JP2018124162A - リーク検査方法 リーク検査装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】短時間の測定であっても高い精度でリークの有無を判定できるリーク検査方法およびリーク検査装置を提供する。【解決手段】ワークWと漏れのないマスタMを所定圧力に加圧後に封止して放置したときの差圧の変化を時間Tまで測定する。該測定値に基づく差圧の変化率の時間経過の関数をr(t)とし、r(t)を近似するモデル関数を、差圧の変化率の時間経過のモデル関数を、時間tが無限大に向かうときに一様に0に収束する複数の滑らかな関数と、一つの定数との線形結合である関数f(t)で表す。r(t)とモデル関数f(t)の差が最小になるようにモデルf(t)の各係数の値を最小二乗法で決定する。決定した係数の内の定数項の値Dは時間無限大における漏れ量を表す値であり、この値に基づいて検査対象容器の漏れの有無を判定する。加圧する圧力水準を変えて、Dの値をそれぞれ求め、それらを線形結合することにより、環境温度変化が漏れ判定に与える影響を減少させることができる。【選択図】図1

Description

本発明は、検査対象の容器の漏れを検査するリーク検査方法、リーク検査装置に関する。
空気加圧式のリーク試験では、密閉容器内に封入した空気圧力の変化に基づいて、リークの有無を判定する。工業規格(JIS Z2332:2012,圧力変化による漏れ試験方法)に定めてある方法によると、日(day)の単位の長時間を要するものもあるし、指定時間における圧力降下の上限を定めているものもある。
しかし、産業現場の生産ラインにおける検査では、これらのいずれよりも短い時間でリークの有無を判定することが要求される。短時間でのリーク判定の障害は、空気の温度変化が圧力変化を引き起こし、漏れが無くても圧力が変化することである。短時間測定という現場からの要求に応えるために取られてきた従来の検査法の代表的なものには以下のようなものがある。
(第1の検査法)
短い加圧検査時間の最後の圧力値から、温度補償値と呼ぶ数値を差し引き、その残りの数値の大きさにより、リークの有無を判定する(下記特許文献1、2、3参照)。
(第2の検査法)
第1の検査法と同様に、圧力の時間に対する変化率(以下、圧力の変化率)を、圧力の測定値から求め、それとは別の測定によって、温度変化に起因する圧力変化率を何らかの方法で推定して、該温度変化に起因する圧力の変化率の推定値を、測定値から求めた圧力の変化率から差し引いた残りをリークによる圧力変化率であるとしてリークの有無を判定する(下記特許文献4、5参照)。
(第3の検査法)
リークがない容器に対して行った試験において、加圧後の圧力の変化のパターンを記録装置に記録しておき、それと加圧後の検査対象の容器に生じる圧力変化のパターンとを比較し、検査対象の容器に生じた圧力低下がリークがない容器に生じた圧力低下より大きい場合に、検査対象の容器にリークがあると判定する。この場合、リークがない容器における圧力変化のパターンは、生産ライン上で測定した検査体の平均のパターンとするものもある(下記特許文献3、9、10参照)。
(第4の検査法)
加圧により生じる検査体と参照容器の間の差圧を、リークによる時間の線形関数と、温度変化による指数関数の和と考え、差圧対時間の曲線に対するフィティングによりリークを求める(下記特許文献6、7、8参照)。
特許第5844081号 特開2013−024635号公報 特公昭53−025267号公報 特開昭63−0277948 特許第3411374号 特開2004−061201号公報 特許第4173255号 特許第4056818号 特許第3212898号 特許第3133275号
上記第1〜第4の検査法はいずれも、検査時間の終わりでの値を用いて判定するので、検査時間が短いときには、温度変化の影響が残っていて、リークがない検査体をリーク有りと誤判定することが多い。リーク判定の分野では、「リトライ率」(全検査体数に対して測定のやり直しをする検査体数の割合)などという語が横行するほど、上記の誤判定が頻発する。このリトライは、同じ検査手順で再度測定を行うものが一般的であるが、リトライのときには検査時間を延長する選択もある。こうしたリトライ率を低下させるために、リーク判定の基準を甘くせざるを得ないこともあるが、それでは判定の信頼性が低下する。
差圧の時間に対する変化率は、容器内部空気の流出すなわち物質移動に伴う差圧変化率と、内部空気への熱の移動に起因する差圧変化率という二つの部分から構成されるが、リーク検査では、これらの合計が、差圧変化率として観測される。そのため、ある時刻における変化率値を見るだけの検査法や、単にある時刻における差圧値を見るだけの検査法では、リークによる圧力変化率と、熱移動による圧力変化率を区別して認識することはできない。こうした瞬時値に基づくリーク判定を有効にするために、長時間待つことで熱移動による成分を十分に減少させるとか、あらかじめ熱移動による成分を別測定データを用いて推定するなどの対応が行われてきたが、いずれも良好な判定精度を得るには至らず、リトライが当然視される現状となっている。
本発明は、上記問題の解決を課題とするものであり、短時間の測定であっても高い精度でリークの有無を判定することのできるリーク検査方法およびリーク検査装置を提供することを目的としている。
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
[1]検査対象容器の漏れの有無を検査するリーク検査方法であって、
検査対象容器の内圧と漏れの無い参照容器の内圧とを共に所定圧力にして封止した後に放置したときの前記検査対象容器の内圧と前記参照容器の内圧との差圧を順次測定し、測定時刻と測定値とを対応付けて記録する測定ステップと、
差圧の変化率の時間経過のモデル関数を、時間tが無限大に向かうときに一様に0に収束する複数の滑らかな関数と、一つの定数との線形結合である関数f(t)として、前記測定ステップで測定した測定値から、該線形結合の各係数の値を決定する係数算出ステップと、
前記係数算出ステップで決定した係数のうちの定数項の値に基づいて、前記検査対象容器の漏れの有無を判定する判定ステップと、
を有する
ことを特徴とするリーク検査方法。
上記発明では、差圧の変化率の時間経過のモデル関数を、時間tが無限大に向かうときに一様に0に収束する複数の滑らかな関数と、一つの定数との線形結合である関数f(t)として、前記測定ステップで測定した測定値から、該線形結合の各係数の値を決定する。たとえば、差圧の変化率のモデル関数として、簡単で合理的な例は、時間tの逆数のべき乗の線形結合である。しかし、上記の条件を満足するものであれば時間の負の整数べき乗以外の関数であって差し支えはなく、たとえばexp(-αt)/t などを関数の一つに加えると良い場合もある。それらの複数の関数の線形結合の係数値を、差圧の測定値に基づいて求める。求めた係数のうちの定数項は、時間無限大における差圧の変化率を示している。温度や外部環境による差圧の変化率が時間無限大でゼロに収束する環境条件では、上記の定数項は漏れ量を示すことになるので、該定数項の値に基づいて、検査対象容器の漏れの有無を判定する。
[2]前記係数算出ステップでは、前記測定ステップでの測定値に基づく差圧の変化率の時間経過の関数をr(t)とし、r(t)を近似するモデル関数を前記f(t)とし、前記測定ステップで測定したK個の測定値から、
の値が最小になるようにf(t)の各係数の値を決定する
ことを特徴とする請求項1に記載のリーク検査方法。
