JP2018124176A - 放射線検出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】シンチレータを用いた放射線検出において雑音の影響を低減する。
【解決手段】放射線検出装置1は、放射線の入射に基づくシンチレータ光を受けて光パルス波(SA[i])を各々に出力する複数の光検出器(11[1]〜11[4])と、複数の光検出器からの複数の出力信号(SA[1]〜SA[4])を個別に増幅及び波形整形することで複数の波形整形信号(SD[1]〜SD[4])を生成する前段回路101と、複数の波形整形信号の加算信号(SH)を波形整形することでサンプリング対象信号(SJ)を生成するサンプリング対象信号生成回路102と、複数の波形整形信号に基づきトリガ信号(SK)を出力可能なトリガ信号出力回路103と、トリガ信号が出力された際、その出力タイミングに応じたタイミングでサンプリング対象信号をサンプリングすることでシンチレータの発光情報を得る情報取得回路104と、を備える。
【選択図】図12
【解決手段】放射線検出装置1は、放射線の入射に基づくシンチレータ光を受けて光パルス波(SA[i])を各々に出力する複数の光検出器(11[1]〜11[4])と、複数の光検出器からの複数の出力信号(SA[1]〜SA[4])を個別に増幅及び波形整形することで複数の波形整形信号(SD[1]〜SD[4])を生成する前段回路101と、複数の波形整形信号の加算信号(SH)を波形整形することでサンプリング対象信号(SJ)を生成するサンプリング対象信号生成回路102と、複数の波形整形信号に基づきトリガ信号(SK)を出力可能なトリガ信号出力回路103と、トリガ信号が出力された際、その出力タイミングに応じたタイミングでサンプリング対象信号をサンプリングすることでシンチレータの発光情報を得る情報取得回路104と、を備える。
【選択図】図12
Description
本発明は、放射線検出装置に関する。
放射線の入射により発光するシンチレータと、光電子増倍管や光半導体素子にて構成される光検出器と、を備えた放射線検出装置がある。光検出器の出力に対して前置増幅回路及び波形整形増幅回路等を利用した信号処理を施すことで放射線の検出結果が取得される(例えば下記特許文献1参照)。光半導体素子としては、SiPIN(silicon P-intrinsic-N)フォトダイオードや、アバランシェフォトダイオード(以下、APDと称することがある)が用いられる。
光電子増倍管は一般に数100V程度の高電圧を必要とする。SiPINフォトダイオードは、そのような高電圧が必要とならない分、利点を有するが、前置増幅回路及び波形整形増幅回路に対して高い性能が求められることが多い。光検出器にAPDを用いた場合、SiPINフォトダイオードを用いる場合と比べ、前置増幅回路及び波形整形増幅回路に対する要求性能の低減が期待される。
また、ガイガーモードで動作するAPDをアレイ状に配置して構成されるMPPC(Multi-Pixel Photon Counter;登録商標)も提案され、それを光検出器に用いた放射線検出装置も提案されている(下記特許文献2参照)。MPPC(登録商標)は、数10V程度で動作可能である、出力信号が大きい且つ衝撃に強いといった特徴を有している。
光検出器の出力には、放射線に由来する信号成分とノイズに由来する雑音成分が含まれる。雑音の影響を低減して検出の高精度化を図ることが有益であることは言うまでもない。
そこで本発明は、検出の高精度化に寄与する放射線検出装置を提供することを目的とする。
本発明に係る放射線検出装置は、放射線の入射に基づくシンチレータの発光に対応する光パルス波を各々に出力する複数の光検出器と、前記複数の光検出器からの複数の出力信号を個別に増幅及び波形整形することで複数の波形整形信号を生成する前段回路と、前記複数の波形整形信号を加算して加算信号を生成し、前記加算信号を波形整形することでサンプリング対象信号を生成するサンプリング対象信号生成回路と、前記前段回路からの前記複数の波形整形信号に基づきトリガ信号を出力可能なトリガ信号出力回路と、前記トリガ信号出力回路から前記トリガ信号が出力された際、その出力タイミングに応じたタイミングで前記サンプリング対象信号の信号値情報を取得することで前記シンチレータの発光情報を得る情報取得回路と、を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、検出の高精度化に寄与する放射線検出装置を提供することが可能となる。
以下、本発明の実施形態の例を、図面を参照して具体的に説明する。参照される各図において、同一の部分には同一の符号を付し、同一の部分に関する重複する説明を原則として省略する。尚、本明細書では、記述の簡略化上、情報、信号、物理量又は部材等を参照する記号又は符号を記すことによって、該記号又は符号に対応する情報、信号、物理量又は部材等の名称を省略又は略記することがある。
図1は、本発明の実施形態に係る放射線検出装置1のブロック図である。図1の放射線検出装置1は、シンチレータ10、光検出器11[1]〜11[4]、前置増幅回路12[1]〜12[4]、微分回路13[1]〜13[4]、積分回路14[1]〜14[4]、バッファ回路15[1]〜15[4]、積分回路16[1]〜16[4]、微分回路17[1]〜17[4]、タイミング弁別回路18[1]〜18[4]、バッファ回路19[1]〜19[4]、加算回路20、積分回路21、微分回路22、同時計数回路23、及び、AD変換回路24を備える。
光検出器11[1]〜11[4]は、互いに同じ構成及び特性を有する。
前置増幅回路12[1]〜12[4]は、互いに同じ構成及び特性を有する。
微分回路13[1]〜13[4]は、互いに同じ構成及び特性を有する。
積分回路14[1]〜14[4]は、互いに同じ構成及び特性を有する。
バッファ回路15[1]〜15[4]は、互いに同じ構成及び特性を有する。
積分回路16[1]〜16[4]は、互いに同じ構成及び特性を有する。
微分回路17[1]〜17[4]は、互いに同じ構成及び特性を有する。
タイミング弁別回路18[1]〜18[4]は、互いに同じ構成及び特性を有する。
バッファ回路19[1]〜19[4]は、互いに同じ構成及び特性を有する。
前置増幅回路12[1]〜12[4]は、互いに同じ構成及び特性を有する。
微分回路13[1]〜13[4]は、互いに同じ構成及び特性を有する。
積分回路14[1]〜14[4]は、互いに同じ構成及び特性を有する。
バッファ回路15[1]〜15[4]は、互いに同じ構成及び特性を有する。
積分回路16[1]〜16[4]は、互いに同じ構成及び特性を有する。
微分回路17[1]〜17[4]は、互いに同じ構成及び特性を有する。
タイミング弁別回路18[1]〜18[4]は、互いに同じ構成及び特性を有する。
バッファ回路19[1]〜19[4]は、互いに同じ構成及び特性を有する。
このため、本願実施形態においては、1、2、3又は4の整数値をとる変数iを導入し、光検出器11[1]〜11[4]の何れかを指すものとして光検出器11[i]と記述することがある。前置増幅回路等についても同様であり、後述の各種の信号についても同様である。
1つの光検出器11[i]に対して、前置増幅回路12[i]、微分回路13[i]、積分回路14[i]、バッファ回路15[i]、積分回路16[i]、微分回路17[i]、タイミング弁別回路18[i]、バッファ回路19[i]から成る単位ブロック回路U[i]が設けられている。故に、図1の放射線検出装置1では、計4つの単位ブロック回路U[1]〜U[4]が設けられている。光検出器11[i]と前置増幅回路12[i]との接続関係及び回路12[i]〜19[i]間の接続関係、並びに、光検出器11[i]及び回路12[i]〜19[i]の動作及び構成は、4つの単位ブロック回路U[1]〜U[4]間において、互いに同じである。
光検出器11[i]の出力信号は前置増幅回路12[i]に入力され、
前置増幅回路12[i]の出力信号は微分回路13[i]に入力され、
微分回路13[i]の出力信号は積分回路14[i]に入力され、
積分回路14[i]の出力信号はバッファ回路15[i]を介して積分回路16[i]に入力されると共にバッファ回路19[i]を介して加算回路20に入力され、
積分回路16[i]の出力信号は微分回路17[i]に入力され、
微分回路17[i]の出力信号はタイミング弁別回路18[i]に入力され、
タイミング弁別回路18[i]の出力信号は同時計数回路23に入力される。
前置増幅回路12[i]の出力信号は微分回路13[i]に入力され、
微分回路13[i]の出力信号は積分回路14[i]に入力され、
積分回路14[i]の出力信号はバッファ回路15[i]を介して積分回路16[i]に入力されると共にバッファ回路19[i]を介して加算回路20に入力され、
積分回路16[i]の出力信号は微分回路17[i]に入力され、
微分回路17[i]の出力信号はタイミング弁別回路18[i]に入力され、
タイミング弁別回路18[i]の出力信号は同時計数回路23に入力される。
加算回路20の出力信号は積分回路21に入力され、積分回路21の出力信号は微分回路22に入力される。微分回路22の出力信号はAD変換回路24に入力され、同時計数回路23の出力信号もAD変換回路24に入力される。微分回路22の出力信号は、AD変換回路24のAD変換(アナログ/デジタル変換)におけるサンプリング対象信号として機能し、同時計数回路23の出力信号は、AD変換のサンプリングタイミングを指定するトリガ信号を含む。
光検出器11[i]、前置増幅回路12[i]、微分回路13[i]、積分回路14[i]、積分回路16[i]、微分回路17[i]、タイミング弁別回路18[i]の出力信号を、夫々、記号SA[i]、SB[i]、SC[i]、SD[i]、SE[i]、SF[i]、SG[i]にて表す。加算回路20、積分回路21、微分回路22、同時計数回路23の出力信号を、夫々、記号SH、SI、SJ、SKにて表す。それらの信号の内、信号SB[i]、SC[i]、SD[i]、SE[i]、SF[i]、SH、SI及びSJは、アナログの電圧信号である。
