交換器330及び吐出側熱交換器340に冷却媒体として冷却水を供給する。また、水冷部500は、送風系300のターボブロワ320等を冷却する。また、水冷部500は、共振器100の各鏡121,122,123,124及び電極対141,142,143,144等を冷却する。水冷部500は、制御部700の制御により、冷却水の循環を行う。なお、図1の太矢印は、冷却水の循環方向を示す。
温度センサ601は、真空容器3の温度を測定する。例えば、温度センサ601は、真空容器3における比較的に温度が上昇しないターボブロワ320の吸入口周辺に設けられる。温度センサ601は、測定した温度を制御部700に送信する。
温度センサ602は、真空容器3の周囲温度として、筐体2の温度を測定する。例えば、温度センサ602は、筐体2内部の共振器100の流路130の流入部131付近(又は流入部132付近)に設けられる。これにより、温度センサ602は、筐体2の温度を代表して共振器100付近の温度を測定する。温度センサ602は、測定した温度を制御部700に送信する。
温度センサ603は、真空容器3の冷却のための冷却水の温度を測定する。例えば、温度センサ603は、水冷部500の冷却水の入り口付近に設けられる。温度センサ603は、測定した温度を制御部700に送信する。
制御部700は、例えば、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field−Programmable Gate Array)等の演算プロセッサで構成される。制御部700の機能は、制御部700における記憶部710に格納された所定のソフトウェア(プログラム)を実行することで実現される。制御部700の機能は、ハードウェアとソフトウェアとの協働で実現されてもよいし、ハードウェア(電子回路)のみで実現されてもよい。
ここで、図2は、第1実施形態のガスレーザ発振器1の記憶部710に記憶された第1関数(第1テーブル)の一例を示す図である。図2に示すように、本実施形態では、記憶部710は、真空容器3の温度及び冷却水の温度を入力とし、入力した温度に応じた真空引き圧力を出力とする第1関数を記憶する。具体的には、記憶部710は、第1関数として、真空容器3の温度及び冷却水の温度と、真空引き圧力とが関連付けされた第1テーブルを記憶する。図2では、真空容器3の温度及び冷却水の温度が低いほど、真空引き圧力が低く設定される。
制御部700は、ガスレーザ発振器1の起動時に、真空容器3の真空引き圧力(真空到達ガス圧)を、記憶部710に記憶された第1関数から導出される真空引き圧力であって、温度センサ601で測定された真空容器3の温度、及び、温度センサ603で測定された冷却水の温度に応じた真空引き圧力に変更する。具体的には、制御部700は、第1テーブルを参照して、温度センサ601で測定された真空容器3の温度、及び、温度センサ603で測定された冷却水の温度に応じて真空引き圧力を決定する。
制御部700は、排気制御部430を制御して、決定した真空引き圧力まで真空容器3の真空引きを行う。また、制御部700は、圧力制御部440を制御して、真空容器3のレーザガスの充填を行う。また、制御部700は、レーザ電源201を制御して、放電管111,112,113,114への放電駆動電圧の供給を行う。また、制御部700は、インバータ321を制御して、ターボブロワ320への駆動電流の供給を行う。
また、制御部700は、パワーセンサ150から受信したレーザ出力値、レーザ電源201から受信したレーザ電源201の出力電圧値及び出力電流値、インピーダンス整合部202から受信した放電管111,112,113,114の放電駆動電圧値及び放電駆動電流値、インバータ321から受信したターボブロワ320の駆動電流値を記憶部710に記憶させる。
また、制御部700は、内蔵する時計の時刻情報に基づいて、ガスレーザ発振器1が停止する時刻を検出し、検出した停止時刻を記憶部710に記憶させる。また、制御部700は、記憶部710に記憶された前回の停止時刻と、内蔵する時計の時刻情報に基づく今回の起動時刻とから、ガスレーザ発振器1の停止時間を算出する。
また、記憶部710は、真空容器3の容量を予め記憶する。
ところで、一般に、ガスレーザ発振器1は、起動時、真空容器3の真空引きを行った後に真空容器3内にレーザガスを充填するガス置換を行う。
しかし、ガスレーザ発振器1の停止時間が長くなると、真空容器3に混入する空気の量が多くなる。これは、真空容器3内の温度、すなわち真空容器3の温度が低下し、真空容器3を構成する部材(例えば、金属又は石英)が収縮して、真空容器3のフランジ又は継手の継ぎ目(Oリング部)の隙間が大きくなる。この場合、起動時に所定の圧力(規定値)まで真空引きを行っても、真空容器3内に残留するガス中における空気の割合が相対的に多くなり、所定のレーザガス組成までガス置換を行うことができず、レーザ出力が不安定となってしまう。
安定したレーザ出力を得るための所定のレーザガス組成までガス置換を行うために、複数回のガス置換(真空引き及びレーザガス充填)を行うことが考えられるが、所定のレーザガス組成へのガス置換を行うまでに時間を要する。
そこで、本実施形態では、起動時に、真空容器3内の温度を直接的に又は間接的に測定し、測定した温度に応じて真空引きの圧力(真空到達ガス圧)を変更する。例えば、ガスレーザ発振器1の停止時間が長く、真空容器3内の温度が低い場合、通常の所定の圧力(規定値)よりも低い圧力に変更する。以下、図3を参照して、第1実施形態のガスレーザ発振器1の制御部700によるガスレーザ発振器1の起動時の真空容器3内の圧力制御動作を説明する。
図3は、第1実施形態のガスレーザ発振器1の起動時の真空容器3内の圧力の時間変化を示す図である。
まず、レーザ加工機が起動されて、ガスレーザ発振器1が起動されると(時刻t10)、制御部700は、各温度センサ601,602,603で測定された真空容器3の温度、筐体2内部の共振器100の温度、及び、冷却水の温度を取得する(時刻t20)。
