JP2018121440A - エンドプレートの組付け構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】エンドプレートのロータシャフトに対する組付け作業性の向上を図る。【解決手段】エンドプレート21は、ロータシャフト11に螺合により締付けられ、回転規制部Aによりロータシャフト11に対する回転を規制された状態で組付けられる。回転規制部Aは、凹部15(被係止部)、溝31及び係止部33を備える。凹部15は、ロータシャフト11の外周部であって、周方向に等角度毎に設けられる。溝31は、エンドプレート21の径方向における中間部分で周方向に延びるように、同周方向の凹部15とは異なる数の複数箇所に等角度毎に設けられ、少なくとも1つがいずれかの凹部15に対し、径方向に対向する。係止部33は、エンドプレート21の径方向における溝31よりも内方部分のうち、凹部15に対し径方向に対向する部分から同径方向に突出して凹部15に係止されることで、ロータシャフト11に対するエンドプレート21の回転を規制する。【選択図】図2
Description
本発明は、回転電機用ロータにおけるロータシャフトにエンドプレートを組付けるエンドプレートの組付け構造に関する。
回転電機用ロータは、軸方向に延びるロータコアと、同ロータコアの軸方向における少なくとも片側に隣接する円環状のエンドプレートとをロータシャフトの外周部に設けることにより構成されている。
エンドプレートをロータシャフトに組付けるために、例えば、特許文献1では、エンドプレートをロータシャフトに螺合により締付けている。また、特許文献2では、ロータシャフトに形成された凸部を、エンドプレートに形成された凹部に対し、かしめにより係合させている。
ここで、上記螺合及びかしめの両者を組合わせて実施すれば、螺合により、各エンドプレートのロータシャフトに対する軸方向への動きが規制されつつ、かしめにより、各エンドプレートのロータシャフトに対する回転が規制されることとなり、エンドプレートをロータシャフトに対し、強固に組付けることが可能である。
ところで、エンドプレートの上記組付けに際しては、過不足のない締付けトルクで同エンドプレートがロータシャフトに螺合されるように締付けトルクを管理することが必要であるうえに、凹部が凸部に対向するように、エンドプレートの回転角を管理することが必要である。しかし、締付けトルクの管理と回転角の管理とを同時に行なうことは難しく、このことがエンドプレートの組付け作業性を低下させる。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、エンドプレートのロータシャフトに対する組付け作業性の向上を図ることのできるエンドプレートの組付け構造を提供することにある。
上記課題を解決するエンドプレートの組付け構造は、軸方向に延びるロータコアと、同ロータコアの前記軸方向における少なくとも片側に隣接する円環状のエンドプレートとをロータシャフトの外周部に設けてなる回転電機用ロータに適用され、前記エンドプレートを前記ロータシャフトに組付ける構造であって、前記エンドプレートは、前記ロータシャフトに対し螺合により締付けられ、かつ回転規制部により前記ロータシャフトに対する回転を規制された状態で組付けられており、前記回転規制部は、前記ロータシャフトの外周部であって、同ロータシャフトの周方向に等角度毎に設けられた複数の被係止部と、前記エンドプレートの径方向における中間部分で周方向に延びるように、同周方向の前記被係止部とは異なる数の複数箇所に等角度毎に設けられ、少なくとも1つがいずれかの前記被係止部に対し、前記径方向に対向する溝と、前記エンドプレートの前記径方向における前記溝よりも内方部分のうち、前記被係止部に対し前記径方向に対向する部分から同径方向に突出して前記被係止部に係止されることで、前記ロータシャフトに対する前記エンドプレートの回転を規制する係止部とを備えている。
上記の構成によれば、ロータシャフトに対するエンドプレートの組付けに際しては、同エンドプレートが、ロータシャフトの外周部に螺合される。
