JP2018119581A - 捩り振動低減装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】歯打ち音やそれに起因する振動の発生を回避もしくは抑制して振動減衰性能を向上することができる捩り振動低減装置を提供する。【解決手段】遊星回転機構33と、トルクが入力されて第1回転要素35と一体となって回転する第1プレート20と、トルクを出力するとともに第2回転要素37と一体となって回転する第2プレート21と、第1プレート20と第2プレート21とが所定角度相対回転できるように各プレート20,21の回転方向でそれらの間に挟み付けられた弾性体22とを備え、トルクの振動が生じた場合に、第3回転要素34が回転方向に振動するように構成された捩り振動低減装置33において、第1プレート20の軸心と第2プレート21の軸心とを合わせて同一軸線上に保持するとともに第1プレート20と第2プレート21とを相対回転可能に直接的もしくは間接的に連結する軸支持部材32,42,46,47,49を備えている。【選択図】図2
Description
この発明は、入力されたトルクの変動(振動)に起因する捩り振動を低減するように構成された捩り振動低減装置に関するものである。
この種の装置の一例が特許文献1に記載されている。その装置は、トルクコンバータの軸線方向でロックアップクラッチとタービンランナとの間に配置された遊星歯車機構を備えている。遊星歯車機構はシングルピニオン型の遊星歯車機構であって、サンギヤと、サンギヤに対して同心円状に配置されたリングギヤと、サンギヤとリングギヤとに噛み合う複数のピニオンギヤを保持するキャリヤとを備えている。ロックアップクラッチの外周部に、回転方向には一体となって回転するように、ディスクが連結されている。ディスクにキャリヤが一体に設けられている。軸線方向でディスクの両側にプレートが配置されている。ディスクと各プレートとはバネを介して相対回転可能に連結されている。各プレートの内周部分は変速機の入力軸と一体の結合部材に固定されている。各プレートのうちタービンランナ側に配置された第1プレートの外周部にリングギヤが一体に形成されている。サンギヤにイナーシャ部材が一体に設けられている。そして、キャリヤに入力されるトルクが変動すると、バネが圧縮され、キャリヤとリングギヤとが相対回転する。これによってサンギヤが強制的に回転させられ、サンギヤの回転に振動が生じる。サンギヤとイナーシャ部材との慣性トルクによってトルクの変動が低減される。
特許文献1に記載された構成では、リングギヤが形成された第1プレートは結合部材に固定されているものの、キャリヤが一体に設けられたディスクはバネを介して各プレートに連結されており、第1プレートに対するディスクの位置は特には拘束されていない。そのため、入力トルクが変動することによってバネが変位すると、バネの変位に伴って第1プレートに対してディスクが変位してしまい、複数のピニオンギヤとリングギヤとの間の各バックラッシの大きさが変化する可能性がある。そして、バックラッシの大きいギヤ対同士の間では、ギヤ対同士が衝突することによる歯打ち音や、歯打ち音に起因する振動が発生する可能性がある。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、歯打ち音やそれに起因する振動の発生を回避もしくは抑制して振動減衰性能を向上することができる捩り振動低減装置を提供することを目的とするものである。
この発明は、上記の目的を達成するために、少なくとも三つの回転要素によって差動作用を行うように構成された遊星回転機構と、トルクが入力されるとともに第1回転要素と一体となって回転する第1プレートと、前記トルクを出力するとともに第2回転要素と一体となって回転する第2プレートと、前記第1プレートと前記第2プレートとが所定角度、相対回転できるように前記第1プレートと前記第2プレートとの回転方向でそれらの間に挟み付けられた弾性体とを備え、前記トルクの振動が生じた場合に、第3回転要素が回転方向に振動するように構成された捩り振動低減装置において、前記第1プレートの軸心と前記第2プレートの軸心とを合わせて同一軸線上に保持するとともに前記第1プレートと前記第2プレートとを相対回転可能に直接的もしくは間接的に連結する軸支持部材を備えていることを特徴とするものである。
また、この発明では、前記軸支持部材は、前記第2プレートの回転軸線と平行な回転軸線を有しており前記第2プレートに回転可能に取り付けられた複数のガイドローラと、前記第1プレートに形成されていて前記ガイドローラの外周面に接触する支持面とを備えていてよい。
さらに、この発明では、前記軸支持部材は、内輪と外輪とを有する軸受によって構成され、前記内輪と前記外輪とのいずれか一方に前記第1プレートが連結され、前記内輪と前記外輪とのいずれか他方に前記第2プレートが連結されていてよい。
そして、この発明では、前記遊星回転機構はサンギヤと、前記サンギヤに対して同心円状に配置されたリングギヤと、前記サンギヤと前記リングギヤとに噛み合う複数のピニオンギヤを保持するキャリヤとを備えたシングルピニオン型の遊星歯車機構によって構成され、前記リングギヤは、前記第1プレートと一体となって回転するように構成され、前記キャリヤは、前記第2プレートと一体となって回転するように構成され、前記サンギヤは、前記第1プレートと前記第2プレートとの間で伝達される前記トルクの振動が生じた場合に前記回転方向に振動するように構成されていてよい。
