以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
[1.第1の実施の形態]
[1−1.現金自動預払機の全体構成]
図1に外観を示すように、媒体取引装置としての現金自動預払機1は、箱状の筐体2を中心に構成されており、例えば金融機関や各種商業施設等に設置され、使用者(すなわち金融機関や商業施設の顧客等)との間で、入金処理や出金処理等の現金に関する取引を行う。
筐体2は、その前側に使用者が対峙した状態で紙幣の投入やタッチパネルによる操作等をしやすい箇所に応対部3が設けられている。応対部3は、使用者との間で例えば現金やカード等を直接やり取りすると共に、取引に関する情報の通知や操作指示の受付を行うようになされており、カード入出口4、入出金口5、操作表示部6、テンキー7、及びレシート発行口8が設けられている。
カード入出口4は、キャッシュカード等の各種カードが挿入または排出される部分である。カード入出口4の奥側には、各種カードに磁気記録された口座番号等の読み取りを行うカード処理部(図示せず)が設けられている。入出金口5は、使用者によって入金される紙幣が投入されると共に、使用者へ出金する紙幣が排出される部分である。また入出金口5は、シャッタを駆動することにより開放又は閉塞するようになっている。因みに紙幣は、例えば長方形の紙により、紙葉状に構成されている。
操作表示部6は、取引に際して操作画面を表示するLCD(Liquid Crystal Display)と、取引の種類の選択、暗証番号や取引金額等を入力するタッチセンサとが一体化されたタッチパネルとなっている。テンキー7は、「0」〜「9」の数字等の入力を受け付ける物理キーであり、暗証番号や取引金額等の入力操作時に用いられる。レシート発行口8は、取引処理の終了時に取引内容等を印字したレシートを発行する部分である。因みにレシート発行口8の奥側には、レシートに取引内容等を印字するレシート処理部(図示せず)が設けられている。
以下では、現金自動預払機1のうち使用者が対峙する側を前側とし、その反対を後側とし、当該前側に対峙した使用者から見て左及び右をそれぞれ左側及び右側とし、さらに上側及び下側を定義して説明する。
筐体2の内部には、現金自動預払機1全体を統括制御する主制御部9や、紙幣に関する種々の処理を行う紙幣入出金機10等が設けられている。主制御部9は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、図示しないROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、入金処理や出金処理等の種々の処理を行う。また主制御部9は、内部にRAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等でなる記憶部を有しており、この記憶部に種々の情報を記憶させる。
[1−2.紙幣入出金機の構成]
紙幣入出金機10は、図2に側面図を示すように、内部に媒体としての紙幣に関する種々の処理を行う複数の部分が組み込まれている。この紙幣は、例えば紙や樹脂等の材料により、薄い長方形の紙葉状に形成されている。
紙幣入出金機10は、大きく分けて、全体の外側部分を構成する紙幣入出金機フレーム10Fと、該紙幣入出金機フレーム10Fにおける上下方向のほぼ中央よりも上側部分を占める上部ユニット10Uと、その下側部分を占める下部ユニット10Lとにより構成されている。
紙幣入出金機フレーム10Fは、筐体2(図1)の内部に取り付けられている。上部ユニット10U及び下部ユニット10Lは、この紙幣入出金機フレーム10Fに対し、それぞれ前後方向に沿ったスライドレール(図示せず)を介して取り付けられている。このため紙幣入出金機10では、筐体2の前扉が開放された状態において、図3(A)及び(B)に示すように、紙幣入出金機フレーム10Fに対し上部ユニット10U及び下部ユニット10Lをそれぞれ前方へ引き出すことができる。また紙幣入出金機10では、上部ユニット10U及び下部ユニット10Lを後方へ押し込むことにより、図2に示したように、紙幣入出金機フレーム10F内にそれぞれ格納することができる。
[1−3.上部ユニットの構成]
図2の一部を拡大した図4(A)に示すように、上部ユニット10Uには、全体を統括制御する紙幣制御部11、接客部12、上前搬送部13、鑑別部14、上後搬送部15、一時保留部16及びリジェクト庫17が設けられている。
制御部としての紙幣制御部11は、主制御部9と同様、図示しないCPUを中心に構成されており、図示しないROMやフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、紙幣の搬送先を決定する処理や各部の動作を制御する処理等、種々の処理を行う。また紙幣制御部11は、内部にRAM及びフラッシュメモリ等でなる記憶部を有しており、この記憶部に種々の情報を記憶させる。
[1−3−1.接客部の構成]
接客部12は、使用者(すなわち金融機関の顧客等)との間で紙幣を受け渡す(授受する)ことにより、該使用者に紙幣を入金させ、又は該使用者に紙幣を出金する。この接客部12は、上部ユニット10Uの内部における前上部であり、現金自動預払機1(図1)内において使用者と対峙する位置に配置されている。
また接客部12は、外側部分を構成する接客部フレーム30の内部に、紙幣を収容する収容器31を有している。収容器31は、上側が開放された中空の直方体状に構成されており、例えば最大で200枚の紙幣を、それぞれの紙面を前後方向に向けて前後方向に沿って整列させた状態、すなわち集積した状態で収容できる。因みに収容器31の内部には、前後方向へ移動可能な板状の仕切板(図示せず)が設けられている。この仕切板は、収容器31内の空間を前後方向に仕切り、また収容されている紙幣を前方向へ押し付けることにより、後述する紙幣の放出や分離を補助するようになっている。
また接客部フレーム30における収容器31の上側部分には、上下方向に貫通した孔部が形成されており、この孔部を可動式のシャッタ32により開放又は閉塞し得るようになっている。因みにシャッタ32は、筐体2の入出金口5(図1)に設けられたシャッタと連動するようになっている。このため接客部12は、シャッタ32を入出金口5のシャッタと共に開放した場合には、使用者に収容器31内へ紙幣を投入させ、或いは該収容器31内から紙幣を取り出させることができる。また接客部12は、シャッタ32を入出金口5のシャッタと共に閉塞した場合には、収容器31内に収容されている紙幣を保護することができる。
収容器31の前下側には、収容器31内に収容されている紙幣を1枚ずつに分離して下方へ搬送する分離部31Sが設けられている。分離部31Sの下側には、紙幣を案内する搬送ガイドや回転する搬送ローラ等により、概ね上下方向に沿った搬送路33が形成されている。接客部12は、分離部31Sにより分離された紙幣を搬送路33に沿って下方へ搬送し、下側に位置する上前搬送部13に引き渡す。
また収容器31の後下側には、紙幣を収容器31内へ放出する放出部31Eが設けられている。放出部31Eの下側には、後側に配置された上後搬送部15との間に、複数の搬送ガイド及び搬送ローラ等により、後下側と前上側とを結ぶ搬送路34が形成されている。この搬送路34における前後方向の中程には、集積搬送部35が設けられている。集積搬送部35は、搬送路34の上側に配置された上部搬送ベルト36と、その下側に配置された下部搬送ベルト37とにより構成されている。
上部搬送ベルト36は、前後方向に離れた位置にそれぞれ配置されたプーリの周囲を周回するようにベルトが張架された構成となっており、該ベルトの下面を搬送路34に沿わせるように設置されている。下部搬送ベルト37は、概ね上部搬送ベルト36と同様に構成されており、前側のプーリの上端近傍を上部搬送ベルト36における前側のプーリの下端近傍に当接させている。その一方で下部搬送ベルト37には、後側のプーリを主に上下方向へ移動させる移動機構が組み込まれており、この後側のプーリにおける上端近傍を、上部搬送ベルト36における後側のプーリの下端近傍に当接させ、若しくはこの下端近傍から引き離し得るようになっている。
かかる構成により集積搬送部35は、下部搬送ベルト37における後側のプーリを上方に位置させてその上端近傍を上部搬送ベルト36における後側のプーリの下端近傍に当接させた場合、下部搬送ベルト37におけるベルトの上面を上部搬送ベルト36におけるベルトの下面とほぼ当接させ、搬送路34に沿わせた搬送状態となる。この搬送状態において集積搬送部35は、後方から紙幣が搬送されてくると、各プーリを適宜回転させて各ベルトを走行させることにより、紙幣を搬送路34に沿って前方へ搬送し、やがて放出部31Eに到達させて収容器31内へ放出させる。
一方、集積搬送部35は、下部搬送ベルト37における後側のプーリを下方に位置させて上部搬送ベルト36における後側のプーリから十分に引き離した場合、上部搬送ベルト36におけるベルトの下面と下部搬送ベルト37におけるベルトの上面との間に十分な大きさの集積空間を形成した集積状態となる。この集積状態において集積搬送部35は、後方から紙幣が搬送されてくると、ベルトを静止した状態とすることにより、この紙幣を集積空間内へ順次放出し、下部搬送ベルト37の上側に集積させて紙幣の束を形成していく。
その後、集積搬送部35は、下部搬送ベルト37における後側のプーリを上方へ移動させてその上端近傍を上部搬送ベルト36における後側のプーリの下端近傍に寄せて搬送状態とし、上部搬送ベルト36におけるベルトの下面と下部搬送ベルト37におけるベルトの上面との間に紙幣の束を挟持する。その上で集積搬送部35は、各プーリを適宜回転させて各ベルトを走行させることにより、紙幣の束を搬送路34に沿って前方へ搬送し、やがて束状のまま放出部31Eに到達させて収容器31内へ放出させることができる。
因みに接客部12では、放出部31Eから収容器31内へ放出された紙幣は、搬送路34において先頭側であった辺を上方に向け、且つ末尾側であった辺を下方に向けた姿勢で該収容器31内に収容される。一方、分離部31Sは、収容器31内において下側に位置する辺を先頭側として取り込み、搬送路33に沿って搬送させる。すなわち接客部12は、搬送路34により搬送されてきた紙幣を一度収容器31内に収容した後、分離部31Sにより再び分離して搬送路33に引き渡す場合、この紙幣における先頭側及び末尾側を入れ替えることになる。
[1−3−2.上前搬送部の構成]
上前搬送部13は、上部ユニット10Uの内部における前下側に位置しており、接客部12の下側部分のうち前側の約1/3の範囲を占めている。この上前搬送部13には、その内部における中央付近に上前切替部41が配置されており、その周囲に複数の搬送ローラ対及び複数の搬送ガイドにより3本の搬送路が形成されている。
上前切替部41は、ブレードと呼ばれる部材(図中三角形で示す)及びその周囲に配置された複数のローラにより構成されている。ブレードは、左右方向に長く、且つ左右方向から見て楔形に形成されており、回転して傾斜方向を変化させることで、紙幣の搬送方向を2通りに切り替える。各ローラは、紙幣の搬送路を挟んで互いに対向するように配置されている。上前切替部41は、紙幣制御部11の制御に従い、各紙幣の搬送先に応じてブレードの姿勢(すなわち紙幣を案内する面の傾斜角度)を変化させると共に各ローラを所定の回転方向へ回転させることにより、紙幣の搬送経路を2通りに切り替えて所望の搬送先へ搬送することができる。このため以下では、上前切替部41のように紙幣の搬送経路を2通りに切り替える切替部を2ウェイの切替部とも呼ぶ。
上前切替部41の周囲には、前上方へ向かい接客部12の搬送路33と接続された搬送路42、後方へ向かい鑑別部14と接続された搬送路43、及び下方へ向かう搬送路44が形成されている。因みに搬送路44の下端は、上部ユニット前受渡口T11となっており、後述するように、下部ユニット10Lとの間で紙幣を受け渡すことができる。また上前切替部41の前上側には、搬送路42を挟む位置に、紙幣に駆動力を伝達する搬送ローラ対45が設けられている。
この上前切替部41は、紙幣制御部11の制御に基づき、前上側の搬送路42及び後側の搬送路43を接続する搬送経路と、下側の搬送路44及び後側の搬送路43を接続する搬送経路とを切り替えることができる。
このため上前搬送部13は、例えば接客部12の搬送路33から紙幣が搬送されてきた場合、この紙幣を搬送路42及び43に沿って進行させ、後側の鑑別部14に引き渡すことができる。また上前搬送部13は、例えば鑑別部14から紙幣が搬送されてきた場合、この紙幣を搬送路43及び44に沿って進行させ、下側の下部ユニット10L(図2)に引き渡すことができる。さらに上前搬送部13は、例えば下側の下部ユニット10L(図2)から紙幣が搬送されてきた場合、この紙幣を搬送路44及び43に沿って進行させ、後側の鑑別部14に引き渡すことができる。
[1−3−3.鑑別部の構成]
鑑別部14は、上部ユニット10Uにおける下側部分のうち中央付近に位置しており、接客部12の下側であって、且つ上前搬送部13の後側に位置している。この鑑別部14は、その内部において、複数の搬送ガイドや搬送ローラ対等により、前後方向に貫通するような直線状の鑑別搬送路48が形成されている。そのうえで鑑別部14は、この鑑別搬送路48に沿って磁気センサ、真偽センサ49A、イメージセンサ49B及び走行センサ49Cといった複数種類のセンサ49が順次配置されている。
真偽センサ49Aは、例えば磁気センサでなり、搬送経路上を搬送される紙幣の磁気を検知し、その検知結果を紙幣制御部11へ送出する。紙幣制御部11は、真偽センサ49Aから供給された検知結果を基に、紙幣が真正なもの(いわゆる真券)又は偽造されたもの(いわゆる偽券)の何れであるかを判断する。
イメージセンサ49Bは、鑑別搬送路48を挟んで対向する2個の撮像素子を有している。この撮像素子は、鑑別搬送路48に沿って搬送される紙幣の両面をそれぞれ撮像して画像データを生成し、これらを紙幣制御部11へ送出する。紙幣制御部11は、予め記憶している金種ごとの画像データと供給された画像データとを比較することにより、各紙幣の金種や損傷の程度等を認識し、さらに各紙幣に記されている個別の記番号を認識することができる。また紙幣制御部11は、鑑別部14内において紙幣の表面及び裏面のうちいずれが所定の基準方向(例えば下方向)を向いているかを認識することもできる。
走行センサ49Cは、例えば厚みセンサ及び光学センサを有している。厚みセンサは、鑑別搬送路48に沿って搬送される紙幣の厚みを検知し、その検知結果を紙幣制御部11へ供給する。紙幣制御部11は、厚みセンサから供給された検知結果を基に、搬送されている紙幣の厚みが1枚分又は2枚以上の何れに相当するかを判断する。光学センサは、例えば光を発光する発光素子とこの光を受光する受光素子とが鑑別搬送路48を挟んで対向するように配置され、当該鑑別搬送路48に沿って搬送される紙幣により光が遮光されたか否かを検知し、その検知結果を紙幣制御部11へ送出する。
紙幣制御部11は、走行センサ49Cから得られる検知結果を基に、紙幣同士の間隔、搬送方向に対する紙幣の傾き(いわゆるスキュー)の有無、及び紙幣同士の重なり(いわゆる重送や連鎖)の有無等といった紙幣の搬送状態を認識する。
このように鑑別部14は、各センサ49(真偽センサ49A、イメージセンサ49B及び走行センサ49C)により、鑑別搬送路48に沿って搬送される紙幣からそれぞれ得られる検知結果を鑑別結果として紙幣制御部11へ送出する。これに応じて紙幣制御部11は、この鑑別結果を基に紙幣の金種、真偽、正損(損傷しているか否か)等を判断すると共に搬送状態を認識し、得られた結果を基に該紙幣の搬送先を決定することができる。因みに鑑別部14は、認識部とも呼ばれる。
[1−3−4.上後搬送部の構成]
上後搬送部15は、上部ユニット10Uにおける中央よりもやや後側の約1/4の範囲を占めており、接客部12及び鑑別部14の後側に位置している。この上後搬送部15は図4(B)に模式的な拡大図を示すように、その内部における中央付近に上後切替部51が配置され、その前上側に一時保留切替部52が配置され、その後側に区別切替部53が配置され、さらに各切替部に対して搬送路が3本ずつ接続されている。
因みに上後搬送部15では、上前搬送部13等と同様、紙幣を案内する搬送ガイド及び紙幣に駆動力を伝達する搬送ローラ対が適宜配置されており、上述した搬送路に沿って紙幣を搬送するようになっている。また図4(B)では、説明の都合上、搬送ローラを省略し、搬送路を実線により表している。
上後切替部51は、上前切替部41と同様に2ウェイとして構成され、前下側の搬送路54、前上側の搬送路55及び後側の搬送路56と接続されている。すなわち上後切替部51は、前下側の搬送路54及び前上側の搬送路55を接続する搬送経路と、前下側の搬送路54及び後側の搬送路56を接続する搬送経路とを切り替えることができる。
このため上後搬送部15は、例えば鑑別部14から紙幣が搬送されてきた場合、この紙幣を搬送路54及び55に沿って進行させ、前上側の一時保留切替部52に引き渡すことができ、或いは搬送路54及び56に沿って進行させ、後側の区別切替部53に引き渡すこともできる。さらに上後搬送部15は、搬送路55又は搬送路56から搬送されてきた紙幣を搬送路54に沿って前下方へ進行させ、鑑別部14へ引き渡すこともできる。
一時保留切替部52は、上述した上後切替部51と同様に、中心に位置するブレードを回転させて姿勢を変化させるものの、該上後切替部51等と異なり、紙幣の搬送経路を3通りに切り替える、いわゆる3ウェイの切替部となっている。
一時保留切替部52は、後下側の搬送路55により上後切替部51と接続され、前側の搬送路57により接客部12の搬送路34(図4(A))と接続され、且つ上側の搬送路58により一時保留部16と接続されている。この一時保留切替部52は、紙幣制御部11の制御に基づき、後下側の搬送路55及び前側の搬送路57を接続する搬送経路と、後下側の搬送路55及び上側の搬送路58を接続する搬送経路と、前側の搬送路57及び上側の搬送路58を接続する搬送経路とを切り替えることができる。
すなわち一時保留切替部52は、上後切替部51から搬送路55に沿って搬送されてきた紙幣を、搬送路57に沿って搬送させ接客部12の搬送路34に引き渡すこと、又は搬送路58に沿って搬送させ一時保留部16へ引き渡すことができる。また一時保留切替部52は、一時保留部16から搬送路58に沿って搬送されてきた紙幣を、搬送路57に沿って搬送させ接客部12の搬送路34に引き渡すこと、又は搬送路55に沿って搬送させ上後切替部51に引き渡すことができる。換言すれば、一時保留切替部52は、上後切替部51、接客部12及び一時保留部16のうち何れか2箇所を接続することができる。
区別切替部53は、上述した一時保留切替部52と同様に構成されており、紙幣の搬送経路を3通りに切り替える3ウェイの切替部となっている。区別切替部53には、前側の搬送路56により上後切替部51と接続され、下側の搬送路59により上部ユニット後受渡口T12と接続され、且つ上側の搬送路60によりリジェクト庫17と接続されている。この区別切替部53は、紙幣制御部11の制御に基づき、前側の搬送路56及び下側の搬送路59を接続する搬送経路と、前側の搬送路56及び上側の搬送路60を接続する搬送経路と、下側の搬送路59及び上側の搬送路60を接続する搬送経路とを切り替えることができる。