ここで、ロータシャフトの外周部における周方向に等角度毎に設けられた被係止部の数と、エンドプレートの径方向における中間部分で周方向に延びるように、同周方向に等角度毎に設けられた溝の数とが仮に同一であるとすると、エンドプレートにおいて隣り合う溝の間の部分(溝間部)の数も被係止部の数と同一となる。複数の溝間部は、エンドプレートの周方向に等角度毎に存在する。エンドプレートの回転角によっては、いずれの溝も被係止部に対向しないおそれがある。しかし、上記の構成によるように、溝の数が被係止部の数と異なる場合には、エンドプレートの回転角に拘わらず、全ての溝間部を全ての被係止部に対し、上記径方向に対向させない、すなわち、少なくとも1つの溝をいずれかの被係止部に対向させることが可能である。
ここで、ロータシャフトの外周部における周方向に等角度毎に設けられた被係止部の数と、エンドプレートの径方向における中間部分で周方向に延びるように、同周方向に等角度毎に設けられた溝の数とが仮に同一であるとすると、エンドプレートにおいて隣り合う溝の間の部分(溝間部)の数も被係止部の数と同一となる。複数の溝間部は、エンドプレートの周方向に等角度毎に存在する。エンドプレートの回転角によっては、いずれの溝も被係止部に対向しないおそれがある。しかし、上記の構成によるように、溝の数が被係止部の数と異なる場合には、エンドプレートの回転角に拘わらず、全ての溝間部を全ての被係止部に対し、上記径方向に対向させない、すなわち、少なくとも1つの溝をいずれかの被係止部に対向させることが可能である。
上記螺合により、エンドプレートは、ロータシャフトの外周部に締付けられる。この締付けにより、ロータシャフトの軸方向へのエンドプレートの動きが規制される。
また、エンドプレートがロータシャフトに締付けられた状態でも、上記と同様に、エンドプレートの回転角に拘わらず、少なくとも1つの溝をいずれかの被係止部に対し、上記径方向に対向させることが可能である。
また、エンドプレートがロータシャフトに締付けられた状態でも、上記と同様に、エンドプレートの回転角に拘わらず、少なくとも1つの溝をいずれかの被係止部に対し、上記径方向に対向させることが可能である。
そして、少なくとも1つの溝をいずれかの被係止部に対向させた状態で、エンドプレートの径方向における溝よりも内方部分のうち、被係止部に対し上記径方向に対向する部分に係止部が形成される。係止部は、エンドプレートから上記径方向に突出して被係止部に係止されることで、ロータシャフトに対するエンドプレートの回転を規制する。そのため、少なくとも1つの溝をいずれかの被係止部に対向させるために、エンドプレートの回転角を管理する作業が不要となり、その分、エンドプレートをロータシャフトに組付ける作業が容易になる。
上記エンドプレートの組付け構造によれば、エンドプレートのロータシャフトに対する組付け作業性の向上を図ることができる。
以下、エンドプレートの組付け構造の一実施形態について、図1〜図5を参照して説明する。
自動車の電動過給機に用いられるモータや電動コンプレッサ、ジェネレータ等、特に高回転に適した回転電機として、界磁巻線を設けたステータの内周側に、回転電機用ロータが回転可能に設けられる所謂インナロータ型の回転電機がある。
自動車の電動過給機に用いられるモータや電動コンプレッサ、ジェネレータ等、特に高回転に適した回転電機として、界磁巻線を設けたステータの内周側に、回転電機用ロータが回転可能に設けられる所謂インナロータ型の回転電機がある。
図2(b)は、回転電機用ロータ10の内部構造を、一部を省略した状態で示している。同図2(b)に示すように、回転電機用ロータ10は、ロータシャフト11、ロータコア18、一対のエンドプレート21及び補強リング41を備えている。
図1及び図2(a)に示すように、ロータシャフト11は、その軸方向における一部に、大径軸部12と一対の小径軸部13とを備えている。大径軸部12は、ロータシャフト11の軸方向における中央部から、同ロータシャフト11の一方(図1及び図2(a)の右方)の端部側へ偏倚した箇所に位置している。両小径軸部13は、上記軸方向における大径軸部12の両側に隣接している。一方の小径軸部13は、ロータシャフト11の一方の端部を構成している。各小径軸部13の外周部には雄ねじ部14が形成されている。