この発明によれば、第1プレートに入力されるトルクが振動すると、第1プレートと第2プレートとによって弾性体が弾性変形させられ、第1プレートと第2プレートとが所定角度、相対回転する。遊星回転機構の第1回転要素は第1プレートと一体となって回転し、第2回転要素は第2プレートと一体となって回転する。そのため、第1プレートと第2プレートとの相対回転に伴って第1回転要素と第2回転要素との間に相対回転が生じる。また、遊星回転機構の差動作用によって第3回転要素が回転する。そして、第3回転要素がそれ自体の質量に応じた慣性力を生じ、第3回転要素の慣性力によってトルクの振動を低減することができる。この発明では、第1プレートと第2プレートとはそれらの軸心を合わせて同一軸線上に保持するように軸支持部材によって相対回転可能に直接的もしくは間接的に連結されている。そのため、第1プレートと第2プレートとが所定角度、相対回転した場合に、第1プレートの軸心と第2プレートの軸心とが互いにずれることを回避もしくは抑制することができる。これにより、各回転要素を滑らかに回転させることができ、歯打ち音やそれに起因する振動の発生を防止もしくは抑制することができる。そして、制振性能を向上することができる。
(第1実施形態)
つぎに、この発明を実施形態に基づいて説明する。図1はこの発明の第1実施形態に係る捩り振動低減装置を備えたトルクコンバータ一例を模式的に示す断面図である。トルクコンバータ1の原理的な構成は従来知られているものと同様であって、その構成について説明すると、トルクコンバータ1のハウジング2は、図示しないエンジンの出力軸に連結されるフロントカバー3と、このフロントカバー3に一体化されているポンプシェル4とによって液密状態に形成されている。ハウジング2の内部には、トルクの伝達を行うオイルが封入されている。フロントカバー3は円板状の側壁部5と、側壁部5の外周部から軸線方向に延びた第1円筒部6とを備えている。側壁部5の外面には図示しないドライブプレートを連結するためのナット7が取り付けられている。第1円筒部6の先端部にポンプシェル4が取り付けられている。ポンプシェル4の内周側の端部は中空軸部8となっている。中空軸部8は図示しないオイルポンプに連結される。
つぎに、この発明を実施形態に基づいて説明する。図1はこの発明の第1実施形態に係る捩り振動低減装置を備えたトルクコンバータ一例を模式的に示す断面図である。トルクコンバータ1の原理的な構成は従来知られているものと同様であって、その構成について説明すると、トルクコンバータ1のハウジング2は、図示しないエンジンの出力軸に連結されるフロントカバー3と、このフロントカバー3に一体化されているポンプシェル4とによって液密状態に形成されている。ハウジング2の内部には、トルクの伝達を行うオイルが封入されている。フロントカバー3は円板状の側壁部5と、側壁部5の外周部から軸線方向に延びた第1円筒部6とを備えている。側壁部5の外面には図示しないドライブプレートを連結するためのナット7が取り付けられている。第1円筒部6の先端部にポンプシェル4が取り付けられている。ポンプシェル4の内周側の端部は中空軸部8となっている。中空軸部8は図示しないオイルポンプに連結される。
ポンプシェル4の内面に複数のポンプブレード9が取り付けられてポンプインペラ10が構成されている。ポンプインペラ10に対向してタービンランナ11が配置されている。タービンランナ11はポンプインペラ10とほぼ対称な形状を成しており、タービンシェル12と、タービンシェル12の内面に取り付けられた多数のタービンブレード13とによって構成されている。タービンランナ11はタービンハブ14を介して、図示しない変速機の入力軸に連結される。半径方向でタービンハブ14の外周部には、軸線方向で側壁部5側に延びる円筒状の取付部14Aが形成されていて、取付部14Aに後述するディバイダリングが嵌合される。また、タービンハブ14にはハウジング2内にオイルを供給する図示しない油孔が形成されている。
ポンプインペラ10の内周部とタービンランナ11の内周部との間にステータ15が配置されている。ステータ15は一方向クラッチ16を介してトルクコンバータ1内の固定軸部17に取り付けられている。ステータ15はポンプインペラ10とタービンランナ11との速度比が小さい状態では、タービンランナ11から流れ出たオイルの流動方向を反転させてポンプインペラ10に供給し、速度比が大きい状態ではタービンランナ11から流れ出たオイルに押されて回転することによりオイルの流動方向を変えないように構成されている。したがって、一方向クラッチ16は速度比が小さい状態では係合してステータ15の回転を止め、速度比が大きい状態ではステータ15を回転させるように構成されている。固定軸部17は中空に形成されており、その内部に変速機の図示しない入力軸が回転可能に挿入される。入力軸は固定軸部17の先端側に突出しており、入力軸の突出端にタービンハブ14がスプライン嵌合される。
フロントカバー3の内壁面に対向してロックアップクラッチ18が配置されている。ロックアップクラッチ18の構成は従来知られているものと同様であって、ロックアップクラッチ18の内周部はタービンハブ14の外周面に嵌合されている。ロックアップクラッチ18を挟んでフロントカバー3側の油圧よりタービンランナ11側の油圧を高くすると、フロントカバー3の内壁面にロックアップクラッチ18が押し付けられてトルクを伝達する係合状態になるように構成されている。また、フロントカバー3側の油圧よりタービンランナ11側の油圧を低下させると、フロントカバー3の内壁面からロックアップクラッチ18が離隔してトルクを伝達しない解放状態になるように構成されている。
また、ロックアップクラッチ18は、ロックアップダンパ19を介してタービンハブ14に連結されている。ロックアップダンパ19は、トルクの伝達方向でロックアップクラッチ18の下流側であって、トルクコンバータ1の軸線方向でロックアップクラッチ18とタービンランナ11との間に配置されている。ロックアップダンパ19は、回転方向にはロックアップクラッチ18と一体となって回転する駆動側部材20と、駆動側部材20に対して同心円状に配置されるとともに駆動側部材20に対して相対回転可能な従動側部材21と、駆動側部材20と従動側部材21との相対回転によってロックアップダンパ19の円周方向に伸縮する複数のコイルスプリング22とを備えている。駆動側部材20がこの発明の実施形態における第1プレートに相当し、従動側部材21がこの発明の実施形態における第2プレートに相当し、コイルスプリング22がこの発明の実施形態における弾性体に相当している。駆動側部材20は全体として環状の部材であって、半径方向で駆動側部材20の外周部に凹部23が形成されていて、凹部23と、ロックアップクラッチ18の外周部に軸線方向に延びて形成された屈曲部24とが連結される。また、図1に示すように、駆動側部材20の外周部に軸線方向に延びる第2円筒部25が一体に形成されていて、第2円筒部25の内周面に後述するリングギヤが形成されている。