前記r(t)は、測定した差圧J(t)に対して線形の演算を施した量であって、その主要部が差圧の変化率を表現するものであれば良い。最も簡単に着想するのは、測定差圧J(t)の数値微分であるが、実際にこれを行うと、測定に伴うノイズが増幅され、目的とする差圧変化率が不正確になり、実用性において他のものに劣る。次に簡単なr(t)は、測定差圧を時間tで割ったJ(t)/tであろう。これは微分のようにノイズを増幅しないが、減衰もさせない。それゆえ、差圧センサーや信号処理回路のノイズ水準が低い測定装置では、これをr(t)として実用することが可能である。
ノイズを減衰させ、差圧変化率を正確に表示できる方法として優秀な例は、下記の式(13)である。以上、例を述べたが、その本質は、測定した差圧に線形演算を施した結果の主要部が差圧の変化率となる量を用いることを特徴とする。
[3]検査対象容器の漏れの有無を検査するリーク検査方法であって、
検査対象容器の内圧と漏れの無い参照容器の内圧とを共に所定圧力P1にして封止した後に放置したときの前記検査対象容器の内圧と前記参照容器の内圧との差圧を順次測定し、測定時刻と測定値とを対応付けて記録する第1測定ステップと、
前記検査対象容器の内圧と前記参照容器の内圧とを共に所定圧力P2にして封止した後に放置したときの前記検査対象容器の内圧と前記参照容器の内圧との差圧を順次測定し、測定時刻と測定値とを対応付けて記録する第2測定ステップと、
差圧の変化率の時間経過のモデル関数を、時間tが無限大に向かうときに一様に0に収束する複数の滑らかな関数と、一つの定数との線形結合である関数f1(t)として、前記第1測定ステップで測定した測定値からf1(t)の各係数の値を決定する第1係数算出ステップと、
差圧の変化率の時間経過のモデル関数を、時間tが無限大に向かうときに一様に0に収束する複数の滑らかな関数と、一つの定数との線形結合である関数f2(t)として、前記第2測定ステップで測定した測定値からf2(t)の各係数の値を決定する第2係数算出ステップと、
前記第1係数算出ステップで求めた係数のうちの定数項をD1、前記第2係数算出ステップで求めた係数のうちの定数項をD2とし、下記の演算の結果の値を漏れ流路の形状のみにより決定される係数として、容器の漏れの有無を判定するステップと、
(ただし、Paは環境圧力、Vは検査対象容器の容積、μは気体粘度)
を有する
ことを特徴とするリーク検査方法。
上記発明では、異なるチャージ圧下で差圧の測定を各1回行うことで、定数項に含まれる環境温度変化の影響を消去して、より正確な漏れ量を求めることができる。
[4]前記第1係数算出ステップでは、前記第1測定ステップでの測定値に基づく差圧の変化率の時間経過の関数をr1(t)とし、r1(t)を近似するモデル関数を前記f1(t)とし、前記第1測定ステップで測定したK1個の測定値から、
の値が最小になるようにf1(t)の各係数の値を決定し、
前記第2係数算出ステップでは、前記第2測定ステップでの測定値に基づく差圧の変化率の時間経過の関数をr2(t)とし、r2(t)を近似するモデル関数を前記f2(t)とし、前記第2測定ステップで測定したK2個の測定値から、
の値が最小になるようにf2(t)の各係数の値を決定する
ことを特徴とする[3]に記載のリーク検査方法。
[5]検査対象容器の漏れの有無を検査するリーク検査方法であって、
Paを環境圧力として、
検査対象容器の内圧と漏れの無い参照容器の内圧とを共に所定圧力P=Paにして封止した後に放置したときの前記検査対象容器の内圧と前記参照容器の内圧との差圧を順次測定し、測定時刻と測定値とを対応付けて記録する第1測定ステップと、
前記検査対象容器の内圧と前記参照容器の内圧とを共に所定圧力Pにして封止した後に放置したときの前記検査対象容器の内圧と前記参照容器の内圧との差圧を、前記放置の開始時を基準とした各測定タイミングを前記第1測定ステップの場合と同じにして順次測定し、測定時刻と測定値とを対応付けて記録するする第2測定ステップと、
前記第1測定ステップでの測定値に基づく差圧の変化率の時間経過の関数をr1(t)とし、前記第2測定ステップでの測定値に基づく差圧の変化率の時間経過の関数をr2(t)とし、r2(t)-(P2/P1)r1(t)を近似するモデル関数F(t)を、時間tが無限大に向かうときに一様に0に収束する複数の滑らかな関数と、一つの定数との線形結合である関数F(t)として、前記第1、第2測定ステップで測定したK個の測定値から、
の値が最小になるようにF(t)の各係数の値を決定する係数算出ステップと、
前記係数算出ステップで決定した定数項の値に基づいて、前記検査対象容器の漏れの有無を判定する判定ステップと、
を有する
ことを特徴とするリーク検査方法。
[6]前記係数の決定において、前記放置の開始後の所定期間の測定値は除外する
ことを特徴とする[1]乃至[5]のいずれか1つに記載のリーク検査方法。
上記発明では、所定圧力にチャージした後の所定期間は、測定される差圧に特異な変動がみられるため、時間無限大での定数項を得る目的から、その期間を排除してモデル関数の係数値を決定する。
[7][1]乃至[6]のいずれか1つに記載のリーク検査方法を用いて検査対象容器の漏れの有無を検査するリーク検査装置。
本発明に係るリーク検査方法およびリーク検査装置によれば、短時間の測定であっても高い精度でリークの有無を判定することができる。また、適切な測定時間を決めることができる。
観測した関数r(t)と、推定した関数F(t)の関係を示す図である。 本発明に係るリーク検査方法を実施するリーク検査装置の概略構成を示す図である。 データ採取から第1の漏れ量推定方法で漏れ量を推定して漏れの有無を判定する処理の手順を示す流れ図である。 データ採取から第2の漏れ量推定方法で漏れ量を推定して漏れの有無を判定する処理の手順を示す流れ図である。 データ演算の詳細を示す流れ図である。 図5の続きを示す流れ図である。 D1, D2の関係を示すグラフを示す図である。 測定した差圧の時間経過を示す図である。 図8のデータに対して(13)式の左辺の計算を行った結果を示す図である。 容器内と容器外とのエネルギーの授受を示す図である。
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
まず、本発明に係るリーク検査方法の概要を説明する。
検査対象容器と漏れのない参照容器を共に所定の圧力にした後に封止して放置したときの検査対象容器内の圧力と参照容器内の圧力との差圧を順次測定し、測定時刻と測定値を対応付けて記録する。測定から得られる差圧の変化率は検査時間内においては一つの時間関数である。そこで、測定値から、差圧の変化率を表す関数の形を表すパラメータを検出し、この関数の時間無限大のときの値からリークの有無を判定する。温度変動などの影響による差圧の変化率が時間無限大においてゼロに収束するという条件が成立すれば、差圧の変化率の関数が時間無限大のときにとる値は、漏れによる差圧の変化率を表している。
このように差圧の変化率を表す関数を特定できれば、時刻を特定することに伴う誤りを防ぐことができるばかりでなく、測定をしていない未来値からリークの有無を判定することができる。なお、このような予測が可能であるためには、測定対象が、想定した物理法則にしたがっていることが前提である。すなわち、漏れ以外の要因による差圧の変化率が時間無限大に向かってゼロに収束することが前提である。
