JP2018120722A - 電線の製造方法、及び、電線 - Google Patents

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Abstract

【課題】使用時の利便性・作業性に優れる電線を製造可能な電線の製造方法、及び、電線を提供すること。
【解決手段】撚り合わされた複数の絶縁線心20を含む線心撚体10と、線心撚体10を覆うシース50と、を備えた電線の製造方法であって、(a)線心撚体10を形成する工程と、(b)線心撚体10の外周に直接接触するように帯状の保持部材40を巻き付ける工程と、(c)加熱溶融されたシース材料を線心撚体10及び保持部材40を覆う管形状を有するように押出加工することによってシース50を形成する工程と、を有する。保持部材40は、シース材料の融点以下の融点を有する材料から構成されている。保持部材40は、シース材料と同じ材料から構成され得る。保持部材は、幅が3mm以上であることが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、撚り合わされた複数の絶縁線心を含む線心撚体とその線心撚体を覆うシースとを備えた電線の製造方法、及び、電線、に関する。
従来から、複数の絶縁線心を有する電線の製造方法が提案されている。例えば、従来の電線の製造方法の一つ(以下「従来方法」という。)は、複数の絶縁線心を撚り合わせて線心撚体を形成する工程と、その線心撚体の外周に密着するように押え巻きテープを巻き付ける工程と、その押え巻きテープを覆うようにシースを形成する工程と、を備えている(例えば、特許文献1を参照)。
特開2011−142070号公報
従来方法によって製造した電線を実際に使用する際、絶縁線心を電線の外部に露出させるべく、シース及び押え巻きテープを切り開いて除去する(いわゆる皮剥きを行う)ことになる。更に、そのように除去したシース及び押え巻きテープを回収して廃棄する(廃棄物を処分する)ことになる。従来方法によって製造した電線の構造上、これら処理(皮剥き及び廃棄物の処分)は必ず必要となる。
しかし、電線を使用する際の利便性・作業性を向上させる観点から、これら処理が出来る限り簡略化されるように電線を構成する(製造する)ことが望ましい。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、使用時の利便性・作業性に優れる電線を製造可能な電線の製造方法、及び、電線、を提供することにある。
前述した目的を達成するために、本発明に係る「電線の製造方法」は、下記(1)〜(3)を特徴としている。
(1)
撚り合わされた複数の絶縁線心を含む線心撚体と、前記線心撚体を覆うシースと、を備えた電線の製造方法であって、
前記線心撚体を形成する工程と、
前記線心撚体の外周に直接接触するように帯状の保持部材を巻き付ける工程と、
加熱溶融されたシース材料を前記線心撚体及び前記保持部材を覆う管形状を有するように押出加工することによって前記シースを形成する工程と、を備え、
前記保持部材は、
前記シース材料の融点以下の融点を有する材料から構成されている、
電線の製造方法であること。
(2)
上記(1)に記載の製造方法において、
前記保持部材が、
前記シース材料と同じ材料から構成されている、
電線の製造方法であること。
(3)
上記(1)又は上記(2)に記載の製造方法において、
前記保持部材が、
幅が3mm以上であるように構成されている、
電線の製造方法であること。
上記(1)の構成の電線の製造方法によれば、従来方法による押え巻きテープに代えて、帯状の保持部材が用いられる。この保持部材は、シース材料の融点以下の融点を有する材料から構成されているため、シースを形成(押出成形)する工程において少なくとも一部(特に、シースに接触する面の付近)が溶融する。このような溶融の結果、本構成の製造方法により製造された電線は、シースと保持部材とが識別可能な状態にてシースの内周面に帯状の保持部材が密着(溶着)した構造、又は、シースと保持部材とが識別不能な程度に一体化した(保持部材がシースに拡散した)構造、を有することになる。