図2は、この発明の第1実施形態におけるロックアップダンパを模式的に示す一部破断した正面図である。駆動側部材20の内周部に、半径方向で内側に凸となった第1押圧部26が円周方向に一定の間隔で複数形成されている。第1押圧部26の両側にコイルスプリング22の一方の端部がそれぞれ接触している。また、駆動側部材20の内周側に、ディバイダリング27が設けられている。ディバイダリング27の外周部に、半径方向で外側に凸となった第2押圧部28が円周方向に一定の間隔で形成されている。第2押圧部28は、円周方向で第1押圧部26同士の間に配置されており、第2押圧部28の両側にコイルスプリング22の他方の端部がそれぞれ接触している。つまり、円周方向で第1押圧部26と第2押圧部28とが交互に配置されており、それらの間にコイルスプリング22が挟み付けられている。ディバイダリング27の内周部はタービンハブ14の取付部14Aに嵌合している。そのため、ディバイダリング27は従動側部材21と一体となって回転し、駆動側部材20はディバイダリング27および従動側部材21ならびにタービンハブ14に対して相対回転する。それら駆動側部材20と、ディバイダリング27および従動側部材21との相対回転によってコイルスプリング22が圧縮され、この状態で入力トルクが変動することによってコイルスプリング22が更に圧縮されて前記入力トルクの変動が低減もしくは吸収される。
従動側部材21は、図1に示すように、軸線方向でロックアップクラッチ18と駆動側部材20との間に配置される第1従動側部材21Aと、軸線方向で駆動側部材20とタービンランナ11との間に配置される第2従動側部材21Bとによって構成されている。第1従動側部材21Aと第2従動側部材21Bとは共に環状の板状部材であって、それらの外径は駆動側部材20の外径より小さく設定されている。これにより駆動側部材20の第2円筒部25との干渉が抑制されている。半径方向で第1従動側部材21Aの外周部分と第2従動側部材21Bの外周部分とは駆動側部材20に対して相対回転可能に互いに連結されている。第2従動側部材21Bの内周端部はタービンハブ14にまで延びており、タービンランナ11と共にタービンハブ14に固定されている。
また、円周方向で第1従動側部材21Aにおけるコイルスプリング22に対応する位置に第1窓孔部29が形成されている。第1窓孔部29は軸線方向でロックアップクラッチ18側に僅かに膨らんだ枠部29Aと、枠部29Aに囲まれていて第1従動側部材21Aを板厚方向に貫通して形成された窓部29Bとを備えている。第2従動側部材21Bにおける第1窓孔部29に対応する位置に、第1窓孔部29とほぼ同じ形状の第2窓孔部30が形成されている。第2窓孔部30は軸線方向でタービンランナ11側に僅かに膨らんだ枠部30Aと、枠部30Aに囲まれていて第2従動側部材21Bを板厚方向に貫通して形成された窓部30Bとを備えている。それら第1窓孔部29と第2窓孔部30とによってコイルスプリング22を収容する複数の収容部31が形成されている。
また、第1実施形態では、各従動側部材21A,21Bの軸心と駆動側部材20の軸心とを合わせて同一軸線上に保持するこの発明の実施形態における軸支持部材に相当するガイドローラ32が第1従動側部材21Aに自転可能に複数取り付けられている。ガイドローラ32の回転軸線と各従動側部材21A,21Bの回転軸線とは互いに平行に設定されている。また、図2に示す例では、半径方向で第2押圧部28の外側であって、円周方向で第2押圧部28の両側にガイドローラ32がそれぞれ1つずつ設けられている。ガイドローラ32の外周面32Aはこの発明の実施形態における支持面に相当する駆動側部材20の内周面20Aに接触するように設定されている。したがって、ガイドローラ32の外周面32Aを駆動側部材20の内周面20Aに接触させるように第1従動側部材21Aと駆動側部材20とを組み付けると、各従動側部材21A,21Bの軸心と駆動側部材20の軸心とが互いに合わせられると共に、各軸心が同一軸線上に保持あるいは維持される。こうして、各従動側部材21A,21Bと駆動側部材20とがガイドローラ32を介して直接的に連結される。
図1に示すように、軸線方向でロックアップダンパ19とタービンランナ11との間であって、ロックアップダンパ19と互いに隣接してこの発明の実施形態における捩り振動低減装置の一部を構成している遊星回転機構が設けられている。遊星回転機構は少なくとも三つの回転要素によって差動作用を行うように構成された機構であればよく、遊星歯車機構や遊星ローラ機構を採用することができる。ここに示す例では遊星歯車機構33によって構成されている。図3は、この発明の第1実施形態における捩り振動低減装置の一例を模式的に示す正面図である。遊星歯車機構33は、図3に示すように、半径方向で収容部31の外周側に設けられている。遊星歯車機構33はシングルピニオン型の遊星歯車機構であって、サンギヤ34と、サンギヤ34に対して同心円状に配置されたリングギヤ35と、サンギヤ34とリングギヤ35とに噛み合う複数のピニオンギヤ36を回転可能に保持するキャリヤ37とを備えている。なお、サンギヤ34に図1に示すように慣性質量体Iが一体に設けられていてよい。慣性質量体Iはサンギヤ34の質量を増大させるものであり、サンギヤ34とは別体として構成し、サンギヤ34に取り付けてもよい。リングギヤ35は第2円筒部25の内周面に形成され、キャリヤ37は第2従動側部材21Bに一体に設けられている。図3では、図面を簡単にするため、慣性質量体Iの記載を省略してある。