シンチレータ10は、図示されない放射線源(測定対象)からの放射線の入射によりシンチレーション光を発する。この機能を実現できる限り、シンチレータ10を構成するシンチレータ材料は任意であり、例えば、タリウム活性化ヨウ化セシウム(CsI(Tl))、ゲルマニウム酸ビスマス(BGO)、タリウム活性化ヨウ化ナトリウム(NaI(Tl))、ルテチウムシリケート(LSO)、ケイ酸ガドリニウム(GSO)、タングステン酸カドミウム(CWO)、又は、プラスチックにて、シンチレータ10が構成される。
光検出器11[i]は、シンチレータ10からのシンチレーション光を電流パルス信号である光パルス波に変換する。より具体的には、光検出器11[i]は、シンチレーション光が自身に入射したとき、そのシンチレーション光の光量に応じた矩形波状の電流パルス信号を光パルス波として前置増幅回路12[i]に出力する。ここでは、光検出器11[i]として、ガイガーモードで動作するアバランシェフォトダイオード(APD)をアレイ状に配置して構成されるMPPC(Multi-Pixel Photon Counter;登録商標)が用いられるものとする。ガイガーモードとは、APDに降伏電圧以上の逆電圧を印加した状態を指す。
前置増幅回路12[i]は、電荷有感前置増幅回路であり、光検出器11[i]の出力信号SA[i]に含まれる電流パルス信号を電圧パルス信号に変換する。この変換の過程において、所定の増幅率で信号の増幅が行われ、当該増幅された電圧パルス信号が前置増幅回路12[i]から出力される。
微分回路13[i]及び積分回路14[i]は、前置増幅回路12[i]の出力信号の波形整形を行う。この波形整形後の電圧パルス信号は、信号SD[i](波形整形信号SD[i])として積分回路14[i]から出力される。微分回路13[i]をコンデンサと抵抗によるRC微分回路にて形成することができ、積分回路14[i]をコンデンサと抵抗によるRC積分回路にて形成することができる。微分回路13[i]の時定数及び積分回路14[i]の時定数は互いに同じとされる。微分回路13[i]に、信号の微分機能に加えて信号の増幅機能を更に持たせても良い。積分回路14[i]についても同様である。つまり、微分回路13[i]及び積分回路14[i]は、前置増幅回路12[i]の出力信号の波形整形及び増幅を行う波形整形増幅回路を形成しても良い。
図2に、放射線1100のシンチレータ10への入射により発生したシンチレーション光1110に基づく信号SA[i]〜SD[i]の波形図を示す。光検出器11[i]に対するシンチレーション光1110の入射により、シンチレーション光1110に基づく1つの電流パルス信号1111が、光検出器11[i]の出力信号SA[i]に含まれることになる。シンチレータ10の構成材料等に依存して、電流パルス信号1111は、数100ナノ秒〜数マイクロ秒のパルス幅を有する矩形波状のパルス信号となる。電流パルス信号1111の面積SS(即ち電流パルス信号1110における電流の値とパルス幅の積)は、電流パルス信号1111の元となったシンチレーション光1110の光量(即ちシンチレータ10の発光量)に比例し、従ってシンチレータ10における放射線1100のエネルギ損失に比例する。シンチレータ10へ入射する放射線1100のエネルギが増大すればシンチレーション光1110の光量の増大を介して電流パルス信号1111の波高値も増大し、従って、面積SSも増大する。尚、図示の便宜上、図2では、シンチレーション光1110を1本の線にて表現しているが、シンチレーション光1110は、例えば数千〜数万個の光子を含んで構成される。後に参照される図4のシンチレーション光1110及び1210についても同様である。
電流パルス信号1111の入力に応答して、前置増幅回路12[i]の出力信号SB[i]には電圧パルス信号1112が含まれる。電圧パルス信号1112は、電流パルス信号1111の入力タイミングにおいて電圧ΔVだけ急峻に増加した後、比較的ゆっくりと減衰する電圧パルス信号である。電圧ΔVは、電流パルス信号1111の面積SSに比例する。
図3に示す如く、前置増幅回路12[i]は、増幅器12aと、増幅器12aの入力端子及び出力端子間に並列接続された帰還コンデンサ12b及び帰還抵抗12cと、で構成される。光検出器11[i]からの電流パルス信号は、前置増幅回路12[i]において、帰還コンデンサ12bの作用により積分されると共に増幅器12aにより増幅され、前置増幅回路12[i]の出力端子から電圧パルス信号として出力される。この電圧パルス信号は、帰還コンデンサ12bの静電容量値と帰還抵抗12cの抵抗値とで定まる時定数により減衰してゆく。
微分回路13[i]は、前置増幅回路12[i]の出力信号SB[i]に含まれる電圧パルス信号の交流成分を抽出し且つ抽出した交流成分の減衰時間を短くするものである。このため、図2に示す如く、電圧パルス信号1112に対応して、微分回路13[i]の出力信号SC[i]には電圧パルス信号1113が含まれる。電圧パルス信号1113においてアンダーシュートが生じないようにするための公知の回路(ポールゼロ補償回路等)を微分回路13[i]に適用すると良い。
積分回路14[i]は、微分回路13[i]の出力信号SC[i]に含まれる電圧パルス信号を積分することで、入力された電圧パルス信号を疑似ガウス形状の電圧パルス信号に変換する。従って、積分回路14[i]は、電圧パルス信号1113が入力された際には、電圧パルス信号1113を積分することで、電圧パルス信号1113を疑似ガウス形状の電圧パルス信号1114に変換する。即ち、積分回路14[i]の出力信号SD[i]には、信号1113に対応した信号1114が含まれる。電圧パルス信号1113及び1114の波高値は、電圧パルス信号1112における電圧ΔVに比例している。
図4を参照し、タイミングT1において第1の放射線1100がシンチレータ10に入射し、その後のタイミングT2において第2の放射線1200がシンチレータ10に入射した場合を考える。図4には、この場合における信号SA[i]〜SD[i]の波形図が示されている。第1の放射線1100のシンチレータ10への入射に応答してシンチレーション光1110が発生し、第2の放射線1200のシンチレータ10への入射に応答してシンチレーション光1210が発生する。光検出器11[i]には、シンチレーション光1110が入射した後にシンチレーション光1210が入射することになる。結果、シンチレーション光1110の入射に応答した電流パルス信号1111と、シンチレーション光1210の入射に応答した電流パルス信号1211とが、時系列上に並んで、光検出器11[i]の出力信号SA[i]に含まれることになる。
シンチレーション光1110の入射に応答した信号SA[i]〜SD[i]の変化は、図2を参照して上述したものと同様である。シンチレーション光1210の入射に応答した信号SA[i]〜SD[i]の変化も、図2を参照して上述したものと同様である。但し、電流パルス信号1211の発生時において信号SB[i]のレベルが基準電位レベルであるゼロボルトレベルまで減衰しきっていない場合においては、電流パルス信号1211が発生した際、電流パルス信号1211の発生直前の信号SB[i]のレベルを起点にして、電流パルス信号1211の面積に相当する電圧ΔVだけ、信号SB[i]のレベルが急峻に増大することになる。
図4に示す如く、複数の電流パルス信号に基づく複数の電圧信号が前置増幅回路12[i]の出力信号SB[i]にて重なり合うことがあるが、微分回路13[i]及び積分回路14[i]により、不規則に入射する各々の放射線に対応した、独立したパルス信号(SC[i]、SD[i])が生成されることになる。
光検出器11[1]〜11[4]によるシンチレーション光の検出領域は、互いに同じとなっている。即ち、光検出器11[1]〜11[4]は、単一のシンチレータ10における共通の領域からのシンチレーション光の入射を受けて、当該共通の領域からのシンチレーション光を共通且つ同時に検出し、各々に光パルス波(電流パルス信号)を出力する。従って、シンチレータ10に放射線が入射してシンチレーション光が発生したとき、4つの光検出器11[1]〜11[4]から同時に光パルス波が生成及び出力されることになる。
図5を参照する。図4と同様に、タイミングT1において第1の放射線1100がシンチレータ10に入射し、その後のタイミングT2において第2の放射線1200がシンチレータ10に入射した場合を考える。図5には、この場合において、光検出器11[1]〜11[4]から出力される信号SA[1]〜SA[4]の波形図が示されている。
ここでは、説明の明確化及び簡略化のため、放射線のシンチレータ10への入射タイミングと、該放射線の入射に基づくシンチレーション光の発光タイミングと、該シンチレーション光に基づく光検出器11[i]による光パルス波の生成タイミングと、該光パルス波としての電流パルス信号の前置増幅回路12[i]への入力タイミング(詳細には入力開始タイミング)とが、互いに同じであると取り扱う(即ち、それらのタイミング間の時間差が十分に短いとして、それらの時間差の存在を無視する)。そうすると、タイミングT1及びT2の夫々は、シンチレーション光の発生タイミング、光検出器11[1]〜11[4]によるシンチレーション光の検出タイミング、光検出器11[1]〜11[4]による光パルス波の生成タイミング、又は、光パルス波の前置増幅回路12[1]〜12[4]への入力タイミングである、と解することもできる。
タイミングT1では、第1の放射線1100の入射に応答し、光検出器11[1]〜11[4]の夫々から光パルス波として電流パルス信号が出力され、タイミングT2では、第2の放射線1200の入射に応答し、光検出器11[1]〜11[4]の夫々から光パルス波として電流パルス信号が出力される。図5において、シンチレーション光に基づく光パルス波としての電流パルス信号には符号SPが付されている。
ところで、光検出器11[i]は、シンチレーション光の入射とは無関係に、ノイズを起因とした電流パルス信号を出力することがある。光検出器11[i]から出力される、ノイズを起因とする電流パルス信号を雑音パルス波と称し、ここでは、熱励起によるノイズに基づいた雑音パルス波に注目する。図5において、雑音パルス波としての電流パルス信号には符号NPが付されている。雑音パルス波も光パルス波と同様に前置増幅回路12[i]に入力されて増幅等されるため、1つの単位ブロック回路の信号を参照しただけでは、信号成分と雑音成分を区別することはできない又は困難である。