そのため、電線の使用時(皮剥きを行う際)には、保持部材及びシースを一括して切断して一纏めに除去すればよいことになる。よって、従来方法によって製造した電線に比べ、押え巻きテープ(本発明の保持部材とは異なり、一般に、シースに溶着せず、別々に切断・除去する必要がある)を使用せず、シースと保持部材とが強固に密着しているため、切断・除去(皮剥き)が容易になり且つ廃棄物の取り扱いも容易になる。
なお、シースと保持部材とが識別不能な程度に一体化した状態(保持部材がシースに拡散した状態)となっていれば、上記説明から理解されるように、切断・除去(皮剥き)が容易になる。一方、シースと保持部材とが識別可能な状態(両者が識別不能な程度にまでは一体化していない状態)であっても、保持部材が帯状の形状を有していることから、例えば糸状(ひも状)の形状を有する保持部材(例えば、保持糸)を用いる場合に比べ、シースと保持部材との密着(溶着)面積が大きく、シースと保持部材とが分離し難い。そのため、後者の状態であっても、前者と同様に切断・除去(皮剥き)が容易になる。
したがって、本構成の電線の製造方法によれば、使用時の利便性・作業性に優れる電線を製造可能である。
上記構成の電線の製造方法は、更に別の効果も有する。具体的には、本製造方法において用いられる保持部材は帯状の形状を有するため、糸状(ひも状)の形状を有する保持部材(例えば、保持糸)を用いる場合に比べ、シースの表面に保持部材に起因する凹凸が目立ち難い(又は、保持部材が十分に薄ければ、凹凸が生じない)。また、保持部材が線心撚体に食い込み難く、線心撚体が設計通りの形状を維持し易い。
更に、本製造方法において用いられる保持部材は、従来方法の押え巻きテープと同様、線心撚体の撚りを維持するように線心撚体を保持する機能を有する。この線心撚体の保持に関し、シースが設けられる前に保持部材に求められる保持力と、シースが設けられた後に保持部材に求められる保持力とは、異なる。具体的には、前者の保持力(シース形成前)よりも後者の保持力(シース形成後)は小さくてもよい。この理由は、線心撚体を覆うように設けられたシースによっても、線心撚体の撚りが維持され得るためである。換言すると、シース形成後には、保持部材およびシースの双方によって線心撚体の撚りが維持されることになる。そのため、上述したように保持部材の一部が溶融しても、線心撚体の撚りは維持される。よって、本製造方法は、電線としての機能(絶縁線心の撚り)の維持と、電線としての優れた利便性・作業性と、を両立可能な電線を製造できる。
ところで、上記「線心撚体」は、絶縁線心とは別の構造物を含んでもよい。例えば、線心撚体は、絶縁線心の間に設けられる介在物を含んでもよい。更に、上記「保持部材」は、従来方法の押え巻きテープのように線心撚体の外周全体を覆い隠すように設けられる必要はなく、線心撚体の撚りを維持可能な程度に(例えば、螺旋状に)設けられていればよい。加えて、上記「シース」は、線心撚体及び保持部材に必ずしも密着する必要はなく、シースと線心撚体及び保持部材との間に他の層(例えば、電磁シールド層など)が設けられてもよい。
更に、上記「線心撚体の外周に直接接触するように保持部材を巻き付ける工程」では、あらかじめ形成しておいた線心撚体の外周に保持部材を巻き付けてもよく、線心撚体の形成と保持部材の巻き付けとを一括して行ってもよい(例えば、線心撚体を形成しながら保持部材を巻き付けてもよい)。即ち、線心撚体の形成と保持部材の巻き付けとは、別々の工程として行われてもよく、一つの工程として行われてもよい。