図2(b)に示すように、ロータコア18は、上記軸方向に延び、かつ両端が開放された円筒状の磁石により構成されている。ロータコア18の軸方向の長さは、大径軸部12の同方向における長さよりも若干短く設定されている。ロータコア18は、大径軸部12の外周に隙間嵌めされている。
図1及び図2(a)に示すように、各エンドプレート21は、軸方向における両端が開放された円環状をなしている。各エンドプレート21は、互いに軸方向に隣接する大径孔部22及び小径孔部23を有している。エンドプレート21毎の大径孔部22は、大径軸部12に近い側の端面21aにおいて開放され、小径孔部23は、大径軸部12から遠い側の端面21bにおいて開放されている。各大径孔部22の内径は、上記大径軸部12の軸方向における端部に外嵌し得る大きさに設定されている。各小径孔部23の内周部には、小径軸部13の雄ねじ部14に螺合し得る雌ねじ部26が形成されている。各エンドプレート21の軸方向における大径軸部12から遠い側の端部の外周には、同エンドプレート21の他の箇所よりも大径のフランジ27が形成されている。
そして、図2(b)に示すように、各エンドプレート21は雌ねじ部26において、上記雄ねじ部14に螺合されている。この螺合により、大径孔部22と小径孔部23との間の段差部28が、ロータシャフト11における大径軸部12と小径軸部13との間の段差部16に接触又は接近している。また、各エンドプレート21の端面21aが、上記ロータコア18の軸方向における両端面に圧接されている。
補強リング41は、ロータコア18に比べて強度が高く、かつ軽量な材料により、軸方向における両端が開放された円筒状に形成されている。補強リング41は、両エンドプレート21及びロータコア18の各外周面のうち、両フランジ27によって挟まれた箇所に外嵌又は巻付けによって組付けられている。補強リング41は、回転電機用ロータ10が高速で回転された場合に、遠心力によりロータコア18が径方向外方へ変形するのを規制する役目を担っている。
図2(c)及び図4(b)に示すように、回転電機用ロータ10には、各エンドプレート21のロータシャフト11に対する回転を規制する一対の回転規制部Aが設けられている。各回転規制部Aは、ロータシャフト11の外周部に設けられた複数の被係止部と、各エンドプレート21に設けられた複数の溝31とを備えている。図2(c)及び図3(b)に示すように、被係止部は、軸方向に延び、かつ小径軸部13の外周面13aと、同小径軸部13のうち、大径軸部12とは反対側の面13bとに跨って開口された一対の凹部15によって構成されている。両凹部15は、小径軸部13の周方向に等角度(180°)毎に設けられている。
図2(b)、図3(a)及び図4(a)に示すように、各溝31は、各エンドプレート21の径方向における中間部分に、上記凹部15とは異なる数である3つずつ設けられている。各溝31は、各エンドプレート21において、ロータシャフト11を中心とする同一円の一部を構成するように、周方向に延びる円弧状をなしている。各溝31は、周方向に等角度(120°)毎に設けられている。各溝31の周方向における長さ及び溝幅は、溝31間で同一に設定されている。
上記のようにして、各回転規制部Aにおける凹部15の数と溝31の数とが異ならせられている。換言すると、凹部15の数の(最小)約数と溝31の数の(最小)約数とが異なる関係になるように設定されている。これは、ロータシャフト11に対する各エンドプレート21の回転角に拘わらず、少なくとも1つの溝31を、いずれかの凹部15に対し径方向に対向させるために必要な条件の1つである。さらに、本実施形態では、各溝31の周方向における長さ、及び隣り合う溝31の間の部分(以下「溝間部32」という)の同方向における長さが、上述した凹部15及び溝31の数の設定と組合わせられることで、上記条件を満たす値に設定されている。