すなわち区別切替部53は、上後切替部51から搬送路56に沿って搬送されてきた紙幣を、搬送路59に沿って搬送させ上部ユニット後受渡口T12から下部ユニット10Lに引き渡すこと、又は搬送路60に沿って搬送させリジェクト庫17へ引き渡すことができる。また区別切替部53は、下部ユニット10Lから搬送路59に沿って搬送されてきた紙幣を、搬送路56に沿って搬送させ上後切替部51に引き渡すこと、又は搬送路60に沿って搬送させリジェクト庫17に引き渡すことができる。
かかる構成により上後搬送部15は、前下側の鑑別部14から紙幣が搬送されてきた場合、これを前上側の接客部12、後上側の一時保留部16、後下側のリジェクト庫17、又は下側の下部ユニット10L(図2)に引き渡すことができる。また上後搬送部15は、後上側の一時保留部16から紙幣が搬送されてきた場合、これを前下側の鑑別部14又は前上側の接客部12に引き渡すことができる。さらに上後搬送部15は、下側の下部ユニット10Lから紙幣が搬送されてきた場合、これを前下側の鑑別部14又は後下側のリジェクト庫17に引き渡すことができる。
[1−3−5.一時保留部及びリジェクト庫の構成]
一時保留部16(図2)は、いわゆるテープエスクロ方式を採用しており、円筒状に形成され回転するドラムや、このドラムの周側面に一端が固定されたテープ、このテープを他端側から巻き取るリール、及び紙幣を搬送する搬送ローラ等を有している。
この一時保留部16は、上後搬送部15から紙幣を受け取ると、この紙幣をドラムの周側面近傍まで搬送し、該ドラムを回転させることにより、紙幣をテープと共に周側面に巻き付けて収納する。また一時保留部16は、紙幣を繰り出す場合、リールを回転させると共にドラムを収納時と反対方向に回転させることにより、該ドラムの周側面からテープと共に紙幣を引き剥がし、これを搬送して上後搬送部15に順次引き渡す。
リジェクト庫17は、内部に紙幣を収納する収納空間を有すると共に、この収納空間内へ紙幣を放出する放出機構を有している。このリジェクト庫17は、上後搬送部15から紙幣を受け取ると、この紙幣を放出機構により収納空間内へ放出し、集積した状態で収納する。
因みにリジェクト庫17には、例えば損傷の程度が大きく出金すべきで無いと判断された紙幣(以下これをリジェクト紙幣と呼ぶ)が搬送され、収納される。すなわちリジェクト庫17は、再利用が可能である正常な紙幣と区別して、このリジェクト紙幣を内部に収納することができる。このため以下では、このリジェクト庫17を区別収納庫とも呼ぶ。
またリジェクト庫17は、上部ユニット10Uが紙幣入出金機フレーム10Fから前方に引き出された状態(図3(A))において、該上部ユニット10Uに対して着脱可能となっている。このリジェクト庫17は、リジェクト紙幣が収納されると、定期的な保守作業等の機会に、金融機関の職員等により上部ユニット10Uから取り外されて所定の場所へ運搬された後、その内部に収納されていた紙幣が取り出される。その後、リジェクト庫17は、内部に紙幣を収納していない状態、すなわち空の状態で再び上部ユニット10Uに装着される。
[1−4.下部ユニットの構成]
図2の一部を拡大した図5に示すように、下部ユニット10Lにおける上端部分には、概ね前後方向に沿って紙幣を搬送する下搬送部21が配置されている。該下搬送部21の下側には、下部フレーム20が設けられている。下部フレーム20は、中空の直方体状に形成されており、その上側が開放されると共に、内部の空間が前後方向に沿って3枚の仕切板(図示せず)により4個の空間に区分されている(以下、区分された各空間を装填空間とも呼ぶ)。
この下部フレーム20における各装填空間には、前側から後側へ向けて、再利用(リサイクル)が可能な紙幣を収納する4個の紙幣収納庫22(22A、22B、22C及び22D)が前後方向に沿って配置されている。
因みに下部フレーム20における右上端近傍には、図示しない蝶番が設けられており、この蝶番により、上側の下搬送部21を回動可能に支持している。換言すれば、下部フレーム20は、この蝶番を回動中心として下搬送部21が回動されることにより、上側を閉塞又は開放することができる。このため下部ユニット10Lでは、紙幣入出金機フレーム10Fから前方に引き出された状態(図3(B))において、下搬送部21が右方向へ回動されて下部フレーム20の上側が開放された状態にされると、各紙幣収納庫22を各装填空間から取り出させ、又は各紙幣収納庫22を各装填空間に装填させることができる。
[1−4−1.紙幣収納庫の構成]
紙幣収納庫22(22A、22B、22C及び22D)は、何れも同様に構成されており、上下方向に長い直方体状に形成されている。紙幣収納庫22の内部には、紙幣を集積して収納する収納空間、該収納空間の上側に配置され紙幣の分離処理及び放出処理を行う分離放出部、及び該分離放出部と紙幣収納庫22の上端との間で紙幣を搬送する収納庫搬送部等が設けられている。また各紙幣収納庫22は、それぞれ収納すべき紙幣の金種が予め設定されている。
紙幣収納庫22は、紙幣を収納する収納処理を行う場合、上側の下搬送部21から紙幣を受け取ると、この紙幣を収納庫搬送部により分離放出部へ搬送して収納空間内へ放出し、該収納空間内に集積した状態で収納する。また紙幣収納庫22は、紙幣を繰り出す繰出処理を行う場合、収納空間内に集積された紙幣を分離放出部により1枚ずつに分離し、これを収納庫搬送部により上方へ搬送して上側の下搬送部21に引き渡すことにより繰り出す。因みに紙幣収納庫22は、紙幣制御部11の制御により、繰出処理のみを行う出金庫として動作することや、収納処理のみを行う入金庫として動作することもできる。
各紙幣収納庫22は、下部フレーム20の装填空間から取り外された場合、金融機関の職員等により所定の場所へ運搬された後、その内部に収納されていた紙幣が取り出され、或いは紙幣が収納される。このとき収納される紙幣は、所定の紙幣処理装置等により金種、真偽、損傷の程度等が鑑別された、再利用が可能なものであり、出金処理において使用者へ出金し得るような良好な状態となっている。
[1−4−2.下搬送部の構成]
下搬送部21(図5)には、その内部における前端近傍であって、紙幣収納庫22Aのほぼ真上となる位置に、切替部61が配置されている。また下搬送部21には、切替部61の後方であって紙幣収納庫22B及び22Cのほぼ真上となるそれぞれの箇所に、切替部62及び63がそれぞれ配置されている。さらに切替部63の後側には、切替部66が配置されている。
収納切替部としての切替部61及び62は、何れも上部ユニット10U(図4(A))の上前切替部41等と同様に2ウェイとして構成されている。また切替部61及び62の周囲には、上前切替部41等の場合と同様に、複数の搬送ローラ及び複数の搬送ガイド等により搬送路が3本ずつ形成されている。
切替部61の周囲には、上方へ向かう搬送路71、下方へ向かい紙幣収納庫22Aと接続された搬送路72、及び後方へ向かい切替部62と接続された搬送路73が設けられている。この切替部61は、上側の搬送路71及び下側の搬送路72を接続する搬送経路と、上側の搬送路71及び後側の搬送路73を接続する搬送経路とを切り替えることができる。因みに搬送路71の上端は、下部ユニット前受渡口T21となっており、上述した上部ユニット10Uの上部ユニット前受渡口T11(図4(A))との間で紙幣を相互に受け渡すことができる。
切替部62の周囲には、搬送路73に加えて、下方へ向かい紙幣収納庫22Bと接続された搬送路74、及び後方へ向かい切替部63に接続された搬送路75が設けられている。この切替部62は、前側の搬送路73及び下側の搬送路74を接続する搬送経路と、前側の搬送路73及び後側の搬送路75を接続する搬送経路とを切り替えることができる。
切替部63及び66は、何れも上部ユニット10U(図4(A))の一時保留切替部52等と同様に3ウェイとして構成されており、紙幣制御部11の制御に基づいてブレードの傾斜方向を変化させ、紙幣の搬送経路を3通りに切り替えることができる。また切替部63及び66の周囲には、複数の搬送ローラ及び複数の搬送ガイド等により搬送路が3本ずつ形成されている。
双方向収納切替部としての切替部63の周囲には、搬送路75に加えて、下方へ向かい双方向収納庫としての紙幣収納庫22Cと接続された搬送路76、及び後方へ向かい切替部66と接続された搬送路77が設けられている。この切替部63は、前側の搬送路75及び下側の搬送路76を接続する搬送経路と、前側の搬送路75及び後側の搬送路77を接続する搬送経路と、後側の搬送路77及び下側の搬送路76を接続する搬送経路とを切り替えることができる。
振分切替部としての切替部66の周囲には、搬送路77に加えて、後方ないし下方へ向かい紙幣収納庫22Dと接続された搬送路78、及び上方へ向かう搬送路79が設けられている。この切替部66は、前側の搬送路77及び後側の搬送路78を接続する搬送経路と、前側の搬送路77及び上側の搬送路79を接続する搬送経路と、後側の搬送路78及び上側の搬送路79を接続する搬送経路とを切り替えることができる。因みに搬送路79の上端は、下部ユニット後受渡口T22となっており、上述した上部ユニット10Uの上部ユニット後受渡口T12(図4(A))との間で紙幣を相互に受け渡すことができる。
かかる構成により下搬送部21は、例えば上部ユニット10U(図4(A))から下部ユニット前受渡口T21を介して紙幣が搬送されてきた場合、この紙幣を紙幣収納庫22A〜22Dへ搬送して収納させること、或いは下部ユニット後受渡口T22から上部ユニット10Uへ戻すことができる。また下搬送部21は、紙幣収納庫22A〜22Dから紙幣を受け取った場合、これを下部ユニット前受渡口T21へ搬送して上部ユニット10Uに引き渡すこともできる。
さらに下搬送部21は、例えば上部ユニット10Uから下部ユニット後受渡口T22を介して紙幣が搬送されてきた場合、この紙幣を紙幣収納庫22C又は22Dへ搬送して収納させることができる。また下搬送部21は、紙幣収納庫22C又は22Dから紙幣を受け取った場合、これを下部ユニット後受渡口T22へ搬送して上部ユニット10Uに引き渡すこともできる。
すなわち下搬送部21は、上部ユニット10Uから搬送されてきた紙幣を適宜振り分けて各紙幣収納庫22(22A〜22D)へ搬送して収納させることができる。このため以下では、下搬送部21を振分搬送部とも呼ぶ。
[1−5.紙幣入出金機における各種処理]
次に、図6に示すように紙幣入出金機10(図2、図4及び図5)を模式化した上で、該紙幣入出金機10における紙幣の搬送を伴う種々の処理、すなわち入金処理及び出金処理等について、それぞれ詳細に説明する。
紙幣入出金機10は、紙幣入出金機フレーム10F(図2)に上部ユニット10U及び下部ユニット10Lが格納されることにより、その前端近傍において上部ユニット前受渡口T11(図4(A))及び下部ユニット前受渡口T21(図5)を接続し、これにより両者の間で紙幣を受け渡す前接続口C1(図2、図6)を形成している。またこのとき紙幣入出金機10は、その後端近傍において、上部ユニット後受渡口T12(図4(A))及び下部ユニット後受渡口T22(図5)を接続し、これにより両者の間で紙幣を受け渡す後接続口C2(図2、図6)を形成している。
図6では、接客部12、鑑別部14、一時保留部16、リジェクト庫17及び紙幣収納庫22(22A〜22D)を、それぞれ単純な長方形により表している。また以下では、これらを単にモジュールとも呼ぶ。さらに図6では、上前搬送部13の上前切替部41、上後搬送部15の上後切替部51、一時保留切替部52及び区別切替部53、並びに下搬送部21の切替部61、62、63及び64を、それぞれ単純な三角形により表している。また以下では、これらを単に切替部とも呼ぶ。
さらに図6では、各モジュール及び各切替部をそれぞれ結ぶ搬送路を線分(すなわち直線、曲線又はこれらの組合せ)により表している。ただしこの図6では、一部において、各モジュールや各搬送部を互いに接続する複数の搬送路をまとめて1つの搬送路としている。
このうち基幹搬送路WPは、上前搬送部13の搬送路43、鑑別部14の鑑別搬送路48及び上後搬送部15の搬送路54に相当する。すなわちこの基幹搬送路WPは、上前切替部41及び上後切替部51を結んで鑑別部14内を貫通する、概ね前後方向に沿った搬送路となっている。
搬送路W1は、接客部12の搬送路33及び上前搬送部13の搬送路42に相当する。搬送路W2は、上後搬送部15の搬送路55に相当する。搬送路W3は、上後搬送部15の搬送路58に相当する。搬送路W4は、上後搬送部15の搬送路57及び接客部12の搬送路34に相当する。搬送路W5は、上前搬送部13の搬送路44及び下搬送部21の搬送路71に相当する。
搬送路W6A、W6B、W6C及びW6Dは、それぞれ下搬送部21の搬送路72、74、76及び78に相当する。またこの搬送路W6A、W6B、W6C及びW6Dをまとめて搬送路W6とも呼ぶ。搬送路W7A、W7B及びW7Cは、それぞれ下搬送部21の搬送路73、75及び77に相当する。またこの搬送路W7A、W7B及びW7Cをまとめて搬送路W7とも呼ぶ。説明の都合上、以下では搬送路W7を振分搬送路とも呼ぶ。
搬送路W8は、下搬送部21の搬送路79及び上後搬送部15の搬送路59に相当する。搬送路W9は、上後搬送部15の搬送路60に相当する。搬送路W10は、上後搬送部15の搬送路56に相当する。これに加えて接客部12の収容器31では、放出部31Eから放出された紙幣を分離部31Sから再び取り込んで搬送路W1へ搬送することができる。そこで以下では、この収容器31内に放出部31E及び分離部31Sを結ぶ仮想的な搬送路W11が形成されているものと見なす。
ここで図6を改めて見ると、紙幣入出金機10では、鑑別部14の上側及び下側に、それぞれ環状の搬送路が形成されていることが分かる。すなわち鑑別部14の上側には、上前切替部41から時計回りに、基幹搬送路WP並びに搬送路W2、W4、W11及びW11によって環状の搬送路が形成されている。以下では、この環状の搬送路を上環状搬送路WCU又は第1搬送路と呼ぶ。
また鑑別部14の下側には、上前切替部41から時計回りに、搬送路W5、W7、W8及びW10並びに基幹搬送路WPによって環状の搬送路が形成されている。以下では、この環状の搬送路を下環状搬送路WCL又は第2搬送路と呼ぶ。また以下では、この下環状搬送路WCLから分岐された搬送路W6Dを分岐搬送路と呼び、さらに紙幣収納庫22Dを分岐収納庫とも呼ぶ。
[1−5−1.入金処理及び収納処理]
まず、現金自動預払機1(図1)において使用者(すなわち金融機関の顧客等)との間で入金取引が行われる場合について説明する。この場合、紙幣入出金機10は、前段の入金処理(入金計数処理又は受入処理とも呼ばれる)により、使用者に入金された紙幣の金種等を鑑別しながら枚数を計数し、これに続く後段の収納処理(入金収納処理とも呼ばれる)により、各紙幣を適切な収納箇所へ搬送して収納するようになっている。
具体的に紙幣入出金機10の紙幣制御部11は、現金自動預払機1の主制御部9(図1)と連携することにより、操作表示部6(図1)を介して使用者から入金取引を開始する旨の操作入力を受け付けると、入金処理を開始する。このとき紙幣入出金機10は、まず接客部12のシャッタ32(図4)等を開いて使用者に収容器31内へ紙幣を投入させる。次に紙幣制御部11は、使用者から操作表示部6(図1)を介して紙幣の取り込みを開始する操作入力を受け付けると、接客部12のシャッタ32等を閉塞した上で、分離部31Sにより当該収容器31内の紙幣を1枚ずつに分離し、その下流側に位置する搬送路W1に順次引き渡す。
さらに紙幣入出金機10は、図7(A)に示す矢印R1のように、紙幣を搬送路W1及び基幹搬送路WPに沿って搬送することにより、鑑別部14において該紙幣を鑑別し、得られた鑑別結果を紙幣制御部11へ供給する。これに応じて紙幣制御部11は、取得した鑑別結果を基に、まず各紙幣における損傷の程度や金種、或いは真偽を判断する。次に紙幣制御部11は、各紙幣について、正常な紙幣として認識でき以降の処理を継続できる入金受入紙幣であるか、或いは正常な紙幣として認識できないため使用者に返却すべき入金リジェクト紙幣であるかを判断する。また紙幣制御部11は、発生した入金リジェクト紙幣の枚数を計数し、記憶しておく。
紙幣入出金機10は、紙幣制御部11の制御に基づき、紙幣ごとの鑑別結果に応じて搬送経路を切り替えながら紙幣を搬送する。具体的に紙幣入出金機10は、入金受入紙幣については、矢印R2として示すように、引き続き基幹搬送路WPに沿って搬送し、さらに搬送路W2及びW3に沿って搬送して一時保留部16に順次引き渡し、順次収納させる。
一方、紙幣入出金機10は、入金リジェクト紙幣については、一時保留切替部52まで入金受入紙幣と同様に搬送した後、矢印R3として示すように、搬送路W4に沿って搬送し、接客部12内へ進行させていく。このとき接客部12は、予め集積搬送部35を集積状態としておくことにより、搬送されてくる入金リジェクト紙幣を該集積搬送部35の集積空間内に順次放出し、束状に集積させていく。
やがて紙幣入出金機10は、接客部12の収容器31内から紙幣を全て繰り出し終えると、集積搬送部35に1枚以上の紙幣(すなわち入金リジェクト紙幣)を収納している場合、該集積搬送部35を搬送状態に遷移させ、集積されている入金リジェクト紙幣を束状のまま搬送路W4に沿って放出部31Eへ搬送し、該収容器31内へ放出させる。なお、このとき紙幣入出金機10は、この入金リジェクト紙幣について、分離部31Sから再び取り込んで鑑別部14により鑑別する処理を所定の上限回数以内で繰り返し、最終的に入金リジェクト紙幣と判断された紙幣を収容器31に収容し、シャッタ32(図4)等を開放して使用者に返却するようにしても良い。
一方、紙幣入出金機10は、集積搬送部35に紙幣を収納していなければ、入金処理を完了する。このとき紙幣入出金機10は、紙幣制御部11において、接客部12から取り込んだ紙幣の金種及び枚数の集計結果を基に入金額を算出すると共に、所定の操作指示画面を操作表示部6(図1)に表示させ、使用者にこの入金額を提示すると共に入金取引を継続するか否かを選択させる。
ここで紙幣入出金機10は、使用者により入金取引の中止が指示された場合、一時保留部16に保留している全ての紙幣を搬送路W3及びW4沿って順次搬送し、接客部12の収容器31内に放出してから、シャッタ32(図4)等を解放して使用者に返却する。
一方、紙幣入出金機10は、使用者により入金取引の継続が指示された場合、図7(B)に示すように、収納処理を開始する。具体的に紙幣制御部11は、一時保留部16に収納している紙幣(入金受入紙幣)を順次繰り出し、矢印R4として示すように、搬送路W3及びW2並びに基幹搬送路WPに沿って鑑別部14へ搬送し、順次鑑別させる。このとき紙幣制御部11は、鑑別部14から得られる鑑別結果を基に、損傷の程度が大きいリジェクト紙幣についてはリジェクト庫17を、正常であり再利用可能な紙幣については金種ごとの各紙幣収納庫22(22A〜22D)を、それぞれ搬送先として決定する。
続いて紙幣入出金機10は、正常な紙幣を、矢印R5として示すように、引き続き基幹搬送路WPに沿って搬送し、さらに搬送路W5、W6及びW7の一部に沿って搬送することにより、それぞれの金種に応じた搬送先である各紙幣収納庫22(22A〜22D)へ搬送して収納させる。また紙幣入出金機10は、リジェクト紙幣を、矢印R5に沿って切替部66まで搬送した後、矢印R6のように搬送路W8及びW9に沿ってリジェクト庫17へ搬送し、収納させる。