ここで、ガスレーザ発振器1の停止時間が長い場合、真空容器3の温度だけでなく、真空容器3の周囲温度、すなわち真空容器3を収容する筐体2内の温度、及び、真空容器3の冷却のための冷却水の温度も低い。本実施形態では、真空容器3の温度を直接的に測定するだけでなく、真空容器3の周囲温度、すなわち筐体2内の温度を代表して、筐体2内部の共振器100の温度を測定することにより、真空容器3の温度を間接的に測定する。また、真空容器3の冷却のための冷却水の温度を測定することにより、真空容器3の温度を間接的に測定する。
次に、制御部700は、記憶部710に記憶された第1テーブル(図2)を参照し、真空容器3の温度及び冷却水の温度に対応した真空引き圧力(真空到達ガス圧)を決定する。
例えば、ガスレーザ発振器1の停止時間が所定範囲内にある場合、真空容器3の温度は所定範囲内にあり、筐体2内部の共振器100の温度も所定範囲内にあり、冷却水の温度も所定範囲内にある。このとき、制御部700は、図2に示すように、所定の圧力(規定値)3.0Torr(339Pa)を真空引き圧力として決定する。
また、ガスレーザ発振器1の停止時間が所定範囲よりも短い場合、真空容器3の温度は所定範囲よりも高く、筐体2内部の共振器100の温度も所定範囲よりも高く、冷却水の温度も所定範囲よりも高い。この場合、真空容器3内に混入する空気の量が少ないことが予想される。よって、制御部700は、図2に示すように、所定の圧力(規定値)3.0Torr(339Pa)よりも高い圧力5.0Torr(665Pa)に真空引き圧力を変更する。
また、ガスレーザ発振器1の停止時間が所定範囲よりも長い場合、真空容器3の温度は所定範囲よりも低く、筐体2内部の共振器100の温度も所定範囲よりも低く、冷却水の温度も所定範囲よりも低い。この場合、真空容器3内に混入する空気の量が多いことが予想される。よって、制御部700は、図2に示すように、所定の圧力(規定値)3.0Torr(339Pa)よりも低い圧力1.0Torr(133Pa)に真空引き圧力を変更する。
次に、制御部700は、排気制御部430の排気バルブを制御して、真空ポンプ420により真空容器3内の真空引きを開始する(時刻t30)。その後、圧力計450からの圧力値に基づいて真空容器3内の圧力が、決定した真空引き圧力に達したとき、制御部700は、圧力制御部440のガス供給バルブを制御して真空容器3へのレーザガスの充填を開始する(停止時間が所定範囲よりも短い場合には時刻t41、停止時間が所定範囲内にある場合には時刻t42、停止時間が所定範囲よりも長い場合には時刻t43)。
次に、制御部700は、圧力計450からの圧力値に基づいて真空容器3内の圧力を所定値に保つように圧力制御部440のガス供給バルブを制御する(停止時間が所定範囲よりも短い場合には時刻t51、停止時間が所定範囲内にある場合には時刻t52、停止時間が所定範囲よりも長い場合には時刻t53)。これにより、レーザ発振の準備が完了する。
その後、制御部700は、放電駆動部200を制御して、放電管111,112,113,114に放電駆動電圧を供給する。これにより、放電管111,112,113,114においてレーザガスが励起されると共に光増幅されて、出力鏡121を介して出力される。
以上説明したように、本実施形態のガスレーザ発振器1によれば、起動時に、真空容器3の真空引きの圧力を、第1関数から導出される真空引きの圧力であって、温度センサ601で測定された真空容器3の温度、及び、温度センサ603で測定された冷却水の温度に応じた真空引き圧力(真空到達ガス圧)に変更する。第1関数が出力とする真空引きの圧力は、第1関数が入力とする温度が低いほど低い。これにより、ガスレーザ発振器1の停止時間が長く、真空容器3内の温度が低い場合に、通常の所定の圧力(規定値)よりも低い圧力まで真空容器3の真空引きを行うことができる。その結果、ガスレーザ発振器1の停止時間が長く、真空容器3内の温度が低い場合に、真空容器3内に混入する空気が多くなっても、混入した空気を真空容器3内から効率的に除去(排出)することができる。これにより、安定したレーザ出力を得るための所定のレーザガス組成へのガス置換(真空引き及びレーザガス充填)の時間を短縮することができる。
一方、ガスレーザ発振器1の停止時間が短く、真空容器3内の温度が高い場合には、通常の所定の圧力(規定値)よりも低い圧力まで真空容器3の真空引きを行わないようにすることができる。これにより、ガス置換の時間を短縮することができる。
また、本実施形態のガスレーザ発振器1によれば、第1関数がテーブル形式であるので、真空容器3のある温度範囲において真空引き圧力を一定値に設定することができ、制御則を簡素化することができる。
(第1実施形態の第1変形例)
上述した第1実施形態では、真空容器3の温度及び冷却水の温度に応じて真空容器3の真空引き圧力(真空到達ガス圧)を変更したが、冷却水の温度に代えて筐体2内部の共振器100の温度に応じて真空容器3の真空引き圧力を変更してもよい。
図4は、第1実施形態の第1変形例に係るガスレーザ発振器1の記憶部710に記憶された第1関数(第1テーブル)の一例を示す図である。第1変形例では、図4に示すように、記憶部710は、真空容器3の温度及び筐体2内部の共振器100の温度を入力とし、入力した温度に応じた真空引き圧力を出力とする第1関数を記憶する。具体的には、記憶部710は、第1関数として、真空容器3の温度及び筐体2内部の共振器100の温度と、真空引き圧力とが関連付けされた第1テーブルを記憶する。図4では、真空容器3の温度及び筐体2内部の共振器100の温度が低いほど、真空引き圧力が低く設定される。
そして、制御部700は、ガスレーザ発振器1の起動時に、真空容器3の真空引き圧力(真空到達ガス圧)を、記憶部710に記憶された第1関数から導出される真空引き圧力であって、温度センサ601で測定された真空容器3の温度、及び、温度センサ602で測定された筐体2内部の共振器100の温度に応じた真空引き圧力に変更する。具体的には、制御部700は、第1テーブルを参照して、温度センサ601で測定された真空容器3の温度、及び、温度センサ602で測定された筐体2内部の共振器100の温度に応じて真空引き圧力を決定する。
本変形例のガスレーザ発振器1でも、第1実施形態のガスレーザ発振器1と同様の利点を得ることができる。