各溝31は、各エンドプレート21のうち、軸方向におけるロータコア18とは反対側の端面21bに開口している。各エンドプレート21を、小径軸部13に螺合させる際には、同エンドプレート21を回転させるための回転工具35が用いられる。図3(a)において二点鎖線で示すように、この回転工具35は、各エンドプレート21における溝31と同数である3つの係合凸部36を備えている。これらの係合凸部36は、各エンドプレート21における全ての溝31に同時に係合(嵌合)し得る形状及び大きさを有している。すなわち、上記3つの係合凸部36は、ロータシャフト11を中心とする同一円の一部を構成するように、周方向に延びる円弧状をなしている。
図2(c)及び図4(b)に示すように、各回転規制部Aは、上記凹部15及び溝31に加え、係止部33を1つ備えている。係止部33は、各エンドプレート21の径方向における溝31よりも内方部分のうち、いずれかの凹部15に対し径方向に対向する部分に形成されている。係止部33は、凹部15に係止されることで、ロータシャフト11に対する各エンドプレート21の回転を規制するためのものであり、エンドプレート21毎の上記部分を、上記径方向の内方へ押圧してかしめる(変形させる)ことにより形成されている。エンドプレート21毎の係止部33は、同エンドプレート21の内周部分から上記径方向の内方に向けて突出して、対応する凹部15に入り込んでいる。
次に、上記のように構成された本実施形態の作用及び効果について説明する。
最初に、ロータシャフト11に両エンドプレート21を組付ける作業について説明する。この組付けは、大径軸部12にロータコア18が外嵌され、さらに同ロータコア18に補強リング41が外嵌又は巻付けられたロータシャフト11に対しなされる。
最初に、ロータシャフト11に両エンドプレート21を組付ける作業について説明する。この組付けは、大径軸部12にロータコア18が外嵌され、さらに同ロータコア18に補強リング41が外嵌又は巻付けられたロータシャフト11に対しなされる。
図2(a),(b)に示すように、一対のエンドプレート21が、ロータコア18及び補強リング41の軸方向における両側からロータシャフト11の各小径軸部13の外周部に螺合される。すなわち、各エンドプレート21が、その内周部の雌ねじ部26において、小径軸部13の雄ねじ部14に螺合される。この螺合により、エンドプレート21毎の大径孔部22が大径軸部12の軸方向における端部に外嵌される。
上記螺合のための各エンドプレート21の回転は、上述したように、図3(a)の二点鎖線で示される回転工具35を用いて行なわれる。すなわち、各エンドプレート21の軸方向におけるロータコア18とは反対側の端面21bに開口している3つの溝31に対し、回転工具35が軸方向から近づけられる。回転工具35の係合凸部36が、対応する溝31に係合される。この際、各溝31は、回転工具35の係合凸部36が係合される係合凹部として機能する。全ての係合凸部36が全ての溝31に係合された状態で回転工具35が、各エンドプレート21の締まる方向へ回転されると、その回転が係合凸部36及び溝31を介して各エンドプレート21に伝達される。各エンドプレート21が回転工具35と一体となって回転し、ロータシャフト11の対応する小径軸部13に螺合される。従って、各エンドプレート21のフランジ27等の外周面21cに、回転工具35を係止するための凹凸部を設けなくてすむ。
また、上記のように各エンドプレート21が螺合されると、そのエンドプレート21の回転角に拘わらず、少なくとも1つの溝31がいずれかの凹部15に対しエンドプレート21の径方向に対向する(図4(a)、図5(a),(b)参照)。図4(a)では、上側の溝31がその周方向の中央部分において、上側の凹部15に対向し、下側の溝間部32が下側の凹部15に対向する。図5(a)では、2つの溝31がそれぞれの周方向の片方の端部において、凹部15に対向する。図5(b)では、上記図4(a)とは逆に、下側の溝31がその周方向の中央部分において、下側の凹部15に対向し、上側の溝間部32が上側の凹部15に対向する。