なお、上述した第1実施形態では、ロックアップクラッチ18がトルクを伝達する係合状態になると、ロックアップクラッチ18を介してリングギヤ35にトルクが入力される。そのため、リングギヤ35はこの発明の実施形態における第1回転要素に相当している。キャリヤ37はロックアップダンパ19の第2従動側部材21Bに一体に設けられているので、この発明の実施形態における第2回転要素に相当している。リングギヤ35にトルクが入力されると、リングギヤ35とキャリヤ37とが相対回転し、これによりサンギヤ34が回転する。入力トルクが振動すると、サンギヤ34の回転に振動が生じる。サンギヤ34はこの発明の実施形態における第3回転要素に相当している。
第1実施形態の作用について説明する。図示しないエンジンのトルクがトルクコンバータ1のハウジング2に伝達されることによりポンプインペラ10が回転し、オイルの螺旋流が生じる。このオイルの螺旋流を受けてタービンランナ11が回転する。タービンランナ11はタービンハブ14に連結されているので、タービンハブ14を介して図示しない入力軸にトルクが伝達される。
ロックアップクラッチ18におけるタービンランナ11側の圧力をフロントカバー3側の圧力より高くすると、ロックアップクラッチ18がフロントカバー3の内面に摩擦接触させられてロックアップクラッチ18が係合状態になる。この係合状態では、ハウジング2に伝達されたトルクは、ロックアップクラッチ18を介して駆動側部材20に伝達される。従動側部材21A,21Bには、図示しない変速機を回転させるためのトルクが反力として作用する。これによってロックアップダンパ19のコイルスプリング22を圧縮する荷重が生じ、その荷重に応じた変位がコイルスプリング22に生じる。そして、駆動側部材20と各従動側部材21A,21Bとは所定角度、相対回転する。リングギヤ35は駆動側部材20に一体に設けられ、キャリヤ37は第2従動側部材21Bに一体に設けられているため、駆動側部材20と各従動側部材21A,21Bとの相対回転に伴ってリングギヤ35とキャリヤ37とは所定角度、相対回転する。入力トルクの変動がない場合には、ロックアップダンパ19および遊星歯車機構33の全体が一体となって回転する。
これに対して入力トルクが変動すると、コイルスプリング22に作用する圧縮力が変化するため、駆動側部材20と従動側部材21A,21Bとの相対回転が生じ、それに伴ってリングギヤ35とキャリヤ37との相対回転が生じる。ガイドローラ32の外周面32Aは駆動側部材20の内周面20Aに接触しているため、上述した相対回転によって、ガイドローラ32は内周面20Aに沿って転動しながら往復動する。その結果、駆動側部材20の軸心と従動側部材21A,21Bの軸心とはほぼ一致した状態に維持される。また、リングギヤ35の軸心とキャリヤ37の軸心とはほぼ一致した状態に維持される。これにより、リングギヤ35と各ピニオンギヤ36との間のバックラッシの変化が防止もしくは抑制され、各ギヤ35,36は滑らかに回転することができる。そしてリングギヤ35と各ピニオンギヤ36との間で歯打ち音が生じたり、それに起因する振動が生じたりすることを防止もしくは抑制することができる。サンギヤ34はリングギヤ35とキャリヤ37との相対回転によって回転するとともに、その回転に振動が生じる。サンギヤ34はこのような回転によって慣性トルクを発生し、慣性トルクが入力トルクの変動に対する制振トルクとして作用する。その結果、図示しない変速機の入力軸の振動を低減もしくは抑制することができる。このように第1実施形態では、リングギヤ35の軸心とキャリヤ37の軸心とのずれを防止もしくは抑制することができるため、異音の発生を防止もしくは抑制して制振性能を向上することができる。
(第2実施形態)
図4は、この発明の第2実施形態に係る捩り振動低減装置の一例の一部を拡大して示す断面図である。ここに示す例は、半径方向で第2押圧部28における外周部に自転可能にガイドローラ32を1つずつ設けた例であって、ガイドローラ32の回転軸線と各従動側部材21A,21Bの軸線とは第1実施形態と同様に互いに平行に設定されるとともに、ガイドローラ32の外周面32Aは駆動側部材20の内周面20Aに接触するように設定されている。他の構成は図1ないし図3に示す構成と同様であるため、図1ないし図3に示す構成と同様の部分には図1ないし図3と同様の符号を付してその説明を省略する。
図4は、この発明の第2実施形態に係る捩り振動低減装置の一例の一部を拡大して示す断面図である。ここに示す例は、半径方向で第2押圧部28における外周部に自転可能にガイドローラ32を1つずつ設けた例であって、ガイドローラ32の回転軸線と各従動側部材21A,21Bの軸線とは第1実施形態と同様に互いに平行に設定されるとともに、ガイドローラ32の外周面32Aは駆動側部材20の内周面20Aに接触するように設定されている。他の構成は図1ないし図3に示す構成と同様であるため、図1ないし図3に示す構成と同様の部分には図1ないし図3と同様の符号を付してその説明を省略する。
第2実施形態の作用について説明する。ロックアップクラッチ18が係合状態になると、図4で図示しないエンジンのトルクがロックアップダンパ19に入力される。従動側部材21A,21Bには、図示しない変速機を回転させるためのトルクが反力として作用する。これによってコイルスプリング22を圧縮する荷重が生じ、その荷重に応じた変位がコイルスプリング22に生じる。そして、駆動側部材20と各従動側部材21A,21Bとは所定角度、相対回転し、それに伴ってリングギヤ35とキャリヤ37とは所定角度、相対回転する。入力トルクの変動がない場合には、ロックアップダンパ19および遊星歯車機構33の全体が一体となって回転する。