さらには、真空容器3の温度、筐体2内部の共振器100の温度、及び、冷却水の温度のうちの少なくとも1つの温度に応じて真空容器3の真空引き圧力(真空到達ガス圧)を変更してもよい。
この場合、記憶部710は、真空容器3の温度、筐体2内部の共振器100の温度、及び、冷却水の温度のうちの少なくとも1つの温度を入力とし、入力した温度に応じた真空引き圧力を出力とする第1関数を記憶する。具体的には、記憶部710は、第1関数として、真空容器3の温度、筐体2内部の共振器100の温度、及び、冷却水の温度のうちの少なくとも1つの温度と、真空引き圧力とが関連付けされた第1テーブルを記憶する。この場合、真空容器3の温度、筐体2内部の共振器100の温度、及び、冷却水の温度のうちの少なくとも1つの温度が低いほど、真空引き圧力が低く設定される。
そして、制御部700は、ガスレーザ発振器1の起動時に、真空容器3の真空引き圧力(真空到達ガス圧)を、記憶部710に記憶された第1関数から導出される真空引き圧力であって、温度センサ601で測定された真空容器3の温度、温度センサ602で測定された筐体2内部の共振器100の温度、及び、温度センサ603で測定された冷却水の温度のうちの少なくとも1つの温度に応じた真空引き圧力に変更する。具体的には、制御部700は、第1テーブルを参照して、温度センサ601で測定された真空容器3の温度、温度センサ602で測定された筐体2内部の共振器100の温度、及び、温度センサ603で測定された冷却水の温度のうちの少なくとも1つの温度に応じて真空引き圧力を決定する。
(第1実施形態の第2変形例)
上述した第1実施形態及び第1変形例では、真空容器3の真空引き圧力(真空到達ガス圧)を変更したが、真空容器3の真空引き圧力に代えて、真空容器3の真空引き時間を変更してもよい。
この場合、記憶部710は、上述した第1関数において、真空引き圧力に代えて真空引き時間を出力とする第1関数を記憶する。例えば、記憶部710は、上述した第1テーブルにおいて、真空引き圧力に代えて真空引き時間が設定された第1テーブルを記憶する(図2及び図4)。図2では、真空容器3の温度及び冷却水の温度が低いほど、真空引き時間が長く設定される。図3では、真空容器3の温度及び筐体2内部の共振器100の温度が低いほど、真空引き時間が長く設定される。
そして、制御部700は、ガスレーザ発振器1の起動時に、真空容器3の真空引き時間を、記憶部710に記憶された第1関数から導出される真空引き時間であって、温度センサ601で測定された真空容器3の温度、及び、温度センサ603で測定された冷却水の温度に応じた真空引き時間に変更する。具体的には、制御部700は、第1テーブルを参照して、温度センサ601で測定された真空容器3の温度、及び、温度センサ603で測定された冷却水の温度に応じて真空引き時間を決定する(図2)。
または、制御部700は、ガスレーザ発振器1の起動時に、真空容器3の真空引き時間を、記憶部710に記憶された第1関数から導出される真空引き時間であって、温度センサ601で測定された真空容器3の温度、及び、温度センサ602で測定された筐体2内部の共振器100の温度に応じた真空引き時間に変更する。具体的には、制御部700は、第1テーブルを参照して、温度センサ601で測定された真空容器3の温度、及び、温度センサ602で測定された筐体2内部の共振器100の温度に応じて真空引き時間を決定する(図4)。以下、図5を参照して、第2変形例のガスレーザ発振器1の制御部700によるガスレーザ発振器1の起動時の真空容器3内の圧力制御動作を説明する。
図5は、第2変形例に係るガスレーザ発振器1の起動時の真空容器3内の圧力の時間変化を示す図である。
上述したように、レーザ加工機が起動されて、ガスレーザ発振器1が起動されると(時刻t10)、制御部700は、各温度センサ601,602,603で測定された真空容器3の温度、筐体2内部の共振器100の温度、及び、冷却水の温度を取得する(時刻t20)。
次に、制御部700は、記憶部710に記憶された第1テーブル(図2)を参照し、真空容器3の温度及び冷却水の温度に対応した真空引き時間を決定する。又は、制御部700は、記憶部710に記憶された第1テーブル(図4)を参照し、真空容器3の温度及び筐体2内部の共振器100の温度に対応した真空引き時間を決定する。
例えば、ガスレーザ発振器1の停止時間が所定範囲内にある場合、上述したように、真空容器3の温度は所定範囲内にあり、筐体2内部の共振器100の温度も所定範囲内にあり、冷却水の温度も所定範囲内にある。このとき、制御部700は、図2又は図4に示すように、所定の時間(規定値)6分(360秒)を真空引き時間として決定する。
また、ガスレーザ発振器1の停止時間が所定範囲よりも短い場合、上述したように、真空容器3の温度は所定範囲よりも高く、筐体2内部の共振器100の温度も所定範囲よりも高く、冷却水の温度も所定範囲よりも高い。この場合、真空容器3内に混入する空気の量が少ないことが予想される。よって、制御部700は、図2又は図4に示すように、所定の時間(規定値)6分(360秒)よりも短い時間3分(180秒)に真空引き時間を変更する。
また、ガスレーザ発振器1の停止時間が所定値よりも長い場合、上述したように、真空容器3の温度は所定範囲よりも低く、筐体2内部の共振器100の温度も所定範囲よりも低く、冷却水の温度も所定範囲よりも低い。この場合、真空容器3内に混入する空気の量が多いことが予想される。よって、制御部700は、図2又は図4に示すように、所定の時間(規定値)6分(360秒)よりも長い時間10分(600秒)に真空引き時間を変更する。
次に、制御部700は、排気制御部430の排気バルブを制御して、真空ポンプ420により真空容器3内の真空引きを開始する(時刻t30)。その後、起動時刻t10からの経過時刻が、決定した真空引き時間に達したとき、制御部700は、上述したように、圧力制御部440のガス供給バルブを制御して真空容器3へのレーザガスの充填を開始する(停止時間が所定範囲よりも短い場合には時刻t41、停止時間が所定範囲内にある場合には時刻t42、停止時間が所定範囲よりも長い場合には時刻t43)。
