実施形態に係る眼科撮影装置について図面を参照しながら説明する。
[外観構成]
実施形態に係る眼科撮影装置の外観の一例を図1および図2に示す。眼科撮影装置2は、高さの調節が可能な検眼テーブル1上に載置されている。検眼椅子3には被検者4が着座している。被検者4は、眼科撮影装置2の前面2Fに向かって配置される。眼科撮影装置2は、台座部5a、駆動機構部5b、左右一対の本体部5Lおよび5R、並びに顔受け部6を有する。本体部5Lおよび5Rは、それぞれ支柱5pおよび5qにより支持されている。
顔受け部6は、左右一対の支柱6aおよび6bを有する。支柱6aおよび6bは、額当て6cを支持している。額当て6cは、前後方向に移動可能とされている。顔受け部6は、さらに顎受け6dを有する。顎受け6dは、ノブ6eにより上下方向に移動される。
駆動機構部5bには、XYZ駆動機構と、回転駆動機構とが設けられている。XYZ駆動機構は、水平方向(X方向)、上下方向(Y方向)および前後方向(Z方向)に、支柱5pおよび5qをそれぞれ駆動する。XYZ駆動機構は、たとえば、パルスモータ等のアクチュエータと、送りネジ等の動力伝達機構とを含んで構成される。回転駆動機構は、スイング動作とチルト動作とを行う。スイング動作は、支柱5pおよび5qのそれぞれを、その軸周りに(つまり水平方向に)回転させるものである。チルト動作は、支柱5pおよび5qのそれぞれを傾けるものである。回転駆動機構は、たとえば、パルスモータ等のアクチュエータと、ギヤ等の動力伝達機構とを含んで構成される。このような駆動機構部5bにより、本体部5Lおよび5Rが、X方向、Y方向、Z方向および回転方向に移動される。
台座部5aには、眼科撮影装置2に対する操作入力を行なうためのレバー6hが設けられている。レバー6hの頂部にはボタン6gが設けられている。また、図示は省略するが、眼科撮影装置2の背面側にも操作部が設けられていてもよい。
台座部5aには、表示部7を支持する支柱7bが立設されている。表示部7の画面7aには各種情報が表示される。また、左右の本体部5Lおよび5Rの前面には、それぞれ表示部7Lおよび7Rが設けられている。左右の表示部7Lおよび7Rには、たとえば、被検者4の左眼および右眼の前眼部像がそれぞれ表示される。表示部7、7Lおよび7Rは、液晶ディスプレイ等のフラットパネルディスプレイである。また、図示は省略するが、眼科撮影装置2の背面側にも表示部が設けられていてもよい。
[光学系の構成]
左右の本体部5Lおよび5Rに設けられた光学系について説明する。図3は、右の本体部5Rに設けられた光学系の例を示す上面図である。なお、左の本体部5Lの光学系は、右の本体部5Rの光学系と対称に構成されている。符号ERは被検者4の右眼(右被検眼)を示す。
本体部5Rには、撮影光学系10と、測定光学系30と、視標投影光学系50と、干渉光学系60と、固視光学系80とが設けられている。図3に示す状態において、撮影光学系10、測定光学系30および視標投影光学系50の光軸と、干渉光学系60および固視光学系80の光軸とは、異なる方向を向いている。これら光軸がなす角度をθで示す。この角度θは、固定であっても可変であってもよい。
(撮影光学系10)
撮影光学系10は、右被検眼ERの前眼部を撮影するために用いられる。撮影光学系10は、プリズムPと、前眼部照明光源11と、対物レンズ12と、リレーレンズ13および14と、結像レンズ15と、撮像素子16とを有する。
前眼部照明光源11は、撮影光学系10の光軸の周囲に複数配置されており、前眼部を照明するための光を出力する。前眼部照明光源11から出力された光は、プリズムPを介して右被検眼ERに照射され、前眼部にて反射される。この反射光は、プリズムP、対物レンズ12、リレーレンズ13および結像レンズ15を経由して撮像素子16に検出される。なお、前眼部による反射光は、後述のビームスプリッタ38、24および43を透過して撮像素子16に導かれる。撮像素子16により取得された前眼部像は、たとえば表示部7Lに表示される。
対物レンズ12とリレーレンズ13との間には、ビームスプリッタ24が斜設されている。アライメント光源21から出力された光は、アライメント視標絞り22およびレンズ23を経由し、ビームスプリッタ24により反射され、対物レンズ12およびプリズムPを介して右被検眼ERの前眼部に投射される。従来と同様に、前眼部像に映り込んでいるアライメント視標像に基づいて、右被検眼ERに対する撮影光学系10の位置合わせ(アライメント)が実行される。
(測定光学系30)
測定光学系30は、右被検眼ERの光学特性を光学的に測定する。この実施形態の測定光学系30は、右被検眼ERの屈折力測定を行う。測定光学系30は、測定光源31と、コリメートレンズ32と、リング透光板33と、リレーレンズ34と、リング状絞り35と、孔空きプリズム36と、ビームスプリッタ37および38と、対物レンズ12と、プリズムPと、反射ミラー39と、リレーレンズ40と、移動レンズ41と、反射ミラー42と、ビームスプリッタ43と、結像レンズ15と、撮像素子16とを有する。
測定光源31から出力された光は、コリメートレンズ32により平行光束とされ、リング透光板33を経由して断面がリング状の光束とされ、リレーレンズ34およびリング状絞り35を経由し、孔空きプリズム36に反射され、ビームスプリッタ37に反射され、ビームスプリッタ38に反射され、対物レンズ12およびプリズムPを介して右被検眼ERに照射される。
右被検眼ERに照射された断面リング状の測定光束は、眼底にて反射され、右被検眼ERから出射する。このとき、眼球光学系(角膜、水晶体等)の影響により測定光束の断面形状が変形する。
右被検眼ERを出射した測定光束は、プリズムP、対物レンズ12、ビームスプリッタ38および37を経由し、孔空きプリズム36の透光板36aを通過し、反射ミラー39に反射され、リレーレンズ40および移動レンズ41を経由し、反射ミラー42およびビームスプリッタ43に反射され、結像レンズ15を介して撮像素子16に検出される。検出された測定光束の断面のサイズや形状を解析することにより、右被検眼ERの球面度、乱視度、乱視軸などが取得される。この処理は従来と同様にして実行される。すなわち、眼科撮影装置2は、レフラクトメータとして機能する。
(視標投影光学系50)
視標投影光学系50は、各種の視標を右被検眼ERに呈示する。視標投影光学系50は、視標光源51と、視標板52と、リレーレンズ53および54と、反射ミラー55と、ビームスプリッタ38と、対物レンズ12と、プリズムPとを有する。視標板52は、たとえばターレット板や透過型液晶ディスプレイを含み、固視標や視力測定用視標などの様々な視標を光路に対して選択的に配置可能に構成されている。視標光源51から出力された光は、視標投影光学系50の上記構成要素を経由して、右被検眼ERの眼底に投射される。
視標光源51および視標板52は、視標投影光学系50の光軸方向に移動可能に構成されている。それにより、右被検眼ERによる視標の視認距離が変更される。すなわち、視標投影光学系50は、右被検眼ERに対して調節刺激を与えるために使用可能である。
(干渉光学系60)
干渉光学系60は、右被検眼ERの光コヒーレンストモグラフィ(OCT)計測に用いられる。干渉光学系60は、光源ユニット61と、光ファイバ62と、ファイバカプラ63と、光ファイバ64と、コリメートレンズ65と、ガルバノスキャナ66と、ビームスプリッタ67と、合焦レンズ68と、リレーレンズ69と、集光レンズ70と、プリズムPと、光ファイバ71と、コリメートレンズ72と、ビームスプリッタ73と、レンズ74と、第1の参照ミラー75と、レンズ76と、第2の参照ミラー77と、光ファイバ78と、検出部79とを有する。