但し、放射線の入射に基づく光パルス波は、互いに共通の検出領域を有する光検出器11[1]〜11[4]間で相関を有することとなる一方で、雑音パルス波は、光検出器11[1]〜11[4]において独立且つランダムに発生するため光検出器11[1]〜11[4]間で相関を持たない。放射線検出装置1では、この特性を利用して雑音除去を図る(詳細は後述の説明から明らかとなる)。尚、光パルス波としての電流パルス信号SPの波高値は、通常、信号SA[1]〜SA[4]間で不揃いとなる(図5参照)。雑音パルス波としての電流パルス信号NPについても同様である。
図1に示される各回路の説明に戻る。尚、各信号の波形を示した図6が適宜参照される。積分回路14[i]の出力信号SD[i]は2つに分岐されてバッファ回路15[i]及び19[i]の夫々に入力される。バッファ回路15[i]及び19[i]の夫々は、積分回路14[i]の出力信号SD[i]を高入力インピーダンスにて受けて、低出力インピーダンスにて信号SD[i]を後段回路に伝達するためのバッファである。結果、信号SD[i]は、バッファ回路15[i]を介して積分回路16[i]に入力される一方で、バッファ回路19[i]を介して加算器20に入力される。
積分回路16[i]は、抵抗及びコンデンサから成るRC積分回路にて構成され、入力された信号SD[i]を積分した信号SE[i]を出力する。積分回路16[i]は、1つのRC積分回路にて構成されていても良いし、RC積分回路を複数段直列に接続して構成される多段積分回路であっても良い。積分回路16[i]を多段積分回路にて構成する場合、多段積分回路を形成するRC積分回路の段数は2段程度で良い。図6に示す如く、信号SE[i]は、電流パルス信号1111に対応する電圧パルス信号1115を含む。電圧パルス信号1115は、積分回路14[i]が出力する電圧パルス信号1114と同様の、疑似ガウス形状の信号である。但し、積分回路16[i]にて積分される分、電圧パルス信号にてピーク値をとるタイミングは、信号1115においての方が信号1114においてよりも後方にずれる。
微分回路17[i]は、抵抗及びコンデンサから成るRC微分回路にて構成され、積分回路16[i]の出力信号SE[i]を微分して、微分後の信号SF[i]を出力する。微分回路17[i]におけるRC微分回路での微分により、信号SE[i]の交流成分が抽出されるので、図6に示す如く、信号SF[i]には、電圧パルス信号1115の交流成分である双極性パルス信号1116が含まれるようになる。双極性パルス信号とは、正のパルス信号(正の信号値を持つパルス信号)に続けて負のパルス信号(負の信号値を持つパルス信号)を結合して形成される信号である。従って、双極性パルス信号において、信号値は、ゼロを起点として単調増大して極大値(正のピーク値)をとった後、単調減少してゼロを下回って極小値(負のピーク値)をとり、その後、単調増加を経てゼロに戻る。双極性パルス信号に関し、信号値が極大値をとった後に極小値に向かう過程において、信号値がゼロとなるタイミングを、ゼロクロスタイミングと称する。
双極性パルス信号1116におけるゼロクロスタイミングは、タイミングT1から所定時間Δt1だけ後のタイミングであり、Δt1は、回路12[i]〜17[i]の特性(主として、微分回路13[i]及び積分回路14[i]の時定数並びに積分回路16[i]及び微分回路17[i]の時定数)にて定まる既知情報であるから、双極性パルス信号1116のゼロクロスタイミングを検出することでタイミングT1を取得することができる。
タイミング弁別回路18[i]は、信号SF[i]に含まれる双極性パルス信号のゼロクロスタイミングを検出し、検出したゼロクロスタイミングの情報を含んだ信号SG[i]を出力する。図6を参照し、信号SG[i]に含まれる矩形波信号1117は、双極性パルス信号1116のゼロクロスタイミングの情報を含んだタイミング信号である。タイミングT1は、上述したように例えば、放射線1100の入射に基づく光パルス波の前置増幅回路12[i]への入力タイミングであると解することができるので、矩形波信号1117は、光パルス波(電流パルス信号1111)の前置増幅回路12[i]への入力タイミングの情報を含んでいると言える。
図7(a)に、タイミング弁別回路18[i]の回路構成例を示す。図7(a)のタイミング弁別回路18[i]は、コンパレータ(比較回路)51と、所定の正の参照電圧VREFを生成及び出力する参照電圧源52と、抵抗53と、半導体スイッチング素子としてのトランジスタ54と、駆動回路55と、を含んで構成される。トランジスタ54は、任意の種類の半導体スイッチン素子であって良いが、ここでは、Nチャネル型のMOSFET(MOS電界効果トランジスタ;metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)がトランジスタ54として用いられるものとする。以下、MOSFET(ここではNチャネル型のMOSFET)として形成されたトランジスタ54をMOSFET54と称する。尚、単一の参照電圧源が、タイミング弁別回路18[1]〜18[4]に利用される参照電圧源52として共用されていても良い。
コンパレータ51は、非反転入力端子、反転入力端子及び出力端子を有する。図7(a)のタイミング弁別回路18[i]において、コンパレータ51の非反転入力端子には双極性パルス信号を含んだ信号SF[i]が入力され、コンパレータ51の反転入力端子は、MOSFET54のドレインに接続されている。コンパレータ51の反転入力端子とMOSFET54のドレインとの接続点をノードNDと称する。参照電圧VREFが加わる参照電圧源52の正出力端子は、抵抗53を介してノードNDに接続されている。MOSFET54のソースは、ゼロボルトの電位を有する基準電位ライン(ゼロ電位ライン)に接続されている。
従って、MOSFET54のゲート−ソース間電圧(ソースの電位を基準としたゲートの電圧)が所定の正の閾値電圧未満であれば、MOSFET54はオフとなって(即ちMOSFET54のドレイン及びソース間が非導通状態となって)、コンパレータ51の反転入力端子には参照電圧源52からの参照電圧VREFが加わる。一方、MOSFET54のゲート−ソース間電圧が所定の正の閾値電圧以上になると、MOSFET54がオンとなって(即ちMOSFET54のドレイン及びソース間が導通状態となって)、コンパレータ51の反転入力端子の電圧はゼロとなる(ここで、MOSFET54のオン時におけるドレイン−ソース間電圧を無視)。
図7(a)のタイミング弁別回路18[i]において、コンパレータ51は、非反転入力端子への供給電圧と反転入力端子への供給電圧とを比較し、それらの高低関係を示す信号を自身の出力端子から出力する。より具体的には、コンパレータ51は、非反転入力端子における電圧が反転入力端子における電圧よりも低いとき、ローレベルの電圧信号を出力し、非反転入力端子における電圧が反転入力端子における電圧以上であるとき、ローレベルよりも高い電位を有するハイレベルの電圧信号を出力する。
図7(a)のタイミング弁別回路18[i]において、コンパレータ51の出力信号がタイミング弁別回路18[i]の出力信号SG[i]として機能する。ドライバ回路55は、コンパレータ51の出力信号に応じた駆動信号をMOSFET54のゲートに供給することでMOSFET54のオン/オフを制御する。より具体的には、ドライバ回路55は、コンパレータ51の出力信号のレベルがハイレベルであるとき、MOSFET54をオンにするためのハイレベルのゲート電圧をMOSFET54のゲートに供給し、コンパレータ51の出力信号のレベルがローレベルであるとき、MOSFET54をオフにするためのローレベルのゲート電圧をMOSFET54のゲートに供給する。ドライバ回路55の出力信号において、ハイレベルはローレベルよりも電位が高い。
図7(b)に、図7(a)のタイミング弁別回路18[i]における、信号SF[i]及び信号SG[i]の波形図並びにノードNDの電圧の波形図を、MOSFET54の状態と共に示す。放射線検出装置1の起動後、初回の双極性パルスがコンパレータ51に入力される前において、MOSFET54はオフになっており、従って、正の参照電圧VREFがコンパレータ51の反転入力端子に入力されてコンパレータ51からローレベルの電圧信号が出力されているものとする。
その後、MOSFET54がオフである状態で信号SF[i]における双極性パルス信号の信号値を示す非反転入力端子の電圧が上昇して参照電圧VREF(反転入力端子へ供給電圧)より大きくなると、コンパレータ51の出力信号レベルがローレベルからハイレベルに切り替わり、結果、駆動回路55を通じてMOSFET54がオンとされることでノードNDの電圧が参照電圧VREFからゼロまで下降する。その後、信号SF[i]における双極性パルス信号の信号値が極大値をとってから下降に転じてゼロより小さくなる。この際、ゼロクロスタイミングを境に、コンパレータ51の出力信号レベルがハイレベルからローレベルに切り替わり、結果、駆動回路55を通じてMOSFET54がオフとされることでノードNDの電圧がゼロから参照電圧VREFへと切り替わる。この状態は、次回の双極性パルス信号がタイミング弁別回路18[i]に入力されて次回の双極性パルス信号の信号値が参照電圧VREF以上となるまで継続する。
実際には、光パルス波と雑音パルス波とを含んだパルス波の列が光検出器11[1]〜11[4]から前置増幅回路12[1]〜12[4]に入力されることになるので、タイミング弁別回路18[i]に入力される双極性パルス信号は、光パルス波に基づいている場合もあるし、雑音パルス波に基づいている場合もある。故に、タイミング弁別回路18[i]は、光パルス波又は雑音パルス波の前置増幅回路12[i]への入力タイミングの情報を含んだタイミング信号(SG[i])を生成及び出力する、と言える。
同時計数回路23は、タイミング弁別回路18[1]〜18[4]からのタイミング信号(SG[1]〜SG[4])に基づき、即ち、タイミング弁別回路18[1]〜18[4]によるゼロクロスタイミングの検出結果に基づき、トリガ信号の出力制御を行う。
放射線の入射に基づくシンチレーション光が発生したときには、シンチレーション光に基づく光パルス波に応答した双極性パルス信号が微分回路17[1]〜17[4]の夫々から出力され、結果、タイミング弁別回路18[1]〜18[4]にて互いに同じゼロクロスタイミングが検出される。一方、雑音パルス波に応答した双極性パルス信号は微分回路17[1]〜17[4]間において独立に且つランダムに出力されるので、雑音パルス波に応答した双極性パルス信号については、タイミング弁別回路18[1]〜18[4]間で互いに同じゼロクロスタイミングが検出されることはない(但し、偶然に検出されることも稀にはある)。