次に、制御部700は、圧力計450からの圧力値に基づいて真空容器3内の圧力を所定値に保つように圧力制御部440のガス供給バルブを制御する(停止時間が所定範囲よりも短い場合には時刻t51、停止時間が所定範囲内にある場合には時刻t52、停止時間が所定範囲よりも長い場合には時刻t53)。これにより、レーザ発振の準備が完了する。
この変形例のガスレーザ発振器1によれば、起動時に、真空容器3の真空引きの時間を、第1関数から導出される真空引きの時間であって、例えば温度センサ601で測定された真空容器3の温度、及び、温度センサ603で測定された冷却水の温度に応じた真空引きの時間に変更する(図2)。第1関数が出力とする真空引きの時間は、第1関数が入力とする温度が低いほど長い。これにより、ガスレーザ発振器1の停止時間が長く、真空容器3内の温度が低い場合に、通常の所定の圧力(規定値)よりも低い圧力まで真空容器3の真空引きを行うことができる。その結果、ガスレーザ発振器1の停止時間が長く、真空容器3内の温度が低い場合に、真空容器3内に混入する空気が多くなっても、混入した空気を真空容器3内から効率的に除去(排出)することができる。これにより、安定したレーザ出力を得るための所定のレーザガス組成へのガス置換(真空引き及びレーザガス充填)の時間を短縮することができる。
一方、ガスレーザ発振器1の停止時間が短く、真空容器3内の温度が高い場合には、通常の所定の圧力(規定値)よりも低い圧力まで真空容器3の真空引きを行わないようにすることができる。これにより、ガス置換の時間を短縮することができる。
(第1実施形態の第3変形例)
上述した第1実施形態では、真空容器3の温度及び冷却水の温度に応じて真空容器3の真空引き圧力を変更したが、冷却水の温度に代えてガスレーザ発振器1の停止時間に応じて真空容器3の真空引き圧力を変更してもよい。
図6は、第3変形例に係るガスレーザ発振器1の記憶部710に記憶された第1関数(第1テーブル)の一例を示す図である。第3変形例では、図6に示すように、記憶部710は、真空容器3の温度及び停止時間を入力とし、入力した温度及び停止時間に応じた真空引き圧力(又は真空引き時間)を出力とする第1関数を記憶する。具体的には、記憶部710は、第1関数として、真空容器3の温度及び停止時間と、真空引き圧力(又は真空引き時間)とが関連付けされた第1テーブルを記憶する。図6では、ガスレーザ発振器1の停止時間が長いほど、真空引き圧力が低く(又は真空引き時間が長く)設定される。
そして、制御部700は、ガスレーザ発振器1の起動時に、真空容器3の真空引き圧力(又は真空引き時間)を、記憶部710に記憶された第1関数から導出される真空引き圧力(又は真空引き時間)であって、温度センサ601で測定された真空容器3の温度、及び、制御部700内蔵の時計の時刻情報から算出した停止時間に応じた真空引き圧力(又は真空引き時間)に変更する。具体的には、制御部700は、第1テーブルを参照して、温度センサ601で測定された真空容器3の温度、及び、制御部700内蔵の時計の時刻情報から算出した停止時間に応じて真空引き圧力(又は真空引き時間)を決定する。
本変形例のガスレーザ発振器1でも、第1実施形態のガスレーザ発振器1と同様の利点を得ることができる。
(第1実施形態の第4変形例)
上述した第3変形例では、真空容器3の温度及びガスレーザ発振器1の停止時間に応じて真空容器3の真空引き圧力を変更したが、ガスレーザ発振器1の停止時間に代えて真空容器3の容量に応じて真空容器3の真空引き圧力を変更してもよい。
図7は、第4変形例に係るガスレーザ発振器1の記憶部710に記憶された第1関数(第1テーブル)の一例を示す図である。第4変形例では、図7に示すように、記憶部710は、真空容器3の温度及び真空容器3の容量を入力とし、入力した温度及び容量に応じた真空引き圧力(又は真空引き時間)を出力とする第1関数を記憶する。具体的には、記憶部710は、第1関数として、真空容器3の温度及び容量と、真空引き圧力(又は真空引き時間)とが関連付けされた第1テーブルを記憶する。図7では、真空容器3の容量が大きいほど、真空引き圧力が低く(又は真空引き時間が長く)設定される。
そして、制御部700は、ガスレーザ発振器1の起動時に、真空容器3の真空引き圧力(又は真空引き時間)を、記憶部710に記憶された第1関数から導出される真空引き圧力(又は真空引き時間)であって、温度センサ601で測定された真空容器3の温度、及び、記憶部710に予め記憶された真空容器3の容量に応じた真空引き圧力(又は真空引き時間)に変更する。具体的には、制御部700は、第1テーブルを参照して、温度センサ601で測定された真空容器3の温度、及び、記憶部710に予め記憶された真空容器3の容量に応じて真空引き圧力(又は真空引き時間)を決定する。
本変形例のガスレーザ発振器1でも、第1実施形態のガスレーザ発振器1と同様の利点を得ることができる。
(第2実施形態)
第1実施形態では、真空引き及びレーザガス充填のガス置換を1回だけ行った。しかし、1回のガス置換では、真空容器3内の温度が十分に上昇しないことがある。この場合、真空容器3の継ぎ目の隙間が十分に小さくならず、その後も空気が真空容器3に混入し続け、レーザガスの組成が変化して、レーザ発振が不安定になる可能性がある。
そこで、第2実施形態では、ガス置換を複数回行う。また、第2実施形態では、真空容器の温度を上昇させる暖機を行う。さらに、第2実施形態では、レーザガス充填において一旦大気圧付近又は陽圧(大気圧よりも高い圧力)まで加圧を行う。
第2実施形態に係るガスレーザ発振器1の構成は、図1に示す第1実施形態のガスレーザ発振器1の構成と同一である。なお、第2実施形態に係るガスレーザ発振器1では、制御部700の機能及び動作が第1実施形態のガスレーザ発振器1と異なる。
以下、図8を参照して、第2実施形態のガスレーザ発振器1の制御部700によるガスレーザ発振器1の起動時の真空容器3内の圧力制御動作を説明する。図8は、第2実施形態のガスレーザ発振器1の起動時の真空容器3内の圧力の時間変化を示す図である。
時刻t10〜t51,t52,t53までの動作は、上述の通りである。
その後、制御部700は、各温度センサ601,602,603で測定された真空容器3の温度、筐体2内部の共振器100の温度、及び、冷却水の温度を再度取得する(時刻t60)。