この実施形態で適用されるOCT計測の方式は任意である。スウェプトソース方式が適用される場合、出力波長を高速で変調可能な波長掃引光源が光源ユニット61として用いられ、バランスドフォトディテクタ等の光検出器が検出部79として用いられる。また、スペクトラルドメイン方式が適用される場合、広帯域光源(低コヒーレント光源)が光源ユニット61として用いられ、スペクトルを検出する分光器が検出部79として用いられる。
ガルバノスキャナ66は、たとえば2つの反射ミラーと、各反射ミラーの向きを変更するアクチュエータとを含んで構成される。それにより、ガルバノスキャナ66は、これを経由する光(信号光)で右被検眼ERをスキャンする。
集光レンズ70は、干渉光学系60の光路に対して挿脱可能とされている。集光レンズ70は、たとえば、右被検眼ERの画像を取得するときには光路に配置され、眼内距離(眼軸長など)を測定するときには光路から退避される。
第1の参照ミラー75は、右被検眼ERの第1の部位に対して共役な位置に配置される。この第1の部位は、OCT計測の対象となる部位を示し、たとえば角膜、毛様体、水晶体などである。第1の参照ミラー75とレンズ74は、光軸方向に一体的に移動可能とされている。
第2の参照ミラー77は、右被検眼ERの第2の部位に対して共役な位置に配置される。この第2の部位は、OCT計測の対象となる部位を示し、たとえば網膜、脈絡膜などである。第2の参照ミラー77とレンズ76は、光軸方向に一体的に移動可能とされている。
光源ユニット61から出力された光は、光ファイバ62を通じてファイバカプラ63に導かれる。ファイバカプラ63は、この光を2分割する。
ファイバカプラ63により光ファイバ64に導かれた光(信号光)は、コリメートレンズ65により平行光束とされ、ガルバノスキャナ66により進行方向が変更され、ビームスプリッタ67に反射され、合焦レンズ68、リレーレンズ69、(集光レンズ70、)およびプリズムPを介して、右被検眼ERに照射される。右被検眼ERによる信号光の後方散乱光は、同じ経路を逆向きに導かれてファイバカプラ63に戻ってくる。
ファイバカプラ63により光ファイバ71に導かれた光(参照光)は、コリメートレンズ72により平行光束とされ、ビームスプリッタ73に導かれる。ビームスプリッタ73を透過した成分(第1の参照光)は、レンズ74により集光され、第1の参照ミラー75に反射され、レンズ74により平行光束とされてビームスプリッタ73に戻ってくる。一方、ビームスプリッタ73に反射された成分(第2の参照光)は、レンズ76により集光され、第2の参照ミラー77に反射され、レンズ76により平行光束とされてビームスプリッタ73に戻ってくる。ビームスプリッタ73により合成された第1の参照光と第2の参照光(まとめて参照光と呼ぶ)は、コリメートレンズ72および光ファイバ71を介してファイバカプラ63に戻ってくる。このような参照光の光路を参照光路と呼ぶ。
ファイバカプラ63は、右被検眼ERを経由した信号光と、参照光路を経由した参照光とを干渉させる。この干渉光は、第1の参照ミラー75と共役な右被検眼ERの部位(毛様体など)の情報と、第2の参照ミラー77と共役な右被検眼ERの部位(網膜など)の情報とを含んでいる。干渉光は、光ファイバ78を介して検出部79に導かれる。スウェプトソース方式の場合、検出部79は干渉光の強度を検出する。スペクトラルドメイン方式の場合、検出部79は干渉光のスペクトル分布を検出する。
図示は省略するが、干渉光学系60には、アッテネータや偏波コントローラが設けられている。アッテネータは、たとえば光ファイバ71に設けられており、光ファイバ71に導かれる参照光の光量を調整する。偏波コントローラは、たとえばループ状にされた光ファイバ71に対して外部から応力を与えることで、光ファイバ71に導かれる参照光の偏光状態を調整する。これら以外にも、OCT計測に適用可能な各種の公知のデバイスを干渉光学系60に設けることが可能である。
(固視光学系80)
固視光学系80は、右被検眼ERに固視標を呈示する。固視光学系80は、固視光源81と、ビームスプリッタ82と、コリメートレンズレンズ83と、合焦レンズ68と、リレーレンズ69と、プリズムPとを含む。固視光源81から出力された光は、ビームスプリッタ82により反射され、コリメートレンズ83により平行光束とされ、ビームスプリッタ67を透過し、合焦レンズ68、リレーレンズ69およびプリズムPを介して、右被検眼ERの眼底に投射される。
固視光学系80のビームスプリッタ82の後方には、撮像素子90が設けられている。撮像素子90は、右被検眼ERの前眼部の撮影に用いられる。なお、撮影光学系10の光軸と干渉光学系60の光軸とが異なる方向を向いているので、撮影光学系10と撮像素子90は、右被検眼ERの前眼部を異なる方向から撮影する。
[制御系の構成]
眼科撮影装置2の制御系の構成例を図4および図5に示す。
(制御部100)
眼科撮影装置2の制御系は、制御部100を中心に構成される。制御部100は、たとえば、プロセッサ、記憶装置、通信インターフェイス等を含んで構成される。記憶装置には、制御用・演算用のコンピュータプログラムやデータが記憶されている。制御部100には、主制御部110と記憶部120が設けられている。
(主制御部110)
主制御部110は、眼科撮影装置2の各部を制御する。たとえば、主制御部110は、図3に示す前眼部照明光源11、撮像素子16、アライメント光源21、測定光源31、視標光源51、光源ユニット61、ガルバノスキャナ66、検出部79、固視光源81、撮像素子90などの動作を制御する。なお、図示は省略するが、主制御部110は、前述のアッテネータや偏波コントローラの制御を行う。
主制御部110は、光学素子の移動制御を行う。たとえば、主制御部110は、測定駆動部30Aを制御することで、測定光源31、コリメートレンズ32およびリング透光板33を光軸方向に移動させる。測定駆動部30Aは、パルスモータ等のアクチュエータと、動力伝達機構とを含む。また、主制御部110は、レンズ駆動部41Aを制御することで、移動レンズ41を光軸方向に移動させる。レンズ駆動部41Aは、パルスモータ等のアクチュエータと、動力伝達機構とを含む。また、主制御部110は、視標駆動部50Aを制御することで、視標光源51および視標板52を光軸方向に移動させる。視標駆動部50Aは、パルスモータ等のアクチュエータと、動力伝達機構とを含む。また、主制御部110は、合焦駆動部68Aを制御することで、合焦レンズ68を光軸方向に移動させる。合焦駆動部68Aは、パルスモータ等のアクチュエータと、動力伝達機構とを含む。また、主制御部110は、挿脱駆動部70Aを制御することで、光路に対して集光レンズ70を挿脱する。挿脱駆動部70Aは、ソレノイド等のアクチュエータと、動力伝達機構とを含む。また、主制御部110は、参照駆動部70Bを制御することで、レンズ74および第1の参照ミラー75を光軸方向に移動させる。同様に、主制御部110は、参照駆動部70Cを制御することで、レンズ76および第2の参照ミラー77を光軸方向に移動させる。参照駆動部70Bおよび70Cのそれぞれは、パルスモータ等のアクチュエータと、動力伝達機構とを含む。