差圧の変化率を表す関数の推定は次のように行う。まず圧力の変化率の時間経過を表す関数を差圧の測定値から算定する。これはいろいろな量が定義できる。これを関数r(t)とする。次にr(t)を良く近似する近似関数(モデル関数f(t))を設定する。このモデル関数を、時間tが無限大に向かうときに一様に0に収束する複数の滑らかな関数と、一つの定数との線形結合である関数f(t)とする。滑らかな関数とは、連続かつ微分可能ということであり、そのグラフが段付きステップや折れのない関数である。
言い換えると、モデル関数f(t)は下記のように設定ればよい。
1.時間tが無限大に向かうときに0に収束する関数を複数設定する。
2.上記関数は、全て微分可能である。
3.上記関数をグラフで示すと、全てが、段付きステップや折れのない関数である。
4.上記1.で設定した各々の関数に定数を設定して線形結合する。
5.上記4.で線形結合して得た関数(f(t))をモデル関数とする。
この近似関数(モデル関数f(t))は、時間無限大において一つの値に収束するものであれば良いが、簡単なアルゴリズムで関数が決定できるものであることが望ましい。ここでいう簡単なアルゴリズムとは、既知の回数の既知の演算で完結する算法で係数を決定できることである。
本実施の形態では、この条件を満足する簡単な関数として、時間tの逆数のべき乗の線形結合を使用する。すなわち、f(t)の一例として、次のF(t)
を用い、
を最小にするように、D、c1、c2を定める。
式(1)の代わりにたとえば、F(t)=D+c1/t2+c2/t3 を用いても良いのであるが、混乱を避けるために、この説明では、式(1)の場合について説明を行う。この場合、通常の最小二乗法を適用することで、これらのパラメータを有限回の計算で定めることができる。図1は観測した関数r(t)と、推定した関数F(t)の関係を示している。r(t)は有限時間Tで終了しているが、これを近似したF(t)には無限遠で収束する値Dがある。この値Dを時間無限大における漏れ量に対応する値としてリークの有無を判定する。
このようにして求められるDは、同じ物理的環境のもとで平衡状態に達したときの圧力変化率を表すから、測定時間の最終端(時刻T)における圧力の変化率F(Tp)を、リークを表わす量としていた従来の方法よりも、真値に近い値である。また、圧力変化率曲線を近似するので、ある時点の関数値をもって判定の根拠とする従来の方法に比べて、ノイズの影響を受けにくい。また、求めるべきは圧力変化率であるとして、差圧曲線の測定端部の近傍で最小二乗法を用いて平均勾配を求めてしまう方法のように、温度変化の影響を直接受けることもない。
本発明に係るリーク検査方法は圧力(差圧)の変化率の発生が容器の放熱以外の原因によるものが加わっていても、長い時間後にその原因による圧力の変化率が一つの定常値に限りなく近づくという性質を有する物理現象に起因するならば、応用が可能である。
図2は、本発明に係るリーク検査方法を実施するリーク検査装置10の概略構成を示している。リーク検査装置10は、検査対象容器(例えば、貯湯タンクや熱交換器等)の漏れを検査する装置であって、ハード部分は周知のものである。検査対象容器をワークWとする。漏れのないことが確認されている参照容器をマスタMとする。ワークとマスタは同じ力学的および熱力学的パラメータを持った異なる容器であることが望ましいが、必ずしもその条件に沿わなくてもよい。
リーク検査装置10は、加圧された空気の供給源3の接続口となる加圧源接続口11と、ワークWを接続するためのワーク接続口12と、マスタMを接続するためのマスタ接続口13を備えている。リーク検査装置10は内部の管路として、加圧源接続口11に一端が接続された第1配管21を有し、第1配管21は途中で二手に分岐して第2配管22と第3配管23となり、第2配管22の他端はマスタ接続口13に、第3配管23の他端はワーク接続口12にそれぞれ接続されている。
第1配管21には第1開閉弁31が介挿されている。第2配管22には第2開閉弁32が介挿されている。第3配管23には第3開閉弁33が介挿されている。第2開閉弁32とマスタ接続口13との間の第2配管22と、第3開閉弁33とワーク接続口12との間の第3配管23との間には、差圧計38が接続されている。また、第1開閉弁31と第3開閉弁33との間の所定箇所で第3配管23から排気管24が分岐しており、排気管24の途中に排気弁34が設けてある。排気管24の終端は排気ポートとなっており大気開放されている。
第2配管22のうち差圧計38の一方が接続されている箇所とマスタ接続口13との間、および、第3配管23のうち差圧計38の他方が接続されている箇所とワーク接続口12との間には、それぞれ測定器保全用の第5開閉弁35、第6開閉弁36が介挿されている。
リーク検査装置10は、検査の流れの制御、測定、および測定値の記録、測定結果に基づく漏れ判定等を行う記録演算部15を有する。記録演算部15は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を主要部とする回路であり、ROMに格納されたプログラムに従ってCPUが処理を実行することで、リーク検査装置10における検査の制御、測定・記録および判定が行われる。測定結果に基づく漏れの判定は、パーソナルコンピュータ等の外部装置で行われてもよい。
加圧源接続口11には、供給圧力を設定する圧力レギュレータ2を介して加圧気体の供給源3が接続される。また圧力レギュレータ2と加圧源接続口11との間の配管には圧力計5が接続される。圧力レギュレータ2は、下流側が設定圧力となるように下流側に供給する圧力を調整する機能を果たす。
ワーク接続口12にはワークWが接続され、マスタ接続口13にはマスタMが接続される。
図2において、Pは圧力、θは温度、V(大文字)は容積であり、これらには次のように添え字が付けてある。マスタM(参照容器)に関する変数には添え字Rを、ワークW(検査対象容器)に関する変数には添え字Tを付ける。たとえば、マスタM側の圧力はPR、ワークW側の圧力はPTである。PSは加圧気体の供給源3の圧力、Pは圧力レギュレータ2によって制御された圧力である。Paは大気圧である。
リーク検査装置10におけるデータ採取および漏れの有無の判定は、次のような手順で行われる。
<データ採取>
[1]第1開閉弁31を閉じ、第2開閉弁32、第3開閉弁33、排気弁34、第5開閉弁35、第6開閉弁36はすべてを開放する。これを初期状態とする。
[2]圧力レギュレータ2を調整して出力をP0=P1とし、排気弁34を閉じ、その後、第1開閉弁31を開いて、第1開閉弁31の下流全域の圧力をP1とする。なお、排気弁34を閉じた後であれば、第1開閉弁31を閉じた状態でP1の設定をしてから第1開閉弁31を開いてもよい。
[3]第2開閉弁32、第3開閉弁33を閉鎖してマスタMとワークWの連絡路を遮断してから、ただちに差圧計38を用いた差圧の測定を開始し、適当な時間 [t1, t2, ..., tN1] において差圧を記録する。ただし、t1=0とする。N1回測定・記録して、P1のもとでの測定を終える。このようにして第1のデータセット、
[P1(t1),P1(t2)...,P1(tN1)]
を得る。なお、測定した圧力はそれぞれの測定時刻に対応付けされて記録される。
[4]第1開閉弁31を閉じ、第2開閉弁32、第3開閉弁33、排気弁34、第5開閉弁35、第6開閉弁36をすべて開放し、装置を初期状態に戻す。
[5]圧力レギュレータ2を調整して出力をP0=P2とし、排気弁34を閉じ、その後、第1開閉弁31を開いて、第1開閉弁31の下流全域の圧力をP2とする。この場合も、排気弁34を閉じた後であれば、第1開閉弁31を閉じた状態でP0の設定をしてから第1開閉弁31を開いてもよい。ただし、P2を大気圧に等しく選ぶ場合は、[4]の初期状態に対して、排気弁34を閉じるだけで良い。