なお、上記構成の電線の製造方法によって製造された電線(結果物としての電線)は、保持部材の溶融の度合いによって異なる構造を有する。例えば、シースと保持部材とが識別可能な程度に保持部材が溶融した場合、電線(結果物としての電線)は、撚り合わされた複数の絶縁線心を含む線心撚体と、シースに密着(溶着)し且つ線心撚体の外周を周回する保持部材と、線心撚体および保持部材を覆うシースと、を備えることになる。一方、シースと保持部材とが識別不能な程度に保持部材が溶融した場合、電線(結果物としての電線)は、撚り合わされた複数の絶縁線心を含む線心撚体と、線心撚体を覆うシースと、を備えることになる。なお、後者の場合、場合によっては、シースの内周面に保持部材が分散した領域(例えば、保持部材の構成材料の濃度が他の領域よりも高い領域)が螺旋状に存在し得る。
上記(2)の構成の電線の製造方法によれば、シース材料と、保持部材を構成する材料と、が同じ材料から構成されているため、電線の使用時(皮剥きを行う際)に保持部材及びシースを切断・除去するとき、保持部材とシースとを分別して廃棄する必要がない。よって、本構成の電線の製造方法によれば、使用時の利便性・作業性に更に優れる電線を製造可能である。
上記(3)の構成の電線の製造方法によれば、幅が3mm以上である保持部材を用いて電線が製造されることにより、線心撚体が撚り合わされた状態を十分に維持可能な張力にて保持部材が線心撚体に巻き付けられる(線心撚体の撚りを維持する)効果と、電線を使用する際の利便性・作業性を向上する効果と、をより確実に両立できる。具体的には、発明者が行った試験等(詳細は後述される。)によれば、保持部材の幅が3mm以上である場合、この範囲に含まれない場合に比べ、設計値(狙い値)との誤差を電線の性能を考慮した所定の許容範囲内(詳細は後述される。)に収めることができることが明らかになった。
なお、保持部材の幅は、例えば、一般的な太さの線心撚体に通常想定される巻き付けピッチにて保持部材を巻き付けたと仮定した場合において保持部材同士の干渉(重なり)を避ける観点から、6mm以下であることが好ましい。
更に、前述した目的を達成するために、本発明に係る「電線」は、下記(4)を特徴としている。
(4)
撚り合わされた複数の絶縁線心を含む線心撚体と、前記線心撚体の外周に直接接触するように巻き付けられた帯状の保持部材と、前記線心撚体を覆うシースと、を備えた電線であって、
前記保持部材は、
前記シースを構成する材料の融点以下の融点を有する材料から構成されており、前記シースに溶着している、
電線であること。
上記(4)の構成の電線によれば、シースの内周面に帯状の保持部材が密着(溶着)した構造を有する。そのため、電線の使用時(皮剥きを行う際)には、保持部材及びシースを一括して切断して一纏めに除去すればよいことになる。よって、従来方法によって製造した電線に比べ、押え巻きテープ(本発明の保持部材とは異なり、一般に、シースに溶着せず、別々に切断・除去する必要がある)を使用せず、シースと保持部材とが強固に密着しているため、切断・除去(皮剥き)が容易になり且つ廃棄物の取り扱いも容易になる。更に、保持部材が帯状の形状を有していることから、糸状(ひも状)の形状を有する保持部材(例えば、保持糸)を用いる場合に比べ、シースと保持部材との密着(溶着)面積が大きく両者が分離し難いため、使用時(皮剥きを行う際)に別々に切断・除去する必要がない。
したがって、本構成の電線によれば、使用時の利便性・作業性に優れる電線を提供できる。
本発明によれば、使用時の利便性・作業性に優れる電線を製造可能な電線の製造方法、及び、電線を提供できる。
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
図1は、本発明に係る電線の製造方法を例示する一連の工程図である。図1(a)は線心撚体を形成する工程を示し、図1(b)は線心撚体に保持部材を巻き付ける工程を示し、図1(c)は線心撚体及び保持部材を覆うシースを形成する工程を示している。 図2は、図1に示される保持部材の構造を例示する概略図である。 図3は、図1の製造方法により製造された電線のシースの一部を取り除いた状態を表す概略図である。 図4は、図1の製造方法により電線を製造する製造装置の構成を例示する概略図である。