主制御部110は、光学系の移動制御を行う。たとえば、主制御部110は、駆動機構部5bに設けられたXYZ駆動機構130Aを制御することで、本体部5Lおよび5Rのそれぞれを3次元的に移動させる。XYZ駆動機構130Aは、パルスモータ等のアクチュエータと、動力伝達機構とを含む。また、主制御部110は、回転駆動機構130Bを制御することで、支柱5pを中心に本体部5Lを回転移動させ、かつ、支柱5qを中心に本体部5Rを回転移動させる。また、主制御部110は、回転駆動機構130Bを制御することで、支柱5pおよび支柱5qを傾斜させることで、本体部5Lおよび5Rをチルトさせる。回転駆動機構130Bは、パルスモータ等のアクチュエータと、動力伝達機構とを含む。また、主制御部110は、光軸偏向機構130Cを制御することで、撮影光学系10、測定光学系30および視標投影光学系50の光軸(第1の光軸)の方向と、干渉光学系60および固視光学系80の光軸(第2の光軸)の方向とを、相対的に変更する。光軸偏向機構130Cは、第1の光軸の方向および第2の光軸の方向の一方または双方を変更する。それにより、図3に示す角度θが変更される。光軸偏向機構130Cは、パルスモータ等のアクチュエータと、動力伝達機構とを含む。
また、主制御部110は、記憶部120にデータを書き込む処理と、記憶部120からデータを読み出す処理とを行う。
(記憶部120)
記憶部120は、各種のデータを記憶する。記憶部120に記憶されるデータとしては、たとえば、前眼部像の画像データ、OCT画像の画像データ、被検眼の測定データ、被検眼情報などがある。被検眼情報は、患者IDや氏名などの被検者に関する情報や、左眼/右眼の識別情報などの被検眼に関する情報を含む。
(画像形成部150)
検出部79は、OCT計測における干渉光を検出して信号を出力する。この信号は、画像形成部150に入力される。画像形成部150は、検出部79からの信号に基づいて、右被検眼ERの2次元断層像の画像データを形成する。この画像形成処理には、従来と同様に、ノイズ除去(ノイズ低減)、フィルタ処理、FFT(Fast Fourier Transform)などが含まれる。画像形成部150は、たとえば、ハードウェア回路や、画像形成用ソフトウェアを実行するプロセッサを含む。なお、この明細書において「画像データ」と「画像」とを同一視することがある。
(データ処理部160)
データ処理部160は、各種のデータ処理を実行する。たとえば、データ処理部160は、OCT画像や前眼部像に対して各種の画像処理や解析処理を施す。その例として、輝度補正や分散補正などがある。また、データ処理部160は、画像形成部150により形成された2次元断層像に基づいて3次元画像を形成する。データ処理部160は、データ処理用ソフトウェアを実行するプロセッサを含む。データ処理部160は「解析部」の一例である。
データ処理部160には、画像領域特定部161と、変化情報取得部162と、光学特性情報取得部163と、眼内距離算出部164と、前眼部変化情報取得部165とが設けられている。
眼科撮影装置2は被検眼に対して調節刺激を与える。調節刺激とは、任意の調節力を発揮させるために被検眼に提供される視覚情報である。眼科撮影装置2は、視標投影光学系50によって調節刺激を与える。より詳しく説明すると、視標駆動部50Aにより視標光源51および視標板52を移動させることで、被検眼の焦点を所定位置に誘導する。
この実施形態の検査は次のようにして行われる。まず、被検眼に第1の調節刺激を与えた状態でOCT計測を行なって被検眼の第1の断層像を取得する。また、第1の調節刺激と異なる第2の調節刺激を与えた状態でOCT計測を行なって被検眼の第2の断層像を取得する。第1の調節刺激と第2の調節刺激は、異なる焦点位置に相当する。たとえば、第1の調節刺激は遠方の焦点位置に相当し、第2の調節刺激は近方の焦点位置に相当する。データ処理部160は、以下に示す処理を実行することにより、調節刺激の変化に伴う被検眼の所定組織の変化を取得する。この変化を示す情報を変化情報と称する。変化の検出対象となる所定組織は、たとえば毛様体、水晶体、チン小帯など、調節機能に関する組織である。
(画像領域特定部161)
画像領域特定部161は、第1の断層像を解析し、所定組織に相当する画像領域を特定する。また、画像領域特定部161は、第2の断層像を解析し、所定組織に相当する画像領域を特定する。この処理を自動で行う場合、画像領域特定部161は、第1の断層像の画素値(輝度値)に基づいて所定組織の画像領域とそれ以外の画像領域とを判別する。この処理には、たとえば閾値処理やパターンマッチングなどが含まれる。
なお、処理の一部を手動で行うことも可能である。その場合、主制御部110は、断層像を表示部181に表示させる。ユーザは、表示された断層像を観察し、所定組織に相当する画像領域を把握し、操作部182を用いてこれを指定する。指定方法の例として、マウス等のポインティングデバイスを用いて、所定組織に相当する画像領域の輪郭上に複数の点を入力する。画像領域特定部161は、入力された複数の点を結ぶ閉曲線を求める。この閉曲線はたとえばスプライン曲線やベジェ曲線である。この閉曲線で囲まれた領域が目的の画像領域となる。他の指定方法として、ポインティングデバイスを用いて輪郭を入力することができる。
(変化情報取得部162)
変化情報取得部162は、第1の断層像について特定された画像領域(第1の画像領域)と、第2の断層像について特定された画像領域(第2の画像領域)とを比較することにより、所定組織の形態の変化を示す変化情報を取得する。
所定組織の形態変化の例として形状の変化がある。その場合、変化情報取得部162は、第1の画像領域および第2の画像領域のそれぞれに基づいて所定の評価値を算出し、これら評価値を比較することで変化情報を求める。この処理の具体例として、変化情報取得部162は、第1の画像領域および第2の画像領域のそれぞれの輪郭に基づいて、所定組織の厚み、サイズ(面積、体積など)、周囲長などの評価値を算出する。そして、変化情報取得部162は、第1の画像領域の評価値と第2の画像領域の評価値との相違を示す値(差、比など)を求め、これを変化情報とする。また、この相違を示す値を調節刺激の変化量(つまり想定される調節量)で除算することにより、想定される単位調節量あたりの評価値の変化を求めるようにしてもよい。また、上記検査を複数回実施して平均値やばらつき等の統計値を求めるようにしてもよい。この例は、毛様体や水晶体に有効である。なお、糸状組織のチン小帯が所定組織である場合、たとえば、チン小帯に相当する画像領域のワイヤモデルを求めて形状を比較することができる。また、所定組織の2つ(以上)の特徴点を検出し、特徴点間の距離に基づいて形状変化を求めることも可能である。
所定組織の形態変化の他の例として、所定組織を構成する組織の密度の変化がある。この例は、たとえば毛様体に適用可能である。毛様体は多数の筋繊維からなる筋組織である。変化情報取得部162は、第1の画像領域および第2の画像領域のそれぞれを解析し、筋線維に相当する多数の部分領域を特定する。そして、第1の画像領域内の所定の面積領域内に存在する部分領域の個数と、第2の画像領域内の当該面積領域内に存在する部分領域の個数とを取得する。この処理はたとえばラベリングにより行われる。さらに、変化情報取得部162は、これら個数の相違を示す値(差、比など)を求め、これを変化情報とする。この変化情報は、筋組織の収縮または弛緩に伴う筋繊維の密度の変化を示すものである。なお、上記個数の相違を示す値を調節刺激の変化量(つまり想定される調節量)で除算することにより、想定される単位調節量あたりの密度変化を求めるようにしてもよい。また、上記検査を複数回実施して密度変化の平均値やばらつき等の統計値を求めるようにしてもよい。