これに対して、入力トルクが変動すると、コイルスプリング22に作用する圧縮力が変化して駆動側部材20と従動側部材21A,21Bとの相対回転、および、リングギヤ35とキャリヤ37との相対回転が生じる。第2実施形態であっても、ガイドローラ32の外周面32Aは駆動側部材20の内周面20Aに接触しているため、上述した相対回転によって、ガイドローラ32は内周面20Aに沿って転動しながら往復動する。その結果、駆動側部材20の軸心と従動側部材21A,21Bの軸心とはほぼ一致した状態に維持され、リングギヤ35の軸心とキャリヤ37の軸心とはほぼ一致した状態に維持される。これにより、上述したように、リングギヤ35と各ピニオンギヤ36との間のバックラッシの変化が抑制され、それらのギヤ35,36は滑らかに回転する。そして、それらのギヤ35,36の間で歯打ち音が生じたり、それに起因する振動が生じたりすることを防止もしくは抑制することができる。サンギヤ34はリングギヤ35とキャリヤ37との相対回転によって回転するとともに、その回転に振動が生じる。サンギヤ34はこのような回転によって慣性トルクを発生し、慣性トルクが入力トルクの変動に対する制振トルクとして作用する。その結果、図示しない変速機の入力軸の振動を低減もしくは抑制することができる。また、第2実施形態では、第2押圧部28における外周部にガイドローラ32を1つずつ設けるため、第1実施形態と比較して、部品数を少なくできるとともに、その分、部材コストを低減することができる。
(第3実施形態)
図5は、この発明の第3実施形態に係る捩り振動低減装置の一例の一部を拡大して示す断面図である。ここに示す例は、軸線方向で駆動側部材20における第1押圧部26と第2従動側部材21Bとの間にボールカム機構38を設けた例である。駆動側部材20に、軸線方向で第1従動側部材21A側にV溝状に窪んだ第1カム39が形成されている。半径方向で第1カム39における外側の第1カム面40と内側の第2カム面41とに接触するようにボール42が配置される。第2従動側部材21Bにおける第1カム39に対応する位置に、第2カム43が形成されている。第2カム43は軸線方向でタービンランナ11側に窪んだV溝状を成しており、半径方向で外側の第3カム面44と内側の第4カム面45とに接触するようにボール42が配置されている。つまり第1カム39と第2カム43とによってボール42は挟み付けられている。他の構成は図1ないし図3や図4に示す構成と同様であるため、図1ないし図3や図4に示す構成と同様の部分には図1ないし図3や図4と同様の符号を付してその説明を省略する。図5では、図面を簡単にするため、ガイドローラ32の記載を省略してある。
図5は、この発明の第3実施形態に係る捩り振動低減装置の一例の一部を拡大して示す断面図である。ここに示す例は、軸線方向で駆動側部材20における第1押圧部26と第2従動側部材21Bとの間にボールカム機構38を設けた例である。駆動側部材20に、軸線方向で第1従動側部材21A側にV溝状に窪んだ第1カム39が形成されている。半径方向で第1カム39における外側の第1カム面40と内側の第2カム面41とに接触するようにボール42が配置される。第2従動側部材21Bにおける第1カム39に対応する位置に、第2カム43が形成されている。第2カム43は軸線方向でタービンランナ11側に窪んだV溝状を成しており、半径方向で外側の第3カム面44と内側の第4カム面45とに接触するようにボール42が配置されている。つまり第1カム39と第2カム43とによってボール42は挟み付けられている。他の構成は図1ないし図3や図4に示す構成と同様であるため、図1ないし図3や図4に示す構成と同様の部分には図1ないし図3や図4と同様の符号を付してその説明を省略する。図5では、図面を簡単にするため、ガイドローラ32の記載を省略してある。
第3実施形態の作用について説明する。ロックアップクラッチ18が係合状態となると、ロックアップクラッチ18を介して駆動側部材20にトルクが入力される。各従動側部材21A,21Bには、図示しない変速機を回転させるためのトルクが反力として作用する。これによりコイルスプリング22を圧縮する荷重が生じ、その荷重に応じた変位がコイルスプリング22に生じる。これによって駆動側部材20と各従動側部材21A,21Bとが所定角度、相対回転するとともに、リングギヤ35とキャリヤ37とが所定角度、相対回転する。入力トルクの変動がない場合には、このような相対回転が生じているロックアップダンパ19および遊星歯車機構33の全体が一体となって回転する。
入力トルクが変動すると、コイルスプリング22に作用する圧縮力が変化するため、駆動側部材20と従動側部材21A,21Bとの相対回転、および、リングギヤ35とキャリヤ37との相対回転が生じる。それらの相対回転によって、図5で図示していないガイドローラ32は内周面20Aに沿って転動しながら往復動する。また、第1カム39と第2カム43との相対回転が生じ、第1カム39と第2カム43との間でボール42が転動する。この第3実施形態では、トルクの変動や製造誤差あるいは組み付け誤差などによって、例えば、駆動側部材20が従動側部材21A,21Bに対して図5での下側に変位すると、第1カム39における第1カム面40と、第2カム43における第4カム面45とがボール42を介して係合する。これにより、駆動側部材20を図5での上側に変位させる分力が生じ、その分力によって従動側部材21A,21Bの軸心と駆動側部材20の軸心とのずれを抑制することができる。このように第3実施形態では、ガイドローラ32に加えて、ボールカム機構38によっても駆動側部材20の軸心と従動側部材21A,21Bの軸心とのずれを防止もしくは抑制することができる。つまり、ボールカム機構38はこの発明の実施形態における軸支持部材として機能する。また、サンギヤ34はリングギヤ35とキャリヤ37との相対回転によって回転するとともに、その回転に振動が生じる。サンギヤ34はこのような回転によって慣性トルクを発生し、慣性トルクが入力トルクの変動に対する制振トルクとして作用する。その結果、第3実施形態では、第1実施形態と比較して、より効果的に軸心のずれを防止もしくは抑制することができ、制振性能を向上することができる。
(第4実施形態)