かくして紙幣入出金機10は、再利用すべき通常の紙幣を金種ごとに分類して各紙幣収納庫22に収納でき、また再利用すべきで無いリジェクト紙幣をリジェクト庫17に収納できる。やがて紙幣入出金機10は、一時保留部16に収納された全ての紙幣をそれぞれの搬送先へ搬送し終えると、この収納処理を終了する。
[1−5−2.リジェクト転用モードにおける収納処理]
ところで紙幣入出金機10では、リジェクト庫17に収納可能な紙幣の枚数が比較的少ない一方、紙幣収納庫22に収納可能な紙幣の枚数が極めて多くなっている。そこで紙幣入出金機10では、例えば設置される地域や場所により、リジェクト紙幣が多く発生することが判明しており、このリジェクト紙幣をリジェクト庫17に収納しきれない恐れがある場合等に、最も後側に位置する紙幣収納庫22Dを、リジェクト紙幣を収納するための収納庫(すなわちリジェクト庫)に転用する。説明の都合上、以下では、紙幣収納庫22Dをリジェクト庫に転用した動作モードを、リジェクト転用モードと呼ぶ。またこの場合、紙幣収納庫22Dを転用リジェクト庫22Dとも呼ぶ。
例えば紙幣入出金機10は、リジェクト転用モードで収納処理を行う場合、図7(B)と対応する図7(C)に示すように、まず矢印R4に沿って鑑別部14まで紙幣を搬送し、得られた鑑別結果に応じて紙幣の搬送先を決定する。このとき紙幣制御部11は、鑑別部14から得られる鑑別結果を基に、損傷の程度が大きいリジェクト紙幣については転用リジェクト庫22Dを、正常であり再利用可能な紙幣については金種ごとの各紙幣収納庫22(22A〜22C)を、それぞれ搬送先として決定する。
続いて紙幣入出金機10は、正常な紙幣を、矢印R7として示すように、基幹搬送路WP並びに搬送路W5、W6及びW7の一部に沿って搬送することにより、それぞれの金種に応じた搬送先である各紙幣収納庫22(22A〜22C)へ搬送して収納させる。また紙幣入出金機10は、リジェクト紙幣を、矢印R7に沿って切替部63まで搬送した後、矢印R8のように搬送路W7C及びW6Dに沿って転用リジェクト庫22Dへ搬送し、収納させる。
かくして紙幣入出金機10は、リジェクト転用モードにおいても、再利用すべき通常の紙幣を金種ごとに分類して各紙幣収納庫22(22A〜22C)に収納できると共に、再利用すべきで無いリジェクト紙幣を転用リジェクト庫22Dに区別して収納することができる。
[1−5−3.出金処理]
次に、現金自動預払機1(図1)において使用者との間で出金取引が行われる場合について説明する。この場合、紙幣入出金機10は、使用者に指定された金額に応じた金種及び枚数の紙幣を出金する出金処理を行うようになっている。この出金処理は、紙幣入出金機10内の紙幣を外部へ排出する排出処理となっている。
具体的に紙幣入出金機10の紙幣制御部11は、現金自動預払機1の主制御部9(図1)と連携することにより、操作表示部6(図1)を介して使用者から出金取引を開始する旨や出金額の操作入力を受け付けると、出金処理を開始する。このとき紙幣制御部11は、まず出金額に応じた紙幣の金種及び枚数を決定する。続いて紙幣入出金機10は、決定した金種及び枚数に応じて、各紙幣収納庫22の内部に収納されている紙幣を1枚ずつに分離しながら繰り出し、下流の搬送路W6に順次引き渡す。
続いて紙幣入出金機10は、図8(A)に示す矢印R9のように、紙幣を搬送路W6、W7及びW5並びに基幹搬送路WPに沿って搬送し、鑑別部14を通過する際に鑑別させる。ここで紙幣制御部11は、鑑別部14から得られる鑑別結果のうち主に走行状態を基に、正常な紙幣の搬送先を接客部12に決定する一方、例えば重送されている等、走行状態に問題があるリジェクト紙幣の搬送先をリジェクト庫17に決定する。
紙幣入出金機10は、正常な紙幣を、矢印R10として示すように、基幹搬送路WP並びに搬送路W2及びW4に沿って下流の接客部12へ搬送し、収容器31の内部に放出して集積させる。因みに接客部12は、このとき集積搬送部35を搬送状態として、紙幣を該集積搬送部35に集積せずに直接収容器31内へ放出して集積させる。その後、紙幣入出金機10は、接客部12のシャッタ32(図4)等を開放することにより、収容器31内の紙幣を使用者に取り出させて出金する。また紙幣制御部11は、リジェクト紙幣を、矢印R10に沿って上後切替部51まで搬送した後、矢印R11として示すように、搬送路W10及びW9に沿ってリジェクト庫17へ搬送し、その内部に収納させる。
因みに紙幣入出金機10は、出金処理において複数枚の紙幣が重なる等して枚数が不明のリジェクト紙幣が発生した場合、これらの紙幣を一時保留部16へ搬送して収納させる。この場合、一時保留部16は、テープエスクロ方式であるために、複数枚のリジェクト紙幣が重複した状態のまま、ドラムに巻き付けて収納することができる。その後、紙幣入出金機10は、出金処理の終了後に、一時保留部16からリジェクト紙幣を繰り出させ、元の紙幣収納庫22へ搬送して収納させる。これにより紙幣入出金機10は、紙幣収納庫22に収納している紙幣の枚数、いわゆる有高が不確定となる可能性を低減することができる。
[1−5−4.リジェクト転用モードにおける出金処理]
紙幣入出金機10は、リジェクト転用モードで出金処理を行う場合、図8(A)と対応する図8(B)に示すように、まず矢印R9と対応する矢印R12に沿って、紙幣を紙幣収納庫22(22A〜22C)から鑑別部14まで紙幣を搬送させる。ここで紙幣制御部11は、鑑別部14から得られる鑑別結果のうち主に走行状態を基に、正常な紙幣の搬送先を接客部12に決定する一方、走行状態に問題があるリジェクト紙幣の搬送先を転用リジェクト庫22Dに決定する。
紙幣入出金機10は、正常な紙幣を、通常の動作モードと同様、矢印R10に沿って紙幣を接客部12へ搬送し、収容器31の内部に放出して集積させ、リジェクト紙幣を、矢印R10に沿って上後切替部51へ搬送した後、矢印R13として示すように、搬送路W10、W7及びW6Dに沿って転用リジェクト庫22Dへ搬送して収納させる。
[1−5−5.後方紙幣移動処理]
次に、紙幣入出金機10において紙幣収納庫22同士の間で紙幣を移動させる紙幣移動処理について説明する。ここでは、まず前側の紙幣収納庫22(22A又は22B)を移動元とし、後側の紙幣収納庫22(22C又は22D)を移動先として紙幣を概ね後方へ移動させる場合について説明する。以下、この処理を後方紙幣移動処理と呼ぶ。
具体的に紙幣入出金機10は、金融機関の職員等により操作表示部6(図1)を介して移動元及び移動先の紙幣収納庫22、並びに移動する紙幣の枚数等の指示を受け付けると、紙幣移動処理を開始する。紙幣入出金機10は、移動元として指定された紙幣収納庫22A又は22Bから、出金処理(図8)の場合と同様に、内部に収納されている紙幣を1枚ずつに分離しながら繰り出し、下流の搬送路W6A又はW6Bに順次引き渡す。
続いて紙幣入出金機10は、図9に示す矢印R14のように、紙幣を搬送路W6(W6A又はW6B)、W7A、W5並びに基幹搬送路WPに沿って搬送し、鑑別部14を通過する際に鑑別させる。ここで紙幣制御部11は、鑑別結果を基に紙幣の走行状態を判断し、正常な紙幣の搬送先を移動先である紙幣収納庫22に決定する一方、走行状態に問題があるリジェクト紙幣の搬送先をリジェクト庫17に決定する。
紙幣入出金機10は、正常な紙幣を、矢印R15として示すように、基幹搬送路WP並びに搬送路W10、W9、W7C及びW6C又はW6Dに沿って移動先である紙幣収納庫22C又は22Dへ搬送して収納させる。また紙幣入出金機10は、リジェクト紙幣を、矢印R15に沿って区別切替部53まで搬送した後、矢印R16として示すように、搬送路W10に沿ってリジェクト庫17へ搬送して収納させる。
[1−5−6.前方紙幣移動処理]
次に、紙幣入出金機10における紙幣移動処理のうち、後側の紙幣収納庫22(22C又は22D)を移動元とし、前側の紙幣収納庫22(22A又は22B)を移動先として紙幣を概ね前方へ移動させる場合について説明する。以下、この処理を前方紙幣移動処理と呼ぶ。
具体的に紙幣入出金機10は、金融機関の職員等により操作表示部6(図1)を介して移動元及び移動先の紙幣収納庫22、並びに移動する紙幣の枚数等の指示を受け付けると、紙幣移動処理を開始する。紙幣入出金機10は、移動元として指定された紙幣収納庫22C又は22Dから、出金処理(図8)の場合と同様に、内部に収納されている紙幣を1枚ずつに分離しながら繰り出し、下流の搬送路W6C又はW6Dに順次引き渡す。
続いて紙幣入出金機10は、図10に示す矢印R17のように、紙幣を搬送路W6C又はW6D、W7C、W8及びW10並びに基幹搬送路WPに沿って搬送し、鑑別部14を通過する際に鑑別させる。ここで紙幣制御部11は、鑑別結果を基に紙幣の走行状態を判断し、正常な紙幣の搬送先を移動先である紙幣収納庫22に決定する一方、走行状態に問題があるリジェクト紙幣の搬送先をリジェクト庫17に決定する。
紙幣入出金機10は、正常な紙幣を、矢印R18として示すように、基幹搬送路WP並びに搬送路W5、W7A並びにW6A又はW6Bに沿って移動先である紙幣収納庫22A又は22Bへ搬送し、収納させる。また紙幣入出金機10は、リジェクト紙幣を、矢印R18に沿って切替部62まで搬送した後、矢印R19として示すように、搬送路W7の一部、並びに搬送路W8及びW9に沿ってリジェクト庫17へ搬送して収納させる。
因みに紙幣入出金機10は、搬送路W8及び紙幣収納庫22Cを移動元とする場合の搬送路W7Cにおいて、矢印R17及び矢印R19を重畳させている。このため紙幣入出金機10は、リジェクト紙幣が発生した場合、まず移動元である紙幣収納庫22C又は22Dからの新たな紙幣の繰出を一時停止させ、次にリジェクト紙幣を矢印R19に沿ってリジェクト庫17へ搬送した後、移動元である紙幣収納庫22C又は22Dからの紙幣の繰出を再開するようになっている。
このとき紙幣入出金機10は、リジェクト紙幣が発生した時点で既に紙幣収納庫22C等から繰り出されたものの鑑別部14に到達していない紙幣、すなわち正常である可能性がある紙幣についても、リジェクト紙幣と共にリジェクト庫17へ搬送し、その後に紙幣収納庫22C等から新たな紙幣の繰出を再開する。
因みに紙幣入出金機10は、リジェクト紙幣が発生した時点で既に紙幣収納庫22C等から繰り出されたものの鑑別部14に到達していない紙幣について、鑑別部14によりそれぞれ鑑別し、正常な紙幣を移動先の紙幣収納庫22へ搬送し、リジェクト紙幣のみをリジェクト庫17へ搬送するようにしても良い。また紙幣入出金機10は、リジェクト紙幣が発生した時点で紙幣収納庫22C等からの紙幣の繰出及び紙幣の搬送を何れも停止し、いわゆるスイッチバックを行っても良い。具体的に紙幣入出金機10は、リジェクト紙幣を下環状搬送路WCLに沿って逆送させて搬送路W8に到達させた後、区別収納庫切替部53を切り替え、該リジェクト紙幣を搬送路W8から搬送路W9を介してリジェクト庫17へ搬送して収納させれば良い。
[1−5−7.取込処理]
ところで紙幣入出金機10は、上述した出金処理において、出金額の紙幣を接客部12における収容器31の内部に集積し終えると、シャッタ32(図4)等を開放して使用者に紙幣が取り出されるのを待ち受ける。このとき紙幣入出金機10は、図示しないセンサを用いて紙幣が取り出されたか否かを監視しており、シャッタ32等を開放してから所定時間(例えば30秒間)以内に紙幣が取り出されなかった場合、使用者が紙幣を取り忘れて立ち去ったものと判断する。以下、このとき収容器31内に残された紙幣を取忘紙幣と呼ぶ。この取忘紙幣は、本来的に使用者の所有物であり、最終的には使用者に引き渡されるべきものである。
そこで紙幣入出金機10では、この取忘紙幣に関して、リジェクト庫17に収納することにより紙幣収納庫22の紙幣とは区別する区別取込処理と、紙幣収納庫22に収納して以降の出金処理等において再利用する再利用取込処理とを行い得るようになっている。
紙幣入出金機10は、区別取込処理を行う場合、取忘紙幣をリジェクト庫17へ搬送して収納することにより、紙幣収納庫22に収納されている紙幣、すなわち金融機関等が所有している他の紙幣とは区別するようになっている。具体的に紙幣入出金機10は、区別取込処理において、図11に示す矢印R20のように、搬送路W1、基幹搬送路WP、並びに搬送路W10及びW9に沿って紙幣をリジェクト庫17へ搬送して収納させる。
因みに紙幣入出金機10は、鑑別部14から得られる鑑別結果を基に、各紙幣に一意に付された記番号を取得しており、取忘紙幣の記番号を記憶している。これにより紙幣入出金機10では、リジェクト庫17において既存のリジェクト紙幣及び取忘紙幣が混在することになるものの、後から記番号を基に両者を仕分けることが可能となっている。
ところで紙幣入出金機10では、出金処理において取忘紙幣が発生した場合、出金取引を行った使用者の口座番号が判明しており、また鑑別部14において取忘紙幣を鑑別することにより、その金種及び枚数、すなわち合計金額も認識することができる。そこで紙幣入出金機10では、再利用取込処理を行う場合、例えば取忘紙幣の合計金額を使用者の出金取引における出金額から差し引く、或いは例えば取忘紙幣の合計金額が新たに使用者の口座に入金されたものとする等の処理を行うと共に、該取忘紙幣を紙幣収納庫22へ搬送して収納するようになっている。
具体的に紙幣入出金機10は、図12に示す矢印R21のように、紙幣を搬送路W1及び基幹搬送路WPに沿って搬送することにより、鑑別部14において該紙幣を鑑別する。紙幣制御部11は、鑑別部14から取得した鑑別結果を基に、正常であり再利用が可能な紙幣については、搬送先を一時保留部16に決定し、重送等の搬送異常が発生した紙幣については、リジェクト紙幣と見なし、搬送先をリジェクト庫17に決定する。
紙幣入出金機10は、リジェクト紙幣を、矢印R21に沿って上後切替部51まで搬送した後、矢印R23のように搬送路W10及びW9に沿ってリジェクト庫17へ搬送して収納させる。また紙幣入出金機10は、正常な紙幣を、矢印R22のように基幹搬送路WP、搬送路W2及びW3に沿って一時保留部16へ搬送して収納させる。
さらに紙幣入出金機10は、入金取引における収納処理(図7(B))と同様に、一時保留部16内の紙幣を矢印R4に沿って鑑別部14へ搬送した後、正常な紙幣を矢印R5に沿って紙幣収納庫22へ搬送して収納させ、このとき発生したリジェクト紙幣を矢印R6に沿ってリジェクト庫17へ搬送して収納させる。このようにして紙幣収納庫22に収納された取忘紙幣は、以降の出金処理等において、正常な紙幣として出金される。
[1−6.効果等]
以上の構成において、第1の実施の形態による現金自動預払機1の紙幣入出金機10は、上部ユニット10Uにおける上前切替部41及び上後切替部51を結び鑑別部14を通過する搬送路を基幹搬送路WPとした(図6)。これと共に紙幣入出金機10は、基幹搬送路WPの上側に、接客部12の収容器31内における仮想的な搬送路W11及び該基幹搬送路WPを一部とする環状の上環状搬送路WCUを形成し、且つ該基幹搬送路WPの下側に、該基幹搬送路WPを一部とする環状の下環状搬送路WCLを形成した。換言すれば、紙幣入出金機10は、上環状搬送路WCU及び下環状搬送路WCLにおいて、基幹搬送路WPを共有するようにした。
さらに紙幣入出金機10では、上環状搬送路WCUに対して3ウェイの切替部である一時保留切替部52を介して一時保留部16を接続すると共に、上環状搬送路WCUに対して3ウェイの切替部である区別切替部53を介してリジェクト庫17を接続した。
これにより紙幣入出金機10では、入金処理(図7(A))、収納処理(図7(B))及び出金処理(図8(A))といった基本的な各処理において、紙幣をそれぞれの搬送先へ円滑に搬送することができる。これと共に紙幣入出金機10は、リジェクト紙幣が発生した場合には、これを下環状搬送路WCLに沿って適宜搬送した後、区別切替部53を介してリジェクト庫17へ搬送して収納させることができる。
すなわち紙幣入出金機10では、収納処理(図7(B))のように鑑別部14を前方向へ進行する紙幣がリジェクト紙幣であった場合、下環状搬送路WCLをそのまま図の時計回りに進行させて区別切替部53の下側からリジェクト庫17へ搬送できる。その一方で紙幣入出金機10では、出金処理(図8(A))のように鑑別部14を後方向へ進行する紙幣がリジェクト紙幣であった場合、下環状搬送路WCLをそのまま図の反時計回りに進行させて区別切替部53の前側からリジェクト庫17へ搬送できる。
ところで紙幣入出金機10では、例えば出金取引の頻度が高く、紙幣収納庫22に収納されている紙幣の枚数が減少してきた場合等に、紙幣を補充する目的で、前側の2個の紙幣収納庫22(22A及び22B)を、予め多数の紙幣が収納された2個の交換用の紙幣収納庫22と交換することがある。このとき紙幣入出金機10では、紙幣収納庫22A及び22Bに紙幣が残っており、且つ紙幣収納庫22C及び22Dにこれらを収納する空き容量があれば、これらの紙幣を紙幣収納庫22C及び22Dに移動させることにより、出金処理等における出金用の紙幣として使用することができる。
ここで紙幣入出金機10は、仮に移動元の紙幣収納庫22から一時保留部16へ紙幣を搬送し、その後に該一時保留部16から移動先の紙幣収納庫22へ搬送する、といった手順による移動処理を行う場合、直接搬送する場合と比較して、その完了までに長い時間を要する。また一時保留部16は、紙幣収納庫22と比較して紙幣の収納可能枚数が極めて少ないため、移動する紙幣の枚数が多い場合には、この搬送処理を繰り返す必要がある。さらに紙幣入出金機10は、この移動処理の途中で使用者から入金取引の開始が指示された場合、一時保留部16に収納している紙幣を全て紙幣収納庫22へ搬送して空の状態にしてから入金処理を開始する必要があるため、使用者を長時間待たせる恐れがある。
この点において紙幣入出金機10では、下搬送部21において紙幣収納庫22Cの真上に位置する切替部63を3ウェイとした。すなわち切替部63は、搬送路W7に沿って紙幣を前後方向へ搬送できると共に、紙幣収納庫22Cから繰り出された紙幣を搬送路W7に沿って前側及び後側の何れへも進行させることができ、また搬送路W7に沿って前側及び後側の何れから搬送されてくる紙幣であっても紙幣収納庫22Cへ搬送して収納させることができる。
また紙幣入出金機10では、下搬送部21における最も後側の切替部66を3ウェイの切替部とした。すなわち切替部66は、紙幣収納庫22Dから繰り出された紙幣を搬送路W7に沿って前方へ進行させること及び搬送路W8に沿って上方へ進行させることができ、また搬送路W7に沿って前方から搬送されてくる紙幣及び搬送路W8に沿って上方から搬送されてくる紙幣を後方の搬送路W6Dへ搬送して紙幣収納庫22Dに収納させることができる。さらに切替部66は、前方の搬送路W7と上方の搬送路W8との間で紙幣を相互に搬送することもできる。
これらにより紙幣入出金機10は、上述した収納処理や出金処理に加えて、紙幣移動処理(後方紙幣移動処理及び前方紙幣移動処理)として、前側の紙幣収納庫22(22A及び22B)と後側の紙幣収納庫22(22C及び22D)との間で、鑑別部14を通る搬送経路に沿って紙幣を直接搬送することができる(図9及び図10)。すなわち紙幣入出金機10は、一時保留部16等を使用しながら紙幣を移動させる場合と比較して、所要時間を格段に短縮できる。また紙幣入出金機10は、仮に移動処理の途中で使用者が入金取引の開始を指示した場合、その時点で搬送路上を搬送されている紙幣を移動先の紙幣収納庫22へ搬送し終えた時点で、入金処理を開始することができるので、この使用者をほとんど待たせずに済む。