(光学特性情報取得部163)
光学特性情報取得部163は、測定光学系30により取得された被検眼の光学特性を解析する。測定光学系30は、第1の調節刺激が与えられている状態の被検眼を測定して第1の測定値を取得し、かつ、第2の調節刺激が与えられている状態の被検眼を測定して第2の測定値を取得する。これら測定は、OCT計測と並行してまたは異なるタイミングで行われる。光学特性情報取得部163は、取得された第1の測定値および第2の測定値に基づいて、調節刺激の変化に伴う被検眼の光学特性の変化を示す情報を取得する。この情報を光学特性情報と称する。
この実施形態の測定光学系30は、被検眼の屈折力を測定するレフラクトメータとして機能する。光学特性情報取得部163は、被検眼の屈折力の第1の測定値および第2の測定値に基づいて、調節刺激の変化に伴う被検眼の調節量の変化を示す光学特性情報を取得する。この処理は、第1の測定値と第2の測定値との差を算出するものである。なお、2つの測定値の差を調節刺激の変化量(つまり想定される調節量)で除算することにより、想定される単位調節量あたりの実際の調節量を求めるようにしてもよい。また、上記検査を複数回実施して平均値やばらつき等の統計値を求めるようにしてもよい。
この実施形態では眼屈折力を測定しているが、被検眼の他の光学特性を測定するようにしてもよい。たとえば、被検眼の収差を測定することができる。収差測定を行う構成の例として、本出願人による特開2001−275972号公報などに記載された波面センサがある。波面センサは、点光源からの光束を被検眼の眼底に照射し、その反射光をハルトマンプレートを介してエリアセンサで検出して得られる複数の点像の分布を解析することにより各種次数の収差を求める装置である。このような波面センサによれば、球面度や乱視度だけでなく、より高次の収差を測定することが可能である。光学特性情報取得部163は、各次数の収差について、第1の測定値および第2の測定値に基づいて、調節刺激の変化に伴う被検眼の収差の変化を示す光学特性情報を取得する。
(眼内距離算出部164)
眼内距離算出部164は、OCT計測により得られた情報に基づいて、被検眼の任意の部位の間の距離を算出する。この距離を眼内距離と称する。眼内距離の算出方法は任意であるが、この実施形態では次の2つの方法を説明する。
第1の眼内距離算出方法は、第1の参照光と第2の参照光との光路長差に基づく。なお、第1の参照光は第1の参照ミラー75を経由する参照光であり、第2の参照光は第2の参照ミラー77を経由する参照光である。前述のように、第1の参照ミラー75は参照駆動部70Bによりレンズ74とともに光軸方向に移動され、第2の参照ミラー77は参照駆動部70Cによりレンズ76とともに光軸方向に移動される。それにより、第1の参照光の光路長と、第2の参照光の光路長とがそれぞれ変更される。
参照駆動部70Bおよび70Cは主制御部110の制御を受けて動作するので、主制御部110は参照駆動部70Bおよび70Cのそれぞれによる光路長の変更量を認識可能である。たとえば、参照駆動部70Bおよび70Cのアクチュエータがパルスモータである場合、主制御部110は、1パルスによるパルスモータの動作量(つまりパルスモータによる参照ミラーの単位移動量)と、パルスモータに送信されたパルス数とに基づいて、光路長の変更量を算出することができる。また、参照駆動部70Bおよび70Cに対する制御履歴(パルスの送信履歴)に基づいて、第1の参照ミラー75および第2の参照ミラー77の位置、つまり第1の参照光の光路長および第2の参照光の光路長を取得することができる。
参照駆動部70Bおよび70Cは「光路長変更部」の一例である。なお、この実施形態では参照光の光路長を変更しているが、信号光の光路長を変更するように構成することも可能である。信号光の光路長の変更は、たとえば移動可能なコーナーキューブを用いて行うことができる。また、参照光の光路長と信号光の光路長の双方を変更できるように構成することも可能である。
本方法では、被検眼の第1の部位の断層像および第2の部位の断層像を、OCT計測によって取得する。この2つのOCT計測は、並行してまたは異なるタイミングで行われる。この実施形態では、2つの参照ミラー75および77が設けられているので、被検眼の異なる部位のOCT計測を並行して行うことができる。なお、3つ以上の参照ミラーと、その個数に合わせて参照光の光路を分岐させる光学系とを設けることで、3つ以上の部位のOCT計測を同時に行えるように構成することも可能である。
第1の部位のOCT計測は、第1の部位からの信号光の後方散乱光と、第1の参照光とが効果的に干渉するようにして行われる。換言すると、第1の部位のOCT計測は、ファイバカプラ63と第1の部位との間の光路長(信号光の光路長)と、ファイバカプラ63と第1の参照ミラー75との間の光路長(第1の参照光の光路長)とを一致させるようにして行われる。すなわち、第1の部位のOCT計測では、第1の参照ミラー75は、第1の部位と実質的に共役な位置に配置される。
同様に、第2の部位のOCT計測は、第2の部位からの信号光の後方散乱光と、第2の参照光とが効果的に干渉するようにして行われる。換言すると、第2の部位のOCT計測は、ファイバカプラ63と第2の部位との間の光路長(信号光の光路長)と、ファイバカプラ63と第2の参照ミラー77との間の光路長(第2の参照光の光路長)とを一致させるようにして行われる。すなわち、第2の部位のOCT計測では、第2の参照ミラー77は、第2の部位と実質的に共役な位置に配置される。
眼内距離算出部164は、第1の部位の断層像が取得されたときの第1の参照光の光路長と、第2の部位の断層像が取得されたときの第2の参照光の光路長とに基づいて、第1の部位と第2の部位との間の距離を算出する。この処理は、第1の参照光の光路長と第2の参照光の光路長との差を算出することにより行われる。
本方法の例として、被検眼の眼軸長を取得することができる。その場合、第1の部位は角膜の前面に設定され、第2の部位は眼底の表面に設定される。すなわち、第1の参照ミラー75は角膜の前面と共役な位置に配置され、第2の参照ミラー77は眼底の表面と共役な位置に配置される。本例では、角膜を描出した角膜断層像と、眼底を描出した眼底断層像とが取得される。眼内距離算出部164は、角膜断層像を取得するためのOCT計測における第1の参照ミラー75の位置(つまり第1の参照光の光路長)と、眼底断層像を取得するためのOCT計測における第2の参照ミラー77の位置(つまり第2の参照光の光路長)とに基づいて、被検眼の眼軸長を算出する。このように、本方法では、比較的大きな眼内距離を測定することができる。
本方法の他の例として、前房深度を取得することができる。その場合、第1の部位は角膜の後面に設定され、第2の部位は水晶体の前面に設定される。すなわち、第1の参照ミラー75は角膜の後面と共役な位置に配置され、第2の参照ミラー77は水晶体の前面と共役な位置に配置される。本例では、たとえば、角膜を描出した角膜断層像と、水晶体を描出した水晶体断層像とが取得される。眼内距離算出部164は、角膜断層像を取得するためのOCT計測における第1の参照ミラー75の位置(つまり第1の参照光の光路長)と、水晶体断層像を取得するためのOCT計測における第2の参照ミラー77の位置(つまり第2の参照光の光路長)とに基づいて、前房深度を算出する。