図6は、この発明の第4実施形態に係る捩り振動低減装置の一例の一部を拡大して示す断面図である。ここに示す例は、コイルスプリング22の一方の端部にキャップ46を被せることによって、半径方向におけるコイルスプリング22の位置の変位を抑制するように構成した例である。キャップ46は円筒状に形成されており、その内径はコイルスプリング22の外径より僅かに大きく設定され、その内部にコイルスプリング22の一方の端部を挿入するようになっている。キャップ46の外径は収容部31の内面に嵌合する大きさに設定されている。そのため、収容部31内にキャップ46を配置すると、収容部31の内面に対してキャップ46の外周面が嵌合し、収容部31内におけるキャップ46の位置が決められる。またキャップ46の底部は第1押圧部26に接触するように構成されている。なお、キャップ46の長さあるいはコイルスプリング22の挿入深さは、コイルスプリング22の変位を阻害しない程度となっており、その長さあるいは挿入深さは実験などによって予め定めることができる。また、図6には、コイルスプリング22の一方の端部にキャップ46を被せた例を示してあるが、コイルスプリング22の両端部にキャップをそれぞれ被せてもよい。他の構成は図1ないし図3に示す構成と同様であるため、図1ないし図3に示す構成と同様の部分には図1ないし図3と同様の符号を付してその説明を省略する。
図6は、この発明の第4実施形態に係る捩り振動低減装置の一例の一部を拡大して示す断面図である。ここに示す例は、コイルスプリング22の一方の端部にキャップ46を被せることによって、半径方向におけるコイルスプリング22の位置の変位を抑制するように構成した例である。キャップ46は円筒状に形成されており、その内径はコイルスプリング22の外径より僅かに大きく設定され、その内部にコイルスプリング22の一方の端部を挿入するようになっている。キャップ46の外径は収容部31の内面に嵌合する大きさに設定されている。そのため、収容部31内にキャップ46を配置すると、収容部31の内面に対してキャップ46の外周面が嵌合し、収容部31内におけるキャップ46の位置が決められる。またキャップ46の底部は第1押圧部26に接触するように構成されている。なお、キャップ46の長さあるいはコイルスプリング22の挿入深さは、コイルスプリング22の変位を阻害しない程度となっており、その長さあるいは挿入深さは実験などによって予め定めることができる。また、図6には、コイルスプリング22の一方の端部にキャップ46を被せた例を示してあるが、コイルスプリング22の両端部にキャップをそれぞれ被せてもよい。他の構成は図1ないし図3に示す構成と同様であるため、図1ないし図3に示す構成と同様の部分には図1ないし図3と同様の符号を付してその説明を省略する。
第4実施形態の作用について説明する。ロックアップクラッチ18が係合状態となると、ロックアップクラッチ18を介して駆動側部材20にトルクが入力される。各従動側部材21A,21Bには、図示しない変速機を回転させるためのトルクが反力として作用する。これによりコイルスプリング22を圧縮する荷重が生じ、その荷重に応じた変位がコイルスプリング22に生じる。キャップ46の外周面は収容部31の内面に嵌合しているため、コイルスプリング22が変位しても半径方向におけるコイルスプリング22の位置は、ほぼ同じ位置に維持される。また、コイルスプリング22の変位に伴って駆動側部材20と各従動側部材21A,21Bとが所定角度、相対回転するとともに、リングギヤ35とキャリヤ37とが所定角度、相対回転する。入力トルクの変動がない場合には、このような相対回転が生じているロックアップダンパ19および遊星歯車機構33の全体が一体となって回転する。
入力トルクが変動すると、コイルスプリング22に作用する圧縮力が変化する。すなわち、トルクの変動に応じてコイルスプリング22は伸縮する。キャップ46は収容部31の内面に嵌合しているため、コイルスプリング22が繰り返し伸縮するとしても、半径方向におけるコイルスプリング22の位置の変位を抑制することができる。そのため、半径方向にコイルスプリング22の位置が変位することが要因となって駆動側部材20の軸心と従動側部材21A,21Bの軸心とがずれることを防止もしくは抑制することができる。コイルスプリング22の伸縮にともなって駆動側部材20と従動側部材21A,21Bとの相対回転、および、リングギヤ35とキャリヤ37との相対回転が生じる。ガイドローラ32は内周面20Aに沿って転動しながら往復動する。サンギヤ34はリングギヤ35とキャリヤ37との相対回転によって回転するとともに、その回転に振動が生じる。サンギヤ34はこのような回転によって慣性トルクを発生し、慣性トルクが入力トルクの変動に対する制振トルクとして作用する。このように第4実施形態では、ガイドローラ32に加えて、キャップ46もこの発明の実施形態における軸支持部材として機能する。そのため、第1実施形態と比較して、より効果的に軸心のずれを防止もしくは抑制して制振性能を向上することができる。
(第5実施形態)
図7はこの発明の第5実施形態に係る捩り振動低減装置の一例を示す正面図である。ここに示す例は、この発明の実施形態における軸支持部材に相当する軸受47によってロックアップダンパ19の駆動側部材20の軸心と従動側部材21A,21Bの軸心とを合わせて各軸心を同一軸線上に保持あるいは維持するように構成した例である。第5実施形態におけるロックアップダンパ19は駆動側部材20と、駆動側部材20の両側に配置された一対の第1従動側部材21Aおよび第2従動側部材21Bと、駆動側部材20と各従動側部材21A,21Bとの相対回転によって圧縮されるコイルスプリング22とによって構成されている。駆動側部材20は、環状に形成されており、外周部に凹部23が形成されていて、凹部23とロックアップクラッチ18の屈曲部24とが接続される。
図7はこの発明の第5実施形態に係る捩り振動低減装置の一例を示す正面図である。ここに示す例は、この発明の実施形態における軸支持部材に相当する軸受47によってロックアップダンパ19の駆動側部材20の軸心と従動側部材21A,21Bの軸心とを合わせて各軸心を同一軸線上に保持あるいは維持するように構成した例である。第5実施形態におけるロックアップダンパ19は駆動側部材20と、駆動側部材20の両側に配置された一対の第1従動側部材21Aおよび第2従動側部材21Bと、駆動側部材20と各従動側部材21A,21Bとの相対回転によって圧縮されるコイルスプリング22とによって構成されている。駆動側部材20は、環状に形成されており、外周部に凹部23が形成されていて、凹部23とロックアップクラッチ18の屈曲部24とが接続される。