ここで、凹部15の数と溝31の数とが仮に同一であるとすると、溝間部32の数も凹部15の数と同一となる。複数の溝間部32は、エンドプレート21毎の周方向に等角度毎に存在する。エンドプレート21の回転角によっては、いずれの溝31も凹部15に対向しないおそれがある。しかし、本実施形態のように、溝31の数が凹部15の数と異なる場合に、換言すると、凹部15の数の(最小)約数と溝31の数の(最小)約数とが異なる場合に、各溝31及び各溝間部32の周方向の長さを適切な値に設定する。こうすることで、エンドプレート21の回転角に拘わらず、全ての溝間部32を全ての凹部15に対し、上記径方向に対向させない、すなわち、少なくとも1つの溝31をいずれかの凹部15に対向させることが可能である。
そして、上記螺合により、図2(a),(b)に示すように、各エンドプレート21が、対応する小径軸部13の外周部に締付けられる。この締付けは、締付けトルクを測定しながら行なわれる。締付けトルクが適正値になると、各エンドプレート21の回転が停止される。
上記締付けにより、各エンドプレート21は、ロータシャフト11に対し軸方向への動きを規制された状態で組付けられる。また、ロータコア18が軸方向の両側から、両エンドプレート21によって圧力を加えられた状態で挟み込まれる。
各エンドプレート21がロータシャフト11に締付けられた状態でも、上記と同様に、少なくとも1つの溝31がいずれかの凹部15に対し、上記径方向に対向する。
ここで、ロータシャフト11における各小径軸部13の外周面13a及び面13bに跨って開口する凹部15が被係止部として機能する。また、各エンドプレート21における各溝31は、同エンドプレート21の周方向における一部に、同エンドプレート21の他の部分よりも変形しやすい部分を形成する機能を発揮する。該当する部分は、各エンドプレート21の径方向における溝31よりも内方部分である。この部分のうち、凹部15に対し上記径方向に対向する部分が、図4(b)に示すように、同方向の内方へ押圧されてかしめられる。このかしめにより、エンドプレート21の上記部分が、上記径方向の内方へ向けて突出して凹部15に入り込むように変形させられる。上記変形により、凹部15に係止された係止部33が形成される。これらの係止部33及び凹部15が協働することで、各エンドプレート21のロータシャフト11に対する回転が規制される。
ここで、ロータシャフト11における各小径軸部13の外周面13a及び面13bに跨って開口する凹部15が被係止部として機能する。また、各エンドプレート21における各溝31は、同エンドプレート21の周方向における一部に、同エンドプレート21の他の部分よりも変形しやすい部分を形成する機能を発揮する。該当する部分は、各エンドプレート21の径方向における溝31よりも内方部分である。この部分のうち、凹部15に対し上記径方向に対向する部分が、図4(b)に示すように、同方向の内方へ押圧されてかしめられる。このかしめにより、エンドプレート21の上記部分が、上記径方向の内方へ向けて突出して凹部15に入り込むように変形させられる。上記変形により、凹部15に係止された係止部33が形成される。これらの係止部33及び凹部15が協働することで、各エンドプレート21のロータシャフト11に対する回転が規制される。
なお、締付けトルクが適正値になって、各エンドプレート21の回転が、上記図4(a)とは異なる回転角、例えば、図5(a),(b)に示す回転角で止められた場合でも、上述したように、少なくとも1つの溝31がいずれかの凹部15に対向する。そのため、各エンドプレート21の回転角に拘わらず、同エンドプレート21の径方向における溝31よりも内方部分を変形させることで、係止部33を形成して、各エンドプレート21のロータシャフト11に対する回転を規制することができる。
このように、本実施形態では、螺合により、各エンドプレート21のロータシャフト11に対する軸方向への動きを規制しつつ、かしめにより、各エンドプレート21のロータシャフト11に対する回転を規制することができる。各エンドプレート21をロータシャフト11に対し、強固に組付けることができる。
上記両エンドプレート21によって軸方向の両側から挟み込まれたロータコア18もまた、軸方向の動きと回転とを規制される。