第2の眼内距離算出方法は、1枚の断層像を解析して眼内距離を求めるものである。この解析処理では、まず、断層像に描出された第1の部位に相当する画像領域と、第2の部位に相当する画像領域とが特定される。この処理は、画像領域特定部161と同様に自動でまたは一部手動で行われる。眼内距離算出部164は、特定された2つの画像領域の間の距離を算出する。この処理は、断層像にあらかじめ設定されたスケールに基づいて行われる。また、この処理は、2つの画像領域の間に存在する画素数をカウントする処理を含んでいてもよい。
本方法の例として、前房深度を取得することができる。本例では、第1の参照ミラー75および第2の参照ミラー77の一方のみがOCT計測に使用される(第1の参照ミラー75を用いることにする)。第1の参照ミラー75は、前眼部の任意の位置に共役に配置される。たとえば、第1の参照ミラー75は、角膜の後面と水晶体の前面との間の位置に共役に配置される。眼内距離算出部164は、このようにして取得された断層像において角膜の後面に相当する画像領域と、水晶体の前面に相当する画像領域との間の距離を算出することにより、被検眼の前房深度を求める。
(前眼部変化情報取得部165)
眼科撮影装置2は、前眼部を撮影する機能を有する。この前眼部撮影は、撮影光学系10または撮像素子90を用いて行われる。この実施形態では、第1の調節刺激が与えられている状態の被検眼を撮影して第1の前眼部像を取得し、かつ、第2の調節刺激が与えられている状態の被検眼を撮影して第2の前眼部像を取得する。これら前眼部撮影は、OCT計測と並行してまたは異なるタイミングで行われる。前眼部変化情報取得部165は、第1の前眼部像と第2の前眼部像とを比較することにより、調節刺激の変化に伴う前眼部の所定組織の変化を示す情報を取得する。この情報を前眼部変化情報と称する。
解析対象となる前眼部の所定組織の例として虹彩がある。前眼部変化情報取得部165は、まず、第1の前眼部像に描出された所定組織に相当する画像領域と、第2の前眼部像に描出された所定組織に相当する画像領域とを特定する。この処理は、画像領域特定部161と同様に自動でまたは一部手動で行われる。さらに、前眼部変化情報取得部165は、特定された2つの画像領域を比較することで、2つの画像領域の間における形態の変化(瞳孔径の変化、虹彩パターンの変化など)を求める。また、瞳孔の楕円形状(楕円率や向き)の変化に基づいて、被検眼の視線方向の変化(眼軸方向の変化)などを求めることも可能である。
(ユーザインターフェイス180)
ユーザインターフェイス180は、検者や被検者に情報を提供するために、そして検者や被検者が操作や情報入力を行うために使用される、マンマシンインターフェイスである。ユーザインターフェイス180には、表示部181と操作部182とが含まれる。
(表示部181)
表示部181には、前述した表示部7、7Lおよび7R、並びに眼科撮影装置2の背面側に設けられた表示部などが含まれる。また、眼科撮影装置2にコンピュータが接続されている場合、表示部181は、このコンピュータのディスプレイを含んでいてもよい。表示部181は、主制御部110の制御を受けて情報を表示する。
(操作部182)
操作部182は、眼科撮影装置2の操作や情報入力に用いられる。操作部182には、前述のレバー6hやボタン6g、眼科撮影装置2の背面側の操作部などが含まれる。また、眼科撮影装置2にコンピュータが接続されている場合、操作部182は、このコンピュータの操作デバイスや入力デバイスを含んでいてもよい。主制御部110は、操作部182からの信号を受けて制御を実行する。
なお、表示部181と操作部182は、それぞれ個別のデバイスとして構成される必要はない。たとえばタッチパネルのように、表示機能と操作機能とが一体化されたデバイスを用いることが可能である。
[動作]
眼科撮影装置2の動作について説明する。眼科撮影装置2の動作の一例を図6に示す。ここでは、右被検眼ERの検査を行う場合について説明する。
(S1:アライメント)
まず、右被検眼ERに対する光学系のアライメントを行う。具体的には、まず、主制御部110は、前眼部照明光源11およびアライメント光源21を点灯させるとともに、撮像素子16の動作を開始させる。それにより、アライメント視標像が投影された右被検眼ERの前眼部像が得られる。主制御部110は、この前眼部像を表示部181に表示させる。ユーザは、従来と同様の要領で、前眼部像に映り込んでいるアライメント視標像の位置を参照しつつ光学系の位置を調整することにより、右被検眼ERに対するアライメントを行う。なお、主制御部110がアライメント視標像の位置を解析して光学系の位置を調整することにより、アライメントを自動で行うことも可能である。
なお、左被検眼にも調節刺激を与える場合には、左被検眼に対する光学系のアライメントが同様にして実行される。
アライメントが完了した状態の例を図7に示す。符号O1は、撮影光学系10、測定光学系30および視標投影光学系50の光軸(第1の光軸)を示す。符号O2は、干渉光学系60および固視光学系80の光軸(第2の光軸)を示す。右の本体部5Rのアライメントは、主制御部110が、右被検眼ERの軸に第1の光軸O1を合わせるように、撮影光学系10により取得される前眼部像に基づきXYZ駆動機構130Aおよび回転駆動機構130Bを制御することによって実行される。
図3に示すように、第2の光軸O2は、第1の光軸O1に対して角度θをなしている。第1の光軸O1の位置を固定した状態で、第2の光軸O2のアライメントを行うこともできる。このアライメントは、主制御部110が、たとえば撮像素子90により取得される前眼部像および/または反復的なOCT計測により得られるライブOCT画像に基づいて光軸偏向機構130Cを制御することによって実行される。
左被検眼ELにも調節刺激を与える場合、主制御部110は、左の本体部5Lの第1の光軸O1のアライメントを、右の本体部5Rの場合と同様にして実行する。左被検眼ELのOCT計測も行う場合、左の本体部5Lの第2の光軸(図示せず)のアライメントが、右の本体部5Lの場合と同様にして実行される。
主制御部110は、上記のようにして取得される前眼部像を表示部181に表示させる。アライメントが完了した状態の前眼部像の表示例を図8に示す。主制御部110は、撮影光学系10により取得される前眼部像G1と、撮像素子90により取得される前眼部像G2とを、それぞれ表示部181に動画表示させる。第1の光軸O1は右被検眼ERの軸に実質的に一致されているので、前眼部像G1は右被検眼ERを正面から撮影した画像となる。また、第2の光軸O2は第1の光軸O1に対して角度θだけ傾斜しているので、前眼部像G2は右被検眼ERを斜めから撮影した画像となる。
アライメントが完了したにおける第1の光軸O1と第2の光軸O2との位置関係の例を図9に示す。図9は、右被検眼ERの断面を示す。符号E1は角膜を示し、符号E2は虹彩を示し、符号E3は水晶体を示し、符号E4は毛様体を示し、符号E5はチン小帯を示す。第1の光軸O1は、角膜E1の頂点を通過し、虹彩E2の間(瞳孔)を通過し、かつ水晶体E3の頂点を通過する位置に配置される。また、第1の光軸O1に対して角度θだけ傾斜している第2の光軸O2は、毛様体を通過する位置に配置される。
(S2:第1の調節刺激の付与)
アライメントが完了したら、主制御部110は、右被検眼ER(および左被検眼)に第1の調節刺激を付与する。具体的には、主制御部110は、視標光源51を点灯させるとともに、視標駆動部50Aを制御して視標光源51および視標板52を第1の調節刺激に相当する位置に配置させる。なお、第1の調節刺激に相当する視標光源51等の位置は、あらかじめ設定されている。
(S3:OCT計測、光学特性測定、前眼部撮影)