また、図7に示すように駆動側部材20の円周方向に一定の間隔で合計3つの駆動側窓孔48が形成されている。各駆動側窓孔48を隔てている部分は第1押圧部26を成しており、第1押圧部26にコイルスプリング22の各端部がそれぞれ接触するように駆動側窓孔48にコイルスプリング22が配置されている。駆動側窓孔48の内周面のうち半径方向で外側の内周面にガイドローラ32の外周面32Aが接触するように、第1従動側部材21Aにガイドローラ32が自転可能に取り付けられている。ここに示す例では、円周方向で駆動側窓孔48の中央部に2つのガイドローラ32が設けられている。
図8はこの発明の第5実施形態に係る捩り振動低減装置の一例の一部を拡大して示す断面図である。図8に示すように、駆動側部材20の内周部は軸受47を介してタービンハブ14の取付部14Aに連結されている。すなわち、駆動側部材20の内周部と軸受47の外輪47Aとが嵌合されており、軸受47の内輪47Bは取付部14Aの外周面に嵌合されている。このように各従動側部材21A,21Bと駆動側部材20とが軸受47を介して間接的に連結される。なお、第1従動側部材21Aにおける駆動側窓孔48に対応する位置に第1窓孔部29が形成され、第2従動側部材21Bにおける前記駆動側窓孔48に対応する位置に第2窓孔部30が形成されている。それらの駆動側窓孔48と第1窓孔部29と第2窓孔部30とによって収容部31が形成されている。コイルスプリング22の両端部は円周方向で第1窓孔部29の両端部および第2窓孔部30の両端部にそれぞれ接触している。他の構成は図1ないし図3に示す構成と同様であるため、図1ないし図3に示す構成と同様の部分には図1ないし図3と同様の符号を付してその説明を省略する。
第5実施形態の作用について説明する。ロックアップクラッチ18が係合状態となると、ロックアップクラッチ18を介して駆動側部材20にトルクが入力される。各従動側部材21A,21Bには、図示しない変速機を回転させるためのトルクが反力として作用する。これによりコイルスプリング22を圧縮する荷重が生じ、その荷重に応じた変位がコイルスプリング22に生じる。これによって駆動側部材20と各従動側部材21A,21Bとが所定角度、相対回転するとともに、リングギヤ35とキャリヤ37とが所定角度、相対回転する。駆動側部材20と各従動側部材21A,21Bとは軸受47を介して連結されているから、それらの軸心のずれが抑制されている。入力トルクの変動がない場合には、このような相対回転が生じているロックアップダンパ19および遊星歯車機構33の全体が一体となって回転する。
入力トルクが変動すると、コイルスプリング22に作用する圧縮力が変化して駆動側部材20と従動側部材21A,21Bとの相対回転、および、リングギヤ35とキャリヤ37との相対回転が生じる。また、ガイドローラ32は内周面20Aに沿って転動しながら往復動する。駆動側部材20の内周部は軸受47に嵌合しているため、それらの相対回転やコイルスプリング22の変位による駆動側部材20の軸心と各従動側部材21A,21Bの軸心とのずれは防止もしくは抑制されている。また、サンギヤ34はリングギヤ35とキャリヤ37との相対回転によって回転するとともに、その回転に振動が生じる。サンギヤ34はこのような回転によって慣性トルクを発生し、慣性トルクが入力トルクの変動に対する制振トルクとして作用する。このように第4実施形態では、ガイドローラ32に加えて、軸受47によってもリングギヤ35とキャリヤ37との軸心のずれを防止もしくは抑制することができる。これにより、第1実施形態と比較して、より効果的に軸心のずれを防止もしくは抑制して制振性能を向上することができる。
(第6実施形態)
図9はこの発明の第6実施形態に係る捩り振動低減装置の一例の一部を拡大して示す断面図である。ここに示す例は、ロックアップクラッチ18の屈曲部24によってリングギヤ35を支持するように構成した例である。図9に示すように、ロックアップダンパ19におけるタービンランナ11側に、屈曲部24とほぼ同じ外径の第3円筒部49が設けられている。第3円筒部49は環状の部材であって、その外周部に、半径方向で内側に窪んでいて屈曲部24に嵌まり合う係合部50が形成されていて、係合部50と屈曲部24とがいわゆるインロー嵌合するようになっている。第3円筒部49の内面にはリングギヤ35が形成されている。他の構成は図1ないし図3に示す構成と同様であるため、図1ないし図3に示す構成と同様の部分には図1ないし図3と同様の符号を付してその説明を省略する。なお、上述した第3円筒部49が、この発明の実施形態における軸支持部材に相当しており、ここに示す例では、第3円筒部49によってロックアップダンパ19の駆動側部材20と各従動側部材21A,21Bとが間接的に連結されている。
図9はこの発明の第6実施形態に係る捩り振動低減装置の一例の一部を拡大して示す断面図である。ここに示す例は、ロックアップクラッチ18の屈曲部24によってリングギヤ35を支持するように構成した例である。図9に示すように、ロックアップダンパ19におけるタービンランナ11側に、屈曲部24とほぼ同じ外径の第3円筒部49が設けられている。第3円筒部49は環状の部材であって、その外周部に、半径方向で内側に窪んでいて屈曲部24に嵌まり合う係合部50が形成されていて、係合部50と屈曲部24とがいわゆるインロー嵌合するようになっている。第3円筒部49の内面にはリングギヤ35が形成されている。他の構成は図1ないし図3に示す構成と同様であるため、図1ないし図3に示す構成と同様の部分には図1ないし図3と同様の符号を付してその説明を省略する。なお、上述した第3円筒部49が、この発明の実施形態における軸支持部材に相当しており、ここに示す例では、第3円筒部49によってロックアップダンパ19の駆動側部材20と各従動側部材21A,21Bとが間接的に連結されている。