さらに紙幣入出金機10は、上部ユニット10U(図4)において接客部12の搬送路34や上後搬送部15の一時保留切替部52を、上下方向に関して中央付近に配置した。このため紙幣入出金機10は、特許文献1の図2における鑑別部2の後側部分のように、該鑑別部2の後側から筐体内の上端近傍まで立ち上がるような搬送路を形成する場合と比較して、搬送経路長を短く抑えることができるので、部品点数を削減できると共に、搬送中における障害(詰まり等)の発生頻度を低減できる。
以上の構成によれば、第1の実施の形態による現金自動預払機1の紙幣入出金機10は、鑑別部14を通過する基幹搬送路WPを共有するように上環状搬送路WCU及び下環状搬送路WCLをそれぞれ形成した。また紙幣入出金機10では、下環状搬送路WCLに対して3ウェイの切替部63を介して紙幣収納庫22Cと接続すると共に、3ウェイの切替部66を介して紙幣収納庫22Dと接続した。これにより紙幣入出金機10では、入金処理、収納処理及び出金処理を何れも円滑に行いえると共に、紙幣移動処理において紙幣収納庫22同士の間で鑑別部14を通過する経路に沿って紙幣を直接移動させることができる。この結果、紙幣入出金機10では、入金処理等の各処理において、紙幣の搬送距離や搬送回数を必要最小限に抑え、効率良く搬送して短時間で完了することができる。
[2.第2の実施の形態]
第2の実施の形態による現金自動預払機101(図1)は、第1の実施の形態による現金自動預払機1と比較して、紙幣入出金機10に代わる紙幣入出金機110を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。因みに現金自動預払機101は、例えば金融機関内における職員以外の立ち入りが制限された場所に設置されており、該金融機関の職員等が使用者となって種々の操作を行うことが想定されている。
紙幣入出金機110は、図2と対応する図13に示すように、第1の実施の形態による紙幣入出金機10と比較して、紙幣入出金機フレーム10F及び上部ユニット10Uに代わる紙幣入出金機フレーム110F及び上部ユニット110Uを有する点、及びこの上部ユニット110Uの上側に施封ユニット110Sを有する点において相違する。その一方で紙幣入出金機110は、第1の実施の形態による紙幣入出金機10と同様の下部ユニット10Lを有している。
上部ユニット110Uは、第1の実施の形態による上部ユニット10Uと比較して、紙幣制御部11及び上後搬送部15に代わる紙幣制御部111及び上後搬送部115を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。紙幣制御部111は、紙幣制御部11と同様、図示しないCPUやROM、RAM及びフラッシュメモリを有しており、紙幣の搬送先を決定する処理や各部の動作を制御する処理等、種々の処理を行い、また種々の情報を記憶する。
図4(B)と対応する図14に示すように、上後搬送部115は、第1の実施の形態による上後搬送部15と比較して、一時保留切替部52の上側に施封切替部151が設けられ、搬送路58に代わる搬送路152及び153が設けられ、さらに搬送路154が設けられている点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
施封切替部151は、2ウェイの切替部として構成されており、紙幣制御部111の制御に基づき、下側の搬送路152及び上後側の搬送路153を接続する搬送経路と、下側の搬送路152及び後側の搬送路154を接続する搬送経路とを切り替えることができる。搬送路152の下端は、一時保留切替部52に接続されている。搬送路153の後端は、一時保留部16と接続されている。搬送路154の上端は、施封ユニット110Sと接続されている。
このため上後搬送部115は、例えば紙幣が搬送路55から一時保留切替部52を介して搬送路152へ搬送されてきた場合、この紙幣を搬送路153に沿って進行させ、後側の一時保留部16へ引き渡して収納させることができる。これと反対に上後搬送部115は、例えば紙幣が一時保留部16から搬送路153に引き渡された場合、これを該搬送路153及び搬送路152に沿って進行させ、一時保留切替部52を介して前側の搬送路57又は後下側の搬送路55へ進行させることができる。
さらに上後搬送部115は、例えば紙幣が搬送路55から一時保留切替部52を介して搬送路152へ搬送されてきた場合、この紙幣を搬送路154に沿って進行させ、上側の施封ユニット110Sへ引き渡すこともできる。施封ユニット110Sは、上後搬送部115及び一時保留部16の上側に配置されており、上後搬送部115の搬送路154から搬送されてくる紙幣を所定の枚数(例えば100枚)ずつ集積し、帯封を巻き付けて施封する、といった施封処理を行うようになっている。
[2−1.紙幣入出金機における各種処理]
次に、図6と対応する図15に示すように紙幣入出金機110を模式化した上で、該紙幣入出金機110における紙幣の搬送を伴う種々の処理について、それぞれ詳細に説明する。この図15では、図6の場合と同様に、各モジュールや各搬送部を互いに接続する複数の搬送路をまとめて1つの搬送路としている。このうち搬送路W12、W13及びW14は、それぞれ上後搬送部115における搬送路152、153及び154に相当する。その他の各搬送路については、図6と対応する箇所に同一の符号を付している。
この紙幣入出金機110では、入金処理、収納処理、出金処理、並びに紙幣移動処理(後方紙幣移動処理及び前方紙幣移動処理)の各処理において、リジェクト転用モードも含めて、第1の実施の形態による紙幣入出金機10の場合と同様の搬送経路により、それぞれ紙幣を搬送する(図7〜図12)。また紙幣入出金機110では、上述した各処理において上後搬送部115の一時保留切替部52及び一時保留部16の間で紙幣を搬送する場合、第1の実施の形態における搬送路W3(図6)に代えて、搬送路W12及びW13(図15)に沿って紙幣を搬送する。
[2−2.束出金処理]
次に、紙幣入出金機110における束出金処理について説明する。この束出金処理は、所定枚数の紙幣を紙幣収納庫22から施封ユニット110Sへ搬送し、該施封ユニット110Sにおいてこの紙幣を集積して施封することにより施封紙幣束を生成し、これを使用者に引き渡す処理である。
具体的に紙幣入出金機110の紙幣制御部111は、現金自動預払機101の主制御部9(図1)と連携することにより、操作表示部6(図1)を介して使用者(すなわち金融機関の職員等)から金種や枚数と共に施封紙幣束の生成を指示する操作入力を受け付けると、束出金処理を開始する。このとき紙幣入出金機110は、図16(A)に示すように、指定された金種及び枚数に応じて、各紙幣収納庫22の内部に集積された状態で収納されている紙幣を1枚ずつに分離しながら繰り出し、下流の搬送路W6に順次引き渡す。
続いて紙幣入出金機110は、出金処理の場合(図8(A))と同様に、矢印R9に沿って紙幣を搬送し、鑑別部14を通過する際に鑑別させる。ここで紙幣制御部111は、鑑別部14から得られる鑑別結果のうち主に走行状態を基に、正常な紙幣の搬送先を施封ユニット110Sに決定する一方、リジェクト紙幣の搬送先をリジェクト庫17に決定する。
紙幣入出金機110は、正常な紙幣を、矢印R31として示すように、基幹搬送路WP並びに搬送路W2、W12及びW13に沿って該施封ユニット110Sへ搬送する。これに応じて施封ユニット110Sは、所定の枚数(例えば100枚)ずつ紙幣を集積し、これに施封処理を行い施封紙幣束を生成して、使用者に引き渡す。また紙幣入出金機110は、リジェクト紙幣を、出金処理の場合(図8(A))と同様に矢印R11に沿ってリジェクト庫17へ搬送して収納させる。
因みに紙幣制御部111は、使用者に指定された枚数に加えてリジェクト紙幣の発生枚数と同数の紙幣を紙幣収納庫22から余分に繰り出させることにより、指定された枚数の正常な紙幣を施封ユニット110Sへ搬送させるようになっている。
ところで紙幣入出金機110では、この束出金処理において、使用者から予め紙幣の表裏を揃える指示を受け付けた場合、表裏を揃えた状態で紙幣を施封ユニット110Sへ搬送するようになっている。以下この指示を表裏統一指示と呼ぶ。
具体的に紙幣制御部111は、例えば鑑別部14における下方を基準方向とし、搬送される紙幣の両紙面をそれぞれ撮像した画像を基に、この紙幣が鑑別部14を通過した時点で表面又は裏面の何れが基準方向を向いているかを判定する。説明の都合上、以下では表面が基準方向を向いていた紙幣を表向紙幣と呼び、裏面が基準方向を向いていた紙幣を裏向紙幣と呼ぶ。
その上で紙幣制御部111は、搬送状態が正常な紙幣のうち表向紙幣の搬送先を施封ユニット110Sに設定し、裏向紙幣の搬送先を接客部12に決定し、リジェクト紙幣の搬送先をリジェクト庫17に決定する。
紙幣入出金機110は、表向紙幣を、上述した矢印R31に沿って施封ユニット110Sへ搬送する一方、裏向紙幣を、矢印R32として示すように、搬送路W4に沿って接客部12の放出部31Eへ搬送して収容器31の内部へ放出させる。このとき裏向紙幣は、収容器31内において紙幣の裏面を後方に向けると共に表面を前方に向けた姿勢で、順次集積される。
続いて紙幣入出金機110は、図16(B)に示すように、接客部12の収容器31内から、表面を前方に向けた紙幣を分離部31Sにより1枚ずつ分離して取り込ませ、入金処理の場合(図7(A))と同様の矢印R1に沿って鑑別部14へ搬送する。これを換言すれば、接客部12は、収容器31内において、紙幣を放出部31Eから分離部31Sへ、仮想的な搬送路W11に沿って紙幣を搬送しており、この途中において紙幣の進行方向を反転させている。
ここで鑑別部14に到達した紙幣は、何れも収容器31内において表面を前方に向けていたため、矢印R1に沿った搬送経路の構造により、この表面を下方(すなわち基準方向)に向けた姿勢の表向紙幣となる。すなわち紙幣入出金機110は、搬送路W11を含む上環状搬送路WCUに沿って紙幣を1周搬送することにより、紙幣の表裏を反転させることができる。
その後、紙幣入出金機110は、鑑別部14から得られる鑑別結果を基に、搬送状態が正常であった表向紙幣を、図16(A)の矢印R31に沿って施封ユニット110Sへ搬送する。因みに紙幣入出金機110は、鑑別部14において搬送状態が正常ではなかった紙幣を、表裏に拘わらずにリジェクト紙幣とし、出金処理の場合(図8(A))と同様の矢印R11に沿ってリジェクト庫17へ搬送して収納させる。
かくして紙幣入出金機110は、表裏統一指示の有無に応じて適宜表裏を反転させながら、紙幣収納庫22から紙幣を施封ユニット110Sへ搬送することにより、該施封ユニット110Sにおいて紙幣を束ねて施封紙幣束を生成し、これを使用者に引き渡す。
[2−3.整理施封処理]
次に、紙幣入出金機110における整理施封処理について説明する。この束出金処理は、使用者により接客部12の収容器31へ投入された紙幣を施封ユニット110Sへ搬送し、該施封ユニット110Sにおいてこの紙幣を集積して施封することにより施封紙幣束を生成して、これを使用者に引き渡す処理である。
具体的に紙幣入出金機110の紙幣制御部111は、現金自動預払機101の主制御部9(図1)と連携することにより、操作表示部6(図1)を介して使用者(すなわち金融機関の職員等)から整理施封処理の実行を指示する操作入力を受け付けると、整理施封処理を開始する。
このとき紙幣入出金機110は、入金処理の場合(図7(A))と同様に、使用者に収容器31内へ紙幣を投入させ、この紙幣を分離部31Sにより1枚ずつに分離して搬送路W1に順次引き渡す。続いて紙幣入出金機110は、図17に示すように、矢印R1に沿って紙幣を搬送し、鑑別部14を通過する際に鑑別させる。
ここで紙幣制御部111は、鑑別部14から得られる鑑別結果を基に、使用者により予め紙幣の金種が指定されていた場合、走行状態等に問題が無く、且つ指定された金種の紙幣を正常と判断し、その搬送先を施封ユニット110Sに決定する一方、他の紙幣を使用者に返却するべき返却紙幣と判断して、その搬送先を一時保留部16に決定する。
紙幣入出金機110は、正常な紙幣を、施封ユニット110Sへ搬送して施封させ、また返却紙幣を、矢印R33として示すように、搬送路W13に沿って一時保留部16へ搬送して収納させる。
このとき紙幣入出金機110は、使用者から予め表裏統一指示を受け付けていた場合、束出金処理の場合と同様、表向紙幣のみを矢印R31に沿って施封ユニット110Sへ搬送する一方、裏向紙幣を矢印R32に沿って搬送し、集積搬送部35を介して接客部12へ戻す。
これにより裏向紙幣は、収容器31内において、裏面を後方に向けると共に表面を前方に向けた姿勢となる。その後、紙幣入出金機110は、この紙幣を再び矢印R1に沿って搬送し、鑑別部14から得られる鑑別結果を基に、搬送状態が正常な紙幣を表向紙幣として施封ユニット110Sへ搬送する一方、搬送状態が正常で無い紙幣を一時保留部16へ搬送する。
一時保留部16に搬送された紙幣は、接客部12の収容器31内に投入された全ての紙幣が分離して繰り出された後に、搬送路W13、W14及びW4に沿って接客部12の収容器31内へ搬送され、使用者に返却される。
かくして紙幣入出金機110は、整理施封処理において、使用者により接客部12に投入された紙幣を、表裏統一指示に応じて適宜表裏を反転させながら施封ユニット110Sへ搬送することにより、該施封ユニット110Sにおいて施封紙幣束を生成し、これを使用者に引き渡す。
[2−4.効果等]
以上の構成において、第2の実施の形態による現金自動預払機101の紙幣入出金機110は、第1の実施の形態による紙幣入出金機10と同様に、基幹搬送路WPを互いに共有する上環状搬送路WCU及び下環状搬送路WCLを形成した(図15)。
これにより紙幣入出金機110は、第1の実施の形態による紙幣入出金機10と同様、入金処理、収納処理及び出金処理といった各処理において、紙幣をそれぞれの搬送先へ円滑に搬送することができる(図7及び図8)。また紙幣入出金機110は、やはり第1の実施の形態と同様、紙幣移動処理を行うことにより、前側の紙幣収納庫22A及び22Bと後側の紙幣収納庫22C及び22Dとの間で、鑑別部14を経由する搬送経路に沿って、紙幣を連続的に効率良く搬送できる(図9及び図10)。
さらに紙幣入出金機110は、上部ユニット110Uの上側に施封ユニット110Sを設けると共に(図13)、上後搬送部115に施封切替部151や搬送路154等を設けた(図14)。これにより紙幣入出金機110は、紙幣収納庫22に収納されている紙幣を施封ユニット110Sへ搬送して施封する束出金処理(図16)と、使用者により接客部12に投入された紙幣を施封ユニット110Sへ搬送して施封する整理施封処理(図17)とを行うこともできる。
そのうえ紙幣入出金機110は、束出金処理及び整理施封処理において使用者から表裏統一指示を受け付けた場合、鑑別部14から得られる鑑別結果を基に、表向紙幣を施封ユニット110Sへ搬送する一方、裏向紙幣を接客部12へ搬送し上環状搬送路WCUに沿って1周させる。ここで紙幣入出金機110は、接客部12の収容器31内に形成される仮想的な搬送路W11において、紙幣の進行方向を逆転させて先頭及び末尾を入れ替えるため、鑑別部14を再び通過する段階で、この紙幣の表裏を反転させて表向紙幣とすることができる。この結果、紙幣入出金機110は、施封ユニット110Sにおいて、紙幣の表裏を揃えた状態の施封紙幣束を生成することができる。
これを換言すれば、紙幣入出金機110は、上環状搬送路WCUにおける収容器31内の搬送路W11において、紙幣の搬送方向を逆転させているため、専用の反転機構等を設ける必要がなく、該上環状搬送路WCUに沿って紙幣を1周搬送させるだけで、その表裏を反転させることができる。
また紙幣入出金機110(図13)は、第1の実施の形態による紙幣入出金機10(図2)と比較して、紙幣制御部11及び上後搬送部15に代わる紙幣制御部111及び上後搬送部115を設けると共に施封ユニット110Sを設ける一方、他の部分を同一の構成とした。さらに上後搬送部115(図14)は、第1の実施の形態による上後搬送部15(図4(B))と比較して、搬送路58に代わる搬送路152及び153を設けると共に、施封切替部151及び搬送路154を設ける一方、他の部分を同一の構成とした。このうち搬送路152及び153は、実質的に搬送路58と同等の箇所を通過するようにした。
このため紙幣入出金機110は、第1の実施の形態による紙幣入出金機10と比較して、施封ユニット110Sに直接関係しない部分を中心に、極めて多くの部品を共通化でき、設計や製造、或いは保守等において、コストの低廉化を図ることができる。
さらに紙幣入出金機110は、上後搬送部115(図14)において、施封切替部151を上環状搬送路WCU上では無く、該上環状搬送路WCUから分岐した搬送路W152及び搬送路W153の接続箇所に、すなわち第1の実施の形態における搬送路58(図4(B))の途中に配置した。
このため紙幣入出金機110は、入金処理(図7(A))における入金リジェクト紙幣や出金処理(図8(A))における正常な紙幣のように、上環状搬送路WCUに沿って搬送される紙幣に施封切替部151を通過させる必要が無く、紙幣制御部111により第1の実施の形態と同様に各切替部を制御すれば良い。すなわち紙幣入出金機110は、第1の実施の形態による紙幣入出金機10と比較して、入金リジェクト紙幣や正常な紙幣の出金における搬送経路を同一とすることができ、切替部の増加や搬送経路の変更に伴う搬送異常の増加等を未然に回避できる。
その他の点においても、紙幣入出金機110は、第1の実施の形態による紙幣入出金機10と同様の作用効果を奏し得る。
以上の構成によれば、第2の実施の形態による現金自動預払機101の紙幣入出金機110は、鑑別部14を通過する基幹搬送路WPを共有するように上環状搬送路WCU及び下環状搬送路WCLをそれぞれ形成した。さらに紙幣入出金機110は、第1の実施の形態による紙幣入出金機10の構成に加えて、上後搬送部115に施封切替部151や搬送路154等を設けると共に、施封ユニット110Sを設けた。このため紙幣入出金機110は、第1の実施の形態による紙幣入出金機10と極めて多くの部品を共通化し、同様の入金処理等を行い得ると共に、束出金処理や整理施封処理を行うこともできる。
[3.第3の実施の形態]
第3の実施の形態による現金自動預払機201(図1)は、第1の実施の形態による現金自動預払機1と比較して、紙幣入出金機10に代わる紙幣入出金機210を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
紙幣入出金機210は、図2と対応する図18に示すように、第1の実施の形態による紙幣入出金機10の紙幣入出金機フレーム10F、上部ユニット10U及び下部ユニット10Lとそれぞれ対応する紙幣入出金機フレーム210F、上部ユニット210U及び下部ユニット210Lにより構成されている。
[3−1.上部ユニットの構成]
図4(A)と対応する図19に示すように、上部ユニット210Uは、第1の実施の形態による上部ユニット10Uと比較して、紙幣制御部11及び上前搬送部13に代わる紙幣制御部211及び上前搬送部213を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