右被検眼ER(および左被検眼)に第1の調節刺激が付与されている状態において、主制御部110は、OCT計測、光学特性測定および前眼部撮影を実行させる。なお、これら3つの動作は、少なくとも2つを並行して行ってもよいし、全てを異なるタイミングで行なってもよい。なお、この段階では、干渉光学系60の光路に集光レンズ70が配置されている。
OCT計測について説明する。主制御部211は、まず、参照駆動部70Bを制御することで、第1の参照ミラー75およびレンズ74を毛様体E4に相当する位置に配置させる。この処理は、たとえば、反復的なOCT計測より得られるライブOCT画像を参照して実行される。第1の参照ミラー75の位置決めが完了したら、主制御部211は、光源ユニット61およびガルバノスキャナ66を制御して、毛様体を含む右被検眼ERの領域のOCT計測を実行させる。検出部79は、右被検眼ERを経由した信号光と、第1の参照ミラー75を経由した参照光との干渉光を検出する。画像形成部150は、検出部79から出力される信号に基づいて断層像を形成する。この断層像には、第1の調節刺激が与えられている状態における毛様体E4の形態が描出されている。主制御部110は、取得された断層像を記憶部120に記憶させる。この断層像は、第1の断層像として用いられる。
光学特性測定について説明する。まず、主制御部110は、測定光源31を点灯させる。測定光源31から出力された測定光束は、右被検眼ERの眼底で反射されて撮像素子16により検出する。主制御部110は、撮像素子16から出力された信号を光学特性情報取得部163に送る。この信号は、撮像素子16に検出された測定光束の断面のサイズや形状を示す情報を含む。光学特性情報取得部163は、この信号を解析することにより、右被検眼ERの球面度、乱視度、乱視軸などを算出する。主制御部110は、算出された光学特性の測定値を記憶部120に記憶させる。この測定値は、第1の調節刺激が与えられている状態における右被検眼ERの光学特性値を示し、第1の測定値として用いられる。
前眼部撮影について説明する。前眼部照明光源11がステップ1から継続的に点灯している場合、撮像素子16は、所定の時間間隔(フレームレート)で制御部100に信号を入力する。主制御部110は、所定のタイミング(第1の調節刺激が付与されている間の任意のタイミングでよい)で入力された信号に基づく画像データを記憶部120に記憶させる。この画像データは、第1の調節刺激が与えられている状態における右被検眼ERの前眼部の形態を示し、第1の前眼部像の画像データとして用いられる。
少なくとも前眼部撮影を行う直前のタイミングにおいて前眼部照明光源11が点灯されていない場合、主制御部110は、前眼部照明光源11を点灯させて前眼部撮影を実行させ、それにより得られた第1の前眼部像の画像データを記憶部120に記憶させる。
(S4:第2の調節刺激の付与)
OCT計測、光学特性測定および前眼部撮影が完了したら、主制御部110は、右被検眼ER(および左被検眼)に第2の調節刺激を付与する。具体的には、主制御部110は、視標駆動部50Aを制御することで、第1の調節刺激に相当する位置に配置されている視標光源51および視標板52を、第2の調節刺激に相当する位置に移動させる。なお、第2の調節刺激に相当する視標光源51等の位置は、あらかじめ設定されている。
(S5:OCT計測、光学特性測定、前眼部撮影)
右被検眼ER(および左被検眼)に第1の調節刺激が付与されている状態において、主制御部110は、OCT計測、光学特性測定および前眼部撮影を実行させる。この処理は、ステップ3と同様にして実行される。それにより、第2の調節刺激が与えられている状態における右被検眼ERの第2の断層像、第2の測定値および第2の前眼部像が得られる。これら情報は、記憶部120に記憶される。
(S6:光学系の移動)
ステップ5のOCT計測、光学特性測定および前眼部撮影が完了したら、主制御部110は、眼内距離測定用の位置に光学系を移動させる。具体的には、主制御部110は、干渉光学系60の光軸(第2の光軸O2)を右被検眼ERの軸に一致させるように、回転駆動機構130Bを制御する(図10を参照)。この光学系の回転移動は、右の本体部5Rを角度θだけ回転させるものである。また、主制御部110は、XYZ駆動機構130Aを制御して、右被検眼ERに対する干渉光学系60の距離を調整する。また、主制御部110は、挿脱駆動部70Aを制御して、干渉光学系60の光路から集光レンズ70を退避させる。
(S7:眼内距離測定用のOCT計測)
光学系の移動が完了したら、主制御部211は、参照駆動部70Bを制御することで、第1の参照ミラー75およびレンズ74を右被検眼ERの第1の部位(たとえば角膜E1の前面)に相当する位置に配置させ、かつ、参照駆動部70Cを制御することで、第2の参照ミラー77およびレンズ76を右被検眼ERの第2の部位(たとえば眼底の表面)に相当する位置に配置させる。この処理は、たとえば、反復的なOCT計測により得られるライブOCT画像を参照して実行される。このOCT計測においては、固視光源81によって右被検眼ERの固視がなされる。
第1の参照ミラー75および第2の参照ミラー77の位置決めが完了したら、主制御部211は、光源ユニット61およびガルバノスキャナ66を制御して右被検眼ERのOCT計測を実行させる。検出部79は、右被検眼ERを経由した信号光と参照光との干渉光を検出する。この干渉光には、右被検眼ERの第1の部位を経由した信号光と第1の参照ミラー75を経由した参照光との干渉成分(第1の干渉成分)と、第2の部位を経由した信号光と第2の参照ミラー77を経由した参照光との干渉成分(第2の干渉成分)とが含まれる。
画像形成部150は、検出部79から出力される信号に基づいて断層像を形成する。この動作例では、画像形成部150は、第1の干渉成分に基づいて角膜E1の前面が描出された角膜断層像を形成し、第2の干渉成分に基づいて眼底の表面が描出された眼底断層像を形成する。主制御部110は、取得された角膜断層像および眼底断層像を記憶部120に記憶させる。なお、第1の部位のOCT計測と第2の部位のOCT計測とを異なるタイミングで行うようにしてもよい。
以上で、右被検眼ERに対する光学的な計測は終了となり、データ処理に移行する。なお、以下のステップ8〜ステップ11に示す処理を実行する順序は任意である。また、これら処理の2つ以上を並行して実行することも可能である。
(S8:変化情報の生成)
データ処理部160は、調節刺激の変化に伴う右被検眼ERの所定組織(たとえば毛様体)の変化を示す変化情報を生成する。この動作例における変化情報は、第1の調節刺激が付与された状態における所定組織の形態と、第2の調節刺激が付与された状態における所定組織の形態との間の差異を示す。
ステップ8の処理は、次のように2段階の処理を含む。第1段階では、画像領域特定部161が、ステップ3で取得された第1の断層像を解析して毛様体領域を特定し、かつ、ステップ5で取得された第2の断層像を解析して毛様体領域を特定する。第2段階では、変化情報取得部162が、第1の断層像の毛様体領域と第2の断層像の毛様体領域とを比較することにより、毛様体E4の形態(形状、筋繊維の密度など)の変化を示す変化情報を取得する。主制御部110は、取得された変化情報を記憶部120に記憶させる。
(S9:光学特性情報の生成)
データ処理部160は、調節刺激の変化に伴う右被検眼ERの光学特性の変化を示す光学特性情報を生成する。この動作例では、光学特性情報取得部163が、ステップ3で取得された眼屈折力の第1の測定値と、ステップ5で取得された第2の測定値とに基づいて、調節刺激の変化に伴う右被検眼ERの調節量の変化を示す光学特性情報を取得する。主制御部110は、取得された光学特性情報を記憶部120に記憶させる。