[6]第2開閉弁32、第3開閉弁33を閉鎖してマスタMとワークWの連絡路を遮断してから、直ちに差圧の測定を開始し、適当な時間 [s1, s2, ..., sN2] において差圧を記録する。ただし、s1=0とする。N2回測定記録して、P2のもとでの測定を終える。このようにして第2のデータセット、
[P2(s1),P2(s2)...,P2(sN2)]
を得る。なお、測定した圧力はそれぞれの測定時刻に対応付けされて記録される。
[7]第1開閉弁31を閉じ、第2開閉弁32、第3開閉弁33、排気弁34、第5開閉弁35、第6開閉弁36をすべてを開放し、装置を初期状態に戻す。
なお、通常はP2>P1とするが、P2<P1とした方が良い場合もある。
以上により、基準圧力P1及びP2におけるデータセット[P1(t1),P1(t2)...,P1(tN1)]および[P2(s1),P2(s2)...,P2(sN2)]を得る。これらのデータセットにおいて、データの個数、N1とN2は必ずしも等しくなくて良いし、時間 [t1, t2, ..., tN1]と、[s1, s2, ..., sN2] は一致しなくてもよい。
[8]以上の二組のデータセットを解析して、漏れ量の推定を行い、推定した漏れ量が基準値以下ならば、ワークWは漏れ無しと判定し、推定した漏れ量が基準値を超える場合は、ワークWは漏れありと判定する。
<漏れ量の推定>
次に、測定で取得したデータセットから漏れ量を推定する方法について説明する。なお、ここでは、ワークWからの微小な漏れ以外に外部との物質交換がなく、かつエネルギーの能動的注入もない場合を考える。この場合、測定した差圧の変化率は、長時間後には指数関数的に減衰して消滅する部分と、定数として残る部分からなる。定数項はリークに起因する部分と、環境温度変化に起因する部分からなる。
<第1の漏れ量推定方法>
第1の漏れ量推定方法では、第1のデータセットに対する解析から、差圧変化率の時間無限大における値D1(定数項として残る部分)を求め、第2のデータセットに対する解析から、差圧変化率の時間無限大における値D2(定数項として残る部分)を求める。次に、容器におけるエネルギー保存法則等から、D1、D2のそれぞれを、リークに起因する部分と環境温度変化に起因する部分で表した理論式を作成し、これら2つの式を連立させて環境温度変化に起因する部分を消去して漏れ量を求める式を導出し、この式にD1、D2、等を代入して得た値に基づいて漏れ量を求める。以下詳細に説明する。
<第1のデータセットに対する解析>
チャージ圧がP1のときに生じる差圧をp1と表す。これは時間の関数である。
式(3)においてp1は時間の関数である。基準圧力P1のもとで生じた差圧の変化率は、
と表すことができる。D1は時間に関して定数項で、y1は時間の関数である。
これらは、
と表される。
なお、式(4)〜式(6)の導出に関する詳細は後に説明する。
式(5)の右辺の第1項は漏れの質量流量により生じる圧力変化率であって、これは漏れ流量に比例する。第2項は2つの容器(ワークWとマスタM)内の温度の差により生じる差圧の変化率のうちの定数項部分である。式(6)は、2つの容器(ワークWとマスタM)内の温度の差により生じる差圧の変化率のうち、時間の経過に従って減衰(指数関数的に減衰)する部分に対応する。時間無限大ではゼロになると考えられる。なお、式(6)の係数A1、1, A2、1は容器内空気や容器の初期値(温度)によって決定される値である。
漏れ流路は微小断面で漏れは層流と考えられるから、上流圧力がP1、下流圧力が大気圧Paのときの質量流量Gは、
である。KTは漏れ流路の形状のみにより決定する定数であるが、検査以前には未知量である。また、CBも未知量である。しかし、D1は、測定値から推定できる量である。その推定は次のように行うことができる。
データセット
[P1(t1),P1(t2)...,P1(tN1)]
に関連する計算をまず行う。この実施例ではr1(T)として、後出の式(16)で表されるI1を用いる。それは次のように導いた量である。まず式(4)の両辺にtnをかける。ただしnは正整数である。
この式を区間 [0, T] で定積分する(ただし、T = tN1)。左辺の積分では、
に注意する。なぜなら、t=0ではマスタMとワークWは連通しているので差圧は0だからである。
両辺を積分して両辺をTn+1で割ると、
である。この式はn=2では、
n=1では
である。
式(12)から式(11)を引いて
を得る。右辺は定数項D1と、時間に伴い減衰する項の和である。
ここで式(13)の左辺を記号I1で表す。すなわち、
と表す。式(13)右辺の第2項は時間経過に伴ってゼロに減衰する項であるから、
と表すことができる。
式(14)で表した I1はp1の測定値、すなわちデータセット [P1(t1),P1(t2)...,P1(tN1)] の数値積分によってその値を求めることができる。従って、I1 に最小二乗法を適用して、D1, b1, c1 などを推定することができる。これは式(15)の無限級数を適当に打ち切って近似し、次のように行うことができる。
なお、この場合の計算は測定時間の全範囲を使うのではなく、時間の下限M1は、0よりも最終計測時刻に近い値を取る方が良い近似を得やすい。すなわち、
とする。tM1はI1(t)のグラフが極値を取る値よりも大きく取るのがよい。D1, b1, c1は周知の最小二乗法を適用して決定する。
ここで言う周知の最小二乗法とは次のものである。その手順は周知であるが、有限回の代数演算でD1を決定できることを示すために、以下に記す。まず式(14)を各パラメータで偏微分をし、それを0とおく。
これらを整理して、連立方程式
を得る。ただし
である。式(18)を解いてD1を求めると、次のようになる。
<第2のデータセットに対する解析>
次にデータセットP2のもとで求めた第2のデータセット、
[P2(s1),P2(s2)...,P2(sN2)]
に対するデータ処理も、第1のデータセットに対する式(5)〜式(16)と同様に行う。
式(5)に対応する式は以下の(22)式となる。
式(14)に対応する式は以下の式になる。
式(16)に対応する式は以下の式になる。
D2, b2, c2は前述したものと同様の最小二乗法で決定する。
<D1、D2から漏れ量を求める>
次に、上記のようにして第1、第2のデータセットから算出したD1, D2に基づいてワークWの漏れ量を求める。(5)式と(22)式とが未知数KTとCBに関する連立方程式となっていることに注目する。これを次のように再記する。
D1, D2の関係をグラフで示すと図7のようになる。
この連立方程式式を解けば、
となる。このKTを用いれば、任意の封入圧のもとでの漏れが、式(7)の形の式で決定できる。
たとえば、圧力P2のもとでの漏れ流量は、
である。
このようにして求めた漏れ流量が基準値以下ならばワークWは漏れ無しと判定し、基準値を超える場合はワークWは漏れありと判定する。
以上説明したデータ採取から第1の漏れ量推定方法により漏れの有無を判定するまでの処理の流れは図3に示すような手順になる。
<第2の漏れ量推定方法>
第1の漏れ量推定方法は一般的な計算法であるが、第2の漏れ量推定方法では、若干の条件を付加することにより、漏れ流量をより簡単に算出する。
簡単化の第1は、P1もしくはP2の一方を大気圧Paに等しく選ぶことである。たとえばP1をPaに等しく取れば、式(27)は以下のようになる。