同時計数回路23は、タイミング弁別回路18[1]〜18[4]にて、互いに同じゼロクロスタイミングが検出された場合に限り、トリガ信号を出力する。タイミング弁別回路18[1]〜18[4]にて検出された4つのゼロクロスタイミングが同じであるとは、一定の幅を持った時間概念であり、それら4つのゼロクロスタイミングが一定の時間幅を持った同時期に属していることをも含む概念である。
つまり、同時計数回路23は、タイミング信号SG[1]〜SG[4]の元となった信号SD[1]〜SD[4]に対応するパルス波(光パルス波又は雑音パルス波)が光検出器11[1]〜11[4]から前置増幅回路12[1]〜12[4]に対し同時期に入力されたものであるか否かを、タイミング信号(SG[1]〜SG[4])に基づいて検出し、同時期に入力されたものであると検出した場合に限り、信号SD[1]〜SD[4]に対応するパルス波が光パルス波であると判定して、トリガ信号を出力する。同時期に入力されたものではないと判定された場合、信号SD[1]〜SD[4]に対応するパルス波は雑音パルス波であると判定されて、トリガ信号は非出力とされる。
信号(波形整形信号)SD[1]〜SD[4]に対応するパルス波が光検出器11[1]〜11[4]から前置増幅回路12[1]〜12[4]に対し同時期に入力されることを、便宜上、同時パルス波入力と称し、同時期に入力されないことを、非同時パルス波入力と称する。
より具体的には例えば、同時計数回路23は、タイミング弁別回路18[1]にてゼロクロスタイミングが検出されたとき、そのゼロクロスタイミングを中心とし且つ所定の時間幅を有する期間を設定して、その期間内に属するゼロクロスタイミングがタイミング弁別回路18[2]〜18[4]の夫々においても検出された場合に限り、同時パルス波入力があったと判定してトリガ信号を出力する。上記期間内に属するゼロクロスタイミングがタイミング弁別回路18[2]〜18[4]の内、1つでも検出されない場合には、同時パルス波入力はなかったと判定されて(非同時パルス波入力であったと判定されて)、トリガ信号は出力されない。
図6には、同時パルス波入力に対応したトリガ信号1118を含んだ、同時計数回路23の出力信号SKの波形が示されている。図6では、タイミングT1における放射線の入射に基づくタイミング信号1117が生成されることが想定されており、タイミング信号1117は、タイミング弁別回路18[1]〜18[4]の夫々から同時期に出力される。即ち、タイミング弁別回路18[1]〜18[4]からの4つのタイミング信号1117のハイレベルからローレベルへの切り替わりタイミング(即ち4つのゼロクロスタイミング)は実質的に同一となるので、同時パルス波入力があったと判定されて、トリガ信号1118が同時計数回路23から出力される。ここでは、各タイミング弁別回路18[i]にて検出されたゼロクロスタイミングから所定時間Δt2だけ遅延させたタイミングにおいてトリガ信号1118が出力されているが、所定時間Δt2はゼロでありうる。トリガ信号1118は、微分回路22の出力信号のサンプリングタイミングを指定する信号であるが、詳細は後述の説明から明らかとなる。
同時パルス波入力があった場合においても タイミング弁別回路18[1]〜18[4]にて検出された4つのゼロクロスタイミングは、厳密には、互いに若干ずれうる。このため、例えば、同時パルス波入力があった場合、タイミング弁別回路18[1]〜18[4]の中から回路18[1]を代表して用い、タイミング弁別回路18[1]にて検出されたゼロクロスタイミングから所定時間Δt2だけ遅延させたタイミングにおいてトリガ信号1118を出力すれば良い。或いは例えば、同時パルス波入力があった場合、タイミング弁別回路18[1]〜18[4]による4つのゼロクロスタイミングの内、最も早い若しくは最も遅いゼロクロスタイミングを参照ゼロクロスタイミングに設定し、又は、2番目若しくは3番目に早いゼロクロスタイミングを参照ゼロクロスタイミングに設定し、参照ゼロクロスタイミングから所定時間Δt2だけ遅延させたタイミングにおいてトリガ信号1118を出力するようにしても良い。
加算回路20は、バッファ回路19[1]〜19[4]を介して積分回路14[1]〜14[4]から供給される4つの信号SD[1]〜SD[4]を、アナログ信号として加算し、加算によって得られた信号(以下、加算信号とも称する)を出力する。図6を参照し、タイミングT1における放射線の入射に基づく信号1114が積分回路14[1]〜14[4]の夫々から出力されることになるので、積分回路14[1]〜14[4]からの各信号1114を足し合わせた信号1120が加算回路20の出力信号SHに含まれることになる。
積分回路21は、抵抗及びコンデンサから成るRC積分回路を複数段直列に接続して構成される多段積分回路であり、多段積分回路にて加算信号SHを積分して、積分後の信号SIを出力する。積分回路21において、多段積分回路を形成するRC積分回路の段数は4段又は5段であるが、その段数は4段又は5段に限定されない。加算信号1120は、積分回路14[1]〜14[4]からの各電圧パルス信号1114を足し合わせて得られる電圧パルス信号であるので、各電圧パルス信号1114と同様の疑似ガウス形状を有する(図6参照)。結果、加算信号(電圧パルス信号)1120を積分して得られる信号であって且つ信号SIに含まれる電圧パルス信号1121も、疑似ガウス形状を有する(図6参照)。但し、積分回路20にて積分される分、電圧パルス信号にてピーク値をとるタイミングは、信号1121においての方が信号1120においてよりも後方にずれる。このずれ量は、多段積分回路におけるRC積分回路を1段ずつ通過する度に、大きくなる。
微分回路22は、抵抗及びコンデンサから成るRC微分回路にて構成され、積分回路21の出力信号SIを微分して、微分後の信号SJを出力する。信号SJをサンプリング対象信号と称する。微分回路22におけるRC微分回路での微分により、積分回路21の出力信号SIの交流成分が抽出されるので、図6に示す如く、サンプリング対象信号SJには、電圧パルス信号1121の交流成分であるサンプリング用の双極性パルス信号1122が含まれるようになる。上述したように、双極性パルス信号において、信号値は、ゼロを起点として単調増大して極大値(正のピーク値)をとった後、単調減少してゼロを下回って極小値(負のピーク値)をとり、その後、単調増加を経てゼロに戻る。サンプリング対象信号SJに含まれるサンプリング用の双極性パルス信号1122の極大値(即ち正のピーク値)を、記号VALpにて表す。
積分回路21及び微分回路22は、サンプリング対象信号SJがシンチレータ10の発光量に応じたピーク値を持つように加算信号SHからサンプリング対象信号SJを生成する。タイミングT1での放射線入射応答に関して言えば、タイミングT1での放射線入射に応答してシンチレータ10が発光し、シンチレータ10の発光量に応じた波高値を有する電流パルス信号1111(光パルス波)が光検出器11[1]〜11[4]の夫々にて発生することになるが、光検出器11[1]〜11[4]にて発生した4つの電流パルス信号1111の面積SSの合計値が、サンプリング用の双極性パルス信号1122のピーク値VALpにて示されるように、積分回路21及び微分回路22は構成されている。これを実現すべく、微分回路13[i]、積分回路14[i]、積分回路21及び微分回路22において、電圧ΔV(図2、図6参照)の情報を保存しながら積分又は微分を行っていけば良い。具体的には、信号SC[i]及びSD[i]が各々に信号SB[i]の電圧ΔVに比例する波高値を有するように微分回路13[i]及び積分回路14[i]を構成する。そうすると、信号SD[1]〜SD[4]を足し合わせることで形成される加算信号SHの波高値は、信号SB[1]〜SB[4]における4つの電圧ΔVの和に比例する値を持つ。そして、信号SIの波高値及び信号SJのピーク値VALpが、加算信号SHの波高値に比例する値(従って信号SB[1]〜SB[4]における4つの電圧ΔVの和に比例する値)を持つように積分回路21及び微分回路22を構成すれば良い。
サンプリング用の双極性パルス信号1122がピーク値VALpとるタイミングT1pは、タイミング信号生成用の双極性パルス信号1116のゼロクロスタイミングよりも遅い(図6参照)。つまり、サンプリング対象信号SJにおけるサンプリング用の双極性パルス信号1122がゼロクロスする前であって且つサンプリング対象信号SJがシンチレータ10の発光量に応じたピーク値VALpをとる前に、タイミング弁別回路18[1]〜18[4]でのゼロクロスタイミングの検出が完了している。これは、サンプリング用の双極性パルス信号1122がピーク値VALpをとる前に同時パルス波入力があったのか否かを判定して、同時パルス波入力があった場合に確実にピーク値VALpをサンプリングするためであり、上記のタイミング関係が実現されるように、積分回路16[i]及び微分回路17[i]の時定数及び積分回路21及び微分回路22の時定数が設定されている。
具体的には、上記の目的が達成されるよう、積分回路21の時定数は積分回路16[i]の時定数よりも大きくされ、これに連動して、微分回路22の時定数は微分回路17[i]の時定数よりも大きくされる。結果、信号1121及び1122は、信号1115及び1116を、時間方向に伸長したような信号となる(図6参照)。積分回路21の時定数と微分回路22の時定数は互いに同じであって良く、積分回路16[i]の時定数と微分回路17[i]の時定数も互いに同じであって良い。
尚、積分回路21を単一のRC積分回路にて構成することも可能であり、その単一のRC積分回路の時定数を十分に大きくすることでも、サンプリング対象信号SJがピーク値VALpをとる前にゼロクロスタイミングの検出を完了させることも可能ではある。但し、この場合には、積分回路21を多段積分回路にて構成する場合よりも積分回路21の出力信号1121の振幅が小さくなってシンチレータ10の発光量の検出分解能が低下する。このため、積分回路21を多段積分回路にて形成し、多段積分回路にて形成される積分回路21の全体の時定数を積分回路16[i]の時定数よりも大きく設定すると良い。