以下、図面を参照しながら、本発明に係る電線(以下「電線1」という。)の製造方法について説明する。
<電線の製造方法>
本実施形態に係る電線1は、図1(a)、図1(b)及び図1(c)に示す一連の工程により製造される。
図1(a)に示す工程は、線心撚体10を形成する工程である。線心撚体10は、複数の絶縁線心20と、介在物30と、を交互撚り(SZ撚り)にて撚り合わせることにより形成される。絶縁線心20は、導体21と、導体21を覆う絶縁体22と、を有している(図3を参照)。線心撚体10に含まれる絶縁線心20の本数は、特に制限されないが、2本〜4本であることが好ましい。なお、本例では、線心撚体10は3本の絶縁線心20を有している。
具体的には、線心撚体10は、3本の絶縁線心20と介在物30とを、一方向(S方向)への撚り及び他方向(Z方向)への撚りを交互に繰り返すことによって交互撚りし(SZ撚りを行い)、一つの線心撚体10として束ねられる。これにより、線心撚体10は、長手方向に沿って、S撚り部Ts及びZ撚り部Tzが交互に設けられた状態となっている。なお、線心撚体10を構成する一線心(複数の絶縁線心20のうちの一つの線心)が1回転する際に進む長手方向の距離は、「撚り合わせピッチ長」と称呼される。
図1(b)に示す工程は、線心撚体10に保持部材40を巻き付ける工程である。本工程において、図1(a)の工程にて形成された線心撚体10の外周には、図2に示すように、帯状の保持部材40が直接接触するように巻き付けられる。保持部材40は、後述する保持部材巻付部64によって線心撚体10に巻き付ける際の遠心力によって作用する張力に耐え得る強度を有している。保持部材40は、線心撚体10の周りに螺旋状に巻かれている。保持部材40の螺旋ピッチ長P(図1(b)を参照)は、線心撚体10の直径D(図1(b)を参照)の1〜3倍であることが好ましく、例えば、10〜20mmである。このように巻かれた保持部材40により、線心撚体10の撚り合わせピッチ長が、線心撚体10の設計上の品質を満たす観点において十分な程度に保持されている。線心撚体10に巻き付ける保持部材40の数は、特に制限されないが、2本以上であることが好ましい。例えば、保持部材40の数として、線心撚体10の撚りの維持および電線1の生産効率の観点から、3本または4本が挙げられる。なお、個々の保持部材40の巻き付けピッチは、線心撚体10の直径Dの2〜6倍であることが好ましい。
図1(c)に示す工程は、線心撚体10の外側にシース50を形成する工程である。本工程において、図1(b)に示す工程にて保持部材40が巻かれた線心撚体10の外周がシース50によって覆われる。シース50は、例えば、ポリ塩化ビニル及びポリエチレン等の合成樹脂から形成される。シース50は、外周に保持部材40が巻かれた線心撚体10の外周に、加熱溶融されたシース材料を管形状を有するように押出加工することにより形成される。これにより、線心撚体10及び保持部材40がシース50によって保護される。
図2に示すように、線心撚体10の周りに螺旋状に巻かれている保持部材40は、幅W及び厚さTの帯状の形状を有する。後述する理由から、保持部材40の幅Wは3mm以上であることが好ましい。一方、保持部材40の厚さTは、線心撚体10が撚り合わされた状態を十分に維持可能な張力にて保持部材を線心撚体に巻き付ける観点から、0.1mm以上であることが好ましく、最終的な電線1の外径(シース50の外径)の大きさへの影響を小さくする観点から、0.5mm以下であることが好ましい。また、線心撚体10の周りに巻き付ける際の保持部材40の巻き付け張力は、5〜20Nであることが好ましい。保持部材40の硬度は、ロックウェル硬さ:85〜100(シェアA)であることが好ましい。