簡単化の第2は、P1, P2のもとでのデータセットを同じ時間ステップ、同じ個数の、同じ時間のデータとして揃えることである。すなわち、
とすることである。
まず、I1は式(14)で、I2は式(14)の添え字を2に変えて得られる。これらを用いて、
を定義する。
観測値p1、p2を用いて導く量は
である。これは積分を用いたr(t)の一つの形である。
これを近似する関数Fを
で表し、
となるように、a, b, cを前述したものと同様の最小二乗法によって決定する。
このように最小二乗法の計算も1回で済む。こうして求めるaを用いて、漏れは
と求められる。
以上説明したデータ採取から第2の漏れ量推定方法により漏れの有無を判定するまでの処理の流れは図4に示すような手順になる。
<環境温度変化を無視できる場合>
これまでの説明では、環境温度変化の影響を消去するために、異なるチャージ圧下で差圧の測定を2回行っていたが、環境温度変化を無視できる場合には、1つのデータセットから時間無限大のときにおける漏れ量Dを推定して漏れの有無を判定するようにしてもよい。以下、環境温度変化を無視できる場合であって、数値積分を、台形公式を用いて行う場合を例に、データ演算の詳細を説明する。図5、図6はその流れ図である。図5、図6に示す処理は、これまで説明した第1、第2の漏れ量推定方法における数値積分や定数項の決定に適用できる。
ここでは、1回の測定で得たデータセットに基づいてリーク判定を行う例を示す。なお、複数回の測定結果を利用する場合は、その複数回の測定値(原始データ)から、このデータ処理に用いる1組のデータセットにまとめればよい。たとえば、それらの適当な線形結合を用いる。本発明では、それがどのような原始データであるか、線形結合の様式が何であるかを問題にせず、時間の関数として差圧データの形で得られたものでありさえすれば良い。
図5のステップS301では、測定により、差圧データJ(tn)が、時間tnに対してN個得られたものとする。なお、データを一定の時間間隔hで取るものとする。実際に得られた差圧データの例を図6に示す。
次に、カウンタnの値を1に初期化する(ステップS302)。そして、n番目のデータを測定した時刻tnをtn=hnに設定し、時刻tnにおいて測定した差圧J(tn)をJnに設定する(ステップS303)。
次に、式(14)により定積分を、測定値を用いて数値的に行う(ステップS304)。ここでは、数値積分の公式として台形公式を用いる。これ以外の積分公式を用いても良い。IAは差圧の時間による積分式(13)、IBは時間と差圧の積の積分式(14)である。ここでは、IA,nなどと二つの添え字がつけてあり、第2の添え字によって時刻を表す。これらの数値積分の下限はt=0であって、IA,0=0, IB,0=0である。
次に、これらの2種類の積分の線形結合を行い、関数Fnを算定する(ステップS305)。ここでの添え字nはtnに対応する関数値であることを示している。ステップS305に示す代数演算は、前述の(14)式の右辺の演算に相当する。差圧をJとして書きなおすと、ステップS305の処理は式(13)の左辺の演算に対応している。この計算を図8のデータに対して行なった結果を図9に示す。
ステップS305で求めるFnは式(13)のP1にJを代入したものである。ステップS306では、n=N かを判定し、Noならば、nを1つ増して(ステップS307)、ステップS303に戻って順次計算を続ける。n=Nに達すると(ステップS306;Yes)、データセット{Fn,tn}, n=1,2,…,N が完成する(ステップS308)。
このデータセット{Fn,tn}を用いて、リークを表すパラメータを最小二乗法を用いて求めるのであるが、目的の性質上、tが0に近いところまで近似する必要はない。すなわち、時間無限大における極限値を表すのに好都合な時間帯においてパラメータ決定をすべきである。ここでは、最小二乗法に用いるデータの下限MをN/2とする(図6、ステップS309)。すなわち、最小二乗法に適応する時間の下限MhをNhの1/2と仮に定める。M、Mhは他の値でもよい。
また、下限があまり上限に近くなると、関数の変化が微小になって、数値計算上の打ち切り誤差の影響を受けるようになる。ここでは一応N-Mが10以下は計算対象外とする(ステップS310;No)。もちろんMの最小値=N/2といい、Mの最大値N-10といい、いずれも一時的なもので、検査対象や、要求精度、その他により調節される数である。
このようにして設定した範囲において最小二乗法の計算を行う(ステップS311)。具体的には、ステップS308で得たデータセットを用いて、式(16)や式(24)あるいは式(33)の演算を行う。
この問題における最小二乗法は、通常の正規方程式がそのまま使える形にしてあるから、Mに対する解となるリークを表すパラメータDMは代数的に陽な形で得られる(カットアンドトライを行わずに解がえられる)。
ところが、この計算を行うとDMはMによって変化することがわかる。ただし、Nが適当に大きければ、おおむねM=N/2で良い。この場合には、これで得られるDMをDとしてリーク判定を行えば良い。より信頼度の高い値での判定を望むならば、DMが最小値か否かを極値判定する。
ステップS312では、極値判定するか否かを判断し(ユーザから選択を受ける、あるいは予め選択値を設定しておく)、極値判定しない場合は(ステップS312;No)、始めに指定したM=N/2のときのDMをDとして、ステップS316に移行する。
極値判定する場合は(ステップS312;Yes)、比較的小さなMから初めて、DMを順次求めるようにする。DMがMによりあまり変化しない、すなわち停留値のときが真値に近いと考えられる。停留値が極値であればその前後ではDM-DM+1の符号が代わるので、判定値が正ならば(ステップS313;Yes)、Mの値を変えて(ステップS314)DMを再計算する(ステップS311)。
停留値が極値でなく、変曲点の可能性もある。そのような場合は、適当な割り込みにより、計算を打ち切るが、詳細にすぎるので、ここでは省略する。停留値が極値か否かを判定する判定値が正から負に変化したら(ステップS313;No)、一つ前のM-1での値であるDM-1が極値に最も近い値なので、これをDとみなして(ステップS315)、ステップS316に移行する。
ステップS316では、こうして決定したDが、あらかじめ設定してあるD0と比較される。Dの絶対値がD0より小さい場合は(ステップS316;Yes)、リーク無しと判定して(ステップS317)処理を終了する。Dの絶対値がD0以上ならば(ステップS316;No)、リーク有りと判定して(ステップS318)処理を終了する。
<最小二乗法を適用する測定期間の選択について>
上記のデータ処理において最小二乗法を適用する測定期間を示すkの初期値Mや、kの最大値Nをどう選ぶかという問題がある。これは、測定対象の寸法や形状、材質により変わるので、F(T)をグラフ表示し、F(T) 曲線の傾向から判断して決めるのが良い。
Tの上限はこのデータでは80sであるから、Tの下限は、それより小さい60sや50sなどで良い。あまり区間が短いと精度が出ないし、長く(つまりTの下限を小さく)しても近似は劣化する。グラフの形から見て、Tの下限は20s以下は無理であろうし、70s以上では、区間が短すぎてノイズの影響が現れ始める。