(S10:前眼部変化情報の生成)
データ処理部160は、調節刺激の変化に伴う右被検眼ERの前眼部の所定組織の変化を示す前眼部変化情報を生成する。この動作例では、前眼部変化情報取得部165が、ステップ3で取得された第1の前眼部像と、ステップ5で取得された第2の前眼部像とに基づいて、右被検眼ERの瞳孔径の変化、虹彩パターンの変化、視線方向の変化などを示す前眼部変化情報を取得する。主制御部110は、取得された前眼部変化情報を記憶部120に記憶させる。
(S11:眼内距離の算出)
データ処理部160は、右被検眼ERの眼内距離を算出する。この動作例では、眼内距離算出部164が、ステップ7で角膜断層像および眼底断層像を取得したときの第1の参照ミラー75の位置および第2の参照ミラー77の位置に基づいて、右被検眼ERの眼軸長、つまり角膜の前面と眼底の表面との間の距離を算出する。主制御部110は、算出された眼内距離を記憶部120に記憶させる。
(S12:情報の表示)
主制御部110は、ステップ8〜ステップ11で取得された情報を記憶部120から読み出して表示部181に表示させる。以上で、この動作例は終了である。
[作用・効果]
眼科撮影装置2の作用および効果について説明する。
眼科撮影装置2は、第1の光学系と、断層像形成部と、解析部とを有する。第1の光学系は、被検眼に調節刺激を与える視標投影光学系50を含む。第1の光学系は、被検眼に刺激を与える刺激付与部の一例である。断層像形成部は、干渉光学系60を含む。干渉光学系60は、第2の光学系に相当し、光源(光源ユニット61)からの光を信号光と参照光とに分割し、被検眼を経由した信号光と参照光との干渉光を検出する。断層像形成部は、干渉光学系60による干渉光の検出結果に基づいて被検眼の断層像を形成する。解析部は、データ処理部160を含んで構成され、第1の調節刺激が与えられている状態の被検眼についての第1の断層像と、第2の調節刺激が与えられている状態の被検眼についての第2の断層像とを比較することにより、調節刺激の変化に伴う被検眼の所定組織の変化を示す変化情報を取得する。
データ処理部160は、画像領域特定部161と変化情報取得部162とを含んでいてよい。画像領域特定部161は、第1の調節刺激に対応する第1の断層像および第2の調節刺激に対応する第2の断層像のそれぞれを解析し、被検眼の所定組織に相当する画像領域を特定する。変化情報取得部162は、第1の断層像から特定された画像領域と第2の断層像から特定された画像領域とを比較することにより、被検眼の所定組織の形態の変化を示す情報を上記変化情報として取得する。
変化情報取得部162は、上記変化情報として、被検眼の所定組織の形状の変化および/または所定組織を構成する組織の密度の変化を示す情報を取得することができる。それにより、所定組織の形状や密度が調節刺激に応じてどのように変化するか把握することが可能である。
所定組織として毛様体が適用される場合、次のような構成を用いることが可能である。画像領域特定部161は、上記画像領域として、毛様体に相当する毛様体領域を特定する。そして、変化情報取得部162は、第1の断層像の毛様体領域と第2の断層像の毛様体領域とを比較することにより、被検眼の毛様体の形状の変化および/または毛様体の筋繊維の密度の変化を示す情報を上記変化情報として取得する。それにより、毛様体の形状や筋繊維密度が調節刺激に応じてどのように変化するか把握することが可能である。
所定組織として毛様体が適用される場合、第1の光学系の光軸(第1の光軸O1)と第2の光学系の光軸(第2の光軸O2)とが異なる方向に向けられた状態で、被検眼に対する調節刺激の付与と、毛様体のOCT計測とを行うことができる。それにより、調節刺激の付与と毛様体のOCT計測の並行的な実施を好適に行うことが可能である。つまり、被検眼の正面から調節刺激を与えつつ、眼軸に対して傾斜した方向からのOCT計測を好適に行うことが可能である。
所定組織として毛様体が適用される場合、第1の光軸O1の方向と第2の光軸O2の方向とを相対的に変更する光学系移動機構を設けることができる。この実施形態では、光軸偏向機構130Cが光学系移動機構に相当する。それにより、調節刺激の付与と毛様体のOCT計測とを好適に行うことが可能である。つまり、被検眼の正面から調節刺激を与えつつ、毛様体の画像化に適した方向からのOCT計測を好適に行うことが可能である。
所定組織は毛様体には限定されない。たとえば水晶体を所定組織として適用することができる。その場合、次のような構成を用いることが可能である。画像領域特定部161は、上記画像領域として、水晶体に相当する水晶体領域を特定する。そして、変化情報取得部162は、第1の断層像の水晶体領域と第2の断層像の水晶体領域とを比較することにより、水晶体の形状の変化を示す情報を変化情報として取得する。この変化情報には、水晶体の厚み、サイズ(面積、体積など)、周囲長などが含まれる。それにより、水晶体等の組織の形状が調節刺激に応じてどのように変化するか把握することが可能である。なお、この実施形態でいう水晶体には、生体水晶体だけでなく人工水晶体(つまり眼内レンズ)も含まれるものとする。
第1の光学系は、被検者の左被検眼ELおよび右被検眼ERに対して同時に調節刺激を与える左右一対の光学系を有してよい。それにより、一方の被検眼のみに調節刺激を与える場合と比較して、調節を好適に引き起こすことができる。なお、両眼に調節刺激を与える場合には、左右被検眼が輻輳するように左右一対の光学系の位置調整を行うことが可能である。その際、輻輳角を調節刺激に応じて変更するように構成できる。具体例として、第1の調節刺激に相当する視認距離に対応する第1の輻輳角と、第2の調節刺激に相当する視認距離に対応する第2の輻輳角とをあらかじめ取得し、調節刺激の変更に応じて第1の輻輳角と第2の輻輳角とを切り替えて適用することが可能である。
第1の光学系は、被検眼の光学特性を光学的に測定する測定光学系を含んでいてよい。この実施形態では、測定光学系30は、第1の調節刺激が与えられている状態の被検眼を測定して光学特性の第1の測定値を取得する。さらに、測定光学系は、第2の調節刺激が与えられている状態の被検眼を測定して光学特性の第2の測定値を取得する。データ処理部160の光学特性情報取得部163は、第1の測定値および第2の測定値に基づいて、調節刺激の変化に伴う光学特性の変化を示す光学特性情報を取得する。それにより、被検眼の光学特性が調節刺激に応じてどのように変化するか把握することが可能である。
測定光学系は、上記光学特性として、被検眼の屈折力を測定することができる。その場合、光学特性情報取得部163は、屈折力の第1の測定値および第2の測定値に基づいて、調節刺激の変化に伴う被検眼の調節量の変化を示す光学特性情報を取得することができる。それにより、被検眼の屈折力が調節刺激に応じてどのように変化するか把握することが可能である。
測定光学系は、上記光学特性として、被検眼の収差を測定することができる。その場合、光学特性情報取得部163は、収差の第1の測定値および第2の測定値に基づいて、調節刺激の変化に伴う被検眼の収差の変化を示す光学特性情報を取得することができる。それにより、被検眼の収差が調節刺激に応じてどのように変化するか把握することが可能である。