保持部材40は、シース材料の融点以下の融点を有する材料から構成されている。保持部材40は、シース材料と同じ材料から構成されていることが好ましい。これにより、電線1の使用時(皮剥きを行う際)に保持部材40及びシース50を一括して切断して一纏めに除去するとき、保持部材40とシース50とを分別して廃棄する必要がなくなる。
<製造される電線の構造>
保持部材40は、シース材料の融点以下の融点を有する材料から構成される。よって、保持部材40は、線心撚体10の外側にシース材料を押出加工する過程(図1(c)の工程)において溶融する。この結果、図1に示す方法により製造された電線1(結果物としての電線1)は、保持部材40の溶融の度合いによって異なる構造を有する。
例えば、溶融の度合いが比較的小さく、シース50と保持部材40とが識別可能な程度に保持部材40が溶融した場合、図3に示すように、電線1(結果物としての電線1)は、撚り合わされた複数の絶縁線心20を含む線心撚体10と、シース50の内周面に密着(溶着)し且つ線心撚体10の外周を螺旋状に周回する保持部材40と、線心撚体10及び保持部材40を覆うシース50と、を備えることになる。なお、図3において、シース50の一部を取り除いた領域では、保持部材40がシース50の内周面に密着(溶着)している様子が見えるように、線心撚体10を取り除いた状態が示されている。
一方、溶融の度合いが比較的大きく、シース50と保持部材40とが識別不能な程度に保持部材40が溶融した場合、電線1(結果物としての電線1)は、撚り合わされた複数の絶縁線心20を含む線心撚体10と、線心撚体10を覆うシース50と、を備えることになる。なお、この場合、シース50の内周面に保持部材40が分散した領域(例えば、保持部材40の構成材料の濃度が他の領域よりも高い領域)が螺旋状に存在し得ることになる。
<製造装置>
次いで、上記の製造方法により電線1を製造する製造装置について説明する。
図4に示すように、電線1を製造する製造装置60は、絶縁線心供給部61及び介在物供給部62を備えている。絶縁線心供給部61は一般的なリール等であり、絶縁線心供給部61から複数の絶縁線心20が繰り出される。介在物供給部62から、介在物30が繰り出される。
絶縁線心供給部61及び介在物供給部62の下流側には、SZ撚り部63が設けられている。SZ撚り部63には、絶縁線心供給部61から繰り出される複数の絶縁線心20及び介在物供給部62から繰り出される介在物30が送り込まれる。SZ撚り部63は、一般的なSZ撚り機構を有し、複数の絶縁線心20と介在物30とを交互撚り(SZ撚り)にて撚り合わせ、線心撚体10を形成するようになっている。
SZ撚り部63の下流側には、保持部材巻付部64及びシース形成部65が順に設けられている。保持部材巻付部64は、一般的な巻き付け機構を有し、SZ撚り部63から送り込まれる線心撚体10の周りに保持部材40を螺旋状に巻き付ける。シース形成部65は、一般的なシース形成機構を有し、保持部材40が巻き付けられた線心撚体10の周囲を覆うようにシース50を形成する。
<電線の特性の評価>
発明者は、上述した電線1の特性を評価する試験を行った。本試験では、製造した電線1の「撚り合わせピッチ長」が設計値(許容し得る誤差を含む。)に収まっているか否か、が検討された。
具体的には、まず、上述した保持部材40の幅Wに関し、幅が異なる複数のサンプルについて、「撚り合わせピッチ長」を測定した。本試験において、撚り合わせピッチ長の設計値は100.0±5.0mmである。なお、本試験において、許容し得る誤差(±5.0mm)は、誤差がゼロである場合の電線1の性能と実質的に同様の性能を発揮し得るか否か、との観点から設定した。
なお、各サンプルにおいて、保持部材40として、シース材料と同じポリ塩化ビニル(PVC。ロックウェル硬さが85〜100(シェアA)であるもの)から構成された帯状(テープ状)の部材が用いられている。保持部材40の厚さTは、0.5mmである。最終的な電線1の外径(シース50の外径)の大きさの設計値は、10mmである。