さらに、少なくとも1つの溝31がいずれかの凹部15に対し径方向に対向するように、各エンドプレート21の回転角を管理する作業が不要となる。締付けトルクの管理と回転角の管理とを同時に行なわなくてすむ。締付けトルクの管理を行なうだけでよく、各エンドプレート21をロータシャフト11に組付ける作業が容易になり、組付け作業性が向上する。
さらに、少なくとも1つの溝31がいずれかの凹部15に対し径方向に対向するように、各エンドプレート21の回転角を管理する作業が不要となる。締付けトルクの管理と回転角の管理とを同時に行なわなくてすむ。締付けトルクの管理を行なうだけでよく、各エンドプレート21をロータシャフト11に組付ける作業が容易になり、組付け作業性が向上する。
ところで、上記特許文献2では、凸部が凹部に対し、かしめにより係合された状態では、凸部の一部が、ロータシャフトの外周面(エンドプレートの内周面)から軸方向外方へ突出する。この凸部の突出部分は、回転電機用ロータが回転するときに周りの流体、例えば空気、油、水等から受ける抵抗を増大させ、同回転電機用ロータの回転を阻害するおそれがある。
これに対し、本実施形態では、回転電機の作動に伴い回転電機用ロータ10が回転されると、両エンドプレート21、ロータコア18及び補強リング41がロータシャフト11と一体となって回転する。この際には、各エンドプレート21のロータシャフト11に対する回転を規制する回転規制部Aも、ロータシャフト11等と一緒になって回転する。各回転規制部Aは、ロータシャフト11の凹部15と、エンドプレート21の溝31及び係止部33とを備えるが、いずれも同エンドプレート21の径方向における外周面21cよりも内方であって、しかも同エンドプレート21の軸方向における両端面21a,21b間に位置している。そのため、上記特許文献2に比べると、回転電機用ロータ10の回転時に周りの流体から受ける抵抗に対し、回転規制部Aが及ぼす影響は僅かである。その結果、回転電機用ロータ10の回転時に周りの流体から受ける抵抗が、回転規制部Aに起因して増大するのを抑制することができる。
また、仮に、各エンドプレート21のフランジ27等の外周面21cに、回転工具35を係止するための凹凸部が設けられた場合には、その凹凸部に起因して、上記と同様の回転時における抵抗増大の問題が起こり得る。しかし、本実施形態では、上述したように、各溝31が、回転工具35の係合凸部36が係合される係合凹部として機能することから、上記のような凹凸部が設けられていない。そのため、回転電機用ロータ10の回転時に周りの流体から受ける抵抗が、凹凸部に起因して増大するのを抑制することもできる。
本実施形態によると、上述した事項以外にも次の効果が得られる。
・少なくとも1つの溝31を、エンドプレート21の回転角に拘わらず、いずれかの凹部15に対向させるといった条件を満たす、凹部15及び溝31の数(ただし、両者の数は異なる)の組合わせは、種々考えられる。凹部15の数が「2」で、溝31の数が「3」という本実施形態の数の組合わせは、採り得る組合わせの中で、最も数の小さな組合わせとなる。そのため、ロータシャフト11に凹部15を加工し、かつ各エンドプレート21に溝31を加工する際の加工箇所が少なくてすみ、加工費を抑制することが可能である。
・少なくとも1つの溝31を、エンドプレート21の回転角に拘わらず、いずれかの凹部15に対向させるといった条件を満たす、凹部15及び溝31の数(ただし、両者の数は異なる)の組合わせは、種々考えられる。凹部15の数が「2」で、溝31の数が「3」という本実施形態の数の組合わせは、採り得る組合わせの中で、最も数の小さな組合わせとなる。そのため、ロータシャフト11に凹部15を加工し、かつ各エンドプレート21に溝31を加工する際の加工箇所が少なくてすみ、加工費を抑制することが可能である。
・一対の凹部15が、ロータシャフト11の小径軸部13の外周部の周方向に等角度毎に設けられているため、凹部15に起因してロータシャフト11の回転がアンバランスとなるのを抑制することができる。
また、3つの溝31が、各エンドプレート21の周方向に等角度毎に設けられているため、溝31に起因して同エンドプレート21の回転がアンバランスとなるのを抑制することができる。