次に、制御部700は、記憶部710に記憶された第1テーブル(図2)を参照し、上述同様に、真空容器3の温度及び冷却水の温度に対応した真空引き圧力を再度決定する。
また、制御部700は、真空容器3の温度及び冷却水の温度が所定範囲よりも低い場合に、放電駆動部200を制御して、放電管111,112,113,114の放電を行うことにより暖機を所定時間だけ行う(時刻t71〜t72)。
また、制御部700は、圧力制御部440のガス供給バルブを制御して、真空容器3の圧力を大気圧付近又は所定の陽圧まで加圧するように、レーザガスの充填を行う(時刻t76〜t78)。
次に、制御部700は、上述同様に、真空容器3内の真空引きを開始し(時刻t78)、真空容器3内の圧力が、決定した真空引き圧力に達したとき、真空容器3へのレーザガスの充填を開始する(停止時間が所定範囲よりも短い場合には時刻t81、停止時間が所定範囲にある場合には時刻t82、停止時間が所定範囲よりも長い場合には時刻t83)。
次に、制御部700は、上述同様に、真空容器3内の圧力を所定値に保つように圧力制御部440のガス供給バルブを制御する(停止時間が所定範囲よりも短い場合には時刻t91、停止時間が所定範囲内にある場合には時刻t92、停止時間が所定範囲よりも長い場合には時刻t93)。これにより、レーザ発振の準備が完了する。
この第2実施形態のガスレーザ発振器1でも、第1実施形態のガスレーザ発振器1と同様の利点を得ることができる。
さらに、第2実施形態のガスレーザ発振器1によれば、真空容器3の真空引き及びレーザガス充填のガス置換を1度行った後、追加のガス置換を再度行う。これにより、1回のガス置換では、真空容器3内の温度が十分に上昇せず、真空容器3の継ぎ目の隙間が十分に小さくならず、その後も空気が真空容器3に混入し続ける場合であっても、混入した空気を効果的に除去することができる。
また、追加のガス置換において、真空容器3の温度を直接的に又は間接的に再度測定し、測定した温度が低い場合に、第1関数に基づいて真空引き圧力を再設定し、再設定した真空引き圧力で真空引きを再度行う。これにより、1回目のガス置換において真空容器内の温度が上昇していれば、2回目以降のガス置換における真空引き圧力は、1回目のガス置換における真空引き圧力よりも高く設定されるので、ガス置換の時間を短縮することができる。
なお、第2実施形態では、追加のガス置換において、真空容器3の温度を再度測定し、第1関数に基づいて再設定した真空引き圧力を用いて真空引きを再度行ったが、真空容器3の温度の再測定を行わず、1回目のガス置換において設定した真空引き圧力を再度用いて真空引きを行ってもよい。また、第2実施形態では、追加のガス置換を1回行ったが、2回以上行ってもよい。
また、第2実施形態のガスレーザ発振器1によれば、真空容器3の真空引き及びレーザガス充填のガス置換を行った後、放電管111,112,113,114の放電を行うことにより真空容器3を暖める暖機を行う。これにより、真空容器3内璧に付着した空気成分(酸素、水分)を蒸発させることができる。そのため、その後真空容器3の真空引き及びレーザガス充填のガス置換を再度行うことにより、真空容器3内に混入した空気を効果的に除去することができる。
また、第2実施形態のガスレーザ発振器1によれば、真空容器3の真空引き及びレーザガス充填のガス置換を行った後、さらにレーザガスを充填することにより真空容器3の圧力を一旦大気圧付近又は陽圧まで高める(加圧)。これにより、真空容器3内に残留した空気をレーザガス内に拡散させ、レーザガス中のヘリウムガスによるガスの流動性を高めることができる。そのため、真空容器3内に混入した空気を効果的に除去することができる。
(第3実施形態)
ところで、真空容器3の継ぎ目に設けられたOリング等のシール部材、継手、又は、チューブが劣化すると、真空容器3に混入する空気が増加し、その結果、真空引き及びレーザガス充填のガス置換を1回だけ行っても所定のレーザガス組成を得られないことがある。
また、混入した空気や水分が真空容器3内壁に付着すると、ガス置換で排出されず、放電管111,112,113,114の放電において分離することにより、レーザガス組成が一時的に劣化することがある。
このような場合、ガスレーザ発振器1では、数値制御部で設定されたレーザ出力指令値を得るように、ガスレーザ発振器1の状態パラメータが変更される。例えば、レーザ出力の補正が行われたり、レーザ電源201の出力電圧、すなわち放電管111,112,113,114の駆動電圧が上昇されたり、ターボブロワ320の駆動電流が上昇されたりする。
第3の実施形態では、ガスレーザ発振器1の状態パラメータに応じて真空引きの追加の回数を設定する。
第3実施形態に係るガスレーザ発振器1の構成は、図1に示す第1実施形態のガスレーザ発振器1の構成と同一である。なお、第3実施形態に係るガスレーザ発振器1では、制御部700の機能及び動作が第1実施形態のガスレーザ発振器1と異なる。また、記憶部710が、さらに前回起動時の状態パラメータと、第2関数とを記憶する。
記憶部710は、ガスレーザ発振器1の前回起動時の第1状態パラメータとして、レーザ電源201の出力電圧値及び出力電流値、放電管111,112,113,114の駆動電圧値及び駆動電流値、及び、ターボブロワ320の駆動電流値を記憶する。また、記憶部710は、第2関数(第2テーブル)を記憶する。
図9は、第3実施形態の記憶部710に記憶された第2関数(第2テーブル)の一例を示す図である。図9に示すように、本実施形態では、記憶部710は、放電管111,112,113,114の駆動電圧値の変化量(第1状態パラメータの変化量)及びレーザ出力値の補正係数(第2状態パラメータ)を入力とし、入力された放電管111,112,113,114の駆動電圧値の変化量及び/又はレーザ出力値の補正係数に応じた真空引きの追加の回数を出力とする第2関数を記憶する。具体的には、記憶部710は、第2関数として、放電管111,112,113,114の駆動電圧値の変化量及びレーザ出力値の補正係数と、真空引きの追加の回数とが関連付けされた第2テーブルを記憶する。図9では、レーザ出力値の補正係数が大きいほど、真空引きの追加の回数が多い。また、放電管111,112,113,114の駆動電圧値の変化量(増加量)が大きいほど、真空引きの追加の回数が多く設定される。