すなわち、本実施の形態で示すリーク検査方法においては、差圧の変化率の時間経過に伴う変化から漏れを判定するので、差圧の変化率の時間経過に伴う変化が適切に現れる適切な測定期間(Tの上限Nhおよび下限Mh)があり、定常状態で漏れを見ようとする従来の測定方法のように、測定期間(Tの上限Nh)が長ければ長いほど良い、といったものではない。具体的には、図1に示すように、差圧の変化率の観測値のグラフr(t)においては、初期変動があるので、その期間を除外してTの下限Mhを設定する。一方、測定開始からの経過時間が長くなると、差圧の変化率の時間経過に伴う変化が小さくなり、差圧の変化率の時間経過に伴う変化に対して、温度変動など外乱の影響が相対的に大きくなるため、このような期間が含まれないようにTの上限を設定する。
たとえば、Tの上限Nの適切値は、Tの上限を各種に変更したときのDの値から求める。このように、本実施の形態に係るリーク検査方法は、適切な測定期間を定めるのに役立つ。そして、適切な測定時間の長さを設定すれば、以後は、ワークを測定する場合に、その設定した測定時間を適用して適切な測定時間でワークの漏れを検査することができ、精度の高い漏れの判定を効率的に短時間で行うことができる。測定時間の設定は、たとえば、測定環境にもよるが、工場等では空調により環境が管理されている場合が多いので、月に一度、あるいは、季節ごとに行う程度としてもよい。
本実施の形態に係るリーク検査方法を用いれば、たとえば、40-80sでのデータから推定される漏れは、P2=200kPa(Abs.)、P1=100kPa(Abs.)としたとき、標準状態で0.0152 ml/minとなる。これはグラフの端(T=80s)での値を近似値とした推定流量の約1/4である。この値は本来0のはずなので、精度が4倍に向上したことになる。
[式(4)〜式(6)の誘導に関する説明]
式(5)に至る物理的な根拠を次に説明する。
容器内の圧力変化と漏れの関係は、
と表される。右辺の第1項は漏れによるもの、第2項は容器内の空気温度変化によるものである。容器内空気は、注入や排気の際には熱と仕事の間の変換を伴うが、そのとき以外は、熱交換のみにより保有熱量が変わる。漏れ測定を行う時間帯における温度変化は、熱交換によって引き起こされる。このとき、内部空気は、まず容器と熱交換するのであって、外部環境と直接熱交換するのではない。内部空気と容器との熱交換及び、容器と外部との熱交換は、図10のように描くことができる。空気も容器も熱容量があるから、熱の流れと保存される熱量の関係は、それぞれ、次の微分方程式で表される。
空気に関する熱量の保存は次のように表される。
ただし、cVは空気の定積比熱、Mは容器内空気質量、hiは容器内面と内部空気の間の熱伝達率、Siは容器内面面積、θCは容器の温度である。なお、漏れ流れによるわずかなエネルギの損失はこの式では無視してある。この式の第1項は空気が保有している熱量の変化率、第2項は空気が失う単位時間あたり熱量である。
次に容器に関する熱量の保存は次のように表される。
ただし、MCは容器質量、cCは容器材料の比熱、heは容器外面における熱伝達率、Seは容器外面の面積、θEは容器環境の温度である。
この式の第1項は容器に保有される熱の増加率、第2項は空気から容器に流れ込む単位時間あたりの熱量、第3項は容器から単位時間に周囲に逃げる熱量を表す。温度の原点を絶対零度としなくて良い。周囲温度の平均的な値をθmとし、これらの式のすべての温度表示を、θ→θ-θm、θc→θcmのように置き換えても、式(36), (37)は不変のまま成立する。以下では、この置き換えを済ませてあるとする。
式(36), (37)は連立微分方程式であって、これを解いて、空気温度を求めると、結果は次のように表される。
ただし
である。またθ(0), θC(0) はそれぞれ内部空気、容器の初期値、すなわち、t=0における値である。
上の式で、積分記号内の周囲温度θEが定まらなければ、容器内温度も決まらない。これは物理現象として当然である。しかし、漏れ測定ではθEの測定を要求することには無理がある。なぜなら、容器内空気圧力が600kPa程度では、温度(1/1000)Kが圧力2Paの変化となって現れるので、そのような温度測定は実施限度外である。一つの容器の周囲でも、場所によりそれ以上の温度変化がある。どこの温度かということになるが、実はその温度は熱の流れに関しての平均であって、空間平均で良いという根拠すらない。それゆえ、内部圧力の変化から逆算するのが、唯一の実用性のあるθEの推定法である。
簡単な場合、たとえば周囲温度が一定の場合については、θEを具体的に求めなくても、漏れの推定が行える。ただし、周囲温度一定というのは仮定であって、実際に周囲温度が変動すれば、それは漏れ推定値の誤差となって現れてくる。それで、θEが時間の一次関数として変化すると仮定すれば、推定誤差が減少する。本発明はその場合に適用できる漏れ推定法を開示してある。
測定環境の温度は急変しないようにしてあるとする。これは突風が当たらない程度の環境であればよい。短時間であれば、温度変化があっても、それを時間に関して直線的に変化すると仮定できる。この場合について問題を次のように解決する。
まず、
と仮定し、これを式(38)に代入し、積分を実行する。この場合、CAとCBは未知の定数である。積分を実行し、(38)を微分すれば、結果は次のようになる。
これが漏れ推定に必要な、式(35)の第2項を与えることになる。
これは一つの容器に関して行った計算であって、参照容器と検査容器の圧力差を測定する差圧式の漏れ測定の場合は、たとえばチャージ圧力がP1の場合について表せば
と、見かけは複雑になるが、参照容器における量(添え字Rがつけてある)から、検査容器に関する量を引いただけのものである。
ここでは、このシステムの固有値により決定するT1、 T2が参照容器と検査容器で等しいとしてある。それは容器が同じないし合同であるときに成り立つ。しかし、温度初期値は、参照容器と検査容器では異なり、それらに差が存在することが、容器内空気差圧の主たる原因なのである。
さて、それゆえ、本文式(4)のように差圧の変化率を表すことにすれば、
とし、本文式(6)の指数関数にかかっている係数は、上の(43)式より
である。また本文式(4)の定数部分D1は、漏れによる項だけではなく、環境温度の変化率による成分も加わっていることが、本文式(5)に表されている。
差圧変化のうちで、時間に比例する成分は漏れであるとしているのが、従来の文献に散見する(たとえば、特許文献6、7、8)が、漏れ以外のものが含まれることが、本文の式(5)に示されている。周囲温度のこのような形での関与が見過ごされてきたことが、従来技術において誤判定が多かったことの一因といえよう。
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施の形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
実施の形態で示したF(t)は一例である。F(t)を構成する線形結合に用いて良い関数グループは無限に指定できるが、簡単なものを挙げると、次のようなものである。
(1) tの逆数のべき乗、すなわち、
{1/t、1/t2、…、1/tn} ただし、t >0 の範囲で使用する。
(2) aを任意の整数、nを正整数とするときの指数関数
{e-at、e-2at、…、e-nat 、…} ただし、t >0 の範囲で使用する。
(3) tのべき乗と指数関数の積
{e-at、te-2at、…、tne-nat 、…} ただし、t>n/a の範囲で使用する。
(4) tと指数関数の積
{e-at、te-2at、…、te-nat 、…} ただし、t>1/aの範囲で使用する。