・ねじの緩み止めとして、割りピン、ロックナット(ダブルナット)、シュパンリング、菊ワッシャ(ロックワッシャ)等の別部品を用いることが一般に知られている。本実施形態では、ねじとして機能する各エンドプレート21の内周部分の一部を変形させることで係止部33を形成して、ロータシャフト11に対する同エンドプレート21の回転を規制しているため、上記のような緩み止め用の別部品を用いなくてもすむ。従って、回転電機用ロータ10に別部品を付加することなく、簡素な構造で各エンドプレート21の回転止めを行なうことができる。
なお、上記実施形態は、これを以下のように変更した変形例として実施することもできる。
・エンドプレート21は、ロータコア18の軸方向における片側にのみ配置されてもよい。この場合、例えば、ロータシャフト11の外周部であって、ロータコア18のエンドプレート21とは反対側には、そのロータコア18が軸方向においてエンドプレート21から遠ざかる側へ動くのを規制する受け部が設けられる。そして、1つのエンドプレート21が螺合により締付けられることで、ロータコア18が受け部に押付けられる。このように変更した場合であっても、ロータコア18を、エンドプレートと受け部とによって軸方向における両側から挟み込んで、ロータシャフト11に対するロータコア18の軸方向の動き及び回転を規制することができる。また、回転規制部Aは1つになるが、上記実施形態と同様の作用及び効果を得ることができる。
・エンドプレート21は、ロータコア18の軸方向における片側にのみ配置されてもよい。この場合、例えば、ロータシャフト11の外周部であって、ロータコア18のエンドプレート21とは反対側には、そのロータコア18が軸方向においてエンドプレート21から遠ざかる側へ動くのを規制する受け部が設けられる。そして、1つのエンドプレート21が螺合により締付けられることで、ロータコア18が受け部に押付けられる。このように変更した場合であっても、ロータコア18を、エンドプレートと受け部とによって軸方向における両側から挟み込んで、ロータシャフト11に対するロータコア18の軸方向の動き及び回転を規制することができる。また、回転規制部Aは1つになるが、上記実施形態と同様の作用及び効果を得ることができる。
・ロータシャフト11における被係止部(凹部15)の数と、エンドプレート21における溝31の数との組合わせが、上記実施形態とは異なるものに変更されてもよい。ただし、被係止部(凹部15)及び溝31の数がともに複数であって、相互に異なる値である、換言すると、被係止部(凹部15)の数の(最小)約数と溝31の数の(最小)約数とが異なる関係になる必要がある。
図6は、被係止部(凹部15)が一対設けられ、かつ溝31が5つ設けられた変形例を示している。
この場合にも、周方向における各溝31及び各溝間部32の長さを適切な値に設定することにより、ロータシャフト11に対する各エンドプレート21の回転角に拘わらず、少なくとも1つの溝31をいずれかの凹部15に対し径方向に対向させることができる。同図6の場合、下側の溝31がその周方向の中央部分において下側の凹部15に対向し、上側の溝間部32が上側の凹部15に対向する。そのため、エンドプレート21の径方向における下側の溝31よりも内方部分を、同方向の内方へ変形させることで、係止部33を形成することができる。
この場合にも、周方向における各溝31及び各溝間部32の長さを適切な値に設定することにより、ロータシャフト11に対する各エンドプレート21の回転角に拘わらず、少なくとも1つの溝31をいずれかの凹部15に対し径方向に対向させることができる。同図6の場合、下側の溝31がその周方向の中央部分において下側の凹部15に対向し、上側の溝間部32が上側の凹部15に対向する。そのため、エンドプレート21の径方向における下側の溝31よりも内方部分を、同方向の内方へ変形させることで、係止部33を形成することができる。