第6実施形態の作用について説明する。ロックアップクラッチ18が係合状態となると、ロックアップクラッチ18を介して駆動側部材20にトルクが入力される。各従動側部材21A,21Bには、図示しない変速機を回転させるためのトルクが反力として作用する。これによりコイルスプリング22を圧縮する荷重が生じ、その荷重に応じた変位がコイルスプリング22に生じる。そして、駆動側部材20と各従動側部材21A,21Bとが所定角度、相対回転する。それに伴って、ロックアップクラッチ18の屈曲部24に一体化されたリングギヤ35とキャリヤ37とが所定角度、相対回転する。入力トルクの変動がない場合には、このような相対回転が生じているロックアップダンパ19および遊星歯車機構33の全体が一体となって回転する。
入力トルクが変動すると、コイルスプリング22に作用する圧縮力が変化して駆動側部材20と従動側部材21A,21Bとの相対回転が生じる。第3円筒部49はロックアップクラッチ18の屈曲部24に一体化され、キャリヤ37は第2従動側部材21Bに一体化されているので、リングギヤ35とキャリヤ37との相対回転が生じる。また、ロックアップクラッチ18の内周部はタービンハブ14に嵌合している。そのため、リングギヤ35の軸心とロックアップクラッチ18の軸心とは同一軸線上になっている。第2従動側部材21Bはタービンハブ14に固定されているため、第2従動側部材21Bの軸心とタービンハブ14の軸心とは同一軸線上になっている。したがって、入力トルクが変動した場合であっても、リングギヤ35の軸心とキャリヤ37の軸心とを合わせて各軸心を同一軸線上に保持あるいは維持することができるため、リングギヤ35と各ピニオンギヤ36との間のバックラッシの変化を防止もしくは抑制することができ、各ギヤ35,36を滑らかに回転させることができる。これによりリングギヤ35と各ピニオンギヤ36との間で歯打ち音が生じたり、それに起因する振動が生じたりすることを防止もしくは抑制することができる。また、サンギヤ34はリングギヤ35とキャリヤ37との相対回転によって回転するとともに、その回転に振動が生じる。サンギヤ34はこのような回転によって慣性トルクを発生し、慣性トルクが入力トルクの変動に対する制振トルクとして作用する。このように第6実施形態であっても、リングギヤ35とキャリヤ37との軸心のずれを防止もしくは抑制して制振性能を向上することができる。
なお、この発明は上述した各実施形態に限定されないのであって、この発明における遊星回転機構は歯車に限らず、ローラによって構成されていてもよい。また、この発明における遊星回転機構は、トルクの増幅作用のない流体継手の内部に設けられていてもよい。
20…駆動側部材、 21…従動側部材、 21A…第1従動側部材、 21B…第2従動側部材、 22…コイルスプリング(弾性体)、 32…ガイドローラ(軸支持部材)、 33…遊星歯車機構(遊星回転機構)、 34…サンギヤ(第3回転要素)、 35…リングギヤ(第1回転要素)、 37…キャリヤ(第2回転要素)、 42…ボールカム機構(軸支持部材)、 46…キャップ(軸支持部材)、 47…軸受(軸支持部材)、 49…第3円筒部(軸支持部材)。
Claims (4)
- 少なくとも三つの回転要素によって差動作用を行うように構成された遊星回転機構と、トルクが入力されるとともに第1回転要素と一体となって回転する第1プレートと、前記トルクを出力するとともに第2回転要素と一体となって回転する第2プレートと、前記第1プレートと前記第2プレートとが所定角度、相対回転できるように前記第1プレートと前記第2プレートとの回転方向でそれらの間に挟み付けられた弾性体とを備え、前記トルクの振動が生じた場合に、第3回転要素が回転方向に振動するように構成された捩り振動低減装置において、
前記第1プレートの軸心と前記第2プレートの軸心とを合わせて同一軸線上に保持するとともに前記第1プレートと前記第2プレートとを相対回転可能に直接的もしくは間接的に連結する軸支持部材を備えている
ことを特徴とする捩り振動低減装置。 - 請求項1に記載の捩り振動低減装置において、
前記軸支持部材は、前記第2プレートの回転軸線と平行な回転軸線を有しており前記第2プレートに回転可能に取り付けられた複数のガイドローラと、前記第1プレートに形成されていて前記ガイドローラの外周面に接触する支持面とを備えていることを特徴とする捩り振動低減装置。 - 請求項1に記載の捩り振動低減装置において、
前記軸支持部材は、内輪と外輪とを有する軸受によって構成され、
前記内輪と前記外輪とのいずれか一方に前記第1プレートが連結され、
前記内輪と前記外輪とのいずれか他方に前記第2プレートが連結されていることを特徴とする捩り振動低減装置。 - 請求項1ないし3のいずれか1項に記載の捩り振動低減装置において、
前記遊星回転機構はサンギヤと、前記サンギヤに対して同心円状に配置されたリングギヤと、前記サンギヤと前記リングギヤとに噛み合う複数のピニオンギヤを保持するキャリヤとを備えたシングルピニオン型の遊星歯車機構によって構成され、
前記リングギヤは、前記第1プレートと一体となって回転するように構成され、
前記キャリヤは、前記第2プレートと一体となって回転するように構成され、
前記サンギヤは、前記第1プレートと前記第2プレートとの間で伝達される前記トルクの振動が生じた場合に前記回転方向に振動するように構成されている
ことを特徴とする捩り振動低減装置。
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CN111911607A (zh) * | 2019-05-07 | 2020-11-10 | 丰田自动车株式会社 | 扭转振动降低装置及其制造方法 |
CN113495496A (zh) * | 2021-06-07 | 2021-10-12 | 中北大学 | 一种大惯量三自由度姿态模拟装置 |
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2017
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