第2の光学系は、信号光および/または参照光の光路長を変更する光路長変更部を含んでいてよい。この実施形態では、参照光の光路長を変更する参照駆動部70B(70C)が干渉光学系60に設けられている。断層像取得部は、被検眼の第1の部位および第2の部位の断層像をそれぞれ取得する。データ処理部160の眼内距離算出部164は、第1の部位の断層像が取得されたときの光路長と、第2の部位の断層像が取得されたときの光路長とに基づいて、第1の部位と第2の部位との間の距離を算出する。それにより、被検眼の第1の部位と第2の部位との間の距離を求めることができる。
第1の部位として角膜の前面を適用し、第2の部位として眼底の表面を適用することができる。その場合、眼内距離算出部164により被検眼の眼軸長が得られる。
眼内距離算出部164は、断層像取得部により取得された被検眼の一の断層像を解析することで、その断層像に描出された第1の部位と第2の部位との間の距離を算出することができる。それにより、被検眼の第1の部位と第2の部位との間の距離を求めることができる。
第1の部位として角膜の後面を適用し、第2の部位として水晶体の前面を適用することができる。その場合、眼内距離算出部164により被検眼の前房深度が得られる。
第1の光学系は、被検眼の前眼部を撮影する撮影光学系を含んでいてよい。この実施形態では、撮影光学系10や、撮像素子90を含む光学系が、撮影光学系に相当する。撮影光学系は、第1の調節刺激が与えられている状態の被検眼についての第1の前眼部像と、第2の調節刺激が与えられている状態の被検眼についての第2の前眼部像とを取得する。データ処理部160は、第1の前眼部像と第2の前眼部像とを比較することにより、調節刺激の変化に伴う前眼部の所定組織の変化を示す前眼部変化情報を取得する。それにより、前眼部の所定組織が調節刺激に応じてどのように変化するか把握することが可能である。
上記のように構成された眼科撮影装置2によれば、被検眼の調節機能に関わる組織が適正に機能しているかを、被検眼の構造変化に基づいて判定することが可能である。たとえば、筋組織である毛様体が収縮・弛緩する能力を十分に備えているか把握することができる。また、毛様体が適正に機能しているか、白内障等によって水晶体の柔軟性が低下しているか、移植された眼内レンズが適正位置に配置されているかなどを総合的に判定することができるので、調節機能が好適に作用していない原因を特定することが可能である。
以上のように眼科撮影装置2によれば、被検眼の調節機能を好適に判定することが可能である。
実施形態に係る眼科撮影装置2の使用形態を説明する。調節機能に関する治療や手術の経過観察に眼科撮影装置2を用いることで、治療・手術・時間経過による調節機能の変化を総合的に判断することができる。また、調節機能の時系列変化を取得することが可能である。
眼科撮影装置2は、リハビリテーションやトレーニングの効果測定に用いられる。その場合、視標投影光学系50により、ランドルト環などの自覚検眼用の視標を被検眼に提示することができる。そして、自覚検眼の測定結果および調節機能の測定結果の時系列変化を取得することができる。
眼科撮影装置2は、調節性眼内レンズの評価に用いられる。調節性眼内レンズは、調節機能を有する眼内レンズである。調節性眼内レンズの評価の例として、移植された調節性眼内レンズが毛様体等の動きに応じて適正に機能しているか評価することができる。また、眼内レンズの移植手術前に、被検眼の毛様体等が調節性眼内レンズを移植するのに十分な能力を有しているか判定することができる。
以上に説明した構成は、この発明を実施するための一例に過ぎない。よって、この発明の要旨の範囲内における任意の変形(省略、置換、付加等)を適宜に施すことが可能である。以下に示す変形例は、この発明の要旨の範囲に含まれるものである。
光源ユニット61が出力する光の波長は任意に設定される。たとえば、OCTを用いて眼軸長測定を行うことを考慮すると、1.1μm以下の波長の光を出力可能な光源ユニット61を用いることができる。なお、断層像を取得するためのOCT計測用の光源と、眼内距離を測定するためのOCT計測用の光源とを別々に設けることが可能である。
上記の実施形態では、視標を用いて被検眼に調節刺激を付与する構成を採用しているが、被検眼に対する刺激の付与方法や刺激の内容はこれに限定されるものではない。たとえば、電気刺激や超音波刺激や光刺激を被検眼に付与することができる。電気刺激は、たとえば、刺激部位に対して電極を当接させることによって付与される。超音波刺激は、たとえば、超音波振動子を用いて刺激部位に超音波を照射することによって付与される。光刺激は、光源を用いて付与される。
刺激が付与される被検眼の部位は、調節機能に関する部位(水晶体、チン小帯、毛様体)には限定されない。たとえば網膜に対して刺激を付与することができる。
このような眼科撮影装置は、刺激付与部と、断層像形成部と、解析部とを有する。刺激付与部は、被検眼に対して刺激を与える。この刺激には、視標の呈示、電気刺激、超音波刺激、光刺激などが含まれる。また、刺激付与部としては、被検眼に視標を呈示する手段、被検眼に電気刺激を与える手段、被検眼に超音波刺激を与える手段、被検眼に光刺激を与える手段などが含まれる。断層像形成部は、光源からの光を信号光と参照光とに分割し、被検眼を経由した信号光と参照光との干渉光を検出する光学系を含む。さらに、断層像形成部は、干渉光の検出結果に基づいて被検眼の断層像を形成する。解析部は、刺激付与部により第1の刺激が与えられている状態の被検眼について断層像形成部により取得された第1の断層像と、第2の刺激が与えられている状態の被検眼について断層像形成部により取得された第2の断層像とを比較することにより、刺激の変化に伴う被検眼の所定組織の変化を示す変化情報を取得する。このような眼科撮影装置によれば、刺激の変化に伴う被検眼の変化を判定することが可能である。
上記実施形態では、被検眼の断層像に基づいて変化情報を取得しているが、OCT計測において干渉光学系により検出されるデータや、この検出データから断層像に至るまでの情報、或いは断層像から得られる情報に基づいて変化情報を取得することが可能である。たとえば、上記実施形態において、干渉光学系60の検出部79から出力される信号から変化情報を取得すること、この信号を受けた画像形成部150により取得される情報(信号から断層像に至るまでの情報)から変化情報を取得すること、さらには、データ処理部160が断層像から生成する情報から変化情報を取得することが可能である。また、位相検出型OCTにより取得される位相情報に基づいて変化情報を取得する構成を適用することもできる。その場合、刺激の変化に伴う被検眼の僅かな変化(波長以下の変化)を把握することができる。
上記実施形態では、2つの刺激付与状態に対応する2つの情報を比較する場合について特に詳しく説明したが、これに限定されるものではない。たとえば、3つ以上の刺激付与状態に対応する3つ以上の情報から変化情報を取得することができる。すなわち、第iの刺激(i=1〜K)が与えられている状態の被検眼に関する第iの情報(断層像等)を取得し、これらK個の情報に基づいて変化情報を取得することが可能である。また、2つ以上の刺激付与状態に対応する3つ以上の情報から変化情報を取得することができる。たとえば、第1の刺激付与状態から第2の刺激付与状態への移行を含む期間において反復取得された被検眼の情報に基づいて変化情報を取得することが可能である。たとえば、第1の刺激付与状態から第2の刺激付与状態への移行を含む期間において所定の反復周波数で断層像を反復取得し、それにより得られる動画像に基づいて変化情報を取得することが可能である。