なお、レーザ出力値の補正係数とは、数値制御装置のレーザ出力指令値に対するガスレーザ発振器1のレーザ出力値の補正係数、より具体的には、レーザ出力指令値を得るようにガスレーザ発振器1のレーザ出力値を補正するための係数である。
制御部700は、今回起動時のレーザ発振動作において、記憶部710に記憶された第2関数から導出される真空引きの追加の回数であって、記憶部710に記憶された前回起動時の放電管111,112,113,114の駆動電圧値に対する今回起動時の放電管111,112,113,114の駆動電圧値の変化量(第1状態パラメータの変化量)、及び、レーザ出力値の補正係数(第2状態パラメータ)に応じて、真空引きの追加の回数を設定する。具体的には、制御部700は、第2テーブルを参照して、前回起動時に対する今回起動時の放電管111,112,113,114の駆動電圧値の変化量、及び、レーザ出力値の補正係数に応じて、真空引きの追加回数を決定する。
次に、第3実施形態に係るガスレーザ発振器1の制御部700によるガスレーザ発振器1の起動時の真空容器3内の圧力制御動作を説明する。
まず、上述したように(例えば、図3参照)、制御部700は、変更した真空引き圧力(又は真空引き時間)まで真空容器3の真空引きを行った後に真空容器3にレーザガスを充填するガス置換を行い、その後レーザ発振動作を行う。
このとき、制御部700は、パワーセンサ150で測定されたレーザ出力値を取得し、レーザ出力指令値を得るようにレーザ出力値を補正する係数、すなわちレーザ出力値の補正係数(第2状態パラメータ)を求める。また、制御部700は、今回起動時の第1状態パラメータとして、レーザ電源201からレーザ電源201の出力電圧値及び出力電流値を、インピーダンス整合部202から放電管111,112,113,114の駆動電圧値及び駆動電流値を、及び、インバータ321からターボブロワ320の駆動電流値を取得する。
次に、制御部700は、第2テーブル(第2関数)を参照して、記憶部710に記憶された前回起動時の放電管111,112,113,114の駆動電圧値に対する今回起動時の放電管111,112,113,114の駆動電圧値の変化量(第1状態パラメータの変化量)、及び、レーザ出力値の補正係数(第2状態パラメータ)に対応した真空引きの追加の回数を決定する。
例えば、放電管111,112,113,114の駆動電圧値の増加量及びレーザ出力値の補正係数が所定範囲よりも小さい場合には、制御部700は、真空引きの追加の回数を0回に、すなわち追加の真空引きを行わないように決定する。また、放電管111,112,113,114の駆動電圧値の増加量及びレーザ出力値の補正係数が所定範囲内にある場合には、制御部700は、真空引きの追加の回数を1回に決定する。また、放電管111,112,113,114の駆動電圧値の増加量及びレーザ出力値の補正係数が所定範囲よりも大きい場合には、制御部700は、真空引きの追加の回数を3回に決定する。
次に、制御部700は、決定した真空引きの追加の回数だけ、真空引き及びレーザガス充填のガス置換を行う。
第3実施形態のガスレーザ発振器1でも、第1実施形態のガスレーザ発振器1と同様の利点を得ることができる。
さらに、第3実施形態のガスレーザ発振器1によれば、ガス置換後のレーザ発振動作において、第2関数から導出される真空引きの時間であって、例えば前回起動時に対する今回起動時の放電管111,112,113,114の駆動電圧値の増加量、及び、レーザ出力値の補正係数に応じて真空引きの追加の回数を設定する(図9)。第2関数が出力とする真空引きの追加の回数は、第2関数が入力とする放電管111,112,113,114の駆動電圧値の増加量及びレーザ出力値の補正係数が大きいほどほど多い。これにより、真空容器3の継ぎ目に設けられたOリング等のシール部材、継手、又は、チューブが劣化したり、真空容器3内壁に付着した空気や水分が放電管111,112,113,114の放電により分離したりして、ガスレーザ発振器1の状態が悪くなった場合に、追加の真空引きを行うことができる。その結果、混入した空気を真空容器3内から効率的に除去(排出)することができる。
(第3実施形態の変形例)
上述した第3実施形態では、前回起動時に対する今回起動時の放電管111,112,113,114の駆動電圧値の変化量、及び、レーザ出力値の補正係数に応じて真空引きの追加の回数を設定したが、レーザ出力値の補正係数に代えて前回起動時に対する今回起動時のターボブロワ320の駆動電流値の変化量に応じて真空引きの追加の回数を設定してもよい。
図10は、第3実施形態の変形例に係るガスレーザ発振器1の記憶部710に記憶された第2関数(第2テーブル)の一例を示す図である。この変形例では、図10に示すように、記憶部710は、放電管111,112,113,114の駆動電圧値の変化量、及び、ターボブロワ320の駆動電流値の変化量(第1状態パラメータの変化量)を入力とし、入力された放電管111,112,113,114の駆動電圧値の変化量及び/又はターボブロワ320の駆動電流値の変化量に応じた真空引きの追加の回数を出力とする第2関数を記憶する。具体的には、記憶部710は、第2関数として、放電管111,112,113,114の駆動電圧値の変化量及びターボブロワ320の駆動電流値の変化量と、真空引きの追加の回数とが関連付けされた第2テーブルを記憶する。図10では、ターボブロワ320の駆動電流値の変化量(増加量)が大きいほど、真空引きの追加の回数が多く設定される。
そして、制御部700は、今回起動時のレーザ発振動作において、記憶部710に記憶された第2関数から導出される真空引きの追加の回数であって、記憶部710に記憶された前回起動時の放電管111,112,113,114の駆動電圧値に対する今回起動時の放電管111,112,113,114の駆動電圧値の変化量、及び、記憶部710に記憶された前回起動時のターボブロワ320の駆動電流値に対する今回起動時のターボブロワ320の駆動電流値の変化量に応じて、真空引きの追加の回数を設定する。具体的には、制御部700は、第2テーブルを参照して、前回起動時に対する今回起動時の放電管111,112,113,114の駆動電圧値の変化量、及び、前回起動時に対する今回起動時のターボブロワ320の駆動電流値の変化量に応じて、真空引きの追加回数を決定する。