同時計数回路23は、サンプリング対象信号SJがピーク値VALpをとるタイミングにてサンプリング対象信号SJの信号値がサンプリングされてデジタル値へと変換されるよう、信号SKにトリガ信号を含める。AD変換回路24は、トリガ信号にて指定されたタイミングにてサンプリング対象信号SJの信号値をサンプリングし、サンプリングした信号値をデジタル値に変換して出力する。
図6のタイミング信号1117に基づくトリガ信号1118に関して言えば、サンプリング対象信号SJに含まれるサンプリング用の双極性パルス信号1122が正のピーク値VALpをとるタイミングにて、サンプリング対象信号SJの信号値をサンプリングするように指定するトリガ信号1118が同時計数回路23からAD変換回路24に出力され、結果、ピーク値VALpがAD変換回路24にてサンプリング及びデジタル変換されてデジタル値として出力される。信号SF[i]に含まれるタイミング信号生成用の双極性パルス信号1116のゼロクロスタイミングを起点として、トリガ信号1118の出力タイミングを定める時間Δt2は、回路12[i]〜18[i]及び回路20〜22の特性(主として、微分回路13[i]及び積分回路14[i]の時定数、積分回路16[i]及び微分回路17[i]の時定数及び積分回路21及び微分回路22の時定数)から決定される。
放射線がシンチレータ10に入射した場合には、図8(a)に示す如く、シンチレーション光に基づく光パルス波が光検出器11[1]〜11[4]にて同時に発生するため、タイミング弁別回路18[1]〜18[4]のゼロクロスタイミング検出結果を示すタイミング信号(SG[1]〜SG[4])に基づき、同時計数回路23にて、同時パルス波入力があったと判定されてトリガ信号が出力される。一方、雑音パルス波が発生した場合にもサンプリング対象信号SJに双極性パルス信号が含まれることになるが、雑音パルス波に対しては同時パルス波入力があったとは判断されずにトリガ信号が出力されないので(図8(b)参照)、雑音パルス波についてのサンプリング対象信号SJはAD変換(アナログ/デジタル変換)の対象とならない。従って、AD変換回路24にて取得されるデジタル値は、シンチレータ10の発光量を示す情報を正確に示すことになる。また、サンプリング対象信号(SJ)は、4台の光検出器11[1]〜11[4]の出力に基づく4つの信号の加算を通じて生成されるため、シンチレータ10の発光量を高精度(例えば1つの信号SD[1]のみを積分回路21に入力する場合と比べて高い精度)で検出することが可能となる。
放射線が入射して光パルス波が発生するイベントが次々と発生する場合には、イベントごとに、上述の如く、光パルス波に対応したトリガ信号及びサンプリング対象信号が生成されてトリガ信号に基づくタイミングにてAD変換が行われることになる。
例えば、図4に示す如くタイミングT1及びT2にて放射線1100及び1200の入射に基づく光パルス波1111及び1211が順次発生する場合においては、シンチレーション光1110の光量を示す第1のサンプリング用の双極性パルス信号と、シンチレーション光1210の光量を示す第2のサンプリング用の双極性パルス信号とが、サンプリング対象信号SJに時系列に沿って独立して含まれることになり、一方で、タイミングT1から時間(Δt1+Δt2)だけ経過したタイミングにサンプリングを行うべきことを指定する第1のトリガ信号と、タイミングT2から時間(Δt1+Δt2)だけ経過したタイミングにサンプリングを行うべきことを指定する第2のトリガ信号とが順次、同時計数回路23からAD変換回路24に出力される。サンプリング対象信号SJの信号値は、タイミングT1から時間(Δt1+Δt2)だけ経過したタイミングにおいて極大値をとってシンチレーション光1110の光量を示し、タイミングT2から時間(Δt1+Δt2)だけ経過したタイミングにおいて極大値をとってシンチレーション光1210の光量を示すため、第1のトリガ信号及び第2のトリガ信号に従うタイミングにサンプリング対象信号SJの信号値をサンプリングすることで、シンチレーション光1110及び1210の光量(タイミングT1及びT2でのシンチレータ10の発光量)を個別に且つ正確に検出することが可能となる。
放射線検出装置1に設けられうる、AD変換回路24の後段回路(不図示)は、AD変換回路24の出力から、シンチレータ10の放射線の入射の有無、シンチレータ10に入射した放射線のエネルギ、放射線量(シンチレータ10の吸収線量)などを検出及び導出することができる。
上述した放射線検出装置1の構成及び動作等を、便宜上、基本実施例と称する。以下、複数の実施例の中で、基本実施例に対する変形技術や応用技術を説明する。特に記述無き限り且つ矛盾無き限り、基本実施例に記載の事項が後述の各実施例に適用され、各実施例において基本実施例と矛盾する事項については、各実施例での記載が優先される。また矛盾無き限り、以下に述べる複数の実施例の内、任意の実施例に記載した事項を、他の任意の実施例に適用することもできる(即ち複数の実施例の内の任意の2以上の実施例を組み合わせることも可能である)。
<<第1実施例>>
第1実施例を説明する。第1実施例では、タイミング弁別回路18[i]の他の構成例について説明する。
第1実施例を説明する。第1実施例では、タイミング弁別回路18[i]の他の構成例について説明する。
まず、第1実施例にて説明するタイミング弁別回路の他の構成例の意義を明確化するべく、基本実施例にて示した図7(a)のタイミング弁別回路18[i]に関して、動作に関する具体的な数値例を図9(a)〜(c)に示す。ここでは、コンパレータ51及び駆動回路55が5V(ボルト)を電源電圧として駆動する回路であることを想定し、それらの入力電圧及び出力電圧は0V以上であるとする。
図9(a)に示す如く、コンパレータ51は、非反転入力端子における電圧が反転入力端子における電圧よりも高いときにはハイレベルの電圧信号を出力し、反転入力端子における電圧が非反転入力端子における電圧よりも高いときにはローレベルの電圧信号を出力する。コンパレータ51において、非反転入力端子における電圧と反転入力端子における電圧とが等しいとき、コンパレータ51の出力電圧レベルはハイレベル又はローレベルとなる(不定となる)。コンパレータ51の出力に関し、ハイレベルとは4.2V以上且つ5.0以下の電圧を有し、ローレベルとは0V以上且つ0.8V以下の電圧を有する。
図9(b)に示す如く、駆動回路55は、自身への入力電圧が3.0V以上であるときにはハイレベルの電圧信号を出力し、自身への入力電圧が2.0V以下であるときにはローレベルの電圧信号を出力するものとする。駆動回路55において、駆動回路55への入力電圧が2.0Vよりも高いが3.0Vよりも小さいとき、駆動回路55の出力電圧レベルはハイレベル又はローレベルとなる(不定となる)。駆動回路55の出力に関し、ハイレベルとは4.2V以上且つ5.0以下の電圧を有し、ローレベルとは0V以上且つ0.8V以下の電圧を有する。
図9(c)に示す如く、MOSFET54の閾値電圧は、仕様において1.2Vであるとする。従って、MOSFET54のゲート−ソース間電圧が1.2V未満であるとき、ロジック素子としてはMOSFET54はオフとなり、MOSFET54のゲート−ソース間電圧が1.2Vより高いとき、ロジック素子としてはMOSFET54はオンとなる。
上記数値例の下、基本実施例でのタイミング弁別回路18[i]において、コンパレータ51の出力信号レベルがハイレベルであるときには、図10(a)に示す如く、駆動回路55よりハイレベルの電圧がMOSFET54のゲートに供給されるため、MOSFET54は十分にオン状態となることが期待される。コンパレータ51の出力信号レベルがローレベルであるときには、図10(b)に示す如く、駆動回路55よりローレベルの電圧がMOSFET54のゲートに供給されるため、MOSFET54の状態はロジック素子としてはオフ状態となる。
しかしながら、MOSFET54をアナログ素子として見た場合、ロジック素子としてはオフ状態にあっても、MOSFET54が完全にスイッチとしてオフ状態になりきれていないこともある。例えば、駆動回路55がローレベルの信号を出力する場合であって且つ該信号のレベルが0.8V程度であるとき、0.8V程度のゲート電圧がMOSFET54に加わる。そうすると、MOSFET54は、ロジック素子としてはオフ状態と言えるかもしれないものの、相応のドレイン電流が流れる状態となってアナログ素子としては無限とはみなせない抵抗値を持った抵抗のように振る舞う。結果、駆動回路55の出力がローレベルであってもMOSFET54が真にオフ状態になりきらず、結果、基本実施例で示したような理想的なMOSFET54のオン/オフ制御が実現できない場合ある(ノードNDの電圧がゼロになった後、参照電圧VREFに正しく復帰できない場合がある)。
理想的なMOSFET54のオン/オフ制御を実現できるか否かは、MOSFET54及び駆動回路55の各仕様並びにMOSFET54及び駆動回路55の組み合わせに依存するが、それらに依存することなく、MOSFET54を確実に狙った通りにオン/オフ制御できることが望ましい。
図11(a)は、これを考慮した、第1実施例に係るタイミング弁別回路18M[i]の回路図である。タイミング弁別回路18M[i]を、タイミング弁別回路18[i]として用いることができる。
タイミング弁別回路18M[i]は、基本実施例で示した図7(a)のタイミング弁別回路18[i]に対し、レベル調整回路56を追加したものである。従って、タイミング弁別回路18M[i]は、図7(a)のタイミング弁別回路18[i]が有するものと同じコンパレータ(比較回路)51、参照電圧源52、抵抗53、トランジスタ54及び駆動回路55を有し、更に、レベル調整回路56を有する。図11(a)の例でも、トランジスタ54が、Nチャネル型のMOSFETとして構成されているものとする。
コンパレータ51と参照電圧源52と抵抗53と駆動回路55とノードNDとの接続関係は基本実施例で説明した通りであり、第1実施例で特に述べない事項に関しては基本実施例の記載が第1実施例にも適用される。また、基本実施例と同様、タイミング弁別回路18M[i]において、コンパレータ51の非反転入力端子には微分回路17[i]の出力信号SF[i]が供給され、コンパレータ51の出力信号がタイミング弁別回路18M[i]の出力信号SG[i]として機能する。