紙幣制御部211は、第1の実施の形態による紙幣制御部11と同様、図示しないCPUやROM、RAM及びフラッシュメモリを有しており、紙幣の搬送先を決定する処理や各部の動作を制御する処理等、種々の処理を行い、また種々の情報を記憶する。
上前搬送部213は、第1の実施の形態における上前搬送部13(図4(A))と比較して、前方へ大きく延長された形状となっており、上前切替部41及び搬送路44に代わる上前切替部241及び搬送路244を有する点において相違するものの、搬送路42及び43並びに搬送ローラ対45については同様に構成されている。
上前切替部241は、搬送路42の前側且つ搬送路43よりも上側に設けられており、第1の実施の形態における上前切替部41(図4(A))よりも前上側に位置している。この上前切替部241は、上前切替部41と同様、2ウェイブレードとなっている。搬送路244は、上前切替部241から前方へ向けて進行した後、下方へ屈曲する経路を形成しており、その下端が上部ユニット前受渡口T11となっている。
この上前切替部241は、紙幣制御部211の制御に基づき、上側の搬送路42及び後側の搬送路43を接続する搬送経路と、後側の搬送路43及び前側の搬送路244を接続する搬送経路とを切り替えることができる。
このため上前搬送部213は、第1の実施の形態による上前搬送部13と同様に、複数通りの搬送経路に沿って紙幣を搬送することができる。具体的に上前搬送部213は、接客部12の搬送路33から鑑別部14へ紙幣を搬送でき、また鑑別部14から下側の下部ユニット210L(図18)へ搬送でき、或いは下部ユニット210Lから鑑別部14へ紙幣を搬送できる。
[3−2.下部ユニットの構成]
図5と対応する図20に示すように、下部ユニット210Lは、第1の実施の形態における下部フレーム20及び下搬送部21に代わる下部フレーム220及び下搬送部221により構成されている。
下部フレーム220は、前後方向に沿って5個の空間に仕切られ、5箇所の装填空間が形成されている。下部フレーム220における前側の3箇所の装填空間には、第1の実施の形態と同様に3個の紙幣収納庫22A、22B及び22Cがそれぞれ装填されている。この紙幣収納庫22(22A、22B及び22C)は、何れも第1の実施の形態と同様に構成されている。
下部フレーム220における前側から4番目の装填空間は、他よりもやや大きく(すなわち前後方向に長く)形成されており、補充回収庫224及び補充リジェクト庫225が一体化された補充回収カセット226が装填される。また下部フレーム220における最も後側の装填空間は、他よりもやや小さく(すなわち前後方向に短く)形成されており、第2区別収納庫としての取忘収納庫227が装填される。
[3−2−1.補充回収庫、補充リジェクト庫及び取忘収納庫の構成]
補充区別収納庫としての補充リジェクト庫225は、紙幣収納庫22Cの後側且つ補充回収庫224の前側に配置されており、該紙幣収納庫22Cと比較して、上下方向及び左右方向の長さが同等である一方、前後方向の長さが1/3ないし1/4程度に短くなっている。この補充リジェクト庫225は、リジェクト庫17(図19等)と同様の機能を有しており、下搬送部221から受け取った紙幣を内部に収納する機能を有する一方、内部に収納されている紙幣を1枚ずつに分離して繰り出す分離機能を有していない。因みに補充リジェクト庫225における紙幣の最大収納枚数は、リジェクト庫17(図19等)と同程度となっている。また取忘収納庫227は、補充リジェクト庫225と概ね同様に構成されている。
分岐収納庫及び補充回収庫としての補充回収庫224は、補充リジェクト庫225の後側に配置され、第1の実施の形態による紙幣収納庫22と概ね同様に構成されている。すなわち補充回収庫224は、全体として直方体状に形成され、その内部に収納空間、分離放出部及び収納庫搬送部等が設けられている。このため補充回収庫224は、紙幣制御部211の制御に基づき、紙幣を収納する収納処理や紙幣を繰り出す繰出処理を行うことができる。
因みに補充回収庫224は、紙幣制御部211の制御に基づき、各紙幣収納庫22に補充するための紙幣を収納し、また各紙幣収納庫22から回収した紙幣を収納する補充回収モードと、各紙幣収納庫22と同様に金種が割り当てられて再利用が可能な紙幣を収納する紙幣収納モードとを切り替えることができる。
ところで補充回収カセット226は、図21に示すように、補充回収庫224の前面及び補充リジェクト庫225の後面における一辺、例えば右辺の近傍に蝶番(図示せず)が設けられており、この蝶番により補充回収庫224に対し補充リジェクト庫225を回動させ得るようになっている。すなわち補充回収カセット226は、下部ユニット210Lに装填される場合には、図21(A)に示したように補充回収庫224の前面及び補充リジェクト庫225の後面を互いに重ねて、1個の直方体状となる。
一方、補充回収カセット226は、保守作業等において下部ユニット210Lから取り出された上で、図21(B)に示すように、蝶番において補充回収庫224に対し補充リジェクト庫225を回動させると、補充回収庫224の前面及び補充リジェクト庫225の後面を互いに引き離すことができる。以下、この状態を開いた状態と呼ぶ。さらに補充回収カセット226には、補充回収庫224の前面及び補充リジェクト庫225の後面の間に、回動可能な内扉226Dが設けられている。
このため補充回収カセット226では、図21(B)に示したように、開いた状態において補充回収庫224の収納空間にアクセスすること、すなわち紙幣の取出又は装填を行うことができる。また補充回収カセット226では、図21(C)に示すように、開いた状態において内扉226Dを補充回収庫224側へ回動させることにより、補充リジェクト庫225の収納空間から紙幣を取り出すことができる。
因みに紙幣入出金機210では、下部ユニット210Lに対し、紙幣収納庫22(22A〜22C)を極力着脱せず、主に補充回収カセット226を着脱させることにより、紙幣の補充や回収を行うことが想定されている。
[3−2−2.下搬送部の構成]
下搬送部221(図20)は、その内部における前側から後側へ向けて離散的な位置に、切替部61、62、263、265、66及び267が順次配置されている。このうち切替部61及び62は、紙幣収納庫22A及び22Bのほぼ真上にそれぞれ配置されており、何れも第1の実施の形態と同様に構成されている。また切替部61及び62の周囲には、第1の実施の形態と同様の搬送路71、72、73、74及び75がそれぞれ設けられている。
搬送路75の後側に接続されている切替部263は、第1の実施の形態における切替部63と対応し、紙幣収納庫22Cのほぼ真上に位置しているものの、3ウェイでは無く、切替部62と同様の2ウェイとなっている。切替部263の周囲には、搬送路75に加えて、下方へ向かい紙幣収納庫22Cと接続された搬送路76、及び後方へ向かい切替部265に接続された搬送路277が設けられている。この切替部263は、前側の搬送路75及び下側の搬送路76を接続する搬送経路と、前側の搬送路75及び後側の搬送路277を接続する搬送経路とを切り替えることができる。
補充区別収納切替部としての切替部265は、補充リジェクト庫225のほぼ真上に位置しており、切替部62等と同様に2ウェイとなっている。切替部265の周囲には、搬送路277に加えて、下方へ向かい補充リジェクト庫225と接続された搬送路278、及び後方へ向かい切替部66に接続された搬送路280が設けられている。この切替部265は、前側の搬送路277及び下側の搬送路278を接続する搬送経路と、前側の搬送路277及び後側の搬送路280を接続する搬送経路とを切り替えることができる。
切替部66は、切替部265の後側に配置されており、第1の実施の形態と同様に構成されている。切替部66の周囲には、搬送路280に加えて、上方へ向かう搬送路79、及び後方へ向かい切替部267に接続された短い搬送路281が設けられている。この切替部66は、前側の搬送路280及び後側の搬送路281を接続する搬送経路と、前側の搬送路280及び上側の搬送路79を接続する搬送経路と、後側の搬送路281及び上側の搬送路79を接続する搬送経路とを切り替えることができる。
切替部267は、補充回収庫224のほぼ真上に位置しており、切替部62等と同様に2ウェイとなっている。切替部267の周囲には、搬送路281に加えて、下方へ向かい補充回収庫224と接続された搬送路282、及び後下方へ向かい取忘収納庫227に接続された搬送路283が設けられている。この切替部267は、前側の搬送路281及び下側の搬送路282を接続する搬送経路と、前側の搬送路281及び後側の搬送路283を接続する搬送経路とを切り替えることができる。
かかる構成により下搬送部221は、例えば上部ユニット210U(図19)から下部ユニット前受渡口T21を介して紙幣が搬送されてきた場合、この紙幣を紙幣収納庫22A、22B若しくは22C、補充リジェクト庫225、補充回収庫224又は取忘収納庫227へ搬送して収納させることができる。また下搬送部221は、この紙幣を下部ユニット後受渡口T22から上部ユニット210Uへ戻すこともできる。さらに下搬送部221は、紙幣収納庫22A、22B若しくは22C、又は補充回収庫224から紙幣を受け取った場合、これを下部ユニット前受渡口T21へ搬送して上部ユニット210Uに引き渡すこともできる。
また下搬送部221は、例えば上部ユニット210Uから下部ユニット後受渡口T22を介して紙幣が搬送されてきた場合、この紙幣を補充回収庫224又は取忘収納庫227へ搬送して収納させることができる。さらに下搬送部221は、補充回収庫224から紙幣を受け取った場合、これを下部ユニット後受渡口T22へ搬送して上部ユニット210Uに引き渡すこともできる。
[3−3.紙幣入出金機における各種処理]
次に、図6等と対応する図22に示すように紙幣入出金機210を模式化した上で、該紙幣入出金機210における紙幣の搬送を伴う種々の処理について、それぞれ詳細に説明する。この図22では、図6等の場合と同様に、各モジュールや各搬送部を互いに接続する複数の搬送路をまとめて1つの搬送路としている。
このうち搬送路W25は、上前搬送部213の搬送路244及び下搬送部221の搬送路71に相当する。搬送路W26A、W26B、W26C、W26E、W26F及びW26Gは、それぞれ下搬送部221の搬送路72、74、76、278、282及び283に相当する。またこの搬送路W26A、W26B、W26C、W26E、W26F及びW26Gをまとめて搬送路W26とも呼ぶ。
搬送路W27A、W27B、W27C及びW27Eは、それぞれ下搬送部221の搬送路73、75、277及び280に相当する。またこの搬送路W27A、W27B、W27C及びW27Eをまとめて搬送路W27とも呼ぶ。搬送路W31は、下搬送部221の搬送路281と対応する。また第3の実施の形態では、搬送路W27を振分搬送路とも呼び、搬送路W31、W26F及びW26Gをまとめて分岐搬送路とも呼ぶ。なお図22におけるその他の各搬送路及び各接続口については、図6と対応する箇所に同一の符号を付している。
[3−3−1.入金処理及び収納処理]
紙幣入出金機210は、入金処理において、第1の実施の形態による紙幣入出金機10の場合と同様の搬送経路により紙幣を搬送する(図7(A))。その後、紙幣入出金機210は、使用者により入金取引の継続が指示された場合、図23に示すように、収納処理を開始する。具体的に紙幣入出金機210は、一時保留部16に収納している紙幣(入金受入紙幣)を順次繰り出し、第1の実施の形態における収納処理(図8(B))と同様の矢印R4として示すように、搬送路W3及びW2並びに基幹搬送路WPに沿って鑑別部14へ搬送し、順次鑑別させる。
このとき紙幣制御部211は、鑑別部14から得られる鑑別結果を基に、損傷の程度が大きいリジェクト紙幣についてはリジェクト庫17を、正常であり再利用可能な紙幣については金種ごとの各紙幣収納庫22(22A〜22C)又は紙幣収納モードで動作する補充回収庫224を、それぞれ搬送先として決定する。
続いて紙幣入出金機210は、正常な紙幣を、矢印R41として示すように、基幹搬送路WP及び搬送路W5に沿って搬送し、さらに搬送路W26、W27及びW31の一部に沿って紙幣収納庫22(22A〜22C)又は補充回収庫224へ搬送して収納させる。また紙幣入出金機210は、リジェクト紙幣を、矢印R41に沿って切替部66まで搬送した後、第1の実施の形態(図8(B))と同様の矢印R6のように、搬送路W8及びW9に沿ってリジェクト庫17へ搬送して収納させる。
[3−3−2.出金処理]
紙幣入出金機210は、出金処理において、図8(A)と対応する図24に示すように、第1の実施の形態と比較して、紙幣収納庫22D並びに搬送路W6及びW7をそれぞれ補充回収庫224並びに搬送路W26、W27及びW31に置き換えたような搬送経路により、紙幣を搬送する。
すなわち紙幣入出金機210の紙幣制御部211は、出金額に応じた紙幣の金種及び枚数を決定した上で、決定した金種及び枚数に応じて、各紙幣収納庫22(22A〜22C)又は紙幣収納モードの補充回収庫224に収納されている紙幣を1枚ずつに分離しながら繰り出し、下流の搬送路W26に順次引き渡す。
続いて紙幣入出金機210は、矢印R42のように、紙幣を搬送路W26、W31及びW27の一部に沿って搬送し、さらに搬送路W25及び基幹搬送路WPに沿って鑑別部14へ搬送する。ここで紙幣制御部211は、鑑別部14から得られる鑑別結果のうち主に走行状態を基に、正常な紙幣の搬送先を接客部12に決定する一方、リジェクト紙幣の搬送先をリジェクト庫17に決定する。
紙幣入出金機210は、正常な紙幣を、第1の実施の形態と同様に矢印R10に沿って接客部12へ搬送し、収容器31の内部に放出して集積させ、またリジェクト紙幣を、矢印R11に沿ってリジェクト庫17へ搬送し、その内部に収納させる。
[3−3−3.補充処理]
次に、紙幣入出金機210における補充処理について説明する。紙幣入出金機210では、上述したように、下部フレーム220(図20)に紙幣収納庫22を装填したまま、補充回収カセット226を着脱させることにより、装置外から紙幣を内部へ補充することが想定されている。この場合、紙幣入出金機210では、補充回収庫224を上述した補充回収モードで動作させ、各紙幣収納庫22(22A〜22C)にのみ再利用可能な紙幣を収納する。
紙幣入出金機210は、金融機関の職員等により、下部フレーム220から補充回収カセット226が取り外され、補充回収庫224に新たな紙幣が収納された後、再び該補充回収カセット226が下部フレーム220に装着される。この状態で紙幣入出金機210は、使用者(金融機関の職員等)から補充先の紙幣収納庫22及び移動する紙幣の枚数等の操作指示を受け付けると、補充回収庫224から鑑別部14を経由して各紙幣収納庫22(22A〜22C)へ紙幣を搬送して補充する補充処理を行う。
具体的に紙幣入出金機210は、まず補充回収庫224に収納されている紙幣を1枚ずつに分離しながら繰り出して搬送路W26Fに順次引き渡し、この紙幣を搬送路W31、W8及びW10並びに基幹搬送路WPに沿って搬送して、鑑別部14を通過する際に鑑別させる。
紙幣制御部211は、鑑別部14から得られる鑑別結果を基に、紙幣の走行状態に問題が無く、金種が補充先の紙幣収納庫22に設定された金種と一致し、且つ損傷の程度が小さければ、これを再利用可能な紙幣と判断し、その搬送先を補充先の紙幣収納庫22に決定する。また紙幣制御部211は、これ以外の紙幣を補充リジェクト紙幣と判断し、その搬送先を補充リジェクト庫225に決定する。
紙幣入出金機210は、再利用可能な紙幣を、矢印R44として示すように、基幹搬送路WP並びに搬送路W5に沿って搬送し、搬送路W27及びを搬送路W26の一部に沿って補充先である紙幣収納庫22(22A〜22C)へ搬送して収納させる。また紙幣入出金機210は、補充リジェクト紙幣を、矢印R44に沿って切替部263まで搬送した後、矢印R45として示すように、搬送路W27C及びW26Eに沿って補充リジェクト庫225へ搬送し、収納させる。
ところで紙幣入出金機210では、入金処理や補充処理等において鑑別部14を通過する経路に沿って搬送され、該鑑別部14から得られた鑑別結果を基に真偽等に問題が無いと判断された紙幣を、自らの管理下にある紙幣として取り扱い、紙幣収納庫22等において他の紙幣と混在させて収納する。特に紙幣入出金機210では、損傷の程度が大きく再利用すべきで無い紙幣をリジェクト紙幣としてリジェクト庫17に収納しているが、このリジェクト紙幣であっても、真偽等には問題が無く、自らの管理下にある紙幣として取り扱っている。
その一方で紙幣入出金機210では、入金された紙幣や補充回収カセット226が装着された直後の段階で補充回収庫224に収納されている紙幣など、装置内に存在する紙幣であっても、鑑別部14を未だに通過していない紙幣については、自らの管理外にある紙幣として取り扱う。
このため紙幣入出金機210では、補充処理において正常でないと判断した紙幣(すなわち補充リジェクト紙幣)については、自らの管理下にあるリジェクト紙幣が収納されるリジェクト庫17では無く、専用の補充リジェクト庫225に搬送することにより、これらの紙幣との混在を防止するようになっている。
[3−3−4.回収処理]
次に、紙幣入出金機210における回収処理について説明する。紙幣入出金機210では、上述したように、下部フレーム220(図20)に紙幣収納庫22を装填したまま、補充回収カセット226を着脱させることにより、装置内の紙幣を外部へ持ち出す(すなわち回収する)ことが想定されている。この場合にも紙幣入出金機210では、補充回収庫224を上述した補充回収モードで動作させ、各紙幣収納庫22(22A〜22C)にのみ再利用可能な紙幣を収納することになる。
紙幣入出金機210は、使用者(金融機関の職員等)により操作表示部6(図1)を介して、補充先の紙幣収納庫22及び移動する紙幣の枚数等の操作指示を受け付けると、各紙幣収納庫22(22A〜22C)から鑑別部14を経由して補充回収庫224へ紙幣を搬送して回収する回収処理を行う。
まず紙幣入出金機210は、図26に示す矢印R46のように、回収元である紙幣収納庫22(22A〜22C)に収納されている紙幣を1枚ずつに分離しながら繰り出し、搬送路W26A〜W26Cに順次引き渡していく。続いて紙幣入出金機210は、紙幣を必要に応じて搬送路W27の一部に沿って搬送した上で、搬送路W25及び基幹搬送路WPに沿って搬送し、鑑別部14を通過する際に鑑別させる。紙幣制御部211は、鑑別部14から得られる鑑別結果を基に、紙幣の走行状態を判断し、正常な紙幣の搬送先を補充回収庫224に決定する一方、正常で無い紙幣をリジェクト紙幣と判断し、その搬送先をリジェクト庫17に決定する。
紙幣入出金機210は、正常な紙幣であれば、矢印R47として示すように、基幹搬送路WP及び搬送路W10、W8、W31及びW26Fに沿って補充回収庫224へ搬送し、その内部に収納させる。また紙幣入出金機210は、リジェクト紙幣であれば、矢印R47に沿って区別切替部53まで搬送した後、矢印R48として示すように、搬送路W9に沿ってリジェクト庫17へ搬送し、その内部に収納させる。
因みにこの場合のリジェクト紙幣は、走行状態に問題があると判断されたものの、これよりも前の段階において、鑑別部14からの鑑別結果を基に正常であり再利用可能と判断されて紙幣収納庫22に収納されていた紙幣であり、紙幣入出金機210の管理下にあったものである。このため紙幣入出金機210では、このリジェクト紙幣を、他のリジェクト紙幣と同様にリジェクト庫17へ搬送して収納させる。