実施の形態で示すリーク検査装置10は一例であり、これに限定されるものではない。実施の形態では、記録演算部15により判定処理を行ったが、測定データを通常のデータ転送装置でパーソナルコンピュータ等に送り、そこで、本発明のリーク検査方法に係る演算が行われてもよい。また、その演算やグラフの作成を市販の表計算ソフト等を使って行うような場合も本発明のリーク検査方法に含まれる。
最後に、先行技術文献として挙げた特許文献8と本発明との相違について説明しておく。
特許文献8には、差圧の近似式を、
と設定し、複数のサンプリング値をこれにフィッティングさせて、これらの係数を求め、aの値により漏れの有無を判定することが開示される。カーブフィットないしフィッティングの技法は、多くが最小二乗法の応用であって、これは既知の関数の線形結合で近似関数を作り、観測値を最良近似するように線形結合の係数を求めるものである。その手法は統計学や数値解析の初等的な教科書などに記載されているから、それは「周知の最小二乗法」といえる。しかし、式(46)はこれにあてはまらない。
これに対し、未知係数を含んだ任意のモデル関数を想定して、観測値とモデル関数の差の平方和を最小にするという、一般に非線形な最小二乗法があり、これもフィッティングのうちに入る。こちらのフィッティングは、前述の未知量の線形結合を使う周知の最小二乗法と異なり、未知係数を見出す一般的方法はない。すなわち、フィッティング自体が数学的に難問の場合が多く、一般的な解法ないしアルゴリズムはない。式(46)のパラメータに対するフィッティングを行うことは現実的には困難であって、特許文献8には数理的な方針すら示されていない。
さて、より的確な理解を得るために、式(46)の場合を例に説明を行う。この式へのカーブフィットをするのであれば、サンプリング値Yiを用いて
とするものと解釈するのがまず常識である。ここで、最初に考えられるのは、「周知の最小二乗法」にならうことである。それは、未知数で偏差自乗和を偏微分して、それを0とおいた、いわゆる正規方程式を作り、それを解くというものである。この場合の未知数はa, b, cであるから、これらの未知数で偏差自乗和を偏微分して、それを0とおいた正規方程式は次の連立方程式である。
これは、複雑な非線形の超越方程式であるが、もしこれが解けたならば、フィッティングに成功したといえる可能性がある。ただし、その解の唯一性(uniqueness)は不明である。これをa, b, cに関して有限回の代数演算など、有限回の演算によって解く方法は発見されていないし、今後も発見される見込みは乏しい。このような方程式を解くには、通常は試行錯誤の数値解法が用いられるが、極めて実行困難で、どの程度の試行回数を要するかは、数値解析の専門家でも見当をつけ難いであろう。それゆえ、これを最小二乗法で解く、あるいはカーブフィットする、などと表現しても、技術問題の解決には一歩も進み得ていない。
フィッティングないし最小二乗法の思想をこの問題に適用するもう一つの方法は、直接法である。これは(a, b, c)の数値の組を仮定し
とおき、想定される範囲のすべての(a, b, c)の数値の組に対して、εを求めて、それが最小になる場合を決定するというものである。この方が論理も計算も容易である。
しかし、この方法は非現実的である。すなわち、上記の計算で得るa, b, c の有効数字は3桁以内でよいとしても、未知数は3つであるから、一つの未知数につき1000通り、全体では最低109組の(a, b, c)に対する計算を行わなければならない。最小二乗法であるから、一つのεを求めるのに少なくとも10点 (つまりN=10)の実験点を用いるであろうから、指数関数の呼び出しは1010回となる。高速計算機でも指数関数を呼び出す計算は1マイクロ秒くらい必要になる。そうすると、この非線形関数に対する最小二乗法の数値演算には、少なくとも104秒を要することになる。すなわち約3時間程度である。これでは測定時間を短縮しても意味がなくなる。
問題はこれだけではない。はじめに設定する(a,b,c)の枠内における最小値はこれで見出せても、それは仮定した数値枠内の最小値であり、物理的に求めようとしている数値がこの枠内に入っていたという保証がない。このように、式(46)へのフィッティングができたならば、漏れが算定できる可能性があるが、現実にはそのフィッティングを行うことができず、この点が特許文献8に開示の発明において未解決の問題である。
以上で式(46)にフィッティングを適用して係数を求めるという手法が実用しがたいことを説明したが、これは数値計算法の問題である。式(46)には、それよりも重大な問題がある。式(46)の第1項は漏れによる圧力変化を表し、第2項は温度変化による圧力変化を表すとしている。この温度変化による圧力変化が、一つの指数関数で近似できるのは、ごく限られた場合だけである。それは圧力測定を行っている空間を囲む隔壁が空気の熱容量に比べて非常に大きな熱容量を持っていて、その温度が変わらない場合に、式(46)となるのである。
実際には、空気は容器の内部にあり、その空気と容器が熱交換をする。そして、この容器の外壁では外部との熱交換がある。本発明で説明するように、これらの物理的事実の帰結は、簡単化した場合でも、式(46)のようにはならず、二つの指数関数を含んだ
から考察を始めなければならない。すなわちモデルとしている関数が、物理的実体に良く合わないのである。
なお、式(50)は式(46)よりも未知パラメータが2つ多いから、前と同じように全調査式の最小二乗法ないしフィッティングを適用するとなると、前の106倍の計算時間を必要とし、全く実現性が乏しくなる。
これに対して本発明では、差圧の時間的な変化をモデル関数で近似するのではなく、差圧の変化率の時間変化をモデル関数で近似する。それにより、漏れによる部分は定数項となり、温度変化に係る部分は時間の経過に伴ってゼロに収束する滑らかな関数で表すことができる。そこで、差圧変化率の観測値に対して、モデル関数を、定数項と、時間の経過に伴ってゼロに収束する滑らかな既知関数の線形結合とし、このモデル関数における未知の係数を「周知の最小二乗法」を適用して求める。既知関数は計算が簡単なものを任意に選択することができる。実施の形態では、既知関数を、1/t、1/t2、とし、モデル関数を定数項と既知関数の線形結合の関数、I=D+b/t+c/t2 (D, b, cが求めるべき未知数)として、式(16)に周知の最小二乗法を適用して未知数D, b, cを求めている。
次に、特許文献8に開示の式(46)によるフィッティングに関する処理法に含まれる看過できない誤りについて説明する。式(46)の中の定数bは、放熱による温度変化を決定的にする量であるが、これは容器などの温度の初期値により定まり、指数cのような、検査対象固有の量ではない。bは検査のたびに値の異なる量であって、事前に測定しておいて、後で利用するというわけにはいかない。
このことを以下に証明する。ここでは式(46)のために一歩譲って、検査体の放熱に関して、容器と空気の温度や熱容量を区別しない粗い近似を行うならば、容器と内部空気の総合の熱容量をCT、 容器外表面積S、容器と外部の間の熱伝達率をhとするとき、
と表される(θEは一定な外気温度)。
この微分方程式の解は、周知のように、bを任意定数として
である。この式が、式(46)において、a=0とした式に一致する。
式(46)と(52)に共通な係数bはt=0における放熱する物体(ここでは容器及び内部空気)の温度により決定する。すなわち微分方程式論では初期値と呼ぶ値である。これは微分方程式により決定するcとは異なり、たとえば測定を複数回行えば、毎回異なった値となるのが普通である。しかるに、特許文献8に開示の技術ではこれを事前測定しておいて、他日にも使える定数としている。これは明白な、初等的な過誤である。他日にも使えるのは、cのみである。bが事前に確定できるとするのは重大な判断ミスであり、それを利用する結果は誤ったものとなる。