タイミング弁別回路18M[i]において、MOSFET54のドレイン、ソースは、タイミング弁別回路18[i]と同様に、夫々、ノードND(即ちコンパレータ51の反転入力端子)及びゼロボルトの電位を有する基準電位ライン(ゼロ電位ライン)に接続されているが、MOSFET54のゲートは、レベル調整回路56を介して駆動回路55の出力端子に接続されている。
レベル調整回路56は、駆動回路56の出力信号の電圧レベルを低電位側にシフトさせ、該シフト後の駆動回路56の出力信号をMOSFET54のゲートに供給するものであり、互いに直列接続されたダイオード56D1及び56D2と、抵抗56Rとで構成されている。より具体的には、駆動回路56の出力信号が現れる駆動回路56の出力端子は、ダイオード56D1のアノードに接続され、ダイオード56D1のカソードはダイオード56D2のアノードに接続され、ダイオード56D2のカソードはMOSFET54のゲートに接続されている。また、MOSFET54のゲートは抵抗56Rを介して基準電位ライン(ゼロ電位ライン)に接続されている。ダイオード56D1及び56D2の夫々において、順方向電圧は約0.7Vである。
レベル調整回路56の有無は相違するものの、タイミング弁別回路の基本的な回路動作は、図7(a)のタイミング弁別回路18[i]及び図11(a)のタイミング弁別回路18M[i]間で共通している。
即ち、タイミング弁別回路18M[i]に関し、図11(b)に示す如く、MOSFET54がオフである状態(従って参照電圧VREFがノードNDに印加されている状態)で、信号SF[i]における双極性パルス信号の信号値を示す非反転入力端子の電圧が上昇して参照電圧VREF(反転入力端子へ供給電圧)より大きくなると、コンパレータ51の出力信号レベルがローレベルからハイレベルに切り替わる。そうすると、コンパレータ51からのハイレベルの出力信号に基づき、MOSFET54をオンするためのハイレベルの電圧信号が、駆動回路55の出力端子からレベル調整回路56を介してMOSFET54のゲートに供給される。結果、MOSFET54の状態がオフからオンに切り替えられてノードNDの電圧(反転入力端子の電圧)が参照電圧VREFからゼロに切り替えられる。
その後、MOSFET54がオンである状態で、信号SF[i]における双極性パルス信号の信号値を示す非反転入力端子の電圧が下降してきて反転入力端子の電圧(即ちゼロボルト)より低くなると、双極性パルス信号のゼロクロスタイミングを境に、コンパレータ51の出力信号レベルがハイレベルからローレベルに切り替わる。そうすると、コンパレータ51からのローレベルの出力信号に基づき、MOSFET54をオフするためのローレベルの電圧信号が、駆動回路55の出力端子からレベル調整回路56を介してMOSFET54のゲートに供給される。結果、MOSFET54の状態がオンからオフに切り替えられてノードNDの電圧(反転入力端子の電圧)がゼロから参照電圧VREFに切り替えられる。
但し、タイミング弁別回路18M[i]においては、駆動回路56の出力信号を低電位側にシフトしたものがMOSFET54のゲートに供給されるため、基本実施例のタイミング弁別回路18[i]を用いる場合と比べ、確実にMOSFET54をオン/オフ制御できる。例えば、駆動回路56がローレベルの信号として0.8Vの電圧信号を出力したとき、ダイオード56D1及び56D2の作用により、MOSFET54のゲートには、0.8Vよりも十分に小さな(実質的にゼロボルト)電圧しか加わらなくなるため、MOSFET54をアナログ素子としても十分にオフ状態にすることができる。
尚、図7(a)のタイミング弁別回路18[i]及び図11(a)のタイミング弁別回路18M[i]において、駆動回路55を削除することも可能である。図7(a)のタイミング弁別回路18[i]から駆動回路55を削除する場合、コンパレータ51の出力信号を、直接、MOSFET54のゲートに供給すれば良い。図11(a)のタイミング弁別回路18M[i]から駆動回路55を削除する場合、コンパレータ51の出力信号を、直接、ダイオード56D1のアノードに供給すれば良い。但し、信号SF[i]の電圧とノードNDの電圧との高低関係に基づくコンパレータ51の出力信号レベル制御(コンパレータ51の出力論理)を上述してきたものと逆にすることも可能であり、そのような構成では、論理反転を行う駆動回路55が必須となる。様々な仕様に対応できるようにするために駆動回路55があった方が好ましい。
また、図11(a)の例では、レベル調整回路56に2つのダイオードが含まれているが、駆動回路55の出力端子とMOSFET54のゲートとの間に直列に介在するダイオードの個数は1つであっても良いし、3つ以上であっても良い。MOSFET54にて所望のオン/オフが実現されるよう、駆動回路55の出力特性とMOSFET54の特性を考慮して最適なダイオード数を決定すれば良い。
半導体スイッチング素子としてのトランジスタ54がNチャネル型のMOSFETであることを想定したが、トランジスタ54は、Nチャネル型のMOSFET以外の半導体スイッチング素子であっても良い。例えば、トランジスタ54がPチャネル型のMOSFETとして構成されるようにタイミング弁別回路18[i]及び18M[i]の回路構成を変形しても良いし、トランジスタ54としてJFET(接合型電界効果トランジスタ)又はバイポーラトランジスタを用いるようにしても良い。
何れにせよ、トランジスタ54は、第1導通端子、第2導通端子及び制御端子を有し、制御端子への供給電圧に基づき、第1導通端子及び第2導通端子間の電路をオン(導通状態)又はオフ(非導通状態)とする半導体スイッチング素子である。トランジスタ54が電界効果トランジスタとして形成されている場合、第1及び第2導通端子はドレイン及びソースであって且つ制御端子はゲートである。トランジスタ54がバイポーラトランジスタとして形成されている場合、第1及び第2導通端子はコレクタ及びエミッタであって且つ制御端子はベースである。
トランジスタ54は、第1又は第2導通端子の電位を基準として自身の制御端子への供給電圧が所定の第1電圧(例えば0.1V)であるときにオフとなり、第1電圧と異なる所定の第2電圧(例えば4V)であるときにオンとなるスイッチング素子であって、トランジスタ54の閾値電圧(例えば1.2V)は第1電圧と第2電圧との間にある。
そして、コンパレータ51の出力信号レベルに基づくトランジスタ54をオフするための電圧信号がレベル調整回路56内のダイオードを通じてトランジスタ54の制御端子に供給される際において、トランジスタ54をオフするための電圧信号の電圧レベルがレベル調整回路56のダイオードにより第2電圧のレベルから第1電圧のレベルに向かう方向にシフトされるように、レベル調整回路56のダイオードは配置されている。これにより、トランジスタ54をオフすべきタイミングにおいて確実にトランジスタ54をオフすることが可能となる。
図11(a)の例では、トランジスタ54をオフするための電圧信号の電圧レベルが低電位側にシフトされるようにレベル調整回路56のダイオードが配置されているが、トランジスタ54の種類を含むタイミング弁別回路18M[i]の回路構成によっては、高電位側にシフトされるようにレベル調整回路56のダイオードが配置されることもありえる。
<<第2実施例>>
第2実施例を説明する。1つの捉え方として、放射線検出装置1を以下のように考えることもできる。
第2実施例を説明する。1つの捉え方として、放射線検出装置1を以下のように考えることもできる。
図12を参照し、即ち、放射線検出装置1は、放射線の入射に基づくシンチレータ(10)の発光に対応する光パルス波(SA[i])を各々に出力する複数の光検出器(11[1]〜11[4])と、複数の光検出器からの複数の出力信号(SA[1]〜SA[4])を個別に増幅及び波形整形することで複数の波形整形信号(SD[1]〜SD[4])を生成する前段回路101と、複数の波形整形信号を加算して加算信号(SH)を生成し、加算信号を波形整形することでサンプリング対象信号(SJ)を生成するサンプリング対象信号生成回路102と、前段回路101からの複数の波形整形信号に基づきトリガ信号(SK)を出力可能なトリガ信号出力回路103と、トリガ信号出力回路103からトリガ信号が出力された際、その出力タイミングに応じたタイミングでサンプリング対象信号の信号値情報を取得することでシンチレータの発光情報を得る情報取得回路104と、を備えている、と考えることができる。
ここで、前段回路101は、回路12[1]〜12[4]、13[1]〜13[4]及び14[1]〜14[4]を含んで構成され、サンプリング対象信号生成回路102は、回路20〜22を含んで構成され、トリガ信号出力回路103は、回路16[1]〜16[4]、17[1]〜17[4]、18[1]〜18[4]及び23を含んで構成され、情報取得回路104はAD変換回路24を含んで構成される、と考えることができる。AD変換回路24の後段回路(不図示)も情報取得回路104に含まれる、と解しても良い。
<<第3実施例>>
第3実施例を説明する。電子と陽電子が対消滅する際、第1方向に511keV(キロエレクトロンボルト)のガンマ線が放出されると同時に、第1方向とは逆の第2方向に511keVのガンマ線が放出される。
第3実施例を説明する。電子と陽電子が対消滅する際、第1方向に511keV(キロエレクトロンボルト)のガンマ線が放出されると同時に、第1方向とは逆の第2方向に511keVのガンマ線が放出される。
これらのガンマ線を検出するべく、第1方向に放出されるガンマ線が入射する位置に第1のシンチレータ10を配置した第1の放射線検出装置1を設けると共に、第2方向に放出されるガンマ線が入射する位置に第2のシンチレータ10を配置した第2の放射線検出装置1を設け、2つの放射線検出装置1の検出結果の相関を利用してガンマ線の検出を行うようにしても良い。この際、光パルス波の発生タイミングが第1及び第2の放射線検出装置1間で一致するように、ガンマ線の発生点から第1の放射線検出装置1のシンチレータ10までの距離と同発生点から第2の放射線検出装置1のシンチレータ10までの距離とを同じにしておくと良い。但し、それら2つの距離の間に多少の差(例えば数m以下の差)があっても構わない。即ち、それら2つの距離の差をガンマ線の進行速度(約30cm/ナノ秒)で割った値が、同時パルス波入力があったか否かを判別するために用いられる上記時間幅に対し、十分に小さければ、相関を利用したガンマ線の検出が問題なく可能となる。