本変形例のガスレーザ発振器1でも、第3実施形態のガスレーザ発振器1と同様の利点を得ることができる。
さらには、第1状態パラメータの変化量及び第2状態パラメータのうちの少なくとも1つに応じて真空引きの追加の回数を設定してもよい。ここで、第1状態パラメータは、レーザ電源201の出力電圧値及び出力電流値、放電管111,112,113,114の駆動電圧値及び駆動電流値、及び、ターボブロワ320の駆動電流値であり、第2状態パラメータは、レーザ出力値の補正係数である。
この場合、記憶部710は、ガスレーザ発振器1の第1状態パラメータの変化量及び第2状態パラメータのうちの少なくとも1つを入力とし、入力された第1状態パラメータの変化量及び/又は第2状態パラメータに応じた真空引きの追加の回数を出力とする第2関数を記憶する。具体的には、記憶部710は、第2関数として、第1状態パラメータの変化量及び第2状態パラメータのうちの少なくとも1つと、真空引きの追加の回数とが関連付けされた第2テーブルを記憶する。この場合、第1状態パラメータの増加量及び第2状態パラメータのうちの少なくとも1つが大きいほど、真空引きの追加の回数が多く設定される。
そして、制御部700は、記憶部710に記憶された第2関数から導出される真空引きの追加の回数であって、記憶部710に記憶された前回起動時の第1状態パラメータに対する今回起動時の第1状態パラメータの変化量、及び、第2状態パラメータのうちの少なくとも1つに応じて、真空引きの追加の回数を設定する。具体的には、制御部700は、第2テーブルを参照して、前回起動時に対する今回起動時の第1状態パラメータの変化量及び第2状態パラメータのうちの少なくとも1つに応じて真空引きの追加の回数を決定する。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限るものではない。また、本実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
例えば、上述した実施形態及び変形例では、真空引きの圧力及び時間の一方を用いて真空引きを行ったが、真空引きの圧力及び時間の両方を用いて真空引きを行ってもよい。これによれば、真空ポンプの能力により真空引きの圧力まで真空引きを行うことができない場合には、真空引きの時間で真空引きを終了させることができる。
また、上述した実施形態及び変形例では、テーブル形式の第1関数及び第2関数を例示したが、第1関数及び第2関数はこれに限定されるものではない。例えば、第1関数及び第2関数は、入力変数と出力変数との間に特定の対応関係を有する関数であればよい。
1 ガスレーザ発振器
2 筐体
3 真空容器
100 共振器
111,112,113,114 放電管
121 出力鏡
122,123 折返鏡
124 リア鏡
130 流路
131,132 流入部
133 流出部
141,142,143,144 電極対
150 パワーセンサ
200 放電駆動部
201 レーザ電源
202 インピーダンス整合部
300 送風系
311,312 配管
320 ターボブロワ
321 インバータ
330 吸入側熱交換器
340 吐出側熱交換器
350 ガス集塵器
400 圧力コントロール部
411 排気用配管
412 ガス供給用配管
420 真空ポンプ
430 排気制御部
440 圧力制御部
450 圧力計
500 水冷部
601,602,603 温度センサ(温度測定部)
700 制御部
710 記憶部

Claims (8)

  1. 起動時に、真空容器の真空引きを行った後に前記真空容器にレーザガスを充填するガス置換を行うガスレーザ発振器であって、
    前記真空容器と、
    前記真空容器を収容する筐体と、
    前記真空容器を冷却するための冷却水を循環させる水冷部と、
    前記真空容器の温度、前記筐体の温度、及び、前記冷却水の温度のうちの少なくとも1つの温度を測定する温度測定部と、
    前記真空容器の温度、前記筐体の温度、及び、前記冷却水の温度のうちの少なくとも1つの温度を入力とし、入力された少なくとも1つの温度に応じた真空引きの圧力又は時間を出力とする第1関数を記憶する記憶部と、
    前記ガスレーザ発振器の起動時に、前記真空容器の真空引きの圧力又は時間を、前記記憶部に記憶された第1関数から導出される真空引きの圧力又は時間であって、前記温度測定部で測定された前記少なくとも1つの温度に応じた真空引きの圧力又は時間に変更する制御部と、
    を備え、
    前記第1関数が出力とする真空引きの圧力は、前記第1関数が入力とする前記少なくとも1つの温度が低いほど低く、
    前記第1関数が出力とする真空引きの時間は、前記第1関数が入力とする前記少なくとも1つの温度が低いほど長い、
    ガスレーザ発振器。
  2. 前記真空容器において構成される放電管と、
    前記放電管に駆動電圧を供給するレーザ電源と、
    前記真空容器内のレーザガスを循環させるターボブロワと、
    をさらに備え、
    前記制御部は、変更した前記真空引きの圧力又は時間まで前記真空容器の真空引きを行った後に前記真空容器にレーザガスを充填するガス置換を行った後、レーザ発振動作を行うように前記ガスレーザ発振器を制御し、
    前記記憶部は、前記ガスレーザ発振器の前回起動時の第1状態パラメータを記憶すると共に、前記ガスレーザ発振器の第1状態パラメータの変化量及び第2状態パラメータのうちの少なくとも1つを入力とし、入力された第1状態パラメータの変化量及び/又は第2状態パラメータに応じた真空引きの追加の回数を出力とする第2関数を記憶し、
    前記制御部は、前記記憶部に記憶された第2関数から導出される真空引きの追加の回数であって、前記記憶部に記憶された前回起動時の第1状態パラメータに対する前記レーザ発振動作における今回起動時の第1状態パラメータの変化量、及び、前記レーザ発振動作における第2状態パラメータのうちの少なくとも1つに応じて、真空引きの追加の回数を設定し、