・被係止部として、上記凹部15に代えて、ロータシャフト11の小径軸部13から径方向外方へ突出する凸部が設けられてもよい。この場合には、各エンドプレート21における係止部の形状が、上記実施形態とは異なる形状に変更される。係止部は、各エンドプレート21の径方向における溝31よりも内方部分のうち、凸部に対し径方向に対向する部分が、同径方向の外方へ突出してロータシャフト11に対するエンドプレート21の回転を規制する形状に形成される。係止部の該当する形状は、凸部を溝31内で周方向の両側から挟み込む形状である。係止部がこのような形状に形成されることで、同係止部を凸部に係止させることができる。
・凹部15は、小径軸部13の面13bには開口せず、外周面13aにのみ開口するものであってもよい。
・エンドプレート21における係止部33が複数形成されてもよい。例えば、図5(a)に示すように、2つの溝31が2つの凹部15に対し径方向に対向する場合には、溝31毎に、径方向の内方へ向けて突出して凹部15に入り込む2つの係止部33が形成されてもよい。図5(a)では、係止部33が1つのみ形成されているが、さらに、下側の溝31の周方向における端部が、径方向の内方へ突出して下側の凹部15に入り込むように変形されることにより、係止部33が追加で形成されてもよい。
・エンドプレート21における係止部33が複数形成されてもよい。例えば、図5(a)に示すように、2つの溝31が2つの凹部15に対し径方向に対向する場合には、溝31毎に、径方向の内方へ向けて突出して凹部15に入り込む2つの係止部33が形成されてもよい。図5(a)では、係止部33が1つのみ形成されているが、さらに、下側の溝31の周方向における端部が、径方向の内方へ突出して下側の凹部15に入り込むように変形されることにより、係止部33が追加で形成されてもよい。
10…回転電機用ロータ、11…ロータシャフト、13a,21c…外周面、15…凹部(被係止部)、18…ロータコア、21…エンドプレート、21a,21b…端面、31…溝、33…係止部、35…回転工具、36…係合凸部、A…回転規制部。
Claims (4)
- 軸方向に延びるロータコアと、同ロータコアの前記軸方向における少なくとも片側に隣接する円環状のエンドプレートとをロータシャフトの外周部に設けてなる回転電機用ロータに適用され、前記エンドプレートを前記ロータシャフトに組付ける構造であって、
前記エンドプレートは、前記ロータシャフトに対し螺合により締付けられ、かつ回転規制部により前記ロータシャフトに対する回転を規制された状態で組付けられており、
前記回転規制部は、
前記ロータシャフトの外周部であって、同ロータシャフトの周方向に等角度毎に設けられた複数の被係止部と、
前記エンドプレートの径方向における中間部分で周方向に延びるように、同周方向の前記被係止部とは異なる数の複数箇所に等角度毎に設けられ、少なくとも1つがいずれかの前記被係止部に対し、前記径方向に対向する溝と、
前記エンドプレートの前記径方向における前記溝よりも内方部分のうち、前記被係止部に対し前記径方向に対向する部分から同径方向に突出して前記被係止部に係止されることで、前記ロータシャフトに対する前記エンドプレートの回転を規制する係止部と
を備えているエンドプレートの組付け構造。 - 前記被係止部は、前記ロータシャフトの少なくとも外周面に開口する凹部により構成されており、
前記係止部は、前記エンドプレートから前記径方向の内方へ向けて突出して前記凹部に入り込んでいる請求項1に記載のエンドプレートの組付け構造。 - 前記溝は、前記エンドプレートの軸方向における前記ロータコアとは反対側の端面に開口した状態で形成されており、前記エンドプレートを回転させるための回転工具の係合凸部が係合される係合凹部を兼ねている請求項1又は2に記載のエンドプレートの組付け構造。
- 前記被係止部は、前記ロータシャフトの2箇所に設けられ、
前記溝は、前記エンドプレートの3箇所に設けられている請求項1〜3のいずれか1項に記載のエンドプレートの組付け構造。
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CN113726053A (zh) * | 2021-11-02 | 2021-11-30 | 威晟汽车科技(宁波)有限公司 | 一种汽车电子水泵的转子结构 |
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