上記のガンマ線を1台の放射線検出装置1にて検出するようにしても良い。上記のガンマ線を1台の放射線検出装置1にて検出するように構成された放射線検出装置1を特に放射線検出装置1Aと称する。図13は、放射線検出装置1Aのブロック図である。放射線検出装置1Aは、シンチレータ10として第1のシンチレータ10及び第2のシンチレータ10を備えている点を除き、図1の放射線検出装置1と同様の構成を有する。第1のシンチレータ10及び第2のシンチレータ10は、対消滅よるガンマ線を発生させる試料SMPを挟み込むように対応配置される。
即ち、試料SMPから第1方向に放出されるガンマ線が入射する位置に第1のシンチレータ10を配置すると共に試料SMPから第2方向に放出されるガンマ線が入射する位置に第2のシンチレータ10を配置する。その上で、光検出器11[1]及び11[2]を第1のシンチレータ10からのシンチレーション光を受ける位置に配置すると共に光検出器11[3]及び11[4]を第2のシンチレータ10からのシンチレーション光を受ける位置に配置する。即ち、光検出器11[1]及び11[2]が、第1のシンチレータ10における互いに共通の領域からのシンチレーション光(第1方向に放出されるガンマ線に基づくシンチレーション光)を同時に検出して各々に光パルス波を出力するように配置し、且つ、光検出器11[3]及び11[4]が、第2のシンチレータ10における互いに共通の領域からのシンチレーション光(第2方向に放出されるガンマ線に基づくシンチレーション光)を同時に検出して各々に光パルス波を出力するように配置しておく。
このようにすれば、対消滅にてガンマ線が発生したとき、第1方向に放出されるガンマ線に基づき光検出器11[1]及び11[2]から光パルス波が出力され、その出力と同時に、第2方向に放出されるガンマ線に基づき光検出器11[3]及び11[4]から光パルス波が出力されるため、同時パルス波入力があったと判定されてAD変換回路24から第1及び第2のシンチレータ10の発光量に関する情報(ひいては発生したガンマ線の情報)が得られる。尚、試料SMP及び第1のシンチレータ10間の距離と試料SMP及び第2のシンチレータ10間の距離とは同じとされる。但し、それら2つの距離の間に多少の差(例えば数m以下の差)があっても構わない。即ち、それら2つの距離の差をガンマ線の進行速度(約30cm/ナノ秒)で割った値が、同時パルス波入力があったか否かを判別するために用いられる上記時間幅に対し、十分に小さければ、相関を利用したガンマ線の検出が問題なく可能となる。
<<第4実施例>>
第4実施例を説明する。放射線検出装置1に4つの光検出器11[i]を設ける例を上述したが、放射線検出装置1に設けられる光検出器11[i]の個数(従って単位ブロック回路U[i]の個数)は2以上であれば幾つでも良い。
第4実施例を説明する。放射線検出装置1に4つの光検出器11[i]を設ける例を上述したが、放射線検出装置1に設けられる光検出器11[i]の個数(従って単位ブロック回路U[i]の個数)は2以上であれば幾つでも良い。
<<第5実施例>>
第5実施例を説明する。AD変換回路24を、トリガ信号の入力タイミングにおけるサンプリング対象信号SJの電圧値(即ちピーク値VALp;図6参照)が所定の電圧範囲内に収まっているか否かを判定するウィンドウコンパレータ(不図示)に置換することも可能である。当該ウィンドウコンパレータの判定結果に基づけば特定のエネルギを有する放射線の入射があったか否かを判断可能であり、特定の放射線エネルギに対応した簡便な検出器を構成することが可能となる。
第5実施例を説明する。AD変換回路24を、トリガ信号の入力タイミングにおけるサンプリング対象信号SJの電圧値(即ちピーク値VALp;図6参照)が所定の電圧範囲内に収まっているか否かを判定するウィンドウコンパレータ(不図示)に置換することも可能である。当該ウィンドウコンパレータの判定結果に基づけば特定のエネルギを有する放射線の入射があったか否かを判断可能であり、特定の放射線エネルギに対応した簡便な検出器を構成することが可能となる。
<<第6実施例>>
第6実施例を説明する。光検出器11[i]としてMPPC(登録商標)を使用することを上述したが、光検出器11[i]は、自身に入射したシンチレーション光に応じた光パルス波を出力できるものであれば、MPPC(登録商標)に限定されない。
第6実施例を説明する。光検出器11[i]としてMPPC(登録商標)を使用することを上述したが、光検出器11[i]は、自身に入射したシンチレーション光に応じた光パルス波を出力できるものであれば、MPPC(登録商標)に限定されない。
例えば、ガイガーモードとは異なるノーマルモードで動作するAPDにより光検出器11[i]を構成しても良い。或いは例えば、SiPIN(silicon P-intrinsic-N)フォトダイオードにより光検出器11[i]を構成しても良い。APD又はSiPINフォトダイオードは光半導体素子に属する。光半導体素子と異なる構成要素を用いて光検出器11[i]を構成するようにしても良く、例えば、光電子増倍管にて光検出器11[i]を構成しても良い。
尚、光電子増倍管は一般に数100V程度の高電圧を必要とする。SiPINフォトダイオードは、そのような高電圧が必要とならない分、利点を有するが、前置増幅回路及び波形整形増幅回路に対して高い性能が求められることが多い。光検出器にAPDを用いた場合、SiPINフォトダイオードを用いる場合と比べ、前置増幅回路及び波形整形増幅回路に対する要求性能の低減が期待される。特に、MPPC(登録商標)は、数10V程度で動作可能である、出力信号が大きい且つ衝撃に強いといった有益な特徴を有しているため、光検出器11[i]としてMPPC(登録商標)を用いることが望ましい。但し、MPPCは固体素子であるため、熱励起によるノイズの影響を強く受ける。このため、上述してきたような放射線検出装置1の雑音除去機能が重要となる。
<<本発明の考察>>
本発明について考察する。
本発明について考察する。
本発明に係る放射線検出装置Wは、放射線の入射に基づくシンチレータの発光に対応する光パルス波(SA[i])を各々に出力する複数の光検出器と、前記複数の光検出器からの複数の出力信号(SA[1]〜SA[4])を個別に増幅及び波形整形することで複数の波形整形信号(SD[1]〜SD[4])を生成する前段回路と、前記複数の波形整形信号を加算して加算信号(SH)を生成し、前記加算信号を波形整形することでサンプリング対象信号(SJ)を生成するサンプリング対象信号生成回路と、前記前段回路からの前記複数の波形整形信号に基づきトリガ信号(SK)を出力可能なトリガ信号出力回路と、前記トリガ信号出力回路から前記トリガ信号が出力された際、その出力タイミングに応じたタイミングで前記サンプリング対象信号の信号値情報を取得することで前記シンチレータの発光情報を得る情報取得回路と、を備えたことを特徴とする。
サンプリング対象信号生成回路とは別にトリガ信号出力回路を設け、トリガ信号出力回路に複数の波形整形信号を与えれば、複数の波形整形信号に基づき、各光検出器の出力がシンチレータの発光に由来するものであるのか、雑音に由来するものであるのかを区別することができる。そして、シンチレータの発光に由来すると判断された場合にトリガ信号を出力するようにすることで、雑音の影響が低減される。結果、シンチレータの発光情報(ひいては放射線の入射情報)を正確に検出することが可能となる。
具体的には例えば、放射線検出装置Wにおいて、前記光パルス波と雑音パルス波とを含んだパルス波の列が各検出器から前記前段回路に入力され、前記トリガ信号出力回路は、前記波形整形信号ごとに、当該波形整形信号に対応する前記光パルス波又は前記雑音パルス波の前記前段回路への入力タイミングの情報を含んだタイミング信号(SG[i])を生成し、前記複数の波形整形信号に基づく複数のタイミング信号(SG[1]〜SG[4])に基づき前記複数の波形整形信号に対応する複数のパルス波が全光検出器から前記前段回路に同時期に入力されたか否かを検出して、同時期に入力されたと検出した場合に前記トリガ信号を出力すると良い。
光パルス波の発生時には、複数の波形整形信号に対応する複数のパルス波が全光検出器から前段回路に同時期に入力されることが期待される。一方、雑音パルス波については複数の光検出器間で相関が無いため、同時期の入力は期待されない。これを利用して上述の如くトリガ信号を生成すれば、雑音の影響を低減することが可能となる。
より具体的には例えば、放射線検出装置Wにおいて、前記サンプリング対象信号生成回路は、前記サンプリング対象信号(SJ)が前記シンチレータの発光量に応じたピーク値を持つように前記加算信号(SH)から前記サンプリング対象信号を生成し、前記トリガ信号出力回路は、前記複数の波形整形信号に対応する複数のパルス波が全光検出器から前記前段回路に同時期に入力されたと検出した場合、前記サンプリング対象信号がピーク値をとるタイミングにて前記サンプリング対象信号の信号値情報が取得されるように前記トリガ信号を出力すると良い。
これにより、シンチレータの発光量に関する情報を正確に検出することが可能となる。
更に具体的には例えば、放射線検出装置Wにおいて、各光検出器から前記前段回路への入力パルス波に基づく電圧信号が前記前段回路にて微分及び積分されることで各波形整形信号(SD[i])が生成され、前記トリガ信号出力回路は、前記波形整形信号ごとに、前記波形整形信号を積分及び微分することで得た双極性パルス信号(SF[i])のゼロクロスタイミングを検出することで前記タイミング信号(SG[i])を生成するタイミング弁別回路(18[i])を有していると良い。
更に具体的には例えば、放射線検出装置Wにおいて、前記サンプリング対象信号生成回路は、前記加算信号(SH)を積分及び微分することで、前記サンプリング対象信号を双極性信号として生成し、前記双極性信号としての前記サンプリング対象信号がゼロクロスする前であって且つ前記サンプリング対象信号が前記シンチレータの発光量に応じたピーク値をとる前に、前記トリガ信号出力回路での前記ゼロクロスタイミングの検出が完了するよう、前記トリガ信号出力回路における積分及び微分の時定数並びに前記サンプリング対象信号生成回路における積分及び微分の時定数が設定されると良い。