[3−3−5.紙幣移動処理]
次に、紙幣入出金機210において、紙幣収納庫22(22A〜22C)及び紙幣収納モードの補充回収庫224の間で紙幣を移動させる紙幣移動処理について説明する。本実施の形態における紙幣移動処理では、まず移動元から一時保留部16へ紙幣を搬送する前段の紙幣移動処理を行い、次に該一時保留部16から移動先へ紙幣を搬送する後段の紙幣移動処理を行うようになっている。
具体的に紙幣入出金機210は、使用者(金融機関の職員等)により操作表示部6(図1)を介して移動元及び移動先となる紙幣収納庫22又は補充回収庫224、並びに移動する紙幣の枚数等の指示を受け付けると、図27に示すように、前段の紙幣移動処理を開始する。まず紙幣入出金機210は、出金処理(図24)の場合と同様に、移動元として指定された紙幣収納庫22(22A〜22C)又は補充回収庫224から、内部に集積された状態で収納されている紙幣を1枚ずつに分離しながら繰り出し、搬送路W26に順次引き渡す。
続いて紙幣入出金機210は、やはり出金処理(図24)の場合と同様の矢印R42に沿って紙幣を搬送し、鑑別部14を通過する際に鑑別させる。ここで紙幣制御部211は、鑑別部14から得られる鑑別結果のうち主に走行状態を基に、正常な紙幣の搬送先を接客部12に決定し、リジェクト紙幣の搬送先をリジェクト庫17に決定する。
紙幣入出金機210は、正常な紙幣を、矢印R49のように、基幹搬送路WP並びに搬送路W2及びW3に沿って一時保留部16へ搬送して順次収納させ、リジェクト紙幣を、矢印R49に沿って上後切替部51まで搬送した後、出金処理の場合と同様の矢印R11に沿ってリジェクト庫17へ搬送して収納させる。
やがて紙幣入出金機210は、一時保留部16に収納可能な最大枚数(例えば200枚)の紙幣を搬送し終え、或いは指定された枚数の紙幣を搬送し終えると、前段の紙幣移動処理を終了する共に、後段の紙幣移動処理を開始する。
具体的に紙幣入出金機210は、図23に示した収納処理の場合と同様、一時保留部16に収納している紙幣を順次繰り出し、矢印R4に沿って鑑別部14へ搬送し、順次鑑別させる。このとき紙幣制御部211は、鑑別部14から得られる鑑別結果を基に、正常であり再利用可能な紙幣の搬送先を、移動先である紙幣収納庫22(22A〜22C)又は補充回収庫224に決定し、リジェクト紙幣の搬送先をリジェクト庫17に決定する。
続いて紙幣入出金機210は、正常な紙幣を矢印R41に沿って移動先である紙幣収納庫22又は補充回収庫224へ搬送して収納させる一方、リジェクト紙幣を該矢印R41に沿って切替部66まで搬送した後、矢印R6に沿ってリジェクト庫17へ搬送して収納させる。
因みに紙幣入出金機210では、上述したように、紙幣収納庫22及び補充回収庫224における収納可能な紙幣の最大枚数が例えば数千枚であるのに対し、一時保留部16における収納可能な紙幣の最大枚数が例えば200枚程度となっている。このため紙幣入出金機210は、移動すべき紙幣の枚数が200枚を越える場合には、上述した前段及び後段の紙幣移動処理を繰り返すことにより、指定された枚数の紙幣を順次移動させる。
[3−3−6.取込処理]
ところで紙幣入出金機210では、出金取引等において紙幣の取忘が発生した場合、第1の実施の形態と同様に、取忘紙幣を取り込むようになっている。また紙幣入出金機210(図20)には、上述したように、リジェクト庫17とは別に、下部ユニット210L内に取忘収納庫227が設けられている。
このため紙幣入出金機210では、取忘紙幣を紙幣収納庫22の紙幣とは区別して保管する区別取込処理において、該取忘紙幣をリジェクト庫17では無く取忘収納庫227へ搬送して収納する。具体的に紙幣入出金機210は、区別取込処理において、図28に示す矢印R50のように、搬送路W1、基幹搬送路WP、並びに搬送路W10、W8、W31及びW26Gに沿って紙幣を搬送することにより、各紙幣を取忘収納庫227に収納させる。
一方、紙幣入出金機210では、第1の実施の形態と同様に、取忘紙幣を取り込んで再利用する再利用取込処理も行い得るようになっている。この再利用取込処理を行う場合、紙幣入出金機210では、取忘収納庫227に取忘紙幣を収納する必要が無くなるため、この取忘収納庫227を第2のリジェクト庫とみなし、リジェクト紙幣を搬送して収納させる。因みにここでは、補充回収庫224が紙幣収納モードで動作し、再利用可能な紙幣を収納する場合を想定する。
具体的に紙幣入出金機210は、図29(A)に示すように、入金処理の場合(図7(A))と同様の矢印R1に沿って紙幣を鑑別部14へ搬送し、鑑別させる。紙幣制御部211は、鑑別部14から得られる鑑別結果を基に、正常であり再利用が可能な紙幣の搬送先を一時保留部16に決定し、リジェクト紙幣の搬送先を取忘収納庫227に決定する。
続いて紙幣入出金機210は、正常な紙幣を、矢印R2に沿って一時保留部16へ搬送して収納させ、リジェクト紙幣を、矢印R2に沿って上後切替部51まで搬送した後、矢印R51のように搬送路W10、W8、W31及びW26Gに沿って取忘収納庫227へ搬送して収納させる。
さらに紙幣入出金機210は、図29(B)に示すように、入金取引における収納処理の場合(図23)と概ね同様に紙幣を搬送する。すなわち紙幣入出金機210は、矢印R4に沿って紙幣を鑑別部14へ搬送する。このとき紙幣制御部211は、得られた鑑別結果を基に、正常な紙幣の搬送先を金種に応じて紙幣収納庫22又は補充回収庫224に決定し、リジェクト紙幣の搬送先を取忘収納庫227に決定する。
続いて紙幣入出金機210は、正常な紙幣を矢印R41に沿って紙幣収納庫22又は補充回収庫224へ搬送して収納させ、リジェクト紙幣を矢印R41に沿って切替部267まで搬送した後、矢印R52のように搬送路W26Gに沿って取忘収納庫227へ搬送して収納させる。
[3−4.効果等]
以上の構成において、第3の実施の形態による現金自動預払機201の紙幣入出金機210は、第1の実施の形態による紙幣入出金機10と同様に、基幹搬送路WPを互いに共有する上環状搬送路WCU及び下環状搬送路WCLを形成した(図22)。これにより紙幣入出金機210は、第1の実施の形態による紙幣入出金機10と同様、入金処理、収納処理及び出金処理といった各処理において、紙幣をそれぞれの搬送先へ円滑に搬送することができる(図23及び図24)。
また紙幣入出金機210は、第1の実施の形態による紙幣入出金機10と比較して、紙幣収納庫22Dを省略する一方、補充回収庫224、補充リジェクト庫225及び取忘収納庫227を設けた(図18及び図20)。紙幣入出金機210は、補充回収庫224を紙幣収納モードで動作させる場合、該補充回収庫224を第1の実施の形態における紙幣収納庫22Dと同様に取り扱うことができ、再利用可能な紙幣を収納し又は繰り出すことにより、収納処理や出金処理等を円滑に行い得る。
これに加えて紙幣入出金機210は、補充回収庫224を補充回収モードで動作させる場合、紙幣を該補充回収庫224から鑑別部14を経由して紙幣収納庫22へ搬送する補充処理(図25)、及び紙幣を該紙幣収納庫22から鑑別部14を経由して補充回収庫224へ搬送する回収処理(図26)を行うことができる。これにより紙幣入出金機210では、紙幣収納庫22A〜22Cの下部フレーム220に対する着脱や運搬等の作業を行わせる必要が無く、補充回収庫224を含む補充回収カセット226のみについて着脱や運搬等の作業を行わせれば良い。
これを他の観点から見ると、紙幣入出金機210(図22)では、下環状搬送路WCLに対し、3ウェイの切替部66を介して、搬送路W31及びW26F並びに補充回収庫224を接続している、と見なし得る。これにより紙幣入出金機210では、補充回収庫224から繰り出され搬送路W26F及びW31を通過し切替部66に到達した紙幣を、下環状搬送路WCLに沿って、時計回り又は反時計回りの何れの方向へも搬送することができる。これと共に紙幣入出金機210では、下環状搬送路WCLに沿って、時計回り又は反時計回りの何れの方向から切替部66へ搬送されてきた紙幣についても、搬送路W26F及びW31を介して補充回収庫224へ搬送して収納させることができる。
さらに別の観点から見ると、紙幣入出金機210(図22)では、紙幣収納庫22(22A〜22C)と補充回収庫224との間に補充リジェクト庫225を配置した。このため紙幣入出金機210では、補充リジェクト紙幣を他の正常な紙幣と同様の搬送経路に沿って切替部263まで搬送し、該切替部263を搬送路W27C側へ切り替えるだけで、補充リジェクト庫225へ搬送することができる。このとき紙幣入出金機210は、補充リジェクト紙幣の搬送経路を他の正常な紙幣の搬送経路と重複させることが無いため、効率良く短時間で搬送することができる。
これに加えて紙幣入出金機210では、補充回収庫224の前側に隣接する箇所に補充リジェクト庫225を配置し、且つ該補充回収庫224及び補充リジェクト庫225を一体化して補充回収カセット226を形成するようにした(図20及び図21)。このため紙幣入出金機210では、下部フレーム220(図20)に対し補充回収カセット226を着脱させるだけで、補充回収庫224及び補充リジェクト庫225を何れも装着又は離脱させることができる。
すなわち紙幣入出金機210では、搬送経路上において補充処理(図25)及び回収処理(図26)に適した位置に補充回収庫224を接続し、且つ補充リジェクト紙幣の効率的な搬送に適した位置に補充リジェクト庫225を接続しながら、両者を一体の補充回収カセット226として運用時の作業効率を高めることができる。
さらに紙幣入出金機210は、リジェクト庫17とは別に、取忘紙幣を収納するための取忘収納庫227を設けた(図20及び図22等)。これにより紙幣入出金機210では、紙幣の取忘が発生した場合に取忘紙幣を取忘収納庫227へ搬送して収納することができるので(図28)、該取忘紙幣を紙幣収納庫22の再利用可能な紙幣や、リジェクト庫17のリジェクト紙幣と区別した状態で保管できる。
その一方で紙幣入出金機210は、取忘紙幣を積極的に再利用する再利用取込処理を行うこともできる(図29(A)及び(B))。このとき紙幣入出金機210は、取忘収納庫227をもう一つのリジェクト庫と位置づけてリジェクト紙幣を収納することができる。これにより紙幣入出金機210は、リジェクト庫17に収納可能な最大枚数のリジェクト紙幣が既に収納された状態であっても、新たに発生したリジェクト紙幣の搬送先を取忘収納庫227に切り替えることにより、リジェクト紙幣の回収作業を行わせること無く、運用を継続することができる。
また紙幣入出金機210(図18〜図20)では、第1の実施の形態による紙幣入出金機10(図2、図4及び図5)と比較して、接客部12、鑑別部14、上後搬送部15、一時保留部16、リジェクト庫17並びに紙幣収納庫22(22A〜22C)の各部を同一の構成とした。さらに紙幣入出金機210では、例えば上前搬送部213(図19)において、第1の実施の形態における上前搬送部13(図4)との間で、搬送路42及び43を構成する搬送ガイド(図示せず)や搬送ローラ対45等のように、部品単位で構成や配置を共通化した。これにより紙幣入出金機210は、紙幣入出金機10との間で多くの部品を共通化でき、その設計や製造、或いは保守等に要するコストを低廉化できる。
その他の点においても、紙幣入出金機210は、第1の実施の形態による紙幣入出金機10と同様の作用効果を奏し得る。
以上の構成によれば、第3の実施の形態による現金自動預払機201の紙幣入出金機210は、鑑別部14を通過する基幹搬送路WPの上側及び下側に上環状搬送路WCU及び下環状搬送路WCLをそれぞれ形成した。さらに紙幣入出金機210は、下部ユニット210Lから紙幣収納庫22Dを省略する一方、補充回収庫224及び補充リジェクト庫225を一体化した補充回収カセット226等を設けた。このため紙幣入出金機210では、第1の実施の形態による紙幣入出金機10と極めて多くの部品を共通化できると共に、入金処理や出金処理等に加えて、補充処理及び回収処理においても、紙幣を効率良く円滑に搬送することができる。
[4.第4の実施の形態]
第4の実施の形態による現金自動預払機301(図1)は、第1の実施の形態による現金自動預払機1と比較して、紙幣入出金機10に代わる紙幣入出金機310を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
紙幣入出金機310は、図2と対応する図30に示すように、第1の実施の形態による紙幣入出金機10の紙幣入出金機フレーム10F、上部ユニット10U及び下部ユニット10Lとそれぞれ対応する紙幣入出金機フレーム310F、上部ユニット310U及び下部ユニット310Lにより構成されている。
[4−1.上部ユニットの構成]
図4(A)と対応する図31に示すように、上部ユニット310Uは、第1の実施の形態による上部ユニット10Uと比較して、紙幣制御部11、上前搬送部13、上後搬送部15及びリジェクト庫17に代わる紙幣制御部311、上前搬送部313、上後搬送部315及び取忘収納庫317を有する点において相違する。その一方で上部ユニット310Uは、他の点において上部ユニット10Uと同様に構成されている。
紙幣制御部311は、紙幣制御部11と同様、図示しないCPUやROM、RAM及びフラッシュメモリを有しており、紙幣の搬送先を決定する処理や各部の動作を制御する処理等、種々の処理を行い、また種々の情報を記憶する。取忘収納庫317は、構造としては第1の実施の形態におけるリジェクト庫17(図4)と同様であるものの、リジェクト紙幣では無く、取忘紙幣が収納されるようになっている。
[4−1−1.上前搬送部の構成]
上前搬送部313は、第3の実施の形態による上前搬送部213(図19)がさらに前方へ延長されたような形状となっている。具体的に上前搬送部313は、第1の実施の形態による上前搬送部13(図4(A))と比較して、上前切替部41及び搬送路44に代わる上前切替部241及び搬送路344を有する点において相違するものの、搬送路42及び43並びに搬送ローラ対45については同様に構成されている。
上前切替部241は、第3の実施の形態と同様に構成されている。搬送路344は、上前切替部241から前方へ向けて進行した後、下方へ屈曲する経路を形成しており、その下端が上部ユニット前受渡口T11となっている。換言すれば、搬送路344は、前後方向に沿った部分における前後方向の長さが、第3の実施の形態による搬送路244よりも延長されている。
このため上前切替部241は、紙幣制御部311の制御に基づき、上側の搬送路42及び後側の搬送路43を接続する搬送経路と、後側の搬送路43及び前側の搬送路344を接続する搬送経路とを切り替えることができる。これに伴い上前搬送部213は、第1の実施の形態による上前搬送部13と同様に、複数通りの搬送経路に沿って紙幣を搬送することができる。
[4−1−2.上後搬送部の構成]
上後搬送部315は、第1の実施の形態による上後搬送部15(図4(A)及び(B))と比較して、前後方向にやや延長されると共に反転部319が追加された点において大きく相違し、また各切替部及び各搬送路の配置や搬送経路が一部相違している。
すなわち上後搬送部315には、第1の実施の形態における上後切替部51、一時保留切替部52及び区別切替部53とそれぞれ対応する上後切替部351、一時保留切替部352及び区別切替部353が設けられている。また上後搬送部315には、搬送路54、55、56、57、58、59及び60とそれぞれ対応する搬送路354、355、356、357、358、359及び360がそれぞれ設けられている。
かかる構成により上後搬送部315は、第1の実施の形態と同様、前下側の鑑別部14から紙幣が搬送されてきた場合、この紙幣を前上側の接客部12、後上側の一時保留部16、後下側の取忘収納庫317、又は下側の下部ユニット310L(図30)に引き渡すことができる。また上後搬送部315は、後上側の一時保留部16から紙幣が搬送されてきた場合、この紙幣を前下側の鑑別部14、前上側の接客部12、後下側の取忘収納庫317、又は下側の下部ユニット310L(図30)に引き渡すことができる。さらに上後搬送部315は、下側の下部ユニット310L(図30)から紙幣が搬送されてきた場合、この紙幣を前下側の鑑別部14、前上側の接客部12、後上側の一時保留部16、又は後下側の取忘収納庫317に引き渡すことができる。
これに加えて上後搬送部315には、搬送路357上に反転部319が設けられている。反転部319の内部には、複数の搬送ローラ対や搬送ガイド、並びに切替部等が組み込まれている。具体的に反転部319は、搬送路357の一部であり後側及び前側を直線的に結ぶ前後方向に沿った搬送経路に加えて、後側及び上側を結ぶ搬送経路と、上側及び前側を結ぶ搬送経路とを有している。
また反転部319は、維持モード及び反転モードといった2つの動作モードを有しており、紙幣制御部311の制御に従い、この何れかの動作モードで紙幣を後側から前側へ搬送するようになっている。すなわち反転部319は、維持モードにおいて、後側から搬送されてきた紙幣を搬送路357に沿って直線的に前方へ搬送することにより、該紙幣の表裏を維持したまま進行させる。また反転部319は、反転モードにおいて、後側から搬送されてきた紙幣を一度上方へ進行させて停止させ、今度は進行方向を上下反対に切り替えて下方へ進行させてから前方へ進行させることにより、該紙幣の表裏を反転させて進行させる。
[4−2.下部ユニットの構成]
図5と対応する図32に示すように、下部ユニット310Lは、第1の実施の形態における下部フレーム20及び下搬送部21に代わる下部フレーム320及び下搬送部321により構成されている。
[4−2−1.下部フレームの構成]
下部フレーム320の内部には、前側から後側へ向けて、4個の紙幣収納庫22A、22B、22C及び22D、補充リジェクト庫225、補充回収庫224、並びに2個のリジェクト庫327及び328が順次配置されている。
このうち紙幣収納庫22(22A〜22D)は、第1の実施の形態と同様に構成されている。また補充回収庫224及び補充リジェクト庫225は、何れも第3の実施の形態と同様に構成されており、一体の補充回収カセット226(図21)を形成している。
第2区別収納庫としてのリジェクト庫327及び328は、何れも補充リジェクト庫225と同様に構成されており、内部に紙幣を収納する収納空間や、該収納空間内へ紙幣を放出する放出機構等を有している。このリジェクト庫327及び328は、何れも紙幣収納庫22よりも格段に少ない枚数の紙幣(リジェクト紙幣)を収納できる。
ところで下部フレーム320は、図33(A)及び(B)に斜視図を示すように、前側の主フレーム391及び後側の後フレーム392により構成されている。第1装填部としての主フレーム391は、前後方向に十分な長さを有する中空の直方体状でなり、上面が開放されると共にその内部が前後方向に沿って複数に仕切られ、4個のスロットが形成されている。これらのスロットには、紙幣収納庫22A〜22Dがそれぞれ装填される。
第2装填部としての後フレーム392は、前後方向に比較的短い中空の直方体状でなり、上面が開放されると共にその内部が前後方向に沿って複数に仕切られ、3個のスロットが形成されている。このスロットには、前側から順に、補充回収カセット226(図21)、リジェクト庫327及び328がそれぞれ装填される。