    前記第1状態パラメータは、レーザ出力指令値を得るための前記レーザ電源の出力電圧値及び出力電流値、前記放電管の駆動電圧値及び駆動電流値、及び、前記ターボブロワの駆動電流値であり、
    前記第2状態パラメータは、レーザ出力指令値に対する前記ガスレーザ発振器のレーザ出力値の補正係数である、
    請求項1に記載のガスレーザ発振器。
  3. 前記第1関数は、前記真空容器の温度、前記筐体の温度、及び、前記冷却水の温度のうちの少なくとも1つの温度と、真空引きの圧力又は時間とが関連付けされたテーブルである、請求項1又は2に記載のガスレーザ発振器。
  4. 前記第2関数は、前記ガスレーザ発振器の第1状態パラメータの変化量及び第2状態パラメータのうちの少なくとも1つと、真空引きの追加の回数とが関連付けされたテーブルである、請求項2に記載のガスレーザ発振器。
  5. 前記制御部は、変更した前記真空引きの圧力又は時間まで前記真空容器の真空引きを行った後に前記真空容器にレーザガスを充填するガス置換を行った後、さらに少なくとも1回、変更した前記真空引きの圧力又は時間まで前記真空容器の真空引きを行うように前記ガスレーザ発振器を制御する、請求項1に記載のガスレーザ発振器。
  6. 前記制御部は、変更した前記真空引きの圧力又は時間まで前記真空容器の真空引きを行った後に前記真空容器のレーザガスを充填するガス置換を行った後、さらに少なくとも1回、
    前記真空容器の真空引きの圧力又は時間を、前記記憶部に記憶された第1関数から再導出される真空引きの圧力又は時間であって、前記温度測定部で再測定された前記少なくとも1つの温度に応じた真空引きの圧力又は時間に再変更し、
    再変更した前記真空引きの圧力又は時間まで前記真空容器の真空引きを行う、
    ように前記ガスレーザ発振器を制御する、請求項1に記載のガスレーザ発振器。
  7. 前記制御部は、変更した前記真空引きの圧力又は時間まで前記真空容器の真空引きを行った後に、レーザ発振動作を行うことにより前記真空容器及び前記筐体の内部の暖機を行うように前記ガスレーザ発振器を制御する、請求項1〜6の何れか1項に記載のガスレーザ発振器。
  8. 前記制御部は、前記真空容器にレーザガスを充填するとき、一旦大気圧又は陽圧までレーザガスを充填するように前記ガスレーザ発振器を制御する、請求項1〜7の何れか1項に記載のガスレーザ発振器。
JP2017018705A 2017-02-03 2017-02-03 ガスレーザ発振器 Pending JP2018125493A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017018705A JP2018125493A (ja) 2017-02-03 2017-02-03 ガスレーザ発振器

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017018705A JP2018125493A (ja) 2017-02-03 2017-02-03 ガスレーザ発振器

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2018125493A true JP2018125493A (ja) 2018-08-09

Family

ID=63109721

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017018705A Pending JP2018125493A (ja) 2017-02-03 2017-02-03 ガスレーザ発振器

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2018125493A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4146867B2 (ja) ガスレーザ発振器
JP4782887B1 (ja) ガスレーザ装置
JP2004079990A (ja) 基板処理装置および不活性ガス濃度制御方法
JP2018125493A (ja) ガスレーザ発振器
JP4156642B2 (ja) ガスレーザ装置、並びに送風機の監視方法及び監視装置
JP4038225B2 (ja) ガスレーザ発振器及びレーザガス置換量を測定する方法
JP5301039B2 (ja) レーザ加工機制御装置およびレーザ加工機制御方法
JP5241963B2 (ja) ガスレーザ発振器、及びガスレーザ発振器におけるガス交換方法
US10741988B2 (en) Laser machining device
JP2005251855A (ja) レーザ装置
JP6110419B2 (ja) 共振器部を冷却するファンを備えたレーザ発振器
JP6254981B2 (ja) レーザ発振器の真空容器
JP2005268558A (ja) レーザ装置
JP2012018979A (ja) レーザ装置
JP2000223757A (ja) ガスレーザ
JP2535087B2 (ja) ガスレ―ザ発振装置の制御方法
WO2024047873A1 (ja) 制御装置、ガスレーザ発振器システムおよび制御方法
JPH0265187A (ja) ガスレーザ装置におけるレーザ媒質ガス交換方法
JP2010212551A (ja) レーザ発振装置およびレーザ加工機
JP5855689B2 (ja) 起動工程を効率化したガスレーザ装置
US20160111846A1 (en) Gas laser oscillation apparatus, gas laser oscillation method and gas laser processing machine
JPH0821744B2 (ja) ガスレーザ発振装置
JP2009253087A (ja) 基板処理装置及び半導体装置の製造方法
JP2024024904A (ja) 炭酸ガスレーザ装置
JP2003110173A (ja) ガスレーザ発振装置