そして、測定した「撚り合わせピッチ長」について、設計値(許容し得る誤差を含む。)に収まっているか否かの観点から、A〜Cの3段階にて評価した。本評価において、評価Aは誤差がゼロ(狙い値)であることを表し、評価Bは誤差がゼロではないが許容し得る範囲内であることを表し、評価Cは誤差が許容し得る範囲外であることを表す。但し、評価Cの場合であっても、本実施形態に係る電線1は使用可能であり、上述した従来方法によって製造された電線に対する優位性に問題はない。
上述した試験の結果を、以下の表1に示す。なお、保持部材40の厚さTについて、表1では、0.5mmである場合についてのみ記載している。しかし、この厚さとは異なる厚さTを有する複数のサンプルを用いた評価でも、この厚さを有するサンプルと実質的に同じ評価結果となった。但し、保持部材40の厚さTが0.1mmよりも小さい場合、線心撚体10が撚り合わされた状態を十分に維持可能な張力(例えば、5〜20N)にて保持部材40を線心撚体10に巻き付けることが困難な場合があった。
Figure 2018120722
表1に示すように、発明者が行った試験の結果、サンプル番号1のように幅Wが3mmよりも小さい場合、撚り合わせピッチ長の誤差が許容し得る範囲外となることが確認された(評価C)。
一方、サンプル番号2〜6のように幅Wが3mm以上である場合、撚り合わせピッチ長の誤差が許容し得る範囲内となることが確認された(評価A又は評価B)。更に、サンプル番号2と、サンプル番号3〜6と、の比較から明らかなように、幅Wが4mm以上である場合、撚り合わせピッチ長が狙い値に一致する(誤差がゼロとなる)ことが確認された(評価A)。
以上の試験結果から、保持部材40の幅Wは3mm以上であることが好ましい(より好ましくは4mm以上である)ことが明らかとなった。
なお、保持部材40の幅Wを過剰に大きくした場合(例えば、サンプル番号6のように7mmとした場合)、今回の試験条件下では、線心撚体10に保持部材40を巻き付けた際に保持部材40同士の干渉(重なり)が生じた。このような干渉(重なり)は、撚り合わせピッチ長の誤差を小さくする点では何ら問題ないが、最終的な電線1の外径(シース50の外径)に影響を及ぼすため、出来る限り避けることが好ましい。よって、この観点からは、保持部材40の幅は3mm〜6mmが好ましいとも言い得る。
同様に、今回の試験条件下では、保持部材40の厚さTが0.5mmよりも大きい場合、撚り合わせピッチ長の誤差を小さくする点では問題がないものの、最終的な電線1の外径(シース50の外径)に影響が現れた(設計値である10mmよりも外径が大きくなった)。よって、この観点からは、保持部材40の厚さは0.5mm以下が好ましいとも言い得る。
以上に説明したように、本実施形態に係る電線1の製造方法では、従来方法による押え巻きテープに代えて、帯状の保持部材40が用いられる。この保持部材40は、シース材料の融点以下の融点を有する材料から構成されているため、シース50を形成(押出成形)する工程において少なくとも一部(特に、シース50に接触する面の付近)が溶融する。その結果、本製造方法により製造された電線1は、シース50と保持部材40とが識別可能な状態にてシース50の内周面に帯状の保持部材40が密着(溶着)した構造、又は、シース50と保持部材40とが識別不能な程度に一体化した(保持部材40がシース50に拡散した)構造、を有することになる。
そのため、電線1の使用時(皮剥きを行う際)には、保持部材40及びシース50を一括して切断して一纏めに除去すればよいことになる。よって、従来方法によって製造した電線に比べ、押え巻きテープ(本発明の保持部材とは異なり、一般に、シースに溶着せず、別々に切断・除去する必要がある)を使用せず、シース50と保持部材40とが強固に密着しているため、切断・除去(皮剥き)が容易になり且つ廃棄物の取り扱いも容易になる。