下搬送部321は、前後方向に長く上下方向に短い直方体状に構成された筐体の内部に搬送ローラ対や搬送ガイド等が組み込まれており、主フレーム391に対し、右側に設けられた蝶番393を介して回動可能に取り付けられている。このため下搬送部321は、主フレーム391に対し回動されることにより、該主フレーム391及び後フレーム392の各スロットを開放又は閉塞することができる。
さらに後フレーム392は、主フレーム391に対しスライドレール394を介して取り付けられている。このスライドレール394は、前後方向に沿ってスライドし得るように構成されており、主フレーム391に対し後フレーム392を前方向又は後方向へ移動させることができる。
すなわち後フレーム392は、前方向へ移動された場合には、図33(A)及び(B)に示したように、その前面を主フレーム391に近接させると共にその後面を下搬送部321の後面とほぼ揃えた後フレーム収納状態となる。一方、後フレーム392は、後方向へ移動された場合には、図33(C)に示すように、その前面を主フレーム391から引き離して下搬送部321の後面よりも後側に位置させた後フレーム引出状態となる。
このため下部ユニット310Lでは、現金自動預払機301(図1)の後扉(図示せず)が開放されていれば、該下部ユニット310Lが紙幣入出金機フレーム310Fの内部に収納された状態(図30)であっても、後フレーム392を後フレーム引出状態(図33(C))とすることにより、補充回収カセット226等を着脱させることができる。
[4−2−2.下搬送部の構成]
下搬送部321(図32)は、その内部における前側から後側へ向けて離散的な位置に、切替部61、62、363、364、365、66、367及び368が順次配置されている。このうち切替部61及び62は、紙幣収納庫22A及び22Bのほぼ真上にそれぞれ配置されており、何れも第1の実施の形態と同様に構成されている。また切替部61及び62の周囲には、第1の実施の形態と同様の搬送路71、72、73、74及び75がそれぞれ設けられている。
搬送路75の後側に接続されている切替部363は、第1の実施の形態における切替部63と対応し、紙幣収納庫22Cのほぼ真上に位置し、第3の実施の形態における切替部263(図20)と同様、3ウェイでは無く2ウェイとなっている。切替部363の周囲には、搬送路75に加えて、下方へ向かい紙幣収納庫22Cと接続された搬送路76、及び後方へ向かい切替部364に接続された搬送路377が設けられている。この切替部363は、前側の搬送路75及び下側の搬送路76を接続する搬送経路と、前側の搬送路75及び後側の搬送路377を接続する搬送経路とを切り替えることができる。
切替部364は、紙幣収納庫22Dのほぼ真上に位置しており、切替部62等と同様に2ウェイとなっている。切替部364の周囲には、搬送路377に加えて、下方へ向かい紙幣収納庫22Dと接続された搬送路378、及び後方へ向かい切替部365に接続された搬送路379が設けられている。この切替部364は、前側の搬送路377及び下側の搬送路378を接続する搬送経路と、前側の搬送路377及び後側の搬送路379を接続する搬送経路とを切り替えることができる。
切替部365は、補充リジェクト庫225のほぼ真上に位置しており、切替部62等と同様に2ウェイとなっている。切替部365の周囲には、搬送路379に加えて、該切替部365から下方へ向かい補充リジェクト庫225と接続された搬送路381、及び該切替部365から後方へ向かい切替部66に接続された搬送路382が設けられている。この切替部365は、前側の搬送路379及び下側の搬送路381を接続する搬送経路と、前側の搬送路379及び後側の搬送路382を接続する搬送経路とを切り替えることができる。
切替部66は、切替部365の後側に配置されており、第1の実施の形態と同様に構成されている。切替部66の周囲には、搬送路382に加えて、上方へ向かう搬送路79、及び後方へ向かい切替部367に接続された短い搬送路383が設けられている。この切替部66は、前側の搬送路382及び後側の搬送路383を接続する搬送経路と、前側の搬送路382及び上側の搬送路79を接続する搬送経路と、後側の搬送路383及び上側の搬送路79を接続する搬送経路とを切り替えることができる。
切替部367は、補充回収庫224のほぼ真上に位置しており、切替部62等と同様に2ウェイとなっている。切替部367の周囲には、搬送路383に加えて、下方へ向かい補充回収庫224と接続された搬送路384、及び後方へ向かい切替部368に接続された搬送路385が設けられている。この切替部367は、前側の搬送路383及び下側の搬送路384を接続する搬送経路と、前側の搬送路383及び後側の搬送路385を接続する搬送経路とを切り替えることができる。
切替部368は、リジェクト庫327のほぼ真上に位置しており、切替部62等と同様に2ウェイとなっている。切替部368の周囲には、搬送路385に加えて、下方へ向かいリジェクト庫327と接続された搬送路386、及び後下方へ向かいリジェクト庫328と接続された搬送路387が設けられている。この切替部368は、前側の搬送路385及び下側の搬送路386を接続する搬送経路と、前側の搬送路385及び後側の搬送路387を接続する搬送経路とを切り替えることができる。
かかる構成により下搬送部321は、例えば上部ユニット310U(図31)から下部ユニット前受渡口T21を介して紙幣が搬送されてきた場合、この紙幣を紙幣収納庫22A、22B、22C若しくは22D、補充リジェクト庫225、補充回収庫224、又はリジェクト庫327若しくは328へ搬送して収納させることができる。また下搬送部321は、この紙幣を下部ユニット後受渡口T22から上部ユニット310Uへ戻すこともできる。さらに下搬送部321は、紙幣収納庫22A、22B、22C若しくは22D、又は補充回収庫224から紙幣を受け取った場合、これを下部ユニット前受渡口T21へ搬送して上部ユニット310Uに引き渡すこともできる。
また下搬送部321は、例えば上部ユニット310Uから下部ユニット後受渡口T22を介して紙幣が搬送されてきた場合、この紙幣を補充回収庫224又はリジェクト庫327若しくは328へ搬送して収納させることができる。さらに下搬送部321は、補充回収庫224から紙幣を受け取った場合、これを下部ユニット後受渡口T22へ搬送して上部ユニット310Uに引き渡すこともできる。
[4−3.紙幣入出金機における各種処理]
次に、図6等と対応する図34に示すように紙幣入出金機310を模式化した上で、該紙幣入出金機310における紙幣の搬送を伴う種々の処理について、それぞれ詳細に説明する。この図34では、図6等の場合と同様に、各モジュールや各搬送部を互いに接続する複数の搬送路をまとめて1つの搬送路としている。
このうち搬送路W32は、上後搬送部315の搬送路355に相当する。搬送路W33は、上後搬送部315の搬送路358に相当する。搬送路W34は、上後搬送部315の搬送路357及び接客部12の搬送路34に相当する。
搬送路W35は、上前搬送部313の搬送路344及び下搬送部321の搬送路71に相当する。搬送路W36A、W36B、W36C、W36D、W36E及びW36F、W36G及びW36Hは、それぞれ下搬送部321の搬送路72、74、76、378、381,384、386及び387に相当する。またこの搬送路W36A、W36B、W36C、W36D、W36E、W36F、W36G及びW36Hをまとめて搬送路W36とも呼ぶ。
搬送路W37A、W37B、W37C、W37D及びW37Eは、それぞれ下搬送部321の搬送路73、75、377、379及び382に相当する。またこの搬送路W37A、W37B、W37C、W37D及びW37Eをまとめて搬送路W37とも呼ぶ。搬送路W41F及びW41Gは、それぞれ搬送路383及び385に相当する。さらに第4の実施の形態では、搬送路W37を振分搬送路とも呼び、搬送路W41F、W41G、W36F、W36G及びW36Hをまとめて分岐搬送路とも呼ぶ。
搬送路W38は、下搬送部321の搬送路79及び上後搬送部315の搬送路359に相当する。搬送路W39は、上後搬送部315の搬送路360に相当する。搬送路W40は、上後搬送部315の搬送路356に相当する。図34におけるその他の各搬送路については、図6と対応する箇所に同一の符号を付している。
[4−3−1.入金処理及び収納処理]
紙幣入出金機310は、入金処理において、第1の実施の形態における入金処理の場合(図7(A))に相当する搬送経路に沿って紙幣を搬送し、収納処理において、リジェクト転用モードでの収納処理の場合(図7(C))に相当する搬送経路に沿って紙幣を搬送するようになっている。
具体的に紙幣入出金機310は、入金処理において、使用者により接客部12の収容器31内へ紙幣が投入されると、図35(A)に示すように、分離部31Sにより当該収容器31内の紙幣を1枚ずつに分離し、その下流側に位置する搬送路W1に順次引き渡す。続いて紙幣入出金機310は、矢印R61として示すように、紙幣を搬送路W1及び基幹搬送路WPに沿って搬送することにより、鑑別部14において該紙幣を鑑別させる。
紙幣制御部311は、鑑別部14から得られる鑑別結果を基に、正常と判断した入金受入紙幣の搬送先を一時保留部16に決定すると共に、正常で無いと判断した入金リジェクト紙幣の搬送先を接客部12に決定する。これに応じて紙幣入出金機310は、入金受入紙幣を、矢印R62として示すように基幹搬送路WP、搬送路W32及びW33に沿って搬送し、一時保留部16に引き渡して収納させる。
また紙幣入出金機310は、入金リジェクト紙幣を、矢印R62に沿って一時保留切替部352まで搬送した後、矢印R63として示すように、搬送路W34に沿って搬送し、接客部12の集積搬送部35に集積させておく。やがて後紙幣入出金機310は、使用者に投入された紙幣を全て分離部31Sから取り込んだ後、集積搬送部35に集積された紙幣の束を収容器31内へ搬送して使用者に返却する。
続いて紙幣入出金機310は、収納処理において、図35(B)に示すように、一時保留部16に収納している紙幣(入金受入紙幣)を順次繰り出し、矢印R64のように搬送路W33及びW32並びに基幹搬送路WPに沿って鑑別部14へ搬送し、順次鑑別させる。このとき紙幣制御部311は、鑑別部14から得られる鑑別結果を基に、正常であり再利用可能な紙幣については金種ごとの各紙幣収納庫22(22A〜22D)を、損傷の程度が大きいリジェクト紙幣についてはリジェクト庫327又は328を、それぞれ搬送先として決定する。
続いて紙幣入出金機310は、正常な紙幣を、矢印R65として示すように、基幹搬送路WP並びに搬送路W35、W36及びW37の一部に沿って搬送先である紙幣収納庫22(22A〜22D)へ搬送して、収納させる。また紙幣入出金機310は、リジェクト紙幣を、矢印R65に沿って切替部364まで搬送した後、矢印R66のように搬送路W37及びW41に沿って切替部368まで搬送し、さらに搬送路W36G又はW36Hに沿ってリジェクト庫327又は328へ搬送し、収納させる。
[4−3−2.出金処理]
紙幣入出金機310は、出金処理において、第1の実施の形態におけるリジェクト転用モードでの出金処理の場合(図8(B))に相当する搬送経路に沿って紙幣を搬送する。また紙幣入出金機310は、使用者から所定の表裏指示を受けた場合、紙幣の表裏を揃えた状態で出金するようになっている。
具体的に紙幣入出金機310の紙幣制御部311は、出金額に応じた紙幣の金種及び枚数を決定した上で、決定した金種及び枚数に応じて、各紙幣収納庫22(22A〜22D)に収納されている紙幣を1枚ずつに分離しながら繰り出し、下流の搬送路W36に順次引き渡す。
続いて紙幣入出金機310は、図36に示す矢印R67のように、紙幣を搬送路W36及びW37の一部に沿って搬送し、さらに搬送路W35及び基幹搬送路WPに沿って搬送して、鑑別部14により鑑別させる。ここで紙幣制御部311は、鑑別部14から得られる鑑別結果のうち主に走行状態を基に、問題が無ければ搬送先を接客部12に決定し、問題があれば搬送先をリジェクト庫327又は328に決定する。
紙幣入出金機310は、正常な紙幣を、矢印R68のように基幹搬送路WP並びに搬送路W32及びW34に沿って接客部12へ搬送し、収容器31の内部に放出して集積させる。ここで紙幣制御部311は、予め使用者から表裏指示を受け付けていた場合、鑑別結果を基に表裏を判断し、何れか一方の紙幣(例えば裏向きであった紙幣)を搬送路W34上の反転部319において反転させることにより、収容器31内へ放出される紙幣の表裏を統一させる。
また紙幣入出金機310は、リジェクト紙幣を、矢印R68に沿って上後切替部351まで搬送し、矢印R69として示すように、搬送路W40、W39、W38及びW41並びに搬送路W36の一部に沿ってリジェクト庫327又は328へ搬送し、収納させる。
[4−3−3.補充処理]
紙幣入出金機310は、補充処理において、下部フレーム320(図33)から補充回収カセット226が取り外され、該補充回収カセット226の補充回収庫224に新たな紙幣が収納された後、再び該補充回収カセット226が下部フレーム220に装着される。この状態で紙幣入出金機310は、使用者(金融機関の職員等)から操作表示部6(図1)を介して補充先の紙幣収納庫22及び移動する紙幣の枚数等の指示を受け付けると、第3の実施の形態における補充処理の場合(図25)に相当する搬送経路に沿って紙幣を搬送する。
具体的に紙幣入出金機310は、図37に示すように、まず補充回収庫224に収納されている紙幣を1枚ずつに分離しながら繰り出し、搬送路W36Fに順次引き渡していく。続いて紙幣入出金機310は、矢印R70のように、紙幣を搬送路W36F、W41F、W38及びW40並びに基幹搬送路WPに沿って搬送し、鑑別部14を通過する際に鑑別させる。紙幣制御部311は、鑑別部14から得られる鑑別結果を基に、再利用可能な紙幣の搬送先を補充先である紙幣収納庫22に決定する一方、これ以外の紙幣を補充リジェクト紙幣と判断し、その搬送先を補充リジェクト庫225に決定する。
紙幣入出金機310は、再利用可能な紙幣を、収納処理の場合(図35(B))と同様に、矢印R65に沿って補充先である紙幣収納庫22(22A〜22D)へ搬送して収納させる。また紙幣入出金機310は、補充リジェクト紙幣を、矢印R65に沿って切替部364まで搬送した後、矢印R71として示すように、搬送路W37D及びW36Eに沿って補充リジェクト庫225へ搬送し、収納させる。
[4−3−4.回収処理]
紙幣入出金機310は、回収処理において、使用者(金融機関の職員等)から操作表示部6(図1)を介して回収元の紙幣収納庫22及び移動する紙幣の枚数等の指示を受け付けると、第3の実施の形態における回収処理の場合(図26)に相当する搬送経路に沿って紙幣を搬送する。
具体的に紙幣入出金機310は、図38に示すように、まず出金処理の場合(図36)と同様の矢印R67に沿って、回収元である紙幣収納庫22(22A〜22D)から鑑別部14へ搬送して鑑別させる。紙幣制御部311は、鑑別部14から得られる鑑別結果を基に、紙幣の走行状態を判断し、正常な紙幣の搬送先を補充回収庫224に決定する一方、正常で無い紙幣をリジェクト紙幣と判断し、その搬送先をリジェクト庫327又は328に決定する。
続いて紙幣入出金機310は、正常な紙幣を、矢印R72として示すように、基幹搬送路WP及び搬送路W40、W38、W41F及びW36Fに沿って補充回収庫224へ搬送して収納させる。また紙幣入出金機310は、リジェクト紙幣を、矢印R72に沿って切替部367まで搬送した後、矢印R73として示すように、搬送路W41G及び搬送路W36の一部に沿ってリジェクト庫327又は328へ搬送して収納させる。
[4−3−5.後フレーム引出状態における収納処理]
紙幣入出金機310では、上述した補充処理及び回収処理等において、下部フレーム320から補充回収カセット226を取り外す場合、図33(C)に示したように、後フレーム392を主フレーム391から引き離して後方へ引き出した状態となる。このとき紙幣入出金機310では、図39に示すように、補充回収庫224、補充リジェクト庫225、並びにリジェクト庫327及び328が、搬送路W36F、W36E、W36G及びW36Hからそれぞれ切り離された状態となる。
この場合、紙幣入出金機310では、紙幣収納庫22(22A〜22D)が搬送路W36(W36A〜W36D)とそれぞれ接続されているため、該紙幣収納庫22に対する紙幣の収納や該紙幣収納庫22からの紙幣の繰出を正常に行い得る一方、リジェクト紙幣をリジェクト庫327及び328へ搬送して収納させることができない。
そこで紙幣入出金機310では、後フレーム引出状態(図33(C))において収納処理を行う場合、取忘収納庫317にリジェクト紙幣を搬送するようになっている。この場合、紙幣入出金機310は、第1の実施の形態における収納処理の場合(図7(B))に相当する搬送経路に沿って紙幣を搬送することになる。因みに紙幣入出金機310では、運用手順等により、後フレーム392を後方へ引き出す前に、予め取忘収納庫317から取忘紙幣を取り出して空の状態にするよう、取り決められている。
具体的に紙幣入出金機310は、通常の収納処理の場合(図35(B))と同様、矢印R64に沿って紙幣を一時保留部16から鑑別部14へ搬送して鑑別させる。このとき紙幣制御部311は、鑑別部14から得られる鑑別結果を基に、正常であり再利用可能な紙幣については金種ごとの各紙幣収納庫22(22A〜22D)を、損傷の程度が大きいリジェクト紙幣については取忘収納庫317を、それぞれ搬送先として決定する。
続いて紙幣入出金機310は、正常な紙幣を矢印R65に沿って紙幣収納庫22(22A〜22D)へ搬送して収納させる。また紙幣入出金機310は、リジェクト紙幣を、矢印R65に沿って切替部364まで搬送した後、矢印R74のように搬送路W37の一部、搬送路W38及びW39に沿って取忘収納庫317へ搬送して収納させる。
[4−3−6.後フレーム引出状態における出金処理]
また紙幣入出金機310では、後フレーム引出状態(図33(C))において出金処理を行う場合にも、取忘収納庫317にリジェクト紙幣を搬送するようになっている。この場合、紙幣入出金機310は、第1の実施の形態における出金処理の場合(図8(A))に相当する搬送経路に沿って紙幣を搬送することになる。
具体的に紙幣入出金機310は、図40に示すように、通常の出金処理の場合(図36)と同様、矢印R67に沿って紙幣を各紙幣収納庫22(22A〜22D)から鑑別部14へ搬送して鑑別させる。このとき紙幣制御部311は、鑑別部14から得られる鑑別結果を基に、正常な紙幣については接客部12を、走行状態に問題があるリジェクト紙幣については取忘収納庫317を、それぞれ搬送先として決定する。
続いて紙幣入出金機310は、正常な紙幣を矢印R68に沿って接客部12の収容器31へ搬送して収納させる。このとき紙幣入出金機310は、予め使用者から表裏指示を受け付けていた場合、搬送路W34上の反転部319により紙幣の表裏を適宜反転させ、収容器31内へ放出される紙幣の表裏を統一する。また紙幣入出金機310は、リジェクト紙幣を、矢印R68に沿って上後切替部351まで搬送した後、矢印R75として示すように搬送路W40及びW39に沿って取忘収納庫317へ搬送して収納させる。
[4−3−7.紙幣移動処理]