サンプリング対象信号がシンチレータの発光量に応じたピーク値をとる前にゼロクロスタイミングの検出を完了するよう、時定数が定められているため、ゼロクロスタイミングの検出結果に基づくトリガ信号を、サンプリング対象信号がピーク値をとるタイミングにあわせて出力することが可能となる。結果、シンチレータの発光量に関する情報を正確に且つ確実に検出することが可能となる。
また例えば、放射線検出装置Wに関し、前記タイミング弁別回路において、前記複数の波形整形信号から生成される複数の双極性パルス信号の夫々について、電圧信号としての前記双極性パルス信号を受ける第1入力端子、及び、第2入力端子を有し、前記第1入力端子及び前記第2入力端子の電圧の比較結果を示す信号を出力する比較回路と、前記比較回路の出力信号に基づいて、前記第2入力端子の電圧をゼロとは異なる参照電圧(VREF)又はゼロに切り替える切替回路と、が設けられ、前記比較回路の出力信号にて前記タイミング信号が形成され、各双極性パルス信号について、前記切替回路は、前記第2入力端子とゼロ電位ラインとの間に直列に設けられた半導体スイッチング素子と、前記半導体スイッチング素子がオフのときに前記参照電圧を前記第2入力端子に供給する電圧源と、を有し、前記半導体スイッチング素子は制御端子を有して該制御端子の供給電圧に応じてオン又はオフし、前記比較回路の出力信号がダイオードを通じて前記半導体スイッチング素子の制御端子に供給されると良い。
シンチレータの発光に基づく光検出器からの光パルス波に所定の信号処理を施すことで、双極性パルス信号を生成することができる。双極性パルス信号のゼロクロスタイミングは、シンチレーション光の前段回路(前置増幅回路を含む)への入力タイミングに関するタイミング情報を含んでいるため、当該ゼロクロスタイミングを検出することで当該タイミング情報を抽出できる。シンチレーション光の前段回路への入力タイミングが分かれば、光パルス波を増幅及び波形整形して得られる信号よりシンチレータの発光量情報を正確に抽出することが可能となる。このため、双極性パルス信号のゼロクロスタイミングを正確に検出することは肝要である。
上記の如く、比較回路の出力信号がダイオードを通じて半導体スイッチング素子の制御端子に供給されるようにすることで、半導体スイッチング素子を所望通りにオン/オフ制御することが可能となる。つまり、第2入力端子の電圧を所望通りに切り替えることが可能となるため、双極性パルス信号のゼロクロスタイミングを正確に検出することが可能となる。
具体的には例えば、放射線検出装置Wに関し、前記タイミング弁別回路において、各双極性パルス信号について、前記半導体スイッチング素子がオフである状態で前記双極性パルス信号の信号値を示す前記第1入力端子の電圧が前記参照電圧を示す前記第2入力端子の電圧よりも大きくなると、前記比較回路の出力信号レベルが第1レベル(例:ローレベル)から第2レベル(例:ハイレベル)に変化し、前記比較回路の出力信号レベルに基づく前記半導体スイッチング素子をオンするための電圧信号が前記ダイオードを通じて前記半導体スイッチング素子の制御端子に供給され、これによって前記第2入力端子の電圧が前記参照電圧からゼロへと切り替えられ、その後、前記半導体スイッチング素子がオンである状態で前記双極性パルス信号の信号値を示す前記第1入力端子の電圧が前記第2入力端子の電圧よりも小さくなると、前記比較回路の出力信号レベルが前記第2レベル(例:ハイレベル)から前記第1レベル(例:ローレベル)に変化し、前記比較回路の出力信号レベルに基づく前記半導体スイッチング素子をオフするための電圧信号が前記ダイオードを通じて前記半導体スイッチング素子の制御端子に供給され、これによって前記第2入力端子の電圧がゼロから前記参照電圧へと切り替えられると良い。
より具体的には例えば、放射線検出装置Wに関し、前記半導体スイッチング素子は、自身の制御端子への供給電圧が所定の第1電圧(例:0.1V)であるときにオフとなり、前記第1電圧と異なる所定の第2電圧(例:4V)であるときにオンとなるスイッチング素子であって、前記半導体スイッチング素子の閾値電圧(例:1.2V)は前記第1電圧と前記第2電圧との間にあり、前記比較回路の出力信号レベルに基づく前記半導体スイッチング素子をオフするための電圧信号が前記ダイオードを通じて前記半導体スイッチング素子の制御端子に供給される際において、前記半導体スイッチング素子をオフするための電圧信号の電圧レベルが前記ダイオードにより前記第2電圧のレベルから前記第1電圧のレベルに向かう方向にシフトされるよう、前記ダイオードは配置されると良い。
これにより、“比較回路の出力信号レベルに基づく半導体スイッチング素子をオフするための電圧信号”の電圧が、閾値電圧に近い場合などにおいても、半導体スイッチング素子を介した電流の流れを確実に遮断することが可能となる。つまり、半導体スイッチング素子を所望通りにオン/オフ制御することが可能となる。
また例えば、放射線検出装置Wにおいて、前記複数の光検出器は、前記シンチレータにおける互いに共通の領域からの発光を同時に検出して各々に前記光パルス波を出力するものであって良い。
尚、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。以上の実施形態は、あくまでも、本発明の実施形態の例であって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以上の実施形態に記載されたものに制限されるものではない。上述の説明文中に示した具体的な数値は、単なる例示であって、当然の如く、それらを様々な数値に変更することができる。
1 放射線検出装置
10 シンチレータ
11[i] 光検出器
12[i] 前置増幅回路
13[i]、17[i]、22 微分回路
14[i]、16[i]、21 積分回路
18[i] タイミング弁別回路
20 加算回路
23 同時計数回路
24 AD変換回路
101 前段回路
102 サンプリング対象信号生成回路
103 トリガ信号出力回路
104 情報取得回路
10 シンチレータ
11[i] 光検出器
12[i] 前置増幅回路
13[i]、17[i]、22 微分回路
14[i]、16[i]、21 積分回路
18[i] タイミング弁別回路
20 加算回路
23 同時計数回路
24 AD変換回路
101 前段回路
102 サンプリング対象信号生成回路
103 トリガ信号出力回路
104 情報取得回路
Claims (6)
- 放射線の入射に基づくシンチレータの発光に対応する光パルス波を各々に出力する複数の光検出器と、
前記複数の光検出器からの複数の出力信号を個別に増幅及び波形整形することで複数の波形整形信号を生成する前段回路と、
前記複数の波形整形信号を加算して加算信号を生成し、前記加算信号を波形整形することでサンプリング対象信号を生成するサンプリング対象信号生成回路と、
前記前段回路からの前記複数の波形整形信号に基づきトリガ信号を出力可能なトリガ信号出力回路と、
前記トリガ信号出力回路から前記トリガ信号が出力された際、その出力タイミングに応じたタイミングで前記サンプリング対象信号の信号値情報を取得することで前記シンチレータの発光情報を得る情報取得回路と、を備えた
ことを特徴とする放射線検出装置。 - 前記光パルス波と雑音パルス波とを含んだパルス波の列が各検出器から前記前段回路に入力され、
前記トリガ信号出力回路は、
前記波形整形信号ごとに、当該波形整形信号に対応する前記光パルス波又は前記雑音パルス波の前記前段回路への入力タイミングの情報を含んだタイミング信号を生成し、
前記複数の波形整形信号に基づく複数のタイミング信号に基づき前記複数の波形整形信号に対応する複数のパルス波が全光検出器から前記前段回路に同時期に入力されたか否かを検出して、同時期に入力されたと検出した場合に前記トリガ信号を出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の放射線検出装置。 - 前記サンプリング対象信号生成回路は、前記サンプリング対象信号が前記シンチレータの発光量に応じたピーク値を持つように前記加算信号から前記サンプリング対象信号を生成し、
前記トリガ信号出力回路は、前記複数の波形整形信号に対応する複数のパルス波が全光検出器から前記前段回路に同時期に入力されたと検出した場合、前記サンプリング対象信号がピーク値をとるタイミングにて前記サンプリング対象信号の信号値情報が取得されるように前記トリガ信号を出力する
ことを特徴とする請求項2に記載の放射線検出装置。 - 各光検出器から前記前段回路への入力パルス波に基づく電圧信号が前記前段回路にて微分及び積分されることで各波形整形信号が生成され、
前記トリガ信号出力回路は、前記波形整形信号ごとに、前記波形整形信号を積分及び微分することで得た双極性パルス信号のゼロクロスタイミングを検出することで前記タイミング信号を生成するタイミング弁別回路を有する
ことを特徴とする請求項3に記載の放射線検出装置。 - 前記サンプリング対象信号生成回路は、前記加算信号を積分及び微分することで、前記サンプリング対象信号を双極性信号として生成し、
前記双極性信号としての前記サンプリング対象信号がゼロクロスする前であって且つ前記サンプリング対象信号が前記シンチレータの発光量に応じたピーク値をとる前に、前記トリガ信号出力回路での前記ゼロクロスタイミングの検出が完了するよう、前記トリガ信号出力回路における積分及び微分の時定数並びに前記サンプリング対象信号生成回路における積分及び微分の時定数が設定される
ことを特徴とする請求項4に記載の放射線検出装置。 - 前記複数の光検出器は、前記シンチレータにおける互いに共通の領域からの発光を同時に検出して各々に前記光パルス波を出力する
ことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の放射線検出装置。
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- 2017-02-01 JP JP2017016723A patent/JP2018124176A/ja active Pending
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