更に、幅が3mm以上である保持部材40を用いて電線1が製造されることにより、線心撚体10が撚り合わされた状態を十分に維持可能な張力にて保持部材40が線心撚体10に巻き付けられる(線心撚体10の撚りを維持する)効果と、電線1を使用する際の利便性・作業性を向上する効果と、をより確実に両立できる。
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
例えば、本実施形態(図1)では、線心撚体10がSZ撚りされている。しかし、線心撚体10はS撚りされてもよく、Z撚りされてもよい。更に、本実施形態(図4)では、線心撚体10の形成と、この線心撚体10への保持部材40の巻き付けと、が別々の工程となっている。しかし、これら工程を一つにまとめ、線心撚体10の形成と保持部材40の巻き付けとを一括して行ってもよい。
ここで、上述した本発明に係る電線の製造方法、及び、電線の実施形態の特徴をそれぞれ以下(1)〜(4)に簡潔に纏めて列記する。
(1)
撚り合わされた複数の絶縁線心(20)を含む線心撚体(10)と、前記線心撚体(10)を覆うシース(50)と、を備えた電線(1)の製造方法であって、
前記線心撚体(10)を形成する工程と、
前記線心撚体(10)の外周に直接接触するように帯状の保持部材(40)を巻き付ける工程と、
加熱溶融されたシース材料を前記線心撚体(10)及び前記保持部材(40)を覆う管形状を有するように押出加工することによって前記シース(50)を形成する工程と、を備え、
前記保持部材(40)は、
前記シース材料の融点以下の融点を有する材料から構成されている、
電線の製造方法。
(2)
上記(1)に記載の製造方法において、
前記保持部材(40)が、
前記シース材料と同じ材料から構成されている、
電線の製造方法。
(3)
上記(1)又は上記(2)に記載の製造方法において、
前記保持部材(40)が、
幅が3mm以上であるように構成されている、
電線の製造方法。
(4)
撚り合わされた複数の絶縁線心(20)を含む線心撚体(10)と、前記線心撚体(10)の外周に直接接触するように巻き付けられた帯状の保持部材(40)と、前記線心撚体(10)を覆うシース(50)と、を備えた電線(1)であって、
前記保持部材(40)は、
前記シースを構成する材料の融点以下の融点を有する材料から構成されており、前記シース(50)に溶着している、
電線。
1 電線
10 線心撚体
20 絶縁線心
30 介在物
40 保持部材
50 シース

Claims (4)

  1. 撚り合わされた複数の絶縁線心を含む線心撚体と、前記線心撚体を覆うシースと、を備えた電線の製造方法であって、
    前記線心撚体を形成する工程と、
    前記線心撚体の外周に直接接触するように帯状の保持部材を巻き付ける工程と、
    加熱溶融されたシース材料を前記線心撚体及び前記保持部材を覆う管形状を有するように押出加工することによって前記シースを形成する工程と、を備え、
    前記保持部材は、
    前記シース材料の融点以下の融点を有する材料から構成されている、
    電線の製造方法。
  2. 請求項1に記載の製造方法において、
    前記保持部材が、
    前記シース材料と同じ材料から構成されている、
    電線の製造方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の製造方法において、
    前記保持部材が、
    幅が3mm以上であるように構成されている、
    電線の製造方法。
  4. 撚り合わされた複数の絶縁線心を含む線心撚体と、前記線心撚体の外周に直接接触するように巻き付けられた帯状の保持部材と、前記線心撚体を覆うシースと、を備えた電線であって、
    前記保持部材は、
    前記シースを構成する材料の融点以下の融点を有する材料から構成されており、前記シースに溶着している、
    電線。
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