紙幣入出金機310では、第3の実施の形態と同様に、一時保留部16を介して紙幣収納庫22同士の間で紙幣を移動させる紙幣移動処理を行い得るようになっている。この場合、紙幣入出金機310は、一時保留部16へ紙幣を搬送する前段の紙幣移動処理において、図27に相当する搬送経路に沿って紙幣を搬送し、該一時保留部16から紙幣を搬送する後段の紙幣移動処理において、図23に相当する搬送経路に沿って紙幣を搬送する。
具体的に紙幣入出金機310は、使用者(金融機関の職員等)により操作表示部6(図1)を介して移動元及び移動先となる紙幣収納庫22(22A〜22D)及び移動する紙幣の枚数等の指示を受け付けると、前段の紙幣移動処理を開始する。まず紙幣入出金機310は、図41に示すように、出金処理(図36)の場合と同様に、移動元として指定された紙幣収納庫22(22A〜22D)から紙幣を繰り出し、矢印R67に沿って鑑別部14へ搬送する。
ここで紙幣制御部311は、鑑別部14から得られる鑑別結果のうち主に走行状態を基に、正常な紙幣の搬送先を一時保留部16に決定し、問題があるリジェクト紙幣の搬送先をリジェクト庫327又は328に決定する。紙幣入出金機310は、正常な紙幣を、矢印R76のように基幹搬送路WP並びに搬送路W32及びW33に沿って一時保留部16へ搬送して収納させる。また紙幣入出金機310は、リジェクト紙幣を、矢印R68に沿って上後切替部351まで搬送し、矢印R69に沿ってリジェクト庫327又は328へ搬送して収納させる。
その後、紙幣入出金機310は、後段の移動処理において、収納処理の場合(図35(B))と同様の搬送経路に従って紙幣を搬送する。すなわち紙幣入出金機310は、矢印R64に沿って紙幣を一時保留部16から鑑別部14へ搬送し、正常な紙幣を矢印R65に沿って移動先の紙幣収納庫22へ搬送して収納させ、リジェクト紙幣をさらに矢印R66に沿ってリジェクト庫327又は328へ搬送して収納させる。
[4−3−8.取込処理]
紙幣入出金機310では、出金取引等において紙幣の取忘が発生した場合、第3の実施の形態と同様に、取忘紙幣を紙幣収納庫22の紙幣とは区別して保管する区別取込処理と、取忘紙幣を取り込んで再利用する再利用取込処理とを行い得るようになっている。
紙幣入出金機310は、区別取込処理を行う場合、図42に示す矢印R77のように、取忘紙幣を接客部12の収容器31から搬送路W1、基幹搬送路WP、搬送路W40及びW39に沿って取忘収納庫317へ搬送し、収納させる。
また紙幣入出金機310は、再利用取込処理を行う場合、まず図43(A)に示すように、入金処理の場合(図35(A))と同様に矢印R61に沿って取忘紙幣を接客部12の収容器31から鑑別部14へ搬送して鑑別させる。このとき紙幣制御部211は、鑑別部14から得られる鑑別結果を基に、正常であり再利用が可能な紙幣の搬送先を一時保留部16に決定する一方、他の紙幣の搬送先を取忘収納庫317に決定する。続いて紙幣入出金機310は、正常な紙幣を、入金処理の場合(図35(A))と同様に、矢印R62に沿って一時保留部16へ搬送して収納させる。また紙幣入出金機310は、正常で無い紙幣を、矢印R62に沿って上後切替部351まで搬送した後、矢印R78として示すように、搬送路W40及びW39に沿って取忘収納庫317へ搬送して収納させる。
次に紙幣入出金機310は、図43(B)に示すように、一時保留部16に収納した紙幣を、入金取引における収納処理の場合(図35(B))と同様に、矢印R64に沿って鑑別部14へ搬送して鑑別させる。このとき紙幣制御部311は、鑑別部14から得られる鑑別結果を基に、正常であり再利用が可能な紙幣の搬送先を、金種に応じて各紙幣収納庫22(22A〜22D)に決定する一方、他の紙幣の搬送先を取忘収納庫317に決定する。続いて紙幣入出金機310は、正常な紙幣を、収納処理の場合(図35(B))と同様に、矢印R65に沿って搬送先である紙幣収納庫22へ搬送して収納させる。また紙幣入出金機310は、正常で無い紙幣を、矢印R65に沿って切替部364まで搬送した後、矢印R79として示すように、搬送路W37の一部、搬送路W38及びW39に沿って取忘収納庫317へ搬送し、収納させる。
[4−4.効果等]
以上の構成において、第4の実施の形態による現金自動預払機301の紙幣入出金機310は、第1の実施の形態による紙幣入出金機10と同様に、基幹搬送路WPを互いに共有する上環状搬送路WCU及び下環状搬送路WCLを形成した(図34)。これにより紙幣入出金機310は、第1の実施の形態による紙幣入出金機10と同様、入金処理、収納処理及び出金処理といった各処理において、紙幣をそれぞれの搬送先へ円滑に搬送することができる(図35及び図36)。
また紙幣入出金機310は、第1の実施の形態による紙幣入出金機10と比較して、リジェクト庫17に代わる取忘収納庫317を設けると共に、補充回収庫224、補充リジェクト庫225並びにリジェクト庫327及び328を設けた(図30〜図32)。このため紙幣入出金機310は、第3の実施の形態と同様、紙幣を該補充回収庫224から鑑別部14を経由して紙幣収納庫22へ搬送する補充処理(図25)、及び紙幣を該紙幣収納庫22から鑑別部14を経由して補充回収庫224へ搬送する回収処理(図26)を行うことができる。これにより紙幣入出金機310では、紙幣収納庫22A〜22Dの下部フレーム220に対する着脱や運搬等の作業を行わせる必要が無く、補充回収庫224を含む補充回収カセット226のみについて着脱や運搬等の作業を行わせれば良い。
さらに紙幣入出金機310は、図33に示したように、下部フレーム320において主フレーム391に対して後フレーム392を分離可能に構成し、後フレーム引出状態において補充回収カセット226を着脱し得るようにした。これにより紙幣入出金機310は、運用を継続したまま、すなわち使用者との間で入金取引や出金取引を行いながら、補充回収カセット226を着脱することができる。
そのうえ紙幣入出金機310は、リジェクト庫327及び328を補充回収庫224の後側に配置し、後フレーム392に装填するようにした。このため紙幣入出金機310は、運用を継続したまま後フレーム392を後フレーム引出状態(図33(C))とし、補充回収カセット226の着脱により紙幣の補充又は回収が行われるときに、リジェクト庫327及び328からのリジェクト紙幣の回収も行わせることができる。
他の観点から見ると、紙幣入出金機310(図34)は、第3の実施の形態による紙幣入出金機210(図22)と同様、下環状搬送路WCLに対し、3ウェイブレードである切替部66を介して、搬送路W37F及びW36F並びに補充回収庫224を接続していると見なし得る。また紙幣入出金機310は、やはり紙幣入出金機210と同様に、紙幣収納庫22(22A〜22D)と補充回収庫224との間に補充リジェクト庫225を配置した。このため紙幣入出金機310は、補充回収庫224及び補充リジェクト庫225に関して、第3の実施の形態と同様の作用効果を奏し得る。
さらに紙幣入出金機310は、上後搬送部315における搬送路357上に反転部319を設けた(図31)。これにより紙幣入出金機310は、出金処理等において、予め使用者から表裏指示を受け付けていた場合等に、接客部12の収容器31内において表裏が揃った状態で集積された紙幣を出金することができる。
ところで紙幣入出金機310(図30〜図32)では、第1の実施の形態による紙幣入出金機10(図2、図4及び図5)と比較して、接客部12、鑑別部14、一時保留部16及び紙幣収納庫22(22A〜22D)の各部を同一の構成とした。また紙幣入出金機310では、取忘収納庫317を、第1の実施の形態におけるリジェクト庫17と同一の構成とした。さらに紙幣入出金機310では、補充回収カセット226を第3の実施の形態と同一の構成とした。そのうえ紙幣入出金機310では、例えば上前搬送部313(図19)において、第3の実施の形態と同様に、第1の実施の形態における上前搬送部13(図4)との間で、搬送路42及び43を構成する搬送ガイド(図示せず)や搬送ローラ対45等のように、可能な部分については部品単位で構成や配置を共通化した。これにより紙幣入出金機310は、第1の実施の形態による紙幣入出金機10や第3の実施の形態による紙幣入出金機210との間で多くの部品を共通化でき、その設計や製造、或いは保守等に要するコストを低廉化することができる。
その他の点においても、紙幣入出金機310は、第1の実施の形態による紙幣入出金機10と同様の作用効果を奏し得る。
以上の構成によれば、第4の実施の形態による現金自動預払機301の紙幣入出金機310は、鑑別部14を通過する基幹搬送路WPの上側及び下側に上環状搬送路WCU及び下環状搬送路WCLをそれぞれ形成した。さらに紙幣入出金機310は、下部ユニット210Lの後方へ引き出し得る後フレーム392に補充回収カセット226等を着脱させるようにした。これにより紙幣入出金機310は、第1の実施の形態による紙幣入出金機10と極めて多くの部品を共通化できると共に、入金処理や出金処理等に加えて補充処理及び回収処理においても紙幣を効率良く円滑に搬送でき、運用状態を継続したまま紙幣の補充や回収を行うこともできる。
[5.他の実施の形態]
なお上述した第1の実施の形態においては、下搬送部21の切替部66(すなわち振分切替部)を3ウェイの切替部として構成する場合について述べた(図5及び図6等)。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば紙幣移動処理(図9及び図10)を行わない場合に、切替部66を2ウェイとして構成し、前側の搬送路77及び後側の搬送路78を接続する搬送経路と、前側の搬送路77及び上側の搬送路79を接続する搬送経路とを切り替えるようにしても良い。さらには、切替部63を切替部62と同様の2ウェイとして構成しても良い。或いは、切替部61及び62のうち少なくとも一方を、切替部63と同様の3ウェイとして構成しても良い。第2〜第4の実施の形態についても同様である。
また上述した第2の実施の形態においては、施封切替部151(図14)を一時保留切替部52及び一時保留部16の間に、すなわち上環状搬送路WCU(図15)から外れた箇所に配置する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば施封切替部151を一時保留切替部52及び接客部12の間に、すなわち上環状搬送路WCU上に配置する等、他の種々の箇所に配置しても良い。
さらに上述した第2の実施の形態においては、上環状搬送路WCUを利用して一部の紙幣の表裏を反転させることにより、施封ユニット110Sへ搬送する紙幣の表裏を揃える場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば上後搬送部115において施封ユニット110Sと接続された搬送路154上などに、第4の実施の形態と同様の反転部を設けて紙幣を反転させても良い。
さらに上述した第3の実施の形態においては、補充回収庫224及び補充リジェクト庫225を一体化して補充回収カセット226を構成する場合について述べた(図21)。しかしながら本発明はこれに限らず、補充回収庫224及び補充リジェクト庫225を互いに独立した構成としても良い。さらにこの場合、補充リジェクト庫225を必ずしも補充回収庫224の直前に配置する必要は無く、例えば紙幣収納庫22Aの前側等、様々な箇所に配置しても良い。この場合、該補充リジェクト庫225に紙幣を分岐させるための切替部265を下環状搬送路WCL上における切替部66よりも前側に配置することが望ましい。第4の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第3の実施の形態においては、下部ユニット210Lに補充リジェクト庫225及び取忘収納庫227を設ける場合について述べた(図20)。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば下部ユニット210Lから補充リジェクト庫225及び取忘収納庫227の少なくとも一方を省略しても良い。第4の実施の形態における補充リジェクト庫225並びにリジェクト庫327及び328についても同様である。
さらに上述した第3の実施の形態においては、上部ユニット210U側のリジェクト庫17にリジェクト紙幣を搬送して収納させると共に、下部ユニット210L側の取忘収納庫227に取忘紙幣を搬送して収納させる場合について述べた(図19、図20、図23及び図28等)。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば第4の実施の形態と同様に、上部ユニット210U側に取忘収納庫を設けると共に、下部ユニット210L側にリジェクト庫を設けても良い。また第4の実施の形態では、第3の実施形態と同様に、上部ユニット310U側にリジェクト庫17を設けると共に、下部ユニット310L側に取忘収納庫を設けても良い。
さらに上述した第4の実施の形態においては、下部フレーム320を主フレーム391及び後フレーム392に分割し、該主フレーム391に対し該後フレーム392を近接または離隔させる方向へ、すなわち前後方向へ移動させ得るように構成する場合について述べた(図33)。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば下部フレーム320を一体に構成しても良く、或いは後フレーム392をさらに前後方向に分割して補充回収カセット226を装填させる部分から独立してリジェクト庫327及び328を装填させる部分を前後方向へ移動させ得るようにしても良い。また第3の実施の形態においても、下部フレーム220(図20)を、紙幣収納庫22A〜22Cを装填する部分に対して、補充回収カセット226及び取忘収納庫227を装填する部分を分離して前後方向へ移動させ得るように構成しても良い。
さらに上述した第4の実施の形態においては、上後搬送部315に反転部319を設ける場合について述べた(図31)。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば上後搬送部315から反転部319を省略しても良い。この場合、上後搬送部315を第1の実施の形態による上後搬送部15と同様に構成しても良く、これにより部品の共通化の度合をさらに高めることができる。
さらに上述した第4の実施の形態においては、紙幣収納庫22の後側において、前側から補充リジェクト庫225、補充回収庫224、リジェクト庫327及び328の順に配置する場合について述べた(図32)。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば紙幣収納庫22の後側にリジェクト庫327及び328、補充リジェクト庫225、並びに補充回収庫224の順に配置しても良い。この場合、切替部66は、補充回収庫224のほぼ真上に位置する切替部367と、補充リジェクト庫225のほぼ真上に位置する切替部365との間に位置していれば良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、接客部12(図4)の搬送路34上に集積搬送部35を設ける場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば接客部12から集積搬送部35を省略しても良い。この場合、例えば収容器31内に収容空間を前後方向に仕切るとともに前後方向へ移動可能な仕切板を設けるなどして、投入された紙幣と放出部31Eから放出された紙幣とを区別し得るようにしても良い。第2〜第4の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、鑑別部14(図4)に真偽センサ49A、イメージセンサ49B及び走行センサ49Cを設ける場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、これらのうち一部のセンサを省略しても良く、また他のセンサを追加しても良い。要は、紙幣の真偽、金種、損傷の程度や搬送の状態(重送の有無やスキューの有無等)、さらには表裏を鑑別することができれば良い。第2〜第4の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、一時保留部16(図4)をいわゆるドラム方式とし、紙幣をテープと共にドラムの周側面に巻き付けて収納し、又はテープを巻き戻すことにより紙幣を繰り出すようにした場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば一時保留部16を紙幣収納庫22等と同様の集積方式とし、内部に収納空間や分離集積機構等を設けて該収納空間内に放出した紙幣を集積して収納し、またこの紙幣を1枚ずつに分離して繰り出すようにしても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、下部ユニット10Lに4個の紙幣収納庫22を設ける場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば3個以下又は5個以上の紙幣収納庫22を設けても良い。第2〜第4の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、紙幣入出金機10を下搬送部21の上側を分割線として、上部ユニット10U及び下部ユニット10Lに分割し得るようにした場合について述べた(図2及び図3)。しかしながら本発明はこれに限らず、他の種々の分割線により紙幣入出金機10を2以上のユニットに分割しても良い。例えば、下搬送部21の下側、すなわち紙幣収納庫22との境界部分に分割線を設定することにより、上部ユニット10Uから下搬送部21までを上側のユニットとし、紙幣収納庫22を下側のユニットとするように分割しても良い。第2〜第4の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、顧客との間で媒体としての紙幣に関する取引処理を行う現金自動預払機1の紙幣入出金機10に本発明を適用する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば各種金券や証券等、或いは入場券や乗車券のような種々の紙葉状の媒体を取り扱う種々の装置に本発明を適用しても良い。第2〜第4の実施の形態についても同様である。
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
さらに上述した第1の実施の形態においては、媒体入出部としての接客部12と、鑑別部としての鑑別部14と、第1搬送路としての上環状搬送路WCUと、第2搬送路としての下環状搬送路WCLと、一時保留部としての一時保留部16と、一時保留切替部としての一時保留切替部52と、収納庫としての紙幣収納庫22と、振分搬送路としての搬送路W7と、第1接続口としての前接続口C1と、第2接続口としての後接続口C2と、区別収納庫としてのリジェクト庫17と、区別収納切替部としての区別切替部53と、制御部としての紙幣制御部11とによって媒体処理装置としての紙幣入出金機10を構成する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる媒体入出部と、鑑別部と、第1搬送路と、第2搬送路と、一時保留部と、一時保留切替部と、収納庫と、振分搬送路と、第1接続口と、第2接続口と、区別収納庫と、区別収納切替部と、制御部とによって媒体処理装置を構成しても良い。