以上、特許文献8に開示の技術(従来技術とする)と本願発明を対比すると以下のようになる。
1.数式モデルの対象とする物理量
従来技術は差圧、
本願発明は差圧の変化率、
2.モデルにおける空気の熱容量と容器の熱量量
従来技術では区別されていない、
本願発明では区別している(式(4)〜式(6))
3.数式モデル中の未知パラメータ
従来技術では未知数の決定法が示せていない、
本願発明では線形最小二乗法で未知数を求めている
4.現象を記述する物体固有の値(固有値)と毎回変わる初期値の特性の違い
従来技術では認識できていない(微分方程式の初期値と固有値を混同している)、
本願発明ではこれらを明確に区別して扱っている
2…圧力レギュレータ
3…供給源
5…圧力計
10…リーク検査装置
11…加圧源接続口
12…ワーク接続口
13…マスタ接続口
15…記録演算部
21…第1配管
22…第2配管
23…第3配管
24…排気管
31…第1開閉弁
32…第2開閉弁
33…第3開閉弁
34…排気弁
35…第5開閉弁
36…第6開閉弁
38…差圧計
M…マスタ
W…ワーク
A1,k, A2,k ; 内部空気及び容器の温度の初期値による定数(k=1,2)
CB ; 環境温度変化速度(環境温度の変化を,θE=CA+CBtと仮定する)
G; 質量流量
KT; 漏れ流路の定数
p1,p2,J; 差圧
Pa; 環境圧力(大気圧)
P0, P1, P2; 容器内圧力の基準値(=チャージ圧力)
PR; 参照容器内圧力
PS; 供給源圧力
PT; 検査対象容器内圧力
R; 気体定数
t; 時間
V; 容器容積
θ; 容器内空気温度
θE; 環境温度
μ; 気体粘度

Claims (7)

  1. 検査対象容器の漏れの有無を検査するリーク検査方法であって、
    検査対象容器の内圧と漏れの無い参照容器の内圧とを共に所定圧力にして封止した後に放置したときの前記検査対象容器の内圧と前記参照容器の内圧との差圧を順次測定し、測定時刻と測定値とを対応付けて記録する測定ステップと、
    差圧の変化率の時間経過のモデル関数を、時間tが無限大に向かうときに一様に0に収束する複数の滑らかな関数と、一つの定数との線形結合である関数f(t)として、前記測定ステップで測定した測定値からf(t)の各係数の値を決定する係数算出ステップと、
    前記係数算出ステップで決定した係数のうちの定数項の値に基づいて、前記検査対象容器の漏れの有無を判定する判定ステップと、
    を有する
    ことを特徴とするリーク検査方法。
  2. 前記係数算出ステップでは、前記測定ステップでの測定値に基づく差圧の変化率の時間経過の関数をr(t)とし、r(t)を近似するモデル関数を前記f(t)とし、前記測定ステップで測定したK個の測定値から、
    の値が最小になるようにf(t)の各係数の値を決定する
    ことを特徴とする請求項1に記載のリーク検査方法。
  3. 検査対象容器の漏れの有無を検査するリーク検査方法であって、
    検査対象容器の内圧と漏れの無い参照容器の内圧とを共に所定圧力P1にして封止した後に放置したときの前記検査対象容器の内圧と前記参照容器の内圧との差圧を順次測定し、測定時刻と測定値とを対応付けて記録する第1測定ステップと、
    前記検査対象容器の内圧と前記参照容器の内圧とを共に所定圧力P2にして封止した後に放置したときの前記検査対象容器の内圧と前記参照容器の内圧との差圧を順次測定し、測定時刻と測定値とを対応付けて記録する第2測定ステップと、
    差圧の変化率の時間経過のモデル関数を、時間tが無限大に向かうときに一様に0に収束する複数の滑らかな関数と、一つの定数との線形結合である関数f1(t)として、前記第1測定ステップで測定した測定値からf1(t)の各係数の値を決定する第1係数算出ステップと、
    差圧の変化率の時間経過のモデル関数を、時間tが無限大に向かうときに一様に0に収束する複数の滑らかな関数と、一つの定数との線形結合である関数f2(t)として、前記第2測定ステップで測定した測定値からf2(t)の各係数の値を決定する第2係数算出ステップと、
    前記第1係数算出ステップで求めた係数のうちの定数項をD1、前記第2係数算出ステップで求めた係数のうちの定数項をD2とし、下記の演算の結果の値を漏れ流路の形状のみにより決定される係数として、容器の漏れの有無を判定するステップと、
    (ただし、Paは環境圧力、Vは検査対象容器の容積、μは気体粘度)
    を有する
    ことを特徴とするリーク検査方法。
  4. 前記第1係数算出ステップでは、前記第1測定ステップでの測定値に基づく差圧の変化率の時間経過の関数をr1(t)とし、r1(t)を近似するモデル関数を前記f1(t)とし、前記第1測定ステップで測定したK1個の測定値から、
    の値が最小になるようにf1(t)の各係数の値を決定し、
    前記第2係数算出ステップでは、前記第2測定ステップでの測定値に基づく差圧の変化率の時間経過の関数をr2(t)とし、r2(t)を近似するモデル関数を前記f2(t)とし、前記第2測定ステップで測定したK2個の測定値から、
    の値が最小になるようにf2(t)の各係数の値を決定する
    ことを特徴とする請求項3に記載のリーク検査方法。
  5. 検査対象容器の漏れの有無を検査するリーク検査方法であって、
    Paを環境圧力として、
    検査対象容器の内圧と漏れの無い参照容器の内圧とを共に所定圧力P=Paにして封止した後に放置したときの前記検査対象容器の内圧と前記参照容器の内圧との差圧を順次測定し、測定時刻と測定値とを対応付けて記録する第1測定ステップと、
    前記検査対象容器の内圧と前記参照容器の内圧とを共に所定圧力Pにして封止した後に放置したときの前記検査対象容器の内圧と前記参照容器の内圧との差圧を、前記放置の開始時を基準とした各測定タイミングを前記第1測定ステップの場合と同じにして順次測定し、測定時刻と測定値とを対応付けて記録するする第2測定ステップと、
    前記第1測定ステップでの測定値に基づく差圧の変化率の時間経過の関数をr1(t)とし、前記第2測定ステップでの測定値に基づく差圧の変化率の時間経過の関数をr2(t)とし、r2(t)-(P2/P1)r1(t)を近似するモデル関数F(t)を、時間tが無限大に向かうときに一様に0に収束する複数の滑らかな関数と、一つの定数との線形結合である関数F(t)として、前記第1、第2測定ステップで測定した各K個の測定値から
    の値が最小になるようにF(t)の各係数の値を決定する係数算出ステップと、
    前記係数算出ステップで決定した定数項の値に基づいて、前記検査対象容器の漏れの有無を判定する判定ステップと、
    を有する
    ことを特徴とするリーク検査方法。
  6. 前記係数の決定において、前記放置の開始後の所定期間の測定値は除外する
    ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つに記載のリーク検査方法。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1つに記載のリーク検査方法を用いて検査対象容器の漏れの有無を検査するリーク検査装置。
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